自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾/自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾

健康ダイジェスト

2019年1月〜 20187月〜12月 1月〜6月 2017年7月〜12月 1月〜6月 2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

 

■がんや脳卒中の死亡リスク、週1回のウオーキングでも減少 中国で研究

 心臓発作、脳卒中、がんの死亡リスクを減らすには1週間に1、2回の軽いウオーキングで十分と唱える論文が19日、イギリスのスポーツ医学誌「ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・スポーツ・メディシン」に掲載されました。

 中国・山東大学のボ・シ教授率いる研究チームは1997年から2008年にかけ、アメリカで8万8140人のデータを毎年収集して精査。さらに、2011年までに死亡した人の数も調査しました。

 調査結果によると、週に10分から1時間程度ウオーキングや庭いじりをする人は、全く運動しない人と比べて病気などによる死亡リスクが18%低くなりました。

 また、週に2時間半から5時間の「適度な身体活動」によって死亡リスクは31%減少し、1週間の運動時間が25時間以上の人では死亡リスクはほぼ半減したといいます。

 だが、誰もが余暇に運動できる時間が多くあるわけではありません。

 研究チームによると、サイクリングやランニングなどによって心臓や脈の動きを促すことは「中強度の運動よりも時間効率がよい」といいます。さらに、心血管疾患だけでみると、運動時間が5時間から25時間に増えても得られるメリットはなかったといいます。

 ただ、調査結果は観察に基づいて得られたもので、因果関係については確かな結論を導き出すことはできないといいます。

 2019年3月19日(火)

 

■すかいらーく、全3200店で全面禁煙化へ 外食業界で禁煙化の動きが加速

 ファミリーレストラン最大手の「すかいらーくホールディングス」は、グループの店舗すべてを全面的に禁煙化する方針を固めました。社員にも禁煙を促すため、管理職の人事評価制度を見直すなど、会社を挙げた取り組みを進めることにしています。

 関係者によりますと、「すかいらーくホールディングス」は「ガスト」や「ジョナサン」など、全国に展開している約3200店舗すべてを、今年9月以降、全面的に禁煙とする方針を固めました。

 たばこを吸える「喫煙室」などは一切設けず、現在、喫煙場所のある店は4月から順次改装工事に入り、乳児のおむつ替えスペースや幼児向け遊具を設置するなどして多目的スペースを作ることにしています。

 さらに、社内でも社員の禁煙を促そうと人事制度を改める方針で、各職場でたばこを吸わない社員の割合を目標まで高めた管理職は、ボーナスの査定でプラス評価にするとしています。

 また、たばこを吸う社員向けには、社長がビデオメッセージで禁煙を促すほか、スマートフォンを通じて気軽に禁煙のアドバイスを受けられるサービスも導入するとしています。

 来年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、法律や条例により、飲食店で受動喫煙対策の強化が求められる中、ファミリーレストラン最大手が完全禁煙に踏み切ったことで、外食業界で禁煙化の動きが一段と加速しそうです。

 規制強化を受けて、外食各社は対策を急いでおり、ファストフードでは日本マクドナルドや日本ケンタッキー・フライド・チキンがすべての店舗を禁煙にしたほか、モスバーガーも来年3月末までに、すべての店を禁煙化する計画です。

 また、ファミリーレストランでは、サイゼリヤが今年9月から、ココスも今年9月末までに禁煙化しますが、一部の店には喫煙室を設けるということです。

 このほか、たばこを吸う人の利用も多い居酒屋チェーンでも「串カツ田中」が昨年6月に、ほとんどの店で禁煙化に踏み切りました。

 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、来年4月1日から「改正健康増進法」が施行され、飲食店では受動喫煙対策の強化が求められます。この法律によって、客席の広さが100平方メートル以上など、規模の大きな飲食店や新たに営業を始める店は、原則として禁煙となります。

 店内でたばこが吸えるのは、外に煙が漏れないよう対策を取った「喫煙専用室」のみとなります。未成年者の受動喫煙を防ぐため、20歳未満の人は従業員であっても入れません。また、違反した場合の罰則も設けられ、灰皿を撤去しないなど対策を怠った管理者には50万円以下の過料が科せられます。

 また、東京都では店の規模にかかわらず、従業員を雇っている飲食店は屋内を原則禁煙にするなど、自治体によっては国の法律より規制が厳しい条例を制定する動きも広がってます。

 2019年3月19日(火)

  

■ヤマザキビスケット、約15万袋を自主回収へ 菓子に金属片混入の恐れ

 化学メーカーの「宇部興産」が、焼き菓子の膨張剤などに使われる原料に金属片が混入している恐れがあると発表したことを受けて、宇部興産から原料を仕入れていた菓子メーカーの「ヤマザキビスケット」は19日、商品の一部に金属片が混入している恐れがあるとして、約15万袋を自主回収することになりました。

 ヤマザキビスケットが自主回収するのは、「ノアール」と「ルヴァンプライム ミニサンドチェダーチーズ味」、「ルヴァンプライム 薄焼きサンドホワイトチェダーチーズクリーム」の3つの商品の一部で、合わせて14万8380袋に上るということです。

 これらは茨城県の工場で3月5日から12日にかけて製造されたもので、賞味期限は、いずれも2020年1月となっています。

 「ノアール(18枚入り)」は製造番号が「C05A107~414」「C06A107~413」「C11A107~415」のもの。「ルヴァンプライム ミニサンドチェダーチーズ味(50グラム)」は「C05A107~715」。「ルヴァンプライム 薄焼きサンドホワイトチェダーチーズクリーム(18枚入り)」は「C11A07~14」が対象。

 菓子を作る際に使う膨張剤が宇部興産の工場でつくられたもので、仕入れた原料から金属片が見付かったことから、自主回収を決めたということです。

 これまでに購入客から金属片が入っていたという連絡や、健康被害の報告はないということです。

 商品は茨城県にある工場に送れば代金を返却することにしており、問い合わせの電話番号はフリーダイヤル0120・945・522で、午前9時から午後5時まで。今月中は土日祝日も受け付けます。

 2019年3月19日(火)

 

■宇部興産、菓子などの原料に金属片 出荷先に使用停止を求め、回収急ぐ

 化学メーカーの「宇部興産」は、焼き菓子の膨張剤などに使われる原料に金属片が混入している恐れがあると発表しました。出荷先は食品メーカーなど約50社に及び、会社は使用停止を求め、回収を進めています。

 宇部興産が回収しているのは、焼き菓子の膨張剤や電子部品の原料として使われる「重炭酸アンモニウム」で、山口県宇部市の工場で今年1月30日から2月20日までに生産、出荷された製品合わせて200トンです。

 これらは「ヤマザキビスケット」など複数の食品メーカーや、化学メーカーなど合わせて約50社に出荷されており、取引先に通知して製品の回収を進めています。

 会社によりますと、2月21日に行った社内の定期検査で、製造した重炭酸アンモニウムの中に1~2ミリ程度の金属片が混入しているのが見付かりました。

 重炭酸アンモニウムは、反応槽と呼ぶ容器の中でアンモニア水と炭酸ガスを混ぜ合わせることで作ります。詳しく槽内を調べたところ、原料の混合に使う撹拌(かくはん)翼と呼ぶステンレス製の部品が破損していました。反応槽は1987年製で、撹拌翼を含む装置全体を毎年1回点検しているといいます。2018年5月の点検では問題はありませんでした。

 これまでに複数の取引先から製品に金属片が混入していたと連絡がありましたが、健康上の被害などは報告されていないということです。

 宇部興産は、「お客様に多大なご心配とご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます。今後は設備および品質の管理をより一層徹底し、再発防止に努めます」としています。

 2019年3月19日(火)

 

■死亡事故の75歳以上運転者、半数が認知機能低下の恐れ 警察庁まとめ

 昨2018年に、交通死亡事故を起こした75歳以上の運転者の49・3%が、事故の前の認知機能検査で認知症や認知機能低下の恐れがあると判定されていました。昨年に検査を受けた75歳以上全体でみると、この割合は27・1%で、死亡事故を起こした人のほうがかなり高くなっています。

 警察庁が18日発表しました。2017年とほぼ同じ結果で、警察庁は「認知機能の低下が死亡事故発生に何らかの形で影響している」としています。

 75歳以上の運転者は運転免許更新時に加え、逆走など特定の違反をした時に認知機能検査が義務付けられています。「認知症の恐れがある」第1分類、「認知機能低下の恐れがある」第2分類、「認知機能低下の恐れがない」第3分類のいずれかに判定され、第1分類は医師の診断が必要です。

 昨年に死亡事故を起こした75歳以上の460人のうち、更新時74歳以下だったなどで検査を受けていなかった人を除いた414人の結果は、第1分類が20人(4・8%)、第2分類が184人(44・4%)、第3分類が210人(50・7%)でした。第1分類20人のうち3人は、検査後に免許を自主返納したり失効させたりしたにもかかわらず運転していたといいます。

 これに対し、昨年検査を受けた75歳以上は全体で約216万5000人で、このうち第1分類は2・5%、第2分類は24・5%、第3分類が73・0%でした。

 交通死亡事故を起こした75歳以上は年間400人台で推移。2017年は減ったものの、昨年は42人増えました。

 警察庁は、認知機能だけでなく、身体機能の低下も事故に結び付く可能性があるとして、免許更新時に車を実際に運転する試験の導入の可否など、対策の在り方を検討しています。

 2019年3月19日(火)

 

■医師国家試験の合格者、2年連続で9000人超 厚労省発表

 厚生労働省は18日、第113回医師国家試験と第112回歯科医師国家試験の合格発表を行いました。合格率は、医師が89・0%、歯科医師が63・7%。

 医師国家試験は、2019年2月9日と10日に施行されました。出願者数1万474人、受験者数1万146人、合格者数は9029人で、2年続けて9000人を上回りました。合格率は89・0%で、前年(2018年)の90・1%と比べ1・1ポイント減少。

 このうち、男性の合格者数は6029人、合格率は88・1%で、女性の合格者数は3000人、合格率は90・8%でした。新卒者の合格者数は8478人、合格率は92・4%で、前年の93・3%と比べ0・9ポイント減少しました。

 平均合格率は、国立が90・2%、公立が92・1%、私立が88・9%、認定および予備試験は45・2%でした。

 学校別合格者状況によると、合格率が最も高いのは「自治医科大学」99・2%、次いで「順天堂大学医学部」98・4%、「横浜市立大学医学部」97・7%が続きました。

 新卒者の合格率が100・0%だったのは、「自治医科大学」。また、横浜市立大学医学部と兵庫医科大学は既卒者の合格率が100・0%でした。

 歯科医師国家試験は、2019年2月2日と3日に施行されました。出願者数3723人、受験者数3232人、合格者数2059人、合格率は63・7%で、前年(2018年)の64・5%と比べ0・8ポイント減少。このうち、新卒者の合格者数は1587人、合格率は79・4%で、前年の77・9%と比べ1・5ポイント増加しました。

 平均合格率は、国立が79・9%、公立が75・4%、私立が59・0%、認定および予備試験は16・7%でした。

 学校別合格者状況によると、合格率が最も高いのは「東京歯科大学」96・3%、次いで「東北大学歯学部」89・5%、「北海道大学歯学部」87・9%。

 新卒者の合格率が95・0%を超えたのは、「東北大学歯学部」97・6%と「東京歯科大学」96・1%、「新潟大学歯学部」95・0%。また、東京歯科大学の既卒者の合格率は100%でした。

 2019年3月19日(火)

 

堀ちえみさん公表の舌がん、増加傾向 歯科開業医からの相談も急増

 タレントの堀ちえみさん(52歳)が舌がんを公表してから間もなく1カ月。舌がんに対する関心の高まりで、東京都内の大学が開設したネットの相談窓口には、歯科開業医から患者の口の中の異常について相談が急増しています。舌がんは一般的な口内炎と間違えられ、診断が遅れる恐れがあり、患者の遺族からも「この機会に舌がんのことを知って」との声が上がっています。

 堀さんは2月19日、自身のブログで、進行した舌がんが見付かったことを明らかにしました。当初数カ月は舌がんとの診断がつかず、口内炎として治療を受けていたといいます。2月22日に大学病院で、耳鼻咽喉科・口腔(こうくう)外科・形成外科が連携しての11時間に渡る手術を受けました。頸部(けいぶ)リンパ節を取り、舌の6割を切除。太ももの組織を使い、舌の再建手術を行ったといいます。

 3月17日のブログでは、医師の許可を得て一時自宅に戻った様子を報告しました。「退院まで後少し」などと近況をつづっています。

 「堀さんの公表を切っ掛けに、多くの人に関心を持ってほしい」と呼び掛けるのは、千葉県船橋市の男性(55歳)。2017年6月、父親(当時83歳)を舌がんで亡くしました。

 前年5月、父親は口内炎がなかなか治らず、近くの歯科医院から紹介された病院の口腔外科を受診。入れ歯が合っていないためといわれ、数カ月通院しました。症状は治まらず、別の病院を受診したところ、11月末になって進行した舌がんとわかりました。男性は父親の死後、最初の病院を提訴しました。

 男性は、「『治らない口内炎』とネット検索すればよかったと悔やんでいます。他の人には父のような思いをしてほしくない」と語っています。

 舌がんは、初期症状の口内炎が見分けられずに放置され、診断がつくまでに進行してしまうことが、以前から問題とされてきました。

 診療には耳鼻咽喉科・頭頸部外科のほか、口腔外科など複数の診療科がかかわります。早期発見を目指し、日ごろ患者の口の中を診ている歯科開業医と大学病院などの専門医が連携する取り組みも広がりつつあります。

 東京歯科大口腔外科などは、歯科開業医が口内の異常を見付けた場合、ネットを通じて画像を共有し、助言する仕組み「オーラルナビシステム」を2012年から始めました。今では全国1386の歯科診療所が参加しています。堀さんの病気公表後、1週間に4、5件だった相談は1日10~20件に急増しました。

 柴原孝彦・東京歯科大主任教授は、「口内炎のような症状が2週間以上続いたら要注意だ。早期発見には部分的に白いとか赤いとか色調の変化がないかを見る習慣も大切」と話しています。

 舌がんは、年間約2万人が診断される「口腔・咽頭がん」のうち、口内にできる「口腔がん」の一種。口腔がんでは最も患者が多く、5~6割を占めるとされます。ほかのがんと同様に高齢化で増加傾向にあり、喫煙や飲酒などが原因に挙げられ、男性に多く発症します。舌がんの5年生存率は、ステージ1、2で80~90%、ステージ3で60~80%、ステージ4で30~40%とされます。早期の発見が肝心です。

 2019年3月18日(月)

 

■ゲノム編集食品、夏にも流通が可能に 「届け出」で懸念払拭

 「ゲノム編集」と呼ばれる最新の遺伝子操作技術を使った食品について、厚生労働省の専門家会議は流通させる際のルールの最終報告書をまとめました。この技術で開発が進められているほとんどの農水産物は、早ければ夏にも国への届け出だけで販売できるようになる見通しです。

 ゲノム編集は遺伝子を操作する最新の技術で、収穫量が多いイネや体の大きなタイなど、農林水産業の分野で新しい品種を作り出す研究開発が盛んに行われています。

 18日、厚労省の専門家会議が開かれ、ゲノム編集食品を流通させるためのルールについて議論が行われました。

 この中で、今、開発が進むほとんどの農水産物で行われている、新たな遺伝子は組み込まずに遺伝子の変異を起こさせる方法を使った食品は、毒性や発がん性などを調べる安全性の審査は必要なく、事前に届け出を求めて公表する、とした最終の報告書をまとめました。

 一方、新たに組み込んだ遺伝子が残っている場合には安全性の審査をするとしています。

 今後は消費者庁で食品の表示について検討が始まることになりますが、厚労省は早ければ夏にもこのルールの運用を始め、ゲノム編集食品の販売ができるようになる見通しです。

 専門家会議の部会長で新潟大学の曽根博仁教授は、「ゲノム編集食品の安全性は、方法によってはこれまでの品種改良の技術で作られたものと変わらないと考えられる。食べ物について消費者が心配するのは当然で、国や研究者は引き続き丁寧な説明が必要だ」と話しています。

 国は法律によって、従来の「遺伝子組み換え技術」が使われた食品については、安全性の審査を行ってきました。

 そのため、遺伝子組み換えトウモロコシや遺伝子組み換えダイズなどを食品にする際には、事業者は組み込まれる遺伝子によって、毒性や発がん性、それにアレルギーを起こす危険性が高まっていないかデータを取り、国が審査して安全だと判断された場合に販売できるようになっています。

 一方、ゲノム編集食品について国の専門家会議は、新たな遺伝子を組み込んだものは遺伝子組み換えと同じように安全性の審査を行う必要があるとし、新たな遺伝子は入っておらず遺伝子の変異を起こさせる方法を使ったものについては、安全性の審査は必要とせず事前に届け出を求めて公表する仕組みを作ることが妥当であるとしています。

 届け出では国は開発者などに対して、どのようなゲノム編集をしたのかや、毒性が強まっていないか確認した内容などを求め、概要を公表するとしています。

 現在、開発が進むほとんどの農水産物は遺伝子の変異を起こさせる方法で行われているので、こうしたものは届け出だけで販売できるようになる見通しです。

 安全性の審査を必要としない理由として、遺伝子の変異は自然界でも起きていて、従来の品種改良の技術で作られたものと技術的に区別することができないことなどが挙げられています。

 海外ではアメリカ政府が原則として特別な規制をしない方針を示し、EUでは司法裁判所が遺伝子組み換え技術と同じ規制を適用すべきとしていて、具体的な制度が検討されています。

 専門家会議の中では、届け出の義務化が必要だといった意見や、罰則を設けるべきだなどの意見も出て、厚労省は今後、具体的な方策を検討することにしています。

 また、消費者団体の中にはすべてのゲノム編集食品について安全性の審査を行うべきだという意見もあります。ゲノム編集では、思いもしない遺伝子の変異が起きる可能性があり、毒性が強まったり発がん物質ができたりしている可能性が完全に否定できないと批判しています。

 ゲノム編集という最新の遺伝子操作技術の普及とともに、ゲノム編集食品を作る研究開発は世界各国で行われています。

 ゲノム編集食品は国内では、収穫量が多いイネや、特定の成分が多く含まれるトマト、体が大きいタイ、食中毒を起こさないジャガイモなどがあるほか、アメリカでは健康にいいとされる成分を多く含むダイズを作り、食用油として販売する計画も進んでいるとされています。日本ではいずれも一般には流通していないとされています。

 全国消費者団体連絡会の浦郷由季事務局長は、「ゲノム編集は新しい技術が次々と開発されていて、アレルギーの原因物質ができてしまうなど、わかっていないリスクがでてくる恐れがある。消費者が知らないうちにゲノム編集食品を食べてしまう事態を防ぐため、企業などの良心に任せる届け出では不十分で、確実にゲノム編集食品を把握するために義務化を進めるべきだ」と話しています。

 2019年3月18日(月)

 

■製薬大手のノバルティス、抗体医薬を国内販売へ 早ければ2019年秋にも

 今年もピークを迎えつつある花粉症の治療に、がん治療などで使われる先端技術を応用する動きが広がってきました。中堅製薬の鳥居薬品が免疫療法薬を2018年に投入したのに続き、スイス製薬大手のノバルティスは抗体医薬技術を応用した世界初の治療薬を2019年秋にも日本国内で販売します。気候変動の影響で欧米では患者数がさらに拡大するとみられ、新たな成長市場となっています。

 花粉症はスギやヒノキ、ブタクサなど植物の花粉が原因となって起きるアレルギー症状で、国内の患者数は全国で2000万人程度とされます。アレルギー症状を引き起こす体内物質「ヒスタミン」を抑える薬で症状を緩和する方法が一般的ですが、効果には限度がありくしゃみや鼻水で苦しむ人が多くいます。

 しかし、医療技術の進化で発症自体を抑えられる可能性が出てきました。ノバルティスは、難治疾患に使われる抗体医薬の技術を世界で初めて花粉症治療に応用。がん免疫薬「オプジーボ」に代表されるように、主にがん治療や関節リウマチのような難治性の免疫疾患に使われる技術を応用し、アレルギー症状を引き起こす免疫反応を阻害する仕組みです。

 国内での臨床試験(治験)では、抗ヒスタミン薬などの従来薬に追加することで、鼻や目の症状を大幅に改善する効果を確認。花粉症向けでは世界初となる抗体医薬の承認申請を厚生労働省に提出しました。早ければ2019年秋にも重症患者向け治療薬として使えるようになります。

 鳥居薬品は、花粉症の成分に体を慣れさせて免疫の暴走を抑える薬を開発。2018年6月に錠剤で子供も使用できる新薬「シダキュア」の販売を始めました。3~5年程度服用し続ければ、服用をやめても症状が長期間出なくなるとされます。シダキュアは半年で4億円以上を売り上げ、2019年12月期は前期比6・8倍の27億円を見込みます。

 世界的に花粉症の患者数は増えています。日本では、1996年から2014年までに病院を訪れた患者数が5割増えました。欧州でも1986年以降、ブタクサの花粉の飛散が大幅に拡大しています。花粉症向けの日本国内の医薬品市場は2000億円以上とされます。インドの調査会社マーケット・リサーチ・フューチャーは、花粉症などのアレルギー性鼻炎の世界市場は150億ドル(約1兆6600億円)以上で、患者数の増加に伴い一段と拡大すると予想しています。

 研究開発が特に活発なのが、現在300近くの治験が進んでいるアメリカ。ワシントン大学などが科学誌に発表した論文では、花粉症の原因となるブタクサの生育範囲が気温と降水量の変化により2050年代までにアメリカ全土で大幅に拡大すると予想しています。

 フランスの製薬大手サノフィは抗体医薬「デュピルマブ」を使って、草花粉による季節性アレルギー性鼻炎の治療に向けた治験を進めるほか、鳥居薬品のシダキュアの仕組みを進化させた「皮下注射」タイプの免疫療法を手掛けるオランダのHALアレルギーグループなどが花粉症治療薬の開発を進めています。ヨーロッパでも、ブタクサの花粉症患者が現在の3400万人から7700万人まで増加すると推計する論文もあります。

 ただアレルギー反応には未解明な部分も多く、新薬開発は一筋縄ではいきません。アステラス製薬は今年に入ってスギ花粉症治療「DNAワクチン」の開発を断念しました。各国で薬価引き下げ圧力が高まる中、製薬各社は花粉症などアレルギー分野でどれだけリスクをとるかも問われます。

 2019年3月17日(日)

 

■原子力災害時の中核被曝医療、放射線医学総合研究所に指定 原子力規制委員会

 原子力規制委員会は13日の定例会合で、原子力発電所事故で被曝(ひばく)した人の専門的な治療を担う人材を育成する中核拠点として、放射線医学総合研究所(放医研、千葉市)を指定することを決めました。

 放医研を中心に福島県立医科大などが連携し、専門機関の医師や看護師、技師といった専門家を育成。事故時に被曝医療を担う各地の「原子力災害拠点病院」を支援する体制にします。

 国は東京電力福島第1原発事故を教訓に、被曝医療の体制を刷新。放医研が属する量子科学技術研究開発機構や福島県立医科大、広島大など全国5カ所の専門機関を高度な被曝医療を担う「高度被ばく医療支援センター」に指定しました。

 今回、原子力災害が起きた際に被曝医療の中核的な役割を果たす「基幹高度被ばく医療支援センター」に、量研機構を新たに指定し、各高度被ばく医療支援センターで働く専門家の育成や患者の内部被曝の分析などで先導的な役割を担う施設として明確に位置付けます。指定は4月1日付で、放医研が属する量研機構が初めてとなります。

 2019年3月17日(日)

 

歯の再生医療の安全性と効果を臨床研究へ 順天堂大の研究チーム

 濃縮した血小板を使う歯科の再生医療について、順天堂大の飛田護邦(とびた・もりくに)准教授(口腔(こうくう)外科学)の研究チームは15日、安全性を検証し、効果もみる臨床研究を厚生労働省に届け出ました。同様の再生医療は、再生医療安全性確保法に基づき全国で行われていますが、臨床研究が実施されていないケースがあり、専門家から「安全性や効果が担保されていない」などの指摘がありました。

 血液に含まれる血小板は、傷付いた体の組織を修復するタンパク質を出します。この性質を利用して濃縮した血小板が使われています。保険が適用されない自由診療のため費用が高額で、患者の経済的負担が大きくなっています。歯周病で失った骨の再生を促す場合、保険診療で1本数千円のところ、数万円以上請求されることもあります。

 臨床研究では患者2人ずつで、代表的な5つの治療を検証します。歯周病のほか、抜歯後の傷口の治癒促進、インプラント治療での骨の強化、割れた歯の修復、一度抜いた歯の再移植で、採血した血液20ミリリットルから濃縮した血小板を作り、ゼリー状にして患部に移植します。1カ月安全性を重点に確認し、来年度にも効果を確かめる別の臨床研究も始める予定。

 厚労省によると、血小板など患者自身の体細胞を加工して移植し、再生を促す医療は、再生医療安全性確保法が施行された2014年11月以降、全国で2000件以上実施され、約半数が歯科関連といいます。

 飛田准教授は、「安全性と効果について議論できるだけのデータを集め、検証したい」と話しています。

 2019年3月16日(土)

 

■使い捨てプラスチック、2030年までに大幅削減 国連環境総会が宣言を採択

 ケニアの首都ナイロビで開催されていた第4回国連環境総会は15日夕(日本時間同日夜)、すべての国に対して2030年までに使い捨てプラスチックの大幅削減を求める閣僚宣言を採択し、閉幕しました。厳しい環境規制を嫌うアメリカの賛同が得られず、日本が提案した作業部会の設置も見送られるなど、6月に大阪で開催する主要20カ国・地域首脳会議を前に課題を残しました。

 国連環境総会は国連環境計画の意思決定機関で、プラスチックごみの海洋汚染対策が閣僚宣言に盛り込まれたのは初めて。宣言案ではプラスチックごみ削減の数値目標には触れず、抽象的な表現にとどめたものの、アメリカは採択直前になって「問題の重要性は認識するが、特定のプラスチック製品をターゲットとすることには反対だ」と表明しました。

 このほか、日本とノルウェー、スリランカが共同提案した「海洋プラスチックおよびマイクロプラスチックに関する決議」も採択されました。プラスチックやマイクロプラスチックの悪影響など、早急に研究データを収集するよう国連環境計画に要請した一方、プラスチックごみの削減策などを議論する作業部会を国連に設置する案は削除されました。

 アメリカは昨年の主要7カ国首脳会議で提案されたプラスチックごみ削減の数値目標「海洋プラスチック憲章」に日本とともに賛同せず、対策に消極的だと批判を浴びた経緯があります。各国は閣僚宣言やすべての決議での合意に向けてアメリカとの間で妥協点を探りましたが、またも折り合えませんでした。

 日本は主要20カ国・地域首脳会議の議長国として、先進国と途上国がともにプラスチックごみ対策に取り組むための支援の枠組み策定などを検討しています。環境省幹部はアメリカの姿勢について「国際的な合意を追求する上では残念。アメリカとの対話を深め、主要20カ国・地域首脳会議では実効性ある対策での合意を目指したい」と話しました。

 世界のプラスチックの年間生産量は3億トン以上に上り、少なくとも5兆個のプラスチック片が海洋を漂っていると推計されています。

 2019年3月16日(土)

 

人工透析せず死亡、福生病院への立ち入り調査始まる 専門医らで作る日本透析医学会

 透析の専門医らで作る日本透析医学会(理事長=中元秀友・埼玉医科大教授)の調査委員会は15日、公立福生病院を立ち入り調査しました。人工透析治療の中止の選択肢を提示され、その後死亡した女性患者(当時44歳)への担当医と病院の対応などについて病院側に確認しました。3月内にも見解をまとめる方針です。

 調査はこの日昼すぎに始まり、午後4時ごろまでに終了しました。独自に調査委員会を立ち上げた日本腎臓学会も調査委員を派遣。詰め掛けた報道陣が建物の外から遠巻きに様子をうかがいました。学会、病院とも調査内容については明らかにしませんでした。

 透析医学会が2014年にまとめた提言では、透析の中止などを検討する場合として、がんなどを併発した終末期の患者らを想定。透析を見合わせる際には、患者や家族への十分な説明や、医療チームで検討した上で決めることを求めています。

 透析医学会の調査委員会は今後、聞き取りをもとに病院を受診した腎不全患者の当時の容体が終末期に相当するのかを検討。さらに、担当医の治療の選択、患者や家族への説明がどうだったかについて調べます。提言についての担当医や病院の認識についても検討し、不適切な点がなかったか評価するとみられます。

 調査委員会は、早ければ22日の学会理事会に調査結果を報告。学会は内部の倫理委員会で検討し、3月内にも見解を示す方針です。

 腎不全患者の治療に長年携わってきた、大塚台クリニック(東京都豊島区)院長の高橋公太・新潟大名誉教授は、「速さを優先して部分的な調査にとどまるのではなく、時間をかけてもしっかりと事実を解明するべきだ」と指摘しています。

 2019年3月16日(土)

 

■1日11時間超勤務で心筋梗塞リスクが1・6倍に がん研究センターなどが調査

 国立がん研究センターや大阪大などの研究チームは15日、1日の勤務時間が11時間を超える男性は7~9時間の標準的な勤務時間の男性に比べて、急性心筋梗塞を発症するリスクが1・6倍になるとする調査結果を発表しました。

 労働時間は健康に影響を与える重要な要因の一つ。一般的に労働時間の長い人は標準的な労働時間の人に比べて健康状態が悪いとする報告はこれまでもありましたが、この調査は1993年に茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の5県に住む40〜59歳の男性約1万5000人を対象に行われたアンケート結果をもとに、労働時間と急性心筋梗塞・脳卒中発症との関連を以後約20年間追跡したもの。労働時間と発症リスクの関係をこの規模と期間で追った調査は国内初。

 今回の調査では1日の労働時間を、7時間未満、7時間以上9時間未満、9時間以上11時間未満、11時間以上の4つのグループに分類。その後の急性心筋梗塞と脳卒中の発症状況をグループ間で比較しました。

 1日の労働時間が11時間以上のグループは、7時間以上9時間未満のグループと比べて急性心筋梗塞の発症リスクが1・63倍高いことが確認され、その中でも調査開始時の年齢が50〜59歳の男性の場合はそのリスクが2・6倍になっていました。他方、今回の分析では脳卒中の発症リスクとの関連は確認されませんでした。

 この研究チームは、生活習慣病の予防や健康寿命の延伸のため、さまざまな生活習慣と、がん、脳卒中、心筋梗塞などの病気との関係を調査・研究しています。今回の分析は地方の5地域に居住する男性を対象とした限定的な調査に基づくため、都市部を含む日本全体の男性や労働者に対して一般化することには慎重であるべきとしていますが、大規模で長期間の調査結果に基づく労働時間と急性心筋梗塞の発症リスクの関連を初めて示した研究としての意義があります。

 大阪大大学院医学系研究科公衆衛生学の磯博康教授は、「長い期間、長時間労働を続けているとその時は健康でも、定年後に心筋梗塞になるリスクが上がるとみられる。労働時間を見直すなど注意する必要があるのではないか」と話しています。

 2019年3月15日(金)

 

■世界初、iPS細胞から網膜シートを自動培養 日立製作所と理化学研究所

 日立製作所と理化学研究所は14日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から網膜色素上皮細胞シートを作製する自動培養に世界で初めて成功したと発表しました。同シートは目の難病の「加齢黄斑変性」治療の臨床研究で移植手術に使われています。自動培養が実用化されれば、治療法が確立した際にシートの安定供給が見込め、再生医療の普及に役立つと考えられます。

 加齢黄斑変性治療の臨床研究は2014年9月、理研生命機能科学研究センターの高橋政代プロジェクトリーダーらの研究チームが、iPS細胞を使った初めての治療として女性患者にシートを移植しました。移植2年後の経過が良好であると報告されています。

 有効性や安全性が確認されると、一般の医療として認められます。治療の臨床研究が進む一方、移植するシートの製造は、高度な技術を要すること、細胞液を頻繁に交換する必要があること、培養施設が限られていることなどの理由で量産化が難しいという課題がありました。

 日立は今回、外部と完全に遮断し無菌状態で培養できる装置や、網膜組織を培養する専用容器を開発。iPS細胞の培養経験が豊富な理研のノウハウも取り入れ、熟練技術者による手作りとほぼ同じ期間で、同品質のシートを作製することに成功しました。

 開発した装置は研究段階で、実用化は未定といいます。日立と理研は、「医療用細胞の安定的な量産化を可能にし、再生医療を身近な医療に導く一歩となる」としています。

 成果は、13日付のアメリカの科学誌「プロスワン」(電子版)に掲載されました。

 2019年3月15日(金)

 

■食中毒報告数、寄生虫アニサキスが最多 厚労省が公表

 2018年の食中毒の報告件数のうち、海の魚介類に寄生し、激しい胃痛などの原因となる寄生虫アニサキスが、ウイルスや病原菌を抜いてトップになったことがわかりました。厚生労働省が13日に公表しました。

 アニサキスはサバやアジ、サンマ、イカなどの主に内臓に潜み、刺し身などの生食をッま体に入ります。約3週間で排出される間に、胃や腸に激痛を起こすことがあります。内視鏡で除去する治療法が一般的で、死亡例はありません。

 厚労省によると、2018年の食中毒の報告総数は1330件。そのうちアニサキスは468件で、2位の病原菌カンピロバクターの319件、3位のノロウイルスの256件を上回りました。2018年はカツオ由来の食中毒の報告が多くなりました。

 一方、アニサキスは感染が広がらないため、患者数は478人で、ノロウイルスの8475人やカンピロバクターの1995人を大きく下回っています。

 報告件数が増えた背景には、食品衛生法に基づく国への届け出の項目に、2013年からアニサキスが明示されたことが影響しているとみられます。アニサキスは十分な加熱や冷凍処理で感染力を失いますが、しょうゆやワサビ、酢締めでは効きません。

 厚労省は、十分に処理された魚介類を選んで食べるよう注意を呼び掛けています。

 2019年3月15日(金)

 

■児童虐待の被害、過去最多1394人で36人死亡 警察庁が発表

 昨年1年間に全国の警察が摘発した児童虐待事件は1380件で、被害に遭った18歳未満の子供は1394人でした。ともに過去最多で、うち36人が亡くなりました。夜間など緊急の対応が必要として、警察が一時的に保護した数は統計がある2012年から増え続け、4571人に上りました。警察庁が14日発表しました。

 事件として親や養親らを摘発した件数の約8割は身体的虐待で、傷害と暴行容疑が大半を占めました。強制わいせつなど性的虐待は前年比33・7%増の226件。事件化が難しい心理的虐待は摘発数の2・5%にとどまりました。摘発人数は1419人で、最多は実父の622人。実母352人、養父・継父266人、内縁の男127人と続きました。

 被害に遭った子供は前年より19・3%増え、性別では男性717人、女性677人。無理心中など以外で22人が亡くなり、容疑別では殺人12人、傷害致死5人、保護責任者遺棄致死4人、逮捕・監禁致死1人でした。虐待で亡くなった子供は前年より22人減りました。2006年は111人に上りましたが、2013~2017年は50~60人台で推移しています。

 警察庁は事件が増えた理由を「社会の関心が高まり、情報提供が増える中で徹底した捜査を進めているため」とみています。

 また、虐待を受けているとして、全国の警察が昨年に児童相談所(児相)に通告した18歳未満の子供は過去最多の8万252人(確定値)。前年より22・7%多く、統計がある2004年から14年連続で増えました。

 児相に通告した虐待で最も多いのは、言葉による脅しや無視など子供の心を傷付ける心理的虐待で、約7割を占める5万7434人(前年比23・7%増)。うち、子供の前で配偶者らを暴行したり罵倒したりする「面前DV」が約6割の3万5944人に上りました。身体的虐待は1万4836人(20・2%増)、育児放棄(ネグレクト)7722人(20・7%増)、性的虐待260人(3・6%増)でした。

 警察は通告とは別に、通報などで駆け付けた現場で虐待が認められないと判断しても、児相や市町村に取り扱いがないか照会するなどして情報を共有しています。昨年は2万8598件の情報を提供し、前年より25・9%増えました。

 一方で、児相は児童虐待防止法に基づき、子供の安全確認時の警察官の同行など警察に援助を要請しており、昨年は339件で前年を23・7%上回りました。

 東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が昨年3月に亡くなった事件を受け、児相は通告から48時間以内に安全を確認できない場合、必ず警察と情報を共有することなどがルール化されました。警察庁は児相から援助要請が増えた背景に情報共有の強化があるとみています。

 2019年3月14日(木)

 

■iPS細胞を使い、小児の脳のがんをマウスで再現 東大チーム

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、治療が難しい子供の脳のがんの仕組みをマウスで明らかにしたと、東京大の研究チームが発表しました。脳のがんの状態を再現したマウスを使い、治療薬の候補を見付けるとともに、他の小児がんに応用できる可能性も示せたといいます。

 論文は6日、アメリカの科学誌「セルリポーツ」に掲載されました。

 この脳のがんは「非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(しゅよう、AT/RT)」で、3歳未満の幼児に多くみられます。患者は国内で年に数人で、半数以上が生後1年以内に亡くなるといいます。「SMARC(スマーク)B1」という遺伝子の異常が原因の一つですが、病態はよくわかっておらず、定まった治療法はありません。

 東京大医科学研究所の山田泰広教授(腫瘍病理学)らの研究チームは、この遺伝子が欠損した人のiPS細胞をつくり、マウスの脳に移植。その結果、マウスの脳に腫瘍ができ、調べるとAT/RTの特徴を持っていました。また、この腫瘍ができると増える2種類の遺伝子を特定、遺伝子の増加を抑える薬を使い、がん細胞の増殖を抑えられたといいます。

 山田教授は、「人の細胞を使い、がん化のモデルを初めて再現した」と説明。他の小児がんである神経芽腫や肝芽腫もAT/RTと同じ方法で増殖を抑えられたといい、「他の小児がんの治療に応用できる可能性がある」と話しています。

 2019年3月14日(木)

 

■人工透析中止は5人、うち4人が死亡 公立福生病院

 東京都福生(ふっさ)市の公立福生病院の人工透析治療を巡る問題で、2014年ごろ以降、新たに2人が外科医(50歳)から治療をやめる選択肢を提示され、いずれも死亡していました。昨年8月に亡くなった女性(当時44歳)も含めて計5人が治療の中止を選び、うち4人が亡くなった全容が判明しました。

 これとは別に病院では、腎臓病総合医療センターを開設した2013年4月以降、2017年3月までに、最初から透析治療をしない「非導入」で計20人が死亡したことがわかっています。

 人工透析治療をやめた5人とも終末期ではなく、治療を続ければ「年単位で生きた」と外科医は話しています。外科医と腎臓内科医(55歳)によると、2014年ごろ、腎不全のため意識不明で運ばれた80歳代女性に緊急的な治療を実施。意識が戻った女性が「(透析を)やめてくれ」と申し出たため、外科医が「やめたら死につながる」と説明。本人と家族の承諾を得て翌日に透析を中止し、女性は自宅に戻って死亡しました。

 外科医らは「驚いた。(最初は中止に)積極的ではなかった」と振り返ります。だが、「(患者が治療を)よく理解しないまま(医師側に)お任せ」するのは「正しい医療ではない」と考え、継続か中止かの選択肢を提示することに決めました。

 初めて治療をやめる選択肢を示したのは2015年ごろ。導入後2カ月の男性(55歳)に対して、「継続するも自由、やめるも自由」と提示。男性は「やめる」といって自宅に帰りました。男性は食事制限を受けていましたがステーキを食べて亡くなったといい、家族から感謝されたといいます。

 昨年に入ると、「より具体化し、自信を持って」治療をやめる選択肢を示すようになりました。80歳代女性の透析用血管の分路が不調で持病もあったため、外科医が「どうするかを考える時期だ」と中止を含めた選択肢を提示。家族も同意して治療は中止され、女性は約2週間後に自宅で死亡しましたた。

 さらに、30歳代男性から「後、何年治療したら(体が)よくなるのか」と問われ、外科医は、一生続ける必要があることを説明すると同時に、やめる選択肢を提示。男性は「ようやくわかった。透析をする意味も価値も感じない」と話して紹介元のクリニックに戻りました。生死は不明だといいます。

 外科医は、透析治療をやめると心臓や肺に水がたまり、「苦しくなってミゼラブル(悲惨)で、見ているこちらも大変。透析の離脱(中止)はしてほしくない」と話す一方、「『透析したくない』というのは立派な主張。患者にとってメリットだという信念で、適正な選択肢を示している」と話しています。

 2019年3月14日(木)

 

■先天性CMV感染症、健康保険で検査可能に 早期治療に期待

 年間約3000人の感染児が誕生し、一部は聴覚などに重い障害が起きる恐れがありながら、見逃しの多さや対応の遅れが指摘されてきた「先天性サイトメガロウイルス(CMV)感染症」。新生児の確定診断のための尿検査が昨年から健康保険でできるようになり、治療や療育の可能性が広がると期待されています。

 一方、病気の認知度は低く、誤解に基づく患者差別もあります。専門家や患者会は、「予防にも診断後にも正しい知識が大切」と啓発の重要性を強調しています。

 CMVは、健康な子供や大人には無害な有り触れたウイルスです。感染者の唾液や尿を通じて排出され、多くの人は乳幼児期に感染し免疫を獲得します。

 しかし、妊娠中に初感染したなどのケースの一部で胎児にウイルスが移行します。毎年生まれる先天性CMV感染症児約3000人のうち、1000人程度に難聴や発達の遅れなどの障害が出ると推定されています。症状が目立たない子もおり、確定診断されず適切な対処の機会を逃す例が多いといわれます。

 そうした中、厚生労働省の研究班が新生児の尿での診断法を開発し、生後3週間以内の検査が昨年1月から保険適用になりました。

 茨城県の看護師、藤(ふじ)千恵さん(35歳)は「早く確定診断できるのは朗報」と語っています。2012年生まれの次女(6歳)は先天性CMV感染症で重度の聴覚障害がありますが、診断に半年近くかかりました。誕生直後の聴覚スクリーニングは「要再検」で難聴の疑いはありましたが、「羊水が耳に残っているのでは」との医師の言葉や、妊娠・出産とも順調で「まさか」という思いもあり、検査が遅れました。人工内耳により徐々に「聞こえ」を取り戻している娘の姿は救いですが、「もっと早くわかっていれば」と自分を責める気持ちは消えないといいます。

 先天性CMV感染症に有効な抗ウイルス薬はあるものの、使用は正式に承認されていません。生後30日以内の治療開始で聴覚障害などの進行を抑えられたとの研究報告を基に、海外では新生児の治療に使われています。しかし、免疫低下などの深刻な副作用があり、使用には厳重な注意が求められています。

 厚労省研究班の岡明(おかあきら)東京大教授(小児科)は、「世界で行われている治療を日本でも可能にするのは重要で、早期診断はその大きな一歩。今後は安全で有効な治療薬の使用法を探る研究が必要だ」と話しています。

 また、先天性CMV感染症の認知度は低いのが現実です。厚労省研究班の山田秀人(ひでと)神戸大教授(産科婦人科)らが2014年、全国の妊婦に胎児に影響がある感染症の知識を尋ねたところ、先天性CMV感染症を知っていたのは18%にとどまりました。

 山田教授らは感染リスクを減らすための妊婦向け啓発資料を作り、医師や保健師らに活用を勧めています。上の子の育児など、乳幼児と接したらせっけんで手洗いし、子供と食べ物や食器などを共有しないよう強調しています。

 一方、妊婦以外は特別な注意は不要なのに、誤解に基づき患者が差別される例があります。藤さんも全く根拠のない差別に苦しみ、次女の入園が決まっていた保育園が「感染症」との診断書を見て、入園取り消しを伝えてきました。苦労して探した公立保育園では、食事も遊びもほかの子供たちと別にされました。小児科医に「特別な対応は不要」と説明してもらい、1年余りの交渉の末、やっと対応が改まったといいます。

 先天性CMV感染症などの先天感染児の母親らでつくる患者会「トーチの会」代表の渡辺智美さんは、「残念な対応はまだあるが、現実には乳幼児の多くがCMVに感染しているので保育園などで隔離する意味は全くない。そうした情報も会のホームページで発信しています」と話しています。

 2019年3月14日(木)

 

 

■大気汚染による死者数は喫煙原因を上回る ドイツの研究チーム

 大気汚染が原因の早期死者数は全世界で年間およそ900万人に上るする研究結果をドイツの研究チームが発表し、たばこが原因の死者数を上回るとして、汚染物質を排出する化石燃料の使用を抑える必要性を訴えています。

 ドイツのマックスプランク化学研究所などの研究チームは12日、PM2・5などの大気汚染物質が原因とみられる呼吸器や循環器の病気で死亡した人の数が2015年の1年間で世界でおよそ880万人、ヨーロッパでは79万人に上ったと発表しました。

 今回の研究は、地域ごとにPM2・5などの有害物質にさらされる値を算出した上で、各地域で呼吸器や循環器などに関連する病気で死亡した人の数を当てはめる新たな手法で推計したということです。

 一方、世界保健機関(WHO)によりますと、たばこが原因で死亡する人は年間およそ700万人と推定されていて、今回の研究結果は、大気汚染が喫煙や受動喫煙による死者を上回るとしています。

 今回の研究の結果、群を抜いて最も多かった死因は、PM2・5として知られる直径2・5ミクロン未満の微小粒子状物質であることが判明。ちなみに平均的な人の毛髪の太さは60~90ミクロンです。「PM2・5による健康への有害な影響がこれまで考えられていたよりはるかに大きいことが、最新データでわかった」と、研究に当たったヨス・レリーフェルト研究員は説明しています。

 WHOは、PM2・5などの大気中の微小粒子状物質の濃度について、1立方メートル当たり年平均10マイクログラムを超えないよう勧告しています。ヨーロッパ連合(EU)の基準値はこれよりはるかに緩く、年平均25マイクログラムですが、この水準でさえも、いくつかのヨーロッパ諸国では常態的に上回っています。

 今回の研究によると、大気汚染による死亡者数は、全世界では人口10万人当たり年間120人であるのに対し、ヨーロッパでは、ほかの大半の地域よりも厳しい汚染規制が行われているにもかかわらず、人口10万人当たり年間133人となっています。

 この理由についてレリーフェルト研究員は、「大気の質が低下している地域に人口が密集すると、世界最高レベルの暴露につながることから説明できる」と指摘。「大気汚染の最大の原因は化石燃料の過度な使用にあり、再生可能エネルギーに切り替えることで、ヨーロッパの大気汚染が原因の死亡率を最大55%引き下げることができる」と訴えています。

 2019年3月14日(木)

 

■肝臓病治療薬の横流し、千葉県の病院理事長を逮捕 貯蔵容疑「違法性を認識」

 肝臓病治療薬「ラエンネック」を許可なく販売目的で保管したとして、千葉県警は13日、野田中央病院(千葉県野田市)を運営する医療法人社団「喜晴(きせい)会」理事長で医師の八木禧徳(よしのり)容疑者(73歳)を医薬品医療機器法違反(無許可販売目的貯蔵)容疑で逮捕しました。県警は同病院から医薬品が不正に流出した経緯を調べています。

 逮捕容疑は、浅田一弘容疑者(72歳)ら日本人3人と共謀し、1月9日~2月26日ごろ、医薬品販売業の許可がないのに、同病院でラエンネック15箱(1箱2000本、取引価格1本当たり186円)を販売目的で保管したとしています。「(浅田容疑者らが)取りに来るまで院内で保管していた。違法性はわかっていた」と容疑を認めているといいます。

 ラエンネックはさらに日本人3人から、自称・埼玉県川口市の会社役員、胡晃央=本名・祝銘思(しゅくめいし)=容疑者(39歳)ら中国籍の2人に販売されたとみられます。

 県警は、八木容疑者が日本人3人から代金を受け取っていたとみています。少なくとも昨年10月以降、ラエンネック以外の複数の医薬品を横流ししていた可能性もあり、5人はこれらの医薬品を国内外の業者に転売していたとみられます。また、他人の保険証を不正に使って医薬品を入手していた可能性もあり、県警が捜査を進めます。

 ラエンネックの製造元によりますと、肝機能の改善のために医師が処方するほか、含まれる成分が美容に効果が見込まれるとして美容外科などで使われる場合があるということです。

 野田中央病院のホームページによると、同病院は地域の中核的な病院。内科や循環器内科、外科などがあり、病床数は34床。人工透析センターも設けられています。

 2019年3月14日(木)

 

■インフル治療薬ゾフルーザ、未使用患者から耐性ウイルス 感染症研究所が発表

 国立感染症研究所は12日、新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」に耐性を持つウイルスが、治療薬を服用していない患者から検出されたと発表しました。治療薬を使った患者の体内で増殖した耐性変異ウイルスが、ほかの人に感染した可能性があります。耐性変異ウイルスが広がると、ゾフルーザが効かない可能性もあります。

 感染症研究所などが2018年11月~2019年2月に採取されたA香港型のウイルスを解析したところ、ゾフルーザを使っていない生後8カ月~12歳の3人から、治療薬に耐性を持つ変異ウイルスが見付かったといいます。

 ゾフルーザは塩野義製薬(大阪市中央区)が開発し、昨年3月に発売されました。1回錠剤を飲むだけですみ、使い勝手がいいことから今シーズン多くの医療機関で処方されました。2018年10月~2019年1月に国内の医療機関に供給されたゾフルーザは約550万9000人分。昨シーズンの約40万人分から急増しました。

 しかし、ゾフルーザは臨床試験の段階から、特に12歳未満で従来のインフリエンザ治療薬より耐性変異ウイルスが生まれやすいと指摘されていました。耐性変異ウイルスが検出された患者は、発熱などの症状が出る期間が長引くことも知られています。

 アメリカでは2018年12月に12歳以上への使用が承認され、12歳未満への使用も臨床試験が進んでいます。感染症研究所は「国内のみならず世界的にも極めて重要な公衆衛生上の課題」として、引き続き耐性ウイルスの監視と情報提供をしていくといいます。

 2019年3月13日(水)

 

■乳児用液体ミルク、明治も4月下旬から発売へ 災害備蓄向けに缶入り

 明治は13日、乳児用液体ミルク「明治ほほえみ らくらくミルク」を4月下旬に発売すると発表しました。国内での製造販売が昨年解禁され、3月11日に販売を開始した江崎グリコに続く商品化となります。

 江崎グリコは紙パック容器入りですが、明治は災害備蓄用としての活用も考え、丈夫なスチール缶入りにしました。容量は240ミリリットルで、希望小売価格は税抜き215円。お湯で溶かすことや70℃以上に温めるといった粉ミルクの調乳作業が不要で、缶をよく振ってふたを開け、ミルクを哺乳瓶などに移せばそのまま乳児に与えられます。

 商品発表会で明治の松田克也社長は、「粉ミルクのリーディングカンパニーとして、使い勝手や容量、種類の展開などの研究を重ねて、消費者がさらに満足できるようにしていきたい」と話しました。

 開封前の賞味期限は1年間。ドラッグストアや食品スーパー、赤ちゃん用品専門店での販売のほか通販もします。3月下旬から一部のドラッグストアで先行販売します。

 江崎グリコの乳児用液体ミルク「アイクレオ赤ちゃんミルク」は、賞味期限6カ月で、希望小売価格は税抜き200円(125ミリリットル入り)。

 2019年3月13日(水)

 

■富士フィルム、バイオ医薬品製造会社を買収 1000億円弱、製造能力増加へ

 富士フイルムホールディングス(HD)は、世界的な成長が見込めるバイオ医薬品の事業を強化するため、アメリカの大手メーカーの子会社を約1000億円で買収することになりました。

 富士フイルムHDは、アメリカのバイオ医薬品大手の「バイオジェン」(マサチューセッツ州)から、デンマークに大規模な製造拠点を持つ子会社を買収することで合意しました。

 買収額は約8億9000万ドル、日本円にして約990億円に上ります。

 バイオ医薬品は、微生物などの遺伝子を組み換えた細胞から作られ、副作用が少ないとされており、今後、世界的に大きな成長が見込まれる分野とされています。

 富士フイルムHDは、この分野ですでに研究開発への投資を加速させており、今回の買収によって、バイオ医薬品の製造能力を一気に今の3倍に増やせ、大型新薬や後発品の生産も可能になるといいます。

 富士フイルムHDの古森重隆会長は12日の記者会見で、「世界のバイオ医薬品の市場は年8%の成長率があり、今後もこの成長は継続するとみている。買収によって、大量生産も可能になるので、ニーズに対応できるようになる」と述べました。

 2019年3月13日(水)

 

■白血病を発症する新たな仕組みを発見 大阪大の研究チーム

 血液のがん「白血病」の発症にかかわる新たな仕組みを、大阪大微生物病研究所の高倉伸幸教授(幹細胞医学)らの研究チームが発見し、12日発表しました。研究成果は、イギリス科学誌「ネイチャー」に掲載されました。

 白血病はがん化した血液細胞が一気に増える「急性」とゆっくり増える「慢性」に、さらに細胞の種類によって「骨髄性」と「リンパ性」に分けられます。白血病と診断される人は年間約1万2000人(2014年)で、年々増えています。

 研究チームは、「レグネース1」という遺伝子に着目。この遺伝子をなくしたマウスでは、脾臓(ひぞう)やリンパ節が肥大化し、異常な造血幹細胞が増え、急性骨髄性白血病の症状を示すことがわかりました。実験した11匹のマウスはすべて約100日以内に死亡しました。この遺伝子は、たくさんの別の遺伝子の働きを調節し、造血幹細胞が増殖しすぎないようにする「ブレーキ役」と考えられるといいます。

 また、複数の白血病の人の細胞を解析すると、この遺伝子の働きが低下していることも確認できたといいます。

 大阪大の木戸屋浩康・助教(血管生物学)は、「急性骨髄性白血病の新しい発症メカニズムを明らかにできた。この遺伝子をターゲットにした治療薬の開発などにつなげたい」と話しています。

 2019年3月12日(火)

 

■新型インフルエンザの大流行は不可避 WHO、対抗戦略を発表

 世界保健機関(WHO)は11日、今後10年間にわたりインフルエンザの脅威から世界中の人々を守るための新戦略を発表しました。新たなパンデミック(世界的大流行)の発生は「避けられない」と、WHOは警告しています。

 WHOは、インフルエンザの年間の感染者数(大部分は季節性)は世界で約10億人、うち300万~500万人は重症で29万~65万人が死亡しているとして、インフルエンザを公衆衛生における世界最大の難題の一つと指摘。WHOが今回打ち出した戦略は、2019年から2030年にかけて季節性インフルエンザを予防し、動物から人へのウイルスの拡散を抑え、次のパンデミックに備えることを目的としています。

 インフルエンザの破壊的なパンデミックは、たびたび発生しています。1918年に発生したスペイン風邪では世界で数千万人が死亡。それ以降、世界規模の大流行は1957年、1968年、2009年と3回発生しており、2009年のパンデミックではブタ由来のH1N1型インフルエンザにより世界214カ国で約1万8500人が命を落としました。

 WHOは多くの人に免疫がない新型インフルエンザのパンデミックは避けられないとして、「これほど相互につながり合った世界では、問題は新たなパンデミックが起きるかどうかではなく、いつ起きるかなのだ」と警鐘を鳴らしています。

 新戦略を立ち上げるに際して、テドロス・アドハノンWHO事務局長は、「インフルエンザの大流行による損失は、予防費用をはるかに上回る」と指摘。WHOによると、パンデミックへの備えに必要な費用は1人当たり年間1ドル(約110円)未満とみられるのに対し、パンデミックが発生した場合の対応費用は、およそ100倍になります。

 WHOは今回発表した戦略で各国に対し、従来の健康事業を強化するとともに、それぞれの状況に応じてインフルエンザ対策計画を策定し、疾病の監視、対応、予防、拡大防止などに力を入れるよう呼び掛けています。

 感染拡大を防ぐ最も効果的な方法としてWHOが推奨しているのが、特に医療従事者やインフルエンザ合併症のリスクが高い人々に毎年予防接種を受けてもらうようにすることです。

 一方でWHOは、より効果的で利用しやすいワクチンと抗ウイルス薬治療を開発する必要性を訴え、研究開発や技術革新、ワクチン改良などを実現するために、関係各所との協力を拡大すると主張。新戦略によるメリットはインフルエンザに限らず、エボラ出血熱など、その他の感染性疾患の検出増加にもつながると述べています。

 2019年3月12日(火)

 

■風疹患者再び増、1週間で113人 麻疹患者は26人

 国立感染症研究所は12日、直近1週間(2月25日~3月3日)の風疹の新規患者数が113人に上ったと発表しました。2週連続で100人を超え、今年に入って増加傾向にあります。専門家は春の異動シーズンで感染がさらに広がる恐れがあるとして、注意を呼び掛けています。

 都道府県別では、新規患者数の最多は東京都の35人。神奈川県21人、大阪府15人、千葉県11人と続きました。

 風疹は昨夏から患者が増加。昨秋から冬にかけて、16週連続で1週間100人を超えました。2018年の年間患者数は2917人に上り、現行の統計調査が始まった2008年以降、2番目の多さでした。今年の累計患者数も768人で、すでに2014~2017年の各年の年間患者数を超えました。

 風疹は2~3年流行が続くことが多く、前回の流行では2012年に2386人の患者が出て、2013年には1万4344人とさらに増えました。感染症に詳しい、岡部信彦・川崎市健康安全研究所長は、「春の異動で感染が広がると、前回流行の二の舞いになる」と警告しています。

 厚生労働省も対策に乗り出しました。患者の中心は、過去に1回もワクチンの定期接種を受ける機会がなかった39~56歳男性です。約1610万人いるこの世代の男性が2019~2021年度の3年間、原則無料でワクチン接種を受けられるようにします。早ければ4月から始めます。供給不足を防ぐため、2019年度は39~46歳に絞ります。抗体検査を受けてもらい、免疫がない人にワクチンを打ちます。免疫がないのは2割ほどとみられます。

 対象者は、居住する市区町村から配られるクーポン券を持参すれば、抗体検査は原則全国どこでも受けられます。厚労省は健診の機会にもクーポン券を持参すれば検査を受けられるように、事業所や自治体に呼び掛けています。

 厚労省は3月中のクーポン券送付を呼び掛けていますが、準備の進み具合は自治体間で差があります。東京都練馬区や名古屋市は3月末の発送を目指すものの、横浜市や大阪市はまだ発送時期のめどはついていないといいます。

 風疹はウイルス性の感染症で、くしゃみやせきなどのしぶきでうつり、2~3週間後に発熱や発疹、リンパ節のはれなどの症状が出ます。症状を和らげる対症療法以外に治療法はなく、ワクチンで感染を防ぐしかありません。妊娠初期にかかると、赤ちゃんに難聴や心疾患などの障害が起こる恐れがあります。

 岡部さんは、「周りに妊婦や出産希望者がいる人は、制度を待たず、自主的にワクチン接種を検討してほしい」と話しています。厚労省とは別に抗体検査やワクチン接種に補助を出す自治体もあります。

 関西を中心に流行しているはしか(麻疹=ましん)も、同じ直近1週間(2月25日~3月3日)で新規患者26人が報告されて、今年の累計患者数は285人に上り、昨年1年間の患者数を超えました。はしかと風疹の混合ワクチン(MRワクチン)を打てば予防することができます。

 2019年3月12日(火)

 

■厚労省、健康を保つための食事摂取基準を改定 「フレイル」予防にはタンパク質摂取を

 厚生労働省が高齢者の食事に関し、「フレイル」と呼ばれる心身の虚弱状態を防ぐため、65歳以上の人は毎日、体重1キログラム当たり1グラム以上のタンパク質を取ることが望ましいとする目安を初めて示しました。

 フレイルは、加齢に伴って筋力や認知機能が衰えて日々の活動が低下する状態で、放っておくと介護が必要になります。フレイル対策では、軽い運動に加えて食事の改善が重要です。

 厚労省は健康を保つための食事の基準をまとめた「食事摂取基準」の改定案に、フレイル予防の目安を盛り込みまし。例えば体重50キロの人の場合、食事を通じて最低1日50グラムのタンパク質摂取が必要になります。

 日本食品標準成分表によると、食品100グラム中に含まれるタンパク質は、焼きさば25グラム、ロースとんかつ22グラム、納豆17グラム、ゆで卵13グラムなど。

 改定案は、1日の食事に対するタンパク質の望ましい割合(総エネルギー量で比較)も改めました。今の基準は全年代通じて「13~20%」ですが、改定案は50~64歳「14~20%」、65歳以上「15~20%」としました。摂取上限を20%で据え置いたのは、タンパク質の取り過ぎは腎機能の悪化や糖尿病につながる恐れがあるためだです。

 ほかの栄養分の割合(65歳以上)は、炭水化物「50~65%」、脂質「20~30%」が望ましいとしました。

 このほか改定案では、食塩の摂取基準についても変更しました。高血圧や腎臓病を予防するための目標量について、15歳以上の男性では1日当たり7・5グラム未満、女性では6・5グラム未満に設定。男女とも今の摂取基準に比べて0・5グラム引き下げました。高血圧と腎臓病の重症化を防ぐための食塩の目標量として、新たに男女とも「1日6グラム未満」とする目標も設定しました。

 健康増進法に基づく日本人の食事摂取基準は、5年に1度見直されます。厚労省は近く改定案を決定し、来春から新基準を適用します。

 2019年3月11日(月)

 

■大塚製薬、アルコール依存症治療薬を発売 国内初の飲酒量低減薬

 大塚製薬は3月5日から、アルコール依存症患者における飲酒量を低減する治療薬として「セリンクロ(一般名:ナルメフェン)」を、全国の医療機関向けに発売したと発表しました。

 セリンクロは、飲酒の1~2時間前に服用することで、中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑え、アルコール依存症患者の飲酒量を低減する薬剤です。ヨーロッパでは、2013年からデンマークの製薬大手ルンドベックにより飲酒量低減薬として承認、販売されています。

 日本では、大塚製薬とルンドベックが共同で開発を進めてきました。抗酒薬や断酒維持を目的とした断酒補助剤は国内でもすでに販売されていますが、多量な飲酒を繰り返すアルコール依存症患者が飲酒量を減らしていく過程を補助する薬剤はありませんでした。

 アルコール依存症は、多量な飲酒を繰り返すことで飲酒したいという欲求が強くなり、飲酒行動をコントロールすることが難しくなる疾患です。国内には治療が必要なアルコール依存症患者が100万人いるとされ、健康や仕事、家庭生活に重大な支障を来すことで、社会的・経済的な影響が大きいとされています。

 最新のアルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドラインでは、最終的な治療目標は原則的に断酒の達成とその継続とした上で、飲酒量低減治療は断酒に導くための中間的ステップあるいは治療目標の1つとして位置付けられています。セリンクロが飲酒量低減治療の新たな選択肢となることにより、アルコール依存症患者の治療に貢献することが期待されます。

 アルコール依存症を治療する意志のある患者を対象にした臨床試験(治験)では、偽薬(プラセボ)に比べて、試験期間中の飲酒日数と飲酒量をともに有意に減らせられたといいます。

 2019年3月11日(月)

 

■日立、iPS細胞の自動培養装置を製品化 再生医療向けに大量に培養

 日立製作所は11日、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の商用生産に向けた自動培養装置を開発し、1号機を大日本住友製薬に納入したと発表しました。厚生労働省が定める再生医療の品質管理基準「GCTP省令」に対応し、臨床向けのiPS細胞を大量に培養できます。

 日立はグループ各社を通じて細胞の培養受託や輸送事業も強化し、再生医療ビジネスを丸ごと支援する体制を整えます。

 製品名は「アイエース2」。価格は顧客が作る細胞の種類などによって異なりますが、1台数億円とみられます。

 培養容器や細胞の栄養剤「培地」をためておくボトル、培地を流し込む流路などを外部と遮断した構造で、病原体や微生物の侵入を防ぎながら人の手を介さずに効率的に培養します。品質管理に必要な操作した人を記録する機能を搭載。本体には、培養室内の浄化作業に使う過酸化水素ガスに耐えられる材質を採用しました。

 大日本住友製薬は、培養した細胞をパーキンソン病患者に移植して治療する研究に使います。大日本住友製薬には3月末に2号機の納入も予定しています。日立はさらに2020年度に、ほかの企業に対して1台の納入を目指します。

 研究段階の細胞培養は少量ですむため、製薬企業や大学はこれまではほぼ手作業で対応してきました。ただ再生医療が医療として提供されるようになると、安く安定した細胞の供給が必要になります。日立グループは日立化成が細胞培養受託事業を手掛けるなど、機器やサービスの提供を広げています。

 2019年3月11日(月)

 

■乳児用液体ミルク、店頭販売を開始 災害時の備えにも期待

 お湯で溶かす必要のない赤ちゃん用の液体ミルクの店頭販売が11日から始まり、メーカーは、安全な水が入手できない災害時の備えとしても期待されるとしています。

 液体ミルクは母乳に成分を似せた乳製品で、常温のまま哺乳瓶に移して授乳できます。「江崎グリコ」は、赤ちゃん用の液体ミルクを先週のネット通販に続いて、11日から全国のベビー用品店やドラッグストアなどでも売り出しました。

 このうち東京都内の店舗では、子育て中の親を対象にした体験会が開かれ、担当者が常温で半年間保存でき、お湯に溶かす必要がないという特長のほか、開封後はすぐ赤ちゃんに与え、雑菌が繁殖しやすいため飲み残しは使わないなどの注意点を説明していました。

 参加した母親の1人は「出掛ける時は小分けの粉ミルクとお湯を持ち歩いていたので、荷物を減らせてありがたいです。最近は災害も多いので、家で保存しておこうと思います」と話していました。

 赤ちゃん用の液体ミルクは欧米を中心に普及する一方、国内では販売されていませんでしたが、厚生労働省と消費者庁が必要な基準を定めたことで、国内でも製造や販売ができるようになりました。

 江崎グリコの乳製品は「アイクレオ赤ちゃんミルク」で、125ミリリットル紙パック容器入りで希望小売価格は1本216円。同社の粉ミルクとの同量換算で3~4倍程度の出費になります。

 江崎グリコは、子育ての負担軽減に加え災害時の備えとしても期待されるとしており、商品開発を担当した永富宏さんは「東日本大震災などでは、『赤ちゃんにミルクをあげられない』という切実な声も聞かれた。きれいな水の確保が難しい場合に活用してほしい」と話していました。

 液体ミルクは、乳業大手メーカーの「明治」も13日、商品を発表する予定です。

 2019年3月11日(月)

 

■人工透析中止で患者死亡、東京都が口頭で指導 チェック体制が不十分

 東京都福生市の公立福生(ふっさ)病院で女性患者の人工透析が中止されおよそ1週間後に死亡した問題で、病院側が治療中止の妥当性について倫理委員会で協議せず、東京都が第三者のチェック体制が不十分だったなどとして、口頭で指導していたことがわかりました。

 昨年8月、福生病院で、腎臓病を患っていた44歳の女性の人工透析の治療が中止され、女性はおよそ1週間後に死亡しました。

 女性はもともと別のクリニックで透析を受けていましたが、クリニックの勧めで昨年8月に福生病院を受診し、その日のうちに透析の中止を選択して、同意書に署名していました。

 関係者によりますと、女性と担当医が透析を中止するに当たって、病院ではその妥当性についてほかの分野の専門家を含めて検討する「倫理委員会」を開いていませんでした。

 日本透析医学会では、透析を見合わせる時に倫理的な問題がある場合、倫理委員会や外部委員会などの助言があることが望ましいなどと提言しています。

 東京都は、病院が倫理委員会を開かなかったことなど、第三者によるチェック体制が不十分だったとして、担当医と患者のやりとりについて複数の医師がチェックしたり、助言したりする仕組みを作るよう口頭で指導したということです。

 女性の人工透析治療を中止したことについて、公立福生病院は「多職種で対応し家族を含めた話し合いが行われ、密室的環境で独断専行した事実はない。悪意や手抜きや医療過誤があった事実もない」などとコメントしています。

 2019年3月11日(月)

 

■アレルギー予防、母乳に効果なし 厚労省が新指針

 赤ちゃんの授乳と離乳食に関する国の指針に、母乳によるアレルギー予防効果はないことが盛り込まれることが決まりました。2007年以来、12年ぶりとなる指針改定は、母乳への過度な期待が親たちを悩ませている現状を踏まえ、授乳の支援の見直しを呼び掛けています。

 8日、厚生労働省の「授乳・離乳の支援ガイド」改定に関する研究会で、改定案が大筋で了承されました。改定案では、卵アレルギー予防のため、離乳食の初期から卵黄を与えることも盛り込まれました。2019年度から全国の産科施設や保健師らが指導の根拠にするほか、母子手帳にも反映されます。

 現行指針は、母乳が乳幼児期のアレルギー疾患予防に一定の効果があるとの研究結果を紹介していました。これに対し改定案は、最新の知見を基に「予防効果はない」と明記。粉ミルクや液体ミルクを選ぶ親の決定も尊重するべきだとし、「母親に安心感を与える支援が必要」としました。

 乳育児は世界保健機関(WHO)が推進し、国も後押ししています。2015年の厚労省調査で、生後3カ月では55%が母乳のみで育てています。だが、授乳の悩みは絶えず、厚労省研究班は昨年、科学的根拠に基づく再検討を要望。改定案には、粉ミルクを併用する混合栄養でも肥満リスクが上がらないことも記載されました。

 また、卵アレルギーを予防する離乳食に関する新たな見解も盛り込まれました。国立成育医療研究センターによる研究などを基に、これまでより早い離乳食の初期に当たる生後5~6カ月から、加熱した卵黄を試すことを推奨しています。

 現在の指針では、アレルギーの原因となる食べ物を与えることを避け、遅れる傾向があることも指摘されていました。卵を与える時期も生後7~8カ月ごろとしていました。

 さらに、母乳育児の場合、生後半年間まで鉄やビタミンDが不足しやすいとする研究成果があることを指摘。母親の食事で補給することも促しています。

 研究班の責任者で杏林大の楠田聡客員教授は、「母乳にメリットがあるのは間違いないが、過度に期待することはできない。混合栄養の親にはサポートが足りない現状があり、授乳不安が強く、より適切な支援が必要だ」と話しています。

 2019年3月10日(日)

 

■人工透析中止、福生病院院長が容認 女性死亡「意思を複数回確認」

 東京都福生市の公立福生(ふっさ)病院の人工透析治療を巡る問題で、外科医(50歳)は2014年ごろ、治療中止という方針を松山健院長(当時・副院長)に提案し、松山院長が了承していました。その後、患者に対して治療をやめる選択肢の提示が始まり、昨年8月に亡くなった女性(当時44歳)以外にも30歳代と55歳の男性ら数人が治療をやめる選択肢を示され、少なくとも2人が死亡しました。

 了承した理由について松山院長は、「選択肢を患者に提示することが普通の医療だから」と話しています。

 死亡した女性を巡っては、外科医と腎臓内科医(55歳)が昨年8月、「透析を受けない権利を患者に認めるべきだ」とする考えに基づき、透析治療の継続と、「死に直結する」という説明とともに治療をやめる選択肢を女性に提示。女性は治療をやめる意思確認書に署名しましたが、「撤回しようかな」などと治療再開の意思を示して亡くなりました。

 松山院長は「いろいろな選択肢を(女性に)与え、本人が(透析治療の中止を)選んだ上で意思を複数回確認しており、適正な医療だ」と強調。約5年前から透析治療中止を容認していたため外科医らから特段の報告はなく、女性のケースを知ったのは亡くなった後だったといいます。

 福生病院は、日本透析医学会のガイドラインで設置が望ましいとされている倫理委員会を開きませんでした。松山院長は「普通の医療の一環だから」と説明。「(病院全体で)年間200~300人が亡くなる。毎回開くのは非現実的だ」と話しました。

 一方、福生病院では2013年4月~2017年3月、最初から透析治療をしない「非導入」の選択肢を終末期ではない患者計149人に示し、20人が死亡しました。末期的な容体に限定している学会のガイドラインから逸脱していますが、松山院長は「非導入の選択肢は必要で、そのほうが倫理的だ。(他の医療機関は)『非導入の選択肢はない』と表向きはいうかもしれないが、患者を診ていたら(非導入が)あり得ることは医療人の誰もが思っていることだ」と話しました。

 また、松山院長は終末期医療について「意識がなく、意思表示が全くできない患者がいる。胃ろうや人工呼吸器は生命的には永らえる。医療費もそれなりに発生するが、それを是とするかどうかだ」と指摘。「透析治療を含め、どういう状況下でも命を永らえることが倫理的に正しいのかを考える切っ掛けにしてほしい」と語りました。

 2019年3月10日(日)

 

■膝関節の軟骨、iPS細胞で再生 京大が臨床研究申請へ

 京都大学iPS細胞研究所の妻木範行教授らは他人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から育てた軟骨組織をケガや運動などで軟骨が損傷した膝関節に移植して補う再生医療の臨床研究について、2019年中に学内の審査機関に申請する方針です。損傷部が小さい膝関節が対象ですが、将来は肘や足首などの軟骨損傷や高齢者に多い変形性膝関節症にも広げたい考えです。

 研究チームは臨床研究計画書を再生医療に関する学内審査機関に申請する予定。承認されれば国の審査に進みます。順調に進んだ場合、2020年中に1例目の移植実施を目指します。

 臨床研究がうまくいけば、旭化成が実用化を検討します。共同研究を通じて、軟骨組織の量産技術を確立します。2029年の実用化が目標。

 京大が備蓄するiPS細胞から直径2~3ミリメートルの球状の軟骨組織を育て、数平方センチメートルの患部に移植します。周囲の軟骨組織とくっ付いて機能することを期待します。移植した軟骨組織は血管がなく、患者の免疫細胞が軟骨細胞に触れることもないため、拒絶反応が起きにくくなります。

 膝関節の軟骨を損傷したブタを使う実験では、人のiPS細胞から作った軟骨組織を移植。約1カ月にわたり体重約30キログラムを支えることができました。

 関節軟骨は弾力性のある滑らかな組織で、関節をスムーズに動かす役割を果たします。軟骨は運動やケガなどで傷付くと修復が難しく、一部の軟骨が欠損すると日常生活で支障が出る場合もあります。

 従来の治療は、人工関節に置き換える手術や、患者から正常な軟骨の一部を切り取って培養して増やし、患部に移植する手法があります。ただ培養中に変質するという課題がありました。

 2019年3月10日(日)

 

■116歳の女性、ギネス認定の世界最高齢に 甘い物が大好物

 福岡市東区に住む116歳の田中カ子(かね)さんが9日、「存命中の世界最高齢」のギネス世界記録に認定されました。ギネスワールドレコーズジャパン社から公式認定証を手渡されると、「ありがとうございます」と感謝の言葉を述べ顔をほころばせました。

 田中さんは1903(明治36)年1月2日、旧和白村(現福岡市東区)生まれ。この日、田中さんは入所する老人ホーム内の会場に、手押し車を押しながら歩いて登場。甘い物が大好物で、ひ孫からチョコレートを渡されると、ぱくっと口に入れました。「いくつ食べたい?」との問いかけに「100個」と答え、市が用意したイチゴのケーキも元気にほおばりました。

 今までで一番楽しかった出来事を聞かれると、「今!」と力いっぱい答えました。

 家族らによると、19歳で結婚し、夫が営む米穀店を手伝いながら、実子4人と親戚の子ら4人を育てました。老人ホームでは、毎日3食を残さずに食べ、おやつのチョコレートや炭酸飲料が大好物。普段は施設内を手押し車を押しながら歩き回り、ほかの入居者とオセロ風ゲームを楽しんでいます。

 好奇心旺盛で勝ち気な性格。昨年7月に国内最高齢となった際には、「次は世界一」と意気込んでいたといいます。今は、「120歳を目指す」と家族に話しているといいます。

 男性の世界最高齢は、ギネス認定されていた北海道足寄(あしょろ)町の野中正造さんが今年1月に113歳で亡くなっており、ギネス社が調査中。

 2019年3月10日(日)

 

■TDK、磁気センサーで心臓の動きを可視化 測定コスト5分の1に

 TDKと東京医科歯科大学は、心臓の動きをリアルタイムに可視化できる磁気センサーを開発しました。心臓が動く時の磁場を読み取り、異常の有無を非接触で調べます。

 4月から不整脈や狭心症といった心疾患を持つ数百人の患者を対象に半年から1年かけて臨床試験し、実用化を目指します。従来の測定機と比べて、計測コストを5分の1程度に下げられる見通しです。

 TDKが開発したセンサーは「心磁計」と呼ぶ、心臓の動きを面的に把握する装置。HDD(ハードディスク駆動装置)の磁気ヘッドに使う磁気センサーを応用しました。精度を高め、磁気センサーとして世界で初めて心臓の動きをリアルタイムで測定できるようにしました。心電図よりもより正確に心臓の状態を調べられ、不整脈の診断などに効果を発揮しそうです。

 測定機は2平面上に百数十個の磁気センサーを並べており、患者は胸を近付けて測定します。室温で服の上から手軽に測定でき、患者の負担を軽減できます。

 これまでの心磁計は、「超電導量子干渉素子(SQUID)」と呼ばれる高感度磁気センサーを使っていました。超電導材料を冷やすのに液体ヘリウムが必要で、装置は大型になり、導入にも数億円のコストが掛かり、年間のランニングコストも1000万円以上になるため、一部の研究機関でのみ活用されています。

 TDKは4月から、持ち運びもできる磁気センサーを医療機器メーカーなどにサンプル出荷することを予定しています。

 TDKと共同で磁気センサーの開発を進める東京医科歯科大学大学院の川端茂徳教授は、「心臓はまだわからないことが多い」と語り、開発した磁気センサーで知見を深められると期待しています。

 2019年3月10日(日)

 

■人工透析中止で死亡した女性、最初の受診日に中止に同意 福生病院

 東京都の公立福生(ふっさ)病院で、女性患者の人工透析が中止され、およそ1週間後に死亡した問題で、女性はもともと別のクリニックで人工透析を受けていて、治療場所を変えて福生病院を初めて受診した日に、透析を中止する同意書に署名していたことがわかりました。東京都は、どのような話し合いで中止が決まったのか詳しい経緯を調べています。

 昨年8月、東京都福生市の公立福生病院で、腎臓病を患っていた44歳の女性の人工透析の治療が中止され、女性は、およそ1週間後に死亡しました。

 関係者によりますと、女性はもともと別のクリニックで人工透析の治療を受けていましたが、クリニックの勧めで地域の中核病院である福生病院を受診しました。

 東京都などによりますと、福生病院にはより高度な透析治療を受けようと別の医療機関の紹介状を持ってやってくる患者も多いということです。

 女性は、初めて訪れた日に医師などと話し合った結果、人工透析治療の中止を選択し、同意書に署名したということです。

 日本透析医学会のガイドラインでは、人工透析を中止するのは、回復の見込みがない終末期の患者が事前に意思を表明し、全身の状態が極めて悪くなった場合などに認められるとしています。

 また、関係者によりますと、女性は当初、人工透析の中止を選んだものの、亡くなる前、病状が悪化し、うなされた状態で人工透析を再開したいと話し、医師がそれを把握していたということです。しかし、その後、病院側が女性の意識がはっきりした時に確認したところ、「透析はしません」とも話していたということで、透析治療は再開されませんでした。

 日本透析医学会のガイドラインでは、人工透析を見合わせた患者やその家族が再開を希望した場合、病院はその意思を尊重し人工透析を再開するとしています。

 東京都は今後、女性と医師との詳しいやり取りを確認し、本人の意思に基づいて適切な対応が取られたのか、調べることにしています。

 一方、公立福生病院は、「現場では家族を含めた話し合いが行われ、その記録も残されている。悪意や手抜きや医療過誤があった事実はない」などとコメントしています。

 2019年3月10日(日)

 

■さいたま市の40歳代男性、はしか発症 ベトナムから帰国しJRやバス利用

 今月、ベトナムから帰国した、さいたま市に住む40歳代の男性が、はしか(麻疹=ましん)に感染していることがわかりました。埼玉県は、この男性が発症後に利用した交通機関を公表し、接触した可能性があり、はしかの疑いがある症状が現れた場合は、医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 埼玉県によりますと、この男性は仕事でベトナムに滞在し今月帰国した後、4日に発熱や発疹の症状が出て、さいたま市内の医療機関を受診し、8日、はしかと診断されました。医療機関が市保健所に届け出ました。

 男性は快方に向かっているということですが、接触した人がはしかに感染している可能性があるため、発症後にこの男性が利用した交通機関を公表しました。

 それによりますと、男性は今月4日午前6時半ごろにJR埼京線で中浦和駅から池袋駅まで移動、その後、JR山手線に乗り換えて高田馬場駅まで移動しました。午後7時ごろから、同じルートを逆に使って帰宅しています。

 また、今月6日には午前7時前に、さいたま市内などを走る国際興業バスに乗って土合小学校から中浦和駅まで移動しました。その後、JR埼京線の中浦和駅から池袋駅まで利用し、JR山手線に乗り換えて高田馬場駅まで移動しました。午後6時ごろからは、同じルートを逆に使って中浦和駅まで戻り帰宅したということです。

 埼玉県では、この男性と接触した可能性があり、はしかの疑いがある症状が現れた場合には、最寄りの医療機関に連絡した上で受診するよう呼び掛けるとともに、感染を広げないために受診の際は公共交通機関を利用しないでほしいとしています。

 はしかは麻疹ウイルスによって引き起こされる病気。感染力が極めて強く、同じ空間にいるだけで空気感染します。発熱、せき、鼻水、目やになど、風邪と似た症状が当初みられ、いったん熱が下がった後、再び高熱が出て、全身に発疹が現れるといいます。

 はしかは全国的に流行しており、埼玉県内では今月3日現在、6人が感染。さいたま市内では今年初めて感染が確認されました。

 2019年3月10日(日)

 

■約20人の患者が人工透析を受けず、複数死亡か 福生病院を東京都が調査 

 東京都福生(ふっさ)市の公立福生病院が腎臓病患者の女性に人工透析治療をやめる選択肢を示し、中止を選んだ女性が死亡した問題で、同病院が2013年以降、女性のほかに「約20人の人工透析治療を導入しなかった」と説明していることが8日、明らかになりました。20人の中には死亡した患者が複数いるとみられ、東京都が事実関係などを調べています。

 この問題を巡っては、東京都が6日、医療法に基づいて福生病院への立ち入り検査を実施。日本透析医学会も調査委員会を7日に立ち上げ、調査に乗り出すことを決めました。

 東京都によると、福生病院の腎臓病総合医療センターでは担当の男性医師2人が2013年以降、ほかの診療所の紹介状を持って受診した患者149人に対し、人工透析治療を行わない選択肢を含めて提示。担当医は命にかかわる可能性について知らせた上で高齢者ら約20人が人工透析治療を受けないことを選び、うち複数が死亡したとみられると説明しているといいます。

 これまでに女性患者(当時44歳)が2018年8月に透析治療をやめ、約1週間後に死亡したことが明らかになっていますが、この女性以外にも治療を途中でやめた患者が複数いるといいます。

 日本透析医学会は2014年、終末期の患者について、本人の意思が明らかな場合に人工透析をしないことや中止も選択肢とする提言をまとめています。

 東京都は人工透析治療を目的とした紹介状を持つ患者は終末期には当たらないとみて、立ち入り検査の際に福生病院側に口頭で改善指導しました。これに対し、担当医は都の調査に「患者の意思確認の同意書もあり、手続きは適切だ」「治療をしなければ(死亡の)切迫性があり終末期に当たる」などと主張しているといいます。

 今回の件について、病院を運営する組合の管理者を務める福生市の加藤育男市長と公立福生病院の松山健院長は連名で、次のようなコメントを出しました。

 「公立福生病院を受診された患者が血液透析を受けないことを希望され、当院で亡くなったとの新聞記事が大きく報道されています。血液透析を受けておられる方々でも、単に腎臓だけ悪い方、腎臓も他の臓器も悪い方などさまざまでございます。日常的な透析治療の辛さも当然さまざま状況に置かれていると考えています。今回、腎臓病総合医療センターの現場では、多職種で対応し家族を含めた話し合いが行われ、その記録も残されています。密室的環境で独断専行した事実はございません。また、当院で悪意や手抜きや医療過誤があった事実もございません。本件に関しましては、東京都福祉保健局の立ち入り検査が行われ、また、近々、日本透析医学会の調査も予定されています。こうした第三者機関の検査結果等も待ちつつ、早急な事実関係の把握に努め、適正に対応して参ります」

 2019年3月9日(土)

 

■拒絶反応少ないiPS細胞 、ゲノム編集で作製成功 京都大iPS細胞研究所

 京都大学iPS細胞研究所の金子新准教授と堀田秋津講師らの研究チームは、再生医療に利用した際に拒絶反応を起こしにくいiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製法を開発しました。新技術で作ったiPS細胞を12種類用意すれば、再生医療の際、日本人の95%以上で適合するといいます。再生医療の普及に役立つ成果です。

 論文は8日付でアメリカの科学誌「セル・ステム・セル」の電子版に掲載されました。

 再生医療での拒絶反応は、患者の体内に入れた他人の細胞を、患者の免疫が排除しようとすることで起こります。研究チームは遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」技術を使い、2種類の遺伝子の働きを抑えたiPS細胞を作製しました。

 こうして作ったiPS細胞から血液細胞を作り、マウスに移植しました。1週間経過を観察すると、ゲノム編集をしていない場合に比べて、移植細胞が免疫から攻撃されにくくなっていました。

 京都大は再生医療向けに拒絶反応の起こりにくい特殊なiPS細胞を探して、備蓄する事業を進めています。これまでに3種類用意しており、2020年度末までに10種類そろえて、日本人の50%をカバーする計画を示しています。

 研究チームは今回の新技術で12種類のiPS細胞を用意するだけで、日本人の95%以上をカバーできると試算しています。同研究所の山中伸弥所長は「次世代iPS細胞」と位置付けて、2020年には整備する目標を掲げており、今回の新技術を応用する見込みです。

 現在、世界のほとんどの人に対し、移植時の拒絶反応のリスクが小さいiPS細胞を提供するためには、1000種類を超すiPS細胞が必要になります。ゲノム編集技術を使えば、種類を大幅に減らせます。

 2019年3月8日(金)

 

■発達障害をゲーム形式の治療アプリで改善 塩野義製薬が米社と提携

 塩野義製薬は7日、発達障害をビデオゲームを通じて治療する「デジタル薬」と呼ばれるアプリの開発、販売権をアメリカのスタートアップ企業から取得したと発表しました。臨床試験(治験)を経て、承認を得られれば日本や台湾で販売できるようになります。

 子供向けで、スマートフォン(スマホ)で遊びながら脳の前頭前野を刺激、活性化させ、注意機能などが改善するといいます。塩野義製薬は契約金としてまず約22億円、売り上げなどに応じて最大約117億円を支払いますs。

 アメリカのアキリ・インタラクティブ・ラブズ(マサチューセッツ州)が開発中の2つの治療アプリについて、日本や台湾での事業化権を取得しました。

 取得した治療アプリのうち、発達障害の一種である注意欠陥・多動性障害(ADHD)治療アプリは、8~12歳の子供348人に対する治験で注意機能の改善がみられました。正式な薬としての承認を得るため現在、アキリ社がアメリカの食品医薬品局(FDA)に申請中です。

 もう一方の子供の自閉スペクトラム症(ASD)の治療アプリは、大規模な治験を予定しています。

 「デジタル薬」を巡っては、大塚製薬が錠剤にセンサーを埋め込み、飲んだかどうか医師が確認できるようにするなど取り組みが始まりつつあります。塩野義製薬が今回、取得したような実際の治療にまで踏み込むものは珍しいといいます。

 2019年3月8日(金)

 

■はしかが大阪府で感染拡大 今年の累積患者数102人に

 過去10年間で最多のペースではしか(麻疹=ましん)の感染拡大が続く中、大阪府は7日、今年の累積患者(3日現在)が102人になったと発表しました。前回(2月24日現在)の集計より6人増え、引き続き都道府県で最多となる見通し。

 100人を超えたのは2008年以来となります。新たな報告数は減っているものの、収まる見通しは立っていません。

 大阪府以外の近畿各府県のまとめ(3日現在)では、兵庫県の累積患者数は2人増の5人、奈良県は2人増の4人。奈良県は2009年以降の年間患者数で最多となっています。京都府は8人、和歌山県は7人、滋賀県は4人で、前回と同数でした。

 2019年3月8日(金)

 

■虫歯治療の麻酔で2歳女児死亡 福岡県の歯科医を書類送検へ

 福岡県春日市の歯科医院で2017年7月、虫歯の治療後に女児(当時2歳)が死亡した医療事故があり、福岡県警は7日、当時院長だった50歳代の男性歯科医を業務上過失致死容疑で福岡地検に書類送検する方針を固めました。県警は、男性歯科医が容体の変化を見逃さずに救急車を呼ぶなどの適切な対応を取っていたら、命を救えた可能性が高いと判断しました。

 死亡したのは春日市の山口叶愛(のあ)ちゃん。家族によると、2017年7月1日夕に虫歯治療のため医院を訪れ、女性担当医が歯茎に麻酔薬を注射し、歯を削るなど約50分間にわたり治療しました。治療直後に叶愛ちゃんが目の焦点が合わないなどぐったりしたため、両親は女性担当医から引き継ぎを受けた院長だった男性歯科医に処置を求めましたが、男性歯科医は脈を計測して「特に問題ない。よくあること」などと説明し、救急などの処置を取らなかったといいます。

 叶愛ちゃんは医院内で休んでいましたが、約1時間後にけいれんを起こすなどしたため、両親が車で近くの救急病院に連れて行きました。意識不明の状態が続き、2日後の3日昼過ぎに死亡しました。司法解剖の結果、死因は麻酔薬のリドカインの急性中毒による低酸素脳症でした。

 男性歯科医は代理人弁護士を通じ、「専門家として求められる措置は取っており、対応は適切だった」としています。歯科医院は事故後に閉院しました。

 2019年3月7日(木)

 

■人工透析の治療中止後に40歳代の女性死亡 東京都が公立病院を立ち入り検査

 東京都福生(ふっさ)市の公立病院で、腎臓病を患っていた40歳代の女性患者の人工透析の治療が中止され、患者が数日後に死亡したことがわかりました。病院側は医師と女性が話し合って中止を決めたとしていますが、東京都は病院を立ち入り検査し、医師と女性との話し合いの詳しい経緯を調べています。

 昨年8月、東京都福生市の公立福生病院で、腎臓病を患っていた44歳の女性の人工透析の治療が中止され、女性は数日後に死亡しました。

 病院長は取材に対し、女性は医師と複数回話し合って、透析治療を受けないことを決めたと説明しています。

 日本透析医学会のガイドラインでは、人工透析を中止するのは、回復の見込みがない終末期の患者が事前に意思を表明し、全身の状態が極めて悪くなった場合などに認められるとしています。

 東京都は6日、医療法に基づいて病院に立ち入り検査を行い、女性が治療の中止に同意した経緯や治療を中止した後、考えを変えて治療の再開を望んでいなかったかなどについて、詳しく調べることにしています。

 公立福生病院は、「東京都の調査を受けているので、結果が出るまで詳しいことはコメントできない」としています。

 人工透析の治療を専門とする医師など1万3000人余りが参加する日本透析医学会は7日、「大変に重要な案件と考えている」として調査委員会を立ち上げ、今後病院に立ち入り調査を行って関係者から事情を聴くなどして、事実関係を調べることを公表しました。

 その上で、学会の外部の専門家を含めた倫理委員会で審議し、学会としての見解を公表するということです。

 人工透析は、病気で腎臓の機能が低下した患者に対して、専用の装置を使って、血液の中の老廃物などを取り除いて血液をきれいにする治療法です。

 日本透析医学会は、5年前に人工透析を見合わせる際の条件などを定め、「提言」としてガイドラインをまとめています。それによりますと、見合わせる時は主に人工透析を行うことが患者の生命に危険を及ぼす場合や、状態が極めて悪い、いわゆる終末期の患者が人工透析の中止を希望した場合としています。

 そして、患者の体の状態が改善した場合や、患者や家族が再開を希望した場合は人工透析を再開するとしています。また、患者が人工透析を強く拒否した場合は、医療チームが治療の必要性について納得してもらうよう努力した上で、それでも患者の意思が変わらなければ尊重するとしています。

 2019年3月7日(木)

 

■赤ちゃん用の液体ミルクを江崎グリコが発売 消費者庁は注意喚起 

 子育て中の家庭から要望が出ていた赤ちゃん用の液体ミルクが今週、発売されました。消費者庁は流通が本格化するのを前に、飲み残しは使わないなどの注意点をまとめ、ホームページで公表しました。

 発売されたのは大手菓子メーカー「江崎グリコ」の125ミリリットルの紙パック入りの商品で、6カ月間、常温で保存できます。

 公式サイトでの通販に加え、3月11日からベビー用品店などでの販売が始まるほか、大手乳業メーカーの「明治」も来週、新たな商品を発表することにしています。

 赤ちゃん用の液体ミルクは海外で普及しているのに対し、国内では発売されていませんでしたが、子育て中の家庭などからの要望を受けて、厚生労働省と消費者庁が衛生基準や乳児の発育などに適した「特別用途食品」の表示基準を定め、それぞれのメーカーで商品開発を進めていました。

 一方、今回の発売に合わせて消費者庁は使用上の注意点をまとめ、ホームページで公表しました。

 この中では、紙パックや缶などに入った商品は清潔な容器に移し、開封後はすぐ赤ちゃんに与えるとともに、飲み残しは雑菌が繁殖しやすいため、使わないよう呼び掛けています。

 消費者庁の岡村和美長官は、「乳児が飲むものなので、購入する際は『特別用途食品』のマークを確認してほしい」と話しています。

 2019年3月7日(木)

 

■点滴過剰投与で高3女子が死亡 男性医師を書類送検、大阪府警

 大阪府高石市の高石藤井病院で2015年12月、不適切な点滴投与で高校3年の女子生徒(当時18歳)を死亡させたとして、大阪府警捜査1課は6日、治療に当たった元非常勤の男性医師(44歳)を業務上過失致死容疑で書類送検し、発表しました。

 捜査1課によると、医師は2015年12月29日、知人男性と食事をした後、目のはれやせきなどの食物アレルギーとみられる症状を訴えて救急外来を受診した女子生徒に、アドレナリン注射薬を過剰に投与するなどして、翌日にアナフィラキシーショックで死亡させた疑いがあります。医師は注射薬1ミリリットルを静脈から点滴で投与したといい、女子生徒は直後から「苦しい」と訴えていました。

 府警に対し、別の複数の医師が薬剤の投与について問題があったとの見解を示し、書類送検された医師も「正しい処置ができていれば、事故は防げた」などと話したといいます。

 女子生徒の家族が2017年11月に刑事告訴。遺族は医師と病院側に損害賠償を求めて提訴し、同年9月に病院側が落ち度があったことを認めて和解が成立しています。

 2019年3月7日(木)

 

■経済的な理由で受診が遅れ、2018年に77人死亡 民主医療機関連合会が調査

 全日本民主医療機関連合会(東京都文京区)は6日、経済的な理由により医療機関での受診が遅れ、2018年に死亡した人が77人いたと発表しました。このうち22人は、保険料が払えないなどの理由で公的医療保険に加入していない無保険者だったといいます。

 調査は2018年1~12月、同連合会に加入する全国の病院・診療所636カ所を対象に実施。死亡した77人のうち57人は60歳代以上でした。

 無保険者を除く55人のうち、11人は保険料滞納で有効期間が短い「短期保険証」しか持っておらず、2人は滞納で医療費が全額自己負担となる人でした。37人は通常の保険証を持っていましたが、自己負担分を払えないなどの理由で早期に受診していなかったといいます。

 国民健康保険に加入していた50歳代男性は、製造業を営んでいたもののリーマン・ショックで失業。体調不良が数カ月続きましたが、自己負担分を払えないとして病院に行きませんでした。受診時に重度のがんが判明、4カ月後に亡くなったといいます。

 政府は、医療費抑制策として後期高齢者の自己負担引き上げなどを検討する方針。全日本民主医療機関連合会の岸本啓介事務局長は、「明らかに受診抑制になる。相当な危惧を持たざるを得ない」と話しています。

 また、岸本事務局長は、一定の条件に該当すれば無料または低額で受診できる医療機関があるので、受診をためらわないでほしいと呼び掛けています。

 2019年3月6日(水)

 

■2007年以降、介護ベッド事故が79件発生 このうち43人が死亡

 介護用ベッドの利用者が手すりに首や手足を挟まれる重大事故が、全国で後を絶ちません。消費者庁への報告が義務付けられた2007年以降、79件が発生し、このうち43人が死亡しました。大半が介護施設などでの事故とみられ、安全対策を強化したベッドへの入れ替えが進まないことが背景にあります。

 死亡事故の中で多いのが、手すりと手すりの透き間や、手すりと頭部のボードとの間に首が挟まれるケース。36件発生した重傷事故では、手すりの透き間に腕や足などを挟まれ、骨折した高齢者が多くなっています。

 「入所者が手すりに片手を突っ込んだ状態でリクライニングを動かしてしまい、強い力で挟まれたことがあった」と、東北地方の特別養護老人ホームで働く男性職員はそう打ち明けています。自分の体を支えられず倒れ込む恐れのある人や、危険な状態から自力で抜け出せないと思われる人、認知症で予測できない行動をとる人などは、特に注意が必要となります。

 2007年施行の改正消費生活用製品安全法では、生活関連製品による重大事故や火災が発生した場合、メーカーなどに国への報告が義務付けられました。以後、介護用ベッドに関する重大事故は毎年数件~十数件が報告され、消費者庁は、大半が認知症の高齢者とみています。

 2007、2008年度に計27件の重大事故が報告されたことから、経済産業省は2009年3月、介護用ベッドに関する日本工業規格(JIS)を改正。頭や手足が挟まらないよう、手すりの透き間を狭くするなどの安全対策が強化されました。

 重大事故が後を絶たないのは、規格改正前のベッドが依然利用されているためです。介護用ベッドメーカーの業界団体「医療・介護ベッド安全普及協議会」などによると、介護用ベッドは高いもので50万円を超え、大量に入れ替えた場合の負担は大きくなります。

 消費者庁の担当者は、「十分な見守りができない場合は、できるだけ規格改正後のベッドを利用してほしい」と呼び掛けています。

 規格改正後の介護用ベッドへの入れ替えが難しい場合、手すりの透き間をふさぐことが事故防止に有効とされています。各メーカーが配布する専用の補助器具やカバーのほか、クッションや毛布などで透き間をふさぐだけでも効果があります。介護用ベッドの周囲を整理・整頓し、利用者が身を乗り出さなくてすむ環境にしておくことも有効です。

 向殿(むかいどの)政男・明治大名誉教授(安全学)は、「介護用ベッドの重大事故は、あまり知られておらず、国はもっと注意喚起する必要がある。事故がなくならなければ、規格改正前のベッドの使用を禁止する措置も検討すべきだ」と指摘しています。

 2019年3月6日(水)

 

■はしか患者、新たに33人で累計258人に 大阪府94人、東京都19人

 国立感染症研究所は5日、2月24日までの1週間に新たに33人のはしか(麻疹=ましん)患者が報告されたと発表しました。今年の累計患者数は258人となり、過去10年で最多ペースの増加が続いています。

 都道府県別では、これまで患者が多かった大阪府や東京都、愛知県で引き続き増え、累計患者数は大阪府が94人で最も多く、三重県50人、愛知県 25人、東京都19人と続いています。

 はしかは、発熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、感染力が極めて強く、重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあります。年明けから三重県や大阪府で局所的に急増。さらに愛知県や東京都など感染が全国規模に広がっています。

 唯一の予防法はワクチン接種ですが、報告された患者の多くは接種歴がないか不明だといいます。

 ウクライナやフィリピンなど世界的にも流行しており、流行国から帰国後に発症したケースも多くなっています。国立感染症研究所は海外渡航前にはワクチンの接種歴を確認し、必要に応じて接種するよう求めています。

 2019年3月6日(水)

 

■子宮頸がんウイルスの郵送検査サービスを開始  シミックヘルスケア

 シミックホールディングス傘下のシミックヘルスケア(東京都港区)は、子宮頸(けい)がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の郵送検査サービスを始めました。自宅に届く専用検査キットを使って検査申込者自身で検体を採取し、検査機関に送ります。医師による採取への抵抗感をなくし、受診率向上につなげたい考えです。

 新サービス「セルチェック子宮頸がん」は、婦人科検診や健康診断のオプションとして健康保険組合や企業、自治体に売り込み、4月以降は全国の薬局でも販売します。料金は一般向けの店頭価格で7000~9000円を想定しており、団体向けは規模などによって異なります。

 専用のウェブサイトで申し込みと、検査結果の閲覧ができます。結果は陽性か陰性、測定不能のいずれかを通知します。HPVは種類によってがん発症リスクが異なることから、陽性の場合はウイルスの種類(ハイリスクである16型または18型、その他)も報告します。陽性だった人には、看護師による無料相談サービスと精密検査のための医療機関検索サービスを提供します。

 子宮頸がんは子宮の入り口に発生するがん。原因のほとんどがHPVの感染に由来し、患者の9割超からHPVが検出されます。国内では20~30歳代を中心に罹患(りかん)率が高まっているものの、検診の受診率は海外に比べて低くなっています。これまでのHPV検査は医師が検体を採取しており、低受診率の背景には被検者の抵抗感もあるとみられます。

 シミックヘルスケアは今後、「セルチェック」を自己検査キットシリーズとしてブランド展開する計画で、慢性腎臓病や睡眠、精神疾患、乳がんなどさまざまな疾患や兆候へ適用し、早期発見や重症化予防に貢献したいとしています。

 2019年3月6日(水)

 

■国内最高齢男性が112歳の誕生日 長寿の秘訣は「笑って喜ぶこと」 

 新潟県上越市に住む国内最高齢の男性、渡邉智哲(ちてつ)さんが5日、112歳の誕生日を迎え、「いつでも笑って喜ぶことで長生きできています。まだまだ、大丈夫です。サンキュー」と笑顔で語りました。

 1907年(明治40年)3月5日生まれで、今は家族にも恵まれ、子供5人、孫は12人、ひ孫が16人。そして、2019年1月には、やしゃごも生まれたといいます。

 5日に112歳の誕生日を迎えた渡邉さんのもとを、上越市の村山市長が訪ね、「おめでとうございます。いいお顔ですね」と述べ、「112本」のバラの花束を手渡しました。

 甘い物が大好きという渡邉さんには、家族から「112」の数字をかたどったケーキが贈られ、おいしそうに味わっていました。

 好きな食べ物を尋ねられると、渡邉さんは「おまんじゅう」と話し、ふだん心掛けていることについては、「喜んで笑うことです」と笑顔で応じていました。

 また、渡邉さんは、得意とする習字の腕前も披露し、ひらがなで「ありがとうさま」、漢字で「日本一」と勢いよく、書き上げていました。

 渡邉さんは、「お祝いいただいてありがとうございます。極楽で喜んでおります。いつでも笑って喜ぶことで長生きできています。まだまだ、1年、2年、大丈夫です。頑張ります。サンキュー」と話していました。

 2019年3月5日(火)

 

■ロンドンの男性、世界2人目のエイズ完治例か 耐性ドナーからの幹細胞移植で

 HIV(エイズウイルス)に感染したロンドン在住の男性が幹細胞移植を受け、完治した可能性があるとの症例研究が発表されました。5日発行のイギリスの科学誌「ネイチャー」で、ロンドン大学のラビンドラ・グプタ教授らが報告しています。

 グプタ教授の患者はロンドンに住む匿名の男性で、2003年にHIV感染が判明。2012年以降、HIVを制御する抗レトロウイルス薬で治療を受けていました。その後、進行した悪性リンパ腫が見付かったため化学療法を受けた後、2016年に幹細胞移植を受けました。ドナーはHIVに耐性のある変異遺伝子を持っていました。

 男性患者は移植後も1年4カ月の間、抗レトロウイルス薬による治療を続けましたが、1年半前に投与を中止した後もHIVは検出されていません。

 研究チームは完治したと判断するにはまだ早すぎるとして、今後も引き続き男性患者の状態を観察する構え。

 グプタ教授は、この治療がすべての患者に適用できるわけではないとした上で、新たな治療法への希望が示されたと主張しています。

 HIV感染者が幹細胞移植で完治したとされる例は、10年以上前の2007年にドイツのベルリンで報告されていました。

 「ベルリン患者」と呼ばれるティモシー・レイ・ブラウンさんは、HIV感染で抗レトロウイルス薬の治療を受けている間に急性骨髄性白血病と診断され、HIV耐性を持つドナーから2回の幹細胞移植を受けました。抗レトロウイルス薬の投与を中止してから数年後にHIVの痕跡が見付かったものの、ウイルス量は検出限界以下の状態が続き、唯一の完治例とみなされています。

 研究者らはこれまで、ベルリン患者の治療を再現しようと試みてきましたが、成功例は報告されていませんでした。

 グプタ教授は、「同様の治療で2人目の患者が寛解したことにより、ベルリン患者が例外だったのではなく、この治療がHIVを消滅させたということが立証された」と話しています。

 ただし専門家らによると、HIV耐性を持つドナーからの幹細胞移植によって一部のエイズ患者だけが治る仕組みはまだわかっていません。また、HIVに感染しても通常は抗レトロウイルス薬により健康状態を維持できる一方、幹細胞移植には大きなリスクも伴います。そのため現時点での対象者は、エイズ以外の理由で移植が必要な人に限られるといいます。

 2019年3月5日(火)

 

■iPS細胞から作った目の角膜移植、厚労省の部会も了承 6月から7月ごろにも実施へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した目の角膜の組織を患者に移植して、視力を回復させる大阪大などの臨床研究が厚生労働省の部会で条件付きで了承されました。iPS細胞を使った角膜の再生医療は世界で初めてで、角膜移植を待つ患者の新たな選択肢になるか注目されます。

 厚労省の部会で了承されたのは、大阪大の西田幸二教授らの研究チームが計画している臨床研究で、角膜が濁って視力が大きく低下し、失明することもある「角膜上皮幹細胞疲弊症」の患者4人にiPS細胞から作製した円形のシート状の角膜の組織を移植し、1年間、安全性と有効性を確認します。

 厚労省の部会は5日、計画について審議し、患者4人のうち2人が終わった段階で部会に報告することなどを条件に了承しました。

 iPS細胞を応用した角膜の再生医療は世界で初めてで、臨床応用に向けた厚労省の手続きが終わったのは目の網膜の難病やパーキンソン病、それに重い心臓病などに続いて6件目です。

 計画では元になるiPS細胞は京都大で保管されているものを使い、数百万個の細胞で角膜の組織を作る計画で、拒絶反応を抑える免疫抑制剤については2例目までは使用して、その後は状況をみて、使用するか検討することにしているということです。

 研究チームは今後、対象となる患者を選定し、早ければ今年6月から7月ごろには1例目の移植を行いたいとしています。

 厚生労働省によりますと、角膜の移植はアイバンクに事前に登録した人などが亡くなった時に角膜を提供してもらい行っていますが、提供者が減っていて、昨年3月の時点で角膜の移植を待つ人の数は全国で1600人以上いるということです。

 研究チームでは、安全性と有効性が確認できれば対象となる病気を広げていきたいとしています。

 西田教授は、「ここからがスタートで、安全に迅速に臨床研究を行い、早く標準的な治療になるよう実施していきたい。角膜移植では角膜を提供してくれるドナーが不足しており、補うような役割を果たせればと思っている」と話しています。

 今回の臨床研究の対象となるのは角膜上皮幹細胞疲弊症と呼ばれる病気で、角膜の最も外側にある「角膜上皮」と呼ばれる組織が病気やけがなどで傷付いて白く濁り、視力が低下するほか、悪化すると失明することもあります。国内の患者数は500人ほどと推定されています。

 2019年3月5日(火)

 

■人の臓器を持ったブタなどの動物の出産、解禁 文科省が指針改定

 動物の受精卵が成長した胚(はい)に、人の細胞を注入した「動物性集合胚」の取り扱いについて、文部科学省は1日、より幅広い研究ができるように指針を改定しました。禁じられていた動物性集合胚の動物の子宮への移植や、この胚を使った出産が可能になります。

 動物の体内で人の臓器を作る研究が、国内でも本格化するとみられます。人の子宮への移植や、この方法で生まれた動物の交配は禁じます。

 指針の改定で、例えば膵臓(すいぞう)ができないようにしたブタの胚に人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を注入後、胚をブタの子宮に移植し、人のの膵臓を持つ子供のブタを作れます。

 将来的には、この方法で作った臓器を取り出し、治療目的での人への移植も検討されています。人と動物の外見が混じった個体が生まれる可能性は、極めて低いとされます。

 これまで動物性集合胚を作るのは基礎研究に限られ、最長14日しか培養できず、移植もできませんでした。

 研究を進めるには、研究機関と文科省の2段階の審査で認められる必要があります。東京大のグループが研究の準備を進めています。

 2019年3月5日(火)

 

■風疹の1週間の患者数、今年初めて100人超 2013年に次ぐ大流行の恐れ

 風疹の患者数は、2月24日までの1週間に、新たに109人報告され、今年の患者数は650人になりました。1週間の患者が100人を超えるのは今年に入って初めてで、国立感染症研究所は、今年は大きな流行になる可能性があるとして、注意を呼び掛けています。

 風疹は、発熱や発疹などの症状が出るウイルス性の感染症で、妊娠中の女性が感染すると生まれてくる赤ちゃんの目や耳、それに心臓などに障害が起きる可能性があります。

 国立感染症研究所によりますと、2月24日までの1週間に、全国の医療機関から報告された患者は109人と、今年初めて100人を超えました。これで、今年の累積患者数は650人となり、昨年の同じ時期の4人と比べて大幅に増えています。

 国立感染症研究所は、年間の患者数が1万4344人に達した2013年に次ぐような大きな流行に可能性があるとしています。

 都道府県別のこれまでの累積患者数は、東京都が173人、神奈川県が93人、千葉県が68人、大阪府が59人、福岡県が44人などとなっています。

 厚生労働省は流行の中心となっている39歳から56歳の男性を対象に、ワクチンの接種などを原則無料で実施する制度を始めることにしているほか、自治体によっては妊娠の可能性がある女性やその家族を対象に、接種費用を補助するところもあり、国立感染症研究所は、国や自治体の制度を活用してワクチンの接種を検討するよう呼び掛けています。

 感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「大きな流行になった2013年は前の年から患者が多く、今年もその時の状況に似ていて、今年が大きな流行になる恐れがあると思う。赤ちゃんに障害が起きる先天性風疹症候群を防ぐためにも、ワクチンを接種した記録がない人などは国や自治体の制度を活用して、ワクチンの接種を検討してほしい」と話しています。

 2019年3月5日(火)

 

■拡張型心筋症の治療法、名大が今春にも臨床研究へ 心臓に袋をかぶせて進行抑制

 心臓が膨らんで筋肉が薄くなり、血液を全身に送り出すポンプ機能が低下する難病「拡張型心筋症」の患者に対し、心臓にメッシュ状の袋をかぶせて進行を抑える臨床研究を、名古屋大の研究チームが今春にも始めます。心臓移植に至る重症患者を減らせる新たな治療法として、3年以内の実用化を目指すといいます。

 拡張型心筋症では主に投薬治療が行われるものの、根本的な治療は心臓移植しかありません。心臓の膨らみを袋で抑える手法は欧米でも試みられましたが、心臓の一部を圧迫し、かえって心機能を悪化させたケースもあり、実用化には至っていません。

 研究チームは心臓の画像を基に、患者に適したサイズの袋を作る手法を開発。袋は外科手術の縫合用の糸をメッシュ状に編んだもので、一部に穴を開けて心臓を圧迫しない構造にしました。ブタなどの実験で、心機能の改善効果を確認できたといいます。

 対象は20~75歳の患者3人で、手術後は半年間、安全性や心機能を調べます。その後、保険承認を目指す臨床試験(治験)に移る方針。

 研究チームの秋田利明・特任教授(心臓外科)は、「手術は1時間以内ですみ、感染症などのリスクも少ない。早期に実用化し、心臓移植でしか救命できない重症者を減らしたい」と話しています。

 坂田泰史・大阪大教授(循環器内科)は、「心機能を維持する治療の選択肢になると期待できる。今後、どんな患者に有効かを見極めることが課題になる」と話しています。

 拡張型心筋症は、呼吸困難や不整脈などの症状が起きる難病。多くは原因不明で、補助人工心臓を装着し、心臓移植を待つ患者も多くいます。国の医療費助成を受ける患者は2016年度末現在、約2万8000人。

 2019年3月4日(月)

 

■平日の睡眠不足を補う週末の寝だめに効果なし アメリカのコロラド大で実験

 平日の睡眠不足を補うために週末は長く眠る、いわゆる「寝だめ」の効果について、アメリカの研究チームが実験して調べたところ、睡眠不足を十分補えず、効果がないことがわかったとしていて、ふだんから1日7時間の睡眠をとるよう勧めています。

 この研究は、アメリカのコロラド大学の研究チームが28日、科学雑誌「カレント・バイオロジー」に発表しました。

 研究チームは、18歳から39歳までの肥満ではない男女36人を、9時間の睡眠時間をとるグループ、5時間しか寝ないグループ、それに平日は5時間寝て、週末の2日間好きなだけ寝てもよい「寝だめ」をするグループに分けて、9日間、観察しました。

 その結果、「寝だめ」をするグループの人達の睡眠時間は、週末に好きなだけ寝てもよいとはいうものの、1日当たり1時間程度しか増えませんでした。その一方で、平日には眠りに就く時間が遅れ、睡眠不足を十分、補えないことがわかりました。

 また、「寝だめ」をする人達は、日中起きている時間が多いことから、間食が増え、最大で体重が1・3キロ増加したほか、糖尿病のリスクも高くなるなど、かえって悪影響があると指摘しています。

 研究チームでは、この研究結果から、寝だめには効果がないことがわかったとしており、「テレビやスマホを見る時間を減らし、ふだんから少なくとも1日7時間の睡眠をとるべきだ」と勧めています。

 2019年3月4日(月)

 

■スマホ充電ケーブルの事故、5年間で80件超 化学やけどを負うケースも

 スマートフォン(スマホ)の充電ケーブルのコネクターが異常に発熱してやけどを負うなどの事故は、この5年間で80件を超えています。「化学やけど」と呼ばれるけがを負ったケースもあり、製品評価技術基盤機構(NITE)が注意を呼び掛けています。

 NITEによりますと、スマートフォンなどの充電ケーブルが異常に発熱したり発火したりした事故は、2018年3月までの5年間に86件報告され、20人余りがやけどなどのけがをしています。

 このうち最も多いのが、コネクターの内部にほこりや飲み物などが入り込んだまま使ったためショートしたり、異常に発熱したりしたケース。2016年7月には大阪府の40歳代女性が「充電中のスマホから異臭がし、ケーブルとの接続部分が焦げて指がやけどした」という事故を始め、28件が報告されています。

 また、変形したコネクターを使ったためにショートしたケースも22件と多く、2017年10月には宮崎県の30歳代の男性が、スマートフォンは接続せずに、コンセントに充電ケーブルを接続したままの状態で放置していたところ、周辺が燃える火災が起きています。

 さらに、電源に接続されたコネクターが就寝している人の皮膚に長時間触れたために、汗などが電気分解され、発生した物質で皮膚が傷付く「化学やけど」を負った人も2人いて、このうち1人は重傷だということです。

 このためNITEは、充電ケーブルに無理な力をかけないこと、変形したコネクターは使わないこと、コネクターにゴミなどが入り込んでいないか確認すること、それに電源に接続したコネクターを長時間体に触れさせないことといった注意点を公表し、事故を防ぐよう呼び掛けています。

 2019年3月4日(月)

 

■より深刻な「アフリカ豚コレラ」がアジアで拡大 日本も警戒を

 豚の伝染病の豚(とん)コレラが岐阜県、愛知県、大阪府、長野県、滋賀県の5府県で発生しましたが、さらに感染力が強く深刻な別の豚の病気「アフリカ豚コレラ」への感染が、2月からベトナムの養豚場で相次いで報告されるなどアジアで拡大し、農林水産省は関係者に警戒を呼び掛けています。

 アフリカ豚コレラは5府県で発生した豚コレラとは全く違う豚の病気で、人には感染しませんが、豚には極めて強い感染力があり、皮膚や内臓に出血による紫斑ができ、感染から10日以内に確実に死に至ります。流行による経済的損失は甚大で、ウイルスが検出された養豚場では全頭を処分しなければならないため、現時点で最も警戒されています。

 アフリカ豚コレラは1921年にケニアで最初に発見されて以来、サハラ砂漠以南の地域や西アフリカで流行を繰り返していましたが、12年ほど前に東ヨーロッパやロシアなどで発生し、2018年8月、初めて中国で発生すると、中国国内のおよそ130カ所の養豚場などに拡大し、モンゴルでも発生が確認されました。

 今年2月からベトナムの養豚場でもアフリカ豚コレラの感染が相次いで確認され、2月27日の時点で10カ所以上の施設で発生が報告されています。

 農水省はベトナムから日本に来る飛行機の利用客に対して、許可なく肉を持ち込まないことなどを呼び掛けるとともに、動物検疫所の探知犬や職員を増やして対策を強化しています。

 農業・食品産業技術総合研究機構の山川睦海外病研究調整監は、「アジアで豚に対する感染が拡大しているため日本に入る恐れが高まっている。養豚場での衛生管理もこれまで以上に徹底してほしい」と話しています。

 2019年3月3日(日)

 

■摂食障害者の半数以上が職場での昼食に心の負担 6割が離職を経験

 治療を続けながら働く摂食障害の患者の半数以上が職場での昼食に心の負担を感じ、症状が悪化したために仕事を辞めた経験があるという患者も60%近くに上るという調査結果がまとまりました。

 この調査は、摂食障害の専門家などでつくる日本摂食障害協会が昨年、インターネットなどを通じて行い、就労経験のある10歳代から60歳代までの患者298人が回答しました。

 摂食障害は、体型へのこだわりやストレスなどが原因で食事がとれなくなる拒食症や、逆に大量に食べてしまう過食症の症状があり、専門家によると全国で数十万人が症状を持っているとみられています。

 調査によりますと、「症状がありながら就労している」と答えたのは72・6%で、多くの患者が生活や通院、過食のため食費がかかるといった理由で完治する前に仕事に就いていました。

 また、摂食障害のために仕事上の困難を感じているか尋ねたところ、79・9%が「ある」と答え、「拒食症でほとんど食べることができないが、昼食に誘われる」とか「過食の衝動が起きるのが怖く、昼食を控えたいが、仲間に誘われ難しい」など、職場での食事が大きな負担だという答えが半数を超えました。

 そして、働いた経験がある患者のうち58・2%が「症状が悪化した」などの理由で「仕事を辞めた経験がある」と答え、治療と仕事の両立に課題がある実態がうかがえました。

 調査を行った日本摂食障害協会の理事で精神科医の西園マーハ文さんは、「無理をして周囲に合わせて食事をして症状が悪化し、入院するケースも出ている」と話しています。そのため、患者と会社が症状を共有して対応を考えることが大切だとしており、「働き方についてよく話し合い、1人で昼食をとることや会食を強要しないことなどを会社に理解してもらうことが大切だ。社会参加は回復する上でも大切なことで、会社側も治療をしながら長く働けるような支えを考えてほしい」と話しています。

 摂食障害の好発年齢は、元来10歳代から20歳代前半の若年女性でしたが、近年では高年齢化が指摘され、働く女性の摂食障害患者は珍しくなくなってきています。

 2019年3月3日(日)

 

■新型出生前検査、小規模な医療機関も可能に 産科婦人科学会が条件緩和

 生まれる前の赤ちゃんに染色体の異常がないかを調べる新型出生前検査について、日本産科婦人科学会は、現在検査を行っている規模の大きな病院だけでなく、小規模な医療機関でも行うことができるように条件を緩和して、検査を行う施設を増やす方針をまとめました。

 新型出生前検査は、妊婦の血液を流れる胎児のDNAからダウン症、エドワーズ症候群、パトー症候群を

引き起こす3つの染色体異常があるか判定する検査で、日本産科婦人科学会は検査を行う医療機関の条件を定め認可を受けた施設で行うよう求めています。

 これまでの条件は、産婦人科と小児科の両方の医師が常勤していること、検査の前と後に心理的なサポートも含めた専門的なカウンセリングを行うことなどとし、大学病院などの規模の大きな全国の92の病院が認可を受けて実施しています。

 しかし、罰則がなく認可を受けずに検査を行う医療機関が15以上あるとされることから、学会は、一定の条件を満たせば連携施設という名称でクリニックなどの小規模な医療機関でも検査が行えるよう条件を緩和し、認可施設を増やす方針をまとめました。

 連携施設の条件として、研修を受けた産婦人科の医師がいれば小児科の医師の常勤は必要なく、検査の前後のカウンセリングは検査の説明や情報提供でその代わりにすることができるということです。そして、連携施設の検査で「異常の可能性がある」という結果が出た場合には、規模の大きな病院に紹介して専門的なカウンセリングを行うとしています。

 学会は今後、関連するほかの学会や国民から意見を募り、最終的に決定したいとしています。

 この新型出生前検査で異常が見付かると妊婦の9割以上が人工妊娠中絶を選んでいることなどから、臨床遺伝の専門医が集まる日本人類遺伝学会などは、適切に判断するためには検査前の段階から十分なカウンセリングが必要だとして今回の方針に反対しています。

 日本産科婦人科学会の苛原稔倫理委員長は、「連携施設でも原則として専門的な知識を持った医師が検査を行うことになり、カウンセリングも高いレベルのものを求めていく。妊婦に寄り添う形で適切に進めていきたい」としています。

 国内では2013年から始まった新型出生前検査は、晩婚化で高齢での出産が増えていることなどを背景に、検査の件数は年間1万件以上あり、昨年9月までに認可施設で行った検査は累積で6万件以上に上っています。

 2019年3月3日(日)

 

■はしか、世界98カ国で患者増加 ユニセフが発表

 日本を含む世界各地で、はしか(麻疹=ましん)の感染が広がっていることから、国連児童基金(ユニセス)は、各国の政府などに対し、子供へのワクチンの接種を徹底させるよう呼び掛けています。

 ユニセフは1日、世界各地ではしかの感染が拡大しており、2018年に、2017年よりも患者が増加した国は98カ国に上ることを明らかにしました。

 世界保健機関(WHO)の調べでは、2018年に患者の数が最も多かったのはインドで6万4972人、続いてウクライナが5万3218人、パキスタンで3万3224人などとなっています。

 アジアでもはしかの感染は拡大傾向にあり、フィリピンでは今年に入り1万2000人以上が感染、早くも昨年1年間の約1万6000人に迫る勢いで、死者も200人以上出ています。日本でも感染者が増加、国立感染症研究所の集計では大阪府、三重県など22都道府県で220人以上の感染が報告されています。

 ユニセフは、感染が拡大している原因として、医療体制が脆弱(ぜいじゃく)なことや紛争のために十分な治療が提供できないこと、それにはしかに対する危機感が市民の間で薄いことなどを指摘しています。

 またアメリカでは、健康上のリスクを引き起こすとしてワクチンの接種を控えたり拒否したりする動きが広がっており、こうした動きも感染拡大の原因として挙げています。

 ユニセフは、各国の政府や市民に対し、ワクチンは安全かつ効果的で命を守るものだと理解した上で、生後6カ月から5歳までのすべての子供にワクチンの接種を徹底させるよう呼び掛けています。

 2019年3月3日(日)

 

■薬の管理をロボットに任せる日本初の薬局が誕生 大阪市中心部に

 棚にある薬の管理はロボットに任せる「次世代型」の調剤薬局が1日、大阪市中心部に日本で初めてオープンしました。薬剤師は患者に薬の注意点などを伝える「服薬指導」に集中でき、患者は薬局が無人となる時間外でも、処方された薬を受け取れます。このロボットシステムの導入は日本で初めてといいます。

 開業したのは「梅田薬局」で、大阪市北区のヒルトンプラザイースト5階にできた医療モール「大阪梅田メディカルセンター」内で営業を始めました。

 アメリカの医療機器大手のロボットで、日本BDが発売。薬剤師の指示があると、処方箋(せん)の情報をもとに、ロボットアームが使用期限が近い薬を調剤棚から選び取り、10秒ほどで払い出し口に届けます。

 梅田薬局では、約2000種類の薬を調剤棚にそろえます。棚に薬を入れる時は、薬剤師が箱などに記載されたバーコードを読み取り、装置の入り口に置きます。すると、ロボットアームが自動的に整理し、棚に並べていくといいます。さらに、昼夜を問わず空いた時間に、使用頻度に応じて最も効率的な薬の配置に並べ替えます。

 日本BDによると、ヨーロッパを中心に、すでに約8000台が導入されています。一方、日本ではまだ、薬の整理や管理、棚からの取り出しは、薬剤師が手作業でやるのが一般的です。ただ、薬を探すのに時間がかかるなどして、患者が薬局で待たされることも多くなっています。ロボットの導入で、待ち時間は大幅に短縮されそうです。

 営業時間後でも、QRコードを機械にかざせば、薬剤師がいなくても薬を受け取れます。営業時間内に薬剤師から服薬指導を受ける必要はあるものの、その後はいったん店を離れられるため、日中は時間がない人にとっても便利。

 梅田薬局を運営するメディカルユアーズの渡部正之社長は、「この調剤を自動化する装置を活用し、待ち時間ゼロの薬局を目指したい」と話しています。

 2019年3月3日(日)

 

■在宅医療利用の患者、1日当たり18万人で最多 2017年調査

 2017年に通院が困難な患者らの自宅などを医師が訪れる「在宅医療」を受けた患者数が1日当たり推計18万人となり、1996年の調査開始以来、最多だったことが1日、厚生労働省の患者調査で判明しました。

 患者が入院から在宅医療へシフトしていることが背景とみられ、厚労省担当者は「高齢化で在宅医療の需要が増し、国も医療機関などに補助金を出して政策的な支援を進めているため」とみています。

 患者調査は3年に1度。2017年10月、全国1万3594カ所の医療機関を対象に、入院や通院した計約343万人を基に推計値を算出しました。

 在宅医療を受けた外来患者の推計は1日当たり18万100人で、2014年の前回調査と比べて2万3700人増加。「訪問診療」(11万6000人)が過半数を占めたほか、必要な時に医師を自宅に呼ぶ「往診」(4万4000人)、看護師など「医師・歯科医師以外の訪問」(2万人)が続きました。

 外来患者の総数は、2014年の前回調査から4万人減少の719万人。年齢層別では、65歳以上が364万人で、35~64歳が218万人でした。

 入院患者は推計131万人(前回比6200人減)で、このうち65歳以上が7割を占めました。一方、2017年9月に医療機関から退院した患者の推計の平均在院日数は29・3日。前回から2日短縮し、減少傾向が続いています。

 2019年3月2日(土)

 

■肺がん治療薬の副作用で、2年半に52人死亡 「オプジーボ」治療歴ある患者はリスク高

 肺がん治療薬「タグリッソ」の使用後に副作用とみられる症状が出て、約2年半で52人が死亡していたことが、製造販売元のアストラゼネカによる調査で判明しました。報告を受けた厚生労働省は、患者の治療歴に注意して使うよう呼び掛けました。

 タグリッソは「EGFR」という遺伝子に突然変異があるタイプの肺がんの治療薬で、手術ができないか再発の患者が対象。調査では、2016年3月から2018年8月までに、タグリッソによる治療を受けた患者3578人を調べました。このうち2079人に下痢や爪の炎症、発疹などの副作用がみられました。亡くなった52人中、27人が間質性肺疾患を発症していました。

 背景を詳しく調べたところ、がん免疫治療薬「オプジーボ」での治療後に、タグリッソを使うと、治療歴のない患者と比べ、間質性肺疾患を発症するリスクが2倍以上に高まることがわかりました。

 2019年3月2日(土)

 

■「かかりつけ薬剤師」の研修受講シール、ネットで不正売買 厚労省が対策要請へ

 薬局に勤める薬剤師が「かかりつけ薬剤師」になるための研修を受講した時に受け取るシールが、インターネット上で不正に売買されていることが1日、明らかになりました。厚生労働省は、研修制度の信頼性を揺るがしかねないとして、研修を行う団体に対策を求める通知を出す方針です。

 インターネット上で出品されていたのは、国内では最も多く薬剤師向けの研修を行っているとされる日本薬剤師研修センターの研修を受講した際に、受け取ることができるシールです。

 薬剤師は必要な研修を受けたことを証明するシールが一定の枚数に達すると、認定薬剤師になることができ、さらに、勤務経験の要件などを満たすと「かかりつけ薬剤師」になることができます。

 「かかりつけ薬剤師」は、患者ごとの複数の処方箋を把握して、同じような作用の薬がないか管理することなどで、加算した調剤報酬を受けることができ、厚労省は、患者が安心して薬を服用するために積極的に導入を進めています。

 シールは、個人が商品を売買するインターネットのオークションサイトなどで、1枚1100円や、30枚余りで1万5000円などとして出品され、一部は売買が成立したことを示す表示もあり、日本薬剤師研修センターはシールが本物であることを確認したということです。

 厚労省は、研修制度の信頼性を揺るがしかねないとして、日本薬剤師研修センターに対して、名簿による受講者の管理など対策を求める通知を出すほか、薬剤師で作る団体などには不適切な方法で認定を取得しないように所属する薬剤師に周知することを求める通知を出す方針です。

 日本薬剤師研修センターの豊島聰理事長は、「多くの薬剤師はきちんと研修を受けていると思っているだけに、大変憂慮すべき事態だ。今後、不正防止の対応を検討したい」と話しています。

 また、シールの売買がされていたインターネットのサイトやアプリを運営している会社は、禁止されている出品だとして削除を進めたり、日本薬剤師研修センターと相談して、対応を協議したりしているとしています。

 「かかりつけ薬剤師」からは、シールが売買されていることに怒りの声が聞かれました。東京港区の薬局では9人の薬剤師が勤務しており、業務の時間外にそれぞれが研修を受け、5人が「かかりつけ薬剤師」として業務を行っています。

 薬局を経営している北村兼一さんは、「シールの売買は、研修にかけるべき時間と労力をお金で買っていることになり、本来の趣旨である自己研さんができずに本末転倒だ。やめてほしいです」と話しています。

 2019年3月2日(土)

■ドリンク剤の成分の「タウリン」、難病の治療薬に 川崎医大が効果を解明

 栄養ドリンク剤の成分としておなじみのタウリンが、難病「ミトコンドリア病」の治療薬として初めて承認されました。効果を突き止めた研究の中心となったのは、川崎医科大(岡山県倉敷市)の研究チームでした。研究開始から約20年かけて、ようやく難病患者への福音にたどり着きました。

 ミトコンドリア病は、細胞の中でエネルギーを作り出すミトコンドリアの働きが低下することで起きます。いろいろなタイプがあり、その中では、けいれんや意識障害といった脳卒中に似た発作を何度も起こす「MELAS(メラス)」という型が最も多くみられます。患者の脳は発作の度に傷付いていき、発作が起き始めてからの余命は平均16・9年とされています。

 2000年に太田成男・現順天堂大大学院客員教授らが、MELAS患者の遺伝子異常と、アミノ酸の一種であるタウリンのかかわりを報告しました。川崎医科大神経内科学の砂田芳秀教授らはこの報告に注目し、2002年から臨床研究を開始。2012年に厚生労働省の研究事業に採択され、翌2013年から医師主導の臨床試験(治験)を始めました。

 砂田教授らは患者数の把握から始め、全国調査で約300人の患者がいることを確認しました。ここから治験対象者を絞り込むのが大変だったといいます。

 結果を科学的に検証するには、患者の条件をできるだけそろえる必要があります。約300人から遺伝子異常のタイプや発作の回数、本人の希望などでふるいにかけました。途中で病状が変わってしまい、残念ながら検証から外した候補患者もいたといいます。

 最終的に全国10医療施設の10人の協力を得て、1年間にわたり粉末状の「タウリン製剤」(製造・大正製薬)を1日9~12グラム飲んでもらいました。

 すると服用中の1年間、一度も発作がなかった6人を含め、計8人で服用前と比べ1年間の発作回数が半分以下になり、重い副作用はなかったといいます。タウリンを補ったことで、病気のため障害を受けていたミトコンドリアによるタンパク質の合成機能が改善したとみられます。

 砂田教授は、「発作以外の症状への効果や、効く人と効かない人の違いはどこにあるのかなどまだ不明な点は多い。ですが、薬で発作を減らせば患者さんの寿命が延び、生活の質も大幅に改善するでしょう。新薬開発には多額の研究費がかかる。タウリンという安価な既存薬が持つ新たな効果を見いだせたことは、医療経済的にも意義があると思います」と話しています。

 タウリンはイカやタコなどに豊富に含まれる物質で、人間の体内にも体重の0・1%、例えば体重60キロの人なら60グラムあります。生命活動に重要なさまざまな働きをしており、大正製薬の医薬品「タウリン製剤」としては、肝臓や心臓の機能改善薬として1987年から使われています。大正製薬が1962年から販売する栄養ドリンク剤「リポビタンD」にも、タウリンが1000mg配合されています。

 2019年3月2日(土)

 

■配線器具の事故、5年で367件 6割で火災、6件で10人死亡

 延長コードなどの配線器具を不適切に使うなどした結果、火災などの事故が2013~2017年度の5年間に367件起きていたことが2月28日、製品評価技術基盤機構(NITE)の調査で明らかになりました。うち6件の事故で10人が死亡しました。

 製品評価技術基盤機構は、消費電力の大きい暖房器具を多く使う冬は特に注意が必要として、コードに無理な力を加えないことや、たこ足配線などをやめるよう呼び掛けました。

 367件の内訳は、延長コードや、プラグの差し込み口が複数あるテーブルタップにかかわるものが計276件で全体の約75%を占めたほか、コンセント関連が61件ありました。製品起因でない事故の原因としては、内部にほこりや液体が入ったことによる異常発熱や、外部から強い力が加わったことによるコードの断線・ショートなどが目立ちました。

 367件中、6割超の235件が火災を伴い、火災や焼損事故の6件で10人が死亡しました。

 配線器具のほか、近年はスマートフォンなどを充電するケーブルの事故も増えています。就寝している人間の皮膚に、電源に接続したケーブルのコネクターが接触し、汗が電気分解されて皮膚に化学やけどを負う事故も発生しました。

 製品評価技術基盤機構は、「配線器具や充電ケーブルは正しく扱ってほしい」としています。

 2019年3月2日(土)

 

■美容医療トラブルで男性の相談が年間400件 損害賠償を求める訴訟も起きる

 整形手術や脱毛などの「美容医療」を巡り、施術を受けた男性がトラブルを訴えるケースが多発しています。国民生活センターには年間400件前後の相談が寄せられるほか、医師に損害賠償を求める訴訟も起きました。

 消費者庁は、専門機関に相談することなどを呼び掛けていますが、ためらう男性は多いとみられ、専門家は「男性が話せる窓口の拡充が必要」と指摘しています。

 国民生活センターによると、美容医療に関する相談件数は、2017年度は1878件。ピークだった2014年度の2501件より減ったものの、毎年2000件前後に上っており、高止まりが続いています。このうち、男性からの相談は、2017年度は20%の382件。過去10年間でみても、年間約400件前後に上ります。

 相談内容は、「脂肪吸引の手術を受け、痛みが残った」「二重まぶたに整形したが、はれが引かない」「ニキビ痕の治療を受けたら皮膚が化膿」など。症状などの改善のために、さらなる手術を求められたケースもあり、女性と同様にさまざまなトラブルが起きているといいます。

 医師らでつくる「日本美容外科学会」(JSAS、東京都大田区)によると、ホームページなどで「男性歓迎」をPRしたり、専用待合室を設けたりする美容医院も増えてきています。特に都市部で目立つといいます。

 施術を受けた男性が訴訟を起こすケースも生じました。大阪府内の男性(58歳)は2017年3月、脂肪吸引手術で痛みが出たとして、大阪市内の美容外科の医師に慰謝料など約270万円の賠償を求めて提訴。訴状によると、会社勤めの男性は仕事でストレスを感じるうちに、体形をスリムにして自信を取り戻したいと考え、ホームページで探して来院。2013年に1900ccの脂肪を吸引する手術を受けました。

 しかし、腹部にへこみが残ったほか、手術痕が引きつるなどの痛みが出たといいます。男性は「医師は危険性に関する説明義務を怠り、吸引量も過剰だった」と主張し、美容外科側は「吸引行為は適切で、へこみは通常の人と同程度」と反論。訴訟は昨年6月、美容外科側が50万円を支払い、再発防止策を講じると誓約するなどの内容で和解しました。

 美容医療のトラブルについて、消費者庁は、ホームページや広告をうのみにせず、手術内容や危険性を把握することが重要として、相談業務を行う各地の医療安全支援センターなどに相談するよう呼び掛けています。また、異常を感じたら、すぐに医療機関を受診するよう助言しています。

 しかし、相談をためらう男性は少なくないとみられます。内閣府が2012年にまとめた意識調査結果で「悩みがあったら気軽に相談する」と回答した男性は2割しかおらず、「男性は悩みや弱音など私的な感情を見せない志向性がある」とされました。

 著書に「『男らしさ』のゆくえ」がある京都大の伊藤公雄・名誉教授(文化社会学)は、「男性は、問題を自分一人で解決しようとする傾向が強い。『美容医療を受けるなんて男らしくない』との考えも根強く、相談できずに苦しむ男性は多いのではないか。相談窓口を週に1回は男性専用にするなどして、相談しやすい環境を整える必要がある」と話しています。

 2019年3月2日(土)

 

■「キラーT細胞」のがん攻撃力が疲弊する仕組みを解明 慶大など日米の研究チーム

 がんを攻撃する免疫細胞「キラーT細胞」は、活性化され続けると「疲弊」して攻撃力が弱まることが知られています。慶応大とアメリカのラホヤ免疫アレルギー研究所の共同研究チームは、疲弊の原因となる遺伝子を突き止めました。論文は2月28日、イギリスの科学誌「ネイチャー」電子版に掲載されました。

 オプジーボなどのがん免疫療法はキラーT細胞のがんを攻撃する力を利用しますが、疲弊したキラーT細胞の攻撃力は弱く、その仕組みの解明が課題でした。

 慶応大医学部の吉村昭彦教授(免疫学)らは、疲弊化したキラーT細胞で特徴的に働く遺伝子を解析。遺伝子の働きを調節するタンパク質「Nr4a」が、キラーT細胞のブレーキ役となる分子「PD-1」の働きを強める一方、がん細胞を攻撃する分子の産生を弱めていることもわかりました。

 Nr4a遺伝子を欠損させたキラーT細胞を作り、腫瘍を持つマウスに移植したところ、腫瘍が小さくなり、90日後も約7割が生存していました。一方、通常のキラーT細胞を移植したマウスは約半数のキラーT細胞が疲弊し、90日後の生存率は0%でした。 

 共同研究チームは今後、人のキラーT細胞でも同様の仕組みがあるか調べます。吉村教授は、「Nr4aなどキラーT細胞の疲弊を引き起こすタンパク質を標的とした阻害剤は、がん治療の新たな鍵になり得る」と話しています。

 2019年3月2日(土)

 

■海溝の最深部の生物もプラスチック汚染 イギリスの大学が調査

 海溝の最深部に生息する動物の消化管内にプラスチック片が蓄積していることが、27日発表された最新の研究結果で明らかになりました。これは人為的な汚染が、地球の奥深くまで達していることを示しています。

 プラスチックの年間生産量は3億トン以上に上っており、少なくとも5兆個のプラスチック片が海洋を漂っています。

 深海探査は多大な費用と時間を要するため、プラスチック汚染に関するこれまでの研究の大半は、表層部付近を対象としていました。そうした過去の研究では、魚、カメ、クジラ、海鳥などに広くプラスチック汚染が及んでいることが示されていました。

 イギリスのチームが行った今回の研究では、世界最深級の海溝6カ所に生息する複数の小型のエビが、プラスチック片を摂取していたことがわかりました。地球で最も深い海底凹地であるフィリピン東部のマリアナ海溝では、調査を行ったすべての動物の消化管内からプラスチック繊維が発見されました。

 イギリスのニューカッスル大学自然環境科学部のアラン・ジェイミーソン氏は、「何か見付かるかもしれないと半信半疑だったが、結果はすごいものだった」と話しています。

 ジェイミーソン氏と研究チームは通常、深海域に生息する新種生物の探索を主に行っていますが、過去10年間の探索の過程で、水深6000~1万1000メートルの深海に生息する小型エビの標本が多数蓄積されたことが切っ掛けとなり、深海部でのプラスチックの蓄積を調べることにしました。

 エビの標本90個体を解剖したところ、うち65個体(全体の約72%)に1個以上のプラスチック微小粒子が含まれていました。

 イギリスの国王立協会のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス」に掲載された論文によると、これらのプラスチック微小粒子を摂取したのは深海部より水深が浅い場所にいた時だったものの、死んで沈んだため深海部で発見されたのかどうかは不明だといいます。

 ジェイミーソン氏は「海中に今あるものはすべて最終的に沈んでいく。ひとたび深海に達したら、それを取り戻すための仕組みはどこにあるのだろうか」と問い掛け、「我々は自分たちのあらゆるごみを、最も解明が進んでいない場所に積み上げ続けている」と話しています。

 2019年2月28日(木)

 

■塩野義製薬と長崎大、マラリア撲滅目指し共同研究 2023年にも新薬候補 

 塩野義製薬と長崎大学は28日、マラリアの撲滅を目指し、予防ワクチンや治療薬などの研究開発を共同で行う包括的連携協定を結びました。感染症治療薬に強みを持つ塩野義と、熱帯医学研究に半世紀以上取り組んできた長崎大の知見により、日本発のマラリア新薬の創製を目指します。また、ほかの国内外の研究機関や製薬企業との協業も進める考えです。

 長崎大は4月に、熱帯医学研究所内に「シオノギグローバル感染症連携部門」を設立予定。連携協定の第1期5年間のうちに、マラリア患者がいる東南アジアで臨床試験(治験)も始めたいとしています。マラリア予防ワクチンはまだ実用化された例がないものの、長崎大の北潔教授は「(塩野義と)双方の強みを生かしてマラリア撲滅に取り組む」と話しています。

 また、塩野義の手代木功社長は、同社と長崎大を中心に、日本でマラリア研究を進める研究機関や創薬技術を持った企業と協業するオープンイノベーションの取り組みを進める構想も明らかにしました。

 マラリアはエイズウイルス(HIV)、結核と並ぶ世界3大感染症の一つ。媒介する蚊によって罹患(りかん)しやすく、命を落とす危険もあります。亜熱帯、熱帯地域に流行しますが、近年は地球温暖化の影響で流行地域の北限が上昇しているとの指摘もあります。また、主な流行地域のアフリカには近年、ビジネスや人道援助などを目的にした渡航者も増加しており、マラリアは世界の健康課題の一つになっています。

 世界保健機関(WHO)によると、2017年にはアフリカを中心に推定2億1900万人がマラリアに感染し、43万5000人が死亡、その6割が5歳未満の子供とみられます。WHOは2030年までに全世界の発症件数と致死率を2015年の90%以下に抑えることなどを目指しています。ただ、現在の治療薬には耐性や副作用が指摘されているほか、マラリアは一度感染しても十分な免疫が獲得されず、何度も感染することなどから予防ワクチンの開発が難しい状態です。

 世界の研究機関や製薬企業はマラリア撲滅に向けての研究開発を競っています。イギリスの製薬大手グラクソ・スミスクラインは数十年以上にわたってマラリア予防ワクチンの研究開発を継続。WHOは2019年からアフリカのガーナ、ケニア、マラウイで試験投与を開始します。

 創薬研究が活発な日本も、マラリア撲滅に向けた動きは活発。大阪大微生物病研究所と製薬ベンチャー「ノーベルファーマ」がアフリカで臨床試験(治験)を進めているほか、製薬会社や厚生労働省などでつくる官民ファンド「グローバルヘルス技術振興基金(GHITファンド)」は、武田薬品工業やエーザイなどが取り組む抗マラリア薬やワクチンの開発に計50億円を投資しています。

 こうした動きが続く中、塩野義と長崎大はマラリア新薬の実現に向けて新しい取り組みを開始します。塩野義の手代木社長は、「日本発のイノベーションでマラリア撲滅に寄与したい」と意気込んでいます。実現すれば、日本の創薬力を改めて世界に示す絶好の機会にもなります。

 2019年2月28日(木)

 

■東京オリンピック・パラリンピック、全面禁煙に 会場敷地内、加熱式たばこ含め

 2020年東京オリンピック・パラリンピック大会組織員会は28日、加熱式たばこを含め、大会期間中は競技会場の敷地内を全面禁煙にすると発表しました。選手や関係者、観客、大会スタッフ、ボランティアなど来場するすべての人が対象となります。組織委によると、夏季オリンピックでは近年、会場の屋内禁煙が進んできましたが、屋外も含めた敷地内の全面禁煙は初めてとみられます。  

 国際オリンピック委員会(IOC)は「たばこのないオリンピック」の推進を掲げています。IOCが1988年に禁煙方針を作成して以降、大会中は屋外の指定エリアを除いて禁煙が定着。2018年平昌冬季オリンピックは屋外も含めて禁煙が実施されました。

 ただ、平昌オリンピックでは敷地内にスタッフ用の喫煙所を設置。会場周辺でも、たばこの吸い殻のポイ捨てが問題となる例もあったといいます。東京大会ではより厳しい禁煙を実現するため、スタッフらに周知徹底し観客にも理解を求めていく考えです。

 2018年には、受動喫煙対策を強化する改正健康増進法が成立。事務所や飲食店など多くの人が集まる施設を原則として屋内禁煙とし、加熱式たばこも規制対象に含めました。東京都でも受動喫煙防止条例が成立し、オリンピック前の2020年4月に全面施行されます。

 組織委は国内でのこうした禁煙意識の高まりも踏まえ、加熱式たばこも含めた敷地内の全面禁煙を決定。東京大会を通じ、健康的なライフスタイルの推進を目指します。

 山下聡大会運営局長は、「(IOCから)何人たりとも会場内、敷地内は禁煙にするよう話があった」と説明し、観客のいない選手村などには、動線から離れた場所に例外的に喫煙所を設置するといいます。

 会場の敷地外は原則として、自治体の条例に基づいて対応します。山下局長は、「周知徹底を図るとともに(敷地外に)既存の喫煙所がある場合はご案内するなど、きめ細かく対応したい」と話しています。

 2019年2月28日(木)

 

■島根大ががんゲノム医療で不適切登録 外部の検査会社に個人情報も提供

 島根大学医学部付属病院(島根県出雲市)が、がん患者の遺伝子を調べて治療する「がんゲノム医療」で、規定に反して患者6人から同意文書を取らずに検査対象となる登録をしていたことが28日、わかりました。また、患者の個人情報を不適切に検査会社に伝えていたことも判明しました。

 島根大病院は、国立がん研究センター中央病院(東京都中央区)が進めるがんゲノムの先進医療に協力医療機関として参加。中央病院の電子システムに患者の症例の登録が可能になったばかりの昨年11月1日の午前4時台に6人の症例を登録しました。

 中央病院は「時間的に文書で同意を得たとは考えにくい」とみて、島根大病院に確認。手順に不備があったと判断して厚生労働省に報告し、昨年12月に島根大病院を監査しました。

 症例の登録については、中央病院が患者による文書での同意が必要と規定しており、島根大病院は「検査を希望する患者のため、登録を急いだ。口頭で同意を得ていた」としています。

 また、島根大病院は患者5人のがん組織の検査に当たり、提供しないよう規定されている患者の氏名や生年月日などの個人情報を含む病理報告書を添付して、外部の検査会社に送っていました。

 井川幹夫・島根大病院長は、「同意書取得の手順と個人情報漏えいで不適切な事態を発生させ、心からおわびします。病院全体で研修を行い、再発防止に努めます」と陳謝しました。

 島根大病院では昨年11月、殺人事件の被害者の電子カルテを一部の職員が業務以外の目的で閲覧していたことが明らかになっています。

 2019年2月28日(木)

 

■はしか感染防止に「患者1人でも原則公表」 全国最多の大阪府が方針

 全国的にはしか(麻疹=ましん)の患者が増える中、大阪府は感染拡大を防ぐためにより広く注意喚起する必要があるとして、患者が1人でも出た場合は原則公表する方針を固めました。

 はしかは、発熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、感染力が極めて強く、重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあります。

 大阪府では、今年に入って2月17日までの患者が昨年1年間の患者数15人の5倍を超える81人となるなど、全国で最も多くなっています。

 大阪府では感染拡大を防ぐために、より広く注意喚起する必要があるとして、患者が出た際の新たな公表基準を設ける方針を固めました。

 具体的には、これまで「10人以上の集団感染があった場合」などとなっていた公表基準を改め、患者が1人であっても感染拡大の防止につながる場合は原則、公表していくということです。

 はしかの公表基準については現在、大阪府内でも独自に保健所を設置している政令指定都市や中核市などで異なっています。

 このため大阪府は患者が1人であっても原則公表する方針を、今後大阪府内の統一した基準にできるよう関係する自治体と協議を進めています。

 2019年2月28日(木)

 

■産科医は新潟県、小児科医は茨城県が最も不足 厚労省公表

 医師が都市に集中し、地方で不足する「偏在」の解消を目指している厚生労働省は27日、産科医と小児科医の都道府県別の充足度について、両科とも最大2・2倍の開きがあったとの推計結果を明らかにしました。

 単純な人口比の医師数ではなく、医師の性別や年齢、患者の需要などの影響も加えた指標で示しました。値が大きいほうが充足度が高くなります。

 産科で1位は東京都(18・4)で、秋田県(15・8)、和歌山県(14・3)と続きました。最下位は新潟県(8・2)で、熊本県(8・6)、福島県(8・8)の順でした。

 小児科では1位が鳥取県(173・8)で、東京都(142・4)、京都府(140・6)が続きました。最下位は茨城県(78・3)で、埼玉県(79・0)、鹿児島県(82・7)の順でした。

 医師全体の偏在指標でみると、1位は東京都で、最下位の岩手県とは1・9倍の開きがありました。値はいずれも暫定値としています。

 厚労省は、この日開かれた有識者検討会に産科、小児科の推計結果を示すとともに、医師の偏在解消策などを盛り込んだ中間取りまとめ案について大筋で了承を得ました。産科、小児科については、下位3分の1に当たる16県では十分な医療提供体制を確保できるよう、医療機関の集約化などの施策を重点的に進めるとしています。

 2019年2月28日(木)

 

■地球温室化を防ぐ「層積雲」、CO2濃度上昇で消失の可能性 約8度の劇的な気温上昇の恐れ

 海上の雲は太陽光を宇宙空間に反射することで、地球が温室状態になることを防いでいます。だが、大気中の二酸化炭素(CO2)量が現在の3倍になった場合、この雲が崩壊し消失する可能性があると警告する研究結果が25日、発表されました。

 今回の研究をまとめた論文の主執筆者で、アメリカのカリフォルニア州パサデナにあるジェット推進研究所の科学者タピオ・シュナイダー氏は、「今回の結果は、気候変動に、これまで知られていなかった危険な限界値が存在することを示している」と語りました。

 このような雲は「層積雲」と呼ばれ、アメリカのカリフォルニア州、メキシコ、ペルーなど主に南北アメリカ大陸西側の亜熱帯性の海洋の約20%を覆っています。

 論文によると、「層積雲が消失すると、地球は温室効果ガス濃度の上昇にのみ起因する温暖化に加えて、約8度にも及ぶ劇的な気温上昇に見舞われる」といいます。

 これほどの規模の気温上昇は、極地の氷を融解させ、数十メートルもの海面上昇を引き起こすと考えられます。

 前回、地球がこれほどの高気温になったのは約5000万年前で、そのころはワニが北極地方を歩き回っていました。この半分の規模の温暖化でさえ、人類の適応能力を超えると考えられると、シュナイダー氏は指摘しています。

 人為的な地球温暖化が始まって以降、大気中のCO2濃度は285ppmから410ppmへと45%近く上昇しています。シュナイダー氏ら研究チームは、層積雲の挙動をモデル化する革新的な手法を用いて、CO2濃度が1200ppmに達した場合、温暖化の加速が制御不能になるとされる「臨界点」はこれよりも幾分高いかもしれないと考えられているにもかかわらず、層積雲による防護の覆いが崩壊する恐れがあると推算しました。

 現在の3倍に当たるこのCO2濃度を超えることは、それほど現実離れした話ではないかもしれないとシュナイダー氏は警告しています。

 気候変動によって起こる問題に対する緊急警告が発せられてから30年経過しましたが、世界の温室効果ガス排出量は今なお年々増加の一途をたどっています。

 オーストラリアのメルボルン大学気候・エネルギー学部のマルテ・マインシャウセン学部長は、今年発表予定の論文を引用し、何も対策を取らず現状通りの水準でCO2の排出が進行すると、CO2濃度は「2104年までに1200ppmを超える」と説明しました。

 イギリスの科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に発表された今回の研究結果は、現在より気温が約12度高かった5000万年前の始新世初期に関する長年の謎を解決する可能性があります。

 これほどの水準の温暖化は、CO2濃度が約4000ppmにまで上昇していなければ説明がつかないものの、実際の濃度はその25~50%にしか達していなかったことが地質学的証拠で明らかになっています。

 今回の研究によると、1000~2000ppmのCO2濃度がまさに、地球を冷却させる層積雲を消失させ、気温を最高で8度押し上げる限界値に当たります。

 シュナイダー氏は、「層雲層の消失に起因する気温の急上昇は、始新世における温室気候の出現を説明できる可能性がある」と指摘しました。

 2019年2月27日(水)

 

■虚偽広告の医薬品売り上げ4・5%、製薬企業から没収 厚労省方針

 厚生労働省は、虚偽・誇大広告など不当な方法で医薬品の販売を拡大した製薬企業に課徴金を支払わせる新たな制度について、没収する額を売り上げの4・5%とする方針を決めました。従来の罰金よりも支払う額が跳ね上がる可能性があり、再発防止の効果が期待できます。

 通常国会に提出する医薬品医療機器法(薬機法)の改正案に盛り込みます。2021年夏までの施行を目指します。

 医師が処方する医療用医薬品の中には1兆円以上も売り上げるヒット商品がある一方、違反した場合には刑事罰として200万~1億円の罰金があるだけで、抑止効果が乏しいとされていました。厚労省は2013年に発覚した製薬大手ノバルティスファーマの降圧剤「バルサルタン」(商品名ディオバン)のデータ改ざん事件を機に、違法行為で得た利得を徴収する課徴金制度創設を検討。昨年11月の有識者会議で制度創設を提案し、了承されていました。

 当初、一般の商品の不当表示を規制する改正景品表示法と同様に売り上げの3%を検討していました。これに対し、検討段階で「3%では少ない」「製薬企業は一般企業よりも収益率が高い」などの意見が出たため、製薬企業の営業利益率の中央値に相当する4・5%まで引き上げました。課徴金制度が導入されれば、数百億円単位に上る課徴金を支払うケースが出る可能性もあります。

 課徴金の納付命令を出せるのは厚労省と都道府県で、業務命令などの行政処分で十分な抑止効果が得られていると判断した場合は、納付命令を出さない規定も設けます。さらに、一定の売り上げに達しない場合は、違反があっても納付命令の対象外とすることも検討しています。

 2019年2月27日(水)

 

■目の難病「網膜色素変性症」、肝硬変薬で治療 京都大が3月から治験へ

 失明の恐れがある目の難病「網膜色素変性症」の臨床試験(治験)を3月1日から始めると、京都大医学部付属病院の池田華子准教授(眼科学)らの研究チームが発表しました。肝臓病で使われている薬を患者に服用してもらい、2025年ごろの保険適用を目指します。

 網膜色素変性症は、網膜の光を感じる視細胞が徐々に失われて視野が狭くなったり視力が低下したりする難病で、国内の患者数は約3万人とされます。進行を予防する有効な治療法はなく、人生の途中で失明する原因として緑内障、糖尿病に続いて3番目に多くなっています。

 研究チームは、企業との共同研究で、3種類の必須アミノ酸を投与することで、マウスの視細胞が死滅しにくくなったことを確認。肝硬変で使われている薬に、これらの必須アミノ酸が含まれていることに着目しました。

 治験では、この薬を、京都大病院を受診する成人患者70人を対象に1年半服用してもらい、効果や安全性を確かめます。

 池田准教授は、「3種類の必須アミノ酸には、視細胞のエネルギー源となる物質を増やす効果があるとみられる。少しでも早く、治療に使えるよう研究を進めたい」と話しています。

 2019年2月27日(水)

 

■子宮内膜症による不妊、酵素が原因か 韓国と米国のチームが発表

 子宮内膜症という病気の女性の一部は、不妊症になることが知られています。その原因は不明ですが、韓国とアメリカの研究チームが「特定の酵素の不足が原因ではないか」との研究結果をアメリカの科学誌に発表しました。治療法の開発につながるかもしれないといいます。

 この子宮内膜症は、子宮の内側の壁にしか存在しないはずの組織が子宮以外の場所である腹膜や卵巣などにでき、月経の周期に合わせて発育と出血を繰り返すもの。強い月経痛や慢性の下腹痛、周囲の器官を癒着させて痛みが出るなどの症状があります。生殖年齢にある女性の10人に1人にみられます。

 研究チームは、子宮内膜症と診断され、不妊症でもある女性21人の子宮内膜を調べ、「HDAC3」と呼ばれる酵素が少ないことを発見。さらに、遺伝子操作でHDAC3を持たないマウスを作製し、不妊症になることを確かめました。

 2019年2月27日(水)

 

■千葉県で新たに2人がはしかに感染 県内の患者は8人に

 千葉県茂原市の病院ではしか(麻疹=ましん)の患者への対応に当たった看護師など県内の2人がはしかに感染していたことが27日、新たにわかりました。

 千葉県によりますと、はしかの感染が確認されたのは茂原市の公立病院に勤務する30歳代の女性看護師と市川市に住む30歳代の女性の2人です。

 このうち女性看護師は2月10日、夜間救急外来を受診したはしかの女性患者を対応した後、25日の夜に発熱の症状が出て検査の結果、はしかの感染が確認されたということです。

 また、市川市に住む女性は2月21日に悪寒の症状があり、24日に発疹が出てその後、医療機関を受診し26日、はしかの感染が確認されました。この女性は直近に海外渡航歴がなく、どこで感染したか不明だということです。

 2月20日から24日にかけて都営新宿線で本八幡駅から九段下駅まで移動、その後、東京メトロの半蔵門線や東急田園都市線を使って東京都世田谷区の駒沢大学駅まで乗車し、同じ経路で戻っています。

 乗車の時間帯は、20日と21日は午前5時ごろに本八幡駅を出発、午後9時ごろに駒沢大学駅を出発。22日は午前5時ごろに本八幡駅を出発、午後11時ごろに帰宅していますが、この間の詳しい経路は明らかにされていません。23日は午前8時半ごろに本八幡駅を出発、午後8時半ごろに駒沢大学駅を出発。24日は午前9時ごろに本八幡駅を出発、午後4時半ごろに駒沢大学駅を出発したということです。

 千葉県ははしかにかかったことがなかったり、予防接種したかわからない場合などは2回のワクチン接種を検討するよう呼び掛けています。また、はしかが疑われる症状が出た場合には事前に医療機関に連絡した上で、指示に従って受診するよう呼び掛けています。

 これで今年の千葉県内のはしかの患者は8人となりました。

 2019年2月27日(水)

 

■じゅうじゅうカルビ、全店を一時閉店 O157による食中毒が発生

 すかいらーくホールディングス傘下の「トマトアンドアソシエイツ」(兵庫県西宮市)は25日、焼き肉チェーン「じゅうじゅうカルビ」の東京都や大阪府など計7店で、腸管出血性大腸菌O(オー)157による食中毒が発生し、全61店で同日から営業を停止したと発表しました。8~12日に来店した計8人が発症しました。

 東京都や大阪府のほか、神奈川県、兵庫県、埼玉県、福井県の店舗で食中毒の症状の連絡が保健所や客からありました。同社は共通して食べた食材が原因とみています。原因の特定と対策が講じられるまで営業停止を続けるといいます。

 福井県医薬食品・衛生課によると、同県内で今月16日、20歳代男性が下痢や腹痛を訴えて医療機関を受診。検便したところO157が検出されました。男性は10日、福井市内の「じゅうじゅうカルビ」で食事をしましたが、発症までに外食した店が複数あり、O157への感染原因は不明といいます。男性はすでに回復したといいます。同県内でほかにO1577を訴えた人はいません。

 トマトアンドアソシエイツ は、「8~12日の期間またはその前後において、「じゅうじゅうカルビ」でお食事をされ、体調不良を感じたお客様がいらっしゃいましたら、誠に恐れ入りますが、お客様相談室までお申し出くださいますようお願い申し上げます。今後は、本件の発生原因の特定に全社を挙げて取り組むとともに、体調不良の症状がみられたお客様に対して真摯に対応してまいります。お客様には多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを重ねて深くお詫び申し上げます」とコメントしています。

 問い合わせ先のお客様相談室の電話番号は 0120-777-327 (午前9時~午後6時)。

 2019年2月26日(火)

 

■環境省、汚れたプラスチック輸出を原則禁止へ 削減やリサイクルを強化へ

 原田義昭環境相は26日の記者会見で、汚れてリサイクルできないプラスチックごみを中国などアジア各国へ輸出してきたことについて「基本的にはやめなければいけない」と述べ、原則禁止とする考えを表明しました。今秋にも関係省令を改正し、輸出手続きを厳格化します。今後はプラスチックごみの削減やリサイクルを強化する方針です。

 日本を含む先進国はプラスチックごみを自国内で処理しきれず、安価な原料として受け入れるアジア諸国に輸出してきました。日本は2017年に約150万トンを輸出。この中には▽たばこの吸い殻が入ったペットボトル▽建物解体で木くずや土砂が混じった断熱材▽正しくリサイクルされなかった家電製品なども多いといいます。

 世界最大の輸入国だった中国は2017年末にプラスチックごみの輸入を禁止。日本は輸出先を変え2018年には約100万トンを輸出しましたが、台湾やマレーシアなど他のアジア各国・地域も輸入制限の動きをみせています。

 環境省によると、廃棄物の越境移動を規制するバーゼル条約の締約国会議が4月末からスイスで開かれ、条約の対象品目に「汚れたプラスチック」を追加する改正案が議論されます。日本も提案に賛同し、プラごみ輸出の際には相手国の同意を必要とするなど規制強化する方針です。

 会見で原田環境相は、「これからは発生量を抑え、きちんとリサイクルできる体制を作るのが基本だ」と強調しました。

 2019年2月26日(火)

 

■アメリカでマラリア防ぐワクチンの臨床試験始める 日本人研究者の創薬ベンチャー

 日本人研究者が創業したアメリカのメリーランド州の創薬ベンチャー「VLPセラピューティクス」が、マラリアの感染を防ぐワクチン候補薬の安全性や効果を確かめる臨床試験をアメリカ国内で始めました。創業者の1人で最高経営責任者(CEO)の赤畑渉さん(45歳)は、「世界の人口の約半数に感染のリスクがある病気で、実用化されれば多くの命を救えるかもしれない」と話しています。

 アメリカの食品医薬品局(FDA)が1月に許可しました。5月から30人にワクチン候補薬を3回ずつ投与し、感染時に速やかに治療できる体制を整えた上で、蚊を使って実際に感染を防げるか調べます。年内には結果が得られる見通し。

 ワクチン候補薬は、ゲノム(全遺伝情報)を持たないものの、外見が特定のウイルスと同じ形状の微粒子(VLP)の表面に、マラリアの抗原となるタンパク質を結合させた構造。投与すると体内で抗体が作られ、マラリア原虫が侵入すると免疫が働いて撃退する仕組みです。

 赤畑さんはアメリカ国立衛生研究所(NIH)の上席研究員を経て2013年に同社を設立し、感染症やがんのワクチン開発に取り組んできました。病原体を弱毒化させた生ワクチンはごくまれに病気を発症させる可能性がありますが、ゲノムを持たず、体内で増殖しないVLPワクチンにはそうした心配がないといいます。

 世界保健機関(WHO)によると、2017年にはアフリカを中心に推定2億1900万人がマラリアに感染し、43万5000人が死亡、その6割が5歳未満の子供とみられます。開発中のワクチンはありますが、実用化には至っていません。

 マラリアに詳しい金子修・長崎大熱帯医学研究所教授(病原原虫学)は、「高度流行地のマラリア患者は薬で治療してもすぐに再感染してしまうため、有効なワクチンができればその意義は極めて大きい。臨床試験の経過に注目したい」と話しています。

 2019年2月26日(火)

 

■世界最小268グラムの男の赤ちゃん、無事退院 慶応大学病院

 体重268グラムで生まれた極めて小さな男の赤ちゃんが、無事に成長して、今月20日、退院したと慶応大学病院(東京都新宿区)が明らかにしました。病院によりますと、元気に退院した男の子としては世界で最も小さく生まれた赤ちゃんだということです。

 慶応大学病院小児科によりますと、男の子は体重の増え方が緩やかで、おなかの中で亡くなるリスクが高かったため、昨年8月、妊娠24週で緊急の帝王切開を行い、体重268グラムで誕生しました。

 その後、新生児集中治療室で呼吸や栄養を管理しながら成長を促したところ、3238グラムまで大きくなって今月、退院したということです。

 病院によりますと、元気に退院した男の子としては世界で最も小さく生まれた赤ちゃんだということで、男の子は大きな合併症もなく元気だということです。

 世界の小さな赤ちゃんを記録するアメリカのアイオワ大学のデータベースによりますと、300グラム未満で生まれて元気に退院した赤ちゃんは世界で23人が記録されていますが、そのうち男の子は4人だけで、最も小さかった男の子は2009年にドイツで生まれた274グラムの赤ちゃんだったということです。

 病院によりますと、男の子が女の子よりも救命率が低いのは、男の子は肺の成熟が遅いことなどが理由とみられるといいます。

 2019年2月26日(火)

 

■埼玉県西部に住む3人がはしかに感染 医療機関で拡大か

 埼玉県西部に住む男女3人が相次いではしか(麻疹=ましん)に感染していたことがわかり、埼玉県は最初の患者が受診した医療機関で感染が広がった恐れがあるとして、はしかの疑いがある症状が出た場合は保健所に連絡してから医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 埼玉県によりますと、はしかに感染したのは、埼玉県西部の狭山保健所管内に住む10歳代から40歳代までの男女3人です。

 このうち30歳代の男性は、今年1月フィリピンに10日間ほど滞在し、帰国した後に発熱や発疹の症状が出て1月9日、はしかと診断されました。

 その後、男性が最初に受診した医療機関で働く40歳代の女性スタッフと、同じ医療機関を受診した10歳代の男性が、いずれも発熱の症状が出て、先週はしかと診断されました。3人とも症状は回復しているということです。

 埼玉県は最初の患者が受診した医療機関で感染が広がった可能性があるとして、高熱や発疹などはしかの疑いがある症状が出た場合は、最寄りの保健所に連絡してから医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2019年2月26日(火)

 

■はしか患者増加、22都道府県で222人 海外での感染目立つ

 国立感染症研究所は26日、今年に入ってからのはしか(麻疹=ましん)の患者数が17日までで222人になったと発表しました。直近の1週間では48人が新たに感染し、過去10年間で最多ペースとなっています。

 発表によると、都道府県別では大阪府が77人で最も多く、三重県49人、愛知県20人、東京都14人、京都府9人と続きます。これまで中心だった関西以外の地域でも感染者が増え、22都道府県に拡大しています。渡航先のフィリピンやベトナムといった東南アジアでかかったとみられる人が目立ちます。

 大阪府では、百貨店「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市)や大阪府済生会茨木病院(茨木市)で多数の患者が確認されています。三重県では、宗教団体の研修会に参加した人らの集団感染がみられました。

 千葉県では、フィリピンに滞在していた40歳代の女性がはしかに感染。女性を救急車で搬送していた30歳代の男性隊員にもうつりました。川崎市でも、11日に東南アジアから帰国した3歳未満の男児が発症しました。発熱後、市内のスーパーに外出したり、JR川崎駅から京浜東北線などを利用し、東京方面に出掛けたりしたといいます。

 国内では、2008年に約1万1000人の患者が出ましたが、2006年から子供への予防接種を2回にするなどしたことで、患者は減りました。2015年には、世界保健機関(WHO)から、国内に土着ウイルスが存在しない「排除状態」と認定されました。

 だが、その後も東南アジアなどで流行しており、こうした地域で感染した人が散発的にみられます。最近の国内の患者数は年間200人前後で推移しています。

 厚生労働省は、「渡航する人などは、予防のためにワクチン接種を検討してほしい」としています。

 はしかは、ウイルスに感染後、約10日間の潜伏期間を経て、38度前後の熱やせきなど、風邪に似た症状がみられます。2~4日続いた後、いったん熱は下がるものの、再び39度以上の熱や全身の発疹が出ます。熱が下がってからも、3日程度は人にうつす恐れがあります。患者のくしゃみなどで空気中に浮遊するウイルスを吸い込んだだけでもかかります。手洗いやマスクでは防げず、免疫がなければほとんど発症します。

 治療薬はないものの、ワクチンを2回接種することが有効。現在は、1歳児と就学前に2回、予防接種を受けることになっています。それでも感染することはあるものの、症状は比較的軽くてすみ、感染力も弱まります。

 感染拡大を防ぐため、はしかが疑われる症状が出た場合は、医療機関に連絡をしてから受診します。妊娠中の女性がかかると、流産や早産の危険が高くなり、妊婦や予防接種を受ける前の0歳児などが感染しないようにすることが重要です。

 2019年2月26日(火)

 

■2型糖尿病患者、12~2月に数値悪化 寒さによる運動不足、食生活の乱れなど要因か

 生活習慣の乱れなどが原因となる2型糖尿病の患者は、冬場(12~2月)に血糖や血圧などのコントロールが悪化するとの研究結果を、東京慈恵医大の坂本昌也・准教授らの研究チームがアメリカの医学誌に発表しました。

 全国38病院で2013~2014年に、月1回以上の通院を続けた患者4678人が対象。(1)直近1~2カ月の血糖の状態を示すHbA1cヘモグロビンエーワンシー (2)血圧(3)血中のLDL(悪玉)コレステロール値の月別の変化を調査したところ、いずれも冬場(12~2月)は数値が高く、夏場(6~8月)は低いことがわかりました。

 また、これら3つの項目すべてで、治療上望ましい基準値を達成した患者の割合を調べると、夏場は15・6%だったのに対して、冬場は9・6%にとどまりました。冬のほうが夏より数値が悪かった理由として、寒さによる運動不足、年末年始の食生活の乱れ、風邪などが要因として考えられるといいます。

 糖尿病患者の多くは、高血圧や脂質異常症を伴い、動脈硬化を引き起こしやすくなります。動脈硬化が進むと、脳梗塞(こうそく)や心不全などのリスクが高まるため、糖尿病患者は血糖だけでなく、血圧や悪玉コレステロールの管理も大切です。

 坂本准教授は、「特に冬場は、医療者は治療強化、患者は生活習慣の改善が重要だ」と話しています。

 2019年2月26日(火)

 

■蚊の吸血行動を抑える物質、ロックフェラー大など発見 感染症対策に期待

 蚊の吸血行動を抑える物質を見付けたと、アメリカのロックフェラー大などが発表しました。蚊が人から人へとウイルスを媒介する感染症の対策に使える可能性もあるとして注目されます。論文がアメリカの科学誌「セル」に掲載されました。

 研究チームは、人の体内で食欲の調節にかかわっている特殊なタンパク質に似た物質が、ジカウイルス感染症(ジカ熱)やデング熱を媒介するネッタイシマカにもあることに着目。その物質の働きを高める化合物を突き止めました。

 この化合物をネッタイシマカに与えると、動物に近付いて血を吸うといった吸血行動の頻度が抑えられるようになりました。研究チームは、特殊なタンパク質に似た物質の働きにより蚊の「満腹感」が増したためとみており、「蚊が媒介する感染症の広がりを防ぐ新たな手法になる」としています。

  嘉糠洋陸(かぬかひろたか)・東京慈恵会医科大教授(熱帯医学)は、「蚊は満腹になるまで血を吸うと、人間から離れる。この現象に着目した素晴らしい研究だ」と話しています。

 2019年2月26日(火)

 

■がん免疫治療薬の効果、筋肉量が多い肺がん患者ほど長続き 大阪大が研究

 「オプジーボ」などの新しいがん免疫治療薬の効果は、筋肉量が多い患者ほど長続きするという研究結果を、大阪大の研究チームがまとめました。「筋肉量が、薬の効果を予測する指標の一つになる可能性がある」としています。論文がイギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。

 体内の免疫を活性化させてがんを攻撃するオプジーボや「キイトルーダ」は、一部の患者には劇的な効果がありますが、どの患者に効くかを事前に予測することは難しいという課題がありました。

 研究チームは、オプジーボやキイトルーダの投与を受けた肺がん患者42人を対象に、アジア人の平均的な筋肉量と比較し、筋肉量が多いグループと少ないグループに分け、薬の効果を調べました。

 その結果、筋肉量が多いグループの20人では、薬の効果が7カ月ほど続いたのに対し、筋肉量が少ないグループの22人では、薬の効果が2カ月ほどしか続きませんでした。薬の効果が1年以上続いた人の割合も、筋肉量が多いグループのほうが多くなりました。

 研究チームの白山敬之特任助教(呼吸器内科)は、「筋肉からは、がんの増殖を抑える物質が分泌されているとの報告もある。治療効果を上げるため、運動などで筋肉量を維持する取り組みが大切になるかもしれない」と話しています。

 2019年2月26日(火)

 

■東北大が「日本人基準ゲノム配列」作成し、ネットで公開 国際基準ゲノムとの差異解消

 東北大の研究チームは25日、標準的日本人に特有の全塩基配列のひな型となる「日本人基準ゲノム配列」を作成し、研究などに広く活用できるようインターネット上に公開したと発表しました。課題だった人種による違いを解消して一般的な日本人のゲノムを従来より正確に調べることができ、個人に応じた治療への礎になるといいます。

 個人の希少疾患などの原因を調べる場合、その人のゲノム配列のどこに変異があるかを比較するため、基準となる配列が必要となります。従来は、2003年に完了した「国際ヒトゲノム計画」に基づく国際的な基準配列が使われています。しかし、ヨーロッパ系とアフリカ系の集団を祖先に持つ人に由来し、一般的な日本人に特有の変化が反映されていないため、解析の際に誤りが出ることが問題となっていました。また、日本人の遺伝性の原因が強く疑われる疾患に対しても、半数程度の症例でしか原因となる遺伝子が同定できていませんでした。

 今回の配列は、東日本大震災を機に地元住民らの健康に関する追跡調査などをしている東北大の「東北メディカル・メガバンク機構」が、調査の参加者3人から同意を得て提供されたDNAを基に作成。2016年から部分的に作成・公開してきましたが、今回全体をつないで配列が完成しました。国際的な基準配列と比べ、24万6000カ所の塩基に違いがあり、うち98%を置き換えることに成功したといいます。

 機構長の山本雅之教授は、「(データの基になった)3人は東北の人に偏らないよう地域バランスに配慮した。臨床応用では、小児希少疾患などの病因の解明率を上げることができる」と話しています。

 2019年2月26日(火)

 

■オリンパス、内視鏡AI診断プログラムを3月発売 昭和大や名古屋大などが開発

 オリンパスは25日、大腸がんの早期診断を支援する人工知能(AI)のプログラムを3月8日に発売すると発表しました。同社製の内視鏡と組み合わせて使い、撮影したポリープの画像を解析。後にがんになる恐れがあり、切除する必要があるポリープの可能性を数値として表示します。

 内視鏡を用いた診断の経験が浅い医師らが使えば、その場で正しい治療法を判断しやすくなると期待できます。

 診断プログラム「エンドブレイン」は、昭和大横浜市北部病院、名古屋大大学院、富士ソフト傘下のサイバネットシステムが開発。オリンパスが、最大約500倍に拡大して観察できる同社製の内視鏡と組み合わせて販売します。プログラムの価格は450万円。3年間で約260台を販売し、関連機器と合わせて30億円の売り上げ規模を見込みます。

 大腸で発見されるポリープには切除する必要がある「腫瘍性ポリープ」とそうでないものがありますが、内視鏡の観察で判断がつかないものは通常、組織を採取して精密な検査に回します。ただ切除する必要のないポリープも多く持ち込まれるため、検査を担当する医師の業務量が増えているといいます。

 熟練医以外もAIのプログラムを参考に判断できれば、医療現場の人手不足解消につながる可能性もあります。

 開発に携わった昭和大横浜市北部病院の工藤進英消化器センター長は、「内視鏡検査を行う医師の中には初心者もいて、本来は切除しなくてもいいポリープも切除するなど、患者にも医療現場にも負担になっていた。それを解決できる手段として、AIを活用するというのは、医療の一つのステップアップだと感じている」と話しています。

 2019年2月25日(月)

 

■ノバルティス、日本で花粉症薬 今秋にも発売へ

 スイス製薬大手のノバルティスは2019年秋にも重症の花粉症患者向けの医薬品を国内で販売します。花粉症向けとしては世界で初めての「抗体医薬」で、高い治療効果が期待できます。気管支ぜんそくの薬として発売済みの薬を花粉症治療薬として、改めて承認を得ます。

 販売するのは「ゾレア」という薬で、医師が処方し医療機関で注射して使います。ノバルティスは日本で臨床試験(治験)を進め、花粉症薬としての有効性が認められました。今年秋にも承認され販売する見込み。

 対象となる患者は、花粉症で一般的に処方される抗ヒスタミン薬やステロイド点鼻薬などの既存薬を使っても十分に効果が得られない成人の重症患者。国内の最終段階の治験では、こうした患者に上乗せ投与することで鼻や目の症状の改善効果がみられました。

 ゾレアの薬価は75ミリグラム1本で約2万3000円で、使用する本数は体重や症状によって月1~16本と大きく異なります。そのため患者の自己負担額もさまざまとなりますが、多くのケースで3万円前後になるもよう。

 既存薬で効果が不十分な重症患者は、国内に200万~300万人いると推定され、ビジネスパーソンや女性の治療ニーズが高くなっています。

 ノバルティスは2002年にも日本だけを対象に最終段階の治験を実施しましたが、当時は抗体医薬が最新の医薬品だったこともあり、承認申請を断念した経緯があります。今回、改めて治験をやり直し、有用性を証明しました。

 抗体医薬はバイオ医薬品の一種で、疾患の原因をピンポイントで抑えられるのが特徴。重症疾患の治療によく用いられ、昨年には重いアトピー性皮膚炎に使える抗体医薬が登場しました。

 2019年2月25日(月)

 

■吸うと高揚「シバガス」、箱に400本 密輸の容疑で都内の大学生逮捕

 「シバガス」とも呼ばれ、吸い込むと高揚感が得られる指定薬物の「亜酸化窒素」を密輸しようとしたとして、東京都内の男子大学生が逮捕されました。大学生が注文しオランダから届いた段ボール箱には、ガスを詰めた小型のボンベが400本以上入っていたということで、警察は転売目的だった疑いもあるとみて調べています。

 逮捕されたのは東京都町田市の大学生、松下洋介容疑者(22)で、警察によりますと、一昨年12月、国の指定薬物になっている亜酸化窒素が入った小型のボンベ2本をオランダから航空貨物便で密輸しようとしたとして、医薬品医療機器法違反の疑いが持たれています。

 亜酸化窒素はシバガスとも呼ばれ、医療現場で麻酔として使われていますが、吸い込むと高揚感が得られるため「笑気ガス」ともいわれて乱用が懸念され、3年前から所持や販売などが禁止され、罰則は3年以下の懲役または300万円以下の罰金となりました。

 今回、税関の検査で見付かり押収された段ボール箱にはガスの詰まった小型ボンベが400本以上入っており、警察の調べに対し松下容疑者は「旧正月に訪れた中国で吸った。日本でも吸いたくてネットで注文した」などと容疑を認めているということです。

 警察は、密輸しようとした量が多いことから転売目的だった疑いもあるとみて詳しく調べています。

 2019年2月25日(月)

 

千葉県で消防隊員がはしか感染 患者救急搬送で感染か

 千葉県内で、2月に入って、はしか(麻疹=ましん)の患者を救急搬送した消防隊員がはしかに感染していたことが確認されました。

 千葉県によりますと、はしかの感染が確認されたのは、千葉県茂原市にある長生郡市広域市町村圏組合消防本部に所属する30歳代の男性隊員です。

 2月10日に発熱などの症状を訴え、その後、はしかの感染が確認された女性の患者を救急車で搬送した後、23日に自分も発熱の症状が出たため同県鴨川市の医療機関を受診し、24日、遺伝子検査ではしかに感染したことが確認されたということです。

 男性隊員は発症する前日の22日以降、救急車には乗車せず、公共の交通機関も利用していませんが、千葉県は受診先の医療機関などで男性隊員に接触した可能性のある人などに症状がないか、経過を観察しているということです。

 2019年2月25日(月)

 

■川崎市で東南アジアから帰国した男児がはしか感染 電車や商業施設を利用

 今月、海外から帰国した川崎市に住む幼い男児がはしか(麻疹=ましん)に感染していたことがわかり、男児が発症後に商業施設や電車を利用していたことから感染が広がる恐れがあるとして市が注意を呼び掛けています。

 川崎市によりますと、はしかに感染していることがわかったのは市内の3歳未満の男児です。

 この男児は東南アジアから帰国した1週間後の2月18日に発熱の症状が出た後、23日、医療機関ではしかと診断されました。

 男児は発熱の症状が出た翌日の19日、熱が下がったことから午後6時から8時ごろまで川崎区小田栄の「イトーヨーカドー川崎店」のフードコートやゲームコーナーを利用したほか、20日にはJR京浜東北線の川崎駅から東京駅、JR山手線の東京駅から御徒町駅、さらにJR上野東京ラインの上野駅から川崎駅まで利用したということです。

 川崎市では、はしかの感染が広がる恐れがあるとして同じ商業施設や経路を利用した人に対し、症状が現れた場合には事前に医療機関に連絡した上で、指示に従って受診することや受診する際は公共交通機関を利用しないことなどを呼び掛けています。

 2019年2月25日(月)

 

■免疫抑制剤使用の子供に安全にワクチン接種を 小児科医師が協力して臨床研究へ

 免疫を抑える薬を使っているため、水ぼうそう(水痘)などのワクチンを接種できない子供たちが接種を見送った後に感染症で死亡した事例が報告されていることから、全国の専門の医師が協力して、安全にワクチンを使用する方法を検討する臨床研究が始まることになりました。

 難病の治療や移植手術などで免疫抑制剤を使っている場合、水ぼうそうなどの一部のワクチンは、接種するとその感染症を発症してしまう恐れがあり、原則使用できないことになっていますが、ワクチン接種を見送った後に子供が水ぼうそうで死亡する事例が起きています。

 このため、全国各地の小児科の医師などが協力して、安全にワクチンを接種する方法を検討する臨床研究を3月から始めることになりました。

 対象となるのは、腎臓の機能が低下するネフローゼ症候群という病気や、臓器移植を受けた後の治療で免疫抑制剤を使用している子供などで、およそ2000人を選びます。ワクチンの接種は、専門の医師が免疫の状態を細かく検査するなどして、慎重に実施するということです。

 臨床研究の責任者を務める国立成育医療研究センターの亀井宏一医師は、「すべての患者に接種してよいわけではないが、問題のない子供には接種の機会を作れるようにしたい」と話しています。

 ワクチンの中には、生ワクチンと呼ばれる毒性を弱めているものの感染する能力がある病原体を使ったものがあります。健康な人は生ワクチンを接種しても毒性が弱いので、重い症状は出ずに免疫ができるため、その病気を予防することができます。しかし、免疫抑制剤を使用していると、毒性が弱い病原体であっても感染して発症してしまう可能性があるため、原則として生ワクチンの使用は禁忌とされ、接種できないとされています。

 その一方で、2012年までの10年間に、免疫抑制剤を使っているためにワクチンを接種できなかった3人の子供が、水ぼうそうを発症して死亡したことがわかっています。

 臨床研究を行う医師は、こうした事例について、水ぼうそうのワクチンを安全に接種できれば防ぐことができた可能性があると考えています。

 今回の臨床研究で、免疫抑制剤を使用している子供にワクチンを接種する時には、事前に免疫の状態を調べて、生ワクチンで重症化する恐れが低いことを確認したり、症状が出た時にすぐに対処する態勢を整えたりして、慎重に実施したいとしています。

 2019年2月25日(月)

 

■iPS細胞で「ミニ肝臓」、重症乳児に移植計画 横浜私立大が研究申請へ

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)から「ミニ肝臓」を作製し、重い肝臓病の乳児に移植する臨床研究計画について、横浜私立大の研究チームが、夏にも再生医療を審査する慶応大の委員会に申請する方針であることが23日、わかりました。2020年度の移植を目指しています。

 谷口英樹教授、武部貴則准教授らの研究チームは、iPS細胞から「肝臓前駆細胞」「血管内皮細胞」「間葉系(かんようけい)細胞」という3種類の細胞を作製し、組み合わせて肝臓の機能を持つ組織「ミニ肝臓」(直径約0・15ミリ)を作製。大量に移植して肝臓の機能を補います。

 iPS細胞を使う臨床研究で移植する細胞数は、慶応大の脊髄(せきずい)損傷で約200万個、大阪大の心不全治療の心筋は約1億個。今回は数億個と大幅に多くなっています。

 研究チームはすでに重篤な肝疾患を発症する免疫不全のマウスに移植し、肝組織が作られて治療効果があったことを確認しました。

 計画では、生まれ付き肝臓で有毒なアンモニアを分解できない難病「OTC欠損症」の乳児が対象で、5人を想定しています。患者は国内で数百人とされています。治療には肝臓移植が必要なものの、安全面から生後数カ月たたないと臓器まるごとの移植はできません。ミニ肝臓はその間の「橋渡し」の役割を担うといいます。

 研究チームは、大人の肝硬変の治療への活用も目指しています。肝臓のような複雑な臓器全体を作るのは非常に難しいといいますが、ドナーが少なく提供臓器が不足しているため、作製も視野に入れています。

 谷口教授は、「臨床研究で安全性を確認し、将来的に臓器移植に代わるものにしたい」と話しています。

 細胞は京都大iPS細胞研究所から提供を受け、他人由来のため拒絶反応を抑える免疫抑制剤を使います。横浜市立大でミニ肝臓を作製し、国立成育医療研究センターで移植します。

 専門性が高いため、グループは再生医療の経験が豊かな慶応大の委員会で、計画を審査してもらう予定。

 OTC欠損症の乳児を対象にした治験は、国立成育医療研究センターも使われない受精卵から作るES細胞を使い、年内の実施を見込んでいます。ES細胞は肝細胞にして移植するのに対し、横浜私立大の研究は肝臓の役目を果たす組織を作った上で移植します。

 2019年2月25日(月)

 

■がん薬物療法を理解できる説明書を作成 静岡県立静岡がんセンター

 静岡県立静岡がんセンターは21日、複数の抗がん剤を使用するがんの薬物療法について、患者向けの説明書を医師、看護師、薬剤師らの多職種連携でまとめたと発表しました。同センターのホームページで25日から、70療法91冊分のデータを公開しています。

 患者を対象にした全国調査で、治療全般の悩みに占める薬物療法の割合が2003年の19・2%から2013年に44・3%と倍増していたのが切っ掛け。同センターの山口建総長は理由として①薬物療法の7~8割が外来で実施され、患者が副作用と自宅で向き合うことが多い②分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤といった新しい薬剤の登場と併用の増加③術前・術後に投与の機会が増えた、を挙げました。

 一方、病院では医師は治療方針、薬剤師は薬の説明、看護師は日常生活の注意と分担してバラバラに説明することが多く、患者が自分の治療の状況を把握しにくいという課題がありました。また、製薬会社の説明書も、自社の単剤使用に限られるという難点がありました。

 説明書は従来の説明書の欠点に対応するもので、「胃がん オプジーボ療法」「大腸がん ゼローダ+エルプラット療法」など療法別に、使用する薬剤の説明、副作用の種類と発現時期、副作用への対処法を1冊にまとめました。

 薬物療法は吐き気、下痢、脱毛など、一つの療法で多いと20種ほどの副作用を伴います。説明書は食欲不振や嘔吐(おうと)、貧血などの症状の現れ方に応じて、「自宅で様子を見て構わない」「すぐに病院に連絡」といった判断の目安を提示。副作用が出やすい時期を一覧表にするなど、治療過程がわかる工夫も施しました。

 静岡県立静岡がんセンターは2012~2015年度に説明書を試作し、患者、医療者から得られた評価を元に改良を加えました。同センターでは2017年3月から説明書を導入し、これまでに約1900人に配布しました。

 編集を担当した同センター研究所看護技術開発研究部の北村有子さんは、「起こり得る副作用を網羅し、患者の安心につながる内容になった。薬物療法上位100を網羅したい」と話しました。山口建総長は、「患者は読み返しながらセルフケアができる。医療者にとっては説明の標準化ができる。副作用のレベルに応じて対処できるので、医療安全にも役立つ」と話しています。

 著作権は放棄し、25日から誰でもダウンロード(URLはhttps://www.scchr.jp/information-prescription.html)できます。

 2019年2月25日(月)

 

■山形県で脳死の女児、臓器提供 6歳未満は国内11例目

 日本臓器移植ネットワークは22日、山形県内で入院中の6歳未満の女児が、臓器移植法に基づく脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったと発表しました。脳死と判定された6歳未満の子供からの臓器提供は11例目となります。

 日本臓器移植ネットワークによると、臓器提供は親族6人の総意。女児は1日に低酸素性脳症のため脳死とみられる状態となり、21日夕までに2回の脳死判定が終了しました。

 心臓が国立循環器病研究センターで10歳未満の女児に、肺が岡山大病院で10歳未満の女児に、肝臓が国立成育医療研究センターで10歳代の男性に、膵臓(すいぞう)と腎臓の一つが藤田医科大病院で50歳代の男性に同時に、もう一つの腎臓が東京都立小児総合医療センターで10歳未満の男児に移植される予定。

 脳死判定された女児の両親は日本臓器移植ネットワークを通じて、「明るく、元気で人懐っこい娘で、私達にとっては太陽のように輝き、なくてはならない存在でした。『娘がどこかで元気に生きていてくれるのなら…。その可能性を願ってもいいのなら』と、臓器提供という道を選択しました」などとするコメントを発表しました。

 岡山大病院では23日、肺が硬くなって縮んで働かなくなり呼吸困難などを来す特発性間質性肺炎の10歳未満の女児に対し、同病院で100例目となる脳死肺移植を実施し、成功したと明らかにしました。

 2010年に臓器移植法が改正され、15歳未満の子供もドナーになれますが、6歳未満の子供は今回で11例目と、ごくまれです。

 日本臓器移植ネットワークによると、約20年間の臓器提供者は22日現在、計584人。改正法以降でも年間100人に届きません。臓器移植を待つ患者は、1月末現在で1万3530人います。アメリカでは年8000~9000人のドナーがおり、人口比でみれば日本は1位のスペインの50分の1以下で、世界最低レベル。

 提供の意思を示す人の割合は2割程度おり、日本臓器移植ネットワークの門田(もんでん)守人(もりと)理事長は、「日本の場合、医療機関で臓器提供の選択肢提示が確実に行われるという制度になっていない。臓器提供を考える機会を与えられることなく亡くなっていることが少なくない。自分がどう生き、どう死ぬかを考える延長線上で臓器提供のことを考えてほしい」と訴えています。

 一方で、海外に渡航し移植を目指す子供が注目を集めています。アメリカで心臓移植手術を目指す1歳男児を応援するため、アメリカ大リーグの大谷翔平選手が1月、大阪府内の病院に見舞いに訪れました。インターネット衣料品通販大手ZOZO(ゾゾ)の前沢友作社長も同月、ツイッターで海外の心臓移植を目指す3歳児へ寄付の支援を呼び掛けると、あっという間に目標額に達しました。

 ただ、海外移植は数億円の費用がかかるなど問題があります。国際移植学会は2008年、臓器移植が必要な患者の命は自国で救う努力をするという「イスタンブール宣言」を出しました。「日本で増えないから致し方ないが、あるべき姿ではない」と考える医師も少なくありません。

 2019年2月24日(日)

 

■埼玉県嵐山町、鶏卵5万4000個を回収 抗菌剤を検出

 パック入りの鶏の卵から抗菌剤が検出されたとして、埼玉県は出荷した嵐山町の農事組合法人に対し鶏卵5万4000個余りの回収命令を出しました。埼玉県は、「この卵を食べたとしても健康被害はないと考えられる」としています。

 埼玉県によりますと、嵐山町の農事組合法人「セイメイファーム」が出荷したパック入りの鶏の卵を2月19日に検査したところ、抗菌剤「スルファモノメトキシン」が0・04ppmの濃度で検出されたということです。

 スルファモノメトキシンは、家畜の病気や寄生虫予防のため餌に混ぜて使う抗菌剤で、鶏の卵からの検出は認められていません。

 このため埼玉県は農事組合法人に対し、食品衛生法に基づいて、賞味期限が同じ3月4日となっているパック入りの卵5万4000個余りの回収命令を出しました。

 卵を出荷した農事組合法人の担当者は、「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。再発防止に努めたい」と話しています。

 2019年2月24日(日)

 

■妊婦の腹から胎児の心臓に管刺し病気治療 学会が4月から臨床研究へ

 母親のおなかの中の胎児に病気が見付かった際に、生まれる前の段階から治療を行う「胎児治療」と呼ばれる新しい医療技術が急速に進んでおり、専門の医師で作る日本胎児心臓病学会が国内初めて、重い心臓病を対象にした胎児治療の臨床研究を今年4月から始めることになりました。

 対象となる病気は心臓から出る大動脈の入り口が狭くなる「重症大動脈弁狭窄症」で、心臓の一部が発達せず、生まれて間もない時期から大きな手術を繰り返すケースがあります。

 計画されている胎児治療は、針のような特殊な管を母親のおなかの外から胎児の心臓まで刺し込んで、管の先端からバルーンと呼ばれる器具を出して狭くなっている部分に設置し、血管を広げます。

 血管を広げた後は、バルーンを閉じてすぐに回収するということで、生まれた後の手術の回数が減り、日常生活への影響を少なくすることが期待できるということです。

 学会は、3年間で5人に実施して安全性と有効性を確かめたいとしています。

 胎児治療は国内では、呼吸ができなくなる難病など5つの病気で治療や臨床研究が行われていますが、心臓の病気を対象に行うのは初めてです。

 学会として臨床研究に取り組むのは珍しいということで、臨床研究の中心メンバーで国立成育医療研究センターの左合治彦医師は、「慎重に進めて、多くの患者に提供できるようにしていきたい」と話しています。

 大動脈弁狭窄症は、生まれる赤ちゃん1万人当たり2人から4人ほどがなるとされます。

 心臓病の患者やその家族で作る「全国心臓病の子どもを守る会」の神永芳子会長は、「妊娠中は赤ちゃんが無事に生まれるか不安が大きい時期で、治療ができれば希望につながると思う。安全に行うための技術を習得するとともに、患者への丁寧な説明も徹底して実施してほしい」と話しています。

 2019年2月24日(日)

 

■AEDの有効活用で救命率アップを 日本AED財団がアプリ開発

 AED(自動体外式除細動器)がどこにあり、いつ利用できるのか、正確な情報を登録してもらうことで救命率を上げようと、日本AED財団が街中にあるAEDの情報を登録するアプリを開発し、活用を呼び掛けています。

 「AEDN@VI」と呼ばれるこのアプリは、AEDを有効に活用して救命率を上げようと日本AED財団が開発しました。

 財団のサポーターに登録し、スマートフォンで街中にあるAEDや外出先で見付けたAEDの設置場所や利用できる時間帯などを打ち込んでもらうと、アプリの地図上に情報が表示されます。

 日本のAEDの設置数は50万台以上で、世界一の普及率といわれていますが、心臓発作による突然死は年間7万人を超え、近くに人がいた場合でも救急車の到着前にAEDが使われる割合は5%未満にとどまっています。

 財団では多くの人が協力して情報を打ち込み、随時更新していくことで、AEDについての正確な情報が全国規模で共有され、救命率の向上につながるとしています。

 日本AED財団の石見拓専務理事は、「日本はAEDが世界一多く設置されているが、いざという時に活用されず救える命が救えないという事態も起きている。多くの人に協力してもらいアプリを通じて有効に活用できるようしたい」と話しています。

 2019年2月24日(日)

 

■食道がんを対象に光免疫療法の治験開始へ がん研究センター東病院

 国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)は21日、近赤外線という光を使ったがん治療法「光免疫療法」による食道がんを対象にした臨床試験(治験)を始めることを明らかにしました。患者の登録を3月にも開始します。これまでの光免疫療法の治験は頭頸(とうけい)部がんが対象で、他の部位では初めて。

 今回の治験は、医師が自ら計画して実施します。対象は既存の治療では効果がないと判断され、転移がなく比較的全身状態がよい食道がん患者数人程度。主に安全性を確認します。

 光免疫療法は、がん細胞の表面に多いタンパク質に結び付く抗体と、近赤外線に反応する化学物質をつなげ、薬剤として利用。この薬剤を患者に注射し、翌日にがんの部分に光を当てると、がん細胞に結び付いた薬剤に化学反応が起きて、がん細胞が破裂するといいます。

 さらに、破裂したがん細胞の成分に体の免疫機構が反応するため、光を当てた部位から離れた場所に転移したがんにも効果が期待できます。

 光免疫療法はアメリカの国立衛生研究所(NIH)の小林久隆・主任研究員らが開発した手法で、頭頸部がんについては、世界10カ国で承認に向けた最終段階の治験が始まっています。

 国立がん研究センター東病院の土井俊彦副院長は、「食道がんには、頭頸部がんの治験で使っている薬が結び付くタイプがあり、効果を期待できる可能性がある。効果が確認されれば、高齢者や他に病気を抱えていて手術が難しい患者への適用が検討できるかもしれない」と話しています。

 2019年2月23日(土)

 

■地域勤務医の残業時間上限、年1860時間 厚労省が見直し案

 医師の働き方改革について厚生労働省は20日、特例で「年1900~2000時間(休日労働含む)」としていた地域医療に従事する勤務医の残業時間の罰則付き上限について、年1860時間とする見直し案を有識者検討会に提示しました。当初案は過労死ラインの2倍を超える水準に相当し、批判が相次いでいました。

 特例の対象は地域の救急・在宅医療などを担う病院で、都道府県が指定します。厚労省は全国で約1400カ所程度が対象になるとみています。期間は、医師不足の解消が見込まれる2035年度末まで。それ以降は、一般の医療機関や一般労働者と同じ「年960時間(休日労働含む)」とする方針です。年960時間は、脳卒中などで労災認定される目安の「過労死ライン」(月80時間超)を踏まえています。

 厚労省は1月に特例の当初案を示しましたが、「過労死を招く」などとする批判が噴出。医師が自分の勉強にかける時間を除くなど、当初案の根拠とした調査を再集計しました。

 また、厚労省は同日、集中的に技能を磨く研修医らに対する残業時間の上限案も提示しました。初期研修医や専門医を目指して研修中の医師などが対象で、本人の申し出に基づいて適用します。特例病院の上限と同じ年1860時間とし、将来に向け減らす方針としています。

 残業の上限規制の適用は2024年度からで、厚労省は今年3月末までに規制の全体の枠組みをまとめる方針です。

 2019年2月23日(土)

 

■良品計画が飲料水59万本を自主回収 基準超える発がん性物質

 生活雑貨「無印良品」を展開している良品計画は22日、ペットボトル入りのミネラルウォーター「天然水」と「炭酸水」の計59万本ほどを自主回収すると発表しました。その一部から、基準値を超える発がん性物質の臭素酸が検出されました。健康被害の報告はないといいます。

 対象商品は330~500ミリリットル。無印良品の店やネットストアで昨年7月4日から今月21日まで販売してきました。製造は富山県黒部市の「黒部名水」に委託しました。

 台湾への輸出に伴う検査で2月12日に判明。国内販売分を自社で調べたところ食品衛生法で定める基準値の2~4倍に当たる1リットル当たり0・02~0・04ミリグラムの臭素酸が出ました。原因が特定できておらず、出荷した全商品を回収します。

 問い合わせは土日祝日を含む午前10時~午後6時、同社お客様相談室(0120・64・0858)。

 2019年2月23日(土)

 

■はしか、大阪府で全国最多見通しの81人に 8割が10~30歳代

 大阪府で感染拡大が続くはしか(麻疹=ましん)について、府は21日、今年の患者数が17日現在で81人になったと発表しました。前週まで全都道府県で最も多かった三重県は49人のまま増えておらず、府の患者数が全国最多となる見通し。患者は10~30歳代が8割を占め、この年齢層への対策が急務になっています。

 発表によると、11~17日に患者が急増。従業員や客計23人(府外の人も含む)が感染した百貨店「あべのハルカス近鉄本店」(大阪市阿倍野区)、院内で10人の患者が出た「大阪府済生会茨木病院」(大阪府茨木市)の集団感染などが、累積患者数を前週より30人以上も押し上げました。

 患者のうち最も多い年齢層は30歳代で25人、次いで10歳代の21人、20歳代19人。国のワクチン政策が変遷する中で、20~30歳代を中心に2回接種を徹底できていない人が多く、接種歴なしや不明も目立ちました。一方、過去の流行で感染し、免疫を持っている人が多い50歳代以上は1人にとどまりました。

 感染症に詳しい「りんくう総合医療センター」(大阪府泉佐野市)の倭(やまと)正也医師は、「免疫が不十分な世代が、ウイルスに狙い撃ちされた形だ」と分析。こうした人達が感染源となってウイルスを拡散させた恐れがあります。

 予防にはワクチンの2回接種が有効。それでも感染することはあるものの、症状は比較的軽くすみ、周囲の人への感染力もぐっと弱まる。実際、府の分析でも、2回接種後に感染した患者が他人へうつした事例は確認されていないといいます。

 倭医師は、「免疫のない集団に感染者が1人いれば、15人前後にうつるほど感染力が強いとされるが、2回接種した人の間で感染が起きても大規模な流行にはならない。だからこそ2回接種の徹底を」と強調します

 20日に開かれた感染症を検討する府の専門家会合では、あべのハルカスの集団感染事例や、国内外の移動が増える春休みに向けた対策の強化について話し合われました。

 委員長の本村和嗣(かずし)・府感染症情報センター長は、「発症までに最長3週間かかることを踏まえると、まだ今後も患者が増える恐れがある。終息は春ごろになるだろう」と分析しています。

 倭医師は、「世界各地で流行しており、国内でも集団感染がいつどこで起きてもおかしくない。初期症状は風邪に似ており、見落とす恐れもある。医師ははしかを念頭に置き、診察してほしい」と呼び掛けます。

 あべのハルカスの集団感染は、2月10日に従業員2人の感染が確認されて発覚しましたが、感染した客の大半は1月25~27日に来店しており、大阪市の担当者は「1月下旬にウイルスが持ち込まれた可能性が高い」と話しています。

 はしかのウイルスは、アフリカ、アジア、欧州など、地域ごとに流行する型が異なります。市によると、あべのハルカスの複数の感染者から東南アジアなどで主流の「D8型」が検出されたといいます。

 日本で過去に流行したのは別の型で、2010年以降は検出されておらず、世界保健機関(WHO)が2015年3月、「日本は排除状態にある」と認定しました。近年の国内症例は、いずれも海外からの持ち込みとされます。今後、海外の型のウイルスが国内に定着すると、認定が取り消される恐れもあります。

 2019年2月23日(土)

 

■糖尿病で筋肉減少のメカニズムを解明 神戸大が原因タンパク質特定

 血糖値が上がると筋肉が減少するメカニズムを神戸大大学院の小川渉教授(代謝糖尿病学)らの研究チームが解明しました。血糖値の高い状態が続く糖尿病患者は、加齢で筋肉が衰え、ほかの病気や認知症になりやすく、今回の発見が患者の健康寿命を延ばす薬の開発につながると期待されます。21日付のアメリカの医学誌「JCIインサイト」電子版に掲載されました。

 研究チームは、糖尿病になると筋肉に蓄積するタンパク質「KLF15」に着目。薬剤投与でマウスを糖尿病にすると筋肉量が約15%低下しましたが、筋肉にKLF15を持たないマウスでは低下が起こりませんでした。筋肉の減少は従来、ホルモンの作用で起こると考えられていましたが、実験の結果、血糖値の上昇でKLF15が増えることが原因とわかりました。

 一方、KLF15は正常時も筋肉で常に生成されていることから、同時にKLF15を分解する仕組みもあるとみて研究。タンパク質「WWP1」がこの役割を果たし、血糖値が上がると減少することを突き止めました。小川教授によると、WWP1とKLF15による筋肉減少のメカニズムは人にもあり、糖尿病以外でも作用するといいます。

 糖尿病に限らず、加齢などで筋肉や身体機能が衰える現象は「サルコペニア」と呼ばれます。高齢化が進む社会で健康寿命にかかわる課題として注目されるものの、治療薬はありません。

 小川教授は、「筋力が落ちると運動療法が難しくなり、糖尿病がさらに悪化する悪循環に陥る。今回のメカニズムに対応した薬が開発できれば、ギプス固定などで急に筋肉が落ちる場合も含め、糖尿病以外にも幅広く適用できる可能性が高い」と話しています。

 2019年2月23日(土)

 

■心筋細胞の再生に鎮痛解熱剤が効果 心臓病患者に応用へ

 心筋梗塞(こうそく)の治療などに向けて心筋細胞を再生させる研究をしている筑波大などの研究チームが、「ボルタレン」の商品名で知られる鎮痛解熱剤の成分を使うと再生する割合が高まることをマウスの実験で確かめました。心筋細胞の再生を妨げていた細胞内の炎症を鎮めるためとみられます。

 同大の家田真樹(まさき)教授によると、心筋梗塞は心筋細胞が減り、拍動しない線維芽細胞ばかりになります。心筋細胞はiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製することができますが、高価な上に心臓への移植手術が必要。

 研究チームは9年前、マウスの線維芽細胞に特定の遺伝子を注入するだけで、心筋細胞に再生できることを見付けました。「ダイレクト・リプログラミング」と呼ばれる手法で、iPS細胞を使わない再生医療技術として注目されています。

 その後、再生率を上げるために遺伝子と一緒に投与して効果がある化合物を探していました。「ジクロフェナク」という非ステロイド性抗炎症薬が最も効果があることを突き止めました。これは「ボルタレン」の商品名で知られる鎮痛解熱剤の成分で、すでに医療現場で使われています。

 大人のマウスの細胞に投与したところ、遺伝子注入だけなら1%を切る再生率が2~3%に上がりました。赤ちゃんマウスの細胞に投与したところでは、2%が7%に上がりました。

 家田教授は、「線維芽細胞の中で起きていた炎症が、心筋細胞への再生を阻害していた。それを鎮めたことで再生率が上がった」と話しています。

 今後はサルなどの大動物で安全性を確かめて、心臓病患者への応用を目指すといいます。研究成果は20日付のイギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)に発表されました。

 2019年2月23日(土)

 

■カルビー、レンジOKのポテチ自主回収 焦げ・発煙・発火で

 カルビーは22日、全国のファミリーマート限定で19日から発売した「レンジdeポテリッチ濃厚バター醤油(しょうゆ)味」約16万袋を自主回収し、同日付で販売中止にすると発表しました。

 電子レンジで温めて食べるポテトチップスと案内していましたが、購入客から「焦げ」や「発煙・発火」が起きたとの申し出が複数あり、自主回収を決めました。けが人は出ていないといいます。

 電子レンジに対応した耐熱性の包材を使い、袋に入れたまま電子レンジで40秒温めて食べると説明していました。包材の開発には2年半をかけ、50回以上の改良や試作を重ねていたといいます。

 対象商品は、滋賀県内の工場で1月31日と2月8日に作られ、賞味期限が「5月31日」または「6月8日」と記載されています。

 商品を料金着払いで、カルビー湖南工場(滋賀県湖南市柑子袋558)まで送ると、後日、返金するといいます。問い合わせは、カルビーお客様相談室(0120・55・8570)。

 3月12日に発売予定だった「レンジdeピザポテト」も同じ調理方法を提案していることから、発売中止を決めました。

 2019年2月23日(土)

 

■花粉飛散、早くも1都14県で本格化 全国的に前年を大きく上回る見通し

 気象情報会社「ウェザーニューズ」(千葉市美浜区)は20日、関東全域と九州北部など1都14県でスギ花粉の飛散が本格化したと発表しました。2月中旬から暖かい日が続いた影響だといい、東京都は昨年より14日、平年より5日早い18日に本格化したといいます。

 同社によると、今年の花粉飛散量は、前年比で群馬県6・83倍、神奈川県5・64倍、東京都4・26倍、長崎県3・13倍などと予想され、全国的に前年を大きく上回る見通し。

 関東以外で花粉飛散が本格化したのは、静岡、愛媛、山口、福岡、佐賀、長崎、大分、熊本の8県。スギ花粉の飛散ピークは東日本や西日本で3月中旬まで続くといい、東北でも3月に入ると花粉の飛散が始まるとみられます。

 2019年2月23日(土)

 

■スマホ自撮りで歯周病や口腔がんを発見 東北大とドコモが共同研究へ

 人工知能(AI)を活用して、歯周病や口腔(こうくう)がんを早期に発見できるスマートフォン(スマホ)のアプリを実用化しようと、産学の共同研究が始まることになりました。

 これは東北大とNTTドコモが発表したもので、今年4月から共同研究を始めるとしています。

 21日は実用化をイメージしたアプリが公開され、スマホのカメラで口の中を自撮りすると歯周病の症状が出ているかどうか、判定します。判定を行うのは、歯周病の人の口の中を学習したAIで、歯茎の色やはれがあるかどうかなどを瞬時に見極めることを目指します。

 また、同じくAIを活用して、舌の写真から口腔がんや、あごの動きが悪くなる顎(がく)関節症の症状があるかどうか調べことができるアプリも開発するということです。

 正式な診断はあくまで医師が担いますが、病気の予防や早期発見につなげたいとして、今後、精度を高めるための研究を重ね、2022年度の実用化を目指しています。

 東北大大学院歯学研究科の佐々木啓一研究科長は、「歯周病は自覚症状が少なく、検診の受診率は全国で4・3%程度と非常に低い」と指摘し、「どの時点で歯医者に行けばよいか、検診すればよいか、わからない人が多いのでそこを助けられればよいと思う」と話しています。

 また、NTTドコモ先進技術研究所の滝田亘所長は、「AIの技術は応用性が広いので社会に役立つサービスをつくっていく」と話しています。

 2019年2月21日(木)

 

■白血病などの遺伝子治療製品、国内初承認へ アメリカでは1回投与で5000万円超

 厚生労働省の再生医療等製品・生物由来技術部会は20日、患者の免疫細胞を増強する新たながん免疫療法に用いる製品の製造・販売の承認を了承しました。対象は難治性の白血病とリンパ腫ですが、今後、新たながん治療の柱となることが期待されます。

 同部会は、足の切断にもつながる重症虚血肢を対象とした製品についても了承。いずれも遺伝子治療技術を使った製品で、承認されるのは初めて。来月中に厚労相が承認し、今夏にも公的医療保険が適用される見通し。

 新たながん免疫療法に用いる製品は、製薬大手ノバルティスファーマ(東京都港区)の「キムリア」。子供や若者に多い「B細胞性急性リンパ芽球性白血病」と、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」が対象。

 患者のリンパ球の一種の免疫細胞を取り出し、アメリカのノバルティス社の施設で遺伝子改変。がん細胞への攻撃力を高めてから体内に戻します。「CAR―T細胞療法」と呼ばれ、欧米ではすでに承認されています。アメリカでは1回の治療に約5200万円かかります。抗がん剤「オプジーボ」に続く超高額薬の登場は、公的医療保険でどこまでカバーすべきなのかという難しい問いを投げかけそうです。

 治療対象は、抗がん剤など既存の治療が効かない患者と再発患者で、国内に年約250人と予測されています。臨床試験では、白血病患者の約8割、リンパ腫患者の約5割で症状が大幅に改善しました。

 一方、重症虚血肢の治療製品は、製薬ベンチャーのアンジェス(大阪府茨木市)の「コラテジェン」。血管を新しく生み出す特定の遺伝子を組み込んだ物質を足の筋肉に注射します。血管を作る遺伝子の働きは、大阪大の研究チームが発見しました。

 重症虚血肢は閉塞(へいそく)性動脈硬化症や難病のバージャー病などで起き、痛みを伴いながら足の切断につながります。臨床試験では、患者の約7割で症状が改善。同社によると、治療対象の患者は年5000~2万人といいます。

 ただ、厚労省の部会は「効果は推定段階」と判断。承認は5年間の「期間限定」とし、投与した患者とそうでない患者の治療効果の比較調査を求めました。

 2019年2月20日(水)

 

■子宮頸がん50年間で4440万人 ワクチン、検診で撲滅できる可能性も

 ヒトパピローマウイルス(HPV)が主な原因となって発症する子宮頸(けい)がんは、検診の受診率とHPVワクチンの接種率を短期間に上げることができれば、今世紀末までに世界で事実上撲滅できる可能性があるとする論文が、イギリスの医学誌「ランセット・オンコロジー」に掲載されました。

 19日付で同誌に掲載された論文によると、検診の受診率とワクチン接種率が現状のままならば、2020~2069年の50年間に世界で4440万人の女性が子宮頸がんになり、その3分の2は国民生活の豊かさを示す国連開発計画(UNDP)の「人間開発指数」が中程度以下の国で発生すると見込まれるといいます。

 しかし、2020年までに12~15歳の女子のHPVワクチン接種率が80%以上に上がり、さらに少なくとも70%の女性が生涯に2度子宮頸がん検診を受けるようになるとすれば、今後50年間で1300万人程度が子宮頸がんになるのを予防できるといいます。その場合、子宮頸がんの罹患(りかん)率は、人間開発指数が非常に高い国では2059年までに、人間開発指数が中程度の国で2079年までに、女性10万人当たり4人未満に下がると予測しています。研究チームによると、「この罹患率は子宮頸がんは公衆衛生上の重大問題ではなくなったと見なし得る水準だ」といいます。

 論文の主執筆者、オーストラリアのニューサウスウェールズ州がん評議会のカレン・カンフィル教授は、子宮頸がんは非常に重大な疾患だが、その撲滅は手の届くところにあることを今回の研究結果は示唆している、と話しています。

 HPVは有り触れたウイルスで、主に性行為を通じて感染します。100種類以上あり、うち少なくとも14種類ががんを引き起こします。通常の免疫力があれば子宮頸がんになるまで15~20年かかるものの、エイズウイルス(HIV)感染などで免疫力が弱っていると短期間で発症します。HPVワクチンは臨床試験で、その安全性と子宮頸がんの70%を引き起こしているとされる2種のHPV(16型と18型)に対する有効性が示されています。

 世界保健機関(WHO)が今月発表したところによると、2018年に世界で新たに57万人が子宮頸がんになったと推定されています。女性のがんでは乳がん、結腸がん、肺がんに続いて4番目に多く、主に低所得国で毎年30万人以上の女性が命を落としています。

 2019年2月20日(水)

 

■すべてのインフルエンザウイルスに対抗できる免疫細胞を発見 オーストラリアの研究チーム

 知られているすべてのインフルエンザウイルスに対抗できる免疫細胞を発見したとする研究結果が18日、オーストラリアで発表されました。致死性のインフルエンザに対する万能の単回接種ワクチンの開発につながる可能性のある「極めて画期的な成果」だといいます。

 インフルエンザのウイルス株が変異を続けるため、ワクチンは製法を定期的に更新する必要があり、限られた防御しか提供できないのが現状です。

 オーストラリアの研究チームは今回、世界人口の過半数の人々の体内に存在する「キラーT細胞(免疫細胞)」が、一般的な種類のインフルエンザウイルスすべてに対し、有効に働くことを実験で証明したと主張しています。

 この結果が意味するのは、毎年更新する必要のない包括的なインフルエンザワクチンを開発するために、このキラーT細胞を利用できるかもしれないことです。さらに、この種の細胞を生まれ付き持っていない人々においても、効果を発揮させることが可能になるかもしれません。

 オーストラリアのメルボルン大学ピーター・ドハーティ感染免疫研究所の研究者、マリオス・コウツァコス氏は、「インフルエンザウイルスは人の免疫系から認識されるのを回避するために次々と変異し続け、非常に多様性に富んでいる。そのため、次のインフルエンザ流行を引き起こすウイルス株を予測して予防接種をすることがほぼ不可能になっている」と説明します。

 白血球の一種であるT細胞細胞は、異物や感染部を探しながら体内を循環しており、体内に侵入してくる細菌やウイルスの大群に対抗する人の免疫力にとって極めて重要な役割を担っています。いわゆる「殺し屋(キラー)」T細胞は、ほかの感染した細胞を直接標的にして殺傷する能力を持つ点で特異な存在です。

 コウツァコス氏と研究チームは、すべてのインフルエンザウイルス株に共通して見られるウイルスの部位を特定するために、質量分析法(質量に基づいて分子を分離する技術)を用いました。その結果、インフルエンザのA型、B型、C型の各変異株にキラーT細胞が有効に対抗できることがわかりました。

 世界保健機関(WHO)によると、主に季節性のインフルエンザの流行で毎年数十万人が命を落としているといいます。高齢者、子供、免疫不全患者などのほか、感染に対する免疫反応がこれまでに一度も構築されたことのない特定の民族集団にとって、特に高い危険性があります。

 研究チームは、今回の発見に関する特許を取得し、「世界中の汎発性および季節性のインフルエンザの影響を軽減するための万能インフルエンザワクチンの開発が可能になることを期待している」と述べています。

 2019年2月20日(水)

 

■老化物質を抑え、ハエの寿命を延ばすことに成功 大阪大の研究チーム

 老化によって増える特定のタンパク質の働きを抑えることで、ショウジョウバエや線虫の寿命を延ばすことに成功したと、大阪大の吉森保教授(細胞生物学)と中村修平准教授らの研究チームが発表しました。このタンパク質は人にもあり、研究チームは「健康長寿に生かせる可能性がある」としています。

 論文が19日、イギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載されました。

 このタンパク質は、吉森教授らが2009年に発見した「ルビコン」。細胞内で病気の原因となる不要なタンパク質などを分解し、栄養になるアミノ酸に変えて再利用する「オートファジー(自食作用)」の作用を抑える働きがあります。

 研究チームは今回、ショウジョウバエや線虫の体内では、老化するにつれてルビコンの量が1・5~2倍に増えることを確認。それぞれ遺伝子操作でルビコンを作れなくして、寿命や健康への影響を調べました。

 その結果、ショウジョウバエと線虫は寿命が最大約2割延びました。また、老化による運動機能の低下も防げました。

 吉森教授は、「人の寿命を延ばせるかはわからないが、ルビコンの働きを抑える薬などがあれば、老後の健康を維持する方法につながるかもしれない」と話しています。

 福田光則・東北大教授(細胞生物学)は、「非常に興味深い成果だ。今後は、なぜルビコンがなくなると寿命が延びるかを詳しく解明してほしい」と話しています

 2019年2月20日(水)

 

■治療用幹細胞による脊髄再生医療、初の保険適用 薬価は1回1500万円

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)は20日、脊髄損傷に対する初の再生医療製品として薬事承認されていた治療用幹細胞「ステミラック注」に、公的医療保険を適用することを承認しました。26日にも保険治療が可能になる見通し。

 静脈注射で使い、薬価は1回当たり約1500万円。対象患者は250人程度を見込んでいます。

 けがで脊髄を損傷して1カ月以内の患者の骨髄液から、神経や軟骨などに変わる「間葉系幹細胞」を取り出して増殖させる細胞医療で、札幌医科大と医療機器大手「ニプロ」(大阪市北区)が共同開発。昨年12月に厚労省から最大7年間の条件付きで製造販売の承認を得ました。

 国内で10万人以上の患者がいるとされる脊髄損傷はリハビリ以外に有効な治療法がない中、損傷からさほど期間がたたない患者に幹細胞を使い、治療を試みる再生医療の実用化が見えつつあります。

 2019年2月20日(水)

 

■旧優生保護法下の強制不妊、被害者に一時金300万円超 救済法案を調整

 旧優生保護法(1948~1996年)下で障害者らに不妊手術が行われた問題で、与党のワーキングチームは、被害者に支給する一時金を300万円以上とする方向で調整に入りました。救済法案を検討している超党派の議員連盟と協議した上で、通常国会に議員立法を提出します。

 厚生労働省によると、旧優生保護法に基づき、約1万6000人に同意なく不妊手術が行われました。同意も含めると約2万5000人に上ります。一時金は、手術記録や同意の有無にかかわらず、一律に支給します。

 与党のワーキングチームは、約200万円の一時金を支給したスウェーデンなど海外の救済事例も参考に、300万円以上で検討を進めます。ただ、国を相手取った不妊手術を巡る訴訟では、原告側が賠償金として1000万円以上を請求しており、調整は難航も予想されます。

 差別的な政策を繰り返さないための教訓として、救済法案には、当時の社会風潮や不妊手術が強制された実態に関する「調査」も盛り込まれる方向です。原告側は、責任の所在を含めた旧優生保護法の「検証」を求めていますが、ワーキングチームのメンバーは「裁判が続いている状況で検証するのは難しい」と話しています。

 ワーキングチームと超党派議連は昨年12月、救済策の基本方針を了承しました。法案には「我々は、真摯(しんし)に反省し、心から深くおわびする」と明記します。救済対象は原則として法施行時点の生存者とし、厚生労働省内に設ける第三者の認定審査会が申請に基づいて判断します。

 2019年2月20日(水)

 

■C型肝炎薬「マヴィレット」が国内首位に 2018年の医薬品ランキング

 アメリカの医薬コンサルティングのIQVAは19日、日本国内における2018年の医薬品売上高ランキング(薬価ベース)をまとめました。アメリカのアッヴィのC型肝炎薬「マヴィレット」が首位となりました。

 市場全体は1・7%減の10兆3374億円で、薬価引き下げの影響から2年連続で市場規模は縮小しています。

 マヴィレットは2017年11月に国内販売が始まり、一気に普及しました。C型肝炎薬が首位となったのは2016年のアメリカのギリアド・サイエンシズ「ハーボニー」以来2年ぶりです。ただマヴィレットは患者に急速に行き渡った結果、四半期ベースでは2018年4~6月をピークに販売が減少に転じています。

 2017年に首位だったロシュのがん治療薬「アバスチン」は2位に転落しました。

 小野薬品工業のがん免疫薬「オプジーボ」は3位。ライバル薬であるアメリカのメルクの「キイトルーダ」が前の年に比べ2・5倍の伸びで6位に食い込んでおり、がん免疫薬の市場競争が激化しています。

 5位に入ったイギリスのアストラゼネカの胃潰瘍薬「ネキシウム」は2位から後退。同じ胃潰瘍薬で台頭してきたのが10位に入った武田薬品工業の「タケキャブ」で、24%増で初めてランクインしました。

 胃潰瘍薬は、後発薬の登場などで市場は2014年から減少傾向。後発薬にはネキシウムやタケキャブと同等の効果を持つものが多く、今後の売り上げの維持が注目されます。

 アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソンの抗リウマチ薬「レミケード」は7位に順位を下げました。特許切れ薬ながらランクインを続けていますが、バイオシミラー(バイオ後続品)の浸透もあり、落ち込みが目立っています。

 2019年2月19日(火)

 

■はしかの感染拡大、患者167人に 同時期で過去10年で最多

 今年のはしか(麻疹=ましん)の患者数は、全国で167人に上っており、この時期としては過去10年で最も多くなっています。国立感染症研究所は必要な人はワクチンの接種を検討するほか、感染した疑いで医療機関を受診する際には事前に電話で相談してほしいと呼び掛けています。

 はしかは、発熱や全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、感染力が極めて強く、重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れもあります。

 国立感染症研究所によりますと、2月10日までの1週間に全国の医療機関から報告されたはしかの患者は22人で、今年の患者数は20の都道府県で167人になりました。

 この時期としては、過去10年で最も多く、現在の統計を取り始めた中では年間の患者数が1万人を超えて大きな流行となった2008年に次いで多くなっています。

 都道府県別では、最も多いのが三重県で49人、次いで大阪府が47人、愛知県が17人、東京都が11人などとなっています。

 はしかは2010年を最後に、日本に定着していたウイルスによる感染は確認されておらず、今回も海外から持ち込まれたウイルスによる発生の可能性が高いとみられています。

 世界保健機関(WHO)によりますと、この数年、はしかは世界的に患者数が多い状態が続いていて、アジアや北米などで感染が拡大しています。

 2019年2月19日(火)

 

■患者の発熱・発疹ははしかの可能性を念頭に 厚労省が医療機関に通知

 関西を中心にはしか(麻疹=ましん)の患者が増えていることから、厚生労働省は18日、全国の自治体を通じて、発熱や発疹が見られる患者を診察する時には、はしかの可能性を念頭に置き、対策に当たるよう医療機関に求める通知を出しました。

 国立感染症研究所が12日に発表した最新の集計では、大阪府や三重県を中心に148人が報告され、過去10年で最多のペースとなっています。患者が新幹線で長距離を移動した事例も発覚し、厚労省は「全国ではしかが発生する恐れがある」と危機感を強めています。

 通知では、医療機関に対し、発熱や発疹の症状がある患者には海外渡航歴や国内旅行歴、予防接種歴を確認するなど、はしかを意識するよう呼び掛けました。はしかと診断した場合は、直ちに都道府県に届け出るとともに、感染力の強さに応じた院内感染予防策を取るよう求めました。

 厚労省は、自治体からの要請があれば感染症対策の専門家を派遣していきたい、としています。

 日本は2015年、国内由来のウイルス感染が継続して確認されていないとして、世界保健機関(WHO)からはしかの「排除状態」と認定されました。しかし、この数年、はしかは世界的に患者数が多い状態が続いており、アジアやヨーロッパ、北米などで感染が拡大しており、今回も海外から持ち込まれたウイルスによる感染の可能性が高いと見られています。

 はしかの予防には、ワクチンの接種が最も重要です。日本では現在、1歳と小学校入学前の合わせて2回、定期接種することになっていますが、過去には1回の接種だった時期もあります。

 厚労省は医療関係者や保育士など、乳児や妊婦などに接する人は特にワクチンが必要か検討してほしいとしています。

 また、専門家によりますと、妊娠中の女性はワクチンの接種ができないので、人混みを避けるようにしたほうがいいとしているほか、今後、妊娠を希望する人はワクチンの接種を早めに受けてほしいとしています

 感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「はしかは健康であっても感染すれば重い合併症を起こす可能性があり、ワクチンの接種を受けるなどして抵抗力を持っておくことが大切だ。そのため、子供は定期接種を必ず受けておくようにしてほしい。また、医療関係者や学校の関係者など不特定多数の人と接触する機会が多い人は、特にワクチンが必要か十分に検討してほしい」と話しています。

 2019年2月19日(火)

 

■内科医1万4400人、外科医5800人が5年後に不足 厚労省が推計

 特定の診療科や地域で医師不足が深刻化する中、厚生労働省は診療科ごとの医師の不足数を初めて推計し、公表しました。今のままでは5年後に、内科で1万4000人余り、外科で5000人余りの医師が不足する恐れがあるとしています。

 厚生労働省は将来の医師不足について初めて診療科ごとに推計し、18日開かれた有識者検討会で公表しました。

 それによりますと、医師の数が3年前と変わらなかった場合、5年後の2024年には、内科で12万7400人余りの医師が必要なところ、11%に当たる1万4400人余りが不足する恐れがあるとしています。また、外科では必要な医師の17%に当たる5800人余り、小児科で必要な医師の7%に当たる1200人余り、産婦人科で必要な医師の7%に当たる900人余りがそれぞれ不足する恐れがあるとしています。

 さらに11年後の2030年には、内科で1万6200人余り、外科で5500人余り、小児科で600人余り、産婦人科で300人余り、不足する恐れがあるとしています。

 一方、医師の数が必要な人数を上回る診療科もあり、5年後の2024年には、精神科で700人余り、皮膚科で600人余り、耳鼻咽喉科で500人余りが上回る可能性があるとしています。

 その上で厚労省は、各都道府県ごとに診療科別の必要な医師数を推計し、医師が多い地域からの移動を促したり、若手の医師などに数が足りていない診療科を選択するよう促すなどして、必要な医師を確保していきたいとしています。

 医師を巡っては現在、働き方改革が議論されていますが、長時間労働を防ぐためには診療科や地域ごとの医師の偏りを解消することが不可欠です。厚労省は必要な医師を確保するための実効性のある対策を早急に打ち出す必要があります。

 2019年2月19日(火)

 

■公害調停、ぜんそく患者ら94人が申し立て 医療費助成を求める

 自動車の排ガスなどによる大気汚染が原因で発症したと訴えるぜんそく患者が18日、全国一律の医療費助成制度の創設を求め、公害等調整委員会に公害調停を申し立てました。

 代理人の西村隆雄弁護士によると、東京都や川崎市を除くほとんどの自治体に医療費助成制度はなく、重い負担を強いられている患者からは「安心して暮らすためには早期の助成制度創設が必要だ」との声が高まっています。

 制度の実現には自動車メーカーの費用負担が欠かせないため、患者側はトヨタ自動車東京本社(東京都文京区)を訪問。財源負担を決断し、制度創設を国に働き掛けるように要請しました。

 調停を申し立てたのは、全国公害患者の会連合会のほか、首都圏や愛知県、大阪府などに住む30〜90歳代のぜんそく患者94人。その多くは、国が公害健康被害補償法に基づく患者の新たな認定を打ち切った1988年以降にぜんそくなどを発症したといいます。医療費の自己負担額を全額助成する制度を国に要請し、国内の自動車メーカー7社に「相応の財源負担」を求めています。

 申し立て後はトヨタ東京本社前に患者と支援者ら約300人が集まり、「大気汚染公害を生み出した社会的責任を果たせ」「世界に冠たる企業のトヨタには患者を救うお金があるはずだ」などと訴えました。

 患者側はこれまでも全国一律の医療費助成制度を求めてきましたが、環境省は「大気汚染とぜんそくの因果関係が認められておらず、新たな医療費助成制度を創設するような状況にないのではないか」などと反論して応じていません。調停申し立て後、同省は取材に「申請内容をよく拝見したい」、トヨタは「詳しい内容を聞いていないのでコメントできない」としています。

 2019年2月18日(月)

 

■iPS細胞で脊髄損傷を治療 厚労省、慶応大の計画を了承

 交通事故や激しいスポーツなどで背骨の中の神経が傷付いて手や足を動かせなくなった脊髄損傷の患者に、iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作成した神経のもとになる細胞を移植して機能を回復させる慶応大の臨床研究の計画が、厚生労働省の部会で了承されました。

 iPS細胞を脊髄損傷の患者に応用するのは世界で初めてで、研究チームは早ければ今年中に患者への投与を始め、安全性と効果を確認したいとしています。

 厚労省の部会で18日了承されたのは、慶応大の岡野栄之教授と中村雅也教授らの研究チームが計画している臨床研究です。

 この臨床研究は、脊髄を損傷してから2週間から4週間の「亜急性期」と言われる段階の患者4人の患部に、人のiPS細胞から作製した神経のもとになる細胞約200万個を移植し、細胞を神経に変化させて機能の回復を目指すもので、1年かけて安全性と効果を確認します。

 国内では、毎年新たに5000人ほどが脊髄を損傷し、患者数は10万人以上とされ、長く、有効な治療法がありませんでしたが、昨年、患者から「間葉系幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞を取り出し、培養して血液中に戻す別の治療が承認されており、iPS細胞を使った脊髄損傷の臨床研究は今回のものが初めてです。

 臨床研究が厚労省の部会で了承されたことを受けて、慶応大の研究チームが会見を開き、実施責任者の岡野栄之教授は、「およそ20年にわたって脊髄損傷の治療を目指して研究を進めてきたが、ようやくスタートの位置に立つことができたという思いだ。臨床研究の一番の目的はまずは安全性を確認することなので、気を引き締めてこれから実施に向けた準備を進めていきたい」と述べました。

 さらに、「今回の臨床研究で安全性と効果が確認できれば、より患者が多くいる慢性期の脊髄損傷の治療を実現するための研究も進めていきたい」と述べ、今後の展望も語りました。

 また、同じ研究チームで手術を担当する中村雅也教授は、「実際に移植する細胞で、腫瘍ができるような兆候がないか事前に確認するため、順調に進めば患者を選定するのは今年の秋から冬になる見込みだ」と話していました。

 iPS細胞を使う再生医療は、臨床応用を目指す計画が相次いでいます。移植第1号は、理化学研究所などが2014年に目の難病患者を対象に実施しました。2018年には、パーキンソン病患者の脳に神経細胞を移植する京都大の治験で患者に移植しました。さらに、重症の心不全を対象にした大阪大の臨床研究や、京都大の血小板を輸血する臨床研究が厚労省に認められました。

 2019年2月18日(月)

 

■厚労省、全国約3分の1を「医師少数県」に指定 不足地域に重点配分へ

 医師が都市部などに偏り、地方の病院で不足する偏在の問題を解消しようと、厚生労働省は少なくとも15の県を「医師少数県」に指定し、医師の確保に向けた対策を集中的に実施していく方針を固めました。

 医師が都市部などに偏り、地方で不足する偏在が進む中、厚労省は有識者検討会を立ち上げて対策を協議してきました。

 その結果、全国の都道府県の中で人口当たりの医師の数が少ない県などを「医師少数県」に指定し、集中的に対策を実施することで、目標年の2036年までに偏在の解消を目指す方針を固めました。

 医師少数県には岩手県や新潟県、静岡県など全都道府県の約3分の1に当たる、少なくとも15の県が指定される見通しです。

 これらの医師少数県では、2036年に合わせて2万4000人余りの医師が不足すると推計されています。

 一方で、東京都や京都府、奈良県など少なくとも15の都府県は「医師多数都府県」に指定され、2036年には合わせて1万8000人余りの医師が過剰になると推計されており、厚労省は医師少数県への医師の移動を促していきたいとしています。

 有識者検討会が昨年4月にまとめた医師の需給推計によると、医師の残業時間の上限を過労死認定の目安「月80時間」(休日労働を含む)とすると、2028年ごろにその時点で必要な医師数34万9000人を満たすとしていました。需給推計は、地域や診療科の偏在を考慮しない医師数で、偏在対策が急務であることを示しました。

 偏在対策の具体的な取り組みとしては、医師少数県で一定期間勤務した医師に国の認証を与える制度を活用したり、大学卒業後に特定の地域での勤務を義務付ける、医学部の「地域枠」を増やしたりすることなどが想定されています。

 ただ、医療関係者からはそれだけでは不十分だという声も上がっており、実効性のある対策を打ち出せるかが焦点となります。 

 2019年2月18日(月)

 

■尿酸値を下げる初のサプリメントを発売 ファンケルが18日に

 ファンケルが18日に売り出したサプリメント「尿酸サポート」は、尿酸に対する機能を臨床試験で確認した初めての機能性表示食品といいます。血中の尿酸値が高めの人向けに、尿酸の合成を抑えて排出を促す物質などを配合。手軽さをアピールして痛風予備軍に売り込みます。

 尿酸の合成を抑えて排出を促すとされるアンペロプシンと、尿酸の元になるプリン体の吸収を抑えるとされるキトサンを配合。血中の尿酸値が1デシリットル当たり6・0~7・0ミリグラムの人に有効と説明しています。

 臨床試験では、尿酸値6・0~7・0ミリグラムの男性39人がこの商品を3カ月摂取したところ、摂取前より平均で約0・15ミリグラム、尿酸値が下がったといいます。

 120粒入り(30日分)で定価3600円(税抜き)。当初は同社の通販サイトだけで販売しますが、4月18日から一般の店でも取り扱います。

 尿酸値は酒や魚卵などを取りすぎると高くなるとされ、激しい関節痛を起こす痛風などになる恐れがあります。国民生活基礎調査などによると、1995年に50万人弱だった国内の痛風患者は、2013年に100万人を突破しました。

 従来のサプリメントには尿酸に有効なものもあるものの、機能を明示した商品はこれまでありませんでした。酒類では、プリン体オフをうたう商品が多くみられます。

 2019年2月18日(月)

 

■群馬県の6歳未満の男児、脳死判定 10例目の臓器提供へ

 日本臓器移植ネットワークは、群馬県内の病院に脳症で入院中の6歳未満の男児が臓器移植法に基づく脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったと、17日発表しました。脳死と判定された6歳未満の子供からの臓器提供は10例目。

 日本臓器移植ネットワークによると、臓器提供は親族6人の総意といいます。男児は12日に脳機能に重い障害が起きる脳症のため脳死とみられる状態となり、16日午後11時5分までに2回の脳死判定が終了しました。

 心臓が東京大医学部付属病院で10歳未満の女児に、肺が東北大病院で10歳未満の女児に、肝臓が国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で10歳未満の女児に、腎臓が東邦大医療センター大森病院(東京都大田区)で10歳代男性に移植される予定。膵臓は医学的理由で断念し、小腸は該当者がいませんでした。

 脳死判定された男児の両親は日本臓器移植ネットワークを通じて、「人から求められると何でも分け与える優しい息子でしたので、臓器移植という選択が息子の意思に沿うものであると信じております」などとするコメントを発表しました。

 2019年2月18日(月)

 

■9カ国語対応の外国人向け「健康手帳」を作成 群馬県のNPO法人など

 外国人材の受け入れ拡大に向けて、外国人が群馬県内で病気やけがをした際に役立ててもらおうと、医療機関を紹介する相談窓口の連絡先などが9カ国語で書かれた健康手帳が作成されました。

 この健康手帳は、医療通訳を派遣する前橋市のNPO法人「群馬の医療と言語・文化を考える会」などが4月からの外国人材の受け入れ拡大に伴い、病気やけがで医療機関を受診する外国人が増えると見込まれることから作成しました。県内で住民の数が多い英語やベトナム語、ポルトガル語、中国語など8カ国の言語に対応し、日本語もあります。

 健康手帳には、医療機関を紹介する相談窓口や消防など緊急の連絡先が書かれているほか、持病や服用している薬、宗教上の制限など、医師に伝える情報をあらかじめ記入しておく欄が設けられています。

 また、インフルエンザの予防接種などを促して感染症の拡大を防ぐことや、健康を維持するためのポイント、妊娠時の相談先や医療保険制度についての解説なども盛り込まれています。

 健康手帳は、日本語と英語が2000部、他の言語は1000部ずつ、合わせて1万1000部作成され、群馬県内の日本語学校や外国人が働く企業、病院などに配られることになっています。

 NPO法人の原美雪副代表理事は、「言語の問題で病院に行けず受診が遅れるケースも聞くので手帳を持ち歩いてもらい、多くの外国人に活用してほしいです」と話していました。

 2019年2月18日(月)

 

■iCARE、睡眠時無呼吸症候群の検査サービスを開始 フィリップス製の機器を活用

 企業向け健康支援サービスを手掛けるiCARE(アイケア、東京都渋谷区)は、オランダのフィリップスの傘下企業と組んで睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査サービスを開始します。

 フィリップス製の機器を活用し、SASの疑いがある人に病院での受診を促します。SASによる交通事故や労働災害のリスクを抱える運送会社などの利用を見込んでいます。

 健康診断やアンケート調査からSASの可能性がある従業員を抽出し、フィリップス製の機器でSASの簡易検査を実施します。ストレスチェックなどを含むアイケアの既存サービスに、SASの検査を追加します。料金は一人当たり月額400円程度。フィリップス・レスピロニクス(東京都港区)と連携します。

 検査後にはアイケアのスタッフがチャットで結果を説明し、SASの疑いがある人には受診を促します。これまでは企業が検査を実施しても、時間や費用の問題から病院に行く従業員が少なかったといいます。検査後のフォローを手厚くすることで、受診率を高めます。

 SASは、運転手やパイロットの居眠り事故につながる危険性があります。

 2019年2月17日(日)

 

■東大など、ブタ体内で人間の膵臓作製へ 糖尿病治療に道

 東京大の中内啓光特任教授や明治大の長嶋比呂志教授らの研究チームは、人間の膵臓(すいぞう)をブタの体内で育てる研究を2019年度にも始めます。4月にも国が動物の体内で人間の臓器を育てる研究を解禁するのを受け、研究計画を東京大の倫理委員会に申請します。将来は膵臓の病気で発症する糖尿病患者に移植して治療につなげるのが狙い。

 動物の体内で作製した人間の臓器を移植して病気を克服する治療は、脳死からの臓器提供が不足する中、新たな治療法として研究が進んでいます。東京大や国の審査を経て研究を実施すれば、国内では初めてとなります。

 日本ではこれまで研究を規制していましたが、海外では研究が進んでいました。このため厚生労働省などは4月にも解禁する方針を決め、動物と人間の細胞が混ざった「動物性集合胚」と呼ばれる受精卵を、動物の子宮に戻して出産できるようになりました。

 研究では、人間のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を活用します。膵臓を作る能力を失わせたブタの受精卵に注入して、人間と動物の細胞が混じった受精卵を作り、ブタの子宮に入れます。胎児まで育てば人間の膵臓を持つブタができます。

 中内特任教授はアメリカのスタンフォード大教授を兼任し、研究が解禁しているアメリカで人間の膵臓を持つ羊を作製する研究を進めてきました。また、ラットの体内でマウスの膵臓を作り、糖尿病になったマウスに移植し治療にも成功しています。

 今回の手法は、心臓や肝臓などさまざまな人間の臓器にも応用可能。中内特任教授は「(臓器移植を必要としている)患者本人の細胞で臓器が作れるiPS細胞には利点も多い」とみており、他人の臓器を使う脳死移植のような拒絶反応が起こりにくく、治療が可能になるといいます。

 ただ、動物による感染症のリスクや倫理問題などがあり、東京大や国などの審査ではこれらの問題を慎重に検討することになります。

 2019年2月17日(日)

 

■警視庁の防犯アプリ、ダウンロード16万件突破 行政発アプリでは異例のヒット

 警視庁が開発した防犯用のスマートフォン(スマホ)アプリ「Digi Police(デジポリス)」が、人気を集めています。画面タップで防犯ブザーが鳴り響き、痴漢被害者に代わって大声で助けを求めてくれ、登録先に緊急メールを発信します。

 配信を始めたのは2016年ですが、ここにきて利用者が急増。ダウンロード数は16万件を突破し、行政発アプリとしては異例のヒットとなっています。

 「みんなにお勧めしたい警視庁公認アプリ」。1月中旬、短文投稿サイト「ツイッター」でこんなつぶやきが急速に共有されました。切っ掛けは、アイドルグループ「NGT48」のメンバーが自宅マンションに押し掛けてきた男に顔をつかまれた事件の表面化。アイドルグループの運営会社は全メンバーに防犯ベルを配るなどの対策を発表しましたが、インターネット上でファンなどから「不十分だ」との声が相次ぎました。

 そこで注目を集めたのが、デジポリスの「防犯ブザー」機能。緊急時にベルの絵の画面をタップするとスマホの最大音量で電子音が鳴り響き、あらかじめ登録したメールアドレスに通知を送ります。合わせてスマホの位置情報を送ることも可能。

 インターネット上で「防犯ベルより役立つアプリ」として話題になり、1月だけでダウンロード数は約1万3000件と通常の月平均の6倍に達しました。

 「痴漢撃退」機能では、画面に「痴漢です 助けてください」と表示され、怖くて声が出せなくても周囲の人に見せて助けを求めることができます。さらに画面をタップすると、アプリが「やめてください」と大声を上げます。

 ほかにも、不審者の出没情報や警察署の位置などを表示する地図、特殊詐欺の防犯対策を指導する動画などが組み込まれています。   

 警視庁は一層の普及を目指し、3月に大幅な改修を予定。駆け込み先として交番の位置を地図に表示するなど防犯機能を強化します。紺を基調としたホーム画面は、より明るい色調のデザインに変更する方針といいます。

 警察が配信するアプリはほかにもあり、大分県警のアプリは、スマホを車のダッシュボードに固定すると前の車との車間距離を計測し、近付きすぎると音声などで警告します。県内で多い追突事故を減らすため、カー用品メーカーと共同開発しました。

 愛知県警は、飲食店などが不当に高い料金を請求する「ぼったくり」の摘発に力を入れており、条例に基づいて指定した悪質な店の位置を地図上に表示するアプリを配信しています。   

 防犯に詳しい東京未来大の出口保行こども心理学部長は、「多機能なアプリでもわかりにくいものは使われない。若い女性や子供が使いやすいものにすることが重要」と指摘。「デジポリスには、ワンタップで110番できる機能など、さらなる改善を期待したい」と話しています。

 2019年2月17日(日)

 

■外国人急患に24時間対応「医療通訳コールセンター」を開設 大阪府が新年度に

 大阪府は、病院と外国人の救急患者との意思疎通を支援する「医療通訳コールセンター」を新年度に発足させます。外国人の急患が病院側とうまくコミュニケーションがとれず、トラブルになるケースが増えており、24時間対応可能な医療通訳を待機させて病院側をサポート。4月から始まる外国人労働者の受け入れ拡大にも備えます。

 大阪府を訪れた外国人観光客は、2013年の263万人から2017年に1110万人に急増。府の外国人患者の受け入れ実態調査によると、2017年度に府内の病院の6割が救急搬送を含む外国人患者を受け入れ、約1万5000人(速報値)が受診しました。受け入れ時に多いトラブルの理由(複数回答)は、「言語・コミュニケーション」(39・2%)、「医療費などの未払いの発生」(18・6%)などが多くなりました。

 大阪医療センター(大阪市)の関本貢嗣副院長は、「一晩に3、4人の外国人急患が訪れると、対応が追い付かないこともある。文化や保険制度の違いが原因となることが多い」と指摘しています。

 府が新設する「医療通訳コールセンター」では、医療関連の用語に精通した通訳が英語、中国語、韓国語、スペイン語、ポルトガル語の5カ国語で24時間、病院側の問い合わせに電話で対応します。

 金銭トラブルや外国の保険会社への請求などへの対応を医療機関に助言する相談窓口も、新設予定。大阪府は、関連経費計約1800万円を新年度予算案に計上する方針です。

 2019年2月16日(土)

 

■東京都足立区、「ワンコイン」でがん検診 乳がんと子宮頸がんが対象

 乳がんと子宮頸(けい)がんの検診で受診率が低迷している東京都足立区は、対象年齢となる人の自己負担額を引き下げ、500円で受診できる「ワンコイン化」を始める方針です。

 足立区が2017年度に実施したがん検診の受診率は、40歳以上が対象の乳がん検診で13・4%、20歳以上が対象の子宮頸がん検診で13・6%で、いずれも2015年度に比べて5ポイント余り低くなっています。

 このため足立区は、新年度から検診への補助を増やし、これまで基本的には、乳がん検診が2200円、子宮頸がん検診が2000円だった自己負担額をそれぞれ500円に引き下げる「ワンコイン化」を始める方針です。

 また、乳がんや子宮頸がんの罹患(りかん)率が高いとされる年齢層に、2年ごとに受診を勧める文書を個人宛に新たに送ることにしています。

 足立区は2020年度には受診率20%を目指しており、「ワンコイン化で気軽に検診を受けてもらい、がんの早期の発見や治療につなげていきたい」としています。

 2019年2月16日(土)

 

■病院ではしかの集団感染、医師や事務職員など10人 大阪府茨木市

 大阪府茨木市の病院で、1月下旬からこれまでに医師や事務職員など合わせて10人が、はしか(麻疹=ましん)に感染していたことがわかり、大阪府はこの病院を訪れた人で、はしかのような症状が出た人は連絡するよう呼び掛けています。

 はしかの集団感染がわかったのは、大阪府茨木市にある大阪府済生会茨木病院です。

 大阪府によりますと、1月24日、風邪のような症状で受診した患者1人が、30日になってはしかに感染していたことが確認されました。

 その後、この病院の医師1人と事務職員5人、それに外来患者3人の合わせて9人が相次いで、はしかの症状を訴え、2月8日から15日までの間に9人全員が「はしか」に感染していると確認されました。いずれも症状は軽く、回復に向かっているということです。

 大阪府は、個人の特定を避けるため、患者の年齢や性別、どこを訪れていたかなど公表しないとしています。

 大阪府や病院は、これまではしかにかかったことがないか、かかったかどうかわからない人で、2月4日から9日までの間に大阪府済生会茨木病院を訪れ、発熱、せき、発疹、のどの痛み、それに鼻水などの症状がある人は、病院に電話で連絡するよう呼び掛けています。

 2019年2月16日(土)

 

■はしか、近畿地方で大流行 患者数の約7割が6府県と三重県

 今年に入り、はしか(麻疹=ましん)の患者が、近畿地方を中心に急増しています。2月6日現在、全国19都道府県で148人の感染が報告され、過去10年で最多だった2009年を上回るペース。

 患者は近畿6府県と三重県で約7割を占めますが、さらに全国に拡大する恐れがあり、行政機関がワクチン接種を呼び掛けています。

 はしかは感染力が極めて強く、飛沫(ひまつ)感染や接触感染に加え、空気中に漂うウイルスを吸い込む空気感染でも広がります。潜伏期間は10~12日程度とされ、発症すると高熱や発疹が出ます。肺炎、中耳炎を合併しやすく、1000人に1人の割合で脳炎を発症し、死亡することもあります。

 昨年末、三重県で開かれた研修会で集団感染が発生し、今年1月7日以降、男女31人が発症しました。県外からの参加もあり、和歌山県や愛知県などにも感染が広がりました。

 大阪市では、はしかに感染した三重県の男性が1月6日、アイドルグループの握手会に訪れ、近くにいた人が感染した可能性があります。同市のあべのハルカスの近鉄百貨店本店でも従業員11人の感染が見付かり、利用客8人への感染も確認されています。

 さらに、患者が東海道新幹線で新大阪―東京間を移動した例も明らかになり、感染拡大の恐れは高まっています。

 大阪府医療対策課の担当者は、「予防にはワクチン接種が有効。感染が疑われる場合は医療機関に連絡し、指示に従ってほしい」と話しています。

 2019年2月16日(土)

 

■インフルエンザ患者数、ピークから半分に 2週連続で減少

 厚生労働省は15日、4~10日の1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数を発表。1医療機関当たりの患者数が26・28人と2週連続で減少し、前週の43・24人から大幅に減りました。1月下旬に57・09人の過去最多を更新して以降、患者数は減少に転じており、インフルエンザのはしかの潜伏期間は、10~12日程度とされます。猛威は収まったとみられます。

 都道府県別では、埼玉県の38・56人が最多。沖縄県(35・50人)、新潟県(35・44人)、大分県(35・12人)、宮城県(32・98人)が続きました。全都道府県で前週の報告数より減り、30人を超える「警報レベル」は12県となりました。

 1週間に医療機関を受診した患者数の推計も約98万3000人で、前週の約166万9000人から約68万6000人減りました。

 2019年2月16日(土)

 

■世界のはしか患者数、50%増加し約22万9000人 死者は約13万6000人に

 国際連合(UN)の専門機関である世界保健機関(WHO)は14日、2018年の世界のはしか(麻疹=ましん)患者数が前年比約50%増だったとして、はしかの流行を阻止するための取り組みが「後退している」と警鐘を鳴らしました。

 WHOは、はしかの再流行という憂慮すべき傾向が世界規模で起きていることを示す予備データを提示しました。予防接種率が過去最高水準に達している富裕国でも、この傾向が認められています。

 WHOの予防接種・ワクチン・生物学的製剤部門を統括するキャサリン・オブライエン氏は記者団に、「WHOのデータは、はしか患者数の大幅な増加を示している。この傾向はあらゆる地域でみられている」と語りました。

 オブライエン氏は、「現在起きている流行は長期化しており、かなり大規模で、さらに拡大している」とし、「これは個々に孤立した問題ではない」と述べました。

 また、報告された患者数は、実際の患者数の10%足らずだろうといいます。同氏は「報告数で50%の増加が確認されていることを考えると、我々が間違った方向へ向かっていることがわかる」と述べ、感染例の実際数は「数百万件」に上るだろうと指摘しました。

 2018年に世界各国で報告されたはしか患者数のWHOへの提出期限は、4月となっています。だが、すでにこれまでに寄せられたデータの段階で、前年17万3000人だった患者数は約22万9000人に増加しています。WHOの暫定統計によると、2018年のはしかによる世界の死者数は約13万6000人に上るといいます。

 はしかは非常に感染力が強い伝染病で、重度の下痢、肺炎、失明などを引き起こす可能性があり、場合によっては死に至る恐れもあります。WHOによれば、はしかは依然として「幼い子供の主要な死因の一つ」だといいます。

 はしかは1960年代から使用されている「安全かつ有効な」ワクチンの2回接種で容易に予防できるため、こうした状況はもどかしいとWHOは述べています。

 WHOの予防接種普及プログラムを統括するカトリーナ・クレシンガー氏によると、はしか患者数は2000年には85万人以上だったのに対し、2016年までは着実に減少していましたが、2017年以降に急増したといいます。

 貧困国や周縁地域、紛争国などでは、ワクチンを入手できないことが問題になります。しかしその一方で、ヨーロッパや他の富裕地域では、はしかワクチンに関する無関心と誤った情報に再流行の原因の一端があると専門家らは分析しています。

 一部の国々では、はしかワクチンを自閉症と関連付ける医学的根拠のない主張がなされ、そうした主張がいわゆる「反ワクチン」運動の支持者らによってソーシャルメディアなどで拡散されてもおり、これがはしかの再流行に関連しているとされます。

 だが、オブライエン氏は「我々はこれまでの進歩を後退させている」「現在の後退は、予防手段がないから起きているのではない。はしかの予防方法は確実にある」と述べ、「現在の後退の原因は、ワクチン接種が行われていないせいだ」 と指摘しました。

 2019年2月16日(土)

 

■東京都内で11日、スギ花粉の飛散開始 平均より5日早まる

 東京都は13日、11日から都内でスギ花粉が飛び始めたと発表しました。飛び始めは、過去10年の平均(2月16日)と比べて5日早いということです。

 東京都は、1月から千代田区、葛飾区、杉並区、北区、大田区、青梅市、八王子市、多摩市、町田市、立川市、府中市、小平市の都内12カ所で花粉の観測を行っており、このうち大田区で11日と12日の2日間、基準を上回る1平方センチメート当たり1個以上のスギ花粉が観測されました。

 このため、東京都は11日から都内でスギ花粉が飛び始めたと発表しました。これは、昨年(2月14日)と比べて3日早く、過去10年の平均と比べて5日早いということで、2月上旬に暖かい日が続き、スギの開花が早まったためではないかと分析しています。

 また、この春に東京都内で飛ぶ花粉の量は、過去10年の平均の1・2倍と、おおむね例年並みになる見通しです。

 東京都は、各地の観測結果をホームページに掲載しているということで、晴れて、暖かく、風のあるスギ花粉の飛散が多い日には、マスクやメガネの着用などの対策を行うよう呼び掛けています。

 2019年2月16日(土)

 

■はしか感染の横浜市の女性が成田から横浜へ移動 千葉市の男性も東京都内などを移動

 2月11日に、成田空港からバスや電車を利用した横浜市内の10歳代の女性が、はしか(麻疹=ましん)に感染していたことがわかり、横浜市は、同じ時間帯の利用者に感染が広がる恐れがあるとして注意を呼び掛けています。

 横浜市保健所によりますと、はしかの感染が確認されたのは市内に住む10歳代の女性です。

 女性は今月上旬、フィリピンに滞在中に発熱や発疹の症状が出て、2月11日に帰国した後、横浜市内の診療所を受診し遺伝子検査ではしかの感染が確認されました。

 保健所によりますと、女性はフィリピンで感染したとみられるということで、帰国後、周囲に感染する可能性があった時期に集客施設には行っていないものの、公共交通機関は利用していたということです。

 具体的には、帰国した2月11日の午前7時台前半に成田空港第3ターミナルからリムジンバスに乗って横浜駅まで移動し、午前9時半ごろに東急東横線で横浜駅から日吉駅に移動したということです。

 保健所は、感染が広がる恐れがあるとして、女性と同じ時間帯に同じ経路のバスや電車を利用した人に対し、発熱や発疹など感染が疑われる症状が現れた場合は、事前に医療機関に連絡した上で指示に従って受診するよう呼び掛けています。

 また、はしかの患者が各地で確認される中、千葉市では、インド洋の島国、モルディブから帰国した20歳代の男性がはしかと診断され、男性は鉄道で千葉県内や東京都内を移動していたということです。

 千葉市に住む男性は1月、モルディブから帰国した後、2月6日になって発熱の症状が出ました。その後の検査ではしかと確定するまでの間、医療機関に通うためなどで千葉県内や東京都内のJRや地下鉄を利用したということです。

 千葉市は感染が広がる恐れがあるとして、2月5日から12日にかけて男性が利用した交通機関の情報をホームページで公表し、注意を呼び掛けています。

 2019年2月15日(金)

 

■大阪市「あべのハルカス」近鉄百貨店、利用客8人がはしか感染 従業員10人も感染

 大阪市阿倍野区の「あべのハルカス」にある百貨店で、はしか(麻疹=ましん)に感染した従業員や利用客が相次いで確認されましたが、15日新たに利用客2人がはしかに感染していたことがわかりました。

 新たに感染が確認されたのは、「あべのハルカス近鉄本店」を1月25日に利用した奈良県の20歳代の男性と、26日に利用した大阪市の40歳代の男性です。

 2人はいずれも百貨店に設けられていたバレンタインフェアの特設会場を訪れており、奈良県の男性は2月13日、大阪市の男性は2月8日に、それぞれ発熱や発疹などの症状を訴えて医療機関を受診し、はしかと確認されました。

 百貨店では2月3日から10日にかけて、バレンタインフェアの特設会場などで働いていたアルバイトなどの従業員10人がはしかに感染したほか、1月26日または27日に特設会場を訪れた10歳代から30歳代の利用客6人も感染が確認されています。

 はしかは感染力が非常に強く、初期はせきや鼻水といった風邪に似た症状で、その後高熱や全身に赤い発疹が出て重症化すると死亡する場合もあります。

 大阪市は利用客がどこで感染したか特定はできていないものの、発症した時期などからこの百貨店での感染が強く疑われるとして、百貨店を訪れてから3週間以内にはしかの症状が出た場合は、事前に医療機関に連絡した上で早めに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2019年2月15日(金)

 

■東海道新幹線で往復の女性、はしかに感染 大阪府が注意喚起

 2月上旬に東海道新幹線で新大阪と東京の間を往復していた女性が、はしか(麻疹=ましん)に感染していたことがわかり、大阪府は14日、感染が広がる可能性もあるとして、同じ新幹線に乗車した人などに注意を呼び掛けています。

 大阪府医療対策課によりますと、はしかの感染がわかったのは40歳代の女性です。

 女性は2月6日に発熱した後、8日の午前11時56分に新大阪を出発し午後2時半に東京に到着した東海道新幹線の「のぞみ340号」と、10日の午後6時に東京を出発し午後8時33分に新大阪に到着した「のぞみ121号」に、それぞれ乗車していたということです。

 女性は12日に医療機関を受診し、遺伝子検査の結果、13日に感染が確認されました。

 はしかは高熱などに続き全身に赤い発疹が出るのが特徴で、重症化すると最悪の場合、死亡することもあります。空気感染で広がり、感染力が非常に強いのも特徴です。

 大阪府は、女性が不特定多数の人と接触している可能性があるとして、女性と同じ新幹線に乗車していた人などに対し、3週間以内にはしかを疑う症状が出た場合は、事前に医療機関に連絡した上で速やかに受診するよう呼び掛けています。

 2019年2月14日(木)

 

■マイナンバーカード、健康保険証として利用可能に 2021年3月からすべての病院で

 政府は2021年3月から、原則としてすべての病院でマイナンバーカードを健康保険証として使えるようにします。マイナンバーカードは制度開始から3年たっても普及率は1割強にとどまっています。健康保険証を代用できるようになれば、取得する人が増えると期待され、マイナンバーカードの普及を通じて、北欧諸国などに比べて遅れるデジタル社会作りを加速させます。

 マイナンバーカードがあれば、現在では政府が運営するサイト「マイナポータル」を通じて、認可保育所の利用申請などの行政手続きがインターネットでできます。納税手続きをネットでする際の本人確認にも利用できます。自治体によっては、マイナンバーカードを使ってコンビニエンスストアで住民票の写しや印鑑登録証明書なども取得できます。

 2018年12月時点で、マイナンバーカードの交付実績は1564万枚と人口の12%程度。政府が今国会に提出する健康保険法改正案にマイナンバーカードを保険証として利用可能にする規定を盛り込み、関係省庁で普及に向けた作業部会を設けます。

 マイナンバーカードの裏面に搭載されたICチップを医療機関の窓口の読み取り機にかざすことで、診療報酬に関する事務を担う社会保険診療報酬支払基金から健康保険証の情報が病院に自動送信され、窓口で職員が情報を書き取る手間は必要なくなります。健康保険組合の判断で健康保険証をマイナンバーカードに切り替えれば、保険証の発行コストはなくなります。

 政府はカード利用の協力を健康保険組合や病院に呼び掛け、読み取り機のない診療所や病院には導入資金や改修費用を補助。電子化された健康保険証の情報と患者の診療報酬明細書(レセプト)の情報を連結することが可能で、患者の同意があれば医者は過去の処方歴を簡単に把握できるようになります。ICチップは外部から読み取られる恐れがなく、なりすましはできない上に、病院窓口の読み取り機にはカードの顔写真から認証できる仕組みも採り入れます。

 政府は2013年に世界最高水準のIT国家を目指すと閣議決定し、さまざまな手続きがネット上で完結するデジタル社会作りを進めています。マイナンバーカードの個人認証機能を行政分野に限らず、民間サービスにも広げることを目指し、マイナンバーカードの普及をデジタル社会作りの中核と位置付けています。

 2019年2月14日(木)

 

■スマホで聴く音楽、若者11億人に難聴リスク WHOが音量基準を提案

 世界保健機関(WHO)は12日、スマートフォンなどの携帯音楽機器で長時間、大音量の音楽を聴き続けると聴覚障害になる恐れがあるとして、音量制限機能などの搭載を求める国際基準を発表しました。現状では、世界の若者(12~35歳)の半数近くに当たる11億人が難聴になる危険性が高いと警告しました。

 WHOは「一度失った聴力は戻らないと理解すべきだ」と強調し、各国政府やメーカーに国際基準に沿った規制や機器の製造を要請しています。

 国際基準は、国際電気通信連合(ITU)と共同で策定。安全利用の目安を大人で音量80デシベル、子供で75デシベルを1週間に40時間までとし、機器にどの音量をどのくらい聴いたかを明示する機能を付けるべきだとしています。大音量で聴き続けた場合、自動的に音量を下げる機能も必要だとしました。

 さらに、ナイトクラブやディスコ、競技場などでも大音量にさらされるリスクが高まっているとして、規制を求めています。

 WHOによると、世界で聴覚障害に苦しむ人は約4億6600万人で、うち3400万人が子供。そのうちどれだけの人がスマートフォンやその他オーディオ機器の危険な使用によって聴力を損傷したのかはわからないとしていますが、今回の新しい国際基準によって、「日々、音楽を楽しむ若年消費者層を守ることができるだろう」と期待を寄せています。

 2019年2月13日(水)

 

■アメリカで、はしかの患者100人を超す 東部や西部10州で確認

 アメリカでは、はしか(麻疹=ましん)の感染が広がっており、今年に入って以降、確認された患者は100人を超えました。患者のほとんどはワクチンを接種していなかったということで、疾病対策センター(CDC)は、ワクチンの接種を呼び掛けています。

 CDCによりますと、アメリカで今年報告されたはしかの患者は、2月7日までで101人とすでに100人を超えています。

 感染は、東部ニューヨーク州や西部ワシントン州など、10の州で報告され、患者のほとんどはワクチンを接種していなかったということです。

 はしかは、発熱や、全身に発疹が出るウイルス性の感染症で、空気感染するため感染力が強く、乳幼児は重症になる場合があるほか、妊婦が感染すると流産や早産の恐れがあります。

 アメリカでは、ワクチン接種の広がりとともに患者は減少し、2000年にはCDCが撲滅を宣言したほか、2016年には世界保健機関(WHO)が南北アメリカについて土着のウイルスによる感染がない「排除状態」になったと認定しました。

 しかし、海外旅行者が国外からウイルスを持ち帰ったり、ワクチンに拒否感を示す一部の人達や、宗教上の理由などでワクチンを接種しない人達の間で感染は続いており、2014年には667人、昨年には372人の患者が報告されています。

 CDCは、感染の拡大を防ぐためにワクチンの接種を呼び掛けています。

 2019年2月13日(水)

 

■2種類のインフルエンザウイルスが同時流行 1シーズン2回感染も

 今年1月に過去20年で最多を更新したインフルエンザの患者数はようやく減少に転じましたが、流行は依然続いています。A型の2種類のウイルスが同時流行したことで感染者を増やしたとみられ、専門家は「今はA型の中でも高齢者が重症化しやすいA香港型が優勢になっており、流行のピークを越えても十分に警戒を」と呼び掛けています。

 「ひと冬にA型に2回かかることがあるんですか?」。長女(5歳)の感染を疑い、かかりつけ医を受診した大阪市内の女性(34歳)は4日夜、検査結果を聞いて耳を疑いました。長女はつい1カ月前にもインフルエンザの「A型」と診断されていたからです。

 女性は「可能性はあると聞いていたが、まさか我が家で起きるとは」と驚き、診察した冨吉医院(同市阿倍野区)の冨吉泰夫院長は「あまりないケースのはずだが、今季は同様の患者がほかにもいる。1度かかった人も油断せず、人混みをなるべく避け、手洗いを徹底してほしい」と話しています。

 国内で流行するA型には、2つのタイプがあります。1つは2009年に新型インフルエンザとして世界で大流行した「H1N1型」、もう1つは1968年以降、流行を続ける「A香港型」。このほかB型も、2種類あります。

 東北大の押谷仁教授(ウイルス学)は、「今季はA型の2つが勢いよく広がっており、流行の規模を大きくしている」と分析しています。

 ここ数年でみると、2014~2015年はA香港型、2015~2016年はH1N1型、2016~2017年はA香港型と交互に流行してきました。押谷教授は、「前季流行した型は、多くの人が一定の免疫を得ているとされる。このため翌シーズンは別の型がはやり、同時流行は起きにくいと考えられてきた」と説明します。

 その形が昨季の2017~2018年は崩れ、A型2種類とB型1種類がほぼ均等に表れました。「詳しい原因は不明だが、昨季は典型的な流行パターンにならず、A型が2種類とも大きく広がらなかった。結果的に免疫を持つ人が少なくなり、今季の同時流行を招いたのではないか」と推測しています。

 警戒すべき点は、「1シーズン2回感染」にとどまりません。現在、高齢者を中心に重症化しやすいA香港型が、それまで主流で6歳以下の子供にインフルエンザ脳症を起こしやすいとされるA香港型を追い抜き、検出されるウイルスの主流になっているからです。

 今年に入り、兵庫県淡路市の養護老人ホーム「北淡(ほくだん)荘」で7人が死亡するなど、各地の高齢者施設で集団感染が相次ぎ、専門家の間では「A香港型が原因では」との見方が強くなっています。

 実際に国立感染症研究所の統計でも、昨秋から昨年末はH1N1型が主流でしたが、今年1月以降はA香港型の割合が高まり、H1N1型を逆転しています。

 同じA型でも、H1N1型のウイルスは過去にはやったAソ連型と性質が似ており、高齢者の多くが一定の免疫を持っている可能性があります。一方、A香港型はより変異しやすく、感染して得た免疫が翌年以降は十分に働かないことも多くなります。変異のしやすさからH1N1型に比べてワクチンの効果を上げにくいことも、再感染や重症化につながる一因になっています。

 インフルエンザ対策に詳しい「けいゆう病院」(横浜市西区)の菅谷憲夫医師は、「A香港型の怖さを理解し、家庭や高齢者施設で発症者が出たら周囲の人に抗ウイルス薬の予防投与を検討するなど、引き続き緊張感を持って対応してほしい」と警鐘を鳴らしています。

 2019年2月13日(水)

 

■池江璃花子選手の白血病、若い世代のがんの1位 完治へは骨髄移植の選択肢も

 競泳女子のエース、池江璃花子(いけえ・りかこ)選手(18歳)が12日、自身のツイッターで白血病と診断されたことを公表しました。1月18日からオーストラリアで合宿中でしたが、体調不良で8日に帰国していました。池江選手は、「私自身、いまだに信じられず、混乱している状況です。今は少し休養を取り、1日でも早くまた、さらに強くなった池江璃花子の姿を見せられるよう頑張っていきたいと思います」とつづりました。

 同日、東京都内で会見した日本水泳連盟によると、オーストラリア合宿後半から体調不良を訴えることが多くなり、2月4日に現地で血液検査を実施。再検査を勧められたため予定を切り上げて8日に帰国し、再検査で病気が発覚しました。現在入院中で、12日から治療を開始。医師からは早期発見だったと説明を受けたといいます。

 治療を最優先し、16日からのコナミ・オープン、4月の日本選手権は欠場します。上野広治副会長は、「厳しい道のりになるが(来年の)東京オリンピックの代表選考会のスタートに立てるように見守ってほしい」と話しました。

 池江選手は昨年のジャカルタ・アジア大会で6冠を達成するなど成長著しく、2020年東京オリンピックでのメダル有力候補として活躍が期待されます。

 かつて「不治の病」とされた白血病は研究開発が進み、治る可能性の高い病気になりつつあります。「血液のがん」といわれ、固形がんのように手術では切除できず、抗がん剤治療が主となるものの、大きな副作用があります。

 国立がん研究センターなどによると、白血病の患者は年間約1万人ほどで、10万人当たり9・6人(2012年の推計値)。ただ、20歳代未満の若い世代では、がんの種別で1位(2009~2011年調査)となっています。

 大半の患者の発症原因は、不明です。異常な白血病細胞が無秩序に増殖するため、これを抑えることが治療の主な目的となります。進行が早い急性の場合、入院して抗がん剤を点滴投与します。治療の影響で生殖能力を失うことがあり、精子や卵子の凍結保存など温存治療も検討する必要があります。

 完治へ向けて「造血幹細胞移植」があります。骨髄の中の造血幹細胞を入れ替えるため、抗がん剤治療より強い副作用があり、嘔吐(おうと)や脱毛など体への負担は大きくなります。日本骨髄バンクによると、移植を求める患者は2030人で昨年末現在、ドナー(提供者)登録数は約49万人。ドナー数は十分のようにみえるものの、同バンクの広報担当者は「適合しない場合や、登録者が途中で辞退する人もおり、待っている患者はいる」と説明しています。

 白血病に詳しい北海道大病院血液内科の豊嶋崇徳(てしま・たかのり)教授は、「急性白血病は若年層に多いがんの代表だ。非常に進行が早いことで知られるが、約7~8割の患者は抗がん剤治療で白血病細胞が消える『完全寛解』の状態となる。その後も抗がん剤治療を半年から2年程度継続することで、約3~4割は根治が可能だ。また、抗がん剤治療のほかにも、骨髄移植の選択肢もある上、新たな治療法の開発も進んでいる。期待が大きい選手ではあるが、まずは治療に専念すべきで、競技継続は難しいものがあるといわざるを得ない。国民は完治することを祈りながら、治療に専念できる環境を整えることが重要だ」と話しています。

 2019年2月12日(火)

 

■全国の風疹患者、約1カ月で367人 春から大流行になる恐れ

 昨年、この10年余りで2番目に患者が多くなった風疹(三日ばしか)は、今年も約1カ月の患者数が367人と多い状態が続いています。例年、春から患者が増加する傾向にあるため、専門家は今年は大きな流行になる恐れがあるとして注意を促しています。

 昨年、全国の医療機関から報告された風疹の患者は2917人と、現在の方法で統計を取り始めた10年余りで2013年に次いで2番目に多くなり、今年も2月3日までの約1カ月の患者数は全国で367人と、この時期としては多い状態が続いています。

 都道府県別では東京都が101人、神奈川県が57人、千葉県が37人、大阪府が32人、福岡県が30人などと、首都圏が6割余りを占めています。

 風疹は発熱や発疹などの症状が出るウイルス性感染症。重症化や合併症の危険は低いものの、妊娠中の女性が感染すると、赤ちゃんに難聴や心疾患、白内障、発達の遅れなどの障害が出る「先天性風疹症候群」となる可能性があり、1月には埼玉県で男の子1人が先天性風疹症候群と診断されました。

 国立感染症研究所によりますと、風疹の流行は数年にわたって続く傾向があるほか、例年、春から患者数が増加するため、今年もこれからさらに患者が増えて大きな流行になる可能性があるとしています。

 厚生労働省は、子供のころに予防接種を受けた人が少なく、流行の中心となっている39歳から56歳の男性を対象に、ワクチン接種が必要か調べる抗体検査とワクチンの接種を原則無料で受けられる制度を始めることにしており、国立感染症研究所は「女性は妊娠の前に2回のワクチン接種を行っておくほか、新たな制度の対象となる男性はこれを活用をして検査やワクチン接種を行ってほしい」と呼び掛けています。

 2019年2月12日(火)

 

■高齢患者の蘇生や搬送の中止が可能に 東京消防庁が新たな仕組み導入へ

 高齢の患者が自宅などで心肺停止した際、救急隊が駆け付けても家族が「自宅でみとりたい」などとして、蘇生を拒否するケースが相次いでいることから、東京消防庁は救急隊が患者のかかりつけ医に連絡すれば、蘇生や搬送を中止できる新たな仕組みを導入する見通しになりました。

 東京消防庁が設置した専門家による懇話会は、高齢の患者にどのように対応すべきか今後の指針をまとめ、12日に村上研一消防総監に答申書を手渡しました。

 高齢者が自宅などで容体が悪化した際、救急隊が駆け付けても「自宅で最期を迎えたい」という本人や家族の意向で、蘇生が拒否されるケースが全国で相次いでいますが、多くの消防本部ではこうした場合の対応方針を決めておらず、現場の救急隊員からは戸惑う声も多く出ています。

 答申では、本人や家族が蘇生を望まない場合、救急隊がかかりつけの医師に連絡して了承を得れば、蘇生や病院への搬送を中止できる新たな仕組みが必要だとしています。また、現場で家族が署名する「同意書」を作り、蘇生や搬送を中止した経緯を記録に残すとしています。かかりつけの医師と連絡が取れなかった場合は、原則として蘇生を行い病院へ搬送するとしています。

 東京消防庁は答申を基にさらに細かい手順を検討し、早ければ今年中に新たな仕組みを導入する見通しです。

 高齢の患者の救急搬送の在り方については、さまざまな意見が聞かれました。68歳の男性は、「私はすでに書面に意思を表示しているので、この取り組みは本人の意思に従ってくれるという点で安心するし、すごくいいことだと思う。自分の意思を家族に伝えて話し合っておくことが必要だ」と話していました。

 また、80歳代の父親と70歳代の母親がいるという53歳の女性は、「よい取り組みだと思うが、気が動転して普通じゃない状態の時に冷静に同意書にサインできるかどうか難しい。事前に話し合いをしておけばいいが、家族が119番通報してしまう気持ちもわかる」と話していました。

 一方、48歳の会社員の男性は、「同意書を書くと現場で時間がかかってかえって面倒になるのではないか。また、各地の消防によって対応が異なるのも不公平で、人の生死にかかわる話なのできちんと国が法整備するよう検討してほしい」と話していました。

 答申をまとめた東京消防庁救急業務懇話会の会長の山本保博医師は、「患者や家族がどのような最期を迎えたいかについては、家族の中でもっと議論されるべきだし、ふだんから話し合えるような環境を作ってほしい。日本はまだ、最期の迎え方の意思決定をあいまいにすませてしまう傾向があり、何度も家族で話し合う必要がある」と話しています。

 2019年2月12日(火)

 

■iPS細胞備蓄にゲノム編集活用し、拒絶反応抑制へ 文科省が決定

 京都大が進める再生医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)の備蓄・提供事業について、文部科学省の専門家会合は、ゲノム編集技術を活用して備蓄の効率を高める方針を決めました。ゲノム編集でiPS細胞の遺伝子を効率よく改変し、移植時の免疫拒絶反応を起きにくくさせて、ほぼすべての日本人に提供できる体制を整えます。

 京都大iPS細胞研究所は2013年度から国の事業として、拒絶反応が起きにくい特殊な免疫タイプの人の血液や臍帯(さいたい)血からiPS細胞を作製し、再生医療用に備蓄し、企業や研究機関に提供しています。現状では日本人の約40%に移植可能ですが、約90%の日本人の免疫タイプに対応するには、140種類のiPS細胞を備蓄する必要があるなどの課題がありました。

 2019年2月11日(月)

 

■大阪市「あべのハルカス」で女性販売員2人がはしかを発症 京都訪問中の男性も発症

 大阪市阿倍野区の「あべのハルカス」のバレンタインフェア会場で働いていた女性2人が、はしか(麻疹=ましん)に感染していたことがわかり、大阪市は売り場を訪れた人などに注意を呼び掛けています。

 大阪市によりますと、はしかに感染していたのは20歳代の女性2人で、「あべのハルカス」の近鉄百貨店で開かれているバレンタインフェア会場で販売員のアルバイトをしていました。2人は2月3日と5日、8日の3日間、ウイング館の9階にある特設会場の別の店でそれぞれ接客を担当していたということです。

 1人は2月3日から、もう1人は6日から熱が出て、発疹などの症状が出たため医療機関を受診したところ、2人とも10日に、はしかと診断されたということです。

 はしかは感染力が非常に強く、高熱のほかに全身に赤い発疹が出て、重症化すると死亡する場合もあります。はしかの潜伏期間は、10~12日程度とされます。

 大阪市は11日、2人が不特定多数の客らと接触したとみて、売り場を訪れてから3週間以内にはしかが疑われる症状が出た場合、医療機関に連絡して受診するよう呼び掛けています。

 一方、京都市保健所は11日、同市の友人を訪ねていた東京都の男性会社員(31歳)がはしかを発症したと発表しました。

 保健所によると、男性は1月22~25日にカンボジアを旅行。2月6日に発熱し、7日に東京都内の医療機関を受診したものの、はしかとは診断されませんでした。京都市を訪れた9日夜、発疹に気付き同市内の病院を受診し、検査で陽性が確認されました。現在、病院に入院中です。

 2019年2月11日(月)

 

■2018年の気温、観測史上4番目の高さ アメリカの政府機関が発表

 2018年の世界の平均気温は観測史上4番目の高さだったと、アメリカの政府機関が発表しました。観測史上の上位5位までを昨年までの5年間が占めており、地球温暖化に歯止めがかかっていない現状が改めて示されました。

 アメリカの海洋大気局(NOAA)と航空宇宙局(NASA)は6日、昨年、世界各地で観測された気温のデータの分析結果を発表しました。

 それによりますと、2018年の世界の平均気温は14・69度で、20世紀を通した平均気温と比べて0・79度高く、記録がある1880年以降で4番目の暑さとなりました。

 これまでで最も暑かったのは2016年で、上位5位までを2014年から2018年までの5年間が占め、温暖化に歯止めがかかっていないことが改めて示されました。

 また、極端な気象現象による自然災害も相次ぎ、アメリカだけでも南部のハリケーンや西部カリフォルニア州の山火事など被害額が10億ドル、日本円にして1100億円を超える災害が14件に上ったということです。

 アメリカのトランプ大統領は「温暖化を信じない」と述べるなど対策に否定的ですが、データをまとめた研究者は「温暖化が起きていることは疑いようがない。これまでにない量の雨が降るなど、地域レベルで影響が出ている」と述べ、警鐘を鳴らしています。

 例年、気温のデータは1月に発表されますが、政府機関が1カ月余り閉鎖した影響で2月にずれ込み、思わぬ形で政治の影響を受けることになりました。

 国連(UN)の報道官は記者会見でグテーレス事務総長の声明を読み上げ、「年間の平均気温が上がり続ける傾向を変えるには地球温暖化対策を世界規模で加速させなければならない」として、温室効果ガスの排出量を2030年までに、2010年と比べて45%削減する必要があると強調しています。

 その上で声明は、「事務総長は今年9月23日に地球温暖化対策サミットを主催する。その狙いはパリ協定の目標達成に向けた国際社会の政治的な意志を高め、気温の上昇を抑えるための具体的な行動を促すことだ」としています。

 国連が温暖化のデータの発表に合わせて半年以上先となるサミットについて具体的に説明したのは、地球温暖化対策が思うように進んでいないことに対するグテーレス事務総長の強い危機感の表れとみられます。

 2019年2月11日(月)

 

■「オプジーボ」などのがん免疫薬の効果を増幅 北大などで併用療法の研究進む

 「オプジーボ」「キイトルーダ」などのがん免疫薬でも効果がないがん患者に使える治療法の研究が、進んでいます。がん免疫薬は治療が難しかったがんに劇的に効く半面、投与した患者の2~3割にしか効きません。北海道大学など3つの研究チームは、がん細胞が免疫から逃れられないようにして、治療効果を高める技術を開発しました。マウスの実験ではがんが小さくなり、製薬会社などと組んで臨床応用を進めます。

 がん細胞は健康な人でも、1日数千個生まれます。がんを発症しないのは、病原体を取り除く免疫ががん細胞を排除するからです。しかしながら、がん細胞は目印を隠して免疫細胞をかく乱したり、攻撃モードに入らないようにしたりといった種々の方法で免疫の監視や攻撃をすり抜けて増殖します。

 京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授らは、がん細胞が免疫の攻撃を逃れるカギとなるタンパク質を見付けました。そのタンパク質の働きを抑えることで、がん細胞への攻撃モードをオンにするのがオプジーボ。この成果で、本庶氏は2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞しました。

 がん免疫薬は新薬が登場しましたが、いずれも効く患者の数は限られます。がん細胞を見付けて攻撃命令を出す「ヘルパーT細胞」や、命令を受けて出動する「キラーT細胞」などの機能に、個人差があるためです。こうした免疫細胞の能力を高めたり、働きを邪魔する物質を取り除いたりすれば、より多くのがん患者で高い治療効果を期待でき、がん免疫薬と組み合わると相乗効果で効き目が強まります。

 北海道大の瀬谷司客員教授と松本美佐子客員教授は、ヘルパーT細胞に働き掛けて、がんへの攻撃力を高める物質を合成しました。ヘルパーT細胞がキラーT細胞に命令を盛んに送り、がん細胞を目掛けて集中攻撃します。

 がん免疫薬を組み合わせ、人のがんを移植したマウスに投与。皮膚がんや白血病、悪性リンパ腫で試すと、15日たった時のがんの大きさはがん免疫薬だけを使った場合の半分になりました。製薬会社に協力を打診しており、数年後の臨床試験(治験)を目指します。

 熊本大の押海裕之教授と塚本博丈講師らの技術は、がん細胞への攻撃を邪魔する「インターロイキン6」を消します。このインターロイキン6はヘルパーT細胞に対して、標的をウイルスなど他の病原体に仕向けさせますが、その働きを消してがんに攻撃を集めます。がん免疫薬と併用すると、マウスの皮膚がんは26日後に半分に縮小しました。数年後の臨床試験(治験)を目指します。

 熊本大の諸石寿朗准教授らは、がん細胞が免疫の監視を逃れるのを防ぐ技術を開発しました。攻撃の目印を隠す働きをする「LATS1」と「LATS2」の2つの遺伝子を見付けました。これらを働かないようにしたがんをマウスに移植したところ、2カ月後も生き残りました。

 従来のがんの治療法は、手術、抗がん剤、放射線でした。手術では見えない病巣は除き切れず、がんと闘うリンパ節まで取るため免疫力が落ちます。抗がん剤や放射線でも、がん細胞をすべて殺すことは難しいという課題がありました。がん免疫薬なら、効く患者ではがん細胞をすべて取り除くことができる可能性があります。

 がん免疫薬は「第4の治療法」と呼ばれるまでになりましたが、がん治療に使えそうな未知の免疫の働きはまだ残っています。こうした働きを突き止めて制御できるようになれば、がん治療を変える潜在力を秘めています。

 2019年2月11日(月)

 

■省庁や国立大で原則、使い捨てプラスチック禁止 4月から食堂や売店で

 政府は8日、省庁や国立大など国の機関の食堂で、ストローなど使い捨てプラスチック容器の提供を4月から原則、取りやめる方針を決めました。国に環境負荷の少ない物品調達を義務付けるグリーン購入法の調達方針の改定を閣議決定しました。

 庁舎内のコンビニなど売店では、レジ袋に植物由来の素材を含むことなどを義務化します。食品ロスについても、食堂や売店に発生量の把握や削減目標の設定を義務付けました。4月以降、事業者との契約の際には選定の条件となります。

 グリーン購入法では、国が率先して環境に配慮した調達に取り組むよう、事務用品や設備、公共工事など幅広く調達方針を定めています。各省庁や国会、独立行政法人、国立大学など国の機関は毎年、基本方針に即して方針を決めています。

 今回の改定では、使い捨てプラスチック削減や食品ロス削減に向けた方針が強化されているのが特徴。

 食堂でのストローやスプーン、皿など使い捨てプラスチック容器について、代替手段がない場合を除き使用を禁止することに加え、省庁内のコンビニなど売店のレジ袋は、植物などバイオマス由来原料を10%以上含むことを義務付けました。また、審議会など会議運営では、ペットボトル入り飲料や使い捨てプラスチックのコップなどを使用禁止とします。

 ただし、大量のプラスチックごみの原因となっていた使い捨て弁当容器については、代替品が困難なことなどを理由に禁止せず、排出抑制に取り組む業者との契約を努力義務にしました。

 食品ロスの削減については、食堂や売店での削減目標設定のほか、消費者への呼び掛けや啓発に取り組むよう定めました。具体的な取り組みとして、食堂で余った食材を持ち帰りたい時には容器を提供することなどを例示しています。

 環境省によると、この改定で年間に最大ペットボトル約8万5000本、レジ袋約100トンの削減効果を見込んでいます。環境省大臣官房環境経済課の荒木肇課長補佐は、「循環型社会への取り組みや食品廃棄物削減など、環境負荷低減に向けた取り組みを今後も続けていきたい」と述べています。

 2019年2月10日(日)

 

■女性がん患者支援の専門部署を初設置 国立がん研究センター

 女性のがん患者特有の悩みや相談に応じる専門の部署が、全国で初めて国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)に設置され、多くの患者が利用しています。

 がんになる女性は毎年約40万人おり、妊娠や出産など女性特有の悩みがありますが、十分に対応できていないケースがあるとされていました。
 
 国立がん研究センター東病院は、全国でも初めて「レディースセンター」という部署を設けて、さまざまながんになった女性患者に対して治療前から治療後まで一貫して悩みや相談に対応しています。

 レディースセンターには、専門の看護師やカウンセラーが配置されており、治療後に妊娠を希望する患者に対して、治療を開始する前に卵子を凍結保存することができるか一緒に検討を行うなどするほか、抗がん剤の副作用による脱毛や皮膚の荒れに対して、目立たなくする対処法やメイクのアドバイスなどもしています。

 レディースセンターは、国立がん研究センターの診療科で紹介を受けることで利用でき、1カ月に約200人の患者から相談を受けているということです。

 レディースセンター長を務める国立がん研究センター東病院の秋元哲夫副院長は、「治療前から治療の後まで生活の質をできるだけ落とさないよう支援して、女性患者が安心してがん治療を受けられるようにしたい」と話しています。

 全国のがん患者のデータである「全国がん登録」によりますと、2016年の1年間に新たにがんと診断された女性は42万8000人でした。このうち、乳がんは9万4000人、大腸がんは6万8000人、胃がんは4万1000人などとなっています。また、15歳から39歳の若い世代の女性のがん患者は1万5000人でした。

 2019年2月10日(日)

 

■大阪大病院、30歳代男性に小腸移植 保険適用後、成人で初めて

 大阪大病院(大阪府吹田市)は8日、脳死判定されたドナーから、東京都内の30歳代男性に小腸を移植したと発表しました。移植は昨年10月で、今年1月、男性は退院しました。その後の経過も順調で、栄養を取るため常時体につないでいた点滴が必要なくなったといいます。

 病院によると、小腸移植は海外では広く行われているのに対し、国内では昨年まで公的医療保険の対象になっていなかったこともあり、27例とあまり広がっておらず、技術的にも難しいといいます。今回は保険適用後3例目で、成人は初めて。

 男性は2010年、潰瘍(かいよう)性大腸炎と診断されました。その後も血便が改善せず、大腸の一部と小腸のほぼすべてを切除。腸からの消化吸収が不十分になり点滴で栄養を取らざるを得なくなる短腸症と診断され、24時間点滴を流す生活をしていましたが、血管の状態や肝臓の機能が悪くなっていました。2016年から脳死小腸移植を待っていたといいます。ドナーは30歳代女性。

 会見に同席した男性は、「点滴での栄養摂取と、自分で吸収し、エネルギーになるという感覚はかなり違う。ドナーの方への気持ちは感謝の一言では言い表せません」と語りました。

 担当した大阪大病院小児外科の上野豪久講師は、「移植が必要な患者は全国にいると思う。こういう治療があることを知ってほしい」と話しました。

 また、男性は8日、大阪大病院を通じてコメントを出しました。内容は以下の通り。

 ドナー様、そして深い悲しみのさなかで決断をして下さったご家族様に心より感謝申し上げます。

 私は、8年前より、点滴を24時間流しながら生きていました。多くの制限がある中で自分なりの生き方を模索し、どうにもならない現実に時に苦悩、挫折しながら、それでも自分の人生の意味を問いながら、移植のその時を待っていました。

 幸い、術後の経過も良好で3カ月が経とうとしています。24時間流していた点滴も日中はしなくてもよくなり、身軽な状態で歩く世界はまぶしく、心震えたことは決して忘れません。

 これから一日一日を丁寧に、そして社会に少しずつ恩返しができたらなと思っています。本当に本当にありがとうございました。

 2019年2月10日(日)

 

■世界の自殺率、3分の1以上低下 10万人当たり16・6人が11・2人に

 世界全体の自殺率が1990年から3分の1以上低下しているとの分析結果が6日、イギリスの医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」に発表されました。

 世界保健機関(WHO)は自殺を重大な保健行政上の問題と位置付けており、自殺者数を少なくとも年間80万人と推定し、15~29歳の年齢層で2番目に多い死因となっているとしています。

 この大規模な健康調査をまとめた報告書「世界の疾病負担研究」に携わった専門家チームが考案したデータモデルによると、国ごとでは自殺者に関する数字に違いが見られるものの、世界全体の自殺率は明らかに低下傾向にあることがわかりました。

 研究結果によると2016年の自殺者数は推定81万7000人で、1990年から6・7%増となったものの、この30年で世界人口が急増したことから、年齢と人口規模で調整した10万人当たりの自殺率では16・6人から11・2人と32・7%減となりました。

 「世界の疾病負担研究」は慈善財団「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」が資金援助している保健指標評価研究所が毎年実施しており、膨大なデータから死因、年齢、性別、地域別の死亡率を推定しています。

 専門家チームは全体の自殺率が減少傾向にあることを評価する一方、一部の国と地域ではいまだに自殺が損失生存年数を増加させている大きな要因であると指摘。損失生存年数は自殺時の年齢と国・地域の平均余命を比較して算出した年数で、2016年には世界全体で3460万年に上っています。

 また、性別で見ると10万人当たりの自殺率は男性15・6人、女性7・0人となっており、男性が女性を大きく上回っていることもわかりました。

 研究に協力したカナダ公衆衛生局のヘザー・オルパナ氏は、「自殺は回避可能な死因と考えられており、今回の研究は私たちが自殺防止に向けた取り組みを継続すべきであることを示している」と述べました。

 2019年2月10日(日)

 

■インフルエンザ脳症の患者が127人に上る 少なくとも5人死亡

 今シーズンに報告されたインフルエンザ脳症の患者数が127人に上ることが8日、国立感染症研究所の集計で明らかになりました。2009年に発生した新型インフルエンザの流行が終わった後では最多のペースといいます。

 インフルエンザ脳症を起こしやすいとされるH1N1型ウイルスへの感染が多いのが、原因とみられます。今後も増えると予想され、同研究所の砂川富正室長は「全身けいれんなど、脳症が疑われる症状が出たらすぐに病院を受診してほしい」と警戒を呼び掛けています。

 3日までの1週間に報告されたインフルエンザ患者数は、1医療機関当たり43・24人。前週に比べ減少に転じましたが、岐阜県、和歌山県、熊本県を除く44都道府県で30人を超える「警報レベル」となりました。

 インフルエンザ脳症はインフルエンザの合併症で、発熱後、意識障害や全身のけいれん、意味不明の言動などの症状が出て1日から2日という短期間に悪化するが特徴で、6歳以下の子供に多くみられます。8~9%が死亡し、約25%の子供に脳障害などの後遺症が出ます。

 感染症研究所によると、昨年秋から今年1月下旬までの脳症報告数(暫定値)は127人。1歳から40歳代の少なくとも5人の死亡が報告されています。

 同じ期間で比べると、2015~2016年が57人、2016~2017年が54人、2017~2018年が108人で、最近では最多のペースとなっています。シーズン全体で見ると、H1N1型が流行した2009~2010年に319人、2015~2016年に223人の患者が報告されました。

 1週間にインフルエンザで医療機関を受診したのは推計約166万9000人で、前週から約55万7000人減りました。都道府県別の1医療機関当たり患者数は、埼玉県の65・68人が最多。新潟県(62・51人)、宮城県(58・77人)、千葉県(56・89人)、大分県(52・14人)が続きました。

 直近5週間に検出されたウイルスは、高齢者を中心に重症化しやすいといわれるA香港型が53%で、それまで主流だったH1N1型(46%)を追い抜きました。

 2019年2月9日(土

 

■小児がん拠点病院、厚労省が初の見直し 来年度から指定の15カ所選定

 子供が亡くなる病気で最も多い小児がんについて、厚生労働省は、全国で15カ所ある小児がん拠点病院の指定を見直し、新たに静岡県の病院を加えることになりました。

 小児がんは年間で2000人から2500人が発症し、子供の死因として最も多くなっていますが、医療機関による治療レベルの差が指摘されているため、厚生労働省は2013年に、患者を集めて専門的な治療を行う小児がん拠点病院として全国15カ所を指定しました。

 今年度末に拠点病院の指定の期限を迎えるのを前に、厚生労働省は7日、有識者の検討会を開き、AYA(アヤ=思春期・若年成人)世代のがん患者への支援体制などを踏まえて、新年度から4年間、小児がん拠点病院に指定される医療機関を選びました。

 指定されることになったのは、東京の国立成育医療研究センター、静岡県立こども病院、大阪市立総合医療センターなど全国の13都道府県の15カ所の医療機関です。

 現在の小児がん拠点病院15カ所のうち、大阪府立母子保健総合医療センターは指定を受けず、静岡県立こども病院が新たに加わります。

 厚生労働省は、小児がん拠点病院が各地に「小児がん連携病院」を指定する枠組みも新年度から設けることにしており、長期にわたる患者の検査や治療を充実させたいとしています。

 新年度からの小児がん拠点病院に指定されるのは、北海道大学病院、東北大学病院、埼玉県立小児医療センター、東京都の国立成育医療研究センター、東京都立小児総合医療センター、神奈川県立こども医療センター、静岡県立こども病院、名古屋大学医学部附属病院、三重大学医学部附属病院、京都大学医学部附属病院、京都府立医科大学附属病院、大阪市立総合医療センター、兵庫県立こども病院、広島大学病院、九州大学病院です。

 2019年2月9日(土

 

■ファイザーが高血圧症治療剤を自主回収 発がん可能性物質が混入

 アメリカの製薬大手ファイザー日本法人(東京都渋谷区)は8日、高血圧症治療剤「アムバロ配合錠『ファイザー』」の5製品、計約76万4000錠を自主回収すると発表しました。提携するインドの工場で製造された薬の原材料に、発がんの可能性がある物質が混入していました。服用すると重い健康被害が出る恐れもありますが、現時点では被害の報告はないといいます。

 製品は昨年12月3日から今年1月23日にかけて、卸売業者を通じて国内約2500の病院や薬局に出荷され、使用期限が2021年の4月から7月までの製品だということです。医療用の医薬品のため、購入するには医師の処方が必要となります。

 薬の原材料となる有効成分「バルサルタン」の中に、発がんの可能性がある物質が混入していました。原因は調査中といいます。

 あすか製薬(東京都港区)が昨年7月、バルサルタンを原材料に使う高血圧症治療剤「バルサルタン錠『AA』」の4製品に、発がんの恐れがある物質が含まれていたと発表。厚生労働省が製薬各社に高血圧症治療剤の調査を呼び掛けたところ、ファイザーの薬でも同様の物質が含まれていると発覚しました。

 ファイザーは、患者自身の判断によって服用を中止すれば高血圧症の症状が悪化する恐れもあるため、今後の対応は医師や薬剤師と相談して決めてほしいと呼び掛けています。

 また、専用のフリーダイヤルで、患者や医療機関からの問い合わせを受け付けています。番号は0120・281・787。

 ファイザー日本法人の原田明久社長は、「多くの方々に多大なるご迷惑とご心配をおかけし、心からおわび申し上げます」とコメントしています。

 2019年2月8日(金)

 

■ロボット掃除機が電気ストーブを動かし火災発生 東京都内で2件相次ぐ

 自動的に部屋の中を動き回ってごみを吸い取るロボット掃除機が、近くにある電気ストーブに接触して火災につながったとみられるケースが、東京都内で2件相次いでいたことが8日、明らかになりました。

 東京消防庁は、「ロボット掃除機を使う際には、近くにある電気ストーブの電源コードを必ず抜くなどの対策を取ってほしい」と呼び掛けています。東京消防庁によりますと、昨年12月、東京都内のメゾネットタイプのマンションで電気ストーブがソファーに接触してソファーの一部が焼ける火事がありました。

 東京消防庁が原因を調べたところ、当時、部屋の中には人はおらずロボット掃除機が自動運転している状態で、掃除機が近くの電気ストーブに当たってストーブを50センチほど移動させ、ソファーに接触したことで火が出たとみられることがわかりました。幸いに、下階にいた住人が火災報知機の音に気付いて上階へいったため、すぐに火は消し止められ、けが人はいませんでした。

 再現実験を行ったところ、実際にロボット掃除機が電気ストーブを押すようにして移動させたり、電気ストーブのコードを巻き込んだりする様子が確認できたということです。ロボット掃除機にはセンサーが搭載されていますが、床の状態やストーブの重さなどによっては作動し続け、火災が発生する危険性があるといいます。

 同じようなロボット掃除機が原因で起きたとみられる火災は、今年2月に入っても別のマンションで1件確認されています。机の下にあった電気ストーブがロボット掃除機に押されてタンスに接触し、室内約20平方メートルが焼ける被害が出ました。住人はロボット掃除機を自動運転させたまま外出していたといいます。

 東京消防庁予防部調査課の西村太作消防司令補は、「これまでになかった火災事例で注意が必要だ」と話しています。

 ロボット掃除機をよく使うという40歳代の女性は、「ロボット掃除機が電化製品のコードを巻き込んでしまい、ひやっとしたことがあります。火災につながることもあるかもしれないので気を付けたいです」と話していました。また、先週ロボット掃除機を購入したばかりだという30歳代の女性は、「まだあまり使っていませんが、この時期は空気も乾燥していて火災も起きやすいので、使う時は気を付けたいです」と話していました。これから購入を考えているという40歳代の女性は、「映像を見るととても怖いです。自分も気を付けなければいけないと思いました」と話していました。

 2019年2月8日(金)

 

■中国で血液製剤がHIV汚染か 医療機関に1万2000本出回る

 中国・上海の大手国営医薬品会社「上海新興医薬」の販売する静注用人免疫グロブリン(IVIG)製剤に含まれるHIV(エイズウイルス)抗体から陽性反応が検出され、国家衛生健康委員会は5日、国家食品薬品監督管理局へ通報し、全国の各医療機関に対し同社薬品の使用停止と厳封処理を指示しました。

 関連する患者への病状の観察なども指示し、医薬関連部門に状況調査や薬品の処理作業への協力を求めています。

 IVIG製剤は、重症感染症や自己免疫疾患などに広く使用される薬品。IVIG製剤の原材料となる血漿(けっしょう)に含まれている抗HIV抗体は、陰性であることが条件とされています。

 全国の医療機関に出回ったIVIG製剤約1万2230本がHIV(エイズウイルス)に汚染されている可能性があるものの、これまでにこのIVIG製剤を使用した人について、HIV(エイズウイルス)への感染例は報告されていないといいます。

 2019年2月7日(木)

 

■暴力や暴言の児童虐待、最多の8万人 警察の通告、5年間で2・8倍に

 児童虐待の疑いがあるとして、全国の警察が2018年1年間に児童相談所に通告した18歳未満の子供の人数が、前年比1万4673人増の8万104人(暫定値)に上り、統計を取り始めた2004年以降、初めて8万人を超えたことが7日、警察庁のまとめでわかりました。刑法犯全体の認知件数は前年比10・7%減の81万74457件(暫定値)で、戦後最少を4年連続で更新しました。

 警察庁が発表した2018年の犯罪情勢によると、児童相談所への通告の内訳は、子供の前で両親が暴力を振るったり、暴言を吐いたりする「心理的虐待」が5万7326人(前年比23・4%増)で最も多く、全体の71・6%を占めました。暴行などの「身体的虐待」は1万4821人、食事を与えないなどの「育児放棄(ネグレクト)」は7699人、「性的虐待」は258人。

 2018年3月に東京都目黒区の船戸結愛(ゆあ)ちゃん(当時5歳)が虐待を受けて死亡した事件では両親が逮捕されるなど、虐待の摘発件数も過去最多の1355件に上りました。2014年からの5年間で通告人数は約2・8倍、摘発件数は約1・8倍にそれぞれ増えました。

 警察庁は2016年4月、全国の警察本部に対し、子供の体にあざなどの兆候がある場合は、虐待と断定できなくても、速やかに児童相談所に通告するよう通達。この通達後、通告件数は急増し、児童相談所に寄せられた通告の半数近くを警察が占めています。警察庁は、「被害が潜在化しやすい傾向があることを踏まえ、関係機関と連携していくことが必要」としています。

 ドメスティック・バイオレンス(DV)の認知件数も前年より5027件増の7万7482件(暫定値)で、過去最多でした。男性が被害者だったケースが1万5964件で、初めて2割を超えました。ストーカーの相談件数は3年ぶりに減少し、2万1551件でした。

 一方、刑法犯全体の認知件数は2003年以来、16年連続で減少。全体の7割以上を占める窃盗犯が58万2217件で、前年より7万3281件(11・2%)減りました。

 殺人などの重要犯罪は3・1%減の1万546件。一方で、強制性交等(18・0%増、1309件)、略取誘拐(27・2%増、304件)など少女らを狙った犯罪は増えました。SNSを通じて知り合った相手に襲われたり、連れ回されたりする被害が目立つといいます。

 知能犯は、特殊詐欺全体の認知件数が1万6493件で8年ぶりに減少に転じましたが、息子などを装う「オレオレ詐欺」は9134件で638件増えました。

 刑法犯の検挙率は37・9%で前年より2・2ポイント増加。殺人などの重要犯罪では4・2ポイント増の84・5%でした。

 2019年2月7日(木)

 

■生活保護、約164万世帯で過去最多 1人暮らしの高齢者世帯の増加が原因

 全国で生活保護を受けている世帯は昨年度、約164万世帯とこれまでで最も多くなりました。1人暮らしの高齢者世帯が増加しているためで、高齢者の貧困対策が課題となっています。

 厚生労働省のまとめによりますと、生活保護を受けている世帯は昨年度の1カ月平均で164万854世帯と、前の年度に比べて約3800世帯増加し、これまでで最も多くなりました。

 世帯の類型別では、「高齢者世帯」が約86万4700世帯と最も多く、前の年度より約2万8000世帯増え、その90%余りが1人暮らしでした。「障害者世帯」や「母子世帯」、「傷病者世帯」、「その他の世帯」では、減少傾向が続いています。

 国の研究所の予測では、日本の全世帯に占める1人暮らしの高齢者の割合は今後も増え続け、2040年には高齢の男性は5人に1人、女性は4人に1人が1人暮らしになるとされています。

 家族の支援を受けられず貧困に陥りやすい人が多くなるとも指摘されており、将来を見据えた高齢者の貧困対策が課題となっています。

 2019年2月7日(木)

 

■脂質代謝異常で発症か、もやもや病の遺伝子の働きを解明 京産大などのチームが発表

 日本や中国、韓国など東アジア人に多い脳の難病「もやもや病」にかかわる遺伝子が、細胞内で脂肪を蓄える働きをしていることを突き止めたと、京都産業大などの研究チームが発表しました。同病は原因不明で、これまで脂質の代謝との関係性は注目されていませんでした。研究チームは「代謝バランスが崩れ、病気が引き起こされている可能性がある」としています。

 研究成果は日本時間2019年1月31日23時に、アメリカの科学誌「ジャーナル・オブ・セルバイオロジー」(電子版)に掲載されました。

 もやもや病は脳の動脈が細くなり、手足の力が抜けたりする病気で、1957年に日本で発見され、脳の毛細血管がもやもやとした煙のように見えることが病名の由来。発症は5歳前後に多く、脳への血液供給不足による発達障害を合併する場合もあります。成人以降では血管が破れて脳出血が起きる場合もありますが、根本的な治療法はありません。日本国内の患者は1万数千人。歌手の徳永英明さんが病気を公表したことでも知られます。

 患者の遺伝子解析など従来の研究で、発症者には「ミステリン」という遺伝子に変異があることがわかっていました。ただ、そもそもミステリンが体内で果たす具体的な役割は不明でした。

 そこで、研究チームは今回、培養細胞を使ってミステリンが作るタンパク質の働きを詳しく分析。細胞内でこのタンパク質が中性脂肪やコレステロールなどの粒を包み込む様子が確認され、脂肪が分解しないようコントロールしていることがわかったといいます。

 研究チームの森戸大介・昭和大講師(京産大元主任研究員)は、「もやもや病は脂質の代謝異常が鍵となっている可能性があり、発病プロセスの解明につなげたい。また、肥満や動脈硬化といった他の脂質代謝異常による病気にも役立つかもしれない」と指摘。今後、患者と同様の遺伝子変異を持たせたマウスを使い、さらに詳しい分析を進めるといいます。

 2019年2月7日(木)

 

■マウスの腎臓、異種のラット体内で作製に成功 人の移植用腎臓への応用に前進

 ラットの体内で異種のマウスの腎臓を作ることに成功したと、自然科学研究機構生理学研究所の平林真澄准教授や東京大の中内啓光特任教授らの研究チームが発表しました。複雑で大きな臓器である腎臓を異なる種の動物の体内で作ったのは初めてだといいます。

 ブタなどの体内で人の移植用腎臓を作る研究につながる可能性のある成果で、6日、論文がイギリスの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」(電子版)に掲載されました。

 生理学研究所などの研究チームは、マウスの受精卵から、さまざまな細胞に変化できるES細胞(胚性幹細胞)を作製。このES細胞7個を、遺伝子を操作して腎臓を作れないようにしたラットの受精卵に注入し、別のラットの子宮に戻しました。その結果、生まれたラットの腎臓が、マウス由来の細胞でできていることを確認したといいます。ES細胞が臓器の空白を補完しようと、腎臓の細胞に分化したとみられます。

 慢性腎不全などで腎臓移植を待つ患者は国内で1万2000人を超えており、ドナー不足が深刻。研究チームは、「ブタなどでの移植用臓器作製の実現につなげたい」と話しています。

 中内特任教授らはすでに、ラットの体内でマウスの膵臓(すいぞう を作ることに成功しています。日本ではこれまで、動物の体内で人の臓器を作る研究はできませんでしたが、近く指針が改正され、こうした研究が解禁されます。

 自治医科大の花園豊教授(再生医学)は、「基礎研究として重要な成果だが、比較的近縁のマウスとラットでできたことが、(より違いの大きい)人とブタで応用できるかどうかは検証が必要だ」と話しています。

 2019年2月6日(水)

 

■医療機関の初診料、再診料を値上げへ 消費増税対応で10月から

 厚生労働省は6日、今年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに伴い、医療機関に支払われる初診料(現在2820円)を60円、再診料(同720円)を10円それぞれ引き上げることを決めました。同日開かれた中央社会保険医療協議会(中医協=厚労相の諮問機関)に示し、大筋で了承されました。

 引き上げにより、10月以降は患者の窓口負担(年齢や年収により1~3割)が増えます。3割負担の患者の場合、初診料が18円増の864円、再診料は3円増の219円となります。入院料は医療機関の種類や規模に応じて異なりますが、一般病棟の入院基本料の場合230~590円引き上げられます。

 医療機関が医療機器などを仕入れる際には消費税がかかる一方、患者が窓口で払う料金は非課税のため、増税分は医療機関が負担することになります。そのため、消費増税に際しては診療報酬を引き上げ、医療機関の負担を減らす仕組みとなっています。

 2014年に消費税率が8%に引き上げられた際は、医療機関に支払われる初診料は120円、再診料は30円それぞれ引き上げられました。

 2019年2月6日(水)

 

■豚コレラ、愛知、大阪、長野、滋賀、岐阜の5府県に拡大 2万7000頭を殺処分へ

 昨年から岐阜県で発生していた豚(とん)コレラは6日朝、愛知県の養豚場でも確認され、出荷先の大阪府、長野県、滋賀県、それに岐阜県の4つの飼育施設にも感染が広がっていることが確認されました。豚コレラが発生したのは昨年9月以降、合わせて5府県となりました。

 豚コレラは人に感染することはなく、食べても影響はありませんが、ブタやイノシシでは下痢や高い熱などの症状が出て、多くの場合、数日のうちに死にます。

 昨年9月に、27年前の1992年以来となる発生が岐阜市の養豚場で確認されるなど、岐阜県内の合わせて8つの飼育施設で発生し、6日朝、愛知県の2カ所の養豚場でも確認されました。

 このため、農林水産省などがこれらの養豚場からブタが出荷されていた施設を調査したところ、大阪府、長野県、滋賀県、岐阜県の4つの飼育施設で豚コレラが確認されたということです。

 発生が確認された飼育施設では感染の拡大を防ぐため、飼育しているブタの殺処分が行われます。また、農水省は全国の養豚業者などに対して、飼育しているブタなどの状況をよく確認して、異常があればすぐに自治体の家畜衛生の担当部署に連絡するよう呼び掛けています。

 豚コレラの感染が確認された愛知県豊田市の養豚場は、県の調査に対し、最初に異常がみられるブタが見付かったのは、1月下旬だったとしています。しかし、この養豚場から県に最初に通報があったのは、2月4日のことで、食欲がないなど、ブタに異常が見られるという報告でした。

 このため、4日の時点で県はこの養豚場に初めての立ち入り検査を行うとともに豚コレラの可能性も検討しましたが、一部のブタでは流産もみられたことから、豚コレラ以外の病気ではないかと考えたということです。

 結果として、この時点では移動や搬出の制限などは行われず、5日朝には長野県に80頭が出荷されました。そして、5日の日中に簡易検査で陽性反応が出て、農水省の検査の結果、6日に感染が確認されました。

 愛知県畜産課の岡地啓之課長は、「県外の出荷先で豚コレラが発生したのは残念だ。発生に至った経緯について詳しく調べる必要がある」としています。

 全国の1600戸余りの養豚業者でつくる日本養豚協会の松村昌雄会長代行は、豚コレラの感染が5府県に拡大したことについて、「全国の関係者が感染の拡大防止に努めていたが、恐れていた事態が起きてしまったと感じています」とした上で、「これ以上、感染を広げないためにも、施設や車両、それに出入りする人の靴底や衣服の消毒をこまめにするなど、衛生管理をさらに徹底させるほか、養豚場の間でのブタの移動は最小限にするよう呼び掛けたい」と話しています。
 
 流通大手の「イオン」によりますと、今回、豚コレラが確認された愛知県豊田市にある養豚場から、県内にある「イオンリテール」の3店舗が豚肉を仕入れていましたが、6日から入荷していないということです。会社では、仕入れ先をほかの農場に切り替えたということで、店舗での豚肉の販売量には影響はないとしています。また、これまでに販売した豚肉は豚コレラに感染した豚のものではなく、安全なものだとしています。

 これまでに豚コレラの発生が確認された岐阜県や愛知県など5府県の農場では、合わせて2万7000頭の豚が飼育されていましたが、すべて殺処分されることになっています。

 全国で飼育されている豚は918万頭余りに上り、殺処分される豚は今のところ全体の0・3%ほどにとどまっています。このため農水省は「地域では多少の影響があるかもしれないが、全国的にみれば豚肉の流通への影響は今のところ限定的だ」としています。

 ただ、養豚が盛んな九州地方や関東地方に感染が拡大すれば、大きな影響が出ることが避けられないため、農水省は豚コレラが発生した農場での防疫措置を速やかに行い、これ以上の感染拡大を防ぎたいとしています。農水省はホームページなどで消費者に向けて、豚コレラはブタやイノシシの病気で人には感染しないことや、感染したブタの肉を食べて人に感染したという報告は世界的にないと説明しています。

 2019年2月6日(水)

 

■誤作動の恐れがある心臓ペースメーカー、対象機器が増加 使用患者が失神する事例も

 医療機器会社「日本メドトロニック」(東京都港区)がアメリカの製造元から輸入販売した植え込み型心臓ペースメーカーの不具合問題で、東京都は4日、誤作動を起こす恐れのある機器が新たに778台増え、計1936台になったと発表しました。

 発表によると、1月18日の問題発表時の同社側のリストに漏れがあり、「Adapta DR」「Adapta VDD」「Versa DR」(2017年7月~2019年1月出荷分)の3機種計775台で、新たに問題があることが発覚。別機種の「Sensia DR」(同)の3台についても対応が必要と判明しました。

 同社や東京都によりますと、これらの機器は集積回路に不具合があり、特定の条件が重なった時に正常に作動しない可能性があり、必要な血液が送られず失神や重い健康被害を引き起こす可能性があるということです。

 患者の体内から取り出さず、機器に内蔵されたプログラムを無線通信で修正したり、患者の状況次第では機器の交換が必要で、同社は、納入先の医療機関計820施設を通じて患者に連絡しています。

 問題の機器を巡っては、海外で昨年の秋以降、停止したケースが4件起きているほか、国内でも1月中旬、機器の使用患者が失神する事例が1件報告されたといいます。

 日本メドトロニックの患者向けの問い合わせの電話番号は0120ー911ー381で、平日の午前9時から午後5時まで受け付けています。

 2019年2月6日(水)

 

■子宮頸がんの患者数が増加 治りにくいタイプも若年層に広がる

 子宮頸(けい)がんの患者数が2000年ごろから増えているとする研究結果を、大阪大などの研究チームがまとめました。治療が効きにくいタイプの子宮頸がんも、若い世代で増えているといいます。アメリカの専門誌に掲載されました。

 大阪大の上田豊講師(産婦人科)らは、1976~2012年の大阪府がん登録データを使い、約2万5000人の子宮頸がんの患者について、高齢化による影響を調整した上で分析しました。

 人口10万人当たりの罹患(りかん)率は、1976年は28・0人でしたが、減少傾向となり、2000年は9・1人になりました。がん検診が普及し、がんの前段階で見付かって治療する人が増えたことなどが原因として考えられるといいいます。

 しかし、2000年以降は増加に転じ、2012年は14・1人になりました。性交渉の低年齢化などを指摘する声もありますが、原因ははっきりしないといいます。

 子宮頸がんはヒトパピローマウイルス(HPV)が原因となることが多く、性交渉によって感染します。中でも「18型」というタイプのウイルスが主な原因となる「腺がん」は見付かりにくく、治りにくいとされますが、30歳代以下の若年層で増えていました。

 最も早い段階で見付かった場合、治療法は手術か放射線治療が一般的ですが、若年層では放射線治療が効きにくいことも判明しました。

 上田講師は、「全国的にも同じ傾向だと考えている。検診のほか、ワクチンを打てる環境になったら接種するなどして、早期に発見、予防することが重要」と話しています。ワクチンは接種後の健康被害の訴えが相次ぎ、厚生労働省は2013年から積極的な接種の勧奨を中止しています。

 国立がん研究センターの統計によると、子宮頸がんは毎年約1万人が新たに診断され、2500人以上が亡くなっています。

 2019年2月6日(水)

 

■インフルエンザ薬の勢力図一変し、塩野義が台頭 「ゾフルーザ」の国内シェア47%に

 インフルエンザが猛威を振るう中、塩野義製薬が2018年3月に発売した抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」が国内市場を席巻しています。「1回飲むだけ」の手軽さから人気が過熱し、2018年10~12月の国内の数量シェアは47%を占めました。

 世界の大手製薬会社が「素通り」する感染症分野にこだわってきた成果が出ました。一方で、耐性ウイルス問題も浮上し、国内製薬大手で唯一、感染症を表看板に掲げる塩野義の持続力が試されています。

 「小さな錠剤で飲みやすかった」と、ゾフルーザを服用した東京都内の男性会社員(40歳)は手軽さに驚いています。ウイルスの増殖を防ぐ薬剤の血中濃度を長時間保てるため、12歳以上は錠剤を1度飲むだけで服薬は終わりです。粉状の薬を吸引する第一三共の「イナビル」や、1日2回、5日間飲み続けるスイスの製薬大手ロシュの「タミフル」と比べ患者の負担は小さくなります。

 医薬品卸が医療機関に販売した抗インフルエンザ薬の数量実績を基に各製品のシェアを集計したところ、3カ月で供給された計347万人分のうち、ゾフルーザが47%でトップ。2位がイナビル(18%)で、タミフル(17%)、沢井製薬のタミフル後発品(12%)と続きました。これまでタミフルとイナビルが市場をほぼ二分していた状況が一変しました。

 抗インフルエンザ薬市場で塩野義は新参者ながら、感染症の研究開発を半世紀以上続けてきた自負があります。1959年に初の自社抗菌薬「シノミン」を発売。これに着目したロシュが世界で販売して塩野義の業績を支え、その後も感染症薬を生み出してきました。

 1988年に新たに研究所を設立し、抗エイズウイルス(HIV)薬の研究を開始。抗菌薬しか扱ってこなかった塩野義が、異なる仕組みや大きさを持つ「ウイルス」の知見を培ったことが、ゾフルーザ誕生につながりました。

 業績への貢献も大きく、ゾフルーザの2018年4~12月期の売上高は99億円と塩野義の国内医療用医薬品で2番目の大型製品に浮上し、通期は130億円を見込んでいます。

 想定を上回る需要に対応し、塩野義は年明けから土日も含む24時間フル生産を続けています。800万人分を生産する計画でしたが、一段の増産の検討に入りました。供給が間に合わず出荷量を調整し、一部で品切れも発生。大阪市内の開業医は、「残り3人分しかない。追加注文したいがどの卸にも在庫がない」と話しています。

 塩野義は現在の錠剤に加えて、粉薬(顆粒=かりゅう)の承認も申請中で、予防投与の承認取得も目指しています。さらに、昨年11月には提携先のロシュがアメリカでの販売を開始。塩野義には、ロシュの販売量に応じてロイヤルティー収入なども入る見通しです。

 順風に見えるものの、リスクも浮上しています。1月24日、国立感染症研究所の調査でゾフルーザを服用した2人の小児患者から、薬が効きにくくなる耐性ウイルスが検出されたことが判明しました。耐性ウイルスが発生しやすいことは臨床試験でわかり国際学会でも説明はしていましたが、関東のある医師は「塩野義はもっと詳細に国内の医療現場に説明すべきだった」と話しています。

 医師が処方を控える動きも広がっている模様で、けいゆう病院(横浜市)小児科で感染症を専門とする菅谷憲夫医師は、「外来でどんどん使うのではなく、既存薬で抑えられない時の選択肢にすべきだ」と懸念しています。需要急増はいったん落ち着く可能性も出てきました。

 2019年2月5日(火)

 

■病気腎移植、先進医療として実施へ 厚労省が官報告示 

 腎臓がんなどの患者から摘出した腎臓の病巣を取り除き、腎臓透析などで移植を希望している別の腎不全患者に移植する病気腎移植(修復腎移植)について、厚生労働省は、入院費など一部に保険が効く先進医療として実施することを1月31日付で官報に告示しました。

 東京西徳洲会病院(東京都昭島市)が申請し、昨年7月に条件付きで承認されました。提供者(ドナー)に不利益がないよう注意を払い、移植を受ける患者の公平性なども保つよう、外部の専門家が協議する検討委員会の体制を整えることが条件でした。

 病気腎移植は、同病院と、臨床研究として病気腎移植を実施してきた宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)が担当します。今後4年間で42例の移植を実施し、移植後5年間の生存率やがん発生の有無などを調べます。5例目までは、1例ごとに厚労省に報告します。また、治療がうまくいかなかった患者が4人出た場合は中止します。

 結果が良好だった場合は、他の病院でも実施される可能性があります。国内では腎臓透析患者が30万人以上おり、移植を希望する患者も1万人を超えます。ただ、提供数は不足しており、臓器提供者が現れるまで10年以上待つケースも多くなっています。

 2019年2月5日(火)

 

■介護機器の研究拠点が東京都内に開設される 自動運転の車いすの実証実験も

 自動運転の車いすなど、先端技術の活用で介護の現場の負担を抑えようという研究拠点が東京都内に開設されました。

 研究拠点は、介護事業を手掛ける「SOMPOホールディングス」が東京都品川区のビルに設け、国内外から介護用の機器を集めてメーカーと共同開発をしたり、安全性を確かめたりします。

 このうち、開発中の自動運転の車いすは、ベンチャー企業の「 WHILL(ウィル) 」(横浜市鶴見区)と三菱電機などが、自動運転システムの実証実験を始めました。事前に学習した施設内の地図情報と照合しながら、車いすは自動で利用者を迎えに行き、利用後は待機場所に戻ります。無人のまま、エレベーターで異なる階に移動することもできます。

 利用者は乗車中、手元のコントローラーで車いすの動きを簡単に操作できます。左右のひじ掛けの先端には、歩行者や壁など周囲の情報を認識するセンサーが搭載され、接触する危険を検知すると自動で停止。施設運営者にとっては、車いすを押したり回収したりする人手が不要になります。

 今回の車いすは先月、アメリカで開かれた世界最大級の家電見本市「CES」のアクセシビリティー部門で最優秀賞を受賞しました。イギリスやオランダの空港などと導入に向けた協議を進めているといい、2020年までの実用化を目指します。WHILLのCTO(最高技術責任者)の福岡宗明さんは、「誰もが使いたいと思う乗り物にしたい」と話している。

 また、研究拠点では、要介護者の入浴の際、5分に1度行っている見守りの負担を減らすため、浴槽に呼吸や脈を感知するセンサーを取り付けて、精度や安全性を検証するということです。

 国内の介護人材の不足は深刻さを増しており、厚生労働省は、今のままでは2025年度には55万人の人手が足りなくなると推計しています。

 SOMPOホールディングスでは、安全性が確認されたものから運営する介護施設に導入し、3年後までに、20%の業務の効率化を目指すとしています。

 研究拠点の片岡眞一郎所長は、「このままでは将来的に介護事業が立ちゆかなくなるという危機感を持っており、人間とテクノロジーが共生する介護の在り方を提示していきたい」と話しています。

 2019年2月5日(火)

 

■乳幼児の誤飲事故、たばこが2割で最多 1歳前後に集中

 乳幼児が家庭用品などを誤って飲み込んでしまう事故の原因は、たばこが2割以上を占めて最も多いことが、厚生労働省が実施した2017年度の調査でわかりました。たばこが誤飲の原因で最多となるのは2014年度から4年連続。

 全国8病院の小児科を誤飲事故で受診した640件を集計しました。原因と推定されたものは多い順に、たばこ147件(23%)、医薬品など92件(14%)、食品類72件(11%)、プラスチック製品63件(10%)などとなりました。

 たばこを誤飲した年齢をみると、ハイハイや捕まり立ちができる生後6~11カ月が87件、独力で室内を移動できる1歳~1歳5カ月が46件と、1歳前後に集中していました。たばこの状態は、未使用91件、吸い殻41件などでした。

 厚労省は、乳幼児の手の届く場所にたばこや灰皿を放置しないことや、飲み物と間違いやすい空き缶やペットボトルを灰皿代わりに使わないことなど、誤飲防止に向けて注意を呼び掛けています。

 2019年2月5日(火)

 

■子宮頸がんワクチン、根拠のないうわさが接種の妨げに 国際がん研究機関が声明

 「世界がんの日」に当たる4日、世界保健機関本部直轄の研究所「国際がん研究機関」は声明を発表し、「根拠のないうわさ」が世界で毎年30万人以上の女性が死亡する原因となっている子宮頸(けい)がんの減少を妨げており、主な発症原因であるヒトパピローマウイルスの感染を防止するワクチンについて、「有効性と安全性をはっきりと確認している」と訴えました。

 国際がん研究機関は声明で、「ヒトパピローマウイルスのワクチンに関する根拠のないうわさが子宮頸がんの予防に急務とされているワクチン接種の拡大を不必要に遅らせ、妨げている」と指摘。

 ヒトパピローマウイルスは主に性交渉を通じて感染し、がんによる女性の死亡原因として4番目に高い子宮頸がんは世界で2分に1人の割合で女性の命を奪っています。

 国際がん研究機関によると、2018年には世界で50万人以上の女性が子宮頸がんと診断されており、ワクチン接種を始めとする予防対策が強化されなければ、子宮頸がんによって年間最大46万人が死亡する状況が2040年まで続く可能性もあるといいます。

 世界保健機関は少女全員にワクチン接種を勧めているほか、成人女性にもがんリスク軽減のためスクリーニング検査などを推奨しています。ワクチンは9歳から14歳の間に接種するのが最も効果的だといいます。

 また、国によってはヒトパピローマウイルスの感染拡大を阻止するため、男子にワクチン接種を勧めているところもあります。

 ただ、専門家らがヒトパピローマウイルスのワクチンの安全性を繰り返し指摘しているにもかかわらず、ワクチンには慢性疲労症候群や多発性硬化症といった副作用の可能性があるとのうわさから、現実には多くの人が接種を控えています。

 2019年2月5日(火)

 

■特定の腸内細菌で高齢者の認知症リスク減 食事による予防法開発の糸口に

 腸内に特定の細菌が多い高齢者は、そうでない人と比べて認知症の発症リスクが10分の1と大幅に低い可能性があるとの研究結果を、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)や東北大、久留米大などの研究チームが1月30日、イギリスの科学誌電子版に発表しました。

 長寿医療研究センターの佐治直樹もの忘れセンター副センター長は、細菌の作る物質が脳に影響している可能性があるとみており、「食事などを通じた認知症の予防法の開発につながるかもしれない」と話しています。

 研究チームは、もの忘れ外来を受診した高齢者128人について、認知機能の検査とともに検便を実施。便から腸内細菌のDNAを取り出して分析し、認知症との関連を調べました。

 その結果、認知症の人はそうでない人と比べ、「バクテロイデス」という種類の細菌が少ないことが判明。バクテロイデスが腸内細菌の3割超を占めるグループは、認知症を発症していない人が多く、リスクは10分の1と見積もられました。一方で、種類のわからない細菌が多い人はリスクが18・5倍に上りました。

 人の腸には乳酸菌や大腸菌など、重さ1キログラム、1000種類以上の細菌が生息しています。年齢や食事といった生活習慣などによって種類が変化し、肥満や心疾患に関係するとの研究もあります。研究チームは今後、実際に腸内細菌が認知症発症の原因となるかどうかを詳細に調べます。

 2019年2月4日(月)

 

■風疹検査、企業が健康診断に新たに追加へ 数社はすでに実施を決定

 風疹の患者数が昨年、この10年余りで2番目に多くなったことを受けて、厚生労働省は一部の世代の男性について、ワクチン接種が必要か調べる抗体検査とワクチンの接種を原則無料で受けられる制度を始めることになり、企業の中には、従業員に行う健康診断の項目に風疹の検査を新たに加える動きが出ています。

 風疹は昨年、全国の患者数が2917人に上る流行となり、そのうちの6割以上は30歳代から50歳代の男性でした。

 厚労省は、子供の時にワクチンの定期接種の対象にされていなかった39歳から56歳の男性を対象に、ワクチン接種が必要か調べる抗体検査と、必要だと判断された場合のワクチン接種が原則無料で受けられる制度を始めます。

 そこで、企業が従業員に対して行う健康診断を請け負う団体は、今春の健康診断から抗体検査を新たに追加する提案をし、大手航空会社など数社がすでに実施を決め、検討中の企業も多数あるということです。

 企業で働く合わせて90万人の健康診断を請け負っている全日本労働福祉協会の堀田芳郎さんは、「働く男性を対象とするので、職場の健康診断に組み込むことが一番効率的だと思う」と話しています。

 産業医で、風疹の予防に詳しい筑波大学の堀愛助教は、「こうした取り組みはとても大切だ。抗体検査で風疹の免疫が不十分とわかればワクチン接種が必要となるので、検査結果とともに、ワクチンを必ず接種する仕組みや、接種のための時間を作る取り組みも進めてもらいたい」と指摘しています。

 昨年の風疹の患者は7月下旬から増え始め、1週間に報告される患者数は10月中旬の218人をピークに、9月上旬から12月下旬まで16週連続で100人を超えました。

 患者の7割は東京都や神奈川県など首都圏で確認されましたが、東海や近畿、九州など各地でも感染が広がりました。男女別では、男性の患者数が女性の4倍以上となり、患者全体の6割以上は30歳代から50歳代の男性でした。

 風疹は、妊娠20週ごろまでの女性が感染すると、赤ちゃんに障害が出る先天性風疹症候群となる恐れがあり、2012年から2013年にかけての大流行で先天性風疹症候群の子供が45人報告され、このうち11人が生後1年ほどの間に亡くなっています。

 これ以降、この数年は報告がありませんでしたが、今年1月、埼玉県の医療機関で男の子1人が先天性風疹症候群と診断されました。

 風疹は、今年に入ってからは1週間で100人を超える報告はありませんが、各地で患者の報告は依然として続いており、国立感染症研究所では、風疹の流行は数年にわたって続く傾向があることから、今年も流行する恐れがあるので十分に対策を検討してほしいとしています。

 2019年2月4日(月)

 

■頭痛・イライラなど月経前の不調、アプリで改善サポート 京大など開発

 多くの女性が抱える月経前症候群(PMS)の改善に役立つアプリを、京都大学大学院の研究チームとコニカミノルタビジネスイノベーションセンタージャパン(東京都港区)が開発しました。心と体の状態を記録して周期を知り、生活や仕事のペースを調節するといった使い方を想定。実用化するための資金を、ネット上のクラウドファンディングで3月まで募っています。

 アプリの名称は「Monicia(モニシア)」。スマホに入れて、頭痛、むくみ、イライラ、不安といったPMSの25症状の有無と強さを毎日、4段階で入力します。月経の日数や量、体温、便通、体重も記入できます。アプリは無料で、睡眠中におなか周りの温度を計り、データをアプリに送る専用の端末もあり、1万円前後で販売する予定です。

 研究チームの産婦人科専門医・江川美保京都大学医学研究科助教によると、月経の3~10日前から起きるPMSの症状は、身体的なもの、精神的なものなど200種類以上。日本医療政策機構が昨年、18~49歳の働く女性2000人に実施した調査では、症状が出たことのある人は66%。うち63%は何も対処していませんでした。

 「症状が多様で、治まると忘れるなどPMSだと気付かない人も多い。別の病気が潜んでいる場合もあり、記憶ではなく記録することが正確な診断に役立ちます」と江川さん。

 コニカミノルタの江尻綾美さんも、長く精神的な不調に苦しみ、症状を記録したことを機に婦人科を受診し、体調がよくなった経験からアプリの開発を思い立ちました。「女性たちに安心して気持ちのよい朝を迎えてほしい」と話しています。

 クラウドファンディングは専用サイト(https://readyfor.jp/projects/monicia)で3月10日午後11時まで実施し、目標額の500万円集まれば成立し、アプリをリリースします。出資額に応じて返礼があり、1万円の場合は温度計測の専用の端末などが受け取れます。

 2019年2月3日(日)

 

■破折を原因とする抜歯が11年で倍加 背景に歯ぎしり、かみ締め

 歯が割れたり折れたりする「破折」を原因とする抜歯が11年で倍加したことが、長野県伊那市の上伊那歯科医師会の調査で明らかになりました。背景にあるのは「歯ぎしり」や「かみ締め」の癖とみられ、同会は「特にかみ締めは無意識でしていることが多い。まず気付いて」と呼び掛けています。啓発の第一歩として近くポスター1000枚を作り、長野県内各所に貼り出します。

 調査期間は2016年6~8月の41日間。上伊那8市町村の56歯科医院で抜歯した患者のうち、調査に同意した804人からデータを集めました。

 集計結果を見ると、抜歯原因の1位は虫歯で29%、続いて歯周病が26%、親知らず24%、破折20%。2005年に8020推進財団が行った全国調査と比べ、顕著だったのは破折の多さです。11年前に11%だった破折が、20%とほぼ倍加していました。

 そもそも同会が調査をする切っ掛けとなったのは、破折の多さでした。常務理事の橋本実樹さんは「実際に診療をやっていて破折の多さに気が付いた」と話し、「『欠け』は修理が効きますが、破折は歯の根まで割れるので抜くしかありません」。

 調査の結果、破折に至る原因で多かったのは「くさび状欠損」でした。歯の根元がえぐれる現象で、橋本さんは「その原因がストレスなどによる歯ぎしりやかみ締めの癖だといわれています」としています。

 食事をかむ時にかかる力に比べ、歯ぎしりやかみ締めは約3倍の強い力がかかるといわれています。癖となって続けるうちに歯に負担がかかり、破折につながる構図。

 同会の広岡明美会長は、「歯ぎしり、かみ締めは皆さん無意識のうちにやっています。まずはそれに気付いてほしい」と話し、「特にかみ締めは歯ぎしりと違って音がしませんからね、わかりにくい」とも説明しています。

 広岡さんによると、かみ締めを見付ける「鍵」は口を閉じている時に歯が当たっているかどうかで、「基本は歯が当たらないんです。歯が当たるのは癖だから、そこに気が付くことが大事」と説明しています。

 調査結果は、論文「長野県上伊那地区における永久歯の抜歯原因調査」にし、2017年6月発行の学術誌に掲載しました。橋本さんは「どの歯医者さんも感じていたとは思うが、破折の増加がデータで出たのは初めて」と前置きし、「地方の医師会が調査をして学術論文を書くケースは少ないと思います」と話しています。

 2019年2月3日(日)

 

■血液検査でがん、認知症を新たにリスク診断 味の素、エーザイ、シスメックスなど

 血液検査で発見される病気の幅が広がっています。味の素は4月から、1回の血液検査でがん・脳卒中・心筋梗塞の3大疾病の罹患(りかん)リスクを評価するサービスを始めます。エーザイとシスメックスも年内に、認知症の診断技術を確立することを目指します。がんや認知症の患者が増える中、手軽なリスク診断が広がれば、患者の負担減や医療費削減につながりそうです。

 血液検査は健康診断で実施されることが多く、血中のタンパク質や酵素の量を測ることで貧血や肝臓の異常、糖尿病などの罹患リスクがわかります。血液には多くの物質が含まれており、解析技術が進歩したことで、幅広い病気との関連が発見されるようになってきました。

 味の素の新サービスは、血液に含まれる複数のアミノ酸のバランスを分析して、罹患リスクを評価します。病気ごとに特定のアミノ酸の濃度が変化することを利用し、さまざまながんに現在かかっている可能性、10年以内に脳卒中と心筋梗塞になるリスクを同時に評価します。一度に多くの疾患リスクを評価できる利便性を訴え、病院や健診センターを通じた提供を増やしていくといいます。

 がんは異常を感じてから検査しても、すでに重篤化している可能性があります。脳卒中と心筋梗塞も突然発症するため、手軽にリスクを把握できることには大きなメリットがあります。

 認知症も早期発見が難しく、医師が対面で診断する方法が一般的ながら、物忘れやてんかんの症状とも似ており、初期段階では見分けがつきかねます。原因タンパク質を陽電子放射断層撮影装置(PET)を使ったり脳脊髄液を採取したりして調べると、費用が高く体への負担も大きくなります。

 エーザイとシスメックスは、血液からアルツハイマー型認知症を早期発見する技術の研究を進めています。タンパク質の構造を細かく観察できるシスメックスの機器で、原因タンパク質の量や形状と症状の進行との相関関係を調べています。

 電子部品商社のバイテックホールディングスも2018年、大阪大学と組んで微量の血液から原因物質を検出する技術の開発を開始。3年後をめどに実用化を目指します。

 がんは国内で年に約100万人が発症し、約38万人が死亡します。認知症患者数は2025年に700万人と、高齢者の5人に1人が罹患すると予測されています。厚生労働省によると国内のがん治療費は2016年度に約3兆7000億円で、この10年で約1兆円増えた。早期発見で早く手を打てれば効果的な治療が可能になり、治療費の抑制も期待できます。

 2019年2月3日(日)

 

■マイクロプラスチックごみ、国内河川原因の海洋汚染も影響 理科大と愛媛大が調査

 日本近海を漂う大きさが5ミリ以下の微細なマイクロプラスチックの汚染源が、中国や韓国などアジア諸国から漂着したプラスチックごみだけでなく、国内の河川からのごみも影響しているとの調査結果を東京理科大学の二瓶泰雄教授(河川工学)と愛媛大学の研究チームがまとめました。日本近海はマイクロプラスチック密度が世界平均より高い「ホットスポット」といわれており、二瓶教授は身近な生活からプラスチックごみを減らす必要を訴えています。

 調査は2015~2018年、中部、近畿地方を除く北海道から沖縄県までの全国29河川の36地点でマイクロプラスチック密度を調べました。9割に当たる26河川の31地点からマイクロプラスチックが検出され、平均すると1立方メートル当たり2・53個で、日本近海の平均3・74個に近くなりました。レジ袋や発泡スチロールの容器などが原因とみられます。

 最大値は千葉県の大堀川の13・6個で、利根川は8・7個、埼玉県の荒川では4・6個を検出。観測地点の人口密度や市街地率が高いほどマイクロプラスチックの密度が高く、都市部での汚染が深刻でした。

 さらに、マイクロプラスチックの大きさの分布を調べると、河川と海でほとんど大きさの差がなく、海に流出する前に相当量のプラスチックが細かく砕けていることが判明しました。二瓶教授によると、熊本市内の河川は2016年の地震の影響で災害ごみが発生したため、数値が高かったとみられます。

 二瓶教授は、「これまではプラスチック製品が海に出てから小さくなったと想定されていたが、陸域でも微細化が進んでいることがわかった。ごみの削減など陸での対策の強化が必要だ」と指摘。「例えばバケツや洗濯ばさみなどのプラスチック製品を長時間屋外に置いていても劣化してマイクロプラスチックとなり、空気中を漂って河川の汚染につながる場合もある。生活の中で意図せずに排出していることもある」と注意を呼び掛けています。

 同種の調査は昨年5~9月、環境問題対策のベンチャー企業ピリカ(東京都渋谷区)も実施しました。関東、関西地方の河川11本26カ所中25カ所からマイクロプラスチックを検出。最大だった大阪市の大川では1立方メートル当たり19・8個に上っており、汚染の深刻さが浮き彫りとなっています。

 2019年2月2日(土)

 

■フライドチキンを1日1個、死亡リスク13%増加 アメリカで女性を対象に調査

 油で揚げた鶏肉や魚を定期的に食べる人はがんを除いた死亡リスクが高まるとの調査結果が、明らかになりました。調査は閉経後の女性を対象にアメリカで行われました。

 医学誌「BMJ」で発表された調査結果によれば、1日当たり1個以上のフライドチキンを食べる女性は全く揚げ物を食べない女性と比較すると、死亡リスクが13%高かったといいます。また、揚げた魚や貝を毎日食べる女性の場合は、死亡リスクが7%高かったといいます。

 報告書の執筆者によれば、揚げ物は世界で広く食べられているものの、長期的な健康に対する影響はほとんどわかっていないということで、こうした揚げ物と死亡率との関係に注目した調査はアメリカでは初めてだといいます。

 2017年のアメリカ、イギリス、イタリア、スペインの研究者らによる45歳から79歳の男女4400人を対象にした調査では、フライドポテトやポテトチップス、ハッシュブラウンズなど油で揚げたジャガイモ料理を毎週2〜3回食べている人は食べない人達に比べると、早期に死亡するリスクが2倍になるとの可能性が示唆されていました。

 今回の調査は、アメリカ各地40カ所の病院で、1993年から1998年にかけて、50歳から79歳の女性約10万7000人を対象に食生活を調べました。その後、平均18年にわたって追跡調査を行いました。調査に参加した女性は122種類の食料品の摂取量などについて、質問に答えました。教育水準や収入、エネルギー消費、食事の質など死亡率に関係する要素も考慮しました。

 ただし、執筆者によれば、世界各地で揚げ方が違ったり使う油が異なったりするため、今回の調査結果が世界的に適応されるわけではないといいます。

 2019年2月2日(土)

 

■イルカやクジラなど50頭の死体すべてからプラスチック イギリスの研究チーム発表

 海岸に打ち上げられたイルカやクジラなどの哺乳類50頭の死体を調べたところ、すべての体内から大きさが5ミリ以下のマイクロプラスチックが見付かったとする研究結果が、イギリスの研究チームから発表されました。

 イギリスのエクセター大学などの研究チームは、イギリスの海岸に打ち上げられた動物のうち、イルカやクジラ、アザラシなど10種類の哺乳類、合わせて50頭を調べた結果を1月31日、イギリスの科学雑誌に発表しました。

 それによりますと、全体からは合わせて273個のプラスチック片が見付かり、このうち9割以上の261個が5ミリ以下のマイクロプラスチックで、すべての個体の消化器から見付かったということです。

 プラスチック片のうち最も多かったのは、魚を取る網や衣服などに使われる化学繊維で全体の84%、残る16%は容器やペットボトルなどに使われるものでした。

 研究チームは死因にマイクロプラスチックがかかわっているかはわからないとした上で、「マイクロプラスチックそのものや、表面に付着した化学物質が、これらの動物にどのような影響を与えるのかはまだわかっておらず、さらに研究する必要がある」としています。

 2019年2月2日(土)

 

■睡眠を誘発する遺伝子「nemuri」を発見 アメリカの大学の日本人研究者ら

 睡眠を誘発するとともに、免疫力を高める働きがある新たな遺伝子をアメリカの大学の日本人研究者らの研究チームが発見し、日本語からとって「nemuri(ねむり)」と名付けられました。

 新たな遺伝子を発見したのは、アメリカのペンシルベニア大学ハワード・ヒューズ医学研究所でリサーチスペシャリストとして研究活動を行う戸田浩史博士らの研究チームで、アメリカの科学雑誌「サイエンス」に1日付けで発表しました。睡眠障害や免疫の働きの改善に役立つ可能性があるといいます。 

 研究チームはショウジョウバエの遺伝子約8000種類を分析し、過剰に働かせるとハエが長時間眠る遺伝子を見付けたということで、この遺伝子の働きを止めると、ハエが起きている時間は長くなったということです。

 また、この遺伝子が働くと、殺菌作用があるタンパク質が作られ、ハエは細菌に感染しても長く生きたということで、細菌から体を守る免疫にもかかわっているとしています。

 発見した新たな睡眠誘発遺伝子について、研究チームは日本語をそのままに「nemuri」と名付けました。

 研究チームでは、睡眠誘発遺伝子「nemuri」は、睡眠時間の不足や細菌への感染など、体にストレスがかかった時に働いて睡眠を引き起こしていると見なしています。

 睡眠誘発遺伝子「nemuri」そのものは人では見付かっていませんが、戸田博士は「一般的に生物は病気になると眠くなる。それは、今回のような遺伝子が働いているからかもしれない。人間でも風邪などになると眠くなり、眠れば治ることも多い。ほ乳類でも同じような遺伝子があるかを調べたい」と話しています。

 柳沢正史・筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構長は、「膨大な種類の遺伝子を分析し、睡眠と免疫の関係を明らかにした画期的な研究だ」と話しています。

 2019年2月2日(土)

 

■慢性腎臓病でも大切なカロリー摂取、やせると高まる死亡率 東京医科歯科大が調査

 人工透析に至らない時期の慢性腎臓病(CKD)患者で、太っている人の方が緊急入院した時の院内死亡率が低いとする研究結果を、東京医科歯科大・茨城県腎臓疾患地域医療学寄付講座の頼建光(らいたてみつ)教授(腎臓内科)らがアメリカの科学誌「プロスワン」(電子版)に発表しました。

 人工透析になった腎臓病患者においては、体格とその後の経過で同様の傾向が研究で明らかになり「肥満パラドックス」と呼ばれていましたが、透析導入前の患者においては、病態の複雑さ多様さから研究が困難であり、これまで体重と死亡率の関係について統一した見解は得られていませんでした。

 2013~2015年度の3年間に、全国1700以上の病院が提供した診療記録のデータを活用。慢性腎臓病と診断された後、何らかの理由で緊急入院し、入院時の体格指数(BMI)がわかっている患者約2万6000人を選び、BMIの大小と入院時の感染症の有無で8グループに分けて100日後までの院内死亡率を比較しました。

 その結果、感染症の有無にはかかわらず、死亡率はやせているほど高く、太っているほど低くなっていました。感染症がなくBMIが25前後の人と比べて、最もやせているグループは院内死亡リスクが1・82倍になっていたといいます。ただし、糖尿病を合併したBM127以上の人の場合は、太っていても死亡率は低くなりませんでした。

 腎臓病では塩分やタンパク質などの制限が必要なことは知られていますが、同時に、健康な人と同程度のカロリー摂取も勧められることが診療ガイドラインにも盛り込まれています。

 頼教授は、「腎臓病になっても十分なカロリーを取って体重を維持し、やせないことの重要性を示す結果だ」と話しています。

 慢性腎臓病(CKD)は世界的に有病率が極めて高い、進行性の疾患で、日本にも1330万人もの罹患者がいます。進行すると、末期腎不全となり人工透析療法を必要とするだけでなく、心疾患やサルコペニアなどの重大な合併症を引き起こし、予後不良となることが知られています。

 2019年2月2日(土)

 

■インフルエンザの患者数、過去最多222万人に 全都道府県で警報レベル

 厚生労働省は1日、1月21~27日の1週間に報告されたインフルエンザの患者数が1医療機関当たり57・09人だったと発表しました。昨シーズンのピークだった54・33人を上回り、1999年の調査開始以来、最多。全都道府県で警報を出す基準(30人超)となりました。

 全国の医療機関をこの1週間に受診した患者数は推計約222万6000人で前週を約10万人上回りました。流行拡大が続く中、厚労省は最大限の警戒を呼び掛けています。

 今シーズンの患者数を押し上げている大きな要因は、A型の2タイプのウイルスが同時流行していることです。2009年に新型インフルエンザとして世界的に流行したA型の1つ「H1N1型」と「A香港型」です。直近5週間でのウイルス検出状況では、この2ウイルスでほぼ全部を占めます。

 厚労省によると、通常の年は流行原因となるウイルスは1タイプのことが多く、累計患者数が過去最多だった昨シーズンはA型とB型の2つが同時に流行したことが感染拡大につながりました。

 今シーズンは高齢者が生活している介護施設などで集団感染して死亡する事例が相次ぐほか、子供の感染が多くなっています。休校や学年閉鎖、学級閉鎖となった保育所、幼稚園、小中高は前週の6343施設から8928施設と大幅に増えました。年齢別では、70歳代以上が約6割を占めたほか、1~9歳が約2割に上りました。 

 全国約5000の定点医療機関から報告された患者数を都道府県別にみると、最多は埼玉県(84・09人)で、新潟県(77・70人)、千葉県(73・00人)、宮城県(69・81人)、神奈川県(67・94人)と続きました。31都道府県では前週の報告数を上回った一方で、16府県で減少しました。今シーズンの累計は推計約764万1000人となりました。

 厚労省は流行の拡大が続いているとして、こまめな手洗いや、せきやくしゃみが出た場合のマスクの着用のほか、発熱など体調の異変を感じたらできるだけ外出せずに休養したり、医療機関を受診したりするよう呼び掛けています。根本匠厚生労働相は1日の閣議後記者会見で、「具合が悪い場合は早めの受診をお願いしたい」と話しました。

 今年のインフルエンザについて、専門家は、高い熱が出る傾向があると指摘していて、主に子供で、40度程度の熱が出てけいれんや意味不明な言動などの症状が継続的に見られる場合や、41度以上の激しい高熱が出た場合はインフルエンザ脳症などが疑われることがあるので、迷わず、すぐにす医療機関を受診してほしいと呼び掛けています。

 2019年2月1日(金)

 

■緊急避妊薬を無許可販売の疑いで男を逮捕 警視庁が実態を調査

 フリーマーケットサイトを通じ外国製の緊急避妊薬「アフターピル」を無許可で販売したとして、警視庁生活環境課は1日までに医薬品医療機器法違反容疑で、仙台市太白区八木山本町の無職宝沢健資容疑者(46歳)を逮捕しました。

 容疑を認め、「目的はお金を得るため」「人助けという考えもあった」などと供述しているといいます。

 逮捕容疑は昨年7~8月、医薬品販売業などの許可を受けていないのに、群馬県の20歳代男性ら男女4人にインド製のアフターピル6箱を計約1万9000円で販売した疑い。

 生活環境課によると、宝沢容疑者はインターネット交流サイト(SNS)で「アフターピル 迅速発送」などと客を募り、フリーマーケットサイトに誘導。「腕時計」と称してアフターピルを1箱3000円前後で販売していました。2017年12月~2018年8月に計297回出品しており、約100万円を売り上げていたとみられます。 

 アフターピルは、避妊の失敗や望まない性行為の際に使うもので、性交後72時間以内に飲むことで妊娠の可能性を大幅に低くします。日本では2011年に承認されましたが、出血や頭痛など副作用の可能性があり、医師の処方せんが必要。女性からは「病院などに行くのは人目が気になる」という声も多く、SNS上での違法な売買が相次いでいます。中には、偽の成分のものも出回っていて、健康被害につながる恐れもあり、警視庁が詳しい実態を調べています。

 2019年2月1日(金)

 

■外国人患者の受け入れ拠点病院、382カ所整備へ 訪日客の急増に対応

 厚生労働省は観光などで来日する外国人の急増を受け、外国人患者に対応できる重症・軽症別の受け入れ拠点の医療機関を新年度中にも整備します。入院が必要な重症患者を受け入れる救急病院と、軽症患者を診る医療機関の2種類とし、少なくとも382カ所を設けます。通訳の配置などの財政支援を国は進めます。

 重症対応の受け入れ拠点は都道府県ごと、軽症対応の受け入れ拠点は全国に335ある医療提供の地域単位・2次医療圏ごとに1カ所以上とし、後者は診療所や歯科診療所でもよいとします。多言語対応が要件で、言語の種類や数は医療機関の状況に応じて選びます。医療通訳者の配置やテレビ電話通訳、翻訳機能のあるタブレット端末の利用など手段も問いません。

 受け入れ拠点は関係者が参加する協議会の意見を踏まえて、都道府県が決めます。厚労省は2月にも都道府県に通知を出して依頼する予定。今秋のラグビーワールドカップ日本大会や来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催地、京都など外国人旅行者の多い地域には、速やかな選定を求めます。

 ほとんどの医療機関では多言語に対応できていないため、厚労省は新年度、財政支援を手厚くする方針。タブレット端末の配備や医療コーディネーターの養成のほか、一部の受け入れ拠点には医療通訳者の配置も助成します。また、希少な言語に対応できる遠隔通訳も試みるといいます。

 救急病院などを対象とした厚労省の調査(回答数1710)によると、2015年度に外国人患者を受け入れた施設は外来で80%、入院で59%。900施設は日本語での意思疎通が難しい事例を経験していました。

 外国人旅行者は2018年に、初めて3000万人を突破しました。今年4月には、外国人労働者の受け入れを拡大する新たな在留資格が導入され、外国人患者はさらに増えるとみられています。こうした状況を受け、政府は昨年6月、受け入れ拠点を整備する方針を決め、厚労省の「訪日外国人旅行者等に対する医療の提供に関する検討会」で条件などを検討していました。

 2019年2月1日(金)

 

■埼玉県で先天性風疹症候群の子供を確認 国内での確認は2014年以来

 妊娠中の母親が風疹ウイルスに感染することで胎児も感染し障害が起きる「先天性風疹症候群」の子供が埼玉県で1人確認されたことが、31日にわかりました。先天性風疹症候群の子供が国内で確認されたのは、2014年以来。

 厚生労働省や埼玉県によりますと、1月21~27日の週に、埼玉県の医療機関で男児1人が先天性風疹症候群と診断されたということです。男児の容体を明らかにされていませんが、男児の母親には風疹ワクチンの接種歴がありました。

 先天性風疹症候群は、母親が妊娠中に風疹にかかることで、赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出るものです。昨年、全国から報告された風疹の患者数は2917人と、現在の方法で統計を取り始めた10年余りで2番目に多くなっており、先天性風疹症候群の発生が懸念されていました。

 先天性風疹症候群の子供が確認されたのは、患者数が1万人を超えた2013年の大流行に伴う患者以来、初めてです。

 2013年から2014年にかけての流行では、先天性風疹症候群の子供が45人確認され、このうち11人が生後1年ほどの間に亡くなっています。

 国立感染症研究所感染症疫学センターの大石和徳センター長は、「去年の夏以降、首都圏を中心に風疹の患者が増加していて、今回、埼玉県で確認された先天性風疹症候群は、去年からの流行に関係していると思う」と指摘しました。

 その上で、「今後、妊娠する可能性がある人は必ず、ワクチン接種をしてほしい。また妊婦の人は、妊娠がわかった時点で、パートナーなど家族と一緒に速やかに抗体検査を受けてほしい。仮に抗体が不十分であることがわかった場合、妊婦はワクチンを接種することができないので、妊娠20週くらいまでは人込みを避けるなど予防を徹底し、周囲にいる家族もワクチンを接種するなどして、妊婦への感染を防いでもらいたい」と注意を呼び掛けています。

 2019年1月31日(木)

 

■名古屋刑務所で300人がインフルエンザ感染 愛知県の患者数は全国1位

 愛知県みよし市にある名古屋刑務所でインフルエンザの感染が広がり、これまでに受刑者と職員、合わせて300人が感染していたことがわかりました。

 名古屋刑務所によりますと、12月20日ごろからインフルエンザの感染が広がり始め、1月31日までに受刑者のうち205人が感染したということです。これはすべての受刑者1709人の約12%に相当し、受刑者の感染者数は記録の残っている過去5年間で最も多いとしています。

 また、刑務所の職員も21%に相当する95人が感染したということで、受刑者と合わせたこれまでの感染者数は300人に上っています。

 このため、名古屋刑務所では、1月26日から受刑者全員の体温測定を始め、28日からはほとんどの工場を停止させて、炊事や洗濯などを除く刑務作業を中止し、居室で自習させる対応をとっています。

 名古屋刑務所によりますと、患者が急増したのは1月24日ごろで、「すでに発症のピークは過ぎたとみられる」としています。今も感染している受刑者の数は100人で、「病状が重い感染者はいない」としています。

 名古屋刑務所は、「感染源は不明だが、1人が感染して受刑者や職員の間で広がったのでは」とし、「早期に収束させるためにあらゆる対応をとっており、健康管理には万全を期していきたい」と話しています。

 愛知県では、1月14~20日までの1週間に報告された1医療機関当たりのインフルエンザの患者数が統計を取り始めて以降、最多の81・86人となって、全国でも最も多くなっており、インフルエンザ警報を出して予防の徹底を呼び掛けています。

 2019年1月31日(木)

 

■東京都のインフルエンザ患者数が過去最多 関東4県でも過去最多に

 東京都内ではインフルエンザの患者の増加が続き、1月27日までの1週間で、1医療機関当たりの患者数がこれまでで最も多くなったことがわかりました。東京都はこまめな手洗いなどの対策の徹底に加えて、感染が疑われる場合は医療機関を早めに受診するよう呼び掛けています。

 東京都によりますと、1月21~27日までの1週間に都内の415の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、1つの医療機関当たり64・18人となり、前の週より10人以上増えました。

 これは、統計を取り始めた1999年以降では、昨年1月の54・10人を上回ってこれまでで最も多くなりました。これまでに検出されたウイルスを分析したところ、10年前に「新型インフルエンザ」として世界的に流行した「H1N1型」が全体の約70%を占めているということです。

 東京都はインフルエンザの流行を受けて、すでに1月17日に「流行警報」を発表しており、マスクの着用や手洗いの励行、適度な湿度の保持、十分な休養とバランスの取れた栄養摂取などを呼び掛けています。

 このほか関東地方では、1医療機関当たりのインフルエンザの患者数が埼玉県内で84・09人、千葉県内で73人、栃木県内で67人となり、いずれも統計を取り始めた1999年以降、2週連続で過去最多を更新したほか、神奈川県内でも67・94人と、1999年以降、過去最多になりました。

 2019年1月31日(木)

 

■自治医科大、難病「AADC欠損症」を遺伝子治療で改善 寝たきりから歩行器利用可も

 自治医科大学は23日、生後寝たきりになる子供の難病「芳香族Lアミノ酸脱炭酸酵素(AADC)欠損症」の患者6人に遺伝子治療を実施し、全員で症状が改善する効果があったと発表しました。2019年にも実用化に向けて厚生労働省へ医薬品の承認を申請します。

 研究成果をイギリスの科学誌「ブレイン」(電子版)に掲載しました。

 AADC欠損症は、遺伝子異常で脳内の情報伝達物質が作れなくなります。運動機能がほぼ失われ、患者の多くは一生涯を寝たきりで過ごします。世界で140人ほどの患者がいると見なされています。

 遺伝子治療は2015~2017年にかけて、国内で診断された4歳~19歳の6人の患者で試みました。情報伝達物質の合成に必要なAADCの遺伝子をウイルスに組み込み、脳内の運動を調節する部位に注射。

 2年間にわたって経過をみたところ、重症の5人は手を動かしたり首がすわった状態を維持したりできるようになり、うち3人は自力で歩行器歩行や背はい移動が可能となりました。歩行に手助けが必要だった1人も自力で走り、自転車やブランコに乗ることも可能となるまでに回復し、話す能力も改善しました。治療による大きな副作用は発生しませんでした。

 自治医科大は2018年から、新たに2人の患者にも同様の遺伝子治療を続けており、順調に経過しています。AADC欠損症と診断されている患者は他に日本に2人おり、また、海外からの治療希望者も10人以上いるといいます。

 2019年1月30日(水)

 

■武田薬品、デング熱ワクチンの販売承認を申請へ 2020年前半にも中南米などで

 武田薬品工業が開発中のデング熱ワクチン「TAK―003」について、販売承認を2020年前半にも申請する見通しであることが、明らかになりました。中南米やアジアで実施していた臨床試験(治験)の最終段階で、予防効果を確認しました。

 デング熱ワクチンはすでにフランスの製薬大手サノフィが手掛けていますが、武田薬品の製品は対象とする年齢層が広く、より多くの人に使える可能性があります。

 武田薬品はまず中南米など流行地域でワクチンの販売承認を申請し、その後アメリカやヨーロッパに広げる方針。このほど最終治験の初回解析を実施し、全4種のデング熱ウイルスに対して予防効果を確認しました。安全性も大きな懸念はありませんでした。

 サノフィの既存製品の接種対象は9歳以上ですが、今回の治験は4歳以上を対象に実施し、承認されれば対象者数は広がります。販売承認を見据え、1億ユーロ(約125億円)以上を投じてドイツで製造設備の準備を進めています。

 デング熱はネッタイシマカやヒトスジシマカなどを媒介としてデングウイルスに感染することで発症し、発熱や発疹などの症状が現れます。世界で年に約3億9000万人が感染し、うち2万人ほどが死亡しています。国境を越えた人の移動が活発化していることで先進国でも発症が増え、日本でも2014年に69年ぶりの国内感染が確認されました。

 2019年1月30日(水)

 

■旧優生保護法下の不妊手術で大阪の夫婦が提訴 知らない間に手術を受ける

 旧優生保護法(1948~1996年)の下で不妊手術を強制され、憲法13条が保障する幸福追求権などを侵害されたとして、大阪府内の聴覚障害のある70歳代の夫婦が30日、国に計2200万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こしました。

 訴状などによると、夫婦は1970年に結婚、2人とも両耳が全く聞こえず聴力障害2級と認定されています。妻は妊娠9カ月だった1974年5月、病院で胎児に異常があると言われて帝王切開で出産し、数日後に子供は亡くなったと聞かされました。その後、子供ができないことを不審に思って母親に相談したところ、「赤ちゃんはもうできない」と告げられ、夫婦とも知らない間に不妊手術をされたことを知ったといいます。出産と同時に行われたとみられます。

 夫婦は、同意なく妻が子供を産めない体にされ、精神的苦痛を負ったと主張し、国に慰謝料などの支払いを求めています。

 夫婦は提訴後に大阪市内で記者会見し、「不妊手術を受けたと後で気付いて怒りの気持ちが収まらなかった。今も子を産み育てたかったという気持ちがある。国には謝罪をしてほしい」と手話で訴えました。

 旧優生保護法を巡っては、全国7カ所で19人が裁判を起こしています。

 夫婦の代理人を務める旧優生保護法被害訴訟大阪弁護団は土日を除く午後1~4時、大阪弁護士会の高齢者・障害者総合支援センター(06・6364・1251)で相談を受け付けています。

 2019年1月30日(水)

 

■高齢者の活力低下状態を測定する機器を開発 健康機器メーカーのタニタ

 健康機器メーカーのタニタ(東京都板橋区)は29日、高齢化に伴って心身の活力が低下した状態を指す「フレイル」の予防につながる体組成計などを発売すると発表しました。カード型の活動量計や脂肪燃焼モニターも商品化し、高齢化が進む日本で健康寿命を延ばすことに力を入れます。

 フレイル予防の体組成計「MC―780A―N」は、2月1日に発売します。フレイルが悪化すると、寝たきりや要介護状態に陥る可能性があり、健康を維持する目安として、5年前に日本老年医学会が提唱しました。

 体組成計は体重計のような機器で、高齢者が乗って備え付けの持ち手を握ることで、足の裏や手のひらから微弱な電流を流す仕組みになっており、体重や体脂肪率などとともに、医師がフレイルの診断の指標とするSMI(骨格筋指数)などを測れます。SMIは手や足を動かすための筋肉の量と身長から割り出し、高齢者などが日常生活でどれだけ動けているかなどを示すとされます。販売価格は、税別で70万円。医療機関や健診施設での導入を見込み、初年度に100台の販売を目指すといいます。

 同時に発表した「脂肪燃焼モニター」は、脂肪が消費分解される際に発生する物質のアセトンを測れます。ストローに息を約4秒吹き込むと濃度を計測し、リアルタイムで脂肪の消費を確認できます。フィットネスクラブなどでの需要を想定し、2020年度中にも発売する方針。

 キャッシュカードと同じ大きさで、センサーを内蔵し消費エネルギー量や歩数などを測れる「カード型活動量計」も開発しました。社員証やポイントカードなどと一体化できるのが特徴です。販売価格は税別で1万円以下を予定しており、2019年10月ごろの発売を目指します。

 タニタ開発部生体科学課の深山知子さんは記者発表会で、「超高齢社会になって健康寿命が大事になっている。多くのお年寄りが健康に老後を過ごせるようにつなげていきたい」と話していました。

 2019年1月30日(水)

 

■慶応大、がんと闘う11種類の腸内細菌を発見 治療薬との併用で効果

 がん細胞への攻撃力を高める11種類の腸内細菌を見付けたと、慶応大の本田賢也教授、田之上大(たけし)専任講師(腸内細菌学)らの研究チームが発表しました。

 これらの腸内細菌をがん治療薬と一緒にマウスに投与すると、腫瘍の増殖を大幅に抑えられました。新たながん治療法につながる可能性がある成果で、論文がイギリスの科学誌「ネイチャー」に掲載されました。

 研究チームは、「CD8T細胞」という免疫細胞を活性化する極めて希少な11種類の腸内細菌を、健康な人の便から見付けました。

 これらの細菌のカクテルを、昨年ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授の発見から生まれたがん治療薬「免疫チェックポイント阻害薬」とともに、皮下に腫瘍を植え付けたマウスに経口投与しました。その結果、薬だけで治療したマウスの腫瘍に比べ、腫瘍の大きさは半分以下に抑えられたといいます。

 投与した腸内細菌が免疫細胞のCD8T細胞を活性化させ、治療効果を高めたとみられます。

 本田教授らは、11種類の腸内細菌の特許を取得。アメリカの新興企業が、これらの細菌を使ったがん治療の臨床試験をアメリカ国内で計画しているといいます。

 腸内細菌に詳しい大野博司・理化学研究所チームリーダーは、「腸内にはさまざまな種類の免疫細胞が存在し、腸内細菌と相互作用することが知られている。今回の成果はその一端を解明したもので、がん治療での臨床応用も期待される」と話しています。

 2019年1月29日(火

 

■日本人の白血球は11類型で発病や体格に影響 大阪大などが解析

 日本人の白血球の型は11のグループに大別でき、型の違いによって、がんや心疾患、糖尿病などの発症や体格に差が出ることがわかったと、大阪大や国立遺伝学研究所などの研究チームが発表しました。論文が29日、イギリスの科学誌「ネイチャー・ジェネティクス」(電子版)に掲載されました。

 一般的な血液型(A、B、O、AB型)は、赤血球の表面にある物質の種類によって4つに分類されます。これに対し、免疫細胞である白血球は、表面にあるHLA(ヒト白血球抗原)という物質にかかわる遺伝子の数が多く、白血球の型の詳細は不明でした。

 研究チームは、日本人1120人のゲノム(遺伝情報)を解析し、HLAにかかわる遺伝子が33個あることを突き止めまさいた。各遺伝子の配列は一人ひとり微妙に違い、配列が近いものをグループ分けすると、大きく11に分類できました。

 さらに、日本人約17万人分のゲノムや病気、体格などのデータベースと照らし合わせた結果、白血球の型によって、アレルギー疾患や肺がん、肝臓がんといった病気のかかりやすさなど、計52項目で違いがみられることがわかりました。中には心筋梗塞(こうそく)の発症や身長、肥満など、一見、免疫とは関係がなさそうな項目も含まれていました。

 研究チームの岡田随象(ゆきのり)・阪大教授は、「心筋梗塞や体格などにも違いが出たのは意外だった。さらに研究を進めて理由を調べ、医療に役立てたい」と話しています。

 2019年1月29日(火

 

■旧優生保護法下の強制不妊手術で新たに提訴 熊本県と静岡県の女性

 旧優生保護法(1948~1996年)に基づき強制不妊手術などを受けたとして熊本県と静岡県の女性2人が29日、国に損害賠償を求める訴えを起こしました。熊本県の女性は1人目に産んだ子供に障害があることを理由に手術を受けたと訴えており、一連の裁判の原告はこれで17人となりました。

 熊本県の72歳の女性は、長女に発達の遅れなどがあり、20歳代のころに2人目の子供を妊娠した時、医師から中絶手術と不妊手術を勧められたということです。女性本人には障害はありませんでしたが、手術に同意せざるを得なかったということで、「国が推進しなければ医師が手術を勧めることもなかった」と訴えています。

 弁護団によりますと、家族の障害を理由に手術を受けたとして訴えを起こすのは全国で初めてだということです。

 また、静岡県に住む聴覚障害のある女性は、49年前の1970年に障害を理由に不妊手術を強制されたと訴えています。

 2人は国に対し、それぞれ慰謝料など3300万円を支払うよう求めています。

 弁護団によりますと、旧優生保護法を巡る一連の裁判の原告はこれで17人となり、30日には大阪府に住み聴覚障害のある70歳代の夫婦も訴えを起こす予定です。

 厚生労働省は29日の提訴について、「訴状が届いていないのでコメントは差し控えたい」としています。

 熊本県の女性の弁護団は提訴の後、熊本市中央区で会見を開き、原告の女性のコメントを公表しました。それによりますと、女性は「年を経るほどに、小さい子を見ると後悔がわき上がってきます。若かった当時、不妊手術を勧める理由などの疑問を医師にぶつける強さがなぜなかったのか、自分を責め続けています」としています。その上で、「国の方針がなければ、医師が私に手術を勧めることもなかったのではないかと思います。国に私の人生を返してもらいたいという気持ちです」と訴えています。

 弁護団の松村尚美弁護士は、「原告の女性は、障害者が生まれると家族全体がさげすまれて孤立するような社会で生きてきた。社会に染み渡った考え方がいかに彼女を追い詰めたか。まさに彼女こそ優生思想の犠牲者だと考えている」と話していました。

 静岡県の女性の弁護団も提訴の後、会見を開き、大橋昭夫団長は「手術を強制された女性は“子供をもうけることができなかったことが悔しい”と話している。女性が回復できない被害を受けたことを法廷で追及する」と述べました。

 2019年1月29日(火

 

■難病医療費助成から外れた「軽症」患者の通院回数減 半年で5・3回から3・6回へ

 難病患者への医療費助成制度の変更に伴い、軽症の患者ら約15万人が制度対象から外れた問題で、対象外となった患者は半年間の平均通院回数が5・3回から3・6回に減ったことが、厚生労働省研究班の調査で明らかになりました。軽症者の受診頻度の変化がデータで示されたのは初めて。

 費用負担増から受診を控えた可能性を指摘する声もあり、研究班は軽症者を把握できる制度見直しの必要性を訴えています。

 2015年の難病法施行で軽症者は原則として医療費助成の対象外となりましたが、経過措置で2017年末までは助成を受けられました。研究班は8県の協力を得て、患者約3000人の経過措置の前と後を追跡調査しました。

 その結果、経過措置後も認定が継続され医療費助成が受けられた1795人は2017年の通院頻度が半年で5・7回、2018年は5・2回だったのに対し、医療費助成対象外となった204人では2017年の5・3回から2018年は3・6回と大きく減りました。

 困難に感じていることを聞くと、「制度の相談先がない」「難病相談・支援センターの利用」を挙げた医療助成対象外の患者の割合が認定患者を上回り、制度から切り離されることへの不安の強さをうかがわせました。

 研究班の代表を務める小森哲夫・国立病院機構箱根病院長は、「医療費助成対象外の患者の8割超は経過措置後の病状が『軽快・不変』と答えており、病状が安定し通院頻度が減ったなら喜ばしい。だが、これが続くとは限らず、悪化した時にすぐに支援につなげるため、軽症者の登録制度などの検討が必要だ」と指摘しています。

 患者団体「日本難病・疾病団体協議会(JPA)」の森幸子代表理事は、「受診を抑制している患者もいるとみられ、重症化が心配だ。制度から外れることで、情報が断たれてしまう不安が出るのも当然だ」と話し、2019年度に本格化する難病法の見直し議論で軽症者対応の再考を求める考えを示しました。

 2019年1月29日(火

 

■最も危険度が高い感染症、防御に挑む 長崎大、国内初の本格拠点を着工

 長崎大は26日、感染症研究拠点「BSL(バイオセーフティー・レベル)4施設」の起工式を、長崎市の同大坂本キャンパスで開きました。28日に建設工事に着手し、2021年7月に完成予定で、2022年度以降の稼働を目指しています。

 BSL4施設は、世界保健機関(WHO)が設けた4段階ある病原体の危険度のうち、最も危険度が高いエボラ出血熱などの病原体の研究ができます。完成すれば、国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)に次いで、国内2カ所目のBSL4施設となり、海外に後れをとっていたワクチンや治療薬の研究が本格的に始まり、国内に侵入する感染症の防御力向上につながることになります。

 長崎大によると、施設は鉄筋コンクリート5階建てで、延べ床面積約5300平方メートル。26日は坂本キャンパスにある整備地で、作業員が資材を運んでいました。地盤を補強するために鉄骨を地中に埋め込む作業などを実施後、建物本体の工事に取り掛かります。

 坂本キャンパスの外では、近隣住民ら約40人が集まり、「長崎にBSL4はいらない」と書かれた横断幕を掲げて建設反対を訴えました。一部の住民は、施設の安全性が担保されていないとして、建設差し止めを求める仮処分を長崎地裁に申し立てています。

 2019年1月28日(月)

 

■インフルエンザで1月に入り6人死亡 長野県内

 長野県松本市の病院でインフルエンザの集団感染が起きて80歳代の入院患者2人が死亡するなど、1月に入って長野県内の医療機関や福祉施設で合わせて6人が死亡していたことがわかりました。長野県は、感染防止を徹底するよう改めて呼び掛けています。

 このうち松本市の松本協立病院では1月11日以降、入院患者19人と職員35人の合わせて54人がA型インフルエンザと診断され、1月25日に80歳代の入院患者の女性が死亡し、28日未明に80歳代の入院患者の男性が死亡しました。ほかの職員と入院患者の多くは快方に向かっているものの、治療中の人もいるといいます。

 集団感染の報告を25日に受けた長野県松本保健所が立ち入り調査して、感染経路などを調べています。

 松本協立病院の佐野達夫病院長は記者会見で、「亡くなった患者様のご冥福(めいふく)をお祈りするとともに、他の患者様やご家族にご心配をかけていることをおわび申し上げます」と述べました。

 長野県によりますと、別の医療機関でインフルエンザと診断された入院患者1人が死亡したほか、高齢者や障害者が入所する3つの福祉施設で集団感染が起きて3人が死亡しており、インフルエンザと診断された後、1月に入って合わせて6人が死亡したということです。

 長野県はインフルエンザの感染拡大を防ぐため、医療機関や福祉施設に対し、手洗いの徹底や、患者や入所者が頻繁に触れるドアノブの消毒などを徹底するよう改めて呼び掛けています。

 2019年1月28日(月)

 

■数本の毛髪で半年前まで逆上ってストレス診断 滋賀大学の研究チームが開発

 日常生活の中でため込んだ慢性的なストレスの度合いを、数本の髪の毛から測定する新たな技術を滋賀大学の研究チームが開発しました。社会全体で働き方改革への関心が高まる中、これまでより簡単に慢性的なストレスを診断できるということです。

 慢性的なストレスの新たな測定技術を開発したのは、滋賀大学教育学部の大平雅子准教授らの研究チームです。

 研究チームによりますと、人がストレスを感じると体内にホルモンが分泌され、髪の毛にはこのホルモンをため込む性質があることに着目し、独自に配合した薬品で髪の毛からホルモンを抽出し、その濃度を調べることでストレスの度合いを測定する技術を開発しました。

 髪の毛は一般的に1カ月に1センチ程度伸びるとされ、毛根から何センチの部分を調べるかによって、ストレスが積み重なった時期やその程度を、最長で半年前まで逆上って測定できるということです。また、数本程度の髪の毛があれば測定可能で、社会全体で働き方改革への関心が高まる中、これまでより簡単に慢性的なストレスを診断できるということです。

 研究チームでは、従業員へのストレスチェックが義務付けられている企業に活用してもらおうと今月、ベンチャー企業を立ち上げました。髪の毛を使ったストレスチェックをビジネス化するのは、国内では例がないということです。

 ベンチャー企業の社長に就任した研究チームの五十棲(いそずみ)計さんは、「自分ではストレスをため込んでいると気付いていない人にも客観的な数値で示すことができます。ストレスがない職場づくりに貢献していきたい」と話しています。

 生理学的にストレスの度合いを調べる手軽な方法としては、だ液からホルモンを抽出する方法が知られています。ただ、測定を行う直前に受けたストレスによってホルモンの濃度に大きな影響が出るため、長期にわたる慢性的なストレスを調べるには不向きとされています。

 これに対し、髪の毛から抽出する方法は最大で半年ほど前まで逆上ってストレスの度合いを測定することが可能ですが、これまでの技術では数十本の髪の毛を必要としていました。研究チームでは、より手軽に測定を行えるようにするため、ホルモンを抽出する薬品の配合を工夫した結果、数本の髪の毛だけで測定できる技術を確立しました。

 測定の手順としては、まず、毛根付近から切り取った髪の毛を1センチほどの単位で細かく切り分けます。髪の毛は1カ月に1センチほど伸びるとされているため、例えば2カ月前のストレスを調べたい場合は毛根から2センチの当たりを調べます。

 切り分けた髪の毛を薬品に浸し、ストレスにかかわるホルモンを抽出した後、その濃度を分析。ホルモンはストレスの度合いが強ければ強いほど濃度が高まることから、どの時期にどの程度のストレスが積み重なったかを客観的な数値で示すことができるということです。

 今回の研究を中心的に行っている大平准教授は28日の記者会見で、「髪の毛を使ったストレス研究は欧米で技術的に確立していたが、集団の健康状態をとらえるためのものだった。一人ひとりの状態に合わせてケアしようという今回の取り組みは国内では初めてとなる」と話しています。

 また、ベンチャー企業の社長に就任した五十棲さんは、すでにこの技術について企業からの問い合わせがきていることを明らかにした上で、「測定の正確性を高め、3年後までには技術を確立して企業に導入してもらえるようにしたい。1人3000円から5000円で診断できるようにして、5年後までに年間10億円の売り上げを目標にしていきたい」と話しています。

 2019年1月28日(月)

 

■厚労省、「頭が良くなる薬」の個人輸入禁止に 海外で健康被害報告も

 「頭が良くなる」「集中力が高まる」などの触れ込みで海外で販売されている「スマートドラッグ」について、厚生労働省は1月から、25品目を対象に、医師の処方箋(せん)や指示がなければ個人輸入を認めない規制措置に踏み切りました。海外での報告を踏まえ、健康被害や乱用の恐れがあると判断しました。

 厚労省は、「医師の処方箋がない薬を安易に使用するのは危険」と注意を呼び掛けています。

 スマートドラッグには明確な定義はないものの、本来、注意欠陥・多動性障害(ADHD)やてんかん、睡眠障害、うつ病などの治療に使われる医薬品を指します。厚労省によると、これらの薬には脳の血流を増やす成分などが含まれており、個人輸入代行業者が本来の用法とは異なり、集中力向上や学習能力の改善などを宣伝して販売しています。

 てんかん治療薬などを日本国内で入手するには医師の処方箋が必要なため、通常は本来の用法以外に流用することは難しくなっています。しかし、海外では脳の機能を高めるなどの効果をうたってインターネットで広く流通しており、日本語のサイトも多いことから、個人輸入して使われているとみられます。日本への医薬品の個人輸入は、1~2カ月分の少量であれば、医師の処方箋や指示は必要ありません。

 一方で、こうしたスマートドラッグの服用により、海外では吐き気や頭痛、倦怠(けんたい)感、意識障害などの副作用が報告されています。日本国内でも、国民生活センターには「子供のために頭が良くなるサプリを購入し、自分で試したら吐き気などで苦しくなった」といった相談も寄せられており、受験生などの若者が安易に使用することが懸念されています。

 こうした状況を受け、厚労省は今回、インターネット上で「脳の機能を高める」として販売されていた約60品目のうち副作用情報などが確認された25品目について、少量であっても、個人輸入時には医師の処方箋や指示を必要とする措置に切り替えました。医師がスマートドラッグとしての使用のために処方箋を書くことは考えにくいため、25品目の個人輸入は事実上、禁止となります。

 厚労省監視指導・麻薬対策課の担当者は、「今後も調査を続け、健康被害や乱用の危険があると判断した場合は規制対象を拡大する」としています。

 インターネットで個人輸入した医薬品を巡っては、スマートドラッグ以外でもさまざまな被害が報告されています。厚労省は、個人輸入の規制をさらに強化するため、罰則規定や麻薬取締官らによる捜査権限を盛り込んだ医薬品医療機器法(薬機法)の改正案を通常国会に提出する予定です。

 2019年1月27日(日)

 

■男性不妊治療、助成倍増し初回30万円に 2019年度から、女性と同水準に

 厚生労働省は23日までに、不妊治療を受ける男性への経済的支援を2019年度から拡充する方針を固めました。不妊治療で夫側に原因があり、精子を採取する手術を受けた場合について、治療1回につき15万円の助成を初回に限って30万円に倍増し、女性への経済的支援と同水準にします。

 不妊治療を受ける夫婦は年々増えているため、経済的な負担を軽減し、子供を持つ希望がかなえられるように後押しします。2019年度予算案に関連予算164億円を計上しました。

 対象は、体外受精と顕微授精。体外受精や顕微授精は健康保険が適用されず、1回の治療に50万円以上かかるケースもあります。これまでは夫婦ともに治療1回当たり最大15万円を助成し、妻側の初回治療に限って助成額を30万円に増額していました。ただ不妊の原因の半分は男性にあるとされることから、夫側も初回の助成額を30万円に引き上げます。

 こうした不妊治療への助成は、夫婦合算の所得が年730万円未満の人が対象になります。妻側は治療を始めた時に40歳未満なら6回、40歳以上43歳未満なら3回まで助成を受けられます。男性の年齢制限はありません。2016年度は男女合わせて14万1890件の助成がありました。

 晩婚化とともに不妊治療の需要は高まっています。日本産科婦人科学会によると、2016年には最多となる5万4110人の子供が体外受精で生まれました。厚生労働省の統計では2016年の総出生数は97万6978人で、18人に1人が体外受精で生まれた計算になります。

 事実婚のカップルは厚労省の助成を受けられませんが、東京都など一部の自治体で独自に支援しているところもあります。

 2019年1月27日(日)

 

■風疹の無料予防接種と抗体検査、まず39~46歳対象 4月以降に受診券を送付

 昨年首都圏を中心に風疹(三日ばしか)が流行したことを受け、厚生労働省は新年度、子供のころに定期接種を受けていない39~46歳の男性に抗体検査を促すことを決めました。4月以降に受診券を配り、検査で免疫がないことがわかれば、ワクチン接種を無料で受けられるようにします。

 厚労省は昨年12月、風疹の免疫の有無を調べる抗体検査を受け、免疫がないと判明した39~56歳の男性を3年間、原則無料の定期ワクチン接種の対象にすることにしました。ただ、対象者は約1600万人に上り、うち免疫がないのは2割程度と推計されています。接種希望者が集中すると、ワクチンの供給不足になる恐れがあります。

 このため厚労省では、特に患者が多い39~46歳の男性に対象を絞って、まず抗体検査を受けてもらうことにしました。4月以降に、市町村から抗体検査の受診券が送られます。対象者は、1972年4月2日~1979年4月1日生まれの男性。ただし、47~56歳の男性でも、市町村に希望すれば受診券をもらえます。

 風疹は妊婦が感染すると赤ちゃんに障害が出る恐れがありますが、昨年、首都圏を中心に2917人の患者が報告され、現在の方法で統計を取り始めた2008年以降の10年余りで2番目に多くなりました。妊婦への感染を防ぐには、男性を含めたすべての人が十分な免疫を持つ必要があります。

 厚生労働省は、東京オリンピック・パラリンピックが開催され海外から多くの人が訪れる2020年までに、国内の風疹患者をゼロにする目標を掲げています。

 2019年1月27日(日)

 

■太平洋のマイクロプラスチック、40年後には4倍か 九州大など予測

 生態系への影響が懸念されている小さなプラスチックのごみ「マイクロプラスチック」について、深刻な研究結果が示されました。日本近海などの太平洋で、2060年ごろまでに、最悪の場合、その浮遊量がおよそ4倍になると予測され、専門家は早急な対策が必要だと指摘しています。

 マイクロプラスチックはプラスチックごみが紫外線や波の力などの影響で大きさが5ミリ以下に細かく砕かれたもので、有害物質を付着しやすい上、魚などが食べることで体内の炎症や摂食障害などを引き起こすため、食物連鎖で生態系に広く悪影響を及ぼす可能性も指摘されています。

 これについて、九州大学や東京海洋大学などの研究チームは、3年前の2016年に調査船を使って日本から南極付近にかけての太平洋上で、マイクロプラスチックを採取して浮遊量を測定。アメリカの研究チームの測定結果や海流の影響などを加味し、50年先までの浮遊量をコンピューターシミュレーションで予測しました。

 その結果、プラスチックごみの海への流出がこのまま増え続けると、夏場を中心に、日本近海や北太平洋中央部などでの浮遊量が最悪の場合、いずれも2016年と比べて、10年後の2030年ごろまでには約2倍に、40年後の2060年ごろまでには約4倍に達することがわかりました。

 特に、2060年ごろまでの予測では、魚が餌を食べなくなったり成長が遅れたりするなど生態系に異常を及ぼす目安とされる「1立方メートル当たり1000ミリグラム以上」に達する海域が、日本周辺などに数多く現れると予測されています。

 調査を行った九州大学応用力学研究所の磯辺篤彦教授(海洋物理学)は、「最悪のシナリオにならないよう使い捨てプラスチックの削減や海への流出を防ぐ対策を先進国・途上国の双方が早急に進める必要がある」と話しています。

 2019年1月27日(日)

 

■動脈硬化や不整脈の小型検査機器を量産へ ロボットスーツのサイバーダイン

 ロボットスーツ「HAL(ハル)」を製造販売するサイバーダイン(茨城県つくば市)は福島県郡山市にある生産拠点で、脳卒中や心筋梗塞など循環器系疾患の原因となる動脈硬化や不整脈の程度を手軽に調べられる医療機関向けの小型検査機器「心電脈波検査装置」の量産を2019年内に始めます。地元のものづくり企業と連携し、当初は月100~200台程度を生産し、順次規模を拡大する方針です。

 心電脈波検査装置は、心電信号や脈波信号を計測し、動脈硬化の状態を調べます。足の指にクリップ部を装着し、本体を腹部に当ててボタンを押すだけで、30秒ほどで動脈の硬さを調べる脈波などの生体信号を計測できます。重さは100グラムほどで、手のひらサイズまで小型化し、持ち運びしやすく、手軽に検査できるようにしました。あらゆるモノがインターネットにつながる「IoT」に対応しており、同社の他製品と同様、計測データをパソコンに集積できます。

 この心電脈波検査装置は2018年12月に厚生労働省から医療機器としての製造販売承認を取得し、2019年1月に公的医療保険が適用になりました。これを受けてまずは医療機関向けに2019年夏にも量産に入ります。販売価格は他社製品の半分から3分の1に抑えたい考え。

 郡山市にある同社の「次世代型多目的ロボット化生産拠点」で、セル生産方式で装置を組み立てます。部品や製品をつかんだり、運んだりする作業にロボットを使ったり、従業員が一人乗りの機器で移動したりして、少人数でも対応できるようにします。生産に当たっては、地元のものづくり企業との連携を検討しています。

 当初の生産規模は月100~200台程度を見込んでいますが、医療機関だけでなく職場や家庭向けなども含め月産数千台規模にまで拡大する方針です。

 同社の生産拠点は高さ約17メートルの3階建てで、延べ床面積は約3500平方メートル。土地・設備を含めた総事業費は約11億円で、3分の2を福島県が助成しました。

 福島県が国内屈指の医療関連産業の一大集積地であり、医療機器産業や生産ロボット技術のさらなる発展が東京電力福島第1原子力発電所の事故からの復興に貢献できるとして、2016年8月に郡山市に拠点を設けました。サイバーダインの心電脈波検査装置の承認取得の影響で、量産開始までに時間がかかりました。

 2019年1月27日(日)

 

■全国の664医療機関が無料低額診療を実施 ネットで制度周知の声が上がる

 インフルエンザの流行が続き、47都道府県すべてで警報レベルを超える中、経済的に厳しい人達が負担なく診察を受けられる「無料低額診療」の制度を周知しようという声がインターネット上で広がっています。

 無料低額診療は医療機関が独自の基準を設けて、経済的に厳しい人の医療費の支払いについて、自己負担分の全額または一部を免除する制度です。

 現在実施しているのは全国の664の医療機関で、免除した医療費は医療機関が負担します。医療保険への加入の有無や国籍は問わないケースが多く、インフルエンザの流行が続く中、経済的に厳しい人が医療費の負担を考えて診察をためらうことのないよう制度を周知しようという声が、インターネット交流サイト(SNS)上で広がっています。

 実施している医療機関は都道府県などのホームページなどに掲載されており、医療機関は給与明細や源泉徴収票で所得などを確認し、医療費の全額を免除するか、一部を免除するかを決めています。

 無料低額診療を実施している東京都中野区の診療所では、ポスターを張ったりパンフレットを置いたりして制度を周知しています。

 制度を利用したい患者には社会福祉士の資格を持つ相談員が面接し、家族構成などを記す申請書を書いてもらったり所得が証明できる書類を提出してもらったりして、所得に応じた減免の額を決めています。

 川島診療所の松本明彦事務長は、「インフルエンザがはやる季節でもあり、制度を知ってもらって負担のない治療につなげたい」と話しています。

 生活が苦しい人たちへの支援活動を行っているNPO法人の代表で社会福祉士の藤田孝典さんは、「経済的に厳しいことから、痛みや、つらさを我慢して、重症となることがある。無料低額診療を行っている医療機関には医療相談室があるので、電話などで相談をしてみてほしい」と話しています。一方、「実施している医療機関は都市部に集中していて地域の偏りを改善していく必要がある。また、病院の外で処方された薬代は自己負担となるため、実際は医療機関が肩代わりしているケースが多くある。負担を減らす支援を国に求めたい」などと制度に課題もあると指摘していました。

 2019年1月26日(土)

 

■膵臓がん、切除手術前に抗がん剤使うと効果 生存期間延長を確認

 治療が難しい膵臓(すいぞう)がんで、切除手術後に抗がん剤を使うより手術前にも使った方が生存期間が平均で約10カ月長くなったとする研究結果を、東北大学病院などの研究チームが24日までに発表しました。生存期間は約1・4倍に延びました。現在は、手術後に抗がん剤を使う方法が日本膵臓学会の推奨する標準治療となっています。

 膵臓がんは国内で年間約4万人が発症。早期発見が難しく、3年生存率が約15%と部位別で最も低くなっています。進行した状態で見付かることが多く、他の臓器に転移がないなど手術で切除できる患者は、全体の2割程度とされます。

 研究チームは2013年から、全国57病院で手術できると判断された79歳以下の成人患者約360人を対象に、臨床研究を始めました。手術後に抗がん剤のS―1を投与する標準治療の患者グループと、手術前にも塩酸ゲムシタビンとS―1を組み合わせて投与する患者グループに分けて比較しました。

 その結果、標準治療に比べ、手術前にも投与した患者は平均生存期間が26・7カ月から36・7カ月になり、2年生存率は52・5%から63・7%になりました。手術前にも投与した患者では、周囲のリンパ節への転移や肝臓に再発するケースが減ったといいます。

 東北大学病院総合外科長の海野倫明(うんのみちあき)教授は、「抗がん剤治療を先に行うことで、がんが小さくなって手術しやすくなる効果も考えられる。今後は、手術前の抗がん剤投与が標準治療になるだろう」と話しています。

 2019年1月26日(土)

 

■インフルエンザの新薬ゾフルーザ、耐性ウイルス検出 服用した2人の小児から

 国立感染症研究所は、新しいインフルエンザの治療薬「ゾフルーザ」を使った患者から、治療薬に耐性を持つ変異ウイルスが検出されたと、24日発表しました。

 塩野義製薬(大阪市住吉区)が開発し、昨年発売したゾフルーザは、5日間連続で飲み続けたり、吸入が必要だったりする従来の薬と比べ、1回錠剤を飲めばすむため、インターネットなどで「画期的な治療薬」として話題になりました。一方、臨床試験の段階から、従来のインフルエンザ治療薬より耐性ウイルスが生まれやすいと指摘されていました。

 耐性ウイルスが広がると薬の効果が薄れるため、専門家は「薬の特徴を踏まえた上で適切な処方を」と呼び掛けています。

 耐性変異ウイルスが見付かったのは昨年12月。横浜市の小学校2校でインフルエンザの集団発生があり、A型にかかってゾフルーザを飲んだ2人の小児から検出されました。変異を持たないウイルスに比べて、ゾフルーザに対する効きが約80~120倍悪くなっていました。

 2人の耐性変異ウイルスは遺伝子配列が異なり、人から人への感染ではなく、それぞれの体内で増殖したとみられるといいます。

 ゾフルーザは臨床試験でも、耐性変異ウイルスの検出率が12歳未満で23・3%、12歳以上で9・7%と高くなっていました。タミフルなど従来の治療薬の検出率は0~2%程度。感染症に詳しい国立病院機構東京病院呼吸器センターの永井英明医師は、「1回飲むだけと便利だが、医師は耐性変異ウイルスのリスクも忘れず、注意深く処方するべきだ」と語っています。

 卸売業者から医療機関への供給量(2018年12月3日~2019年1月6日分)は、従来の4種類の薬と比べてゾフルーザが最も多く、全体の約4割を占めています。

 2019年1月25日(金)

 

■東大病院の最新カテーテル治療で男性死亡 東京都が中止を指導

 東京大学附属病院(東京都文京区)で昨年8月、40歳代の心臓病の男性がカテーテルを使った最新の治療の後に死亡し、東京都は立ち入り調査を行うとともに、安全が確認されるまでこの治療を中止するよう指導したことが24日、明らかになりました。

 東京大学附属病院の循環器内科では昨年9月、拡張型心筋症で心臓の弁がうまく働かない僧帽弁閉鎖不全症も起こしていた東京都内に住む40歳代の男性患者に、カテーテルを使って弁の働きを補う器具を入れる最新の治療を行いましたが、入れるのに必要な穴がうまく開かず治療を中止し、この男性はその後、肺に傷が付く気胸を起こすなど容体が悪化、2週間余りで10月に亡くなったということです。

 東京大学附属病院は昨年12月、医療事故調査をする日本医療安全調査機構と東京都に報告するとともに、外部の専門家を含めた調査委員会の設置や、検証が終わるまでこの治療を中止することを決めました。東京都も昨年12月、医療法に基づく立ち入り調査を行い、安全が確認されるまでこの治療の中止を継続するよう指導しました。

 このカテーテルを使った心臓病の治療は、昨年4月に保険が適用されるようになり、東京大学附属病院では昨年7月から実施し、この男性が6例目だったということです。

 東京大学附属病院は、「必要な報告をし、外部委員を交えた厳正、かつ公正な審査が予定されていますので、その結果を受けて今後の対応を検討します」とコメントしています。

 2019年1月25日(金)

 

■インフルエンザ患者、約213万人  過去最多の昨年2月に迫る

 全国でインフルエンザの流行が広がっており、1月20日までの1週間の推計の患者数は約213万人に達するとともに、47都道府県すべてで警報レベルを超えました。厚生労働省は、今後、さらに患者が増える恐れがあるとして、手洗いやマスクの着用など予防を徹底するよう呼び掛けています。

 厚労省によりますと、1月14~20日までの1週間の全国約5000の医療機関の平均の患者数は、前の週より15人余り増えて53・91人となり、統計を取り始めた1999年以降、最も多かった昨年2月の54・33人に次いで2番目に多くなりました。

 ここから推計した全国の患者数も前の週より50万人ほど増え、約213万人となりました。秋田県の特別養護老人ホームなど各地で死亡例が続き、厚労省は高齢者施設や病院を中心に注意を呼び掛けています。

 都道府県別の1医療機関当たりの患者数は、多い順に、愛知県が81・86人、埼玉県が70・03人、静岡県が69・42人、茨城県が68・05人、福岡県が67・18人などとなっており、今シーズン初めて47都道府県すべてで警報レベルの30人を超えました。

 入院は60歳代以上が多いものの、10歳未満も目立ちます。今シーズンの推計患者数は累計で約541万人。保育所や幼稚園、学校では休校が前週の8から102に急増し、学級閉鎖も446から4721に跳ね上がりました。

 検出されているウイルスは、10年前に「新型インフルエンザ」として世界的に流行したH1N1型と呼ばれるタイプが全体の6割を占めているということです。

 厚生労働省は、今後もさらに患者が増える恐れがあるとして、手洗いやマスクの着用などで予防を徹底することや、発熱など体調の異変を感じたら極力外出せずに休養したり、医療機関を受診したりするよう呼び掛けて

います。

 2019年1月25日(金)

 

■ゲノム編集サルから5匹のクローン誕生 中国の研究機関が発表

 24日の新華社電は、中国科学院神経科学研究所の研究チームがゲノム編集技術と体細胞クローン技術を使い、体内時計の機能を失わせた全く同じ遺伝情報を持つサル5匹を誕生させることに成功したと伝えました。ゲノム編集をしたサルの体細胞クローンは世界初といい、研究結果は中国の科学誌に掲載されました。

 神経科学研究所の研究チームは昨年1月、すでに別のクローンサルの誕生を発表していました。研究チームは新薬開発などの実験用サルをつくるのが目的で倫理上のルールは順守していると強調していますが、人と同じ霊長類のクローンづくりは引き続き議論を呼びそうです。

 新華社電によると、研究チームは遺伝子を狙い通りに改変するゲノム編集技術を使い、受精卵の段階で体内時計に関係する遺伝子が機能しないようにしたサル5匹をつくりました。その中から体内時計が最も働いていないとみられ、睡眠時間の減少や不安やうつといった症状の増加などが認めらるサル1匹を選びました。そして、そのサルの皮膚の細胞から遺伝情報が入った核を取り出して、事前に核を取り除いた卵子の細胞の中に入れて、全く同じ遺伝情報を持つクローンを5匹誕生させました。

 体内時計が機能しないと、精神疾患や糖尿病、循環器系疾患につながるとされます。

 研究チームは、「遺伝情報のそろった実験動物が使えるようになると、新薬開発の実験の効率が飛躍的に向上する」と主張。今後もさまざまな脳の病気モデルのクローンサルをつくりたいとしています。

 中国では人の受精卵で「ゲノム編集」を行い、双子が生まれていたことが今週、明らかになったばかりで、生命倫理にかかわる新しい技術を、人だけではなく、霊長類も含めて、それぞれどのようなルールのもとで研究に応用していくべきか改めて議論を呼びそうです。

 2019年1月25日(金)

 

■イチゴから基準値の10倍の農薬を検出 栃木県、約1000キロ回収へ

 栃木県壬生(みぶ)町の農家が生産したイチゴから、国の基準値の10倍に当たる濃度の残留農薬が検出され、県はこの農家が出荷したイチゴ60キロの回収を命じました。一部はすでに販売されすべての回収は難しい見通しですが、県は、食べても健康への影響はないとしています。

 栃木県が回収を命じたのは、壬生町の農家1軒が1月15日に出荷したイチゴの「とちおとめ」約60キロです。

 県によりますと、保健所の検査でこの農家が出荷したイチゴから、殺虫剤として使う農薬の「プロチオホス」と「フルフェノクスロン」が、国の基準値の10倍の濃度で検出されたということです。

 基準値を超える農薬が残っている恐れのあるイチゴは、4~22日に宮城、千葉、東京、神奈川各都県の6市場に出荷した計約1000キロ(約3700パック)と加工用の約24キロ分。JAが自主的に回収を進めていますが、すでに一部は販売され、回収できたイチゴは全体の1割ほどにとどまるということです。

 県は今回検出された農薬の量では、食べても健康への影響が出る恐れはないとしています。

 県の聞き取りに対し、この農家は「害虫が発生し、農薬を散布する適切な時期や量をよく確かめないまま、出荷の直前に農薬を使ってしまった」と話しているということです。

 記者会見で栃木県農政部の鈴木正人次長は、「いちご王国として、2000人の生産者がルールを守って生産している中、信頼が揺らぎかねない事態で非常に残念だ。農業団体などと連携し、対策を徹底したい」と述べました。

 2019年1月24日(木)

 

■オリンパスの医療機器、海外での不具合報告漏れ 7年間に853件

 医療用光学機器の世界的メーカー、オリンパス(東京都新宿区)が製造した医療機器を巡り、2017年までの7年間に853件の不具合の「報告漏れ」があったと同社が厚生労働省に報告していたことが明らかになりました。国内で販売されていない機器が海外で使われた際に起きた感染症や事故が大半。同社は厚労省に「心よりお詫(わ)びする」との書面を提出していました。

 朝日新聞社の情報公開請求に対し、厚労省が22日、同社から提出された「顚末(てんまつ)書」と「不具合報告漏れに関するご報告」を開示しました。

 顚末書によると、同社は2010年7月15日~2017年6月15日、国内で製造販売の承認や認証を受けている63機種について、「海外で有害事象を起こした際に不具合報告すべきものを報告していなかった」といいます。

 同社によると、国内で販売していない製品は報告が不要と判断していました。これに対し、厚労省側から2017年4月に報告すべきだと指導され、過去に逆上って報告しました。同社の内部文書によると、アメリカ、オランダ、フランス、ドイツの患者に十二指腸内視鏡TJF-Q180Vを使用した際に発生した院内感染300件余などが含まれています。

 国内の医療機器メーカーは不具合や事故、感染症が起きた際、厚労省に報告を求められています。不具合を迅速に把握し、類似の問題の発生を未然に防ぐのが目的です。

 オリンパス広報・IR部は取材に、「今回の未報告を真摯(しんし)に受け止め、経営トップから法令順守への強い意思を示すとともに、厚労省、外部の弁護士などとの連携もしていく」と回答しました。

 日本からNHK、朝日新聞、共同通信が参加する国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の医療機器を巡る報道プロジェクトの一環で、朝日新聞が厚労省の公表資料などを分析。年に数十件から百件余だったオリンパスの不具合報告が、2018年1月公表分で激増していたため、情報公開請求などをしていました。

 日本ではこの十二指腸内視鏡は販売されず、感染は起きていません。欧米ではその後、特殊な洗浄ブラシの提供や注意喚起で安全対策が取られました。

 2019年1月23日(水)

 

■インフルエンザ患者の異常行動、95件を確認 19歳以下が94件

 厚生労働省によりますと、昨シーズン、季節性インフルエンザの患者による異常行動は95件報告されています。報告数は過去10シーズンで3番目に多く、95件のうち94件が19歳以下でした。

 年齢は10歳前後の子供が中心で、多くのケースが発熱から2日以内に起きています。

 異常行動の内容は、突然走り出すのが最も多くなっていますが、興奮して窓を開けて飛び降りようとしたり、歩き回ったりすることもあるということです。

 厚労省研究班の調査によると、インフルエンザ治療薬の種類別の報告数はタミフル23件、リレンザ16件、イナビル26件、ラピアクタ2件。昨年3月から販売されたゾフルーザは2件でした。イナビルを服用した10歳代の少年が翌日、家族が目を離しているうちに自宅マンションの8階のベランダから転落して死亡したケースもありました。一方、薬を服用していないケースでも、異常行動が16件ありました。

 性別では男性63%、女性37%。年齢は9歳と13歳が12件と最も多く、これまでと同様に小学生から中学生の男児に異常行動が出やすいという傾向が見られました。      

 2007年から厚労省はタミフルの10歳代への使用を原則、禁止してきましたが、異常行動との因果関係が明確ではないとして昨年8月、使用制限を解除しました。

 厚労省はインフルエンザ治療薬の処方にかかわらず、小学1年から19歳までがインフルエンザになった場合は、発熱から2日間はなるべく1人にさせず、玄関に施錠したり、ベランダに面していない部屋に寝かせたりするなど、異常行動に注意を払うよう呼び掛けています。

 2019年1月23日(水)

 

■東京医科大への助成金、2018年度は全額不交付 私学事業団

 私学助成の交付業務を担う日本私立学校振興・共済事業団が、汚職事件や医学部入試の不正問題が昨年発覚した東京医科大に対し、2018年度の私学助成金を全額交付しない方針を決めたことが22日、明らかになりました。柴山昌彦文部科学相が同日、閣議後の会見で明らかにしました。アメリカンフットボール部の悪質な反則問題があった日本大など7大学の助成金も減額します。

 文科省によると助成金の不交付や減額は、東京医科大(前年度約23億円交付)が全額不交付、日本大(同約92億円)が35%減額、医学部入試の不正が発覚した岩手医科大(同約18億円)、昭和大(同約55億円)、順天堂大(約56億円)、北里大(約41億円)、金沢医科大(約13億円)、福岡大(約37億円)がいずれも25%減額。各校への配分額は、3月中に決定されます。

 柴山文科相は、「一連の事案は大変残念。今回の減額措置なども踏まえ、不祥事に対してどのように臨むかを文科省として考えていきたい」などと述べました。

 東京医科大では昨年、文科省の私大支援事業を巡る汚職事件で前理事長と前学長が贈賄罪で起訴され、その後、医学部入試で長年、女子や浪人を重ねた受験生への差別や特定の受験生の優遇などが横行していたことが、全額不交付の理由とされました。私大の助成金が不交付となるのは極めて異例です。日本大はアメフット問題への事後対応など学校法人の管理運営が不適切とされました。助成金は年に2回配分されますが、日本私立学校振興・共済事業団は昨年10月、東京医科大と日本大に対する2018年度分の最初の支給を保留していました。

 岩手医科大など残りの5大学は医学部入試に不正があったものの、受験生の救済策などの対応が速やかにとられたため、減額幅が小さくなりました

 一方、医学部入試で文科省から不正の疑いを指摘されながら、大学側が否定している聖マリアンナ医科大については、事実関係が明らかでないとして現時点で減額の議論が見送られました。

 柴山文科相は、「第三者委員会を設置するよう再三指導してきたが、大学側がいまだに対応していないことは大変遺憾。不適切と確認された場合は、これまで対応が取られていないことも踏まえて減額が議論される」としています。

 2019年1月22日(火

 

ジェネリック医薬品で価格カルテルの疑い 公取委が製薬2社に立ち入り検査

 ジェネリック医薬品(後発薬)の卸価格でカルテルを結んだ疑いがあるとして、公正取引委員会は22日午前、独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで医薬品メーカーの「日本ケミファ」(東京都千代田区)、「コーアイセイ」(山形市)の2社に立ち入り検査を始めました。ジェネリック医薬品の取引のみを対象にした立ち入り検査は初めて。

 関係者によると、2社は2018年ごろ、腎臓病患者の治療に使われる高リン血症治療剤のジェネリック医薬品で、「炭酸ランタン口腔(こうくう)内崩壊錠」(OD錠)と呼ばれる口の中で溶けやすい錠剤について事前に連絡を取り合い、卸売業者に納入する卸価格を高めにそろえるカルテルを結んだ疑いがあります。価格競争が起きないようにして値崩れを防ぐ目的だった可能性があるといいます。

 炭酸ランタン口腔内崩壊錠は2社を含む計5社が2018年2月に、厚生労働省の製造、販売承認を受けましたが、同年6月時点では、日本ケミファとコーアイセイだけが販売に向けた準備を進めていました。

 医薬品メーカーからの卸価格は、患者に処方される際の薬価の改定にも影響します。卸価格が高ければ、将来的には患者の医療費負担が増えていた可能性もあります。

 2社のホームページによると、両社はともにジェネリック医薬品を主力と位置付けています。民間信用調査会社によると、日本ケミファの売り上げは約300億円(2018年3月期)、コーアイセは約30億円(2018年6月期)。

 日本ケミファは立ち入り検査を認めた上で、「厚労省の製造、販売承認は得たが、安定供給のめどが立たず、発売時期は未定だった。公取委の調査には全面的に協力していく」としています。

 ジェネリック医薬品は、新たに開発した医薬品(先発薬)に対し、先発薬の特許期間が切れた後に同様の有効成分で製造され、品質や効き目が同等で低価格な薬。日本ジェネリック製薬協会の資料によると、新薬は9~17年程度の開発期間と数百億円以上の投資が必要とされる一方、ジェネリック医薬品は数年の開発期間で、費用も1億円程度に抑えられるといいます。

 公正取引委員会幹部は、「薬の価格を下げるためのジェネリックで、逆に高値を維持しようとしていたなら悪質だ」としています。

 2019年1月22日(火

 

■インフルエンザ脳症で小4男児死亡 長野県北信地方

 長野県北信地方に住む小学4年生の児童がインフルエンザに感染し、今月13日にインフルエンザ脳症で死亡していたことが22日、わかりました。同県では、重症化を防ぐため予防接種を受けるなど対策を呼び掛けています。

 長野県教育委員会などによりますと、北信地方に住む小学4年生の男子児童がインフルエンザに感染し、今月11日は登校したものの、12日から13日にかけて体調を崩し、13日に死亡しました。死因について、保護者から小学校に「インフルエンザ脳症で亡くなった」と説明があったといいます。

 インフルエンザ脳症は、インフルエンザにかかった患者が、突然、けいれんや意識障害などを起こす病気で、1日から2日という短期間に急速に症状が悪化するのが特徴です。

 長野県保健・疾病対策課によりますと、今年に入って、報告があったインフルエンザ脳症の患者数は3人で、重症化を防ぐには予防接種が有効だとしています。

 長野県内では1月7日から13日にかけてインフルエンザ感染者が1医療機関当たり43・87人に上り、30人以上で発令するインフルエンザ警報をこの冬初めて出したばかり。

 同県は、「流水やせっけんを使って十分な手洗いを行う」「具合が悪ければ早めに医療機関を受診する」「インフルエンザと診断されたら、学校や職場は休む」などの徹底を呼び掛けています。

 厚生労働省の人口動態調査によると、ここ数年、長野県内でインフルエンザが原因となった死亡事例は、2017年が47人、2016年が24人、2015年が35人、2014年が22人、2013年が29人。高齢者が多く、未成年は5年間で2014年の1人のみでした。

 2019年1月22日(火

 

■厚労省、ゲノム編集を使った遺伝子治療を4月解禁へ 遺伝病やがんの克服に期待

 厚生労働省は、遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」技術を使った治療の臨床研究を4月に解禁します。16日、遺伝子治療の臨床研究指針の改正案を了承しました。海外では遺伝性難病やがんを対象に臨床研究が進められており、日本でも始まることになります。

 遺伝子治療は、病気の原因となる遺伝子を破壊したり、正しい遺伝子と入れ替えたりすることで病気を治療する方法。これまでの治療では、遺伝子が目的の場所に入らないことがありました。ゲノム編集を使えば狙った場所に遺伝子を入れたり改変したりすることができ、副作用が少なく効果的な治療になると期待されます。

 臨床研究指針の改正案では、遺伝子治療の臨床研究に関する従来の指針を見直し、患者の体内でゲノム編集を使った治療ができるようにします。研究機関には、ゲノム編集に使うタンパク質や核酸などの情報の提供を求めます。患者を治療する場合は、研究実施機関と国の2段階で安全性や効果などを審査しますが、人の受精卵や生殖細胞の遺伝子を改変する研究は禁止します。

 ゲノム編集を使った遺伝子治療は、海外ではすでに臨床試験が始まっています。アメリカでは、遺伝性難病である「ムコ多糖症2型」などで進んでいます。中国では、がん患者を対象に開始されています。

 日本では、マウスなどの動物を使った実験にとどまっていました。今後、自治医科大学は血友病の治療にゲノム編集を使います。京都大学などは、筋肉の機能が衰える「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の原因となる遺伝子のゲノム編集による治療に向けた研究を進めます。

 2019年1月21日(月)

 

■世界初のゲノム編集の双子、中国調査チームが事実認定 別の1人が妊娠中

 中国広東省の南方科技大学の賀建奎副教授が昨年11月、遺伝子を効率よく改変する「ゲノム編集」技術を使い、エイズウイルス(HIV)に感染しないよう受精卵を操作して双子を誕生させたと主張した問題に関し、地元広東省の調査チームは賀氏の主張は事実だと認定しました。

 動機については、「自分の名誉と利益を追い求めるため、国が禁止する生殖目的のゲノム編集を行った」としています。国営新華社通信が21日に伝えました。ゲノム編集によって子供が生まれたのは世界で初めて。

 賀氏は昨年11月、香港大で開かれた国際会議で、ゲノム編集を経た双子の誕生を発表しました。しかし、根拠となる具体的な情報を明らかにしなかったため、「真偽不明」として国内外で疑問視されていました。

 広東省の調査チームが事実だと認定したことで、今後、倫理面や安全性に問題があるとする批判が、さらに高まりそうです。

 南方科技大は21日、広東省の調査結果を踏まえ賀氏を解雇することを決めたと発表しました。

 調査チームによると、賀氏は2017年3月から2018年11月にかけて、偽造した倫理審査文書を使って、夫がHIVに感染した8組の夫婦(1組は途中で辞退)を募り実験を行いました。このうち2人が妊娠し、1人が双子の女の子を出産。もう1人は妊娠中だといいます。

 賀氏は2016年6月からひそかに外国人を含むチームを組織したとしていますが、かかわった個人や組織、資金源などは明らかではありません。 

 2019年1月21日(月)

 

■今年のスギ花粉、例年より飛散量が多い見込み 日本気象協会が予測発表

 日本気象協会(東京都豊島区)は21日までに、今春の花粉(スギ・ヒノキ)の飛散量の予測を発表しました。スギ花粉の飛散量は全国的に例年より飛散量が多くなるとみられ、中国地方は例年に比べて多く、東北地方から近畿地方はやや多く、九州地方は例年並みか多め、四国地方は例年並み。北海道のシラカバ花粉は例年を下回り、東京都心のスギ花粉は2月中旬に飛び始め、3月上旬から4月中旬までの長期間にわたって大量飛散が続くとしています。

 スギ花粉の飛散開始は、東日本と西日本で例年より遅くなる見通し。九州地方や四国地方、東海地方、関東地方の太平洋側では、2月中旬に飛散が始まるとみられるといいます。中国地方や近畿地方、北陸地方で2月下旬、東北地方南部で3月上旬、東北地方北部で3月中旬に飛散が始まるとみられるといいます。

 また、スギ花粉の飛散量がピークを迎える時期は、気温予想などから各地で例年並みか少し早まる見通し。福岡市で2月下旬から3月上旬、広島市や大阪市で3月上旬、高松市や名古屋市で3月上旬から中旬、金沢市や仙台市で3月中旬から下旬にピークを迎えるといいます。

 スギ花粉の飛散が落ち着くと、ヒノキ花粉が飛び始めます。ヒノキ花粉の飛散のピークは、スギ花粉のピークから約1カ月後になる見込み。ヒノキは花芽の生育がそれほど進んでいないとみられ、昨春に限定して比べると全国的に飛散量は減るとみられます。

 2019年1月21日(月)

 

男性の国内最高齢は111歳の渡辺智哲さん 新潟県上越市在住

 イギリスのギネスワールドレコーズ社から存命中の「世界最高齢の男性」として認定されていた北海道足寄(あしょろ)町の野中正造(まさぞう)さんが20日に113歳で死去したため、国内の男性の最高齢者は新潟県上越市に住む111歳の渡辺智哲(ちてつ)さんとなることが21日、わかりました。

 厚生労働省によると、渡辺さんは1907年(明治40年)3月5日生まれ。渡辺さんが入所している施設「保倉の里」によりますと、渡辺さんは職員から国内最高齢の男性になったことを伝えられると、笑顔で、「健康がまず第一。後10年生きていきたい。おいしい物を何でもいいから食べていきたい」などと話したということです。

 渡辺さんは上越市浦川原区の出身。台湾で働き、戦後に家族と地元へ戻って定年まで公務員として市内で働きました。

 厚労省によりますと、国内の女性の最高齢者は1903年(明治36年)1月2日生まれで、今月116歳の誕生日を迎えた福岡市の田中カ子(かね)さんだということです。

 2019年1月21日(月)

 

■初診からオンライン診療は指針違反 厚労省が是正通知

 今年度の診療報酬改定で新たに算定が認められた「オンライン診療」について、患者に一度も対面せず始めるなど国の指針を守っていない医療機関があるとの情報が、厚生労働省に寄せられています。同省は医師法違反の疑いがあるとして、都道府県に対して、医療機関への実態調査や勧告などで是正するよう求める通知を出しました。

 オンライン診療は、患者が来院せず、タブレット端末やスマートフォンの画面越しに医師の問診や服薬指導などを受ける方法。従来は医師が常駐していない離島やへき地で運用されていましたが、厚労省は2015年の通知でへき地限定ではないとの見解を示し、事実上全面解禁しました。さらに昨年4月の診療報酬改定で「オンライン診療料」(月1回、700円)や「オンライン医学管理料」(1000円)を新設し、普及を促しました。

 ただし、あくまで「対面診療の補完」の位置付けで、初診は原則禁止、同じ医師が半年以上診る、3カ月に1回は対面で診療などの要件が同省の指針で定められています。これに反した場合は、診察せずに治療することを禁じた医師法20条に抵触する恐れがあります。

 厚労省によると、一部の医療機関で、初診からオンライン診療をしたり、定期的な対面診療をしていなかったりするケースのほか、メールや会員制交流サイト(SNS)などを使って文字のみのやり取りで診療をしているとの報告があるといいます。このため昨年末に都道府県に出した通知で、問題事例を挙げながら、指針違反があった場合は調査し、速やかにやめるよう勧告するなど対応の徹底を求めました。

 同省の担当者は、「オンラインでも病気の見落としや誤診が起きないよう、適切に対応したい」と話しています。

 2019年1月20日(日)

 

■113歳の野中正造さん、老衰のため死去 男性で世界最高齢

 イギリスのギネスワールドレコーズ社から存命中の「世界最高齢の男性」として認定され、明治から平成にかけて4つの元号にわたる時代を生きてきた北海道足寄(あしょろ)町に住む野中正造(まさぞう)さんが20日未明、老衰のため113歳で亡くなりました。

 野中正造さんは明治38年(1905年)7月25日生まれで、2016年10月に国内最高齢男性となりました。2017年8月にそれまで世界最高齢と認定されていたイスラエル在住の男性(当時113)が亡くなり、2018年4月に世界最高齢の男性としてギネスワールドレコーズ社から認定されました。

 同居している孫の祐子さんによりますと、20日午前1時半ごろ、布団に横になった状態で息をしていないことに家族が気付き、かかりつけの医師が死亡を確認したということです。

 野中さんは農業や林業に携わった後、雌阿寒岳(めあかんだけ)山麓にある旅館「野中温泉」の2代目として経営に当たってきており、ふだんはテレビで大相撲やプロ野球を楽しんだり、昨年の誕生日には好物のケーキを家族と一緒に食べたりするなど19日まで、普通に食事を取り、特に変わった様子はなかったということです。

 孫の祐子さんは、「おじいちゃんのお陰で、私たち家族も幸せな楽しい日々を送ることができました。最期まで自宅で過ごし、尊厳のある死を迎えることができて、寂しいけども悔いはありません」と話していました。

 通夜は22日、告別式は23日にいずれも北海道足寄町茂足寄159の自宅で営まれます。

 2019年1月20日(日)

 

■ゲノム編集食品、年内にも食卓へ 一部は届け出のみで流通

 「ゲノム編集」と呼ばれる最新の遺伝子操作技術を使って生産された農産物や魚などを食品として流通させる際のルールについて、厚生労働省の専門部会は17日、新たな遺伝子が組み込まれていない食品は安全性の審査は必要ないとする最終報告書の案を大筋でまとめました。

 ゲノム編集は遺伝子を操作する最新の技術で、収穫量が増える稲や野菜、魚など、農林水産業の分野で応用に向けた研究が急速に進んでいます。最終報告書案の中では、ゲノム編集を使って新たな遺伝子を組み込んだ食品については、毒性がないかなど安全性の審査を行う必要があるとしています。その一方で、今、開発が進むほとんどの農水産物で行われている、新たな遺伝子は組み込まずに遺伝子の変異を起こさせる方法を応用した食品については、安全性の審査を必要とせず、事前に厚労省に届け出を求めて公表する仕組みを作ることが適当だとしています。

 そして、届け出が確実に行われるための対応を引き続き検討するよう厚労省に求めています。専門部会では、委員から、「届け出の義務化」についても盛り込むべきといった意見がありましたが、人に健康被害が生じる危険性が報告されていないため、現時点での届け出の義務化の導入は見送りました。

 ただ、将来的な義務化までは否定しない考えを最終報告書案に盛り込むことにしました。さらに、新しい技術に対する消費者の不安に配慮し、厚労省は届け出のない食品が判明した場合、食品の情報を公表するなどの行政指導を行う方針を示しました。

 ゲノム編集食品は早ければ年内にも流通が始まり、食卓に上る可能性があり、厚労省は今夏にも届け出制を導入したい考え。今後、消費者庁も食品としての表示方法の在り方について検討を急ぎます。

 厚労省は今後、最終報告書案の文言を修正した後、国民から意見を公募するほか、2月には東京都内と大阪市内の2カ所で説明会を開きます。

 2019年1月20日(日)

 

■2018年の自殺者2万598人、9年連続の減少 19歳以下は2年連続の増加

 2018年の全国の自殺者は、前年より723人少ない2万598人となったことが18日、警察庁の集計(速報値)でわかりました。9年連続の減少で、2万1000人を下回ったのは1981年以来、37年ぶり。ただ、19歳以下の自殺者数は増加しており、若年層への対策が求められています。

 全体のうち男性は1万4125人(前年比701人減)、女性は6473人(同22人減)で、男性が女性の約2・2倍でした。自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は前年から0・5人減って16・3人で、1978年の統計開始以来最少。都道府県別では、山梨県が24・8人で最多、青森県が22・0人、和歌山県が21・5人と続き、最少は徳島県の12・0人でした。

 厚生労働省が1~11月の統計(1万9030人)を基に分析したところ、年代別では50歳代が3225人で最も多く、40歳代が3222人、60歳代が2811人など中高年の割合も高くなりました。

 20歳代以上の全年代が前年同期比で減少した一方、19歳以下の未成年だけは前年同期より16人増の 543人となり、2年連続で増加しました。男性が35人減ったものの、女性が51人増えました。原因・動機(複数計上)について全体では「健康問題」が9450人と最多で、次いで「経済・生活問題」、「家庭問題」と続きましたが、19歳以下では「学校問題」が最多でした。

 19歳以下の自殺者数は、1990年代から横ばい傾向が続いています。2017年10月、神奈川県座間市の住宅で未成年4人を含む9人が殺害された事件は、被害者らがSNS(交流サイト)に自殺願望をうかがわせる投稿をしたことが被害につながりました。

 政府はSNSの事業者に自殺を誘う情報の削除などを求める再発防止策をまとめ、相談体制の強化にも乗り出しました。

 全体の自殺者数が約3万4427人と最悪だったのは2003年。2012年以降は3万人を下回っています。厚労省自殺対策推進室の担当者は、「景気の回復や自殺を防ぐ取り組みなどが自殺数の減少に寄与している。いまだに2万人を超える人が自ら命を絶つという現状は重く受け止め、特に若者への対策に注力していきたい」と話しています。

 政府は2017年に自殺総合対策大綱を決定し、自殺死亡率を2026年までに2015年比で30%以上減少させることを目標としています。

 2019年1月20日(日)

 

■リンゴ病が関東や東北中心に流行 妊婦感染で流産の恐れ

 風邪に似た症状が出て、両ほおなどに赤い発疹ができる「伝染性紅斑」、いわゆるリンゴ病が関東地方や東北地方を中心に流行しています。主に子供がかかり自然によくなることが多い一方で、妊娠中の女性が感染すると流産や死産の原因になることもあり、自治体などが注意を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、昨年10月以降、患者が急増し、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告された患者の数は先月までの3カ月間で合わせて2万6400人余りに上り、前の年の同じ時期に比べておよそ9倍となっています。

 都道府県別の1医療機関当たりの患者数は宮城県が2・42人と最も多く、新潟県が1・33人、東京都が0・8人、山梨県が0・79人などと首都圏や東北地方を中心に流行しています。

 東京都や宮城県、新潟県などでは警報レベルを超え、自治体が注意を呼び掛けているほか、1月16日には山形県でも警報が出ました。

 リンゴ病の原因はヒトパルボウイルスB19で、感染した人の唾液、たん、鼻の粘液などに触れ、それが自分の口や鼻の粘膜に付いたり、せきの飛沫を吸い込んだりして広がります。10日から20日ほどの潜伏期間の後に発熱やせき、くしゃみなど風邪と似た症状が現れるほか、両ほおに赤い発疹、手や足に網目状の発疹が現れます。

 小児が感染しても、ほとんどが重症化せずに軽快します。成人では、頬の赤い発疹などの特徴的な症状が出ることは少ないものの、強い関節痛のために歩けなくなることもあります。妊婦が感染すると、本人には全く症状がなくても胎盤を介して胎児に感染し、流産や死産となる可能性があります。

 妊婦については厚生労働省研究班が流行した2011年に全国調査したところ、母親から胎児への感染が69例報告され、うち流産が35人、死産14人、中絶3人。感染者の約半数は自覚症状がありませんでした。半数以上の人は家族や子供が発病しており、家庭内での感染に注意する必要があります。

 国立感染症研究所は、「妊娠している人は特に、外出した後はこまめに手洗いをしたり、人混みをなるべく避けたり、風邪のような症状の人には近付かないことなどが重要だ。やむを得ず人の多いところにゆく場合はマスクをしっかり着用してほしい」と呼び掛けています。

 2019年1月19日(土)

 

■心臓ペースメーカー1158台に停止の恐れ 医療機関を通じて経過観察へ

 東京都港区の医療機器製造販売会社が海外から輸入して販売した心臓のペースメーカー1100台余りが不具合を起こす恐れがあることがわかり、この会社は医療機関を通じて患者の経過観察を行うことになりました。

 不具合の恐れがあるのは、医療機器製造販売会社「日本メドトロニック」がアメリカから輸入して販売した植え込み型心臓ペースメーカーで、「メドトロニック Adapta DR」1037台と、「メドトロニック Adapta VDD」91台、「メドトロニック Versa DR」30台の合わせて1158台です。

 会社や東京都によりますと、これらの製品は2017年7月28日から今月7日にかけて、医療機関など全国526の施設に出荷されましたが、集積回路に不具合があり、特定の条件が重なった時に正常に作動しない可能性があり、必要な血液が送られず失神や重い健康被害を引き起こす可能性があるということです。

 今回のペースメーカーは海外で、昨年の秋以降、停止したケースが4件起きているということです。

 国内では今のところ健康被害の情報はありませんが、会社では、医療機関を通じて患者の経過観察を行うことにしています。

 会社では、患者の体内から取り出さず、製品に内蔵されたプログラムを無線通信で修正することを検討していますが、患者の状況次第ではペースメーカーの交換が必要なケースもあるということです。

 日本メドトロニックの患者向けの問い合わせの電話番号は0120ー911ー381で、平日の午前9時から午後5時まで受け付けています。

 2019年1月19日(土)

 

■東北や日本海側で胃がんが目立ち、北海道は肺がん多く がん罹患率に地域差

 厚生労働省が17日付で初めて発表した「全国がん登録」の集計による2016年にがんと新たに診断された患者の実態から、がんにかかる割合を示す罹患(りかん)率に地域差があることも明らかになりました。

 住民の年齢構成を調整した人口10万人当たりの罹患率は、都道府県別で長崎県454・9、秋田県446・3、香川県436・7、北海道428・2、宮崎県426・4の順に高くなりました。最も低いのは沖縄県の356・3で、愛知県367・5、長野県367・6と続きました。

 がんの種類ごとに、都道府県別の罹患率も出ています。地域によって罹患率が異なる理由は明確でないものの、生活習慣の影響も指摘されます。胃がんは、食塩の摂取量が多い東北地方や日本海側で目立ち、新潟県74・7、秋田県70・3、山形県63・2などの地域が、全国平均48・2を上回っています。

 肺がんは、北海道、九州や四国の一部など喫煙率の高い地域に多い傾向がみられ、長崎県55・5、北海道51・4、愛媛県51・0などの地域が、全国平均44・4を上回っています。

 肝臓がんは、西日本で高い傾向があり、肝炎ウイルスの感染者の多さと関連しているといわれます。

 課題を対策につなげる動きも出ています。大腸がんで1位、胃がんで2位だった秋田県の健康づくり推進課は、「全国平均と比べ塩分摂取量が多く、喫煙率が高い。飲酒や運動不足なども含め、複合的に影響している可能性があり、生活習慣の改善などに力を入れたい」としています。

 肺がんで2位の北海道の地域保健課は、「禁煙外来のある医療機関を周知するなど、喫煙や受動喫煙の防止に努めたい」としています。

 がん対策に詳しい国際医療福祉大の埴岡健一教授は、「都道府県は、どのがんで罹患率が高いかを分析し、予防対策の強化につなげてほしい」と話す。

 2019年1月18日(金)

 

■インフルエンザ患者が急増し163万人 42都道府県で警報レベル

 全国でインフルエンザの患者が増えていて、1月13日までの1週間の患者数は163万人余りとなり、42の都道府県で警報レベルを超えました。厚生労働省は、1月下旬にかけてさらに患者が増える恐れがあるとして、手洗いやマスクの着用など予防対策を徹底するよう呼び掛けています。

 厚労省によりますと、1月13日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週より11万2000人余り増えておよそ19万人となりました。

 このため、1医療機関当たりの患者数は38・54人となり、この期間に医療機関を受診した全国の患者数の推計は前の週より100万人以上増え、およそ163万5000人となりました。

 都道府県別の1医療機関当たりの患者数は、愛知県で75・38人、熊本県で58・79人、岐阜県で53・94人、鹿児島県で52・34人、静岡県で52・22人などとなり、42の都道府県で警報レベルの30人を超えました。

 入院は60歳代以上が全体の64%を占め、10歳未満も23%と多くなりました。今シーズンのこれまでの患者数は推計で約328万人。休校や学級・学年閉鎖も相次いでおり、1週間で休校は8、学級閉鎖は446に上りました。

 これまでに最も多く検出されているウイルスは、10年前に「新型インフルエンザ」として世界的に流行したH1N1型と呼ばれるタイプが7割と最も多い一方で、昨年多かった「B型」はほとんど検出されていないということです。

 厚生労働省は、今月下旬にかけてさらに患者が増える恐れがあるとして、重症化しやすい子供や高齢者などに対して、こまめな手洗いや、せき、くしゃみが出る時はマスクを着用するなど「せきエチケット」の徹底を呼び掛けています。

 2019年1月18日(金)

 

■新たながん患者過去最多の年99万人に 部位別トップは大腸がん

 厚生労働省は、2016年に新たにがんと診断された患者数は延べ99万人を超え、過去最多となったと、17日付で発表しました。すべての病院に患者データの届け出を義務付けた「全国がん登録」という新たな制度による初の集計で、日本のがんの実態が判明しました。部位別では、大腸がんがトップでした。

 全国がん登録は、病院に届け出を義務化したがん登録推進法の施行に伴い、2016年から始まりました。それ以前の登録制度は任意で、登録漏れが指摘されていました。

 集計結果によると、2016年のがんの新規患者数は99万5132人(男性56万6575人、女性42万8499人、不明58人)。法施行前の登録を基にした2015年の患者数89万1445人(男性51万926人、女性38万519人)に比べ、10万3687人も多くなりました。

 集計した国立がん研究センターによると、患者数が急増したというより、さらに正確なデータが集まったためとみられます。

 部位ごとの患者数を見ると、大腸15万8127人(15・9%)、胃13万4650人(13・5%)、肺12万5454人(12・6%)の順に多くなりました。

 2015年と比較すると、順位は同じながら、全体に占める割合は胃や肺で下がりました。それぞれ原因となるピロリ菌の感染率や、喫煙率の低下を反映したとみられます。逆に、大腸は0・4ポイント上がっており、食生活の欧米化などの影響がうかがえます。

 男性は胃がんの9万2600人が最も多く、前立腺8万9700人、大腸8万9600人と続きました。女性は乳がんの9万4800人がトップで、次いで大腸6万8400人、胃4万1900人の順でした。

 がんと診断された人の割合(罹患(りかん)率)は、年齢構成を調整した人口10万人当たりで402・0。男性が469・8、女性が354・1で、男性のほうが高くなっています。

 今後は、新制度のデータが毎年発表されます。5年生存率については、2023年に最初の公表を行う予定。

 厚労省がん・疾病対策課の佐々木昌弘課長は、「データを詳しく分析し、患者の状態に応じた医療体制の整備を進めたい」としています。

 2019年1月17日(木)

 

■東京都がインフルエンザ流行警報を発表 昨季より1週間早まる

 東京都内でインフルエンザの患者が急激に増えたことから、東京都は17日、インフルエンザの「流行警報」を発表し、こまめな手洗いなど対策の徹底や感染が疑われる場合は早めに医療機関を受診するよう呼びか掛けています。

 東京都によりますと、1月7~13日の1週間に都内の419の医療機関から報告されたインフルエンザの患者の数は1つの医療機関当たり平均31・7人で、前の週の3・4倍と急激に増え、都全体で国の定める基準値の30人を超えました。

 東京都は、インフルエンザが大きな流行になっているとして、これまでの「流行注意報」を切り替えて17日、「流行警報」を発表しました。

 東京都内に警報が出るのは、昨シーズンより1週間早いということです。

 また、東京都内では今月13日までに延べ236の幼稚園や学校で学級閉鎖などの措置がとられたということです。

 これまでに検出されたウイルスを分析したところ、10年前に「新型インフルエンザ」として世界的に流行した「H1N1型」が全体の約72%を占めているということです。

 東京都は、こまめな手洗いなど対策の徹底や感染が疑われる場合は早めに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2019年1月17日(木)

 

■外国人扶養家族の健保適用、「国内在住」に限定 不正利用防止へ厳格化

 入管法の改正に伴う外国人労働者の受け入れ拡大を受け、政府が検討を進めてきた健康保険法改正案の概要が17日、判明しました。健保が適用される扶養家族を原則「国内在住」に限るなど、不正利用ができないよう適用対象を厳格化することなどが主な柱。今月開会の通常国会に提出する方針です。

 日本の公的医療保険制度では、就労や留学のために来日した外国人も在留資格に応じて各医療保険に加入しなければなりません。入管法の改正で受け入れを拡大するのは労働者のため、加入するのは民間会社の従業員向けの健康保険です。企業などを通じて加入するため「不正な医療目的」では入れないものの、海外に残してきた家族にも使えます。そのため、日本に滞在する外国人が、他人を「母国の家族だ」と偽って健康保険を不正利用するのではないかと懸念する声が出ていました。

 改正案によると、扶養家族について、厚生労働省は「国内在住」を適用要件に加えます。この場合、子供の海外留学や、海外赴任に同行する日本人家族が扶養家族から外れます。海外居住者のうち、一時的な海外生活など「日本に生活の基盤があると認められる家族」は、例外的に扶養家族と認めます。例外となる対象は今後、省令で定めます。

 また、国会審議では、医療費の自己負担が軽減される国の「高額療養費制度」について、在留資格などを偽って来日した外国人が市町村の国民健康保険(国保)に加入して悪用するケースへの懸念が指摘されていました。このため、国保法の改正で、市町村が外国人の留学先の日本語学校に出欠状況などの報告を求められるよう調査対象を拡大します。

 ほかにも、海外で出産した配偶者にも支払われる出産育児一時金の審査も厳しくする見通しです。日本国内在住でも、「なりすまし」など公的医療保険の不正利用を防ぐため、保険証のほか本人確認書類の提示を求めるよう対策を進めます。

 2019年1月17日(木)

 

■地下鉄駅ホームのPM2・5濃度、最大で地上の約5倍に 慶応大が調査

 健康への影響が懸念される微小粒子状物質「PM2・5」について、慶応大学の研究チームが地下鉄駅で調査をしたところ、最大で地上の約5倍の濃度に上ったことがわかりました。電車がブレーキをかける際に車輪やレール、ブレーキの部品が摩擦で削れて発生しているとみられ、専門家は「呼吸器などに病気がある人や長期間働く人などへの影響を調査する必要がある」と指摘しています。

 日本の専門誌「大気環境学会誌」に論文が掲載されました。

 PM2・5は大気中を浮遊する大きさが1000分の2・5ミリ以下の極めて小さい粒子状の物質のことで、成分は鉄などの金属や硫酸塩や硝酸塩、そして有機物などさまざまです。工場や自動車の排ガスなどから発生するほか、中国からも飛来し、吸い込むと肺の奥まで入りこみ、ぜんそくや気管支炎、肺がんなど、呼吸器の病気や不整脈など循環器の病気のリスクが相対的に高まるとされています。

 日本では10年前に屋外の大気中の環境基準がつくられ監視が強化されてきましたが、地下鉄駅や地下街、屋内など閉鎖した場所の基準はなく、実態がよくわかっていません。

 慶応大学の奥田知明准教授(環境化学)の研究チームは、横浜市交通局の協力を得て、横浜市内の地下鉄駅のホームで、昨年7月17日の午前5時から午後8時までPM2・5の調査をしました。

 その結果、始発から濃度が上がり始め、1立方メートル当たりの1時間の平均濃度は午前9時から10時で最も高い約120マイクログラムとなり、同じ時間帯の地上の約5倍に上りました。また、始発後の午前6時から14時間の平均濃度は約80マイクログラムで、環境省の屋外の1日平均の基準35マイクログラムと比べると、約2・3倍となりました。

 成分を分析したところ、金属が多く、特に鉄を含むPM2・5は地上の約200倍に上りました。

 発生原因について、研究チームでは、電車がブレーキをかける際に車輪やレール、ブレーキの部品が摩擦で削れるほか、パンタグラフと架線の接触でもPM2・5が発生しているとみています。このPM2・5はトンネル内を浮遊したり、底にたまったりして、電車が通過するたびに巻き上げられて駅ホームに流れ込むと考えられます。

 また、通勤ラッシュで濃度が高くなるのは、時間当たりの電車の本数が増えることや、多くの人を乗せているため、車体が重くなりブレーキをかける際、車輪やレールにより摩擦がかかるためとみられます。

 奥田准教授は、「地上のPM2・5は改善されているが、地下鉄の実態はわかっていない。今回は1日だけの調査だったが、ほかの駅や地下鉄にも調査を広げる必要がある」とした上で、「地下鉄の空気の環境を誰が責任を持つのかわかりずらく、今まで見過ごされてきた空間だといえる。今後、地下鉄を始め、閉鎖空間の基準の整備も検討すべきだ」と指摘しています。

 横浜市交通局では送風機などでトンネルや駅構内の換気を行っているほか、トンネル内の清掃も定期的に行って粉じん対策をしているということです。

 今回のPM2・5の調査結果について、横浜市交通局は「健康への影響について科学的な知見や研究成果がまだ少ない中で今すぐ具体的な対策を講じるのは難しいが、今後の研究成果によっては対策を検討していかないといけないと考えている」としています。

 海外の地下鉄では10数年前からPM2・5の問題が指摘され、実態調査と対策が進んでいます。このうち、世界で最も古いイギリス・ロンドンの地下鉄では、2003年に調査が行われ、最も高い駅では1立方メートル当たりの3日間の平均濃度が、約480マイクログラムとなるなど、汚染が確認されました。

 調査結果をまとめた報告書では、駅員や一般利用者の肺への影響は低いとする一方、PM2・5の成分の中に鉄が認められ、毒性が確認されたとして、削減努力をすべきと指摘しています。

 こうした実態を踏まえ、ロンドン市長は一昨年、地下鉄の環境を改善するための行動計画を発表し、観測装置の設置や微粒子の吸着装置を使った除去などを行うとしました。

 PM2・5の健康影響に詳しい京都大学の高野裕久教授は、「濃度自体は高いが、一般の利用者のように駅を利用する時間が短ければ大きな問題にならないと考えられる。しかし、PM2・5の影響を受けやすい呼吸器や循環器に疾患がある人やアレルギーの人、高齢者や子供、また長く駅に滞在する人は、より注意をする必要がある。また、成分が屋外と異なって鉄などの金属が多いということが気になる。金属は一般的な大気環境中のPM2・5では、悪影響を及ぼす成分であると指摘されていて、地下鉄のPM2・5でも影響があるか調べることが必要だ」と話しています。

 2019年1月16日(水)

 

■埼玉県がインフルエンザ流行警報を発令 昨季より1週間早まる

 埼玉県は16日、インフルエンザの「流行警報」を発令しました。1月7~13日の1週間でインフルエンザの報告数が1医療機関当たり平均41・02人(前週比27・37人増)となり、県全体で国の定める基準値の30人を超えました。警報発令は昨シーズンより1週間早まりました。

 今シーズンのインフルエンザは昨年12月初めに流行期に入り、昨年末に患者数が増加したため8日に流行注意報を発令しましたが、1月に入りさらに患者数が増加していりため「格上げ」しました。埼玉県保健医療政策課は、せきエチケット、手洗いの励行、適度な湿度の保持、十分な休養とバランスの取れた栄養摂取など感染予防を呼び掛けています。

 埼玉県は259の医療機関から、インフルエンザの患者数などについて毎週報告を受けています。保健所管内別の患者報告数は幸手保健所55・21人が最も多く、鴻巣保健所54・21人、南部保健所(蕨、戸田両市)54・00人と続きました。

 一方、流行には地域差があるといいます。埼玉県は、「まだ流行していない地域でも油断せず、患者が増えている地域は拡大防止を徹底してほしい」と呼び掛けています。

 2019年1月16日(水)

 

■月経異常の女性運動選手、疲労骨折リスクが8倍 慶応大が調査

 月経に異常がある女性運動選手は、疲労骨折を起こすリスクが約8倍に上り、一度骨折すると繰り返すリスクも約5倍高まるとする研究結果を、慶応大学の研究チームがまとめました。イギリスの科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」に掲載されました。

 日本整形外科学会によると、疲労骨折は1回の外傷で起きる通常の骨折とは異なり、骨の同じ部分に小さな力が繰り返し加わることで、小さなひびが入って、やがて完全に骨折する状態をいいます。女性選手の疲労骨折は、運動量の多さに食事量などが見合わず、エネルギー不足からホルモンのバランスが崩れ、骨粗しょう症を引き起こすことで生じます。

 研究チームは2017年、慶応大の体育会所属の女性選手56人を調べたところ、13人が脚を疲労骨折した経験がありました。このうち11人に、月経不順や無月経などの異常がみられることもわかりました。さらに1年間の追跡調査を行うと、3人が再び疲労骨折していました。また、練習メニューが過密化し、運動による消費エネルギーが高くなると疲労骨折を起こしやすくなる可能性も示されました。

 血液や尿の検査結果をみると、疲労骨折を経験した選手は、骨や筋肉がダメージを受けると生じる酵素の値が高く、骨の形成にかかわるタンパク質の値は低くなりました。これらの酵素やタンパク質の値を調べれば、疲労骨折のリスクを予測できる可能性があるといいます。

 研究を取りまとめた慶応大医学部の宮本健史・特任准教授(整形外科)は、「女性選手の疲労骨折は選手生命にかかわる。過去の骨折経験や月経の異常、血液や尿の検査値を参考に、トレーニングの方法の工夫や見直しが必要だ」と話しています。

 2019年1月15日(火)

 

■がんゲノム医療、全国40病院で 30カ所超を拠点病院に指定

 厚生労働省はがん患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「がんゲノム医療」を全国で受けられるよう医療提供体制をつくります。遺伝子検査を実施し治療方針を決める病院は、中核拠点の大病院11カ所に30カ所程度を追加し、合計約40カ所に整えます。

 遺伝子検査が示した保険外の抗がん剤治療と、保険医療を組み合わせた混合診療を迅速に受けられるようにします。がんゲノム医療は2019年春にも保険適用になる見通しで、がん患者の治療の選択肢が広がりそうです。

 がんゲノム医療で使う遺伝子パネル検査は、多数の遺伝子を一度に検査して最適な抗がん剤を選び出します。効果が高く副作用も少ないとされます。一部の検査は春にも保険適用される見込み。

 厚労省は国立がん研究センター中央病院、東京大学病院、京都大学病院など11病院を「中核拠点病院」に指定しましたが、保険適用が始まれば、対応し切れなくなる恐れもあり、30カ所超を「拠点病院」として2019年度中に追加指定します。実際の治療に当たる全国135カ所の「連携病院」と合わせ、全国で医療を提供する体制が整います。

 混合診療を迅速に受けられる仕組みもつくります。日本は混合診療を原則禁止しており、保険診療と保険外診療を組み合わせた治療を受けると、保険診療分も含めて医療費は全額自己負担になります。遺伝子パネル検査を保険適用しても、そこで導かれた治療法が混合診療ルールに抵触すれば患者の医療費負担は重くなり、普及の制約になりかねません。

 そのため厚労省は例外として混合診療が認められる「患者申し出療養」の仕組みを使いやすくします。該当すると薬代は全額自己負担のままですが、保険診療分は原則3割ですみます。

 国立がん研究センター中央病院が抗がん剤治療の計画書を事前に作り、各地の病院が共有。過去の事例から病院内の準備期間を2カ月程度に短縮できる見込みで、患者の申し出から3カ月半程度で治療を始められそうです。

 遺伝子検査で最適な治療法と示されそうなのは保険適用外の抗がん剤が大半とみられ、保険外の治療を希望する患者が大幅に増える可能性があります。胃がんに効果がある保険適用の抗がん剤を、保険外となる肺がんの治療で使うことが有効という結果が示されることなどがあり得ます。

 国立がん研究センターによると、生涯でがんに罹患するリスクは男女ともに「2人に1人」。がんゲノム医療は一人ひとりの患者の状況に合わせた「個別化治療」につながると期待を集めます。ただ、すべてで有効な治療法に結び付けられるわけではありません。数十万円に上る検査費用が保険適用されれば、患者の自己負担は原則3割に抑えられる一方、保険財政を圧迫する恐れもあり、費用対効果の検証が必要になりそうです。

 2019年1月15日(火)

 

■リストバンド型端末で見守り、異変に早期対応 高齢者施設などで導入進む

 リストバンド型の端末を使い、高齢者の見守りや健康維持に役立てる取り組みが広がっています。昨年12月、京都市内のサービス付き高齢者向け住宅では、こうした端末を使った24時間の脈拍モニタリングを始めました。脈拍の異常時にはアラート機能が働き、早期に対応することで、本人や家族の安心につながることが期待されています。

 京都市下京区のサービス付き高齢者向け住宅「メディカルグランメゾン京都五条御前」に住む80歳代の男性は、手首に着けた黒のリストバンド型端末をうれしそうに触り、「最近腕時計をしていないから、代わりになるね」とほほ笑みました。

 男性の室内には専用のデータ通信装置が設置されており、端末が測定した脈拍をリアルタイムで送信。施設側が専用アプリで脈拍の波形を確認できるほか、上限や下限の数値を一定時間超えた場合、自動で職員にアラート(警報)が発信されます。使用者自身が異変を感じて緊急ボタンを長押しすることで、職員に急変を知らせることも可能です。

 施設を運営する「ジェイ・エス・ビー」によると、看護師が24時間常駐していることもあり、看取りを視野に入れた高齢の入居者も少なくありません。高齢者事業本部運営企画部長の井上隆司さん(40歳)は、「脈拍異常を検知することで、いつの間にか亡くなるという事態を防げるのではないか。患者さんと家族の安心、職員の負担軽減にもつながれば」と期待しています。

 昨年12月から試験的に、80~90歳代の入居者5人がリストバンド型の端末を使用。効果が確認できれば、同社が運営するほかの高齢者施設でも導入していく予定です。

 システムは岐阜県笠松町の松波総合病院が発案。2016年からは岐阜市の医療関連サービス会社「トーカイ」も加わって、昨年10月に実用化しました。医療機器としての認証を取得し、高い測定精度を備えています。トーカイの大塚幸平さん(28歳)は、「すでに100人程度のデータを集め、異変が起きた場合の波形を蓄積しつつある」といいます。

 リストバンド型の端末を見守りに生かすサービスはほかにもあり、セキュリティー会社「セコム」は2017年7月から、ホームセキュリティーのオプションサービスとして「セコム・マイドクターウォッチ」を開始。利用者自身がセコムに救急通報できるほか、突然意識を失って転倒した際の衝撃を検知したり、逆に一定時間体の動きを検知しなかった場合、セコムに自動的に通報される機能もあります。広報担当者は「常時装着することで、屋内外を問わずお客様の安全や健康を見守ることができる」と話しています。

 一方、リストバンド型の端末を使い、介護予防のための機能訓練を効率的に行う取り組みも始まっています。2017年8月にスタートした「モフトレ」は、利用者が専用の端末「モフバンド」を腕や足に着け、プログラムに沿った機能訓練などを行うと、どの程度できたかなどの結果を自動で記録。サービスを提供する「モフ」(東京千代田区)によると、高齢者を対象とする数百施設で導入され、高齢者向けのデイサービスなどで数千人が利用しています。可動域やバランス、実施回数などを正確に把握できるため、成果が見えやすく、本人のやる気にもつながっているといいます。

 2019年1月14日(月)

 

■梅毒など性感染症への注意呼び掛ける 全国各地の成人式で

 若者の間で梅毒などへの感染が課題になる中、成人式を機会に性感染症への啓発を進めようという動きが広がっています。

 14日の成人の日を前に、13日に成人式が行われた山形市では、参加者に梅毒の感染が広がっていることを示すチラシを配布したり、性感染症の検査への呼び掛けが行われたりしました。

 今回の性感染症の検査は国の研究事業の一環で無料で行われ、希望者は郵送で後日に届く検査キットで指先の血液を採って返送すると、梅毒やHIV(ヒト免疫不全ウイルス)などに感染していないかをインターネット上で匿名で確認できます。

 新成人の男子大学生は、「病気のことをあまり知らないので、知ることができてよかった。無料なら検査をしてみようと思います」などと話していました。

 このほか、14日に成人式が行われた東京都新宿区では、性感染症への対策をまとめた冊子や相談先の電話番号が書かれた文房具などが配付されました。冊子には、若い世代の感染が増えていることや、予防方法などがまとめられています。

 そして、会場でも梅毒への感染が20歳代で特に多くなっていることを記したシートを使って、新宿区の担当者が集まった人達に直接、感染への注意を呼び掛けました。

 また、仙台市では、成人式会場にブースを設けて、性感染症の種類や症状などをまとめたチラシを配布したほか、さいたま市でも市の職員と地元の大学生が協力して、梅毒の感染が増加している実態や相談・検査の窓口を紹介したチラシなどを配り、感染予防の啓発を進めました。

 2019年1月14日(月)

 

■千葉大の附属病院に1・5億円の賠償命令判決 医療ミスで患者が植物状態

 千葉大学医学部付属病院(千葉市中央区)で形成外科手術を受けた埼玉県の男性(26歳)と両親が、術後の処置のミスで重い障害を負ったとして千葉大に約3億2000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が10日、東京地方裁判所でありました。佐藤哲治裁判長は看護師の注意義務違反を認め、約1億5000万円の支払いを命じました。

 判決によると、男性は2012年8月の20歳当時、上あごと下あごのズレを矯正する手術を受けました。この際、気管を切開して呼吸用チューブを取り付けられましたが、手術の4日後、チューブにたんが詰まって窒息状態に陥りました。異変に気付いた女性看護師2人が5分ほど吸引したものの改善せず、低酸素脳症による意識障害になり、脳に障害が残りました。

 判決は、看護師が呼吸の回数や脈拍を確認する義務があったにもかかわらず、男性の様子を十分に把握していなかったと指摘。医師を呼ばずに吸引を続けたのも不適切で、「早く処置をしていれば障害は生じなかった」と認定しました。

 男性は今も植物状態で、会見した父親(55歳)は「初歩的なミスが重大な事故につながるということが明らかになったのは大きな意義があると思います。病院には今後、息子の回復のために治療に全力を挙げてほしい」と話しました。千葉大学医学部附属病院総務課は「判決文を確認できていないのでコメントについては差し控える」としました。

 2019年1月14日(月)

 

■アルツハイマー病関連のタンパク質蓄積で学習効果喪失 認知機能が正常でも

 アルツハイマー病に関連する異常なタンパク質が脳に蓄積している人は、認知機能に異常がなくても学習効果を発揮できないとする研究結果を、東京大学の岩坪威(たけし)教授(神経病理学)らの研究チームがまとめました。アルツハイマー病の早期発見と治療につながる可能性があるといいます。

 認知機能が正常な60~84歳の男女154人を対象にして、2008~2014年に調査を実施。19人の脳で、アルツハイマー病患者にみられる異常タンパク質「アミロイドβ(ベータ)」の蓄積が確認されました。

 研究チームは対象者全員に、現在の日時や場所などを問う基本的な認知機能検査を3年間、半年から1年ごとに計5回受けてもらいました。その結果、アミロイドβの蓄積がある人は、ない人に比べて点数が伸びませんでした。

 アミロイドβに加え、もう一つの異常タンパク質「リン酸化タウ」が増えている人は、植物や動物の名前を挙げさせる検査の点数がよくありませんでした。いずれも、学習効果の喪失が原因とみられます。

 アルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)は、認知症患者全体の半数以上を占めます。今回の結果を受けて、岩坪教授は「潜在的な認知機能の障害を判定する新たな基準を作り、早期の診断と発症予防につなげたい」と話しています。

 2019年1月13日(日)

 

■小学4年生への検診で受動喫煙が激減 埼玉県熊谷市が実施

 小学4年生を対象に「受動喫煙検診」を実施する埼玉県熊谷市で、たばこの煙に含まれるニコチンの代謝物質が尿中に高濃度含まれる子供の割合がこの約10年で大幅に減少し、受動喫煙の被害が激減しています。熊谷市は検診を長期間行うことで、保護者への意識付けができた結果だと分析しています。

 受動喫煙検診は熊谷市が2007年度から公費で実施。小学4年生全員に呼び掛け、9割に当たる1500人程度が毎年受診しています。尿中のニコチン代謝物質「コチニン」の濃度を測定し、どの程度受動喫煙の被害に遭っているかを調べています。高い値が出た場合は、小児科を受診させるよう保護者に警告文を送っています。

 検診で「高値」とされた子供の割合は、2007年度は12・6%、2008年度は18・9%だったのが、2017年度は4・0%まで減りました。検出限界値以下の子供の割合も、2008年度は44・9%だったのが、2017年度には81・3%と倍近くに増えました。毎年実施して保護者に検診の存在が知られることで、「受動喫煙防止への意識付けができ子供の健康が守られるようになった」と、熊谷市健康づくり課は成果を評価しています。

 2011年度からは中学2年生を対象に、アンケートによる追跡調査を実施。同じ子供の2013年度(小学4年生)と2017年度(中学2年生)で比較すると、保護者(父親)の喫煙率は48・8%から38・08%と約10ポイント減っており、保護者の意識改革にもつながっています。

 熊谷市の取り組みをほかの自治体も評価し、群馬県太田市は熊谷市の検診を応用し、3歳児検診での実施を検討中。千葉県木更津市も、効果的な施策として近く導入する予定。

 子供の受動喫煙に詳しい鈴木修一・国立病院機構下志津病院小児科医長は、「検診は保護者が禁煙する動機になっている。通常の検尿で調べることができ負担も少ない。ほかの自治体でも取り組んでいくべきだ」と話しています。

 2019年1月13日(日)

 

日本病理学会、検査画像にAI導入へ 胃がん判定で正解率8割

 組織や細胞を患者から採取し、がんの有無などを調べる病理検査に人工知能(AI)を導入しようと、日本病理学会が取り組んでいます。すでに8割近い正解率で胃がんを判定でき、「病理医のサポートができるレベル」にあるといいます。医師不足や見落としミス軽減の救世主として期待されます。

 がんなどが疑われる部位を薄く切り取り、病理医が顕微鏡で調べて病気の確定診断をします。がんの場合は悪性度なども判定し、主治医が治療方針や手術方法を決める参考にします。

 しかし、現状は病理医の人手不足と高齢化が深刻。日本病理学会によると、国内の病理専門医は2012年時点で、医師全体の0・8%に当たる約2500人。平均年齢は50歳を上回ります。日本病理学会の研修認定施設ですら2016年の調査で、病床数が400超の510病院の半数近くで常勤病理医が0~1人でした。

 病理医の過重負担や、それに伴う病変見落としは大きな課題です。100件につき約1件の割合で見落としを含む誤診が生じ、100件につき約5件の割合で悪性度などの判定間違いがあるといいます。医療機関が提訴されたケースもあります。

 そこで、国立情報学研究所(東京都千代田区)と協力し、病理検査を支えるAIの利用に乗り出しました。全国の16大学病院や学会支部からデジタル化した11万症例の検査画像計17万枚を集め、病理医が「胃がん」と診断した約1000例の画像をAIに学習させました。

 その結果、76・7%の割合でAIと病理医の判断が一致するようになったといいます。がんではない画像を26・5%の割合で「がん」と誤認してしまうため、実証実験で精度向上を目指します。

 実証実験は2019年にも、徳島県の3病院と福島県の7病院で開始します。2020年度には滋賀、長野両県の計17病院も参加する予定でえす。各地の中核となる病院に画像を送り、病理医とAIの判断を突き合わせます。将来、大腸がんや婦人科系のがんなど他の疾患にも拡大したい考えです。

 開発に携わる京都大病院の吉澤明彦医師(病理診断科)は、「人間とAIとで二重に検査画像をチェックできるようになれば、見落としの可能性や訴訟リスクなどによる病理医の精神的な負担も軽減できる」と期待を寄せています。

 2019年1月13日(日)

 

■AIが心電図判定、治療の要否を瞬時に見極め 慶大医学部が開発

 胸の痛みで救急外来を受診した患者の心電図から、急性心筋梗塞(こうそく)などでカテーテル治療が必要かどうかを見極める人工知能(AI)を開発したと、慶応大学医学部の佐野元昭准教授、後藤信一助教らが発表しました。論文が10日、アメリカの科学誌「プロスワン」電子版に掲載されました。

 後藤助教らは、過去10年間に慶応大学病院の救急外来を受診した約4万人の心電図のデータを基に、急性心筋梗塞や狭心症などカテーテル治療が必要な心電図の特徴をAIに学習させました。その結果、AIは、心電図だけで、経験を積んだ医師よりも高い80%以上の精度で治療の要否を判断できるようになったといいます。

 心臓に酸素や栄養を運ぶ血管が詰まったり、流れが悪くなる病気の中でも、完全に詰まる急性心筋梗塞は、心筋の壊死(えし)が急速に進み、死に至ることもあります。血管を広げるカテーテル治療によって、できるだけ早く血流を復活させることが重要ながら、手足などの動脈から心臓近くまで細い管を挿入するカテーテル検査は血管を傷付けるリスクなどを伴うため、専門医が心電図のほかに血液検査や超音波検査などの結果を総合的に診断した上で行ってきました。

 データに基づく次世代の個別化医療を研究している高木周・東京大学教授(生体力学)は、「将来は自覚症状が出る前の段階で兆候を発見できるようになる可能性がある」と評価しています。

 2019年1月12日(土

 

■昨年の梅毒患者、6923人に上る 出会い系アプリの利用も一因

 国立感染症研究所は11日、性行為などを通じて感染する梅毒の2018年患者数が速報値で6923人だったと発表しました。前年より約1100人増え、48年ぶりに6000人を超えました。

 感染が広がっている原因として、スマートフォンの「出会い系アプリ」や「マッチングアプリ」の利用があるとの見方も出ています。

 梅毒は、性的な接触でスピロヘータ (梅毒トレポネーマ)という細菌がうつる感染症。1948年からの報告制度では年間1万人以上の年もあったものの、近年はペニシリンなどの抗生物質の普及で患者数が年間数百人まで減り、「過去の病気」とされていました。それが2011年からは8年連続で増加を続けています。感染すると発疹のような症状が現れ、病気が進むと脳や神経に障害が出ます。特に注意が必要なのが妊婦で、胎内で感染した子供に失明など重い症状が出ることがあります。

 急増しているのが20歳代女性で、3年間で約10倍になりました。2018年1~9月の患者統計によると、20歳代女性は893人で全体(5081人)の2割近く、女性患者(1730人)の5割を占めました。男性は20~40歳代の幅広い年代に広がっています。地域別では、東京都(1284人)や大阪府(874人)など大都市部で目立っています。

 主な感染経路として、性風俗産業の利用者と従業員の接触があります。東京都の新宿区保健所が区内の医療機関を受診した患者を調べたところ、異性間性的接触による感染のうち、男女とも約半数は性風俗産業を半年以内に利用したか、関連の仕事に従事していた人でした。

 さらに、出会い系アプリやマッチングアプリ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の利用を指摘する専門家もいます。出会い系アプリなどは簡単な操作を売りにして2012年ごろから普及し、売買春の温床にもなっているとされます。保健所の相談窓口でもここ数年、これらの利用を明かす相談者が出てきました。

 帝京大学ちば総合医療センター産婦人科の鈴木陽介医師らは、東京都、大阪府、岡山県など人口当たりの梅毒患者が多い都道府県は、ある3つの出会い系アプリの利用率も高い傾向があるとの調査結果をまとめ、昨年秋の日本性感染症学会で発表しました。鈴木医師は、「アプリ利用による男女の接触が新たな感染経路になっている可能性があり、詳細な調査と対策を急ぐべきだ」と指摘しています。

 厚生労働省は今月から、医療機関による患者発生の届け出内容について、「性風俗への従事歴や利用歴の有無」を加えるなどして感染経路を詳しく分析する方針です。

 2019年1月12日(土

 

■鉄剤注射、陸上に限らず全競技で注意喚起 医師会が文書通知へ

 高校駅伝の一部強豪校で貧血治療用の鉄剤注射が不適切に使われていた問題で、日本医師会は全国の医師に向け、陸上選手に限らず各競技、全年代の選手に対し安易に使用しないよう文書で注意喚起する方針を決めました。近く日本医師会長名で、各都道府県医師会などに所属する約21万人の医師に伝達します。

 日本陸上競技連盟が昨年12月に表明した鉄剤注射の「治療名目でも原則禁止」の方針に、医師会が協力することになります。

 陸連は昨年12月27日、鉄剤注射の不適切使用の根絶には医療現場との連携が不可欠と判断し、日本医師会に協力を要請していました。

 陸連や医師会の複数関係者によると、文書では、鉄剤注射が高校生の一部選手に使われていた実態があり、陸連から根絶に向けて協力依頼を受けた経緯などを説明。「鉄分の過剰摂取につながることがあり、慢性の副作用を引き起こす恐れがある」などと指摘し、選手や指導者から依頼されても安易に使わないよう注意を促しています。

 医療現場の理解をより深めてもらうため、文書には陸連の注意事項も添付します。陸連は、重度の貧血治療でも「最初は経口鉄剤」とし、注射による治療を行う場合は血液検査をするよう求め、鉄剤注射の「過剰使用による副作用は重篤」などと注意喚起しています。

 鉄剤注射は、重篤な貧血に対する医療行為で認められている一方、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンを増やすため持久力が上がる効果もあるとして、女子の長距離選手を中心に2000年ごろから全国的に広まったとされます。

 陸連は2016年4月、肝機能障害などを引き起こす恐れがあるため、鉄分の取りすぎに注意するよう選手や指導者に警告。駅伝強豪校での不適切使用の実態が明らかになった昨年12月、鉄剤注射を原則禁止とする方針を表明し、根絶に乗り出しました。

 2019年1月12日(土

 

■子供の難病、6疾病を追加指定 夏ごろから医療費を助成

 厚生労働省の専門委員会は10日、子供の難病として公的な医療費助成を受けられる「小児慢性特定疾病」として、非特異性多発性小腸潰瘍症など6疾病を新たに指定すると決めました。夏ごろから助成が始まる見込み。日本小児科学会などから指定の要望が出ていました。

 小児慢性特定疾病は生命にかかわる慢性の病気で、長期にわたり高額な医療費がかかることなどが指定の要件。現在は小児がんやダウン症、先天性風疹症候群など756疾病、約11万人が対象になっています。

 新たに指定されるのは、非特異性多発性小腸潰瘍症、MECP2重複症候群、武内・小崎症候群、脳動静脈奇形、海綿状血管腫(脳脊髄)、巨脳症―毛細血管奇形症候群。

 2019年1月12日(土

 

■昨年の風疹患者、2917人に上る 10年余りで2番目の多さ

 国内で昨年報告された風疹の患者数は2917人に上り、現在の方法で統計を取り始めた2008年以降の10年余りで2番目に多くなりました。専門家は今年も流行が続く恐れがあるとして、早ければ3月中にも始まる見込みの男性を対象にした予防接種の制度も活用するなどしてワクチンを接種してほしい、と呼び掛けています。

 昨年、全国の医療機関から報告された風疹の患者は7月下旬から増え始め、1週間に報告された患者数は10月中旬に218人と最も多くなったほか、12月下旬まで16週連続して100人を超えました。

 その結果、昨年1年間の患者数は2917人と、現在の方法で統計を取り始めた10年余りで2013年に次いで2番目に多くなりました。

 患者全体の7割が首都圏の患者だったほか、男性の患者数は女性の4倍以上となり、男性患者全体の8割を国のワクチン制度変更の影響で免疫のない人が多い30歳代から50歳代が占めました。都道府県別の累計患者数では、多い順に東京都945人、神奈川県402人、千葉県383人、埼玉県191人、福岡県187人、大阪府120人。

 国立感染症研究所によりますと、風疹の流行は数年にわたって続く傾向があることから、今年も流行する恐れがあるとしています。

 風疹は妊娠中の女性が感染すると赤ちゃんに障害が出る「先天性風疹症候群」となるケースがあり、厚生労働省によりますと、感染の中心となっている39歳から56歳の男性を対象に予防接種を原則無料とする制度が早ければ3月中にも始まる見込みです。

 国立感染症研究所感染症疫学センター第三室の多屋馨子(たや・けいこ)室長は、「春から再び患者が増加傾向になる恐れがあることから、女性は妊娠前にワクチンを接種するほか、対象となる男性は制度を活用してほしい」と呼び掛けています。

 2019年1月11日(金)

 

■勤務医の残業上限、年2000時間も検討 救急・在宅医療など特例で

 2024年度から勤務医に適用される残業時間の罰則付き上限について、一部の特定の医療機関に勤める医師では年1900~2000時間の水準とする案を厚生労働省がまとめたことがわかりました。2035年度末までの特例として検討します。一部の医師が続けている長時間労働を追認する形となり、異論も出そうです。

 対象は、地域医療への影響が懸念され、救急・在宅医療など緊急性の高い医療に対応する全国の施設を想定。業務がやむなく長時間になる医師に限ります。ほかの一般勤務医の上限は年960時間とします。新年度以降、企業に適用される上限は、休日労働を含めて年最大960時間。特例ではこれらの2倍もの長い残業が認められることになります。

 医師の働き方改革を議論する検討会に11日に提案し、3月末までに結論を出す方針といいます。

 案では、複数の月で平均80時間超という脳・心臓疾患の労災認定基準の残業時間を考慮し、勤務医は年960時間を上限とします。

 この上限まで残業を減らすと診療に大きく影響する場合に特例を認め、年1900~2000時間程度以内で検討します。この場合、月平均約160時間となり、1カ月だけで精神障害の労災認定基準に匹敵します。特例は医師不足や勤務環境の改善を進めながら段階的に引き下げることも検討します。月当たりの上限はいずれも100時間とする一方、例外を認めます。

 年2000時間という突出した長さの背景には、医師の1割が年1920時間超の残業をしている実態があります。こうした医師が一人でもいる病院は全体の3割で、大学病院や救急救命センターがある病院に限ると9割に上ります。規制が始まれば、医療機関は上限超えの勤務医をゼロにすることが求められますが、医師は急に増やせず、一部は対応しきれないとみられているためです。

 医師の都道府県間の偏在を解消する目標時期を2036年としていることなどから、特例は2035年度末までとしているといいます。

 2015年度の調査では、自殺や死を毎週または毎日考える医師が3・6%いるとされます。医師の健康を確保するため、特例を適用する場合、終業から始業までに最低9時間の休息を確保する勤務間インターバルや連続勤務を28時間までとする制限を義務付ける方針。

 2019年1月11日(金)

 

■肺炎ワクチン接種、助成期間を2023年まで延長 高齢者の接種低調により

 厚生労働省の専門部会は10日、高齢者の肺炎予防に有効な肺炎球菌ワクチン接種に対する現行の公費助成を5年間延長することを決めました。2023年度まで引き続き、65、70、75歳といった5歳刻みの年齢に達する時に接種を受けた場合、8000円前後かかる費用の約3割が助成されます。

 肺炎は高齢者の死因として増加傾向にあり、肺炎球菌は肺炎の原因となるほか、血液中などに入ると敗血症や髄膜炎などを引き起こします。ワクチンは1回の接種で、肺炎の発症や重症化を予防する効果が続きます。本来、法律に基づく定期接種として、公費助成を受けられるのは65歳になる時だけですが、厚労省は接種の機会を増やすため、2014~2018年度に限定して、助成対象とする年齢の範囲を拡大する経過措置を取りました。

 しかし、接種率は現在、どの年代の高齢者も10~40%程度にとどまることから、厚労省の部会は経過措置の延長が必要と判断しました。過去に接種したことがある人は、対象外となります。今後、医療機関などを通じて、高齢者に対する周知の強化も課題になります。

 2019年1月11日(金)

 

■センサーで病気の予兆つかむ住宅を開発へ 積水ハウスが2020年春にも販売

 脳卒中などによる自宅での突然死を防ごうと、大手住宅メーカーが病気の予兆をつかむ「見守りシステム」を持たせた住宅の開発に乗り出しました。

 1人暮らしの高齢者などが脳卒中や心筋梗塞などで自宅で倒れると、発見が遅れて突然死につながるケースが後を絶たず、いかにその予兆を早期につかむかが課題となっています。

 こうした中、大手住宅メーカーの「積水ハウス」は、住宅内にセンサーを設置し、病気による体の変調を早期につかむ「見守りシステム」の開発を始めました。

 寝室や浴室、それにリビングの壁などにセンサーを設置して、住んでいる人の心拍や呼吸などを計測し、異常があれば警備会社などに連絡が行く仕組みです。

 脳卒中の年間発症者数は約29万人とされ、その79%が「家」で起き、脳卒中の患者数は老若男女問わず日本では100万人を数えています。

 積水ハウスはNEC、NTTコムウェア、慶応大理工学部、慶応大病院、コニカミノルタ、産業技術研究所、日立製作所と協力して「見守りシステム」の開発を進め、2020年春には実用化して、自社の物件を始め、ほかの住宅メーカーの物件や介護施設などにも広げていきたいとしています。

 積水ハウスの仲井嘉浩社長は、「高齢化が進む中、家はただ単に帰って安らぐ場所だけでなく、健康を維持する場所になるなど、その役割は今後どんどん増えてくると思う」と話しています。

 2019年1月10日(木)

 

■頭頸部のがん治療にiPS細胞を投与 理研と千葉大が年内にも治験開始へ

 人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から特殊な免疫細胞を作り、顔や首にできる「頭頸部(とうけいぶ)がん」の患者に投与する臨床試験(治験)を、理化学研究所と千葉大学の研究チームが年内にも始める計画であることが明らかになりました。

 免疫力を高めてがん細胞の縮小を目指す治療法で、iPS細胞を使ったがん治療の治験は国内では例がないといいます。

 頭頸部がんは、鼻や口、喉、あご、耳などにできるがんの総称で、日本ではがん全体の5%程度を占めます。進行した頭頸部がんでは現在、抗がん剤と放射線を組み合わせた治療が主に行われていますが、患者の半数は再発するとされ、新たな治療法が求められているといいます。

 治験を計画しているのは、理研生命医科学研究センターの古関明彦・副センター長、千葉大の岡本美孝・教授(頭頸部腫瘍学)らの研究チーム。計画では、健康な人のiPS細胞から免疫細胞の一種「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」を作製。この細胞をがん患部につながる血管に注入します。対象は手術などが困難な再発患者3人で、最初に3000万個を注入し、副作用などを見ながら細胞数を変えて計3回投与します。2年かけて安全性や効果を調べる予定。

 NKT細胞は、自らがん細胞を攻撃する上、他の免疫細胞を活性化する働きを持つとされます。頭頸部がんの患者自身のNKT細胞を培養し、患者に戻す千葉大の臨床研究では、1回の投与でがん細胞が最大3~4割縮小したといいます。しかし、NKT細胞は血液中に0・1%程度しかなく、培養にも時間がかかるため、繰り返し培養して投与するのは難しいという課題がありました。

 こうした課題を解決するため、研究チームは無限に増えるiPS細胞に着目。人の血液からNKT細胞を採取し、いったんiPS細胞にして大量に増やした後、再びNKT細胞に戻す方法を開発しました。この細胞をマウスに投与した結果、がんの増殖が抑えられました。今回の治験で安全性に問題がなければ、有効性を調べる治験に移ります。肺がん治療への応用も検討しています。

 日本がん免疫学会理事長の河上裕・慶応大教授は、「NKT細胞はがんを攻撃する他の免疫細胞を誘導する可能性も報告されており、腫瘍が縮小するだけでなく、生存期間も延びれば、有効な治療法となり得る」と話しています。

 2019年1月10日(木)

 

■忘れた記憶を薬で回復、東大など発表 神経刺激、脳を活性化

 忘れてしまった記憶を薬で回復させる実験に成功したと、東京大学や北海道大学などの研究チームが発表しました。記憶を回復させる効果がある薬の発見は世界初といいます。

 アルツハイマー病などの認知症の治療に役立つ可能性があります。アメリカの科学誌「バイオロジカル・サイカイアトリー」電子版に8日、論文が掲載されました。

 研究チームは20歳代を中心とした健康な男女計38人に100枚程度の写真を見せ、約1週間後に覚えているかを調べる実験を実施。めまいの治療薬として使われている「メリスロン」を飲んだ場合と、飲まなかった場合で正解率を比較しました。

 その結果、薬を飲むと、忘れていた写真を思い出すケースが増え、正解率は最大で2倍近く上昇することが判明。忘れた写真が多かった人ほど効果があり、見たかどうか判別が難しい写真で正解率がより高まる傾向があることも明らかになりました。

 この薬は脳内の情報伝達にかかわる「ヒスタミン」という物質の放出を促進する働きがあります。この効果で記憶を担う神経細胞が活性化し、忘れた記憶の回復につながったとみています。ただし、もともと成績がよかった人では正解率は低下しました。はっきりした記憶に対してはヒスタミンが雑音のように働き、かえって記憶をぼやかしている可能性があるといいます。

 記憶が回復する仕組みを詳しく解明し、認知症の研究成果と組み合わせることで、アルツハイマー病などの新たな治療法につながる可能性がありまうs。

 研究チームの池谷裕二東大教授(薬理学)は、「記憶回復のメカニズムがわかったので、今後はより効果の高い薬の開発につなげたい。認知症患者らの生活の質を高められる可能性がある」と話しています。

 2019年1月9日(水)

 

くわえるだけで磨ける全自動歯ブラシを発売へ 早大などが開発

 口にくわえるだけでブラシが自動的に動き、歯を磨ける全自動タイプの歯ブラシを早稲田大学などのチームが世界で初めて開発しました。自力で歯磨きができない高齢者の自立や、介護の軽減に役立つといいます。

 アメリカのラスベガスで日本時間9日に開幕する家電・IT見本市「CES」で発表します。

 開発した歯ブラシは手のひらに載るサイズの小型装置に、マウスピースのような形のブラシを付けて使います。口にくわえて電源を入れると、内蔵モーターでブラシが上下左右に柔軟に動き、歯を磨けます。

 歯の裏側や奥歯のかみ合わせ部分も磨くことができ、手で磨くのと同等の効果があるといいます。複数の歯を同時に磨くため、所要時間は30秒程度ですみます。電源は充電池を使用。

 早大の石井裕之准教授(ロボット工学)と、大学院生が起業した企業「Genics」(ジェニックス、東京都新宿区)が共同開発しました。来年度中に数万円程度で試験販売を開始し、ブラシは口の大きさに応じて数種類を用意します。

 筋力が衰えて自力で歯を磨けない高齢者や障害者のほか、手を使わずにすむため健常者が歯を磨きながら服を着ることもできます。今回は成人向けに開発しましたが、子供や中高生の口に合う歯ブラシも開発していくといいます。

 石井准教授は、「すべての人を歯磨きの煩わしさから解放する。これはもう歯磨き革命だ」と話しています。

 2019年1月9日(水)

 

■認知機能リハビリ用ゲームがタブレットに対応 東京工科大学が開発

 東京工科大学は、統合失調症などの認知機能障害者の就労支援などを目的としたリハビリテーション用ゲームソフトウエア「Jcores(ジェイコアーズ)」の改訂版を開発しました。2019年4月をめどに病院施設などで運用を開始する予定。

 Jcoresは、東京工科大学コンピュータサイエンス学部の亀田弘之教授らの研究チームが、帝京大学医学部の池淵恵美教授らと2011年に共同開発した日本初の認知機能リハビリテーション専用のゲームソフトです。この種のソフトウエアとしては現在、日本で最も普及しており、統合失調症患者などの就労支援を行うプログラム「VCAT-J」として、デイケア施設や大学病院での臨床現場で運用されています。

 統合失調症では、注意や記憶などの認知機能の障害により、日常生活や就業がうまくいかなくなることが知られています。同ゲームソフトによるトレーニングで、これらの改善効果が報告されています。

 今回の改訂版(Ver2.0)では、従来のパソコン版(Windows)に加え、タブレット端末(iOS、Android)にも対応するとともに、高齢者向けにタッチパネルなどの操作性を向上させました。こうした改良によって、より多くの病院施設などでの導入が期待されるとしています。

 2019年1月9日(水)

 

■インフルエンザ流行、注意報レベルに 1週間で44万6000人が医療機関を受診

 厚生労働省は9日、全国約5000カ所の医療機関から昨年12月24~30日に報告されたインフルエンザの患者数が1医療機関当たり11・17人となり、注意報レベルとされる10人を超えたと発表しました。年末年始の交通機関の混雑、企業や学校の再開などで、患者はさらに拡大している恐れもあります。

 国立感染症研究所によると、昨年12月24~30日に全国の医療機関を受診した患者は約44万6000人と推計され、前週の約31万3000人より約13万3000人増加しました。今シーズンの推計患者数の累計は、約106万人となりました。

 都道府県別では、1医療機関当たり患者数が10人を上回ったのは13都道府県で、多い順に、北海道32・07人、愛知県30・45人、岐阜県20・33人、熊本県14・53人、三重県13・68人、福岡県13・59人、長野県12・78人、東京都11・53人、高知県11・23人、神奈川県11・21人、大阪府11・01人、長崎県10・47人、埼玉県10・02人。このうち北海道と愛知県は、大流行中の目安となる警報レベルの30人を超えています。43都道府県で、前週よりも患者数が増えました。

 直近5週間に検出されたウイルスは、2009年に新型として流行したA型が最も多く、A香港型、B型が続きました。

 厚労省は、動向を注視するとともに、こまめな手洗いや、せきやくしゃみが出る時はマスクを着けるといった「せきエチケット」の徹底を呼び掛けています。インフルエンザは例年、1月末から2月上旬にかけて流行のピークを迎えます。

 2019年1月9日(水)

 

■無痛分娩、両親と病院側が和解 重い障害を負った長女は死亡

 麻酔で出産の痛みを和らげる無痛分娩(ぶんべん)の処置が原因で、生まれた長女が脳に重い障害を負ったとして、京都府内に住む両親が医療法人「ふるき産婦人科」(京都府京田辺市、休院中)と男性院長に約1億円の損害賠償を求めた訴訟が、大阪高裁で和解しました。昨年12月7日付。

 産婦人科側が、長女が重篤な状態に至ったことを厳粛に受け止めて遺憾の意を表し、今月末までに5840万円を支払います。

 訴状などによると、30歳代の母親は2011年4月、同産婦人科で無痛分娩のため、背中に細い管を差し込み麻酔薬を注入する「硬膜外麻酔」を受けました。お産が進まなかったことから陣痛促進剤(子宮収縮薬)を注入するなどしたがうまくいかず、帝王切開で出産。仮死状態で生まれた長女は脳性まひで寝たきりとなり、2014年12月に3歳8カ月で死亡しました。

 昨年3月の1審・京都地裁判決は、院長が合理的な理由がないのに多量の陣痛促進剤や高濃度の麻酔薬を投与し、分娩中に胎児の状態を確認する装置を使用しなかった過失があると認定しましたが、脳性まひとの因果関係は認めず、請求を棄却。両親が控訴し、大阪高裁が昨年9月に和解を勧告していました。

 和解条項では、和解金を7400万円とした上で、出産事故に関する公的な補償金制度で両親に支給された1560万円を和解金から差し引き、産婦人科側には5840万円の支払い義務があるとしました。両親が産婦人科側の刑事責任を問わないことも盛り込まれました。

 ふるき産婦人科では、2012年と2016年にも母子2組が麻酔後に重度障害を負う事故があり、いずれも京都地裁で損害賠償請求訴訟が起こされています。うち1組の家族が院長を業務上過失致傷容疑で刑事告訴しましたが、不起訴(嫌疑不十分)となっています。

 2019年1月8日(火)

 

■男性向けの尿漏れ専門の外来を開設  関西医大病院、日本で初

 関西医科大学附属病院(大阪府枚方市)は7日、前立腺がんなどの手術後に起きる男性の尿漏れを専門に診る「男性尿失禁外来」を開設したと発表しました。病院によると、こうした専門外来は日本の医療機関で初めてといいます。

 自分の意思と関係なく尿が漏れてしまう「尿失禁」は女性に多く、国内の40~50歳代女性の2~3人に1人が経験しているとの研究もあります。一方、男性は女性より尿失禁は少ないものの、前立腺がんの手術後に尿失禁に悩む人が1万人以上いるとされます。

 新たに開設した外来では、通常の泌尿器科では対応が難しい術後の重症患者を主な対象にします。前立腺の摘出手術は国内で年間約2万件あり、多くの患者が尿漏れを経験します。1年後にはほとんどの人が改善しますが、深刻な状況が続く人が1~3%いるといいます。

 尿を止める筋肉や神経が傷付くことが原因で、重症の場合、尿漏れをしにくくする人工尿道括約筋を体内に植え込む手術もありますが、この手術ができる医療機関は限られているといいます。

 関西医科大学附属病院腎泌尿器外科の木下秀文教授は会見で、「専門外来ができることで、これまで悩んでいた人たちに正確な情報を発信することができる。正しい治療を行うことで患者の生活を大きく改善できるはずだ」と話しています。

 会見には実際に人工尿道括約筋を装着している男性も出席し、「尿漏れがひどいと外出もできなかったです。同じ悩みを抱える人にも勧めたいです」と話していました。

 男性尿失禁外来は毎月奇数週の土曜日午前。問い合わせは大学病院の代表072・804・0101。

 2019年1月8日(火)

 

■風疹の新規患者、16週ぶりに100人を下回る84人 累計患者は2806人

 国立感染症研究所は8日、風疹の患者が昨年12月17~23日の1週間で新たに84人報告されたと発表しました。週当たりの新規患者が100人を下回ったのは、昨年8月27日~9月2日以来16週ぶり。

 流行が落ち着きつつある様子がうかがえます。ただし、2012~13年の流行時には、新規患者数が一度減った後に再び増加に転じたこともあります。国立感染症研究所は引き続き、免疫の有無を調べる抗体検査や、免疫状態の低い人のワクチン接種を呼び掛けています。

 都道府県別では、依然として東京都が最多で19人。以下、多い順に神奈川県14人、千葉県と福岡県9人、茨城県と兵庫県4人。

 2018年の累計患者数は、2806人となりました。都道府県別の累計患者数では、多い順に東京都920人、神奈川県387人、千葉県376人、埼玉県183人、福岡県160人、愛知県119人、大阪府115人。

 2019年1月8日(火)

 

■東京都、インフルエンザ流行注意報を発表 昨シーズンより2週間遅く

 東京都内でインフルエンザの患者が急激に増えていることから、東京都は8日、インフルエンザの「流行注意報」を発表し、こまめな手洗いなど対策の徹底を呼び掛けています。

 東京都によりますと、12月30日までの1週間に都内の419の医療機関から報告されたインフルエンザの患者の数は1つの医療機関当たり11・53人で、前の週のおよそ1・5倍になりました。このため、都は今後大きな流行に拡大する恐れがあるとして、8日、インフルエンザの流行注意報を発表しました。

 都内に流行注意報が出るのは、昨シーズンより2週間遅いということです。

 自治体別では、最も多いのが荒川区で17・29人、次いで八王子市が15・94人、大田区が15・81人などとなっています。また、都内では、12月30日までに213の幼稚園や小中学校で学級閉鎖などの措置がとられたということです。

 これまで検出されたウイルスを分析したところ、10年前に「新型インフルエンザ」として世界的に流行した「H1N1型」が全体の71%を占めているということです。

 東京都は、こまめな手洗いのほか、せきやくしゃみが出る場合にはマスクを着用を心掛けるなど、対策の徹底を呼び掛けています。

 このほか、関東の各県では神奈川県と埼玉県、群馬県で8日、インフルエンザの「流行注意報」が発表されました。

 2019年1月8日(火)

 

■胎児の染色体異常を調べる羊水検査、2015年から減少 新型出生前検査利用で

 胎児に染色体異常があるかどうかを確認する羊水検査の実施数(推計)が、2015年以降、減少に転じていたことがわかりました。

 妊婦の高齢化を背景に、2014年までの10年は増加の一途でした。採血だけで調べられる新型出生前検査の登場により、新型検査で陰性の場合、母体に負担の大きい羊水採取をしなくてすむようになったためとみられます。

 羊水検査は妊婦の腹部に針を刺して子宮内の羊水を採るため、0・3%の確率で流産の恐れがあります。しかし、染色体異常が起こりやすい高齢妊娠の広がりとともに実施数は増加し、国立成育医療研究センターなどの推計によると、2014年は最多の2万700件に上りました。

 ところが、2015年に2万100件と減少に転じ、2016年は1万8600件とさらに現象しました。胎盤組織を採取し、染色体異常を調べる絨毛(じゅうもう)検査も2016年は減少していました。

 新型出生前検査は2013年4月に臨床研究として始まり、現在92病院が参加。参加病院の多くが加入する団体によると、2018年9月までの5年半に6万5265人が新型検査を受けました。

 対象は35歳以上や、過去に染色体異常の子供の出産歴がある妊婦らで、母親の血液に含まれる胎児のDNA断片からダウン症など3つの病気の可能性を調べます。新型出生前検査で陽性の場合、羊水検査や絨毛検査で最終確認が必要ですが、陰性なら行いません。

 昭和大学病院産婦人科の関沢明彦教授は、「新型検査が浸透すれば、妊婦の負担を最小限に抑え、流産のリスクも減らすことができるだろう」と話しています。

 2019年1月7日(月)

 

■子供の誤飲事故、たばこが4年連続で最多 厚労省調査

 2017年度中に各地の小児科から報告された子供の誤飲事故を分析した結果、たばこが原因だったケースが23・0%を占め4年連続で最多となったことが、厚生労働省の調査で12月30日までにわかりました。

 厚労省は、「子供の手の届く場所に放置したり、空き缶やペットボトルを灰皿代わりにしたりするのは絶対に避けるべきだ」と呼び掛けています。

 国立成育医療研究センター総合診療部(東京都世田谷区)など全国8カ所のモニター病院から寄せられた家庭用品などによる健康被害情報を分析。2017年度に子供の誤飲事故は640件報告され、原因はたばこが最多で147件でした。灰皿のたばこを食べたり、吸い殻を入れていたお茶の飲み残しを飲んだりするケースがありました。

 たばこ以外の原因は、医薬品・医薬部外品92件、食品類72件でした。

 年齢別では、ハイハイやつかまり立ちを始める「6~11カ月」が最多。「12~17カ月」と合わせ、1人で室内を移動できるようになる1歳前後の乳幼児が9割に上りました。

 たばこを誤って口に入れた場合、水などを飲ませるとニコチンが吸収されやすくなる恐れがあるといいます。厚労省の担当者は、「飲み物を与えず、直ちに病院を受診してほしい」と話しています。

 2019年1月7日(月)

 

■未承認の医薬品医療機器の個人輸入、麻薬取締官に捜査権限 厚労省が法規制を整備へ

 インターネットの普及で急増している未承認の医薬品などの個人輸入について、厚生労働省が近年目立つ偽造薬の流通や健康被害を防ぐため、法規制を整備する方針を固めたことが6日、わかりました。偽造薬を水際で食い止めるなど個人輸入を厳格に監視・管理ために、税関との連携を強化し、麻薬取締官に捜査権限を付与することを検討します。次の通常国会に医薬品医療機器法の改正案を提出することを視野に入れています。

 医薬品や医療機器、化粧品を営業目的で輸入する場合、厚労相や都道府県知事の承認・許可が必要になります。個人が自ら使用するために輸入する場合は、厚労省局長通知に基づき、地方厚生局に商品説明や医師の処方箋などを提出。他に転売や譲渡しないことを確認した上で、通関時に必要な確認済輸入報告書(薬監証明)を取得しなければなりません。ただし、2カ月分など個人で使用することが明らかな数量である場合は、薬監証明を得る必要がありません。

 個人輸入は近年急増しており、厚労省によると、薬監証明を得た個人輸入は2010年度に1303件、2851品目だったのが、2017年度は4450件、1万1159品目で、品目だけでも約4倍に膨れ上がりました。

 一方で、偽造薬や健康への被害も目立つようになりました。厚労省は2015年までの5年間で、日本向けに広告している海外サイトから製品を買い上げて分析した結果、表示と異なる医薬品成分が含まれる偽造薬が約3割あることを把握しました。2018年4月には、インターネットで「インド製」と表示された経口妊娠中絶薬を個人輸入し、服用した20歳代の女性が多量の出血やけいれん、腹痛などの健康被害を訴えました。2002年には中国製ダイエット食品を輸入し、4人が死亡したケースもあります。

 国際刑事警察機構(ICPO)は2014年に、「世界的な組織犯罪グループが偽造薬の製造や流通に関与している」との報告書をまとめており、厚労省が対応に乗り出しました。

 厚労省は、薬監証明制度の根拠が局長通知レベルにとどまっていることから、法令上の位置付けを明確化することを検討。偽造薬の流通を防ぐとともに、個人輸入の医薬品が正規ルートに入ることを防止します。

 その上で手続き違反や取り締まりに当たって、輸入制限を可能にするための法令を整備します。不正ケースに対する捜査の主体については、薬事規制当局である厚労省の麻薬取締官や都道府県の麻薬取締員が最適と判断しています。

 2019年1月7日(月)

 

■眼鏡で初の定額制、月2100円で掛け替え可能 メガネの田中が全国116店に導入

 メガネの田中(広島市中区)は4月1日から、毎月一定の料金を払うことで眼鏡を掛け替えられる定額制サービスを始めます。洋服などさまざまな業界で「サブスクリプション」(定額制)サービスが広がる中、眼鏡チェーンでは全国初の取り組みで、新規需要の開拓を狙います。

 定額制サービスは「なりたい自分になる」という考え方から「ニナル」と名付け、同社が全国14都府県に展開する116店で導入。利用者は月額2100円(税抜き)で、数百種類の中から眼鏡かサングラスを1本選べます。3年間の契約期間中、フレーム3本、レンズ3組をそれぞれ、いつでも交換できるといいます。

 対象のフレームは、高価格帯とされる3万円台を中心にそろえ、毎回新品を用意します。レンズも交換の度に視力を合わせます。子供向けに月額1800円(税抜き)で、視力の変化や体の成長に合わせてフレームやレンズの交換が無制限のサービスも同時に開始します。

 メガネの田中の調査では、眼鏡を選ぶ際に色やデザイン、形にこだわりたい人が多いものの、実際の購入時は無難なデザインや従来と同じタイプを選ぶ人が多いといいます。担当者は、「今までにないデザインの眼鏡を選び、新年度の学校や職場を新たなイメージで迎えてほしい」とPRしています。

 2019年1月6日(日)

 

■見付けにくいがんを血液や尿で早期発見 検査技術の開発が相次ぐ

 早期に発見することが難しい膵臓(すいぞう)がんや腎臓(じんぞう)がんを、血液や尿で調べる技術開発が相次いでいます。千葉県がんセンターは尿から膵臓がんの目印を見付ける技術を開発し、大阪大学は血液中の4種類の物質をもとに、85%の精度で膵臓がんの患者を見分ける手法を作りました。

 また、がん研究会と大阪大学は、腎臓がんの検査の目印を見付けました。それぞれ健康診断などの簡易検査で実用化できれば、早期治療や生存率向上につながります。

 膵臓がんは発見しにくく、6割以上の5年生存率を見込める「ステージ1」などの早期に見付かる患者は1割という報告があります。腎臓がんも血液検査での目印がなく、8割が別目的の検査で見付かっており、がんが大きくならないと自覚症状がありません。

 磁気共鳴画像装置(MRI)など高価な装置で調べる方法もありますが利用が限られ、安く簡便な検査法が求められています。

 千葉県がんセンター外科の星野敢主任医長と石毛文隆医長は、がんから尿へ出るRNA(リボ核酸)の一種を目印に、膵臓がんを見付ける技術を開発しました。13人の患者と30人の健康な人を対象にした実験では、7割強の精度で患者を見分けることができました。

 実用化には9割の精度が必要とみており、複数の目印を組み合わせるなどの改良を行い。企業に働き掛けて実用化を目指すといいます。

 大阪大学の土岐祐一郎教授と秋田裕史助教は、血液中の4種類の脂質から膵臓がんを調べる手法を開発しました。116人の患者と138人の健康な人で試すと、患者を見分ける精度は85%でした。秋田助教は、「精度は有望な水準にある。より多くの症例で確かめたい」と話しています。

 がん研究会の植田幸嗣プロジェクトリーダーと大阪大学は、がんが血液中へ出す微粒子に着目。その表面にある分子の「AZU1」を目印に、腎臓がんを見付ける手法を作り、初期のがんの患者でも半数以上を検出できました。東ソーが診断装置を作製しており、1~2年後の臨床試験(治験)を目指しています。

 血液や尿からがんを早期に見付ける検査技術の開発には、島津製作所や日立製作所などの企業が積極的に取り組んでいますが、乳がんや大腸がんなど患者数が多いがんが中心です。

 2019年1月6日(日)

 

■訪日客など外国人患者の診察時に通訳費を加算へ 厚労省方針

 厚生労働省は、通訳の確保など医療行為以外のコストのかかる外国人の診察に関し、コスト分を患者に転嫁できるよう算定の目安を定めます。訪日客など外国人患者は今後も増える見通しで、厚労省は医療機関の経営への影響などを考慮し、今年度中に、患者にコスト分を請求する際の算定方法などの具体例を示します。

 厚労省が「月50人の外国人患者のある中規模病院」を想定し、医療行為以外にかかる追加コストを試算したところ、「ウェブサイトの多言語対応など初期費用」に50万~200万円、「通訳や外国語対応できる看護師の確保など運営費」に年1800万~2600万円がかかります。患者1人当たり3万~5万円に相当します。

 だが、厚労省の2016年の調査によると、8割の医療機関が外国人患者に追加コスト分を請求していませんでした。一方で、通常の医療費の2~3倍に設定しているケースもあり、国民生活センターに「喉に刺さった魚の骨を大学病院で取り除いてもらったら5万円近くも請求された」と中国人からの苦情が寄せられました。

 4月には外国人A労働者受け入れを拡大する改正出入国管理法の施行も外国人患者増加の要因になりそうで、厚労省は、放置すれば地域医療の混乱を招きかねないと判断。患者の理解を得られるような方策を示します。追加コストに基づく患者負担の積算方法を示すことなどが想定されます。

 2019年1月5日(土

 

■リンゴ病が首都圏や東北地方で流行中 妊婦感染で流産の恐れ

 両頬が赤くなることからリンゴ病とも呼ばれる「伝染性紅斑」が、首都圏や東北地方を中心に流行しています。主に子供がかかり自然によくなることが多い一方で、妊婦が感染すると胎児に悪影響を及ぼし、流産や死産につながる恐れもあり、注意が求められています。

 リンゴ病の原因はヒトパルボウイルスB19で、感染した人の唾液、たん、鼻の粘液などに触れ、それが自分の口や鼻の粘膜に付いたり、せきの飛沫を吸い込んだりして広がります。10日から20日ほどの潜伏期間の後に発熱やせき、くしゃみなど風邪と似た症状が現れるほか、両頬に赤い発疹、手や足に網目状の発疹が現れます。

 小児が感染しても、ほとんどが重症化せずに軽快します。成人では、頬の赤い発疹などの特徴的な症状が出ることは少ないものの、強い関節痛のために歩けなくなることもあります。妊婦が感染すると、本人には全く症状がなくても胎盤を介して胎児に感染し、流産や死産となる可能性があります。

 国立感染症研究所が全国約3000の小児科定点医療機関から受けている患者報告によると、週当たりの患者数は2018年は10月ごろから増え始めました。その後、近年で最も多い水準で推移しています。

 都道府県別では、最新のデータ(12月10~16日)で1医療機関当たりの患者が最も多いのは宮城県(5・64人)。以下、東京都(2・05人)、埼玉県(1・98人)、新潟県(1・91人)、岩手県(1・87人)、神奈川県(1・45人)、山梨県(1・33人)と続いています。全国平均は0・88人。

 妊婦については厚生労働省研究班が流行した2011年に全国調査したところ、母親から胎児への感染が69例報告され、うち流産が35人、死産14人、中絶3人。感染者の約半数は自覚症状がありませんでした。半数以上の人は家族や子供が発病しており、家庭内での感染に注意する必要があります。

 かずえキッズクリニック(東京都渋谷区)の川上一恵院長によると、東京都でも昨年秋ごろからはやっているといい、「発病前に感染が広がるので予防の難しい面もあるが、妊婦さんは人混みに出るのを控え、出掛ける時はマスクの着用を心掛けてほしい」と話しています。

 2019年1月5日(土

 

■ユニクロ、脱プラスチックの買い物袋を導入へ 2019年にも世界2000店舗で

 ストローから始まった企業の脱プラスチックの取り組みが、世界の大手アパレル企業に広がり始めました。ファーストリテイリング傘下のユニクロは、日本を含む世界2000店舗で使うレジ袋や商品の包装材を全面刷新します。スペインのZARAも2019年以降、日本の店舗で紙製のレジ袋に順次切り替えます。環境問題への対応によって企業を選別する動きが投資家や消費者の間で広がっており、環境重視の経営を進めていきます。

 日本企業の脱プラスチックの動きは、これまで外食店でのストローが中心でした。ただ、消費者から出る年400万トンの廃プラスチックのうちストローはごくわずかであり、買い物袋やスーパーなどで使うレジ袋のほうが圧倒的に量が多いため、アパレル企業の取り組みが定着すれば脱プラスチックの実効性が上がります。

 ユニクロが世界で顧客に提供する買い物袋は、年間数億枚になります。すでにヨーロッパなど環境規制が厳しい一部地域では、紙製の袋に切り替えましたが、大半の店舗ではプラスチック製の袋を使っています。

 約830店を展開する日本を含め世界規模で脱プラスチックを進めるため、新たな素材の活用など実験・検証を始めました。レジ袋だけでなく、年間で約1億枚を販売する機能性肌着「ヒートテック」の包装材なども見直しの対象とします。

 レジ袋では、微生物が分解できる生分解性プラスチックや、紙など複数の素材を対象に、コストと環境対応の観点から切り替えが可能か検討します。導入当初は一定のコスト増を容認するとみられますが、コスト低減に向けた研究も続けます。すでに試作品を作っており、安全性や安定性に加えて消費者の反応を踏まえて切り替え時期を判断するといいます。

 ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「サステイナビリティー(持続可能性)はあらゆる企業にとって最大の課題」と指摘。投資家が環境問題などへの対応を重視する「ESG投資」で選ばれるようにします。「コストが高いから対応しないでは業界のリーダーになれない」としており、基本的には全世界で統一する方針です。

 ZARAを展開する衣料品世界首位のインディテックスは、日本でプラスチック製の買い物袋から紙製に切り替える計画です。現在はビニールバッグと紙製バッグを使い、靴やかばんなどの商品をビニールバッグで包装しています。2019年以降に、紙製に一本化したい考え。

 スウェーデンのヘネス・アンド・マウリッツ(H&M)は2018年11月、日本で買い物袋を紙製に切り替え、有料にすると発表。国内88店で使う買い物袋を順次、紙製にします。

 良品計画も、2019年春に開店する東京・銀座の「無印良品」で紙製を使い、利用客の反応をみて他店への拡大を検討します。

 2019年1月5日(土

 

■新型がん免疫薬「CAR―T」の治験開始へ 武田薬品が固形がんを対象に

 武田薬品工業は4日、新型のがん免疫療法として知られる「CAR―T」の臨床試験(治験)を今年中にも開始すると発表しました。国内スタートアップ企業から全世界での開発権を獲得しました。武田がCAR―TCの治験を行うのは初めて。がん分野のパイプラインを強化し、世界大手との競合に挑みます。

 治験を開始するのは、国立がん研究センター・山口大学発スタートアップ企業のノイルイミューン・バイオテック(東京都中央区)が保有する候補品で、固形がんを対象としています。武田は2017年9月から同社と共同研究を進めており、今回の契約につながりました。

 CAR―Tは「キメラ抗原受容体T細胞」の略で、免疫を担うT細胞の遺伝子を操作して、がんを見付ける能力を高めたもの。スイス製薬大手ノバルティスファーマの「キムリア」が世界初の製品として2017年にアメリカで実用化し、1回5000万円以上の超高額な薬価が話題となりました。日本では承認申請中です。

 CAR―Tを開発する企業は世界的に増えており、製薬大手が開発を手掛けています。日本でも第一三共や小野薬品工業、タカラバイオなどが参入して、治験やスタートアップ企業との提携を進めています。

 CAR―Tは一般に、白血病やリンパ腫などの血液がんには高い効果を発揮するものの、肺がんや乳がんなどの固形がんでは効果不十分でした。ノイルイミューン・バイオテックのCAR―Tは、山口大の玉田耕治教授が開発した技術を活用し、免疫を活性化する成分を出すよう改良を加えてあり、固形がんへの攻撃力を高めています。

 同様の改良を加えたCAR―Tが世界では複数登場しており、開発競争が激化しつつあります。武田は早期に固形がんへの効果を実証し、この領域で主導的な立場を狙う考えです。

 2019年1月4日(金)

 

■がん遺伝子変異、加齢で増加 飲酒・喫煙が促進、京大などが裏付け

 がんの原因になり得る遺伝子の変異は、健康な人でも多く起き、それは加齢や飲酒、喫煙によって増えるとの研究報告を、京都大学や東京大学などの研究チームがまとめました。加齢や飲酒、喫煙が、がんのリスクを高めることは統計学的な傾向で明らかになっていますが、遺伝子レベルでも裏付けられた形です。

 研究報告は2日付で、イギリスの科学誌「ネイチャー」(電子版)に掲載されました。

 研究チームは、喫煙や飲酒とがんの関連が大きいとされる「食道」に着目。23~85歳の食道がん患者を含む134人について、がんになっていない「正常な食道上皮の組織」を採取。自身の血液細胞の遺伝子と比較し、遺伝子の変異がどれほど起きているか、網羅的に調べました。

 その結果、134人のうち食道がんの患者は全員で、健康な場合も94%の人で、何らかの遺伝子の変異がみられました。がん患者かどうかにかかわらず、変異の数は加齢に伴って増加。飲酒や喫煙の習慣がある人は、ない人に比べて、変異の数が増すペースが統計的に有意に高まっていました。がんとの関連が深いとされる「がん関連遺伝子」でも、同様の傾向がみられました。

 ただし、がん細胞で一般的にみられる遺伝子変異のパターンとは異なる部分もあったといいます。

 研究チームの小川誠司・京都大教授(腫瘍(しゅよう)生物学)は今回の研究成果について、「がんの初期の発生を解き明かす大きな手掛かりだ。一方で、(正常な細胞が)がんになるにはまだ段階があり、飲酒や喫煙をしない人はそれほど心配することはない」と話しており、早期診断や予防につなげたいといいます。

 研究チームによると、がんは細胞の特定の遺伝子に異常が生じ、増殖することで発症します。加齢に加え、生活習慣によってリスクが高まるとされますが、詳細メカニズムは不明。

 2019年1月3日(木)

 

■昨年夏の猛暑、地球温暖化なければ起こる確率0%だった 気象研究所などがスパコンで分析

 気象庁気象研究所(茨城県つくば市)と東京大学大気海洋研究所の研究チームは、国内の昨年の記録的な猛暑は地球温暖化の影響がなければ、ほぼ起こらなかったとする分析結果をまとめました。

 地球温暖化が進むと、熱波や豪雨などの異常気象が増加すると予測され、個々の異常気象に地球温暖化がどう影響しているか分析する研究が進んでいます。研究では、温暖化が進む実際の地球と、温暖化が起こっていない架空の地球の気温などをスーパーコンピューターで再現して比較します。

 研究チームは今回、温暖化なしのケースでは温暖化の原因となる二酸化炭素の濃度や海面水温などを産業革命前のデータを使って計算。日本で昨年のような高温が発生する確率を比較しました。温暖化ありのケースでは昨年以上の高温は19・9%の確率で発生しましたが、温暖化なしのケースではほぼ0%でした。

 また、昨年夏の西日本豪雨について、降雨量への温暖化の影響も分析。6月28日~7月8日の東海から九州までの地域全体の平均的な降水量は、1980年以降の気温上昇がなかった場合と比べ、6%程度増えた可能性があることもわかりました。

 特定の豪雨に対し、温暖化がどれくらい影響していたか示されるのは今回が初めてです。東京大学大気海洋研究所の渡部雅浩教授は、「6%増加というとたいした数字ではないようだが、それだけ雨量がかさ上げされたことによってより強い雨が広域で続くことにつながったと考えている」と話しています。

 昨年は、埼玉県熊谷市の気温が観測史上国内で最も高い41度1分に達したほか、東日本の6~8月の平均気温が1946年の統計開始以降最も高くなりました。温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」では産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満にすることを目指していますが、すでに1度程度上昇しています。

 今田由紀子・気象研究所主任研究官は、「温暖化が進み1・5~2度上昇すれば、過去数回しか経験したことがないような猛暑が当たり前になる可能性がある」と指摘しています。

 2019年1月3日(木)

 

■小児がん治療で抗体を失った子供へのワクチン再接種に助成広がる 大阪市や京都市など90市区町村

 小児がん治療に伴って骨髄移植の手術を受けたなどの影響で、治療前に受けた定期予防接種ワクチンの抗体が失われてしまった子供を対象に、再接種の費用を独自に助成する自治体が増えています。予防接種法で公費補助は1回だけで、再接種は個人の全額自己負担となる中、患者側の負担が大きいとして患者団体などが助成を求めており、国も制度改正の検討を始めました。

 「健康面も家計の面も、不安が大きかった」。愛知県豊橋市の女性(38歳)の長女(9歳)は、1歳の時に肝臓に腫瘍ができる小児がんになり、肝臓移植を受けました。長女は2歳で退院しましたが、今も免疫抑制剤の服用が必要です。風疹やはしかの抗体ができにくく、何度も予防接種を受ける必要があります。

 女性は入院に付き添い、ドナーとなった夫も会社を休みました。収入が減る一方で、再接種の費用のほか、交通費や食費などで増えた出費は計200万円近くに上ります。

 女性は別の自治体で再接種への助成制度があることを知り、豊橋市に要望。豊橋市は昨年4月から、小児がん治療を受けている子供を対象に助成を始めました。女性は「再接種が必要な子は全国にいる。制度が広がってほしい」と願っています。

 風疹やはしかなど定期予防接種は、予防接種法に基づいて市町村と特別区が実施。費用の約9割を国が負担し、ほとんどの自治体では無料です。予防接種法の施行令で、小児がんによる長期療養などで定期予防接種を対象年齢内に受けていない場合は、回復後2年以内は接種時の助成が可能となっています。しかし、一度接種を受けた後の再接種は、1種類のワクチンにつき1人1回の助成の原則を超えるために対象外となってしまいます。

 しかし、小児がんなどの治療で、骨髄移植など造血幹細胞移植を受けると、一度得た抗体が高い確率で消失します。抗がん剤治療や免疫抑制剤の服用で抗体が弱まるケースもあります。

 1年間で新たに小児がんと診断される子供は全国で約3000人。造血幹細胞移植例(20歳未満)は年550~650例とされます。すべての定期予防接種の対象ワクチンを再接種した場合、10万~20万円以上が必要で、患者の家族らが法改正や助成を求めてきました。

 厚生労働省が昨年秋に、初めて実施した調査では、昨年7月時点で、大阪市や名古屋市、京都市、新潟市、浜松市、堺市など90市区町村が助成を実施し、そのうち28自治体が全額補助していました。83自治体が近く助成を始める予定で、238自治体も実施を検討しています。

 全国に先駆けて、6年前に制度を始めた東京都足立区では、病気治療で抗体が消失し、医師の証明が出たケースに助成。担当者は「がんの子供を支える家庭の経済的負担を少しでも軽減したい」といいます。

 多くの自治体で、造血幹細胞移植の患者を助成の対象としていますが、抗がん剤治療は「免疫が消失することが医学的に実証されていない」として対象から除外している自治体もあります。

 大阪府池田市の女性(40歳)の長男(9歳)は2年前に白血病になり、抗がん剤治療で寛解しましたが、昨年10月に水ぼうそうが重症化して入院。7年前に接種したワクチンの抗体が、抗がん剤治療で失われたとみられるものの、池田市では助成の対象外です。女性は「感染を広めないために、再接種は重要。対象に加えてほしい」と求めています。

 「国が対応すべき課題」として、助成を見送る自治体もあります。厚生労働省は「今後、法改正の必要性や制度の在り方について、厚生科学審議会で検討していく」としています。

 2019年1月2日(水)

 

■千葉大発のバイオベンチャー、遺伝子治療の治験開始へ 今年の春にも

 千葉大学発のバイオベンチャーのセルジェンテック(千葉市中央区)は、遺伝子治療の臨床試験(治験)を今年春にも国内で始めます。患者から取り出した脂肪細胞に必要な遺伝子を入れて体内に戻す治療法で、同様の治療法は国内ではまだ認められていません。治験は千葉大と共同で進め、成功すれば血友病などさまざまな病気にも応用する方針です。

 まずはコレステロールが体内に大量に蓄積する状態を引き起こすまれな遺伝性の病気「LCAT(エルキャット)欠損症」を対象にします。遺伝子が欠けているために、患者が若くても腎不全や角膜混濁などの症状につながる特徴があり、根治する方法は現在ありません。

 欠けている遺伝子を入れた脂肪細胞を患者に移植すると、細胞が必要な酵素「LCAT」を安定して出し、症状が改善する仕組み。脂肪細胞の寿命は10年ほどといわれており、数年間は効果が持続すると考えられています。

 LCAT欠損症は日本で20人ほどの患者がいます。3人の患者を対象に治験を実施し、2020年にも再生医療・遺伝子治療用細胞医薬品としての承認を申請する方針です。この治療法に対して、セルジェンテックは日本医療研究開発機構(AMED)の補助を受けています。

 使う遺伝子を変えれば糖尿病、血友病、ライソゾーム病などの疾患に応用可能で、セルジェンテックでは血友病向けの開発を進めています。血友病は年間数百万~数千万円の薬剤費がかかり、その代替法として遺伝子治療への期待が高まっています。

 セルジェンテックは2003年設立。日水製薬(東京都台東区)が出資し、同社と共同で細胞培養などの技術を研究しています。

 2019年1月2日(水)

 

■餅をのどに詰まらせ10人搬送、うち80歳代の1人死亡 東京都内

 東京都内で1日午前0時から午後4時までに、餅をのどに詰まらせる事故で27~98歳の男女10人が病院に救急搬送され、うち1人が死亡しました。東京消防庁が1日、発表しました。

 同庁によると1日午前10時10分ごろ、昭島市に住む80歳代の男性が、自宅でお雑煮の餅をのどに詰まらせて心肺停止の状態になり、その後に病院で死亡が確認されました。50~80歳代の男女計4人も重篤になっているといいます。

 同庁は窒息事故を防ぐポイントとして、餅は小さく切る、ゆっくりとかんで飲み込む、高齢者や乳幼児の食事には注意を払う、応急手当ての方法を理解するなどの点に気を付けるよう、注意を呼び掛けています。

 2019年1月1日(火)

 

■安く早く酔えるストロング系缶チューハイに人気 アルコール依存症に陥るリスクも

 スーパーやコンビニで売られる缶チューハイは1缶100円程度と手軽で、年末年始の家飲みでも主役となりそうです。元来は低アルコール飲料として人気を集めましたが、近年はアルコール度数7~9%と高めのストロング系が、「安く、早く酔える」と支持されています。その一方で、気軽なイメージで飲みすぎてしまうリスクに、専門家は警鐘を鳴らしています。

 缶チューハイやハイボール、カクテルなどは、RTD(Ready to drink、炭酸水などで割らずにすぐ飲める酒)と呼ばれ、ここ20年、市場が拡大しています。中でも人気を引っ張っているのが、アルコール度数4度~7度が一般的だった缶チューハイのストロング系商品。調査会社インテージによると、2017年のRTD市場売り上げの半分強をストロング系が占め、4年前の2倍近くになりました。現在の主流は9%で、今年はワインの度数に匹敵する12%のチューハイも発売されました。

 切っ掛けとなったのは、キリンビール(東京都中野区)が2008年に発売したアルコール度数8%の「氷結 ストロング」。同社マーケティング本部の名郷根宗(なごうねたかし)さんは、「2008年はサブプライムローン問題やリーマン・ショックの影響で、国内でも節約志向が強かった。1缶で飲みごたえがあり、缶ビールの約半額というお得感が時代のニーズをとらえた」と話しています。

 実際、同社が2017年に「缶チューハイを購入する時の選び方」について300人に複数回答でアンケートを行ったところ、「よりコストパフォーマンスがよいもの」と答えた人が66%でした。

 国内で缶チューハイの先駆けとなったのは、1984年に宝酒造(京都市下京区)が発売した「タカラcanチューハイ」。酒類の消費動向などを調査し、専門誌を発行する酒文化研究所(東京都千代田区)の山田聡昭(としあき)さんは、「街の酒場でのチューハイブームを受けて作られ、辛口テイスト。焼酎ベースで、中高年男性の酒というイメージだった」と振り返っています。

 イメージががらりと変わったのは2000年代。ビール各社が参入し、ベースを焼酎からウオツカなどに変更。アルコール度数は5%前後で果汁感も強め、女性も手に取りやすいよう缶デザインにもこだわり、愛好者の裾野が広がりました。

 大手メーカーによるビール類の総出荷量は13年連続で減少しており、各社はチューハイなどのRTDに一段と力を入れています。酒文化研究所の山田さんは、「ブドウや米から時間をかけて作るワインや日本酒などと異なり、原酒と香料などの組み合わせで作るRTDは商品開発がしやすい」とメーカーの利点も指摘しています。

 果汁感の強さや炭酸の爽快感、カラフルな缶のデザインで「軽い酒」とイメージしがちな缶チューハイ。しかし、ベースは焼酎やウオツカなどで、ストロング系となると度数は7%以上です。9%のチューハイ(350ミリリットル)の純アルコールは約25グラムで、厚生労働省が1日の「節度ある適度な飲酒」の量とする「純アルコール20グラム程度」を1缶で超えてしまいます。

 アルコール専門外来がある「慈友クリニック」(東京都新宿区)の中田千尋院長は、「近年、アルコール依存症と診断される患者さんの多くに、ストロング系がかかわっている印象を受ける」と話しています。

 以前は、患者が「よく飲む酒」としてカップ酒やペットボトル入り焼酎が挙がりましたが、今はストロング系缶チューハイを何缶も飲んでいると話すケースが急増。また、一般的な350ミリリットルではなく、ロング缶と呼ばれる500ミリリットルを選んでいる人が多いといいます。

 慈友クリニックでは、「1人で時間の切れ目なく酒を飲む日が、連続2日以上あること」をアルコール依存症の診断基準の一つとしています。中田院長は、「低価格でどこでも手軽に買えるチューハイなどが、絶え間ない飲酒を招く恐れがある」と指摘しています。

 特に、女性は注意が必要になります。RTDはレモン・グレープフルーツ・桃・ぶどう・オレンジなどの果汁感が強く爽快感があるものや、甘めのものを各社が競って発売しており、男性よりも女性に高い人気を呼んでいます。「個人差もあるが、男性と比較し、女性の代謝能力は約半分。十分注意してほしい」と中田院長。

 アルコール依存症の治療で知られる国立病院機構・久里浜医療センター(神奈川県横須賀市)によると、アルコールの分解は、肝臓・心臓・筋肉などの働きに左右されます。女性は、一般的に男性よりも体が小さく、肝臓のサイズも比例することや、体脂肪が多い分、筋肉量が少ないので、分解にも時間がかかりやすいといいます。

 NPO法人「ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)」では、女性をターゲットにしたアルコール商品のCMや、缶ラベルに果物などをあしらい、清涼飲料のような印象を招くパッケージデザインについて、酒類メーカーに改善を求めています。

 中田院長は、「早く酔いたいと、より高い度数を選ぶことが習慣化している人は注意してほしい」と呼び掛け、含まれるアルコール量についての知識を持つよう訴えています。

 2019年1月1日(火)

 

■3日程度の診療用の水確保を災害拠点病院などに要請へ 病院の2割で災害設備が不十分

 全国の災害拠点病院など主な病院の約2割が、機能を3日程度維持するのに必要な発電や給水設備を備えていないことが、厚生労働省の調査でわかりました。

 西日本豪雨や北海道地震など大災害が相次いだため、政府は重要インフラ(社会基盤)の緊急点検を実施。736カ所の災害拠点病院に、救命救急センターと周産期母子医療センターを加えた822病院を調べました。

 それによると、必要な非常用自家発電設備を持っていないのは157病院(うち災害拠点病院125カ所)。給水設備では207病院(同179カ所)でした。

 災害拠点病院は2012年に指定要件が改正され、3日分程度の燃料確保や適切な容量の受水槽の保有が義務付けられました。

 主な病院の25%に当たる207病院に必要な給水設備がないことが判明した事態を受け、厚生労働省は12月20日、医療提供が特に求められる災害拠点病院、救命救急センター、周産期母子医療センターに対し、診療を3日程度維持できる水の確保を求める方針を決めました。

 この日の専門家会合で厚労省が提案し、了承されました。医療現場では人工透析や洗浄、清掃などで大量の水を使います。昨年7月の西日本豪雨では大規模な断水が生じ、診療できなくなったり、自衛隊などから給水を受けたりする医療機関が相次ぎました。厚労省は今後、受水槽や地下水設備の増設に必要な経費を補助していきます。

 東京医科歯科大学の大友康裕教授(救急災害医学)は、「改正前に指定された病院で、要件を満たしていないところが多いのだろう。この機会に必要な設備を整えるべきだ」と話しています。

 2019年1月1日(火)

 

2019年1月〜 20187月〜12月 1月〜6月 2017年7月〜12月 1月〜6月 2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

ホームへ戻ります  四百四病の事典へ寄り道します  ページのトップへ戻ります

ホームへ戻ります  健康実用辞典へ寄り道します  ページのトップへ戻ります


Copyright 2003〜 kenkosozojuku Japan, Inc. All rights reserved.