自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾/自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾

健康ダイジェスト

2019年7月〜 1月〜6月 2018年7月〜12月 1月〜6月 2017年7月〜12月 1月〜6月 2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1月〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月

 

■10~30歳代の死因1位は自殺 G7で日本のみが1位

自殺者数は全体として減る傾向にあるが、10~30代の死因の第1位は依然として自殺となっている。国際的にも15~34歳の死因1位が自殺なのは、主要7カ国(G7)の中で日本だけだ。

 自殺対策白書によると、若年層の自殺を巡る状況について、2018年までの10年分を分析したところ、10代では学業不振や進路の悩みなど学校問題の割合が最も高かった。また、家庭問題の割合が増え、健康問題は減る傾向にあった。20~30代では健康問題の割合が減っているものの一番高く、経済と生活、勤務の問題も大きかった。

 厚生労働省も、自殺防止のために会員制交流サイト(SNS)を活用した相談事業をしていて、18年度の相談件数は延べ2万2725件。20歳未満が43.9%と最多で、次いで20代の41.3%と、若年層が多かった。性別では女性が92.1%を占めた。相談内容でみると、「メンタル不調」が最も多く、「自殺念慮」や「家族」「学校」などと続いた。

 SNSの相談について、厚労省は「支援につながりにくかった人からの相談の受け皿になっている」と評価。今後の課題として「多数の相談が寄せられていて、どの相談を優先すべきか意識し、効果的に実施する必要がある」としている。【村田拓也】

相談窓口

 ◆児童相談所全国共通ダイヤル

 189=年中無休、24時間

 ◆24時間子供SOSダイヤル

 0120-0-78310(なやみ言おう)=年中無休、24時間

 ◆チャイルドライン

 0120-99-7777=月~土曜日の午後4~9時(18歳まで)

 ◆子どもの人権110番

 0120-007-110=平日午前8時半~午後5時15分

 2019年7月17日(水)

 

■ベビーフードに過剰な糖分 WHOが報告書で警告

【7月16日 AFP】国連(UN)は15日、市販されているベビーフードの多くには糖分が過剰に含まれており、その原材料リストも混乱を招くような表示になっているとする報告書を発表した。報告書では幼児期の食事を向上させるための新たなガイドラインが提案されている。

 世界保健機関(WHO)は2017年11月~2018年1月の期間に、オーストリア、ブルガリア、イスラエル、ハンガリーの小売店500か所以上で販売されていた製品8000種類近くを調べた。

「調査対象製品の約半数では(中略)カロリーの30%以上が全糖類に由来しており、また約3分の1の製品に添加の糖類や他の甘味料が含まれていた」と、WHO欧州地域事務局は述べている。

 果物や野菜などの糖類を天然に含む食品は幼児期の食事にふさわしいものとなり得る一方で、「市販の製品に含まれる多量の糖質は懸念される部分となっている」とWHOは指摘した。

 また糖分摂取量が多いと、過体重や虫歯のリスクが高くなる恐れがあり、幼児期にこうした製品に接することで、生涯にわたって糖分の多い食べ物を好むようになる恐れもある。

 WHO欧州地域事務局のジュジャンナ・ヤカブ局長は、声明で「やはり幼児期と小児期早期の良好な栄養状態が、子どもの最善の成長と発達を促し、将来の健康状態を向上させる鍵となる」と述べている。

 報告書は他方で、調査対象となった食品の最大60%において、生後6か月未満の乳児向けとの表示を確認したとしている。しかしWHOは、「乳児は生後6か月まで母乳のみで育てる」と勧告しているため、こうした表示はWHOの考えとは相反するものだ。

 WHOは現在、糖分摂取に関するガイドラインの更新作業を進めている。加盟国にとっては、糖分の取り過ぎを抑制する新規制導入の指針となる。

 母乳代替品の推進に歯止めをかけたいWHOは、生後6か月から2歳までの子どもについて、家庭で用意した栄養価の高い食品で育てるよう推奨している。また、ベビーフードでの添加糖類と甘味料の使用禁止を呼び掛けるとともに、砂糖菓子と果汁や濃縮ミルクを含む甘味飲料には3歳未満の子ども向けの製品ではない旨を表示すべきだとも主張している。

 2019年7月17日(水)

 

■世界の人口の9人に1人が栄養不足 北朝鮮では半数近く

 国連食糧農業機関(FAO)は15日、世界の食料安全保障と栄養摂取に関する報告書を発表し、2018年に世界の人口の9人に1人に相当する8億2000万人が栄養不足に陥っていると指摘しました。北朝鮮では人口の半数近くが栄養不足で、北朝鮮の食糧事情が悪化している状況が浮き彫りとなりました。

 報告書によると、世界の栄養不足人口比率は2004~2006年の14・4%から、2016~2018年は10・7%に減少し、改善がみられました。一方、北朝鮮では、2004~2006年の35・4%から2016~2018年は47・8%と大幅に増加しているといいます。

 2016〜2018年の北朝鮮の栄養不良人口は、推定1220万人。各国の全人口に占める栄養不良人口比(推定)で、中央アフリカ(59・6%)、ジンバブエ(51・3%)、ハイチ(49・3%)に次ぎ4番目に高くなりました。

 国連が今年3月に公表した報告書でも、北朝鮮の2018年の食糧生産量が自然災害などによって過去10年で最低水準まで落ち込み、特に農村部で食糧不足が深刻になっていることが指摘されています。

 2019年7月16日(火)

 

■手足口病の流行、九州から東へ拡大 患者数が過去10年で最多に

 主に幼い子供が感染し、手足や口に発疹ができる「手足口病」の流行が拡大しています。患者数はこの時期としては過去10年で最も多くなっており、国立感染症研究所は今後ピークを迎える可能性が高いとして、手洗いなど、予防を徹底してほしいと呼び掛けています。

 手足口病は、手や足、口の中などに発疹ができるウイルス性の感染症で、幼い子供ではまれに脳炎などの重い症状を引き起こすことがあります。

 国立感染症研究所によりますと、7月1日から7日までの1週間に、全国の約3000の小児科の医療機関から報告された患者数は3万1065人で、1医療機関当たりでは9・79人となりました。

 この時期としては、過去10年で2011年の9・72人を上回り最も大きな流行となっています。

 都道府県別では、福井県で31・13人、石川県で26・76人、香川県で17・11人、三重県で17・05人、滋賀県で16・41人、鳥取県で16・21人などとなっていて、流行の中心が6月時点で最も多かった九州地方から、中部地方など東に移ってきています。

 流行は、今後1週間から2週間でピークを迎える可能性が高いということで、国立感染症研究所の藤本嗣人室長は「特に幼い子供がいる家庭や保育園などでは、オムツの適切な処理やこまめな手洗い、それにタオルを共有しないなど予防を徹底してほしい」と呼び掛けています。

 各都道府県ごとの1医療機関当たりの患者数は次のとおりです。

 北海道1・86人、青森県3・83人、岩手県1・83人、宮城県2・64人、秋田県0・43人、山形県6・27人、福島県15・66人、茨城県12・41人、栃木県5・83人、群馬県4・83人、埼玉県11・03人、千葉県14・22人、東京都9・72人、神奈川県10・31人、新潟県11・11人、富山県13・28人、石川県26・76人、福井県31・13人、山梨県4・08人、長野県3人、岐阜県8・08人、静岡県7・7人、愛知県9・76人、三重県17・05人、滋賀県16・41人、京都府11・21人、大阪府8・78人、兵庫県15・19人、奈良県9・32人、和歌山県10・3人、鳥取県16・21人、島根県9・91人、岡山県9・65人、広島県7・92人、山口県15・57人、徳島県5・09人、香川県17・11人、愛媛県10・84人、高知県16・07人、福岡県13・1人、佐賀県12・35人、長崎県8・93人、熊本県10・42人、大分県6・39人、宮崎県2・33人、鹿児島県5人、沖縄県1・38人

 2019年7月16日(火)

 

■ノバルティス、1億円以上の遺伝性疾患治療薬を発売へ 医療保険財政圧迫も

 1億円を超える超高額薬が、年内にも登場します。スイスの製薬大手ノバルティスがアメリカで約2億3000万円で発売し、日本でも製造販売を申請している乳幼児の難病治療薬「ゾルゲンスマ」を厚生労働省が承認する見通しとなりました。

 白血病治療薬「キムリア」の公定価格(薬価)が5月、過去最高の3349万円に決まり注目されていました。相次ぐ高額薬の登場は、日本の医療保険財政を揺さぶる可能性があります。

 医療費の大半は、国民健康保険や会社員が加入する健康保険組合が支払います。会社員の子供に投薬する場合、親の収入によって月間の医療費に上限を設ける高額療養費制度もあります。ゾルゲンスマの対象疾患は国が難病に指定しており、費用の大部分は国が負担します。

 ゾルゲンスマは、遺伝性疾患で筋肉が委縮する脊髄性筋委縮症(SMA)の2歳以下の乳幼児に対する治療薬。SMAは乳幼児の10万人に1~2人が発症する希少疾患で患者数は国内で数百人程度だといいます。重症の場合は呼吸不全に陥り死亡率が高くなるため、乳幼児の遺伝性疾患の死因の第1位とされています。

 アメリカでの価格は、独立機関の助言を受けてノバルティスが5月に決めました。ゾルゲンスマなしで治療を10年続ける場合にかかるとされる費用の半分強の約2億3000万円に設定しました。アメリカでは、効果があった場合にだけ医療保険会社が製薬会社に薬剤費を支払う仕組みなどが検討されています。

 ノバルティスは、日本では2018年11月にゾルゲンスマの製造販売の承認を申請しました。厚生労働省は通常1年~1年半かかる審査を半年~1年程度に短縮する「先駆け審査指定制度」の対象に指定。早ければ年内にも承認される可能性が高くなっています。

 薬価は、厚生労働相の諮問機関の中央社会保険医療協議会(中医協)が決めます。海外での販売価格を参考にするため、ゾルゲンスマは1億円以上が確実視されています。

 高額薬の扱いは、政策課題になっています。小野薬品工業などのがん免疫薬「オプジーボ」は、年換算の価格が当初は約3500万円だったものの、財務省が高額を問題視し、2017年に半分に下げられました。

 ゾルゲンスマは、化学物質を合成してつくる従来の医薬品とは違い、特殊なウイルスで病気の原因となる患者の遺伝子を書き換えます。1回限りの投薬で治療できるといいます。

 2019年7月16日(火)

 

■マイナンバーカードに障害者手帳、お薬手帳など一体化 2021年以降に

 政府はマイナンバーカードと、求人紹介や雇用保険の手続きでハローワークを利用する時に必要な「ハローワークカード」など各種証明書類を一体化します。「障害者手帳」や処方薬の履歴を記録する「お薬手帳」は、2021年中にも統合します。マイナンバーカード1枚でさまざまな用途に使えるようにし、利便性向上とカードの普及につなげます。

 政府はカードが全国民に普及すれば、行政手続きや金融サービスなど官民の手続きのデジタル化が進むとみています。カードの交付実績は5月末時点で約1702万枚で、3年後をメドに1億枚以上を目標とします。

 ハローワークカードや教員免許状は、2022年度以降に一体化します。職業訓練を受ける人などが求職の際に利用する「ジョブ・カード」も、同時期にマイナンバーカードで代用できるようにします。

 お薬手帳は2021年10月から、カードに搭載されICチップで個人認証すれば、インターネット上で自分が過去に服薬した薬を確認できるようになります。複数の医療機関から薬を処方されても一括して管理することで、二重投薬や薬の副作用を防ぎます。政府はお薬手帳の取得を促しており、現在は薬局に手帳を持参して薬剤師らに記入してもらう必要があります。

 政府は今年6月に、2021年3月から健康保険証の代用を可能にするなどのマイナンバーカードの普及策をまとめました。8月をめどに、各種証明書類との一体化も盛り込んだ詳細な工程表をまとめる予定。政府はカードを紛失したり盗まれたりしても、ICチップは外部から読み取られる恐れがなく、パスワードなどが漏れない限り情報が外部に流出することはないと説明しています。

 2019年7月15日(月)

 

■「妊婦加算」再開に向けて検討進む 厚労省、加算要件の厳格化も

 妊婦が医療機関を受診した際に自己負担が上乗せされる「妊婦加算」の再開に向けた検討が、活発化しています。制度は妊婦側からの反発で凍結されたものの、医療関係者からは「妊婦に配慮した診療を評価する仕組みは必要」との根強い意見があります。厚生労働省は2020年度からの再開も視野に入れ、加算要件の厳格化など制度の見直しも模索します。

 妊産婦への医療の在り方を検討してきた厚労省の有識者会議は先月、「妊産婦の診療には、通常より慎重な対応や、胎児や乳児への配慮が必要」との意見を取りまとめました。妊婦加算については「質の高い診療やこれまで十分に行われてこなかった取り組みを評価・推進することは必要」との見解を示し、事実上、加算の必要性を認めた形です。

 妊婦加算は、妊婦の診療に一律で診療報酬を上乗せする仕組み。昨年4月に導入されたものの、投薬を伴わないコンタクトレンズの処方など。妊娠とは直接関係ない場合にも加算が適用されていたことが発覚。支払い時に初めて自己負担の発生を知る人もいるなど批判が相次いだため、今年1月、凍結に追い込まれました。

 制度には、リスクを恐れて妊婦の診療を医療機関が敬遠しないよう促す狙いもありました。厚労省が3月に実施した調査では、妊娠中に産婦人科以外の診療科にかかろうとした736人のうち約15%が「他の病院・診療所にかかるよう勧められたことがある」と回答。妊婦への診療体制の在り方が課題として残されているのも事実です。

 再開を巡る議論は今秋から、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)で本格化します。有識者会議は妊婦加算について「そのままの形で再開されることは適当でない」と注文を付けており、委員からは「妊産婦にとって自己負担に見合う内容だと実感できるかがポイント」との指摘もありました。こうした上で、加算要件について中医協で協議することも求めており、制度は名称が変更されるなど新たな形で再スタートを切る可能性もあります。

 厚労省は6月12日に開かれた中医協の総会で、有識者会議の意見を報告。委員からは、加算の取り扱いだけでなく、妊産婦に対する診療体制の在り方についても「議論を深めていかなければいけない」など再開へ前向きな意見も出ました。

 ただ、少子化対策が進められる中、与党からは「妊婦に自己負担が生じるのは容認できない」との反発も上がってきました。公費助成を求める声もあり、妊婦の負担軽減が議論の焦点となっていくことも予想されます。

 妊婦加算は、胎児の影響を考慮した薬の処方などが必要な妊婦に対し、「丁寧な診療の強化」を目的に新設されました。妊婦を診療した場合、初診で750円、再診で380円が上乗せされて医療機関に入ります。妊婦の自己負担(原則3割)は初診で約230円、再診で約110円増えます。深夜や休日、診療時間外はさらに上乗せされます。通常の妊婦健診では、加算されません。

 2019年7月15日(月)

 

■腸内細菌を病気の治療に生かす研究開発が加速 動脈硬化治療薬や予防技術も 

 人の糞便(ふんべん)に含まれる100兆個の細菌を病気の治療に生かす研究開発が、加速し始めました。解析技術が進化し、腸にすむ腸内細菌が体のさまざまな機能や病気に影響していることが詳しくわかってきたためで、菌の力で炎症を抑える薬の開発や、健康な人の便にいる菌を腸の難病患者に移植する便微生物移植など、医療への応用が加速しています。

 中堅製薬の日東薬品工業(京都府向日市)は、動脈硬化の治療薬の開発に着手。人工知能(AI)を活用した予防技術の開発も進んでいます。

 日東薬品は5月に、国内で初めてとされる腸内細菌を使った創薬の重点研究施設を新設し、先進的な解析・培養装置がずらりと並んでいます。同社は神戸大学の山下智也准教授と共同で、動脈硬化を抑制する働きがある腸内細菌を発見。2027年ごろの臨床試験(治験)入りをへて、医薬品としての承認申請を目指します。

 腸内細菌は人の体内にいる細菌(マイクロバイオーム)の代表格で、人の大腸は長さ約1・5メートル、小腸は6~7メートルもあり、併せて1000種類、100兆個以上もの菌がすむとされ、人体の細胞の数を大きく上回ります。腸内細菌の群れを「腸内細菌叢(そう)(腸内フローラ)」といい、ビフィズス菌や乳酸菌が知られています。

 近年は次世代シーケンサー(遺伝子解析装置)の登場により、細菌の解析が進展。腸内細菌叢のバランスが崩れると病気になり得ることがわかってきました。創薬では、特定の疾患に作用する細菌を腸内から抽出して、有効な菌のみを培養し、錠剤などの薬剤にして患者の腸内に届けます。

 1947年設立の日東薬品は乳酸菌や納豆菌に強く、培養技術では国内トップクラスとされます。これらの菌を配合した総合胃腸薬を国内で先駆けて開発。興和(名古屋市)の「ザ・ガードコーワ整腸錠」などを製造するほか、ロッテのチョコレート菓子などにも乳酸菌を供給しています。

 腸内細菌でも地道にノウハウを蓄積してきており、創薬の共同研究先は神戸大学など4機関、細菌の代謝物などを対象とした共同研究は11機関に及びます。日東薬品の北尾浩平常務は、「ハードルは高いが創薬シーズの製品化を進めたい」と意気込んでいます。

 製薬大手も動いています。2017年発足の企業連合、日本マイクロバイオームコンソーシアム(大阪市)には、武田薬品工業や小野薬品工業、塩野義製薬など計35社が参加。腸内細菌などを使った製品・サービスの商用化を目指します。

 課題は、腸内細菌を解析したデータベースの構築。日本マイクロバイオームコンソーシアムの運営委員長を務める寺内淳氏は、「平均寿命が長い日本人の腸内細菌のデータは『宝の山』。治療や早期発見につながるポテンシャルがある」と語ります。

 実は日本は腸内細菌の研究で、欧米に引けを取らない優位性があります。ヤクルトなど細菌に着目した製品や菌の培養技術で実績があり、欧米人に比べて肥満になりにくいなど特徴的な体質を生かした細菌の用途開発も可能だと期待されています。

 医薬基盤・健康・栄養研究所(大阪府茨木市)の国沢純ワクチン・アジュバント研究センター長は、「(腸内細菌を生かした医療は)日本にとって大きな産業になる可能性がある」とみています。

 腸内細菌と重大疾病の関係を巡る研究成果も、相次いでいます。6月には大阪大学と東京工業大学などが共同で、大腸がん患者に特有の腸内細菌を発見したと発表。約8割の精度でがんを発見できるといいます。国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)も1月、認知症との関係を指摘。東北大学や慶応大学などは、腸内細菌の代謝物が慢性腎臓病の原因物質の一つになると明らかにしました。

 調査会社シード・プランニング(東京都文京区)によると、体内の細菌を使った医薬品の世界市場は、2018年の60億円程度から2024年には8450億円になる見通し。疾病の特定や検査でも活用が広がるとみています。

 実際、腸内細菌の分析技術を持つメタジェン(山形県鶴岡市)は、SOMPOへルスサポート(東京都千代田区)と連携。どのような生活習慣を改善すれば病気の予防に役立つのか、腸内環境の変化から予測するAIの開発を進めています。

 2019年7月14日(日)

 

■製薬会社、精神・心臓疾患向けの貼り薬を開発 高齢者がターゲット

 飲み薬から貼り薬(経皮吸収薬)へと、製薬会社で新たな需要開拓が始まりました。大日本住友製薬は今夏にも、世界初となる統合失調症の貼り薬を国内で発売します。アステラス製薬は6月に、心房細動の貼り薬を売り出しました。協和キリンは、パーキンソン病向けの事業化に乗り出します。高齢者が増え、効能と同時に利用しやすさが、製薬業界のターゲットになっています。

 精神疾患や認知症の患者は飲み薬を処方通りに正しく服用することが難しい場合もあり、治療の中断などにつながりやすいという課題がありました。貼り薬の需要が高まる背景には、認知症や精神疾患の患者の増加があります。2015年に約520万人だった国内の認知症患者数は、2025年に約700万人に達する見込み。

 貼り薬は錠剤に比べ、治療効果や患者の生活の質を高めやすいという利点があります。錠剤で問題になる飲み忘れや飲みすぎを防ぎやすく、医師や介助者にも服薬の状況が一目でわかります。薬の有効成分が切れにくく、副作用が抑えやすくなります。

 さらに、飲み込む力が衰えた高齢者も、安全に使うことができます。薬が胃や腸を通らないため、食事の影響も受けにくく、誤嚥(ごえん)による事故を防いだり、食事の内容や時間の制約を減らしたりできます。高齢者の間では、薬を包装シートごと飲み込んでしまう事故も報告されています。

 大日本住友製薬は錠剤タイプの統合失調症治療薬「ロナセン」を貼り薬にしたものについて、6月に製造販売承認を取得。90日以内に保険が適用される見通しで、今夏にも発売します。

 貼り薬の技術を持つフィルムメーカーの日東電工と共同開発しました。錠剤タイプのピーク時売上高は年間128億円でしたが、6月に登場したロナセンの後発薬に対応した貼り薬ではこれを超える売り上げを目指します。

 日東電工は液晶用フィルムの大手ですが、テープなどの技術を経皮吸収薬に応用し、製薬会社との共同開発のほか、自社ブランドでもぜんそくや狭心症の経皮吸収薬を販売中。

 アステラス製薬は6月、トーアエイヨー(東京都中央区)と共同で心房細動の貼り薬を発売しました。神経の働きを抑え心拍数を調整する薬で、貼るタイプは世界初となります。心房細動の場合、錠剤の長期服用が負担になることも多く、負担を軽減します。

 協和キリンは鎮痛消炎剤「サロンパス」などを手掛ける久光製薬と組み、パーキンソン病の貼り薬を事業化します。久光製薬はパーキンソン病の貼り薬を2018年9月に厚生労働省に承認申請しており、2020年2月までの承認取得を目指しています。この薬について、協和キリンが2019年2月に国内販売契約を結びました。

 パーキンソン病では、薬が切れると足がすくむなど体が動きにくくなることがあり、服薬の時間管理が重要になります。血中濃度を一定に保つのにも貼り薬は有用だといいます。

 貼り薬にすると、製薬会社にとってはすでに商品にした有効成分を形を変えて長く販売し続けることができます。新薬の開発には、1000億円を超える資金と10年以上の時間がかかります。形を変えるだけならどちらも大幅に削減でき、患者への配慮や使いやすさが新たな市場を作り出します。

 2019年7月13日(土)

 

■市販薬がありながら、病院処方される医薬品が5000億円 医療費膨張の一因に

 湿布薬や鼻炎薬などの市販薬があるのに、利用者が病院に通って処方される医薬品の総額が5000億円を超すことが、明らかになりました。処方薬は自己負担が原則3割と安いからですが、残りは税金や保険料で賄います。一律に保険を使う制度を改め、代えが利かない新薬に財源を振り向ける必要があります。

 2016年度の医療費は42兆円で、うち薬の費用は10兆円。公定価格(薬価)が3349万円の白血病治療薬「キムリア」が今年5月に保険適用となり、今後も高価な薬が相次ぐ見通し。症状が軽い人が進んで市販薬を利用すれば、そのぶん保険を使う費用を抑えられ、医療費抑制につながります。

 もともとは医師の処方が必要だったものの副作用の心配が少ないとして、一般用で認めた市販薬を「スイッチOTC」と呼び、これ以外にうがい薬や保湿剤など古くから市販薬と処方薬の両方があったものもあります。

 処方薬に頼る人が多いのは、自己負担が軽いからです。今年6月中旬の段階で、ある湿布薬を通販サイトで買うと598円ですが、病院で同量をもらうと3割負担は105円。アトピー性皮膚炎に使う薬を肌荒れを防ぐ保湿剤として使う人もおり、その薬は市販の4分の1以下の負担で手に入るため不必要な受診が相次ぎました。

 厚生労働省が2014年度から公表している診療報酬明細書(レセプト)データを活用して、市販薬と同じ成分を含む医療用医薬品の処方額を調べたところ、最新の2016年度は5469億円でした。金額が最大だったのは主に湿布薬に使われる成分の702億円、2位はアトピー性皮膚炎や肌荒れに使う保湿剤成分の591億円で、鼻炎薬も上位でした。

 集計方法を比較できる2015年度からは5%減ったものの、これは診療報酬改定で薬価が下がったことが一因。同じ薬価で比べると、2016年度は2%増えた計算となり、市販薬への切り替えが進んでいません。

 アメリカの医薬品調査会社IQVIAによると、がん免疫薬「オプジーボ」の2018年度の国内売上高(薬価ベース)は1014億円でした。仮に代替可能な処方薬を市販薬にすべて転換すれば、オプジーボ級の高額薬を5種類ぶんカバーできる計算になります。

 市販薬の承認ペースも鈍く、日本OTC医薬品協会(東京都千代田区)は海外を参考に120種類の成分を市販できるよう国に求めていますが、現在は86種で2017年の市販薬出荷額は約6500億円でした。普及を促すため、市販薬の購入費の一部を控除する税優遇が2017年に始まりましたが、2018年の利用者は2万6000人と当初見込みの100分の1にとどまっています。

 市販の可否を決める国の検討会メンバーは、医師が過半を占めています。調査会社の富士経済(東京都中央区)で医療に詳しい小倉敏雄主任は、「市販品が増えれば病院にくる人が減り、病院経営に響きかねない。あまり広めたくないのが医者の本音」と指摘しています。病院に来てもらえば、検査や処置、処方などで幅広く診療報酬を得られるからです。製薬会社などの国への市販化要望は2018年度に3件と、2016年度の18件から急減しました。

 法政大学の小黒一正教授は、「すべての医薬品を一律で保険適用する仕組みを維持するのは難しい。使われ方に応じて自己負担を見直すべきだ」と訴えています。

 参考になるのはフランスで、薬の重要性に応じて自己負担比率をゼロから100%まで5段階に分けています。抗がん剤など代えの利かない薬は全額を公費で賄い、市販品がある薬の自己負担を重くしています。

 医療費の膨張にブレーキをかけるため、国や自治体が必要性の薄い通院を繰り返す人に対して、自制を促すような取り組みも求められます。

 2019年7月13日(土)

 

■交通死傷事故、75歳以上が加害者は3万1935件 全体の7・9%を占める

 高齢者による自動車事故が相次ぐ中、2018年に全国で起きた死傷事故のうち75歳以上のドライバーが加害者だった割合が7・9%に達し、5年間で2・1ポイント上昇したことが、公益財団法人・交通事故総合分析センター(東京都千代田区)の調査で明らかになりました。

 加齢とともにアクセルとブレーキの踏み間違いが増える傾向を示すデータもあり、交通政策の専門家は「自動ブレーキ」など安全技術の普及を促す施策の必要性を訴えています。

 交通事故総合分析センターによると、原付きバイクを含む自動車が2018年に起こした死傷事故は、ひき逃げなど加害者を特定できない事故を除き、全国で40万6755件ありました。このうち3万1935件が、運転免許証の更新時に認知機能検査の受検が義務付けられている75歳以上のドライバーによる事故で、全体の7・9%を占めました。

 道路整備の拡充や車の安全技術の進歩などで死傷事故数そのものは減少傾向にあり、2013年の59万6656件に比べると昨年は31・8%の大幅減でした。一方、一般に高齢になるほど運転頻度が減り、運転距離も短くなるにもかかわらず、75歳以上が加害者の死傷事故数は同期間に8・1%の減少にとどまりました。この結果、相対的に75歳以上が加害者になる割合が増えることになりました。

 交通事故総合分析センターの調査では、高年齢のドライバーほどアクセルとブレーキを踏み間違える可能性が高まることも判明。2012~2016年に全国で起きた事故を分析したところ、年代別の事故数に占める踏み間違いが理由の事故の割合は、初心者の多い24歳以下が1・5%、25~54歳0・8%、55~64歳0・9%、65~74歳1・5%、75歳以上3・1%でした。

 安部誠治・関西大学教授(交通政策論)は、現在の高齢ドライバーの多くがモータリゼーションが一気に進んだ高度成長期に免許を取得した世代で、その後、店舗が郊外に進出する中、車を手放せない生活環境になっていると指摘。その上で「加齢に伴う注意力低下は避けられない。国レベルでメーカーの安全技術開発を支援したり、そうした車の普及を後押ししたりすることも必要ではないか」と指摘しました。

 2019年7月12日(金)

 

■誤嚥を防ぐとろみ付き飲料自販機、全国50カ所に設置へ アペックス

 筋力の衰えなどから、食道に送られるはずの飲食物が気管などに入り込んでしまう「嚥下(えんげ)障害」は、死につながる可能性もあり、この障害の対処法の一つとして、飲食物に「とろみ」を付ける方法があります。

 自動販売機運営管理会社のアペックス(愛知県大府市)は、2018年10月に発表した「とろみ自動調理機」に続き、医療・介護施設などで提供する「とろみ付き飲料専用サーバー」を開発し、その第1号を東京都内の病院に2018年11月に設置したのを皮切りに、全国約50カ所への設置を予定しており、今年10月には施設向けの大型サーバーも展開する予定です。

 現在展開している紙コップ式の自動販売機には、コーヒーや緑茶、抹茶ラテなど多種の味があり、温冷にも対応しています。自販機の「とろみありボタン」を押すと、とろみを「薄い」「中間」「濃い」と選ぶことができます。とろみを付けないこともでき、どちらでも飲み物の値段は同じです。

 飲料にとろみを付けてみても味は変わらないものの、しっかりと飲み物がのどを通る感覚がわかります。コーヒーでも抹茶ラテでも、温かくても冷たくても、3段階のとろみは均一にしています。例えば、コーヒーではミルクや砂糖の有無によって、とろみ材の調整の仕方をそれぞれ変えています。

 とろみ付き飲料は、飲み込みが難しい人の誤嚥を予防する目的で、医療機関や介護保険施設を始め、サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームなどで提供されています。通常各施設では、飲料にとろみ材を加えスプーンなどで撹拌(かくはん)し、とろみの程度を調整する調理を手作業で行っています。短時間で一度に大量のとろみ付き飲料を作らなければならず、職員の負担が大きいのが現状です。

 アペックスは、慢性的な人手不足が深刻化している医療・介護施設での作業負担を軽減するため、とろみ作りに人的労力を必要としない「とろみ付き飲料専用サーバー」の開発に至りました。10月には、施設などで使用できる2リットルの大型サーバーも展開する予定で、こちらも要望に合わせて8種類の飲料を準備することができます。

 アペックスの担当者は、「災害時でも避難所などにとろみ付き飲料があれば、嚥下障害を持つ高齢者も安心できる」と話し、災害時の活用方法も検討していくとしています。

 嚥下障害のため、気管に飲食物などが入ってしまうことを切っ掛けに発症する誤嚥性肺炎。厚生労働省の2018年人口動態統計月報年計によると、誤嚥性肺炎の死因順位は7位となっています。

 東京都健康安全研究センターによると、1979年には423人ほどだった誤嚥性肺炎による死者数は2016年には3万8650人にまで増加。2030年には12万9000人程度にまで急上昇すると予測しています。日本歯科大学口腔(こうくう)リハビリテーション多摩クリニックの菊谷武院長は、「とろみ剤など対応策は普及しているが、それを追い越すほどに高齢者が増えている」としています。

 誤嚥性肺炎の起因となる嚥下障害について、菊谷院長は原因として、気管に蓋(ふた)をして飲食物の侵入を防ぐ喉頭蓋の「気管に蓋をするタイミングのズレ」「蓋をするための筋力の低下」の2つを挙げます。

 タイミングが合わない場合は、「意識して飲み込むことが大切」といいます。また、上手に飲み込むためには、まず歯できちんと食べ物をかみ砕く必要があるため、歯を磨いて大切にすることが第一歩となります。

 筋力が低下している場合は、口を最大限に開き、その状態を10秒保持する運動などによって嚥下機能を鍛えることができます。

 菊谷院長は、「筋力は30歳をピークに1年で1%低下するといわれている。つまり70歳だと40%も低下していることになる。嚥下機能の衰えは60歳ごろから意識したほうがいいだろう」と警鐘を鳴らしています。

 2019年7月12日(金)

 

■「笑い」で感情や気分が改善 近畿大など医学的に検証

 医学的に「笑い」が緊張や不安といった感情や気分の改善につながるとの研究結果を、近畿大学や吉本興業などの研究チームが11日発表しました。

 2017年2~3月、20~60歳代の男女20人に2週間ごとに計3回、吉本新喜劇や漫才、落語などを見てもらい、表情の判別機器で笑顔になった回数を測定。観賞前後に実際に医療現場で使用されている心理検査やアンケートを実施し、感情や気分の変化を調べました。

 その結果、観賞中に笑顔になった回数が多いほど、参加者の「緊張・不安」「怒り・敵意」「疲労」の数値が改善。さらに、アンケートで「日常生活で心から笑えている」と回答した数値が観賞後に高くなった参加者ほど、より感情や気分の改善がみられたといいます。

 研究チームの阪本亮・近畿大医学部助教(心療内科部門)は、「ただ表情が笑顔になるだけではなく、心から『笑い』を楽しめることが気分の改善に効果的だということがわかった」と話しています。

 2019年7月11日(木)

 

■糖質制限食を食べ続けると老化が早まる恐れ マウス実験で判明

 東北大学大学院農学研究科の都築毅准教授(食品機能学)らは、糖質を抑えた糖質制限食を食べ続けると、体の老化を促し、健康に影響をもたらす恐れがあることをマウスを使った実験で示しました。米やパンといった炭水化物を与えずにマウスを約1年間育てたところ、寿命や記憶力で老化を促進させていました。

 マウスでの成果とはいえ、適切な糖質の摂取の重要性や食生活の見直しなど、昨今の糖質制限ブームに警鐘を鳴らす内容といえそうです。

 糖質制限は、短期間行うと内臓脂肪を減らしたり、血糖値を下げたりする効果が報告されています。

 都築准教授らは寿命が約1年のマウスを3グループに分け、合計のカロリーは同じで内訳を糖質・脂質・タンパク質のバランスが日本食に近い「標準的」、「低糖質・高脂肪」、「低糖質・高タンパク」にした飼料をそれぞれ与えました。「低糖質・高タンパク」の飼料は、糖質によるカロリーは2割に抑え、残りを乳タンパクで補いました。人間が3食すべて主食を抜いた状態に相当する厳しい糖質制限です。

 その結果、「低糖質・高タンパク」のマウスは、「標準的」と比べて寿命が約2割(8~9週間)短くなりました。腸内で乳酸をつくる細菌が減っており、腸内環境が悪化してがんなどになりやすかったとみられます。短期の記憶力を測ると、「標準的」のマウスに比べ半分程度でした。

 都築准教授は、「人間でも糖質制限を20~30年程度続けると、老化を促進する可能性がある。医師や管理栄養士などの指導で行ってほしい」と話しています。

 2019年7月11日(木)

 

■緑内障の人、普通の人より夜間血圧が上昇 奈良県立医科大が解明

 奈良県立医科大学は2日、緑内障患者では睡眠中の血圧である夜間血圧が上昇していることを見付けたと発表しました。この研究は、同大眼科学講座の吉川匡宣(ただのぶ)講師、緒方奈保子教授、同大疫学予防医学講座の佐伯圭吾教授、大林賢史准教授が共同で行ったもの。研究成果は、「Ophthalmology」に掲載されています。

 緑内障は目における慢性の神経変性疾患で、日本人での有病率は40歳以上の5%(20人に1人)と頻度の高い疾患。眼圧が上がって目の神経が傷付くことで視野・視力障害を引き起こすものの、自覚症状に乏しいことや、視神経障害を改善する治療がないことなどから、日本の中途失明原因の第1位となっています。

 その一方、血圧には1日のうちで変動(生体リズム)があり、生理的には夜間の睡眠中に血圧が下降することが知られています。睡眠中の夜間血圧は、日中活動時の血圧よりも心血管系疾患の発症予測能が高く、臨床的にとても重要な指標とされています。

 睡眠や血圧などの生体内のリズム調整には、目、特に網膜神経節細胞への光刺激が最も重要とされています。また、緑内障では網膜神経節細胞が障害されることから、生体リズムに関連するさまざまな疾患が生じやすいことが知られており、研究チームは、光を浴びる量とは独立して、緑内障がうつ病と関連していることを報告しています。

 研究チームは今回、奈良県立医科大眼科へ通院中の緑内障患者109名(平均年齢71・0歳)と、地域住民対象の疫学研究参加者のうち緑内障でない708名(平均年齢70・8歳)の「24時間連続血圧データ」を比較し、睡眠中の血圧が緑内障患者で平均119・3mmHg、緑内障でない人で平均114・8mmHgと、緑内障患者で有意に睡眠中血圧が上昇していることを明らかにしました。また、緑内障患者では、睡眠中の血圧が下降しないタイプが1・96倍多いという結果を得ました。

 今回の研究成果により、緑内障患者では年齢・肥満・糖尿病などとは独立して夜間血圧の上昇が認められることから、それを原因とした心血管系疾患や死亡が生じやすい可能性が示唆されました。

 吉川匡宣講師は、「緑内障の人は、普段から血圧により気を付けたほうがいいと考えられる」と話しています。

 2019年7月10日(水)

 

■自己免疫性膵炎に、腸内細菌の変化が関与 近畿大がマウスで確認

 体内の免疫システムが誤って自分自身の膵臓(すいぞう)を攻撃して起きる難病「自己免疫性膵炎(すいえん)」の発症に、大腸内の細菌の変化が関与していることを、近畿大学の研究チームが明らかにしました。発症のメカニズムの一端がわかってきたことで、新たな治療法の開発につながると期待されます。10日、免疫学の国際専門誌に論文が掲載されました。

 この自己免疫性膵炎は、ウイルスや細菌など外から入り込んだ敵を攻撃する免疫システムが、自分自身の組織を攻撃してしまう自己免疫疾患の一つ。高齢男性に多い指定難病で、国内の患者は約6000人と推定されます。膵臓が炎症を起こしてはれ、黄疸(おうだん)などの症状が出るほか、糖尿病を起こします。しかし、詳しい発症メカニズムは不明で、根本的な治療法も見付かっていませんでした。

 近畿大医学部の渡辺智裕准教授(消化器内科学)らの研究チームは、腸内の細菌の群れ「腸内細菌叢(そう)(腸内フローラ)」に注目。自己免疫性膵炎のマウスの腸内細菌を調べると、正常なマウスに比べ細菌の種類が減り、多様性がなくなっていることがわかりました。また、軽い膵炎のマウスに重症のマウスの便を移植して腸内細菌を入れ替えると、症状が重くなりました。

 膵炎マウスの便を移植されたマウスの膵臓では、免疫細胞の一種「形質細胞様樹状細胞」が増えていました。この形質細胞様樹状細胞により産生され、ウイルスなどの免疫防御に重要な役割を果たすタンパク質「Ⅰ型インターフェロン」などの増加も確認。ウイルス感染がないのにこうしたタンパク質が産生された結果、膵臓が攻撃されているとみられます。

 渡辺准教授は、「将来的には自己免疫性膵炎の治療に腸内フローラの制御が有効ではないか」と話しました。

 2019年7月10日(水)

 

■「卵巣年齢」チェックキットを発売 約2万円で10日後に結果

 医療系スタートアップのF Treatment(エフトリートメント、東京都港区)は10日、卵巣年齢チェックキット「F check(エフチェック)」の販売を開始しました。税別価格は1万9880円。自宅で血液を採取して郵送するだけで結果がわかるキットを展開し、多忙な女性の「妊活」を支援します。

 キットでは卵子の周りの細胞から出る「AMH(アンチミューラリアンホルモン)」の値を測定し、卵巣に残っている卵子の数が何歳相当であるを示す卵巣年齢を算出します。卵巣年齢が高い場合は残りの卵子の数が少なく、不妊治療ができる期間が限られていることがわかります。逆に卵巣年齢が低く月経不順の場合は、不妊原因となる「多嚢胞(のうほう)性卵巣症候群」が疑われることもあるといいます。

 同社によると、卵巣に残っている卵子の数は母親の中にいる時が最も多く、思春期には約20万〜30万個に減少していきます。その後増えることはなく、閉経時にはゼロに近付きます。平均の閉経年齢は50歳程度といわれており、医学的には10年前の40歳前後から妊娠しづらくなってくるといいます。しかし実際には、卵巣年齢は個人差が非常に大きいとのことで、25歳でも49歳と同じ卵子量の人がいたり、その逆もあります。妊娠を希望するカップルは、卵巣年齢を知ることで自然妊娠を選ぶのか、人工授精、体外受精を選ぶのかを判断できるようになります。

 キットは同社のサイトで販売し、購入者は指先に針を刺して0・1ミリリットルの血液を採って郵送。届いた血液はアメリカの疾病対策センター(CDC)の承認を受けている検査センターで分析し、結果は約10日間後にパソコンやスマートフォンで専用のウェブサイトにアクセスすることで確認できます。

 検査結果のほか、19種類の設問に回答すれば不妊の兆候を把握できる自己診断ツールも用意しています。今秋には、専門家への相談サービスも始める予定。

 2019年7月10日(水)

 

■ハンセン病家族訴訟、政府控訴せず 首相が表明

 国が続けたハンセン病患者の隔離政策によって家族も差別を受けたとして家族らが国に損害賠償を求めた訴訟で、安倍晋三首相は9日、国の責任を認め、計約3億7000万円の賠償を命じた熊本地裁判決を受け入れ、控訴しないと表明しました。元患者の家族を巡り、国の立法不作為や対策義務違反を初めて認めた判決が、一審で確定します。

 首相は9日午前の閣議に先立ち、根本匠厚生労働相と山下貴司法相と対応を協議し、控訴しないことを指示しました。首相は協議後、記者団に「判決内容の一部に受け入れがたい点があるのは事実。しかし筆舌に尽くしがたい経験をした家族のご苦労をこれ以上長引かせてはいけない。異例のことだが控訴しない」と述べました。

 菅義偉官房長官は9日の閣議後記者会見で、「法相、厚労相からの説明を受け、首相が判断した」と説明。政府は今回の判決の問題点などを検討した上で、近く控訴断念に至った経緯について政府声明を発表する方針。根本厚労相は9日の閣議後会見で、「これから早急に具体的な対応を検討したい」と述べました。

 6月28日の熊本地裁判決は隔離政策によって患者家族に就学・就労の拒否、結婚差別などの被害が生じたなどと判断。遅くとも1960年には隔離政策を廃止する義務があったのに怠ったとして、国の立法不作為も認定しました。

 また、原告が差別被害の加害者が国であると認識することの難しさを認め、時効で賠償請求権が消滅していたとする国の主張も退けました。

 その上で原告561人のうち、身内が元患者だと知ったのが最近だったなどの理由で20人の請求を棄却したものの、原告541人について国の責任を認め、1人当たり33万~143万円の支払いを命じていました。

 控訴期限は7月12日で、厚労省や法務省などが対応を検討していました。元患者家族による同種訴訟では、鳥取地裁や広島高裁松江支部で原告の請求を退ける判決が出ており、最高裁で係争中。司法判断が定まっていない中、「今回の地裁判決を確定させることは難しい」との声が強くありました。

 一方、原告側は「家族の尊厳回復につながる」と熊本地裁判決を高く評価し、国に控訴断念を強く要請。首相は3日、日本記者クラブ主催の党首討論会で「患者、家族の皆さんは人権が侵害され、大変つらい思いをしてこられた。どういう対応をとるか真剣に検討し判断したい」と述べていました。

 元患者本人の訴訟では2001年、熊本地裁判決が隔離政策を違憲として国に賠償を命じ、当時の小泉純一郎首相が控訴を見送り確定。「極めて異例の判断だが、早期に全面的な解決を図ることが必要」との首相談話を公表しました。その後、2009年施行のハンセン病問題基本法で、患者本人の被害を補償する制度が創設されたものの、家族は対象外とされました。

 2019年7月9日(火)

 

■オプジーボの使用で小腸炎を発症し死亡 重大な副作用に追加

 厚生労働省は9日、免疫の働きを利用したがん治療薬「オプジーボ」を使用した患者が副作用とみられる小腸炎を発症して、死亡したと公表しました。重大な副作用として薬の添付文書に追記するよう、製造元の小野薬品工業(大阪市中央区)に指示しました。

 似た仕組みを用いる「キイトルーダ」の製造元であるMSD(東京都千代田区)にも、同様に指示しました。

 腸炎から、腸に穴が開く「穿孔」や、腸がふさがる「イレウス」となる例があることも、添付文書に追記します。下痢や腹痛、血便が続く場合は投与の中止などを求めます。

 厚労省によると、キイトルーダでは死亡例はありません。

 2019年7月9日(火)

 

 

■手足口病が大流行、患者が2万1000人 31都府県で警戒レベル

 乳幼児を中心に手足や口の中に発疹ができる「手足口病」が、全国的に流行しています。全国約3000の小児科定点医療機関が報告した6月24~30日の直近1週間の小児患者数は、計2万1000人。今シーズン初めて2万人を超えました。厚生労働省は手洗いを徹底し、子供同士でタオルを共用しないなど注意を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によると、1医療機関当たりの患者数は6・7人で、過去10年で2011年に次ぐ勢いとなっています。

 都道府県別では、福井県(21・78人)、福岡県(16・09人)、鳥取県(14・26人)で多く、31都府県で警報レベルの5人を超えました。

 専門家によると、今シーズンの流行の理由は、ウイルスの種類の違いだといいます。手足口病の原因となるウイルスは、エンテロウイルスなど100種類以上。その中でも主に3種類のウイルスが、年によって周期的に発生します。今シーズンは、この3種類のウイルスではなく別の「コクサッキーA6」という型のウイルスが多く検出されており、このウイルスが流行すると患者数が多くなる傾向がみられるということです。

 手足口病は、くしゃみなどの飛沫で感染したり、接触で移る可能性があります。この感染経路を断つための予防としては、手洗い・うがいをすることと、タオルを共有しないことが大切です。手足口病に特効薬はなく、感染してしまったら3日から1週間、回復するまで待つしかなく、まれに髄膜炎や脳炎になることもあります。

 治った後も2~4週間にわたり便にウイルスが排出されるため、排便後の手洗いが不十分だと他人にうつす恐れがあります。

 手足口病の流行は、8月中旬まで続くとみられています。

 2019年7月9日(火)

 

■ストレスによる交感神経の刺激で乳がん悪化 岡山大などがマウスで解明

 岡山大学の神谷厚範教授(細胞生理学)や国立がん研究センターなどの研究で、患者がストレスにさらされると乳がんが悪化するとの関係性が、細胞レベルで解明されました。ストレスで活発になった神経の活動を遺伝子操作で止めて、乳がんの進行を抑える治療法につながる可能性があるといいます。

 8日、専門誌「ネイチャーニューロサイエンス」(電子版)に発表しました。

 不安や恐怖、怒りといったストレスが生じると、交感神経の活動が高まります。交感神経とがん進行のかかわりは以前から疫学調査の結果などから指摘されてきましたが、詳細は不明でした。

 神谷教授らは、乳がん組織内の交感神経に着目。国立がん研究センターで手術を受けた乳がん患者29人のがん組織を調べたところ、がん組織内の交感神経の密度が高い人は再発しやすいことがわかりました。

 さらに、マウスに人の乳がん組織を移植し、乳がん組織内の交感神経を刺激し続けました。60日後、刺激しないマウスと比較すると、がんの面積は2倍近く大きくなり、転移数も多くなりました。一方、遺伝子治療で交感神経の活性化を止めると、60日経ってもがんの大きさはほとんど変わらず、転移もありませんでした。

 神谷教授は、「不安や怒りなどをうまくコントロールし、交感神経を刺激しすぎないようにすることで、よい影響を与えられるかもしれない」と話しています。

 また、これまでのがん治療は手術や薬物治療、放射線治療が中心でしたが、がん組織内の局所の交感神経の活動を抑制する遺伝子治療が使えるようになれば、「がん治療に『神経医療』という新たな選択肢ができるかもしれない」と指摘しています。

 2019年7月9日(火)

 

■高齢者入浴中の事故、熱中症と疑いが8割超 ヒートショックは1割未満

 入浴中に浴槽で体調を崩した高齢者のうち、8割以上が熱中症かその疑いのあることが7日、千葉科学大学の黒木尚長(ひさなが)教授(法医学・救急救命学)の調査で明らかになりました。急激な温度差が体に悪影響をもたらす「ヒートショック」は1割未満だったことも判明。死亡事故の場合も同じ傾向があるとみられます。入浴の際にはヒートショックの危険性が指摘されてきましたが、定説が覆る可能性が出てきました。

 厚生労働省の人口動態統計によると、2016年に不慮の事故で溺死した高齢者は6759人。病死だったケースも含め入浴中の事故死は1万7000人との推計もあるものの、詳細を分析した調査はほとんどありませんでした。

 黒木教授は2017年12月、65歳以上の男女3000人を対象にインターネットで入浴に関するアンケートを実施。入浴中に具合が悪くなった人は10・8%に上り、症状などから熱中症が62・2%、熱中症の疑いが22・0%でした。ヒートショックの疑いは入浴前後を合わせても7・1%にとどまりました。

 黒木教授によると、体温37度の人が全身浴をした場合、湯温が41度だと33分、42度だと26分で体温が40度に達します。この結果、入浴中であっても重度の熱中症の症状が出て、意識障害を生じるリスクが高まります。そのまま入浴を続け、体温が42・5度を超えれば突然死することもあります。

 黒木教授は「高齢者は神経系の老化で熱さを感じにくく、長時間浴槽につかる傾向にあり、熱中症の初期症状が出ないまま意識障害に陥ることも多い」と説明。予防には湯温41度以下、入浴時間10分以内を目安とするほか、こまめに体温を測ることも有効だとしています。

 一方、黒木教授は2011~2015年に大阪市内で起きた入浴中の事故死のうち、大阪府監察医事務所が取り扱った2063人の死因を分析。心臓や脳の疾患を含む病死が74・8%、溺死が17・1%で、熱中症は2・2%でした。

 入浴中の突然死の場合、解剖しても慢性疾患以外の所見を見付けることは困難だといい、黒木教授は「病死と判断せざるを得ないのも仕方なく、ヒートショックの症状と結び付けて語られてきた。こうしたケースも大半が熱中症だった可能性が高い」と訴えています。

 2016年に大阪市の住宅の浴室で80歳代の夫婦が死亡していたケースでは、大阪府警の司法解剖の結果、死因は溺死だったが、熱中症による体温の上昇で意識を失った可能性が指摘されていました。

 2019年7月8日(月)

 

■微量の血液で糖尿病や感染症を検査 堀場製作所が機器開発

 堀場製作所(京都市南区)は一般内科や小児科などの医療機関で使える検査機器を開発したと発表しました。従来の同様の製品より小型で、血液一滴で糖尿病や感染症の検査が可能になります。

 2018年12月にロームから取得した電子部品の微細加工技術を活用しました。糖尿病の患者数などが増加傾向にあり、小型で利便性の高い機器のラインアップを増やし対応します。

 販売を始めたのは「Yumizen M100 Banalyst」。ロームから取得した「マイクロタス」技術を応用しました。液状試薬が入った使い捨てのプラスチック製チップを使用し、4マイクロリットルの血液を遠心力で血球分離したのち、試薬反応から光学測定までを行い、ヘモグロビンやタンパク質の一種など、疾病のマーカーとなる項目を即時検査できます。価格は税別200万円。

 堀場製作所は計測機器大手。2018年12月期の医用機器関連の売上高は260億円でした。

 2019年7月8日(月)

 

■遺伝子の「優性・劣性」を「顕性・潜性」に 学術会議が高校教科書での表現変更を提案

 遺伝子の特徴を示す「優性」や「劣性」という用語について、日本の科学者でつくる「日本学術会議」は、一方が劣っているかのような誤解を与えるとして、今後、高校の教科書では別の表現を使うことを提案する報告書をまとめました。

 学校の生物の授業では、遺伝子が関係する特徴の現れやすさを示す用語として、「優性」と「劣性」の遺伝という表現が使われていますが、一方が劣っているかのような誤解につながりかねないと関係する学会などが指摘していました。

 こうした指摘を受け、日本の科学者で作る日本学術会議は、高校の生物で学ぶ重要な用語を検討する委員会の中で報告書をまとめ、今後、高校の生物の教科書では、「優性」は「顕性」に、「劣性」は「潜性」に替えるとする考え方を示しました。

 一方、中学校では今も「優性」と「劣性」として教えている現状があり、混乱を防ぐために「優性」と「劣性」は別名として残すとしています。

 日本学術会議の報告は文部科学省の学習指導要領の見直しでも参考にされるなど、一定の影響力があり、今後、教科書が変わる切っ掛けとなるか注目されます。

 報告を取りまとめた委員会の中野明彦委員長は、「用語は、本来の意味で適切に使われることを願っており、教科書にも取り入れられることを期待している」と話しています。

 「優性」と「劣性」という用語は、初めから使われていたわけではありません。日本医学会のワーキンググループが調べたところ、「現在性」とか「潜伏性」などさまざまな用語が使われてきましたが、1910年に出された論文以降、「優性」と「劣性」に統一されたようだということです。

 しかし、すでに1945年の時点では、「優劣」の意味ではないのでほかの用語に替えたほうがよいとの指摘があったことが確認されています。また、近年では2年前の9月に日本遺伝学会が「顕性」と「潜性」に改めることを公表しています。

 一方、この用語の変更については、日本学術会議とは別に日本医学会のワーキンググループでも検討が進められており、今回の日本学術会議の報告書に対して、医療の現場ですでに浸透している言葉であり、検討の歩調を合わせて慎重に議論すべきだという指摘もあります。

 2019年7月8日(月)

 

■無痛分娩、被害者の会を結成 国に安全対策の強化を求める

 麻酔を使って出産時の痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)で事故に遭った被害者の家族が8日、被害者の会を立ち上げました。代表の安東雄志(ゆうじ)さん(70歳)=大阪府富田林市=と男性(57歳)=京都市=が大阪府富田林市で記者会見し、安全対策の法整備などを目指す考えを明らかにしました。

 被害者の会では、出産に携わる医師・看護師に対する麻酔と救急蘇生(そせい)の講習会受講などの義務化や、無痛分娩を実施できる医師の認定制度の実現を、署名活動などを通じて求めていきます。被害者が体験を語り合う勉強会などの場も設けるといいます。

 厚生労働省は昨年3月に講習会の受講などを提言していますが、法的拘束力はないといいます。

 記者会見で、娘を無痛分娩の事故で2017年に亡くした安東さんは、「娘は帰ってきませんが、1人でも事故に遭う人をなくしたい」と話しました。三女の長村千恵さん(当時31歳)は大阪府和泉市の医院で無痛分娩に臨み、脊髄(せきずい)付近への麻酔を受けた後、呼吸困難に。帝王切開で生まれた次女(2歳)は無事でしたが、千恵さんは10日後に亡くなりました。

 ロシア国籍の妻エブセエバ・エレナさん(42歳)が寝たきりになり、帝王切開で生まれた6歳の娘を昨年12月に亡くした大学教授の男性は、「できれば事故前に戻してほしい。難しいならば、せめて同じ事故を繰り返さないでほしい」と語りました。

 無痛分娩では重大事故が相次いでおり、被害者の会では、ほかの被害者にも参加を呼び掛けて国に安全対策の強化を求めていくとしています。

 被害者の会への参加希望や問い合わせは、メールアドレス(mutuubunben.jiko@gmail.com)まで。

 2019年7月8日(月)

 

■エボラ出血熱などの原因ウイルス、輸入手続き完了 厚労省が5種を指定

 エボラ出血熱など致死率の高い1類感染症の原因ウイルスの輸入を巡り、厚生労働省は5日、感染症法に基づき、輸入対象の5種類の原因ウイルスを正式に指定しました。国立感染症研究所村山庁舎にあるバイオセーフティーレベル(BSL)4と呼ばれる高度な安全設備を備えた施設で、受け入れるための手続きが整いました。

 指定されたのは、エボラ出血熱、南米出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病の1類感染症の原因ウイルス。「最も危険」と分類されるウイルスが初めて海外の研究機関から国内に持ち込まれることになり、東京オリンピック・パラリンピックを控え、海外から持ち込まれる恐れがある感染症を素早く正確に検査できるようになります。

 原因ウイルスは早ければ夏ごろにも国内に持ち込まれる見込みですが、危機管理上の理由で輸入時期や経路などは事前に公表しません。

 また、厚労省は同日、感染研村山庁舎がある東京都武蔵村山市から受けた要望について、同市に回答。バイオセーフティーレベル(BSL)4の事故・災害対策の強化のほか、事故時の速やかな情報提供や施設運営のチェック体制の確保などに対応するとしました。

 2019年7月7日(日)

 

肥満は聴力低下のリスクを上昇させる 国際医療研究センターが調査

 肥満の人ほど聴力が低下するリスクが高いとする研究結果を、国立国際医療研究センターなどの研究チームが、ヨーロッパの臨床栄養学会誌に発表しました。肥満により聴覚の細胞が壊れるためとみられます。

 肥満はさまざまな生活習慣病の危険因子として知られていますが、近年、肥満は聴力にも影響することが示唆されています。しかしながら、肥満と聴力低下との関連についての前向きな研究は少なく、一致した結果も得られていませんでした。また、代謝異常を伴う不健康な肥満と、代謝異常を伴わない健康的な肥満とで聴力低下との関連が異なるかどうかも明らかではありませんでした。

 そこで研究チームは、肥満と聴力低下との関連、さらに代謝異常を伴う肥満と聴力低下への影響を検証。2008~2011年度の健康診断で聴力が正常だった20~64歳の4万8549人について、肥満(BMI25以上)と代謝異常(高血圧、糖尿病、脂質異常のうち2つ以上に該当)から、肥満でなく代謝異常でもないグループ、肥満でないが代謝異常があるグループ、肥満であるが代謝異常はないグループ、肥満であり代謝異常もあるグループの4つのグループに分類して比較し、最大8年間にわたって追跡調査しました。

 その結果、肥満と聴力低下との関連では、肥満により聴力低下のリスクが上昇し、そのリスク上昇は人との会話と同程度の1000ヘルツの低音域聴力において顕著でした。

 また、肥満と代謝異常の有無による4つのグループで比較したところ、聴力低下のリスクは、代謝異常を伴う肥満者で最も高く、次いで代謝異常を伴わない肥満者、代謝異常を伴う非肥満者の順でした。

 聴力は加齢により低下しますが、肥満や代謝異常はそれを加速させる可能性があります。肥満が聴力低下を引き起こすメカニズムとしては、動脈硬化によって内耳動脈が狭窄(きょうさく)・閉塞(へいそく)し、音の受容器官である蝸牛(かぎゅう)の血流量が減少することや、肥満に伴って酸化ストレス・炎症・低酸素が引き起こされることで聴覚細胞が損傷すると想定しています。

 研究チームは、「聴覚の健康にとっても肥満やメタボリックシンドロームにならない生活習慣が推奨される」としています。

 2019年7月7日(日)

 

■脳脊髄液減少症の診断対象を拡大 厚労省研究班が診療指針を公表へ

 外傷などを切っ掛けに激しい頭痛やめまいを引き起こす「脳脊髄(せきずい)液減少症」について、厚生労働省の研究班は5日、診療指針の概要を発表しました。現行の診断基準に当てはまらない程度の小さな髄液の漏れを診断対象に含める上、指針を使うことで症例に詳しくない医師も診断できるようになります。

 研究班代表で山形大学医学部の嘉山孝正参与は、「この指針により診断される患者はさらに増える」と説明しました。

 診療指針は、12年間に及ぶ研究成果の集大成。少量の髄液漏れを示すと考えられるMRI(磁気共鳴画像化装置)の画像を新たに紹介し、対象を拡大します。発症原因や症状、治療法も掲載して今秋に公表します。

 脳脊髄液減少症は未解明な点も多く、患者が正確な診断を受けられないケースがあるとされます。一部の医師が2000年ごろから治療に取り組むようになったものの、「髄液が漏れることはあり得ない」との反対意見が強く、医学界で論争が起きました。さらに、こうした見解の相違が原因で、交通事故などの治療費を巡る裁判も相次いできました。

 研究班は日本脳神経外科学会など関連8学会の代表らが参加し、2007年に発足。2014年に、外傷で髄液が漏れ脳脊髄液減少症が発症すると認めた診断基準を公表しました。厚労省は2016年、この基準に該当する症例について、漏れを自分の血液で止める治療法「ブラッドパッチ」の保険適用を認めました。

 しかし、漏れが少ないと画像による判断がしづらく、医師によって診断にばらつきがあるとの指摘がありました。

 今回の指針では、詳細な解説や検査の画像例を盛り込むなどして、2014年の基準を具体化します。

 一方で、漏れ以外の理由で髄液が減少する可能性も指摘されており、これらの症例は別の研究班が調査しています。

 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の中井宏代表は、嘉山氏らの成果に謝意を述べる一方、「この病気は完全には解明されていない」としてさらなる調査に期待を示しました。

 2019年7月6日(土)

 

■小細胞肺がんの増殖抑制物質を開発 大阪大研究チーム

 肺がんの中でも進行が早くて治りづらく、再発率も高い「小細胞肺がん」で、増殖にかかわるタンパク質の合成を抑制する物質を開発したと、大阪大学などの研究チームがイギリスの科学誌で発表しました。人の肺がん細胞を移植したマウスに投与し、がん細胞が死滅することを確認しました。研究チームは治療薬開発に向け、大型のラットで効果と安全性を確認するといいます。

 2018年に新たに肺がんと診断された患者は世界で200万人を数え、同年に180万人が死亡したと推定されています。肺がん患者の約15~20%を占める小細胞肺がんは手術が困難で、日本での5年生存率は10%未満と低くなっています。発症リスクは、喫煙や微小粒子状物質「PM2・5」で高まります。

 タンパク質の「SRRM4」がかかわってがん細胞が増殖し、抗がん剤に対する耐性を持つなど悪性化することが知られています。耐性を持つと治療法がなく、完治が困難になります。

 そこで研究チームは、このタンパク質の合成の前に作られる伝令RNA(mRNA)に結合し、分解を促す物質(核酸)を作製。マウスの実験では、がん細胞を8割程度死滅させられました。

 研究チームは、投与量を増やせば「すべてのがん細胞を死滅させることも可能だ」としています。

 大阪大の下條正仁特任准教授(創薬科学)は、「大気汚染がひどい地域などで、早期発見をして投薬治療できれば、高い確率での完治が期待できるだろう。一部の乳がんや前立腺がんでも、同じ効果が見込める」と話しています。

 2019年7月6日(土)

 

■プロ野球のロッテ、12球団初の紙巻きたばこ禁止へ 加熱式たばこのみOK

 プロ野球のロッテは5日、本拠地球場のZOZOマリンスタジアム(千葉市美浜区)で7月26日から紙巻きたばこの喫煙を原則的に禁止し、球場内8カ所の決められた場所で、加熱式たばこのみを可能とすると発表しました。

 プロ野球12球団の本拠地では初の「煙の出ないスタジアム」への取り組みは、来年の東京オリンピック・パラリンピック会場の敷地内が全面禁煙になるといった流れを受けての対応。既存の喫煙所はすべて、煙が出ない加熱式たばこ専用に改装します。加熱式たばこは、周囲に受動喫煙被害を及ぼす有害物質を紙巻きたばこに比べて95%低減できるとの研究データがあるといいます。

 山室晋也球団社長は加熱式たばこを認める理由として、「ファンの中には喫煙者もいる。ファーストステップとしてクリーンな環境を整えるということだ」と説明。将来的な全面禁煙実施については「利用者らの意見を聞いて総合的に判断したい」としました。

 2019年7月6日(土)

 

■前田・国際協力銀行総裁、風疹と診断 G20関連会議に出席後

 6月末にG20大阪サミットに合わせて開かれた会議に出席していた政府系金融機関、「国際協力銀行」の前田匡史総裁が、3日に風疹と診断されていたことがわかりました。

 関係者によりますと、前田総裁はG20閉幕後の7月1日に発疹が出て、医療機関を受診し、3日に風疹と診断されたということです。

 風疹はウイルスに感染してから2週間から3週間の潜伏期間があり、その後、発疹や発熱などの症状が出ます。発疹が出る前後およそ1週間にウイルスを排せつし、飛まつ感染などによって他人にうつす恐れがあるとされています。

 関係者によりますと、前田総裁は6月27日から28日にかけてG20に合わせて開かれた会議にロシアの閣僚などと一緒に出席したほか、29日には日本とロシアのビジネス界の代表による会合にも参加していました。

 また、G20閉幕後の7月1日には、中国の大使などと一緒に東京都で開かれたフォーラムに出席していたということです。

 国際協力銀行は、「前田総裁が風疹と診断されたかや個別に対応しているかどうかも含めてコメントできない」としています。

 風疹は発熱や発疹などの症状が出るウイルス性の感染症で、妊娠中の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害が出る「先天性風疹症候群」になる恐れもあります。

 国立感染症研究所によりますと、今年に入って6月23日までに全国の医療機関から報告された風疹の患者数は1848人と、例年より患者が多くなっています。また、今年に入って先天性風疹症候群と診断された子供が埼玉県、東京都、大阪府で各1人、計3人報告されているということです。

 女性だけでなく男性も十分な免疫を持つ必要があるとして、厚生労働省は子供のころにワクチンの定期接種の機会がなく流行の中心となっている1962年4月2日から1979年4月1日生まれの男性を対象に、今年3月からおよそ3年間にわたって原則、無料で予防接種を受けられるようにしています。

 2019年7月5日(金)

 

■協会けんぽの黒字が過去最高の5948億円 2018年度、加入者増で

 中小企業の従業員や家族約3920万人が加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)は5日、2018年度の決算見込みが5948億円の黒字と発表しました。黒字は9年連続で、黒字額は過去最高。協会けんぽによると、保険料を負担する加入者数の伸びや、景気回復による賃金上昇で保険料収入が増えたのが主な要因。

 収入は10兆3461億円(前年度比4%増)で、内訳は主力の保険料が9兆1429億円(同3・9%増)、国庫補助が1兆1850億円など。保険料を負担している加入者数は2361万人(同2・7%増)で、加入者の平均賃金は2008年度以降で最も高い1・2%の伸び、医療費などの支出は9兆7513億円(同2・6%増)。2018年4月に診療報酬がマイナス改定され、収入に比べて支出の伸びが抑えられました。

 積立金に当たる準備金の残高は2兆8521億円となります。黒字とともに、協会けんぽの前身組織の時代を含め記録が残る1992年度以降で最高でした。

 ただ、藤井康弘理事は「高齢者医療費の増加で2023年ごろには急速な収支悪化が見込まれる。政府に医療の給付と負担の見直しを求めたい」と話しています。

 2019年7月5日(金)

 

■マスクが「花粉を分解」に根拠なし 消費者庁が4社に措置命令

 着用すれば「花粉を分解する」などと宣伝して販売されていたマスクについて、消費者庁は、表示のような効果を示す合理的な根拠は認められないとして、東京都や仙台市の4つの会社に対し、現在の表示を速やかにやめ、再発を防止することなどを命じる措置命令を出しました。

 措置命令を受けたのは、東京都新宿区の「DR.C医薬」、仙台市青葉区の「アイリスオーヤマ」、東京都豊島区の「大正製薬」、東京都千代田区の「玉川衛材」の4社です。

 消費者庁によりますと、4社は光を当てるとタンパク質などを分解するという「光触媒」の物質をマスクの素材に混ぜた上、2013年10月以降、販売するマスク計約20商品のパッケージに、「花粉を水に変える」「光で分解」などと表示して販売していました。

 しかし、消費者庁が表示の裏付けとなる資料の提出を会社に求めたところ、そのような効果を示す合理的な根拠は認められなかったということです。

 このため消費者庁は、これらの表示が消費者に誤解を与えるとして、景品表示法(優良誤認)に基づいて4つの会社に対し、現在の表示を速やかにやめることや、再発防止などを命じる行政処分を行いました。

 「DR.C医薬」は、新規の出荷を取りやめたとした上で、「表示上の問題で、効果を否定するものではないと認識している。今後は表示の在り方について検討し、より一層適正な表示に努めたい」と話しています。

 「アイリスオーヤマ」は、該当する製品はすでに販売を終了しているとした上で、「購入されたお客様や、関係者の皆様に心よりおわび申し上げます。今回の命令を重く受け止め、再発防止に努めます」と話しています。

 「大正製薬」は、「科学的根拠に基づいて開発を行い、合理的な根拠により表示していると認識していて、命令は誠に遺憾です。命令は、提出した科学的根拠を全く無視した内容で、合理的なものでないと考えています。今後、法的に取り得る対応や措置を検討中です」とコメントしています。

 「玉川衛材」は、「命令は合理的な根拠が十分でなかったというもので、効果自体が否定されたものではありません。今後は文言の追加や修正をするなど適正に対応します」とコメントしています。

 2019年7月4日(木)

 

■首都圏で手足口病の患者が増加 4都県が警報レベルに

 手や足などに水疱(すいほう)性の発疹が現れる手足口病の流行が、首都圏で拡大しています。6月24日から30日までの週の1医療機関当たりの患者報告数は、東京や千葉など4都県で警報基準値を上回っています。

 この週の1医療機関当たりの患者報告数は、千葉県が前週比約1・5倍の7・74人、埼玉県が約2・3倍の5・48人、神奈川県が約2倍の5・23人、東京都が約1・9倍の5・1人となり、いずれも警報基準値の5人を超えています。

 千葉県では、県内の16保健所管内のうち、14保健所管内で前週より報告が増加。船橋市の20・09人が最も多く、警報基準値の4倍となっています。年齢別では、0〜3歳が全体の9割近くを占めています。

 埼玉県では、保健所管内の南部が13・5人と最も多く、川口市が10・38人、東松山が10・0人、朝霞が8・93人、春日部と草加が7・67人などと警報基準値を上回っています。同県は、外出後の手洗いなどの感染防止策を行うことに加え、子供の体調が優れない時は医療機関に電話で相談の上、早めに受診するよう呼び掛けています。

 東京都では、都内の31保健所管内のうち、10保健所管内で警報基準値の5人を超えています。このうち江東区が15・33人と最も多く、次いで中央区が13人、目黒区が10・8人などとなっています。

 手足口病は、水疱性の発疹を主な症状とした急性ウイルス性感染症で、乳幼児を中心に夏季に患者数が最も多くなります。原因病原体はコクサッキーウイルスやエコーウイルス、エンテロウイルスなどで、感染から3〜5日の潜伏期間後、口腔粘膜や手のひら、足の甲・裏などに2〜3ミリの水疱性発疹が現れます。まれに脳炎などの重い症状を引き起こすことがあります。せきやくしゃみのほか、手についたウイルスが口に入ることで感染します。

 2019年7月4日(木)

 

■糖尿病の予防、内臓脂肪よりも脂肪肝が重要 順天堂大が研究

 順天堂大学大学院医学研究科の研究チームは、非肥満者が糖尿病のような生活習慣病(代謝異常)になる原因を究明し、非肥満者では内臓脂肪の蓄積よりも、肝臓に脂肪がたまる脂肪肝が筋肉の代謝障害と強く関連することを明らかにしました。太っていなくても生活習慣病にならないように、肝機能の検査も重視するよう呼び掛けています。

 糖尿病は、血糖値を抑えるホルモン「インスリン」が効きにくくなって血糖値が高くなる病気。脳卒中や心筋梗塞(こうそく)を引き起こしたり、重症化すると人工透析を余儀なくされたりします。原因の一つが肥満ですが、日本人を始めアジア人では、太っていなくても発症することが多く、早期発見が課題でした。

 研究チームは、肥満度を示すBMIが正常(21以上25未満)の範囲に収まっている太っていない男性87人を対象に、MRIで内臓脂肪や肝脂肪の量を調べ、インスリンの効き方との関係を分析しました。すると、内臓脂肪の蓄積がなくても、脂肪肝があるとインスリン感受性の低下(インスリン抵抗性)を認め、これとは逆に内臓脂肪の蓄積があっても脂肪肝がなければインスリン感受性は良好であること、内臓脂肪の蓄積と脂肪肝が両方あっても脂肪肝単独とインスリン感受性は同程度であることがわかり、内臓脂肪よりも脂肪肝かどうかのほうが大きく影響していました。

 研究の成果は、非肥満者の生活習慣病予防において、内臓脂肪だけでなく脂肪肝に着目した取り組みが必要であることを示しています。脂肪肝というと「酒を飲む人」のイメージですが、飲まない人でもなるほか、肝硬変や肝臓がんの原因にもなります。ウエストサイズ以上にチェックが必要そうです。

 論文は、アメリカの内分泌学会雑誌「Journal of the Endocrine Society」(電子版)で公開されました。

 2019年7月4日(木)

 

■がんのある臓器を問わない治療薬が登場へ 国内で2種類目

 がんのある臓器を問わず、特定の遺伝子異常があるがんに対する治療薬が登場します。中外製薬(東京都中央区)は6月18日、ロズリートレク(一般名:エヌトレクチニブ)の製造販売承認を取得しました。

 がん治療薬はこれまで、臓器の種類別に使用範囲が認められてきました。がんのある臓器に軸を置かずに、使用を認める薬は国内では2種類目。こうした承認により、患者が少ないがんでも早く薬が使えるようになることが期待されています。

 今回の薬は、服用するタイプの分子標的薬。がん細胞の遺伝子変異を調べ、「NTRK融合遺伝子」という、ちぎれた2つの遺伝子がくっ付いてできた異常な遺伝子があると使えます。進行・再発の固形がんの患者が対象で、子供にも使えます。

 日本人も含めた成人の臨床試験では、57%でがんが小さくなっていました。味覚異常や疲労、めまい、認知障害や心臓障害などの副作用がみられたといいます。

 NTRK融合遺伝子のあるがんの患者は、非小細胞肺がんや大腸がんなど主要ながんでは1%未満とわずか。他方、患者数の少ない神経内分泌腫瘍(しゅよう)、唾液腺(だえきせん)がんでは多く認められるといいます。

 臓器を問わずに使えるがん治療薬の1種目は、MSD(東京都千代田区)のキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ)で、傷付いた遺伝子の修復機能を見る「マイクロサテライト不安定性(MSI)」を見て使用が可能になります。2018年12月に承認されました。

 2019年7月4日(木)

 

■がん新薬の臨床試験の情報検索が可能に がん研究センターがHP作成

 がんの新しい治療薬を開発するために、医療機関などが患者を募集して行われている臨床試験について、全国の情報を集めたホームページができました。

 国内の製薬会社や医療機関は、がんの新薬を開発するために一定の条件の患者を募集し、薬の有効性や安全性などを調べる臨床試験を行っていますが、これまで、一般の人が網羅的に情報を見ることはできませんでした。

 国立がん研究センターが作成した新しいホームページでは、国内で実施されているがん治療の臨床試験の情報が集められており、年齢やがんの種類などを入力すると、患者が参加できる可能性のある臨床試験を検索できるほか、さらに詳しい情報がほしい時はホームページ上から問い合わせができる仕組みになっています。

 今年4月の時点で31件の臨床試験の情報を集めており、情報は定期的に更新されるということです。

 国立がん研究センター先端医療科の山本昇科長は、「がん患者が、希望する臨床試験に参加できることにつながればと思う」と話しています。

 2019年7月3日(水)

 

■パーキンソン病を血液検査で診断し、早期発見も 順天堂大が開発

 順天堂大学の研究チームは、血液検査でパーキンソン病かどうかを診断する手法を開発しました。2日、アメリカの神経学会誌「ニューロロジー」に論文を発表しました。

 研究チームは2年後の実用化を目指すといい、手足の震えなどの症状が出る前に発症するかがわかる可能性があり、治療薬の開発にもつながる成果としています。

 パーキンソン病は高齢者に多い進行性の神経変性疾患で、国内に患者は約15万人いるとされます。脳内の神経伝達物質ドーパミンが減ることで、手足の震えなどが起きて体が動かしにくくなります。症状が出るまでに数年かかり、早期発見は難しく、治療はドーパミンを薬で補うなど対症療法しかありません。

 順天堂大学の服部信孝教授らは、健常者49人とパーキンソン病患者186人の血液をとって調べました。患者では「スペルミン」という物質が血液中に大幅に少なくなっていることを見付けました。また、「ジアセチルスペルミジン」という別の物質の濃度にも着目。健常者に比べて患者での濃度が高く、重症者ほど高くなりました。

 これまでは手足の震えなどの症状から診断していたが、この物質を使えば正確で簡単に診断できるほか、重症度をきちんと判別できます。また、症状が出る前に調べて発症のリスクがわかる可能性があるといいます。

 研究チームは今後、スペルミンを生み出す物質を体内に摂取して症状が出るのを遅らせたり、改善したりする治療薬の開発を進めます。

 服部教授は、「パーキンソン病は脳の病気だが、血液中にある代謝産物にも変化が出ていたことがわかった」と話しています。

 2019年7月3日(水)

 

■その日最適な化粧液、8万通りから自宅で自動調合 資生堂が本格展開 

 資生堂は1日、天候やその日の肌の状態に応じて最適な化粧液を調合する肌ケアシステム「オプチューン」を7月から本格展開すると発表しました。自宅でスマートフォンアプリと専用機器を使って8万通りの組み合わせから最適な化粧液を選べます。月に一定額払えば継続利用できるサブスクリプション型モデルを同社で初めて導入。軌道に乗れば、商品の拡充も視野に入れます。

 月額利用料金は税別で1万円。利用には5種類の化粧液のもとが入った機器と専用のスマホアプリを用意。洗顔後にアプリを通じて肌を撮影し、皮脂量や水分量を測定。その日の天候や花粉の飛散量、寝返りの回数などから導き出した睡眠の質や量などのデータを組み合わせて、その時々の肌に合った化粧液を必要な量だけ自動で調合します。

 化粧液の調合は数秒で完了します。専用機器は同社ブランドサイトで申し込みます。機器の中にある化粧液のもとはインターネット網を通じて管理されており、なくなる直前に自動で送られてきます。オプチューンは2018年春にベータ版のテスト販売を始めましたが、商品の改良などにメドがついたことから、本格的な販売に踏み切ります。

 資生堂ジャパンの杉山繁和社長は、「ソフトウエアのサービス化SaaS(サース)を美容分野でも進め、新市場をつくりたい」と意気込みます。テスト販売では数百人の顧客に対して提供してきましたが、本格展開では30~40歳代の多忙な女性を主要ターゲットにして数千人以上の顧客の獲得を目指します。本格展開で得た顧客のデータは同社の今後の商品開発に生かします。

 2019年7月2日(火)

 

■無痛分娩死で検察審査会に申し立て 院長不起訴に遺族が不服

 大阪府和泉市の産婦人科医院「老木レディスクリニック」で2017年1月、麻酔で痛みを和らげる「無痛分娩」で出産した長村千恵さん=当時(31歳)=が死亡した事故で、業務上過失致死容疑で書類送検された男性院長(61歳)の不起訴処分を不服とし、遺族が大阪第4検察審査会に申し立てを行い2日までに受理されました。

 申立書によると、院長は長村さんの脊髄近くにカテーテルを入れ、麻酔薬を注入する硬膜外麻酔を行う際、適切な位置に挿入されているかどうか確認を怠りました。麻酔の効き具合の確認などを十分にせず、死亡させた過失は重大だとしています。

 2日に大阪市内で記者会見した長村さんの父、安東雄志さん(70歳)は「起訴すべきものは起訴にして裁判で決着をつけるのが正しいやり方」と訴えました。

 院長は2017年10月、大阪府警に書類送検されましたが、今年4月に大阪地検が嫌疑不十分で不起訴としました。

 2019年7月2日(火)

 

■手足口病の患者が警報レベルを超す 過去10年で最多

 乳幼児を中心に口内や手足に発疹ができる「手足口病」の患者数が6月23日までの1週間で1医療機関当たり5・18人となり、警報レベルの5人を超えたことが2日、国立感染症研究所の調べで明らかになりました。この時期としては過去10年で最多。西日本で感染拡大が目立ち、厚生労働省などが注意を呼び掛けています。

 感染研によると、6月17〜23日までの1週間に、全国およそ3000の小児科の定点医療機関から報告された患者数は1万6417人。

 都道府県別では、1医療機関当たり福岡県の17・33人が最多で、福井県15・26人、佐賀県13・17人、鳥取県11・84人、高知県10・07人が続きました。警報レベルを超えたのは24府県で、大阪府は9・15人、東京都は2・73人でした。

 手足口病は例年夏に流行のピークを迎え、5歳以下の患者報告数が多くを占めます。口内や手足にできる水疱(すいほう)性の発疹が主な症状で、熱が出ることもあります。通常は数日のうちに治るものの、まれに髄膜炎や脳炎などを引き起こすこともあります。

 くしゃみなどの飛沫(ひまつ)や便を通じて感染するため、保育施設などで集団感染が起こりやすいため、厚労省は予防として、こまめな手洗い、排泄(はいせつ)物の適切な処理のほか、タオルを共有しないことが重要としています。

 2019年7月2日(火)

 

■富士フイルム、がん免疫薬を開発へ ドイツ製薬大手とiPS細胞を活用

 富士フイルムホールディングスは1日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使っがん免疫治療薬の開発を加速させると発表しました。患者以外の第三者のiPS細胞を製造に使い、費用を安くできる可能性があるといいます。

 アメリカ子会社のフジフイルム・セルラー・ダイナミクスと、アメリカの医療分野におけるベンチャー企業が、共同で新会社を設立し、第三者のiPS細胞を使った新たながん免疫治療薬の開発を開始しました。

 また、設立した新会社に、ドイツ製薬大手バイエルが出資。開発費は2億5000万ドル(約270億円)を見込み、バイエルが9割弱を負担する計画です。新会社が製造を担当し、数年後にアメリカで臨床試験を始める方向です。

 患者自身のCAR-T(カーティー)細胞を用いた従来のがん免疫治療薬は、患者自身のT細胞を採取・培養して作製するため、患者ごとに細胞の品質にバラつきが発生したり、製造コストが非常に高いといった課題があります。第三者のiPS細胞を用いることで、均一な品質と製造コストの大幅な低減が期待できるとしています。

 日本では1回の投与で数千万円する高額ながん免疫治療薬のコストが下がる可能性があり、治療の選択肢が広がりそうです。

 2019年7月2日(火)

 

■今日から「屋内全面禁煙」施行 学校、病院、行政機関など

 学校や病院、薬局、児童福祉施設、中央省庁や自治体の庁舎などの屋内が1日、全面禁煙になりました。9月のラグビーワールドカップ(W杯)に間に合わせるため、受動喫煙対策を強化した改正健康増進法を一部先んじて施行。悪質な違反者には罰則の適用(過料50万円以下)も始まりました。病院などでは比較的対策が進んでいるものの、行政機関では慌てて屋外に喫煙所を設置したため、近隣住民と対立している所もあります。

 文部科学省では1日、省内の喫煙所から灰皿がすべて撤去され、喫煙者は近くの民間ビルなどに出向かざるを得なくなりました。40歳代男性職員は「息抜きに出るには遠い。今更たばこはやめられないし、肩身が狭くなるばかりだ」と嘆いています。

 東京都庁でも6月28日、庁内にある全6カ所の喫煙所を一斉撤去しました。屋外喫煙所も検討したものの、「条件に当てはまる場所がなかった」(庁舎管理課)と設置を断念。埼玉県庁では、庁舎内に5カ所ある喫煙所を撤去した上で、屋上にある1カ所は維持します。神奈川県庁は2005年、千葉県庁は2011年、庁舎内の喫煙所をすべて撤去したといいます。

 東京都板橋区は庁舎内の喫煙所を撤廃する代わりに、屋外に公衆喫煙所(約10平方メートル)を設置。だが近隣からの苦情が相次ぎ、反対署名2000筆以上が区に届きました。7月1日の開設を目指していましたが、9月以降の延期に追い込まれました。

 「お年寄りや幼児も近くを通る。勝手に喫煙所の設置が進められており、健康被害が心配だ」。近隣の女性(54歳)は憤りをあらわにしています。反発が強まっていることに対し、区の担当者は「問題点があれば検証しながら運用を考えていきたい」と話しています。

 大学も、7月1日から規制対象です。早稲田大学は6月28日、早稲田キャンパス(新宿区)の4カ所の屋内喫煙所をすべて閉鎖。屋外喫煙所が5カ所あるものの、「すべて閉鎖すると、路上喫煙で迷惑をかける」(総務課)と恐れています。実際に、中央大学は昨年秋、多摩キャンパス(八王子市)にある13カ所の喫煙所を撤廃する計画を立てましたが、現在まで2カ所を維持。多くを撤廃したことで、「ポイ捨てや路上喫煙が増えて近隣から苦情が出たため」(学生課)といいます。

 慶応大学では「すべてのキャンパスで全面禁煙を目指す」(広報室)としており、屋外にある喫煙所27カ所についても計8カ所に削減していくとしています。

 一方、飲食店や企業などの規制は、来年4月1日から始まり、規模の大きな店舗や新たに営業を始める店、それに企業のオフィスは喫煙室以外は禁煙となるほか、規模の小さい店舗も喫煙できることを店先などに表示しなければならなくなります。

 2019年7月1日(月)

 

■エボラ出血熱など輸入ウイルス、感染研に保管で合意 厚労省と武蔵村山市

 エボラ出血熱など致死率の高い1類感染症の原因ウイルスの輸入を巡り、根本匠厚生労働相は1日、保管先として予定する国立感染症研究所村山庁舎のある東京都武蔵村山市を訪れ、藤野勝市長と会談しました。根本厚労相は改めて輸入方針を説明し、「一定の理解を得た」として、輸入に向けた手続きを進める意向を示しました。

 厚労省が輸入方針を示しているのは、エボラ出血熱、南米出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ病の5種類の感染症の原因ウイルス。東京オリンピック・パラリンピックを控え、海外から持ち込まれる恐れがある感染症を素早く正確に検査できるようにするのが目的。「最も危険」と分類されるウイルスが初めて海外の研究機関から持ち込まれることになります。

 根本厚労相は会談に先立ち、輸入ウイルスが保管されることになる感染研村山庁舎のバイオセーフティーレベル(BSL)4と呼ばれる高度な安全設備を備えた施設を視察。その後、同市役所で藤野市長と会談し、施設の安全対策や防災対策の強化など5項目の要望を受けました。

 根本厚労相は会談後、報道陣の取材に応じ、原因ウイルスの輸入について「一定のご理解をいただいた。大きな一歩を踏み出せた。要望された5項目については、厚労省としてしっかり取り組んで参りたい」と述べました。

 原因ウイルスは早ければ夏ごろにも国内に持ち込まれる見込みですが、輸入経路や日時は事前に公表されません。

 厚労省や感染研は昨年11月、同市側に輸入に向けた考えを示し、住民向け説明会などを繰り返し実施。5月末には、一定の理解が得られたとして、地元関係者らが集まる会議で輸入方針を表明していました。

 2019年7月1日(月)

 

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