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健康ダイジェスト

 2018年7月〜 1月〜6月2017年7月〜12月 1月〜6月2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

 

■中高年の4割近く、認知症になるのが怖い がんなどへの不安を大きく上回る

 中高年の4割近くが認知症になるのが怖いと考えているとする調査結果を、日本医師会総合政策研究機構の主任研究員の坂口一樹さんらが発表しました。健康への不安では、体力の衰えに次いで高く、がんなど他の病気を大きく上回りました。

 調査は、太陽生命保険が2017年3~4月に実施しました。無作為に抽出した被保険者5000人(40~70歳代)のうち、有効回答を得た1557人(男性336人、女性1221人)のデータを分析しました。

 健康への不安に関する設問では、「体力が衰えてきた」が50・9%でトップ。次いで「認知症になるのが怖い」が37・6%で、「心筋梗塞や脳卒中」26・5%や「がん」26・1%より多いのが目立ちました。

 認知症に関する不安や心配事では、「現在の介護保険制度がどうなるか心配」が82・9%に上りました。費用や相談先、受けられる介護サービスも選べる設問でしたが、それらへの不安を上回りました。

 政府は認知症対策として国家戦略「新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)」を掲げ、団塊の世代が75歳以上となる2025年に向けて適切な医療・介護の提供、支援のための地域づくりなどを推進しています。しかし、新オレンジプランを知っていると答えたのは5・8%にとどまりました。

 坂口さんは、「経済力のあるシニア女性層が回答者に多い点を考慮する必要はあるが、認知症への不安ばかりが先行している状況がみて取れる結果となった。国は不安解消を政策の最優先課題にして取り組むべきだ」と話しています。

 2018年9月18日(火)

 

■100歳以上の人が過去最多の6万9785人に 48年連続で最多更新

 全国の100歳以上の高齢者が9月1日現在、前年比2014人増の6万9785人に上り、1971年から48年連続で過去最多を更新したことが、14日公表された厚生労働省の調査で明らかになりました。20年前の6・9倍、10年前の1・9倍に達しました。

 女性は6万1454人で全体の88・1%を占め、男性は8331人でした。厚労省は、「出生数の多い世代が100歳を迎えていることや医療技術の進歩などが要因と考えられる」と分析しています。

 調査は敬老の日(今年は17日)を前に、毎年公表されています。国内最高齢は、福岡市で暮らす女性の田中カ子(かね)さんで115歳。今年7月22日から国内最高齢者となっています。男性は北海道足寄町の野中正造(まさぞう)さんで113歳。ギネスワールドレコーズ社は4月、野中さんを世界最高齢の男性と認定しています。

 調査によると、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数は55・08人。都道府県別では島根県が101・02人で、6年連続で最多となりました。次いで、鳥取県(97・88人)、高知県(96・50人)、鹿児島県(95・76人)の順。

 100歳以上が少ないのは埼玉県(32・90人)で、29年連続で最少となりました。次いで、愛知県(36・78人)、千葉県(39・34人)、大阪府(40・09人)の順となりました。

 今年度中に100歳になった人と、100歳になる予定の人を合わせた人数は9月1日現在、3万2241人で、前年度と比べると144人多くなっています。

 100歳を迎える人には、お祝い状と銀メッキ製の「銀杯」が贈られます。

 老人福祉法が制定された1963年は100歳以上の人は153人でしたが、1998年に1万人を超え、2012年に5万人を突破しています。厚労省は昨年9月、100歳以上の人数を6万7824人と発表しましたが、一部自治体の集計に誤りがあったとして、6万7771人に訂正しました。

 2018年9月18日(火)

 

■飲酒運転事故の3割は朝から正午に発生 アルコールが抜けぬ二日酔い運転に注意を

 酒を飲んだ翌日、アルコールが残った状態で車を運転して事故を起こす人が、後を絶ちません。警視庁によると、飲酒事故の約3割は朝から昼にかけての時間帯に発生しており、「一晩寝たから大丈夫」と過信してハンドルを握っているケースも少なくないとみられます。

 人気アイドルグループ「モーニング娘。」元メンバーでタレントの吉沢ひとみ容疑者(33歳)が、9月6日午前7時ごろ、東京都中野区東中野2丁目の交差点で、酒気帯び状態で車を運転して赤信号を無視し、2人に軽傷を負わせたが、そのまま現場を離れた疑いがあるとして、警視庁中野署に逮捕されました。供述では、「前日に自宅で夫と午前0時ごろまで、缶酎ハイを3缶飲んだ」とのこと。

 呼気検査で1リットル当たりの基準値0・15ミリグラムの約4倍、0・58ミリグラムのアルコールを検出。捜査関係者は、「検出量が多いので直前まで飲んでいた疑いも否定できないが、前夜に大量に飲んでから就寝し、二日酔い状態だった可能性もある」と話しています。

 警視庁によると、東京都内で発生した飲酒運転事故は近年200件前後で推移し、午前6時~正午が約3割を占めます。「この時間帯の事故の多くは二日酔い運転とみられる」と捜査関係者は説明しています。

 厚生労働省によると、肝臓のアルコール分解能力は、個人差はあるものの成人の男性で1時間に9グラム、女性で6・5グラム程度。ビールを500ミリリットル(アルコール約20グラム)飲めば、完全に分解されるのに2~3時間かかります。

 全日本空輸の場合、航空機のパイロットについて搭乗前12時間以内の飲酒を禁止。飲酒量も「ビールは1リットル、日本酒は2合、焼酎は200ミリリットルまで」と制限しています。

 アルコールなどの依存症患者を支援するNPO法人「ASK」(東京都中央区)の今成知美代表は、「アルコールが完全に抜けるには時間がかかる。前夜ある程度の飲酒をしたら翌朝はまだ残っていると考えたほうがよい」と注意を促しています。

 多くの人は酒を飲んだすぐに運転するのが飲酒運転と思っているケースが多いようですが、体の中にアルコールが残っている二日酔い状態で運転するのも飲酒運転だと認識を改める必要ありそうです。

 2018年9月18日(火)

 

■国内最高齢115歳の田中カ子さん、敬老の日も元気に生活 「まだまだ勉強の身。長寿で世界一を目指す」

 敬老の日の17日、国内最高齢の115歳となる福岡市の田中カ子(かね)さんのもとを知事が訪ね、田中さんは「まだまだ勉強の身。長寿で世界一を目指す」と話しました。

 福岡市東区の老人ホームで暮らす国内最高齢の田中さんは明治36(1903)年1月2日に、9人きょうだいの7人目として生まれ、米穀店に嫁ぎました。115歳で迎えた敬老の日の17日は、福岡県の小川洋知事が田中さんのもとを訪れ、「日本一のご長寿おめでとうございます」と声を掛け、長寿を祝う表彰状を贈りました。

 田中さんは普段、買い物用の歩行器を押して老人ホーム内を歩き、一日3度の食事のほかにまんじゅう、チョコレートなどのおやつを欠かさず食べ、最近は炭酸飲料や缶コーヒーのカフェオレが好きだということです。

 ほかの入所者と毎日オセロ風ゲームを楽しんだり、足し算や割り算など算数の問題集を解いたり、習字をしたりなどして、健康の維持に努めているといいます。

 約10年前に大腸がんを患ったものの、その後の経過は良好。「みんなのお陰です」が口癖で、周囲への感謝を忘れず、「お母さん」と慕われています。田中さんは、「まだ死ぬ気がしません。せっかくここまで生きたから、まだどうもないです」と知事に話していました。

 福岡県によりますと現在、同県内の100歳以上の高齢者は3071人で、来年3月には4000人を上回る見通しです。

 2018年9月17日(月)

 

■青魚に含まれるオメガ3脂肪酸、不安を軽減 国立がん研究センター発表

 サンマやサバ、イワシなどの青魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸を摂取すると、患者の不安を和らげる効果があると国立がん研究センターなどの研究チームが発表しました。アメリカの医師会雑誌の関連誌に14日付で掲載されました。

 研究チームは、サプリなどでオメガ3脂肪酸を摂取した人と摂取しなかった人を比べた、日本を含む11カ国の19研究、不安症状を抱える計2240人ぶんのデータを分析しました。うつ病や心的外傷後ストレス障害、心筋梗塞(こうそく)などさまざまな患者を含んでいます。その結果、オメガ3脂肪酸を1日2グラム以上摂取した人は摂取しなかった人に比べて、不安症状が和らいでいました。

 オメガ3脂肪酸は、人間の体内でつくることができない必須脂肪酸の一つで、青魚に多いDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などに多く含まれています。2グラムはサンマ1・5匹ほどに相当するといいます。

 データを分析した国立がん研究センターの松岡豊・健康支援研究部長によると、不安を軽減する仕組みはわかっていないものの、マウスの研究ではオメガ3脂肪酸の比率が高い餌を習慣的に食べさせると、脳の恐怖をつかさどる部分の働きを抑えることが指摘されており、「今後、大規模な臨床試験などで詳しく調べ、患者が抱える不安を薬を使わずに和らげられるようにしたい」と話しています。

 2018年9月17日(月)

 

■モスバーガー、食中毒でさらに1店を営業停止 長野県茅野市

 諏訪保健所(長野県諏訪市)は16日、「モスバーガー茅野沖田店」(長野県茅野市)が食中毒の原因施設だったとして、18日まで3日間の営業停止処分にしたと発表しました。

 8月18日に同店の商品を食べた20歳代の男女2人が下痢や腹痛などの食中毒の症状を訴え、うち1人が入院。長野県環境保全研究所の検査で、2人の便から検出された腸管出血性大腸菌O121は同じ遺伝子型でした。2人は快方へ向かっているといいます。

 長野県内では、「モスバーガー アリオ上田店」(上田市)を8月20日に利用した長野、小諸両市などの10~20歳代の男女計4人が下痢や腹痛などの食中毒の症状を訴え、同店は3日間の営業停止処分を受けました。

 ハンバーガーチェーンを営むモスフードサービスによると、茅野沖田店やアリオ上田店を含む関東甲信地方8都県にある19店を8月10~23日に利用した計28人が腸管出血性大腸菌O121に感染。チェーン本部から各店に納めた食材が原因の可能性が高いとしています。

 モスフードサービスは、厚生労働省や自治体が調査中のため、他の店舗名の公表を「差し控えたい」としています。

 2018年9月17日(月)

 

■本気で自殺を考えた人の67%は1年後も同じ心境 日本財団調査

 2016年の調査時に「本気で自殺したいと考えている」と答えた人の67%が、1年後の2017年の調査でも同じ考えを抱き続けているとの調査結果を、公益・福祉事業を手掛ける公益財団法人「日本財団」が13日に公表しました。自殺未遂をした人の55%が繰り返していたとの調査結果も出たといいます。調査に携わった専門家は、継続的な支援体制の必要性を訴えています。

 日本財団は2016年8月、全国の20歳以上の男女を対象に自殺に関する意識調査をインターネット上で実施。得られた約4万人の回答を分析し、「25%が過去に本気で自殺を考えたことがある」と発表しました。今回は2017年7月、2016年調査の回答者に質問する「追跡調査」をインターネット上で行い、2万1142人の回答を分析しました。

 2016年調査で「1年以内に本気で自殺を考えた」と回答したのは3%。その中で2017年調査に応じた人の67%が、再び「1年以内に本気で自殺を考えた」と回答しました。同様に2016年調査で「1年以内に自殺未遂をした」とした人のうち、55%が今回も過去1年以内に自殺未遂をしたと答えたといいます。

 自殺念慮の原因を調査したところ、「家庭の問題・健康問題・経済的な問題」を抱えている人が19%で最多。「経済的な問題・仕事上の問題・健康問題」(8%)、「家庭の問題のみ」(7%)、「仕事上の問題、家庭の問題、健康問題」(5%)という結果でした。

 健康問題が自殺念慮につながっている人の多くは、心身に持病を抱えていました。また、家庭の問題を抱えている人の多くは、「離婚」「死別」が自殺念慮の原因になっていました。

 一方、この1年間で「自殺念慮がなくなった」と答えた人は、不和など家庭の問題が解消されているケースが多数でした。

 また、調査では、自殺や自殺未遂を防ぐには「地域社会との程よい関係性」「地域への愛着」が重要な役割を果たすことが判明しました。

 調査対象者と近隣住民との関係性を調べたところ、「あいさつ程度の付き合いがある」「日常的に立ち話をする」と答えた人は、自殺念慮が軽減されるケースが多くなりました。

 ただ、相談や日用品の貸し借りをするなど、「生活面で近隣住民に協力してもらっている」と答えた人には、自殺念慮を軽減する効果がみられないことがあり、日本財団は「親密すぎるよりも、適度な距離感があるほうが自殺念慮を抱かなくなる」と分析いsています。

 また、住んでいる地域への愛着を聞いたところ、「引っ越したい(住み続けたくない)」と答えた人よりも、「どちらかといえば住み続けたい」「住み続けたい」と答えた人のほうが自殺念慮が抑えられていることもわかりました。

 調査対象者がスポーツや趣味・娯楽活動に取り組んでいる場合は、「年に数回」「週1日程度」の頻度であれば自殺念慮が軽減される効果があったものの、「週に2~3日以上」と多い場合は逆に悪化させることもわかりました。

 睡眠時間については、働く女性は7時間、男性は8時間程度の睡眠が自殺念慮の軽減効果があるものの、それより長い場合と短い場合は逆効果であることもわかりました。

 調査の中心を担った世界平和研究所の高橋義明主任研究員は、「一度自殺を本気で考えると、その気持ちは簡単には消えない。一人一人の事情を踏まえた継続的な支援が求められる」と話しています。日本財団は、「本調査の実施を通して、自殺対策の必要性について社会の機運を醸成し、自殺対策を実施する自治体や民間団体が、施策や事業をより促進していくことを目指す」としています。

 2018年9月16日(日)

 

■イグ・ノーベル賞、日本人医師が受賞 自分自身で大腸内視鏡検査

 ノーベル賞のパロディーで、ユニークな研究に贈られる第28回「イグ・ノーベル賞」の授賞式がアメリカのハーバード大学で行われ、座った姿勢で自分で尻から内視鏡を入れ大腸の状態を調べる研究を行った長野県の医師が「医学教育賞」を受賞し、日本人の受賞は2007年から12年連続となりました。

 イグ・ノーベル賞は1991年にノーベル賞のパロディーとして、アメリカの科学誌「風変わりな研究の年報」が始めた賞で、ハーバード大学で13日、授賞式が行われました。

 このうち医学教育賞は、長野県駒ヶ根市の昭和伊南総合病院の消化器病センター長、堀内朗(あきら)医師が受賞しました。堀内医師は、座った姿勢で自分自身で尻から内視鏡を入れて大腸の状態を診ることが可能か調べ、個人的な経験としては簡単に効率的にできたと論文にまとめました。

 授賞式では、白衣姿の堀内医師が実際にどのように内視鏡を入れるか身ぶりで示しながら、「左手で動かして右手で入れる」などと説明すると、会場は大きな笑いに包まれました。

 堀内医師は、内視鏡の検診が楽になる方法を試行錯誤する中、研究を行ったということで、少量の麻酔を使うことで、不快感が少なく手軽な大腸内視鏡検査法を2006年に実現。この手法は全国の医療機関から注目され、「駒ヶ根方式」と呼ばれているといいます。

 受賞スピーチで堀内医師は、「受賞に戸惑っていますが、これを切っ掛けに多くの人が検診を受け、大腸がんで亡くなる人が減ってほしいと思います。内視鏡検査を受けてくださいね」と話していました。

 観客の男性は、「自分で内視鏡検査をするのは面白そうですが、私なら医師にやってもらうのを選ぶでしょうね」などと話していました。 イグ・ノーベル賞の主催者のマーク・エイブラハムズさんは、「多くの医師が堀内さんから学ぶことになると思います。日本の研究者は豊かな想像力があり、突飛で、素晴らしいと思います」と述べました。

 その上で、「誰もわかっていないことを理解しようとするのが本当の研究で、それによって利益が上がるかどうかは関係ありません。自分の研究に没頭できる研究者がいることは希望になると思います」と話していました。 今年のイグ・ノーベル賞は、世界で最も名誉ある賞とされる本物のノーベル賞と同様、合わせて10の分野で、まず人々を笑わせ、それから考えさせるような個性的な研究を行った研究者が受賞しました。

 このうち「医学賞」は、ジェットコースターに乗ることで腎臓にできた結石を早く排出できるかどうか調べたアメリカの研究者2人が受賞しました。「栄養学賞」は、人肉は他のほとんどの肉よりも著しく低カロリーであることを突き止めたイギリスとタンザニア、ジンバブエの研究チームに贈られました。

 また、「人類学賞」は動物園にいるチンパンジーが、見学に訪れた人がチンパンジーのものまねをするのと同じくらいの頻度で、人間のものまねをしていると突き止めたスウェーデンやルーマニア、インドネシアなどの研究チームが受賞し、「化学賞」は絵画などの表面についた汚れを唾液を塗って、きれいにできるか調べたポルトガルの研究チームが受賞しています。

 人間の日常の行動をユニークな視点で分析した研究も受賞しており、複雑な製品を使う人のほとんどは取扱説明書を読まないことを証明したオーストラリアやセルビアなどの研究チームが「文学賞」、車を運転している時に叫んだり、悪態をついたりすることの頻度や効果などを調べたスペインとコロンビアの研究者が「平和賞」を受賞しました。

 2018年9月16日(日)

 

■今年のがん患者、101万人と予測 国立がん研究センター

 国立がん研究センターは15日、2018年に新たにがんと診断される患者は前年比400人減の約101万3600人との予測を発表しました。

 ピロリ菌感染率や喫煙率の低下を背景に、患者数の横ばい傾向がみられるといいます。

 国立がん研究センターによると、予測患者数は高齢化などにより2016年に100万人を超え、高い水準で推移しているものの、大幅な増加はみられなくなっています。

 胃がんの危険性を高めるピロリ菌の感染率が世代が若くなるほど下がり、胃がん患者が減っていることや、男性の喫煙率が下がり、がん全体が減っていることが背景にあります。女性のがんも増加傾向が緩やかになってきました。

 患者数は男性57万4800人、女性43万8700人。部位別では、大腸がんの15万2100人、胃がんの12万8700人、肺がんの12万5100人、女性乳房がんの8万6500人の順に多くなりました。

 さらに、今年のがんによる死亡者数は、男性が22万3000人、女性が15万7000人の合わせて37万9900人と予測され、昨年の予測に比べ、約2000人増加するとしています。

 国立がん研究センターがん統計・総合解析研究部の片野田耕太部長は、「喫煙率の低下などによる肺がん患者などの減少と高齢化による患者の増加とが相殺され、患者数はしばらく横ばいが続くだろう。がん検診の徹底などできることはまだ多く、国や自治体は対策や評価に役立ててほしい」と話しています。

 国立がん研究センターはまた、2014年に全国でがんと診断された患者は86万7408人で、過去最多を更新したと発表しました。前年推計から約5000人増え、部位別では大腸がんが胃がんを上回って2年ぶりに最多となりました。日本人に多い胃がんは2年連続で患者数が減り、戦後の衛生状態の改善により原因となるピロリ菌の保有者が減った影響と考えられます。

 例年のがん患者数は、精度の高い、複数の県のデータを基に全国値を推計していましたが、全国で精度が上がり、初めて実際の値を公表しました。

 新規患者数の内訳は、男性50万1527人、女性36万5881人。部位別では、男性は胃がん、肺がん、大腸がん、前立腺がん、肝臓がんで全体の68・0%、女性は乳房がん、大腸がん、胃がん、肺がん、子宮がんで64・1%を占めました。近年は特に、男性の前立腺がんや大腸がん、女性の乳房がんや大腸がんの増加が目立ちます。

 片野田部長は、「細菌やウイルス感染が原因になる胃や肝臓のがんが減少傾向にある一方、大腸がんは増えている。生活習慣の影響が大きいのではないか」と話しています。

 一方、人口10万人当たりの患者数(罹患(りかん)率)は、354・6人(男性429・4人、女性300・7人)。都道府県別でみると、最多の富山県と最少の千葉県で約140人の差があります。ただし、データの精度や検診の普及の度合いに左右されるため、罹患率の高い地域の住人ががんになりやすいとはいえないといいます。

 2016年のがんによる死亡者数も発表され、男性が21万9785人、女性が15万3201人の合わせて37万2986人で過去最多でした。部位別では、肺がん、大腸がん、胃がん、膵臓(すいぞう)がん、肝臓がんの順に多くなりました。

 2018年9月15日(土)

 

■モスバーガーで食中毒 関東など8都県28人が症状訴える

 ハンバーガーチェーン「モスバーガー」の関東地方などの19の店舗を8月に利用した客28人が、食中毒の症状を訴えていたことがわかりました。モスバーガーの運営会社では、「チェーン本部から納入した食材が原因となった可能性が極めて高い」として謝罪しています。

 モスバーガーでは、長野県上田市にある「モスバーガー アリオ上田店」を8月20日に利用した長野、小諸両市などの10~20歳代の男女計4人が腹痛や下痢などの食中毒の症状を訴え、保健所は9月10日、腸管出血性大腸菌O121による食中毒と断定し、3日間の営業停止処分としました。

 厚生労働省によりますと、このケースを含め、8月10日から23日にかけてモスバーガーの19の店舗を利用した客合わせて28人が同じ症状を訴えて、医療機関を受診していました。

 このうち9つの店舗を利用した12人から検出した腸管出血性大腸菌O121の遺伝子の型が一致したということです。

 入院した患者もいましたが、いずれも重症ではなく、快方に向かっているということです。

 モスバーガーを運営する「モスフードサービス」によりますと、食中毒の症状を訴えた患者が利用していたのは栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県、長野県の8つの都県の店舗だということです。

 モスフードサービスは、「発症されたお客様とご家族の方々には、多大なる苦痛とご迷惑をお掛けしましたことを心よりおわび申し上げます。考えられるすべての要因に対して対策を講じ、再発防止に取り組んでまいります」などとするコメントを発表しました。

 再発防止策として、肉と野菜について店舗への納入前の検査項目に、新たに腸管出血性大腸菌O121などを追加することを決めたということです。

 2018年9月15日(土)

 

■胃がんによる死者数、5年連続で減少傾向が続く ピロリ菌除菌治療の普及も一因に

 肺がん、大腸がんと並ぶ日本人の3大がんである胃がんによる死者数の減少傾向が5年連続で続き、医療関係者からは「画期的だ」という声も上がっています。胃がんの原因となる菌の除菌治療が、保険適用で普及したことが一因とみられます。胃がんのリスクを見極める検査を導入する自治体も増えており、減少傾向がさらに続くことが期待されています。

 胃がんは日本人最多のがんで、国立がん研究センターの2013年の統計によると、年間に新たに胃がんと診断された患者数は13万1893人。大腸がんの13万1389人、肺がんの11万1837人を上回っています。

 しかし、国立がん研究センターの2016年の統計によると、胃がんによる年間の死者数は4万5531人。これは、大腸がんの5万99人、肺がんの7万3838人より少なくなっています。

 一貫して死者数の増加傾向が続く大腸がんや2016年に初めて減少に転じた肺がんに対し、胃がんは1973年に初めて5万人超えて以降、40年間ほぼ5万人弱で推移してきたものが、2011年以降は減り続け、2016年までの5年でおよそ1割減となりました。

 この胃がんの死者数の減少傾向について、胃の粘膜に生息するピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)研究の第一人者でもある北海道医療大学の浅香正博(あさか・まさひろ)学長は、「画期的です。保険適用の拡大で、ピロリ菌除菌治療を受ける人が増えた成果と思われる」と話しています。

 胃がんについては、世界保健機関(WHO)の専門組織「国際がん研究機関(IARC)」が2014年、「胃がん対策はピロリ菌除菌治療を中心とすべき」とする報告書をまとめています。IARCによると、胃がんの8割はピロリ菌感染が原因で、除菌によって発症は3~4割減ります。

 日本は2013年2月、それまでの胃・十二指腸潰瘍に加え、慢性胃炎にもピロリ菌除菌治療の保険適用を拡大。その結果、除菌治療を受ける人が増えました。除菌が必要か調べる際の内視鏡検査で早期胃がんが発見される頻度が増す効果もあり、相乗効果的に死者数の減少につながったというのが、浅香学長の見解です。

 もっとも、厚生労働省がん疾病対策課は、死者数ではなく「年齢構成を補正した年齢調整死亡率」を基準とした上で、「胃がんの死亡率は50年前から減少している。検診の普及や治療技術の進歩、ピロリ菌感染者の減少などさまざまな理由が考えられる」とし、除菌治療の成果とする考えには否定的です。

 厚労省のがん検診の指針では、胃がん対策として50歳以上に2年に1回のバリウムか内視鏡の検査を推奨している一方、ピロリ菌検査は推奨していません。

 それでも、ピロリ菌検査の導入は、自治体や企業で独自に進んでいます。中でも、血液検査でピロリ菌感染と胃粘膜委縮の有無を調べ、胃がん発症の危険度合いを調べる「胃がんリスク層別化検査(胃がんリスク検診)」を導入する自治体は2017年度で277を数え、全自治体の16%に上ります。

 NPO法人「日本胃がん予知・診断・治療研究機構」事務局長の笹島雅彦医師は、「リスク検診で高リスクに分類された人が確実に内視鏡による検診を受ける。これが、胃がんの早期発見・治療につながり、さらなる胃がんの死者減が期待できる」と話しています。

 すでに2008年度からリスク検診を導入している東京都目黒区では、2017年度までに約4万6000人が受け、10年間で100人に胃がんが見付かりました。目黒区健康推進課は「導入前の検診による発見は年1~2人だったが、導入後は平均年10人。7割が早期がんで、早期治療につながった」と評価しています。

 北海道医療大学では4月から学生にピロリ菌検査を義務付け、感染者には同意を得た上で内視鏡検査とピロリ菌除菌治療を実施。検査と治療にかかる費用は大学が負担しています。来年4月からは職員のバリウム検診を廃止し、リスク検診に切り替える予定です。

 浅香学長は、「胃がんで命を落とすのは“もったいない”時代に入った。ピロリ菌感染の有無が不明の人はぜひ一度検査を受け、感染がわかったら除菌治療や定期的な内視鏡検査を受けてほしい」と呼び掛けています。

 2018年9月14日(金)

 

■飲食店で受動喫煙、4割が経験 厚労省調査

 飲食店で普段たばこを吸わない人の4割が受動喫煙を経験したことが、厚生労働省が11日に発表した昨年の国民健康・栄養調査で明らかになりました。東京オリンピック・パラリンピックを控え、受動喫煙防止が十分に進まない実態が改めて浮かび上がりました。

 調査は昨年11月、全国の保健所を通じて行われ、喫煙など生活習慣に関する質問は、20歳以上の約6600人から回答を得ました。

 非喫煙者のうち、1カ月以内に飲食店にゆき、他人のたばこの煙を吸ったと答えたのは42%でした。パチンコ店など遊技場に出掛けて受動喫煙を経験したのは37%。同様に路上32%、職場30%、公共交通機関13%、医療機関7%でした。こうした割合は、ここ数年、ほぼ横ばいで推移しています。

 喫煙者の比率は減少が続き、男性は29・4%と初めて30%を切りました。女性は7・2%で、男女を合わせた比率は17・7%と、いずれも調査を始めた1986年以来、最低を更新しました。

 7月に健康増進法が改正され、学校や病院などの屋内は全面禁煙になります。しかし、客席の面積100平方メートル以下の小規模な飲食店などは、例外として喫煙が認められます。国際的な水準と比べると、日本の規制は不十分と指摘されています。

 2018年9月13日(木)

 

■体外受精で18人に1人誕生 2016年、5万4110人で最多更新

 日本産科婦人科学会は12日、2016年に国内で行われた体外受精によって5万4110人の子供が生まれたとの調査結果をまとめました。2015年に比べて3109人増え、過去最多を更新しました。

 厚生労働省の統計では2016年の総出生数は97万6978人で、18人に1人が体外受精で生まれた計算になります。

 晩婚化を背景に不妊に悩む夫婦が増える中、費用の一部を公費助成する制度が知られるようになり、治療を受ける人が増加したとみられます。国は比較的成功率が高いとされる42歳までの女性を対象に公費助成しています。

 体外受精は取り出した精子と卵子を体外で受精させて子宮に戻す不妊治療。卵子に針を刺して精子を注入する方法や受精卵を凍結保存する技術が開発されるなど、進歩してきました。特に凍結保存は妊娠時期を調整できることから利用者が多く、2016年の体外受精で生まれた子供の8割を超える4万4678人がこの方法でした。

 日本産科婦人科学会によると、2016年は過去最多の44万7790件の体外受精が行われ、妊娠後に5万4110人の子供が生まれました。体外受精で生まれる子供の割合は、2000年には97人に1人でしたが、十数年間で急速に増えたことになります。

 東北大学で国内で初めて体外受精児が誕生した1983年以降、累計で53万6737人となり、50万人を突破しました。

 調査にかかわった埼玉医科大学の石原理教授(産婦人科)は、「体外受精で生まれる子供の割合が増えているのは、晩婚化と出産年齢の高齢化が背景にあるが、それだけでは説明ができなくなってきた。経済的支援の体制が少しずつ整ってきて、体外受精をすることが、金銭的問題でこれまで受けられなかった若い世代にまで広がったのではないか。また分母となる出生数が減っているのも原因となっている可能性がある」と話しています。

 2018年9月13日(木)

 

■国立がん研究センター、がんの3年生存率を初公表 膵臓15%、前立腺99%

 国立がん研究センターは11日、2011年に全国のがん診療連携拠点病院でがんと診断された患者の3年後の生存率は、がん全体で71・3%だったと発表しました。3年生存率をまとめるのは初めて。継続的に分析することで、新しい薬や治療の効果を早く把握できるようになり、がん対策に活用できるとしています。

 早期発見が難しい膵臓(すいぞう)がんの3年生存率が15・1%にとどまるなど、5年生存率が低いがんは3年でも低い傾向がみられ、新たな治療法開発など、難治性がん対策の必要性が改めて浮き彫りになった。高齢がん患者では、持病などがん以外の病気で死亡する例が多いと考えられることも判明しました。

 拠点病院のうち268施設の患者約30万6000人を分析。主要な11種類のがんについて、がん以外の死亡の影響を取り除いた「相対生存率」を算出しました。治療成績を評価する指標として国立がん研究センターはこれまでに5年や10年生存率を発表していますが、3年生存率は短期間で集計できる利点があります。

 種類別では、肺がんが49・4%、食道がんが52・0%、肝臓がんが53・6%と比較的低い結果になった一方で、前立腺がんは99・0%、乳がんは95・2%、子宮体がんは85・5%と比較的高い結果になりました。

 これとは別に、2008年から2009年に診断されたがん患者の5年生存率も、全国230の病院名とともにステージ(病期)別に初めて公表。全体の生存率は65・8%で、2008年単独集計の65・2%と比べるとほぼ横ばいでした。

 2018年9月12日(水)

 

■がん5年生存率、ステージ別に初公表 国立がん研究センター

 全国のがんの拠点病院などで治療が行われたがん患者を各がんのステージ(病期)別に5年生存率を集計し、国立がん研究センターが初めて公表しました。国立がん研究センターでは、患者側が病院を選ぶ際の参考材料の1つになるのではないかとしています。

 国立がん研究センターでは2008年から2009年までの2年間にがんの拠点病院など全国251の医療機関で治療した約50万人のがん患者のデータを集計し、大腸、胃、肺、乳房、肝臓の各がんの進行度合いを示すステージ別に、診断から5年後に生きている人の割合を示した5年生存率を初めて公表しました。

 すべてのがんでの5年生存率は65・8%。このうち、国立がん研究センター中央病院が治療した胃がんの患者では、最も早期に当たるステージ1で91・8%、ステージ2で71・5%、ステージ3で64・6%、ステージ4で14・5%などとなっています。肺がんの患者では、ステージ1で85・5%、ステージ4で10・3%、全体で60・6%。一方、がん研有明病院が治療した肺がんの患者では、ステージ1で84・2%、ステージ4で4・5%、全体で52・2%となっています。

 こうしたデータは公表を見送った病院を除く全国230の医療機関について、国立がん研究センターのホームページで見ることができます。

 国立がん研究センターは生存率の単純な比較はできないとしていますが、公表データには医療機関ごとに症例数や患者の年代、手術の有無など生存率に影響する患者の背景などが詳しく示されており、患者が主治医と相談して病院を選ぶ際に参考材料の1つになるのではないかとしています。

 集計を行った国立がん研究センターの東尚弘・がん登録センター長は、「こうしたデータで患者側が病院の特徴を知り選ぶ参考にするとともに、病院側が改善する努力にもつなげてほしい」と話しています。 一般に、各医療機関の5年生存率は治療成績を測る指標とされています。

 今回公表された東京都内の11の医療機関のデータを例にみてみると、胃がんのステージ3では生存率が最も低いところは11・7%で、最も高いところの40・4%と比べると30%近い差がありました。大腸がんのステージ3でも最も低いところは41・0%で、最も高いところの85・7%とは約40%の差がありました。

 ただし、国立がん研究センターは今回公表した5年生存率について、医療機関の間で単純な比較はできないとしています。その理由として、ステージ別にみると症例数が少なくなり、精度が低い数字が含まれていることを挙げています。

 さらに、同じステージでも比較的難しい症例やがん以外の合併症のある患者、それに高齢の患者などそもそも治療が難しいケースでも受け入れて治療をする医療機関は5年生存率が低くなる傾向になります。一方で、若い患者が多く、手術を妨げる要因が少ない患者を増やせば5年生存率も高くなり、治療成績が高い医療機関のようにみえます。

 集計を行った国立がん研究センターでは、5年生存率のデータ以外にも症例数や年齢、それに医療機関側のコメントなどを含め総合的に判断することが重要だとしています。

 2018年9月12日(水)

 

■1日の平均睡眠時間、40歳代の半数が6時間未満 厚労省の国民健康・栄養調査

 日本人の40歳代の約半数が1日の平均睡眠時間が6時間未満であることが、厚生労働省が11日に公表した2017年の「国民健康・栄養調査」でわかりました。

 厚労省は、睡眠不足になると精神的な病気や高血圧などにつながる恐れがあるとして、注意を呼び掛けています。

 厚労省は昨年11月、全国の20歳以上の男女約6500人を対象に睡眠時間などの生活習慣について調査しました。

 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、全体で男性が35・0%、女性が33・4%でした。1日の平均睡眠時間が6時間未満(5時間以上6時間未満と5時間未満の合計)だった人は、全体で男性が36・1%、女性が42・1%に上りました。中でも40歳代が最も多く、男性が48・5%、女性は52・4%と約半数に上りました。

 また、平均の睡眠時間が5時間未満という人は、全体では男性が7・5%、女性が9・2%で、40歳代では男性が11・3%、女性は10・6%でした。仕事や家事の負担が、睡眠不足の主な原因とみられています。

 さらに、直近の1カ月間に睡眠で休養が十分に取れたか尋ねたところ、「あまり取れていない」や「全く取れていない」と答えた人は、全体では20・2%に上り、40歳代男女では30・9%に達しました。続いて、50歳代男女では28・4%、30歳代男女では27・6%でした。

 休養が十分に取れていないと答える人の割合は、2009年の調査以降、徐々に増えており、厚労省は「睡眠不足になると精神的な病気や肥満、それに高血圧などにつながる恐れがあり、働く時間を短くしたり、家事を家族で分担したりして適切な睡眠時間を確保してほしい」と呼び掛けています。

 同時に、日本人の栄養素等摂取量の状況について尋ねたところ、1日当たりのカロリー摂取量は、60歳代が男女とも最も多く、男性が2218kcal、女性が1794kcalでした。エネルギー摂取量に占める脂質摂取量の割合(脂肪エネルギー比率)は、年齢が高いほど低 く、炭水化物摂取量の割合(炭水化物エネルギー比率)は、年齢が高いほど高い傾向にありました。たんぱく質の食品群別摂取構成は、年齢が高いほど肉類からの摂取割合が低く、魚介類からの摂取割合は高い傾向にありました。また、炭水化物の食品群別摂取構成は、すべての年齢階級で穀類からの摂取割合が最も高いものの、その割合は年齢が高いほど低い傾向にありました。

 厚労省は、「今の60歳代は元々食事をよく取っていた世代で、若い世代はカロリー摂取の低い傾向が続いている」と分析しています。

 2018年9月12日(水)

 

■習慣的な喫煙者、男性で初めて3割下回る 厚労省調査

 たばこを習慣的に吸っている人の割合は昨年、男性が29%と初めて3割を下回ったことが、2017年の国民健康・栄養調査でわかりました。厚生労働省は、たばこによる健康被害が広く知られたほか、受動喫煙対策が進んでいることも要因ではないかと分析しています。

 厚労省は昨年11月、全国の20歳以上の男女約6500人を対象に喫煙の状況などについて調査しました。

 厚労省は合計100本以上か6カ月間以上たばこを吸った経験があり、直近の1カ月間に毎日または時々たばこを吸っている人を「習慣的な喫煙者」と定義。その割合(喫煙率)は男性が29・4%となり、調査を始めた1986年以降で初めて3割を下回りました。

 一方、女性は7・2%で男女を合わせた喫煙率は17・7%と、こちらも最も少なくなりました。

 喫煙率は10年間で男性が10ポイント、女性は3・8ポイント、全体では6・4ポイント低下しています。

 さらに、たばこを吸っている人のうち、喫煙をやめたいと思っている人は男性が26・1%、女性は39%に上っています。

 喫煙率が低下したことについて厚労省は、「たばこによる健康被害が広く知られるようになったほか、受動喫煙対策が進み、喫煙できる場所が減っていることなども要因ではないか」と分析しています。

 厚労省は4年後までに喫煙率を今の17・7%から12%まで引き下げる目標を掲げており、たばこをやめたい人には禁煙外来の受診を呼び掛ける取り組みなどを進めています。

 2018年9月11日(火)

 

■回転寿司「魚屋路」で食中毒が相次ぐ 全24店舗の営業を自粛

 外食チェーン大手の「すかいらーくグループ」が展開する回転寿司「魚屋路(ととやみち)」で食中毒が相次いで発生し、東京都や埼玉県などにある24の全店舗で営業自粛を行いました。

 埼玉県によりますと、8月31日から9月2日にかけて、三郷市と所沢市にある回転寿司「魚屋路」の店舗で、持ち帰り用の寿司を購入した10歳代から70歳代の男女11人が、下痢や嘔吐などの症状を訴えました。症状を訴えた11人は、いずれも快方に向かっているということです。

 保健所が検査したところ、症状を訴えた3人と店舗にあった商品の生ウニから、感染すると下痢や嘔吐を引き起こす「腸炎ビブリオ菌」が検出され、保健所は食中毒と判断したということです。埼玉県は食中毒が発生した2つの店舗を、10日から12日までの3日間、営業停止処分としました。

 また、横浜市にある「魚屋路」2店舗でも8月31日から9月2日にかけて、宅配商品や持ち帰り商品で提供された寿司を食べた28人が下痢や嘔吐の症状を訴え、保健所の指導による社内検査で生ウニから腸炎ビブリオ菌が検出されました。2店舗は4日から営業を自粛し、保健所から7日までに営業停止処分を受けました。

 店舗を運営する「すかいらーく」は他の店舗にも被害が出ている恐れがあるとして、東京都、神奈川県、埼玉県、山梨県の4都県で展開する「魚屋路」の全24店舗で、10日から営業を自粛しました。

 「すかいらーく」は、「発生原因の特定に取り組むとともに、店の衛生管理を徹底し、食品の安全・安心に取り組んでまいります」とコメントしています。

 2018年9月11日(火)

 

■風疹患者75人増、今年に入り全国で362人に すでに昨年の4

 国立感染症研究所は11日、今年の風疹の患者数が9月2日までの集計で362人になったと発表しました。すでに昨年1年間の約4倍に上り、大規模な流行があった2013年の後の5年間で最多となりました。

 東京都や千葉県など関東の患者数が7割を超えますが、愛知県や広島県などでも増えており、全国に飛び火しています。

 9月2日までの1週間の患者数は75人。報告数の多かった都道府県から順に、東京都28人、千葉県11人、神奈川県8人、愛知県7人、茨城県と埼玉県がそれぞれ5人。前週の患者数の97人からは減少した一方で、東京都や愛知県など患者数が増えているところもあります。累計患者数でみると、東京都111人、千葉県95人、神奈川県33人、埼玉県23人、愛知県16人、広島県13人など。

 風疹は、患者のせきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)を吸い込むことで感染し、14~21日(平均16~18日)の潜伏期間を経て、発熱、発疹、耳の下から首にかけてのリンパのはれなどが現れます。一度感染すると、大部分の人は生涯風疹にかかることはありません。ほとんどは数日で回復するため、「三日ばしか」と呼ばれることもあります。

 しかし、妊娠中の女性が風疹にかかると胎児に感染し、先天性風疹症候群と呼ばれる障害を引き起こすことがあります。厚生労働省によると、風疹に対する免疫が不十分な妊娠20週ごろまでの女性が感染すると、先天性風疹症候群の子供が生まれる確率は、妊娠1カ月でかかった場合は50%以上、妊娠2カ月の場合は35%など、高い確率で影響を及ぼす可能性があります。

 近年では、2013年に患者数が1万4000人を超える流行があり、この流行に関連して、先天性風疹症候群の患者45人が報告されました。

 予防には、ワクチン接種が最も有効。主には麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)の接種で95%以上の人が免疫を獲得できるとされ、時間の経過とともに免疫が低下してきた人には、追加のワクチンを接種することで免疫を増強させる効果があります。

 ただし、妊娠中は接種を受けられません。妊婦への感染を防止するためには、家族など周りの人が予防することで妊婦を感染から守る必要があります。また、接種後2カ月間は避妊する必要があります。

 2018年9月11日(火)

 

■新規の結核患者、7割の1万2000人が60歳以上 厚労省が検査を呼び掛け

 結核に感染する高齢者が多いとして厚生労働省は、通所介護施設(デイサービスセンター)などの高齢者施設に、結核の検査を利用者に呼び掛ける通知を出しました。早期発見をして感染拡大の防止を図ります。

 昨2017年の新規患者全体の約7割の1万1937人が60歳以上で、このうち90歳以上は1900人を超し、過去最多を更新しました。

 厚労省によると、全体の患者数は減少傾向で、2017年新たに登録された結核患者は前年比836人減の1万6789人。結核罹患(りかん)率(人口10万人対)は13・3となり、前年と比べ0・6ポイント低下しました。日本の罹患率は近隣アジア諸国に比べて低い水準で、先進国の水準に年々近付いています。

 ただし、高齢者の罹患率は高く、年代別患者数は80歳代が4822人(29%)と最多。70歳代3187人(19%)、60歳代2024人(12%)、90歳以上1904人(11%)と続きます。

 結核は、結核菌がせきやくしゃみで空気感染し、主に肺で増えて発病します。約1~2割は2年以内に発病しますが、抑え込まれた結核菌は肺の中で、「冬眠状態」に入るといいます。高齢の患者は、戦後の結核が多かった時代に感染して発症しなかった人が、加齢などで免疫力が低下し、発症するケースが多くなっています。

 森亨(とおる)・結核予防会結核研究所名誉所長は、「高齢の方は結核発病のリスクが高い。気付かないうちに子供や若者への感染源にもなるので、検査を受けてほしい」と話しています。

 2018年9月10日(月)

 

■岐阜市の豚コレラ、すべての豚の殺処分完了 感染拡大確認されず

 岐阜市の養豚場で国内では1992年以来となる家畜伝染病の豚コレラの発生が確認された問題で、岐阜県は10日朝までにこの養豚場のすべての豚の殺処分を終えました。岐阜県によりますと、今のところ感染の拡大は確認されていないということです。

 岐阜市の養豚場で9月3日から8日にかけて、約80頭の豚が死んでいるのが見付かり、検査の結果、国内では熊本県で1992年に5頭への感染が確認されて以降、確認されていなかった豚コレラウイルスの陽性反応が出ました。

 岐阜県は9日朝から、この養豚場で豚の殺処分を続けてきましたが、10日朝までに処分を終えたということです。

 また、岐阜県内のほかの養豚施設で飼育されている豚に異常がないか聞き取り調査を行ったところ、51あるすべての施設が「異常は確認されていない」と回答したということです。

 岐阜県は引き続き、養豚場から半径10キロ以内を「搬出制限区域」に指定し、5カ所で、畜産関係の施設に出入りする車の消毒作業を行うとともに、殺処分した豚を敷地内に埋める作業や養豚場の消毒作業を進めることにしています。

 2018年9月10日(月)

 

■岐阜市の養豚場で豚コレラ、610頭処分へ 国内26年ぶり、農水省が輸出停止

 岐阜県は9日、岐阜市の養豚場で死んだ豚を検査し、豚コレラのウイルスが検出されたと発表しました。国内での感染確認は1992年以来、26年ぶり。

 豚やイノシシ特有の病気で人には感染せず、感染した豚の肉を食べても影響はありません。養豚場内の他の豚の殺処分を進めます。農林水産省は豚肉の輸出を停止しました。

 豚コレラはアジアを中心に発生していますが、国内での発生は熊本県で1992年に5頭への感染が確認されて以来。農水省のホームページによると、国内では2007年に「清浄化」を達成したとされます。今回の感染ルートはわかっておらず、岐阜県が調べます。野生のイノシシや飼料が原因の可能性があるといいます。

 農水省は防疫対策本部の会議を開き、対応を協議。斎藤健農水相は「まん延防止には初動対応が大事だ」と述べ、封じ込めに取り組む考えを示しました。輸出停止は、発生の確認で日本が豚コレラの清浄国ではなくなったため。再び清浄国になるには少なくとも3カ月かかる見込みで、輸出相手国が了承した場合は輸出できる可能性があるといいます。

 岐阜県によると、養豚場では3日に1頭が急死。県の中央家畜保健衛生所の簡易検査では感染が確認できなかったものの、国の機関の農研機構動物衛生研究部門の精密検査で9日早朝、感染が判明したといいます。

 すでに養豚場内では4~8日に、約80頭が相次いで死にました。残る610頭は殺処分を進め、12日までに埋却や場内の消毒を終える見通し。現場の養豚場には9日朝、白い防護服やマスク、ゴーグル姿の県職員が到着。ショベルカーで敷地内の空き地に埋却用の穴を掘るなど防疫作業を進めました。

 また、岐阜県は、この養豚場から半径10キロ以内を「搬出制限区域」に指定し、区域内にある岐阜市や各務原市の別の3カ所の養豚場に対して豚の出荷や移動を禁止するよう指示するとともに、周辺に感染が広がっていないか調べています。

 豚コレラは家畜伝染病に指定され、発熱や食欲減退、歩行困難などの症状が現れます。感染力が強く、高い致死率が特徴で、多くの場合、数日のうちに死ぬということです。

 一方、8月にアジアで初めて中国で感染が確認され、国内でも警戒を強めている「アフリカ豚コレラ」は、豚コレラと症状が似ているもののウイルスの形が違う別の伝染病で、今回はこのアフリカ豚コレラではないことを確認しているということです。

 2018年9月9日(日)

 

 

■韓国で3年ぶり、MERS感染者を確認 中東出張帰りの男性

 韓国で中東・クウェートへの出張から戻った男性が、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに感染していることがわかりました。男性は現在、隔離病棟に入院し、治療を受けています。

 韓国保健福祉省の疾病管理本部によると、MERSの感染が確認されたのはソウルに住む61歳の男性。男性は8月16日からクウェートに出張し、9月7日に韓国に戻りましたが、下痢や発熱などの症状があるため検査を受けたところ、感染が確認されたといいます。

 8日現在は、ソウル大病院の隔離病棟で治療を受けています。

 また、疾病管理本部は、航空機の乗員や病院のスタッフなど、男性と接触して感染の恐れのある20人について、2週間の自宅隔離の措置をとるなど対策を進めています。

 MERSは2012年以降、主に中東地域で広く発生している感染症。発熱やせき、呼吸困難などを起こし、重症化することもあります。韓国では2015年5月に初のMERS感染者が確認され、患者が治療を受けた医療施設で医師や入院患者に感染が広がるなどして、38人が死亡しています。同年12月に終息が宣言されて以降、新たな感染者は約3年ぶり

 MERS感染者が約3年ぶりに確認されたことを受け、韓国政府は9日、緊急関係閣僚会議を開き、対応を協議しました。

 会議を主宰した李洛淵首相は、「(感染拡大で)38人が死亡した2015年の失敗を反面教師とし、迅速かつ透明性ある形で対処していく」と強調しました。

 2018年9月9日(日)

 

■原因不明の不妊症、内膜炎が影響の可能性も 治療後に妊娠率向上

 子宮の内側の粘膜に炎症が続く慢性子宮内膜炎(内膜炎)の女性について、抗菌薬での治療によって妊娠率が向上することが、東京大学などの調査でわかりました。内膜炎の女性の妊娠率や出産率は、内膜炎がない女性より大幅に低いことも判明しました。原因不明の不妊の一部には内膜炎が影響している可能性があり、治療の可能性が開けてきました。

 東京大学医学部付属病院の着床外来を2006年6月~2008年7月に受診した女性128人のうち80人(約63%)に内膜炎がありましたが、抗菌薬を2週間服用する治療で9割は治りました。よくなった後の状況が把握できている49人中29人(59%)が妊娠しました。これは同病院の着床外来の患者で、内膜炎のない女性の妊娠率44%より高くなりました。同様の結果は、国内外の他の病院からも報告されています。

 着床外来の患者は、他の不妊クリニックで問題の在りかが判明しなかった女性が多いといいます。東大の広田泰講師(女性診療科・産科)は、「内膜炎は自覚症状がほとんどなく、原因不明の不妊症の多くは内膜炎が原因の可能性がある」と指摘し、不妊原因が不明の場合、専門外来での内膜炎の検査を勧めています。

 内膜炎と不妊を巡っては、滋賀医科大学の医師が、同大付属病院の母子・女性診療科を2014~2016年に受診した不妊症の女性114人の体外受精の結果を比べました。内膜炎のない女性の妊娠率が7割弱に対し、内膜炎がある女性は3割強でした。出産率も、ない女性が4割強、ある女性が1割強で、約3倍の差がありました。不妊症患者の42%が、内膜炎の女性でした。

 滋賀医科大学の木村文則准教授(産婦人科)は、「内膜炎があると体外受精した受精卵に問題がないのになかなか着床しなかったり、流産したりしてしまうことが多い」と説明しています。

 ただし、内膜炎の多くは症状に乏しいことが特徴で、わからないことも多々あります。抗菌薬での治療にはまれに、皮膚や肝臓などに障害が起きる副作用もあります。木村准教授は、「現時点では抗菌薬が最も有効な治療だと考えられるが、使う抗菌薬の種類や期間はさらに検討が必要だ。治らない人もおり、安易に抗菌薬治療をするべきではない」と話しています。

 2018年9月8日(土

 

■入院患者の3割、自宅からの通院を希望 増加傾向続く、厚労省調査

 医療機関に入院する患者の約3割が自宅からの通院を希望していることが4日、厚生労働省の2017年受療行動調査で明らかになりました。国は地域一体で医療や介護を切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」を推進しており、通院や在宅医療を望む人は増加傾向にあります。一方、実際に自宅で療養ができると考えている患者は6割にとどまり、体制づくりが課題となっています。

 調査は3年に1回実施し、今回は2017年10月、全国490医療機関の入院・外来患者計約14万6000人が回答。このうち入院患者約5万人の回答結果を分析しました。

 今後の治療や療養について入院患者に希望を聞いたところ、「完治するまでこの病院に入院したい」(47%)が最多だったものの、前回調査から約4ポイント減少。一方、「自宅から病院や診療所に通院しながら治療・療養したい」(30%)は、前回調査から約5ポイント増えました。在宅での治療や療養を希望する人は、4%でした。

 高齢化が進む中で、国は地域包括ケアシステムや在宅医療を推進。厚労省の担当者は、「病院ではなく自宅で療養をする方向に患者の意識も変わってきているのでは」と分析しています。

 ただ、実際に医療機関から退院の許可が出た場合に「自宅で療養できる」と答えたのは57%にとどまります。「自宅療養できない」(22%)と回答した人に自宅療養を可能とする条件(複数回答)を聞くと、「入浴や食事などの介護が受けられるサービス」(39%)や「家族の協力」(32%)などが目立ち、実現には依然課題が多そうです。

 一方、外来患者の回答結果を分析したところ、病院に満足している外来患者は全体の6割に上り、過去最高を更新したことが明らかになりました。

 病院全般については、外来患者の59・1%が「満足」と回答。前回調査より0・8ポイント高く、1996年の調査開始以降、最高でした。項目別にみると、「医師以外の病院スタッフの対応」、「診療・治療内容」では6割近くが満足していました。ただ、「診察までの待ち時間」では「満足」が29・0%にとどまり、「不満」が26・3%を占めました。

 2018年9月8日(土

 

■消防本部の半数超、心肺蘇生拒否を経験 終末期患者らの救急搬送時に

 救急現場で終末期の患者側から心肺蘇生を拒否する意思を示されたケースが昨年、全国の728消防本部のうち、55・4%に当たる403消防本部であったことが、総務省消防庁の調査で明らかになりました。高齢者の在宅医療が広がる中、救急隊員が難しい判断を迫られている現状が浮かびました。

 消防庁は5月、心肺蘇生を望まないと伝えられた際の対応について検討部会を設置。全消防本部に初めてアンケートを実施し、すべてから回答を得ました。消防法は、救急搬送や心肺蘇生などを救急隊の業務と定めていますが、蘇生中止に関する規定はなく、来年1月ごろまでに検討部会の意見をまとめる方針です。

 アンケート結果によると、心肺蘇生を拒否する意思を示されたケースは昨年、全体の半数超の403消防本部であり、少なくとも計2015件に上りました。

 拒否の意思が示された場合、「対応方針を定めている」と回答したのは45・6%に当たる332消防本部。内訳は「心肺蘇生を実施しながら医療機関に搬送する」が60・5%、「医師からの指示など一定の条件の下、蘇生を実施しない、または中断できる」が30・1%と分かれました。

 対応方針を定めていない396消防本部の理由では、「国が統一的な方針を定めるべきだから」、「どのような方針とするべきか、現状では判断できないから」が目立ちました。

 終末期の患者の意思を伝えたのは家族、介護施設の職員、医師の順で多く、本人の意思を示した書面で把握するケースは3割に満ちませんでした。

 検討部会長を務める樋口範雄・武蔵野大学特任教授(医療倫理)は、「延命治療が難しい人生の最終段階で、自分の死をどう迎えたいか考える時代に、救急隊員が困惑している実態が明らかになった。部会で一定の方向性を示したい」と述べました。

 2018年9月8日(土

 

■環境危機時計9時47分、過去最悪 温暖化を懸念し14分進む

 地球環境の悪化に伴う人類存続の危機感を世界の研究者らに尋ねて時刻で表す「環境危機時計」が、昨年から14分進んで今年は9時47分になり、1992年の調査開始以来最も懸念が強まっていると旭硝子財団(東京都千代田区)が7日、発表しました。

 トランプ・アメリカ大統領が昨年就任し、地球温暖化対策の「パリ協定」からの離脱を表明するなど、アメリカの環境政策の大幅な後退が鮮明になっていることが要因とみられます。

 旭硝子財団が今年4~6月、世界139カ国の政府関係者や大学の専門家ら1866人にアンケートした結果をまとめました。回答の際に重視した分野は、地球温暖化や大雨や洪水、干ばつなどの増加といった「気候変動」が約3割で最も多く、絶滅する生き物が増える「生物多様性」、「水資源」が続きました。また、これまで環境問題への意識が比較的低かった20歳代と30歳代の若い世代で環境悪化への危機感が高まっていることも、時刻が進んだ要因の1つだということです。

 環境危機時計は深刻さを0時1分から12時までで示し、9時以降は「極めて不安」に分類され、時計が12時をさすと「環境問題で地球に人類が住めなくなる」となります。地域別では、北米が10時11分と最も深刻で、西欧は10時4分、日本は9時31分、東欧・旧ソ連が8時42分と最も危機感が低くなりました。

 環境危機時計の取り組みを行っている旭硝子財団の清水潤一顕彰事業部長は、「昨年と比べて14分も進み、驚いている。時計の針が戻るよう、生活習慣や自然保護に対する意識を改めてほしい」と話していました。

 2018年9月7日(金)

 

■甲状腺機能低下の検査、7割で行われず 「治る認知症」を見逃しの恐れ

 認知症と診断されて抗認知症薬が処方されたケースのうち、7割は学会が推奨している甲状腺の機能低下の検査を事前にしていなかったことが、医療経済研究機構などの調査で明らかになりました。認知機能の低下が甲状腺機能の問題であれば、抗認知症薬なしで改善が望めます。検査をしなかったことで、本来は必要ない人に薬が処方された可能性があります。

 アリセプトなど4種類の抗認知症薬は、アルツハイマー病などに処方されます。ただし、病気自体は治せず、症状の進行を抑えるだけ。一方、認知症の中には脳の一部が圧迫を受けているなど、対処すれば大きく改善する例もあり、「治る認知症」と呼ばれています。

 甲状腺の機能低下もその「治る認知症」の一つで、一般的な血液検査で判別でき、ホルモン薬で治療できます。日本神経学会は指針で、治療可能な認知症を見逃さないよう、診断に際して検査を推奨しています。

 医療経済研究機構の佐方信夫(さかた・のぶお)主任研究員らは、2015年4月から2016年3月にかけて認知症と診断され、抗認知症薬を新たに処方された65歳以上の約26万2000人を調べました。処方前に甲状腺の機能低下の検査がどの程度されていたかを厚生労働省の保険診療データベースでみたところ、32・6%にとどまっていました。施設別にみると、都道府県が指定する専門施設の認知症疾患医療センターでは57%だったのに対し、病院は38%、診療所では26%でした。また、高齢の患者ほど検査を受けていない傾向がありました。

 認知症とされた人の2・6%が甲状腺の機能が低下していたという海外の報告があります。こうした人は、本来なら不必要な抗認知症薬による吐き気などの副作用を受ける恐れがあります。佐方主任研究員は、「甲状腺の機能が落ちると、疲労感や筋力の低下を招くこともある。検査をしなければ対処する機会も失われてしまう。認知症の増加により、専門でない医師が診る機会が増え、すぐに薬を処方する傾向があるのではないか。」と話しています。

 相模原市認知症疾患医療センター長代理の大石智(さとる)・北里大診療講師(精神科)は、「本来なら、この検査は可能な限り全例で実施されるべきだ。いわゆる『治る認知症』かどうかの鑑別が不十分なまま、抗認知症薬が安易に処方されたと思われる例を多く経験するが、今回のデータはその実態を示しているのではないか」と話しています。

 2018年9月7日(金)

 

■強制不妊手術、被害者特定は3033人のみ 記録がない人も救済検討

 旧優生保護法(1948~1996年)下で障害のある人らに不妊手術が行われた問題で、厚生労働省は6日、自治体の記録で強制手術を受けた個人名が特定できたのは計3033人になったとの調査結果を、国会内で開かれた与党ワーキングチームの会合で報告しました。

 与党ワーキングチームは来年の通常国会への提出に向け救済法案の作成を目指しますが、記録が残っていない人も救済できる仕組みを検討するといいます。

 調査は与党ワーキングチームの意向を受け、厚労省が4~6月、都道府県や保健所設置市など150自治体に依頼し実施しました。

 不妊手術は約2万5000人が受けたとされます。旧厚生省の資料では、そのうち本人の同意のない強制手術が確認されているのは1万6475人。今回の調査で個人特定は2割弱にとどまり、全員救済は困難であることが判明しました。

 調査結果によると、都道府県別で最も多かったのは宮城県の900人で、次いで北海道830人、埼玉県330人、千葉県318人が多くなっています。旧厚生省の記録よりも人数が多い自治体がありましたが、原因は不明といいます。20歳未満が849人で3割に上り、最年少は宮城県の9歳とみられます。

 一方、20府県は個人名が特定できた記録がゼロで、うち栃木県、大阪府、熊本県など8府県では、不妊手術の申請数や実施件数がわかる資料も残っていないとしました。条例などで定められた行政文書の保存期間を過ぎて廃棄されたとみられます。

 与党ワーキングチーム座長の田村憲久元厚労相は、「把握できている手術件数からすると非常に少なく残念だが、これをもとになるべく多くの人を救済できるように考えていく」と述べ、個人を特定する資料がない人の救済も検討する考えを明らかにしました。

 2018年9月7日(金)

 

■梅毒患者、半年で3236人に上る 日本医師会「特異的」と注意喚起

 性行為などで感染する梅毒の6月までの患者数が3236人に上り、昨年同期の2613人を大きく上回ったことが、国立感染症研究所の集計で明らかになりました。日本医師会は5日、「近年の患者の急増は特異的だ」と注意を呼び掛けました。

 今年4~6月は1735人で、1~3月の1501人から増加。このままいくと今年1年間の患者数は6000人を超え、現行の集計方式となった1999年以降最多だった昨年の5820人を上回るのは確実とみられます。

 今年4~6月の都道府県別の患者数は、東京都の445人が最多。昨年同期の491人よりは減少しました。一方、2番目に多い大阪府は302人で昨年同期の192人から大幅に増えました。さらに、愛知県、神奈川県、兵庫県、福岡県の大都市圏が続きました。

 女性は20歳代前半の若い世代に極端に患者が多く、男性は20~40歳代を中心に幅広い年代で報告があります。

 梅毒はスピロヘータ (梅毒トレポネーマ) という細菌が原因で起きる感染症で、近年増加傾向。抗菌薬で早期に治療すれば完治するものの、放置すると脳や心臓に大きな合併症を引き起こします。また、妊娠中に感染すると、流産したり、生まれてくる子が「先天梅毒」になったりすることがあります。 

 厚生労働省は、疑わしい症状がある人や、過去に性感染症になったことがある人は検査を受けるよう呼び掛けています。

 梅毒患者が急増していることを受けて、日本医師会は、梅毒診療ガイド(ダイジェスト版)を作成し、会員の開業医らに配布しました。日本医師会が5日に開いた定例記者会見で平川俊夫常任理事は、2018年度末には「7000人に達するのではないか」「近年の梅毒患者の増加は特異的」などと述べました。 

 梅毒診療ガイドは、日本性感染症学会などと協力して作成したもので、梅毒が疑われる場合の症状を記載したチャートや、治療方法などをまとめました。平川常任理事は、「あらゆる診療科が常に梅毒の増加を念頭に入れて、疑わしい症状があれば、まず検査をして梅毒でないことを確かめる」ことが必要だと注意喚起しました。 

 国立感染症研究所の集計によると、性器クラミジア感染症などの性感染症は2009年以降、軒並み減少傾向か横ばいなのに対し、梅毒は2010年以降増え、特に2014年ごろから急増しています。平川常任理事は「近年の梅毒患者の増加は特異的」と指摘し、「研究段階」と断った上で、スピロヘータの株が20世紀の後半から変化してきているという説もあることを明らかにしました。 

 梅毒は、異性間性交渉で感染するケースが多いため、平川常任理事は、患者本人だけでなく、パートナーの医療機関への受診を医療関係者が促したり、検査項目に「梅毒」がある妊婦健康診査の受診を徹底したりするよう医療機関に呼び掛けました。 

 2018年9月6日(木)

 

■WHO、世界的な運動不足に警鐘 14億人に健康リスク

 世界保健機関(WHO)は5日、世界の18歳以上の成人の4人に1人に当たる14億人以上が運動不足とみられるとの研究結果を発表しました。世界的な運動不足の改善努力はほとんど成果を挙げていないとして、WHOの専門家は警鐘を鳴らしています。

 推計14億人以上という運動不足の人の数は、2001年調査からほとんど改善していません。運動不足は、心臓疾患や2型糖尿病、複数のがんなどさまざまな健康問題にかかるリスクを悪化させます。

 イギリスを含む高所得国では特に、運動不足の割合が高くなりました。また、アジアの2地域を除く世界的な傾向として、男性に比べて女性のほうが運動不足の割合が多くなりました。  

 イギリスの医学誌「ランセット・パブリック・ヘルス」で発表された研究結果によると、WHOの研究者は世界168カ国における人口調査358件で得た自己申告データを調べました。調査対象者は190万人に上ったといいます。

 調査は週に150分の緩い運動、もしくは75分の激しい運動をしない人を、運動不足と定義しました。

 イギリスやアメリカを含む高所得国では、運動不足の人の割合が、2001年の32%から2016年は37%に上昇。ドイツ、ニュージーランド、アメリカでも、運動不足の割合は増えていました。一方で、低所得国での運動不足の人の割合は、16%と変化がありませんでした。

 東アジアと東南アジアを除く地域では、女性のほうが男性より運動不足でした。男女差が特に大きかったのは、南アジア、中央アジア、中東と、北米、西欧の高所得国でした。女性のほうが育児負担が大きい、あるいはその土地の風習で女性が運動しにくいなど、さまざまな複合的な要因が関係しているだろうと、研究チームは指摘しています。

 2016年調査によると、イギリスにおける運動不足の割合は、男性が32%、女性が40%で、全体で36%でした。富裕国では、仕事も趣味も座って行うものへの移行が進み、かつ自動車移動の利用も増えています。これらの要因が、運動不足の割合を高くしているかもしれないと、研究チームは指摘しています。

 一方、低所得国の人は、仕事で体を動かす機会が多かったり、公共交通機関を使う度合いが多かったりするとみられています。

 調査報告書の筆者は、運動不足を2025年までに10%減らすとのWHOの目標がこのままでは達成されないと警告しています。

 WHOの調査報告書で筆頭著者を務めたレジーナ・グートルト博士は、「他の主要な国際的健康リスクと異なり、運動不足の程度は平均して世界全体で改善されていない。また、全成人の4分の1以上が、健康のために推奨される身体運動の水準を満たしていない」、「運動不足が増えている地域は、公衆衛生や、非感染性疾患の予防と制御について重大な懸念となっている」と述べました。

 調査報告書の共著者を務めたフィオナ・ブル博士は、「国際的な運動目標を達成するには、身体運動の量に関する男女差への対策が極めて重要になる。そのためには、安全、安価で文化的に許容される運動の機会を女性が利用しやすくなるよう、介入が求められる」と話しました。

 WHOは成人に対して、早歩きや水泳、軽いサイクリングなどの「中程度の運動」を少なくとも週150分、またはランニングやチームスポーツなどの「激しい運動」を少なくとも週75分行うことを推奨しています。

 2018年9月6日(木)

 

■出産後1年未満に死亡した女性の死因、自殺が最多 産後うつでメンタルの悪化の疑い

 出産した後1年未満の間に自殺した女性は2015~2016年の2年間に少なくとも92人に上ることが、国立成育医療研究センターの調査で初めてわかりました。出産後1年未満の女性の死因では最も多く、専門家は、多くが産後のうつが関係しているとみて、母親の支援体制を充実させることが必要だとしています。

 出産した後の女性は体調や生活リズムが大きく変化することなどで、10人に1人の割合でうつになると指摘されていますが、自殺にまで至るケースがどれくらいあるのか、実態はわかっていませんでした。

 国立成育医療研究センターの研究チームは、2015~2016年の2年間のデータを使って、出産後1年未満に死亡した女性の死因を調べた結果、自殺が92人と最も多く、次いで、がんが70人、心疾患が24人と続きました。

 自殺のあった時期では、出産後1カ月ですでに10人に上り、1年を通して起きていたほか、年齢別にみると、35歳以上で自殺に至る割合が高くなっていました。

 研究チームによりますと、出産後の女性の自殺の実態が明らかになるのは初めてで、多くが産後のうつなどメンタルの悪化が関係しているとみています。

 産後のうつの対策を巡っては、厚生労働省は昨年度から、出産まもない母親の心の問題を含めた健康状態を把握する取り組みを支援する制度を始めましたが、初年度に実施した自治体は4%にとどまっています。

 国立成育医療研究センター研究所の森臨太郎部長は、「自殺の背景にある産後のうつのリスクの高い人を早期に見付けて、産科施設や行政の連携といった支援につなげることが必要で、早急に対策を実施していくことが大切だ」と話しています。

 2018年9月5日(水)

 

■熱中症で救急搬送、年間過去最多の9万人超 死者は157人に上る

 総務省消防庁は4日、4月30日~9月2日の熱中症による救急搬送者数(速報値)が全国で9万2099人になったと発表しました。年間の搬送者数が9万人を超えたのは、統計を取り始めた2008年以降で初めて。

 このうち死者は157人。これまでの救急搬送者数は、2013年(6~9月)の5万8729人が最多でした。

 8月の救急搬送者数は2万9795人に上り、7月の5万4220人に続き、月間での過去最多を更新しました。このうち死者は18人でした。

 8月27日から9月2日の一週間における熱中症による救急搬送者数(速報値)は、全国で2794人でした。前週の5890人に比べて3096人減少、前年同期の1672人と比べて1122人増加しました。

 症状の程度別では、初診時において死亡が確認された人は2人で、前週の2人と同数。また、3週間以上の入院加療を必要とする重症者は53人で、前週の91人に比べて38人減少しました。

 年齢別では、満65歳以上の高齢者が1427人で、全体の51・1%を占めています。発生場所別では、住居が1093人と最も多く、全体の39・1%を占めています。

 また、都道府県別では、東京都が286人と全国で最も多く、次いで愛知県が226人、大阪府が202人となっています。
 
 気温や室内の温度が高い状況下では、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温の調節機能が働かなくなることによって、体温の上昇、めまい、立ちくらみ、体のだるさ、頭痛、吐き気などの症状を呈し、重症化すると、けいれんや意識の異常など、さまざまな障害を引き起こします。こまめな水分と塩分の補給、扇風機やエアコンの利用などにより、熱中症の予防に努めましょう。

 2018年9月5日(水)

 

■福島第一原発で被曝後に肺がん死の作業員に労災認定 死亡事案では初めて

 厚生労働省は4日、東京電力福島第一原発事故後に放射線量の測定作業などに従事し、肺がんで死亡した50歳代男性について労災認定したと発表しました。第一原発事故対応に当たった作業員が被曝によるがんで労災認定されたのは5人目。肺がんでは初めてで、亡くなったケースの認定も初めてとなりました。

 認定は8月31日付。厚労省によると、男性は東京電力の協力会社の社員で、1980年6月~2015年9月のうち約28年第一原発を中心に全国の原発で作業に従事し、累積の被曝線量は約195ミリシーベルトでした。このうち2011年3月の事故後の被曝線量は、同年12月までが約34ミリシーベルトで、2015年9月には約74ミリシーベルトに達しました。主に第一原発の構内外で収束作業の一環として放射線量を測定し、作業中は防護服や全面マスクを着用していたといいます。

 男性は2016年2月に肺がんを発症し、その後死亡。厚労省は遺族の意向として、死亡時期などを明らかにしていません。

 肺がんに関する原発労働者の労災認定の基準は、被曝線量が100ミリシーベルト以上、被曝から5年以上経過して発症など。放射線医学の専門家らで作る厚労省の検討会の意見を踏まえ、認定しました。

 厚労省によると、これまでに作業員17人が福島第一原発事故による被曝でがんを発症したとして労災を申請し、今回の男性のほかに白血病の3人、甲状腺がんの1人が認められました。5人は不支給が決まり、2人は請求を取り下げ、残る5人については調査中といいます。

 福島第一原発では、現在も1日当たりの平均で約5000人が収束作業に当たっています。

 東京電力ホールディングス広報室は、「引き続き、発電所の安全確保、労働環境の改善に努めたい」としています。

 2018年9月5日(水)

 

■福岡のクリニック、再生医療で承認外の幹細胞を投与 患者負担は1000万円以上に

 福岡市博多区の「トリニティクリニック福岡」が4月に実施したアルツハイマー病治療のための自由診療の再生医療が、国に届け出た計画から外れた方法で患者4人に実施されていたことが明らかになりました。健康被害は出ていないものの、クリニックは「認識が甘かった」として治療を一時中断しました。

 クリニックや厚生労働省によると、この再生医療は、アルツハイマー病患者の脂肪から採取した幹細胞を数週間かけて培養し、患者の静脈に点滴するもの。マウスで症状が改善した報告があり、アメリカで治験が行われていますが、人での効果は確立していません。2週間に1回の頻度での計10回の静脈内投与により、患者負担は1000万円以上かかるといいます。

 実施するには、医療機関が計画をつくり、厚労省が認定した専門家委員会で安全性審査を受けた上で厚労省に届け出るよう、再生医療安全性確保法で定められています。

 クリニックは、計画が4月11日に厚労省に受理されたことを受け、翌12日に韓国人患者4人に培養した幹細胞を2億個ずつ投与しました。「数週間培養する」とした計画との食い違いに気付いた専門家委員会が問い合わせ、数年前に韓国で別目的のために採取・保管していた患者自身の幹細胞を転用していたことが判明しました。治療を審査・監督する専門家委員会が問題を指摘し、直後に医療を一時中断したといいます。

 その後、計画を修正するなどして新規患者の治療を再開。これまでに約20人が治療を受けているといいます。

 トリニティクリニック福岡の梁昌熙(りょうまさき)院長は、「治療に関する見解の相違があったが、我々の認識が甘かったと深く反省している。治療を望む患者の声にこたえたかった」と話しました。

 専門家委員会の委員長を務める米満吉和・九州大教授(バイオ創薬)は、「法令順守に対する考え方が甘く、同様の事例が二度と起きないよう指導していきたい」と話しています。

 2018年9月4日(火)

 

■薬販売サイトの63%が違法、過去最悪 24%は副作用情報を提供せず

 市販薬を取り扱うインターネットサイトの63%で、乱用の恐れがある薬が違法な方法で販売されていたことが、厚生労働省による2017年度の調査でわかりました。調査を始めた2014年度以降、最悪の結果で、厚労省は自治体と連携し、監視を強める方針です。

 薬のネット販売は2014年6月に解禁され、現在は約1900サイトが届け出ています。調査は昨年11~12月、薬を販売する507のサイトを対象に、厚労省が委託した民間会社の調査員が実際に購入して実施しました。

 乱用の恐れのある成分を含み、医薬品医療機器法で原則1度に一つしか購入できないせき止め薬などについて、正当な理由の確認もなく複数買えたサイトは63%で、前年度より9ポイント上昇しました。調査を始めた2014年度は46%、2015年度は62%と、悪化の傾向にあります。

 市販薬の中で副作用リスクが高い第1類医薬品を販売するサイトのうち、医薬品医療機器法で義務付けられている副作用などの情報提供を購入者に実施していなかったのは24%で、前年度より1ポイント上昇しました。

 2018年9月4日(火)

 

■風疹患者増加、昨年の約3倍に 首都圏中心に273人

 国立感染症研究所は4日、今年になって報告された風疹の全国の患者数が273人になったと発表しました。昨年1年間の約3倍に当たります。

 今年の患者数は7月下旬から急増し、8月上旬に昨年の93人を超え、首都圏の千葉県や東京都、神奈川県を中心に感染が広がりました。

 8月20~26日の増加分は84人で、うち千葉県は前の週よりも23人増えて84人、東京都は19人増えて72人、神奈川県は15人増えて24人、埼玉県は7人増えて18人、広島県は6人増えて10人などとなっており、首都圏の患者数が全体の7割以上を占めています。また、全患者のうち男性が215人を占め、女性の58人の4倍近くに上ります。特に30~40歳代の男性に多く、ワクチンの接種歴がない人や不明の人が大半。

 風疹はくしゃみやせきなどで広がり感染力が強いのが特徴で、発熱や発疹などの症状が出ます。妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害が起きるリスクがあります。

 国立感染症研究所は、今後、妊娠の可能性がある女性や妊婦の家族など周りにいる人で、風疹に感染した経験がなくワクチンを2回接種した記録もない人は、特にワクチン接種を検討してほしいとしています。また、ワクチンの定期接種が行われていなかった世代などに当たる30歳代から50歳代の男性もワクチンが必要か十分に検討してほしいとしています。

 加藤勝信厚生労働相は4日の閣議後の記者会見で、「今年7月以降、30歳代から50歳代の男性を中心に関東地方で風疹の患者が例年になく増えていて、今後、全国に拡大する可能性もある。妊婦が感染すると胎児に障害が起きる恐れが指摘されており、妊婦を守る観点からも予防接種を検討してほしい」と述べました。

 2018年9月4日(火)

 

■マイクロプラスチック、世界の水道水から検出 食塩、アメリカ産ビールからも

 世界13カ国の水道水のほかヨーロッパやアジア産の食塩、アメリカ産のビールに、地球規模の汚染が問題になっている微小な「マイクロプラスチック」が広く含まれていることを、アメリカのミネソタ大学などの研究チームが2日までに突き止めました。水道水の検出率は81%と高く、ほとんどは繊維状で繊維製品由来とみられます。日本の水道水は調査していません。

 マイクロプラスチックが人間の健康に与える影響はわかっていませんが、研究チームは「日常生活で避けられない水道水の汚染が世界に広がっていることは大きな懸念材料だ」と警告しています。

 アメリカやイギリス、キューバ、インドなど14カ国で集めた水道水159サンプルを分析しました。イタリアを除く13カ国でマイクロプラスチックが見付かりました。アメリカのサンプルからは最多となる1リットル中約60個を検出。インドやレバノンのサンプルからも多数を検出しました。形状は98%が繊維状で、平均の長さは0・96ミリ。0・10ミリのものもあり、フィルターで完全に除去するのは難しいとみられます。ほかに小さな破片やフィルム状のものもありました。

 ヨーロッパ、アジア、アメリカなどの産地表示がある市販の食塩12種と、アメリカで醸造されたビール12種のすべてからもマイクロプラスチックを検出。アメリカのボトル入りの水3サンプルにも含まれていました。

 アメリカ人の標準的な消費量に基づくと、水道水と食塩、ビールから年間5800個のマイクロプラスチックを摂取する計算になります。水道水由来が全体の88%を占めました。

 汚染がどう広がったかは明確ではないものの、繊維状のものは化学繊維製の衣服からの飛散、洗濯時の乾燥での飛散などを通じて大気を汚染した可能性も指摘されています。マイクロプラスチックはプラスチックごみなどが壊れてできる直径5ミリ以下のもので、海洋汚染が問題になっています。

 研究チームのマリー・コスース博士は、「人が口にするもののマイクロプラスチック汚染が深刻化している。プラスチックに含まれたり吸着したりした有害な化学物質が人体に与える影響などを詳しく調べる必要がある」とし、使い捨てプラスチック製品の削減が重要だと指摘しました。

 2018年9月3日(月)

 

■マダニ媒介の感染症で70歳代男性が死亡 大分県佐伯市

 大分県佐伯市の70歳代の男性が、マダニが媒介するウイルスに感染し、死亡していたことが3日、わかりました。

 大分県内では今年7月にも、同じウイルスに感染した大分市の70歳代の男性が死亡しており、大分県は、野山に入る際には肌を隠す服を身に着けるなど感染防止の対策を心掛けるよう呼び掛けています。

 マダニが媒介するウイルスに感染し死亡したのは、佐伯市に住む70歳代の男性です。

 大分県によりますと、この男性は8月21日に、発熱や筋肉痛、食欲不振といった風邪のような症状を訴え病院を受診しました。その後、症状が悪化し病院に運ばれましたが、意識障害や肝機能障害により8月28日に死亡しました。男性は日ごろから農作業をしていたらしいものの、マダニにかまれたような痕は体になかったといいます。

 大分県の衛生環境研究センターで男性の血液の遺伝子を9月3日に検査したところ、マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こすウイルスに感染していたことが確認されたということです。

 重症熱性血小板減少症候群は、症状が重い場合は死亡することもあり、大分県によりますと、2014年からこれまでに同県内でウイルスの感染で死亡した人は4人に上っているということです。

 マダニは春から秋にかけて活動が活発になることから、大分県では、野山に入る場合には長袖や長ズボンを着用して肌の露出を少なくするなど、マダニにかまれないよう注意するとともに、かまれた場合には速やかに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2018年9月3日(月)

 

■Muse細胞で脳梗塞を治療へ バイオ企業が9月中に臨床試験

 三菱ケミカルホールディングス傘下のバイオ企業「生命科学インスティテュート」(東京都千代田区)は3日、開発中の再生医療製品「Muse(ミューズ)細胞」の新たな臨床試験(治験)を始めると発表しました。すでに急性心筋梗塞の治験が1月からスタートしており、今回は2つ目の治験として脳梗塞治療を狙います。

 治験で有効性と安全性が確認されれば、2021年度以降に国から医薬品として承認を受けることを目指すとしています。

 Muse細胞は東北大学の出沢真理教授らの研究チームが発見した多能性細胞の1つで、さまざまな細胞に分化する性質が知られています。点滴で静脈に送り込むと体内の傷付いた部位に集まり、組織や細胞を再生する性質があります。この性質を使ったさまざまな研究が進んでいます。

 生命科学インスティテュートは、仙台市にある東北大学病院で9月から脳梗塞患者を対象にした治験を始めます。脳梗塞による年間死亡者数は6万人以上とされ、脳梗塞を含む脳血管障害は日本における入院原因の第2位。発症後に運動機能障害や言語障害などの後遺症も起きるため、要介護になる可能性も高くなります。

 これまでのラットを使った治療実験では、運動機能の改善効果が確認されており、今回、実際の脳梗塞患者を対象に、点滴で静脈に送り込むMuse細胞が脳の損傷部位にたどり着いて修復し運動機能を改善することを目指す治験で有効性や安全性を確かめます。

 生命科学インスティテュートの木曽誠一社長は、「今ある医療現場の他の治療法に比べて製造コストも低く、使い勝手もいい治療法となるだろう」と強調。研究代表の東北大学の冨永悌二教授は、「脳梗塞の後遺症は生活の質を落とす原因だが、Muse細胞で介助不要な状況に改善できる可能性がある」と話しました。

 今回の治験は脳梗塞発症後2週間以上が経過した20歳以上80歳以下の患者が対象で、身体機能の障害などを起こしていることが治験に参加できる患者の条件となります。約35人を対象に治験を進め、2020年1月の終了を見込んでいます。

 2018年9月3日(月)

 

■厚労省の概算要求、過去最大の31兆8956億円に 働き方改革の実現費用の拡充も

 厚生労働省は8月29日、2019年度予算の概算要求をまとめました。要求額は31兆8956億円と今年度の当初予算と比べて7694億円(2・5%)の増額とし、過去最大の予算規模を求めました。

 高齢化に伴い医療や介護、年金など社会保障費の増加が続いており、厚労省の予算は大半を社会保障費が占めます。2015年度から児童手当などを内閣府の所管に移したため見掛け上の金額は減っているものの、実質的には過去最高を更新し続けています。2019年度の概算要求では31兆8956億円の要求額のうち、29兆8241億円が年金や医療、介護などにかかる経費で、2018年度予算と比べて2・1%増を見込みます。

 そのうち公的医療保険への国からの支出は2018年度当初予算比2・0%増の約11兆8746億円、介護保険関連では3・7%増の3兆1866億円を見込みました。介護は年齢を重ねるほど費用がかさむようになるため、高齢化が進む近年では特に伸びが大きくなっています。年金は団塊の世代向けの支給がすでに始まっているため、医療や介護ほどの伸びを見込んでおらず、1・4%増の11兆7822億円を求めました。

 政府は高齢化などによる社会保障費の自然増を2019年度は6000億円と見込んでいます。5000億円まで圧縮する目標を掲げていた2018年度までと異なり、2019年度は圧縮の数値目標を設定せず、高齢化による増加分に収めるとしています。具体的にどこまで自然増を圧縮できるかが、年末の予算編成の大きな焦点となります。

 概算要求では、働き方改革の推進が柱の一つに位置付けられました。同一労働同一賃金や残業時間の上限規制を盛り込んだ働き方改革関連法は来年4月から順次施行されます。中小企業は同一賃金と残業規制の施行が1年遅れルものの、勤務間インターバル制度の導入支援や相談体制の整備などに1222億円を求めます。働き方改革全体で、2018年度当初予算比で2割弱増える約3800億円を計上しました。

 効率的な社会保障の提供体制の整備も重点テーマで、地域の病床再編、医療・介護連携の推進などに645億円を求めました。また、健康保険組合の解散の動きが相次いでいることを受けて、健保への新たな財政支援策として31億円を計上しました。

 介護離職ゼロに向けた人材の処遇改善や受け皿整備には543億円を求めました。また、児童相談所の体制強化、保護が必要な児童の情報を共有する新たなシステムの構築といった児童虐待の防止対策などには1655億円を計上しました。さらに今後、増加が見込まれる外国人材の受け入れ環境を整えるため、ハローワークの体制を充実する経費などとして、100億円を盛り込みました。

 2018年9月2日(日)

 

■二酸化炭素濃度の上昇で穀物の栄養素が低下 世界が栄養不足に陥る恐れ

 大気中の二酸化炭素(CO2)濃度の上昇が原因で小麦や米といった主要穀物から有益な栄養素が徐々に失われる恐れがあるとの研究論文が8月27日、発表されました。研究結果は、世界で多くの人々が栄養不足に陥ることへの懸念を高めるものだと、論文は警告しています。

 イギリスの科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ」に掲載された研究論文によると、現在の傾向が続けば、世界の主要穀物に含まれる鉄、亜鉛、タンパク質などの濃度がCO2濃度の上昇によって今世紀半ばまでに最大で17%低下することが考えられるといいます。

 論文の主要執筆者で、アメリカのハーバード大学公衆衛生大学院の研究者のマシュー・スミス氏は、「主にアフリカ、東南アジア、インド、中東などの地域で、栄養不足の状態に陥る人が数億人増える恐れがある」と語りました。また、現在すでに栄養不足の問題に直面している数十億人については、その状況がさらに悪化するとしました。

 全世界で供給されるタンパク質、亜鉛、鉄の約40%は、小麦、米、トウモロコシの世界3大穀物によってもたらされています。一般に、人が食事から摂取するタンパク質の約60%、鉄の約80%、亜鉛の約70%は、植物性食物からのもの。

 大気中の過剰なCO2が、2050年までに世界の人々の健康に与える影響について調べるため、スミス氏と共同研究者のサミュエル・マイヤーズ氏の研究チームは、151の国々で栽培されている小麦、米、トウモロコシ、モロコシ、エンドウ豆、大豆などさまざまな種類の食用植物225種についてモデル計算を行いました。

 人類が現在の水準で石炭、石油、天然ガスなどの燃焼による温室効果ガスを放出し続けると、大気中のCO2濃度は2050年までに550ppmに達すると考えられます。現在の大気中CO2濃度は400ppm超となっています。

 モデルを使った計算の結果、この条件の下では、世界人口の2%近くに当たる1億7500万人が新たに亜鉛欠乏に陥り、1億2200万人が十分なタンパク質を摂取できなくなる可能性があることがわかりました。

 鉄に関しては、女性と5歳未満の子供約14億人に摂取量4%超の減少に直面する恐れがあり、そのうちの5億人には鉄欠乏に関連する病気発症のリスクがあるとされました。

 研究チームによると、最も大きな影響が及ぶ国はインドで、約5000万人が亜鉛の欠乏状態となり、最小必要量のタンパク質を取れない人も3800万人に上ることが考えられるといいます。その他、中国、インドネシア、バングラデシュ、ブラジル、ケニアや他の新興国と発展途上国でも、影響を受ける人々の数が劇的に増加するとされました。

 世界保健機関(WHO)によると、現状でも全世界の20億人あまりが、何らかの栄養素が不足した状態にあるといいます。

 2018年9月2日(日)

 

■インターネット依存、中高生93万人に疑い スマホ普及で5年前の2倍近くに

 インターネットの利用をやめられない、いわゆる「インターネット依存」が疑われる中学生と高校生が、全国で90万人を超えるという推計を厚生労働省の研究班が8月31日、公表しました。5年間で2倍近くに増え、研究班は「問題が深刻化していて、早急に対策に取り組むべきだ」としています。

 厚労省の研究班は昨年度、全国の中学生と高校生を対象に、学校を通じてアンケート調査を行い、103校の約6万4000人から回答を得ました。

 インターネット依存に明確な定義はありませんが、研究班は「ネットの使用時間を減らそうとしてもできないことがたびたびあるか」や「ネットのために大切な人間関係を台なしにしたり危うくしたりすることがあったか」など8つの質問を行い、5つ以上当てはまるかどうかを判定しました。

 その結果、いわゆる「インターネット依存」が疑われるのは、中学生では12・4%(男子11%、女子14%)、高校生では16・0%(男子13%、女子19%)に上りました。

 2012年度に行われた前回の調査と比べると、割合は5年間でいずれも2倍前後に増加しています。

 インターネット依存が疑われる中高生は、前回の調査で約51万人と推計されましたが、今回の調査では約93万人に上るとされました。授業中の居眠りや遅刻、成績低下など学校生活にも支障が出ていました。

 研究班のメンバーで、国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長は「わずかな期間で問題が深刻化していることに驚いている。早急に対策に取り組む必要がある」と話しています。

 内閣府が昨年度行った調査によりますと、中学生の58%、高校生の96%がスマートフォン(スマホ)を利用しています。1日の平均利用時間は中学生で2時間7分、高校生で2時間57分となっており、高校生の4人に1人は4時間以上利用しているということです。利用はSNS(交流サイト)や動画・音楽の視聴、それにゲームが主な内容となっています。

 2018年9月1日(土)

 

■エナジードリンク、未成年への販売禁止へ イギリス政府

 日本でも人気のカフェイン入り清涼飲料「エナジードリンク」について、イギリス政府はイングランド地域での未成年への販売を禁止する方針を明らかにしました。対象年齢を16歳未満とするか18歳未満とするかなどについて、ウェブサイトを通じて11月まで一般から広く意見を募り、その結果を踏まえて制度設計を進めるとしています。

 エナジードリンクは、砂糖やカフェインを多く含んでいます。子供が大量に飲んだ場合、肥満や頭痛、睡眠障害など健康に影響が出ると指摘されています。

 このためイギリス政府は子供による過剰摂取を防ぐためとして、コーヒーや紅茶を除く1リットル当たり150ミリグラム以上のカフェインを含む飲料について、未成年への販売を禁止するかどうか検討を始めました。対象地域はイングランドのみ。スコットランド、ウェールズなどは、地域政府が健康に関する政策を独自に決めるためです。

 日本で販売されているエナジードリンクのうち、レッドブルの250ミリリットル缶には80ミリグラムのカフェインが含まれています。

 ヨーロッパ内の16カ国を対象にした調査では、エナジードリンクの消費は、10~18歳の未成年者が他の年齢層より多くなっています。特にイギリスの若者は平均で月3・1リットルを飲んでいるとされ、これはヨーロッパ全体の平均の1・5倍に相当します。イギリス国内で売り上げが増え続けている一方、大手スーパーでは16歳未満への販売自粛が広がっています。

 政府の販売禁止の方針について、子供の肥満撲滅を目指す団体などは歓迎しています。イギリス紙タイムズによると、食育に熱心なシェフのジェイミー・オリバーさん(43歳)は「こうした飲み物のせいで、子供たちに落ち着きがなくなり、教室が荒れるという先生たちの話を聞いてきた。販売規制は必要な一歩だ」と歓迎しています。

 逆に、与党・保守党内には「子供たちの健康には親が責任を持つべきだ」と否定的な見方もあります。「エナジードリンク」を生産するメーカーなどで作る団体も、ふだんの食事からとるカフェインと糖分のほうがはるかに多いとして、「販売禁止は差別的で、効果的ではない」と反発しているということです。

 2018年9月1日(土)

 

■虐待死77人、8割は3歳以下 児相と行政が連携不足

 全国の児童相談所(児相)が2017年度に対応した児童虐待件数は過去最多の13万3778件(速報値)に上り、調査を始めた1990年度から27年連続で増え続けていることが8月30日、厚生労働省のまとめで明らかになりました。一方、2016年度に虐待で死亡したと確認された18歳未満の子供は77人に上り、関係機関の連携強化が急務となっています。

 2017年度の虐待対応件数は、前年度より1万1203件増加。内容別では、子供の前で親が家族らに暴力をふるう「面前DV(ドメスティック・バイオレンス)」や暴言などの心理的虐待が最多の7万2197件(54%)に上りました。身体的虐待は3万3223件、ネグレクト(育児放棄)は2万6818件でした。

 2016年度に虐待死した子供の内訳は無理心中が28人で、心中以外は49人。心中以外を年齢別でみると、0歳が最多の32人(65%)で、3歳以下が8割を占めました。虐待死をした子供の実母のうち、妊婦健診の未受診者は23人(47%)に上り、14人(29%)は育児不安を抱えていました。

 児相や市町村が関与していたのに虐待死を防げなかったケースも目立ち、関係機関の連携強化の重要性が改めて浮かび上がった形です。

 「県の児相から虐待通告の連絡を受けたのに、緊急性なしと判断してしまった」。2016年4月、奈良県生駒市で男児(当時2歳)が虐待死した事案の対応について、市の担当者はこう振り返りました。男児は父親(41歳)(監禁致死罪などで実刑確定)にプラスチック製のケースに閉じこめられて死亡しました。

 男児が死亡する約4カ月前には、県の児相が「子供の泣き声がする」と虐待通告を受け、市に確認を依頼していました。しかし、市は家庭訪問をして母親と男児に面会した結果、虐待のリスクは高くないと判断。この家庭は、以前に乳児訪問を受け入れるなど市に協力的な態度を見せていたことから、市は「母親とは関係が築けている」と考えたといいます。

 だが、県の検証部会がまとめた報告書は、この時期、母親は周囲に暴力を肯定する発言をしたり、男児にあざなどが確認されたりしていたと指摘しています。

 男児の死を防げなかったことについて、生駒市の担当者は「家庭訪問で虐待のリスクが高まっていることを感じ取ることができなかった」と悔やみました。

 厚労省のまとめでは、2016年度の虐待死のうち無理心中を除いた49人をみると、約3割に当たる14人は市町村や児相が関与していました。

 大阪府松原市では2015年12月、男児(当時3歳)が父親(37歳)(傷害致死罪などで実刑確定)から暴行を受けて死亡。男児の遺体は2016年11月に山中で見付かりました。

 この男児について、市は乳幼児健診を受けていないことを把握していました。しかし、親から受診延期の連絡を受けていたことなどを理由に、一度も家庭訪問をしていませんでした。

 また、府の児相は男児の両親が過去に別の刑事事件で書類送検されていたことを市に伝えていませんでした。この刑事事件が不起訴となったことが理由だとしていますが、府担当者は「きちんと情報を伝えていれば、市も違う対応ができたかもしれない」と振り返っています。府の専門家部会の検証では、市と児相、警察との情報共有の強化の必要性が指摘されました。

 一方、虐待死した0歳児32人を月齢別にみると、生後1カ月未満が半数の16人を占めています。このうち12人は実母による加害で死亡しました。厚労省によると、実母が加害者となるケースでは妊娠を周囲に相談できず、出産後に放置するケースがあるといいます。

 松原康雄・明治学院大学長(児童福祉論)は、「転居など環境の変化によって虐待のリスクは刻々と変わる。危険な兆候を察知して子供を守るためには、児相や市町村、警察などの関係機関が連携し、情報共有を徹底することが欠かせない」と話しています。

 虐待死を検証した厚労省の専門委員会は、「支援が必要な母親を早期に把握し、妊娠期からの継続的な対応が必要」と提言しました。

 2018年9月1日(土)

 

■京大がニホンザルのiPS細胞の作製に成功 脳機能や人の進化の解明に道

 ニホンザルの細胞から、体のあらゆる組織になれるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功したと、京都大学霊長類研究所の今村公紀助教らの研究チームが30日、発表しました。他のサルや人から作製したiPS細胞と比較することで、脳機能や人の進化の解明につながります。

 研究成果は、イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に発表しました。

 人に近い霊長類は、進化などの研究に有用な半面、傷や苦痛を与える実験をするには倫理的に高いハードルがあります。iPS細胞を作製することで、発生の仕組みなどを容易に調べることができるようになるといいます。

 iPS細胞は京都大学の山中伸弥教授が2006年にマウスで、2007年に人で作製に成功。それ以降、医学研究に使われることの多いチンパンジーやカニクイザルでも作製できましたが、ニホンザルではまだ作製されていませんでした。

 霊長類研究所で飼育するメスのニホンザル2頭の耳の皮膚の細胞を採取し、人のiPS細胞を作製するための4種類の遺伝子をウイルスを用いて導入しました。25日間培養すると、iPS細胞ができました。体のさまざまな細胞に成長できることや増殖することを確認し、神経幹細胞や神経細胞にも育てられました。

 ニホンザルは知能が高く、社会生活や脳の働きの研究の蓄積があります。研究チームはiPS細胞から神経細胞や脳の組織などを育てて詳細に解析することで、霊長類の脳の機能の解明に役立てます。将来は多くの個体のiPS細胞を凍結保存し種の保存につなげます。iPS細胞から生殖細胞を作製する実験にも取り組みます。 

 2018年8月31日(金)

 

■iPS細胞で腎臓病の初期症状を再現 治療法の開発に光

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、血液中のタンパク質が尿に大量に漏れる腎臓の難病「先天性ネフローゼ症候群」の初期症状を再現することに、熊本大学発生医学研究所などの研究チームが成功しました。

 腎臓の機能をつかさどる細胞の異常が、遺伝子操作で正常化することも確かめました。発病の仕組みの解明と有効な治療法の開発につながる可能性があるといいます。

 アメリカの科学誌「ステム・セル・リポーツ」(電子版)に31日、論文が掲載されました。

 先天性ネフローゼ症候群は、腎臓の中で血液から尿をこし取る細胞の濾過(ろか)膜が十分形成されていないために起こります。熊本大の西中村隆一教授(腎臓発生学)らの研究チームは、小児患者の皮膚から作製したiPS細胞で腎臓の組織を作り、濾過膜の形成が進まない状態を初めて再現しました。実際に、腎臓の組織になる途中の細胞をマウスに移植したところ、先天性ネフローゼの初期段階の症状が確認されたといいます。

 この小児患者は、濾過膜を構成する主要なタンパク質「ネフリン」の一部に異常があるものの、細胞の遺伝子操作で修復したところ、濾過膜の形成が進みました。このため、ネフリンの異常が病気の原因であると特定できました。

 先天性ネフローゼ症候群は根治が難しく、生後3カ月以内に血液中のタンパク質が大量に尿の中に漏れ出し、多くは2、3歳のうちに腎不全に至り、人工透析や腎臓の移植手術が必要となります。濾過膜の人工的な再現方法がないことが、研究の課題でした。

 熊本大によると、小児のネフローゼ症候群患者のうち2%程度は先天性とみられ、全国で100人弱の患者がいると推定されます。濾過膜の障害は、成人の腎臓病との関連も指摘されており、西中村教授は「濾過機能を持つ細胞に直接作用する薬を見付けられれば、他の種類の腎臓病治療でも効果が得られる可能性が出てくる」としています。

 2018年8月31日(金)

 

■90歳以上の結核患者、過去最多の1904人 外国人の結核患者も、1530人と過去最多

 昨年新たに結核を発症した患者について、厚生労働省は28日、90歳以上の患者数が1900人を超えて過去最多を更新したと発表しました。新規患者全体の7割が60歳以上で、厚労省は近く、高齢者施設に対し、検査などを呼び掛ける初の通知を出す方針。

 発表によると、2017年に新たに登録された結核患者は前年比836人減の1万6789人。年代別では80歳代が4822人(29%)と最も多く、70歳代3187人(19%)、60歳代2024人(12%)、90歳以上1904人(11%)と続きました。

 厚労省によると、結核が流行していた戦後の混乱期に感染して発症しなかった人が、高齢になって免疫力が低下し、発症するケースが多くなっています。厚労省結核感染症課の担当者は、「薬を飲めば治るので、検査を受けてほしい」と話しています。

 国内での外国人の結核患者も前年比192人増えて、1530人と過去最多となりました。2012年より461人増え、5年間で1・4倍になりました。アジア諸国からの外国人が多く、年代別では20歳代が774人と最も多く前年比62人増でした。   

 外国人の占める割合は、この20年で2%から9%に拡大しました。結核の多いアジア諸国から仕事や留学で来日する人の増加が背景にあるとみられ、専門家は診療体制の整備の重要性を指摘しています。

 結核は、結核菌がせきやくしゃみで空気感染し、主に肺で増えて発病します。世界保健機関(WHO)によると、世界の死亡原因のトップ10の一つで、2016年は新たに1040万人が発症し、170万人が死亡しています。

 国内の外国人患者は、結核が広がるフィリピンや中国、ベトナム生まれが多くなっています。これらの国から技能実習や留学で日本に入国する人が増えており、結核予防会結核研究所の加藤誠也所長は「発症した状態で入国したり、劣悪な環境で生活する中で発症して感染が広がったりするケースがある」と語っています。

 また、言葉や経済的な問題から適切な医療が受けられていないという課題もあります。医療通訳派遣に協力するNGOシェア(東京都台東区)副代表の沢田貴志・港町診療所長は「早期発見できれば、通院しながら治療できる。受け入れる以上、外国人への診療体制の整備も進めていく必要がある」と話しています。

 国内での感染拡大を防ぐため、厚労省は今年2月、日本の長期滞在ビザを申請する人に、母国で結核検査をしてもらう「入国前スクリーニング」の導入を決めました。出入国管理法は結核患者の入国を認めておらず、発病していないか治癒している証明がなければ、ビザを出さない仕組みにします。

 留学や就労などの3カ月超の滞在者を対象とし、検査や診療の質を保つため、証明書を出す医療機関は日本政府が指定します。日本で患者が多いフィリピン、中国、ベトナム、ネパール、インドネシア、ミャンマーの6カ国を優先し、早ければ今年度にも始めます。人口10万人当たりの新登録患者が年50人以上の約100カ国にも順次広げる方針といいます。

 2018年8月30日(木)

 

■「喫煙可の飲食店は入るのを避ける」が58% 民間シンクタンクが調査

 民間シンクタンクの「日本医療政策機構」が29日、「喫煙できる飲食店は58%の人が入店を避ける」との調査結果を発表しました。受動喫煙対策を強化する改正健康増進法は7月に成立し、2020年4月に施行される予定で、日本医療政策機構は「この結果をみて、飲食店は対応を考えてほしい」としています。

 調査は6月、全国の20歳以上の男女計1000人にインターネットで実施しました。回答した人のうち、現在喫煙している人の割合は21%でした。

 「行こうとしたお店が喫煙可だったら入るのを避けると思うか」との問いに58・1%が「思う」と答えました。特に女性で嫌煙傾向が強く、63%が「思う」と答えました。分煙の店についても25・1%が「思う」と回答。逆に、「禁煙の店を避けると思うか」と尋ねると15・1%が「思う」としました。「加熱式たばこによる受動喫煙の健康への影響が気になる」と答えた人も36%いました。

 改正健康増進法では、資本金が5000万円以下で、客席面積100平方メートル以下の既存の飲食店は、「喫煙可」と店頭に表示などをすれば経過措置として店内での喫煙が認められます。加熱式たばこも専用の喫煙室を設けて分煙すれば、飲食しながらでも喫煙できます。飲食店経営者の中には「禁煙にすると来店者が減る」と懸念する声がありますが、国民の嫌煙志向が色濃く出た調査結果といえ、対応を迫られそうです。

 日本医療政策機構シニアアソシエイトの今村優子さんは、「飲食店ではたばこを避けたいと思う人が多いことを結果は表しており、店側は禁煙対策を一層推し進める必要がある」と指摘しています。

 日本医療政策機構は、「自分や身近な人の終末期(人生の最終段階)に受ける医療」についても調査。「身近な人と話し合いたい」と回答した人が66・4%いる一方、「具体的に話し合ったことがある」とする人は25・4%にとどまりました。

 「身近な人と話し合いたい」と回答した人の割合を年代別にみると、50歳代以上では7割を超え、自分や身近な人の「死」を明確に意識していることが窺えます。一方、「死」を身近に感じる機会の少ない20歳代でも半数を超えています。「具体的に話し合ったことがある」とした人の割合を年代別にみると、60歳代以上では3割を超えている一方、40歳代以下では2割に届いていません。

 厚生労働省は終末期の治療方針をまとめた「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」を公表していますが、89・2%が「知らない」と答えました。

 2018年8月30日(木)

 

■エアコンせきに注意が必要 猛暑で症状訴える人増える

 全国各地で厳しい暑さとなり、熱中症で体調を崩す人や亡くなる人が続出しています。テレビや新聞、インターネットなどさまざまなメディアに医師が登場し、エアコンをつけるように」と注意喚起していますが、一方でエアコンの冷房が効いた部屋などにいると、せきが止まらないという症状を訴える人が増えています。

 東京都豊島区の呼吸器科がある池袋大谷クリニックでは、7月からエアコンの冷房の効いた部屋に入ったり電車に乗ったりした時に、せき込んでしまうという症状を訴える患者が昨年に比べて1・3倍に増えているということです。

 池袋大谷クリニックの医師によりますと、風邪とは異なり、2週間以上せきが止まらなくなる、いわゆる「エアコンせき」という症状で、エアコンの冷たい空気が気道を刺激してせきが出やすくなるほか、エアコン内部のカビやほこりが引き金になることもあるということです。

 処置をしないでいると、激しいせきで眠れなくなったり、ろっ骨を折ったりするほか、悪化させれば気管支ぜんそくや肺炎になることもあるため、早めに医療機関で受診するよう呼び掛けています。

 また、自宅でできる対処としては、エアコンを定期的に掃除することや、内部のカビの繁殖を防ぐため、外出の際などにタイマー設定をした上で、15分程度送風モードで運転しエアコン本体を乾燥させること、さらに、外気と室内の寒暖差が激しいと気道を刺激してせきが出やすくなるため、エアコンの温度をあまり下げすぎないように心掛けてほしいとしています。

 池袋大谷クリニックの院長の大谷義夫医師は、「厳しい暑さで、一日中エアコンをつけている人も多い。効率よく涼もうとして風を人に向けがちですが、冷気が当たれば気道を刺激するだけでなく、体が冷えすぎて血流障害を起こします。『人を冷やすのではなく部屋の温度を下げる』ことを心掛けてください。ほとんどのエアコンは風向きの調節ができますが、空気は暖ければ上、冷たければ下にたまる性質があるので、サーキュレーターや扇風機を併用して部屋全体の温度を均一に保つようにしてみるのも一つの方法です」と話しています。

 2018年8月30日(木)

 

■性別適合手術、ホルモン療法と併用は保険適用外 適用を求める声も

 体の性と心の性が一致しない「性同一性障害(GID)」の治療として、子宮や精巣を摘出するなどの性別適合手術が、4月から公的医療保険の対象となり、手術代の自己負担が原則1~3割になりました。高額療養費制度の対象にもなり、一定の負担ですみます。

 GID学会理事長で岡山大学の中塚幹也教授(産婦人科)は10年ほど前から、厚生労働省に保険適用を要望し続けてきており、「やっと風穴が開いた」と喜んでいます。「就職前に性別を変えておきたい」と願う若者もいますが、経済的に余裕がなく、断念する人も多いといいます。手術代は医療機関ごとに異なるものの、岡山大学病院なら、女性から男性に体の性を変えるため乳房を切除し子宮や卵巣も摘出すると、入院費も含めて約140万円かかります。

 厚労省が方針を変えたのは、性的マイノリティーへの社会的認知が広がってきたことや、GIDの治療を手掛ける認定医が増えてきたことがあります。2015年にGID学会が治療の安全性を確保するために「診療実績が20人以上」などを要件に認定医制度を創設。2017年9月時点で10都道府県に計18人います。GID学会は2020年ごろまでに都道府県ごとに診療拠点をつくれるよう、認定医を50人程度養成したい考えです。

 しかし、性別適合手術と自由診療のホルモン療法を併用すると、保険が効かなくなります。専門家からはホルモン療法にも保険適用を求める声が出ています。

 四国に住む飲食店店長(38歳)は、女性という性別に違和感を持ちながら生活してきました。ただ、家族が理解してくれるのを待ち、治療はしてきませんでした。女性の制服を着る職業を避けるなど、できるだけストレスがかからないように暮らしてきました。

 だが、「40歳を前に、このまま治療せず後悔したくない」と考え、性ホルモン製剤を使い、心の性に体の性を近付けるホルモン療法を始めると昨年、決めました。

 いざ治療を開始しようとした時、2018年度から性別適合手術が保険適用になると知りました。ただし、ホルモン療法は自由診療のまま。ホルモン療法を受けてしまうと、保険診療と自由診療を併用する「混合診療」となり、手術代も自己負担になってしまう、と医師から聞かされました。

 このため、ホルモン療法は後回しにし、岡山大学病院で8月中旬、まず保険が効く乳房切除手術から受けました。保険適用によって約60万円の費用は、約20万円に抑えられました。胸を押さえ付ける服を着る必要もなくなり、今後、ホルモン療法を始めるといいます。

 法務省などによると、これまでに国内で戸籍上の性別を変えた人は約7000人。半数以上はタイなど国外で性別適合手術を受けたと見込まれていいます。

 今年4月から性別適合手術が公的医療保険の対象となったといえど、すでにホルモン療法を受けている性同一性障害の人が大半とみられ、飲食店店長のように保険が効くケースはごく一部の人に限られます。

 岡山大の難波祐三郎・ジェンダーセンター長(形成外科)によると、卵巣や精巣をとったり、膣(ちつ)や陰茎をつくったりする手術では、手術後に継続的に使うことになる性ホルモン製剤によって、副作用などの問題が起きないか、あらかじめ使ってみて調べることが一般的。混合診療になってしまい、手術に保険が効かなくなるといいます。

 中塚教授は、「学会としても引き続き、ホルモン療法の保険適用に向けても訴えていきたい」としています。

 2018年8月29日(水)

 

■千葉県で典型的な症状がない風疹感染例も 感染はさらに拡大の恐れ

 首都圏を中心に風疹(三日ばしか)の患者の増加が続く中、全国で患者数が最も多い千葉県で、発熱などの典型的な症状が出ない感染例が確認され、千葉県保険医協会は医師らに対し見逃しがないよう慎重な診断を求める緊急の呼び掛けを行うことになりました。

 風疹の患者は7月下旬以降、首都圏を中心に患者が増えており、千葉県で8月19日までに報告された今年の患者数は62人と全国最多となっています。 こうした中、千葉県内の医療関係者によりますと、今月発疹が出て千葉市内の診療所を訪れた男性について、発熱や首の後ろのリンパ節のはれといった典型的な症状はなかったものの、診療所が風疹を疑って保健所に検査を依頼したところ、感染が確認されたということです。 男性は69歳で、感染しやすい世代とされている30歳代から50歳代にも該当していませんでした。

 これを受けて千葉県保険医協会は、県内の医師に対し風疹を見逃すことがないよう慎重な診断を求める緊急の文書を送ることを決めました。

 千葉県保険医協会副会長の細山公子医師は、「症状が軽くても人に感染する可能性があるので拡大を防ぐため、今は風疹の可能性があると意識して診断しなくてはならない。また風疹にかかったことがない人やワクチンを打ったことがない人は、妊婦や赤ちゃんを守るために、ぜひ予防接種を受けてほしい」と話しています。

 一方、国立感染症研究所の多屋馨子(けいこ)・感染症疫学センター第3室長は、「風疹は2013年に大きな流行があった時も、その2年前から患者数が増えていて、今年も同じように来年や再来年にさらに患者が増加する恐れがある状況だとみている。今月19日までのまとめでは感染は首都圏が中心だが、お盆や夏休みで人の移動が多い時期だったので今後はほかの地域にも広がる恐れがあり、十分に注意してほしい」と分析しています。

 その上で、「感染を防ぐためには何よりワクチンが有効だ。特に、妊娠する前の女性は自分が2回ワクチンの接種を受けた記録があるかどうか、すぐに確認してはっきりとしない場合にはワクチン接種をしてほしい。また、妊娠中の女性はワクチンを接種できないので、家族や職場の同僚など妊婦の周りにいる人は風疹に感染した経験がなくワクチンを2回接種した記録もない場合は、ワクチン接種が必要か検討するとともに特に30歳代から50歳代までの男性は免疫がない人が多いので、積極的に検討してほしい」と話しています。

 2018年8月29日(水)

 

■虐待入院の長期化、厚労省が受け皿確保を求める 施設整備・里親確保など

 親からの虐待を受けて病院に入院した子供が、治療が終わっても受け入れ先がないなどの理由で退院できなくなる問題について、厚生労働省は近く、全国の児童相談所に通知を出し、受け皿確保の対策を求めることになりました。

 厚労省の調査によりますと、昨年3月までの1年間に虐待を受けて保護され、1カ月以上病院に入院した子供のうち3割に当たる63人が、治療が終わった後も退院できませんでした。

 施設に空きがなく受け入れ先がなかったことが主な理由で、必要のない入院の期間は、半数あまりが1か月以上に上り、中には1年以上続いた子供もいました。また、虐待入院を経験した年齢については、生後間もない乳児から中学生以上の幅広い層に広がっていました。

 これを受けて厚労省は、29日にも全国の自治体や児童相談所に対して通知を出し、対策を求めることになりました。

 具体的には、受け皿となる施設の整備や里親の確保を進めるとともに、病院と連携して入院初期の段階から受け入れ先を探すことなどを求めることにしています。

 また、治療のために入院の長期化が避けられない場合でも、生活環境の改善が必要だとして、子供の身の回りの世話をする児童相談所の職員を病院に派遣するよう求め、自治体が補助金を利用できるようにしました。

 厚労省は、「必要のない入院をなくし、子供たち1人1人に適した家庭的な環境での生活を退院後すぐ始められるようきめ細かに支援したい」と話しています。

 2018年8月29日(水)

 

■特定の筋ジストロフィー、酸化ストレスで悪化 iPS細胞使い解明、京大

 顔や肩などを中心に筋肉が徐々に衰える難病「顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)」の原因遺伝子は、酸化ストレスにより活発に働くようになることが、患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いた研究でわかったと、京都大学の桜井英俊准教授(再生医学)らの研究チームが27日、発表しました。

 酸化ストレスは、過剰な運動や筋損傷、炎症により生じた活性酸素が細胞を傷付けます。この反応が病状進行を早めることに関与しているとみており、病気のメカニズム解明や治療薬開発に生かしたいとしています。

 研究チームによると、この顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーは、骨格筋の細胞を死滅させるなど毒性をもたらす遺伝子「DUX4」が働くのが原因となって筋力が低下する遺伝性疾患で、根本的な治療法はありません。国内患者は推計6000人。患者ごとに症状の進行具合に違いがあるため、DUX4の働きの活発化には運動や紫外線など外的要因もかかわっているとみられていました。

 研究チームは、外的要因として酸化ストレスに注目しました。患者2人の皮膚や血液の細胞から作製したiPS細胞から骨格筋細胞を育成。患者から作ったiPS細胞は病気の特徴を持つことを利用し、体外の実験で、この骨格筋細胞に活性酸素として過酸化水素を加えて酸化ストレスを与えた結果、DUX4の働きが活発化することが判明しました。

 酸化ストレスはさまざまな病気で影響が指摘されていますが、筋ジストロフィーの悪化にかかわることを突き止めたのは初めてといいます。

 研究成果は、イギリスの科学誌電子版に掲載されました。

 2018年8月28日(火)

 

■エイズウイルス感染・発症、2017年は1389人 11年ぶりに1400人を下回る

 厚生労働省は27日、2017年1年間に新たにわかったエイズウイルス(HIV)感染者とエイズ患者が計1389人だったとする確定値を発表しました。前年より59人減少し、11年ぶりに1400人を下回りました。

 厚労省のエイズ動向委員会は、「各保健所による無料の検査などで早期発見が進み、感染拡大を防げているのではないか」と分析しています。

 内訳は、エイズウイルス感染者が前年比35人減の976人、すでに発症していたエイズ患者が24人減の413人。若い世代の感染も目立ち、20歳代から30歳代が感染者全体の半数以上を占めているということです。合計の国籍別では、日本国籍が86人減の1193人となった一方、外国籍が27人増の196人となりました。

 エイズウイルスに感染してからエイズが発症するまではおよそ10年の潜伏期間があり、自覚症状がほとんどないため、この間に感染が広がる恐れがあると指摘されています。しかし、エイズウイルスに感染しても、現在は治療で発症を抑えられます。

 エイズ動向委員会は、「早期の発見と治療が周囲への感染拡大を防ぐ。保健所などで無料で匿名の検査が受けられるので、積極的に利用してほしい」と呼び掛けています。

 2018年8月28日(火)

 

■障害者雇用の水増し、計3460人 中央省庁の8割で

 中央省庁が雇用する障害者数を水増ししていた問題で、厚生労働省は28日、各省庁を再点検した結果、計3460人分が国のガイドラインに反して不正に算入されていたと発表しました。障害者数の約半分が水増しだったことになります。雇用の旗振り役である中央省庁自らが数値を偽っていたことになり、制度の信頼が大きく揺らいでいます。

 障害者数の水増しは、内閣府や総務省、国土交通省など全体の約8割に当たる27の機関で発覚しました。法務省や財務省、外務省、気象庁、公正取引委員会などでも見付かりました。実際の雇用率は大きく減少し、公表していた2・49%から1・19%に落ち込みます。

 障害者数の水増しが最も多かったのは国税庁で約1020人、次いで、国土交通省の約600人、法務省の約540人などとなっています。雇用率が0%台なのは、総務省や法務省、文部科学省など計18機関になりました。

 加藤勝信厚生労働相は28日の閣議後の記者会見で。「障害者施策を推進する立場として深くおわびを申し上げる」と頭を下げました。水増しの原因は「故意か理解不足によるものか、今回の調査では判断し切れない」と述べました。

 障害者雇用促進法は、企業や公的機関に一定割合の障害者を雇うよう義務付けています。現在の国の法定雇用率は2・5%。厚労省は国の33行政機関の障害者雇用数について昨年6月時点で約6900人とし、当時の法定雇用率2・3%を達成したとしていました。

 厚労省のガイドラインでは、障害者手帳などの確認を算定条件にしています。しかし、多くの省庁が手帳などを確認せず障害者として組み入れていた実態が明らかになりました。就業できるはずだった障害者の雇用機会を奪っていた可能性があります。

 企業の場合は法定雇用率を下回ると、不足数1人当たり月額5万円の納付金を求められます。ペナルティーがない行政機関が不適切な算定をしていたことに対し、民間などからの批判が高まるのは必至。水増しは全国の自治体でも、相次いで発覚しています。

 政府は28日午前、障害者雇用の水増し問題を巡り、関係閣僚会議を首相官邸で開きました。菅義偉官房長官は、加藤厚生労働相を議長として再発防止策などを検討する関係府省連絡会議を設置すると表明。関係府省連絡会議のもとに、弁護士など第三者も参加する検証チームを設置するとともに、地方公共団体にも点検を要請して、10月をめどに、チェック機能の強化や法定雇用率の達成に向けた政府一体の計画を取りまとめる考えを示しました。

 2018年8月28日(火)

 

■風疹患者が首都圏中心に急増 千葉県・東京都が群を抜く

 国立感染症研究所は28日、今月13~19日までの1週間で新たに43人増え、今年に入り全国で計184人になったと発表しました。数十人規模で患者が急増するのは、国内では大流行した2012~2013年以来。

 国立感染症研究所は、妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出る恐れがあるため、特に、今後、妊娠する可能性のある女性や妊婦の家族などはワクチン接種が必要か検討してほしいとしています。

 都道府県別の患者数は、千葉県62人(前週比20人増)と東京都47人(同8人増)が群を抜いて多く、埼玉県で11人、神奈川県と福岡県で9人などとなっており、首都圏の患者が全体のおよそ7割を占めています。予防接種の機会が少なく、免疫がない30~50歳代の男性が多くなっています。

 風疹の症状は発熱や発疹などですが、症状が出ない人も3割程度います。くしゃみやせきなどで感染し、潜伏期間は2~3週間。妊娠初期の女性が感染すると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれ、心疾患や難聴、白内障などの障害が出る恐れがあります。

 予防には2回のワクチン接種が有効ですが、妊娠している人は受けられません。国立感染症研究所の多屋馨子(けいこ)・感染症疫学センター第3室長は、「妊婦の周囲の人、パートナーはワクチン接種など予防策をとってほしい」としています。

 2018年8月28日(火)

 

■不妊治療の費用をサポートする民間保険が拡大 男性を対象にした商品も

 不妊治療の費用を支援する民間保険の商品が拡大しつつあります。公的医療保険制度が適用されない体外受精や顕微授精といった「特定不妊治療」を受診した時などに、給付金を受け取れます。高額な治療費の負担を軽減する一助になりそうです。

 不妊治療は、一部を除き公的医療保険が適用されずに費用が高額となるため、国や自治体が助成制度を導入しています。

 三井住友海上あいおい生命保険は今年4月、医療保険「新医療保険A(エース)プレミア」に付加する女性向け特約を新たに販売しました。16~40歳が対象となります。

 日本国内の病院や診療所での特定不妊治療が対象。体外受精や顕微鏡下で精子を卵子の中に送る顕微授精の治療の過程で、受精卵を子宮に戻す胚(はい)移植の費用を12回まで保障します。6回までは1回につき2万5000円、7回目からは1回5万円を給付します。

 一般に体外受精などは1回30万~40万円といった高額な費用がかかります。自治体などの公的助成と合わせて活用することで、負担を軽減できそうです。三井住友海上あいおい生命保険の担当者は、「治療を経験する人が増えており、社会的な課題の解決に役立てれば」と話しています。

 保険料はどの年代も、特約のみでほぼ月5000円台。出産時やがんと診断された際にも、給付金を受け取ることができます。

 アクサ生命保険が2017年9月に発売した日帰り手術後の通院も保障する医療保険「スマート・ケア」は、手術給付金としてサポートします。胚移植などに加えて、男性の精巣や精巣上体からの採精も対象となるのが特長。給付金は1回のみで、契約内容によって異なるものの、最大5万円が支払われます。保険料は、通院治療の基本給付金が1万円のコースで30歳代の男性の場合は月3000円台。

 アクサ生命保険の担当者は「治療は女性だけではなく男性も受けるので基本保障に組み込んだ」と説明しています。

 業界で先駆けて2016年10月、16~40歳の女性を対象とした医療保険「シュシュ」を発売したのは、日本生命保険です。がんなど三大疾病や出産時のほか、特定不妊治療を受けた際に給付金が受け取れることが特長で話題となりました。

 採卵や胚移植の費用を12回まで保障。6回目までは1回につき5万円、7回目からは1回10万円を給付します。保険料はどの年代も月1万円前後。日本生命保険の担当者は「問い合わせも増え、順調に販売数が伸びている」としています。

 2018年8月27日(月)

 

■学校給食が思春期男子の過体重や肥満抑制に効果 東大チームが調査

 日本の学校給食プログラムは、思春期男子の過体重や肥満を低減させる可能性があると、東京大学の小林廉毅(やすき)教授(公衆衛生学)らの研究チームがイギリスの学術誌に発表しました。一方で、思春期女子では過体重などの有意な低減効果はみられなかったといいます。

 小児や思春期の若者における肥満増加は世界的な問題とされていますが、世界各国に比べて日本の肥満率は低いとされています。その要因の一つに学校給食プログラムの影響が指摘されていますが、明確な証明は得られていませんでした。研究チームは今回、過去10年間で中学校の給食の実施率が上昇した点に着目。政府統計の公開データを用いて、主食とおかずがセットになった完全給食が思春期男女の肥満に及ぼす影響を調べました。

 研究チームは、文部科学省による学校給食実施状況等調査・学校保健統計調査の公表データを用いて、2006~2015年の都道府県ごとの給食実施率と栄養状態の指標(過体重と肥満、やせの生徒の割合)、平均身長、平均体重のデータを性および年齢別(中学2年~高校1年の13~15歳)に抽出。パネルデータ分析の手法を用いて、都道府県レベルにおける給食実施率の前年からの変化が栄養状態の指標などに及ぼす影響について調べました。なお、調査によると、学校給食の実施率が90%以上の都道府県の割合は、2006年の約半数から2010年には5分の3、2015年には3分の2を占めるまでに増加したといいます。

 解析の結果、都道府県レベルの学校給食の実施率が10%増えると、男子では翌年の過体重(標準体重プラス20%以上30%未満)の割合は0・37%、肥満(標準体重プラス30%以上)の割合は0・23%低下することがわかりました。2015年の学校保健統計調査の報告(中学生男子の約10%が過体重、約5%が肥満)を踏まえると、学校給食の実施率の10%増加は1年間で過体重の男子の3・7%、肥満の男子の4・6%が減少することを意味するといいます。

 一方で、男子に比べて食べる量が少ない女子では、学校給食の実施率の向上により過体重や肥満の減少傾向はみられましたが、統計学的に有意な結果ではありませんでした。また、学校給食の実施率によるやせの割合や平均体重、平均身長への影響は、男女ともにみられませんでした。

 これらの結果を踏まえ、研究チームは「日本の思春期の生徒を対象とした大規模データを用いて、学校給食プログラムによる過体重や肥満の低減効果を実証した研究は今回が初めて。学校給食を介して適切な栄養基準に基づいた食事を提供することは、思春期の肥満を減らす有効な施策の一つになると思われる」と話しています。

 2018年8月27日(月)

 

■プラスチック製ストローの使用中止広がる 紙製や金属製の販売が増加

 海洋汚染対策としてプラスチック製ストローの使用をやめる動きが広がる中、代替品として紙製ストローや金属製ストローの販売が伸びています。生活雑貨店のロフト(東京都千代田区)では、紙製ストローの売れ行きが前年の2・5倍になりました。食器の産地である新潟県燕市のメーカーも、金属製のストローの生産を増やしています。マイ箸に続き、マイストローのブームが来れば金属製の需要はさらに伸びそうです。

 ロフトでは、7月の紙製ストローの売り上げが全店で前年同月と比べ2・5倍となりました。環境意識の高い30~40歳代の女性や、インバウンド(訪日外国人)などからの人気が高いといいます。

 このうち渋谷ロフト(東京都渋谷区)では、7月下旬から紙製ストローとアルミ製ストローを取り扱い始めました。プラスチック製ストロー撤廃の動きを受け、「今後、プラスチックではない、異素材のストローの種類をさらに増やすことを検討している」といいます。

 金属加工が盛んで食器の産地でもある新潟県燕市のメーカーも、マイストローブームに沸いています。チタン加工のホリエでは、5年前から販売する「チタン ストラー」が再注目されていて、月1万本の注文に対して、現在は月産2000本しか生産できていないため、販売を一時止めています。

 この商品はストローとマドラー両方に使えるほか、チタン製でさびにくい点も支持を集めているようです。価格は1本700円で、グリーンやパープルなどカラフルな色が特徴です。同社の堀江拓尓会長は、「年内には販売を再開したい」と語っています。

 アイデアセキカワは来月に、ステンレス製ストローを発売します。これまでもアルミ製ストローを販売していましたが、プラスチック製ストロー撤廃の動きを受け、7月に開発を始めたといいます。アルミ製ストローの受注も7月に入り増え始めました。受注数は「肌感覚では2倍ぐらい」になっているといいます。

 アメリカの宝飾品大手のティファニーも、2017年11月から異素材ストローを販売しています。価格は3万8340円~5万3460円で、シルバー製や金メッキ製3種類をそろえています。ギフトとして購入していく人が多いといいます。

 プラスチック製ストローを巡っては、アメリカのコーヒーチェーン大手のスターバックスが2020年までに全世界で廃止の方針を示すなど、使用取りやめが世界的潮流です。日本でもファミリーレストラン「ガスト」全店で2020年までに原則廃止する方針を示し、今後も同様の動きが広がる模様。代替素材のストローの需要は、さらに増える可能性があります。

 一方、代替素材のストローは,、課題もあります。紙製ストローは、プラスチック製ストローに比べて液体に弱く、硬度を失いやすいとされます。金属製ストローは、洗浄に手間がかかります。

 2018年8月27日(月)

 

■厚労省、医師限定の残業規制を導入へ 緩く設定し、救急救命や産科は上限見送りも

 厚生労働省は、医師に限定した残業規制を2024年度に導入する方針です。残業時間の上限を一般の労働者に2019年4月から順次適用される年720時間よりも緩く設定し、救急救命や産科など長時間の対応が必要な診療科にはさらに例外規定をつくります。

 一般労働者と同じ規制だと医師不足などで医療現場が混乱しかねないため、独自のルールが必要だと判断しました。

 医師の長時間労働は他産業に比べても深刻で、労働環境の改善が必要。しかし、一般労働者向けの残業上限規制をそのまま適用すると、現場の医師不足に拍車がかかるなど、医療の質が保てなくなる懸念がありました。

 正当な理由なく患者の診療を拒めない「応召義務」が医師法で定められるなど医師という職業の特殊性もあり、政府は残業規制の制度設計の過程で医師への適用を2024年度まで延期。残業抑制策の在り方を別途検討し、今年度中に結論を出すことにしていました。

 厚労省は医師の残業上限を一般労働者の年720時間よりも緩くする方向で、厚労省内では「最大でも年960時間」との意見があります。

 さらに、業務の性質上、長時間労働になりがちな救急救命や産科などで働く医師には例外規定を設け、規制を一段と緩める方向です。こうした診療科には、上限そのものの設定を見送る可能性があります。ただ、例外扱いになる場合でも、産業医との面談など健康確保措置を義務付け、労働時間の正確な把握など長時間労働を抑える仕組みを整えます。

 医師の働き方改革を進める観点から、「応召義務」は見直します。今は医師個人の義務と規定されているので、診療時間外の対応なども当然視される一因になっていました。厚労省は応召義務を「組織として果たすべき義務」に改め、複数の医師や看護師などが連携して対応するチーム医療を想定し、医師個人への負担を和らげます。

 一般労働者向けの枠組みでは努力義務となっている勤務間インターバル制度の導入も、積極的に促します。医療界の一部が要望している医師向けの裁量労働制などの仕組みの創設は、見送る方向です。

 2018年8月26日(日)

 

■介護職員の2017年度の離職率は16・2% 前年度より0・5ポイント改善

 介護職員の2017年度の離職率は16・2%で、前年度より0・5ポイント改善したことが、厚生労働省所管の公益財団法人「介護労働安定センター」が公表した介護労働実態調査で明らかになりました。

 調査は2017年10月、全国の介護事業所を対象に無作為抽出で行い、8782事業所(回答率49・8%)が回答しました。

 1年間に辞めた職員の割合を示す離職率は、利用者宅を訪問する訪問介護員では14・8%、高齢者施設などで働く介護職員は16・7%でした。

 一方、1年間で新たに採用した職員の割合を示す採用率は17・8%で、前年度より1・6ポイント減少。

 従業員が「大いに不足」「不足」「やや不足」していると感じている介護事業所は66・6%で、前年度より4・0ポイント増加し、4年連続の上昇となりました。

 不足の理由を複数回答で尋ねたところ、「採用が困難」が88・5%(前年度73・1%)で最多、次いで「離職率が高い」が18・4%(前年度15・3%)、「事業拡大によって必要人数が増大」は10・8%(前年度19・8%)でした。採用が困難な原因を複数回答で尋ねると、「同業他社との人材獲得競争が厳しい」「他産業に比べて、労働条件などがよくない」がそれぞれ半数以上を占めました。

 今回の調査は、外国人労働者の活用についても初めて質問。すでに働く外国人が「いる」としたのはわずか5・4%で、「活用する予定はある」が15・9%でした。このうち受け入れ方法を複数回答で尋ねたところ、介護が新たに対象職種となった「技能実習生」が51 ・9%と最も多く、「経済連携協定(EPA)」が39・5%でした。

 2018年8月24日(金

 

■iPS細胞による角膜移植の臨床研究を申請、審査 大阪大学

 目の角膜が傷付いた患者にiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した角膜の組織を移植し、視力を回復させる臨床研究の計画を、大阪大学の研究チームが学内の委員会に申請し、初めての審査が行われました。承認されれば今後さらに国に申請し、今年度中に1例目の実施を目指したいとしています。

 この臨床研究は大阪大学大学院医学系研究科の西田幸二教授(眼科学)などの研究チームが学内の専門家委員会に申請したもので、22日初めての審査が行われました。

 角膜は目の黒目の部分を覆う透明な膜で、病気やけがなどで傷付くと視力が低下し、症状が重い場合は亡くなった人から提供された角膜を移植する治療が行われています。一方で、アイバンクから提供される角膜は慢性的に不足しているため、約2000人の患者が移植の順番を待っています。

 今回の計画は移植しても拒絶反応が起きにくい特殊なiPS細胞から角膜の基になる細胞を作り、直径3・5ミリ、厚さ0・05ミリの円形のシート状にして数人の患者に移植するもので、1年間かけて安全性や効果を検証するということです。

 研究チームによりますと、今回の審査では患者への説明文書の改善などを求める意見があって結論が出ずに、次の専門家委員会でさらに議論が行われるということで、学内の承認が得られればさらに国の審査をうけた上で、今年度中に1例目の手術の実施を目指したいとしています。

 西田教授は、「およそ10年かけて今回の手法を作り上げてきた。よりよい治療法を患者に届けるためにじっくりと計画を進めたい」と話しています。

 今回大阪大学の研究チームが目指すのは、目の黒目の部分を覆う角膜の最も表面の組織である「角膜上皮」の病気「角膜上皮幹細胞疲弊症」の治療です。

 角膜上皮は厚さ0・05ミリで、けがや病気によって角膜上皮を作り出す細胞が傷付くと組織の再生能力が失われ、移植による治療が必要となります。

 研究チームは一昨年、人のiPS細胞に特殊なタンパク質を加えて培養することで、目のさまざまな組織の基になる細胞を効率よく作ることに成功しており、これを基にシート状の細胞組織を作りました。

 シートには数百万個の細胞が含まれ、ウサギの目に移植した研究では拒絶反応などはみられなかったということです。

 研究チームでは、これまでも口の粘膜の細胞を基に角膜上皮シートを開発してきましたが、iPS細胞を使うことで、より高い効果が得られることが期待できるとしています。

 iPS細胞を使った臨床研究は、理化学研究所などが目の難病ですでに実施しています。大阪大学の別の研究チームが今年度中にも重い心臓病で行う準備を進めているほか、慶応大学が脊髄損傷などで学内の委員会に申請しました。また、京都大学はパーキンソン病で、臨床研究より実用化に近い段階で行う臨床試験(治験)の患者募集を始めています。

 2018年8月23日(木)

 

■7月の熱中症搬送、過去最多5万4220人に上る 総務省消防庁が発表

 総務省消防庁は22日、7月に熱中症で救急搬送された人が全国で5万4220人に上ったとの確定値を発表しました。前年7月の2万6702人の2倍を超え、1カ月間の搬送人数では2008年の調査開始以降、過去最多。搬送者のうち133人が死亡し、これも過去最多でした。

 7月中旬以降、40度以上の気温となる地点が相次ぎ、猛烈な暑さが続いたことが影響しました。

 また、7月16日~22日の1週間に熱中症で救急搬送された人は2万3191人、死亡者は67人を数え、1週間ごとの搬送人数および死亡者数として2008年の調査開始以降、過去最多となりました。

 年齢別の搬送人数では、高齢者(65歳以上)が48・4%と最も多く、成人(18歳以上65歳未満)が36・2%、少年(7歳以上18歳未満)が14・3%、乳幼児(生後28日以上7歳未満)が1・0%。発生場所は、住居が42・8%を占め、道路が12・6%、公衆(屋外)が11・8%と多かったほか、教育機関も7・2%ありました。

 都道府県別の搬送人数では、大阪府の4432人が最も多く、東京都4430人、愛知県4064人、埼玉県3316人、兵庫県2809人と続きました。人口10万人当たりの搬送人数は、岡山県が74・94人と最多で、次いで岐阜県67・13人、京都府66・08人、奈良県65・31人、群馬県64・16人の順でした。

 今年の累計搬送人数は7月が大きく膨らんだことで8月19日までに、すでに8万人以上となり、過去最多だった2013年の約5万9000人を超えています。

 消防庁では、「熱中症は正しい知識を身に着け、適切に予防することで、未然に防ぐことが可能」として、予防の大切さを強調。今後も引き続き、厳しい暑さが続く見込みであることから、「日陰や涼しいところで休憩をとる」「こまめに水分補給を行う」「屋外では帽子をかぶる」など、予防対策を心掛けるよう呼び掛けています。

 2018年8月23日(木)

 

■イオン、輸入ワイン1万2000本を自主回収 ボルト破損の恐れ

 流通大手のイオンは23日、イタリア産の輸入ワイン「セッテソリ フリザンティーノ」と「セッテソリ フリザンティーノ セミスウィート」の計1万2000本を自主回収すると発表しました。

 コルク栓を抜く時にボトルが破損し、購入客2人が足にけがをした事例があり、発泡性のワインのためボトルに圧力がかかり、割れやすくなっている可能性があるといいます。

 商品は6月24日から8月16日まで、全国のイオンやダイエー、マックスバリュなど390店舗で販売しました。ワインの中身の品質に問題はなく、飲んでも健康への影響はないと説明しています。

 購入した店舗に商品を持参するなどすれば、代金を返却します。問い合わせは、イオンお客さまセンター(0120・937・898)へ。平日と8月25、26日の午前10時~午後5時に対応します。

 2018年8月23日(木)

 

■風疹、首都圏を中心に流行の兆し 妊婦の家族、ワクチン接種を

 ウイルスで感染する風疹の患者が、首都圏を中心に増えています。国立感染症研究所は21日、「流行が始まっている可能性が高い」として注意を呼び掛ける緊急情報を出しました。

 今年に入ってからの患者数は12日現在で139人で、昨年の年間患者数93人を大幅に上回っています。風疹は妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに障害が出る恐れがあります。

 国立感染症研究所によると、7月下旬から患者が急増し、千葉県41人、東京都39人、埼玉県9人と首都圏に患者が集中していますが、福岡県7人、北海道6人など地方でも発生しています。過去のワクチン接種方法の変更の影響で接種率が低い30~50歳代の男性が、特に多くなっています。

 風疹は主に、くしゃみやせきなどのしぶきによって感染します。14~21日間の潜伏期間を経て、発熱や発疹、リンパ節のはれが出ます。人への感染は、発疹が出る1週間前から起こります。

 妊娠20週ごろまでの妊婦が感染すると、赤ちゃんが心臓病や難聴になる恐れがあります。妊婦はワクチン接種を受けられないため、家族や周囲の人の注意が欠かせません。大流行した2012~2013年は2年間で1万6000人超の患者が出て、45人の赤ちゃんの障害が報告され、少なくとも11人が肺炎などで死亡しました。自治体によっては、妊婦やパートナー向けに風疹の抗体検査や予防接種の費用を助成しているところもあります。

 国立感染症研究所感染症疫学センターの多屋馨子(けいこ)室長は、「風疹は流行すると2~3年続くことが多い。患者が増えている地域に住む人や勤める人で、罹患(りかん)歴や予防接種暦がないか不明の場合、ワクチンを検討して欲しい。女性は妊娠前に2回受けたほうがいい」と話しています。

 2018年8月22日(水)

 

■がん治療薬「オプジーボ」、薬価38%値下げ 3度目、11月から適用

 厚生労働省は22日、小野薬品工業のがん治療薬「オプジーボ」の薬価を下げると発表しました。今年度から導入された新ルールに基づくもので、現行の薬価と比べて38%の引き下げになります。11月から新価格を適用します。

 厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会に、厚労省が報告しました。厚労省は今年度から市場規模が350億円を超える薬について、市場拡大や、用法用量の変更があった場合、年4回の新薬の収載の機会に価格を調整するルールを設けました。

 オプジーボは高額薬剤の象徴としてやり玉に挙げられ昨年2月に50%引き下げられ、今年4月にも24%下がりました。今回、用量をこれまでの体重1キログラム当たり3ミリグラムから、体重に関係なく1回240ミリグラムの固定容量に変更しました。100ミリグラム入り2瓶と20ミリグラム入り2瓶を使い切ることができ、問題となっていた残薬が出なくなります。

 100ミリグラム入り1瓶の薬価は、現行の27万8029円から17万3768円に引き下げられます。  

 体重が軽い人には負担増となるものの、体重が重い人は負担が減ります。そのため今回の新ルール適用による小野薬品工業の業績への影響は、軽微とみられます。

 オプジーボは、小野薬品工業とBMSが開発した新規医薬品。がん細胞が持つ免疫抑制機能を解除し、異物を排除する免疫細胞の能力を高めることができます。すでに皮膚がんや肺がん、腎細胞がんなどさまざまながん治療に使用されています。

 2018年8月22日(水)

 

■7月の熱中症搬送、1万5775人 関東地方の1都6県で

 先月7月の1カ月間に熱中症で病院に搬送された人は、関東地方の1都6県で1万5700人余りに上り、昨年7月と比べて2倍以上に増えたことがわかりました。

 総務省消防庁のまとめによりますと、全国的に記録的な暑さとなった先月1カ月間に関東地方で熱中症で病院に搬送された人は合わせて1万5775人で、昨年7月の約2・4倍となりました。

 都県別では、東京都が最も多く4430人、次いで埼玉県が3316人、神奈川県が2419人、千葉県が2256人、群馬県が1266人、茨城県が1230人、栃木県が858人となっています。

 症状の程度は、死亡した人が24人、入院が必要な人が6438人で、このうち3週間以上の入院が必要な重症は552人、軽症が9311人でした。

 年齢別では、65歳以上が7277人とほぼ半数を占めたほか、18歳から64歳が6201人、新生児と乳幼児を含む18歳未満が2297人でした。

 一方、最新のまとめによりますと、今月8月13日から19日までの1週間に搬送された人は1075人で、前の週に比べて半分ほどに減ったものの、今年4月30日からの搬送者数は合わせて2万4900人余りに達しています。

 気象庁によりますと、この先1カ月も、関東地方は暖かい空気に覆われて晴れる日が多く、平年より気温が高くなる見込みで、総務省消防庁は適切に冷房を使いこまめに水分をとるなど、引き続き熱中症に十分注意するよう呼び掛けています。

 2018年8月22日(水)

 

■中国で「アフリカ豚コレラ」相次ぎ確認 国内でも警戒を

 感染力が強いため警戒が必要な豚の伝染病「アフリカ豚コレラ」に感染した豚が中国で相次いで確認されており、農林水産省は国内の畜産関係者に対して警戒を呼び掛けています。

 アフリカ豚コレラは、感染した動物との接触やダニが媒介して豚や猪が感染するウイルス性の伝染病で、感染力が強い上、豚はほぼすべて死ぬため、畜産関係者から強く警戒されています。予防や治療法はなく非常に致死率が高いものの、人間への感染の恐れはありません。

 従来はアフリカでの発生が中心でしたが、2007年ころから東ヨーロッパなどでも確認され、今月に入ってから中国の4つの養豚場などでアジアでは初めてとなる感染が確認されました。中国政府は警戒を強め、全国各地の養豚場などで監視を徹底するよう指示するとともに、感染が確認された養豚場などに指導員を派遣して、消毒や豚の処分それに人の出入りを制限するなど、感染の拡大防止に当たっています。

 これを受けて農林水産省は、国内の養豚業者に対して飼育場への人の出入りを最低限に抑えることや、餌の加熱処理の徹底など警戒を呼び掛けています。また、全国の空港や港では海外への渡航者に対して畜産施設に立ち寄ったり、家畜と接触したりしないほか、ウイルスに感染した肉はハムや餃子などに加工されても感染力が残ることがあるため、お土産だけでなく食べ残しも持ち帰らないよう呼び掛けています。

 感染が確認された中国の地域からの直行便がある空港では、検疫体制を強化しているということです。農水省動物検疫所・関西空港支所・立崎昌子次長は、「日本には今まで発生したことのない病気です。中国から入ってしまうと、日本の養豚業も壊滅的な打撃を受けます」と話しています。

 農林水産省国際衛生対策室の担当者は、「今後の中国での発生動向を注視しながら国内での発生を何としても防ぎたい」と話しています。

 2018年8月21日(火

 

■軽度認知障害、女性のほうが速く悪化 東大教授らのチームが分析

 認知症の前段階とされる軽度認知障害(MCI)の女性は、男性に比べて症状が速く悪化しやすいとの研究結果を東京大学教授の岩坪威さんらの研究チームがまとめ、アメリカの科学誌に発表しました。認知障害の悪化が速い女性には腎機能の低下がみられるという特徴もあり、生活習慣病の影響がうかがわれました。

 研究の対象は、全国の38医療機関で診療を受け、物忘れなどがみられた軽度認知障害の男女234人(平均年齢72歳)。認知機能や脳の画像の検査を続けて3年間追跡調査し、悪化の原因などを分析しました。

 その結果、期間内に認知症へ移行したのは女性が60%で、男性の44%より高くなりました。女性の場合、腎機能がわずかに下がると、認知機能も悪化していることがわかりました。男性の場合、教育を受けた期間が長いほど認知機能が悪化しにくかったといいます。

 認知症発症の主な原因とされるアルツハイマー病にかかっている人の割合は、研究に参加した男女間で大きな差はありませんでした。同じ方法で実施された北アメリカの研究では、認知機能の悪化に男女差はなかったといいます。

 データ解析を担当した東大講師の岩田淳さんは、「糖尿病や高血圧などの生活習慣病は腎機能を低下させるほか、動脈硬化を引き起こして神経細胞が壊され、認知機能の悪化を招く」と説明しています。その上で、男女差が生じた理由について、「女性は男性より体が小さいため血管も細く、生活習慣病で血管がダメージを受けやすいためではないか」とし、体格が影響しているとの見方を示しました。

 女性で腎機能の低下が認知機能にかかわっていることがわかった報告は初めてといい、研究チームは今後、認知機能の低下を進める他の要因も探します。

 2018年8月21日(火

 

■国立感染症研究所、初の薬剤耐性菌バンク設置へ 約600の病院と提携

 薬が効きにくい薬剤耐性菌による感染が問題となっていることから、病院で検出された薬剤耐性菌を集めて菌の特性や全国的な分布の状況を解析する初めての拠点を国立感染症研究所が整備することになりました。

 抗生物質などの抗菌薬がほとんど効かない多剤耐性菌に感染した人は、昨年、報告されただけで1700人以上に上るなど、薬剤耐性菌による感染が全国で問題になっています。

 このため国立感染症研究所は、病院で感染を引き起こした薬剤耐性菌を集めた「薬剤耐性菌バンク」を初めて設けることになりました。

 薬剤耐性菌バンクでは、およそ600の病院と提携して検出された薬剤耐性菌を集めて保管し、遺伝子を解析して菌の特性や全国的な分布状況を調べることにしています。また、薬剤耐性菌バンクでは、それぞれの薬剤耐性菌について有効な対処法を探し出して情報を共有し、病院の支援も行います。さらに、アメリカのCDC(疾病対策センター)が保管するおよそ400種類の薬剤耐性菌を譲り受け、国内から集めた菌とともに新しい薬の開発に活用することにしています。

 国立感染症研究所は、来年1月の運用開始を目指して3億円余りの費用をかけ、東京都東村山市の支所に専用の冷凍設備などを整備する方針です。

 国立感染症研究所薬剤耐性研究センターの菅井基行センター長は、「バンクができれば国内の薬剤耐性菌対策に大きく貢献できる」と話しています。

 2018年8月20日(月)

 

京大、血液難病の臨床研究を厚労省に申請 iPS細胞から大量の血小板を製造

 京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之(こうじ )教授(血液学)らが患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用いる血小板の再生医療の臨床研究計画を厚生労働省に届け出ていたことが19日、明らかになりました。他人の血小板を輸血できない血液の難病になった患者が対象。

 29日に厚労省が計画を審議する予定。iPS細胞による再生医療は目の網膜と心臓などに続いて、治療の対象が広がってきました。

 京大が近く、計画を公表します。江藤教授らは、再生不良性貧血などで出血を止める血小板をうまく作れない「血小板減少症」の再生医療を目指します。この病気は皮膚で内出血しやすく、鼻血などが止まりにくくなります。病気が進行すれば、内臓や脳で大量出血し命にかかわります。

 通常は血小板製剤を輸血し治療しますが、今回の計画はまれな血小板の型の患者1人が対象。すでに候補者がおり患者募集はしない予定です。血小板製剤は、型の不適合で免疫が排除するため治療に使えません。ES細胞(胚性幹細胞)や他人のiPS細胞から作製した血小板も使えません。

 このため臨床研究では、患者自身の血液から作ったiPS細胞を元に血小板を大量に育てて治療します。患者のiPS細胞から育てた血小板を3回にわけて徐々に量を増やしながら投与する計画で、最も量が多い3回目には血小板約1000億個を投与して、1~2年かけて安全性を確認します。

 実現すれば、患者自身のiPS細胞を使う計画は、神戸市にある理化学研究所などのチームが2014年に実施した目の難病に続き2例目となります。

 iPS再生医療は先行する目の網膜のほか、心臓、脳、角膜などの計画が続きます。これらの計画では他人の細胞を用いるものの、今回の患者では使えないため、患者自身から作製できるiPS細胞の強みが生かせます。

 臨床研究では、輸血する前に放射線を照射し、がんのもとになる危険な細胞が混ざり込むのを防ぎます。iPSによる再生医療では患者から高品質なiPS細胞を作製するコストが課題ですが、血小板は低コストで安全性を高めやすいとみられます。

 血小板は、手術やけがの治療などでも使用します。現在は、日本赤十字社が製造する血小板製剤を使っていますが、使用期限が4日で備蓄できません。今後、高齢化などで献血者が減るとともに血小板を必要とする人が増え、将来的に不足が深刻化することが懸念されています。

 江藤教授は、病気やケガの治療などに使う血小板を他人のiPS細胞から製造する研究開発も進めており、企業のメガカリオン(京都市)が今後、アメリカと日本国内で臨床試験(治験)を始める計画を立てています。 

 2018年8月19日(日)

 

■RSウイルス感染症、すでに流行期に入る 1週間の患者数が4180人

 主に2歳以下の乳幼児に多い呼吸器疾患で、鼻水やせき、38~39度の発熱が特徴の「RSウイルス感染症」が、今年はすでに流行期に入っているとみられます。従来、秋から冬に流行していましたが、近年は時期が早まり夏から患者の増えるパターンが多くなっています。

 重症になると肺炎や気管支炎になる恐れもあり、専門家は、乳幼児に症状が出た時は早めに受診させるのが望ましいと注意喚起しています。

 国立感染症研究所は、全国約3000カ所の小児科定点医療機関から報告を受け、週ごとに患者数の統計をまとめています。それによると6月から、近年で最も大きな流行だった昨年と似たペースで患者が増えています。7月30日から8月5日までの直近1週間の患者数は4180人(1医療機関当たり1・33人)で、前の週より約1100人多くなりました。

 都道府県別では、宮崎県が1医療機関当たりの患者数が3・09人で最も多く、以下多い順に徳島県(2・83人)、福岡県(2・81人)、新潟県(2・58人)、大分県(2・56人)と続いています。

 RSウイルスは身近にいるウイルスで、感染力は非常に強く、ほとんどの子供は2歳までに感染し、その後も何度もかかるといわれています。子供が感染すると、鼻水、せき、発熱などの症状が出ますが、多くは軽症で、2日から1週間ほどで治癒します。

 しかし、特に新生児や出生体重が小さかった乳児が感染すると、重症化して気管支炎や肺炎に陥る可能性があります。また、呼吸器にぜんそくなどの持病のある高齢者も要注意で、介護施設などで集団感染・入院が時折起きています。

 接触感染や、くしゃみなどによる飛沫(ひまつ)感染で広がるため、予防には手洗いやマスクの着用が役立ちます。

 この病気に詳しい群馬パース大学大学院の木村博一教授(感染症学)は、「健康な大人はかかっても軽い風邪程度ですむが、その人が周りの乳幼児や高齢者に移す感染源になることもある。風邪症状のある人は手洗いやマスクで感染拡大を防いでほしい」と呼び掛けています。

 2018年8月19日(日)

 

■たばこの害による総損失2兆円超、喫煙者の医療費1兆2600億円 厚労省研究班が推計

 たばこの害による2015年度の総損失額は医療費を含めて2兆500億円に上ることが8日、厚生労働省研究班の推計で明らかになりました。たばこが原因で病気になり、そのために生じた介護費用は2600億円で、火災による損失は980億円だったことも判明しました。

 2014年度も直接喫煙や受動喫煙による医療費を算出していましたが、2015年度は介護や火災に関する費用を加えました。厚労省研究班の五十嵐中(あたる)・東京大学特任准教授は「たばこの損失は医療費だけでなく、介護など多くの面に影響が及ぶことが改めてわかった。さらなる対策が必要だ」としています。

 推計は、厚労省の検討会がたばこと病気の因果関係が「十分ある」、もしくは「示唆される」と判定したがんや脳卒中、心筋梗塞、認知症の治療で生じた医療費を国の統計資料を基に分析。こうした病気に伴って必要になった介護費用や、たばこが原因で起きた火災の消防費用、吸い殻の処理などの清掃費用も算出しました。

 最も多かったのは、喫煙者の医療費1兆2600億円で、損失額の半分以上を占めました。中でもがんの医療費は、5000億円を超えました。受動喫煙が原因の医療費は3300億円で、多くを占めたのは脳血管疾患でした。歯の治療費には、1000億円かかっていました。

 介護費用は、男性で1780億円、女性で840億円に上りました。原因となった病気別でみると、認知症が男女合わせて780億円と最も多く、次いで脳卒中などの脳血管疾患が約715億円となりました。

 都道府県別では、東京都が2000億円となるなど、人口の多い都市部で金額が膨らむ傾向がありました。

 2014年度は、たばこと病気の因果関係が「十分ある」とされる脳卒中やがんなどに絞って推計。喫煙者の医療費が1兆1700億円、受動喫煙が原因の医療費は3200億円でした。

 たばこ対策に詳しい産業医科大学の大和浩教授は、「たばこが健康に悪影響を与えているだけではなく、社会全体に大きな損失をもたらしていることを示した貴重な研究だ。喫煙はがんや心筋梗塞、慢性閉塞(へいそく)性肺疾患(COPD)だけでなく、介護の原因となる脳梗塞や認知症のリスクも高める。つまり医療費だけでなく介護費にも負荷をかけていることになる。また、たばこは火災の原因になるほか、ホテルや賃貸アパートでは部屋の壁紙を頻繁に替える必要が出てくるなど清掃費用も増大させる。より厳しい規制を考えるべきだ」と話しています。

 2018年8月19日(日)

 

■関東地方で風疹患者が急増 全国に拡大する恐れも

 風疹の患者数が千葉県など関東地方で急増しており、厚生労働省は都道府県などに対し14日、予防接種の徹底などを呼び掛ける通知を5年ぶりに出しました。人の行き来が多い夏休み期間中のため、感染が全国に広がる恐れがあるとしています。

 国立感染症研究所の集計では、8月8日時点での今年の風疹の患者数は96人で、昨年1年間の93人を上回りました。7月23日から8月5日までの2週間だけで、38人に達しました。

 都道府県別では、千葉県が26人で最も多く、東京都が19人で続いています。男性が7割を占めていて30~50歳代が多く、ワクチン接種の割合が低い年代のためとみられます。

 風疹は、感染から2~3週間で発症し、発熱や発疹、リンパ節のはれなどの症状が出ます。妊娠初期に感染すると、生まれてくる赤ちゃんに難聴や白内障、心臓の障害などが起こる恐れがあり、特に注意が必要。

 厚労省の通知は、患者数が約1万4000人と大流行した2013年以来。医療機関に対し、発熱や発疹で患者が受診した場合、風疹の可能性を考慮して診療するよう注意を促しています。また、妊婦と同居する人などに対し、予防接種を受けるよう呼び掛けていますが、30歳代から50歳代の男性については、感染の広がりを抑えるため、周囲に妊婦がいなくても予防接種を自主的に受けてほしいとしています。

 2018年8月18日(土)

 

■ファミレス「ガスト」、プラスチック製ストロー全廃へ 外食大手で初

 ファミリーレストラン最大手のすかいらーくホールディングス(HD)が2020年までに、国内外3200店すべてでプラスチック製ストローの利用をやめることが8月16日、明らかになりました。

 環境破壊や健康への影響からプラスチックの大量使用に懸念が高まっており、国内外で規制が強まる見通し。アメリカのコーヒーチェーン大手のスターバックスなどに続き、日本の外食大手で初めて廃止に踏み切ります。 すかいらーくHDは日本と台湾に店舗を持っており、まず年内に、日本のファミレス「ガスト」の全1370店で廃止します。来店客が自由に飲み物を取れるドリンクバーにストローを置くのをやめ、グラスだけ提供します。

 幼児や障害者などストローが必要な来店客や、スムージーなどストローを使うメニューには提供するものの、既存のプラスチックは使わない代替品を検討しています。

 すかいらーくグループは年間1億500万本、「ガスト」で6000万本のプラスチック製ストローを使っており、使用後は地域の分別方針に則して処理しています。

 経済協力開発機構(OECD)によると、世界のプラスチックごみ発生量は2015年に3億200万トンで、1980年の6倍に増えました。海に流出して生態系を脅かすほか、プラスチックの化学物質が食品を介して人体に入り、健康に悪影響を及ぼす懸念があります。

 欧州連合(EU)がストローなど使い捨てプラスチック製品を規制する方針で、日本政府もプラスチックごみの削減に向け議論を始めています。

 企業では、スターバックスが2020年までにプラスチック製ストローを世界で廃止します。アメリカのマクドナルドは、イギリスとアイルランドで紙製に切り替える方針。日本のスターバックスやマクドナルドでは、具体的な取り組みはまだありません。ファミレス最大手のすかいらーくHDが全廃を決めたことで、同様の流れが日本で進む公算が大きくなりました。

 2018年8月18日(土)

 

■メタボリック症候群の該当者と予備軍は約1412万人 厚労省が公表

 厚生労働省は8月2日、2013~2022年度の10年間にわたる国民の健康づくり計画「健康日本21」で定めた、肥満度や生活習慣に関する数値目標の達成状況を公表しました。全53項目のうち、介護を受けたり寝たきりになったりせずに日常生活を送れる「健康寿命」など約6割の項目で改善がみられたものの、メタボリック症候群の人数など横ばいの項目もありました。

 厚労省は近く中間報告書をまとめ、残りの期間での目標達成を目指しています。

 メタボリック症候群の該当者と予備軍は、計画策定時の約1400万人から約1412万人とやや増加。体格指数(BMI)が25以上の「肥満」の人の割合も、20~60歳代男性では31・2%から32・4%と微増していましたた。

 肥満傾向の子供は、小学5年生をみると、男子4・60%、女子3・39%から、男子4・55%、女子3・75%とあまり変わっていませんでした。

 成人の喫煙率は、19・50%から18・30%と微減にとどまりました。

 一方、健康寿命は、計画策定時の男性70・42歳、女性73・62歳から、男性72・14歳、女性74・74歳と延びました。厚労省が「8020運動」として推進する80歳で自分の歯が20本以上ある人の割合は51・20%で、「2020年度までに50%」とする目標をすでに達成しています。

 2018年8月18日(土)

 

■京大、パーキンソン病患者にiPS細胞移植へ 患者7人が参加予定

 京都大は8月1日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した神経細胞を神経難病のパーキンソン病の患者の脳に移植する世界初の臨床試験(治験)を始めました。治験は、iPS細胞を使った目の難病や心臓病患者に対する臨床研究に比べて実用化により近い点が特徴で、早期の治療法確立と保険適用を実現させる狙いがあります。

 パーキンソン病は手足の震えや筋肉のこわ張りといった症状が出る難病で、脳内で神経伝達物質のドーパミンを作る神経細胞が徐々に減ることが原因。国内の患者数は16万人とされ、根本的な治療法はまだありません。

 治験では、他人由来のiPS細胞iPS細胞(人工多能性幹細胞から作製した神経前駆細胞を患者の左右の脳に計約500万個注射。移植細胞が神経細胞になってドーパミンを出すことで症状の改善や服用薬の減量が期待されますが、移植後1年間は拒絶反応を抑えるために免疫抑制剤を投与します。2年間の経過観察で、移植細胞のがん化の有無や改善効果などを確認します。

 京大病院によると、8月1日からパーキンソン病患者の選定作業を始めました。治験には50~69歳の患者7人が参加予定で、神経細胞を移植する1例目の患者は京大病院の患者から選びます。残り6人は全国から募集し、中程度の症状で、認知症を発症していないなどの条件を満たした応募者から絞り、京大病院の医師などでつくる患者選定委員会で決定。1例目の移植は年内にも実施し、7人の治験は2022年度までに終了予定です。

 先行する理化学研究所などによる目の難病や大阪大の心臓病患者に対する臨床研究はいずれも治療の実施に向けた研究段階で、再生医療安全性確保法に基づいて国から承認されました。iPS細胞から作製した目の網膜や心筋細胞を医療製品と認可してもらうには、改めて医薬品医療機器法(薬機法)に基づく治験をする必要があります。

  一方、治験は臨床研究の一つであるものの、国から医薬品や再生医療製品としての承認を受けることを目的に薬機法が定める厳しい基準で実施されます。京大チームは治験の審査を担当する国の機関と事前相談を重ねるなどし、7人の治験で有効データが得られれば条件付きで早期に承認を受けることができ、より早く一般医療として保険適用が認められます。

 京大チームは2020~2023年度ごろの早期承認を目指しており、チームの高橋淳・京大iPS細胞研究所教授は「7例のデータを基に治療法の承認を得たい。他の治療法と組み合わせることで根治に近付けられる」と話しています。

 2018年8月17日(金)

 

■月45時間を超える残業、企業に健康対策を義務付け 厚生労働省

 厚生労働省は2019年春から導入する残業時間の上限規制で、原則の上限である月45時間を超えて残業させる場合、社員の健康を守る対策を定めることを企業に義務付けます。内容は限定しないものの、深夜勤務の制限や、退社から出社まで一定の時間を空ける制度の導入などを求め、企業が安易に残業時間を延ばせないようにします。

 労働政策審議会(厚労相の諮問機関)で決定して、労働基準法に基づく省令で定める労使協定(36協定)の必須記載事項に、月45時間超の残業をした人に対する健康確保の対策の内容を規定します。記載がない労使協定は、労働基準監督署が受け付けません。

 対策の内容は企業の労使に委ねるものの、労働基準法の指針で望ましい項目を示します。特別休暇を与えるほか、連続した年次有給休暇の取得を促す施策や、深夜勤務の回数の制限、退社から出社まで一定の時間を設ける勤務間インターバルの導入などを盛り込む方針。

 6月末に成立した働き方改革関連法で、日本の労働法制で初めて残業時間の上限規制の導入が決まりました。36協定で認める残業の上限は、原則「月45時間・年360時間」に設定。特別条項付きの協定を結んでも、年720時間以内、2〜6カ月平均で80時間以内、単月で100時間未満に抑えなければなりません。

 現在は特別条項付きの36協定を結べば、事実上、青天井で残業の上限を延ばせます。残業時間の上限規制は、大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から適用し、違反企業には懲役や罰金が科せられます。

 残業時間の上限規制は長時間労働の削減につながるものの、単月で100時間未満という基準は脳・心臓疾患の労災認定基準と重なるぎりぎりのライン。厚労省は特別条項付きの協定を結ぶ際に健康対策を設けさせることで、働きすぎや過労死を抑制します。

 従業員が月45時間を超える残業をする企業は多いとみられています。業務には季節ごとに繁閑があり、忙しい時期には残業を延ばさざるを得ないためです。厚労省は特定の対策を求めるわけではないものの、望ましい対策として例示される施策は幅広く、労使のトラブルを避けるためにも、多くの企業が対応を迫られそうです。

 2018年7月15日(日)

 

■熱中症、全国で1535人搬送 富山など6県で6人死亡

 全国的に高気圧に覆われ厳しい暑さとなった14日、熱中症とみられる症状で救急搬送された人が全国で1535人に上ったことが明らかになりました。富山、静岡、鳥取、広島、大分、熊本各県で計6人が死亡しました。

 都道府県別では、搬送者が最も多かったのは大阪府の156人。次いで、愛知県が125人、千葉県と東京都がそれぞれ102人、埼玉県89人、福岡県の84人などでした。

 総務省消防庁によると、静岡県南伊豆町で90歳代の男性が自宅の外で倒れているのが見付かり、病院で死亡を確認。富山県射水市では自宅裏で男性(86歳)が倒れており、病院で死亡しました。大分県津久見市では家にいた70歳代男性が病院で死亡しました。

 鳥取県日野町では畑で倒れていた女性(80歳)が病院で死亡した。広島県三原市では自宅付近に倒れていた農作業中の女性(90歳)が死亡しました。熊本県菊陽町でも住宅で80歳代女性が倒れており、病院で死亡が確認されました。

 厳しい暑さは15日以降も続くため、気象庁が注意を呼び掛けています。関東甲信や近畿では、光化学スモッグへの警戒も必要になります。

 2018年7月15日(日)

 

■パーキンソン病とALSの遺伝子治療、来年にも治験開始へ 自治医科大など

 運動障害などを引き起こす難病「パーキンソン病」と、全身の筋肉が衰える難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」の患者に、正常な遺伝子を投与する遺伝子治療の臨床試験(治験)を、来年にも自治医科大学などの研究チームがそれぞれ始めます。1回の治療で長期間、症状改善や病気の進行を抑えられる可能性があり、数年後の治療薬の実用化を目指しています。

 遺伝子治療は、人工的に作った正常な遺伝子を患者の細胞に組み入れ、病気を治療します。遺伝子を細胞に送り込む「運び役」として、安全性の高い医療用ウイルスなどが使われます。

 パーキンソン病は、脳内で運動の指令を伝える物質「ドーパミン」が十分に作れなくなり、体が震えたり動きが鈍くなったりします。治験では、複数の正常な遺伝子をウイルスに入れて作った治療薬を、患者の脳に注入します。一部の遺伝子を患者の細胞に注入する臨床研究では、目立った副作用はなく、運動障害の改善もみられたといいます。

 また、ALSは特定の酵素の減少が筋肉の委縮にかかわっているとされ、治験ではこの酵素を作る遺伝子を入れた治療薬を脊髄周辺に注入します。世界初の試みですが、マウスでは、病気の進行を抑える効果が確認されたといいます。

 いずれの治療薬も、研究チームの村松慎一・自治医科大特命教授らが設立したベンチャー「遺伝子治療研究所」(川崎市)で製造します。

 村松特命教授は、「どちらの病気も遺伝子治療薬はまだなく、なるべく早く実用化したい」と話しています。

 日本遺伝子細胞治療学会理事長の金田安史・大阪大学教授は、「遺伝子治療は、1回の治療で長期的な効果が期待できる。国際競争が激しく、国内でも取り組みを強化する必要がある」と話しています

 パーキンソン病は50歳以降の発症が多く、国内患者数は推定約16万人。薬での治療が一般的で、病気が進むと効きにくくなります。ALSは50〜60歳代の発症が多く、国内患者数は約9500人。進行すると、歩行や呼吸が困難になります。

 2018年7月15日(日)

 

■iPS細胞から大量の血小板の作製に成功 京都大iPS細胞研究所

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、止血作用のある血液成分の「血小板」を大量に作製する方法を開発したと、京都大学iPS細胞研究所の江藤浩之(こうじ )教授(血液学)らの研究チームが発表しました。慢性的に不足している輸血用血小板の製造につながると期待されます。

 論文は13日、アメリカの科学誌「セル」電子版に掲載されました。

 江藤教授らは4年前、人のiPS細胞から、血小板を生み出す「巨核球」という血液細胞を作ることに成功しましたが、1回の輸血に必要な1000億個以上の血小板を得ることはかないませんでした。

 研究チームは、血管が分岐し、血液が不規則な流れ(乱流)を起こす部位ほど、巨核球が多くの血小板を生み出すことを発見。乱流を再現する培養装置を開発しました。装置の中で2枚の円形の板を上下動させ、培養液に乱流を起こさせます。

 この装置で巨核球を培養した結果、約5日間で高品質な血小板を1000億個以上、作製できました。この血小板が正常に機能することも、マウスとウサギの動物実験で確かめました。

 江藤教授は、「今後は、いかに低価格で血小板を製造できるかが課題になる」と話しています。

 2018年7月14日(土)

 

■「カレーを鍋のまま保存」する人が半数近く 食中毒への理解不足、調査で判明

 暑い季節は食中毒の発生が懸念されますが、東京都が行った実態調査で、回答者の半数近くがカレーを鍋のまま冷蔵や常温で保存するなど、食中毒対策への理解不足が明らかになりました。東京都は「日々の食事に食中毒の危険があることを認識してほしい」と注意を呼び掛けています。

 調査は年明けに、東京都内に住む20~79歳の男女を対象に実施し、週1回以上自宅で調理する1000人から回答を得ました。

 調査では、食中毒予防について6割強の人が生肉の水洗いや常温での解凍、解凍後でも再凍結すれば「効果がある」と答えましたが、東京都によるといずれも誤り。生の鶏肉はカンピロバクター菌が付着している場合、水洗いで菌を周囲に飛び散らせてしまう可能性があります。肉や魚を常温で解凍するケースでは、中心部の解凍を待つ間に表面の菌が増殖する恐れがあり、再凍結しても菌は死滅しないといいます。

 8割を超える人が酢や梅干し、わさびに殺菌効果があると考えていましたが、菌増殖を防ぐには食べ切れぬほどの量が必要。調理前の手洗いは基本なものの、実施しているのは女性8割、男性6割にとどまりました。

 気温の高い夏場は一晩寝かせたカレーも要注意。カレーやシチューなどとろみがあって冷めるのに時間がかかる料理は、腹痛や下痢を引き起こすウェルシュ菌が増殖しやすくなります。温度12~50度で増殖し、臭いなどの変化はなく、菌の一部は再加熱しても死滅しません。予防には底の浅い容器に小分けにして素早く粗熱をとり、冷蔵や冷凍で10度以下に急冷する必要があります。

 東京都健康安全研究センターの実験によりますと、調理したカレーに1グラム当たり1000個のウェルシュ菌が残っていると、室温のまま冷ました場合は、5時間後に100万個以上に菌が増えた一方、2時間で急速に温度を下げた場合は、5時間も菌は増殖しなかったということです。

 また、一晩寝かせたカレーを温め直す場合には、ウェルシュ菌が空気を嫌うため、電子レンジではなく、鍋でしっかり混ぜ、空気中の酸素を加えながら、むらがないように加熱することが大切だとしています。

 東京都民3000人から回答を得た昨年11月の予備調査では、普段の食事で気を使っていることについて、半数が「栄養バランス」と回答し、「食中毒予防」と答えた人は22%でした。食中毒の経験者は25%でした。

 東京都健康安全研究センターでは、「食中毒発生の危険が身近にあることを理解し、正しい知識を身に着けてほしい。実践することでリスクは回避できる」と呼び掛けています。

 2018年7月13日(金

 

■介護施設の3割、保証人のいない高齢者の入所拒否 厚労省の委託調査で判明

 高齢者が介護施設に入所する際、身元保証人がいない場合は受け入れを拒否する施設が約3割に上ることが、厚生労働省の委託調査で明らかになりました。単身者や身寄りのない人などが保証人を用意できないケースが増える中、厚労省は入所を拒否しないよう求めていますが、介護施設側には費用の支払いや死亡時の引き取りなどへの根強い不安があります。

 調査は委託先のみずほ情報総研が昨年12月、全国の特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホーム、有料老人ホームなど4900カ所を対象に実施し、2387カ所から回答を得ました。

 95・9%の介護施設が身元保証人や身元引受人などとして、入所時の契約書に本人以外の署名を求めており、このうち30・7%は「署名がないと受け入れない」と回答。成年後見制度の申請など「条件付きで受け入れる」が33・7%で、署名がなくても受け入れる施設は13・4%にとどまりました。

 身元保証人に求める役割としては、「緊急時の連絡先」「遺体や遺品の引き取り」「入院時の手続き」「利用料の支払いや滞納時の保証」「医療行為への同意」「医療費の支払い」との回答が多くなりました。受け入れを拒否する割合は、別の民間団体による2013年の調査と変わっていません。

 厚労省は介護施設の運営基準に基づき「身元保証人がいないことは拒否の正当な理由にならず、拒否した施設は指導対象になる」としています。実際の対応は自治体が判断し、口頭での指導にとどまることが多いとみられます。

 今回の調査では、市区町村や成年後見人に身元保証人としての役割を求める意見が多くなりました。厚労省は、成年後見人は葬儀など死後の対応ができないため、権限の拡大などを検討しています。

 2018年7月12日(木)

 

■医療機関の65%が入院患者に保証人を要求 病院や診療所へのアンケートで判明

 医療機関の3分の2が入院患者に対して身元保証人を用意するよう求めていることが、厚生労働省研究班のアンケートで判明しました。そのうち1割弱の医療機関が、身元保証人のいない患者の入院拒否という違法の可能性がある対応を取っていました。

 医師法は正当な理由なく診察を拒むことを禁じています。

 厚労省は「正当な理由」は医師の不在や病気に限られるため、身元保証人の不在が理由の入院拒否は医師法に抵触するとして、都道府県に医療機関を指導するよう4月に通知しました。

 調査は山縣然太朗(ぜんたろう)・山梨大学教授(公衆衛生学)が代表を務める研究班が昨年9~10月に全国の病院・診療所約6000カ所を対象に実施実し、1291カ所から回答を得ました。有効回答率は21%。

 病院では90%超、診療所を含めた全体では65・0%の医療機関が患者の入院時に身元保証人を求め、「求めない」と回答した23・9%を大きく上回りました。身元保証に求める役割(複数回答)を尋ねると、最多が「入院費の支払い」(87・8%)で、緊急連絡先(84・9%)、身柄の引き取り(67・2%)、医療行為の同意(55・8%)が続きました。

 身元保証人を求める医療機関の8・2%が、身元保証人を用意できない患者の入院を拒否していると回答。75・7%が入院を認め、10・7%が社会福祉協議会などが提供する身元保証サービスを利用していると回答しました。身元保証人を用意できない患者に対応する規定や手順書があるとの回答は、全体の7・3%にとどまりました。

 身元保証人を用意できない単身者は未婚化などで今後も増え続ける見通しで、対策が求められそうです。

 山縣教授は、「保証人を求めることが慣習になっており、いない場合は病院が医療費を肩代わりする例もある。実態を調べて、医療機関が心配せずにすむ対策を考える必要がある」としています。

 厚労省の別の調査では、身元保証人がいない場合、特別養護老人ホームや老人保健施設などの介護施設でも約30%が入所を拒否することがわかっています。

 2018年7月12日(木)

 

■愛知県と名古屋市、はしか流行の終息宣言 4週間で新たな患者が確認されず

 今年4月から愛知県内で感染が拡大したはしか(麻疹)について、愛知県と名古屋市はこの4週間で新たな患者が出ていないことから、流行の終息を宣言しました。

 愛知県内では、今年4月にはしかが流行していた沖縄県を旅行した名古屋市の10歳代男性が4月11日、名古屋市内の病院ではしかと診断されて以降、感染が広がり、計25人の感染が確認されました。うち20人は、沖縄県を旅行した10歳代男性から広がったとみられます。

 愛知県によると、10歳代男性が受診した名古屋市と同県東郷町の医療機関を訪れた人が次々と感染し、学校や家庭で広まりました。このほか1人はタイから帰国後に発症し、3人は感染経路を特定できませんでした。

 年齢別では、30歳代と20歳代がそれぞれ8人で、10歳代が7人、10歳未満が2人でした。ワクチンの接種回数では、未接種7人、1回が10人。2回以上は3人で、このうち1人は2回目が患者との接触から数日後でした。残る5人は接種したか不明でした。

 こうした中、愛知県と名古屋市は、6月8日に確認した最後の感染者から、はしかの潜伏期間の2倍となる4週間が経過しても新たな患者が出ていないことから、国立感染症研究所の指針に基づいて、9日、流行の終息を宣言しました。

 愛知県や名古屋市は、はしかの予防には、2回のワクチン接種が有効だとして、1歳と小学校入学前の年度の定期予防接種を忘れずに実施して欲しいと呼び掛けています。

 2018年7月11日(水)

 

■頭に磁気刺激を加えるTMS治療を国内で承認 薬が効かないうつ病患者向け 

 頭部に磁気の刺激を加え、うつの症状を改善する新しい治療が、国内でも導入されます。東京都内の男性会社員(59歳)は、薬を飲んでも意欲の減退や体のだるさなどが続いていましたが、このTMS(Transcranial Magnetic Stimulation:経頭蓋磁気刺激法)治療を受けたところ、体調が回復しました。現在、復職に向けた訓練に取り組んでいます。

 この男性会社員は、気分が落ち込むうつ状態と、調子のよいそう状態を繰り返す双極性障害(そううつ病)を患っています。15年ほど前から症状が出始め、寝付きが悪くなっていましたが、当初は診断がつかず、しばらくして、うつ病と診断され、抗うつ薬を飲み始めたが、良くなったり悪くなったりを繰り返しました。

 6年前に転院したメディカルケア虎ノ門(東京都港区)で双極性障害と判明。しかし、状態は変わらず、休職しては復職し、また休職という生活が続きました。

 昨年8月、院長の五十嵐良雄さんからTMS治療の臨床研究に参加することを提案されました。TMS治療は、頭部に当てると磁場が発生し、それに伴って脳内に微弱な渦状の電流が走る医療機器を使い、神経細胞を刺激することで効果を発現するというもの。

 男性会社員は12月から治療を始め、1日20分間の治療を今年4月までに計30回受けました。最初は頭をたたかれるような衝撃と、こめかみや歯が震える不快感に驚きました。その後は慣れて刺激の強さも上げ、20回続けたところで体調の改善を実感しました。

 男性会社員は、「磁気を当てることで何か副作用が出るのではないかと不安もあったが、やってよかった」と振り返ります。

 気分が落ち込むうつ状態の時、患者の脳内ではセロトニンなどの神経伝達物質の働きが低下していたり、量が異常に減ったりしています。TMS治療の臨床研究をしてきた東京慈恵会医科大学の鬼頭(きとう)伸輔・准教授(精神科)は、効果の仕組みについて、渦状の電流の刺激が神経伝達物質の働きを回復させるとみています。

 TMS治療は2008年、薬の効果が得られないうつ病患者を対象にアメリカで承認され、ヨーロッパやアジアにも広がりました。双極性障害に対してはまだ研究段階なものの、薬が効かないうつ病の患者向けには、日本でも昨年9月、承認され、保険適用となる見込みです。

 これを受けて、日本精神神経学会は今年4月、TMS治療の適正使用指針を作成し、治療の目安は1日約40分を週5回のペースで計20〜30回実施するとしました。

 ただし、磁気で誤作動の恐れがある心臓のペースメーカーなど体内埋め込み型の装置を装着している患者は、対象外。アメリカでけいれん発作を起こしたケースがあることから、てんかんやけいれん発作の経験がある患者は、脳神経外科や神経内科などの専門医と相談して実施を判断するよう求めています。

 鬼頭・准教授は、「連日治療に通わなければならない大変さはあるが、比較的副作用が少なく、効果も期待できる」と話しています。

 今のところ、国内でこの治療が承認されたのはうつ病に限られていますが、五十嵐さんは「うつ病での実績が重なり、治療法として根付けば、双極性障害へも適応が拡大されるのではないか」と話しています。

 2018年7月10日(火

 

■通気性25倍の女性用ナプキンを開発 信州大、ナノファイバーを使用

 信州大学国際ファイバー工学研究所の金翼水准教授は9日、ナノファイバーを使った世界最高レベルの通気性を持つ女性用ナプキンを開発したと発表しました。ナノファイバーの量産設備を持つ韓国企業などと連携して研究してきました。通気性は最も性能が高い市販品の25倍で、人体には無害で優れた抗菌性を示します。

 直径200ナノメートル(ナノは10億分の1)の繊維でできたナノファイバーを通常の不織布に貼り付けました。厚さは4マイクロメートル(マイクロは100万分の1)。既存品の衛生パッドフィルムと比べて非常に細かい穴が空いているため、通気性が高く、水分は通しません。通気性が高いと、臭いやかゆみ、炎症といった問題が起きにくくなります。

 金准教授は、「具体的な企業名は出せないが、(商品化に向けて)手を挙げている会社はある」と話しています。女性用ナプキンやおむつなどのほかに、耐水性と通気性からアウトドア用品への応用も見込めるとしています。

 2018年7月9日(月)

 

■18歳以下の甲状腺がん、福島県の集計漏れ11人 福島県立医大が調査

 東京電力福島第一原発事故当時18歳以下だった約38万人を対象にした福島県の甲状腺検査を巡り、検査でがんと把握されていないがん患者が少なくとも11人いることが、8日、福島市であった県の検討委員会の甲状腺評価部会で報告されました。

 県の検査を受託する福島県立医大によると、同大付属病院で2011年10月〜2017年6月に甲状腺がんの手術を受けた人を調べたところ、県の検査で「がんまたはがんの疑い」としては集計されていない人が11人いました。検査で経過観察と判断された人が7人いたほか、検査を受けていなかった人などもいました。

 内訳は男性4人、女性7人。事故当時0〜4歳1人、5〜9歳1人、10〜14歳4人、15〜19歳5人となっています。

 県の甲状腺検査では、2011年10月〜今年3月に計162人ががんと診断されています。しかし、検査で経過観察と判断され、その後がんが判明した患者が集計から漏れているとの指摘が昨春、小児甲状腺がん患者を経済支援する市民団体からあり、検討委員会が調べるとしていました。

 検討委員会甲状腺評価部会長の鈴木元(げん)・国際医療福祉大クリニック院長は、「いろいろな方法で全数を把握していくのが重要だ」と話しました。

 2018年7月9日(月)

 

■日本ハム、ウインナー1万3040パックを自主回収 樹脂片混入の可能性あり

 日本ハムは8日、ウインナーソーセージ「小さなシャウエッセン85g(2個束)」の製造過程で黒い樹脂片が混入した可能性があるとして、6520束に当たる1万3040パックを自主回収すると発表しました。

 今のところ健康被害は確認されていないといいます。

 回収対象となるのは、子会社の東北日本ハム(山形県酒田市)の工場で6月25日に製造され、パッケージ表面の右下にある賞味期限欄に「18・7・24・NH」と記載された商品。2パックを1束にまとめて6520束が出荷され、関東を中心に販売されました。

 ウインナーの原料などを置くパレット(台)の樹脂片が混入したとみられます。7月2~5日、購入した客から「異物が混入していた」との問い合わせが3件あり、発覚しました。

 商品を着払いで東北日本ハムに郵送すれば、商品代金相当のクオカード(1束当たり500円)で返金します。問い合わせは平日午前9時~午後5時、日本ハムお客様サービス室、電話(0120)276380へ。

 2018年7月9日(月)

 

■新薬にアルツハイマー型認知症の進行を抑制する効果 エーザイが治験で確認

 製薬企業のエーザイ(東京都文京区)は6日、開発中のアルツハイマー型認知症治療薬について、症状の進行を抑える効果が第2相臨床試験(治験)の大規模試験で確認できたと発表しました。アルツハイマー型認知症の原因物質の一つとされる「アミロイドベータ」というタンパク質が脳内で減ることも示しました。

 新薬はアメリカの製薬企業バイオジェンと共同開発する抗体医薬品「BAN2401(開発名)」。アミロイドベータが脳に沈着する前段階の集合体に結合して除去します。2020年代早期の発売を目指しています。

 第2相治験は2012年~2018年に、日米欧などで856人を対象に実施。投与18カ月間の解析で、症状の評価指標に基づく悪化の抑制と、陽電子放射断層撮影装置(PET)による脳内のアミロイドベータ蓄積量減少を確かめました。

 アミロイドベータは脳に蓄積すると神経細胞が機能障害を起こし、細胞死をもたらすとされます。エーザイはこれまでも認知症の症状悪化を遅らせる薬「アリセプト」を販売してきました。新薬ではアミロイドベータを減らすことで、認知症を根本から治療することを目指しています。

 世界の製薬大手がアミロイドベータを標的とする薬の開発に取り組んでいますが、実用化された例はありません。6月には、アメリカのイーライ・リリーとイギリスのアストラゼネカが共同開発した「ラナベセスタット」が、最終段階の第3相治験で十分な治療効果を証明できないとして中止を発表しました。

 エーザイは現在、アミロイドベータを標的にした薬を3品目開発しています。BAN2401のほか、アミロイドベータの発生段階を狙う「エレンベセスタット」と、沈着する直前や沈着後を狙う「アデュカヌマブ」で、いずれも第3相治験に入っています。

 2018年7月9日(月)

 

■あすか製薬、高血圧症治療薬を自主回収 発がん性物質が混入

 あすか製薬(東京都港区)は6日、2016年12月まで製造・販売していた高血圧症治療薬のジェネリック医薬品(後発薬)「バルサルタン錠『AA』」の4製品を自主回収すると発表しました。薬の原材料に、発がん性があるとされる物質「N―ニトロソジメチルアミン」が混入しているとして、海外の規制当局から情報が寄せられ、ヨーロッパで7月上旬から自主回収が始まったため。

 服用した場合、重い健康被害が出る可能性があるものの、現時点で被害の情報はないといいます。

 薬の原材料となる「原薬」をつくる中国企業の工場の製造過程で、問題の物質が発生したとみられます。

 「バルサルタン錠『AA』」は、国内では2014年5月から2016年12月にかけて、あすか製薬と外資系製薬のアクタビスの合弁会社「あすかActavis製薬」が製造し、病院や薬局1315カ所に約11万箱(約1250万錠)を販売しました。すでに大半が服用されているといいます。

 あすか製薬は、アクタビスが他社に買収された後に国内販売を中止したが、まだ市中に残っている可能性があるといいます。

 あすか製薬は、「服用し続けると重篤な健康被害に至る可能性は否定できない」としています。

 厚生労働省によると、問題の中国企業の工場の原薬が使われた薬は、国内ではほかにはないといいます。同省の担当者は、「健康への影響は発がん性物質の混入量によって違う。なぜ混入したかやどれだけの量が混入したか調査結果を報告してもらい、必要があれば対応していく」としています。

 2018年7月9日(月)

 

■福島県ではしか、新たに男女3人 感染者計6人、道の駅利用者も

 福島県は6日、県南部に住む20〜40歳代の男女3人がはしか(麻疹)と診断されたと発表しました。6月29日に感染が確認された外国人女性と同じ建物で暮らしたり、受診に付き添ったりしていました。

 これで6月以降の感染者は6人となりましたが、重症者はいません。

 福島県によると、20歳代の女性2人は就業目的で東南アジアから入国していました。40歳代の日本人男性は女性たちと同じ会社に勤務し、最初に感染した女性を通訳するため、6月22日に医療機関に同行していました。

 男性は発症前の7月1日、栃木県那須町にある道の駅「東山道伊王野」を利用していたため、福島県は栃木県に情報を提供し、「感染拡大の可能性もある」として注意を呼び掛けています。

 栃木県は6日、はしかを発症した福島県の40歳代の男性が那須町伊王野の道の駅「東山道伊王野」を利用し、不特定多数と接触した可能性があると福島県側から情報提供があったことを明らかにしました。栃木県は、同施設を利用し、発熱などはしかを疑う症状が現れた場合は医療機関に事前連絡の上、受診するよう呼び掛けています。

 はしかを発症した男性は7月1日午後1時~2時半ごろ、同施設を利用しました。麻疹ウイルスの空気中での生存期間は2時間以下とされており、現時点で同施設を利用しても感染することはありません。仮に、はしか患者と接触した場合、潜伏期間を考慮して最大21日間の健康観察が必要といいます。

 2018年7月8日(日)

 

■日本調剤、病院向けに薬剤師を派遣へ 病院勤務を経験しスキルアップ

 調剤薬局チェーンの日本調剤(東京都千代田区)は、病院向けに薬剤師を派遣するサービスを始めます。産休・育休を取得する薬剤師の代わりとして、全国47都道府県の日本調剤の店舗で働く薬剤師らを派遣します。

 薬剤師は女性の比率が高く、人材の一時的な不足を補いたい需要は高いとみており、日本調剤にとっては自社の薬剤師に病院勤務を経験させることでスキルアップも狙います。

 7月中にもサービスを始める予定で、4月1日に東京本社で労働者派遣事業許可を取得しました。日帰りで通勤できる範囲の病院で契約を受け付け、日本調剤の店舗勤務に就いている薬剤師らを派遣します。派遣期間は1〜2年を想定しています。

 日本調剤は全国で約3000人の薬剤師を抱えています。派遣する人数は未定ですが、現場のニーズに応じて対応を検討します。今後は東京本社以外の事業所でも、労働者派遣事業許可を順次取得していく考え。

 自社の無期雇用の社員を派遣する「常用型派遣」である点が特徴で、希望者から登録を受け付けて派遣先の契約期間と同じ長さの雇用契約を結ぶ「登録型派遣」ではありません。病院が登録型派遣で薬剤師を雇うケースはあるものの、今回のようなモデルは珍しいことです。薬剤師は日本調剤の店舗で実務に従事しており、病院にとっては一定のスキルが担保される利点もあります。

 日本調剤は子会社メディカルリソース(東京都千代田区)を通じ、薬局向けの薬剤師の登録型派遣はすでに実施しています。

 資格を持っていながら活用されていない薬剤師は、業界で「たんす薬剤師」と呼ばれることもあります。厚生労働省によると2016年12月末時点で、約30万人の薬剤師全体のうち無職の者は3・5%。約61%を女性が占める薬剤師の場合、出産や育児を機に仕事から離れてしまうケースもあるといいます。

 大手の日本調剤の場合、店舗で勤める正社員の薬剤師のうち5・5%が産休・育休を取得しているといい、業界全体でも同程度のニーズがあると判断しました。病院が派遣を受け入れ、産休・育休を取りやすくすることで、女性薬剤師のつなぎ留めや新規獲得につながることを期待しています。

 日本調剤にとっても、自社の薬剤師に病院内での勤務経験を積ませられる利点は大きく、病院では医師の処方箋に基づき医療用医薬品を提供する調剤以外にも、入院患者向けに薬を提供したり、服薬指導をしたりする業務があります。医師の近くで服薬についての考えを知ることは、薬剤師のキャリアにプラスになるとみています。

 厚労省は2015年、薬局の将来像を示す「患者のための薬局ビジョン」を策定。患者の服薬情報を一元管理する「かかりつけ機能」に加え、抗がん剤の副作用が起きた時の助言など「高度薬学管理機能」も求めています。

 日本調剤は全国47都道府県で展開する約590店のうち、7割以上が病院などに近接する「門前薬局」。高度医療を手掛ける大学病院前などの立地も多く、大学病院内での実務研修も行っています。2018年度からは専門性を高めるため、知識や技能などに応じて薬剤師を4段階で評価する制度も導入しました。

 日本調剤は高度医療に対応できる専門性が強みで、新たな派遣事業を始めることで病院との連携を深め、幅広いニーズに対応します。

 2018年7月7日(土)

 

■厚労省、病気腎移植を条件付きで先進医療に承認 入院費などに保険適用

 がん患者から摘出した腎臓を別の腎不全の患者に移植する「病気腎移植」について、厚生労働省の先進医療会議は5日、健康保険外の治療ながら、入院や投薬の費用に健康保険が適用される「先進医療」に条件付きで承認しました。倫理的な課題が解消されたと判断しました。

 申請したのは徳洲会グループの東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)とともに、重症の腎不全患者を対象に移植手術を実施します。ドナー(臓器提供者)は、直径7センチ以下のがんが腎臓にあり、がんの部分だけを切除するのが難しく、全摘出した腎臓の提供に同意した人がなります。

 2病院の計画では、有効性や安全性を確認するため、4年間で42例の移植手術を実施する予定で、移植後の5年間の生存率やがん発生がないかどうかなどを調べます。ただし、21例目までに4例で腎臓が機能しなければ中止します。

 先進医療会議は承認に当たり、移植のためにドナーのがん治療に不利益がないよう「細心の配慮が必要」とし、移植を受ける腎不全患者の選定にも「客観性と公平性を担保する必要がある」と指摘。「ドナーの適格性だけでなく患者の選定にも日本移植学会などの関係学会が推薦する外部委員が2人以上参加すべきだ」と条件を付けました。

 病気腎移植は、宇和島徳洲会病院の万波誠医師らが1990年ごろから実施していたことが2006年に発覚。日本移植学会などが安全性や倫理面に問題があると指摘するなど、議論を巻き起こしました。病院を運営する徳洲会グループも一時中止していましたが、腎臓移植を待つ人が1万人以上いるため病気腎移植を進めるべきだとして、2009年に臨床研究として再開。その後、医療費の一部に健康保険が適用される先進医療への承認を申請していました。

 厚労省の先進医療技術審査部会が2017年10月、条件付きで承認し、この日の先進医療会議で正式決定しました。厚労省は8月以降、病院内での手続きなどが適切に進んだことを確認した上で、先進医療として告示し、移植手術が実施されます。

 東京西徳洲会病院の小川由英・腎臓病総合医療センター長は、「我々には相当に責任があるので、慎重にやっていかなければならない」と話しました。

 先進医療会議座長の宮坂信之・東京医科歯科大名誉教授は、「病気腎移植にもろ手を挙げて賛成ではない。保険適用をするかどうかを評価するスタート地点についたにすぎない」と話しました。

 2018年7月6日(金)

 

■男性喫煙者に交通事故死のリスクが高まる傾向 東北大学が調査

 たばこを吸う男性は、全く吸わない男性より交通事故死のリスクが高まる傾向にあることが4日、東北大学大学院歯学研究科の相田潤准教授らの調査で明らかになりました。

 調査では、1993年当時、茨城県内38市町村で健康診断を受けた40〜79歳の9万7078人を対象とし、2013年までの死亡状況を住民基本台帳や人口動態調査死亡票を用いて追跡しました。そのうち、追跡可能だった9万6384人の喫煙と死亡状況を分析しました。

 喫煙状況については、「非喫煙者」「過去喫煙者」「1日20本未満吸う現在喫煙者」「1日20本以上吸う現在喫煙者」に分類し、それぞれのグループでどれほど交通事故死があったかを調べました。

 その結果、男性では、非喫煙者7335人中31人が、過去喫煙者9115人中46人が、1日20本未満吸う現在喫煙者5125人中29人が、1日20本以上吸う現在喫煙者1万1403人中62人が交通事故により死亡していました。

 このリスクを、年齢や飲酒状況の影響を除いた上でそれぞれのグループ間で比較したところ、厳密には有意差(統計上意味のある差)はみられなかったものの、1日20本以上吸う男性では、非喫煙者の男性より交通事故死のリスクが1・54倍高まっていました。

 また、やはり有意差はないものの、非喫煙者の男性と比べ、過去喫煙者や1日20本未満吸う現在喫煙者の男性のほうが、交通事故死のリスクは高まる傾向がみられました。

 女性は喫煙者の人数自体が少なく、観察期間中に交通事故による死亡がありませんでした。

 喫煙がどのように交通事故に関連するのか。喫煙者が運転手だった場合のリスクについて、相田准教授は「例えば、たばこを吸いながらの運転は、火をつけたり、たばこを落とすなどしたりした時によそ見や不注意運転につながる可能性がある」「ニコチン依存症は吸っていない時にストレスが高まるので、そのイライラが運転に影響したり、たばこによる心疾患や呼吸器疾患の不調も運転に影響したりする可能性がある」と推測しています。

 また、今回の調査では、運転中の喫煙ではなく普段の喫煙習慣を聞いているため、運転中の喫煙による不注意事故が少なく見積もられている可能性があります。さらに、交通事故死の中には、直接喫煙がかかわらなそうな鉄道事故や飛行機事故、歩行者や同乗者としての事故も含まれています。

 相田准教授は、「そうした喫煙との因果関係が低そうな交通事故死を除いたとすれば、実際の喫煙と運転事故の関連はもっと強固であることが予想される」と話しています。その上で、「たばこの煙は、肺がんなどの病気をもたらすだけでなく、喫煙者自身の安全を損ない、巻き込まれる人がいる可能性を重く受け止め、喫煙しながらの運転禁止など命を守る法的規制につなげてほしい」としています。

 海外では、運転中の喫煙は子供への受動喫煙を防止する観点から禁止されていることがありますが、台湾やイタリアなどでは、運転中の喫煙は運転者の注意が散漫になるとして法律で禁止しています。日本では運転中の携帯電話の使用は、注意散漫や運転操作不適による交通事故を増やす可能性があることから道路交通法で規制されています。しかし、運転中の喫煙は規制されていません。

 2018年7月6日(金)

 

■血中カドミウム濃度が高いと早産の頻度1・9倍に  産業医科大などが調査

 産業医科大学(福岡県北九州市)などの研究チームは4日、約2万人の妊婦を対象とした調査で、血液中のカドミウム濃度が最も高いグループは、最も低いグループに比べて妊娠早期に早産となる頻度が1・9倍高いことがわかったと発表しまた。たばこや食品、環境中に含まれるカドミウムが原因となっている可能性があるといいます。

 環境省と国立環境研究所が2011年から始めた全国の約10万組の親子を対象とした「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」のうち、化学物質と健康に関する成果の第1弾。

 産業医科大学医学部の辻真弓・准教授らの研究チームは、約2万人の妊婦を対象に妊娠22〜33週を「早期早産」、34〜36週を「後期早産」、37週~42週未満を「正期産」として分類。体格指数「BMI」や喫煙・飲酒歴、妊娠・出産回数などの影響を考慮して分析しました。

 カドミウムと鉛、水銀、セレン、マンガンの5種類の金属の血中濃度を4つのグループに分けて、それぞれ早産との関係を解析したところ、妊婦の血液中のカドミウム濃度が最も低いグループに比べて、最も高いグループでは早期早産の頻度が1・9倍高いという関係がみられました。妊婦の血中カドミウム濃度と後期早産の間には、統計学的に有意な関係は認められませんでした。また、鉛、水銀、セレン、マンガンと早期・後期早産の間には、関係が認められませんでした。

 今後は約10万人のデータを使って再度分析したり、金属以外の因子と早産との関係を検討したりする方針です。成果は6月28日、海外の環境科学・疫学関連の専門誌「エンバイロメントリサーチ」に掲載されました。

 2018年7月5日(木)

 

■線虫を使ったがん検査、本格的な臨床試験へ 日立など2020年の実用化目指す

 線虫という小さな生物を使って、人の尿の臭いからがんを発見する検査方法の研究が進められています。日立製作所と、九州大学発のベンチャー企業「HIROTSU(ヒロツ)バイオサイエンス」が4日、共同で本格的な臨床試験に乗り出し、2020年1月の実用化を目指すと発表しました。

 両社が3年前から研究している検査方法は、犬に匹敵する嗅覚を持つという体長1ミリ程度の生物である線虫が、がん患者の尿には近付き、健康な人の尿からは遠ざかる動きをするのを利用し、ステージ0からステージ1という早期がんを発見できる確率をおよそ90%まで高められるのが特徴だとしています。

 これまでは顕微鏡を使って線虫の動きを人が1つずつ数えて、がん患者かどうかを判定していたため、検査に時間がかかるのが課題でしたが、今回新たに、線虫の分布を画像で解析して自動で調べる装置を開発し、検査時間を大幅に短縮できるようになったということです。

 両社は国内外の17の医療機関や大学と本格的な臨床試験に乗り出し、2020年の実用化を目指すとしています。

 HIROTSUバイオサイエンスの広津崇亮代表取締役は、「検査費用は数千円のレベルですむ。早期発見できる確率が飛躍的に上がるとみている」と話しています。

 線虫は線形動物とも呼ばれ、土の中や海中に生息するものや人などに寄生するものなど、さまざまな種類が自然界にいます。がん検査に使う線虫は、シーエレガンスという主に土の中に生息する種類です。目を持たない代わりに、犬に匹敵する嗅覚で餌を見付けたり天敵を避けたりします。線虫ががん患者の尿に集まるのは、大腸菌やバクテリアといった線虫が好む餌の臭いと、がん細胞から出る物質の臭いが似ているためとみられています。

 ステージ0からステージ1という早期がんの場合、腫瘍マーカーと呼ばれる血液を使ったがんの検査では発見できる確率が10%程度ですが、線虫を使った検査ではおよそ90%まで飛躍的に高まるのが特徴だとしています。ただ、線虫を使ったがん検査は、顕微鏡を使って担当者が一つ一つ線虫を数えていく作業が必要で、一人当たり一日3件から5件が限界でした。

 今回、日立が開発した自動撮像装置は、光を当てながらカメラで撮影し、その画像を解析して線虫の動きを自動で調べる仕組みで、一日に100件以上の検査が可能になるということです。

 装置を開発した日立製作所の久野範人主任研究員は、「線虫のがん検査は早期の発見ができそうで、世の中に貢献できるところが非常に大きい。ベンチャー企業と日立の技術を組み合わせれば早期の実用化ができる」と話しています。

 2018年7月3日(火)

■熱中症で搬送、全国で3473人に上る 前週の5倍以上に急増

 西日本から東日本を中心に猛烈な暑さが続いた先週1週間に熱中症で搬送された人は全国で3473人に上り、前の週に比べて5倍以上に急増したことが3日、総務省消防庁のまとめでわかりました。

 総務省消防庁によりますと、6月25日から7月1日までの1週間に熱中症により病院に搬送された人は、全国で3473人に上りました。これは、その前の6月18日から24日までの1週間の667人と比べて5倍以上、また、昨年の同じ時期と比べて3倍近くにそれぞれ増えました。

 都道府県別にみますと、先週金曜日の6月29日に統計史上最も早く梅雨明けが発表された関東甲信の各地で特に多くなっており、埼玉県が334人と最も多く、次いで東京都が278人、大阪府が248人などとなっています。

 症状の程度は、死亡が3人、入院が必要な中等症から重症が1251人、軽症が2196人で、年齢別では、65歳以上が1848人と全体の半数以上を占めたほか、18歳以上65歳未満が1197人、乳幼児を含む18歳未満が428人でした。

 また、日付別では、7月1日が885人と最も多く、次いで3日前の6月30日が656人で、広い範囲で猛暑日となった週末に搬送された人が多くなりました。

 熱中症で搬送された人が急増したことについて、総務省消防庁は、急激な暑さに体が慣れていない人が多いためと分析しています。

 関東甲信地方を中心に今後も厳しい暑さが予想されるほか、梅雨が明けていない地域でも湿度が高いと熱中症の危険性が高まるため、総務省消防庁は「適切に冷房を使い、こまめに休憩して水分を取るなど予防をしっかりしてほしい」と呼び掛けています。

 2018年7月3日(火)

■梅毒感染者、昨年を上回るペースで増加の一途 女性は20〜30歳代に増加

 性行為などで感染し、重症化すれば失明など深刻な障害につながる恐れもある性感染症の梅毒の増加が続いています。昨年は1973年以来44年ぶりに梅毒感染者が5000人を超え、暫定値で5820人(男性3925人、女性1895人)となりましたが、今年も昨年を上回るペースで、地方都市や若い女性にも広がっています。

 感染に気付きにくく他人に移しやすいため、自分とは無関係と思わずに予防を心掛け、心当たりがあれば検査を受けることが大切です。

 梅毒は、感染から数週間後に性器や口の感染部位に、しこりや潰瘍(かいよう)ができます。ただ、治療しなくても症状が軽くなるため見過ごされやすく、数カ月後には全身の皮膚や粘膜に赤い発疹が出現。この時も治療せずに消えることがあるため、知らずに他人に移したり、治療が遅れて失明したり、記憶障害やまひなどの神経障害につながったりする恐れがあります。

 予防には、不特定多数の人との性行為を避けることが重要。性行為の際は最初からコンドームをつけると、感染リスクを減らせます。

 日本性感染症学会副理事長の石地尚興(いしじたかおき)・東京慈恵会医大教授(皮膚科)は、「リスクのある性行為は避け、感染が心配な時は検査してほしい」と訴えています。感染の有無は血液検査でわかり、地域によっては保健所で無料で受けられます。

 治療には抗菌薬が有効。ただし最長で12週間飲み続ける必要があり、「途中で断念してしまう患者もいる」と性感染症に詳しい産婦人科医の北村邦夫・日本家族計画協会理事長は指摘しています。厚生労働省によると、海外では1度の注射ですむ薬が使え、世界的に標準治療となっているといいます。現在、厚労省はメーカーに開発を要請しています。

 今回の流行では、女性は20〜30歳代に感染者が多く、男性は20~40歳代に多くなっており、性風俗に従事する若い女性やその客となる男性の間で感染が広がっている可能性が指摘されています。妊娠した女性が感染すると流産や死産したり、生まれた子供の肝臓や目、耳に障害が起こったりする「先天梅毒」になる恐れがあります。

 厚労省によると、先天梅毒の新生児は2013年には4人でしたが、2016年は14人。厚労省研究班の報告書によると、2011〜2015年の間に新生児20人が先天梅毒になり、うち3人が死亡、3人に後遺症があったといいます。

 厚労省は4月、梅毒に感染した妊婦の早期治療につなげようと、診断した際に医師に義務付けている保健所への届け出の項目に「妊娠の有無」を加える方針を決めました。また、風俗業の従事歴なども項目に加え、感染経路を分析する方針です。

 2018年7月3日(火)

■ウイルス性の風邪に効かない抗菌薬、6割を超える医師が処方 専門学会が全国調査

 風邪の治療の際に、60%を超える医師が患者が希望すれば、抗生物質などの抗菌薬を処方しているという調査結果がまとまりました。抗菌薬は使用量が多くなるほど、薬が効かない「耐性菌」を増やすことにつながり、専門家は「風邪には抗菌薬が効かないことを広く知ってもらう必要がある」と話しています。

 この調査は今年2月、感染症の専門学会である日本化学療法学会と日本感染症学会の合同調査委員会が抗菌薬の処方の実態を調べるために行い、全国の269の診療所の医師が回答して、先月結果がまとまりました。

 抗菌薬はウイルスが原因の普通の風邪には効きませんが、患者側が効くと誤解し、処方を求めるケースがあります。

 調査では「患者や家族が抗菌薬の処方を希望した時」の対応について聞いていて、12・7%の医師が「希望どおり処方する」と答え、「説明しても納得しなければ処方する」と答えた医師も50・4%に上りました。一方、「説明して処方しない」と答えた医師は32・9%にとどまりました。

 また、「過去1年間でウイルスが原因の風邪と診断した患者にどれくらいの割合で抗菌薬を出したか」を尋ねたところ、「4割超」と答えた医師が20・2%、「2割以下」と答えた医師は62%でした。処方した理由は、「重症化予防」(29・8%)や「二次感染の予防」(25・8%)などで、医学的根拠が乏しいと思われる理由でした。

 抗菌薬は使えば使うほど、薬が効かない「耐性菌」が増え、イギリスの研究機関では、何も対策が取られなければ、2050年には世界で年間1000万人が耐性菌によって死亡するという推計まとめています。

 厚生労働省も2020年までに抗菌薬の使用量を3分の2に減らす方針を打ち出していて、普通の風邪で受診した子供に対して抗菌薬は不要と説明して、処方しない場合、診療報酬を加算する試みを今年4月から始めています。

 調査をまとめた国立国際医療研究センターの大曲貴夫副院長は、「風邪には抗菌薬が効かないと患者に広く知ってもらう必要がある。また抗菌薬が必要な感染症もあり、医師が適切に判断できるよう風邪と見分ける検査法も普及させたい」と話しています。

 2018年7月2日(月)

 

■途上国の出産女性の命救う新薬開発 WHO、大量出血防止に向け

 世界保健機関(WHO)は6月29日までに、アフリカやアジアの途上国を中心に、出産時に多くの女性が死亡する原因となっている大量出血の防止に向け、輸送・保管が容易で世界中で利用しやすい薬が開発されたと発表しました。

 世界では毎年、分娩後出血で約7万人が死亡。母親の死亡後1カ月以内に乳児も亡くなるリスクが高く、テドロスWHO事務局長は新薬について、出産後の母子を生かすための医療技術に「大変革をもたらすことになる」と評価するコメントを発表しました。

 WHOはこれまで大量出血の防止薬として「オキシトシン」を推奨してきましたが、セ氏2度から8度でしか輸送・保管できない上、高湿度に弱くて熱帯地方などで利用しにくい欠点がありました。

 別の防止薬の「カルベトシン」を改良したところ、セ氏30度、高湿度でも3年間の保管が可能な薬の開発に成功。アルゼンチン、インド、タイなど10カ国の約3万人の妊婦で試したところ、オキシトシンと同様の効果を確認しました。

 2018年7月2日(月)

 

■フランス保健省、4種類の認知症薬を保険適用外に 効果を示す十分な有用性なし

 認知症の治療に日本でも使われている4種類の薬が、フランスで8月から医療保険の適用対象から外されることになりました。さまざまな副作用が懸念される一方で、期待するような効果を示す有用性が十分に得られなかったとして、「医療保険でカバーするのは適切ではない」と保健省が判断しました。

 日本で適用対象から外される動きはありませんが、効果の限界を指摘する声は国内でもあり、論議を呼びそうです。

 フランス保健省の発表によると、対象はドネペジル(日本での商品名アリセプト)、ガランタミン(同レミニール)、リバスチグミン(同イクセロン、リバスタッチ)、メマンチン(同メマリー)。アルツハイマー型認知症の治療薬として、これまで薬剤費の15%が医療保険で支払われていましたが、8月1日からは全額が自己負担になります。

 東京大学の五十嵐中(あたる)特任准教授(医薬政策学)によると、フランスは薬の有用性に応じて価格や保険で支払われる割合を随時見直しています。今回の薬は7年前にも、医療保険でカバーする薬や医療技術などの臨床効果を評価している高等保健機構から「薬を使わない場合と比べた有用性が低い」との評価を受け、保険で支払われる割合が引き下げられました。高等保健機構は2016年にさらに低い「不十分」と評価し、今回の決定につながりました。

 4種類の抗認知症薬は、病気の症状が進むのを抑えるものの、病気自体は食い止められません。効果は各国で実施された臨床研究で科学的に確認されているとはいえ、薬から得られる恩恵は「控えめ」であり、下痢や吐き気、めまいといった副作用があります。

 日本でアリセプトに続いて実施された3種類の薬の治験では、認知機能の指標では効果があったものの、日常生活動作を含む指標では効果が確認されませんでした。それでも承認されたのは、アリセプトだけでは薬の選択肢が限られるなどの理由から。

 東京都医学総合研究所の奥村泰之主席研究員らの調査では、日本では2015年4月から2016年3月にかけて、85歳以上の高齢者の17%が抗認知症薬の処方を受けました。処方された量はオーストラリアと比べ、少なくとも5倍多いといいます。

 兵庫県立ひょうごこころの医療センターの小田陽彦(はるひこ)・認知症疾患医療センター長は、「欧米はケアやリハビリをより重視する。日本では安易に抗認知症薬が使われている印象だ」と話しています。

 ただし、薬を自己判断でやめると症状が悪化する恐れがあります。日本老年精神医学会理事長の新井平伊(へいい)・順天堂大教授は、「抗認知症薬は病気の進行を1年ほど遅らせることができ、薬がなかった以前と比べればそれなりの価値はある。薬をどう使うかは主治医とよく相談してほしい」としています。

 2018年7月1日(日)

 

■着床前診断の実施の可否、審査迅速化へ 産科婦人科学会が決定

 受精卵の段階で遺伝子や染色体を調べる「着床前診断」の実施を認めるかどうかの審査を、日本産科婦人科学会が迅速化します。審査が長引き、受けるのをあきらめる患者もいたためです。

 学会のルールでは、着床前診断の対象は、重い遺伝病があったり、染色体異常で流産を繰り返したりした夫婦やカップルに限られており、診断で異常がなかった受精卵を子宮に戻します。

 医療機関から申請を受けて学会が一例ずつ審査し、2015年度までの17年間で申請は549件で、うち484件が承認されました。

 従来は医療機関の倫理委員会の許可を受けてから、学会に申請させていました。しかし、学会と施設の倫理委員会で遺伝病の重篤さの考え方が違うなどして、両者で議論になり、審査が長期化することがありました。

 今後は、施設からの申請に基づいて学会がまず審査し、その考え方を施設側に示した上で施設の倫理委にかけて、速やかな審査を目指します。また、申請ごとに施設の体制が十分かどうかも審査していましたが、施設の認可は5年間の更新制として簡略化します。

 同学会の苛原稔・倫理委員長は、「9~12月は施設認定の審査を集中的に進め、来年には認可された施設から症例を受け付けたい」と話しています。

 2018年7月1日(日)

 

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