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健康ダイジェスト

2018年1月〜 2017年7月〜12月 1月〜6月2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

 

■50〜60歳代のやせた女性、糖尿病の発症リスク大 順天堂大が調査

 50〜60歳代のやせた女性は糖尿病の発症リスクが高くなるとする研究結果を、順天堂大学の研究チームがまとめました。年齢とともに糖を蓄える筋肉が減ったり、筋肉が糖を取り込みにくくなったりするためとみられます。

 研究チームは、適度な運動やバランスのよい食事を進めて筋肉の量と質を高めるよう訴えています。糖尿病は男女を問わず、やせているほうが発症リスクが高いことが知られています。しかし、その要因まではよくわかっていませんでした。

 体格指数(BMI)が18・5未満のやせた女性で、20歳代の31人と、閉経後の50〜65歳の30人に、ブドウ糖溶液を飲ませて2時間後に血糖値がどう変化したか調べました。すると、閉経後の女性の37%(11名)に血糖値が正常より高い耐糖能異常がみられました。同年代の女性における耐糖能異常の割合は17%程度であり、それと比較して高い割合です。

 筋肉は人体の中で糖を貯蔵する最大の臓器であり、研究チームは「加齢とともに血糖値を下げるインスリンの分泌が減るため、筋肉の量が減ったり、運動不足などで筋肉の質が低下したりして、高血糖になりやすくなった」と推測しています。

 やせていると骨折のリスクにもなり、無月経、骨粗鬆症にも結びつくことから、研究チームの田村好史・順天堂大医学部准教授(内分泌学)は「若いうちからよく食べ、よく運動し、発症のリスクを減らすべきだ」と指摘しました。

 2018年5月28日(月)

 

■旧優生保護法下の強制不妊手術、全国被害弁護団が発足 西日本でも提訴へ

 旧優生保護法(1948~1996年)下で障害者らに不妊手術が強制されていた問題で、全国の弁護士184人で構成する「全国優生保護法被害弁護団」が27日、発足しました。弁護団は、6月末をめどに新たに4、5人が西日本などで提訴する方向で準備を進めることを確認しました。

 この日は、東京都内で弁護団の結成大会がありました。冒頭、共同代表を務める新里宏二弁護士(仙台弁護士会)が「一人でも多くの救済に向けた受け皿を作り、国に謝罪と補償を求めていきたい」とあいさつしました。

 この問題を巡っては今年1月、手術による人権侵害に対する救済制度を設けてこなかった政府や国会の責任を問うため、宮城県の60歳代女性が国を初提訴。今月17日には70歳代の男女3人が東京、仙台、札幌の各地裁に2次提訴しています。

 弁護団によると、結成大会での非公開の会議で、今月21日の電話相談で寄せられた63件を検討し、3次提訴について議論したといいます。これまでなかった西日本を含む4、5人の提訴も検討しており、裁判は全国に広がる見通しです。

 結成大会では、手術を受けた人に対する補償と謝罪を軸にした立法、強制手術の問題点の検証、差別をなくす政策の推進などを国に求める弁護団声明も発表。

 また、今月裁判を起こした東京都の75歳の男性が「国は20年以上、この問題を放置してきたことを重く受け止め、早期に謝罪や補償をしてほしい」と訴えました。精神科の元勤務医で知的障害のある女性への手術の申請にかかわったことがある東京都の岡田靖雄医師(87歳)も出席し、「優生保護の歴史に責任を負うため、当時の医師は顔や名前を公表して自分の経験を話すべきだ」と訴えました。

 この問題では、約1万6000人が手術を強いられており、厚生労働省が4月、記録の保管状況を確認するよう各自治体に通知し、全国調査が始まっています。3月には超党派の国会議員連盟が発足し、来年の通常国会への救済法案の提出を目指しています。

 2018年5月27日(日)

 

■京都大など、iPSから免疫細胞の作製に成功 がん治療に応用へ

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、がん細胞や病原体などを攻撃する免疫の「司令塔役」を担う免疫細胞を作製することに成功したと、京都大学iPS細胞研究所などが発表しました。

 がん免疫療法の効果向上や、患者に直接投与する新たなワクチン療法の技術開発に応用できるといいます。成果は25日、アメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」(電子版)に掲載されました。

 免疫細胞には、がん細胞などへの攻撃を命じる司令塔役の「ヘルパーT細胞」や、命令を受けて活性化する攻撃役の「キラーT細胞」などがあります。

 iPS細胞研究所の金子新(しん)准教授らは、人の血液から取り出したヘルパーT細胞からiPS細胞を作製し、このiPS細胞に免疫細胞への変化を促すタンパク質や遺伝子を加えるなどして、ヘルパーT細胞とほぼ同じ機能を持つ細胞を作製しました。この細胞と一緒に培養して活性化させたキラーT細胞を、がんのマウス10匹に投与したところ、がん細胞の増殖が抑えられ、60日たってもすべて生きていました。投与しなかった5匹では、1匹しか生き残りませんでした。

 がん患者の多くでは、免疫細胞が減少し、働きも低下。今回の手法を使えば、増殖が難しい免疫細胞を大量に作ることができるといいます。

 金子准教授は、すでにiPS細胞からキラーT細胞を作製することにも成功しており、「免疫機能を回復させる新しいがん治療法を開発したい」と話しています。

 2018年5月27日(日)

 

■がん免疫薬の併用治療が初めて承認を取得 小野薬品の「オプジーボ」など

 小野薬品工業などは25日、がん免疫薬「オプジーボ」と同「ヤーボイ」を皮膚がんの一種、悪性黒色腫(メラノーマ)に同時投与する治療方法の国内承認を得たと発表しました。

 それぞれ単剤でも承認を得ていますが、組み合わせて使用することで高い治療効果が得られます。国内でのがん免疫薬の併用療法の承認は初めて。

 小野薬品のオプジーボと、アメリカのブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)のヤーボイは、ともに免疫の働きにブレーキを掛ける機能を妨げ、異物を排除する免疫機能を高める効果があります。

 悪性黒色腫に対する併用療法での臨床試験(治験)では、ヤーボイ単剤での治療に比べて死亡リスクを45%低下させました。欧米や韓国、台湾では、すでに承認されています。

 オプジーボとヤーボイは、進行性や転移性などの末期がん、難治性がんに劇的な治療効果が確認されています。さまざまな種類のがんで、単剤や併用療法について治験が進んでいます。開発が進めば治療の選択肢が広がり、免疫薬の効果を享受できる患者数の拡大が期待されます。

 2018年5月26日(土)

 

■遺伝性乳がんに治療薬、卵巣がん用を適用拡大 アストラゼネカの「リムパーザ」

 厚生労働省の専門家部会は23日、再発卵巣がん向けの治療薬を、遺伝性の乳がんにも使えるようにすることを了承しました。親から受け継いだ遺伝子が原因で発症する「遺伝性がん」の治療薬としては、国内初となります。

 早ければ来月にも正式承認され、保険適用になる見通しです。

 治療薬は「リムパーザ」(一般名・オラパリブ)。イギリスの製薬大手「アストラゼネカ」が開発した飲み薬で、再発卵巣がん向けには4月に保険適用されました。リムパーザは、正常細胞にはダメージを与えずがん細胞のみを死滅させる分子標的薬で、副作用が少ないため、患者の負担を軽減します。

 新たにこのリムパーザの対象になるのは、生まれ付きBRCA(ブラッカ)1、BRCA2という遺伝子に変異がある乳がんの一部。遺伝性乳がんは、乳がん全体の5〜10%を占め、2分の1の確率で子に引き継がれます。

 患者がこのリムパーザを使う際には、BRCA変異の有無を判定する遺伝子検査を受けることが前提になります。遺伝子検査の価格は同日、厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会で約20万円に決まりました。患者の自己負担は、この1〜3割。

 遺伝子検査でBRCAの変異があれば、リムパーザを使えます。一方、血縁者も同じ遺伝子変異を持つかどうかが判明する可能性があります。変異があると、生涯に乳がんを発症するリスクは5〜6割と高く、心理的な負担は大きくなります。

 昭和大学乳腺外科の中村清吾教授は、「治療の選択肢が広がることは意義がある。遺伝性の乳がんが疑われる患者や家族には、遺伝カウンセリングの機会があることを伝えていくことが必要だ」と話しています。

 2018年5月25日(金)

 

■流行性角結膜炎の患者数、過去10年間で最多に 1医療機関当たり1・17人

 国立感染症研究所は22日、5月7〜13日の1週間で、流行性角結膜炎(はやり目)の患者数が1医療機関当たり1・17人になったと発表しました。過去10年間で最多となります。

 流行性角結膜炎は、夏風邪のウイルスの一種であるアデノウイルスによって、主に引き起こされます。上下のまぶたの裏側と、眼球の表面から黒目の周囲までを覆っている結膜の炎症に加えて、黒目の部分を覆っている角膜に炎症を起こすため、角結膜炎と呼ばれます。

 非常に感染力が強く、しばしば集団発生することがあります。学校伝染病の一つに指定されており、感染者は伝染の恐れがなくなるまで登校禁止となります。1歳から5歳を中心とする小児に多く発症しますが、成人も含め幅広い年齢層で認められます。

 感染症研究所によると、過去10年では2015年8月の1・15人が最多でしたが、今回、それを上回りました。都道府県別でみると、宮崎県3・83人、新潟県3・5人、神奈川県3・15人の順で多くなっています。

 感染症研究所の藤本嗣人・感染症疫学センター第四室長は、「こまめな手洗いやタオルの共有を避けるなど予防が必要」と話しています。

 2018年5月25日(金)

 

■日本生協連、介護サービスを全国の生協に導入 高齢者の自立した在宅生活を支援

 日本生活協同組合連合会(東京都渋谷区)は22日、高齢者が自宅で自立した生活を送れるように支援する介護サービスを全国の生協に導入すると発表しました。

 トイレや入浴、食事といった生活行為を介護職員が利用者の代わりに担ういわゆる「もてなし型」ではなく、利用者が主体的に行動する仕組みにします。自立支援という基本理念を標準に、生協の福祉事業の軸の一つとして全国で均質なサービスに努めます。

 自立支援で実績のある市民生活協同組合ならコープ(奈良市)が母体の社会福祉法人、協同福祉会(奈良県大和郡山市)の介護サービスを元に、全国展開を図ります。協同福祉会は「トイレに座る」「家庭浴に入る」「あたたかい食事をする」「町内にお出かけをする」など10項目を基本とし、高齢者の在宅生活を支援してきました。全国で福祉事業をする56の生協のうち、まず半分に当たる28生協と関連法人で導入します。

 日本生協連はすでに奈良県と栃木県で、協同福祉会のサービスを紹介する研修を始めています。2018年中に研修拠点を3カ所増やし、介護職員の育成を進めます。

 日本では、人口のうち最も多い年代に当たる団塊世代が75歳以上となる2025年に向けて、重度の要介護者を減らす枠組み作りが急務です。政府は今年4月の介護報酬改定で自立支援と重度化の予防を重点課題に挙げました。

 日本生協連が22日に開いた記者会見では福祉事業推進部の山際淳部長が、「自立のサポートが重度化を防ぎ、人手不足の解消にも役立つ。その結果、国の財政負担を軽くするだけでなく利用者や家族の生活の質も向上する」と説明しました。

 2018年5月24日(木)

 

■はしか患者、全国で170人を超える  感染症研究所がワクチン接種を呼び掛け

 流行が続いているはしか(麻疹)の全国の患者数は21日までに170人を超え、国立感染症研究所は流行の拡大を防ぐため、引き続きワクチンの接種を呼び掛けています。

 今年3月に沖縄県で始まったはしかの流行は旅行者などを介して愛知県や東京都に広がり、一連の流行での患者は21日までに、沖縄県で99人、愛知県で23人、東京都で2人の合わせて124人となっています。

 一方、福岡県でも4月、春日市の男性がはしかと診断された後、この男性から感染したとみられる人など合わせて16人が21日までにはしかと確認され、このうち1人は鹿児島県で発症するなど新たな流行となる恐れがあります。

 このほかにも、今月13日までに34人の患者が報告され、全国の患者数は170人を超えています。

 はしかは、ウイルス性の感染症で高熱や発疹が出ます。感染力が強く、患者のせきやくしゃみを浴びた場合だけでなく、空気中のウイルスを吸い込んでも移ります。感染してから症状が出るまでに10日から2週間ほどの潜伏期間があるとされ、国立感染症研究所は、5月は大勢の人が移動する大型連休があったため患者の数は今後さらに増える可能性もあるとしています。

 国立感染症研究所の多屋馨子室長は、「現在は局地的な流行にとどまっている状態といえるが、まだ注意が必要だ。特に20歳代から40歳代の人は感染リスクが高いので、医療現場や教育、保育にかかわる人はワクチンの接種を検討してほしい」と話しています。

 2018年5月22日(火

 

■医療用ES細胞を国内で初めて作製 京大、7月にも提供開始へ

 人の受精卵から作る万能細胞の1つであるES細胞(胚性幹細胞)について、京都大学ウイルス・再生医科学研究所の末盛博文准教授らの研究チームが医療に使用できる品質の細胞を国内で初めて作製し、今年の夏以降、医療機関で再生医療の臨床研究などに役立てられるということです。

 人のES細胞は、京大が2003年、国内で初めて作製に成功していましたが、受精卵の一部を壊して作ることから倫理的な課題があるとされ、国は使途を基礎研究に限定。実際の治療には使えませんでした。

 一方、海外ではES細胞による目の難病治療などで臨床応用が進んだことから、国は2014年、基礎研究用のES細胞より安全性を高めた医療用ES細胞の作製を認める新指針を策定。これを受けて末盛准教授らの研究チームが昨年6月、文部科学、厚生労働両省から作製の承認を受けていました。

 研究チームは、京都市の足立病院(畑山博院長)から不妊治療で使われなくなった十数個の受精卵を譲り受けて、管理された学内の施設でES細胞の作製を進めていました。そして今月7日、医療に使用できる品質のES細胞の作製に国内で初めて成功したということです。

 2003年当時は細胞の増殖を助けるため、牛の血清を加え、マウスの細胞と一緒に培養していましたが、今回は、こうした動物由来の成分を使わず培養に成功し、人に移植する場合の安全性がより高くなりました。

 この医療用ES細胞は今後増殖させて備蓄し、今年7月ごろから医療機関に提供できるということで、再生医療の臨床研究などに役立てられるということです。

 医療用のES細胞は、京大以外にも国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)が作製の承認を取得。同センターでは4月から、重い肝臓病の赤子にES細胞から作った肝細胞を移植する臨床研究(治験)の計画を進めています。

 再生医療への応用では、国内ではすでにiPS細胞(人工多能性幹細胞)が臨床研究に使われていますが、海外ではES細胞による目の難病や脊髄損傷の治療などでの臨床研究も盛んに進められていて、国内で人に使えるES細胞の必要性が指摘されていました。

 記者会見した末盛准教授は、「我々のES細胞を提供することで、国内でのES細胞の臨床研究や治験を増やし、iPS細胞と一緒に再生医療全体を発展させたい」と話しています。

 2018年5月22日(火

 

■トラックやバス、睡眠不足での乗務禁止 国土交通省が6月から確認を義務化

 国土交通省は6月から、睡眠不足のバスやトラック、タクシー運転手の乗務を禁止します。乗務前の点呼時に睡眠不足でないか事業者に確認することも、義務付けます。

 人手不足などで労働環境が厳しい運送業界で睡眠不足が原因とみられる事故が発生する中で、寝不足を解消して事故の抑制を図ります。

 国交省は貨物自動車運送事業法などに基づく省令を改正し、事業者に睡眠不足の運転手を乗務させることを禁止します。これまで「疾病」や「疲労」、「飲酒」については乗務を認めないよう明記されていましたが、「睡眠不足」は記載がありませんでした。

 事業者は今後、乗務前に運転手の健康状態を確認する点呼で寝不足でないか把握し、記録に残すことも必要になります。睡眠時間には個人差があるため具体的な時間についての基準は定めませんが、睡眠不足のまま乗務を許可したと認定されれば運行停止など行政処分の対象となるため、事業者は厳しい対応を求められます。

 具体的には、運転手と対面などでやり取りし、睡眠不足による集中力低下など安全に支障が出る状態にないか丁寧に確認して結果を記録として残さなければなりません。

 ドライバー側に対しても、睡眠不足で安全運転ができない恐れがある場合は事業者への正直な申告を義務化します。

 睡眠不足が原因とみられる追突などの事故は、相次いでいます。2016年に広島県東広島市で、事故2日前まで一睡もせずに36時間乗務を続けていたトラック運転手が追突事故を起こし2人が死亡。2017年にも徳島県でトラックが停車中のマイクロバスに追突し、16人が死傷しました。この運転手は、強い眠気を感じていました。

 国交省が昨年3~5月にバス運転手約7000人から回答を得たアンケート調査では、1日当たりの睡眠時間の平均が5時間未満の運転手は約25%に上りました。

 国交省の担当者は、「業者は運転手の状態をしっかり確認し、安全運行を担保してほしい」と話しています。

 2018年5月22日(火

 

■強制不妊手術、70歳代男女3人が一斉提訴 札幌、仙台、東京の各地裁に

 旧優生保護法(1948~1996年)の下で障害などを理由に不妊手術を強制されたとする北海道、宮城県、東京都の70歳代の男女3人が17日、国に損害賠償を求める訴訟を札幌、仙台、東京の各地裁に起こしました。

 自己決定権などを定めた憲法に違反し、1996年の法改定後も救済措置を怠ったとしています。請求額は計7950万円。1月に1100万円の損害賠償を求めて提訴した宮城県の60歳代女性を含め、原告は4人に拡大しました。謝罪・補償に応じない国の姿勢を厳しく追求します。

 旧優生保護法は、「不良な子孫の出生防止」という優生思想に基づく目的を明記。ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で、知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に本人の同意がなくても不妊手術を認めました。ハンセン病患者は、同意に基づき手術されました。「障害者差別に当たる」として1996年に「母体保護法」に改定されました。

 この旧法に基づく強制不妊手術を巡っては、約1万6000人が手術を強いられており、国会議員の間に、訴訟の結果にこだわらずに不妊手術に対する謝罪・補償の在り方を探る動きもあり、4月に初の全国調査に乗り出した厚生労働省の対応が注目されます。

 原告は札幌市北区の小島喜久夫さん(76歳)、宮城県の70歳代女性、東京都の男性(75歳)で、請求額は3850万〜1100万円。

 3人とも、各自治体に開示請求をしましたが、北海道と東京都の2人は手術記録など当時の資料が見付かっていません。宮城県の女性は20年前から被害を訴え、手術が必要だと判定された資料は見付かりました。訴状によると、女性は住み込みで働いていた16歳の時、内容を知らされないまま旧法に基づく不妊手術を受けさせられました。その後、結婚したものの子供が産めないことを理由に離婚しました。

 小島さんら男性2人は、弁護団の電話相談を機に提訴を決めました。小島さんは「まだ声を上げられない人にも立ち上がってほしい」と願い、原告として初めて実名を明かすことを決めました。

 3人は、「子を産むか否かの自己決定権を奪われ、基本的人権を踏みにじられた」などと主張。1996年に障害者差別に当たる条文を削除し母体保護法に改定後も、救済に向けた政策遂行や立法措置を取らず違法だなどとしています。

 2018年5月21日(月)

 

■甘酒に肥満抑制や腸内改善の効果 金沢工業大などが初実証

 金沢工業大の尾関健二教授(発酵学)の研究室と食品製造会社「厚生産業」(岐阜県大野町)の共同研究チームは、「米麹(こうじ)と米」を主原料とする市販の甘酒に、コレステロールの低減や便通の改善に効果の高い成分が最も多く含まれていることを発見したと発表しました。

 1日コップ1杯(200ミリリットル)の甘酒で効果が期待できるといいます。研究チームは、学術的に実証したのは初めてとしています。

 市販されている甘酒は、「米麹と米」「米麹と酒かす」「酒かすのみ」「米麹のみ」の4種類の主原料から作られています。研究では、コレステロールの排出促進や肥満の抑制の効果のある米に含まれる難消化性のタンパク質「レジスタントプロテイン」に注目し、市販されている12社の14種類を遠心分離器にかけて検出し、含有量を計測しました。

 その結果、「米麹と米」を主原料とする甘酒に、レジスタントプロテインが最も多く含まれている傾向があることを解明しました。コップ1杯当たり平均178・8ミリグラムのレジスタントプロテインが含まれ、コレステロールの低減などの効果が出るのに必要な1日の摂取量113ミリグラムを上回ります。最も少ない「米麹のみ」の甘酒には、平均67・0ミリグラム含まれていました。

 甘酒は、「飲む点滴」といわれ、腸内環境の改善や肥満の抑制の効果などがあるとされてきました。ただ、これまで、何に由来する効果なのかは明らかになっていませんでした。

 研究チームは3月に、名古屋市で開かれた日本農芸化学会で発表。尾関教授は、「効果が期待できるよう、甘酒の主成分を確認して飲んでほしい」と話しました。研究チームは今後、レジスタントプロテインを多く含む甘酒の製法の開発を行う予定です。

 伊豆英恵・酒類総合研究所主任研究員(食品機能学)は、「甘酒が持つ肥満抑制や腸内改善などの効果を効率よく得るため、主成分に着目した研究だ。コップ1杯で取れる有効量という着眼点が、生活に取り入れやすい結果を生み出した」と話しています。

 2018年5月21日(月)

 

■はしか感染、福岡県で新たに5人 県内計14人に

 福岡県は18日、県内で新たに5人がはしか(麻疹)に感染したことがわかったと発表しました。同県内の感染者は、4月以降計14人となりました。

 福岡県の発表によりますと、感染が新たに判明したのは、糸島市の40歳代男性、大野城市の20歳代男性、そして福岡市早良区の20歳代男性、福岡市城南区の20歳代男性と20歳代女性の合わせて5人です。5月11日以後、発熱などの症状が現れ、遺伝子検査でいずれも18日に陽性反応が出ました。

 このうち福岡市城南区の男女2人と大野城市の男性は、5月1日に春日市の同じ医療機関を訪れた際に、すでに公表されているはしかの男性患者と待合室で居合わせ、感染した可能性があるといいます。残る2人の感染ルートについては、調査中です。

 今回感染が判明した5人は自宅療養をしていて、重症患者はいません。

 これで福岡県内で確認されたはしかの感染者は、合わせて14人になり、広がりをみせています。

 福岡県は感染者と同じ医療機関を利用した人などの経過観察を行っていて、対象者は900人以上に上ることを、一昨日明らかにしていました。

 2018年5月20日(日)

 

■民間バンクの臍帯血取引を原則禁止 造血幹細胞移植推進法改正へ

 自民、公明両党は17日、他人の臍帯血(さいたいけつ)を使った再生医療が国に無届けで行われていた事件を受け、規制を強化する造血幹細胞移植推進法改正案をまとめました。

 国に許可を受けた公的バンクを除き、民間バンクなどが第三者と臍帯血の取引を行うことを原則禁止とします。違反者には、3年以下の懲役か300万円以下の罰則を科します。

 自民、公明両党は、野党にも理解を呼び掛け、今国会に議員立法で提出して成立を目指すといいます。

 臍帯血はへその緒と胎盤に含まれている血液で、赤血球や白血球などを作る「造血幹細胞」が多く含まれ、出産時に採取されて白血病などの治療に使われます。2014年施行の現行法では、白血病治療のために臍帯血や骨髄をあっせんする公的バンクの事業を許可制とし、厳重な品質管理を義務付けましたが、個人の臍帯血を有料保管する民間バンクは対象外となっていました。

 改正案は、公的バンクやその委託先を除く業者が移植用として臍帯血の販売や取引をすることを原則禁止し、採取や保存も禁止します。例外として、本人や血縁間に用いる場合は認めます。

 厚生労働省によると、昨年9月時点で国内に7社の民間バンクがあることが確認されたものの、4社が廃業を決め、「アイル」「ステムセル研究所」「ときわメディックス」の3社が運営しています。

 経営破綻した「民間バンク」から臍帯血が流出し移植された事件は、愛媛など4府県警が昨年8月、再生医療安全性確保法違反容疑で、東京都内の医師や臍帯血販売業者ら計6人を逮捕しました。

 2018年5月20日(日)

 

■乳がん予防手術を条件付きで「強く推奨」 学会、診療ガイドラインを改訂

 女性のがんとして最も多い乳がんの治療法に関する日本乳癌学会の診療ガイドラインが改訂され、遺伝子の変異によって再び乳がんになるリスクが高い患者に対しては、カウンセリングの体制が整っていることなどを条件に、がんになっていない乳房も切除して予防することを「強く推奨する」ことになりました。発症や死亡を確実に減らせるとのデータが集まったことが理由。

 この診療ガイドラインは16日に公開され、乳がんを予防するための手術が今後、増える切っ掛けになるとみられます。

 乳がんについて標準的な治療法をまとめた日本乳癌学会の診療ガイドラインでは、これまで乳がんを予防するためにがんのない乳房を切除する手術は「検討してもよい」とされ、「推奨」まではされてきませんでした。

 学会はこの診療ガイドラインを3年ぶりに改訂し、片方の乳房にがんが見付かった「BRCA」と呼ばれる遺伝子に変異がある患者については、再び乳がんになるリスクが高いとして、患者が希望し、カウンセリング体制が整備されていることなどを条件に、がんがない乳房も切除して予防する手術を「強く推奨する」としました。

 国立がん研究センターの推計では、年間約9万人が乳がんと診断されていて、その10%程度の患者にBRCA遺伝子の変異があるとされていますが、この予防手術は健康保険の対象になっておらず、昨年までに報告された実施件数は79件。

 診療ガイドラインの改訂の背景には、乳がんと遺伝子の関係などが明らかになってきたことがあります。がんを抑制するBRCA遺伝子に変異がある女性は、乳がんになる確率が約40%から90%で、一般の人の約9%の5倍から10倍程度になるとされています。さらに、一度、乳がんになった患者が、10年以内にもう一方の乳房にも再びがんが見付かる確率は、BRCA遺伝子に変異がある場合は約20%で、患者全体の約2%の10倍程度になるということです。

 しかし、予防手術によって再び乳がんになる確率を10分の1に低下させることができるとされています。こうした予防手術の結果、患者の15年後の生存率は86%で、手術を受けていない患者の74%よりも12ポイント高くなったと海外の臨床研究で報告されています。

 さらに、再び乳がんになる不安を軽減する効果や社会的なコストを減らす効果も複数の研究で示されたため、学会は、医師の勧めではなく患者本人が自発的に希望し、理解や選択を助けるカウンセリング体制が整った病院で行うことなどを条件に、これまでの「検討してもよい」から「強く推奨する」に診療ガイドラインを変更しました。

 一方、同じ遺伝子の変異があるもののがんが見付かっていない人に対して、両方の乳房を予防のために切除することについては、本人が希望していることを条件に「弱く推奨する」としています。

 生存率を高めることが明確には示されていないものの、発症を減らし、患者の不安も軽くできるのが理由。この両方の乳房を切除する予防手術については、変更前のガイドラインでは「検討してもよい」となっていましたが、学会は、今回の改訂で推奨する程度を5段階から4段階に変更したことに伴うもので、これまでの位置付けと変わっていないとしています。

 アメリカでは乳がんを予防するために乳房を切除する手術は、遺伝子の変異がわかった女性のおよそ50%が受けているという報告があり、5年前にはハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんが予防のために両方の乳房を切除したことで注目されました。

 診療ガイドラインの改訂を担当した順天堂大学附属順天堂医院ゲノム診療センターの新井正美副センター長は、「乳がんを予防するための手術が今後、増えると予想され、カウンセリングなどの病院側の体制整備も課題になってくる。対象となる人は医師などとよく相談して決めてもらいたい」と話しています。

 2018年5月19日(土)

 

■インフルエンザ治療薬「タミフル」、10歳代への投与再開へ 厚労省の専門家会議

 インフルエンザの治療薬で服用した患者の異常行動が相次ぎ、10歳代への投与が原則禁止されていた「タミフル」について、厚生労働省の専門家会議は、異常行動はタミフル特有のものとはいい切れないとして、使用を再開する方針を示しました。

 タミフルは2001年に成人用、2002年に乳小児用の販売が始まりましたが、服用した中学生がマンションから転落するなどの事故が相次いだことを受けて、厚労省は2007年3月、「因果関係は不明」としながらも緊急安全性情報を出し、10歳代の患者への投与を原則禁止としました。

 厚労省の専門家会議は禁止を継続すべきか検討してきましたが、16日、タミフルを服用していない患者やほかの治療薬を服用した患者でも同じような異常行動が起きているなどとする調査結果をまとめました。

 これを受けて、異常行動は高熱などによるものでタミフル特有のものとはいい切れないとして、ほかのインフルエンザ治療薬と同じように10歳代の患者への使用を再開する方針を示しました。

 2006年の調査では、約15万の全医療機関で、インフルエンザ患者で飛び降りや駆け出しなど異常行動を示した症例が137件あり、そのうち6割がタミフルを服用。年齢別では、10歳代が42人と最も多くなりました。

 一方、厚労省の研究班による18歳未満の1万人を対象にした調査では、タミフルを使用しても、使用しない人と比べて異常行動は少ないとする結果がありました。

 タミフル投与の原則中止後は、吸入薬のリレンザやイナビルなど他のインフルエンザ治療薬が活用されましたが、タミフルは飲み薬で使いやすいため、専門家から投与再開を求める声が上がっていました。

 インフルエンザ治療薬の主流となっているタミフルの10歳代への使用再開で、患者にとっての利便性が増します。ただ、他の治療薬も含めて異常行動はなくなっておらず、厚労省は、インフルエンザが流行する11月ごろまでに、製薬会社にタミフルの添付文書の改訂を指示するとともに、異常行動への注意を促す記載を新たに求め、引き続き保護者などに対し十分注意するよう呼び掛けていくことにしています。

 厚労省の副作用報告では、2016年に10歳代の2人がリレンザやイナビルを使用した後、マンションから飛び降りた事例もあります。厚労省の研究班の調査では、タミフルに限らず、2017年までの8年間で約800件の異常行動が報告されました。

 厚労省は2007年のタミフル投与の原則中止後、10歳未満の患者は少なくとも2日間、保護者が目を離さないよう呼び掛けました。2017年11月には、ドアや窓の施錠や、一戸建ての場合は1階に寝かせるなどの対策を施すよう求める通知を出しています。

 日本小児科学会によると、インフルエンザは治療薬の投与がなくても自然治癒で治ることが多いものの、高熱の期間を短くしたり、重症化を予防したりするとして、子供への薬の投与が勧められているといいます。

 厚労省の担当者は、「異常行動とタミフルとの因果関係はまだわかっていない。患者を守るためのさまざまな対策が必要で、これから練っていく」と話しています。

 2018年5月19日(土)

 

■iPS細胞を使った心臓病治療、大阪大が初実施へ 厚労省の審議会が了承

 体のさまざまな組織になるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って重い心臓病の患者を治療する、大阪大学の臨床研究が16日、厚生労働省の審議会によって了承されました。iPS細胞を使った心臓病の治療の研究は世界で初めてで、研究チームは今年度中にも1例目を実施するということです。

 大阪大学の澤芳樹教授らの研究チームは、iPS細胞から作製した心臓の筋肉の細胞をシート状にして重い心臓病の患者の心臓に直接貼り付ける手術を行い、機能の回復を目指す臨床研究を厚労省に申請していました。

 この研究についての2回目の審議会が16日、厚労省で開かれ、研究の対象を重症の患者に絞るほか、患者に対する同意の文書をわかりやすいものにすることを条件に、計画は了承されました。

 研究チームは、今年度中にも患者の臨床研究を始めて安全性と有効性を確認し、これまで治療が難しかった重い心臓病の新たな治療法として確立することを目指しています。

 京都大学の山中伸弥教授が11年前に作り出したiPS細胞を応用した再生医療の臨床研究は、神戸市にある理化学研究所などが目の難病、加齢黄斑変性で実施していますが、世界で初めて心臓病の治療で実施することで、医療分野での応用が本格的に進むことになります。

 厚生労働省研究開発振興課の森光敬子課長は、「大変難しい臨床研究なので、安全性に気を付けて慎重に進めてほしい」と話していました。

 重い心臓病の患者1人に移植する2枚のシートには、細胞が約1億個含まれていて、心臓の筋肉と同じように収縮を繰り返します。澤教授らの研究チームは、このシートを患者の心臓に直接貼り付け、心臓の収縮する力を回復させる研究を進めており、これまでにも、患者自身の足から取り出した筋肉の元となる細胞をシート状に培養して心臓に貼り付け、機能を回復させる研究を50例以上実施しているということです。

 今回の臨床研究では、iPS細胞を使った心臓の筋肉のシートを合わせて3人の患者に移植して、安全性などを確認する計画です。その上でさらに医師主導の治験を行って、心臓移植しか助かる方法のない重い心臓病の患者の新たな治療法として確立したいとしています。

 また、今回使われるiPS細胞は、京都大学iPS細胞研究所があらかじめ作製し、保存しているものです。患者自身のiPS細胞を使う場合に比べ、治療までにかかる期間やコストを大幅に減らすことができるということです。

 澤教授は16日午後、東京都千代田区にある大阪大学東京オフィスで記者会見し、「ここまで10年にわたって研究を続けてきて、ようやくスタート地点に立つことができたと、身が引き締まる気持ちだ。難しい道がまだまだ待っていると思うが、1人でも多くの患者がよりよい治療で助かるように努力したい」と述べました。その上で、今後の見通しについて「これから患者に投与する細胞の培養を始めて、安全に最大限の配慮をしながら、年度内に1例目をスタートしたい」と述べました。

 2018年5月18日(金)

 

■愛知県のはしか、新たに中高生ら3人感染 うち2人は4次感染か 

 愛知県内ではしか(麻疹)の感染が広がる中、名古屋市内で14日新たに女子中学生、その姉の女子高校生ら3人の感染が確認されました。このうち2人は、4次感染したとみられ、市が警戒を強めています。

 新たにはしかと診断されたのは、名古屋市内に住む高校生と中学生の姉妹2人と、守山区の20歳代の男性の合わせて3人です。

 市によりますと、中学生の妹は、4月23日に感染が判明した女子中学生と同じ中学校に通い、同29日に発熱しました。高校生の姉は、5月9日に発熱し、妹から感染したとみられます。姉妹は、ワクチン接種をしていませんでした。また、20歳代の男性は、5月1日に感染が確認された20歳代の女性の夫だということです。

 名古屋市は、高校生の姉と20歳代の男性は、先月、沖縄を旅行した後に最初に感染が確認された10歳代の男性から数えると、4次感染に当たる可能性が高いとしています。

 これで愛知県内ではしかの感染が確認された人は、合わせて23人になりました。

 名古屋市は、さらに感染が広がる恐れがあるとして、はしかと疑われる症状が現れた場合は、事前に医療機関に連絡した上で速やかに受診するよう呼び掛けています。

 2018年5月17日(木)

 

■神戸大など、痛みがない乳がん検査法を開発 微弱電波を当てて立体画像化

 微弱な電波を出す発信器で乳房の表面を数回なでるだけで、乳がんを高い精度で発見できる新たな画像検査法を、神戸大などが開発しました。

 乳がん検診で使われるマンモグラフィー(乳房エックス線撮影)のような痛みはなく、鮮明な立体画像が得られるといいます。来年度中に臨床試験(治験)を始め、検診での普及を目指します。

 電波は体内の組織に当たると反射するものの、脂肪は通り抜けます。神戸大の木村建次郎教授(計測学)らは、乳房の大半が脂肪であることに着目し、電波を当てて内部のがん組織ではね返った波形を解析し、瞬時に立体画像化できるようにしました。

 マンモグラフィーは乳房を板で挟んで撮影するため痛みを感じるほか、乳腺の密度が高い高濃度乳房の人では全体が白く写り、同様に白く写る異常を見付けにくいという課題がありました。新たに開発した検査法は痛みがなく、がんを明確に区別できます。当てる電波は携帯電話の1000分の1以下で、放射線被爆(ひばく)の心配もないのが利点です。

 木村教授らは、高濃度乳房のがん患者ら約200人を対象に精度を検証。マンモグラフィーやエコー検査、組織の一部を採取する検査などの診断結果と90%以上一致し、これまで難しかった早期のがんも検出できました。

 木村教授は、「2021年ころには大手メーカーなどの協力を得て、医療機器として事業化したい」と話しています。

 乳がんの死者数は世界で2012年に約50万人だったとの推計があり、国内では2016年に約1万4000人で、いずれも増加傾向にあります。

 2018年5月16日(水)

 

■CT検査の被曝線量、医療機関に記録義務付けへ 厚労省、発がん性の側面を考慮

 病気の診断に欠かせない放射線検査による医療被曝(ひばく)を低減するため、厚生労働省はCT(コンピューター断層撮影)検査をする医療機関に、患者の被曝線量の記録を義務付ける方針を決めました。他よりも高い線量で検査している施設には、線量の設定の再検討を促す仕組みを取り入れます。

 放射線検査の適正管理に関する厚労省の有識者検討会で了承されました。今後、医療法の省令を改定し、義務付ける項目を明記する方針。

 医療現場での放射線検査はCTのほか、乳がん検診のマンモグラフィーや、血管・血流を調べる血管造影があります。CT検査は増加傾向で、日本にあるCT装置は1万台以上、CT検査数は年間で約3000万件と推定され、ともに世界最多レベル。国連放射線影響科学委員会の報告によると、診療による日本人の被曝線量は年間平均3・87ミリシーベルトと、世界平均の0・6ミリシーベルトに比べ大幅に高くなっています。

 被曝線量が高ければ、がんのほか、不妊、白内障などを誘発することが懸念されています。

 これまでは、医療機関に線量を記録する義務はなく、実態はよくわかっていませんでした。このため、比較的強い放射線を使うCTと血管造影について被曝線量の記録を義務付け、患者に情報提供できるようにします。ただし、日本では広島、長崎での原爆投下から、被曝の実態を知ることに抵抗感を抱く患者もいるため、患者に線量の記録を提供するかどうかは、医師が患者の様子を見ながら判断することになるといいます。

 また、CTなどの検査の線量は施設ごとに差があります。新たな仕組みでは、線量が少ない順に施設を並べて全体の75%が入るまでの線量を目安とし、それを超える施設には診断の質を落とさない範囲で改善を促します。さらに、放射線検査の有益性、有害性を適切に判断してもらうため、携わる医療者に研修を義務付けます。

 医療被曝により、子供では白血病などの発生率が増えるとの報告もあります。科学者でつくる日本学術会議は昨年、CTによる医療被曝の低減を求める提言を発表。政府に対し、全国的な年間の線量を把握し、記録、保存、評価する仕組みづくりを求めていました。

 2018年5月15日(火)

 

■ハラスメント保険の販売、前年度から6割増加 企業向けに加え個人向けも登場

 パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど職場のトラブルに備える保険の販売が、急増しています。大手損害保険会社は企業が従業員に訴えられた場合の賠償金などを補償する商品を拡充しており、2017年度の大手3グループの販売件数は前年度から6割増えました。

 企業向けだけでなく、個人に対して弁護士費用を補償する商品の取り扱いも始まっています。

 パワハラやセクハラのほか、性別や国籍などによる雇用上の差別を理由に企業が従業員から訴えられた場合に備える保険を「雇用慣行賠償責任保険(特約)」と呼びます。東京海上ホールディングス(HD)など大手損害保険会社3グループの2017年度の販売件数は3万7000件を超え、前年度の2万3000件余りから6割伸びました。

 損害保険ジャパンや日本興亜保険会社を傘下に持つSOMPOHDは、昨秋から扱い始めた中小企業向け商品が好調。三井住友海上火災保険やあいおいニッセイ同和損害保険を傘下に持つMS&ADインシュアランスグループHDは4月、保険契約を結ぶ前の不当行為も補償するよう商品の内容を拡充。セクハラが大きな社会問題となり、SOMPOHDは「今後も中小企業の引き合いが増える」とみています。

 トラブルを訴える側の個人向けの商品も、登場しています。エール少額短期保険(東京都中央区)は、企業に慰謝料などを求める従業員の弁護士費用などを補償する新商品を取り扱い始め、ハラスメント問題に詳しい弁護士への電話相談サービスも付いています。

 個人と雇い主の紛争を処理する労働審判制度が2006年に導入されて以降、ハラスメント関連の訴訟が増加。働く人の権利意識の高まりで、中小企業にとっては訴訟費用が経営に打撃となりかねないリスクがあるため、保険の需要拡大につながっています。

 2018年5月14日(月)

 

■子宮移植でサルが妊娠に成功 慶大や滋賀医大など

 サルから摘出した子宮を別のサルに移植して子を妊娠させることに成功したと慶応大や滋賀医大などのチームが13日、仙台市で開かれた日本産科婦人科学会で発表しました。

 慶応大の木須伊織特任助教(婦人科)は「科学的、技術的なデータがそろった」としており、今後、病気で子宮がない女性が出産できるよう、人を対象にした国内初の子宮移植の実施を目指します。

 人の子宮移植はスウェーデンなど海外ではすでに行われ、11人が誕生しています。ただ、心臓や肝臓のような生命維持にかかわる臓器ではないため、倫理や安全面の観点から賛否両論があります。実施には学内倫理委員会の承認や関連学会の理解を得る必要があり、曲折が予想されます。

 チームは2017年1月、子宮を摘出したカニクイザルに、別のカニクイザルから取り出した子宮を移植。間もなく月経が再開し、今年4月に別のサルの卵子と精子から作った受精卵を移植したところ、今月になって妊娠が確認できました。

 チームは過去に摘出した子宮を再び同じサルに戻し、妊娠、出産させることに成功していますが、別のサルから移植して妊娠した例は初めてといいます。

 生まれ付き子宮がないロキタンスキー症候群や、がん治療などで子宮を失った患者は、国内に6万~7万人程度いるとされます。自分の体で妊娠、出産をしたいと願う患者は多く、子宮移植が実現すれば、あらかじめ体外受精させておいた受精卵を子宮に入れることで妊娠、出産が期待できます。

 一方、子宮の提供者は母親などの親族が想定されており、高齢のドナーにとって身体的な負担が大きいという問題があります。患者も移植後に免疫抑制剤の投与が必要で妊娠、出産時のトラブルが起きやすくなる可能性があります。

 2018年5月14日(月)

 

■医科歯科大など、免疫細胞の元になる細胞の大量培養に成功 新治療法の基盤にも

 体を守るさまざまな免疫細胞の元になる細胞を取り出して大量に増やすことに、東京医科歯科大学などの研究チームがマウスを使った実験で成功し、感染症などの新たな治療法の開発につながる可能性があるとしています。

 東京医科歯科大学とドイツのマックスプランク研究所などの共同研究チームは、マウスの骨髄の中からさまざまな免疫細胞に変化することができる「CLP」と呼ばれる血液前駆細胞を取り出し、特殊なタンパク質を混ぜた培養液に入れたところ、10日間で約1000倍に増やすことに成功したということです。

 そして、増えた細胞を免疫細胞に変化させてマウスに注入したところ、体内で正常に働いたということです。

 研究チームによりますと、これまでも遺伝子を操作することで免疫細胞の元となる血液前駆細胞を増やす技術は試みられているということですが、細胞ががん化するリスクがあったということです。

 東京医科歯科大学の河野洋平助教は、「感染症やがんの新たな治療法の基盤として、非常に意味のある成果だ」と話しています。

 2018年5月13日(日)

 

■大阪府で15歳未満女児が脳死、肺など臓器提供 法的脳死は528例目

 日本臓器移植ネットワークは9日、大阪大学病院に蘇生後脳症で入院していた10歳以上15歳未満の女児が同日午前に臓器移植法に基づき脳死と判定されたと発表しました。法的脳死は528例目。

 家族が脳死判定と臓器提供を承諾しました。15歳未満からの臓器提供は、2010年の改正臓器移植法施行で可能になりました。

 肺は片方ずつ東北大学病院と東京大学病院、肝臓は京都大学病院、膵臓と片方の腎臓は藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)、もう片方の腎臓は大阪大学病院でそれぞれ移植されました。

 心臓と小腸は、医学的理由で断念しました。

 2018年5月13日(日)

 

■はしか予防のワクチン接種、保育士や医療関係者に強く推奨へ 厚労省

 流行が続いているはしか(麻疹)について、厚生労働省の専門家会議は、幼い子供や妊婦などが感染した場合のリスクが高いとして、保育士や医療機関の関係者などにワクチンの接種を特に強く推奨する方針を決めました。

 はしかは、発熱や、全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、沖縄県と愛知県で起きている流行が東京都に拡大したことが9日、確認されるなど、全国の今年の感染者数は100人以上に上っています。

 11日、厚労省のはしかの予防対策を5年ぶりに見直すための専門家会議が開かれました。

 この中で、予防接種の効果が低いためワクチン接種の対象になっていない0歳児や、病気で免疫力が低下している患者、それに妊婦については感染した際のリスクが高く、予防対策を強化すべきだとする意見が出されました。そして、保育所などの児童福祉施設や医療機関などで働く人に対し、ワクチン接種を特に強く推奨する方針を決めました。

 厚労働は、今後、児童福祉施設や医療機関に対し関係者の予防接種を徹底するよう通知するとともに、はしか予防のガイドラインに盛り込むことにしています。

 国立感染症研究所の多屋馨子室長は、はしかの流行地を訪れた後に熱または発疹が出てはしかの疑いがあると思ったら、受診する前に医療機関に電話をしてそのことを伝え、ほかの患者がいない時間帯や別の出入り口から入るなどの相談をしてから行くことが必要だとしています。

 さらに、移動では電車やバスは使わず、ワクチンを2回接種している人に車を運転してもらうなど、公共の交通機関や人が集まる場所を避けることも重要だと指摘しています。

 2018年5月12日(土)

 

■アルツハイマー病、健常な段階でも原因物質蓄積  東大などが日本人で解明

 東京大学の岩坪威(たけし)教授らは、アルツハイマー病は症状が出ていない健常な段階でも病気の原因とされるタンパク質が蓄積し、やがて認知機能の低下が進むとの研究結果をまとめました。

 これまでアメリカでも同様の研究結果が出ていましたが、日本人を対象にした調査で明らかになったのは初めて。治療薬や早期段階での検出法の開発につながります。9日付のアメリカの医学誌に発表しました。

 アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める進行性の神経変性疾患で、脳の中でアミロイドベータというタンパク質が徐々に蓄積して固まり、神経細胞を傷付けることで発症するとされます。病状の進行とともに記憶や認知機能が低下し、やがて自立した生活を送ることが困難になります。進行を抑制する治療薬は、いまだ開発されていません。

 研究チームは2008年から、早期段階での症状の進行を解析するため「J—ADNI」と名付けた臨床研究を始めました。物忘れなどの記憶障害が出始めた早期段階の患者と、発症の前段階とされる軽度認知障害の患者に加えて、健常者を調査。全国38の医療機関で、脳内にたまったアミロイドベータの量や認知機能に関する試験の結果などを最長3年間にわたって追跡しました。

 陽電子放射断層撮影装置(PET)を使って脳のアミロイドベータを調べたところ、症状の出ていない健常者でもアミロイドベータの蓄積が始まっていることを確認しました。また、定期的に記憶力などをみる認知機能のテストの結果は症状の進行に伴って変化し、アメリカでの同様の調査と一致していました。

 第2期のJ—ADNIは2013年から始まっており、発症前の脳の変化も詳しく探ります。調査結果のデータなどは、一般に公開しています。

 研究代表者の岩坪教授は、「アルツハイマー病の認知症発症までの進行過程は、日本人もアメリカ人と同様であると確認できた。治療薬の開発研究は、世界と共同で加速すべきだ」と話しています。

 2018年5月11日(金)

 

■はしか、沖縄県の流行が東京都に拡大か 町田市の女性が感染

 沖縄県で流行しているはしか(麻疹)に、東京都町田市の30歳代の女性が感染したとみられることがわかり、厚生労働省などは一連の流行が東京都にも拡大したとみて、注意を呼び掛けています。

 厚労省などによりますと、東京都町田市に住む30歳代の女性が5月6日に発熱や発疹などの症状が出て医療機関を受診し、検査の結果、はしかに感染していることが9日、わかりました。

 町田市の女性は4月23日に町田市内の医療機関を訪れていて、この医療機関には同じ日に、沖縄県から川崎市などを訪れていた20歳代の女性旅行者が体調不良で受診して、その後8日に、はしかに感染していたことがわかったことから、町田市の女性は沖縄県で流行している一連のはしかに感染したとみられるということです。はしかの予防には、2回のワクチン接種が有効とされていますが、町田市の女性は1回しか接種していませんでした。

 今年3月から沖縄県で流行が始まり、愛知県にも広がったはしかは、さらに東京都に拡大したことになり、一連の流行での患者数は112人になりました。

 はしかは発熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、空気感染するため感染力が強く、乳幼児は重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあります。

 有効な予防法はワクチンの接種だけとされていて、厚労省などでは、母子健康手帳などにワクチンを2回接種した記録がなく、感染した経験もなければ、ワクチンの接種を検討するとともに、はしかを念頭に体調の変化にも注意してほしいと呼び掛けています。

 2018年5月10日(木)

 

■睡眠時無呼吸症候群、高血圧や糖尿病と関連 京大チームが実証

 睡眠中に無呼吸状態がしばしば起こる「睡眠時無呼吸症候群」と高血圧や糖尿病の間に関連があるとする調査結果を、京都大学の研究チームが発表しました。

 これは、京都大学大学院医学研究科の陳和夫特定教授(呼吸器内科学)と松本健客員研究員(同)などの研究チームが発表しました。

 研究チームは2013~2017年にかけて、滋賀県長浜市で健康診断を受けた30歳代から80歳代の男女7051人を対象に、1週間測定したデータを基に睡眠時の呼吸の状態と生活習慣病の関係を調べました。

 その結果、全体の約12%に当たる866人が比較的程度が重い睡眠時無呼吸症候群で、このうち男性では4人に1人が治療が必要な状態でした。そして、比較的程度が重い睡眠時無呼吸症候群の人では、全く症状がない人と比べて高血圧の割合が2・4倍になっていたということです。

 糖尿病については、男性では関連はみられませんでしたが、女性では比較的程度が重い睡眠時無呼吸症候群の場合、糖尿病の割合が閉経前で28倍、閉経後で3倍になっていたということです。

 陳特定教授は、「詳しい因果関係はわからないが、睡眠時無呼吸症候群を治療することで、高血圧や糖尿病の改善につながる可能性がある。通常の治療で効果が出にくい人は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けることを勧めたい」と話しています。

 2018年5月10日(木)

 

■はしかの患者数、11都府県で134人に上る 海外からの帰国者も発症

 流行が続いているはしか(麻疹)は、沖縄県と愛知県での一連の感染だけで患者数が100人を超えるなど、全国の患者数は11都府県で少なくとも134人に達しました。大型連休に多くの人が移動したことから、専門家は、はしかに感染していないか念頭において体調の変化に十分注意してほしいとしています。

 台湾からの旅行者の発症から始まった沖縄県でのはしかの流行は、愛知県にも広がり、一連の患者数は8日までに合わせて108人に上りました。

 このほか、海外からの帰国者がはしかを発症するなどの事例が各地で起きており、4月29日までの都道府県別の患者数は東京都で9人、埼玉県で6人、茨城県で3人などとなっています。

 このため全国の今年のはしかの患者数は、11都府県で少なくとも134人に上っています。

 はしかは、アジアで広く流行しているほか、ルーマニアやギリシャ、フランスなどのヨーロッパや、ベネズエラなどの南米でも流行しており、国立感染症研究所は、大型連休の期間中に多くの人が旅行で移動したことなどから、はしかに感染していないか念頭において、体調の変化に十分注意してほしいとしています。

 そして、ワクチン接種の履歴や感染した経験がない人が発熱や発疹があった場合には、医療機関に事前に電話をして相談をした上で受診するほか、移動する際には公共の交通機関を避けるようにしてほしいと呼びかけています。

 2018年5月10日(木)

 

■はごろもフーズ、マカロニ製品1300万袋を自主回収 ポリウレタン樹脂の破片混入の恐れ

 静岡市に本社がある食品加工大手の「はごろもフーズ」は、全国のスーパーで販売されている自社のマカロニ製品の一部に製造設備の部品が混入した恐れがあるとして、合わせて約1300万袋を自主回収すると発表しました。

 自主回収の対象となるのは「ポポロマカ」「ペンネ」など28種類のマカロニ製品のうち、賞味期限が2018年4月30日から2021年4月30日までで、袋の裏の製造者の欄に「P5」と記載された合わせて約1300万袋です。

 会社によりますと、今年4月30日、静岡市内の工場にある4つの貯蔵庫で、オレンジ色のポリウレタン樹脂の破片がマカロニ製品に混入しているのが見付かり、調査を行った結果、袋詰めの工程の設備に使われる部品が劣化して欠け、混入したことがわかったということです。今のところ購入した人から混入や健康被害の連絡はないとしています。

 はごろもフーズは、「お客様に多大なご迷惑とご心配をおかけし、心よりおわびします。品質管理をより一層強化してまいります」とコメントしています。

 問い合わせは、0120ー856004で、今週は土日を含め、それ以降は平日の午前9時から午後5時まで受け付けています。

 2018年5月10日(木)

 

■武田薬品、アイルランド製薬大手シャイアー買収で合意 日本企業で過去最大6兆8000億円

 製薬業界で国内最大手の武田薬品工業は8日、アイルランド製薬大手シャイアーを総額約460億ポンド(約6兆8000億円)で完全子会社化すると発表しました。両社経営陣が合意し、今後は株主総会などを開き、両社株主の同意を得る手続きに入ります。

 実現すれば、日本企業による海外企業の買収としては過去最大となります。売上高で世界トップ10に入る巨大製薬会社が、日本で初めて誕生します。

 1株当たりの買収金額などで合意し、武田薬品は現金と新株を組み合わせてシャイアーの全株を取得することを目指します。両社とも臨時で株主総会を開き、株主の賛成を得ることになります。買収完了後、3年後には年14億ドル(約1500億円)のコスト削減が可能になるといいます。

 買収後、グループ全体の売上高の75%は、武田薬品がこれまで重要研究分野と位置付けてきた消化器、中枢神経、がんに加え、シャイアーが強みを持つ希少疾患と血液製剤が占めることなるとしています。

 現在ロンドン証券取引所に上場するシャイアーは、上場廃止となる見込み。両社を合算すれば売上高の合計は3兆円超となり、世界9位のアメリカのギリアド・サイエンシズ(2兆7900億円)などと並び、世界の製薬業界のトップ10の一角に躍り出ることになります。

 武田薬品はロンドン証券取引所のルールで、ロンドン時間5月8日午後5時(日本時間9日午前1時)までにシャイアーを買収するかどうかの意思を表明する必要がありました。

 武田薬品は8日、シャイアーの買収に必要な資金を調達するため、アメリカJPモルガン・チェース、三井住友、三菱UFJの3銀行と総借り入れ限度額308億ドル(約3兆3500億円)のブリッジローン(つなぎ融資)契約を結んだと発表しました。

 3銀行は今回の買収によって武田薬品が抱える1兆円の有利子負債がさらに膨らむものの、買収先のシャイアーの利益率が高い上、アメリカでの事業拡大など相乗効果も期待できるとして巨額の融資に踏み切ることを決めました。

 2018年5月9日(水)

 

■「中條・西村症候群」の薬の候補を発見 和歌山県や大阪府南部に患者が集中する難病

 和歌山県や大阪府南部に患者が集中する遺伝性の希少難病「中條(なかじょう)・西村症候群」について、患者から作ったiPS細胞(人工多能性幹細胞)で病気を再現することに成功し、症状を抑える薬の候補を見付けたと、和歌山県立医科大学や京都大学などの研究チームが発表しました。

 論文が4日、アメリカの科学誌「ステム・セル・リポーツ」(電子版)に掲載されました。

 中條・西村症候群は、幼少期から発疹や発熱などの炎症を繰り返し、顔や腕の脂肪や筋肉が徐々に落ちて死亡するケースが多い疾患。国内の患者数は十数人で、和歌山県や大阪府南部に患者が集中しています。これまでマウスなどの動物で病気を再現することが難しく、有効な治療法はありませんでした。

 研究チームは、和歌山県在住の患者の皮膚細胞からiPS細胞を作って血液細胞に変化させたところ、炎症の原因となるタンパク質を多く生み出していることを確認。既存のリウマチ治療薬を含む3種類の薬剤に炎症を抑える効果があることがわかりました。

 今後、筋肉細胞などにも変化させて、さらに多くの薬剤で効果を試します。

 研究チームの金沢伸雄・和歌山医大准教授(皮膚科)は、「手の施しようがなかった患者の治療につなげたい」と話しています。

 2018年5月8日(火)

 

■厚労省、治療薬パンフの配布を容認 がん患者団体の要望受け

 製薬会社が医療関係者向けに作製した治療薬などのパンフレットについて、厚生労働省は、学会の学術集会に参加するがん患者らが受け取ることを認める通知を出しました。

 国内では患者への医療用医薬品の広告を禁止しており、学会が学術集会で設置された企業ブースへの患者の立ち入りを制限するケースが多く、自ら情報収集することを望むがん患者団体などから不満の声が出ていました。

 医薬品医療機器法(旧薬事法)に基づく広告基準では、医療用医薬品を医師や薬剤師以外の一般の患者に対し広告宣伝することを禁じています。患者が直接、製薬会社のPRを見聞きすると、十分に理解しないまま医療用医薬品を医師に求める恐れが想定されることなどが、理由とされています。このため、治療薬のパンフレットを求める患者は医師を通じて手に入れる必要がありました。

 一方、がん患者団体によると、欧米では患者が学術集会に積極的に参加する動きが盛ん。患者の理解力向上のため、治療薬のパンフレット配布も認められており、国内でも同様の対応を求める声が患者の間で高まっていました。

 こうした要望を受け、厚労省は学術集会に参加する患者への配慮が必要と判断。「医薬関係者向け」と表示した上で、患者の受け取りを認める通知を3月下旬に出しました。

 働く世代のがん患者支援に取り組む一般社団法人「CSRプロジェクト」代表理事の桜井なおみさんは、「患者は、薬が効く仕組みや副作用をよく理解した上で使いたいと思っている。患者が主体的に治療にかかわれる一歩になる」と評価しました。

 2018年5月7日(月)

 

■愛知県で新たに3人はしか、計18人に 2人は学校内で感染か

 愛知県内で感染が拡大している、はしか(麻疹)について、同県と名古屋市は6日、同学年の生徒から広がったとみられる同市内の男子中学生など3人への感染が新たに判明したと発表しました。

 今年の愛知県内の患者は、計18人となりました。学校内での感染の発覚は、今年初めて。

 発表によると、感染が確認されたのは、名古屋市の男子中学生2人と、愛知県東郷町の30歳代の女性。男子中学生2人は、4月23日にはしかと判明した女子中学生と同じ学校の同学年で、4月17~19日に、学校内の同じ施設を使うなどして感染したとみられるといいます。5月2~3日に発熱などの症状があり、5日の遺伝子検査の結果、はしかと診断されました。

 女子中学生は4月19日まで通学していましたが、感染してから症状が出る潜伏期間の10~12日はすでにすぎており、名古屋市の担当者は、姉妹から他の生徒に感染している可能性は低いとみています。症状が出る前後のころに他人に感染する可能性が高まりますが、男子中学生2人は、発症時には学校に行っていませんでした。

 また、男子中学生の1人は、ワクチン接種を2度しているのに感染しました。名古屋市の担当者は、「2度接種していれば、まず心配はないが、百パーセント安全とまではいい切れない」と話しています。

 男子中学生2人とは別に感染が判明した東郷町の30歳代の女性は、4月24日に感染が判明した1歳の女児の母親で、家庭内感染とみられます。5月5日にはしかと診断されました。愛知県によると、女性は5月4日午後4時半から同5時ごろまで東郷町内のスーパーを利用しているといいます。

 女子中学生と女児はそれぞれ、沖縄県帰りの10歳代の男性が受診した医療機関を介して感染したとみられており、今回の3人は3次感染とみられます。

 県や市は、感染が疑われる場合は、事前に医療機関に連絡をした上で速やかに受診するよう呼び掛けています。

 2018年5月7日(月)

 

■介護施設の9割で16時間前後の夜勤 日本医労連が調査

 特別養護老人ホームや介護老人保健施設など介護施設の約9割で、16時間前後の長時間勤務となる夜勤が行われていることが、日本医療労働組合連合会(日本医労連)の調査で明らかになりました。

 調査は2017年6月〜10月、日本医労連に加盟する組合などを通じて行われ、147施設が回答しました。

 その結果、約9割の施設が午後4時前後から翌日の午前9時前後まで勤務する夜勤体制を取っていました。

 そこで働く職員のうち、1カ月の夜勤回数が4回を超えるのは43・0%で、2013年の調査に比べて13・2ポイント増加していました。認知症の人が暮らすグループホームでは65・6%に達していました。

 就業規則などで定められた休憩、仮眠時間の合計は、平均で2時間19分でした。回答した147施設のうち、半数は仮眠室がありませんでした。

 日本医労連の担当者は、「介護施設で夜勤をなくすことはできない。勤務を8時間以内に収めるなど過重な労働にならないよう、適正な職員数を配置する必要がある」と指摘。「待遇面の改善などで人員増加につながる取り組みを強化してほしい」としています。

 2018年5月6日(日)

 

■AYA世代のがん患者専用の病棟が開設される 大阪市の総合医療センターに27床

 大阪市立総合医療センター(大阪市都島区)に4月9日、「AYA(アヤ)世代」と呼ばれる思春期から30歳代までのがん患者専用の病棟がオープンしました。

 専用病棟の設置は静岡県立静岡がんセンターに続き2例目で、西日本では初。ゲームや音楽、学習設備などを備え、小児と中高年のはざまの患者に適切な医療を提供。医療ソーシャルワーカーらと連携して、緩和ケアや心理・社会的な支援などに、医師や専任の看護師らがチームで取り組みます。

 AYAとは、「Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)」の略。15歳から30歳代のがん患者は、全国で推定約2万人。治療時期が進学や就職、結婚、出産など人生の転機と重なって、小児や高齢の患者とは異なる悩みを抱える場合が多いものの、同世代の患者が少なく、精神的に孤立するケースもあります。

 15階の専用病棟(約1020平方メートル)は、27床を設置。共用スペースにはソファや本棚のほか楽器、ゲーム機も患者の交流用に用意し、受験勉強などに備えて学習室も設けました。 年齢の近い患者が共通する不安や悩みを語り合い、前向きな気持ちになる「ピアサポート」を促す狙いもあります。

 総合医療センター副院長の原純一さんは、「成人と小児の医療のはざまで十分な対応が受けられなかったAYA世代の患者を支援していきたい」と話しています。

 2018年5月6日(日)

 

■アルコール依存症、健康障害対策進む 15都県が今年度内に計画策定

 多量飲酒やアルコール依存症をなくすための対策推進計画について、今年度中に策定予定の自治体が15都県に上ることが、厚生労働省の調べで明らかになりました。すでに27道府県が策定ずみで、残りは5県。

 アルコール依存症の相談拠点も今年度内に18自治体(政令市含む)が設置見込みで、設置ずみを含めると全国で計26自治体になります。急ピッチで対策が進められています。

 2014年施行のアルコール健康障害対策基本法は、都道府県に対し実情に即した対策推進計画を策定し、最低5年おきに見直すよう努力義務を課しました。対策推進計画には、アルコール依存症その他の多量の飲酒、未成年者の飲酒、妊婦の飲酒等の不適切な飲酒の影響による心身の健康障害を起こした人の相談や治療、アルコール依存症の人が必要な治療を受けられる体制の整備などが記載されています。

 3月に策定した岩手県の計画は、小学校から飲酒の影響についての教育を施すことや、職場での適量飲酒の啓発を明記。昨年9月に策定した大阪府は、自殺未遂や児童虐待などで飲酒が関連する場合、「関係機関が適切な介入を行うこと」を盛り込みました。

 策定が未定の福井県は、「アルコールだけか、それともギャンブルなど他の依存症と一緒にできるか区分けが難しい」としています。

 2013年の厚労省研究班の調査によると、アルコール依存症の人は約109万人と推計され、予備軍として多量飲酒者が約980万人いるとされています。一方、厚労省の調べで、2014年に医療機関で治療を受けている患者数は約4万9000人と推計されています。自殺者の2割以上にアルコール関連の問題がみられるといいます。

 2018年5月6日(日)

 

■アルツハイマー病を発症しにくくする遺伝子領域を発見 理研、マウスでゲノム編集

 理化学研究所の西道(さいどう )隆臣チームリーダーと永田健一研究員らは、アルツハイマー病の原因物質である「アミロイドベータ」が脳の中でたまらないようにする遺伝子の領域をマウスで発見しました。

 遺伝子を改変する「ゲノム編集」でこの領域を切断すると、アミロイドベータが減りました。アルツハイマー病の発症を予防する薬の開発につながる可能性があります。成果は4日付のイギリスの科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」(電子版)に掲載されました。

 アルツハイマー病は認知症の半数以上を占める進行性の神経変性疾患で、脳の中でアミロイドベータが蓄積して固まり、神経細胞を傷付けることで発症するとされます。病状の進行とともに記憶や認知機能が低下し、やがて自立した生活を送ることが困難になります。進行を抑制する治療法はまだ開発されていませんが、アミロイドベータがたまりにくい遺伝子を持つ人は、病気を発症しにくいといいます。

 研究チームは、アミロイドベータの元になるアミロイドベータ前駆体タンパク質(APP)を作る遺伝子に、切断することでAPPの量を減らす領域を発見しました。アミロイドベータがたまりやすいマウスの受精卵を使い、ゲノム編集でその領域を切断すると、ゲノム編集をしないマウスに比べてアミロイドベータが半分以下になりました。

 今後、人間でも同じような遺伝子の変化を持つ場合にアルツハイマー病になりにくいかを検討します。また、遺伝子の働きを抑えるRNA(リボ核酸)を使った核酸医薬や、遺伝子を切断するゲノム編集で、病気を予防する薬の開発を目指します。

 2018年5月5日(土)

 

■血圧下げるワクチン、オーストラリアで治験開始 1度の注射で効果持続

 日本で開発された血圧を下げるワクチンの臨床試験(治験)が4月、オーストラリアで始まりました。1度の注射で効果が一定期間続くもので、大阪大学発の医療ベンチャー企業「アンジェス」(本社・大阪府茨木市)が初めて開発し、2020年代前半の実用化を目指しています。

 高血圧は脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞の原因となり、日本でも約4300万人の患者がいます。治療は毎日の服薬が中心ですが、飲み忘れなどで血圧を目標値まで下げられない患者も多くいます。ワクチンなら血圧管理の中断を防ぎやすい利点があります。

 治験が始まったのは、血圧を上げる「アンジオテンシン2」という物質に対する抗体を作り、この物質の働きを抑えるためのワクチン。遺伝子に働き掛けて体内に抗体を作るDNAワクチンという新しいタイプです。

 大阪大学の森下竜一教授らの研究チームが開発しました。治験の対象は、成人の高血圧患者24人。ワクチンの量が多いグループと少ないグループ、プラセボ(偽薬)のグループに分け、1年間、経過観察して安全性や効果を比較します。

 森下教授は、「オーストラリアでの治験がうまくいけば、日本を含めた各国で数百人規模に拡大した治験に進みたい」としています。

 2018年5月5日(土)

 

■川崎市に滞在中の沖縄県女性、はしかに感染 市が注意呼び掛け

 川崎市は3日、市内に滞在中の沖縄県の20歳代女性が、はしかに感染していたと発表しました。はしかは感染力が非常に強く、川崎市は女性と電車内などで接触した可能性のある市民らに注意を呼び掛けています。

 川崎市によると、女性は4月16日に沖縄県から川崎市を訪れて滞在していました。19日に発熱や発疹などの症状が出て、23日以降、市外や市内の医療機関を受診。5月1日に保健所を通じて、感染確認の連絡が入りました。23日の受診時は、小田急線柿生(かきお)駅から町田駅まで電車を利用していました。女性は沖縄県内で感染したとみられ、現在は回復傾向にあるといいます



 はしかは空気、飛沫、接触で感染し、潜伏期間は10~12日。川崎市感染症対策課は市民に対し、「はしかの症状が疑われる場合は事前に医療機関に連絡した上で速やかに受診してほしい。その際には公共交通機関の利用は避けてほしい」と呼び掛けています。

 はしかは沖縄県で感染が拡大し、同県への旅行者を介したとみられる感染者が愛知県で相次いでいます。

 2018年5月4日(金)

 

■大気や空気の汚染が原因で毎年約700万人が死亡 WHOが分析結果を発表

 世界保健機関(WHO)は2日、世界人口の90%以上が高レベルの汚染物質を吸い込み、大気や空気の汚染が原因で肺がんや心臓病などの病気などにかかって毎年約700万人が死亡していると発表しました。

 WHOは、世界の4300以上の都市で大気汚染物質などの年間平均濃度を測定し、健康に及ぼす影響への調査を続けています。最新の調査によると、大気汚染対策は世界各国で進められているものの、発展途上国などでは問題はより深刻だとしています。

 大気や空気の汚染が原因で毎年約700万人が死亡しているうち、アジアやアフリカを中心とした低所得や中所得の国々が90%以上を占めているということです。

 また、2016年に死亡した人のうち、約半数の380万人は石炭やまきなどの燃料を家庭で料理や暖房に使った室内の空気の汚染が原因と分析しています。さらに、世界の人口の40%に当たる約30億人が、こうした室内の空気の汚染にさらされていて、その大半が女性や子供だと指摘しています。

 WHOは今回の調査で、直径2・5〜10ミクロンの粒子状物質(PM10)と直径2・5ミクロン未満の微小粒子状物質(PM2・5)にも言及。硫酸塩や黒色炭素などを含むPM2・5は、人体の肺や血管にまで入り込めるため、最も大きな健康リスクをもたらすとしています。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は声明で、「大気汚染は我々すべての脅威だ」と述べた上で、「影響を受けているのは最も貧しく社会的に取り残された人達だ」と訴え、「大気や空気の汚染に国境はない。各国は再生可能エネルギーの開発などにともに取り組んでいく必要がある」と呼び掛けています。

 2018年5月4日(金)

 

■重いけがのO型患者、死亡率2倍以上も 他の血液型より出血リスク大

 重いけがで救急搬送されたO型の患者は、それ以外の血液型の人に比べ死亡率が2倍以上高いとの研究結果を、東京医科歯科大学の高山渉特任助教(外傷外科)らが2日、救急医学の専門誌に発表しました。

 O型は他の型に比べて血が固まりにくく、大量出血する人が多い可能性があるといいます。

 O型の患者には、医療現場でより慎重に止血するなどの対応が求められる可能性があります。高山助教は、「死亡が多くなる仕組みを、さらに詳しく調べる必要がある」と話しています。

 2013〜2015年度に入院が必要となる重いけがで東京医科歯科大病院など2病院に運ばれた患者901人のデータを分析。死亡率はO型が28%、O型以外が11%と、2倍以上の差があることがわかりました。

 けがをして血管が破れると血液中の血小板が集まって傷をふさぎますが、O型の人は血小板をくっつけてのりのような働きをするタンパク質の一種が少ないことが知られています。これが原因で大量出血が増え、他の血液型と死亡率に差が出た可能性があります。

 2018年5月4日(金)

 

■愛知県、新たに4人がはしか感染 初の3次感染確認も

 愛知県内で、はしか(麻疹)の感染が広がる中、名古屋市などの女性4人が新たにはしかと診断されました。このうち2人は病院で感染した人を通じてさらに感染したとみられ、名古屋市は3次感染の可能性が高いとして警戒を強めています。

 愛知県内では4月、沖縄を旅行した後に、はしかと診断された10歳代の男性が、名古屋市昭和区の名古屋第二赤十字病院と東郷町の診療所を受診して以降、2つの医療機関で勤務する人や受診した人などの間で感染が広がりました。

 このうち名古屋守山区の30歳代の女性は4月9日、昭和区の病院を訪れた際に感染したとみられていますが、この女性の親戚の守山区の20歳代女性2人が新たに感染していたことが5月1日、確認されました。2人は4月19~23日、はしかに感染した女性の自宅を訪れたり病院への送迎をしたりしていたということで、名古屋市は2人が3次感染した可能性が高く、さらに感染が広がる恐れがあるとみて、警戒を強めています。

 また、1日は昭和区の病院に勤務する三重県桑名市の30歳代の女性と、4月14~16日の3日間、タイに滞在した名古屋市天白区の20歳代の女性も新たにはしかと診断され、愛知県内で感染が確認された人は合わせて14人となりました。

 名古屋市は、発熱やせきなどの症状が出た場合は、事前に医療機関に連絡した上で、速やかに受診するよう呼び掛けています。

 2018年5月3日(木)

 

■九州大、骨と同成分の人工骨材料を開発 歯のインプラント用で国内初の販売へ

 九州大学の石川邦夫教授(歯科・生体材料学)らは、骨の主成分である「炭酸アパタイト」を顆粒(かりゅう)状にした新しい人工骨材料を開発し、歯のインプラント手術にも使える製品として実用化し、国内で初めて製造販売が承認されたと発表しました。

 インプラント手術では、顎の骨に人工歯根を埋め込んだ上で人工の歯をかぶせます。顎の骨が欠けたり、足りなかったりすると体の別の骨を移植しなければなりませんでしたが、人工骨材料で顎の骨を補えれば、患者負担が大きく軽減されるとしています。

 粉末状の炭酸アパタイトの製造技術は以前からあったものの、粉末のまま体に入れると炎症を引き起こす難点がありました。石川教授らは、粉末より粒が大きい顆粒状にした炭酸カルシウムの組成の一部を置き換える方法で、顆粒状の炭酸アパタイトを作ることに成功。動物への移植実験で、既存の骨とつながり、骨に置き換わることを確認しました。

 その上で、九州大学と東京医科歯科大学、徳島大学が協力して臨床試験(治験)を実施。22人の患者に新材料を移植し、計27本のインプラントを設けました。

 治験の結果は、新しい人工骨材料を移植して骨が太ってからインプラント手術をする方式と、インプラントと同時に新しい人工骨材料を移植する方式のいずれでも、患者全員の顎の骨と人工骨材料、インプラントが速やかに一体化しました。

 石川教授は、「自分の骨を採取できない人にも、負担が少ないインプラント治療の道が広がった。歯科ではすべての骨の再建に使え、整形外科分野でも応用できる。移植した新材料に造血機能などを担わせることも目指したい」と話しています。

 新しい人工骨材料を使った製品は、歯科材料・機器の製造販売会社「ジーシー」(東京文京区)の骨補填(ほてん)材「サイトランス グラニュール」。

 2018年5月2日(水)

 

■年金給付水準が低下する2050年、世帯主85歳の半数で預貯金ゼロ シンクタンクが試算

 公的年金の給付水準が低下し、2050年には世帯主が85歳の世帯の48・8%で預貯金がゼロになるなど、金融資産が枯渇する可能性があるとの試算を三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめました。

 年金制度は少子高齢化が進んでも過度に現役世代の負担が増えないように、物価の上昇に比べて年金給付の増額を抑える「マクロ経済スライド」という仕組みが導入されています。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは65歳時点の貯蓄額や老後の生活費が現在の高齢者並みであると仮定し、マクロ経済スライドによる給付水準低下の影響を試算しました。

 一方、試算では30歳時点から年間所得の1割を毎年、資産形成に回すと、金融資産が枯渇する世帯は48・8%から約17ポイント減少し、31・9%になるとしました。65~74歳の10年間に毎年100万円の就労所得があれば、さらに約17ポイント減り、14・8%になるとしています。

 2018年5月2日(水)

 

■多言語で、はしかなど感染症を啓発 感染症センターが資料作成  

 沖縄県で3月以降、はしかの感染が急速に広がっていることを受け、全国でも警戒の動きが出ています。国立国際医療研究センターの国際感染症センター(東京都新宿区)は4月、はしかの症状などを紹介し、注意を呼び掛ける資料を作成しました。

 日本語を含め6言語でわかりやすく説明しており、担当者は「訪日客や、地域で暮らす外国人の理解に役立ててほしい」と話しています。

 資料はイラスト入りで、「沖縄県ではしか流行中」「沖縄から帰った後、体調不良で病院に行く時は、いきなり受診せず、まず病院へ電話を」などと注意点を記載。7日時点で日本語・英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語の資料があり、国際感染症センターのホームページで公開しています。

 資料作成に携わった同センターの感染症対策専門職の堀成美さんは、「日本に住む外国人の中には、会話が流ちょうでも漢字が交ざった文章は読めない人が多い。日本語学校や外国人が集まる場所で資料を活用してほしい」と訴えています。

 国際感染症センターは、海外との行き来などに伴い国内で広がる可能性がある感染症について、予防や治療に役立つ情報を医療機関などに提供しています。

 2018年5月1日(火)

 

■脳梗塞、発症8時間以内の脳血管内治療で回復率4割上昇 兵庫医大などが検証

 脳梗塞(こうそく)になった2000人以上に対する24時間以内の治療を分析したところ、カテーテルで血管の詰まりを取り除く「脳血管内治療」で3カ月後の回復率が4割上昇することがわかったと、兵庫医科大学などの研究チームが25日、発表しました。

 この脳血管内治療法について全国的に大規模な検証をしたのは初めてのことで、軽症でも効果がある可能性も示されたといいます。アメリカの心臓協会の雑誌に同日、掲載されました。

 この脳血管内治療法は、2010年に公的な医療保険が使えるようになり、発症から原則8時間以内に治療を行います。研究チームは2014~2016年に脳の太い血管が詰まる脳梗塞になって、北海道から九州までの全国46施設でこの治療を受けた人1121人と、受けなかった人1121人を対象とし、3カ月後の状態を解析しました。

 治療を受けた人では、まひなどの障害が残らずに回復したのは35・3%で、死亡したのは9・8%でした。来院までの時間や重症度などを統計学的に補正した上で、治療を受けなかった人と比較したところ、回復率は44%上がり、死亡率は25%下がるという結果になりました。

 アメリカのガイドラインでは、治療が推奨される条件として、「重症度」や「脳血管が詰まる範囲」が定められています。しかし、今回の結果では軽症の人や範囲が広い人でも効果がある可能性が示されました。

 兵庫医大の吉村紳一教授(脳神経外科)は、「これまでの臨床試験では脳血管内治療の有効性がまだ一部しか示されていない。さらに検証されてもっと治療が広がることを期待したい」と話しています。

 2018年5月1日(火)

 

■体格差ある患者への脳死肺移植手術に成功 岡山大学病院、基準改正後初めて

 岡山大学病院は28日、厚生労働省が臓器提供者(ドナー)よりも体格の小さい患者に脳死肺移植が行えるよう2014年に基準を改正して以降、国内初めてとなる脳死肺移植手術に成功したと発表しました。

 患者は岡山県内在住の50歳代女性で、容体は安定しているといいます。

 脳死肺移植では、身長や年齢などから換算した肺の大きさがドナーとほぼ一致していなければ、患者は移植の候補者に選ばれませんでした。岡山大学病院臓器移植医療センターでは「肺の一部を移植する方法であれば、体格の小さい子供らにも手術を行える」などと国に提案したこともあり、基準が改正されました。

 同センターによると、女性は肺胞の壁が硬くなって肺が委縮し、酸素が取り込みにくくなる「間質性肺炎」を患って、治療を受けていました。肺移植しか助かる方法はありませんでしたが、生体肺移植ができる親族がおらず、体格に比べて肺が小さくなっており、病状の進行も速かったといいます。

 臓器提供したのは、九州地方の病院で脳死判定されたと日本臓器移植ネットワークが26日に発表した30歳代の男性。移植手術は27日午前11時頃から行われ、提供された右肺下部の「下葉」を女性の右肺に、左肺上部の「上葉」を左肺に移植し、約7時間半後に終了しました。約3カ月の療養を経て、退院する見込み。

 女性は手術前に、「基準の改正がなければ、こうして移植を受けることはできなかった。早く元気になって旅行にゆきたい。(提供者と)2人分の人生を歩んでいきます」とコメントしました。

 記者会見で、執刀した同センター長の大藤剛宏(おおとうたかひろ)教授は、「従来は体格が合わないと移植できなかったため、適合しない臓器は使われないことがあった。基準の改正で、体の小さな人や子供にも脳死肺移植の幅が広がった。臓器提供の機会に恵まれない患者のためにも、移植医としての責任を果たしていきたい」と語りました。

 岡山大学病院では、大人の肺の「中葉」部分を幼児に移植する、生体間の中葉移植に世界で初めて成功するなど、移植の選択肢を広げる手法に取り組んでいます。

 2018年5月1日(火)

 

■介護職として働く人の3割近く、セクハラ被害 「不必要に体に触れる」が半数

 高齢者宅や施設で介護を行う介護職の3割近くが、高齢者やその家族から体を触られるなどのセクハラを受けたことがあるという調査結果を全国の介護職員らで作る労働組合がまとめました。

 このアンケート調査は、全国の介護職員らで作る労働組合「日本介護クラフトユニオン」が4月に組合員のヘルパーやケアマネジャーら約7万8000人にを対象に行い、20日までに回答した1054人の回答を分析して27日、公表しました。

 それによりますと、304人(28・8%)が高齢者やその家族からセクハラを受けたことがあると回答。うち286人が女性でした。複数回答で内容を尋ねると、「不必要に体に触れる」が51・0%で最も多く、「性的な冗談を繰り返す」(46・7%)、「胸や腰をじっと見る」(25・7%)の順に多くなりました。

 セクハラを受けたことがあると回答した人の78・6%が上司や同僚などに相談しましたが、うち47・3%は相談後もセクハラが続いたとしました。中には、「『プロの介護職はその程度は受け流すべき』といわれた」人もいたということです。一方、相談しなかった人(19・4%)の理由で最も多いのが、「相談しても解決しない」(44・1%)でした。

 労働組合の村上久美子政策部門長は、「セクハラが起きた時に、介護職が一人で抱え込むことがないように、多角的な対策を考えたい。認知症だったら仕方がないと考える人もいるかもしれないが、黙って我慢することはあってはならず、職員を守る方法を事業者や行政にも考えてほしい」と話しています。

 約1年前、訪問介護の利用者の男性からセクハラを受けたという東京都内の50歳代の介護へルパーの女性が、マスコミの取材に応じました。

 女性は、「台所で食事を作っていると、突然、男性に後ろから抱きつかれ、体に下半身を押しつけられました。男性は体が大きく、部屋には2人しかおらず、本当に怖かったです。帰るわけにもいかず、『そんなことをされると私はもう来られなくなる』といって男性をなだめました。謝罪の言葉はなく、悪いことだと思っていないようでした」と話しました。

 女性はセクハラを上司に報告して男性の担当を外してもらったということですが、「それ以来、何をしていても後ろが気になって仕方がありません。利用者とは信頼関係を築かなくてはいけないのに、常に疑ってしまい、構えて距離を置いてしまっています」と述べ、今も心理的な負担になっていると明かしました。

 その上で女性は、「ヘルパーは介護が必要なお年寄りに対する責任があるので、嫌なことがあっても我慢してしまいます。でもセクハラが続くとみんな仕事をやめてしまい、介護の現場はますます人手不足になります。状況を改善してほしいです」と訴えました。

 今回の調査について、長年、介護ヘルパーとして働いた経験がある東洋大学の柴田範子講師は、「隠れてきた問題がようやく世の中に出た。なぜ、ここまで介護現場で働く人がつらい思いをしなくてはならないのか。認知症などの病気を理由にセクハラを許していいはずがない」と話しました。

 その上で、「介護保険制度では本来、介護する側とされる側が対等だが『利用者が主体』といわれてきたために、働く側の立場が弱くなり、軽々しい態度をとる高齢者も出てきてしまっている。事業者や行政が問題を受け止めて、利用者やその家族と話し、ヘルパーを替えたり、場合によっては契約を解除するという姿勢で対処すべきだ」と述べました。

 2018年4月29日(日)

 

■はしか患者数、全国で100人超える 愛知県は2人増え11人に

 沖縄県と愛知県で感染が拡大している、はしか(麻疹)の今年の全国の患者数は100人を超え、専門家は「2回の接種や感染の履歴が確認できない時は、ワクチンの接種を検討してほしい」と呼び掛けています。

 今年のはしかの患者は26日までに、流行が起きている沖縄県で73人が確認され、沖縄県から流行が拡大した愛知県でも11人が報告されています。

 愛知県では名古屋市が26日、新たに同市守山区の女性福祉施設職員と、東郷町の主婦(ともに30歳代)への感染が判明したと発表。沖縄旅行帰りの10歳代の男性から広がったとみられ、今年の同県内の患者は計11人となりました。

 名古屋市の発表では、女性福祉施設職員は9日、10歳代の男性が受診した同市昭和区の名古屋第二赤十字病院に友人の付き添いで、主婦は10日、男性が受診した東郷町の医療機関に家族の付き添いで訪れていました。市は、はしかが疑われる場合は事前に医療機関に連絡し、速やかに受診するよう呼び掛けています。

 全国ではこのほか、4月18日までに東京都と埼玉県でそれぞれ5人、茨城県で3人、神奈川県と山梨県、大阪府など6府県でそれぞれ1人の患者が報告され、今年の全国のはしかの患者数は26日までに少なくとも103人となりました。

 国立感染症研究所によりますと、患者は10歳代から30歳代を中心に、ワクチンを一度も接種していないか、接種したかどうかわからない人が多いということで、「2回の接種や感染の履歴が確認できない時は、ワクチンの接種を検討してほしい」と呼び掛けています。

 国立感染症研究所の多屋磬子室長は「連休中に旅行を予定している人や医療関係者、それに教育や保育の関係者など子供と接する人、さらに不特定多数の人と接触する職業の人たちは、特にワクチンの履歴を確認してほしい」と話しています。

 2018年4月29日(日)

 

■雪印種苗、長年にわたり種子の品種偽装、隠蔽 社長が引責辞任

 雪印メグミルクの子会社で、作物の種子や飼料などを販売している「雪印種苗」は、長年にわたって牧草などの種子の品種偽装を重ね、その事実を隠蔽していたことを明らかにしました。

 品種偽装を行っていたのは、雪印メグミルクの子会社で、札幌市に本社がある雪印種苗です。農林水産省が今年2月、雪印種苗が販売する種子に種苗法違反の表示があったとして、同社に原因究明や再発防止策の報告を求めていました。

 雪印種苗と雪印メグミルクは27日夜、札幌市内で記者会見を開き、経緯を説明しました。

 それによりますと、第三者委員会の調査の結果、雪印種苗が牧草用の種子などを販売する際に、不足分を補ったり在庫処理をしたりする目的で別の品種に偽装したり、ほかの品種を混ぜたりして販売していたことが判明したといいます。

 こうした偽装は、2002年にグループ会社の「雪印食品」で補助金の詐取を目的とする牛肉の産地偽装表示が発覚するまで、長年にわたって組織的に行われていたということです。

 さらに2002年以降も、雪印種苗は偽装を公表せずに隠蔽していた上、その後も少なくとも2つの品種で合わせて4件の偽装があり、ほかにも偽装かどうか判断できないケースも多数あったということです。

 雪印種苗はこうした偽装について、2014年に内部関係者とみられる人からの告発などを受けて社内調査をしましたが、その際、一部の役員らが証拠隠滅や事実と異なる話をするなど、隠蔽も行われていたということです。

 笠松宏一副社長は記者会見で、「多大なるご迷惑とご心配をおかけしました。今回のことを真摯(しんし)に受け止め、再発防止に全員で取り組んでまいります」と謝罪した上で、一連の偽装や隠蔽について「会社の売り上げや利益につながるような誤った判断や、情報を開示しないという風土が根底にあり、隠蔽偽装という形になったのではないかと考えている」と述べました。

 雪印種苗は種子の品種を偽装した以外にも、牧草や飼料、作物の種子の品種名を表示しないまま販売するなどの行為も行っていたということです。

 問題の責任を取って、雪印種苗の赤石真人社長が27日に引責辞任し、親会社の雪印メグミルクの西尾啓治社長など役員も月額報酬の減額を予定しているということです。今後、品質管理の現地監査などグループのガバナンス体制を強化し、再発防止を図るとしています。

 2018年4月28日(土)

 

成育医療研、ES細胞を応用した臨床試験を申請 実施されれば国内で初めて

 受精卵から作製され、人のさまざまな体の組織に変化するES細胞(胚性幹細胞)から作った肝臓の細胞を使って、病気の乳児を治療する臨床試験(治験)を国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)の研究チームが、厚生労働省に承認申請しました。ES細胞を応用した臨床試験が実施されれば、国内では初めてです。

 国立成育医療研究センターの福田晃也医長の研究チームは、肝臓で特定の酵素が働かないため、血液中の有毒物質であるアンモニアを分解できない難病の「尿素サイクル異常症」の乳児に、ES細胞から作った肝臓の細胞を移植することで治療することを目指しています。

 3月、厚労省に臨床試験の実施を申請し、承認されれば、早ければ今年秋にも1例目を行い、2年間で5人程度に実施して効果を評価することにしています。

 尿素サイクル異常症は、肝臓移植以外には根本的な治療法はありませんが、体が小さいと移植できないため、生後3カ月から5カ月ほどしてから行いますが、それまでの間に亡くなってしまうケースがあるということです。今回の臨床試験でも根治できず、最終的には肝臓移植が必要ですが、血液中のアンモニア濃度を適正に下げることができれば、それまでの容体の安定化が期待できます。

 研究チームによりますと、ES細胞の臨床応用は海外で進んでいますが、日本では受精卵からES細胞を作製することに対して生命倫理上の問題点が議論され、実施されていません。

 国立成育医療研究センターの福田医長は、「肝臓を移植するまでの間の治療として有効だと考えていて、安全に実施できるようにしたい」と話しています。

 2018年4月27日(金)

 

■はしかの予防、混合ワクチンの接種を専門家が勧奨 各地で医療機関を訪れる人が増加

 沖縄県や愛知県ではしか(麻疹)が流行しているため、ワクチン接種を希望して医療機関を訪れる人が増えており、専門家は供給量が十分にある混合ワクチンの接種を勧めています。

 沖縄県から愛知県に拡大したはしかは、感染者が24日の時点で2つの県で合わせて70人以上になっており、国立感染症研究所では、はしかのウイルスは感染力が極めて強く、手洗いやマスクなどで予防することは難しいとして、必要な人はワクチンの接種を検討するよう呼び掛けています。

 こうしたことから、各地の医療機関では、はしかのワクチンの接種を希望する人が増えています。

 このうち、東京都立川市の診療所では2週間ほど前からはしかのワクチン接種を希望する大人が増えており、ふだんは1日に3人程度なのに対して、現在は1日に20人程度と大幅に増加しているということです。
26日は午前中から、背広姿の会社員などが訪れてワクチンの接種を受けていました。

 診療所の久住英二医師は、「ワクチンは小児科や旅行者向けの健康相談をしている医療機関にあるケースが多いので、必要な人は電話で確認して接種の相談をしてほしい」としています。

 はしかのワクチンには、はしかだけに効果があるものと、はしかと風疹の両方に効果があるMRワクチンと呼ばれる混合ワクチンの2種類がありますが、専門家は、どちらも有効性は変わらないことから、風疹への効果も期待できて供給量が十分にあるMRワクチンの接種を勧めています。

 また、沖縄県は、旅行者向けの注意点をホームページで公開し、この中で、はしかワクチンを接種する前の1歳未満の子供や、2回の接種を終えていない妊娠中の女性に対して、重症化や流産のリスクがあるとして、「沖縄県での流行が終息してから来たほうが安全です」と異例の呼び掛けをしています。

 2018年4月27日(金)

 

■次世代がん治療薬のCAR—T細胞療法を承認申請 製薬のノバルティスファーマ

 スイスの製薬大手ノバルティスの日本法人「ノバルティスファーマ」は23日、次世代のがん治療薬として知られるCAR—T(カーティー)細胞療法を、厚生労働省に承認申請したと発表しました。国内でのCAR—T細胞療法の申請は初めて。

 CAR—T細胞療法は効果が高く高額な治療法として知られており、医療の進展による恩恵と費用負担について、改めて議論を呼びそうです。

 2種類の白血病に対する治療薬として国内申請しました。アメリカでの製品名は「キムリア」で、昨年8月に世界で初めて承認されました。ヨーロッパでは、昨年11月に承認申請しています。

 費用は高額で、アメリカでの薬価は治療1回当たり47万5000ドル(約5100万円)の値が付いてます。このためアメリカでは、ノバルティスは一部の公的保険加入者に対し、効果が出た時のみ患者が費用を負担する成果報酬型の支払い方法を採用しています。

 日本では、CAR—T細胞療法は未承認。また、他の医薬品も含めて成果報酬型の支払い方法も認められていませんが、厚労省は「企業から申請があれば検討したい」としています。ノバルティスファーマのCAR—T細胞療法は、厚労省から希少疾病用再生医療等製品の指定を受けており、優先審査によって早ければ年内の承認も視野に入ります。

 CAR—T細胞療法は、患者の免疫細胞を遺伝子操作して体内に戻す治療法で、白血病への治療効果は従来の治療法より高く、複数の治療法が無効となった若年性の白血病に80%以上の患者で効果を示しました。

 ノバルティスファーマのデイビッド・レノン常務(オンコロジー事業本部長)は、「この新しい治療法を一日でも早く日本の患者にも届けられるよう、厚生労働省や医療関係者と協働して取り組んでいく」とコメントしました。

 有望市場であるCAR—T細胞療法を巡っては、幅広いがん種について開発競争が繰り広げられており、日本の製薬会社では第一三共や武田薬品工業、タカラバイオなども参入しています。

 2018年4月26日(木)

 

■インフルエンザ患者、推計2230万人に上る 12年間で最多の大流行に

 今シーズンのインフルエンザの推計の患者数は約2230万人と、現在の推計を行うようになったこの12年間で最も多くなり、専門家は「A型とB型の混合流行で、これまでにない非常に大きな流行になった」と分析しています。

 今シーズンのインフルエンザは例年よりも数週間早い昨年11月下旬から始まり、今年1月中旬から2月上旬には1医療機関当たりのインフルエンザの患者数が50人を超える極めて高い水準が3週間連続で続きました。

 国立感染症研究所によりますと、昨年9月から4月20日までの今シーズンのインフルエンザの全国の推定患者数は約2230万人に達しました。これは現在の推計を行うようになったこの12年間では、最も多かった昨シーズンの約1660万人よりも約570万人多く、過去最多になりました。

 また、2009年から2010年にかけて世界的に流行した新型インフルエンザを含めたインフルエンザの国内の推定患者数の2100万人も超えています。

 さらに、4月8日までに検出されたウイルスを分析すると、B型は約47%で、この5年間でB型の割合が最も高くなったということです。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「今シーズンは、A型とB型の混合流行でこれまでにない非常に大きな流行になった。関連はわからないが、アメリカや中国、アジアなど世界各地でインフルエンザが大流行した非常に特異なシーズンだった」と話しています。

 2018年4月26日(木)

 

■愛知県で新たに幼女ら4人がはしか感染 沖縄県は患者70人に

 はしか(麻疹)の感染が広がる中、愛知県内では24日、1歳の女の子の感染が確認されたのに加え、25日、新たに20歳代から30歳代の女性3人の感染が確認されました。また、沖縄県内では24日までに患者の数が70人に上っています。

 愛知県内では11日に、沖縄県を旅行した10歳代の男性が名古屋市内の病院ではしかと診断されて以降、感染の確認が相次いでおり、24日、東郷町の1歳の女の子がはしかに感染していることが確認されました。

 また、25日、新たに名古屋市内の20歳代と30歳代の女性、瀬戸市に住む20歳代の女性の合わせて3人の感染が確認され、このうち2人は、10歳代の男性が診断を受けた名古屋市昭和区にある名古屋第二赤十字病院に勤務する事務員と看護助手で、もう1人もこの病院で診察を受けていたということです。

 最初に感染が確認された10歳代の男性は、4月10日に東郷町内の診療所でも診察を受けており、1歳の女の子は同じ日にこの診療所を訪れていたということです。

 一方、はしかが流行している沖縄県では、患者の数が24日までに70人に上っています。沖縄県は大型連休を控え、ウエブサイトに観光客向けQ&Aを掲載。ワクチン接種歴の確認と、回数が足りなければ接種してからの来訪を勧めた上で、1歳未満の子や2回のワクチン接種を受けていない妊婦については「流行が終息してからお越しいただいたほうが安全です」と呼び掛けています。

 各自治体では、発熱やせきなどの症状が現れた場合は事前に医療機関に連絡した上で、速やかに受診するとともに必要な人はワクチンを接種してほしいと呼び掛けています。

 2018年4月26日(木)

 

■iPS細胞を応用し難病治療、5月から治験へ 慶応大、動物実験経ず

 耳が聞こえにくくなる難病を治療できる可能性がある薬を、慶応大学の研究チームがiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って見付け出し、5月から患者を治療する医師主導の臨床試験(治験)を始めることになりました。

 慶応大学医学部耳鼻咽喉科学教室の小川郁教授らの研究チームは、進行性の難聴やめまいなどを引き起こす遺伝性の難病の「ペンドレッド症候群」の患者の血液からiPS細胞を作製して、実験室で病気の状態を再現し、ほかの病気に使われている既存薬の中から治療効果のあるものを調べたところ、免疫抑制剤として使われている「ラパマイシン」と呼ばれる薬に、症状を改善させる効果がある可能性が高いことがわかったということです。

 研究チームは、5月にもペンドレッド症候群の患者16人を対象に治験を行い、ラパマイシンを投与して効果を検証することにしています。このペンドレッド症候群は実験用の動物を作ることが難しく、既存薬のため安全性も問題がないと判断し、有効性を確認する動物実験を行いません。

 ペンドレッド症候群は、遺伝子の変異が原因とされる難病で、国内に4000人の患者がいると推定されているものの、有効な治療法がありません。

 研究チームによりますと、iPS細胞を応用した薬の治験は、国内では京都大学が別の難病「進行性骨化性線維異形成症」に対して行っています。

 小川教授は、「これまで治療法がなく苦しんでいた患者さんに、早く薬を届けられるよう努めたい」と話しています。

 2018年4月25日(水)

 

■名古屋で新たに中学生の姉妹2人がはしかに感染 沖縄旅行の男性と同じ病院を受診

 沖縄県などではしか(麻疹)の感染が広がる中、名古屋市は新たに市内の中学生の姉妹2人の感染が確認されたと、24日、発表しました。2人とも、沖縄県を旅行した後に感染が確認された10歳代の男性と同じ病院を同じ日に受診しており、男性を介して感染が広がった可能性が高いといいます。

 名古屋市によりますと、4月20日ごろにかけて市内の同じ中学校に通う姉妹2人が発熱などの症状を訴え、市の衛生研究所が詳しく調べたところ、23日、2人ともはしかに感染していることが確認されたということです。

 愛知県内では今月、沖縄を旅行した10歳代の男性が、名古屋市昭和区にある名古屋第二赤十字病院ではしかと診断されたほか、この病院に勤務している30歳代の女性事務員も感染が確認されました。

 姉妹2人は男性と同じ4月9日に、はしかとは別の理由でこの病院で診察を受けていたということです。

 名古屋市は接触した人に、はしかの症状が出ていないか保健所などを通じて把握に努めるとともに、2人のうち1人が今月19日の午後6時から7時の間に地下鉄鶴舞線を利用していたことから、同じ時間帯に利用した人で発熱やせきなどの症状が出た場合は、事前に医療機関に連絡した上で速やかに受診するよう呼び掛けています。

 愛知県内の医療機関などには、ワクチンの接種ができるかどうか問い合わせが相次いでいるといいます。沖縄県では23日までに、71人のはしか感染が報告されています。

 2018年4月25日(水)

 

■ギラン・バレー症候群、免疫抑制の薬で重症患者の7割が回復 千葉大学病院など

 手や足の筋力が急激に低下し後遺症が残ることもある「ギラン・バレー症候群」の治療で、従来の方法に加えて免疫の働きを抑えるとされている薬を投与すると重症患者の74%が回復したという研究結果を千葉大学病院などがまとめました。

 ギラン・バレー症候群は、風邪や下痢など感染症の症状が出た後、急激に手足の筋力が低下する病気で、重症の場合は呼吸不全を起こすケースもあります。細菌やウイルスに感染したことを切っ掛けにして、体内で作られた抗体が誤って自分の神経を攻撃することが原因とみられ、国内では年間1400人ほどが発症しています。

 症状が治まれば再発は少ないものの、血液製剤などを投与する従来の治療法では患者の20%ほどにまひや感覚の低下などの後遺症があり、発症直後に神経へのダメージをいかに抑えるかが課題となっていました。

 千葉大学医学部附属病院など全国13の医療機関で作る研究チームは、発症から2週間以内の歩けない重症患者34人を対象に、従来の治療法に加えて「エクリズマブ」という薬を投与した際の効果を調べる臨床試験を行いました。

 エクリズマブには免疫機能の一部を抑制する効果があるとされ、半年後には、投与した患者の74%が走れるようになり、ほぼ後遺症がなかったということです。

 千葉大学医学部附属病院の桑原聡教授は、「新たな治療法の可能性を確認できた。さらに研究を進めて、実際に医療の現場で薬が利用できるようにしたい」と話しています。

 2018年4月24日(火

 

■小児がん対応強化で拠点・連携病院を整備 AYA世代のがんも拠点病院が担当

 厚生労働省の有識者検討会がまとめた小児がん(15歳未満)拠点病院の指定に関する報告書案の全容が21日、判明しました。現在、国内には15カ所の拠点病院がありますが、厚労省は今年度内に改めて拠点病院を指定します。その後、拠点病院が小児がん連携病院(仮称)を指定して、小児がんへの対応を強化します。

 厚労省は報告書案を正式決定した上で、6月に拠点病院の整備指針をまとめ、各都道府県に通知します。

 報告書案によると各地域ブロックごとに拠点病院、連携病院、都道府県などによる連絡協議会を設け、ネットワーク化を図ります。現在の北海道や九州など7ブロックの区分けは、そのまま踏襲する見込みです。

 拠点病院は、医療安全管理部門を設置し、安全管理者として常勤の医師、薬剤師、看護師を配置することを指定要件としました。

 15〜39歳の思春期・若年成人期を指す「AYA(アヤ)(Adolescent and Young Adult)世代」のがん患者に対応する役割を拠点病院が担うことも、明記しました。

 相談支援体制も拠点病院に整備し、年代によって就学、就労、生殖機能の状況が異なる患者視点で対応します。教育機関とも連携します。

 一方、連携病院は、地域の小児がん診療を行う病院との連携、専門性の高いがん種に関する情報集約、小児がん患者の長期フォローアップなどが役割です。子供は発育途中にあることから、合併症が治療後何年もたってから現れる「晩期合併症」になることがあるため、長期フォローアップが必要とされています。

 小児がんは年間2000〜2500人に発症しており、厚労省は小児がんの治療や社会的な支援を地域で中心になって担う医療機関として、2013年に15カ所の拠点病院を指定し、診療の集約化が進み、質の高い医療が提供できるようになりました。一方、患者のカバー率は4割程度とされるため、報告書案は「必ずしも高度な専門性を必要としない病態については、小児がん拠点病院以外でも診療が可能な体制が必要」と明記しました。

 拠点病院がAYA世代のがんの対応を担うことを明記したのは、小児と成人のはざま世代で、対応すべき医療機関や診療科が明確になっていないためです。

 今年3月に閣議決定した第3期の「がん対策推進基本計画」は小児がん、AYA世代のがんについて、「乳幼児から小児期、活動性の高い思春期・若年成人世代といった特徴あるライフステージで発症することから、これらの世代のがんは、成人の希少がんとは異なる対策が求められる」と指摘しています。

 2018年4月24日(火

 

■国内の後発薬市場が1兆円を突破し、年率5~7%で拡大 民間調査会社が予測

 後発薬(ジェネリック医薬品)の国内市場が2018年に1兆円を超え、2021年には1兆2000億円に達する見通しとなったことが明らかになりました。政府が新薬から後発薬への置き換え加速を打ち出し、後発薬シェアを2020年9月までに80%以上に高める目標を掲げる中で、今後、年率5~7%のペースで後発薬市場が拡大していくとみられます。

 民間調査会社の富士経済が、昨年12月から今年2月までに後発薬メーカーなどにヒアリングを行って予測をまとめました。

 富士経済の予測によると、2017年の後発薬の国内市場は、前年実績比8・4%増の9640億円。2018年は、4月の診療報酬改定で後発薬の置き換え率に対する加算が引き上げられることもあって7・3%増加し、1兆341億円に成長するとしました。2021年には1兆2233億円と、2017年見込みに比べ26・9%増になると予測しています。

 薬効分野別では、高血圧症治療薬が2021年に2063億円と、2017年見込みに対して44%の増加になる見通し。市場規模は大きくないものの、抗うつ剤は2020年ごろに日本イーライリリーや持田製薬、田辺三菱製薬の大型治療薬の特許切れが予想され、2021年には2017年の約3倍の170億円規模に急拡大すると分析しています。

 後発薬市場は拡大が見込めるものの、メーカーは競合が激しく収益が厳しい状況が続いています。こうした中、後発薬国内最大手の日医工が製薬大手エーザイから後発薬事業を買収することで合意するなど、今後は業界再編が進むとみられています。

 2018年4月23日(月)

 

■梅毒感染、医師届け出項目を追加 性風俗への従事歴や利用歴など

 重症化すれば失明など深刻な障害につながる恐れもある性感染症の梅毒について、厚生労働省は医療機関から保健所への届け出内容を変更し、性風俗への従事歴や利用歴、妊娠の有無といった項目を新たに加える案をまとめました。同省の専門家委員会が17日、了承しました。

 改正の手続きの後、遅くとも2019年から新しい届け出項目となる見込み。

 日本では昨年、1973年以来44年ぶりに梅毒感染者が5000人を超え、暫定値で5820人(男性3925人、女性1895人)となりましたが、感染経路の実態は把握できていません。女性は20歳代に感染者が多く、男性は20~40歳代に多くなっており、性風俗に従事する若い女性やその客となる男性の間で感染が広がっている可能性が指摘されています。 

 世界的には、男性の同性愛者や性風俗にかかわる職業の女性に広がっているとされ、感染者の詳しい状況を把握し、感染の傾向を見極める考えです。母親から胎児に感染する先天梅毒の適切な治療につなげる狙いもあります。

 梅毒に感染すると、3週間ほど後に陰部などに潰瘍(かいよう)ができ、1、2カ月後に全身に発疹の症状が現れ、放置すると失明したり、血管が破裂する原因になります。妊婦が感染すると、流産や死産になったり、生まれた子供の目や耳などに重い障害が出たりします。

 2018年4月22日(日)

 

■小学生に配布の防犯ブザー、乾電池破裂が相次ぐ 国民生活センターが使用を控えるよう呼び掛け

 国民生活センターは19日、全国の小学校の新入生などに2016年4月以降配布された防犯ブザーの乾電池約2万個に破裂の危険があるとして、該当する乾電池の使用を控えるよう呼び掛けました。

 2017年8月~2018年4月に、東京都と愛知県の自治体から、乾電池の破裂の原因を調査してほしいとの依頼が国民生活センターに3件寄せられました。国民生活センターが調べた結果、2016年6月以降、同型の防犯ブザーの乾電池が破裂したトラブルが少なくとも5件起きていたことがわかりました。

 破裂したのは、いずれも札幌市のメーカーが2016年と2017年に出荷して、主に全国の小学校で配られた防犯ブザーの乾電池のうち、「Vinnic」と書かれ、番号が「12-2020」となっている中国製の単4形のものでした。

 このため、国民生活センターが同型の防犯ブザーに同じ番号の乾電池を入れて、ブザーを継続して鳴らす電池消耗テストしたところ、10個中2個が破裂したほか、すべての乾電池で破裂を防ぐ装置が働きませんでした。

 札幌市のメーカーでは問題の電池を使った防犯ブザーの交換に応じていますが、約2万5000個が出荷されたのに対し、交換したのは6000個にとどまっているということです。

 国民生活センターは、「手に持っている時に破裂すれば危険が大きい」として、同型の防犯ブザーを使っている小学生に対し、同じ番号の乾電池が使われている場合は使用を控えるよう呼び掛けています。

 製品についての問い合わせは販売元の西文舘東京支店(電話03・6802・4690)。

 2018年4月22日(日)

 

■富士フイルム、がん組織をフィルム技術で可視化 がん診断の高度化に期待

 富士フイルムは18日、がんなど病変部の組織を分析する新技術を開発したと発表しました。物質に光を当てると物質固有の波長を持つ散乱光が生じる「ラマン散乱」という現象を活用した分析によって、病変部特有の代謝物などを検出します。

 写真フィルムで培った粒子形成技術を生かし、従来よりも大面積で分析できるようになりました。がん組織の高精度な「可視化」など、診断への応用が期待されます。

 研究成果は、イギリスの科学誌「ネイチャーコミュニケーションズ」(電子版)に掲載されました。

 検査機器のガラス基板に、分析対象となる物質と、散乱光を増強する金の微粒子を配置し、光を当てて発生した散乱光を検出器で読み取ります。

 分析対象はこれまで数ミリメートル角の組織が限度でしたが、富士フイルムはソラマメ状の金の微粒子をガラス基板上に均一に分散させて検出精度を高めました。また、散乱光から必要な情報を抜き出す画像解析の精度向上などにより、数センチメートル角の組織でも分析を可能にしました。

 今回の新技術を活用すると、病変部の分析で一般的な組織の染色や、標識となる物質を付ける処置などが不要になります。富士フイルムと慶応義塾大学医学部との共同研究では、マウスのがん組織の分布を代謝物の情報から、無染色・非標識で可視化することに成功しました。

 今後、がんの進行状態の正確な判別、抗がん剤への耐性の有無やがんの悪性度の判定など、がん診断の高度化につながる可能性があります。

 2018年4月20日(金)

 

■被曝医療の充実へ新たな研修制度 原子力規制委員会、2019年度導入へ

 原子力規制委員会は18日の定例会合で、原発事故時などの被曝医療を充実させるため、対応の中心となる「原子力災害拠点病院」の医師らを対象とした新たな研修制度を設けることを決めました。各地で行われている研修内容を初めて一本化し、2019年度の導入を目指します。

 また、千葉市の放射線医学総合研究所を「基幹高度被曝医療支援センター」に指定し、人材育成や内部被曝への対応で中心的な役割を担わせます。

 東京電力福島第1原発事故で被曝医療が十分に機能しなかった反省から、国は2015年、原発関連施設30キロ圏内の24道府県に原子力災害拠点病院の指定を義務化しました。しかし、8府県が未指定のままで、体制の不十分さと、研修内容にばらつきがあることが問題視されていました。

 新たな研修制度では、放射線の測定機器の操作方法や、被曝患者の衣服や持ち物が汚染された場合の廃棄方法などを盛り込んだ標準テキストを原子力規制委員会が提示し、目的や到達目標ごとに育成人数を明確化するなどして体系化を図ります。国は、新たな研修を受けた医師や看護師ら医療従事者が各拠点病院に何人いるかを把握し、初動対応に生かします。

 医療機関が原子力災害拠点病院の指定を受けるには、専門知識を持つ医師や看護師らのほか、除染室や内部被曝測定機器の設置などが必要となっています。

 原子力規制委員会の更田(ふけた)豊志委員長は会合後の会見で、「研修の重複を実態に合わせて整理した。負担過剰に映る原子力災害拠点病院の指定促進にも働いてほしい」と述べました。

 2018年4月19日(木)

 

■中外製薬、がん免疫治療薬「テセントリク」を発売 肺がん向けで1回分62万5567円

 中外製薬(東京都中央区)は18日、同社初のがん免疫治療薬「テセントリク」(一般名・アテゾリズマブ)が薬価基準に収載され、同日発売したと発表しました。切除不能な進行、再発した肺がん向けで1回分1200ミリグラムの価格は62万5567円。3週間おきに点滴で注入します。

 肺がん向けでは小野薬品工業の「オプジーボ」、アメリカのメルクの「キイトルーダ」に次ぐ3番目の免疫治療薬となります。

 免疫治療薬は本来人に備わる異物の排除機能を生かしてがん細胞をやっつける仕組みで、高い効果からがん治療に革命を起こしたとされます。テセントリクは免疫チェックポイント阻害剤と呼ばれるタイプで、作用の仕方がオプジーボやキイトルーダと似ています。

 中外製薬は免疫治療薬で後発となりますが、小坂達朗社長は18日に出したコメントで「複数のがん種、(他の薬剤と一緒に使うことで効果を高める)併用療法の開発を進める」と強調しました。

 がん免疫治療薬を巡っては、17日に小野薬品工業がオプジーボを他の薬と併用した肺がん治療の臨床試験(治験)で、既存の抗がん剤治療より死亡リスクを大きく抑える結果が出たと発表。メルクもキイトルーダと抗がん剤の併用で患者の生存期間を延ばしたと発表するなど、併用療法を軸に開発競争が激しくなっています。

 2018年4月19日(木)

 

■生活習慣病と不健康な生活習慣が鬱病の発症リスクに 1万2000人の調査で関連判明

 国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)などの研究チームが、鬱(うつ)病になったことがある人とない人で、生活習慣や体の状態に違いがあるかをインターネット調査を実施して検討したところ、鬱病経験者では「朝食を食べない」「間食や夜食が多い」「肥満または体重不足」「脂質異常症や糖尿病」などの頻度が多いことが明らかになりました。

 鬱病経験者1000人(平均41歳)と、非経験者約1万1000人(平均45歳)を比較しました。

 その結果、鬱病経験者は非経験者と比較して、2型糖尿病や肥満、脂質異常症が多く、間食や夜食の頻度が高いことがわかりました。一方、朝食を食べる頻度や中等度と強度の運動をしている頻度が少ないことが明らかになりました。

 鬱病は、気分の落ち込みや興味・関心の低下、不眠といった諸症状を呈し、休職や自殺などのリスクを高める重大な疾患です。不健康な生活習慣と肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病などの生活習慣病が鬱病の発症リスクと関連することを示す研究は欧米で増えていますが、日本での大規模な研究は珍しいといいます。

 同センターの功刀(くぬぎ)浩部長は、「体重コントロール、メタボリックシンドロームや肥満への対処、生活習慣の改善が鬱病の病状改善につながる可能性がある。それを調べる研究が必要だ」と話しています。

 2018年4月19日(木)

 

■市区町村別の平均寿命、女性最長は沖縄県北中城村 男性は横浜市青葉区

 平均寿命が最も長い市区町村は、女性が沖縄県北中城(きたなかぐすく)村の89・0歳で、男性は横浜市青葉区の83・3歳だったことが、厚生労働省が17日に公表した「2015年市区町村別生命表」で明らかになりました。

 厚労省5年に1回、国勢調査に基づいた「市区町村別生命表」をまとめており、今回が4回目。2015年の国勢調査の結果や日本人の死亡・出生数などをもとに平均寿命を算出しました。

 女性の沖縄県北中城村は3回連続のトップ、男性の横浜市青葉区は前回は8位でした、

 2~5位は、女性は沖縄県中城村88・8歳、同県名護市88・8歳、川崎市麻生区88・6歳、石川県野々市市88・6歳。男性は川崎市麻生区83・1歳、東京都世田谷区82・8歳、横浜市都筑(つづき)区82・7歳、滋賀県草津市82・6歳の順でした。厚労省は小数点第2位を四捨五入して公表したため、平均寿命が同じでも同じ順位ではありません。

 一方、平均寿命が最も短かい市区町村は、前回と同じく男女とも大阪市西成区で、女性は84・4歳、男性は73・5歳でした。

 2018年4月18日(水)

 

■iPS細胞の作製効率を数倍高める遺伝子発見 京大iPS細胞研究所

 京都大学iPS細胞研究所は、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製効率を2〜10倍に高める遺伝子を発見しました。高品質なiPS細胞を短期間に作製する技術につながり、遺伝子の働きを制御することで、がんの予防や治療につながる可能性もあります。

 この成果は、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表しました。

 研究チームは、マウスの神経や肝臓の細胞に4つの遺伝子を導入しiPS細胞を作製。同時に、数万種類の遺伝子の働きを抑える試薬を加え、作製効率が高まる条件を探った結果、iPS細胞の骨組みの材料を作る遺伝子「Actb」の働きを抑えると、作製効率が数倍に高まりました。

 詳細に調べると、Actbは筋肉にかかわる遺伝子「Srf」の働きを抑えていました。この遺伝子の働きを高めると、iPS細胞の作製効率が高まりました。マウスの培養細胞に4つの遺伝子を導入すると、一部はiPS細胞に変化します。

 2018年4月18日(水)

 

■京大とグンゼ、人工皮膚を開発 糖尿病性皮膚潰瘍の治療に有効

 肌着大手のグンゼと京都大学は16日、重いやけどに加え、糖尿病で生じる皮膚の潰瘍などの回復を早める人工皮膚「ペルナック Gプラス」を開発し、10日付で国の製造・販売承認を取得したと発表しました。

 ブタの皮膚や腱由来のスポンジ状のコラーゲンにゼラチンを混ぜた製品で、皮膚の再生を促すタンパク質と組み合わせて効果を高めました。従来より治りが2~3倍早いといい、グンゼは新製品を医療機器として夏以降に順次発売します。

 京大の鈴木茂彦名誉教授(形成外科)、関西医大の森本尚樹准教授(形成外科、元京大医学部講師)らと共同開発しました。新製品はスポンジのコラーゲンにゼラチンを混ぜることで、皮膚の血管の再生を促すタンパク質「bFGF」を蓄える機能を持たせました。傷に張り付けると、2週間かけてゆっくり分解しながらタンパク質を放出します。

 動物実験では、患者自身の細胞を用いる高価な方法と同等の効果を確認しました。価格は1平方センチメートル当たり607円と、数分の1~10分の1に抑えられます。グンゼが発売する製品は7種類のサイズがあり、価格は最小サイズ(12平方センチメートル)で1枚約5500円、最大サイズで1枚約21万円で、保険適用で原則3割が自己負担となります。

 従来のコラーゲン100%の人工皮膚は、治りが遅い糖尿病患者では感染症になりやすく使いにくいというリスクがありました。新製品は治りが早いため、糖尿病患者にも使いやすいといいます。2010~2012年に実施した京大などの治験では、糖尿病などで皮膚の傷が治らない30~80歳代の17人のうち16人で傷が早く治る効果を確かめました。

 京大によると、新製品が適用できる糖尿病患者は概算で年間2万人に上ります。糖尿病では足の末端の血行が悪くなり、潰瘍や壊死で切断が必要になることもあります。糖尿病患者全体の1~10%が潰瘍になり、その7~20%が切断に至るといいます。

 森本准教授は、「限られていた糖尿病性皮膚潰瘍の治療の幅が広がり、悪化前に治療できる」と話しています。

 2018年4月17日(火)

 

■尿を調べてがんを発見する検査方法、世界初の実証実験へ 日立製作所と名古屋大学

 尿を調べてがんを見付けるという世界で初めての検査方法の実証実験が、日立製作所と名古屋大学医学部附属病院の共同で今月から始まることになりました。現在、研究が進められている血液による検査方法に比べて、体への負担をかけずにがんの早期発見につながることが期待されています。

 尿を調べてがんを見付ける検査方法は、日立製作所が3年前に始めた研究で、尿に含まれる約2000種類の老廃物のうち、がん患者に特有の傾向を示す数種類の「バイオマーカー」と呼ばれる物質が見付かっているということで、その数種類の物質の増え方や減り方などの傾向から、がん患者に特有の状態を見付け出し、がんの疑いがあるかどうかを判定します。

 この検査方法は、多くの人が手軽に検査できるように、自宅で尿を採取して検査機関に送るやり方を想定しています。このため実証実験では、尿を検査機関に運ぶまでの時間や温度が検査結果に影響を及ぼさないかを検証します。さらに、尿を採取した日時や場所をスマートフォンのカメラで簡単に記録できるシステムの開発も進め、2020年代前半の実用化を目指しています。

 名古屋大学医学部附属病院と共同で行う実証実験では、250人分の検体を使用し、「小児がん」と「大腸がん」、「胆道がん」を中心に、検査の精度を高めたりコストを下げたりするための検証を行います。また、日立製作所は、「乳がん」の検査についても研究を進めていく方針です。

 日立製作所で開発に当たる基礎研究センタの坂入実チーフサイエンティストは、「小児がんは放射線や血液での検査があるが親や子供に抵抗感もあるため、尿検査で代替する意義は大きい」と話しています。

 日立製作所と共同で研究している名古屋大学大学院医学系研究科小児外科の内田広夫教授は、「特に子供の場合、血液検査を嫌がる子も多い上、麻酔薬をかけて画像診断をするため負担が大きかった」と指摘し、「尿の提供だけですむのは有効な方法だ」と評価しています。大人のがんについても「早期に発見でき、経過も細かくわかるので、がんにかかわる医療費の削減にもつながり、社会的な意義も大きい」と話しています。

 2018年4月16日(月)

 

■民間バンクの臍帯血、1320人分廃棄へ 厚労省が調査で確認

 希望者から臍帯血(さいたいけつ)を有料で預かる民間バンク4社で契約終了後の2096人分が保管されていた問題で、厚生労働省は11日、1320人分の臍帯血が廃棄もしくは廃棄予定であると発表しました。

 厚労省は、事業継続の届け出があった「アイル」と「ステムセル研究所」を訪問し、臍帯血の保管状況を確認しました。昨年9月の調査で契約終了後も保管していた臍帯血のうち、廃棄もしくは廃棄予定が1320人分、研究利用のための保管が629人分、再契約による保管が27人分などとなっていました。アイルが保管している40人分については、契約者との連絡が取れずに一時的に預かっている状態でした。同時に、契約中の臍帯血についても、適切な管理を確認しました。

 この2社については1年ごとに保管状況を確認し、厚労省のウェブサイトで公表するといいます。

 また、廃業を決めた民間バンク「臍帯血保管センター」が保管していた76人分は、廃棄が確認できたといいます。

 一方で、4人分を保管する「ときわメディックス」は現時点で調査に協力せず、保管状況が確認できていません。同社については昨年9月時点で1085人分の契約が確認されていますが、事業の届け出は行われていません。厚労省は引き続き、届け出るよう求めています。

 2018年4月15日(日)

 

■初の遺伝性がん治療薬など2種類の薬、価格決定 18日以降に使用開始

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は11日、遺伝性がんの初の治療薬など2種類のがん治療薬の価格を決めました。使用開始は、18日以降になる予定。

 遺伝性がんの治療薬は、一部の再発卵巣がんを対象にした経口薬「リムパーザ」(一般名・オラパリブ)。当初想定していた遺伝性卵巣がんより幅広く適応が認められました。価格は100ミリ・グラム1錠約4000円、150ミリ・グラム1錠約5900円。アストラゼネカ(大阪市北区)が製造、販売しています。

 もう一つは、進行・再発した肺がんの治療薬「テセントリク」(一般名・アテゾリズマブ)。オプジーボ、キイトルーダに続く、3番目の肺がんに使える免疫治療薬となります。オプジーボと1日当たりの薬価は同額で、1回分が約63万円。3週間おきに点滴で注入します。中外製薬(東京都中央区)が製造、販売しています。

 2018年4月15日(日)

 

■小児科診療の子供の誤飲事故、たばこが最多 全体の2割で1歳前後に集中

 厚生労働省が、全国各地の小児科が診療した子供の誤飲事故を分析した結果、たばこが原因だったケースが20・2%を占め、3年連続で最多だったことが7日までに明らかになりました。

 厚労省は、たばこの誤飲事故の大半が集中する1歳前後の乳幼児に細心の注意を払うよう求めており、「たばこの取り扱いや保管に注意し、空き缶やペットボトルを灰皿代わりに使わないでほしい」と呼び掛けています。

 全国10施設の小児科から寄せられた、家庭用品による健康被害に関する情報を分析。2016年度は、子供の誤飲事故が728件報告され、うちたばこによるものが147件でした。たばこ以外では、医薬品・医薬部外品108件(14・8%)、プラスチック製品72件(9・9%)、食品類61件(8・4%)などとなっています。

 たばこの誤飲事故147件を誤飲の種別にみると、未使用のたばこが103件、吸い殻が33件、溶液(吸い殻が入った容器にたまった液)が8件でした。未使用たばこについては、電子たばこの葉を口にした事例も報告されています。年齢別では、ハイハイや捕まり立ちができる6~11カ月児が73例を占め、独力で室内を移動できる12~17カ月児も52例に上りました。

 147件のうち36件(24・5%)に何らかの健康被害の症状が発現し、悪心・嘔吐が28件でみられました。来院前に応急処置を行ったのは119例で、処置内容としては「かき出した・拭いた」が49件、「吐かせた」が22件で、飲料を飲ませるなどした例は23件ありました。

 厚労省は、飲料を飲ませるとニコチンが吸収されやすくなる可能性があり、たばこを吐かない場合もあることから、誤飲した場合は何も飲ませず直ちに受診させることが望ましいとしています。

 2018年4月14日(土)

 

■紙巻きたばこ販売量、過去最低を更新 加熱式たばこの普及も影響

 「紙巻きたばこ」の昨年度の販売量が前の年度と比べて13%余りの大幅な減少となり、過去最低を更新しました。

 日本たばこ協会によりますと、2017年度、国内で販売された紙巻きたばこは1455億本で、2016年度から13・4%減少し、統計を取り始めた1990年度以来、減少幅が最も大きくなりました。

 販売量は2年連続で過去最低を更新し、ピークだった1996年度の3483億本の半分以下に減りました。

 たばこを吸う人の減少が続いていることに加えて、火を使わない加熱式のたばこが急速に普及していることが、大幅な減少につながったとみられます。

 たばこを巡っては、2年後の東京オリンピック・パラリンピックに向けて飲食店を原則、禁煙とした上で違反した場合に罰則を科す健康増進法改正案が今の国会に提出されています。

 これを受けて大手飲食チェーンの間で店舗を禁煙にする動きも広がっており、たばこ会社では紙巻きたばこの販売量は今後も減少がとみています。

 2018年4月14日(土)

 

■沖縄県で感染拡大のはしか、愛知県にも飛び火 旅行していた10歳代男性が発症

 沖縄県ではしか(麻疹)の感染が拡大し、厚生労働省は12日、国内のほかの地域にも注意を呼び掛けていましたが、愛知県の医療機関でも、沖縄県を旅行した10歳代の男性がはしかと診断され、感染の広がりが懸念されています。

 はしかは40度前後の高熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、空気感染するため感染力が強く、乳幼児は重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあるとされています。

 沖縄県では3月20日に台湾からの30歳代の男性旅行者が「輸入はしか」と診断され、その後、この旅行者と接触した人や、同じ施設を利用した人など43人に感染が広がり、厚労省は12日、全国の医療機関に注意を呼び掛けていました。

 こうした中、国立感染症研究所などによりますと、4月上旬まで1週間程度、沖縄県を家族とともに旅行していた10歳代の男性が11日に、愛知県の医療機関ではしかと診断されていたことがわかりました。
 
 この男性は沖縄県を旅行した後、食欲がなく、だるい症状のまま埼玉県内の学校に4日間登校し、さらに具合が悪くなり、4月7日夕方に実家がある名古屋に新幹線で移動したということです。

 国立感染症研究所は沖縄県で流行しているはしかが国内のほかの地域に拡大する恐れが高まっているとして、全国の医療機関に注意を呼び掛けるとともに、関係する自治体は感染が広がっていないか確認しています。

 国立感染症研究所は、「はしかと思われる症状が出た場合には、ほかの患者に移さないないためにすぐに病院には行かず、一度、電話で相談してから受診するようにしてほしい」と話しています。

 2018年4月14日(土)

 

■ダイソーで販売の白髪染めから有害物質を検出 3商品200万個を自主回収へ

 100円ショップのダイソーで販売されていた白髪染めの3つの商品から、有害物質のホルムアルデヒドが検出されたとして、ダイソーの運営会社などは13日、これまでに販売した商品約200万個を自主回収すると発表しました。

 自主回収の対象となっているのは、白髪染めの「エバビレーナ白髪タッチAブラック」、「エバビレーナ白髪タッチBダークブラウン」、「エバビレーナ白髪タッチCブラウン」の3つの商品です。

 これらの商品は京都市に本社のある化粧品メーカー「サンパルコ」が製造し、100円ショップのダイソーで販売していましたが、サンパルコの今年3月の自主検査で、国の基準では配合が認められていない有害物質のホルムアルデヒドが検出されたということです。

 いずれの商品もサンパルコが台湾にある委託先の工場で製造・輸入し、2012年12月から今年3月までの間に、全国で約200万個が販売されたということです。

 ダイソーの運営会社「大創産業」(広島県東広島市)などによりますと、これまでに購入者から健康被害の報告はないということですが、手元にある場合は直ちに使用を中止してほしいと呼び掛けています。

 このほか、サンパルコが大創産業向けに製造したアイシャドウやマスカラなど75品目の化粧品についても、表示の必要な成分を記載していなかったなどとして、自主回収することを発表しました。健康に影響が出る恐れはないといいます。

 問い合わせ先はサンパルコのお客様相談室、フリーダイヤル0120ー434-332です。

 2018年4月14日(土)

 

■はしかの感染、沖縄県で拡大 厚労省が全国拡大に注意呼び掛け

 沖縄県ではしか(麻疹)の感染が広がり、これまでに40人ほどの患者が出ていることから、厚生労働省は国内のほかの地域にも拡大する恐れがあるとして、全国の医療機関に注意を呼び掛けました。

 はしかは40度前後の高熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、空気感染するため感染力が強く、乳幼児は重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあります。

 沖縄県では3月20日に台湾からの30歳代の男性旅行者が「輸入はしか」と診断され、その後、この旅行者と接触した人や、同じ施設を利用した人など40人ほどに感染が広がっています。沖縄県内ではしかの患者が出たのは4年ぶり、感染者数が2桁に上ったのは10年ぶり。

 これを受けて、厚生労働省は国内のほかの地域にも感染が拡大する可能性があるとして、全国の自治体に通知を出し、医療機関に対してはしかの可能性を考慮した診察を行うよう求めました。

 通知では、発熱や発疹のある患者には、はしかにかかった経験や、ワクチンの接種記録を確認したり、最近の旅行歴を聞いたりして、はしかと診断した場合には、すぐに都道府県などに届け出ることを求めています。

 国立感染症研究所は、「先月中旬以降に沖縄を旅行した人は、感染している可能性があるので、発熱や発疹の症状がある人は、医療機関で他の人に移してしまうのを防ぐため、地元の保健所や医療機関に電話で相談してほしい」と呼び掛けています。

 国内のはしかは予防接種の普及で、2015年に流行を抑え込む「排除」を達成したとされていますが、今回のように海外からの旅行者や帰国者がウイルスを持ち込む可能性があります。昨年もインドネシアから帰国後に山形県内を訪れた男性がはしかを発症。県外にも広がり、50人超の感染者が出ました。

 2018年4月13日(金)

 

■イヌサフランなど野菜に似た毒草の誤食が多発 10年間で502人、死亡7人

 消費者庁は11日、家庭菜園や野草採りなどで、イヌサフランやスイセンなどの毒草を誤って食べる事故が多発しているとして、注意を呼び掛けました。2016年までの過去10年間で502人が食中毒になり、うち7人が死亡しました。

 死亡したケースのうち最多は、芽がギョウジャニンニクに似ているイヌサフランの6人で、食中毒は23人。葉がニラに似ているスイセンでも1人が死亡し、食中毒は176人。ジャガイモによる食中毒は303人に上りました。

 消費者庁によると、緑色に変色したジャガイモは、芽と同様に有毒。ギョウジャニンニクやニラには特有の臭いがあるため、毒草のイヌサフランやスイセンと判別できるとしています。            

 東京都薬用植物園の中村耕主任研究員は、「家庭菜園などで植える場合はニラとスイセンを近くにせず、名札を付けて。山菜採りは、必ず知識のある人と出掛けてほしい」と話しています。

 2018年4月13日(金)

 

■風邪など軽い症状の患者の自己負担を引き上げ 医療費など抑制へ財務省が提案

 先進国で最悪の水準の日本の財政を立て直すため、財務省は医療費や介護費の膨張を抑える制度の見直し案をまとめ、11日に開かれた同省の審議会で示しました。

 見直し案では、医療費の膨張を抑えるために、風邪など比較的軽い症状で診察を受ける場合は、医療機関の窓口で支払う自己負担を引き上げるよう提案しています。

 患者が病院などの窓口で支払う自己負担は現在、69歳までの人は3割、75歳以上の人は1割を自己負担するのが原則で、70歳から74歳までの人は1割から2割へ自己負担の段階的な引き上げが進んでいます。

 財務省は、日本はほかの国に比べて、風邪など比較的軽い症状で診察を受ける頻度が高く、それが医療費の増加につながっていると指摘し、軽い症状で外来受診する場合は、一定額を上乗せして自己負担を引き上げるべきだと提案しています。

 また、患者の健康状態を把握している「かかりつけ医」を受診すれば、余分な検査代や薬代が減るとして、かかりつけ医以外の医療機関を受診する場合は、上乗せ額を引き上げることも提案しています。

 さらに、医療機関に支払われる診療報酬は、今は全国一律の水準になっていますが、地域によって医療費の伸びにばらつきがあり、自治体の財政負担や住民が支払う保険料の負担にも格差が出ていることから、都道府県が独自の判断で診療報酬の水準を決め、医療費の伸びが高い場合は診療報酬を引き下げたり、薬局の数が必要以上に増えた場合は薬の調剤の技術料を引き下げたりして、医療費の総額を抑えるべきだと、財務省は提案しています。

 介護の分野に関しては、調理や掃除などの身の回りの世話をする生活援助サービスの見直しを提案しました。今の制度では介護を受ける人が、生活援助サービスを利用する場合でも、介護士の数など国の基準を満たした事業者のホームヘルパーなどを利用しなければなりません。財務省は、介護費の膨張を抑えるためには、自治体の判断で地域の住民やボランティアを活用して安い費用でサービスを提供できるようにするべきだと提案しています。ただ、サービスの質の低下につながらないように仕組み作りも必要だとしています。

 財務省の審議会は、これらの案を基に提言をまとめ、今年6月までにまとまる国の新しい財政健全化の計画に反映させたいとしています。

 2018年4月12日(木)

 

■日本人の睡眠時間、主要28カ国で最短 男性が6時間30分、女性6時間40分

 日本人の平均睡眠時間は主要28カ国の中で最短という調査結果を、心拍トレーニング製品などを開発・販売するポラール・エレクトロ・ジャパンが9日、同社製品で測定した睡眠データを基に発表しました。

 心拍計「ポラール A370」「ポラール M430」の28カ国のユーザーから、2017年の6カ月間、600万の睡眠データを取得して分析しました。

 その結果、日本人の平均睡眠時間は男性が6時間30分、女性6時間40分と、28カ国の中で最短でした。最長は、男性がフィンランド人の7時間24分、女性がフィンランド人とベルギー人の7時間45分でした。日本人と比べると、フィンランド人の男性は54分、フィンランド人とベルギー人の女性は1時間5分も睡眠時間が長くなりました。

 日本人の入眠時間は香港人とスペイン人に次いで遅い一方、起床時間は世界平均と大きく変わらないことが、日本人の平均睡眠時間が短い一因のようです。

 睡眠中の体の動きや心拍数で分析する「睡眠の質」(最低1・0〜最高5・0、28カ国平均3・2)の日本人平均は3・0と、28カ国中25位。最高はフィンランド人の3・4、最低は中国人の2・7でした。

 2018年4月11日(水)

 

■細菌汚染のメロン198個を豪から輸入 厚労省が注意呼び掛け

 感染症の原因となる細菌に汚染されたメロンが、今年1月中旬に、オーストラリアから日本に輸入されていたことがわかり、厚生労働省は注意を呼び掛けています。

 世界保健機関(WHO)の9日の発表によりますと、リステリア菌と呼ばれる細菌に汚染されたオーストラリア産のカンタループメロンという品種のメロンを、日本やシンガポール、マレーシアなど9カ国・地域が輸入していたことがわかったということです。

 リステリア菌はメロンの皮に付着していて、食べる際に一緒に口に入ると、妊婦や子供、免疫力が低下している人、高齢者などでは、発熱や頭痛、それにおう吐などの症状を起こすことがあり、場合によっては重症化して死亡するケースもあります。

 このメロンはオーストラリアの一つの農場で作られたもので、厚労省によりますと、日本では今年1月中旬に198個が輸入され、すでに一般に販売されましたが、被害の報告は今のところないということです。

 WHOによりますと、リステリア菌は症状が出るまでに1カ月以上かかるケースもあり、オーストラリアでは今年1月から4月にかけてこのメロンを食べた19人の感染が確認され、7人が死亡したということです。


 厚労省は、「今年1月中旬ころに購入したオーストラリア産のメロンを冷凍するなどして保管しているような場合は、食べないようにしてほしい」と注意を呼び掛けています。

 2018年4月11日(水)

 

■北海道の野中正造さん、世界最高齢の男性に 明治38年生まれの112歳

 北海道足寄(あしょろ)町の112歳の男性がギネス世界記録の「世界最高齢の男性」に認定され、10日、認定証が贈られました。

 男性は明治38年(1905年)7月生まれの野中正造さんで、10日で112歳と259日。明治から平成にかけて、4つの元号にわたる時代を生きてきました。

 野中さんは10日、暮らしている足寄町内の自宅兼温泉旅館で、ギネス世界記録の「世界最高齢の男性」の認定証を受け取り、家族とともに笑顔でVサインしていました。
 
 足寄町の安久津勝彦町長もお祝いに駆け付け、町民栄誉賞の表彰状とケーキを贈りました。ケーキを口にした野中さんは「おいしいな」と話し、「ありがとう」と手を合わせていました。

 野中さんは1日3食しっかり食べ、大好きな相撲や音楽のテレビ番組を見て過ごしているということで、健康の秘訣はストレスのない生活だということです。90歳以上、年齢が離れたひ孫の黒畑公希さん(20歳)は、「今でも受け答えできるのがすごいです」と話していました。

 世界最高齢を祝って、足寄町役場には垂れ幕が掲げられました。

 ギネス世界記録によりますと、男女を通じての世界最高齢は、昨年4月、117歳139日で認定されたジャマイカの女性バイオレット・ブラウンさんでしたが、昨年9月15日に亡くなったため、現在、調査中だということです。

 2018年4月10日(火)

 

■遺伝子を網羅的に調べる新がん検査始まる がん研究センターが先進医療で実施

 がん患者の遺伝情報を元に最適な治療薬などを選択するため、100以上の遺伝子を網羅的に調べる「遺伝子パネル検査」という先進医療が9日、国立がん研究センターで始まりました。

 遺伝子パネル検査は、患者の遺伝情報を元に治療法を選択する「がんゲノム医療」の新しい検査で、がんに関連する遺伝子の変異を一度に網羅的に調べ、最適な治療薬などを選びます。

 東京都中央区築地にある国立がん研究センター中央病院は、9日から全国に先駆けて先進医療として、がんに関連する114個の遺伝子変異と12個の融合遺伝子変異を一度に解析する検査を始めました。

 対象となるのは有効な治療法がなくなるなどした16歳以上の205人から最大350人のがん患者で、中央病院が200人あまりを対象に昨年までに行った臨床研究では、約10%の患者に対して効果が期待できる可能性がある薬を選び、新たに投与を開始できたということです。

 一方、検査の結果が出ても対応する薬がないなど治療に結び付かないことがあるほか、健康保険が適用されないため約50万円の費用がかかるということで、中央病院では医師とよく相談して検討してほしいとしています。

 国立がん研究センター中央病院の山本昇先端医療科長は、「この検査は世界中で普及しつつあり、日本も遅れないように態勢を整える必要がある」と話しています。

 2018年4月10日(火)

 

■長時間分娩、重い脳性まひ104件 医療機能評価機構が医療介入を訴え

 出産事故で新生児が重い脳性まひになった際の産科医療補償制度で、昨年末までに分析を終えた補償対象1606件のうち、母親に陣痛がきてから新生児が生まれるまでに15時間以上かかる「遷延分娩」での経膣(けいちつ)出産が104件あったことがわかりました。制度を運用する日本医療機能評価機構(東京都千代田区)が5日までに発表しました。

 うち103件で分娩中の胎児に心拍数の異常が認められたことから、日本医療機能評価機構は、胎児に異常があった場合、速やかに帝王切開に切り替えるなど適切な医療介入が必要としています。

 陣痛周期が10分以内になってから、初産婦で30時間、経産婦で15時間を経過しても出産に至らない場合、遷延分娩とされます。分析の結果、胎児に異常が起きてから出産するまでに3時間以上かかった例が6割を占めることが判明しました。

 日本医療機能評価機構の担当者は、「経膣出産にこだわらず、胎児の発育状態や母体の合併症の可能性などを考慮し、総合的に判断すべきだ」としています。

 2018年4月9日(月)

 

■豊洲市場の地下水、環境基準の130倍のベンゼン検出 東京都が調査

 東京都は4日、築地市場(中央区)の移転先となる豊洲市場(江東区)で継続中の地下水調査で、昨年12月~今年2月の採水分から、環境基準の最大130倍の有害物質ベンゼンを検出したと発表しました。

 ベンゼンは24カ所、シアンは22カ所、ヒ素は14カ所で、環境基準を超えて検出されました。地上の空気からは、環境基準超えの有害物質は出ませんでした。

 昨年9月の採水分では、同じ青果棟地点で最大160倍のベンゼンを検出しており、今回の調査でベンゼンの濃度は減ったことになります。しかし、土壌汚染対策を検証する東京都の専門家会議は濃度が上昇した地点もあることから、「全体的にみれば大きく汚染状況が変化した傾向は確認できない」とコメントしました。

 東京都は10月11日の豊洲市場開場に向け、追加対策工事を7月末までに完了させる方針。地下水をくみ上げ、処理するなどの対策によって、汚染状況は中長期的に改善されるとしています。

 東京都は過去の地下水調査で高濃度の有害物質が出た地点を中心に選定した29カ所で毎月、さらに別の17カ所で3カ月ごとに採水を実施しています。

 2018年4月9日(月)

 

■ヒノキ花粉が急増し、東京都内で記録的飛散量に 後1カ月ほど飛散が続く見込み 

 今年の花粉症は「長くて、つらい」と感じている方が、多いのではないでしょうか。その原因が、スギ花粉の後、ピークを迎えるヒノキ花粉の記録的な多さです。

 東京都の今年の飛散量はスギ花粉も予想を上回る多さでしたが、東京都が観測している12の地点のうち9つの地点で、3月下旬、1日のヒノキ花粉の飛散量としてはこれまでで最も多い量が観測されていたことがわかりました。

 ヒノキ花粉は4月6日段階で、昨年の総飛散量の10倍以上がすでに飛んでいます。この先もヒノキ花粉の飛散のピークとなりそうで、飛散は後1カ月ほど続く見込みです。 

 ヒノキ花粉はスギ花粉より小さいため、鼻から入って喉までいき、喉のかゆみや痛みを覚えたり、咳が出ることが多いといいます。また、ヒノキ花粉はスギ花粉とよく似た糖タンパク構造をしており、スギ花粉に反応する人はヒノキ花粉にも反応しやすいのが特徴です。

 専門医は、体の不調を感じる人は医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2018年4月8日(日)

 

■妊娠する可能性がある女性はふだんから葉酸の摂取を 日本産婦人科医会が呼び掛け

 ビタミンの一種の「葉酸」を摂取することでリスクを下げることができるとされる新生児の病気が増加する傾向を示しており、産婦人科の医師の団体は、妊娠する可能性がある女性はふだんから葉酸を摂取するよう呼び掛けています。

 増加する傾向を示しているのは、胎児の成長過程で背骨が十分に発達せず下半身のまひなどを引き起こす恐れがある「二分脊椎症」という病気で、妊娠のごく初期にビタミンBの一種である葉酸を摂取することでリスクを下げられることがわかっています。

 産婦人科の医師でつくる日本産婦人科医会の調査によりますと、二分脊椎症は2015年、国内では約2000人に1人の割合で生まれており、過去10年間、増加傾向を示しているということです。

 葉酸はホウレンソウ、アスパラ、ブロッコリー、モロヘイヤなどの緑黄色野菜に含まれているほか、サプリメントとしても販売されており、妊娠4週から12週までの初期に妊婦が1日400マイクログラム程度摂取することを勧めています。

 厚生労働省は妊娠の1カ月以上前から妊娠3カ月までの間に取るよう呼び掛けていますが、日本産婦人科医会は、摂取が遅れるケースがあることから、妊娠する可能性がある女性はふだんから葉酸を摂取するよう呼び掛けています。

 日本産婦人科医会の理事で、国立病院機構横浜医療センターの平原史樹院長は、「病気の発症率が高い水準で止まっていて、改めて葉酸の大切さを広く知ってもらいたい」と話しています。

 2018年4月8日(日)

 

■人工肛門の悩み、「温泉に行けなくなった」が1位 NPO法人調査

 腸の手術などの後で腹部に便の排出口である人工肛門(ストーマ)を設けた人の多くが、皮膚のただれや排泄(はいせつ)物の漏れなどで困った経験があり、「温泉に行けなくなった」「旅行や外出が減った」など日常生活の悩みを抱えていることが、NPO法人ストーマ・イメージアップ・プロジェクトの調査で明らかになりました。

 ストーマ装具を購入した3000人にアンケート調査票を配布し、回答者の588人を対象に分析しました。

 複数回答で、「皮膚がただれた」「排泄物が漏れた」が各51%、「おなかの形が変わってきた」40%、「健康状態が気になる」24%が続きました。一方、日常生活では「温泉に行けなくなった」が54%と最多。以下「装具の持ちが悪くなるので入浴の回数や時間を制限している」47%、「下痢になると管理に困る」40%、「旅行が減った」39%などが続きました。

 日本創傷・オストミー・失禁管理学会によると、全国にはこうした患者のための「ストーマ外来」が約700カ所ありますが、定期受診していたのは回答者の半数にとどまります。

 調査に当たった片岡ひとみ山形大学教授(看護学)は、「温泉などで見られたくないとの思い、迷惑を掛けるのではとの恐れがあるのではないか」とみて、「困ったことはストーマ外来の専門家に相談してほしい。継続的に受診すれば、装具を調整したり、より良い管理方法を学んだりして、トラブルも未然に防げます」と勧めています。

 ストーマは、排泄の方法などで一定の慣れが必要とされますが、習熟すれば手術する前とほとんど同じ生活ができるといいます。臭いなどの問題も正しく管理していれば発生しません。それでもアンケート調査では、旅行などで困っている様子がうかがえました。

 NPO法人ストーマ・イメージアップ・プロジェクトのウェブサイト(http://www.siup.jp)では、ストーマ保有者の困り事と、その対処法をデータベース化して掲載しています。

 2018年4月7日(土)

 

■79歳でも新しい脳細胞は生まれる アメリカ・コロンビア大の研究

 人間の思考などをつかさどる脳の神経細胞は、大人になると増えないとされてきましたが、年齢を重ねても新しい細胞が生まれていることをアメリカの研究チームが突き止め、認知症などの治療法の開発にもつながる研究成果として注目されそうです。

 脳の活動を支える神経細胞は、ネットワークを作って、人間の思考をつかさどり、体を動かす指令を出しています。しかし、年齢を重ねると減って、新たに増えることはなく、認知機能などにも影響が出ると、長年にわたり、考えられてきました。

 この神経細胞について、アメリカのコロンビア大学の研究チームは、亡くなった直後の14歳から79歳の男女28人の脳を調べた結果をアメリカの科学雑誌「セル・ステムセル」に発表しました。

 それによりますと、脳の中で認知機能や感情にかかわる「海馬」という部分から未成熟の神経細胞が数多く見付かったということです。

 こうした細胞は、79歳の人でも見付かり、研究チームは年齢を重ねても若い人と同様に新しい神経細胞が生まれていることがわかったとしています。一方で、神経細胞に栄養を運ぶ血管は年齢が高いほど少なく、神経細胞が成熟しにくい状態だったということです。

 研究チームのマウラ・ボルドリーニ博士(神経生物学)は、「若い人と同様に、高齢の人にも多数の新しい海馬神経細胞を前駆細胞から生成する能力があることがわかった。また、年齢に関係なく海馬の量は等しいことも発見した」として、「今後、研究が進めば年齢を重ねても、脳の神経細胞を増やし、認知機能を維持できるようになる可能性がある」と話しており、将来、認知症などの治療法の開発にもつながる研究成果として注目されそうです。

 2018年4月7日(土)

 

■脳卒中のリハビリ効果を高める薬、臨床試験へ 横浜市立大学など

 脳卒中を起こした患者に投与すると、リハビリの効果を高める可能性のある化合物を横浜市立大学などの研究チームが発見し、臨床試験(治験)を開始することになりました。

 脳卒中は脳の血管が詰まる脳梗塞や血管が破れる脳出血などがあり、年間30万人以上が発症し、早期に専門的な治療を受けても手足にまひが残るケースが少なくありません。

 横浜市立大学や、富士フイルムグループの製薬会社・富山化学工業などの研究チームは、脳卒中と同じ状態になったサルやマウスに、アルツハイマー型認知症患者向け治療薬として開発が進む化合物「エドネルピク・マレアート」を投与した上でトレーニングをさせて手や前足の動きを3項目で評価しました。

 その結果、およそ1カ月で運動機能はいずれも大幅に改善し、特にサルの指先の動きは投与しないとほとんど回復しなかったのに対して、投与すると機能がほぼ発症前の状態に回復したということです。

 研究チームでは、エドネルピク・マレアートが脳の損傷を受けた部分を遠回りする新たな神経回路の構築を促したと考えられるとしています。

 研究チームによりますと、リハビリの効果を高める薬はこれまで開発されていないということで、今年の冬ごろから脳卒中でリハビリを行っている患者を対象に、このエドネルピク・マレアートを投与する臨床試験を始めたいとしています。

 横浜市立大学の高橋琢哉教授(生理学)は、「脳の損傷した所に代わり、新たな回路ができ上がるのを促進していると考えられる。リハビリ患者の生活の質を向上させることにつなげたい」と話しています。

 2018年4月7日(土)

 

■社員のストレス度合い、AIが多段階に分析 NECが技術開発

 NECは腕につけたセンサーで汗の量や皮膚の温度、手の動きを測定し、ストレスの深刻さを把握する技術を開発しました。測定値の変化とストレスとの関係を人工知能(AI)の分析で突き止めました。

 従業員が体調を崩すのを企業側が未然に防ぐための利用を想定し、2018年度にウエアラブル(装着型)センサーを販売する企業などへの技術移転を目指します。

 ストレスを調べる手法は一般に、アンケートによる聞き取りのほか、センサーなどを活用する試みなどがあります。アンケートは検査の精度は高いものの、頻繁に調べるのは手間がかかります。センサーはデータのばらつきが大きいため、ストレスの強弱程度しかわからず、兆候から把握するのが難しいという問題点がありました。

 NECは測定データの平均値だけでなく、最大値やばらつきなどをAIに教えました。社員30人を対象に、勤務中にリストバンド型ウエアラブルセンサーを1カ月つけてもらい試験をしました。同じ時期に実施したストレスのアンケート結果と比較すると、AIによる測定データの分析で、ストレスを6段階に評価できることがわかりました。最新のAI技術を応用すれば、さらに多段階に分析できる可能性があるといいます。

 早期から社員のストレスを把握できれば、医師の面談などを促せます。悪化もわかりやすくなるため、深刻になる前に休息をとったり、仕事量を減らしたりする対策を施せます。

 今回の技術は発汗や体温を一定の精度で検出できるセンサーであれば、市販のさまざまな製品が使える見込みといい、センサーを装着していれば、常にストレスの大きさを知ることができるようになります

 2018年4月7日(土)

 

■カルビー、ポテトチップスを最大25%増量 調達安定により期間限定で

 カルビーは4日、「ポテトチップス」など主力スナック商品について期間限定で10~25%増量すると発表しました。価格は据え置きます。

 カルビーは昨年、ジャガイモの不作が原因で一時期、ポテトチップスの販売を休止。原料の調達が安定してきたため、販売休止後の「消費者の支持に感謝」し、実質値下げを行います。

 増量の対象は、ポテトチップスに加えて「堅あげポテト」や「極(きわ)じゃが」「さやえんどう」など23品目。商品は4月9日以降、段階的に全国のコンビニエンスストアや量販店の店頭に並びます。増量期間は商品や売れ行きで異なるものの、1~2カ月程度となる見通しです。同様の増量キャンペーンは、湖池屋も2月5日から実施しています。

 カルビーは、ジャガイモを使用した菓子の国内最大手。2016年夏、ジャガイモの主産地である北海道を襲った台風被害で原料が不足し、2017年4月から約2カ月間、ポテトチップスを販売休止する事態に見舞われました。

 ポテトチップスに続く柱に据えているシリアル商品「フルグラ」は、5日からシニアを対象にしたテレビCMの放送を開始します。CMには中高年のゴルフファンに根強い人気のプロゴルファー、中嶋常幸氏を起用します。フルグラのメインの購買客は女性や子供とされますが、健康志向を打ち出すことでシニア層を取り込みを図ります。

 フルグラ1食分には食物繊維がバナナ4本分含まれており、栄養が豊富だといいます。また、塩分が少ないため、通常の和食・洋食を食べるよりも塩分摂取量を減らす効果も期待できます。

 2018年4月5日(木)

 

■春に心身の不調を感じる人が6割超 医師らでつくる団体が調査

 春に「だるさ」「気分の落ち込み」など心身の不調を感じる人が約6割に上ることが、医師などでつくる団体の調査で明らかになりました。調査にかかわった医師は、新生活のストレスや大きな寒暖の差によるこの時期特有の「春バテ」の症状と指摘した上で、入浴で体を温めるなどの予防策を勧めています。

 この調査は、医師や専門家、企業などでつくる団体「ウーマンウェルネス研究会」が今年1月から2月にかけて、首都圏に住む20歳代から50歳代の男女838人を対象にインターネットを通じて行いました。

 その結果、「3月から4月に心身の不調を感じることがあるか」という質問に対して、「とても感じる」「やや感じる」と答えた人の割合は、合わせて全体の61%に上りました。「感じる」と答えた人に具体的な症状を複数回答で尋ねたところ、「だるさ・けん怠感」が53%、「疲労感」が42%、「気分が落ち込む」が38%などとなりました。

 調査を行ったウーマンウェルネス研究会のメンバーで、東京有明医療大学の川嶋朗教授はこうした症状について、この時期特有の春バテだと指摘しています。春バテの要因として川嶋教授は、新生活など環境の変化による緊張やストレスに加え、寒暖の差が大きいことから自律神経が乱れやすく、心身の不調を感じる人が多いとみています。

 特に今年は、冬の厳しい寒さの後、3月は一転して平年より暖かかったことなどから春バテの症状を訴える人が増えているということで、より注意が必要だとしています。

 その上で、春バテの予防策として、炭酸ガスが出る入浴剤を入れた38〜40度の風呂に入り体を温める習慣をつけることや、気温が低い朝晩に外出する時にはストールなどを身に着けて体を冷やさないことを勧めています。

 川嶋教授は、「この時期の不調は冷えから悪化することも多いので、とにかく体を温めるよう心掛けてほしい」と話しています。

 2018年4月4日(水)

 

■シリアル商品から基準を超える殺菌剤を検出 日清シスコが回収へ

 伊藤忠商事は3日、輸入した大麦の一部から基準を超える殺菌剤が検出されたことを明らかにしました。また。この輸入大麦を原料にしたシリアルを販売していた日清食品グループの日清シスコは、商品の一部から基準を超える殺菌剤が検出されたとして、合わせて31万5000個を回収すると発表しました。

 伊藤忠商事によりますと、昨年8月にオーストラリアから輸入した約85トンの大麦の一部から、殺菌剤の「アゾキシストロビン」が法律で定められた基準の5倍の値で検出されたということです。このうち、およそ40トンは食品メーカーに販売されシリアルなどに使われたとしています。

 日清シスコが回収する対象は、「1日分のスーパー大麦グラノーラ」の2種類の商品で、「4種の彩り果実」は賞味期限が2018年7月13日から10月14日までの商品、「3種のまるごと大豆」は賞味期限が2018年8月24日から10月15日までの商品。

 日清シスコは対象の商品を食べても健康に悪影響を与える恐れはないとしていますが、購入した人は食べないように呼び掛けています。

 また、問い合わせはお客様相談室の0120-825-066で、対象の商品は着払いで郵送すれば後日、代金相当の金券を返却するということです。

 一方、この問題で、農林水産省は、伊藤忠商事が法律に違反した食品を輸入したとして、米と麦の輸入業務で指名停止処分にすることにしています。輸入大麦の半数近くの約40トンはすでに消費されたとみられていますが、農水省は「健康に悪影響を与える恐れはない」としています。一方、輸入大麦の残りの約45トンは在庫などで市場には出回っていないとしています。

 伊藤忠商事は、輸入前の段階で誤って殺菌剤が混入したものとみて原因を調べるとともに、保健所にも問題を報告しました。同社は、「消費者や関係者に心配と迷惑をかけ、深くおわびいたします」と話しています。

 2018年4月4日(水)

 

■旧優生保護法下の強制不妊手術、救済法案を来年にも提出へ 超党派議員連盟も与党に協力姿勢

 旧優生保護法(1948~1996年)の下で障害のある人たちに不妊手術が強制された問題で、救済策を検討する自民、公明両党の与党ワーキングチームが、議員立法による救済法案について来年の通常国会への提出を視野に検討していることが明らかになりました。田村憲久座長(元厚生労働相)が、与党ワーキングチームとは別に救済策を議論する超党派の国会議員連盟の尾辻秀久会長(元厚生労働相)に伝えたといいます。

 尾辻会長が3月29日にあった議連の会合であいさつし、28日に会談した田村座長が「『できることなら来年の通常国会で法律を考えたい』といっていた」と話しました。「ある程度スピードをもって(救済を)やれるのではないか」との見通しも示しました。ただ、実態調査や補償対象者を決めるのに時間がかかる可能性があり、間に合うかは不透明です。

 尾辻会長は議連の会合後、記者団に「共同作業で進めていったほうが二重の手間にならない。来年の通常国会に(法案を)出すことがみえてきたら一緒にやる」とし、法案づくりに与党ワーキングチームとともに取り組む考えも表明しました。また、「厚労相在職時から『疑わしきは救済すべし』といってきた。法律を作った私たちの責任は重い」と語りました。

 旧優生保護法の下で不妊手術を受けた障害者らは約2万5000人で、うち少なくとも1万6475人は本人の同意がなかったとされます。厚労省は与党ワーキングチームの要請を受け、4月にも被害の実態把握に向けた全国調査に着手します。ただ、ただ手術から数十年以上が経過しており、個人を特定するための資料が散逸し、補償対象の特定は困難とみられます。議連は厚労省に対し実態調査を踏まえた報告書の提出も求めており、作成には時間がかかる見込み。

 与党ワーキングチームの関係者は、「すべてスムーズにいけば来年の通常国会を目指せるが、まだ調査も始まっていない」とし、調査の進み具合次第との見方を示しました。

 一方、不妊手術を強制された宮城県の60歳代女性が国家賠償を求めて仙台地裁に訴訟を起こしており、3月28日の第1回口頭弁論では国側が「当時は合法だった」と争う姿勢をみせました。立法作業とともに、国側の「和解」の判断も注目されます。

 旧優生保護法は、「不良な子孫の出生防止」という優生思想に基づく目的を明記。ナチス・ドイツの「断種法」の考えを取り入れた国民優生法が前身で、知的障害や精神疾患、遺伝性疾患などを理由に本人の同意がなくても不妊手術を認めました。ハンセン病患者は、同意に基づき手術されました。「障害者差別に当たる」として1996年に「母体保護法」に改正されました。

 2018年4月3日(火)

 

■動物体内で人の臓器作製、今秋にも解禁へ 文科省が研究指針を改正

 ブタなどの動物の体内で人の臓器を作る研究について、文部科学省の専門委員会は3月30日、人の細胞が混じった動物の胚(受精卵)を動物の子宮に戻し、出産まで認める報告書をまとめました。今後、指針を改正し、今秋にも研究が解禁される見通しです。

 動物の体内で人の臓器を作る場合、特定の臓器だけできないように遺伝子改変した動物の胚に、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を入れ、子宮に戻して出産させる手法が考えられています。日本の現行指針では、こうした胚を子宮に戻すことを禁じています。

 報告書では、この研究が移植用臓器の確保や病気のメカニズムの解明、新たな治療法の開発につながる可能性があると指摘。研究が容認されているアメリカやイギリスなどの状況を踏まえ、人の細胞を入れた動物の胚を子宮に戻し、出産まで認めるのが適当としました。

 ただし、人と動物の境界があいまいな動物を作る恐れがある研究や、生まれた動物の交配、人由来の生殖細胞による受精などは行わないこととしました。研究の実施に当たっては、国や実施機関の倫理委員会があらかじめ審査することも求めています。

 研究が解禁されれば、中内啓光・東京大学特任教授のチームが、膵臓(すいぞう)ができないようにしたブタの胚に、人のiPS細胞を注入して、人の膵臓を持った子ブタを産ませ、1型糖尿病の治療に使う研究を行う考えを示しています。

 2018年4月2日(月)

 

■不正を防止するための臨床研究法、4月1日に施行 研究者側にデータの点検を義務付け

 資金提供した製薬企業の医薬品を使った臨床研究などについて、不正を防止するための臨床研究法が1日、施行されました。研究者側にデータの点検を義務付ける一方、製薬企業は資金提供に関する情報を公開しなければなりません。製薬企業と大学との「薬とカネ」を巡る不祥事が相次いだ臨床研究の適正化が期待されます。

 臨床研究法は、医薬品などの臨床研究のうち、製薬企業から提供を受けた資金や、国の未承認薬などを使って行うものを「特定臨床研究」と規定。研究者に対し、データを操作するなど不正が行われないようモニタリングや監査を義務付けました。大学や病院など研究機関に設置した専門家らによる「認定臨床研究審査委員会」に研究計画を提出し、モニタリング方法などが適正か審査を受けなければなりません。データは5年間の保存を義務付けました。

 製薬企業などには、特定臨床研究を行う研究者側に提供した資金に関する情報の公開を義務化。内容は研究資金、寄付金、原稿執筆料や講師謝金などで、毎年度公表し、期間は5年と定めました。違反すると国が企業に勧告し、従わないと企業名が公表されます。

 研究に参加した患者が予期せず死亡したり、障害が発生したりするなど重篤な症状が出た場合、国への報告も義務付けました。国による研究の中止命令に違反した研究者には、懲役3年以下、罰金300万円以下の罰則が科せられます。

 医薬品の臨床研究を巡っては、製薬大手ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)を使った臨床研究でデータ改ざんなどが相次いで発覚。この問題は、ノバルティスファーマの依頼で臨床研究をした大学の研究者が、降圧剤としての効能自体ではなく、高血圧以外の疾病、例えば、心疾患などに対しても効能があるとする論文を発表し、それが医学専門誌等での広告宣伝に使われたことで、他社の同種薬より優れているとの認識を医療関係者に持たせました。ところが、その根拠となった臨床試験のデータが不正に作られていたことが判明し、論文が撤回されたというものです。

 この問題を受け、不正防止のため臨床研究法が、2017年4月に成立しました。

 2018年4月2日(月)

 

■2017年の医療事故報告、過去最多の4095件 医療機能評価機構が発表

 日本医療機能評価機構(東京都千代田区)は3月29日、2017年に全国の医療機関から報告があった医療事故は前年比213件増の4095件で、年単位の集計を始めた2005年以降で最多を更新したと発表しました。

 2017年末時点の参加医療機関は全国1049施設で、報告があったのは375施設。医療事故を報告する意識が医療現場で高まっていることが、報告件数の増加の要因とみられます。

 日本医療機能評価機構によると、法令に基づき報告が義務付けられている大学病院や国立病院機構の病院は276施設で、3598件の報告がありました。このほか、任意で773施設から497件の医療事故の報告がありました。

 大学病院などからの報告のうち、死亡事例は261件(7・3%)、患者に障害が残る可能性が高い事例は361件(10・0%)でした。

 事故の内容別では、患者の転倒など「療養上の世話」(41・0%)が最も多く、手術ミスなどの「治療や処置」(26・7%)が続きました。

 2018年4月1日(日)

 

■ES細胞で初の治験申請、肝臓病の乳児に移植 成育医療研究センター

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は、ES細胞(胚性幹細胞)から作製した肝細胞を、生まれ付き重い肝臓病のある乳児に移植する医師主導の治験(臨床試験)を国に申請しました。申請は3月28日付け。

 体外受精で作成された受精後5~7日の受精卵から一部の細胞を取り出し、培養して作るES細胞を使った国内での人を対象にした研究は初めてで、世界的にも肝臓への移植は初めて。安全性と有効性を検証し、肝臓の再生医療製品の開発につなげる方針です。

 治験対象は、肝臓で特定の酵素が働かないため、毒性のあるアンモニアが分解されずに血液中にたまる「尿素サイクル異常症」の乳児。肝臓移植が根本的な治療ですが、肝臓の大きさから生後3カ月以降でなければ行えず、それまでに亡くなってしまうケースもあります。

 計画では、来年までに5人の乳児を対象に、ES細胞から作製した正常な肝細胞を、肝臓につながる腹部の血管に注入します。体調が安定したら肝臓移植を行います。この時に摘出した肝臓を調べ、移植した肝細胞が定着して機能したか検証します。

 治験責任者の福田晃也・国立成育医療研究センター移植外科医長は、「有効性と安全性を確認できれば、急性肝不全など他の病気の治療に拡大したい」と話しています。

 2018年4月1日(日)

 

■脊柱管狭窄症、抗酸化薬の臨床研究へ 慶応大病院

 老化に伴って多発し、脚のしびれなどの症状が典型的な脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症の予防薬の臨床研究を慶応大病院のチームが計画しています。学内の倫理委員会の承認を得て、新年度から40人の患者を対象に効果を比較検証します。

 患者数が約300万人ともいわれる脊柱管狭窄症は、背骨を構成する椎骨(ついこつ)が変形し、その中を通る神経が圧迫されて発症します。両脚のしびれや痛みが特徴で、休み休みでないと歩けなくなります。背中を反らせた姿勢だと痛みを感じやすく、前かがみになりやすい傾向があります。椎骨の変形は、間にある椎間板の弾力が老化によって失われるために起きると考えられるものの、これまで椎間板の老化を防ぐ治療法はありませんでした。

 慶応大の藤田順之専任講師らは、椎間板の変形は加齢による酸化ストレスが原因と考え、検証しました。椎間板の変形を起こしたラットで調べると、酸化ストレスによってできる物質の増加が確認されたほか、人でも椎間板の変形に伴い、酸化ストレスによる物質が増えることがわかりました。また、抗酸化効果のあるサプリメントをラットに投与したところ、椎間板の変形が抑えられていることが画像で確認できました。

 臨床研究では患者を抗酸化薬群と偽薬群の2群に分けて、半年間の経過を調べます。使用する抗酸化薬は、海外ではサプリメントとして使われています。

 藤田講師は、「サプリメントは副作用が少ない利点がある。今回の研究で効果が確認されたら、企業の協力を得て治験を行い、実用化につなげたい」と話しています。

 2018年4月1日(日)

 

■引きこもり、年齢が高くなり期間も長期化 家族調査で過去最高に

 引きこもりの人の年齢が高くなり、期間も長期化していることが、親や本人でつくる「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」(東京都豊島区)の調査で明らかになりました。

 この調査は、昨年11月〜今年1月、全国の支部の家族らを対象に実施し、約550人が回答しました。

 それによると、引きこもりの本人の平均年齢は34・4歳、引きこもっている平均期間は11年8カ月で、いずれも同連合会の調査では過去最高でした。

 本人が支援機関や病院を利用しているかどうか聞いた質問では、「利用していない」が41・1%と最多でした。次いで、「継続的に利用している」が29・6%、「継続的に利用していない」が28・4%で続きました。支援機関につながらないまま、引きこもりの期間が長期化し、結果として年齢も上がっていることがうかがえました。

 これとは別に、自治体の困窮者相談の窓口に行った調査では、対応したことがある引きこもりの人の年齢は、40歳代が最多でした。

 同連合会の伊藤正俊・共同代表は、「80歳代の親と50歳代の子供が孤立し、ゆき詰まっている。社会の問題として発信していきたい」と話しています。

 2018年3月31日(土

 

■無痛分娩、麻酔後30分は医師が確認を 厚労省研究班が安全実施へ提言

 麻酔を使って妊婦の陣痛を和らげる無痛分娩(ぶんべん)について、厚生労働省の研究班は安全に実施するための手順や管理体制などを示した提言をまとめました。

 無痛分娩については、妊婦や新生児の死亡や障害が相次いで発覚した一方で、麻酔を投与した後の管理手順が定められていないなどの課題が指摘されてきました。

 29日、厚労省の研究班は提言を公表し、麻酔による中毒症状などへの対応が遅れないよう、麻酔の投与から30分間は担当医師が妊婦の呼吸や脈拍などを記録し状態を確認することや、産後3時間が経過するまでは、医師が5分程度で駆け付けられる体制を取るよう求めています。

 また、麻酔を担当する医師は2年に1回程度、麻酔についての研修を受け、医療機関のホームページなどで研修の受講歴や無痛分娩の実施件数を公開することも求めています。

 この提言は関連する学会などを通じて、全国の医療機関に周知されることになっています。

 一方、この研究班では無痛分娩による事故の発生割合を調べようとしましたが、アンケート調査の回答率が低く十分な調査ができなかったとしたほか、無痛分娩を実施する医師に新たな認定資格の取得を義務付ける案も検討しましたが、すでに実施している医師に参加を促すのは難しいなどとして見送られました。

 研究班の代表で北里大学病院の海野信也病院長は、「無痛分娩は急速に普及しているので、今回の提言を第一歩として引き続き安全体制の構築に努めたい」と話しています。

 2018年3月30日(金

 

■京大、iPS細胞の論文不正で助教を懲戒解雇 所長の山中教授も処分

 京都大学iPS細胞研究所の助教が発表した論文に、捏造(ねつぞう)などの不正があった問題で、京都大学は28日、この助教を懲戒解雇にするとともに、所長の山中伸弥教授も監督責任があるとして処分しました。

 京都大学は今年1月、iPS細胞研究所の山水康平(やまみず・こうへい)・特定拠点助教(36歳)が、昨年2月に発表したiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する論文の11のデータに捏造と改ざんがあったと公表し、関係者の処分を検討していました。

 京都大学は、「論文の根幹をなす部分において有利な方向に操作されていた」とし、山水助教について「大学の信用を傷付ける行為」をしたとして、28日付けで懲戒解雇の処分にしました。

 また、iPS細胞研究所の所長の山中伸弥教授については、監督責任があるとして処分しましたが、京都大学は訓告や厳重注意、注意の処分は公開基準に満たないとして、詳しい内容は明らかにしませんでした。

 不正が認定されたのは、人のiPS細胞から脳血管内皮細胞を作製し、血液中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を作製することに成功したとする論文。創薬研究に利用できれば、アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるとしました。山水助教は、任期が決まっている非正規雇用の研究者という立場ながら、筆頭・責任著者でした。昨年2月24日にアメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」の電子版に発表され、3月に同じ科学誌に掲載されました。

 iPS細胞から作製した脳血管内皮細胞で、細胞に特有の遺伝子が働いているかどうかを解析し、論文では有意に高いことが示されましたが、研究室に残されたデータではその結果は出ませんでした。また、生体内の血液脳関門と同じようなバリアー機能があるか調べる薬物透過性試験でも、論旨に沿うようにグラフを作成するなどしていました。

 iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、「今回の処分を真摯(しんし)に受け止めるとともに、所長として事態を未然に防ぐことができなかった責任を痛感し、自主的に、当面の給与相当額をiPS細胞研究基金へ寄付します。今後研究倫理への取り組みをより一層強化し、信頼回復に努めて参ります」とコメントしました。

 2018年3月29日(木)

 

■日医工、エーザイ子会社買収 後発薬1位の座を固める

 後発薬大手の日医工が新たなM&A(合併・買収)に踏み切り、新薬大手のエーザイの子会社エルメッドエーザイ(東京都豊島区)を約170億円で買収すると発表しました。薬価引き下げ圧力が強まり、競争環境が厳しさを増す中、さらなる規模拡大で収益の確保を図ります。

 沢井製薬や東和薬品を引き離して国内後発薬1位の座を固め、将来は世界トップ10入りを目指します。

 日医工の田村友一社長は28日、本社で開いた記者会見で「ジェネリック(後発)医薬品は規模で戦う時代だ」と強調しました。

 同社はまず4月に、エルメッドエーザイの株式の20%を取得。薬の成分となる原薬事業や販売促進の協業の成果を見ながら段階的に株式の取得を進め、2019年4月に完全子会社とする予定です。

 エルメッドエーザイは、高脂血症薬や降圧剤など約190品目の後発薬を扱います。2017年3月期の売上高は、前期比2%減の約280億円。競争が激しく、近年は業績が伸び悩んでいました。

 日医工によると、エルメッドエーザイの買収で国内シェアは約15・8%(2017年9月時点で計算)となり、沢井製薬をかわして1位の座を固めます。2021年3月期までには20%を目指します。両社を合わせると国内シェアが5割を超える品目が11あるため市場優位性が高まり、薬の原材料の共同購買で調達コスト低減も見込みます。

 日医工はこれまでも、後発薬事業を中心にM&Aを繰り返してきました。2004年にマルコ製薬の事業を引き継いだほか、2008年にはテイコクメディックス、2014年にはアステラス製薬子会社の工場を買収。2016年にはアメリカのセージェント・ファーマシューティカルズを買収しました。

 2004年11月期に182億円だった連結売上高は、2017年3月期で1633億円に増え、2018年3月期は2000億円を見込みます。

 規模拡大を急ぐ背景にあるのが、市場環境の変化。政府は後発薬シェアを2020年9月までに80%以上に高める目標を掲げる一方、膨張する医療費を抑えるため、これまで2年に1度だった薬価改定を2021年度から1年に1度へ改める方針です。田村社長はもともと安価な後発薬についても、「価格プレッシャーが増している」と危機感を示しています。

 後発薬事業からの撤退により事業を絞り込み、認知症などの新薬開発へ経営資源を集中させるエーザイとの戦略提携も進めます。2018年10月以降、エーザイが持つ「地域包括ケア」にかかわる医療機関や薬局向けの販路を生かし、日医工ブランドの製剤品を販売します。

 政府は介護から医療まで地域一体で高齢者らを支える地域包括ケア構想を進めており、この領域の需要開拓は製薬会社の共通課題です。田村社長は「他のジェネリックメーカーと違うアプローチができる」と期待しています。国内では珍しいケースとなる新薬大手と後発薬大手の連携効果を引き出します。

 今後の課題は、海外市場の開拓。国内首位の座を固める日医工も、世界の後発薬市場ではトップ10以内に入りません。国内市場の伸びが鈍る動きがみられる中、海外で新たなM&Aに踏み出す可能性もあります。

 2018年3月29日(木)

 

■たばこを吸わない社員に6日間の有給休暇 全面禁煙の企業が増加中

 社員に禁煙を促すため、喫煙所を休憩スペースに変えて全面禁煙にしたり、採用条件にしたりする企業の取り組みが進んでいます。健康被害を防ぎ、仕事の効率化を促す狙いです。発想を変え、たばこを吸わない社員に有給休暇を与える企業もあります。

 東京都内の損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険本社の一室は、白を基調にした清潔感のある休憩スペースで、社員がくつろいでいます。昨年まで喫煙室だった雰囲気はありません。

 同社は昨年8月、全国の営業拠点を含めた全社を終日禁煙にしました。「顧客の健康づくりへの貢献を目指す企業として、社員の健康は不可欠」と判断し、禁煙治療費の一部を補助しています。

 社員の矢野允規さん(31歳)は、「喫煙室があれば吸ってしまう。いずれやめる気はあり、背中を押されたように感じた」と話し、完全禁煙化を控えた昨年5月、10年間吸い続けたたばこをきっぱりとやめました。かつては1日に10回以上、喫煙室に通う日もあり、気分転換はできたものの、頻繁に通うと仕事の中断にもなりました。禁煙後は「効率的な働き方ができ、帰宅時間が早くなった」といいます。

 コンビニ大手のローソンも昨年から、本社と地域の事業所を終日禁煙にしました。ヤフーは、2020年度中に全拠点で喫煙室をなくす予定です。

 約1万社が回答した帝国データバンクの調査によると、換気をした喫煙所などがある「完全分煙」が56%で最多。「全面禁煙」は22%で、何らかの形で喫煙を制限している企業は92%に上りました。

 喫煙者の割合も、50%近くだった半世紀前から大幅に低下し、2017年は18%になる一方で、男性の30歳代から50歳代は依然として35%前後で推移しています。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを控え、受動喫煙防止の強化が強く叫ばれるものの、職場での意見はさまざま。喫煙者が「分煙を徹底すれば迷惑にならない」「たばこ休憩まで奪われたら、仕事がはかどらない」と主張すれば、吸わない人は「吸う人だけに部屋と休憩時間があるのは不公平だ」と反論しています。

 ホテルや旅館を運営する「星野リゾート」(長野県軽井沢町)は、他社に先駆け1994年から喫煙者の不採用方針を明確に打ち出し、現在も取り組みを続けています。入社時にたばこを断つと約束できないと、採用選考に臨むことはできません。担当者は、「社員をたばこの健康被害から守る責任がある。喫煙所のスペースがあるなら、顧客のために活用すべきだ」と話しています。

 一方、ウェブマーケティング事業のピアラ(東京渋谷区)は、たばこを吸わない社員を評価する逆転の発想で、2017年9月から、喫煙しない社員に年間最大で6日間の有給休暇を与える「スモ休」制度を始ました。

 切っ掛けは、社長に寄せられた社員からの「たばこ休憩は不公平」という意見。オフィスのある29階には喫煙所がないため、たばこを吸うには地下1階まで降りなければならず、喫煙1回当たり10~15分の休憩を取っているのと同じだと、喫煙しない社員から不満の声が上がりました。

 そこで導入されたのが、スモ休制度。過去1年間にたばこを吸っていないことが条件で、労働時間の不平等感の解消と禁煙促進を図るためにスタートし、社内では好評だそうです。

 喫煙がさまざまな疾病の危険因子であることは、いうまでもありません。従業員の健康管理を戦略的に実践する「健康経営」を経済産業省が企業に促していることもあり、禁煙を呼び掛ける企業の動きは加速していくものと思われます。

 2018年3月28日(水)

 

■無痛分娩時に障害、産婦人科医の過失認める 賠償請求は棄却、京都地裁

 無痛分娩(ぶんべん)時に適切な処置を怠ったため長女が重い障害を負ったとして、京都府京田辺市の夫婦が同市の「ふるき産婦人科」(昨年12月に休院)に約1億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、京都地裁でありました。藤田昌宏(まさひろ)裁判長は担当した男性院長(56歳)の分娩の過程での過失を認めましたが、そのために障害を負ったとはいい切れないとして、夫婦の訴えを棄却しました。

 判決によると、原告の女性(36歳)は2011年4月19日、麻酔で痛みを和らげる無痛分娩で、脊髄(せきずい)を保護する硬膜に細い管で麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受け、その後、陣痛を促す子宮収縮薬を投与されました。その後、帝王切開で長女を出産しましたが、長女は脳性まひなどの重い障害を負い、2014年12月に3歳で亡くなりました。

 夫婦側は、分娩監視装置を装着していなかったため、胎児の心拍低下を見落として低酸素脳症にさせ、帝王切開も遅れたと主張。一方、医院側は、分娩監視装置は装着していたがデータが残っていないだけで、帝王切開の時期も適切だったと反論していました。

 判決は、合理的な理由がなく多量の子宮収縮薬や高濃度の麻酔薬を投与し、分娩監視装置を装着したのは1度だけで再装着しなかったなどと院長の注意義務違反を認定しました。一方、その過失が重い障害につながったとはいえないと判断しました。

 判決後、原告の女性は代理人弁護士を通じて、「納得いかない。控訴し、因果関係について争いたい」とコメントしました。

 長女が脳性まひになった原因を分析した専門医らの委員会は、「分娩中に低酸素症を発症し、陣痛促進や吸引分娩が影響した可能性も否定できない」とする報告書をまとめていました。

 この医院を巡っては、別の2家族が無痛分娩や帝王切開の際の麻酔により母子が重い障害を負ったとして提訴し、京都地裁で審理が続いています。

 2018年3月28日(水)

 

■訪日客の医療費不払い、500万円超すケースも 医療機関の3割が不払いを経験

 訪日外国人観光客(インバウンド)が年々増える中、急に病気になった外国人が病院などで治療を受けた後に医療費を支払わないケースが多発していることが明らかになりました。厚生労働省の調査によると、外国人患者を受け入れたことのある医療機関のうち、3割が医療費の不払いの経験がありました。

 政府は訪日客の急増で医療機関に生じる想定外の負担を懸念し、5月にも総合対策をまとめます。

 厚労省が3761の医療機関を対象に2016年に実施した調査によると、回答があった1710医療機関のうち、約6割で外国人が入院し、約8割が外来で訪れました。

 外国人患者を受け入れたことのある1378機関のうち、35%が1年間に医療費の不払いを経験しました。厚労省が実施した調査は日本に住む外国人患者も含みますが、政府関係者は「言語などが不慣れですぐに帰国する訪日客に関するトラブルが多い」としています。

 例えば、訪日客が多く訪れる沖縄県。同県の医師会による2017年の調査では、回答した19病院の約3割で医療費の不払いがありました。中でも、脳梗塞や急性大動脈解離などの事例で260万〜500万円超に上るケースもみられました。

 医療費の不払いの一因は、旅行保険に加入する外国人が少ないこと。欧州などでは保険加入をビザ取得の条件にする国も多いものの、日本は事実上未対応。自己負担が膨らんで支払えず、病院が泣き寝入りせざるを得なくなります。

 病院側の受け入れの問題もあります。どんな医療を施すか事前に相談しなかったため、高額な治療費の請求段階で反発して支払わないケースも少なくないといいます。現金しか受け付けない病院で、外国人患者の決済手段がなく結果的に不払いになってしまうこともあります。

 長期治療が必要になったり亡くなったりすると、さらに難しくなります。母国に搬送する場合、医療機関の負担が一層重くなりかねないからで、病院が多額の費用や手続きを負担するケースが多いといいます。  

 訪日客を対象にした観光庁による2013年の調査では、4%が旅行中にけがや病気をし、うち4割が病院に行きました。ただ、全体の約3割が旅行保険に未加入でした。未加入で治療を受ければ、保険で補償されず、医療費が高額になるものの、旅費を抑えたいという考えが優先されているようです。

 2017年の訪日客数は最高の2869万人。政府は東京オリンピック・パラリンピックが開かれる2020年に4000万人を目標に掲げるものの、国際医療福祉大学大学院の岡村世里奈准教授は「外国人の医療を巡る問題への対処は道半ばだ。自治体など関係者全体で取り組む必要がある」と指摘しています。

 政府は4月、内閣官房に医療費不払い問題に関する作業部会を立ち上げ、厚労省、外務省、観光庁などが連携して対策を作ります。在外公館が旅行客向けに保険加入を推奨し、旅行会社には保険付きのプランの充実を求めます。電子マネーやクレジットカードなどでの支払いが可能な病院を増やすため、導入補助の制度なども整備する考え。厚労省は外国語による疾病ごとの治療・価格メニューを作り、事前同意してもらえるようにします。

 ただし、対策が厳しくなりすぎれば、訪日客の増加にブレーキがかかりかねません。政府内にビザ取得の際の保険加入の義務化を求める声もある一方、慎重論が根強くあります。外国人観光客受け入れ促進と、受け入れ側のトラブル回避との両立が難しい政策課題になりつつあります。

 2018年3月28日(水)

 

■「体が引き締まる」など不当表示で商品販売 通販業者に東京都が初の措置命令

 東京都内の通信販売業者が裏付けがないにもかかわらず、「体が引き締まる」などと効果をうたって下着などを販売していたのは不当な表示に当たるとして、東京都は不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)に基づき再発防止を命じる措置命令を出しました。

 不当な表示を行っていたのは、東京都渋谷区の通信販売業者「ギミックパターン」です。

 東京都によりますと、ギミックパターンは一昨年からインターネットを通じて、「体が引き締まる」「脚が細くなる」「豊胸」などとして下着やストッキング、せっけんなど5種類の商品を販売していました。

 東京都が広告の内容についてギミックパターンに問い合わせた結果、やせることなどの効果を裏付ける根拠は示されなかったということです。また、商品の販売価格についても、「通常価格」などと実績のない価格を表示して、実際の販売価格を割安にみせていたということです。

 このため、東京都は、不当な表示に当たるとして26日、景品表示法に基づき再発防止を命じる措置命令(行政処分)を都として初めて行いました。ギミックパターンは、「ホームページの制作会社が作った広告をそのまま載せてしまった。今後は気を付けたい」と話しているということです。

 東京都によりますと、商品の売り上げは22億円に上るとみられ、今後、消費者庁からギミックパターンに課徴金が課される見通しです。

 2018年3月27日(火)

 

■肥満や糖尿病でうつ病が高リスクに 食生活や運動で改善も

 肥満や糖尿病の人は、うつ病の発症リスクが高いとする研究を、国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)などの研究チームが発表しました。運動や食事などの生活習慣が、うつ病の治療や予防に重要な役割を果たす可能性があるといいます。

 研究チームは2014年9月〜2017年2月、インターネットを利用して1万1876人にアンケートを実施。このうち、精神疾患の一つで気分の落ち込みや興味・関心の低下、不眠といった諸症状を呈する、うつ病を経験したという1000人と、残りの1万876人を比較し、発症リスクを高める要因を探りました。その結果、体格指数(BMI)が30以上の肥満や、18・5未満の体重不足、糖尿病や高脂血症の人で、うつ病のリスクが高くなりました。

 生活習慣では、間食や夜食をほぼ毎日食べている人でリスクが高かった一方、朝食を毎日食べている人はリスクが低くなりました。また、「ゆっくり泳ぐ」「カートを使わないゴルフ」など中等度以上の運動を習慣的に行っている人も、リスクは低くなりました。

 研究を進めた国立精神・神経医療研究センターの功刀(くぬぎ)浩・疾病研究第三部長は、「うつ病の一部は、体重の適正なコントロールや生活習慣(朝食の頻度が少ないことや間食・夜食の頻度が多いこと)を見直すことで、病状が改善する可能性がある」と話しています。

 2018年3月27日(火)

 

■ゴルフに高齢者の記憶力改善効果 長寿医療研究センターなどが共同研究

 ゴルフが高齢者の記憶力を改善させる効果があるとの研究結果を23日、国立研究開発法人「国立長寿医療研究センター」(愛知県大府市)などの共同研究班が公表しました。

 主任研究者の島田裕之・同センター予防老年学研究部長は、「体を動かすことに加え、スコアを計算したり他の人と交流したりすることで認知機能が改善された可能性がある」と分析しています。

 共同研究には同センターのほか、ゴルフ関連団体で作る「ウィズ・エイジングゴルフ協議会」や東京大学、杏林大学が参加。ゴルフをほとんどしたことがない、またはほとんどしない65歳以上の男女53人(平均年齢70・1歳)に2016年10月から半年間、週1度のペースで24回ゴルフ教室に参加してもらい、教室に参加する前後の認知機能検査の点数を比較しました。

 その結果、単語を覚える単語記憶検査で6・8%、物語を聞いて筋書きを思い出す論理的記憶検査で11・2%の向上がみられました。

 一方、ゴルフはせず健康に関する講座を2回受けた65歳以上の男女53人では、半年間の記憶機能に変化はありませんでした。研究結果は近く、論文発表されます。

 島田部長は、「現段階において認知症の予防効果を持つかどうかは不明で、追跡調査が必要だ」としています。

 2018年3月26日(月)

 

■医師国家試験、過去最多の9024人合格 厚労省発表

 厚生労働省は19日、2月に実施した医師国家試験の合格者を発表しました。受験者1万10人に対し合格者は9024人で、1946年の試験開始以来、過去最多。合格率は90・1%で、前年より1・4ポイント上昇しました。

 合格者のうち、男性は5958人(合格率は89・1%)、女性は3066人(合格率は92・2%)で、女性が34・0%を占めました。新卒者の合格率は93・3%、既卒者は63・9%でした。平均合格率は、国立が91・2%、公立が93・3%、私立が90・2%、認定および予備試験は41・9%でした。

 大学別の合格率では、自治医科大学が99・2%で最も高く、横浜市立大学医学部が97・7%、兵庫医科大学が97・5%と続きました。新卒者の合格率が100・0%だったのは、慶應義塾大学医学部と昭和大学医学部。また、横浜市立大学医学部と兵庫医科大学は、既卒者の合格率が100・0%でした。

 2018年3月26日(月)

 

■エーザイの抗がん剤「レンビマ」、肝細胞がん治療で承認 すでに甲状腺がん向けで販売

 エーザイは23日、抗がん剤「レンビマ」が国の承認を得たと発表しました。すでに切除不能な甲状腺がん向けで2015年5月から販売されており、承認後は肝臓がんの9割を占める肝細胞がんの治療にも使えるようになります。

 日本の肝細胞がんの患者数は約4万2000人、年間死亡数は約2万6000人と報告されていますが、新薬が出ておらず、エーザイは2020年代の早期に世界で年1000億円超の売上高を目指します。

 レンビマは、がんの切除が難しい患者の初期段階で投与できます。がん治療の初回から使える新薬は、バイエル薬品の「ネクサバール」以来9年ぶりとなります。

 中外製薬の血友病Aの治療薬「エミシズマブ」も23日、国の承認を得ました。今春にも発売します。

 血友病で初の抗体を使う医薬品で、患者が自ら注射できます。臨床試験では、治療の標準であるバイパス止血製剤が効きにくい患者にも効果がありました。日本での製品名は、「ヘムライブラ」となります。欧米でもすでに承認を取得しており、中外製薬はピーク時の売上高で全世界2000億円超を見込みます。

 エーザイと中外製薬の新薬は、いずれも自社で創製しました。収益性が高く、業績への貢献も大きくなります。

 2018年3月25日(日)

 

■飲酒と喫煙の両方の習慣ある男性、口腔・咽頭がんリスク4・1倍 国立がん研究センターなど調査

 男性の口腔(こうくう)がん、咽頭(いんとう)がんのリスクは飲酒、喫煙の習慣があるとそれぞれ上昇しますが、両方の習慣がある場合は4・1倍に跳ね上がることが、国立がん研究センターなどによる大規模な疫学調査で明らかになりました。

 口腔がんは口の内側や舌、歯茎、唾液腺などに、咽頭がんは喉にできるがん。研究チームは1990年と1993年に、岩手県、秋田県、長野県、茨城県、東京都、新潟県、大阪府、高知県、長崎県、沖縄県の10都府県でがんになったことがない40〜69歳の男女にアンケートを依頼。計9万5525人の回答を得て、2010年まで追跡調査しました。その結果、口腔がんと咽頭がんのいずれかになった人はこのうち222人(男性160人、女性62人)でした。

 対象者を飲酒が1日にビール中瓶1本程度(アルコール換算で週150グラム)より多いか少ないかと、喫煙習慣の有無とで分け、これらのがんのリスクを分析すると、男性では「飲酒少・非喫煙者」を1とした時に「飲酒少・喫煙者」で1・8倍、「飲酒多・非喫煙者」では2・1倍、喫煙者で飲酒も多いと4・1倍になりました。

 同じく男性を喫煙習慣で分けると、喫煙者のリスクは吸わない人の2・4倍。週に1回以上酒を飲む習慣の有無で分けると、そうした習慣がある男性は飲まない人の1・8倍でした。

 がんの部位別では、喉の一番奥で食道につながる部位にできる「下咽頭がん」で大きな差があり、男性では喫煙者が非喫煙者の約13倍の高リスク。1日の箱数(20本入り換算)に喫煙年数をかけた指数が60以上になると、下咽頭がんのリスクは約21倍になりました。

 女性でも、非喫煙者と比べて喫煙者で口腔がん、咽頭がんのリスクは2・5倍に増加する傾向がみられました。また、酒を飲まない人と比べてアルコール換算で週150グラムグラム以上を飲酒する人では口腔がん、咽頭がんのリスクは5・9倍に増加しました。

 研究チームは、「日本人における口腔がん、咽頭がんの予防のためには、喫煙せず、飲酒量を控えることが重要であることが再確認された」と述べています。

 2018年3月24日(土)

 

■昨年の自殺者数2万1321人 8年連続減少、未成年は増加

 2017年に自殺した人は2万1321人で、前年より576人(2・6%)少なくなりました。警察庁が16日、確定値を発表しました。

 減少は8年連続。女性は統計を取り始めた1978年以降の最少を2年連続で更新しました。年齢別では、19歳以下の未成年だけ増え、9・0%増でした。

 自殺者数のピークは2003年の3万4427人で、2010年以降は減り続けています。昨年の女性の自殺者数は6495人で、前年比281人減でした。男性は1万4826人で、前年比295人減となり、22年ぶりに1万5000人を下回りました。

 年齢別で最も自殺者数が多いのは40歳代の3668人(前年比71人減)。50歳代の3593人(前年比38人減)、60歳代の3339人(前年比287人減)と続きます。20歳代以上は全年代で前年より減ったものの、19歳以下は47人増えて567人でした。

 都道府県別では、最多は東京都の2145人で、次いで神奈川県1276人、大阪府1201人、埼玉県1182人。都道府県別では、30都道府県で減り、17県では増えました。最も減ったのは東京都(前年比75人減)で、埼玉県、新潟県(いずれも前年比72人減)が続きました。最も増えたのは神奈川県(前年比63人増)。続いて三重県(前年比39人増)、兵庫県(前年比34人増)でした。

 原因としては、「健康問題」(1万778人)が最多で、次いで「経済・生活問題」(3464人)、「家庭問題」(3179人)。無職者の自殺も前年に比べて2割以上減っており、厚労省自殺対策推進室は「景気回復などにより自殺者の低減傾向が続いている」と分析しています。

 自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は16・8人で、統計を取り始めた1978年以降の最少となりました。ただ自殺死亡率は先進国の中でも高く、政府は2026年までに13・0人以下、数にすると1万6000人以下に減少させる目標を立てています。

 都道府県別の自殺死亡率では、秋田県の24・3人が最も高く、青森県の22・1人、山梨県の21・9人が続きました。低いのは大阪府の13・6人、奈良県の13・8人、神奈川県の14・0人の順でした。

 東日本大震災に関連する自殺者は前年比4人増の26人。内訳は福島県12人、岩手県7人、宮城県5人、その他2人でした。

 2018年3月22日(木)

 

■持久力と上肢筋力が低い中学生、生活習慣病リスク4・3倍に 新潟大などが研究

 持久力と上肢筋力が低い中学生は両方とも高い中学生に比べて、肥満度や血圧、血糖値など生活習慣病にかかわるリスクが4倍高いという研究結果を、新潟大学の研究チームと新潟県阿賀野市が発表しました。

 研究チームは、「脳卒中や認知症などを予防し、健康寿命を延ばすには、中学生のころから生活習慣の改善を始める必要がある」と話しています。

 新潟大医学部の曽根博仁教授らは、阿賀野市内の中学2年生993人(男子523人、女子470人)分の体力テストと、血液検査や血圧測定などの健康診断の結果を解析。20メートルシャトルランを持久力、握力を上肢筋力、立ち幅跳びを下肢筋力、上体起こしを筋耐久力の指標としました。

 肥満度を示す体格指数(BMI)は持久力、上肢・下肢筋力が低いと高くなり、血圧と動脈硬化につながる血中脂質は持久力が低いと高まりました。さらに、持久力と上肢筋力がともに低い生徒は、ともに高い生徒に比べ、肥満度、血糖値、血圧が高く脂質が多い「代謝異常」リスクを持つ可能性が4・3倍に高まりました。持久力と下肢筋力で見た場合も、両方とも低い生徒は代謝異常リスクの可能性が3・2倍に高まりました。

 曽根教授によると、子供のころの代謝異常は成人以降に持ち越されることが多いものの、中高生は血液検査や血圧測定を含む健康診断を受ける機会がないため、早期発見が難しいといいます。阿賀野市では「健康寿命日本一」を掲げて中学2年生全員の血液検査や生活習慣についてのアンケートなどを続けており、こうした研究に結び付きました。

 曽根教授によると、近年、大人の生活習慣病予防には持久力だけでなく筋力も関係することが注目されています。曽根教授は「子供でも持久力と筋力がある程度ないといけないことが科学的に示された。子供のうちに生活習慣病の芽を摘む必要がある」と指摘。田中清善阿賀野市長は、「教育現場で子供の筋力、持久力を高める取り組みを考えたい」と話しました。

 今後は睡眠時間や朝食の有無といった生活習慣についても分析し、代謝異常との関連を明らかにしたいといいます。

 研究成果は昨年12月、アメリカの医学専門誌「国際小児思春期糖尿病学会誌」の電子版に掲載されました。

 2018年3月22日(木)

 

■熟成肉の衛生管理、事業者ごとにばらつき 東京都が初の実態調査

 主に牛肉の赤みを低温状態で一定期間寝かせてうまみを引き出す「熟成肉」について、東京都が初めて衛生管理の実態調査を行ったところ、事業者ごとに熟成期間や処理の仕方に大きなばらつきがあることがわかり、飲食店や消費者に対し、注意喚起を強化していくことになりました。

 熟成肉は飲食店などで人気が高まり、取り扱いが急増している一方で、品質や衛生管理についての国の基準がないことから、製造する業者や飲食店は独自のルールを設けるなどして安全を確保しなければなりません。こうした現状を踏まえ、東京都が昨年度、都内11の飲食店や販売店、食肉処理業者を対象に初めて衛生管理の実態調査を行いました。その結果、肉の熟成期間は14日から100日と大きなばらつきがあったほか、熟成後、カビが付着しているために取り除く肉の表面の厚さも事業者ごとに異なり、目視で確認しながら行うなど経験に基づいて作っていることがわかったということです。

 また、聞き取り調査では、熟成の失敗で肉を腐らせた経験や、熟成肉を生で食べられるという誤った認識を持っている事業者もいたということです。さらに、2つの事業者からは、熟成後の肉から食中毒を引き起こす恐れがある「リステリア菌」や「黄色ブドウ球菌」が検出されたほか、取り除いた肉からは腐敗の目安となる窒素の量が多く検出されたということです。

 東京都によりますと、熟成肉による健康被害の情報は、これまでのところ寄せられていないということですが、生肉と同じように十分な加熱が必要だとしています。

 東京都は調査を行った事業者に対し、熟成肉を保管する冷蔵庫の開け閉めによる温度変化を少なくして低温管理を徹底することや、変質した部分を適切に取り除くよう指導するとともに、ほかの飲食店や消費者に対しても情報提供を強化するなどして対策を検討することにしています。

 5年前から熟成肉を製造している東京都品川区の食肉の卸業者は、品質や衛生管理についての国の基準がない中で、独自のルールを作りました。肉を熟成させる冷蔵庫は温度を1度から3度ほど、湿度を75%から85%ほどに保っているほか、肉が腐らないように10台以上の扇風機で強い風を当てて乾燥させ、40日ほどかけて製造しています。

 また、熟成後に肉の表面に付着したカビを取り除くトリミングでは、包丁の刃を入れるたびにアルコールで除菌しているほか、肉を裏返す場合は、まな板も交換しています。さらに、安全性を科学的に証明することができない現状を受けて、週に1回、専用の検査キットで大腸菌などの食中毒菌が付着していないか独自に調べているほか、月に1回は、外部の検査機関にも依頼して検査しているといいます。

 昨年6月に、熟成肉ブームの発祥とされるアメリカ・ニューヨークから日本に進出した東京都港区のステーキ店でも、調理の直前に専用の熟成庫から肉を取り出し、扉の開け閉めによる温度変化に気を付けているほか、子供や高齢者などにステーキを提供する際は、中まで十分に火を通すことを勧めるなどの配慮をしているということです。

 今回の実態調査について、熟成肉に詳しい農畜産物の流通コンサルタントの山本謙治さんは、「国内で熟成肉がブームになり5、6年がたち定着しつつあるが、こういう作り方をすると確実に熟成肉になるという科学的な証拠がないため、まずは国が調査や実験をすべきだ。その上で、こういう作り方でなければ熟成肉といえないなど何らかの基準を作り、正しい熟成肉文化が広がることが望ましい」と指摘しています。

 さらに消費者に対しては、「食肉の取り扱いは一歩間違えると食中毒になりかねない。家庭で熟成に挑戦したいという人もいるが、カットされた肉は腐敗が進みやすいため、家庭で買うようなブロック肉やスライス肉は熟成に向かず、家庭で作ることはやめてほしい。また、酸っぱい臭いがする場合は、熟成肉として不適切なことが多いので、香りにも注意してほしい」と呼び掛けています。

 2018年3月22日(木)

 

■心の病にかかる10~20歳代の若手社員が急増 日本生産性本部が企業調査

 うつ病など心の病にかかる社員が最も多い年代は10~20歳代だと答えた企業の割合が3年間で急増し、27・9%に達したことが、20日までに日本生産性本部の調査で明らかになりました。

 40歳代が多いと答えた企業は35・8%で、30歳代も32・6%を占めるものの、それに迫る勢いで若者の割合が上昇しています。日本生産性本部は、「若者でも責任の重い仕事を任される一方、見合ったポストや権限は与えられず、不調に陥る人が増えている」と分析しています。

 調査は2017年7月から9月にかけて、全国の上場企業2273社を対象に実施し、221社が回答。心の病にかかる社員が最も多い年代を尋ねたところ、10~20歳代は、前回の2014年調査の18・4%から10ポイント近く上昇しました。調査を始めた2002年以降、この年代は10%台で推移しており、急増ぶりが目立ちました。

 40歳代は前回調査から3・4ポイント増加し、30歳代は6・2ポイントの減少。50歳代以上は3・7%で、前回より0・7ポイント減少しました。

 2014年以降、新卒採用は学生に有利な「売り手市場」化が進んでいます。企業が採用確保を優先して実際の仕事量などを正確に伝えず、若者が入社後にギャップの大きさに苦しんでいる恐れもあります。

 日本生産性本部は、「ほとんどの職場で仕事の量が増え、要求される質も高まっている。変化や仕事の質を求められる組織で心の病は増加傾向にあり、若者に自信を持たせるサポートが必要だ」としています。

 2018年3月21日(水)

 

■大人向けの粉ミルク、新商品が続々登場 健康維持に美容に

 「プラチナミルク」「ミルク生活」「大人の粉ミルク」と商品名はさまざまですが、いずれも大人向けの「粉ミルク」が続々と発売されています。一般的には乳児が飲むものと認識されてきた粉ミルクですが、近年は乳業メーカーだけでなく医薬品メーカーが成人、特にシニア向けに商品を開発しており、単なる健康増進にとどまらず、スポーツや美容に関心のある人をターゲットに栄養成分を配合した商品もあります。

 離乳食開始前の乳児にとっては、栄養補給源は母乳か粉ミルクに限られます。乳児用粉ミルクは母乳の代替食品で、乳児が確実に成長するため、必要とされるすべての成分が含まれています。粉ミルクの主要な原料である牛乳から、母乳には含まれない成分を減らし、逆に母乳に含まれて牛乳に含まれない成分を追加します。魚油など独特のにおいやえぐみが気になる材料を加えても乳児が飲んでくれるよう、乳業メーカーは調味技術を磨いてきました。

 粉ミルクやベビーフードなどを手掛ける雪印ビーンスターク(東京都新宿区)は、大人向け粉ミルク「プラチナミルク」を昨年9月に発売。同社は雪印乳業(現雪印メグミルク)時代を含めると、60年以上の母乳研究と粉ミルク製造・販売の歴史を有しています。

 プラチナミルクの開発を始めた背景には、乳児用粉ミルクを健康のために飲みたいと考えるシニア層の存在がありました。同社には「足腰が弱くなる予防のために飲んでもいいか」などと、乳児用粉ミルクの利用に関する問い合わせが続いていました。調査してみると、特に50〜60歳代の女性で実際に利用している人が一定数いることが明らかになりました。

 商品開発部の河内慶子さんは、「赤ちゃんが飲むものイコール体に良いものというイメージがある。しかし、粉ミルクは赤ちゃんにとっての完全食で、食事も取れる大人にとっては異なる」と話しています。乳児用に比べ、タンパク質を多くし、脂質を抑えた上で、シニア層に不足しがちなビタミン、ミネラルを加えた新商品の開発、発売に至りました。

 アクティブシニアが増える中、単に長生きするのではなく、「健康寿命」を延ばしたいというニーズが高まっています。雪印ビーンスタークが40〜69歳の男女600人に実施した意識調査では、今後も一番維持させたいものの1位は男女ともに「記憶力」、2位は男性が「筋力」、女性は「肌の状態」でした。

 そこでプラチナミルクは、栄養バランスをサポートする「forバランス」(ミルク味)のほか、筋肉や骨の材料となる成分を配合した「forパワー」(抹茶ミルク味)、コラーゲンやセラミドなど美容効果が期待できる「forビューティ」(ポタージュ風味)の3種を発売しています。

 雪印ビーンスタークが発売する約1年前には、森永乳業(東京都港区)が大人のための粉ミルク「ミルク生活」を通信販売限定で発売。今年4月からは、ドラッグストアなどでの店頭販売も開始します。

 ミルク生活には、独自の機能性素材が入っているのが特長です。酸や酸素に強く、生きたまま大腸に到達する「ビフィズス菌BB536」や、母乳、特に出産直後の初乳に多く含まれ、乳児を感染から守るとされる「ラクトフェリン」、免疫力を上げる「シールド乳酸菌」が摂取できます。

 主な購入者は女性で、年代では59歳代以上が9割。同社ウェルネス事業部マネジャーの小菱悟さんによると、「自分の子供も粉ミルクで育てた世代。粉ミルクに親しみを持っている人が健康維持のために飲んでいる」といいます。

 このほか、救心製薬(東京都杉並区)が「大人の粉ミルク」(ヨーグルト風味)を2014年4月から発売。乳糖を可能な限り除去しており、牛乳を飲むとおなかが緩くなる人も飲みやすいのが特長です。

 各商品は水やコーヒーなどに溶かして飲むこともできますが、「料理に混ぜて使うと飽きずに続けやすい」と各メーカーは勧めています。

 例えば、プラチナミルクforバランスは、シチューやスープの材料とするレシピを提案。一方、ミルク生活は、ビフィズス菌BB536が熱に弱いため、加熱しない活用方法を勧めています。ヨーグルトや青汁に混ぜるほか、「水に溶いたものを牛乳代わりにシリアルにかけて食べる人もいる」といいます。

 2018年3月21日(水)

 

■胎児の染色体異常、確定者の98%が中絶  新出生前診断の開始5年間で集計

 妊婦の血液を分析して胎児に染色体の異常があるか判定する新出生前診断について、検査を実施する医療機関で作るグループが5年間の臨床研究の結果をまとめたところ、染色体異常が確定し出産が可能だった人のうち約98%が人工妊娠中絶を選んだことが明らかになりました。 

 新出生前診断は、妊婦の血液を流れる胎児のDNAから、ダウン症、エドワーズ症候群、パトー症候群を引き起こす3つの染色体異常を判別する新しい検査で、国内では検査の有効性を確認するために遺伝カウンセリングの実施など日本産科婦人科学会が定める要件を満たした医療機関が臨床研究として、2013年から実施しています。

 検査を実施する医療機関で作るグループがその結果をまとめたところ、昨年9月までに新出生前検査を受けた妊婦は約5万1000人で、このうち胎児に染色体異常がある可能性が高いことを示す「陽性」と判定されたのは1・8%に当たる933人で、その後、さらに詳しい羊水検査などで異常が確定したのは700人だったということです。

 異常が確定した人の中で、自然に流産した人を除く668人のケースをさらに分析すると、14人が妊娠を継続し、人工的に妊娠中絶を選択したのは654人だったということで、胎児の染色体異常が確定し出産が可能だった人のうち、人工妊娠中絶を選んだ人は約98%となりました。

 グループの代表で、国立成育医療研究センターの左合治彦医師は、「この中絶率は、染色体異常がどのように捉えられているかを反映したものと考えている。検査を希望する際には、受ける必要が本当にあるかや異常がわかった時にどうするか、十分考えた上で受けてもらいたい」と話しています。

 小児医療に長年携わる東京女子医科大学の仁志田博司名誉教授は、「日本は、病気や障害のある人に対する社会的な受け入れ体制がまだまだ不十分で、病気の人を排除する雰囲気が強まってしまうのは危険だ」と指摘しています。

 2018年3月20日(火)

 

■レジオネラ症患者、10年前の2・5倍の1722人 加湿器も原因に

 衛生管理の不十分な入浴施設などで感染するレジオネラ症の患者が年々、増えています。国立感染症研究所によると、昨年レジオネラ菌の感染によって発熱や肺炎などを起こした患者数は1722人と、現在の調査方法となった1999年以降最多でした。重症だと死亡することもあるため注意が必要です。

 患者数は2009年から年々増え、2017年は10年前の2・5倍以上。都道府県別では、東京都が最も多く159人で、広島県109人、愛知県102人、神奈川県101人、埼玉県98人、大阪府83人と続きます。増加の理由ははっきりわかっていないものの、診断が簡単になったことや高齢化などが指摘されています。

 レジオネラ症を引き起こすレジオネラ菌は、水や土の中にいます。給湯設備や空調の冷却塔、加湿器に侵入して増えます。水滴とともに吸い込むことで感染し、発熱や倦怠(けんたい)感、肺炎などを起こします。2016年12月までの10年間に報告された患者数は計1万310人で、うち196人が死亡。患者の9割を50歳以上が占め、高齢になるほど死亡率が高くなりました。

 昨年3月には、広島県三原市の入浴施設を利用した30〜80歳代の男女58人がレジオネラ症になり、50歳代の男性1人が亡くなりました。その後の調査で、衛生管理の不備が指摘されました。

 大分県の高齢者施設では昨年12月から今年1月にかけ、80〜90歳代の男性入所者3人がレジオネラ菌に感染して肺炎を発症、うち1人が死亡しました。原因は高齢者施設に設置されていた2台の加湿器で、レジオネラ菌に汚染された加湿器のタンク水から空気中に広がったとみられています。

 レジオネラ菌は36度前後で最も繁殖する一方で、60度以上で死滅し、塩素消毒も有効。治療にはニューキノロン系やマクロライド系の抗菌薬が効きますが、早い段階で治療する必要があります。

 国立感染症研究所・細菌第一部の前川純子主任研究官は、「入浴施設を利用した後に熱などの症状が出てきた時は医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2018年3月19日(月)

 

■小野薬品、オプジーボの適応拡大へ 2018年度に4種のがんを追加申請

 小野薬品工業はがん免疫薬「オプジーボ」について、2018年度に新たに4つのがんで厚生労働省に適応追加を申請します。オプジーボは高価という批判を受けて大幅に薬価を引き下げられたため、適応範囲を広げて単価の下落を補います。

 厚生労働省は薬剤費を削減するため薬価の適正化を進めており、製薬各社は収益を確保する対策を迫られています。

 オプジーボは100ミリグラム1瓶当たり約73万円の薬価が高すぎるとして2017年2月、定期的な薬価の改定を待たずに緊急的な措置として、50%引き下げられました。今年4月の改定で再び約24%下がるため、小野薬品工業は「販売数量増で補う」としています。

 皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)治療薬として2014年9月に販売を始めたオプジーボは、2015年12月に非小細胞肺がんの適応が認められました。その後も腎細胞がん、血液がんの一種であるホジキンリンパ腫、頭頸部(とうけいぶ)がん、胃がんで認められ、6種類のがん治療に使われています。

 今年1月に、腎細胞がんで別の薬との併用療法の適応を申請済み。2018年度は食道がんや肝細胞がん、小細胞肺がん、併用療法の非小細胞肺がんで適応追加の申請を目指します。2018年度末にも「一部が承認される可能性もある」といいます。

 国立がん研究センターによると、2017年のがんの死者数のうち肺がんは7万8000人、食道がんが1万1300人と推定されています。併用療法で使用される肺がんでも新たな適応申請が認められれば、利用者は大幅に増えます。

 小野薬品は、2018年3月期の純利益を前期比23%減の430億円と予想しています。オプジーボの薬価引き下げの影響で減益ですが、2017年9月に胃がん患者にも投与が認められるようになって利用が増え、減益幅が縮小します。

 2018年3月19日(月)

 

日本は間もなく、重老齢社会に突入へ 75歳以上が高齢者の半数以上に

 日本の高齢化が間もなく、新たな局面に入ります。75歳以上の後期高齢者が65歳~74歳の前期高齢者を3月1日にも上回り、高齢者全体の半数を超えます。

 寝たきりや認知症など身体的な衰えが強まりがちな後期高齢者が急増する「重老齢社会」の到来で、定年退職後も元気なアクティブシニアが活躍する構図は次第に薄まり、高齢者をどう支えるのかがより深刻に問われる時代が来ます。

 総務省の人口推計によると、2月1日時点で75歳以上は1764万人、65歳~74歳は1766万人。寿命が延びていることから、後期高齢者は平均月3万人ペースで増加しており、早ければ近く発表される3月1日時点の人口推計で前期高齢者を上回る可能性があります。今後、75歳以上はどんどん増え、高齢者に占める割合は上がっていきます。

 政府は、人口に占める65歳以上の割合を「高齢化率」として算出しています。1947年~1949年生まれの「団塊の世代」が2012年に65歳に到達し始めてから高齢化率は急速に上がり、2017年時点では27%になりました。

 世界保健機関(WHO)などの定義では7%超の「高齢化社会」、14%超の「高齢社会」を上回り、21%超の「超高齢社会」と位置付けられます。

 ただ今の日本では、医療の発展などにより65歳を超えても元気な高齢者は多くいます。豊富な資産を持ち、積極的に旅行に出掛けたり趣味に打ち込んだりするアクティブシニアは、むしろ個人消費のけん引役にもなっていました。個人消費の約半分は、60歳以上の高齢者が占めます。

 そのような状況も、後期高齢者が中心になる重老齢社会の到来で変わりかねません。

 まず大きく変わるのが介護で、前期高齢者で要介護認定されている人は3%ですが、後期高齢者になると23%に跳ね上がります。65歳以上の高齢者が同じく65歳以上の高齢者を介護する「老々介護」は、75歳以上になると在宅介護の3割を占めるようになります。

 特に首都圏で、介護の問題は今後深刻になります。東京都は今後5年ごとに20万~30万人という急ピッチで、後期高齢者が増えていきます。東京都は昨年「超高齢社会における東京のあり方懇談会」を発足し、老々介護や空き家問題などの議論を始めています。

 認知症の高齢者も急増します。内閣府のデータによると、2012年は65歳以上の認知症患者数が462万人で約7人に1人でしたが、2025年には730万人で約5人に1人に増えるとされ、労働力が減る中、介護の負担が重くなるばかりか、金の流れに大きな影響を与えます。「日銀でも年金基金でもなく、認知症の人が有価証券の最大の保有者になる可能性がある」と、みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは気をもんでいます。

 厚生労働省が補助する研究によると、認知症の人は60歳代後半で約2%、70歳代前半で約5%なのに対し、70歳代後半になると約10%に急増します。株式などの有価証券の多くは70歳以上が保有しており、持ち主が認知症などになれば運用が凍結される可能性が高くなります。

 2035年には最大150兆円の有価証券を認知症の高齢者が保有すると高田チーフエコノミストは試算し、「生きたお金が回らなくなれば金融面からの成長が止まる」と懸念しています。

 財政の持続性などを研究する慶応義塾大学の小林慶一郎教授は、「これからは高齢者を支える負担が増す『重老齢社会』といえる局面に入る。金融や働き方、財政などさまざまな分野で社会課題からイノベーションを生み出す工夫が要る」と指摘しています。

 2018年3月18日(日

 

■8K画像の内視鏡で世界初の大腸がん手術を実施 国立がん研究センターなど

 国立がん研究センターとオリンパスなど4者は14日、8K技術を活用した新しい腹腔(ふくくう)鏡システムを開発し、大腸がんを対象にした臨床試験の手術を実施したと発表しました。

 8K技術による人を対象とした臨床試験は世界で初めてで、手術の安全性・根治性向上が期待できます。

 新しい腹腔鏡システムは、従来のハイビジョン(2K)の16倍に当たる3300万画素のスーパーハイビジョンの超高精細映像を活用したもので、8K硬性内視鏡と内視鏡の全体像を見る8Kモニター、拡大像を見る4Kモニターなどで構成しています。85度という広い視野角(2Kは30度)により、患部にカメラが接近する必要がなく、広い手術スペースを確保して機器の干渉防止といった安全性を高められます。

 国立がん研究センター中央病院で実施された臨床試験の手術では、麻酔をかけた大腸がんの女性の腹腔に内視鏡の先端を入れて固定し、医師は2つのモニターに映し出された全体の映像と一部を拡大した映像を見ながら、大腸の腫瘍を切除しました。

 視力で表せば4・27に相当する8Kの内視鏡を使うと、これまでは見えなかった細い血管も見えるため出血を減らせるほか、拡大してもはっきりと見えるため、内視鏡の先端を近付ける必要がなく、メスなどの機器の操作がスムーズになったとしており、手術は無事に終わったということです。

 国立がん研究センターなどでは、この8Kの内視鏡を使った手術を来年度までに25例実施し、安全性と有効性を確認した上で医療機器として国に申請したいとしています。

 執刀した塚本俊輔医師は、「思った以上にきれいに見えて驚いた。手術の安全性を高めるための大きな一歩になったと思う」と話していました。

 新しい腹腔鏡システムの開発には、国立がん研究センター、オリンパスのほか、NHKエンジニアリングシステム、NTTデータ経営研究所が参画しており、2016年度にシステムの開発を始め、試作品での動物実験、安全性検査などを検証してきました。

 2018年3月17日(土)

 

■日本ライフライン、AED169台を自主回収 電子回路部品の故障が判明

 日本ライフラインは13日、不整脈による突発的な心停止などの際に電気ショックを与えて救命する自動体外式除細動器(AED)の一部製品169台を、自主回収すると発表しました。製品の電子回路部品の故障により、作動せず救命処置に支障を来す可能性があるためです。

 自主回収するのは、韓国メーカーに生産委託し、日本ライフラインが昨年11月から今年2月までに販売した「カーディアックレスキューRQ-5000」のうち、製造番号が 00001700301~00001700460、 00001700491~00001700495、 00001700497~00001700500の製品。この不具合に起因した健康被害は、現時点では報告されていないといいます。

 昨年12月に新品のAEDを納品した際の検査で、電極パッドの電池を交換するよう音声メッセージが流れました。韓国メーカーで原因を調べたところ、特定の時期に生産された電子回路部品を使ったAEDが電極パッドを認識できないことが判明しました。

 AED169台は全国の105施設に設置しており、すでに顧客に連絡を取り始めています。

 2018年3月16日(金

 

■国立がん研究センター、肝臓の細胞の若返りに成功 治療法開発につながる可能性

 人の肝臓の細胞を特殊な化合物を使って肝臓の元となる細胞に変化させることに国立がん研究センターの研究チームが成功し、将来的に重い肝臓病の新たな治療法の開発につながる可能性がある成果として注目されます。

 国立がん研究センターの研究チームは、人の肝臓の細胞に2種類の特殊な化合物を加えることで、肝臓の細胞の元になる「肝前駆細胞」に変化させることに成功したということです。

 この肝前駆細胞は培養して大量に増やすことができ、肝臓の細胞が傷付いたマウスに注入したところ、2カ月ほどで傷付いた細胞のほとんどが注入した肝前駆細胞から変化した肝臓の細胞に置き換わって、肝臓の動きも正常に戻り、安全性の面でも問題は起きなかったということです。

 研究チームによりますと、人の肝臓の細胞を化合物で肝前駆細胞に変化させたのは世界で初めてだということで、今月開かれる日本再生医療学会で発表することにしています。

 国立がん研究センターの落谷孝広分野長は、「操作はとても簡単で、将来的には重い肝臓病の新たな治療法の開発につながる可能性がある」と話しています。

 2018年3月14日(水)

 

■近赤外線でがん治療、国内で治験始まる 国立がんセンター東病院

 近赤外線という光を使ってがんを治療する「がん光免疫療法」の国内初の臨床試験(治験)が、国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)で13日までに始まりました。

 アメリカの国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発した手法で、アメリカの製薬ベンチャー「アスピリアン・セラピューティクス」が同病院に実施を依頼しました。この治療法の国内での治験は初めて。

 頭や首のがん患者数人を対象に安全性を確認し、数年以内の承認を目指します。

 小林主任研究員は、「日本での治験を予想以上に早く始めることになった。副作用が少なく高い有効性を期待できる」と話しています。

 治療は、がん細胞の表面に多いタンパク質に結び付く抗体と、近赤外線に反応する化学物質をつなげ、薬剤として利用。この薬剤を患者に注射し、翌日にがんの部分に光を当てると、がん細胞に結び付いた薬剤に化学反応が起きて、がん細胞が破裂するといいます。

 さらに、破裂したがん細胞の成分に体の免疫機構が反応するため、光を当てた部位から離れた場所に転移したがんにも効果が期待できます。

 テレビのリモコンなどに使われている近赤外線は人体に無害で安全性が高いため、体の表面から離れた深い場所にあるがんにも、注射針に直径1~2ミリの光ファイバーを通して光を当てられます。

 治験の対象は、頭や首のがんが再発し、標準的な治療でも効果がない患者。2015年に始まったアメリカの治験では、治療を受けた15人中14人はがんが小さくなり、うち7人ではがんが消えたと報告されています。

 2018年3月14日(水)

 

■健康寿命は男性72・14歳、女性74・79歳 トップは男性が山梨県、女性が愛知県

 厚生労働省は9日、介護を受けたり寝たきりになったりせずに、健康な生活を送る期間を示す「健康寿命」が、2016年は男性72・14歳(同年の平均寿命は80・98歳)、女性74・79歳(同87・14歳)だったと公表しました。

 都道府県別(熊本県は震災の影響で調査なし)では、男性は73・21歳の山梨県、女性は76・32歳の愛知県が1位でした。男性は埼玉県73・10歳、愛知県73・06歳、岐阜県72・89歳、石川県72・67歳と続きました。女性は三重県76・30歳、山梨県76・22歳、富山県75・77歳、島根県75・74歳と続きました。最下位は男性が秋田県の71・21歳、女性が広島県の73・62歳でした。

 健康寿命は、国民生活基礎調査で「健康上の問題で日常生活に影響がない」と答えた人の割合や年齢別の人口、死亡数などから3年ごとに算出。前回調査の2013年時点の健康寿命は、男性71・19歳、女性74・21歳で、男性は0・95歳、女性は0・58歳延びました。記録のある2001年から健康寿命は延び続け、平均寿命との差も小さくなっています。

 厚労省の担当者は、「栄養管理や運動習慣が大切との啓発を進めてきており、意識が高まった結果」と分析。厚労省は、健康寿命と平均寿命との差を短くすることを目指しています。

 都道府県での格差も、男性2・00歳、女性2・70歳で、2010年時点の男性2・79歳、女性2・95歳から縮小。厚労省の担当者は、「山梨県はがん検診の受診率が高い。愛知県は健康づくりを推進するための市民ボランティアを養成している」と説明しました。

 2018年3月13日(火)

 

■伊藤ハム、ウインナー6万6000パックを自主回収 アレルギー物質の卵混入

 大手食品メーカーの伊藤ハムは12日、製造したウインナーから本来は含まれない卵が検出されたとして、自主回収することを発表しました。

 伊藤ハムが自主回収するのは、スーパー向けの商品では、「適量適価皮なしウインナー90g」と「Vパック皮なしウインナー280g」のうち、賞味期限が3月24日、28日、30日、4月3日、4日のものです。

 また、ローソンストア100向けの商品では、「バリューライン皮なしウインナー90g」のうち、賞味期限が3月28日、4月4日のものです。

 自主回収する商品は合わせて6万6545パックに上り、いずれも千葉県柏市の工場で製造されていました。

 伊藤ハムによりますと、11日に製造ラインの洗浄が不十分だったことがわかり、調べたところ、表示になく本来は含まれないアレルギー物質の卵が検出されたということです。

 これまでのところ、健康被害などの情報は寄せられていないということです。

 伊藤ハムは、「ご心配、ご迷惑をお掛けし、おわび申し上げます。再発防止に努めます」としています。

 購入者には、商品代金相当のクオカードを送付します。問い合わせの電話番号は「お客様相談室」0120ー01ー1186で、日曜日を除く午前9時から午後5時まで受け付けるとしています。

 2018年3月13日(火)

 

■血液中のビタミンD濃度高いと肝臓がんリスク低下  国立がん研究センターが調査

 国立がん研究センターは8日、血液中のビタミンDの濃度が高いと肝臓がんになるリスクが低下するとの調査結果をまとめました。ビタミンDは骨を作るのに重要とされ、魚介類やキノコ、卵などの食べ物から摂取する以外に、日光に当たると皮膚でも合成されます。過去の実験によると、ビタミンDはがん細胞の増殖を抑え、がん化する恐れのある細胞が死ぬのを促す効果があると考えられています。

 国立がん研究センターの山地太樹・分子疫学研究室長は、「ビタミンDの摂取は食事のバランスに加え、適度な日光浴が重要だ。ただ、血液中のビタミンD濃度が高ければ高いほどよいわけではなく、サプリメントなどで過剰に取る必要はないだろう」と話しています。

 研究チームは、1990年ごろに健康診断で血液を採取した岩手や沖縄など8県の40〜69歳の男女約3万4000人を、2009年まで平均約16年間追跡調査しました。この間にさまざまながんを発症した人と、がんにならなかった人の一部、計約8000人について血液中のビタミンD濃度を調べ、4グループに分類しました。

 そして、ビタミンD濃度とがんとの関連を解析したところ、臓器別でみると肝臓がんで顕著な差が見付かりました。ビタミンD濃度が最も高いグループの肝臓がん発症リスクは、最も低いグループの約半分でした。

 がん全体でみても、ビタミンD濃度が最も低いグループに比べ、他の3グループはがんのリスクが19〜25%低いという結果になりました。ただし、一定の濃度以上ではリスクが下げ止まっていました。

 欧米人を中心にした同様の調査では、大腸がんのリスクが下がっていました。今回、同じ結果にならなかったことについて山地室長は、「人種の違いなどが要因になっている可能性もある」と指摘しています。

 研究チームの論文は8日、イギリスの医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」(電子版)に発表されました。

 2018年3月12日(月)

 

■福島第一原発の半径80キロ圏、放射線量が約74%減少 原子力規制委員会が調査

 東京電力福島第一原子力発電所(福島県双葉郡双葉町・大熊町)から半径80キロの地域で、ヘリコプターを使って行っている地表付近の放射線量の調査について、原子力規制委員会は、昨年の秋に測定された値が事故が起きた2011年の秋に比べて平均で約74%減少したことを明らかにしました。

 原子力規制委員会は、福島第一原発の半径80キロの地域で、放射線検出器を搭載したヘリコプターを使って約300メートル上空から放射線の調査を行っており、測定された地上1メートルの1時間当たりの放射線量を9つの色に塗り分けた放射線量分布マップを作成しています。

 そのマップによりますと、現在とほぼ同じ測定方法になった事故から7カ月後の2011年10月の調査では、年間の被曝(ひばく)線量に換算すると避難指示解除の目安となる20ミリシーベルトに当たる1時間当たり3・8マイクロシーベルト以上の黄色や赤色の範囲が、原発から北西方向に30キロを大きく超えていました。

 それが6年後の昨年9月の最新の調査では、30キロより外側で1時間当たり3・8マイクロシーベルト以上になっている範囲は狭まり、飯舘村や浪江町の一部になっています。

 規制委員会によりますと、この2つの調査結果を半径80キロ圏全体で比較すると、放射線量は平均で約74%減少したということです。このうち63%は、時間の経過に伴って放射性物質が放射線を出さない別の物質に変化したことによるもので、残りの11%はそれ以外の要因によって起きたと推計されています。

 放射線量の測定について規制委員会は、大熊町や双葉町など避難指示が出されている自治体から依頼された合わせて5つの町と村で、一昨年から専用の車両などで移動式の測定を行っています。

 測定の結果は、避難指示の解除や住民の帰還の検討の参考にできるよう、航空機による調査よりも詳しい放射線量分布マップにして公表しているほか、自治体に提供しています。

 2018年3月12日(月)

 

■製薬会社のエーザイ、アメリカのメルクと提携 抗がん剤で売上高5000億円目指す

 製薬大手の「エーザイ」は8日、抗がん剤の開発でアメリカの製薬大手「メルク」と提携すると発表しました。エーザイの抗がん剤「レンビマ」を共同で開発・販売します。

 両社で臨床試験(治験)や販促の費用を折半して、メルクの抗がん剤「キイトルーダ」と一緒に投与する併用療法も開発します。メルクはエーザイと組んで、小野薬品工業などのがん免疫薬「オプジーボ」などに対抗します。

 レンビマをキイトルーダなどと組み合わせて、肝細胞がんや子宮内膜がんなど7がん種で使えるようにします。2020年代にレンビマの売上高で5000億円超を目指します。レンビマは単独でも甲状腺がんや一部の腎細胞がん治療で使われており、2017年3月期の売上高は215億円でした。

 メルクはがん免疫薬であるキイトルーダを世界84カ国で販売しており、同じくがん免疫薬のオプジーボと競り合っています。がん免疫薬はがんの細胞を攻撃するレンビマなど他の抗がん剤と併用すれば、治療の効果が高まるため、他社の薬と共同で治験を行う事例が増えています。レンビマも2015年からキイトルーダと併用するための治験を進めており、2019年以降に肝細胞や子宮内膜がん、膀胱(ぼうこう)がんで申請を目指しています。

 契約は2036年までで、メルク主導で開発を進めます。併用療法の治験は患者数を2倍以上に増やして、早い段階の治療から使えるよう試験データを充実させます。営業の人員も世界で1000人超と、エーザイ単独で行う場合の2倍以上に増えます。

 エーザイは契約一時金や研究開発費として、2017年度から計800億円を受け取ります。また、決められた条件を達成すれば、報奨金などで最大で5310億円を得られます。契約を受けて同日、エーザイは2018年3月期予想の連結純利益を前期比40%増の550億円と、従来から152億円引き上げました。

 メルクの研究開発部門責任者、ロジャー・パールマッター氏は、「レンビマは非常にユニークな薬。エーザイとは数年前から研究開発で協業してきた。レンビマとキイトルーダを併用することでお互いの薬の効果が高まるというデータを得て、併用による可能性を追求するためにも、エーザイとより密接な協業関係を築く必要性を感じた」と今回の協業について説明しました。

 世界的にがん患者が増加すると予想される中、新たな治療法につながる抗がん剤の開発を強化しようと、製薬業界では国際的な提携や買収の動きが相次いでいます。

 国内最大手の「武田薬品工業」は、抗がん剤の開発を加速するため、昨年、白血病や肺がんの治療薬の開発を進めるアメリカの「アリアド・ファーマシューティカルズ」を約6200億円で買収しました。

 このほか、アメリカの「ファイザー」が有望ながん治療薬を持つアメリカの「メディベーション」を約1兆5000億円で買収するなど、国際的な提携や大型の買収が相次いでいます。

 世界保健機関(WHO)の推計によりますと、新たにがんになる人の数は2012年の時点から2034年までに1・5倍の年間2200万人に増えると予想され、がんの治療薬を巡る製薬会社の再編の動きがさらに広がりそうです。

 2018年3月11日(日)

 

■「高カカオチョコで脳若返り」に追試求める 内閣府、裏付け不十分の指摘に

 内閣府のプロジェクトチームと食品大手「明治」が共同で「チョコレートを食べると脳が若返る可能性がある」と発表し、外部から裏付けが不十分と指摘された問題があり、内閣府は8日、「追加試験を行うべきだ。発表に慎重さが必要だった」とする検証結果を有識者会議で報告しました。

 大型研究支援事業「革新的研究開発推進プログラム(通称・インパクト)」を利用した研究で、NTTデータ経営研究所の山川義徳氏がプロジェクトチームを統括。昨年1月、明治と共同で「高カカオチョコレートに大脳皮質の量を増やし、学習機能を高める(脳が若返る)可能性があることを確認した」と発表しました。

 その発表によると、共同研究チームは、脳の構造を画像化する磁気共鳴画像装置(MRI)を使って、大脳皮質の量を数値化する手法を開発。試験的にカカオを70%以上含むチョコレートを1日25グラムずつ、4週間にわたって45~68歳の男女30人に食べてもらった結果、18人で学習機能を高めるとされ、年齢を重ねるとともに小さくなる大脳皮質の量が平均で1・1ポイント増え、特に女性でその傾向が強かったとしていました。

 しかし、結果を疑問視する声が上がり、内閣府の有識者会議が昨年5月から、問題の研究の検証作業を進めていました。内閣府が2月22日に公表した評価報告書では、「チョコレートを食べた集団のデータだけで結論を出しており、摂取していない集団との比較がなく、被験者の数も少ないなど実験デザインに問題があった」「エビデンス(根拠)が十分でない研究成果を勇み足で発表した」と説明していました。

 8日の有識者会議で公表した検証結果では、「比較対照を置く必要があった」と指摘。内閣府の担当者が「個別の商品にお墨付きを与える結果になった」と発言し、チェック体制の不備を認めました。今後実験をやり直し、データをもとにどんな結論が得られるか再考します。

 今回の問題を受け、内閣府は研究リーダーを監督する統括責任者を置く方針で、研究の発表前に外部専門家の意見を求めるなどしてチェック体制を強化します。

 明治は、「報告書の内容を把握していないので、コメントできない」としています。

 2018年3月11日(日)

 

■iPS細胞から作製した心筋シート移植による治療 大阪大が厚労省に臨床研究を申請

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉(心筋)の細胞シートを重い心臓病の患者に移植して治療する臨床研究を目指している大阪大学の研究チームは10日までに、計画を厚生労働省に提出し審査を申請したことを明らかにしました。研究チームでは審査で認められれば、今年半ばにも1例目の手術を行いたいとしています。

 大阪大の澤芳樹教授らの研究チームは、京都大学が備蓄している拒絶反応を起こしにくいiPS細胞から作製した心筋の細胞約1億個を厚さ約0・1ミリ、直径約5センチのシート状にして、18歳~79歳の虚血性心筋症患者3人の心臓に直接貼り付け、心臓の機能の回復を目指す臨床研究を計画しています。

 iPS細胞を使って臨床研究を行う場合は、再生医療安全性確保法で研究の計画が学内の委員会で承認された上で、さらに厚労省の審査でも認められることが必要とされています。

 研究チームによりますと、計画が大阪大学内の専門家委員会で了承されたことを受けて10日までに、厚労省に審査を申請したということです。厚労省は部会で審査を行い、通常90日以内に結論が出されるということです。

 iPS細胞から作製した細胞を患者に移植する臨床研究は、理化学研究所などの研究チームが目の難病の加齢黄斑変性の患者に実施しています。ほかの病気ではまだ例がなく、心臓病の治療で行われるのは世界で初めてだということです。

 理化学研究所などの研究チームは、これまで6人の患者に対し、iPS細胞から作製した約10万から25万個の網膜の細胞を移植する手術を行いましたが、網膜の場合は目を検査することで直接、細胞を確認することができるため、異常があっても素早く対処できるとされ、現在は経過を観察するなどして治療の効果を調べています。

 大阪大の臨床研究はこれに続くものですが、使う細胞の数は網膜の時の400倍から1000倍となる約1億個で、移植する部位も体の奥深くとなり問題があってもすぐに取り除くことができないため、これまでよりも高い安全性が求められ難しい技術になると関係者はみています。

 2018年3月10日(土)

 

■医薬品売上高10兆5149億円、前年比1%減 2010年以降で初めて前年を下回る

 2017年の国内医療用医薬品の年間売上高は10兆5149億円(薬価ベース)と3年連続で10兆円を超えたものの、前年に比べて1%減少して2010年以降では初めて前年を下回ったことが、調査会社アイキューヴィア(東京都港区)のまとめで明らかになりました。

 国内市場の約4割を占める病院市場(病床100床以上)の年間売上高が4兆5092億円で前年比1・4%減と大きく下げ、2010年以降では初めて前年を下回ったことが、影響しました。開業医市場(病床100床以下)は0・4%減の2兆1661億円、薬局その他市場は0・9%減の3兆8394億円と、ともに2年連続マイナス成長となりました。

 種類別では、がん治療薬がトップの1兆301億円(前年比7・5%増)で、初めて1兆円を突破しました。2位は糖尿病治療薬で5505億円(前年比5・2%増)、3位は高血圧治療薬で4614億円(前年比8・9%減)。

 2016年は2位だった抗ウイルス薬は3391億円(前年比44・2%減)で、9位に下がりました。売上高が多く、効果が高いC型肝炎治療薬「ハーボニー」「ソバルディ」による治療を終えた人が増えたためとみられます。

 がん治療薬の中では、大腸がんなどの分子標的薬「アバスチン」が1142億円でトップ。免疫治療薬「オプジーボ」は1003億円で3位で、2017年2月から半額になった影響から売上高は前年比6・9%減でした。2017年2月発売の免疫治療薬「キイトルーダ」は、がん治療薬の8位になりました。

 売上1000億円を超えたのは、アバスチンのほか、胃潰瘍薬「ネキシウム」、オプジーボと、前年より1製品少ない3製品となりました。

 販売会社の上位3社は、武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬の順で、日医工と沢井製薬のジェネリック医薬品メーカーが初のトップ20入りを果たしました。

 調査会社アイキューヴィアは、アメリカに本社がある国際的な医療情報提供会社で、医薬品の卸販売会社から得たデータを元に市場統計を作っています。

 2018年3月9日(金)

 

■幹細胞でウサギの心筋梗塞が改善 岐阜大・東北大、臨床試験を開始

 岐阜大学大学院の湊口信也教授と東北大学大学院の出澤真理教授らは6日、「Muse(ミューズ)細胞」と呼ばれる幹細胞を使い、急性心筋梗塞のウサギを治療できたと発表しました。病気を起こしたウサギに、別のウサギや人から取り出したMuse細胞を点滴で投与しました。心機能の回復などの効果が、半年以上の長期にわたって確認できたといいます。

 Muse細胞は、出澤教授らが見付けた幹細胞の一種で、体内の骨髄などにわずかに含まれ、体のさまざまな組織の細胞に育つ能力があるとされます。

 実験には、ウサギや人の骨髄から取り出したMuse細胞を使いました。急性心筋梗塞を起こし たウサギに、約30万個のMuse細胞を点滴で投与しました。病気のウサギ自身の細胞だけでなく、別個体のウサギや人のMuse細胞の投与でも、2週間ほどで心臓のポンプ機能を回復させ、心筋梗塞が起きた部位を縮小させる効果が同程度あることがわかったといいます。

 投与したMuse細胞は、心臓の障害が起こった部位に集まり、心筋の一部に育ったとみられました。細胞が壊れた時に膜の一部が変化してできる物質のシグナルを受け取って、Muse細胞が引き寄せられると研究チームは分析しています。

 東北大学の出澤教授は、「体に備わる修復機構を最大限に活用した『修復医療』という考え方を提示していきたい」と話していました。

 この岐阜大学と東北大学の研究チームの成果などを基に、三菱ケミカルホールディングス傘下の生命科学インスティテュート(東京都千代田区)が中心となって、心筋梗塞の治療で臨床試験(治験)を今年1月から始めています。今年中に心筋梗塞の患者6人にMuse細胞を投与するということで、同社は2021年の実用化を目指しています。

 2018年3月9日(金)

 

■マダニ媒介の感染症、前年比1・5倍 この5年間で最多

 マダニが媒介する重症熱性血小板減少症候群(SFTS)と呼ばれる感染症を発症したとして報告された昨年の全国の患者数は89人と、前の年の約1・5倍となり、この5年間で最も多かったことが、国立感染症研究所のまとめで明らかになりました。

 SFTSは、主に原因となるウイルスを持つ野外のマダニにかまれることで感染し、6日~14日後に発熱や下痢などの症状が引き起こされます。重症の場合は死に至ることもあり、国内での致死率は約20%に上るとされています。

 国立感染症研究所のまとめによりますと、昨年、SFTSを発症したとして全国から報告された患者の数は89人と、前の年に報告された60人の約1・5倍となり、統計を取っているこの5年間で最も多くなりました。死亡者は7人で、前の年の8人から1人減りました。

 都道府県別では、宮崎県で13人と最も多く、次いで山口県で12人、長崎県と鹿児島県で11人と西日本を中心に20府県から報告されました。

 また、初めて大阪府と福井県で患者が報告されたほか、SFTSが犬や猫から人に感染した例も初めて報告されました。

 国立感染症研究所の西條政幸部長は、「SFTSを疑って診断する医師が増えたことに加え、マダニの活動も活発だった可能性がある。これから登山や農作業などで草むらに入る人が増える季節になるが、長袖と長ズボンを着用するなどマダニにかまれない対策を十分にしてほしい」と話しています。

 2018年3月9日(金)

 

■インフルエンザ新治療薬「ゾフルーザ」、14日から保険適用 服用1回で治療が完結

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は7日、塩野義製薬のインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」の14日からの保険適用を承認しました。口から飲む錠剤タイプで、1回の服用で治療できる点に特徴があります。飲み忘れを防ぎ、高齢者などへの身体的負担が軽くなるといった効果が期待できます。

 薬価(薬の公定価格)は10ミリグラムが約1500円、20ミリグラムが約2400円。体重が40キロから60キロの大人の場合、服用量は20ミリグラム錠2錠、12歳未満の体重15キロの子供なら10ミリグラム1錠となります。新薬のため、既存薬のタミフル(大人向け錠剤、5日分約2800円前後)と比べると割高。4800円、1500円のうち患者負担は1〜3割(自治体の子供への補助制度などは考慮しない場合)となります。

 塩野義製薬が販売するインフルエンザ治療薬インフル薬は、2010年に発売した「ラピアクタ」に続いて2品目。タミフルなど既存の治療薬はウイルスの増殖を阻害する効果がないため、1日2回、計5日間は治療を継続する必要があります。一方、ゾフルーザはウイルスが自分を複製するための酵素を阻害します。細胞内で増殖できなくなるので、1回の服用で治療が完結する仕組みとなっています。

 ゾフルーザは、厚労省が2015年に創設した「先駆け審査指定制度」に指定されていました。画期的な医薬品や医療機器を早期に実用化するため審査期間を短くする制度で、医療機器ではノーベルファーマ(東京都中央区)の「チタンブリッジ」が承認されていますが、医薬品ではゾフルーザが第1号となります。

 2018年3月9日(金)

 

■昨年のアニサキス食中毒患者、前年から倍増し240人 幼虫が寄生した生魚を食べると激しい腹痛

 魚の内臓に寄生するアニサキスによる食中毒の報告患者が2017年は前年と比べ約2倍に増えたことが、厚生労働省の集計で明らかになりました。患者は速報値で240人を数え、前年の126人からほぼ倍増しました。

 1カ月の平均は2017年1〜4月は約13人でしたが、多くの新聞やテレビで被害状況が報道された5月以降は約24人になりました。

 国立感染症研究所寄生動物部第二室の杉山広・前室長は、「アニサキスの食中毒が急に増えたのではなく、多くのメディアで報道され、患者や医師の間で認知度が高まったのだろう」とみています。

 食中毒の患者を診察した医師は、保健所への届け出が法律で義務付けられています。2005年~2011年までの7年間に医療機関を受診した約33万人分のレセプト(診療報酬明細書)を基にした杉山室長の推計では、年間のアニサキス患者は約7000人。杉山室長は、「報告件数はまだまだ『氷山の一角』。消費者も食品業者も気を付けてほしい」と指摘しています。

 アニサキスは回虫類の一種で、幼虫がサバやカツオ、サケ、イカ、サンマなどに寄生。魚介類が死ぬと、内臓から筋肉に移動します。幼虫は長さ2~3センチ、幅0・5~1ミリくらいで、白い糸のように見えるのが特徴です。

 アニサキスが寄生した魚は十分に加熱するか、24時間以上冷凍すれば問題はありませんが、刺し身など生で食べた場合は人の胃壁や腸壁をアニサキスの幼虫が刺すなどして、みぞおちの激しい痛みや腹膜炎症状を引き起こし、吐き気、嘔吐(おうと)を伴います。酢で締めたり、しょうゆを付けたりしても予防効果はないといいます。

 専門家によると、放置しても人の体内では3~4日程度で死ぬものの、痛みが激しいため、医師の診断を受け、内視鏡により上部消化管から取り除くことが推奨されるといいます。

 厚労省は対策として、70度以上で加熱する、零下20度で24時間以上冷凍する、新鮮な魚を選び早めに内臓を除く、生で食べる前には目視でよく確認し取り除くなどを挙げています。

 2018年3月8日(木)

 

■甲状腺がん、新たに1人増えて計160人に 福島県の子供対象検査

 東京電力福島第一原発事故の影響を調べる福島県の「県民健康調査」検討委員会が5日開かれ、県は原発事故の発生時に18歳以下だった子供らに実施している甲状腺検査で、昨年12月末までに新たに1人が甲状腺がんと診断されたと報告しました。

 検討委員会は「これまでのところ被曝(ひばく)の影響は考えにくい」と説明しています。

 甲状腺検査は原発事故の発生時に福島県内に住んでいた子供を対象に、2011年から1巡目を開始。2014年度から始まった2巡目からは、事故後1年間に生まれた子供を加えた約38万人を対象にしており、来年度に4巡目が始まります。

 今回の報告で1〜3巡目を合わせると、がんの確定は計160人、がんの疑いは計36人となりました。

 今回の検討委員会では、福島県内の学校で授業や休み時間に児童生徒を集め、甲状腺の超音波検査をしていることが「強制的ではないか」との批判が一部で上がり、今後の検討課題にするとしました。

 甲状腺検査を巡っては、「手術の必要がないがんを見付け、心身に負担を掛けている」との指摘があり、検査規模の縮小を求める声があります。

 2018年3月7日(水)

 

■乳幼児用粉ミルク5万6158個を自主回収 アサヒグループ食品とグリコ子会社

 アサヒグループ食品は6日、乳幼児向けのスティックタイプの粉ミルク計約4万5266個を自主回収すると発表しました。栃木県さくら市にある工場の生産ラインの不具合により、酸化防止のためにスティックの中へ入れる窒素ガスの量が不十分で、賞味期限より前に風味が損なわれやすくなるため。飲んでも健康に影響を及ぼすことはないといいます。

 アサヒに製造を委託していた江崎グリコの子会社、アイクレオも6日、粉ミルク計1万892個を自主回収すると発表しました。自主回収するのは、2社合わせて計5万6158個になります。

 アサヒが回収するのは、賞味期限が2019年7月17日~8月11日の「レーベンスミルク はいはい スティックパック」と、同商品を8本入れた試供品で賞味期限が7月14日のもの。「フォローアップミルク ぐんぐん スティックパック」の賞味期限が7月11日~8月17日の商品も対象。

 アイクレオは、「フォローアップミルク スティックタイプ」のうち、賞味期限が7月21日~24日の10本入りと、賞味期限が7月18日~25日の試供品5本入りが対象となります。

 購入者には回収の上、商品代金相当のクオカードを送付します。問い合わせは、アサヒははいはい・ぐんぐんスティックパック係(0120・016・082)、アイクレオはフォローアップミルク係(0120・747・288)。受け付け時間は平日午前9時~午後5時で、10日、11日も受け付けます。

 2018年3月7日(水)

 

■京都大、iPS細胞やES細胞の安価な培養法を開発 培養液費用10分の1に

 京都大学の長谷川光一特定拠点講師らの研究チームが、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)の作製で大量に使う培養液の費用を従来の5分の1〜10分の1に抑える手法を開発しました。

 実用化されれば、iPS細胞などを活用した再生医療や創薬のコスト削減につながる可能性があるといいます。論文が6日、イギリスの科学誌「ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング」(電子版)に掲載されました。

 iPS細胞やES細胞などの万能細胞を再生医療に使う際は、万能細胞が別の細胞に変化してしまうのを抑えながら増やす必要があります。培養液に加えるタンパク質が重要で、市販の培養液では4種類以上を用いています。

 研究チームは万能細胞が性質を維持する仕組みを詳しく調べ、4種類のうち、大腸菌などに作らせて精製する手間が必要で高価な2種類を3種類の化学合成物質で置き換えても同等の性能が得られることを見付けました。3種類の化学合成物質はそれぞれ万能細胞の増殖・分化を促したり、変化を抑えたりする働きを持つといいます。

 今回使った化学合成物質はいずれも入手が容易で、培養液を1リットル当たり8000円で作れました。これまでは、研究用で5万円〜7万円程度、臨床用で9万円〜13万円程度でした。

 長谷川講師は、「安全性や耐久性などをさらに確認し、なるべく早く実用化したい。大量生産すれば製造原価はさらに下がる」と話しています。

 今後、協力企業を募り、大学などの研究用として年内にも培養液を発売します。臨床用への応用も目指します。

 2018年3月6日(火)

 

■世帯年収が少ない女性ほど肥満リスク大 滋賀医科大が調査

 世帯年収が少ない女性ほど肥満リスクが高い傾向にあることが、全国約2900人のデータ分析でわかったと、滋賀医科大学の三浦克之教授(公衆衛生学)らの研究チームが5日、発表しました。

 厚生労働省からの補助金でデータ分析を実施し、成果は日本疫学会誌に掲載されました。健康格差を是正する施策に役立てばとしています。

 厚労省の2010年国民生活基礎調査と国民健康・栄養調査に参加した全国の20歳以上の男女2891人が、追跡調査の対象になりました。就業状況や教育歴、世帯支出などの社会的要因と、体格や食事の傾向などの生活習慣・健康状況との相関性を統計学的に分析しました。

 65歳未満の女性では、世帯年収が200万〜600万円未満だと、肥満リスクは600万円以上の女性に比べ1・7倍、世帯年収が200万円未満だと約2・1倍になりました。教育を受けた年数が9年以下(小中学校)の女性では、肥満リスクが10年以上の女性に比べ約1・7倍になりました。

 65歳未満の男性では、世帯年収が200万円未満だと1・46倍になりましたが、200万〜600万円未満では1・03倍で大きな差はありませんでした。また、教育を受けた年数が9年以下の男性では、肥満リスクが10年以上の男性に比べ1・02倍でした。

 また、摂取エネルギーに占める炭水化物の割合は、世帯年収600万円以上の男性が58・6%なのに対し、200万円未満の男性は61・1%、女性の場合も600万円以上が56・8%なのに対し、200万円未満は59・7%と、世帯年収が低いほど炭水化物の摂取が増えていました。

 研究チームは、「安価なもので腹を満たそうとすると炭水化物に偏るのでは」と推測。女性の場合は、世帯年収や教育を受けた年数の差が食事の傾向などに影響し、肥満につながるとみています。

 三浦教授は結果について、「個人が生活習慣を見直したり、医療機関が患者の健康管理に注意したりする切っ掛けになればよい」としています。チームは「安価なもので腹を満たそうとすると、炭水化物に偏るのでは」と推測。偏った食習慣などが肥満につながる一因とみている。

 2018年3月6日(火)

 

■高額な抗がん剤オプジーボ、薬価引き下げへ 4月以降に1瓶約27万円

 高い治療効果が確認された一方、高額な費用がかかる、がんの治療薬「オプジーボ」について、厚生労働省は2年に1度行われる薬価(薬の公定価格)の改定に伴い、来月から約24%引き下げることを決めました。

 公的医療保険が適用されるがんの治療薬「オプジーボ」は、手術ができないほど進行した皮膚がんを縮小させるなど高い治療効果が確認された一方、1人当たり年間およそ3500万円も費用がかかり、保険財政を圧迫するため、厚労省は昨年2月、定期的な薬価の改定を待たずに緊急的な措置として、50%引き下げました。

 そして、2年に1度行われる薬価の改定に伴い、厚労省がオプジーボの薬価を改めて検討した結果、患者数の多い肺がんの治療にも使えるようになったことや、海外での販売価格との差などを考慮して、来月からさらに約24%引き下げることを決めました。

 これにより、4月以降、オプジーボの薬価は現在の100ミリグラム1瓶当たり36万4925円から、27万8029円に引き下げられます。2014年に皮膚がんの一種である悪性黒色腫(メラノーマ)の治療薬として保険適用された時は約73万円で、当初から6割超下がることになります。

 薬価は2年に1度、市場での流通価格に公定価格を近付ける形で改定します。今回の対象となる医薬品は約1万6400品目あり、全体の改定率は7・48%減でした。革新的な新薬の薬価を一定期間維持する「新薬創出加算」は対象を大幅に絞り込み、対象品目は823から560に、加算総額も250億円減って810億円となりました。

 2018年3月6日(火)

 

■慢性的な大量飲酒、認知症リスクが3倍以上に フランスの成人110万人を精査

 慢性的な多量飲酒が原因のアルコール摂取障害はあらゆる種類の認知症、とりわけ65歳未満で発症する若年性認知症の主要な危険因子であることが、公衆衛生に関する専門誌「ランセット・パブリック・ヘルス」(電子版)に21日に発表された研究論文で明らかになりました。

 研究者らがフランスの若年性認知症の5万7000人以上の症例を調査した結果、半分を優に超える症例が慢性的な多量飲酒が原因とされるアルコール依存症や、アルコール依存症には至らないものの飲酒による身体的、あるいは精神的、社会的な問題があるアルコール摂取障害であることが判明しました。全体として、アルコール依存症やアルコール摂取障害は、アルツハイマー型認知症を含むあらゆる種類の認知症のリスクを男性で3・36倍、女性で3・34倍高くすることに関連付けられました。

 従来の研究では、認知機能に対するアルコールの影響については結論が出ていませんでした。一部の研究では、少量から中量の飲酒には利点がある可能性を示しているものの、他の研究では、大量飲酒は認知症のリスクを上昇させると結論付けています。

 世界保健機関(WHO)は「慢性過剰飲酒」の定義として、男性で基準量の6杯か、それ以上である1日当たり純アルコール60グラム以上(アルコールドリンク約6杯以上に相当)、女性で40グラム以上としています。

 今回の調査では、研究者らは2008年から2013年にフランス都市部の病院に入院した患者のうち、認知症と診断された110万9343人の医療記録を精査。その結果、アルコールとの関連が統計学的に明白であることが示されたため、論文著者はアルコール飲料を入手しにくくするほか、増税や広告および販売への規制といった対策を講じるとともに、アルコール摂取障害の早期発見と早期治療を推し進める必要性を訴えています。

 これまでの研究でも、大量飲酒や喫煙、うつ病、学歴の低さは、認知症の危険因子としての関連性が確立されています。

 今回の研究は、フランス全土の病院の6年間にわたる患者の退院記録に基づいたもので、まれな認知症と関連する疾病の患者や若年の精神障害の人々は対象者から除外されています。

 研究論文の主著者でトランスレーショナル・ヘルス・エコノミクス・ネットワークのマイケル・シュワルジンガー氏は、「認知症とアルコール摂取障害との関連については引き続き検証する必要があるが、アルコールが脳の構造や機能に永続的なダメージを与えた結果ではないか」と考察した上で、「アルコール摂取障害に起因した認知症は、これまで考えられていたよりずっと多い。従って、多量飲酒がすべての型の認知症の主要なリスク因子であることを認識しておく必要がある」と強調しています。

 2018年3月6日(火)

 

■赤ん坊が最も安全に生まれる国は日本、新生児の死亡率最低 ユニセフが報告

 国連児童基金(ユニセフ)は2月20日付で、世界各国の新生児の死亡率を比較する報告書を発表しました。日本が最も死亡率が低く「赤ん坊が最も安全に生まれる国」と指摘する一方、最悪のパキスタンは約50倍の高さで、ユニセフは新生児の死亡は大半が予防可能だとして、死亡率が高い国への支援を訴えています。

 生後28日未満で死亡した乳児の割合(2017年時点の推計)を比較。日本は1000人当たり0・9人で、アイスランドの1・0人、シンガポールの1・1人、フィンランドの1・2人が続きました。先進国でもカナダ(38位、3・2人)やアメリカ(41位、3・7人)は、低い順位になりました。

 最も死亡率が高かったパキスタンは45・6人で、中央アフリカの42・3人、アフガニスタンの40・0人、ソマリアの38・8人が続きました。最悪の10カ国中8カ国が、貧困や紛争がはびこるサハラ砂漠以南のアフリカでした。

 世界全体では死亡した新生児が年間約260万人に上り、約100万人が生まれた日に亡くなりました。

 死亡原因の8割以上が、早産や出産時の合併症、肺炎などの感染症。助産師がいて清潔な水や消毒剤などがあれば、助かることが多いといいます。

 子供の病気に有効な薬剤の普及などにより、過去25年間で世界の5歳未満児の死亡率はほぼ半減しましたが、新生児の死亡率の引き下げは社会全体の取り組みが必要なため、貧しい国々を中心に課題が山積しています。

 ユニセフのフォア事務局長は、「私たちは世界の最も貧しい子供たちを見捨て続けている」と指摘しました。

 2018年3月5日(月)

 

■たばこ1日1本でも、心筋梗塞リスク1・5倍 喫煙に安全なレベルなし 

 たばこを1日1本でも吸う人は、全く吸わない人に比べて心筋梗塞(こうそく)や脳卒中などの危険性が約1・3〜1・6倍に高まるとする研究結果を、イギリスのロンドン大学などの研究チームが発表しました。研究チームは、「病気のリスクを下げるには、たばこの本数を減らすのではなく禁煙するべきだ」としています。

 1946年〜2015年に発表された55本の研究論文から喫煙者のデータを分析し、1日当たりの喫煙本数を1本、5本、20本に分類し、病気になるリスクを全く吸わない人と比較しました。

 心筋梗塞など冠動脈疾患のリスクは、たばこを1日1本吸う男性は1・48倍、女性で1・57倍でした。1日5本吸う男性では1・58倍、女性では1・76倍に高まり、1日20本吸う男性では2・04倍、女性では2・84倍に高まりました。1日20本吸っていた人が1本に減らしても、リスクは20分の1に下がることはありませんでした。

 脳卒中のリスクは、たばこを1日1本吸う男性は1・25倍、女性は1・31倍でした。1日5本吸う男性では1・30倍、女性では1・44倍に高まり、1日20本吸う男性では1・64倍、女性では2・16倍に高まりました。

 大阪国際がんセンターの田淵貴大(たかひろ)・疫学統計部副部長は、「喫煙に安全なレベルはないと改めてわかった。加熱式たばこで考えると、有害物質が少なくても、人体への害がそれほど減らない可能性を示している」と話しています。

 2018年3月4日(日)

 

■新出生前診断、実施する施設拡大へ 臨床研究を終了し一般診療に

 妊婦の血液で胎児の染色体異常を調べる新出生前診断(NIPT)について、日本産科婦人科学会は3日、全国約90の認定医療機関で実施している臨床研究を終了し、一定の条件を満たした病院での一般診療とすることを決定しました。  

 検査結果を説明する支援体制の整備など病院側が満たすべき条件は、変わりません。臨床研究の手続きを避けていた医療機関の中には、実施に踏み切る所が出て施設拡大にもつながりそうです。

 新出生前診断は妊婦の血液を流れる胎児のDNAから、ダウン症、エドワーズ症候群、パトー症候群を引き起こす3つの染色体異常を判別します。採血だけで簡便に判別できますが、中絶などの命の選別につながりかねないという懸念があります。

 日本産科婦人科学会は2013年に、新出生前診断に関する指針を作成。病院が詳細な計画を立て倫理審査などをすることを条件とする臨床研究として、大学病院や総合病院など89施設で実施してきました。昨年9月までの4年半でに5万1139人の妊婦が新出生前診断を受け、胎児の染色体異常が確定した700人のうち97%に当たる654人が人工妊娠中絶を選択しました。

 学会は3日の理事会で、新出生前診断を臨床研究での実施に限定していた条件をなくする方針を決めました。遺伝子検査の内容を説明する専門家「遺伝カウンセラー」による支援体制の整備や、羊水検査などを実施できるといった病院が満たすべき条件は、維持するといいます。

 対象者についても、35歳以上とする年齢制限や、超音波検査などで胎児の染色体異常が示唆された場合などの条件をすべて維持する見通し。20万円を超える検査費用は保険適用されず、患者の自己負担です。

 学会は今後、実際に実施施設を認定する日本医学会と協議し、新たな条件に変更する時期などを決めます。背景には、学会の認定を受けずに検査を実施している民間の医療機関の存在もあります。このような検査は法律での制限はなく、学会が作成した指針に沿って医療機関が実施していますが、指針に強制力はなく、認定を受けていない民間の医療機関では、専門家による十分なサポート体制がありません。妊婦が混乱するもとで、中絶の増加につながる可能性があります。

 日本産科婦人科学会の久具宏司倫理委員会委員は3日の理事会後に記者会見し、「検査への理解も進みつつあり、今回の変更で少しでも実施施設が増えてほしい」と述べ、実施施設のない空白域を減らすためにも拡大に踏み切ったことを明らかにしました。

 2018年3月4日(日)

 

■コンタクト外さず脳死判定し、眼球摘出 厚労省検証会議「脳死判定は妥当」

 昨年8月、兵庫県の県立病院で脳死判定を受けた40歳代女性から摘出された眼球にソフトコンタクトレンズが装着されたままになっていた可能性があると2日、厚生労働省が公表しました。脳死判定で角膜の反射を確認する際、伝わる刺激が弱まった恐れがありますが、厚労省の検証会議は「脳死と判定したことは妥当」と結論付けました。

 厚労省によると、女性は昨年8月3日、くも膜下出血のため兵庫県の県立病院で脳死と判定されました。脳死判定をするには角膜の反射をみる検査が5種類あり、県立病院はいずれの検査も行った上で脳死と判定し、心臓や肝臓などとともに眼球を摘出しました。

 しかし、摘出した眼球が提供された兵庫アイバンクで、角膜にソフトコンタクトレンズが着いたままだったことが判明し、厚労省などに連絡しました。

 脳死判定した県立病院の医師は、「コンタクトレンズは付いていなかった」と話しており、わかりにくい箇所にずれていたか、眼球にかなり密着した状態になっていた可能性があります。

 マニュアルでは、脳死判定に必要な角膜反射の観察は、角膜を露出させて行うこととなっています。厚労省の検証会議は「コンタクトの影響で脳死判定の際に角膜に伝わる刺激が弱まった恐れがあり、不適切」と指摘しましたが、他の検査が正しく行われており脳死と判定したことは問題ないとしました。

 厚労省は臓器提供を行う全国の施設に、マニュアル順守の徹底を求める通知を出しました。

 2018年3月4日(日)

 

■「エイズは死に至る病」と5割以上が誤解 内閣府世論調査

 「エイズは死に至る病」と誤解している人が5割以上いることが、内閣府が2日に発表した世論調査で明らかになりました。かつて「不治の病」のイメージが強かったエイズには現在ではさまざまな治療薬が開発されていますが、内閣府は正しい認識が広がっていないとみています。

 政府によると、エイズの原因はHIVと呼ばれるウイルス。感染すると完全に除去することはできないものの、薬で増殖を抑制し、免疫力を維持できます。適切な治療を続ければ、普通の生活を送り、子供を産むことも可能といいます。

 エイズに関する世論調査は2000年以来の実施で、今年1月11日~21日、18歳以上の日本国籍の3000人に調査。55・7%に相当する1671人から対面で有効回答を得ました。

 エイズの印象を複数回答で尋ねると、「死に至る病」が52・1%と最多。「原因不明で治療法がない」が33・6%、「特定の人たちにだけ関係のある病気」が19・9%、「通常の社会生活はあきらめなければならない」が11・0%と、いずれも誤った認識が続きました。正答の「不治の特別な病と思わない」を選んだのは、15・7%でした。

 治療に関する質問では、いずれも正答の「治療で他人に感染させる危険性を減らせる」が33・3%、「適切な治療をすれば感染していない人とほぼ同じ寿命を生きることができる」が26・5%ありました。

 感染原因については、「無防備な性行為」が85・3%、「注射器の回し打ち」が73・6%、「カミソリや歯ブラシの共用」が43・7%、「授乳」が22・3%と正しい回答がある一方、「蚊の媒介」が24・9%、「軽いキス」が17・4%といった誤った回答もありました。

 HIV検査は全国の保健所で匿名・無料で受けられますが、約半数の48%が「知らない」と答えました。

 今回の内閣府の調査は、今年1月にエイズの知識の普及啓発や治療に関する指針を厚生労働省が改正したことを受けて実施しました。厚労省の担当者は、「エイズに対する誤ったイメージを持っている人が多いことが浮き彫りになった。イベントなどの機会やさまざまな媒体を使って、薬の服用を続けることで症状を抑えられるなど、正しい知識の浸透を図りたい」と話しています。

 2018年3月3日(土)

 

■iPS細胞由来の医薬品の商業用生産施設完成 大日本住友製薬が世界初

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)を変化させた細胞を治療用製品として生産する大日本住友製薬の施設が1日、大阪府吹田市に完成しました。同社によると、iPS細胞由来の再生医療製品の商業用の生産施設は世界で初めて。まずは臨床試験(治験)向けの細胞などを生産していきます。

 施設名は「SMaRT(スマート)」で、地下鉄御堂筋線江坂駅から徒歩7分の同社総合研究所内に立地。地上2階建てで、延べ床面積は約2915平方メートル。投資額は約36億円。生産する細胞の種類ごとに3つのゾーンに分け、微粒子の混入を防ぎながら人が作業できる設備や自動培養装置を備えています。

 京都大学iPS細胞研究所などから供給されるiPS細胞をこの施設に運び、細胞を増やしたり、網膜の細胞など目的の細胞に変化させたりして、治療に使える再生医療製品として出荷します。3つのゾーンでそれぞれ年間数百人を治療できる量の細胞を生産できるといいます。

 大日本住友製薬は、理化学研究所や京都大学、慶応大学などと連携し、「加齢黄斑変性」や「網膜色素変性」といった目の病気、パーキンソン病、脊髄(せきずい)損傷をiPS細胞を使って治療する医療製品の開発を進めています。再生医療を事業の次の柱の1つにしたい考えで、2030年にこの分野で2000億円の売上高を目指しています。

 多田正世社長は、「医薬品の業界では一番手が圧倒的に優位に立てる。再生医療の分野でしかるべきポジションを占めていきたい」と語りました。

 2018年3月3日(土)

 

■甲状腺がんの再発、約1割に当たる8人 福島原発事故当時6~15歳

 東京電力福島第一原発の事故の後、甲状腺がんと診断された子供の支援を行っている民間の基金が、子供たちの手術後の経過を調べたところ、およそ1割に当たる8人ががんを再発して再手術を受けていたことがわかりました。

 民間の基金のNPO法人「3・11甲状腺がん子ども基金」(事務局・東京都新宿区)は、原発事故の後に甲状腺がんやがんの疑いと診断された25歳以下の子供たちに1人当たり10万円の療養費の支援を行っており、2月末までに114人(福島県内84人、県外30人)に支給しています。支給の対象になっている子供たちは、放射性ヨウ素が拡散したとされる岩手県を含む東日本の1都15県のエリアに暮らしています。

 このうち原発事故当時に福島県内に住んでいた84人について基金が手術後の状況を調べたところ、9・5%に当たる8人ががんの再発や転移で甲状腺を摘出するなどの再手術を受けていたことが明らかになりました。

 8人は、事故当時6歳から15歳で、最初に手術を受けた時期から最も早い人で1年後にがんを再発していたということです。

 福島県が行っている原発事故当時に18歳以下だった人を対象にした甲状腺検査では、これまでにがんやがんの疑いと診断された人は194人に上り、再発するケースが出ていることはわかっています。しかし、県の検討委員会でも詳しいデータは明らかになっておらず、基金では「国や県はがんの再発のケースを詳しく検証してほしい」と話しています。

 また、基金は、療養費の支援を行っている114人のうち、福島県外の子供たちに重症化の傾向があることを明らかにしました。甲状腺の摘出手術後、再発の危険性が高いとして放射性ヨードを服用する「アイソトープ治療」を受けたのは福島県内2人(2%)に対し、福島県外11人(37%)でした。

 福島県は甲状腺検査を継続しており、基金はこの検査が早期発見につながり、重症化を抑えていると分析。一方、福島県外の場合、自覚症状が現れるなどがんが進行してから治療を受けるケースが多く、福島県民に比べて発見が遅れがちとみています。

 基金の副代表理事である海渡雄一弁護士は、「福島県の子供だけが検査を受けるのは一種の『差別だ』と言う人もいるが、本来は国の責任で関東などを含む広範囲で甲状腺検査を実施すべきだ」と述べています。

 3・11甲状腺がん子ども基金は、事故から7年を前に3日午前10時~午後4時、甲状腺がんに関する電話相談(フリーダイヤル0120・966・544)を実施する予定で、医師4人が対応します。

 2018年3月2日(金)

 

■皮膚がん・白血病は生存率低く、食道がん・肺がんは高評価 5年生存率を国際比較

 がん患者の5年生存率を国際比較したところ、日本は食道がん、肺がんなどでは世界トップクラスながら、皮膚がんや白血病では世界の平均より低いという調査結果を国立がん研究センターが発表しました。

 調査は、同センターやイギリスのロンドン大学など世界約40の研究機関が共同で実施。2000年〜2014年にがんと診断された世界71の国と地域約3750万人の5年生存率を比較し、がんの種類ごとにA〜Eの5段階で評価しました。日本は大阪府や宮城県、広島県など16府県の約183万人が対象。

 日本が最高の「A」だったのは食道がんや肺がんのほか、胃がん、肝臓がん、乳がん、子宮頸(けい)部がんと、成人の脳腫瘍、小児リンパ腫。皮膚がんの悪性黒色腫、骨髄性白血病などの成人骨髄性疾患は「D」と世界の中でも低くなりました。膵臓(すいぞう)がんや、悪性リンパ腫などの成人リンパ性疾患は「C」と平均的でした。

 調査に加わった国立がん研究センターがん対策情報センターの松田智大(ともひろ)・全国がん登録室長は、「成績が劣るがんでは、成績のよい外国の状況を分析し、検診受診率の向上、新たな診断法や治療法の開発などに取り組むべきだ」と話しています。

 2018年3月1日(木)

 

■がん10年生存率が55・5%に上昇 昨年比1・3ポイント改善

 国立がん研究センターは28日、がん患者の10年生存率は全体で55・5%だったと発表しました。昨年の調査より1・3ポイント上昇しました。治療技術や早期発見が進んだためと見なされています。

 前立腺がんは90%以上、甲状腺がんと乳がんは80%以上と高い一方で、食道がん、胆のう胆道がん、肝臓がん、膵臓(すいぞう)がんは30%未満と低くなりました。

 全国がんセンター協議会(全がん協)に加盟する20施設で、2001年〜2004年にがんと診断され、治療を受けた5万7147人を対象に調査。今回から計算法を変えたため、10年生存率は昨年の58・5%より低くなっていますが、新しい計算法で計算し直すと、昨年の数値は54・2%になるといいます。

 改善した要因として、治療効果の高い抗がん剤の開発、放射線治療や早期発見の技術の進歩などを挙げています。

 がん患者の5年生存率の算出は、2007年〜2009年に32施設でがんと診断され、治療を受けた13万2869人を対象に調査。がん全体では67・6%で、1997年の62%から改善しました。前立腺がんは100%、乳がんは約94%、甲状腺がんは約92%と高くなりました。

 今後も新たな抗がん剤の開発など、医療の進歩で少しずつ改善していくとみられます。ただ、喫煙対策や早期発見のための検診受診率の向上が依然、課題となっています。

 2018年3月1日(木)

 

■iPS細胞から作製した心筋シート移植、大阪大が承認 今年半ばにも1例目実施へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心臓の筋肉のシートを、心不全の患者に移植する大阪大学の研究チームの臨床研究について、学内の再生医療を審査する委員会は28日、計画を了承しました。今後、厚生労働省の部会で審議され、手続きが順調に進めば今年半ばにも臨床研究が始まります。

 iPS細胞から作製した細胞を患者に移植する臨床研究は、理化学研究所などの研究チームが目の難病の加齢黄斑変性の患者に実施しています。ほかの病気ではまだ例がなく、心臓病の治療で行われるのは世界で初めてだということです。

 今回の臨床研究は、澤芳樹教授らが計画。血管が詰まって心臓の筋肉(心筋)に血液が十分届かず、心筋が傷付いた虚血性心筋症の患者を対象に、心臓の表面にシート状の心筋細胞を移植し、安全性や効果を調べます。iPS細胞は、京都大学iPS細胞研究所が品質を確認して備蓄しているものを使用します。

 研究チームは昨年7月、再生医療安全性確保法に基づいて設けられている大阪大の委員会に申請。この日、2回目の会合があり、計画を「適切」とする意見をまとめました。

 早川堯夫(たかお)委員長は、「動物実験などの前臨床のデータの安全性、有効性がきちんとしていた。議論の多くは患者への説明を丁寧にするためのことだった」と話しました。

 虚血性心疾患は、重症化すると心臓移植しか治療法がありません。澤教授らは、患者自身の足の筋肉から採った特定の細胞をシートにして、移植する治療を開発してきました。この細胞は心筋の再生を促す物質を出しますが、心筋の障害が重いと効き目が十分でなく、iPS細胞で心筋を作って補うほうが、より高い効果が期待できるとしています。

 一方、iPS細胞そのものは無限に増える能力があり、シートに混じって体内に入るとがん化する恐れがあります。移植する心筋も拍動するため、移植後に心臓の拍動と一致しないと脈が乱れる懸念もあります。計画では18~79歳の患者計3人への移植を目標にして、1年間観察し、問題がないか検証します。

 澤教授は、「最初のステップを通過できた。この研究が本格的な医療になり、たくさんの人が助かるよう頑張っていきたい」とコメントしました。

 2018年3月1日(木)

 

■病院のベッド、富山県など39道県で過剰 神奈川県や大阪府などでは不足

 日本の病院のベッド数が、必要な数を大幅に上回ることが明らかになりました。2016年のベッド数は、2025年に必要とされる予測より約5%多くなっています。都道府県別にみると、39道県が必要以上にベッドを抱えています。

 医療は供給過剰が不要な需要をつくる傾向があり、現状では医療費増に拍車がかかります。厳しい高齢化に備えて、病院にコスト感覚を徹底させるなどの転換が必要になります。

 各都道府県が医療の将来像を示す「地域医療構想」と呼ぶリポートに記した2025年の必要なベッド(病床)数と、2016年7月のベッド数を集計して比較しました。

 地域医療構想は、団塊の世代が全員75歳以上になる2025年に向けて医療体制をつくる材料。必要なベッド数は、人口推計や年齢ごとの入院率などをもとに試算しています。

 2025年の必要数より実在のベッドが最も多かったのは富山県で、約29%。熊本県や山口県が28%前後で続きます。要削減率20%を超す13県のうち九州が5県を占めるなど、西日本が目立ちます。単純合算すると日本全体で2016年7月には125万床強で、2025年に必要とされる119万床より約5%多くなっています。ここ数年でも、ベッドの余剰は全体で膨らんでいます。

 ベッドが多い地域は、かつて産業振興に似た観点で病院づくりを進めた例もあります。入院の必要が低い患者を在宅医療へ移行し、医療機関やベッドを減らす取り組みへの転換が求められます。厚生労働省は供給過剰の解消へ知事の権限を強め、各地の判断でベッド数を管理しやすくします。ただ、削減には「医療がさらに遠のき、重症化につながる」といった医療関係者の強い抵抗が予想され、国全体の抜本策も欠かせません。

 国民医療費42兆円の4割を占める入院医療費は、医療財政のカギを握ります。ルールに沿った診療は国が代金を支払ってくれるので、普通の産業に比べると病院は規模を大きくしすぎて経営が失敗するリスクが小さく、放っておけば必要を上回る病院やベッドが生まれやすい特殊な産業といえます。ベッドが過剰になると病院は空きベッドを埋めようと、通院ですむ患者を入院させる動機が生まれる弊害も見逃せません。

 日本の医療体制の過剰ぶりは鮮明。人口1000人当たりのベッド数が約13床と、アメリカやイギリスの3床弱、フランスやドイツの6〜8床を大きく上回ります。平均在院日数は約30日におよび、10日以下の欧米各国と比べて突出しています。

 国が旗を振る地域医療構想では、患者の状態ごとに「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」の4区分それぞれで必要なベッド数をはじきます。今回の集計で、特に過剰感が強かったのが重症患者向けの急性期病床。高度急性期を含め今は全体の6割を占めますが、2025年は全体の45%で十分。神奈川県や埼玉県、東京都、千葉県、愛知県、京都府、大阪府、沖縄県など必要なベッド数に足りない地域もあり、全体を見渡した適切な配分が求められます。

 2018年2月28日(水)

 

■感染症最多の死者数の「結核」撲滅へ日本が調整役 国連が要請

 国連は感染症の中で最も死者数が多い結核の撲滅に向けて今年9月に開催する首脳会合で、医療分野の国際協力で実績のある日本に各国との調整役を委ねることになりました。

 国連は貧困の解消や教育の普及など持続可能な開発目標を定めており、医療分野では感染症で死因の上位を占める結核やエイズ、マラリアの流行を2030年までに防ぐことを掲げています。

 これについて、日本の別所国連大使は26日に開いた記者会見で、「今年の国連総会で結核に関するハイレベル会合が開かれるが、総会の議長から調整役をやってほしいと要請があった」と述べ、今年9月の国連総会に合わせて開催される結核に関する首脳会合で、各国間の調整役を委ねられたことを明らかにしました。

 日本は今後、各国政府、NGO、国会議員などさまざまなレベルの会合の議論を集約して首脳会合での議題を設定するほか、成果文書の取りまとめなどにもかかわるということです。

 世界保健機関(WHO)によりますと、結核による死者数は世界で年間170万人と感染症の中で最多となっています。

 日本が調整役となったのは医療分野の国際協力での実績が評価されたものといえ、別所大使は「日本は国内で保健医療に力を入れて結核をかなり抑え込んだ。その経験を生かしたい」と意欲を示しました。

 一方、日本に滞在する外国人の結核患者が増加していることから、厚生労働省は東南アジアなどからの90日を超える長期滞在者に対し、ビザ申請時に「結核非罹患(りかん)証明書」か「結核感染性消失・治癒証明」の提出を求める方針を決め、26日に厚生科学審議会の部会で提案し、大筋で了承されました。

 2016年の国内の新規結核患者数は1万7625人(死亡者数は1889人)。このうち国外で生まれた人は、過去最多の1338人(7・6%)を占めます。

 出入国管理法は、現行の規定でも結核患者の入国を認めていません。しかし、罹患していても自覚症状がないことがあり、検疫で確認するのが難しい面がありました。政府はビザ発給手続きの運用を変更し、指定の医療機関でのX線検査受診と、結核非罹患証明書などの提出を求めます。

 対象者は、感染拡大のリスクの高い、留学や就労など長期滞在者に限定します。対象国はまず、日本国内で患者数が多いフィリピン、インドネシア、ミャンマー、ネパール、ベトナム、中国の6カ国とします。人口10万人当たりの年間新規患者数(罹患率)が50人以上の約100カ国にも順次広げる方針で、実施時期は国ごとに調整します。

 2018年2月28日(水

 

■病気やダイエットなどに最適な献立をAIが提案 おいしい健康が専用アプリ開発

 献立レシピサイトを運営する「おいしい健康」(東京都中央区)は、病気を持つ人やダイエット中の人などを対象に最適な献立を提案するスマートフォン(スマホ)向けアプリを開発しました。利用者が個人データを入力すると、食事摂取基準を算出して管理栄養士が監修したレシピの中から献立を作成する仕組み。

 26日からアメリカのアップルのiOS向けアプリの提供を始めました。おいしい健康には社内外の管理栄養士の監修のもとで7400品以上のレシピがあり、病気ごとの相性も踏まえて、人工知能(AI)が献立を提案します。

 利用者には生活習慣病を予防したい人、すでに糖尿病・高血圧になった人、高齢者やその家族などを想定。利用者が年齢や身長、体重、健康状態を入力すると、食事摂取基準内で食べていい料理が複数表示され主菜から主食、副菜、汁物の順で選べます。

 献立は患者団体や医療従事者らとも連携して作成しました。無料でレシピを公開し、企業からの広告などで運営。初年度は100万件の顧客獲得を目指します。来年からはアンドロイドにも対応し、一部で有料サービスも始める計画。製薬会社や食品会社などと組んだプロモーションも視野に入れます。

 また、利用者が実際に食べた料理をスマホのカメラで撮影してもらい、遠隔での生活指導といった用途にも使えるようにします。妊娠時や難治性の疾患にかかった人向けのメニューも拡充し、疾病予防を目的とした健康保険組合との連携も図ります。

 おいしい健康は2012年にクックパッドのヘルスケア事業部として発足し、2016年7月に分割して同社子会社になりました。同年12月に野尻哲也氏らがMBO(経営陣が参加する買収)を行いました。「暮しの手帖」前編集長の松浦弥太郎氏が取締役として加わり、社内にエンジニアやデザイナーのほか、管理栄養士6人を抱えています。

 野尻社長は、「栄養士が監修し料理研究家がつくったレシピを食べてもらい、患者にも食生活の楽しさを味わってもらう。健康寿命を延ばし、医療費を抑制する効果も見込める」と述べています。

 2018年2月27日(火)

 

■インフルエンザ、飛沫や接触でない空気感染のリスクも  アメリカのメリーランド大学が報告

 インフルエンザ感染者が普通に呼吸するだけでも、ウイルスは周囲に拡散し、同じ室内にいる人に「空気感染」してしまう可能性が予想以上に高いことが、アメリカのメリーランド大学の研究で判明しました。

 インフルエンザの主な感染経路に関してはこれまで、感染者の咳(せき)やくしゃみとともに飛び散ったウイルスを含むしぶきを吸い込むことで感染する「飛沫(ひまつ)感染」か、ウイルスが付着したものを触った手指を介して感染する「接触感染」のいずれかによって広まると考えられていました。

 しかし、このほどメリーランド大学のドナルド・ミルトン教授(環境衛生学)らの研究者が行った研究で、インフルエンザの感染者が咳やくしゃみをしていなくても、その吐く息を吸い込んだだけで空気感染が起こる可能性が指摘されました。感染者の吐く息に含まれる微細な粒子にも感染性のあるウイルスが含まれいるために、直接患者の咳やくしゃみを浴びなくても、同じ室内にいるだけでも、感染が起こり得るといいます。

 研究者たちは今回、インフルエンザが疑われる若者355人を選び出し、呼気の中に排出されるインフルエンザウイルスの量と感染力を調べました。

 355人のうち、インフルエンザと診断され、発症から3日以内に鼻の粘膜から標本(鼻咽頭スワブ)が採取されていて、同時に30分間の呼気も提出していた142人を分析対象にしました。142人の年齢の中央値は20歳、男性が49%で、89人がA型、50人はB型、3人は両方の型に感染していました。これらの患者は、発症から3日以内に計218回受診して、標本の提出に協力していました。

 計218回の受診のうち、195回(89%)の受診では1回以上の咳が観察されていましたが、くしゃみが観察されたのは11回(5%)のみでした。多くの患者は、咳、鼻水などの「上気道症状」は軽症から中等症で、全身症状は中等症から重症、痰(たん)、気管支炎などの「下気道症状」は軽症だと報告していました。

 呼気の採取は、自由に話したり、咳やくしゃみをしたりする中で30分間行いました。呼気標本は、空気感染の原因となる「飛沫核」と同じ大きさの直径5μm以下の微細粒子が含まれる標本と、飛沫感染の原因となる「飛沫」と同じ大きさの直径5μm超の粗大粒子を含む標本に分けました。

 標本中にインフルエンザのウイルスRNAが存在するかどうかを調べたところ、微細粒子の標本の76%、粗大粒子の標本の40%、鼻咽頭スワブ標本の97%が陽性でした。さらに、感染性を持つインフルエンザウイルスの存在を調べたところ、微細粒子標本の39%と鼻咽頭スワブ標本の89%が陽性でした。

 微細粒子の標本中にウイルスRNAが存在することと関係していた要因は、「呼気採取中の30分間に出た咳の回数」「上気道症状あり」「症状発現から経過した日数が少ないこと」などでした。つまり、咳や鼻水などの上気道症状が出ていて、発症早期のインフルエンザ患者ほど、呼気中にウイルスが含まれていて空気感染を起こす可能性が高いということが考えられます。

 なお、呼気採取中に、くしゃみはまれにしかみられておらず、感染性のある微細粒子の産生にくしゃみは必須ではないと考えられました。

 ミルトン教授はプレス資料で、「インフルエンザ感染者が咳やくしゃみをしなくても、普通に呼吸をするだけでも、周囲の空気にウイルスが放出されるという現象が判明した。であるならば、感染者が職場や学校に出てくる例に関してはこれまで以上の注意が必要だろう。周囲への感染を防ぐという優先度からも、職場や学校にはとどまらせず、即座に帰宅してもらうべきだろう」、「我々がさらに強調したいのは、今回の研究成果をぜひ企業や教育関係施設、あるいは通勤・通学車内の換気システム改善などを通じたインフルエンザ予防策として、その向上に活かしてほしいという点である」と述べています。

 メリーランド大学の研究論文は、2018年1月18日付のアメリの「科学アカデミー紀要」(電子版)に掲載されました。

 2018年2月27日(火)

 

■強制不妊手術、北海道の男性も提訴へ 全国で3人目

 旧優生保護法(1948年~1996年)に基づく障害者らへの強制不妊手術を巡り、北海道札幌市に住む70歳代の男性が人権侵害に当たるとして国に損害賠償を求め、札幌地裁に提訴する意向を固めたことが明らかになりました。

 代理人となる弁護士によると、他に数人の男女から提訴の相談を受けており、集団提訴も視野に入れています。男性は、1月末に知的障害を理由に不妊手術を強制されたとして、仙台地裁に国賠訴訟を起こした60歳代女性や、同地裁に提訴する意向を固めた70歳代女性に続く3人目の原告となり、北海道内では初めて。

 関係者によると、男性は20歳前後の時に札幌市内の精神科を受診した後、旧優生保護法に基づく精管切除の不妊手術を強制されたということです。男性は「拒否できるような状況ではなかった」と話しているといいます。今後、手術の諾否を決めた北海道優生保護審査会や手術の関係書類を集めます。

 一方、宮城県内では、手術記録の台帳などが残っていなかったことから提訴をあきらめていた70歳代女性が、同県の救済方針を受けて仙台地裁に提訴する意向を固めています。札幌市の70歳代男性の手術記録が確認されなかった場合、北海道の対応に注目が集まります。

 旧厚生省の衛生年報などによると、記録が残る1949年以降の全国の強制不妊手術1万6475件のうち、北海道は2593件と全国最多でした。北海道は今月19日、1962年~1973年度に審査された1210人分の資料があったと発表。うち不妊手術が適当な「適切」とされたのは1129人で、内訳は、男性233人、女性896人。未成年者は男性が28人、女性が144人で、最年少は男性が14歳、女性は11歳でした。

 2018年2月26日(月)

 

■75歳以上の高齢ドライバー、認知症の恐れ5万4072人 警察庁が判定

 警察庁は2月15日、2017年に認知機能検査を受けた75歳以上の高齢ドライバーは196万2149人で、2・8%に当たる5万4072人が認知症の恐れがある「第1分類」に判定されたことを明らかにしました。

 75歳以上のドライバーは免許更新時に認知機能検査を受ける必要があり、「認知症の恐れ(第1分類)」「認知機能低下の恐れ(第2分類)」「低下の恐れなし(第3分類)」の3段階で判定されます。

 これまで第1分類に判定されて一定の交通違反があった人は医師の診断を求められていましたが、昨年3月に施行された改正道交法で認知症対策を強化。3年に1度の免許更新時と信号無視などの交通違反時に認知機能検査をして、第1分類の全員に受診を義務付けました。

 認知症と判断されれば、運転免許の取り消しや停止となります。第2分類や第3分類の人でも、その後に交通違反をした人は医師の診断が義務付けられました。

 警察庁によると、2017年に実施した認知機能検査では52万5990人(26・8%)が第2分類、138万2087人(70・4%)が第3分類にそれぞれ判定されました。

 また、2017年に交通死亡事故を起こした75歳以上のドライバー385人を調査したところ、直近の検査で第1分類とされたのは28人(7・3%)、第2分類とされたのは161人(41・8%)、第3分類とされたは196人(50・9%)でした。交通死亡事故を起こした人のほぼ半数が、第1分類ないし第2分類の判定を受けていたことになります。

 2017年末の75歳以上の運転免許保有者は約540万人で、10年前の2007 年に比べ257万人増加しました。警察庁は2022年に663万人になると見込んでいます。また、昨年の免許の返納者数は42万2033人で、このうち75歳以上は25万2677人でした。

 2018年2月26日(月)

 

服用1回で治療できるインフルエンザ新薬、5月発売へ 塩野義製薬が製造・販売の承認を取得

 塩野義製薬は23日、インフルエンザを1回の服用で治療できる新薬の製造と販売の承認を厚生労働省から取得したと発表しました。競合薬に比べ服用回数が減り、患者の負担が軽くなるのが特徴で、薬価が決まる5月にも発売となる見込みです。

 画期的な医薬品や医療機器の早期実現化のために厚労省が優先的に審査する先駆け審査指定制度の対象品目で、2015年に同制度が導入されて以来、承認了承された医薬品として第1号となります。新薬の登場で2016年~2017年には約1600万人が罹患(りかん)し、2017年~2018年には2月18日までに約1799万人が罹患しているインフルエンザ治療の選択肢が広がりそうです。

 新薬の名称は「ゾフルーザ」。タミフルなど既存の治療薬はウイルスの増殖を阻害する効果がないため、1日2回、計5日間は治療を継続する必要がありますが、ゾフルーザはウイルスが自分を複製するための酵素を阻害します。細胞内で増殖できなくなるので、1回の服用で治療が完結します。対象は成人、小児のA型、B型インフルエンザウイルス感染症で、年齢や体重によって異なる量の錠剤を1回服用します。

 画期的なメカニズムとして世界で注目を集めており、日本と台湾を除く全世界での開発はタミフルを販売するスイスの製薬大手ロシュと提携しています。

 薬価はタミフル(成人、5日分で2830円)などとの比較で決まるとされ、制度上得られる加算を含めて1回分3000円~4000円となる見込みです。今回、ゾフルーザは昨年10月の申請から4カ月と、従来の半分以下の審査期間となりました。

 2018年2月25日(日)

 

■インフルエンザ、ピークすぎるも流行続く 全都道府県が警報レベル

 国立感染症研究所によると、2月18日までの1週間に全国の医療機関を受診したインフルエンザ患者数は、前週から70万人以上減って、推計で約167万人となりました。2週連続して減少しており、今シーズンは流行のピークを超えたものの、全都道府県で警報レベルが続いています。

 2月12日〜18日までの1週間で、全国約5000カ所の定点医療機関を受診した患者の報告数は14万6774人。1医療機関当たりでみると、患者数は29・65人と、前週より15・73人減少しました。

 1医療機関当たりの患者数を都道府県別にみると、沖縄県が最も多く56・67人、次いで高知県が45・81人、宮崎県が42・68人、山口県が39・26人、愛知県が39・11人の順で、沖縄県では前週より増えましたが、他の46都道府県では軒並み減少しています。

 定点医療機関からの報告をもとに推計した全国の患者数は、約167万人となり、前週に比べて72万人減ったものの、保健所ごとの患者数を示した流行レベルマップをみると、いまだ全都道府県が1医療機関当たりの患者数が30人を上回る警報レベルの赤に染まっています。

 推計した患者数を年齢別にみると、10歳未満がおよそ46万人、10歳から19歳がおよそ31万人で、引き続き若い世代の割合が高くなっています。

 今シーズンに入ってから医療機関にかかった患者の推計は、累積で約1799万人に上りますが、入院報告数は前週から減少しつつあるといいます。

 また、ウイルスの流行型をみると、直近5週間ではB型が57%、A香港型が43%と、2つの型のウイルスが流行する「混合流行」の傾向が続いており、流行のピークはすぎたといえども、まだ油断は大敵です。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「今シーズン、患者数は高いレベルで推移してきたが、減少に転じたとみられる。それでも、例年のピーク並みの流行が続いている」としています。その上で、「例年、シーズンは春先まで続き、地域的には勢いを盛り返して患者数が増加する恐れもあるので、引き続き手洗いやマスクの着用など感染予防を怠らないでほしい」と警戒を呼び掛けています。

 2018年2月24日(土)

 

■副作用防止、高齢者への薬の処方見直しを 厚労省が医療者向けの指針を作成

 薬を処方されている75歳以上の高齢者のうち、4人に1人は月に7種類以上服用していることがわかり、厚生労働省は21日、必要のない薬が処方されるのを防ぐ医療者向けの指針(ガイドライン)を作成しました。

 厚労省によりますと、医薬品を6種類以上服用した場合は、ふらつきや記憶障害など副作用のリスクが増加するというデータがありますが、一昨年、全国の薬局を対象に行った調査では、65歳以上の高齢者の約7割が月に3種類以上の薬を服用し、75歳以上の4人に1人が月に7種類以上の薬を服用していました。

 高齢者は薬の成分を体から排出する機能が低く、若い人より副作用を起こしやすいため、厚労省は、必要のない薬が処方されるのを防ぐ医師や薬剤師向けの指針を作成しました。  

 この中では、多くの薬が処方されるケースとして、高齢者が複数の医療機関を受診し、それぞれで薬が処方されることなどを挙げています。こうした場合、かかりつけの医師や薬局が、処方された薬をすべて把握し、同じ効果の薬が重複して出されていないかや、必要のない薬がないかをチェックすべきだとしています。

 厚労省は、「高齢者本人や家族は、適切な種類の薬が処方されているのか確認するのは難しいので、自己判断で薬の服用を中止せずに、かかりつけの医師や薬剤師に相談してほしい」としています。

 指針は4月以降、自治体を通じて、全国の医療機関に周知されます。

 2018年2月23日(金)

 

■はしか感染者、ヨーロッパで4倍に 外務省、渡航者にワクチン接種を呼び掛け

 世界保健機関(WHO)は、昨年、ヨーロッパではしかに感染した人が前の年の4倍に上ったと発表し、日本の外務省は、最近もイタリアやルーマニアなどでは、はしかの感染例が多く報告されているとして、こうした国々に渡航する際にはワクチンの接種を検討するよう呼び掛けています。

 WHOは19日、ヨーロッパで昨年確認された、はしかへの感染は2万1000件余りで、前の年の4倍に上ったと発表しました。

 中でもルーマニア、イタリア、ウクライナでの感染が多く、この3カ国だけで合わせて1万5000件余りと、ヨーロッパ全体の72%に上っています。また、100人以上の患者が確認された国は、ギリシャやドイツ、セルビアなど15カ国に上っています。

 はしかは麻疹(ましん)とも呼ばれ、発熱や、全身への発疹を伴うウイルス性の感染症で、空気感染するため感染力が非常に強く、肺炎や脳炎などを起こして重症化し、死に至ることもあります。また、妊婦が感染すると、流産や早産の恐れもあります。潜伏期間は10~12日間で、海外で感染して帰国後に発症するケースが多くなっています。

 日本の外務省は、最近もイタリアやルーマニアなどでははしかの報告数が増加しているとして、こうした国々に渡航を予定している人は、ワクチンの接種を検討するよう呼び掛けています。

 2018年2月23日(金)

 

■加熱不十分な豚や野生動物の肉を食べた人は献血控えて 日赤、E型肝炎防止に辞退を呼び掛け

 血液製剤の輸血で80歳代の女性がE型肝炎ウイルスに感染し、昨年11月に劇症肝炎で死亡していたことが1月末、厚生労働省の有識者会議で報告されました。E型肝炎ウイルスは主に、よく加熱されていない豚や野生動物の肉を食べることなどで感染します。有識者会議で報告した日本赤十字社は、当分の間、加熱不十分な肉を食べるなどした人に献血の自粛を呼び掛けています。

 日赤によると、死亡した80歳代女性は多発性骨髄腫を患い、抗がん剤治療を5カ月間受けた後、昨年7月に輸血を受けました。その後、10月には肝臓機能の数値が悪化したため抗がん剤投与が中止されました。いったん快方に向かったことで抗がん剤治療が再開されると、容体が悪化し、11月に劇症肝炎で死亡しました。肝臓機能の低下に加え、輸血でE型肝炎ウイルスに感染したことが複合的な要因となり、劇症肝炎を発症したとみられています。

 献血者の血液から、死亡した女性から検出されたものと同じE型肝炎ウイルスが検出されています。献血者はE型肝炎を発症していなかったものの、献血の約2カ月前に生の鹿肉を食べ、E型肝炎に感染した可能性があるといいます。

 E型肝炎は、E型肝炎ウイルスに汚染された水や肉などの摂取で感染します。食品安全委員会の委員も務めた川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「症状がないまま治癒する場合が大多数のため、感染に気付かない人も少なくない」と指摘しています。

 日赤によると、2002年以降、輸血でE型肝炎ウイルスに感染しE型肝炎を発症したのは23件で、軽症だったケースが多いといいます。女性の死亡を受け、日赤はこれまで血液のE型肝炎ウイルス混入の検査をE型肝炎患者が多い北海道のみで実施していましたが、今後全国に広げて再発防止を図ります。また、低価格で検査できる試薬の開発も急いでいます。

 しかし、検査の導入には少なくとも1~2年かかるため、当面は感染の恐れがある献血者に対して、辞退を呼び掛けます。医療機関に対しては、輸血用血液製剤に感染症のリスクがあることを改めて周知します。ただし、血液中にE型肝炎ウイルスが残っている期間は長くはないといいます。

 日赤広報は、「肝炎ウイルスは、輸血を受けた人が後に感染する可能性がある。肝炎罹患の有無などの問診に正しく回答してもらうなど『責任ある献血』への協力をお願いしたい」としています。

 E型肝炎は、感染から発症までの潜伏期間が2〜9週間(平均6週間)と長いこともあり、感染源が特定されないことも少なくありません。国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、2012年から2016年までにE型肝炎として届け出があった701人のうち、推定感染源の記載があったのは約4割の290人にとどまっています。

 推定感染源で最も多かったのが豚(肉・レバー)で121人、次いでイノシシ34人、鹿32人の順でした。豚では半数の61人がレバーを食べており、29人が生で食べていました。

 食品衛生法で2015年6月から豚の肉・レバーの生食用提供が禁止さましたが、2016年の感染者にも生食した人がいました。「加熱用といいながら生レバーを提供する店や、焼かずにこっそり生で食べる人がいる」との東京都内の保健所担当者の指摘もあり、禁止以降も生食する人が絶えないのが感染の一因と見なされます。

 新たなグルメとして注目され、鳥獣被害防止対策として農林水産省が活用を推進する鹿やイノシシなどジビエ(野生動物)の肉・レバーも要注意。ジビエの肉・レバーは生食での提供が禁止されていないものの、E型肝炎ウイルスに汚染されていることがあります。生や加熱不十分で食べたことが原因での感染が、これまでにも多数報告されています。

 岡部所長は、「E型肝炎のほとんどは自然治癒するとはいえ、中には劇症肝炎に進展し、死亡することもある。特に妊婦や高齢者はリスクが高い。豚やジビエの肉・レバーは中心部まで十分に加熱して食べてほしい」と話しています。

 2018年2月22日(木)

 

■カジノ入場料2000円を日本人客から徴収 ギャンブル依存症の防止へ政府案 

 政府は21日午前の自民党のプロジェクトチームの会合で、カジノを解禁する統合型リゾート(IR)実施法案に関し、日本人と日本在住の外国人の客を対象にカジノへの入場料を1回当たり2000円徴収する方針を示しました。

 海外では入場料を徴収するケースは少ないものの、安易な入場を防ぎ、一定のギャンブル依存症の防止を狙います。同時に高額な入場料は避け、利用客らに過剰な負担にならないよう配慮しました。訪日外国人客からは徴収しません。

 カジノ事業者からカジノ収益の一部を納付金として徴収し、国と地方が折半して観光や地域振興、福祉などの公益目的の事業に活用する仕組みも導入します。納付金の割合は収益の30%で一律にするか、額に応じて30~50%の累進とするか2案を検討します。

 カジノの解禁は、2016年に自民党などが主導し成立したIR整備推進法(議員立法)で方針が決まっています。規制や監督、カジノ運営の具体的な制度は、政府が今国会への提出を予定するIR実施法案で定めます。週3回、4週間で10回までに入場を制限する規制の導入なども検討しています。

 さらに、カジノ事業と反社会的勢力の結び付きを排除するとともに、安易な参入を防ぐため、内閣府の外局として創設する「カジノ管理委員会」が事業者などに行う調査の費用は、カジノ事業者が全額を負担するとしています。

 2018年2月22日(木)

 

■日本人男女の平均身長、1980年以降生まれで低下傾向に 300万人を超す身長データを分析

 公衆衛生状態の改善とともに、長期にわたって伸びてきた日本人の成人の平均身長は1980年生まれ以降で縮む傾向にあることが、国立成育医療研究センター研究所の森崎菜穂室長らの研究チームの調査で明らかになりました。300万人を超す身長データを分析し、専門誌に論文を発表しました。

 最新の1996年生まれの平均身長をみると、男性はピーク時に比べ0・64センチ、女性は0・21センチ低くなっています。差はわずかながら、低下傾向ははっきりしていました。

 身長が低くなった直接の原因は明らかではないものの、1980年ごろから深刻化した健康関連の問題に、体重2500グラム未満で生まれる「低出生体重児」の急激な増加があります。低体重で生まれると成人後の身長が低い傾向があることは過去の研究で示されているため、研究チームは「それが原因の一つになっている可能性もある」と指摘しています。

 日本人の成人の平均身長は、過去約100年で約15センチ伸びました。公衆衛生や国民の栄養状態の顕著な改善によるとされます。森崎室長によれば「近年は伸び止まっているのではないか」との指摘もあったものの、詳しい分析は行われていなかったといいます。

 研究チームは、1969~1996年に生まれた男女314万5521人の成人後の身長データを含む約80の研究を詳細に分析しました。すると、平均身長のピークは男女とも1978~1979年生まれで、男性は171・46センチ、女性は158・52センチとわかりました。男女とも1980年生まれから徐々に低くなり、1996年生まれは男性170・82センチ、女性158・31センチでした。

 また、最新の数値を元に算出した2014年生まれの新生児の予測平均身長は男性170センチ、女性157・9センチとなっています。

 一方、厚生労働省の人口動態統計によると、1970年代後半に5・1%だった低出生体重児の割合は2007年には9・7%と、ほぼ倍増しています。

 2018年2月21日(水)

 

■重粒子線センター、大阪市に3月開院 がんの新しい放射線治療を実施

 がんの新しい放射線治療を行う「大阪重粒子線センター」(大阪市中央区)が3月1日に開院するのを前に、16日、内部が公開されました。

 重粒子線は放射線の一種で、従来の放射線治療に比べて、がん細胞を殺す効果が2倍から3倍あるといわれています。病巣を狙って照射でき、正常細胞へのダメージを抑えられるほか、外科手術のように体を切開する必要もないなど患者の負担が少ないため、通院治療が可能で、治療日数も短くすむとされています。

 同種の施設は千葉市と横浜市、前橋市、兵庫県たつの市、佐賀県鳥栖市に計5カ所あります。西日本では3カ所目ですが、交通の便のよい都心部での立地は初めて。

 大阪重粒子線センターは大阪府が誘致し、公益財団法人「大阪国際がん治療財団」が設置、運営します。総整備費は約150億円。地上3階建て、延べ床面積約8850平方メートルで、建物は昨年10月に完成していました。

 大阪府庁などに隣接する大阪重粒子線センターには、直径17メートルの円形加速器が設置され、炭素イオンを光速の約70%まで加速した重粒子線を作り出します。患者は、重粒子線が照射される3台の治療台にそれぞれ横たわって、治療を受けます。

 対象は外来患者のみで、初年度は300人程度、2019年度から年間800~1200人の患者を受け入れる計画。頭頸部(とうけいぶ)や肝臓、肺などのさまざまながん治療が可能で、今年4月に保険適用が始まる前立腺がんは3週間の通院治療ですむといいます。3月1日から、他の医療機関から紹介された患者を受け付けて、診察や検査を行い、10月に照射を始める予定です。

 溝江純悦(じゅんえつ)・大阪重粒子線センター長は、「今の時点で最もベストな治療を大阪、そして関西の皆様にご提供したいと思う。照射自体には痛みや熱さがなく、従来の放射線治療と比べて必要な照射回数や日数も少なくてすむ。好立地で仕事や日常生活をしながら通院治療ができる」と話しました。

 重粒子線治療は公的保険の適用を前提とした「先進医療」で自己負担額が300万円以上かかっていましたが、2016年4月に骨などにできる「骨軟部腫瘍」で保険が適用されました。4月からは新たに前立腺がん、頭頸部がんも保険対象となることが決まっています。

 2018年2月21日(水)

 

■強制不妊手術、最多は北海道の2593人 旧優生保護法下の1949~1996年で

 旧優生保護法(1948~1996年)のもと、障害や精神疾患などを理由に強制的に不妊手術が行われていた問題で、全国最多の手術が実施された北海道が19日、現存していた当時の審査状況の資料などを公表しました。

 この問題を巡っては、今年1月に宮城県の女性が「幸福追求権を奪われた」として初めて国を相手取り損害賠償を求めて提訴。自民党を含む超党派の国会議員連盟が3月に発足し、政府に実態調査を求めるなどの動きが起きています。

 北海道によると、1949~1996年(1952~1953年を除く)に道内で強制不妊手術を受けさせられた人は少なくとも2593人。このうち、資料が残る1170人を調べたところ、男性331人、女性839人で、未成年者は116人でした。

 北海道は資料が残っていた1962~1973年度の詳細な審査状況についても公表。不妊手術が適当な「適切」とされたのは1129人で、内訳は、男性233人、女性896人。未成年者は男性が28人、女性が144人で、最年少は男性が14歳、女性は11歳でした。

 適切とされた主な理由は、当時の分類で「精神病」532人、「精神薄弱」558人、「精神病質」17人で、「身体疾患」15人、「奇形」7人となっています。北海道は該当する具体的な疾患名について明らかにしていませんが、旧優生保護法では躁(そう)うつ病や顕著な性欲異常、犯罪傾向、全色盲などを幅広く対象にしていました。 

 今回、北海道に残っていた資料は一部期間だけだったため、道内にある30の保健所に関連資料の提出を求め、3月中旬に最終調査結果をまとめる方針。

 2018年2月20日(火)

 

昼寝をいざなう遺伝子、世界初発見 一時的に体温を下げて休息

 哺乳類や昆虫には「昼寝」に関連する遺伝子があり、これが働くことで体温を下げ、活動量を低下させているとの研究成果を、京都大学や北海道大学などの研究チームが発表しました。人にも同じ遺伝子があり、同様の働きをしている可能性があるといいます。

 昼寝に関連する遺伝子の発見は世界初で、論文がアメリカの専門誌の電子版に13日掲載されました。

 生物は昼夜のリズムに合わせて約24時間周期で活動が変化する「体内時計」を持っています。京都大薬学研究科の土居雅夫准教授などの研究チームは、人が昼すぎになると体温が一時的に下がって眠くなることに着目し、ショウジョウバエやマウスを使った実験で、この生命現象に関連する遺伝子を調べました。

 その結果、ショウジョウバエでは「DH31受容体」と呼ばれるタンパク質を作る遺伝子が、昼寝前の体温調節にかかわっていることを突き止めました。自身で体温が変えられない変温動物であるハエは、自らが好む温度の場所に移動する性質を持ち、通常は昼寝前に温度が低い場所に移動するものの、この遺伝子を働かないようにすると、その移動が見られなくなりました。

 また、哺乳類のマウスでは、タンパク質「カルシトニン受容体」を作る遺伝子が、「昼寝」前の体温調節にかかわることを確かめました。この遺伝子を働かないようにすると、昼寝の時間になっても体温は下がらなくなりました。

 ハエおよびマウスともに、今回見付けたタンパク質は、体内時計を作り出すのと同じ脳内の神経細胞で作られていました。カルシトニン受容体は人にもあり、同様の働きを持っていると考えられるといいます。

 研究チームは、哺乳類や昆虫の祖先が遅くとも6億年前には、このタンパク質を作る遺伝子の働きを獲得したとみています。

 土居准教授は、「昆虫と哺乳類は進化の上では6億年以上前に枝分かれしたとされるが、そのころから一時的な体温調節の仕組みを持っていたことになる。この仕組みが、睡眠にどのような影響を与えるのかさらに調べていきたい」と話しています。

 本間さと・北海道大学客員教授(時間生物学)は、「変温動物の昆虫と恒温動物の哺乳類は体温調節の方法が異なるが、体温を下げる仕組みが共通することは興味深い。ずっと活動していると体への負担が大きい。昼寝には体を休める重要な役割があると考えられる」と話しています。

 2018年2月20日(火)

 

■結核の「低蔓延国」達成、数年遅れの見通し 患者減少率が鈍化傾向に

 1年間に新たに結核と診断される患者を、2020年までに「低蔓延(まんえん)国」とされる10万人当たり10人未満にするとの国の目標の達成が、数年遅れになる見通しです。厚生労働省が病原微生物検出情報2017年12月号で明らかにしました。高齢者、都市部での患者の割合増加が目立っています。

 2016年の新規届け出患者は全国で1万7625人、10万人当たりでは13・9人でした。世界保健機関(WHO)の定めた基準では、「中蔓延国」と位置付けられます。前年比でみると減ったものの、近年は年間4〜6%減で推移しており、このままのペースだと、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年までの目標達成は難しいといいます。

 新規患者うち1万594人(約60%)が男性、7031人(約40%)が女性。35歳以上で男性の割合が増え、40歳以上80歳未満では男性が女性の約2倍に上っています。高齢化も目立ち、65歳以上の割合は1996年の43%、2006年の55%に対して、2016年は67%と、3分の2が高齢者になりました。

 東京都特別区と政令指定都市では、日本全体の人口比では29%ですが、結核の新規患者では35%、64歳以下では41%を占めています。都市部では、若い人や社会・経済的弱者の人に患者発生が目立っています。ネットカフェ、ゲームセンター、カラオケ、パチンコなど、不特定多数の人が集まるところでの集団感染の報告が相次いでいます。

 世界保健機関(WHO)は、患者が治癒したり一定の治療を終えたりした「治療成功率」の目標を85%に設定していますが、日本で2015年から2016年にかけての治療成功率は53%にとどまっています。

 これは、新規患者の3分の1以上が80歳以上で、治癒や治療完了前に死亡する例が多かったためとみられます。50歳未満での治療成功率は70%でした。

 新規患者のうち外国生まれの人は1338人で、8%を占めました。2006年の920人、4%から大きく増加しました。特に20歳代では59%を外国生まれが占めました。主に使われる2種類の抗結核薬であるイソニアジド、リファンピシンにいずれも耐性があった多剤耐性結核患者は全国で49人で、このうち15人が外国生まれでした。

 外国生まれの人の出身国別内訳は、フィリピン318人、次いで中国272人、ベトナム212人、ネパール135人となっています。アジア諸国では結核は依然大きな健康問題であり、アジア諸国からの入国が多い日本にとって、これらの国々の結核対策も結核問題を左右する課題です。

 2018年2月19日(月

 

■バレンタインチョコ菓子、約1万6000個を自主回収へ 金属片が混入

 2月14日のバレンタインデーに合わせて首都圏や名古屋市内の百貨店などで販売されたチョコレート菓子の中に金属片が混入していたことがわかり、製造元の愛知県蟹江町のメーカーは約1万6000個の商品の自主回収を始めました。

 自主回収の対象となっているのは、愛知県蟹江町の菓子メーカー「プレジィール」がバレンタインデーに合わせて製造し、首都圏や名古屋市内の百貨店などで販売された「オードリーショコラ」というチョコレート菓子の2個入り、5個入り、7個入り、10個入り、20個入りで、賞味期限が2月24日から3月11日までの約1万6000個。

 この商品を扱った「ジェイアール東海高島屋」によりますと、2月13日に購入した客から「大きさが3ミリほどの金属片が入っていた」と、連絡があったということです。

 菓子メーカーが調査したところ、工場の果物などを細かく砕く「かくはん機」という装置に破損した箇所が見付かったということで、「この装置の破片が混入した可能性が高い」としています。

 これまでに健康被害の報告はないということですが、菓子メーカーとジェイアール東海高島屋では同じ商品を自主回収することを決め、それぞれコールセンターを開設して購入した客からの相談に応じています。

 電話番号はプレジィールが0120-702ー147(営業時間/平日9:00〜17:00、2月24日以降の土日・祝祭日を除く)、ジェイアール東海高島屋が0120-105ー538(受付時間/10:00〜18:00)。

 プレジィールは、「今後、より一層の品質管理に努め、再発防止に取り組む」としています。

 2018年2月18日(日)

 

■東京都内でスギ花粉の飛散始まる 平均より2日早く

 東京都は16日、都内のスギ花粉の飛散開始を14日に確認したと発表しました。過去10年平均の開始日の16日より2日早く、昨年より3日遅くなりました。

 東京都は先月から都内の12カ所でスギ花粉の観測をしており、このうち千代田区や杉並区、八王子市、多摩市など7カ所で14日から2日続けて、1平方センチメートル当たり1個以上のスギ花粉が観測されたとして、16日、「都内でスギ花粉が飛び始めた」と発表しました。

 過去10年の平均と比べて2日早いものの、昨年に比べて3日遅くなったのは、1月下旬から2月上旬にかけて気温の低い日が続き、スギの花の開花が遅れたことが影響しているとみています。

 また、この春に都内で飛ぶスギ花粉の量は、過去10年の平均との比較で1・1倍と、例年並みになる見通しです。

 東京都がまとめた花粉症患者の実態調査では、都民の48・8%がスギ花粉症で、10年前より17・4ポイント増えたと推定されています。東京都は予防に向けて、ホームページで各地の観測結果を掲載しており、花粉の飛散の多い日に外出する際のマスクや眼鏡の着用、帰宅時の花粉の払い落とし、洗濯物の室内干しといった対策を呼び掛けています。

 2018年2月18日(日)

 

■インフルエンザの大流行続く 患者は前週より減少し239万人

 3週連続で過去最多となっていた全国のインフルエンザの患者数は、2月11日までの1週間に1医療機関当たり45・38人と、前の週よりも8・95ポイント低くなりました。国立感染症研究所は流行のピークはすぎつつあるとみられるものの、患者数が多い状態は続いており、引き続き、手洗いやマスクの着用など、感染対策を徹底するよう呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、統計を取り始めた1999年以降としては3週連続で過去最多となっていましたが、2月11日までの1週間の1医療機関当たりの患者数は前の週の54・33人よりも8・95ポイント低くなりました。それでも、最近10年で最も流行した6年前のシーズンのピークよりもさらに3ポイント程度高く、大きな流行が続いています。

 都道府県別では、高知県が67・67人と最も高く、次いで、山口県が62・82人、大分県が60・28人、宮崎県が57・17人などとなり、前の週と比べると8つの道と県で増加した一方で、39の都府県で減少しました。また、この数値を基にした全国の患者数の推計は、約239万人と前の週より約43万人少なくなりました。

 推計の患者数を年齢別にみると、10歳未満が約76万人、10歳から19歳が約50万人と、依然、若い世代を中心に流行が続いています。

 インフルエンザで学級・学年閉鎖や休校となった小学校や中学校などの合計は7974施設で、前の週と比べると26%減りました。入院患者数は1847人で、前の週と比べ10%減りました。年齢別では、80歳以上が692人で最も多くなりました。

 また、これまでの5週間に検出されたウイルスは、B型が55%、A型が43%で、2つの型のウイルスが流行する「混合流行」の傾向が続いているということです。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「流行のピークはすぎつつあるとみられるが、例年と比べると患者数が多い状態は続いていて再び拡大する可能性もある」と話しています。

 北海道では1医療機関当たりのインフルエンザの患者数は、10・01ポイント増加して55・39人となり、ほかにも西日本を中心に増加した県がみられ、沖縄県では5・48ポイント、鳥取県では5・21ポイント、滋賀県では1・58ポイント増えています。

 また、福井県を除くすべての都道府県で国が示す警報レベルの1医療機関当たり30人を上回っています。

 一方で患者数が減少した地域も出てきており、神奈川県で18・46ポイント、埼玉県で16・92ポイント、大分県で16・81ポイント、福岡県で16・74ポイント前の週を下回りました。

 砂川室長は、「今週は全国的に患者数が減少しているが、流行の中心は西日本から東日本に移っていく傾向にあり、再び増加する地域もあるのではないか」と話しています。

 2018年2月17日(土)

 

■喫煙可能な飲食店、客席面積100平方メートル以下に 厚労省方針

 非喫煙者がたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策を強化する健康増進法改正案を巡り、厚生労働省は、例外的に喫煙を認める小規模飲食店の規模について、「客席面積100平方メートル以下」とする方針を固めました。「店舗面積150平方メートル(客席100平方メートル、厨房(ちゅうぼう)50平方メートル)以下」を軸に検討していましたが、飲食店業界の要望もあって修正しました。

 喫煙を認める飲食店の条件は、厨房や従業員用の控室などを除いた客席面積100平方メートル以下で、個人経営か資本金5000万円以下の中小企業が経営する既存飲食店となる方向です。厚労省の推計では、対象となる飲食店はすでに禁煙の店や大手チェーンなどを除いて、最大で全体の55%ほどになるといいます。

 厚労省は1月末、一定の規模以上の飲食店は原則として禁煙とする一方、既存の小規模飲食店では業態に関係なく、「喫煙」「分煙」の表示をすれば喫煙を認める素案を公表。客席と厨房を合わせた店舗面積150平方メートル以下を検討していました。

 これに対し、飲食店などで作る「全国生活衛生同業組合中央会」が、料亭などは厨房が広く店舗面積全体で測ると不公平になるとして、基準を「客席面積100平方メートル以下」とするように要望。「(店舗面積150平方メートルと)実質は変わらないが、面積は小さく見えたほうがいい」(厚労省幹部)との思惑もあり、見直しました。

 公表された案では、新規店は面積にかかわらず喫煙を認めない方針です。厚労省によると、5年間で3割強の飲食店が入れ替わるといいます。「喫煙できる店は減っていく。将来に向けて対策が前進していく案だ」と説明して、理解を求めています。

 一方、自民党の「受動喫煙防止議員連盟」が、バー・スナック以外は店舗面積にかかわらず原則禁煙とすることを求める決議をまとめるなど、与党内にもさまざまな意見があります。厚労省は調整を図り、2020年4月1日に法律を全面的に施行できるよう、今の国会に健康増進法改正案を提出して成立を目指す方針です。

 2018年2月16日(金)

 

■がんの「ゲノム医療」、全国11カ所を中核拠点病院に選定 厚生労働省

 厚生労働省の検討会は14日、がん患者のゲノム(全遺伝情報)を調べて最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム医療」を中心となって提供する中核拠点病院を11カ所決めました。中核病院と連携する地域の病院も3月中に決め、医療体制を整備します。

 4月から全国で進行がんの患者などがゲノム医療を受けられるようにし、一般的な医療として普及を目指します。

 中核拠点病院に選ばれたのは、国立がん研究センターの中央病院(東京都中央区)と東病院(千葉県柏市)のほか、北海道大学病院、東北大学病院(宮城県仙台市)、東京大学医学部附属病院、慶應義塾大学病院(東京都新宿区)、名古屋大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院、大阪大学医学部附属病院、岡山大学病院、九州大学病院(福岡県福岡市)。

 ゲノム医療は患者から採取したがん細胞の遺伝子を詳しく調べ、異常に合わせて最も効きそうな治療薬を選んで投与します。効果が高く副作用が少ないとされ、次世代がん治療の本命と考えられています。

 中核拠点病院には遺伝性のがん患者に専門的な説明ができる医師や遺伝カウンセラーなどを配置。遺伝子検査や人材育成などを担当します。遺伝子の異常をもとにした新薬の開発にも弾みをつけます。今後は、患者のがん組織を中核拠点病院に送って遺伝子の検査を依頼し、結果をもとに治療する連携病院も決めます。

 がんゲノム医療は欧米などが先行し、広く普及。日本は数年前から一部の医療機関が臨床研究や自由診療として実施してきましたが、国の体制整備は遅れていました。

 2018年2月15日(木

 

■コカ・コーラ、約60万本の「紅茶花伝」を自主回収 変色や沈殿物を確認

 大手飲料メーカーの「コカ・コーラ ボトラーズジャパン」は、ペットボトル入りの紅茶飲料の一部に、色が変わったものや沈殿物が含まれたものがあるとして、約60万本を自主回収すると発表しました。

 自主回収するのは、「紅茶花伝 ホットなロイヤルミルクティー」の350ミリリットル入りのペットボトルの飲料。賞味期限が今年の7月3日で、製造所固有記号が「180703ーES」とキャップに記されている商品約60万本が対象です。

 商品は、青森、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、和歌山、滋賀の21都県のスーパーやコンビニエンスストアで販売されているということです。

 1月下旬に商品を買った人から「色が変わって沈殿物がある」という指摘があったため調べたところ、埼玉県内の工場で製造された商品の一部で変色や沈殿物が確認されたということです。

 原因は商品に含まれているタンパク質の成分が変化したためで、会社では「健康には影響はなく、今のところ健康被害の情報はない」と説明しています。

 商品は、会社が指定する宅配業者を通じて回収し、代金相当分のプリペイドカードを送るということです。

 問い合わせの電話番号は0120−360509で、15日以降、午前9時から午後6時まで受け付けています。土日も受け付けます。

 コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、「多大なご心配をおかけして心よりおわび申し上げます。今後、このようなことがないよう一層の管理体制の向上に努めたい」と話しています。

 2018年2月15日(木

 

■職場で広がるケースも多い風疹、30〜50歳代男性が感染源に 多くの自治体が費用補助

 強い感染力があり、国内でも集団感染が5〜8年ごとに報告される「風疹(三日ばしか)」と診断される患者の7割は成人男性で、近年は職場で広がるケースも多くなっています。感染してもほとんどの人は軽い症状ですが、妊娠初期の女性が感染すると新生児に難聴などの障害が出る恐れがあります。

 産婦人科医らは、「特に海外出張の多い企業・組織は、海外へ出掛ける社員にワクチン接種を受けさせて」と呼び掛けています。

 風疹の原因である風疹ウイルスは、感染者のせきやくしゃみを通じて広がります。このウイルスを吸い込むと2〜3週間の潜伏期間をへて、高熱や発疹、リンパ節のはれなどの症状が出ます。

 風疹の流行で問題になるのは、免疫を十分に持たない妊娠初期の女性が感染すると、生まれてくる新生児に白内障や難聴、心疾患など「先天性風疹症候群(CRS)」という障害が出る可能性があることです。国立感染症研究所感染症情報センターによると、日本で風疹が大流行した2012〜2013年にかけて、先天性風疹症候群の新生児が45人確認されています。

 新生児が先天性風疹症候群になるのを防ごうと、厚生労働省などは「風疹ゼロプロジェクト」を立ち上げ、2月4日を「風疹ゼロの日」、2月を「風疹ゼロ月間」と定め、予防のための啓発活動を行っています。

 海外ではインドや中国、インドネシア、東欧、アフリカなど依然として風疹が流行する地域があります。また、大規模な国際交流イベントの開催時に大流行する傾向があり、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時の流行が懸念されています。

 感染を防ぐにはワクチン接種が有効。ただし、予防接種法で風疹のワクチンが男女ともに定期接種となったのは1979年4月2日生まれからで、1987年10月1日生まれまでは中学生の時に医療機関で個別接種する方法だったため、それ以降生まれの乳幼児期での接種に比べ接種率が低くなっています。こうしたことから、95%以上が望ましい抗体保有率が30歳代後半〜50歳代男性では75〜80%にとどまっています。

 日本産婦人科医会常務理事で横浜医療センターの平原史樹院長は、「30〜50歳代男性は働き盛りで海外渡航の機会も多い。帰国後、感染に気付かず出社することが職場の集団感染の原因にもなっている」と指摘しています。

 女性は、男性より早く風疹ワクチンが定期接種になったものの、1990年4月2日より前に生まれた人は1回のみの接種でした。抗体が十分ついていない可能性があり、風疹が流行すると感染する恐れがあります。

 男女とも抗体が低い場合は、予防接種が勧められます。平原院長は、「特に海外出張する男性で抗体が低い人はワクチン接種してから出掛けてほしい。また、海外から帰国後、風邪のような症状がある場合は、まず医療機関で診察を受け、風疹でないことを確認してから出勤すること」と話しています。

 妊娠を希望する女性のために、多くの自治体で抗体検査やワクチン接種を無料で行っています。東京都目黒区や川崎市は、女性だけでなく男性のワクチン接種費用を補助しています。

 自治体の補助がない場合は、ワクチン接種は自己負担となります。費用はクリニックで異なるものの、麻疹(はしか)と混合の「麻疹・風疹混合ワクチン(MRワクチン)」は5000〜1万円程度。麻疹の予防接種をしたことがある人が受けても、副反応や過剰反応は問題なく、麻疹と風疹両方の予防になります。

 2018年2月14日(水

 

■無痛分娩の際は麻酔医が定期的に経過観察を 厚労省、安全対策をまとめる

 出産時の痛みを麻酔で和らげる「無痛分娩(ぶんべん)」で妊婦や新生児の死亡や障害が相次いで発覚したことを受け、厚生労働省研究班は12日、麻酔担当医が定期的に妊婦を観察するなど、無痛分娩を行う際の望ましい安全対策を記した提言案をまとめました。近く無痛分娩を行う医療機関に対応を求めます。

 提言案では、麻酔に習熟した常勤医を麻酔管理者として選任し、麻酔を担当する医師は少なくとも1~2時間ごとに妊婦を観察。麻酔開始後30分間や産後3時間は、5分程度で妊婦のベッドに行ける範囲にとどまることなどを「望ましい体制」として定めました。産婦人科での麻酔トラブルは2016年に全国29施設で37件起きていたといい、血圧低下や呼吸困難など重大な合併症の多くが麻酔開始10分以内に起きていたことから、患者の急変に対応できる態勢を整えるよう求めました。

 麻酔担当医については、麻酔科専門医などのほか、産婦人科専門医にも認めました。定期的な講習への参加を求めたほか、産婦人科専門医には、麻酔科での研修実績、無痛分娩の経験を情報公開するなどの要件を加えました。

 このほか、酸素ボンベなど蘇生に必要な医療機器が使える状態で備えてあることなども求めました。

 無痛分娩の安全性に関しては、研究班の会議で日本産婦人科医会が「無痛分娩とそうでない分娩の間で死亡率に明らかな差がない」と報告しています。研究班は今年度で終わりますが、妊婦の理解・安心につなげるための情報公開の仕組み作りのため、来年度以降は関係学会でワーキング・グループを設置し、研究班の取り組みを継続させていくとしています。

 研究班の代表者である海野信也・北里大学病院長は、「無痛分娩に対して不安や懸念を持っている妊婦がたくさんいると思うが、わかりやすく情報提供することで、判断してもらえるようにすることが一番大事だ」と話しました。

 2018年2月14日(水

 

■小中生女子の体力、最高値を更新、男子は横ばい 2017年度の全国体力テスト

 スポーツ庁は13日、小学5年と中学2年のほぼ全員に当たる約208万人を対象に実施した2017年度全国体力テストの結果を公表しました。小5女子は4年連続、中2女子は3年連続で、いずれも実技8種目の合計点の平均値が2008年度の調査開始以降で最高を更新しました。

 体育の授業を除いた1週間の運動時間を「60分未満」と答えた割合も減少しました。小5男子と中2男子の平均値はおおむね横ばいでした。

 運動習慣が少ない層は女子に多く、各地の学校では休み時間に全校で外遊びをする活動をしたり、生徒会主催でレクリエーション大会を行ったりして、運動時間の確保に努めています。スポーツ庁は「こうした地道な取り組みが女子の結果を底上げし、平均値の上昇にもつながった」と分析しています。

 合計点(80点満点)の平均値は小5女子が55・72点(前年度55・54点)、中2女子が49・80点(同49・41点)。小5男子は54・16点(同53・93点)、中2男子は41・96点(同42・00点)でした。

 1週間の運動時間を「60分未満」とした割合は、小5男子が6・4%、中2男子が6・5%だったのに対し、小5女子は11・6%、中2女子は19・4%で、女子が大きく上回りました。ただし、女子はここ数年でこの割合が大きく減少し、2013年度と比べると小5で9・4ポイント、中2で10・4ポイントそれぞれ改善しました。

 種目別の平均値をみると、中2女子は握力とボール投げの2種目を除きこれまでの記録を更新。小5女子も50メートル走など4種目で過去最高でした。小5男子は上体起こしなど3種目で過去最高だったものの、ボール投げは低水準。中2男子は前年度に続き握力とボール投げが過去最低となりました。

 中2生が小5だった3年前の調査結果との比較分析では、中学進学に伴い運動時間が増える生徒と減る生徒が二極化し、女子は男子に比べ減る生徒の割合が高くなりました。

 体育の授業などの充実に向けた工夫をしている学校ほど運動時間の改善がみられ、調査にかかわった西嶋尚彦・筑波大教授は「競技的な部活ばかりでなく、みんなで集まって楽しめる『ゆるめの部活』の在り方を提案することで、運動機会が増えるのでは」と話しています。

 2018年2月13日(火)

 

■後発医薬品の使用率、地域により大きな開き トップは沖縄県、最低は徳島県

 2016年度の「調剤医療費の動向」を厚生労働省が報告し、都道府県別の後発医薬品の使用割合(数量ベース)を明らかにしました。後発医薬品が最も使われているのは沖縄県、最低は徳島県で、その使用率は20ポイントもの開きがあります。

 全国の都道府県で後発医薬品の使用率でトップを走るのが沖縄県で、2017年3月末で79・9%と全国平均の68・6%を大きく上回っています。

 理由の1つには、経済的な事情があります。沖縄県の県民所得は1人当たり213万円(2014年度)で、全国で最も低くなっています。後発医薬品は先発医薬品の半額ほどですむため、懐に優しい面があります。全国健康保険協会沖縄支部は「所得水準が低いため、医療費を抑えようという意識が強いのではないか」と分析しています。

 しかし、理由はほかにもあり、アメリカ統治下時代の名残です。日本の医療保険制度では、かかった医療費の1~3割を病院の窓口で支払いますが、「当時の沖縄では医療費全額を患者が立て替え、後で自己負担分以外の費用を還付してもらう」(沖縄県薬剤師会の亀谷浩昌会長)方式だったため、立て替えとはいえ大きな出費が嫌われました。

 一方、徳島県は全国で使用率が唯一6割を切っています。大手調剤薬局が他地域に比べて少なく、県内展開の小規模店が多いという事情があります。

 全国健康保険協会徳島支部によると、県内の大学病院前薬局は後発医薬品の調剤率が3~4割程度で、全国展開の薬局では8割超でした。小規模な薬局では次々と登場する後発医薬品の在庫を十分そろえられないためともいいます。

 同じ都道府県内でも、ばらつきがあります。例えば東京23区では、最高の足立区が68・4%なのに対し、最低の新宿区は55・4%。1人当たりの所得は足立区が23区中で最も低いのに対して、新宿区は8位と中間で、所得では割り切れません。

 数字を読み解くカギは人口構成で、国民健康保険(国保)では、新宿区は加入者に占める20~29歳の割合が約22%で全国平均の約3倍と高く、外国人留学生が多いことが影響しています。60~69歳の割合のほうは18%と、全国平均より14ポイントも低くなっています。

 厚労省によれば、1人当たり医療費は15~44歳は年間12万円で、70歳以上は84万円。新宿区の1人当たり医療費は23区中で最も低く、厚労省幹部は「医療費負担が軽い自治体では後発医薬品の使用を促すメリットが小さい」としています。後発医薬品の使用を増やすには、医師に後発医薬品名か成分の名称で処方してもらい、患者に後発医薬品を選ぶように促す必要があります。

 政府は後発医薬品の使用率について、2020年9月までに現在の60%台後半から80%まで引き上げる考えです。アメリカは9割を超え、イギリスも8割程度。日本でも障壁は多く達成は容易ではないものの、この水準を目指します。使用率が80%になれば、医療費が数千億円規模で削減できるとの試算があります。

 後発医薬品は「ゾロ薬」と呼ばれた時期がありました。先発医薬品の特許が切れると、さまざまなメーカーがその薬をゾロゾロと出すからで、薬価も安くなることもあり先発医薬品に劣るというイメージが付きまといました。

 例えば花粉症の患者などになじみ深い抗アレルギー剤の「アレグラ」は、主成分のフェキソフェナジン塩酸塩錠という名称で、後発医薬品がたくさん出ています。アレグラ錠60ミリグラムの薬価は65円なのに対して、後発医薬品なら多くが半額以下。

 安くても薬の効能は同じ。政府は後発医薬品の使用が多い薬局への調剤報酬を増やし、患者の後発医薬品への信頼感を高めるための啓発に取り組んでいます。さらに、後発医薬品のある先発医薬品の価格を後発医薬品の水準まで段階的に下げる仕組みを繰り出し、薬価の圧縮を目指しています。

 2018年2月13日(火)

 

■肝炎薬「ハーボニー」の偽造品販売の疑いで夫婦を逮捕 警視庁

 C型肝炎治療薬「ハーボニー配合錠」の偽造品を販売したなどとして、警視庁は7日、いずれも住居不定の無職、加瀬芳美(49歳)と夫の敬幸(43歳)の両容疑者を医薬品医療機器法違反(模造医薬品販売など)の疑いで逮捕し、発表しました。2人は「販売したのは本物です」などと容疑を否認しているといいます。

 2人は別の薬物事件で広島県警に逮捕、起訴され同県内で勾留されていました。警視庁は2人の事件への関与が強まったとして1月26日に逮捕状を取得、7日、身柄を東京都内に移送して逮捕しました。

 警視庁生活環境課によると、逮捕容疑は2017年1月4日、東京都千代田区の医薬品卸売業者「エール薬品」(解散)に、偽造したハーボニー入りのボトル2本を1本当たり80万~100万円で販売するなどしたというもの。同社関連会社の事務所で売り渡していたといい、周辺の防犯カメラやタクシーの乗車記録などから、2人が浮上しました。

 偽造品の流通は昨年1月以降、奈良市や東京都内などで計15本が確認され、厚生労働省などの調査で、すべてが「エール薬品」が個人から購入し、卸売りしたものと判明していました。警視庁は両容疑者を含むグループが偽造品販売に関与した疑いがあるとみて、入手経緯や流通ルートの解明を進めます。

 ハーボニーはアメリカのギリアド・サイエンシズ社が製造販売するC型肝炎治療薬。国内では2015年9月に販売が始まり、薬価は1錠約5万5000円、28錠入りのボトル1本当たり約153万円。ギリアド社の市販後の調査によると、12週間の経口服用で98・7%の確率でウイルスを完全に排除できるといいます。発売から2017年末までに8万人以上に処方されました。

 厚労省などが偽造品の一部を分析したところ、中身は市販のビタミン剤や漢方薬、別のC型肝炎治療薬「ソバルディ」や本物のハーボニーでした。患者が偽造品を服用したケースはなく、奈良市で偽造品を処方された患者もすぐに真正品と交換したため、健康被害はありませんでした。

 こうした事態を受けて厚労省は昨年、偽造品の流通防止のための検討会を設置。医薬品医療機器法の施行規則などを改正し、卸売業者や薬局が医薬品を仕入れる際は販売許可証や身分証などで身元を確認することを義務化し、医薬品の製造番号や使用期限なども書面で保存することとしました。

 2018年2月12日(月)

 

■インフルエンザ患者、3週連続で過去最多を更新 引き続きA型とB型が同時流行

 全国のインフルエンザの患者数は1月29日~2月4日までの1週間に1医療機関当たり54・33人と、統計を取り始めた1999年以降最も多かった前週を上回り、3週連続で過去最多となりました。

 特に東日本で流行が拡大しており、国立感染症研究所は手洗いやマスクの着用など、感染対策の徹底を呼び掛けています。

 都道府県別では、大分県が77・09人と最も多く、次いで、福岡県が69・96人、埼玉県が68・29人、神奈川県が66・31人、高知県が66・19人、鹿児島県が64・61人、千葉県が63・98人などとなっています。国は1医療機関当たりの患者数が30人を超えると警報レベルとしていますが、これまで下回っていた北海道も45・38人と、すべての都道府県で警報レベルに達し、特に東日本で流行が拡大しています。

 こうした数値を基にした全国の患者数の推計は、約282万人。前週から約8万人増加しました。推計の患者数を年齢別にみると、10歳未満が約91万人、10歳から19歳が約62万人と、依然として若い世代を中心に流行が続いています。入院患者数は2018人で、前週と比べ3%減りました。年齢別では、80歳以上が最も多い737人でした。

 また、国立感染症研究所によりますと、これまでの5週間に検出されたのはB型のウイルスが52%、A型のウイルスが48%と、引き続いてA型とB型が同時に流行する「混合流行」となっています。

 国立感染症研究所は、「全国的に患者数が多い状態で、流行のピークが続いているとみられる。『混合流行』の傾向も変わらないので患者数が急激に減ることはなく、大きな流行はしばらく続くのではないか」と話しており、手洗いやマスクの着用など、感染対策の徹底を呼び掛けています。

  1医療機関当たりの患者数をみると、昨年11月26日までの1週間にインフルエンザの患者数の全国平均が1人を超え、全国的な流行期に入りました。12月下旬になると各地で患者が徐々に増え、九州では患者数が警報レベルである30人を超える県も出てきます。

 年が明けて1月14日までの1週間に、九州・沖縄のすべての県で30人を超えたほか、四国や本州の一部でも30人に達する所が出始めます。次の週になると、東日本の広い範囲にも流行が拡大します。ほとんどの都府県で30人を超え、特に九州の一部では80人を超えたほか、太平洋側の一部の県では60人を超える大きな流行になる所も出ました。さらに、次の週の1月28日までの1週間では30人以上の警報レベルは北海道を除くすべての都府県に広がりました。また、九州・沖縄は少し下がったものの高い状態が続きます。

 9日に発表された2月4日までの最新のデータでは、北海道も30人を超え、すべての都道府県が警報レベルに達しました。九州や中国・四国地方では患者数が減少した県が多くなっていますが、それでも1医療機関当たりの患者数は九州を中心に多い状態が続いています。

 ただ、例年以上の大流行が続いているとの見方には懐疑的な医療者もいます。国立感染症研究所などによると、今年はA型に比べて高熱が出ないこともあるB型インフルが例年より早く流行し、患者数を押し上げています。東京都内の内科医は、「例年に比べると軽症者が多い印象だ」と話しています。済生会中津病院(大阪)の安井良則感染管理室長は、「高熱が出ない『隠れインフル』もある、などと報道されることで、普段なら病院に行かない程度の症状でも診察を受け、インフルエンザと診断される患者もいる」と話しています。

 インフルエンザは熱が下がった後も感染力があるため、数日間は自宅にとどまる必要があるという判断のため、患者も医療機関の受診が必要と考えるようです。

 2018年2月11日(日)

 

■千葉県浦安市、卵子凍結研究への助成終了へ 全国初実施から3年、保存は順大で継続

 千葉県浦安市が少子化対策として順天堂大学医学部附属浦安病院と共同で進めている、未受精の卵子の凍結保存研究支援のための公費助成を終了する方針を固めたことが6日、明らかになりました。

 全国初として注目を集めた公費助成は、松崎秀樹・前浦安市長が2015年2月に方針表明。当初、2017年度までの3年間の予定で始まりましたが、卵子凍結を行政が支援する是非などを巡り議論を呼びました。同病院で凍結をすでにした人や検討中の人がおり、市や病院には丁寧な対応が求められそうです。

 研究は、市が3年間で30人を目標に計9000万円の補助金を同病院に出し、卵子凍結の費用50万円程度が保険適用と同等の自己負担約3割ですむ枠組み。市内に住む採卵時20~34歳の女性が対象で、加齢による不妊を避けるなどの目的が想定されています。凍結から3年間の保存費用は無償。

 公費助成終了後は、同病院は費用を全額自己負担として凍結保存を続ける予定。内田悦嗣・浦安市長は、「3年間の事業なので終了する。凍結保存した人へのフォローを検討する」と述べました。

 同病院によると、研究ではこれまでに50人以上が採卵のリスクなどについての説明会に参加し、30歳代を中心に29人が凍結保存しました。29人の保存理由は、仕事の都合などによる本人の計画が14人、配偶者や交際相手の海外出張が6人、生殖機能低下の恐れがある病気などが9人でした。保存卵子の使用例はまだありません。3月も説明会開催を予定しています。

 今後も研究を進める同病院の菊地盤医師(49歳)は、「卵子の凍結保存を積極的に推奨するわけではないが、困っている女性に選択肢を与えたい」と話しています。

 浦安市の公費助成を巡っては、「税金を使うべきではない」「晩婚化を助長する」といった批判もあり、日本産科婦人科学会の委員会が治療目的でないのに採卵のための負担を課すことになるとして、健康な女性には「推奨しない」との見解をまとめるなど話題となりました。

 同市の助成開始後、滋賀県や京都府などではがん患者を対象とした卵子や精子の凍結保存の費用助成を始めました。

 2018年2月10日(土)

 

■診療報酬改定、かかりつけ医の機能を強化 初診料に800円を加算

 厚生労働省は7日、4月から適用される医療サービスの公定価格である診療報酬の改定方針をまとめ、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会に示しました。

 身近な「かかりつけ医」の役割を強化するため、複数の診療所と連携し、患者に24時間対応できる態勢を整えた場合に、診療報酬を手厚くします。一方で、重症者向けの急性期病床は要件を厳しく見直し、長期間の入院より、自宅や介護施設などで受ける在宅医療をより一層進めます。

 超高齢社会の到来で慢性期の患者が増大するのを見据え、地域の中で患者を継続的に診る開業医のかかりつけ機能を強化します。医師が複数の医療機関と協力し、24時間の往診と随時連絡が取れる態勢を取った場合の「継続診療加算」(患者1人当たり月2160円)を新設します。夜間や休日に対応するなど、かかりつけ医として患者を診た場合、初診料に800円を加算する「機能強化加算」も設けます。特別養護老人ホームなどへの訪問診療・看護で患者をみとる場合も、報酬を手厚くします。

 入院医療の仕組みも改めます。現在は「患者7人に対して看護師1人を配置する」という基準に基づいた急性期病床の診療報酬が厚く、数が多い一方、高い報酬に見合った医療を提供できていない病院も指摘されています。今回の改定では、重症患者の割合などに応じて入院基本料を細かく分類する方式に改め、「患者10人に対して看護師1人」が配置される病床への緩やかな移行を促します。

 紹介状なしに大病院を受診した患者に5000円以上の追加負担を求める対象も、現在の500床以上の病院から400床以上に広げ、かかりつけ医と大病院との役割分担をさらに進めます。

 タブレット端末やテレビ電話など情報通信技術(ICT)を使い、医師から離れた場所でも診察を受けられる「遠隔診療」の利用を促す仕組みも整えました。同じ医師が初診から半年以上にわたり診療した患者に対し、モニター画面を通じ診察した場合などに、「オンライン診療料」(患者1人当たり月700円)を新たに認めます。

 月に40万枚を超える処方箋を扱う「門前薬局」のグループに属し、特定の病院による処方箋の割合が85%超の薬局は、報酬を引き下げます。

 診療報酬は、2年に1度改定されます。厚労省は昨年12月、前回の改定より薬価を1・74%引き下げ、診察料などは0・55%引き上げることとし、全体でマイナス1・19%の改定率を決めました。中央社会保険医療協議会はこの財源内で、個別の値段を設定しました。患者が実際に支払う診察料や薬代は、自己負担割合(1~3割)によって異なります。

 2018年2月9日(金)

 

■紫外線を遮るオゾン層の減少、熱帯と中緯度帯で進行中 国際研究チームが警告

 有害な紫外線を遮って地球上の生命を守っているオゾン層が、世界で最も人口の多い熱帯と中緯度帯の上空で予想外に減少しているとの研究論文が6日、発表されました。

 1987年9月16日、オゾン層を破壊する物質の生産・消費の具体的削減策を定めた国際協定「モントリオール議定書」が採択され、上層大気、特に南極大陸上空のオゾンを化学的に分解するフロンなどが規制されました。

 それから約30年後の現在、南極上空と上部成層圏の「オゾンホール」は明確な回復の兆候を示しています。成層圏は高度約10キロから始まり、厚さが約40キロです。

 だが同時に、高度10~24キロの下部成層圏に存在するオゾンの分解が徐々に進行していると、今回の論文を発表した研究者20数人からなる国際研究チームは警告しています。

 研究論文の主執筆者で、スイス連邦工科大学チューリヒ校の研究者のウィリアム・ボール氏は、「(人類の大半が居住している)熱帯と中緯度帯の地域では、オゾン層はまだ回復し始めていない」と語り、「実際に、現在の状況は20年前よりやや悪化している」と指摘しました。

 オゾン層の破壊が最も顕著だった21世紀の始まり前後では、オゾン層が約5%減少していたことが、過去の研究で示されていました。

 欧州地球科学連合の学術誌「Atmospheric Chemistry and Physics」に掲載された研究論文によると、複数の人工衛星による観測に基づく今回の最新研究では、オゾン層が現在さらに0・5%減少しているとの推定結果が得られたといいます。

 この推定結果に関して確証が得られれば、オゾン層破壊の度合いが「現在、史上最高レベルに達している」ことになると、ボール氏は語りました。

 研究論文の共同執筆者で、イギリスのロンドン大学経済政治学院グランサム気候変動環境研究所の共同所長を務めるジョアナ・ヘーグ氏は、低緯度地帯に及ぶ可能性のある害は実際に極地方より深刻化する可能性があると指摘し、「オゾンの減少はモントリオール議定書制定前の極地方で観察されたものより小さいものの、低緯度地帯のほうが紫外線が強く、居住人口も多い」と語っています。

 この憂慮すべき傾向を引き起こしている可能性のある原因は2つあると、論文は結論付けています。

 1つは、溶剤、塗料剥離剤、脱脂剤などとして利用されていて、通常6カ月足らずで分解する「極短寿命物質」と総称されるジクロロメタンなどの人工化学物質のグループで、これが下部成層圏のオゾンを破壊します。

 「これが極短寿命物質の問題なら、対応は比較的容易なはずだ。モントリオール議定書を改正して、極短寿命物質を使用禁止にすることが可能だろう」とボール氏は話しています。

 オゾン層破壊を再び進行させている可能性のあるもう1つの原因は、地球温暖化です。

 下部成層圏の大気循環パターンの変化が最終的にオゾン濃度に影響を及ぼし、この影響はオゾンが生成される熱帯上空の成層圏から現れ始めることが、気候変動モデルで実際に示唆されています。

 だがこれまで、こうした変化が起こるのは数10年先と考えられており、熱帯と極地方の間の中緯度帯にまで達していることは予想外でした。

 ボール氏は、「気候変動がその原因なら、問題ははるかに深刻だ」と指摘し、「成層圏が気候変動に対してすでに顕著な反応を示しているかどうかに関しては科学者らの間で意見が分かれている」と付け加えました。

 「憂慮すべき事態だが、不安に駆られないようにするべきだ」とボール氏は続け、「今回の研究は『気候変動モデルに現れていない何かがここで起きている』ことを示すための大きな警鐘を、科学界に向けて鳴らしている」としました。

 2018年2月8日(木)

 

■葉物野菜を毎日1皿以上加えると、脳が11歳若返る アメリカの大学が研究

 1日1皿以上ホウレンソウなどの葉物野菜を食べるだけで、加齢による認知力低下を遅らせる可能性があるという新たな研究結果が、2017年12月20日付でアメリカの神経学会誌「ニューロロジー」電子版に発表されました。 その根拠は、ビタミンKです。

 シカゴにあるラッシュ大学の研究チームは、平均年齢81歳の高齢者954人を対象に、5年間かけて食事内容と精神機能についての追跡調査を行いました。その結果、1日に1皿か2皿の葉物野菜を摂取していた人は、葉物野菜をほとんど、あるいは全く食べていなかった人と比べ、11歳若い人と同等の認知能力を持つことがわかりました。

 ホウレンソウのほかにも、ケール(緑葉カンラン)、コラード(コウベマンティガ)、カラシナ、レタスなどの葉物野菜も、脳の老化を遅らせるのに効果が期待できそうです。葉酸やベータカロチンが脳機能を活性化することはわかっていましが、ビタミンKが脳に与える効能を評価したのは、この研究で初めてです。

 「これまで、認知能力の変化に関連付けてビタミンKに注目した研究はありませんでした。ルテインに関するものがわずかにあるだけでした」と、ラッシュ大学医療センター研究組織副長で、研究チームのリーダーであるマーサ・クラレ・モリス博士が語りました。

 「アスパラガス、芽キャベツ、ニンジンなどほかの食物でも、ビタミンKやルテイン、葉酸などの栄養素を多く含むものは葉物野菜と同じ効能を持っているのでは」と、研究チームでは考えています。今後もこの可能性を追求して、研究を発展させる予定です。

 この研究結果で、手軽に手に入れられて値段も手ごろな葉物野菜に、脳機能の活性化に役立つことが期待できそうです。

 「認知能力の低下がアルツハイマー病や認知症の主因なので、葉物野菜の摂取が増えれば、切開手術などせず簡単で手軽に、アルツハイマー病や認知症から脳を守ることができるでしょう」と、モリス博士は語りました。

 一方、研究を実施したモリス博士らは、葉物野菜に含まれているビタミンKやルテイン、葉酸などの栄養素をサプリメントで摂取することについては批判的で、「食物に含まれている栄養素の複雑なバランスはサプリメントでは再現できない。野菜そのものを食べて摂取すべきだ」と強調しています。

 2018年2月7日(水)

 

■腎臓病の薬で毒素を排出して心不全治療 国立循環器病研究センターが臨床研究へ

 腎臓病の薬が慢性心不全の治療に効果がある可能性があり、国立循環器病研究センター(大阪府吹田市)などが4月から臨床研究に乗り出します。

 腎不全の原因となる毒素が心臓にも悪影響を及ぼしていることが、わかってきたためです。第1段階は、腎臓病を併発している心不全患者に投与。効果を確認できれば、腎臓病のない心不全患者にまで対象を広げた臨床試験(治験)を行い、新たな治療薬としての承認を目指します。

 国内の推定患者が120万人に上り、全身に血液を送る心臓のポンプ機能が慢性的に悪化し、動悸や息切れ、呼吸困難などの症状が出る慢性心不全の治療にはこれまで、心臓を保護したり、休ませたりする薬が使われてきましたが、効果の少ない患者もおり、新しい治療薬の開発が課題となっています。

 国立循環器病研究センターの北風政史・臨床研究部長(循環器内科)らが、過去に同センターが治療した慢性心不全患者約8000人のデータを調べたところ、腎不全を併発して「クレメジン」という腎臓病の薬を飲んだ約50人は、他の患者より心臓のポンプ機能が2、3割よくなっていました。

 クレメジンは、腎不全の原因となる尿毒症毒素などを消化管内で吸着し、便とともに体外に排出する働きを有します。腎不全を併発している心不全患者らの体内では、毒素が血液に混じって心臓にまで運ばれ、心臓の組織を硬くして機能を悪化させていたと見なされます。腎不全の治療でたまたまクレメジンを飲んでいたために、毒素が減り心臓の機能が改善した可能性があるといいます。

 4月からの臨床研究では、腎不全を抱えた慢性心不全の患者計25人にクレメジンを約1年間、1日3回服用してもらいます。その後、さらに1年間、経過観察します。クレメジンを使わない同数の患者と比べ、心臓の機能の改善効果を調べます。

 臨床研究は、国立循環器病研究センターの倫理委員会で昨年11月に承認されました。同センターと大阪急性期・総合医療センター(大阪市)、横浜市立大学付属市民総合医療センター(横浜市)、名古屋大学(名古屋市)、公立陶生病院(愛知県瀬戸市)の5施設で行います。

 クレメジンは1991年からカプセル剤などが販売されており、腎臓病の薬としては安全性が確認されています。1グラム当たり100円未満で、医療費の抑制も期待できます。

 臨床研究に先立ち、北風部長らが、腎不全を併発していない心不全だけのイヌにクレメジンを与えてみたところ、心臓の機能が2倍近く改善する効果がみられました。このため、治験の段階では、心不全だけの患者にも薬の効果を試し、より多くの患者に適用できないか調べます。

 心不全に詳しい盛田俊介・東邦大学医学部教授(臨床検査医学)は、「心臓と腎臓の両方に悪さをする毒素を狙って心臓病を治すという発想は理にかなっている。新たな治療薬として期待できる」と話しています。

 2018年2月6日(火)

 

■新型出生前検査、学会の認定外施設が対象疾患拡大へ 大阪府と東京都の民間3医療機関

 妊婦の血液からダウン症など3種類の胎児の染色体異常を調べる新型出生前検査(NIPT)について、学会の認定を受けずに検査を実施している民間の3医療機関が近く、検査の対象疾患を大幅に拡大することが明らかになりました。

 認定外施設の存在を問題視してきた日本産科婦人科学会は、実施施設の制限を緩和して無秩序な広がりを抑える方針ですが、拡大に歯止めがかからない実態が浮き彫りになりました。

 新型出生前検査の実施に法規制はありませんが、学会が独自に認定制度を創設。日本産科婦人科学会の指針のもと、遺伝カウンセリング体制が整った89施設を日本医学会が認定し、ダウン症、エドワーズ症候群、パトー症候群の染色体疾患3種に限り、臨床研究として行うこととしています。

 ただ、強制力はなく、少なくとも3つの認定外施設が検査を手掛け、この3種以外にいくつかの疾患も検査対象としていました。

 このうち、大阪府の病院とその系列である東京都の診療所の計2施設は、全染色体の数の異常を調べる検査を4日から導入すると表明。これにより、20以上の疾患を調べられます。5月には、染色体の一部が欠けていることで知的障害などの原因となる「微小欠失」という病気の検査も行う方針としています。

 診療所の院長の男性は、「妊婦の期待に応えるため」としています。

 東京都の別の認定外診療所は、染色体の数や形に異常はないが、1つの遺伝子の変異により発症する「筋ジストロフィー」などを新たに対象に加えるといいます。

 新たな対象疾患として挙げられている微小欠失や筋ジストロフィーなどの検査は、すでに技術的には可能になっています。調べられる疾患は今後、さらに増える見通し。

 日本産科婦人科学会は先月、大学病院などに限定される新型出生前検査の厳しい認定条件を緩和し、一般診療として幅広く実施を認めることで、認定外施設に妊婦が流れることを抑止する方針を固めていました。

 新型出生前検査は、妊娠10週以降の早い時期に妊婦から血液を採取し、そこに含まれる胎児のDNA断片を分析することで、ダウン症、エドワーズ症候群、パトー症候群の3種類の染色体疾患の可能性を調べます。陰性の場合、99%の確率で疾患はありません。陽性の場合、結果を確定させる羊水検査が必要になります。研究組織によると、昨年9月までの4年半で5万1139件行われ、陽性と確定した人の97%に当たる654人が人工妊娠中絶を選択しました。費用は20万円程度。 

 2018年2月6日(火)

 

■生活習慣病の患者でも保険加入が可能に 生保がAIを活用し審査基準を緩和

 生命保険業界で人工知能(AI)を活用して、新しい顧客を掘り起こす動きが広がってきました。

 かんぽ生命保険は契約者の病歴などを日本IBMのAI「ワトソン」で解析し、2018年度にも保険を引き受ける際の審査基準を緩和します。膨大なデータで将来の病気や死亡のリスク予測をし直す結果、多くの生活習慣病の患者らが「治癒の可能性がある」などと見なされて、保険加入できるようになります。

 かんぽ生命が分析を始めたのは、国内最多の3156万件の個人保険契約と、外部の医療機関などから購入した450万人分のデータ。いずれも個人が特定できないよう加工・匿名化しており、治療歴のほか、健康保険組合の健康診断結果、薬の処方歴などの情報が含まれます。主に生活習慣病にかかわる指標に着目し、例えば高血圧や糖尿病患者の手術・入院、死亡率といった経過を調べます。

 従来も契約者データをもとに死亡率などを予測してきましたが、たくさんの外部データを組み合わせることで、健康状態の変化などをより高い精度ではじき出します。例えば保険の申し込み時点で高血圧や糖尿病など健康リスクの高い人は加入を認めていなかったためデータが不足していましたが、外部データでこうした分野を補強します。医療技術の向上や健康改善の努力によって、指標が多少悪くても健康で長生きできるとわかれば、加入の裾野を広げられます。

 対象となる保険は、主力の養老保険、終身保険と医療特約など。かんぽ生命は2016年度に約270万件の保険申し込みがあったうち、健康上の理由などで約1割が契約に至りませんでしたが、審査基準の緩和によって毎年4万〜5万件の契約拡大につながる見通しです。

 将来は、蓄積したデータを生かして健康づくりを促すような商品・サービスの開発も目指します。審査基準の緩和による加入者の増加や、健康増進による保険金支払いの抑制が実現すれば保険収支が改善するため、将来の保険料引き下げが期待されます。

 他の生保大手でも、医療データを活用する流れは強まっています。日本生命保険は野村総合研究所、リクルートホールディングスと連携し、4月から健康支援サービスを始めます。健康保険組合など500万人規模のデータを分析し、企業向けに従業員の運動や食生活の改善を促します。

 第一生命保険は日立製作所と共同でAIを使って約300万件の医療データを分析し、昨年7月から保険の引き受け基準を緩和しています。高血圧や糖尿病患者など従来の基準では保険に入れなかったケースで、年約1万2000件が加入できるようになったといいます。

 国内の生活習慣病の患者は増加傾向にあり、厚生労働省によると、2014年の糖尿病患者数は1990年比で約2倍、高血圧疾患は約7割増えました。加入基準の緩和や健康改善サービスの拡充は、患者数増加に対応する効果もあります。

 2018年2月5日(月)

 

■高齢者が大半の凍死、熱中症死の1・5倍 屋内でも冬の寒さに要注意

 冬は酩酊して路上で凍死するケースもありますが、高齢者が自宅で凍死するケースも目立ち、用心が必要です。熱中症の危険性は広く知られていますが、低体温症による死亡(凍死)のほうが、死者数は1・5倍にも上っています。

 国内の凍死者は2010年から2014年まで毎年1000人を超え、2010年を除いて熱中症による死者数を上回っています。2001~2014年を合計すると、凍死者数は1万3204人になり、熱中症による死者数の8789人を大きく超えています。厚生労働省の人口動態統計によると、2000〜2016年の国内の凍死者は計約1万6000人で、熱中症の1・5倍に上ります。

 凍死者の大半は高齢者で、室内で低体温症に陥ったケースが多く、背景に孤立や貧困もあるとみられます。専門家は、調査や対策の必要性を訴えています。

 1月末、東京都板橋区にある帝京大学病院の高度救命救急センターに、意識のない80歳代の女性が運び込まれました。体の深部の温度が26度まで下がったショック状態。独居で認知症の症状があり、近所の人が自宅を訪ねると意識がもうろうとしていたため、救急搬送されました。

 同病院の三宅康史教授(救急医学)は、「低体温症に陥るお年寄りの典型例。似た状況の人が連日のように搬送されてくる」と明かしています。

 低体温症は、寒さなどで体の熱が奪われ、体の深部の温度が35度以下になって全身に障害が起きる症状。35〜32度では血圧が上昇し震えが出るものの、32度以下では震えが止まり、意識障害や脈拍の低下などの症状が出て、放置すれば死亡の恐れがあります。

 凍死は山岳遭難、屋外での泥酔、雪下ろし中の転落事故など特殊な環境で起きると思われがちですが、屋内で凍死も体温の調節機能が衰えた高齢者に起きやすく、死亡率が高いのが特徴。日本救急医学会の2014年の調査では、全国の救急医療機関など91施設に低体温症で搬送された計705人のうち、屋内での発症は517人と7割以上を占めました。

 患者の平均年齢は72・9歳で、高血圧や糖尿病などの病歴のある人が目立ち、死者は161人に達していました。北日本だけでなく、西日本でも多くの症例が報告されています。

 三宅教授は、「背景には高齢化に加え、重症になるまで気付かれない孤立化や、貧困層の増大がある」と話しています。

 首都大学東京の藤部文昭特任教授(気象学)によると、人口動態統計の数値の推移からもその傾向が読み取れるといいます。低温による凍死者数は、1990年代から急増。低体温症に陥りやすい高齢者人口の増加が要因の一つとみています。

 藤部特任教授は、「凍死はこれまで熱中症ほど注目されず、全体像も未解明。実態把握と対策が必要」と指摘しています。

 2018年2月5日(月)

 

■性器増大の美容外科手術の失敗で排尿困難に 50歳代男性が医療法人を提訴

 男性器を増大させる手術を受けたが失敗し、排尿が困難になるなどの損害を受けたとして、50歳代男性が手術を受けた千葉県船橋市内の美容外科クリニックと運営母体の医療法人社団セレスに慰謝料など計約2億4000万円を求める訴訟の第1回口頭弁論が2日、千葉地裁で開かれました。

 訴状などによると、男性は2015年10月27日、男性器を増大させるため、充填(じゅうてん)剤を注入するなどの手術を受けました。しかし、数日後に内出血を起こすなど痛みを訴え、翌11月下旬に別の病院で診察を受けたところ、一部が壊死(えし)していると診断されました。

 このため、男性器の大部分を切除する手術を受け、数センチを残すのみとなりました。男性は現在、排尿時に違和感があるほか、性交渉も難しいことから、精神的ダメージも大きいといいます。

 この日の裁判で、男性側は、手術によって組織が壊死するなどのリスクについて執刀医から事前に十分な説明がなかった上、手術後間もなく痛みなどを訴えたのに適切な処置がなされなかったなどとして、美容外科クリニック側に治療費や慰謝料など計約2億4000万円の賠償を求めました。一方、被告の美容外科クリニック側は、原告の請求を棄却するよう求める答弁書を提出し、争う姿勢を示しました。

 この日の裁判後に記者会見した男性側代理人の大門誉幸(よしゆき)弁護士は、「男性側は2015年秋ごろから示談交渉をしてきたが、美容外科クリニック側から十分な回答を得られず、謝罪もないために提訴に踏み切った」と説明。「危険性について説明されないまま手術を受け、男性のシンボルを失った悔しさは相当なもの。メリットを強調するのみで、十分な説明を行わない悪質な医師が多くおり、社会に一石を投じる意義を感じ、今回の記者会見を行った」と話しました。

 美容外科クリニック側は、「患者が合併症を併発したことについては把握しているが、医師は適切な治療をしており過失はない」と話しています。

 2018年2月4日(日)

 

■服用1回で治療できるインフルエンザ新薬、5月発売へ 塩野義製薬

 1回飲むだけの新たなインフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」が、5月にも発売される見通しになりました。ウイルスの増殖を直接抑える、これまでになかったタイプで、塩野義製薬が開発しました。

 従来の薬にウイルスが耐性を持ち、効きにくくなった人にも効果が期待されます。

 厚生労働省の専門部会が2日、製造販売を了承しました。通常のスケジュールに従えば、3月に厚労省による承認が見込まれ、5月にも薬価が決まり発売されます。対象は成人、小児のA型、B型インフルエンザウイルス感染症で、年齢や体重によって異なる量の錠剤を1回服用します。

 1日2回、5日間飲み続けるタミフルなどと比べて使いやすいのが、特徴です。既存薬よりも他人にウイルスを感染させるリスクを減らせると期待され、塩野義製薬が行った臨床試験では、投与翌日には半数以上の患者で、感染性を持つウイルス量が減っていることが認められました。

 国内でよく使われるタミフルなどの4種のインフルエンザ治療薬は、細胞内で増殖したウイルスが細胞外に広がるのを抑えます。このタイプの薬が効かない耐性ウイルスが流行した時に、ゾフルーザは効果を発揮しそうです。

 10年前には、ヨーロッパでタミフルに耐性のあるウイルスが登場し、世界中に広まりました。日本でも4年前に、札幌市内の患者から、タミフルなどが効きにくいウイルスが検出されました。国や自治体は、既存薬に耐性を持つウイルスの調査を続けています。

 ゾフルーザは、画期的な薬の早期実現化のために厚労省が優先的に審査する先駆け審査指定制度の対象品目で、2015年に同制度が導入されて以来、承認了承された医薬品として第1号になりました。

 塩野義製薬は、「家庭内や学校、職場などでウイルスの感染拡大の抑制に一定の効果があると期待される」としています。

 2018年2月3日(土)

 

■インフルエンザ患者数、過去最多の前週を上回る B型とA型のウイルスが混合流行

 インフルエンザの大流行が続いています。全国のインフルエンザの患者数は、1月28日までの1週間に1医療機関当たり52・35人となり、統計を取り始めた1999年以降、過去最多となりました。

 北海道を除く46都府県で警報のレベルを超え、インフルエンザの流行は引き続き拡大しており、国立感染症研究所は手洗いやマスクの着用など、感染対策の徹底を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、1月22~28日までの1週間に、全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり52・35人となり、統計を取り始めた1999年以降、最も多かった前の週をさらに上回り、2週連続で過去最多を更新しました。

 国は1医療機関当たりの患者数が30人を超えると警報レベルとしていますが、秋田県と石川県が新たに警報レベルに達し、北海道を除く46都府県で警報レベルになりました。

 都道府県別では、福岡県が77・35人と最も多く、次いで大分県が74・76人、埼玉県が65・41人、神奈川県が63・36人となっています。

 この数値を基にした全国の患者数は、およそ274万人と推計されています。推計の患者数を年齢別にみると、0歳から9歳が約89万人、10歳から19歳が約60万人と、20歳未満が全体の半数以上を占めており、若い世代で流行が続いています。

 今シーズンの累計患者数は約1111万人に達し、学級閉鎖した小中高などは今シーズン初めて1万を超えました。

 国立感染症研究所によりますと、検出されたウイルスはB型が全体の43%、9年前に新型として流行したA型のH1N1型が31%と、B型とA型が同時に流行する「混合流行」の傾向が続いているということで、感染を予防するための手洗いやマスクの着用など、感染対策の徹底を呼び掛けています。

 インフルエンザの流行状況について、国立感染症研究所の砂川富正室長は、「患者数の増加の推移を見ると、流行はピークか、ピークに近い段階だと考えられる。西日本の患者数がわずかに減少したものの東日本では増加していて、全国的にみれば、引き続き大規模な流行が続き、感染のリスクも高まっているので、子供や高齢者は外出の際、できるだけ人混みを避けるなど、感染しないようにしてほしい」としています。

 その上で、「例年よりもB型の流行が1カ月早くきていて、A型とB型の2つの型のウイルスが流行しているので、2度、感染する可能性がまだ例年より高い状態だ」と話しています。

 2018年2月3日(土)

 

■人工透析、診療報酬の一部を引き下げへ 厚労省が改定方針

 厚生労働省は2018年度の診療報酬改定で、腎臓病患者への人工透析治療で医療機関が得る報酬を削減する方針を決めました。

 多くの患者を治療する大規模施設の診療報酬を重点的に引き下げます。人工透析を受ける患者は2016年度で約32万人に増えており、約1兆6000億円に上る医療費の抑制を図ります。

 人工透析は機能が落ちた腎臓の代わりに機器を使って、血液中の老廃物や余分な水分を取り除く治療法。糖尿病が悪化すると腎臓の機能が低下し、人工透析が必要になるケースが多くなります。標準的な人工透析時間は4~5時間で、時間をかけて丁寧な透析治療を行うほど患者の死亡リスクが下がります。

 現行では1人当たりに年間約500万円の医療費がかかり、昨年10月の経済財政諮問会議で民間議員が医療費抑制のため「実態に応じた適正化」を求めていました。

 今回の診療報酬改定では、多くの透析用の機器を持ち、受け入れる患者を増やすために短時間しか透析治療をしない医療機関の報酬を主に引き下げます。厚労省によると、20〜60台の透析用の機器を持つ施設が大勢を占める中で、120台以上の機器を保有し、1日当たりの患者数が非常に多い医療機関もあります。

 医療機関に支払われる診療報酬を引き下げると、通常は患者負担も軽くなりますが、人工透析の患者は医療費助成などで自己負担なしか月1万~2万円に軽減されており、金銭的な影響はないとみられます。

 一方、厚労省は、人工透析に至らないように患者に働き掛ける重症化予防に力を入れます。糖尿病が原因で腎臓の機能が低下した患者に対する医師の運動指導の対象を、人工透析を受ける直前の重症患者から、中等度の患者に広げます。

 患者団体の全国腎臓病協議会は、「報酬引き下げが、医療機関の経費削減などによる透析医療の質の低下を招かないようにしてほしい」としています。

 2018年2月2日(金)

 

■血液でアルツハイマー病判定、原因物質を簡単に検査 国立長寿研など発表

 認知症全体の6~7割を占めるとされるアルツハイマー病の原因物質の脳内への蓄積を、わずかな血液で調べることができる検査法を開発したと、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)と大手精密機器メーカーの島津製作所(京都市中京区)の研究チームが発表しました。

 調べるのは「アミロイドベータ(Aβ)」というタンパク質で、発症の20年ほど前から脳に徐々に蓄積するとされます。血液からの検出法の確立は世界初で、簡便な検査法ができたことで、発症前の人を対象にした根本的な治療薬の開発を促進するものと期待されます。

 研究論文は、1月31日付のイギリスの科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載されました。

 アミロイドベータの検査は現在、1人当たり十数万~数十万円かかる特殊な脳画像検査や、背骨の間に針を入れて脳脊髄液を採取する検査法が用いられています。費用や体への負担が大きく、大規模な研究が難しい原因にもなっています。

 アミロイドベータは血中にわずかな量しか含まれておらず、血液検査で調べるのは難しいとされてきました。研究チームは、アミロイドベータの蓄積によって変動する複数の関連物質の比率から脳内への蓄積の度合いを推定する技術を開発し、わずか0・5ccの血液で測定できる方法を確立しました。

 アルツハイマー病は、無症状ながらアミロイドベータが徐々に脳内に蓄積する段階を経て、軽度認知障害(MCI)、発症へと進行します。研究チームは、オーストラリアにある世界有数の認知症研究組織と連携。健康な人を含む60~90歳の日本人121人とオーストラリア人111人を対象に、血液検査と脳画像検査を行い、結果を比較しました。両国とも約9割で一致し、アミロイドベータの有無を正しく判定できました。

 国立長寿医療研究センターの柳沢勝彦・研究所長によると、アルツハイマー病の根治薬の研究は近年、発症前段階を対象としています。簡単な血液検査で対象者を選び出せることで、研究の加速が期待できるといいます。さらに、「当面は、治療法の開発のための患者を見付け出すために使い、将来的には、発症前の高齢者検診に生かせる可能性もある」としています。

 2002年にノーベル化学賞を受賞し、今回の開発に加わった島津製作所シニアフェローの田中耕一さんは、「医療・創薬に役立つものを作りたいと研究を続けてきたが、私達の開発した分析技術が、認知症薬研究への活用が見通せるところまできたことは感慨深い。もうひと踏ん張りしなくてはと思う」と話しています。

 岩坪威(たけし)・東京大学教授(神経病理学)は、「アミロイドベータの蓄積を血液検査で調べるのは難しいと考えられていたが、日本だけでなく海外のサンプルでも正確さが再現できており、信頼性が高いとみられる。発症前段階を対象にした治療薬の開発研究にとって大きな前進だ」と話しています。

 2018年2月2日(金)

 

■1日からパチンコ出玉を3分の2程度に抑制 警察庁が依存症対策で

 警察庁は、パチンコの出玉の上限をこれまでの3分の2程度に抑えるよう風俗営業法の規則を改正し、1日から規制を強化しました。

 カジノを合法化する「統合型リゾート(IR)整備推進法」が昨年12月に成立したことを受けて、政府がギャンブル依存症の対策などに取り組む中、警察庁は、パチンコの出玉の上限をこれまでの3分の2程度に抑えるよう風俗営業法の規則を改正しました。

 具体的には、パチンコの業界団体の調査で客が1度に遊ぶ標準とされる4時間で獲得できるパチンコの出玉の数を金額にして5万円(1玉4円換算)を下回るようにしたほか、1回の「大当たり」で獲得できるパチンコの出玉の数をこれまでの2400個(1玉4円換算で9600円)から1500個(同6000円)に引き下げました。パチスロも、パチンコと同様の水準で規制しました。

 パチンコの依存者から電話相談を受け付けている団体の調査によりますと、相談してくる人のおよそ70%は1カ月当たりのいわゆる「負け」が5万円以上になるということで、警察庁は、パチンコの出玉の総数を5万円以下にすることで、負けを取り戻そうという思いを抑制したいとしています。

 改正された風俗営業法の規則は1日施行され、警察庁は「今回の規制強化は借金を抱えながらパチンコを続けているような人達に対し、一定の効果があると考えている。業界によるギャンブル依存症対策と併せて実効性のあるものになるよう指導していきたい」としています。

 警察庁によると、パチンコホールは1995年は1万8244店舗ありましたが、2016年は1万986店舗まで減少。市場規模は2005年の34兆9000億円をピークに、2015年は23兆2000億円に減っています。

 2018年2月2日(金)

 

■ナッツや豆類は乳幼児に危険、誤嚥で窒息や肺炎も 消費者庁が呼び掛け

 消費者庁は1月31日、3歳未満の乳幼児がピーナツや大豆を食べると、誤って気道に入る「誤嚥」が起きやすく、窒息や肺炎など重症化するケースが多発しているとして、2月3日の節分に合わせて注意を呼び掛けました。

 小さな子供が豆まきが終わった後、床などに落ちた豆を食べるなどして窒息するケースが毎年、相次いでいるためです。消費者庁消費者安全課によると、昨年末までの7年間にピーナツや大豆などによる14歳以下の子供の誤嚥事故は27件あり、うち20件は3歳未満。27件中16件は、入院治療が必要となる重症でした。

 1歳の子供が節分の煎り大豆を食べた後、苦しそうな症状が出たため救急搬送され、全身麻酔の上で気管支から大豆のかけらを取り除いた例もありました。

 乳幼児はかみ砕く力やのみ込む力が未発達のため、乾いたナッツ類の破片が気道に入りやすく窒息の危険があるだけでなく、気道に入った小さな破片をそのまま放置していると、溶け出した油分で肺炎や気管支炎を引き起こすこともあるといいます。

 消費者安全課の担当者は、「豆はエックス線検査で写りにくく、長期間判明しないこともある」とし、「特に乳幼児ののどは未発達で気管に入りやすい。節分の豆まきでは、親の目の届かないところで子供が豆に近付かないように注意し、誤って口に入れないように後片付けも徹底してほしい。また、節分に限らずふだんから、歯が生えそろう3歳ごろまでは乾いたナッツや豆類を食べさせないようにしてほしい」としています。

 2018年2月1日(木)

 

■輸血でE型肝炎ウイルスに感染、80歳代女性死亡 献血者がシカの生肉を食べ提供か

 厚生労働省は31日、輸血用血液製剤で80歳代の女性がE型肝炎ウイルス(HEV)に感染し、劇症肝炎で昨年死亡していたことを明らかにしました。

 血液製剤の供給元の献血者は、シカの生肉を食べたことで感染したとみられますが、発症していませんでした。輸血でE型肝炎ウイルスに感染し死亡した報告は、海外も含め初めてといいます。

 厚労省によると、女性は多発性骨髄腫を患い、抗がん剤治療を5カ月間受けた後、昨年7月に輸血を受けました。その後、10月には肝臓機能の数値が悪化したため抗がん剤投与が中止されました。いったん快方に向かったことで抗がん剤治療が再開されると、容体が悪化し、11月に劇症肝炎で死亡しました。

 献血事業を担う日本赤十字社によると、2002年以降、輸血でE型肝炎ウイルスに感染しE型肝炎を発症したのは23件で、軽症だったケースが多いといいます。日赤はこれまで血液のE型肝炎ウイルス混入の検査をE型肝炎患者が多い北海道のみで実施していましたが、今後全国に広げて再発防止を図ります。

 しかし、導入には少なくとも1~2年かかるため、当面は感染の恐れがある献血者に対して、辞退を呼び掛けます。医療機関に対しては、輸血用血液製剤に感染症のリスクがあることを改めて周知します。ただし、血液中にE型肝炎ウイルスが残っている期間は長くはないといいます。

 輸血用血液製剤からのウイルス感染による死亡は、2002~2005年に計3件、B型肝炎ウイルスが原因で起きた例などがあります。

 今回のケースについて、肝臓専門医の溝上雅史・国立国際医療研究センターゲノム医科学プロジェクト長は、「患者は高齢で、抗がん剤の投与で肝臓機能が低下していたところに、E型肝炎にかかった。死亡は複合的な要因によるものではないか」と指摘しています。

 E型肝炎は、E型肝炎ウイルスを体内に持つイノシシやシカなどのジビエ(野生鳥獣の食肉)やブタなどを加熱不十分な状態で食べたり、E型肝炎ウイルスに汚染された水を飲むことで感染します。感染は一過性で、ウイルスが体内に定着することはありません。症状は、発熱や吐き気、腹痛、食欲不振、黄だんなど。通常は軽症ですみ、発症しない場合も多いものの、妊婦や高齢者は劇症肝炎になるなど重症化しやすいと見なされています。

 2018年2月1日(木)

 

■神戸薬科大、「健康的な肥満」を担う遺伝子特定 糖尿病やメタボ予防に期待

 ほ乳類が持つ遺伝子「Fam13a」に血液中の糖を抑えるインスリンの働きを調節する役割があることを、神戸薬科大学(神戸市東灘区)の江本憲昭教授(循環器内科)と池田宏二准教授の研究チームがマウスを使った実験で解明したと発表した。

 糖尿病やメタボリック症候群を防ぐ効果が期待され、今後、人への応用に向けた研究を進めます。成果は30日以降、アメリカの「科学アカデミー紀要」電子版に掲載されました。

 研究チームによると、人は太ると脂肪細胞が肥大し、インスリンの作用が下がり、メタボリック症候群などを発症する可能性が高まります。ところが、太っていても健康な人もおり、肥満と糖尿病やメタボリック症候群の発症につながる細かなメカニズムはわかっていませんでした。

 研究チームは、太らせたマウスの脂肪細胞にあるFam13aの量が、通常のマウスの10%未満に減っていることを確認。分析したところ、細胞内でインスリンが正常に働くよう、必要なタンパク質が分解されないように保護する役割を担っていることがわかりました。

 マウスの脂肪細胞でこのFam13aを欠損させたところ、肥満でなくても軽いインスリン作用不全を示しました。さらに、マウスを高脂肪食で太らせると、こうしたインスリン作用不全は著しく進行しました。

 一方、Fam13aの発現率を高めたマウスは、太らせてもインスリンが十分に機能して血糖値が上がりにくく、糖尿病やメタボリック症候群になりにくいことが判明。この遺伝子がインスリンの作用に重要な役割を果たしていることが、わかりました。

 江本教授は、「人でも同様の作用を確認できれば、太ってもFam13aを減らないようにする新薬の開発や、糖尿病の新たな予防・治療法につながる可能性がある」と話しています。

 2018年1月31日(水)

 

■小規模な飲食店は「喫煙可」、加熱式たばこは規制へ 厚労省が健康増進法改正案の骨子を公表

 他人のたばこの煙を吸い込む受動喫煙対策について、厚生労働省は30日、今国会に提出予定の健康増進法改正案の骨子を公表しました。

 店舗面積150平方メートル超の飲食店を原則禁煙とし、加熱式たばこも規制対象に盛り込む方向で調整。例外として、150平方メートル以下など経営規模の小さい既存の飲食店で喫煙を認めます。30平方メートル超を原則禁煙としていた昨年3月の案より、大幅に後退した格好。2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでに段階的に施行するとしています。

 原則禁煙となるのは、ファミリーレストランなど一定以上の経営規模の店舗や新たに開設される飲食店。煙が外に流れない喫煙専用室の設置は、認めます。一方、小規模な飲食店は当面、喫煙や分煙の表示を掲げることで喫煙可能。対象は店舗面積150平方メートルまたは客室面積100平方メートル以下で、個人経営か資本金5000万円以下の既存店となる見込み。店舗面積に厨房(ちゅうぼう)を含むかなどの詳細は、示されていません。

 東京都の調査では、都内の飲食店の7割以上は100平方メートル以下で、多くの店舗が原則禁煙の対象外となります。

 使用者が急増中の加熱式たばこについては、紙巻きたばこと同様に原則禁煙とします。ただ、健康への影響がまだわからないため、加熱式たばこ専用の喫煙室で、食事をしながらの喫煙も可能にします。

 また、子供や若年層への健康影響を考慮して、喫煙可能な飲食店や喫煙室への20歳未満の客や従業員の立ち入りは、禁止します。学校や病院、官公庁などの公的施設は、原則敷地内禁煙。喫煙室の設置は認めないものの、屋外の敷地内に喫煙場所を設けることは可能とします。

 一方、独自の受動喫煙防止条例制定を目指している東京都は30日、国と整合性を取る必要があるなどとして、2月の定例議会に予定していた提案を見送ると発表しました。

 2018年1月31日(水)

 

■新型出生前検査、実施施設を拡大へ 産科婦人科学会が指針見直し

 妊婦の血液からダウン症など3種類の胎児の染色体異常を高い精度で調べる新型出生前検査(NIPT)について、日本産科婦人科学会(日産婦)は、臨床研究として一部の大学病院などに実施施設を限ってきた体制を改め、一般診療として広く提供する方針を固めました。

 妊婦の年齢制限緩和や対象疾患の拡大についても、段階的に検討します。結果次第で人工妊娠中絶につながる検査のため、急拡大に慎重な他学会から異論だ出ることも予想されます。

 新型出生前検査は2013年4月に始まり、現在、日産婦の指針に基づいて日本医学会に認定された89施設で実施。多くは大学病院などで、対象は35歳以上の高齢の妊婦、過去に染色体異常のある胎児を妊娠した人などに限っています。

 しかし、高齢出産の増加を背景にニーズが拡大し、遺伝カウンセリングの体制が不十分なまま、妊婦を受け入れる認定外施設の問題が2016年に表面化しました。また、青森県など認定施設が一つもない県もあるなど地域格差が指摘されています。

 日産婦関係者によると、遺伝カウンセリングの専門家を必須とするなどの厳しい認定条件を緩和します。遺伝カウンセリングの研修を受けた産婦人科専門医が実施できる仕組みを整える案が、有力です。3月に開かれる理事会で基本方針を決定した上、関連学会と協議します。

 日産婦理事長の藤井知行・東京大学教授は、「条件が厳しすぎるため認定施設が足りず、認定外の所に流れている現状がある。希望する妊婦がきちんとした施設で受けられる体制を整えたい」と話しています。

 新型出生前検査は、妊娠10週以降の早い時期に妊婦から血液を採取し、そこに含まれる胎児のDNA断片を分析することで、ダウン症、エドワーズ症候群、パトー症候群の3種類の染色体疾患の可能性を調べます。陰性の場合、99%の確率で疾患はありません。陽性の場合、結果を確定させる羊水検査が必要になります。研究組織によると、昨年9月までの4年半で5万1139件行われ、陽性と確定した人の97%に当たる654人が人工妊娠中絶を選択しました。費用は20万円程度。

 2018年1月30日(火)

 

■動物の体内で人間の臓器作製、国内での研究解禁へ 文部科学省

 人間に移植するための臓器を将来的に動物の体内で作り出す研究などを進めるため、文部科学省の専門委員会は、人間の細胞を混ぜた動物の受精卵を動物の子宮に戻すことを認める報告書の案を大筋で了承しました。

 アメリカなどでは、移植手術に使われる臓器をブタの体内で作り出す研究が進んでおり、文科省は今後、国内での研究を解禁することにしています。

 特定の臓器ができないよう遺伝子操作した動物の受精卵に人間の細胞を混ぜた「動物性集合胚」の研究は、移植手術に使われる膵臓や腎臓などの臓器が不足していることから、ブタなどの動物の体内で作り出すことを目指して、アメリカなどで積極的に行われていますが、国内ではこれまで、動物性集合胚の作製は認めるものの、動物の子宮に戻して誕生させることは文科省の指針で禁止してきました。

 文科省で29日開かれた専門家の委員会で、「動物性集合胚」の研究をどこまで認めるか検討を行い、報告書の案を大筋で了承しました。

 これまでの方針を転換して、「動物性集合胚」を動物の子宮に戻し、人間の細胞を持った動物の誕生を認めることを盛り込んでいます。一方で、動物の体内で人間の脳神経を作る研究については、人間なのか動物なのか区別できない生物が生まれる危険性がないか、海外での研究の事例を確認して行うべきだとしています。

 また、生まれてきた動物の生殖細胞については、人間の精子や卵子が混ざっている可能性があることから、当面、受精させることを禁じています。文科省は今後、広く一般の意見を求めた上で指針を改定し、国内での研究を解禁することにしています。

 専門委員会の主査で、国立精神・神経医療研究センターの高坂新一名誉所長は、「意義のある研究なので、解禁する方向で認められた。人間と動物の区別がつかない動物ができないよう、委員会としても指針に基づいてチェックを行っていきたい」と話しています。

 2018年1月30日(火)

 

■在宅医療の利用者、2025年には100万人超 現在の67万人の1・5倍以上に

 1947~1949年ごろの第1次ベビーブーム時代に生まれた約680万人の団塊の世代がすべて75歳以上となる2025年には、在宅医療を受ける人が100万人を超えることが、厚生労働省の推計で明らかになりました。現在の1・5倍以上の規模に拡大します。

 各都道府県は国の算定方法に基づく詳細な推計を実施することを踏まえて、年度内にまとめる医療計画で、在宅医療の態勢作りを加速させる方針です。

 自宅や介護施設で訪問診療を受けた人は、2016年6月時点で約67万人を数えます。厚労省は今後の高齢者の増え方を考慮し、2025年の利用者数を約100万人と推計。現在の入院患者のうち、軽症で本来は入院の必要がない高齢者らが2025年時点で約30万人いるとして、その一部も在宅医療の対象に加えました。

 医療費の抑制も狙い、政府は入院患者を在宅医療に移す流れを進めています。2025年の入院患者用のベッドは、現在より10万床以上減らして約119万床とする計画です。そのぶん、在宅医療の受け皿を増やすため、24時間態勢で診療をしたりケアをしたりする医療機関や介護事業者への報酬を手厚くして後押しします。

 また、年間の死亡者は、2017年の約134万人が2025年には約150万人に増えると推計されています。医療機関だけでは対応できなくなる「みとり」を在宅医療が担うことも促していきます。

 2012年に内閣府が行った調査によりますと、「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」という質問に対し、自宅と答えた人が54・6%に上り、医療施設の27・7%や福祉施設の4・5%を大きく引き離して半数以上を占めました。ところが実際は、2016年に亡くなった人の73・9%が病院で最期を迎え、自宅は13%にとどまっており、希望どおりに在宅医療を受けられない人が多くいるためです。

 ただ、自宅で在宅医療を受ける場合、公的な在宅介護サービスを使っても患者を支える家族の負担は大きくなりがちです。また、在宅医療の有効性やコストについては、多くの不明な部分があります。国立長寿医療研究センターなどが国内外の関連論文を精査しており、年度内にも「在宅医療・介護ガイドライン」としてまとめる予定です。

 2018年1月29日(月)

 

■病児・病後児保育の受け入れ150万人に、学童保育も定員増 仕事と育児の両立支援 

 厚生労働省は、共働き世帯や一人親世帯の子供の受け皿を拡大します。保育所では急な発熱などへの対応を広げ、現在の2・5倍の年150万人まで受け入れるようにします。小学校では放課後に預かる学童保育の定員を増やします。親が仕事から急に帰宅したり休んだりする事態を防ぎ、仕事と子育ての両立支援を手厚くします。

 保育所や医療機関には、子供が病気になると専用スペースや医務室で一時的に預かる「病児・病後児保育」という制度があり、利用者は2015年度で延べ61万人います。保育定員の多い自治体を中心にニーズは高く、例えば東京都大田区ではこの3年間で利用者が増加し、2016年度は延べ4500人になりました。

 ただ国からの補助金を受けるための条件は現在、1市区町村当たり「最大で年間2000人ぶんまで」と上限が決まっています。大田区のように利用実績が上限を上回る自治体が出てきていますが、不足分は区や施設側で補わねばならず、受け皿の拡大をためらう要因になってきました。風邪がはやる冬場を中心に、高い需要に応え切れていない面も大きくなっています。

 厚労省は2019年度までに、病児・病後児保育の受け皿を現在の2・5倍となる延べ150万人に拡大します。具体策としては、補助金を出す際の年間2000人の上限を見直します。2018年度からは自治体の申請に基づき原則、すべての利用者のぶんの補助金を出せるようにします。

 対応施設を増やすため、自治体の書類提出の回数や必要項目を減らし、申請しやすくします。対応可能な保育所は全国に2200カ所ありますが、保育施設が2万6000カ所あるのに比べると少なくなっています。補助金を受け取るための申請手続きが面倒で、場所があっても引き受けないという状況を防ぎます。

 小学校の授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与える学童保育(放課後児童クラブ)も、受け皿を拡大します。放課後自宅に帰る子供と過ごすため、親が働き方を変えるケースや離職を余儀なくされることが多く、「小1の壁」とも呼ばれています。

 学童保育には2017年5月時点で117万人が利用登録していますが、希望しても利用できない待機児童が1万7000人ほどいます。共働き世帯の増加で、0〜5歳の保育の需要が足元で増えているほか、その数を数えていない市区町村がある中で、学童保育でも潜在的な待機児童はもっと多いとみられています。

 厚労省は、「おおむね子供40人で2人」となっている職員の配置基準を見直します。保育の質を担保しつつも職員を柔軟に増やせるようにし、受け入れる定員の拡大につなげます。

 2018年1月29日(月)

 

■うつぶせ寝の事故防止製品、保育所の購入費補助スタートへ 園児1人当たり最大4万円

 厚生労働省は来年度にも、乳幼児の「うつぶせ寝」による突然死などの事故防止製品などの購入費として、保育所に園児1人当たり最大4万円を補助する制度を創設する検討に入りました。

 事故防止製品の普及を後押しし、人手不足に悩む保育所の安全性向上につなげたい考えです。認可保育所と認可移行を目指す認可外保育所を補助対象とし、認可保育所への移行を促す狙いもあります。

 補助金は、国と自治体(都道府県か市区町村)が分担します。来年度予算の概算要求には、保育対策総合支援事業費補助金427億円の一部に盛り込み、年度末の予算編成に向けて具体的な検討を進めます。認可外保育所に対しては、認可保育所への移行計画を作成していることなどを条件とする方向。

 保育所で園児が昼寝をする際には、保育士が5分おきにうつぶせ寝になっていないか安全確認しています。これはたくさんいる園児と、不足している保育士の数を考えると、かなりの負担業務とされています。しかし、うつぶせ寝は乳幼児の睡眠がとても深くなり、無呼吸状態から覚醒するのが遅くなるといわれており、それが乳幼児突然死症候群(SIDS)につながるとも懸念されています。

 厚労省によると、年間約100人が乳幼児突然死症候群で死亡しており、うつぶせ寝には注意するべきだとしています。

 うつぶせ寝による事故防止製品には、睡眠中の乳幼児の動きの低下や無呼吸を音やランプで警告する「無呼吸アラーム」や、睡眠中も仰向けの姿勢を保ち、観察が容易なベビーチェア「バウンサー」などがあります。

 一方、厚労省が計画している事故防止製品の購入費補助に対し、小児科医らの学会が反対の意見書を提出したことが明らかになりました。アメリカの食品医薬品局(FDA)は予防効果はないと警告しており、専門家は「効果の検証もなく公的補助をするのは問題」としています。

 反対している日本SIDS(乳幼児突然死症候群)・乳幼児突然死予防医学会(市川光太郎理事長)によると、無呼吸アラームの突然死防止効果は確認されていません。

 同医学会理事の中川聡・国立成育医療研究センター集中治療科医長は、「補助により、アラームを導入しないと安全対策が不十分と保護者が誤解したり、保育士が減らされたりする懸念があり、不適切だ」と指摘しています。

 厚労省保育課は、「製品はあくまで補助的な役割。保育士による安全確認が手薄にならないよう注意喚起を徹底したい」としています。

 2018年1月28日(日)

 

■消毒液などの誤投与ケース、8年間で10件発生 医療機能評価機構の調査で判明

 手術室などで薬剤を入れる容器を取り違え、誤って消毒液を患者に投与したため、患者の呼吸状態が悪化したり患部が変色したケースがあったことが21日、医療の質の向上を目指して 医療機関を評価し、改善を支援する第三者機関である日本医療機能評価機構(東京都千代田区)の調べで明らかになりました。

 同様の事例が昨年までの8年間に計10件発生しており、同機構は今月に入って、「医療事故情報」として医療機関などに注意喚起を促しました。

 同機構などによると、血栓症の患者への手術で、同じ台の上に造影剤を入れた容器と、消毒液を入れた容器を置いていました。肺動脈に造影剤を注射する際、誤って消毒液を入れた容器から液を吸引し、患者に注入しました。

 医師は造影画像が得られなかったため、異変に気付き投与を中止。患者が痛みを訴え、血圧や脈拍が上昇しました。呼吸状態も悪化し、マスク換気で患者の容体は安定しました。消毒液の投与量は、7〜8ミリリットルとみられます。

 医療機関は「医師が当直明けで判断が鈍っていた」と説明していますが、2つの容器の形状と色が似ており、判別が付きにくかったことが原因にあったといいます。同機構は、医療ミスの時期や場所などは明らかにしていません。

 そのほか別の医療機関では、骨髄炎の患者に対する人工骨移植手術の際、消毒液を患部に投与したため皮膚が黒色になったり、白内障の手術を受けていた患者が、薬剤の取り違えで眼内が白濁したりした事例がありました。

 1999年2月には東京都立広尾病院で、看護師が58歳の女性に血液凝固阻止剤と取り違えて消毒液を点滴し、死亡させた事件が発生。病院側は当初ミスを認めなかったものの、警視庁が書類送検し、看護師らが有罪判決を受けました。事件は、2015年に始まった「医療事故調査制度」創設の切っ掛けになりましたが、同様のミスが相次いでいることが明らかになりました。

 日本医療機能評価機構は、過去8年間の誤投与事例を分析。手術室では滅菌された機器や容器などを置く場所が限られており、さらに容器の形状や大きさ、色が類似しているものが多かったといいます。

 このため医療機関などに対し、消毒液の容器は他の薬剤と離れた場所に置き、使用後は台から下ろすこと、薬剤名を記したラベルを容器に張ることなどを推奨しました。

 2018年1月28日(日)

 

■インフルエンザの流行がピークに達し、患者最多の283万人に  A型とB型が同時流行

 厚生労働省は26日、最新の1週間(1月15~21日)のインフルエンザの患者数が1医療機関当たり51・93人を数え、統計を取り始めた1999年以降で最多になったと発表しました。

 A型とB型の2つのウイルスが同時に流行し、感染拡大につながっているとみられ、昨シーズンより1週間早く大流行が起きています。加藤勝信厚労相は同日の閣議後の記者会見で、「外出後の手洗いなど予防対策を徹底し、体の調子が悪い場合には速やかに医療機関を受診してほしい」と呼び掛けました。

 厚労省によると、患者数は全国約5000の定点医療機関から報告。1医療機関当たりの患者数は、鹿児島県の86・53人をトップに、次いで宮崎県が84・97人などと九州地方で特に多くなっています。北海道、秋田県、石川県を除く44の都府県で、国が警報レベルと示している1医療機関当たり30人を超えています。

 この1週間に全国の医療機関を受診した推計患者数は、前週に比べ約65%増の約283万人と急増しました。年齢別では5~9歳が約59万人、10歳代が約40万人でした。この結果、2017年9月4日以降の今シーズンの患者数は、推定837万人に達しました。

 厚労省によると、国内で最近、流行しているのはA型2種類とB型の計3種類で、例年と異なってB型患者が急増しています。直近の5週間では、2009年に新型インフルエンザとして世界的に流行したA型のH1N1型ウイルスと、B型ウイルスの検出割合がともに4割程度で、全体の約8割を占めました。

 厚労省は、毎年2月に増え始めるB型が例年に比べ、1カ月早いペースで増えているとみています。2つの型のウイルスが同時に流行し、患者数を押し上げているとみられます。

 インフルエンザは主に、他人のせきやくしゃみの飛沫に含まれるウイルスを吸い込むことで感染し、気温と湿度の低下に伴い流行が起きます。強い寒気と冬型の気圧配置が続いた影響で厳しい寒さが続く中、高齢者や子供を中心にインフルエンザがさらに広がる恐れがあります。

 感染の拡大で、休校や学級閉鎖となった学校が急激に増加しています。厚労省によりますと、1月21日までの1週間に、休校や学級閉鎖などの措置を取った小中学校や高校、それに保育所や幼稚園は、全国で7536施設に上り、前の週と比べて47倍に増加しました。

 このうち、休校の措置を取ったのは108施設、学年閉鎖は1691施設、学級閉鎖は5737施設で、欠席者は1週間で9万4392人に上りました。都道府県別では、東京都が最も多く522施設、次いで千葉県が382施設、大阪府が362施設、愛知県が306施設、埼玉県が291施設などとなっています。

 2018年1月27日(土)

 

■HPVワクチンの副作用、「認知機能低下」が復活 厚労省が資料改訂

 子宮頸(けい)がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを巡り、厚生労働省は18日、接種を受ける女性本人や保護者、医療従事者向けのリーフレットを改訂し、自治体に通知しました。医療従事者向けの原案では、副作用の報告例から記憶障害や学習障害といった認知機能に関する記載がなくなり、健康被害を訴える患者らが「多くの人が苦しんでいる症状を『ない』ことにしないで」と反発していましたが、最終的に復活させました。厚労省のウェブサイトからダウンロードできます。

 昨年12月に示した原案では、痛みを切っ掛けにして起きる「機能性身体症状」の主な症状を(1)知覚(2)運動(3)自律神経の関連と整理していましたが、この後に「記憶障害、学習意欲の低下、計算障害、集中力の低下など認知機能に関するもの」と追記しました。

 認知機能の低下は、国の救済制度で補償されたケースの約半数で確認されています。厚労省は、「よりわかりやすい表現にした」と説明しています。

 今回の改訂は、接種を考えている人にワクチンの有効性とリスクを正確に情報提供するのが目的。これまで女性本人や保護者向けには「子宮頸がん予防ワクチン」と表記していましたが、がんそのものを予防する効果はまだ証明されていないため、ウイルス名を取った「HPVワクチン」に改めました。

 女性の子宮頸部にできる子宮頸がんは、90%以上は性交渉でHPVに感染することが原因。ワクチンで感染を防ぐことで、がんを予防できると考えられおり、国と市町村が中学1年~高校1年の女性を対象にワクチン接種費用を公費で助成しています。

 リーフレットには最新の知見も盛り込みます。アメリカなどではワクチン導入でがんになる一歩手前の状態(前がん病変)が減少。国内ではワクチン接種した場合、10万人当たりで595~859人が子宮頸がんになることを回避でき、10万人当たりで144~209人が子宮頸がんで死亡することを回避できる一方、呼吸困難やじんましんなどの重いアレルギー症状や、手足に力が入りにくいなどの重篤な副作用が出た疑いのある人も10万人当たり52・5人確認されていることを記します。

 2018年1月26日(金)

 

■医師28人を行政処分、精神保健指定医資格の不正取得 厚労省 

 厚生労働省は25日、医道審議会医道分科会の答申を受け、医師28人の行政処分を発表しました。業務停止2カ月が2人、同1カ月が11人、戒告が15人。処分は2月8日に発効します。

 医師28人はいずれも、重い精神疾患の患者を強制的に入院させる判断ができる「精神保健指定医」資格の取得を巡る不正が処分理由。資格申請の際、診療にかかわっていない患者を経験症例として報告したり、その指導医として十分確認しなかったりしました。

 精神保健指定医資格の不正取得を巡っては、2015年に聖マリアンナ医科大病院(川崎市)で発覚したことを受け、厚労省が他の医療機関も調査。2016年に12都府県の病院に所属していた89人の資格を取り消しました。ほかに、4人の新規申請を認めず、6人は取り消し前に資格を返納しました。この中には、相模原市の障害者施設殺傷事件で殺人罪などで起訴された被告の措置入院にかかわった医師もいました。

 今回は、このうち28人の行政処分を決めました。処分の重さは、それぞれの悪質性に基づいて判断しました。厚労省は今後も、順次医道分科会に諮問して処分します。

 処分者は以下の通り。(不正当時の所属医療機関の所在地、医療機関名、氏名、年齢。敬称・呼称略)

 <医業停止2カ月>群馬県伊勢崎市、原会原病院、滝沢美穂子(41歳)▽川崎市宮前区、聖マリアンナ医科大病院、御園生篤志(48歳)

 <医業停止1カ月>群馬県伊勢崎市、原会原病院、原淳子(58歳)▽東京都世田谷区、都立松沢病院、浅野未苗(42歳)▽同、同、野中俊宏(52歳)▽東京都府中市、都立多摩総合医療センター、石井民子(62歳)▽同、同、西村隆夫(68歳)▽川崎市宮前区、聖マリアンナ医科大病院、橋本知明(40歳)▽同、同、本間絢子(40歳)▽横浜市鶴見区、済生会横浜市東部病院、有井浩一(38歳)▽同、同、吉村善孝(54歳)▽相模原市南区、北里大東病院、大林拓樹(35歳)▽同、同、大石智(42歳)

 <戒告>群馬県伊勢崎市、県立精神医療センター、清野うらら(39歳)▽同、同、鈴木雄介(37歳)▽同、同、大舘太郎(41歳)▽同、同、佐久間泰(33歳)▽同、同、須藤友博(46歳)▽千葉市中央区、千葉大医学部付属病院、田所重紀(42歳)▽同、同、佐々木剛(39歳)▽同、同、白石哲也(46歳)▽東京都府中市、都立多摩総合医療センター、金田渉(37歳)▽川崎市宮前区、聖マリアンナ医科大病院、鈴木慈(34歳)▽同、同、二宮友梨子(33歳)▽同、同、南麻依(34歳)▽相模原市南区、北里大東病院、田沼龍太郎(36歳)▽同、同、龍田彩(44歳)▽同、同、高橋恵(54歳)

 2018年1月26日(金)

 

■喫煙や飲酒で遺伝子に細かい異常が増加し、発がんリスクに がん研究センターが測定法を開発

 食道がんのリスクを高める喫煙や飲酒をしている人は、食道の組織が正常に見えても遺伝子の細かい異常が起き始めていることを、国立がん研究センターの研究チームが確認しました。がんになるリスクを発症前に予測することにつながると期待されます。

 たばこをたくさん吸う人やお酒をたくさん飲む人は、そうでない人に比べて食道がんを発症するリスクがそれぞれ5倍近く高いことが報告されています。

 研究チームは、「飲酒や喫煙などをしない」「飲酒や喫煙などはするが、がんではない」「飲酒や喫煙などをし、がんにかかった」のそれぞれ約30人から食道の粘膜を採取し、遺伝子の細かい異常がないか調べました。

 その結果、飲酒や喫煙などをする人では、食道の粘膜が正常でも、DNA(デオキシリボ核酸)の文字が一つだけ変わる「点突然変異」や、「DNAメチル化異常」という遺伝子のスイッチ役の異常が増えていることがわかりました。がんにかかった人は、異常がさらに多いこともわかりました。

 がんは遺伝子の異常が積み重なって起こりますが、細かい異常はこれまで見付けるのが極めて困難でした。早期の食道がんは内視鏡検査で見付けるのが一般的ですが、研究チームの牛島俊和・国立がん研究センター研究所エピゲノム解析分野長は「微量の突然変異を測定する今回の検査を組み合わせれば、発がんリスクの高い人をより正確に見分けられるようになる」と話しています。

 研究成果は、アメリカの「科学アカデミー紀要」に掲載されました。

 2018年1月25日(木)

 

■医療用保湿剤「ヒルドイド」、美容目的の処方量制限は見送り 厚労省

 「美容クリーム」としての利用が問題となっていた公的医療保険の対象の医療用保湿剤について、厚生労働省は24日、処方量の上限規制の導入を見送ることを決めました。この医療用保湿剤のような保湿剤が必要ながん患者団体などから反発を受けたためです。

 保湿剤は、アトピー性皮膚炎などの治療に使う「ヒルドイド」とその後発医薬品。保湿効果があり、雑誌やインターネットで美容クリームとして多く紹介されています。医師から処方されれば現役世代なら50グラム1185円が最大3割(約360円)の自己負担ですみ、厚労省の調査で美容目的で大量に処方されている事例も見付かりました。

 健康保険組合連合会は、医療費の無駄遣いにつながるとして、「保険適用外とすべきだ」と提言。このため、厚労省は不適切な医療保険の使い方を減らそうと、医師が1度に処方できる量に上限を設けることなどを検討してきました。

 しかし、抗がん剤による皮膚の乾燥を治すためにヒルドイドなどを使っている乳がんや卵巣がんの患者団体などは、「放射線治療による皮膚障害に保湿剤は欠かせない」として、従来の処方を続けるよう求める要望書を提出。日本皮膚科学会など関連学会も、「保湿剤による治療を必要とする患者に大きな不利益を生じかねない」として、処方量の制限に反対する要望書を提出していました。

 今回、保険適用から外したり、処方量に制限を設けるなどの規制を見送ったことについて、厚労省医療課の担当者は「全身性のアトピーや難病の患者、がんの放射線治療を受けた患者など、本当に保湿剤を大量に必要とする人が、処方量の制限などで不自由な思いをするという声や関連学会からの要望に配慮した。今後は、改めて通知などで医療上の処方を明確化するともに、不適切な処方が出ていないか、診療報酬の審査支払機関と適正な審査を進めていく」 と説明しています。

 2018年1月25日(木)

 

■京大iPS細胞研究所で論文不正 助教が図でデータの捏造や改ざん

 京都大学(京都市左京区)は22日、iPS細胞研究所の山水康平(やまみず・こうへい)・特定拠点助教(36歳)が昨年2月に発表したヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)に関する論文で、データの捏造(ねつぞう)や改ざんがあったと発表しました。

 論文を構成する主要な6つの図のすべてと補足データの5つの図の合わせて11の図に捏造や改ざんがあり、論文の主張に沿うよう有利にデータが操作されていたといいます。京大は論文が掲載されたアメリカの科学誌に撤回を申請しており、今後、関係者の処分を行う予定です。他の研究や今後の研究には影響はないとしています。iPS細胞研究所を含め、京大で論文の捏造が認定されたのは、初めてといいます。

 記者会見した山中伸弥所長は、「強い後悔、反省をしている。応援いただいている皆様に心よりおわびを申し上げる」と陳謝しました。山中所長は、所長を辞任するかどうかの質問に「その可能性も含め、しっかり検討したい」と述べました。

 不正が認定されたのは、ヒトのiPS細胞から脳血管内皮細胞を作製し、血液中の薬物や有害物質が脳に入るのを防ぐ「血液脳関門」の機能を持つ構造体を作製することに成功したとする論文。創薬研究に利用できれば、アルツハイマー病などの治療に役立つ可能性があるとしました。山水特定拠点助教は、任期が決まっている非正規雇用の研究者という立場ながら、筆頭・責任著者でした。昨年2月24日にアメリカの科学誌「ステムセル・リポーツ」の電子版に発表され、3月に同じ科学誌に掲載されました。

 iPS細胞から作製した脳血管内皮細胞で、細胞に特有の遺伝子が働いているかどうかを解析し、論文では有意に高いことが示されましたが、研究室に残されたデータではその結果は出ませんでした。また、生体内の血液脳関門と同じようなバリアー機能があるか調べる薬物透過性試験でも、論旨に沿うようにグラフを作成するなどしていました。

 脳血管内皮細胞の作製には成功していなかったとみられますが、京大の聞き取りに対し、山水助教は「私がやりました。論文の見栄えをよくしたかった」と話しているといいます。

 この論文のデータに疑問があるという情報が内部からiPS細胞研究所に寄せられ、研究所が昨年7月に大学に通報。京大は外部委員を加えた調査委員会を設置し、9月から調査を始めていました。

 研究不正に詳しい大阪大学の中村征樹准教授は、「調査では論文のデータの大部分に捏造や改ざんが指摘されており、これまでiPS細胞研究所はデータの管理に厳しいという印象を持っていただけに驚いている」とした上で、「iPS細胞の研究は、日本社会の期待が大きい分野だけに、信頼に応えるためにも不正がなぜ起きたのか、ほかにも不正はないのか、社会が納得するだけの詳細な調査を行う必要がある」と指摘しています。

 2018年1月23日(火)

 

■パナソニック、人工肛門を使うオストメイト用の消臭剤を販売へ 潤滑剤により便の処理もスムーズに

 パナソニックは、医療・介護向け消臭剤「ニオフ」シリーズに、人工肛門や人工膀胱を使うオストメイト用の消臭潤滑剤「ニオフ消臭潤滑剤」を新たにラインナップし、1月31日より販売します。250mlのボトルタイプと、8ml×10袋のミニパックタイプを用意。希望小売価格は順に2600円、1230円(税別)。

 2016年7月に発売した医療・介護向け消臭剤「ニオフ」の技術を活かした、オストメイト用の消臭潤滑剤。人工肛門や人工膀胱を使うオストメイトの人が、便や尿を集めるために付ける「ストーマ袋」に注入して使用します。ストーマ袋に消臭潤滑剤をなじませることで、便臭を抑えられるほか、潤滑剤により便の処理をスムーズにできるといいます。

 オストメイトの人の困りごととして、「排泄処理時のトイレにこもるニオイ」、「ストーマ袋に残る排泄物」などが挙げられるといいます。また、すでに発売されているスプレータイプのニオフを使うオストメイトの人は多く、「ニオフの消臭機能がある潤滑剤を使いたい」という要望も多数あったことから、消臭潤滑剤の開発に至ったとしています。

 消臭メカニズムには、ニオイ分子の組み換えに効果がある「銅イオン」を採用。便臭の主要因である硫化水素の分子構造そのものを組み換え、速やかに消臭する「リコンビネーション消臭」技術により、硫化水素を1分で99%以上消臭できるといます。香りで覆い隠すのではなく、銅イオンがニオイ分子に働き掛けて、構造そのものを組み換えて消臭するため、消したニオイは戻らないとしています。

 潤滑成分には、増粘剤(メトローズ)と界面活性剤を採用。ニオフ消臭潤滑剤がストーマ袋のパウチ内をコーティングすることで、パウチから便を押し出す際に、便と潤滑剤が一緒に押し出されるため、スムーズに処理できます。

 消臭潤滑剤の本体容器は、オストメイトの人の使いやすさを考えて設計。フタは片手で開閉でき、容器はソフトで押しやすく、潤滑剤を出しやすい形状としています。液切れのよいノズル形状のため、液垂れも防止。中身が見えるデザインのため残量が確認しやすく、ボトルタイプには1回分の使用量(約8ml)の目安になる目盛りも備えています。

 ニオフ消臭潤滑剤は、イギリスの医療機器メーカー、コンバテック・グループの日本法人の販売網を使って、全国に拡販します。発売後1年で2万3000本の売り上げを目指します。

 2018年1月23日(火)

 

■長期的なストレス、男性のがんリスクを2割高める がん研究センターが調査

 ストレスが高いと長期にわたって感じている男性は、感じていない男性に比べてがんになるリスクが2割高くなるとの調査結果を20日、国立がん研究センターなどの研究チームが発表しました。

 研究チームは、全国10カ所の保健所管内の40~69歳の男女7万9301人を対象に調査を実施。1990年または1993年に、「日常受けるストレスは多いか」という質問に、「少ない」「普通」「多い」の三択で回答してもらい、5年後にも同じ質問をしました。

 対象者のうち平均17・8年後の2012年までに、がんが確認されたのは1万2486人(男性7607人、女性4879人)でした。回答とがんとの関連を分析すると、2回ともストレスが多いと回答した男性グループは、2回ともストレスが少ないとした男性グループに比べ、がんになるリスクが19%高くなっていました。

 2回ともストレスが多いと回答した女性グループでは、がんになるリスクが7%高くなっていただけで、ストレスによるリスク差はほぼみられませんでした。

 また、1回目はストレスが少ないか普通だったのに2回目に多くなっていた男性グループは、2回ともストレスが少ないとした男性グループに比べ、がんになるリスクが20%高くなっていました。

 ストレスが多い男性グループは、特に肝臓がんと前立腺がんで、ストレスによるリスクの増加が強くみられました。

 研究チームによると、ストレスががんになる危険性を高めるとの研究はあるものの、長期にわたる大規模調査を基にした報告は初めて。ストレスによる免疫機能低下などの可能性が考えられるといいます。

 喫煙や飲酒などがんのリスク要因となる生活習慣の影響も排除しきれないことから、国立がん研究センターは「今後、さらなる検討が必要だ」としています。

 2018年1月22日(月)

 

■HPVワクチン、予防効果がある一方で重篤な副作用も 厚労省が調査結果を公表

 ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)を接種した後、体の痛みを訴える女性が相次いだ問題で、厚生労働省は18日、これまでの調査結果を公表しました。

 HPVワクチンは予防効果が期待できる一方で、痛みなどの切っ掛けとなったことは否定できないとして、情報をよく確認した上で、接種を検討してほしいと呼び掛けています。

 HPVワクチンは5年前、小学6年生から高校1年生までの女性を対象に公費で受けられる定期接種に追加されましたが、接種の後に体の痛みを訴える女性が相次ぎ、厚生労働省はわずか2カ月で積極的な接種の呼び掛けを中止する異例の措置を取りました。

 その後、専門家による研究班が原因を調査し、厚労省は18日、これまでの結果をホームページで公表しました。それによりますと、HPVワクチンを接種すれば、10万人当たりで595~859人が子宮頸がんになることを回避でき、10万人当たりで144~209人が子宮頸がんで死亡することを回避できるとしています。

 その一方で、昨年8月までに副作用が出た疑いのある人が10万人当たり92・1人の計3130人報告され、呼吸困難やじんましんなどの重いアレルギー症状や、手足に力が入りにくいなどの重篤な副作用が出た疑いのある人も10万人当たり52・5人の計1784人報告されたということです。

 一部の症状について厚労省は、HPVワクチンを打った時の痛みや不安などが切っ掛けで、症状が起きたことは否定できないなどとしています。その上で、対象となる女性はワクチンの効果と接種後に起こり得る症状をよく確認した上で、接種するかどうか検討してほしいと呼び掛けています。

 2018年1月21日(日)

 

■がん粒子線治療の保険適用拡大へ 前立腺がんと頭頸部がんの一部に

 厚生労働省は17日、がんの放射線治療の一種「粒子線治療」について、4月から前立腺がんや頭頸部のがんの一部に公的医療保険を適用する方針を決めました。厚労相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)で同日、了承されました。

 現在は自費だけで300万円前後かかっていますが、保険適用で患者の自己負担が軽くなります。

 粒子線治療は、水素の原子核である陽子や、より重い炭素の原子核である重粒子を加速器でビームにし、がん細胞に当てて殺す治療法。従来のX線を使う放射線治療に比べ、ピンポイントで患部に照射することができます。2016年に小児がんの陽子線治療と手術が難しい骨や筋肉のがんの重粒子線治療が、保険適用になっています。

 前立腺がんは、粒子線治療を受ける患者数が年間約1700人と最も多いものの、先進医療に指定され、必要な検査代や入院費など一部にしか保険が使えません。2016年にも保険適用が検討されましたが、「他の治療法に比べて優位性が認められない」と判断され、見送られていました。

 今回は、前立腺がんや頭頸部のがんの一部に対する粒子線治療の最新の実績を検討し、有効性と安全性が認められると評価されました。一方、ほかのがんについては、標準的な治療法と比べて優位性が示されておらず、先進医療としての実施を維持するとしました。

 このほか、緑内障や角膜変性の目を3次元画像で解析する検査法など7種類についても、保険適用すべきだと評価されました。

 2018年1月18日(木)

 

■厚労省、終末期医療のガイドライン改定へ 高齢の患者など本人の意思を尊重

 住み慣れた自宅で人生の最期を迎えたいという高齢者が多いことから、厚生労働省は、終末期の治療方法を選ぶ手順などを定めたガイドラインの改定案をまとめ、17日に開かれた専門家会議に提示しました。

 厚労省で開かれた医師や大学教授などの専門家を集めた会議では、病気や事故、老衰などで回復が見込めない高齢の患者などに対する終末期医療のガイドラインの改正案が提示されました。

 それによりますと、終末期医療では患者本人の意思を尊重して治療を進めることが最も重要だとした上で、主治医や看護師、家族、それに介護支援専門員や介護福祉士などとあらかじめ治療方法について話し合うことが必要だとしています。

 患者の意思は病状が進むにつれて変わる可能性があるほか、高齢者の場合は認知症などになって意思が伝えられなくなる可能性もあるため、繰り返し話し合い、そのつど内容を文書で残しておくこととしています。

 厚労省は11年前の2007年に終末期医療のガイドラインを作成していましたが、住み慣れた自宅で治療を受けるための手順が明確ではなかったため、今回、見直しを行いました。

 17日の専門家会議では、高齢者の中には身寄りがない人もいるため、日ごろ話し合う相手に家族だけでなく、「信頼できる人」も加えるべきだという意見が出ていました。

 厚労省は今年の3月末までにガイドラインを改定することにしており、自宅や福祉施設でも活用できるよう医療・介護業界などに対して周知します。

  今回のガイドラインの改定で柱となっているのは、アドバンス・ケア・プランニング(ACP)という取り組みです。人生の最期に自分がどこで、どのような治療を受けたいのか、それにどんなサポートを望んでいるのかを、家族や主治医などと繰り返し話し合うことです。元気なうちから話し合っておくことで、仮に認知症などになって自分の気持ちをうまく伝えられなくなっても、家族などが治療方法を決断する大きな助けになります。

 しかし、このアドバンス・ケア・プランニングを実践している人はごくわずかです。厚労省が2014年に行った調査によりますと、終末期医療についてあらかじめ自分の希望を書面などに残しておくことに賛成だと答えた人は70%に上りましたが、実際に自分の希望を家族と詳しく話し合ったり、書面に残したりしている人は、いずれもわずか3%にとどまっています。

 厚労省が今回、終末期医療のガイドラインを見直す理由の1つには、在宅医療を増やしていきたいという狙いもあります。

 2012年に内閣府が行った調査によりますと、「治る見込みがない病気になった場合、どこで最期を迎えたいか」という質問に対し、自宅と答えた人が54・6%に上り、医療施設の27・7%や福祉施設の4・5%を大きく引き離して半数以上を占めました。

 ところが、実際は、2016年に亡くなった人の73・9%が病院で最期を迎え、自宅は13%にとどまっており、希望どおりに在宅医療を受けられない人が多くいます。

 厚労省が在宅医療を進める背景には、高齢化が進み、今後、亡くなる人が大幅に増える中で、病院の受け入れ体制が追い付かなくなるのではという懸念もあります。年間の死亡者は、2017年には戦後最多の134万4000人に上りましたが、ピーク時の2040年には166万人6000人余りまで増えると予測されています。

 また、今回の終末期医療のガイドラインの改定によって自宅での治療を選択する人が増えた場合は、在宅医療を手掛ける医師の確保も大きな課題となります。

 福井市でアドバンス・ケア・プランニングの取り組みを積極的に行って在宅医療を手掛ける紅谷浩之医師は、「患者が在宅医療を選びやすくするためには、訪問診療を行う医師を増やしていく必要があり、体制をどのように充実させていくかも検討が必要だ」と話しています。

 2018年1月18日(木)

 

■世界初のiPS細胞を使った臨床研究の患者、追加手術を実施 網膜の上に薄い膜ができる

 他人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を世界で初めて移植する臨床研究を進める神戸市立医療センター中央市民病院(神戸市中央区)と理化学研究所多細胞システム形成研究センター(同)などは16日、患者の網膜の上に薄い膜「網膜前膜」ができたため、除去する追加手術を行い、厚生労働省に報告したと発表しました。

 理研の高橋政代プロジェクトリーダーは、「手術法の問題で、iPS細胞との因果関係はないと考えている。今後の臨床研究や他のiPS細胞を使った研究にも影響はない」と強調しました。

 再生医療安全性確保法は、治療の副作用などによる死亡や入院を「重篤な有害事象」として国への報告を義務化。iPS細胞の臨床研究での報告は国内初。

 異常がみられたのは、網膜が傷んで失明の恐れのある「滲出型加齢黄斑変性」の70歳代男性。昨年6月、同病院で左目に他人のiPS細胞から作った網膜色素上皮細胞を含む溶液を注入する移植手術を受けました。10月ごろから網膜前膜や、はれが見られ、1月15日に網膜前膜を取り除く手術を行いました。

 移植手術の際、針を刺した穴から溶液の一部が漏れ出し、この時の細胞が網膜前膜を作った可能性があるといいます。移植した細胞は網膜の内側に定着し、視力の低下もないといいます。

 高橋リーダーは、「重篤な有害事象に当たるが、患者の症状に影響はなく、拒絶反応にも問題はない」と説明。執刀した同病院の栗本康夫眼科部長は、「手術法に問題があったとみられ、一般的な治療法にするため、より良い方法を検討したい」と話しました。

 滲出型加齢黄斑変性の患者を対象にした今回の臨床研究は、同病院と理研、大阪大学病院、京都大学iPS細胞研究所(山中伸弥所長)が実施。昨年3〜10月に、計5人に移植しました。臨床研究は拒絶反応がないかや、移植した細胞ががん化しないかなどを調べるのが目的で、経過を慎重に観察しながら継続するとしています。

 日本医療研究開発機構でiPS細胞を使った再生医療の研究を支援している東京医科歯科大学の赤澤智宏教授は、「今回の事象は、iPS細胞以外の細胞を移植した場合も起こり得るリスクで、手術を行う上で想定された範囲内だととらえている」とし、「今後、iPS細胞を使ったさまざまな臨床試験が計画されているが、そうした試験への影響は全くないと考えている。ただし研究者には、新しい治療を行う上でのリスクを患者にしっかりと説明し、事前に対策を十分に講じてもらいたい」と話しています。

 2018年1月17日(水)

 

■動物からの感染症で福岡県の60歳代女性が死亡 犬や猫との過剰な接触に注意を

 福岡県の60歳代の女性が、犬や猫などの動物から人間に移る感染症によって、2016年5月に呼吸困難に陥って死亡していたことがわかり、厚生労働省はペットの動物などとの過剰な接触を避けるよう注意を呼び掛けています。

 このコリネバクテリウム・ウルセランス感染症は、ペットや家畜の動物が持つコリネバクテリウム・ウルセランスと呼ばれる菌に感染して発症するもので、死亡した女性は呼吸困難で救急搬送され3日後に死亡。血液などから菌が検出されました。厚労省によりますと、女性はふだんから屋外で3匹の野良猫に餌を与えていて、その際に感染したとみられています。

 感染すると、のどの痛みやせきなど風邪に似た症状が出て、重い場合は呼吸困難を引き起こす恐れもありますが、この感染症による死亡が確認されたのは初めてだということです。人から人に移ることはほとんどありません。

 国立感染症研究所によると、この感染症は国内では2001年に初めて感染例が報告され、2017年11月末までに、死亡した女性を含め北海道、東京都、神奈川県、香川県、徳島県、福岡県などで25人の感染が報告されています。犬や猫を飼っていたり、接触があったりする患者がほとんどです。イギリスなど海外でも数十例が報告されており、死者も出ています。

 抗生物質を投与することで治療でき、厚労省は今月、自治体や医師会などに通知を出して、感染が疑われるケースがあれば報告するよう求めました。厚労省は、飼育している犬や猫に風邪に似た症状や皮膚炎などが出ている場合は早めに獣医師の診察を受け、過度な接触を避けるなど注意が必要だとしています。

 コリネバクテリウム・ウルセランス感染症の予防には、別の感染症「ジフテリア」のワクチンが有効とされています。

 2018年1月16日(火)

 

■インフルエンザの流行拡大、患者数は推計124万人 複数のウイルスが流行

 全国のインフルエンザの患者数は直近の1週間(1月1~7日)におよそ124万人と推計されるなど流行が拡大しており、専門家は受験を控えた生徒や高齢者などに手洗いやマスクの着用の徹底などを呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、1月7日までの1週間に全国およそ5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり16・31人となり、この数値を元に推計した全国の患者数はおよそ124万人と、前の週から23万人程度増加し流行が拡大しています。

  都道府県別にみますと宮崎県が34・17人と最も多く、次いで沖縄県が31・76人、大分県が28・93人と、九州・沖縄地方の各県で多くなっているほか、滋賀県で25・38人、岐阜県で25・28人などとなっています。

 また、12月31日までの4週間に検出されたウイルスを分析した結果、9年前に「新型インフルエンザ」として流行したH1N1型ウイルスがおよそ6割と最も多いほか、B型のウイルスも3割ほど検出されているということです。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「複数のウイルスが流行する状態で、1度感染しても再度、感染する恐れがある。特に受験を控えた生徒や高齢者は手洗いやマスクの着用などの対策を徹底するとともに、家族に感染の疑いがある時はタオルの共有をしないことや別室で休むなど、接触を避けて感染を予防してほしい」と呼び掛けています。

 2018年1月15日(月)

 

■がんゲノム医療、先進医療に初めて申請 国立がん研究センター

 がん患者の遺伝情報を調べ治療につなげるがんゲノム医療に関し、国立がん研究センター中央病院は12日、遺伝子検査法を先進医療に申請しました。がんゲノム医療分野で先進医療に申請するのは、日本で初めて。

 先進医療に認められれば、一部に公的医療保険が使えるようになります。今年度中をめどに承認される見通し。

 がんゲノム医療は、がん細胞の遺伝子を網羅的に調べ、どの遺伝子に異常が起きているかを突き止め、変異に応じて薬などを使い分ける方法。個々の患者のがん細胞の特徴に合う抗がん剤を使うことができ、より効果的な治療ができるようになると期待されています。一部の施設で、臨床研究や自由診療で実施されています。

 中央病院では2013年から、民間企業とともに検査機器(次世代シーケンサー)を開発。研究の一環として患者の遺伝子を調べ、治療につなげてきました。計画では、再発や病状の進行などで標準的な治療を受けられない最大350人の患者を対象に126種類の遺伝子を調べます。

 自由診療では100万円程度の検査費用のほか、診察や投薬などの費用も含めすべて自己負担。先進医療に認められれば、検査以外の通常の診察などは保険(自己負担1〜3割)が適用されます。中央病院以外の複数の施設も、先進医療の申請を準備中です。

 先進医療は、将来的な保険適用に向けた評価をするために実施する制度。厚生労働省は、この検査法について、先進医療としての実績を踏まえて2019年度の保険適用を目指しています。

 2018年1月15日(月)

 

■大腸がんの転移に影響する3種類の遺伝子変異を確認 金沢大学など

 特定の3種類の遺伝子に変異があると、大腸がんが転移しやすくなることを、金沢大学などの研究チームが動物実験で突き止めました。研究成果を応用すれば、大腸がんの転移を効果的に防ぐ新タイプの薬の開発につながりそうです。

 アメリカの医学誌「キャンサー・リサーチ」に論文を発表しました。

 大腸がんは日本人では肺がんに次いで死亡数が多く、2016年には約5万人が亡くなっています。肝臓に転移しやすく、外科手術で大腸がんを切除しても、肝転移が見付かると予後が悪くなります。

 金沢大がん進展制御研究所の大島正伸教授らは、大腸がんの発がんにかかわるとされる5種類の遺伝子のうち、どの遺伝子に変異があると転移しやすいかをマウスを使って調べました。

 その結果、特定の3種類の遺伝子に変異があるマウスは、大腸がんの転移が起きやすいことが確認されました。今回はマウスを使った研究ですが、人間でも同様のメカニズムが働いていると考えられるといいます。

 この仕組みが働くのを阻む新タイプの薬が開発できれば、遺伝子変異の情報をもとに個々の患者に適した治療を行う「がんゲノム医療」に役立つと期待されます。

 2018年1月14日(日)

 

■脳の微弱な信号、皮膚から読み取り意思伝達 サイバーダインが装置を開発

 全身の筋肉が衰えて動作や会話が困難になる難病「筋委縮性側索硬化症(ALS)」などの患者向けに、体を動かそうとする際に生じる微弱な信号を読み取って文字入力ができる意思伝達装置「Cyin(サイン)」を、茨城県つくば市のベンチャー企業「サイバーダイン」が開発しました。

 下半身に着けて歩行を補助する同社製の装着型ロボット「HAL(ハル)」が動く原理を応用したもので、今春の販売を予定しています。

 ALS患者は症状が進むと筋肉をほとんど動かせなくなりますが、脳からは信号が送られている点に着目。皮膚に取り付けた電極で信号を読み取り、モーターで手足の動きを補助するHALの技術を採用し、腕や指先など体のどこかにシリコン製の電極を張り付けて使います。

 体を動かそうとした時に脳から筋肉に伝わる生体電位信号を検出し、情報をCyinに接続したパソコンに送ります。Cyinの画面上に並んだ文字盤上のカーソルが自分の入力したい文字上に移動した時、電極を張り付けた体の部位を動かそうとすれば、その文字を実際にパソコンに入力できます。Cyinは、手のひらに乗るサイズです。

 昨年、国立病院機構新潟病院や東京都立神経病院など国内3医療機関でALS患者ら15人に約3カ月間使ってもらったところ、全員で意思伝達ができることを確認し、「思い通りに入力できる」「まるでパソコンのマウスをクリックするように使える」などと好評だったといいます。

 ALS患者向けには、視線やまばたき、脳波で文字を入力する装置が市販されています。しかし、目に負担がかかり、長時間の利用が難しい面もあります。

 サイバーダインは、「疲れを軽減し、精度を向上させた」といいます。

 日本ALS協会(東京都千代田区)によると、2016年度末現在のALS患者数は約9500人。Cyinは、税抜きで60万円。障害者総合支援法に基づき自治体が認めれば、最大45万円の補助が受けられます。

 問い合わせは、サイバーダイン(029・869・9981)へ。

 2018年1月13日(土)

 

■生涯を通じての独身者、認知症の発症リスクが42%上昇 ロンドン大学が研究

 生涯を通じて独身だった人は結婚している人に比べて、アルツハイマーなどの認知症を発症するリスクが42%高い可能性があるとする論文を、イギリスのロンドン大学の研究チームが発表しました。

 この論文は、28日の学術誌に発表されました。それによると、配偶者に先立たれた人は、認知症を発症するリスクが20%高いことも判明。身体的な健康状態を考慮しても、独身者のほうが認知症を発症するリスクが高いという結果に変わりはなかったといいます。

 ただし、結婚と認知症を発症するリスクとの間に、直接的な因果関係はありません。ロンドン大学のアンドルー・ソマーラッド氏は、「配偶者やパートナーと同居していると、例えば一般的に健康的なライフスタイルになり、社会的刺激が多いといった、さまざまなライフスタイル要因に関係する」と解説しています。

 研究チームは、1992〜2016年12月までに発表された結婚と認知症に関する15の論文で、ヨーロッパやアジア、アメリカなどの計81万2047人について調査しました。非婚のカップルが同居している場合も、結婚として分類しました。

 その結果、年齢や性別を問わず、生涯独身の人やパートナーを亡くした人のほうが、結婚している人に比べて認知症を発症する確率が高いことがわかりました。

 ただ、離婚した人の認知症を発症するリスクと、結婚している人の認知症を発症するリスクの間に、違いはみられなかったといいます。

 研究チームは今回の結果について、「結婚している人のほうが認知症を発症する可能性が小さいということを示す強力な証拠」と位置付けていますが、因果関係がはっきりしないことから、「今後の研究では社会との関係や健康的なライフスタイルの影響なども調べる必要がある」と指摘しています。

 2018年1月13日(土)

 

■ローソン、900店で医薬品を販売へ ドラッグストアと利用客を争奪

 コンビニストア「ローソン」は2021年度末までに、一般用医薬品を扱う店舗を5倍の900店に増やす方針です。

 風邪薬や胃腸薬など500品目を販売し、女性やシニアなどドラッグストアの利用客を取り込みます。一方で、ドラッグストアも24時間営業店を増やすなど、コンビニエンスストアの客を奪っています。人口減やネット通販の伸長で実店舗の売上高が伸び悩む中、業態の垣根を越えた競争が一段と激しくなリます。

 ローソンは現在、コンビニ170店で医薬品を販売していますが、2021年度末までに全国の店舗数を現在の約1万3000から1万8000に増やす計画で、新店や既存店で医薬品を扱う店舗を順次増やします。

 セブン―イレブン・ジャパンで医薬品を扱うのは約40店で、ファミリーマートは約50店で調剤薬局やドラッグストアとの一体型店舗を展開しています。ローソンの医薬品の販売店舗数は、ドラッグストア大手のマツモトキヨシホールディングスの約6割の水準となり、コンビニ業界では突出することになります。

 ローソンですでに医薬品を扱っている店の1日当たりの売上高は、全店の平均である約55万円を上回り、女性客が増える効果がみられたといいます。医薬品は単価が高く、その他の商品のついで買いにもつながリます。医薬品を扱う店舗では1日当たりの売上高を3万円以上伸ばし、10万円超の差を付けられているセブン―イレブン・ジャパンを追う考えです。

 ローソンが販売するのは、風邪薬や胃腸薬、湿布など登録販売者が扱える第2類医薬品と第3類医薬品。副作用のリスクが高く薬剤師による販売が義務付けられている第1類医薬品は、一部店舗を除き販売しません。

 1店当たり3人以上の登録販売者を置き、365日販売します。時間帯は店舗によって異なり、午前8時から午後10時ころまでを想定し、登録販売者を確保できた店舗では24時間販売します。

 登録販売者の時給は他の従業員よりも高くなることが、加盟店の人件費の押し上げ要因となるものの、売り上げ増で吸収する考え。

 薬剤師や登録販売者の確保がコンビニ業界の医薬品販売のハードルとなっており、登録販売者の資格取得には都道府県が実施する試験の合格と2年の実務経験が条件になります。

 ローソンでは、加盟店の従業員1300人が登録販売者の試験に合格しています。2017年は本社が試験対策の講座を350回開催し、600人が試験を通過しました。2018年は70回開く予定の講座の1回当たりの規模を拡大するほか通信講座も開設します。今後も年400人規模の合格を目指すといいます。

 全国のコンビニの既存店売上高は、11月まで6カ月連続で前年実績を下回っています。集客力を高めるためシェア自転車やスポーツジムなど異業種のサービスを取り込む動きが出てきています。

 一方のドラッグストアは好調が続き、日本チェーンドラッグストア協会の推計では2016年度のドラッグストアの売上高は2015年度比5・9%増の6兆4916億円。大手各社は食品などの取り扱いを増やしており、郊外を中心にスーパーとの競合が激しくなっています。

 ドラッグ各社は、コンビニ客の取り込みも進めています。1600店以上を展開するウエルシアホールディングスは、24時間営業の店を2019年度末までに2016年度末比4倍の400店にするほか、弁当を販売する店も早期に現状の4倍の500店に拡大します。ココカラファインも、都市部を中心に約50店で弁当を販売しています。今後は、コンビニとの顧客の争奪戦が激しくなりそうです。

 2018年1月12日(金)

 

■iPS細胞のがん化原因を特定 安全な細胞の選別が容易に

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)からさまざまな組織などを作る際、がん化するかどうかを見分ける方法を発見したと、先端医療振興財団・細胞療法研究開発センター(神戸市中央区)の川真田伸センター長らの研究チームが発表しました。良質なiPS細胞の量産につながり、再生医療の実用化に弾みがつくと期待されます。

 10日付で、イギリスの科学誌「サイエンティフィックリポーツ」に掲載されました。

 iPS細胞は、何もしなければ未分化のまま無限に増殖。そこに特定の遺伝子を加えることで、さまざまな細胞や組織に分化します。だが、一部が分化せず、がん化することが課題でした。

 研究チームは、胎児の臓器形成にかかわることで知られ、iPS細胞にも存在する分子「CHD7」に着目。細胞ごとに含有量を測定した結果、一定値以上であれば分化するものの、それ以下であれば、がん化することを突き止めました。CHD7が、分化を始めるスイッチの役割を果たしていました。同様に人のさまざまな細胞になるES細胞(胚性幹細胞)でも、確認しました。

 川真田センター長は、「安全なiPS細胞を短時間で簡単に選別することができる。再生医療の一般化に貢献できる発見だ」としています。

 2018年1月12日(金)

 

■乳酸菌が腸内の免疫細胞を活性化させる仕組みを解明 フランスのパスツール研究所など

 フランスのパスツール研究所などの研究チームは、食品に含まれる乳酸菌が作り出す物質が腸内で免疫細胞を活性化させる仕組みを、マウスを使った実験で初めて解明したと発表しました。

 この研究は、パスツール研究所が大手食品会社の「明治」と共同で、2014年1月から行ってきたものです。

 研究チームでは、乳製品に含まれる「OLL1073R-1」と呼ばれる乳酸菌が作り出す物質「多糖類」に注目。この多糖類をマウスに1週間投与したところ、腸内で免疫反応を担うT細胞の量が、水だけを飲ませたマウスと比べておよそ2倍から4倍に増えていたということです。

 乳酸菌が腸内で免疫活動に影響を及ぼすことは知られていましたが、乳酸菌が分泌するどの多糖類が免疫細胞の受容体と反応し、活性化させているのが明らかになったのは、これが初めてだということです。

 腸内の免疫の働きに詳しい理化学研究所統合生命医科学研究センターの大野博司グループディレクターは、「人が食べる食品と、腸内の細菌、それに、免疫への影響は世界的に注目され、研究が進められている分野だが、具体的な作用の仕組みはまだわかっていないことが多い。食品の特定の物質と、その作用のメカニズムがわかったのは大きな進歩だ」と話しています。

 2018年1月11日(木)

 

■かかりつけ医の診療報酬、初診対象に加算へ 厚労省方針

 厚生労働省は10日、かかりつけ医として患者を診療する開業医への報酬を加算する方針を固めました。初診料が発生するケースが主な対象で、高度な医療を担う大病院との役割分担を進める狙いがあります。

 中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)に同日提案し、了承されました。4月からの診療報酬改定に反映させます。

 大病院が初診や軽症の患者で混雑すると、入院や手術が必要な重症者の対応に支障が出る恐れがあるため、厚労省は、身近なかかりつけ医が日常的な診療や健康相談に応じ、必要な場合に専門医のいる大病院を紹介する体制づくりを目指しています。

 ただ、かかりつけ医は24時間対応や医薬品の管理などが求められ、業務の負担が重いとの声が現場から上がっています。厚労省は、かかりつけ医をさらに増やすため、相談や紹介など初診患者の受け入れ体制が整った医療機関の診療報酬を手厚くする方針。

 厚労省は、紹介状なしで大病院を受診した患者に5000円以上の追加負担を求める制度についても、4月から対象となる大病院を現在の500床以上から400床以上に拡大して、かかりつけ医の診察を受けるよう促します。

 2018年1月11日(木)

 

■新人医師の臨床研修で産婦人科など必修科目に 厚労省が2020年度から

 勤務環境の厳しさなどから産婦人科医が不足する中、厚生労働省は2020年度から、新人医師の臨床研修で産婦人科を必修科目にすることを決めました。

 2010年度に必修科目から外れましたが、研修医全員に産婦人科の現場を経験してもらい、志望者を増やす切っ掛けにしたいと、関係学会が再び必修化するよう求めていました。

 医師国家試験合格後に受ける臨床研修は、医師法で2年以上と定められています。現在、内科、救急、地域医療が必修で、産婦人科は選択可能な科目の一つ。2020年度からの必修は、従来の3科目に、産婦人科、外科、小児科、精神科が加わり計7科目になります。

 日本産婦人科医会の調査によると、昨年の産婦人科医の人数は1万1573人。2010年以降、微増傾向が続くものの、不足は解消していません。同医会の昨年の推計では、リスクが高い出産に対応する総合周産期母子医療センターの約6割が、労働基準法を守る上で必要な人数を確保できていませんでした。

 日本産科婦人科学会は、「産婦人科医が増える切っ掛けになることが期待される。受け入れ体制を整えて産婦人科の魅力を伝えたい」としています。

 2018年1月10日(水)

 

■希少糖のアルロース、経口摂取で糖尿病改善 自治医大などがメカニズムを解明

 自然界に少量しか存在しない希少糖の一種「アルロース」の口からの摂取で肥満や糖尿病などが改善されるメカニズムを、自治医科大学医学部生理学講座統合生理学部門の矢田俊彦教授(生理学)らの研究チームが9日までに、マウスを使った実験で解明しました。

 アルロースが腸内ホルモンを分泌させ内臓感覚神経を通じて脳に作用し、食欲や食後の血糖上昇を抑えるなどの効果が確認されました。今後、臨床試験を経て、食事療法や創薬への応用が期待されます。

 香川大学や北海道大学、カナダのトロント大学との共同研究。イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)に9日付で発表しました。

 研究チームによると、アルロースは砂糖と同程度の甘みがあるのにカロリーはゼロ。肥満や糖尿病の改善効果があると注目され量産も進んでいますが、詳しいメカニズムは不明でした。

 共同研究は2012年10月ごろに開始し、アルロースを空腹状態のマウスに口から飲ませてその後の食事量を調べるなどの実験で、摂食の抑制、インスリンの分泌や作用が増強され食後の血糖上昇抑制の効果がみられました。

 別の実験で、アルロースを経口摂取した場合、腸内ホルモン「GLP-1」の分泌が促され、腸や肝臓にある内臓感覚神経(求心性迷走神経)を通じて脳に作用し、満腹感を得ることで摂食を抑制できるメカニズムもわかりました。

 また、肥満のマウスにアルロースを10日間投与して摂食のパターンを調査。本来食事をしない時間帯の無駄食いが抑えられて摂食リズムが是正され、脂肪肝の改善が確認されました。

 糖尿病の治療に使用される薬は注射が必要で脳に直接作用するため副作用が懸念されてきましたが、併せて経口投与による投薬が実現すれば副作用もほとんどないため、患者の負担軽減につながるといいます。

 矢田教授は、「食事の喜びを保ったままカロリー抑制にもつながる希少糖は、規則的な食事につながり、肥満や糖尿病の改善にも効果がある。メカニズムを解明したことで創薬への応用も期待される。5年ぐらいで実現できるのではないか」と話しています。

 2018年1月10日(水)

 

■かむ力が弱い、むせやすいなど口の働きの衰え、死亡リスク高める恐れ 東京大が調査

 硬い物が食べづらくなる、むせることが増えるなどの「口まわり」のトラブルが将来の死亡リスクを高める可能性があるとする調査結果を、東京大学などの研究チームがまとめました。こうした口の働きの衰えは自覚しにくいものの、歯科医の定期的な受診などで対処していくことが大切といいます。

 調査は、千葉県柏市に2012年に住み、介護を必要としない状態にある65歳以上の約2000人を対象に実施しました。

 本人への聞き取りや測定から、①残っている歯が20本未満②かむ力が弱い③口を巧みに動かせない④舌の力が弱い⑤硬い食品が食べづらい⑥むせやすいの6項目を評価。該当するのが「3項目以上」「1〜2項目」「ゼロ」と3つのグループに分け、約4年後の健康状態を検証しました。

 その結果、年齢などの影響を取り除いても、3項目以上該当したグループは、ゼロのグループに比べて死亡率が2・09倍になり、介護が必要になった割合は2・35倍になりました。また、筋力が衰える「サルコペニア」と呼ばれる状態に2年以内になった割合は2・13倍、筋力に加えて意欲の低下など心身の活力が落ちた「フレイル」と呼ばれる状態になった割合は2・41倍でした。

 口の働きが衰えている人は、食事量が少なく、肉類の摂取量が減る傾向がありました。食べられる物が減って栄養状態が偏り、体力の低下や健康状態の悪化につながったとみられます。軽くみられがちな口の働きの衰えを「オーラルフレイル」(口の虚弱)と呼び、早めに対処することで要介護になる高齢者を減らそうとする考え方が、医療現場で注目されています。

 オーラルフレイルの提唱者で、調査を実施した東京大高齢社会総合研究機構の飯島勝矢教授(老年医学)は、「歯の本数を注目しがちだがそれだけでなく、かむ力や滑舌の悪化などささいな口の働きの衰えの積み重ねが、体に大きな影響を及ぼすことがわかってきた。早いうちに気付き、かかりつけの歯科医で口まわりのケアをしてほしい」と話しています。

 研究成果は、老年学の国際誌「ジャーナル・オブ・ジェロントロジー」で発表されました。

 2018年1月10日(水)

 

■介護大手のツクイ、食事介助などを担う新職種を導入  未経験者を採用し半日程度研修

 介護大手のツクイ(横浜市港南区)は、介護現場で周辺業務に特化した新職種を導入します。高齢者の食事や排せつの介助といった専門分野以外の業務を担う「ケアサポーター」という職種を設けます。

 1月内にも通所介護(デイサービス)事業所で導入するほか、認知症対応のグループホーム向けに職員の募集を始めました。人手不足が深刻化する介護現場で、職員の負担軽減につなげます。

 ケアサポーターはパートとして採用し、半日程度の研修を施した上で1日3~4時間を目安に働いてもらいます。すでに有料老人ホーム3施設で試験運用しており、兵庫県内のデイサービス事業所5カ所を皮切りに本格導入していきます。周辺業務に特化した職員の導入は、介護業界でも珍しいといいます。

 介護現場では、同じ職員が専門的な介助と、食事を運んだり清掃したりといった周辺業務を併せて担うことが多くなっているため、職員1人当たりの負担が大きくなりがち。ツクイは専門的なノウハウが不要な職員を別途採用して分業を進め、各職員の負担を減らします。

 2018年1月10日(水)

 

■男性の糖尿病予防、全身持久力の継続的達成も重要 東北大が研究発表

 身体活動の程度を測る基準の一つである「全身持久力」を継続して保てなかった男性は、保持できていた男性に比べて2型糖尿病の発症リスクが高いとの研究結果を、東北大学大学院医工学研究科健康維持増進医工学分野の門間陽樹助教(運動疫学)らの研究チームが発表しました。

 ただし、最初に測った全身持久力が一定の基準に達していなくても、その後に継続的に達成できた場合は、発症リスクに差がないことも判明。いつからでも運動に努め、基準以上に全身持久力保つ重要性が示されたとしています。

 全身持久力の基準は、厚生労働省が2013年に公表した「健康づくりのための身体活動基準」で設けられました。男女別、年齢別で、一定の強さの運動をどの程度続けられるかで評価します。40~59歳の男性の場合は、167m/分(10km/時)の速度のランニングを3分間以上継続できる程度の全身持久力が推奨されています。

 東北大の研究では、1979~1987年に会社の健診で全身持久力を4回以上測定した、糖尿病でない21~59歳の男性計2235人のデータを集め、その後の経過を最長23年にわたって追跡。測定結果と2型糖尿病発症の関係を分析しました。

 その結果、最初の測定で全身持久力の基準を満たしていなかった人は、満たしていた人に比べて2型糖尿病の発症リスクが1・33倍と高いことが判明しました。

 ただし、最初は基準に達していなくとも、その後の測定でおおむね基準を達成した場合は、当初から基準に達していた人に比べて発症リスクが1・18倍にとどまり、統計的に差はないことがわかりました。

 門間助教は、「今、体力に自信がなくても、頑張って改善、維持することが大切。全身持久力をつけるための運動として、例えば厚労省が推奨している速めのウオーキングやジョギングなどの有酸素運動を習慣として取り入れてはどうか」と話しています。

 2018年1月10日(水)

 

■漢方薬や鍼灸など東洋の伝統医療、WHOが認定へ 日本の漢方、再評価へ

 漢方薬や鍼灸(しんきゅう)など日本や中国の伝統医療が、今春にも開催される世界保健機関(WHO)の総会で認定される方針であることが8日、明らかになりました。

 具体的には、国際的に統一した基準で定められた疾病分類である「国際疾病分類」(ICD)に、伝統的な東洋医学の章が追加されます。100年以上、西洋医学一辺倒だった世界の医療基準の転換点となるとともに、中国と異なり独自に発展してきた日本の伝統医療の再評価にもつながります。

 関係者によると、WHOが東洋の伝統医療に注目したのは、同機関で扱う医療の統計が西洋に偏り、伝統医学での治療に依存しているアジアなどでほとんど統計が取られていないとされる「情報格差」を埋めることが目的にあるといいます。

 ICDは1900(明治33)年に初めて国際会議で承認、日本でも同年に採用されました。約10年ごとに改訂され、現在は全22章からなりますが、日本や中国などに根差した「伝統医療」が新しい章として加わリます。病名や患者の体質を示す「証(しょう)」が、約300項目記載されるといいます。

 ICDの作成にも携わった千葉大学の並木隆雄診療教授(和漢診療学)は、「WHOに公式に認められれば、日本の伝統医療の地位向上に役立つ。科学的な調査のもと、漢方の有効性も検討でき、成果は国民に大きく還元される」と話しました。

 日本の漢方は古代中国に起源があるものの、西洋医学と融合し、中国とは運用方法や処方の作り方も異なるなど独自の発展を遂げました。鍼灸も奈良時代に漢方とともに伝えられ、「日本の医療」として進化。特に中国はボールペンの芯ほどの太い鍼(はり)を使うのに対して、日本は髪の毛ほどの細い鍼を使うところに特徴があリます。

 病気に対し狙いを絞って対処する西洋医学に対し、東洋医学では、病気は全身の体内バランスが崩れて起こるという考えを持ち、同じ症状でも患者の体質によって治療を変えます。日本では、1976年に147種の漢方エキス製剤が医療保険に適用され、漢方医学は2001年から医学教育に、2002年からは薬学教育にも導入されました。

 2018年1月9日(火)

 

■子供のスマホ依存、大株主がアップルに対策を要求 株価への打撃を懸念

 アメリカのIT大手アップルの大株主である、投資ファンドのジャナ・パートナーズとカリフォルニア州教職員退職年金基金(カルスターズ)は、大きな問題になりつつある若者の「アイフォーン中毒」に同社が対策を講じるよう促しています。

 ブルームバーグ・ニュースが8日伝えたところでは、ジャナ・パートナーズとカルスターズは6日付でアップルに宛てた書簡で、「最も頻繁に使用している若者の少なくとも一部で、(健康状態に)意図せぬマイナスの結果がもたらされていることを示す証拠が相次いでいる」と指摘し、親が子供の過剰なスマートフォン(スマホ)使用を制限できるソフトウエアの開発を検討するよう求めました。ジャナ・パートナーズとカルスターズは、過剰なスマートフォン使用が精神衛生にどのような影響を及ぼすか調査することも要請したといいます。

 ブルームバーグ・ニュースによると、ジャナ・パートナーズとカルスターズは合計で約20億ドル(約2260億円)相当のアップル株を保有しています。保有比率は、0・2%あまりとみられます。

 アメリカでは、子供がスマートフォンを手放せなくなっているという親からの苦情が増え、若者のスマートフォン依存が社会問題化。2つの機関投資家は、アップルが何も対応しなければ同社の評判と株価が打撃を受けかねないと懸念しています。

 すでにアップルは、親が特定のアプリやコンテンツの利用、閲覧を制限できる機能を提供しています。

 2018年1月9日(火)

 

■脊髄損傷の新薬治験、大阪大など開始へ サルでは抗体投与で機能回復

 脊髄損傷の治療を目指し、大阪大学などは今年から、新たに開発した薬を患者に投与する医師主導の臨床試験(治験)を開始します。まずは、背骨の中を走る脊髄の中枢神経ががん転移による圧迫で損傷し、手や脚が動かなくなった患者で安全性や効果を確認します。

 アメリカでも製薬会社による臨床試験が計画されており、外傷性の脊髄損傷の治療も含め、5年後の実用化を目指します。

 脊髄損傷は、事故などで脊髄の中枢神経が傷付き、手や脚がまひします。国内外で治療法の開発が進められていますが、まだ有効な治療法は確立していません。

 大阪大の山下俊英教授(神経科学)は、傷付いた神経の修復を妨げるRGMというタンパク質に着目。このタンパク質の働きを抑える「RGM抗体」を田辺三菱製薬(大阪市中央区)と共同開発しました。

 京都大学霊長類研究所で、重度の脊髄損傷を負った直後のニホンザルにヒト用のRGM抗体を投与したところ、4週間後にまひした手が動くようになりました。約3カ月後には小さな透き間に入った餌を指で取り出す細かい作業もこなすなど、損傷前に近い状態まで運動機能が回復したといいます。

 日本での臨床試験は、大阪国際がんセンター(大阪市中央区)で行います。がん転移でまひが出た患者5〜10人の血管にRGM抗体を注射し、約1年かけて安全性や効果を検証します。脊髄損傷の直後に治療を始めると効果が見込める一方、時間が経過した慢性期の患者にも効くかどうかや、どの程度の脊髄損傷まで治療の対象になるかは現段階では不明といいます。

 日本脊髄障害医学会の1990〜1992年の調査では、国内の脊髄損傷の患者は10万人以上で、新たな患者は毎年約5000人と推計しています。

 山下教授は、「ペンを握ったり、コップを持って水を飲んだり、つえで歩いたりできる程度まで、まひが回復するのでは、と期待している」と話しています。

 京都大の伊佐正教授(神経生理学)は、「サルなどの動物実験で慎重に効果が確認されており、人においても有望だと考えられる」と話しています。

 2018年1月8日(月)

 

■遺伝子検査ビジネス、個人の情報保護などを定めた指針順守は6割未満 厚労省研究班が調査

 将来的に病気にかかる可能性や太りやすさなどの体質を判定する遺伝子検査ビジネスを実施している業者のうち、個人の遺伝情報の保護などを定めた経済産業省の指針を守っているのは6割にとどまることが、厚生労働省研究班による実態調査で明らかになりました。研究班は、検査の質を確保する取り組みも不十分として、法規制を含めた対応を求めています。

 生まれ付きの体質や能力などがわかるとする遺伝子検査には、技術の進歩により多くのIT企業などが参加しています。しかし、利用者側などから検査に苦情が寄せられ、検査の質が担保されない状況が懸念されることを受け厚労省が調査に乗り出しました。

 調査は2016〜2017年に、インターネットで遺伝子検査を実施しているとうたっている697社を対象に実施。うち「現在実施している」と回答した73社について、詳しく実態を分析しました。

 調査の集計によると、「検体の安全管理」「事前の説明と同意」など経産省が2004年に定めた指針を守っているとしたのは、73社中41社(56%)。業界団体の自主規制ルールを守っているとしたのは、73社中16社(22%)でした(いずれも複数回答)。7社(10%)は、どの指針にも従っていませんでした。

 何度調べても正しい結果が得られるよう、NPO法人「日本臨床検査標準協議会」などが検査の手順などを定めたルールを守っているのも10社(14%)にとどまりました。検査には人種差が反映されるといわれますが、比較データとして日本人の結果を使って判断しているのも28社(38%)だけでした。

 検査結果をもとに、治療などのよりよい選択ができるよう支援する「遺伝カウンセリング」の体制も、全体的に不十分でした。

 全国の消費生活センターには、「同じ検体を送ったら異なる結果が返ってきた」「信じられない結果が出た。精神的におかしくなり、精神科に通院している」「検査に基づき健康食品を勧められた」などの苦情が多数寄せられています。

 業者側が業界健全化のために作った団体への参加は、一部にとどまっています。

 厚労省研究班代表の高田史男・北里大学教授は、「遺伝子検査ビジネスは無秩序に広がり、しっかりした管理のもとで行われていない。指針での規制は限界」と指摘し、有期の更新免許制の導入や、施設の立ち入り監査など法規制の必要性を訴えました。具体的には、新法の制定や医療法の改正などを挙げました。また、検査結果の解釈や検査サービスの適正さを評価、審査する体制整備の検討を求めています。

 遺伝子検査には、大きく2種類あリます。1つは遺伝病の診断など医療機関を介した医療分野の検査で、厚労省が担当しています。もう1つは、唾液などの検体を送るとゲノム(全遺伝情報)の一部を解析して、統計データとの比較から病気のかかりやすさや太りやすさといった体質などを判定し、医療機関を介さずに結果を送り返す検査で、「遺伝子検査ビジネス」と呼ばれます。ヤフーなどの大手IT企業や健康食品企業などが手掛け、価格は検査項目数に応じて数千円から3万円程度まで幅があります。産業振興の観点から経産省が所管しています。

 2018年1月8日(月)

 

■未成熟スイカのエキスで高血圧予防 横手市と秋田大が健康食品を3月に発売へ

 秋田県横手市と秋田大学が共同研究で開発した特許技術を用い、未成熟スイカから抽出したエキスを活用した健康食品が、商品化されました。発売は、今年3月の予定。

 未成熟スイカは、栽培の過程で廃棄されてきました。エキスには、高血圧の予防や改善に役立つ働きがあるとされる成分が含まれています。

 秋田大の池本敦教授(栄養生化学)らは、未成熟スイカの活用策を探る中でエキスの成分に着目。抽出技術を開発し、2016年に横手市と共同で特許を取得しました。

 秋田大は2009年、大学の資源を地域に提供することを目的に、横手市と包括協定を締結しています。横手市と秋田大は今回、商品化する企業を公募し、合同会社「地域とともに」(秋田市)が選ばれ、奈良県の製薬会社と商品化にこぎ着けました。

 各種の植物性素材を調べた池本教授の研究の結果、通常果物として利用される成熟したスイカと比較して、小形の未成熟スイカは水溶性成分に、ACE活性阻害作用(血圧を強力に上昇させる物質の産生を抑制する作用)が強いことがわかりました。さらに、アミノ酸の一種であるシトルリンも小形の未成熟スイカのほうが高含量で、他の植物とは異なった独特なアミノ酸バランスを有しています。ACE阻害物質とシトルリンの両者が豊富な食素材はこれまでに報告されておらず、これらを濃縮した未成熟スイカ抽出物であるエキスは、新しいタイプの食素材として、健康増進に大変有用であるといいます。

 健康食品は、ドリンク(50ミリリットル)とペースト(5グラム)の2種類。価格は、ドリンクが1本300円程度、ペーストは15包入りで1500円程度を想定しています。ペーストは、業務用に1キロ単位でも扱う予定で、焼き菓子や料理に混ぜても高血圧の予防や改善効果が期待できます。

 連絡先は、地域とともにフリーダイヤル(0120)973218。

 2018年1月8日(月)

 

■メタボ追跡指導を受けると医療費が2割安い 協会けんぽが26万人を調査

 40~74歳を対象とした「メタボ健診」(特定健診・特定保健指導)を受診し、糖尿病など生活習慣病のリスクが高いと判定された人のうち、3カ月以上の追跡指導を受けた人は受けなかった人に比べ、医療費が2割安いことが、全国健康保険協会(協会けんぽ、加入者約3700万人)の約26万人を対象にした調査で判明しました。

 主に中小企業の勤め人が加入する最大の保険者である協会けんぽの調査で、追跡指導の効果が明らかになったものの、現状の実施率は2割以下で、医療費適正化のため指導強化が求められます。

 今回の調査は、飯地智紀・研究室主任らが行いました。2012年度のメタボ健診で、血糖値や血圧などの値が悪く、特定保健指導の対象とされた40〜71歳の男性約26万人のうち、電話やメールで3カ月以上の追跡指導を受けた人と、全く受けなかった人を比べました。がんを除く糖尿病、脂質異常症、高血圧関連の入院以外の1人当たり医療費や、体重の減り方を比較しました。

 追跡指導を受けた群の体重の減り方は、受けていない群に比べて3倍程度大きくなりました。次に、1人当たり医療費の年齢調整後の平均値は、2013年度で追跡指導を受けた群が受けていない群より26%(3501円)少なくなりました。2014年度も20・1%(4027円)、2015年度も15・3%(3975円)少なくなりました。

 飯地主任は、「追跡指導を契機に自助努力し体重を減らした結果、医療費が抑えられた」と分析しています。

 厚生労働省によると、追跡指導を含めた特定保健指導の実施率は2015年度で17・5%(終了者数約79万人)にすぎず、指導対象の大半が無視しているのが現状。メタボ健診自体の実施率も2015年度で50・1%(受診者数約2706万人)と低く、医療費の適正化のためには受診率の向上が求められます。

 2018年1月8日(月)

 

■推奨されない2種類の画像検査、認定病院の半数で頻繁に実施 医学放射線学会が初の調査

 日本医学放射線学会が「医学的根拠がない」などとして推奨していない画像検査のうち、早期乳がん患者に関する検査など2種類が、認定病院の半数で頻繁に行われていたとする調査結果を、同学会の委員会が公表しました。

 不適切な画像検査の実態が明らかになったのは、初めて。

 日本医学放射線学会は「医学的根拠がない」もしくは「効果がない」との理由から、37種類のコンピューター断層撮影(CT)装置や磁気共鳴画像化装置(MRI)などを使った画像検査を「推奨しない」としてガイドライン(指針)に示しています。

 調査は昨年1月、常勤の放射線科医が1人以上いるなど日本医学放射線学会認定の189の専門医研修病院を対象に、37種類の画像検査それぞれについて、実施状況をオンラインで尋ね、165の病院が回答しました。

 その結果、認定病院の半数で「非常に頻繁」もしくは「頻繁」に実施されていたのは、遠隔転移を調べるため早期乳がん患者に行う手術前の胸部CT検査(54%)と、重い病気が原因とみられない頭痛を訴える成人への頭部CT・MRI検査(50%)の2種類。遠隔転移を調べるため早期乳がん患者に行う手術前の腹部画像検査(43%)が続きました。

 主治医が依頼する画像検査で疑問に感じたケースを放射線科医に尋ねたところ、「撮影依頼の範囲が広すぎる」「明らかな兆候がないのに全身の撮影を依頼する」「頻繁に(または長期間)繰り返す」などの回答が多くなりました。

 また、認定病院の2割で主治医が放射線科医からのアドバイスをほとんど受けることなく、推奨されない画像検査を依頼していました。その理由としては、「患者をみて検査を決めた主治医に放射線科医が助言するのは難しい」(59%)、「放射線科医が主治医に助言するだけの時間がない」(56%)などの回答が多くなりました。

 日本は現状、「CT大国」「医療被ばく大国」と呼ばれています。経済協力開発機構(OECD)のヘルス統計2017によると、人口100万人当たりのCT装置の数は日本が107台と加盟35カ国の中で最も多く、1000人当たりの撮影回数も231回と2番目に多くなっています。日本でCT検査が多い理由の一つに、医療システムの問題を指摘する声があリます。日本の外来は、診察や検査をすればするだけ病院やクリニックの収入になる出来高払い。だが、検査料は1回約1万円と海外に比べて安いため、病院やクリニックはCT検査の数を増やそうとしがちだとされます。

 こうした現状を踏まえて、日本医学放射線学会主導の研究では、主治医が画像検査を放射線科医に依頼する時には、ガイドラインや患者の過去の検査情報を示し、検査が必要かを判断できる支援システムの開発を目指しており、今年3月までに試作品の効果を検証する予定です。

 調査を担当した日本医学放射線学会委員会メンバーの隈丸加奈子・順天堂大学准教授(放射線医学)は、「CT検査は患者の被ばく問題もあり、慎重に行われるべきだ。指針に基づいた画像検査が行われるよう検査を依頼するシステムの改善が求められる」と指摘しています。

 2018年1月7日(日)

 

■がん研究会、がん細胞の増殖抑制に新手法 細胞内の輸送役を一時的に破壊

 既存の抗がん剤に耐性を持った肺がんに対し、細胞内で物質を輸送するゴルジ体を壊す新手法で、がん細胞の増殖を抑える効果を動物実験で確認したと、がん研究会(東京都江東区)と東京理科大学の研究チームがアメリカのがん専門誌に発表しました。

 胃がんでも同様の効果を確認しており、「新たな仕組みで幅広く使える日本発の分子標的薬が期待できる」としています。

 肺がんは国内のがんによる死因のトップで、毎年約7万人が亡くなっています。このうち約3割の人は、遺伝子変異によって増殖を促す刺激を受け取りやすくなった受容体ががん細胞の表面にあリます。

 その受容体の働きを邪魔する分子標的薬が有効とされてきましたが、使い続けると受容体に別の変異が生じ、1~2年で薬剤耐性になる問題がありました。

 がん研究会がん化学療法センターの旦(だん)慎吾部長(分子薬理学)、東京理科大の椎名勇教授(有機合成)らの研究チームは、ゴルジ体を一時的に壊して機能を妨げる化合物「AMFー26」を見付け、人工合成に成功。肺がんを再現したマウスに投与して、細胞表面に受容体そのものを送れないようにして、がん細胞の増殖を阻害して退縮させる効果を確かめました。ゴルジ体は後で元に戻り、副作用は非常に少ないといいます。

 旦部長は、「肺がんの薬物治療は、新たな薬が出ては耐性に変化するイタチごっこのような状況だが、今回の成果は大本を抑えるので多くの患者を救える可能性がある。安全性を確かめて5年内に治験に進みたい」と話しています。

 2018年1月7日(日)

 

■花粉症、世代が高いほど「軽症」、低いほど「重症」が増加 ロート製薬が調査

 ロート製薬(大阪市生野区)が実施した花粉症に関する調査で、大人の花粉症は世代が高いほど「軽症」が増加し、「重症」の人ほど発症年齢が早い傾向にあるという結果がまとまりました。

 子供は「副鼻腔炎」を併発して重症化するリスクが大人より高いこともわかり、ロート製薬は早い時期からの予防や治療を呼び掛けています。

 調査は昨年11月、インターネットで実施。花粉症を実感している20~79歳の男女500人に症状を聞いたところ、世代が上がるほど「軽症」と答えた割合が高くなりました。特に20歳代の「軽症」30・1%「中等症」49・3%「重症・最重症」16・4%に対して、60歳代以上では「軽症」61・1%「中等症」31・9%「重症・最重症」6・9%という結果でした。

 さらに、花粉症の症状が「年齢を重ねるにつれて楽になってきたと感じる」と回答した人は、全体では19・6%であったのに対して、60歳代以上では26・4%となりました。また、花粉症を発症した平均年齢は、「軽症」が36・28歳、「中等症」が26・34歳、「重症・最重症」21・90歳となり、「重症・最重症」の人ほど早くから発症していることがわかりました。

 専門医の見解によると、世代が高いほど花粉症が軽症化する背景として、免疫系の衰え、環境の変化、食生活の変化などが関係していることが考えられます。

 花粉症を実感している0~16歳の子供についても、母親500人に調査。花粉症の子供の母親の85・2%が、「自分か夫が花粉症」もしくは「両方ともに花粉症」と答えました。一方で、「自分も夫も花粉症ではない」と答えた母親は11・2%で、約1割の子供は親が花粉症でなくても花粉症を発症していることがわかりました。

 子供の花粉症は他人からはわかりづらく、特に親が花粉症でない場合、気付くのが遅れてしまいがちです。集中力の低下など生活への影響が懸念されるため、早めからの発症予防や対策が重要です。

 花粉症の症状が出ている時、状態が悪化し鼻の奥に炎症が広がる「副鼻腔炎」の症状があった子供は56・4%、大人では45・0%という結果となりました。また、大人の調査において、花粉症の程度別にみると、花粉症が「軽症」の人では「副鼻腔炎」は39・4%、花粉症が「重症・最重症」の人では「副鼻腔炎」は56・6%となり、花粉症が重いほど「副鼻腔炎」を併発している割合が高いことがわかりました。

 副鼻腔炎は慢性化すると治りづらく、また花粉症とは薬も異なるため、早めの診断と対策が重要となります。

 2018年1月7日(日)

 

■「延命治療は望まず」が約7割に上る 埼玉県医師会などの調査

 高齢化で医療費が増加する中、埼玉県医師会などが県内で調査したところ、「回復の見込みのない延命治療は希望しない」と考えている人が約7割に上ることが、明らかになりました。

 この調査は、埼玉県医師会などが終末期医療や公的医療保険制度について県民の意識を探ろうと、2016年11月~2017年5月、20歳代から70歳代までの男女を対象に、質問項目を変えながらインターネットで計3回アンケートを行い、およそ1500人が回答しました。

 この中で、自身が病気や事故などにより意識のない患者になった場合に「回復の見込みのない延命のための治療を希望するか」を尋ねたところ、「希望する」と答えたのは4%にとどまり、「希望しない」が67%に達しました。年代別にみると、「希望しない」は50歳代が69%、60歳代が78%、70歳代が85%と、年代が上がるにつれて増えました。

 また、病気などの治療にかかる国民医療費が2015年度は42兆3600億円余りと9年連続で増加する中、「延命すればするほど医療費の負担は増えるが、何らかの制限を設けるべきか」という問いに対し、「とてもそう思う」が31・8%、「ややそう思う」は39・5%と、制限を設けることに肯定的な意見が7割以上を占めました。

 一方で、延命治療を望まないなどの意思をあらかじめ医療機関に示す「リビング・ウィル」については、「知らない」との回答が49・3%に上りました。

 「安楽死」に関しては、賛成する人が半数を超えました。公的医療保険制度に関しては、誰でも平等に医療を受けられる現行制度を「維持すべきだ」と回答した人は72%。また、73%の人が医療費負担が増えても制度を維持、充実すべきだと答えました。

 埼玉県医師会の担当者は、意識がなくなった場合に延命治療を望まない人が多かった理由について、「家族に迷惑をかけたくないという意識が強いためではないか」と指摘。安楽死に賛成する人が半数を超えたことについては、「治療費などの経済的負担や闘病生活を避け、安らかな死を迎えたいと考える人が多いのではないか」と語っていました。

 終末期医療に詳しい埼玉医科大学の齋木実准教授は、「どのような最期を迎えたいか、治療以外にも選択肢があることを本人が認識できる環境を作ることが重要だ」と話していました。

 2018年1月7日(日)

 

■慈恵医大など、腎臓を再生する初の臨床研究へ 患者のiPS細胞を使用し、海外で年内開始

 慢性腎不全の患者のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、体内で腎臓を再生し、機能を回復させる世界初の臨床研究を、東京慈恵会医科大学などの研究チームが年内にも始めます。慢性腎不全は、数カ月から数十年かけて腎機能が徐々に低下し、やがて人工透析に至る病気で、世界的に患者が増えています。研究チームは、海外での臨床研究を目指します。

 人での腎臓再生の臨床研究を試みるのは、慈恵医大や明治大、医療ベンチャー企業「バイオス」の研究チーム。計画では、慢性腎不全患者本人のiPS細胞から腎臓のもととなる前駆細胞を作製。遺伝子を改変したブタの胎児が持つ腎臓の「芽」に注入し、患者の体内に移植します。

 その後、患者に薬を投与して腎臓の芽に元々含まれていたブタの前駆細胞を死滅させると、数週間で患者の細胞由来の腎臓が再生するといいます。患者の細胞だけで腎臓を作るため、臓器移植と違って免疫抑制剤が不要になることも期待されます。

 研究チームは、腎臓病患者から作製したiPS細胞から腎臓の前駆細胞を作ることにすでに成功しており、マウス胎児の腎臓の芽にラットの前駆細胞を注入し、ラットの体内に移植することで腎臓を再生させる技術も確立しています。再生させた腎臓に尿管をつなぎ、尿を体外に排出することにも成功しています。

 研究チームは、ブタから人への移植や、再生医療が法律などで認められている海外の医療機関で、年内の臨床研究の手続き開始を検討しています。さらに、日本での実施に向けて、人と遺伝的に近いサルでも研究を進める方針。

 研究チームを率いる横尾隆・慈恵医大主任教授(腎臓・高血圧内科)は、「安全性と有効性を慎重に確かめつつ、人工透析の回数を減らすなど患者負担を軽減できるよう、日本での実用化を目指したい」と話しています。

 国内では人工透析を受ける腎臓病患者は約33万人に上り、医療費も年1兆円を超えています。毎年5000人のペースで増加しており、腎臓再生を目指す今回の臨床研究に対して患者や家族からの期待が高まりそうです。

 腎臓病の根治策は今のところ移植手術しかありませんが、日本は他国に比べて脳死者からの腎臓提供が少なく、移植を受けられずに亡くなる患者が後を絶ちません。海外では西アジアや中東などで腎臓病の発症リスクが高く、透析が十分受けられない患者の命を救うためにも研究は大きな意義を持ちます。

 ただ、実現までのハードルは高く、研究チームは海外での臨床応用を検討しているものの、国内で人に応用する場合は遺伝的に人に近いサルなどで安全性や有効性を確認する必要があります。

 研究チーム関係者は、「海外で臨床研究が成功すれば有力な医学的証拠になり、国内での実現に大きく近付く」と期待しています。産学連携で事業化を担うバイオスの林明男社長も、「企業が役割を分担することで、研究のスピード感が増す」と話しています。

 一方、ラットとマウスを使った異種間の研究で腎臓再生に「成功」したとはいえ、人への応用には「一足飛びだ」との専門家の指摘もあリます。ブタから人への移植だけに、動物由来の感染症対策など安全性をどう確保するかが課題になリます。

 人の臓器の再生に動物を利用することへの抵抗感も根強く、日本再生医療学会の八代嘉美幹事は「研究内容を公開し、国民との対話を深める必要がある」と指摘しています。

 2018年1月6日(土)

 

■インフルエンザ、西日本を中心に流行広がる 今季初の注意報レベルに

 インフルエンザの流行が、西日本を中心に広がっています。国立感染症研究所が5日発表した調査によると、昨年12月18~24日の1週間で、全国約5000カ所の定点医療機関から報告された患者数は1カ所当たり12・87 人に上り、自治体が注意報を発令する目安の10人を今シーズン初めて超えました。昨シーズンに比べて、2週間ほど早まりました。

 国立感染症研究所によると、患者数は10週連続で増加。全国の医療機関を受診した患者は約66万人と推計され、前週の約35万人から2倍近く増えました。全都道府県で前週を上回り、28都道県で注意報レベルを超えました。

 都道府県別では、1医療機関の患者数は宮崎県が最も多い26・03人で、長崎県が25・57人、岡山県が25・19人、山口県が22・22人、大分県が20・95人、広島県が20・60人、福岡県が20・42人、長野県が20・08人、愛媛県が20・08人、埼玉県が19・57人、沖縄県が18・43人、熊本県が17・28人で続きました。中国や九州地方で特に多く、東京都は13・93人、愛知県は10・93人、大阪府は9・55人でした。

 年齢別では、5~9歳が約17万人、10~14歳が約11万人、0~4歳、40歳代が約7万人、30歳代が約6万人、15~19歳、20歳代、50歳代がそれぞれ約4万人、60歳代、70歳以上が約3万人の順となっています。

 直近の5週間に検出されたインフルエンザウイルスは、2009年に新型として流行したAH1pdm09が最も多く、次いでB型、AH3型の順でした。

 冬休みが終わり学校が再開されることから、厚生労働省の担当者は「例年、年末年始は学校や職場、医療機関が休みとなり少し減るが、患者数は今後さらに増える恐れがある」とし、手洗いの徹底やマスクの着用を呼び掛けています。

 2018年1月6日(土)

 

■2017年の梅毒患者、5000人を突破 1999年以降で初めて

 性行為などで感染する梅毒が若い女性らに広がり、国立感染症研究所の集計によると2017年の全国の患者数は、現行の集計方式となった1999年以降で初めて5000人を超えたことが明らかになりました。

 うち3割を占め、患者数が最多の東京都は、感染拡大に歯止めをかけるため、2018年度から検査態勢拡充などの対策に本腰を入れる方針です。

 国立感染症研究所によると、昨年12月17日までに報告された患者数は5534人。都道府県別でみると、東京都が1705人と最多で、大阪府が788人、愛知県が325人、神奈川県が312人など都市部で目立っています。

 2020年東京オリンピック・パラリンピックを控え、東京都は感染拡大を懸念し、2018年度予算案の各局要求に対策費用を盛り込みました。現在、東京都の南新宿検査・相談室(渋谷区)で週3回行っている無料、匿名の梅毒検査は、2018年度から日数を増やします。多摩地域検査・相談室(立川市)では、梅毒の検査もできるように検討します。

 梅毒は、梅毒トレポネーマという細菌が原因で起きる感染症。抗菌薬で早期に治療をすれば完治するものの、放置して進行すると脳や心臓に合併症を引き起こす恐れもあります。予防には、コンドームの適切な使用が有効です。

 梅毒は近年、特に20歳代の女性に多く、男性は20~40歳代に多くなっており、性産業に従事する若い女性やその客となる男性の間で感染が広がっている可能性が指摘されています。

 梅毒に感染すると、3週間ほど後に陰部などに潰瘍(かいよう)ができ、1、2カ月後に全身に発疹の症状が現れ、放置すると失明したり、血管が破裂する原因になります。妊婦が感染すると、流産や死産になったり、生まれた子供の目や耳などに重い障害が出たりします。

 2018年1月6日(土)

 

■重症のC型肝硬変の治療薬、5年以内の実用化を目指す 駒込病院が今春から治験

 東京都立駒込病院などは今春、肝臓移植しか治療法がない重症の肝硬変患者らを対象に、治療薬の医師主導治験を始めます。肝臓に蓄積し、再生能力を妨げる硬い組織(線維)を溶かす効果があり、肝機能の回復が期待できるといい、5年以内の実用化を目指します。

 主な対象は、C型肝炎ウイルスの感染に起因する慢性肝炎が進展して肝細胞が壊れ、透き間にコラーゲンなどでできた線維が入り込んで肝臓が硬くなったC型肝硬変のうち、腹水がたまったり、意識障害が出たりする「非代償性肝硬変」と呼ばれる重症患者。初期の状態ならばウイルスを攻撃して進行を抑える薬がありますが、肝臓の大半が線維に置き換わって重症化すると有効な薬は存在しません。

 駒込病院肝臓内科の木村公則部長らは、国内のベンチャー企業ががんの治療を目指して開発した物質に、肝臓の線維を溶かす効果があることに着目。

 2014〜2016年に、56〜74歳の重症の患者7人らにこの物質を点滴で投与したところ、安全性がほぼ確認でき、4人の肝機能も初期の状態まで改善しました。免疫細胞が活性化して肝細胞の周りの線維を溶かし、血流が戻って細胞の再生能力や機能が改善した可能性があるといいます。

 今春から実施する治験では、重症の患者を中心に約30人に投与して、詳細に効果を確かめます。木村部長は、「これまでに重症の肝硬変が初期の状態に戻る常識外れの効果がみられている。いずれは最重症の患者や非アルコール性の肝硬変にも使えるようにしたい」と話しています。

 稲垣豊・東海大教授(臓器線維症)は、「進行した肝硬変を治せる画期的な治療法で、難治性の患者にとって大きな福音だ。ただ、コラーゲンは皮膚や骨にとっても大事な成分なので、それらへの影響の有無をしっかり調べる必要がある」と解説しています。

 2018年1月5日(金)

 

■環境省、石綿患者1000人の実態調査 救済制度見直しに向けて

 環境省は、石綿健康被害救済法で認定した患者の療養生活などを把握するために、初めての大規模調査を始めました。

 中皮腫や肺がんなど石綿(アスベスト)関連病は潜伏期間の長さや、急激な進行から介護や医療ケアの難しさが指摘され、療養中の認定患者約1000人の体調や通院、介護の状況などを調べます。労災が適用されない環境暴露などの被害者を対象にした救済法施行から10年余り経ち、将来の制度見直しの参考材料とします。

 調査は、環境省が救済制度の窓口である独立行政法人・環境再生保全機構に委託し、昨年7月に現在の認定患者と一部の遺族約100人の計約1100人にアンケートを送付。これまでの治療、通院頻度や交通費、息切れの程度、食事や入浴・階段の昇降・会話の達成度など日常生活について聞き、介護保険サービス利用の状況なども尋ねます。

 救済制度では、2016年度までに延べ1万1935件(労災と重複して認定された患者を含む)を認定。対象疾病は、中皮腫と肺がんのほか、びまん性胸膜肥厚と石綿肺の重篤なケース。労災認定の患者と異なり、石綿を吸引した場所や時期がわからない患者も少なくありません。

 2018年1月4日(木)

 

■ネットゲーム依存症、国際疾病分類に指定へ WHOが6月の改訂版から

 インターネットゲームなどのやりすぎで日常生活に支障を来す症状について、世界保健機関(WHO)が2018年に、病気とけがの世界的な統一基準である国際疾病分類(ICD)に初めて盛り込む方針であることが明らかになりました。

 国際サッカー連盟(FIFA)主催の世界大会が開かれたり、オリンピックへの採用が検討されたりするなどインターネットゲームが広く普及する中、負の側面であるネット依存の実態把握や対策に役立てられそうです。

 WHO関係者によると、2018年5月の総会を経て、6月に公表を予定する最新版のICD―11で、「Gaming disorder」(ゲーム症・障害)を新たに盛り込みます。2017年末にトルコで開かれた依存症に関する会議で、最終草案を確認しました。

 最終草案では、ゲーム症・障害を「持続または反復するゲーム行動」と説明。ゲームをする衝動が止められない▽ゲームを最優先する▽問題が起きてもゲームを続ける▽個人や家族、社会、学習、仕事などに重大な問題が生じる、を具体的な症状としています。診断に必要な症状の継続期間は「最低12カ月」としていますが、特に幼少期は進行が早いとして、すべての症状に当てはまり、重症であれば、より短い期間でもゲーム症・障害と見なす方針。

 ゲームを含むネット依存はこれまで統一した定義がなく、国際的な統計もありませんでした。新しい定義は、各国での診断や統計調査に役立てられます。厚生労働省の国際分類情報管理室は、「公表から数年後にICD―11を統計調査に使う」としています。

 依存症の専門家によると、ネット依存の人は酒や薬物の依存者のように脳の働きが大きく低下し、感情をうまくコントロールできなくなるとの研究論文が近年、国際的な医学誌に多数報告されています。

 このためWHOは、ネット依存をギャンブルのように熱中しすぎるとやめられなくなる「嗜癖(しへき)行動」と捉えることにしました。そのうち研究結果の多い「ゲーム症・障害」を疾病として分類します。また、LINEやツイッターなどのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)によるネット依存については、「その他の嗜癖行動による障害」と捉えます。

 これまでは、いずれも「その他の習慣および衝動の障害」とされていました。

 ゲームを含むネット依存について、香港大学の研究者は2014年、世界の人口の6%(約4億2000万人)以上と推計。日本でも厚労省発表で、成人の約421万人(2014年)、中高生の52万人(2013年)にネット依存の疑いがあるとされます。

 ネット依存外来を開く国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)の樋口進院長は、「これまでは病名や定義がなく、治療や研究、実態解明も進まなかった。WHOが新たに定義すれば、対策の面で飛躍的な前進が期待できる」と話しています。

 2018年1月5日(金)

 

■介護実習生の在留資格見直しへ 無期限で日本で勤務可能に

 厚生労働省と法務省は介護現場で受け入れが始まる外国人技能実習生について、介護福祉士の国家試験に合格すれば日本で働き続けることができるように制度を見直します。2025年度に37万人超の人材が不足するとされる介護現場では、貴重な担い手となります。発展途上国への技能の移転を目的とした技能実習制度の本来の趣旨とどう整合性を図るかが、今後の課題となります。

 技能実習は発展途上国との技術協力や国際貢献を目的に、労働現場で外国人を実習生として受け入れる制度。建設業や農業などに加え、2017年11月から介護が新たな受け入れ先となりました。技能実習制度では初めての対人サービスとなり、2018年中に実習生の第1陣が来日します。

 現行制度でも、一定の実務経験などの条件を満たした上で国家試験に合格すれば、介護福祉士の資格を得られます。ただし、日本に残って働き続けることは認めていません。介護現場で外国人を受け入れる枠組みには経済連携協定(EPA)もありますが、対象国はインドネシア、フィリピン、ベトナムの3カ国に限られています。

 新しい仕組みを導入すれば、受け入れ国を限定せずに、介護職員として日本で3年以上働き、介護福祉士の資格を取得した人が就労ビザを得て日本で無期限に働けるようになります。厚労省と法務省は、必要となる省令を改正した上で、早ければ2018年度中にも始めます。

 介護業界は、慢性的な人手不足とそれによる人件費の上昇に悩んでいます。団塊の世代が75歳以上になる2025年度には37・7万人の介護人材が不足するという推計もあり、人手の確保が急務になっています。

 技能実習制度は本来、日本で先進的な技能を身に着けた上で、母国に帰って技術を生かしてもらうことが目的。在留資格を得て日本で働き続けることになれば、技能実習の本来の理念とは離れかねません。

 そのため厚労省と法務省は最大5年の実習期間が終わった段階で、実習生に一度母国に帰国してもらうことも視野に入れています。その場合は、介護の在留資格で再入国して働き続けてもらうことになります。一方で、専門知識を身に着けた人材には日本国内で活躍の場を与えるべきだとの声もあり、一度帰国してもらうかどうかは慎重に検討します。

 介護福祉士の試験は、日本語で専門用語も多く、外国人には難関。EPAの枠組みでは、2016年10月までに約2800人を介護福祉士候補として受け入れましたが、資格を取得できたのは累計で2割に達していません。外国人も含めた介護人材の確保には、現場の実態に即した試験の在り方も課題になります。

 2018年1月3日(水)

 

■抗がん剤、年間560億円節減可能 慶応大が738億円の廃棄分活用を提言

 使い切れずに廃棄された抗がん剤は、2016年7月から2017年6月の1年間で738億円に相当するとの推計を、慶応大学の岩本隆特任教授(経営学)らがまとめました。社会保障費の抑制が課題となる中、医療費削減のため残薬の活用が急がれます。

 慶応大は国立がん研究センター中央病院と共同で、同病院の瓶から注射器で取り出すタイプの約100種類の抗がん剤の平均投与量を基に、抗がん剤ごとの廃棄率を算出しました。さらに、抗がん剤ごとの市場規模のデータから廃棄額を計算すると、抗がん剤の廃棄額は合計738億円に上ると推計されました。廃棄額が大きかったのは、アバスチン(99・3億円)、オプジーボ(90・7億円)など。

 20ミリグラム、100ミリグラムなどさまざまな大きさがある瓶入りの液体の抗がん剤は、患者の体格によって投与量が異なり、1瓶を使い切れない場合もあります。しかし、1回開封した瓶は、細菌が混入する可能性があるとして、薬が残っていても廃棄するのが一般的です。高齢者で平均的な体格の体重63キロの肺がん患者にオプジーボを使用した場合、廃棄額は1回約4万円になります。

 一方、瓶の残薬を別の患者に活用した場合、細菌の混入を防ぐ閉鎖式接続器具のコストなどを考慮しても、560億円の薬剤費を減らせると試算しました。廃棄額が年間10億円を超える16薬剤に限定し、規模の大きい病院のみで実施しても528億円の削減効果があると試算しています。

 抗がん剤の市場規模は5年前に比べて、1・5倍に拡大しています。岩本特任教授は、「薬の安全性と有効性をどう確保するかなど課題も大きいが、薬剤が高額化する中で、無駄を削減する努力が必要だ」と話しています。

 厚生労働省は、注射用抗がん剤などの残薬を活用するための安全対策や手順を定める指針を今年度中に作成する方針。

 2018年1月2日(火)

 

■子供の難病助成、筋ジストロフィーなど34疾病を追加 厚労省

 厚生労働省の子供の難病に関する専門委員会は12月27日、医療費助成の対象となる「小児慢性特定疾病」として、これまで指定されていなかったタイプの筋ジストロフィーなど34疾病を新たに追加することで合意しました。今年4月から助成を始める予定。

 小児慢性特定疾病は、生命にかかわる慢性の病気で、長期間高額な医療費がかかることなどが指定の要件。現在はダウン症や先天性風疹症候群など722疾病、約11万人が助成対象になっています。

 今回、日本小児科学会などの意見を基に検討を進めました。新たに2万人弱が助成対象に含まれる見込みで、追加後の対象疾病数は756、対象患者は推計約12万7000人になります。

 小児慢性特定疾病に追加される34疾病は次の通り。

 フィブロネクチン腎症▽リポたんぱく糸球体症▽乳児特発性僧帽弁腱(けん)索断裂▽ATR-X症候群▽けいれん重積型(二相性)急性脳症▽自己免疫介在性脳炎・脳症▽スタージ・ウェーバー症候群▽脆弱(ぜいじゃく)X症候群▽先天性グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)欠損症▽その他筋ジストロフィー▽脳クレアチン欠乏症候群▽カウデン症候群▽自己免疫性膵(すい)炎▽若年性ポリポーシス▽ポイツ・ジェガース症候群▽VATER症候群▽アントレー・ビクスラー症候群▽コフィン・シリス症候群▽シンプソン・ゴラビ・ベーメル症候群▽スミス・レムリ・オピッツ症候群▽ファイファー症候群▽メビウス症候群▽モワット・ウィルソン症候群▽ヤング・シンプソン症候群▽肥厚性皮膚骨膜症▽無汗性外胚葉形成不全▽胸郭不全症候群▽骨硬化性疾患▽進行性骨化性線維異形成症▽青色ゴムまり様母斑症候群▽巨大静脈奇形▽巨大動静脈奇形▽クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群▽原発性リンパ浮腫

 2018年1月1日(月)

 

2018年1月〜 2017年7月〜12月 1月〜6月2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

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