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健康ダイジェスト

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■インフルエンザ本格流行 患者111万人 60歳以上は前年同期の2倍

 インフルエンザの患者数(推計)がこの1週間で今季初めて100万人を超え、流行が本格化したことが27日、国立感染症研究所(感染研)の定点調査でわかりました。全国の11県で警報レベルを超えており、例年の流行のピークとなる2月上旬にかけてさらに患者が増えそうです。

 感染研によると、最新の1週間(1月16~22日)に受診したインフルエンザの患者は、1医療機関当たり22・73人で、前週の7・33人から約3倍に急増。11県が警報レベルの30を超えました。

 推計の患者数は約111万人で、5~9歳が約31万人(約28パーセント)と最多で、5~14歳が約半分を占めます。冬休みを終えた学校などで流行が広まったためとみられます。60歳以上の患者は約9万人(約8パーセント)で、昨季の同時期の2倍となりました。

 インフルエンザが原因とみられる欠席者の増加で学級・学年閉鎖や休校をした保育所や幼稚園、小中高校などは、前年同期の1・26倍となる計3294校で、前週の23倍に増えました。

 都道府県別では、福井県59・88人(前週16・38人)が最多。東日本大震災の被災3県が岩手県27・13人、福島県24・73人、宮城県23・81人で警報レベルに近付いています。関東地方は千葉県19・30人、埼玉県17・70人、東京都14・70人などいずれも全国平均を下回っています。

 患者数の多い地域に共通しているのが、空気の乾燥や厳しい寒さ。気象庁によると、1医療機関当たり59・31人の高知県では、26日までの30日間の降水量が高知市で平年比57パーセント、49・79人の岐阜県では岐阜市で同44パーセントと少雨が続いています。

 最も多い福井県は、大雪の影響で降水量こそ少なくありませんが、26日までの30日間の平均気温は福井市で平年比0・7度低くなっています。

 ただ、感染研は乾燥や寒さと感染の因果関係について、「流行は例年西日本から始まる。太平洋側は交通の便がよく、人が行き交うことで感染が広がりやすい」と否定的。一方で「寒かったり乾燥していたりすると、のどの粘膜が痛みやすくなることは関係しているかもしれない」と話しました。

 感染研は、「せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染を防ぐためにマスクを着用し、接触感染対策としては、手洗いをしっかり行ってほしい」と訴えています。

 2012年1月31日(火)

 

■喫煙が原因による死亡者数、年12万9000人 07年分、東大など分析

 喫煙が原因でがんなどで亡くなった大人の日本人は2007年に約12万9000人、高血圧が原因で脳卒中などで亡くなった人は約10万4000人と推定されることが、東京大や大阪大などの分析でわかりました。国際医学誌プロスメディシンに、論文が発表されました。

 東京大の渋谷健司教授(国際保健政策学)や池田奈由特任助教らは、高血糖、肥満、飲酒、運動不足、高塩分摂取など16の危険因子で日本人が2007年にどれだけ死亡したのかを分析。これらの因子は原則として、生活習慣の改善や服薬などで避けられるものでした。

 例えば、肺や食道のがんや心筋梗塞など喫煙と因果関係のあるすべての疾患について、喫煙者と非喫煙者の死亡率を比較。各疾患の年間全死亡者数から、喫煙が原因で死亡したと考えられる人数を計算しました。

 喫煙、高血圧に次いで死者が多いのは5万2000人の運動不足、3万4000人の高血糖、同じく3万4000人の高塩分摂取でした。複数の因子による死亡は、重複して数えられています。

 2007年の子供を含む日本人の死者数は、約110万8000人。研究チームによると、死亡につながる複数の危険因子を比較した研究は今回が初めてといいます。

 世界保健機関(WHO)の2004年の世界の死亡者約5900万人の分析では、最多が高血圧で、喫煙、高血糖、運動不足、肥満と続き、池田特任助教は「塩分摂取が上位で、肥満が比較的下位なのが日本の特徴」といいます。

 研究チームは、「日本が長寿国の座を維持するには、まず強力で効果的な禁煙対策が必要。血圧測定の普及も大切」と結論付けています。

 2012年1月30日(月)

 

■年金や医療、1955年生まれ以降は負担超過 内閣府試算

 内閣府の経済社会総合研究所などがまとめた「社会保障の受益と負担に関する世代別の影響試算」によると、若い世代ほど、一生を通じて受け取る社会保障サービスの受益よりも、保険料などの負担のほうが重くなることが示されました。

 1950年生まれは保険料などの支払額より厚生年金などの受給額のほうが多い一方で、1955年生まれ以降は支払額が受給額を上回る支払い超過となります。2015年生まれでは、負担の超過額は生涯収入の13・2パーセントにも達します。消費税増税を柱とする税と社会保障の一体改革の実現を目指している政府にとって、世代間格差の是正が大きな課題となりそうです。

 内閣府の試算で、年金、医療、介護の社会保障3分野について、生涯の受給総額から支払額を差し引いた純受益の生涯収入に対する比率をみると、1950年生まれは1パーセントのプラスですが、1955年生まれはマイナス3・1パーセントとなります。マイナス幅は1985年生まれで10・7パーセント、2000年生まれでは12・4パーセントに膨らみ、2015年生まれでは13・2パーセントと世代が若くなるほど負担が重くなる構図。負担のおよそ3分の2は、年金のマイナスが占めます。

 3分野はいずれも、現役世代の負担で高齢者のサービスを支える仕組み。少子高齢化が進むと負担する現役世代が減る一方、社会保障サービスを受ける高齢者が増え、現役世代の負担が重くなります。経済社旗総合研究所は、「超高齢化の進展で社会保障を通じた世代間の不均衡が無視できない大きさとなっている」と分析しています。

 さらに、デフレが長引けば、運用難も影響して年金財政が悪化し、若い世代の将来の支給額が引き下げられる懸念も高まります。

 同研究所は、こうした事態に備え、人口構成や物価など経済社会情勢の変化に合わせて、年金支給額を減少させる「マクロ経済スライド」の実施が必要だと提言しています。同制度は2004年に導入が決まりましたが、高齢者の年金減額への反発などを懸念し、実行されていません。

 試算は現行の社会保障制度と社会保障に関する政府推計に基づいたもので、税と社会保障の一体改革など将来の制度変更は織り込んでいません。

 2012年1月28日(土)

 

■大震災と原発事故で飲み水の購入が定着 メーカーはさらに販売強化へ

 ミネラルウオーターの売れ行きがよいため、メーカー各社がいっそう力を入れています。昨年は東日本大震災と福島第一原発事故の影響で水を買いだめする人が増えて市場が広がりましたが、購買層が定着したことで、今後さらに売り上げが伸びるとみています。

 飲料大手のサントリー食品インターナショナルは25日、新しい宅配サービスを発表しました。3月から1都3県の家庭向けに、冷水と温水が出る給水器を貸し出し、10リットル入りボトルを定期的に宅配し、1年間で1万世帯への導入を目指します。小郷三朗・食品事業部長は、「水の宅配の利用者は増えており、特に伸び率が高い家庭用に力を入れていく」と話しています。

 飲料総研の推計では、2011年のミネラルウオーターの出荷数は約2億ケース(1ケース=12リットル換算)と、前年より18パーセント伸びました。震災後に備蓄を増やした人や、原発事故直後から水道水を避けた人が多かったのが要因です。

 最も売れている「天然水」ブランドを出すサントリーは、前年比23パーセント増の6250万ケースを販売。今年は昨年ほどの備蓄需要はないとみていますが、それでも、2パーセント減の6100万ケースを売る計画です。

 一方、競合他社はまだ売り上げを伸ばす余地があるとみています。「い・ろ・は・す」シリーズを展開する日本コカ・コーラは、「10パーセント以上伸びた昨年に続き、今年もさらに伸びる見通しだ」。キリンビバレッジも、「アルカリイオンの水」など国産で4パーセント増の計画。「六甲のおいしい水」のアサヒ飲料も、8パーセント増やすといいます。放射能汚染を気にして水道水を避ける動きが、今後も続くとの見方からです。

 ミネラルウオーター自体の安全性にも関心が高く、「採水地や放射線検査の結果についての問い合わせは、今も続いている」(サントリー)。このため、日本コカ・コーラは採水地や検査の様子をウェブサイトで公開。キリンビバレッジは3月以降、携帯電話で手元の飲み物の放射線検査などの結果が調べられるようにします。

 業界誌「飲料ビジネス」を手掛ける飲料総研の宮下和浩編集長は、「競争が厳しくなるので、信頼性や安全性が選ばれる基準になる。安値競争も過熱するだろう」と話しています。

 2012年1月27日(金)

 

■金曜入院と月曜退院が多い病院、診療報酬カット 厚労省方針

 厚生労働省は、入院期間が長くなりがちな「金曜入院」や「月曜退院」などの割合が高い病院について、病院側が受け取る入院基本料を減額する方針を固めました。高齢化で医療費が年々増える中、不必要な医療費を抑制するねらい。

 診療報酬改定を議論している中央社会保険医療協議会で了承されれば、4月から実施します。

 厚労省によると、金曜日に入院した患者の平均入院日数は18・14日で、曜日別で最長。最も短い水曜日の入院患者より3日余り長くなっています。一方、退院の曜日別では、月曜日が17・79日と最も長く、最も短い土曜日退院とは3日近い差がありました。

 金曜日の入院は全体の14パーセント、月曜日の退院は11パーセントで、曜日別で見ると少なめ。ただ、厚労省は、治療を行わないことが多い土日を挟んで入退院させることが、入院日数を長くして医療費を押し上げる一因になっていると判断しました。

 具体的には、金曜入院や月曜退院の割合が特に高い医療機関では、本来は入院日数に応じて受け取れる入院基本料(一般病棟で1日当たり9340~1万5550円)を、手術や高度の処置などを行わない土日の分だけ減額する考えです。

 また、退院日の入院基本料は、何時に退院しても1日分を受け取ることが認められていますが、実際には昼食前に退院させる例が多くなっています。このため厚労省は「午前中退院」の割合が高い医療機関について、退院日の入院基本料を減額する方針です。

 2012年1月26日(木)

 

■糖尿病診断時のヘモグロビンA1c、表記方法を変更 来年度から国際基準に

 日本糖尿病学会、日本糖尿病協会、日本糖尿病対策推進会議の3団体は20日、共同で記者会見を開き、糖尿病の診断基準の一つで、特定健診の検査項目にも用いられるヘモグロビンA1c(HbA1c)に関して、一般診療などで記載する際の表記方法を、国外で広く使われているNGSP値に2012年度から改めると発表しました。

 医師や患者の混乱を避けるための経過措置として、しばらくは現行のJDS値を併記します。

 ヘモグロビンA1cは、過去1~2カ月の平均的な血糖値を反映する測定値。日本ではJDS値が「精度が高い」として使われてきましたが、国外ではNGSP値が一般的で、NGSP値はJDS値プラス約0・4ポイント。「糖尿病が強く疑われる」数値は、これまでの6・1パーセント以上から6・5パーセント以上となります。

 門脇孝・日本糖尿病学会理事長によると、「日本だけ異なる表記のままだと、研究や治療に重大な不利益となる」として変更します。

 特定健診・特定保健指導(メタボ健診)でヘモグロビンA1cの値を記す際の対応は、厚生労働省の「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」などで議論されています。システムの変更など影響が大きいため、12年度は引き続きJDS値を用いることになっており、一般診療の際の取り扱いとの間に、4月から差が生じることになります。

 日本糖尿病対策推進会議に幹事団体として参加している日本医師会の今村聡常任理事は会見で、「非常に複雑な状況になる」と指摘し、「現場の診断や治療、患者さんへの説明に混乱を生じないよう、きちんとした周知が大事」と強調しました。

 また、清野裕・日本糖尿病協会理事長は、NGSP値になって約0・4ポイント高く表記されたヘモグロビンA1cを、患者が誤って解釈する危険性を指摘。「自分のヘモグロビンA1cが悪くなったと誤解したり、もう少し悪くてもよかったのかということになったりすると、大変なことになる」と述べました。

 2012年1月25日(水)

 

■世界初、ES細胞で視力が回復 米バイオ企業が臨床試験

 米バイオ企業アドバンスト・セル・テクノロジー社は23日、あらゆる組織に成長できる胚性幹細胞(ES細胞)を目の網膜の病気の治療に使う臨床試験で、治療を受けた2人の患者の視力が改善し、副作用もなかったと発表しました。

 ES細胞を使った治療で効果が報告されたのは世界で初めて。成果は英医学誌ランセットに掲載されました。

 新薬または新しい治療法の臨床試験(治験)は、通常3つのフェーズに分かれています。フェーズ1では安全性、フェーズ2では治療効果が確認され、最後のフェーズ3では多数の患者で安全性と効果を確認します。

 今回発表されたのは、アドバンスト・セル・テクノロジー社が米国で行ったフェーズ1の治験結果。医学的な有効性を確認するにはさらなる臨床試験が必要ですが、ES細胞による再生医療の可能性を示す結果として注目されます。

 初期胚に含まれるES細胞は極めて高い多能性を持ち、体のどんな組織にも分化することができます。病気や事故で失った組織をES細胞由来の組織で代替できる可能性への期待が高まっていますが、困難な問題が立ちはだかっています。まず、他者のES細胞が免疫反応を誘発し、拒絶反応やがんを引き起こすのではないかという生物学的な問題があります。また、ES細胞の作製がヒト胚の破壊を伴うことから、人命を奪うに等しいのではないかという倫理的な問題もあります。

 アドバンスト・セル・テクノロジー社は、生物学的問題への対処のため、強い免疫反応を示さない免疫学的特権部位である目にES細胞を用いることにしました。治験では、眼球内部の網膜にある黄斑が変性を起こして、視力が低下する加齢黄斑変性症の70歳代の女性患者と、加齢黄斑変性症の一種であるスタルガルト病の50歳代の女性患者に、網膜色素上皮層の代替細胞に分化させたES細胞約5万個を移植。

 その後6週間は、免疫系が移植した細胞を攻撃しないようにするための治療を施しましたが、治療の程度は徐々に減らしていきました。移植から4カ月後、2人にはがんの兆候も拒絶反応もその他の安全性の問題もみられず、視力もわずかながら取り戻しました。

 70歳代の女性のほうは移植前、視力表で21文字が判読できましたが、移植から2週間後に33文字に増加し、その後28文字で安定するようになりました。スタルガルト病を発症する前はグラフィックアーティストだったという50歳代の女性は、移植前には手の動きを判別できる程度でしたが、移植後は指の1本1本が見えるようになりました。その後は、パソコンを使ったり、腕時計で時間を確認したり、針に糸を通すことまでできるようになったと、本人から知らされたといいます。

 2012年1月24日(火)

 

■食物アレルギーを食べて治す経口免疫療法は注意 治癒は半数以下

 食物アレルギーの原因となる食物を食べて治す「経口免疫療法」と呼ばれる治療法を受けても、治ったといえる患者は1~5割程度にとどまり、重い副作用を経験する例も多いことが、厚生労働省の研究でわかりました。

 研究班は診療指針を改定し、「現時点で一般診療として推奨しない」としました。

 食物アレルギーに対して、従来は「徹底的に原因食物を避ける」のが常識でした。その発想を逆転したのが欧米を中心に数年前から広がる経口免疫療法で、食物の摂取量を増やしながら症状が出ないようにする治療法はまだ研究段階ですが、研究班の調査では少なくとも49施設が実施、1000人以上が治療を受けていました。

 研究班は、卵や牛乳、小麦を摂取すると、じんましんや呼吸困難など複数の症状が出る子供179人を治療した国立病院機構相模原病院の事例を分析。原因となる食物の目標量(鶏卵1個、牛乳200ミリリットル、うどん200グラム)を3カ月間取り続けても、アレルギー症状が出なかった患者に対し、2週間休止した後、食物をもう一度摂取して症状が出ないかどうかを確認しました。

 治療開始後1年の時点で、7〜8割の患者は食べ続けている間は症状が出ない状態に持ち込めましたが、休止期間後も症状が出ず「治った」と診断されたのは、卵で38パーセント、牛乳で10パーセント、小麦で50パーセント。3〜5割で重い副作用を経験しました。

 主任研究者で相模原病院の海老澤元宏さんは、「この治療法への期待は高いが、全員が治るわけではない。副作用も重く慎重に行う必要がある」と話しています。

 2012年1月24日(火)

 

■インフル患者、前週から倍増 5〜9歳は約4倍に

 インフルエンザ定点医療機関(全国約5000カ所)当たりの患者報告数が、今月第2週(9〜15日)は7・33人で、前週の3・76人から倍増したことが20日、国立感染症研究所感染症情報センターのまとめでわかりました。

 この値を基に同センターが推計した定点以外を含む全医療機関の受診患者数は、約40万人。特に、最も多い5〜9歳の患者数は約8万人で、前週の約2万人から約4倍に急増しています。

 推計患者数を年齢層別にみると、5〜9歳が20パーセントを占めたほか、0〜4歳も15%パーセントに上りました。以下は、前週最も多かった30歳代が12・5パーセント、10〜14歳、20歳代、40歳代がそれぞれ10パーセントなどでした。

 都道府県別では岐阜県の23・82人が最多で、以下は愛知県の22・63人、三重県の21・92人、高知県の19・52人、福井県の16・38人などの順。特に中部や四国地方で流行が目立ち、全都道府県で前週を上回りました。

 東日本大震災の被災3県では岩手県9・75人、宮城県9・20人、福島県9・08人といずれも全国平均を超えました。関東地方では、千葉県4・70人、埼玉県4・10人、東京都3・22人、神奈川県2・41人などでした。

 警報レベルを超える保健所地域は18か所(8府県)で、前週から4カ所増加。注意報レベルのみ超える地域は112カ所(29道府県)で、3倍近くに増えました。

 2011年12月5日〜2012年1月8日の5週間に検出されたインフルエンザウイルスは、A香港型が92・1パーセントで、B型が7・3パーセント。インフルエンザ2009の検出も0・6パーセントありました。A香港型は1月下旬から2月にかけて、流行のピークを向けることが多いといいます。

 2012年1月22日(日)

 

■季節性インフルエンザの患者数、東海3県で急増

 季節性インフルエンザの患者数が、岐阜、愛知、三重の東海3県で急増しています。昨年12月から全国平均の4~5倍ペースで増え続け、今月第1週(2~8日)の「1医療機関あたり患者数」は、岐阜県が全国1位、愛知県が2位、三重県が3位となりました。

 国立感染症研究所が全国5000カ所の医療機関から受診患者数を報告してもらい、流行度合いの目安として「1医療機関あたりの患者数」を毎週計算しています。全国でみると、12月第1週にこの冬初めて患者数が「1人」を超え、厚生労働省が流行入りを発表。約1カ月後の今月第1週の患者数は3・76人で、例年並みの増加傾向といいます。

 しかし、東海地域では流行入りの時点で、愛知、三重で5・33人を記録。岐阜も12月中旬から急増しました。そして、1月第1週、岐阜16・60人、愛知16・22人、三重15・17人となり、全国1~3位を占めました。

 愛知県では、インフルエンザの患者数が急増したことによりインフルエンザ警報を発令し、人混みへの外出をできるだけ避け、帰宅時には「手洗い・うがい」をしてインフルエンザを予防するように呼び掛けています。

 例年、インフルエンザは1月後半から大きな流行のピークを迎えます。昨年12月から、全国各地でA香港型などの散発的な流行がみられましたが、いよいよ流行の本番に突入します。

 特に、この冬は南米ペルー沖の海水温が低い状態が続く「ラニーニャ現象」が発生。ラニーニャが発生した年は厳冬になることが多く、寒く乾燥した気候はインフルエンザウイルスにとって格好の条件になります。

 東京医大の松本哲哉教授(微生物学)は、「どの型のインフルエンザが一番流行するのかは、実際に経験してみないとわからない。今までの状況から判断すると、2009年に世界的に大流行した、いわゆる新型インフルエンザは今シーズンは明らかに減っている。現在“新型”という呼称は使われなくなっているが、それに代わって勢いがあるのはA香港型で、B型も多めのようだ。大体、この状況を反映したまま1月から2月にかけてピークを迎えるだろう」と指摘しています。

 今シーズンのワクチンは昨季と同じく、A香港型、B型、そして以前の新型の三つ。もし感染しても症状を軽くするという意味において、ワクチンの接種が大事です。

 2012年1月21日(土)

 

■健康自己評価、最も厳しい日本人 生活改善に取り組み3分の1は挫折

 日本人は他の国の人達に比べて「自分は不健康」と思い込み、生活習慣の改善に取り組む人が多いものの、3分の1は挫折した経験がある。このような調査結果を米PR会社エデルマンが発表しました。

 エデルマンは昨年、日本と欧米、中国、インドなど計12カ国で18歳以上の約1万5000人に聞き取りをした「ヘルスバロメーター」という調査を実施し、日本からは1000人が回答しました。

 全体的に健康状態が良いと答えた人は12カ国平均で64パーセント。先進国の多くが60~70パーセント台、インドでは92パーセントに上りましたが、日本は33パーセントで最低でした。

 同社で健康分野を統括するナンシー・テュレットさんは、「医療水準の高い日本では、病気でないだけでは満足しない人が多く、評価が厳しい」と分析しています。不健康の要因には、運動不足を挙げる人が64パーセントと最多でした。

 生活習慣の改善を試みたことのある日本人は73パーセントで、平均の62%を上回りました。その理由を「健康を損なう危険を感じた」と説明した日本人は42パーセントと平均の26パーセントを大きく上回りましたが、「長期的に健康が改善された」などは下回り、危機感の強さをうかがわせました。

 また、日本では生活習慣の改善を試みた人のうち、36パーセントが挫折を経験。平均の50パーセントよりは良い結果でしたが、理由としては「健康状態に変化が見られなかった」が21パーセントで最も多くなりました。

 テュレットさんは、日本で携帯情報機器などの情報技術を健康管理に利用している人のうち64パーセントが役立ったと感じていることに着目。「日々の変化がわずかずつでも見える、ゲームのように楽しめる健康管理ソフトを広めれば、より生活習慣の改善が図れるのではないか」と提案しています。

 2012年1月20日(金)

 

■花粉シーズンは2月中旬から 飛散量は昨春の3~7割程度

 日本気象協会(東京都豊島区)は18日、今春のスギとヒノキ(北海道はシラカバ)の花粉飛散予測の第3弾を発表しました。今回の発表は、最新の長期予報や花芽調査などのデータをもとに、前回予測(2011年12月7日)を修正したもの。

 それによると、スギ花粉の飛散開始は例年(過去10年の平均)並みか遅くなる見通しで、2月中旬の関東、東海、四国地方の南側を皮切りに花粉シーズンが始まるとみています。

 飛散量は、記録的に多かった昨年春の3~7割程度で、例年並みかやや少ない地域が多くなりますが、北陸と東北、中国地方で例年を1~5割程度上回る所がある見込み。北海道のシラカバ花粉の飛散量も、例年並みかやや少なくなる見込み。

 日本気象協会が飛散開始はやや遅い傾向と分析したのは、1月下旬から2月にかけて冬型の気圧配置が続くため。飛散量に影響する昨年夏の天候は、おおむね花粉増加につながる高温傾向でしたたが、実際にスギの雄花を調査した結果、夏の気象条件から推定されるより少なかったといいます。

 各地域の飛散開始は次の通り。

 東北 2月下旬▽関東甲信 2月中旬▽北陸と新潟県 2月下旬▽東海 2月中旬▽近畿 2月下旬▽中四国 2月中旬▽九州 2月中旬

 日本気象協会は、「最高気温が高い日や雨上がり後の晴れた日、風が強く晴れて空気が乾燥する日は飛散量が多い。日々の天気予報を確認し対策を」としています。

 2012年1月18日(水)

 

■牛乳メーカー、独自に放射性物質を検査 消費者の健康不安受けて

 牛乳に含まれる放射性物質の健康への影響を心配する声が高まっていることから、大手乳業19社などでつくる業界団体の日本乳業協会(東京都千代田区)は17日までに、行政の検査とは別に、メーカー各社が独自に牛乳を検査し、結果を公表する方針を固めました。

 行政側も検査の頻度を高め、これまで2週間に1回程度だったものを週1回にする方針です。日本乳業協会は「給食の現場や消費者からニーズがある」として、検査機器の準備や検出限界値の設定など具体的な検査方法、メーカーからの公表開始時期を検討しています。

 同協会には明治、雪印メグミルク、森永乳業、タカナシ乳業、協同乳業、グリコ乳業、北海道乳業、小岩井乳業、カルピスなど大手各社が加盟しています。

 これまでは都道府県などが各地にある原乳のクーラーステーション(集荷場)、または原乳が直接運ばれてくる乳業工場で検査し、結果をホームページ(HP)で公開していました。しかし、放射性物質が検出された牛乳の具体的なメーカー名や商品名、どこの学校給食で使用されるかなどは公表されていませんでした。

 宮城県の一部地域では昨年12月、集荷された原乳に含まれる放射性セシウムが高い濃度を示し、飲んでもすぐに体に影響はない値であったものの、1キログラム当たり最大22ベクレルが検出されました。

 学校給食の牛乳も一部検査されており、東京都武蔵野市の小学校で出す予定だった牛乳から昨年10月、1キログラム当たり7ベクレルを検出。国の暫定基準値である1キログラム当たり200ベクレルを大きく下回りますが、保護者からの要請で給食提供を取りやめました。

 国の暫定基準値そのものが安全かどうかも議論が分かれるところで、世界基準である世界保健機関(WHO)の基準値は1キログラム当たり10ベクレル、ドイツ放射線防護協会が提言する数値は子供で同4ベクレル、大人で同8ベクレルとなっています。

 なお、厚生労働省は昨年12月末、日本乳業協会を含む乳業3団体に対し「子供が毎日飲む牛乳は保護者の関心が高い」として、検査を実施し結果を公表するよう求めました。日本乳業協会と同様の措置を取るかどうかについて、全国乳業協同組合連合会(東京都千代田区)と全国農協乳業協会(千代田区)は「検討中」としています。

 2012年1月17日(火)

 

■花粉ライブ情報を携帯向けに提供 ドコモが開始 

 花粉症シーズンを前にNTTドコモは16日、リアルタイムで花粉の飛散量などを配信するサービス「ドコモ花粉ライブ」の提供を開始しました。スマートフォン、パソコン、携帯電話向けに提供されます。

 提供期間は1月16日〜4月30日の予定で、2月末までは無料で提供し、3月からはスマートフォン版のみ有料サービスとして提供されます。

 「ドコモ花粉ライブ」はドコモ提供の花粉情報サービスで、16日からスマートフォンアプリとパソコン向けサイトで、無料の先行サービスの提供が開始されました。携帯電話(フィーチャーフォン)版は1月末より提供と、少し遅れる形になります。全体で約10万人の利用を見込んでいます。

 ドコモでは、全国の基地局などに気象センサーを展開しており、2012年1月までに3000カ所にセンサーを設置。そこで計測された花粉に関する情報が配信され、全国各地の飛散量のほか、現在位置や気になるスポットの飛散量を確認できるマイスポット機能などに対応します。

 3月から有料となるスマートフォンアプリは、全国3000カ所の情報が6段階で表示され10分ごとに更新されます。なお、料金体系などはまだ決まっていません。商用サービス開始後は、飛散量に応じて通知する「アラートメール機能」、全国の飛散量をまとめた「花粉ランキング」などの新機能を加え、利便性の向上を行う予定となっています。

 一方、無料サービスであるパソコン向けサイトと携帯サイトは、全国300カ所の情報が10分ごとに更新されます。パソコン向けサイトでは、花粉対策商品なども紹介されます。

 スマートフォンはAndroid 2.1以上の機種であれば、専用アプリ(ソフト)を入れると、他社の機種を含め利用できます。ドコモでは気象センサー設置箇所を2011年度末までに4000カ所に拡大する方針で、拡充されたセンサーの情報は、スマートフォン版に反映されます。

 パソコン向けのドコモ花粉ライブは、(http://kafun-live.jp/)。

 2012年1月16日(月)

 

■成功例を強調する写真はだめ 美容クリニックのHPに指針

 厚生労働省は15日までに、美容整形や脱毛、脂肪吸引などを行う医療機関を対象に、ホームページ(HP)での宣伝を規制する指針を、平成24年度中に策定することを決めました。限られた成功例を強調する施術前後の写真や患者の体験談は、掲載を禁じる方針です。

 医療機関の広告は医療法で厳しく制限され、雑誌広告などは現状でもこうした表現が禁止されていますが、HPは対象外。美容クリニックなどのHPを見て訪れた患者が高額な費用を請求されたり、施術結果が不本意だったりといったトラブルが増え、厚労省はルールが必要と判断しました。

 「ナンバーワン」「芸能プロと提携」などの優れた医療機関と誤認させる文言や、「キャンペーン中で今だけ90パーセントオフ」のような費用の安さを過度に強調する表現も禁止する方向です。

 指針では、術後の痛みや副作用、必ずしも期待通りの効果がない場合があることなど、リスクも知らせるよう求めます。

 現状では、「簡単に小顔になれます」「脂肪吸引であこがれの身体を」など、美容クリニックなど医療機関のホームページ(HP)には、容姿に悩む人々を引きつけるさまざまな言葉が躍っています。

 内閣府の消費者委員会が昨年11月、利用者を対象にした実施した調査によると、美容クリニックを選ぶ際の情報収集方法のトップは友人・知人の話で39パーセント、次いでHPを挙げた人が38パーセントに上り、フリーペーパーやダイレクトメールなどを大きく上回りました。さらに、受診先を選ぶ決め手となった情報に「患者の体験談」もしくは「施術前後の写真」を挙げたのは47パーセント。

 こうした情報を広告に掲載するのは医療法違反となるわけですが、規制対象外のHPには堂々と掲載されているのが実情でした。

 一方でトラブルも少なくなく、国民生活センターによると、体に傷が残ったり痛みがあったりするという内容の相談が2010年度には293件寄せられました。医療レーザーによるしみ取りで顔全体にやけどを負い、全治1年と診断されたケースもあるといいます。

 2012年1月15日(日)

 

■自家用車とテレビの所有は心臓発作の要因 国際調査

 自家用車とテレビの双方を所有している人は、そうでない人よりも心臓発作を起こす確率が27パーセント高いという研究結果が、11日の医学誌「ヨーロピアン・ハート・ジャーナル」(オンライン版)に発表されました。

 世界52か国2万9000人を対象に、1999年~2003年に行われた仕事と余暇での身体運動と心臓疾患の関連について国際調査したこの研究では、最も効果的な心不全予防対策は、軽い汗をかくことだとの結果が示されました。

 論文の主執筆者でスウェーデン・ウプサラ大学のクラース・ヘルド教授は、「仕事中では軽度~中程度の運動、余暇ではあらゆる運動が、心臓発作リスク軽減に役立っていた。特に、過去の研究で示されていた余暇の運動の予防効果が、低・中所得国にも当てはまっていることがわかった」と述べています。

 調査では、仕事と余暇での身体運動を4段階のレベルに分け、仕事では「デスクワーク」と「過酷な肉体労働」を、余暇では「座りっぱなし」と「心臓がドキドキする程度のエアロビクス」を両端に置きました。

 運動は心臓の健康によいという結果は予想通りでしたが、その効果は運動をする状況や激しさによってばらつきが出ました。余暇の場合は、すべての運動が心臓発作リスクの軽減にプラスに働くとの結果が示されました。リスクは軽い運動では13パーセント、中程度~激しい運動では24パーセント下がりました。

 仕事の場合も、軽い運動と中程度の運動では効果は同様でしたが、過酷な肉体労働ではリスクは全く下がっていませんでした。

 研究チームはまた、自動車、バイク、ステレオセット、テレビ、パソコン、土地、家畜といった資産が、健康に影響しているかどうかについても調査。その結果、自家用車とテレビを所有している人(低・中所得国では全体の4分の1、高所得国では3分の2)は、所有していない人よりも心臓発作を起こす確率が27パーセント高まりました。低・中所得国では、これらの人達は糖尿病と高血圧の有病率も比較的高くなりました。

 自家用車とテレビは誰もが欲しがる消費財ですが、所有すると座りがちの生活になります。座りがちになる度合いは、所有していない人々に比べ、低・中所得国では4倍、高所得国では2倍でした。テレビがあると「カウチポテト」な生活を送り、マイカーがあれば歩かなくなることが、心臓発作リスクを高める要因となっています。

 研究チームは、「健康に長生きすることを支援したいなら、座りがちの蔓延に歯止めをかける必要がある」と指摘し、「心疾患で集中治療室へ入ることを避けるために、最も簡単で安上がり、かつ効果的な方法は、人生を通して常に身体的に活発であり続けることだ」としています。

 2012年1月14日(土)

 

■福島県、母乳の安全検査実施へ 母親ら1万人対象

 福島県が県内の母親約1万人を対象に、母乳に放射性物質が含まれていないか検査することが12日、わかりました。

 希望を募った上で、検査費用の全額を補助する方向で調整しています。東京電力福島第一原発事故を受け、自らの健康に不安を訴える母親は多く、授乳の悩みを解消することで安心して子育てのできる環境づくりを目指します。

 県によると、県内の新生児は年間約1万8000人で、このうち半数近くの母親が母乳で子育てしています。残りの半数近くは粉ミルクを使用していますが、一時的に母乳を与えるケースもあるため、検査の対象者は1万人程度に上るとみられます。

 採取した母乳を母親自身が民間の検査機関などに送付し、分析してもらうシステムを整えます。1人当たりの検査費用は約5万円で、総事業費として5億6000万円を確保するため、県の県民健康管理基金を財源として活用する見通し。

 専門家がデータを分析した上で、検査結果を母親に通知する方針。ただ、結果の判断基準の設定、通知や相談・アドバイスをどう行うかが課題となっています。県は現在、医療関係者などと検討を進めており、3月末までに態勢を整えます。

 原発事故による母乳への影響を巡っては、厚生労働省研究班が昨年5月から6月にかけ、福島、宮城など8県の女性108人を調査し、福島県の21人中、7人の母乳から1キログラム当たり1・9~13・1ベクレルの放射性セシウムが検出されました。

 また、県は妊産婦の心身の健康状態を把握し、適切なケアを施すための調査を開始する方針で、今月中旬から調査票の送付を始めます。県民健康管理調査の一環で、母乳検査と併せて実施し、子育てに関する不安軽減につなげます。

 2012年1月13日(金)

 

■ニコチンガムやパッチに禁煙補助の効果なし 米の研究

 禁煙を容易に行うためのニコチン置換療法で使用するニコチンガムやニコチンパッチ、ニコチンスプレーは、長期的に見て、独自に禁煙を試みる場合と同程度の効果しかないとする論文が、9日の英専門誌「タバココントロール」に掲載されました。

 掲載された論文によると、米ハーバード公衆衛生大学院の研究チームが、最近タバコをやめたマサチューセッツ州の成人787人を対象に、2001~02年、2003~2004年、2005~2006年の3回に渡って禁煙状況を追跡調査した結果、禁煙失敗率はニコチン置換療法(Nicotine Replacement Therapy = NRT)を受けた人では全体の約3分の1で、ニコチン置換療法を受けなかった場合とほぼ同じであることがわかりました。

 また、ヘビースモーカーでは、専門医の補助なしにニコチン置換療法を受けた場合の禁煙失敗率が、ニコチン置換療法を受けなかった場合の2倍であることも明らかになりました。この理由については、「ヘビースモーカーはニコチン置換療法を魔法の薬のようなものだと考えがちだ。そうではなかったと気付いた時には、禁煙をサポートしてくれる者が周りにおらず、結局失敗に終わってしまう」と説明しています。

 研究では、8週間というニコチン置換療法の推奨期間を守っている人がごく少数で、大多数の人は8週間未満でニコチン置換療法を終えていたこともわかりました。

 これまでの無作為化比較研究では、ニコチン置換療法は禁煙補助に効果的という結果が示されてきました。研究チームは今回の結果について、これまでの比較研究が一般の人が実生活を送るという設定においては不十分であることを示していると主張しています。

 ニコチン置換療法は、タバコ以外の方法で体内にニコチンを補充し、禁煙し始めた時に出るタバコを吸いたい、イライラする、眠いなどの離脱症状を一時的に軽減し、禁煙を容易にする方法です。喫煙によりニコチンを摂取した場合はニコチンは肺からも吸収され、即座に脳に到達しますが、ニコチン置換療法では喫煙時に比べて吸収速度が緩やかで、離脱症状を緩和するのに必要な治療域をカバーする程度の血中濃度を維持するよう設計されている、とされています。

 2012年1月12日(木)

 

■自殺者14年連続3万人を超す 前年比では減少

 警察庁は10日、昨年1年間の全国の自殺者は3万513人だったとする速報値を発表しました。3万人を超えたのは1998年から14年連続ですが、2010年の3万1690人を1177人(3・7パーセント)下回りました。

 自殺者の減少は2年連続で、3万1000人を下回ったのは1998年以来初めて。男性は2万867人で2010年より1416人少なく、女性は9646人で239人増えました。全体の68パーセントが男性でした。

 都道府県別では東京都が最多で3100人。大阪府1899人、神奈川県1824人、埼玉県1645人、愛知県1630人と続きます。一方、最も少なかったのは徳島県で150人、次いで鳥取県が165人、福井県が171人となっています。東日本大震災で大きな被害があった岩手県は400人、宮城県は483人、福島県は525人で、3県とも前年より減りました。ただし、都道府県別は自殺者の住所でなく、遺体が発見された場所で計上しています。

 岩手県、宮城県、福島県を含む34道府県で前年より減った一方、愛知県、愛媛県、福岡県、宮崎県、沖縄県など12都県で増加しました。減少幅が大きかったのは大阪府の171人減や北海道の95人減(1438人)など。増加した中では、愛知の59人増、福岡の51人増(1310人)、愛媛県の28人増(369人)が目立ちました。

 例年と異なる傾向もみられました。2010年までの3年間は3月に自殺者が多く、10月や11月に2回目のピークがありました。この時期に企業の経営状況や解雇が明らかになることと関連があるのではないかとみられていましたが、昨年は5月が最も多く、その後、12月まで減少を続けました。5月は3367人、6月は3029人で、それ以外の月は2000人台となり、12月の2088人が最少でした。

 自殺の実態を調査している内閣府によると、遺族の話や自殺場所などから東日本大震災が直接の原因とわかった自殺者の数は、分析を始めた6月から11月までに全国で49人といいます。遺体の発見場所は宮城県の21人が最も多く、岩手県15人、福島県7人と被災3県に集中。年齢別では60歳代16人、50歳代10人、70歳代7人と中高年が目立ちました。原因・動機別(複数選択あり)では、経済・生活問題14件、健康問題13件、家庭問題11件の順で、不詳が14件。

 内閣府自殺対策推進室は、「震災の影響はじわじわと広がる可能性があり、状況を注視して対策に取り組みたい」と話しています。警察庁は年度内に、確定値を公表します。

 自殺対策に取り組むNPO法人「ライフリンク」の代表・清水康之さんは、「自殺者が減ったとはいえ、高止まりの状態が続いていることは問題で、社会全体で危機感を共有すべきだ。積極的に相談会などを行っている自治体では自殺者が減っているという事実があり、今後は、自治体と民間団体が連携して、相談会を始めとする対策を強化していく必要がある」と話しています。

 2012年1月11日(水)

 

■生活習慣病の予防、ミネラルのバランスにも注意を

 生活習慣病の予防に重要なことの一つは、栄養バランスのよい食事を心掛けること。これまで炭水化物、たんぱく質、脂肪という3大栄養素のバランスが重視されてきましたが、最近の研究で食事や飲み物に含まれるミネラルのバランスも健康管理に重要な役割を果たすことがわかってきました。

 炭水化物、たんぱく質、脂肪の3大栄養素は有機物とも呼ばれ、主に炭素、水素、酸素、窒素の4元素で構成されています。これ以外の元素のうち、食事などによって摂取することが必要な元素がミネラル(無機質)。ミネラルは多すぎても少なすぎても、健康の保持や増進には好ましくありません。専門家は成分ごとに1日当たりの目安量、推奨量、目標量を設定してきましたが、最近、摂取したミネラルが体内で相互に影響し合うことが知られてきました。

 国立健康・栄養研究所(東京都新宿区)食品保健機能研究部の石見佳子部長は、「近年の研究成果の一つとして、ミネラルのバランスを考えなければならないことがわかってきた。例えばナトリウムとカリウムの関係がある」と話しています。

 どちらも組織や細胞を満たしている体液の浸透圧を調節するミネラルで、血圧の維持、神経や筋肉の働きに欠かせません。しかも、食事で摂取したカリウムは、体内で増えすぎたナトリウムの量を減らすなど、体の機能を正常に保つためのバランスを取っていることもわかってきたのです。

 日本は世界的にみても食塩摂取量の多い国民で、厚生労働省が食事から摂取する1日当たりの目標量として定めている男性9グラム未満、女性7・5グラム未満をなかなか達成できていません。そこにカリウム不足が加わるとバランスが崩れ、高血圧を発症しやすくなります。そのため、最近では、「塩分控えめ」の努力とともに、カリウムを豊富に含む野菜、大豆など豆類、果物を積極的に取ることが勧められるようになっています。

 同様のミネラルバランスはカルシウムとリンの間にもあり、どちらも骨を構成する重要な成分。石見部長は、「骨の健康のためにはちょうどいいバランスが大切だが、日本人はカルシウムが不足がち。それに対して、リンは通常の食事ではまず不足しない栄養素である上、取りすぎるとカルシウムの吸収を阻害することがわかってきた」と話しています。

 日本人にとっては、牛乳などでカルシウムをしっかり摂取し、リンは控えめにするのがよいバランスの取り方で、リンは食品添加物に多く含まれるため、加工食品、レトルト食品、インスタント食品、清涼飲料水に頼った食生活を改めることは骨の健康の維持にも役立つといいます。 

 栄養素として摂取することが欠かせないミネラル成分として、現在16種類が知られています。そのうち1日の摂取量が100ミリグラム以上のものを主要ミネラルと呼び、ナトリウム、マグネシウム、リン、硫黄、塩素、カリウム、カルシウムがあります。それに対して100ミリグラム未満のものを微量元素と呼び、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、セレン、モリブデン、ヨウ素があります。

 これまで多くの微量元素は、通常の食事を取っていれば不足することが少ないと考えられてきました。しかし、現代では伝統的食材が減ったり、化学肥料に頼った農業が微量元素不足をもたらし、糖尿病などの生活習慣病になりやすい体質を作っていると考えられています。

 石見部長は、「これら微量ミネラルをバランスよく含む、ワカメ、ヒジキなどの海草や、カキ、アサリ、小魚などの魚介類を積極的に取ることで、健康の保持増進に役立ててほしい」と話しています。

 健康の秘訣は1日3食をきちんと食べることですが、ミネラルバランスの視点を加えることが、体調の改善にもつながりそうです。ミネラルは体に不可欠な微量栄養素でありながら、生物体内で作ることができないため、食物あるいはその他の形態で摂取しなければ、生命を維持することができません。

 2012年1月10日(火)

 

■薬の副作用情報、日本語で検索 京大教授らが開発

 米食品医薬品局(FDA)が公開している薬の副作用報告を独自に整理し、日本語で検索できるデータベースを京都大の奥野恭史教授(薬学)らが開発しました。医師や薬剤師が世界の最新の副作用情報を知ることができ、海外で先に発売された薬を使う際に、副作用を調べるのにも役立ちそうです。

 薬は販売後に重い副作用が出ても、添付文書の改訂には時間がかかります。世界の最新情報を早く調べれば、副作用の被害者を減らせると期待されています。

 FDAは、薬の副作用の報告を集めており、1997年から現在まで8600の薬について400万以上の報告を公開しています。ただし、情報が並んでいるだけで、誰でも簡単に検索できるような形になっておらず、医療現場では使いにくいとの指摘が出ていました。

 奥野教授らは、生物学や化学、情報科学を組み合わせた手法で、このデータを独自に整理。世界中の医薬品名とその主成分を厳密に関連付けたり、日本語に翻訳したりして、簡単に検索できるシステムを作りました。薬の名前から副作用の一覧、患者がどうなったかなどがわかるようにして、もとの報告書の閲覧もできるよう工夫しました。FDAや世界保健機関(WHO)などが使っている手法を使って、情報の信頼性も判断できるようにしました。

 このデータベースでは、副作用情報が早く入手できることも確認できました。抗インフルエンザ薬、タミフルの添付文書に異常行動が追加されたのは04年でしたが、データベースで調べると、03年6月には異常行動との関連性が示されていました。

 検索サービスは、医療従事者や製薬会社を対象に、京都大学発ベンチャーの京都コンステラ・テクノロジーズが有料で提供しています。

 2012年1月9日(月)

 

■健診結果で脳卒中や心臓病の発症確率を予測 ウェブサイトで公開中

 大阪府立健康科学センター(大阪市)は5日、血圧やコレステロール値などの特定健診の結果を入力することで、今後10年間の脳卒中や虚血性心疾患などの循環器疾患の発症確率を予測できる府民向けのサービスをホームページで始めたと発表しました。

 府民以外でも利用できます。同センターによると、都道府県単位の発症予測サービスは国内初。

 特定健診とは、腹回り(内臓脂肪)を基本に、血圧、血糖、脂質、喫煙といった健診結果から生活習慣の改善の必要度を判定し、結果に応じた保健指導を受けられる体制を整えた健診のことです。脳卒中とは、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血などの総称です。虚血性心疾患とは、心筋梗塞や狭心症の総称です。

 大阪府立健康科学センターのホームページ(http://www.kenkoukagaku.net/yosoku/)に性別や年齢、身長、体重、血圧、中性脂肪値、悪玉コレステロール値、善玉コレストロール値、喫煙や飲酒習慣の有無など計12項目を入力すると、1年後、5年後、10年後の循環器疾患の発症確率と、平均と比べたリスクが表示されます。対象は40~75歳。

 同センターが、1995~2000年に大阪府、秋田県、茨城県、高知県の8886人に実施した健康診断のデータと、循環器疾患発症の追跡調査結果を統計的に処理し、予測式を作りました。北村明彦副所長は、「大阪は心臓病による死亡率が高い。メタボ検診のデータを入れれば簡単に計算できるので、予測を切っ掛けに、どうすれば循環器疾患を予防できるのか知ってほしい」と話しています。

 2012年1月8日(日)

 

■糖尿病患者の割合、中小企業で高め 再検査など指導少なく

 従業員300人未満の中小企業に勤める人ほど、糖尿病患者の割合が高く、企業側から従業員に対する検査や指導などの働き掛けも少ないことが、独立行政法人労働者健康福祉機構の研究班による調査でわかりました。企業の規模や取り組みによって、有病率に差があることが判明したのは初めて。

 佐野隆久・中部労災病院副院長を班長とする研究班は、「勤務と治療の両立を後押しする仕組みが必要」と話しています。

 調査は、昨年から今年にかけて愛知県内の企業323社を対象に実施。従業員が50人未満の小企業、50~299人の中企業、300人以上の大企業に分けて解析した結果、1000人当たりの糖尿病の従業員の割合は、大企業39・4人、中企業47・0人、小企業63・0人と、企業規模が小さいほど高くなりました。

 また、「医療や再検査が必要な従業員に受診を勧める」と答えた大企業は8割ありましたが、中小企業は6割弱でした。さらに、大企業の約6割は定期健診で経過観察が必要になった従業員に「定期的な検査や指導をする」と回答したのに対して、中小企業の約7割は「何もしない」との回答でした。

 労働安全衛生法に基づき、大企業の多くは産業医が常勤する一方、中小企業の大半は産業医が非常勤か不在です。中小企業では細かい指導が少ないほか、平日は受診しにくいなど治療継続が難しく、勤務と治療の両立に苦労する人が多いとみられます。

 堀田饒(にぎし)・中部労災病院名誉院長は、「患者への調査では、産業医がいない企業に勤める人のほうが血糖値が高く、網膜症や腎症の合併症を持つ人も多かった。企業の糖尿病への関心を高め、掛かり付け医と連携を深める仕組みが必要だ」と話しています。

 厚生労働省が平成20年12月に公表した「平成19年国民健康・栄養調査結果の概要」によりますと、糖尿病が強く疑われる人は約890万人、糖尿病の可能性を否定できない人は約1320万人で、これらを合わせると日本の糖尿病患者は約2210万人と推測されています。この結果は、平成9年度糖尿病実態調査の1370万人、平成14年度同調査の1620万人に比べ、大幅に増加しています。

 2012年1月7日(土)

 

■スギ花粉を初観測 山口県内の柳井市などで1日に

 スギやヒノキなどの花粉飛散情報を提供している、山口県医師会は4日、今年初めてのスギ花粉飛散を同県南東部の柳井市と熊毛郡平生町で1日に観測したと発表しました。花粉の飛散数は、1平方センチ当たり柳井市で0・6個、平生町で0・3個を確認しました。

 同県内のスギ花粉飛散は、3年連続1月1日に初観測されています。同医師会によると、ごく少量の花粉飛散でも人によっては花粉症の症状が現れることがあるといいます。今年のスギ花粉飛散総数の予測は、昨年秋の雄花の着花が一昨年に比べて少なく、大量飛散した昨シーズンの約40パーセント程度で、ほぼ平年並みと予測しています。

 スギ花粉が本格的に始まる飛散開始日に相当する、1平方センチ当たり花粉1個以上が2日続いた最初の日は、1月下旬から2月上旬になるとみています。

 同医師会はスギやヒノキなどの花粉の飛散状況を確かめるため、同県内の24カ所で観測しており、スギ花粉飛散開始日以降、同医師会ホームページ("http://www.yamaguchi.med.or.jp" target="_blank")で飛散予測情報など提供しています。

 2012年1月6日(金)

 

■コメ全袋、放射性物質検査へ 福島県が今秋から

 東京電力福島第一原発事故の影響で、福島県産米から国の暫定規制値を超える放射性セシウムが相次いで検出されている問題で、福島県は5日までに、今年秋に収穫されるコメから、出荷前に全袋検査する態勢を整備する方針を固めました。

 福島県では昨年10月、コメの抽出検査を終え、佐藤雄平知事が安全宣言しましたが、その後、農家の依頼による検査で規制値超えが発覚。県はサンプル調査や、一定の地区について農家の全戸調査を行っていますが、消費者の県産米への信頼回復には、全袋検査が必要と判断しました。

 県による検査ではなく、JAや流通業者が実施する自主検査に、新たな測定機器を導入して全袋を調べます。この流通経路の検査は、県産のコメのほとんどが対象になるといいます。

 JAや流通業者が高精度で迅速に検査できる測定機器を導入する場合に、県は全額補助します。導入を想定している機器は、ベルトコンベヤーに検体を載せて次々と流し、センサーで計測できるタイプ。現在、県が調査に使用している測定器は20台で1日計約1200袋の検査が限界で、1台当たりの処理量が数十倍に向上します。

 新型機器は1台千数百万円。30キロ入りで約1200万袋に相当する県産米すべての検査には、百数十台が必要と見込んでおり、20億円程度かかる見通しの財源には、新たに設置予定の基金の活用を検討します。

 また、流通時にはコメ1袋ずつにQRコードを付け、消費者がインターネット上で放射性物質検査の結果を調べられるようにします。

 ベルトコンベヤー式の測定機器はすでに一部のメーカーが販売していますが、4月に食品の放射性物質濃度の規制値が現行の1キログラム当たり500ベクレルから100ベクレルに厳格化されるため、測定精度を高めることが課題で、国内外のメーカーが開発を進めています。

 2012年1月5日(木)

 

■高齢者の生活不活発病が問題化 震災後、南三陸町の2割が歩行困難

 東日本大震災で被災した宮城県南三陸町で、長時間体を動かさないことで日常動作が困難になる「生活不活発病」の疑いのある65歳以上の高齢者が調査対象の2割を超えることが、町と国立長寿医療研究センター(愛知県)の共同調査で判明しました。

 調査の中間集計で判明しました。介護を受けていない高齢者2702人の健康状況を分析した結果、「震災後、歩くのが難しくなり、今も回復していない」と答えた人は572人で、全体の21・2パーセントに達しました。

 仮設住宅入居者は震災後、871人中339人に歩行困難の症状が現れました。このうち261人は回復せず、生活不活発病とみられる高齢者の割合は30・0パーセントに上りました。内訳は町内が181人、町外が80人。

 在宅の高齢者も1831人のうち、17・0パーセントに当たる311人に、同病の疑いがあることが判明。被災した沿岸部が164人を占めましたが、直接被災していない内陸部でも107人いました。見なし仮設などの町外住宅は40人でした。

 生活の不活発化の理由としては、「することがない」「外出が少なくなった」「疲れやすくなった」との回答が多くみられました。被災していない地域では、スポーツや趣味を遠慮する傾向も目立つといいます。

 調査した長寿医療研究センター・生活機能賦活研究部長の大川弥生医師は、「元気だった人にも頻発しており、深刻な事態だ。いったん歩きにくくなるとさらに動かなくなり、症状が悪化する悪循環に陥る」と指摘。予防や症状改善に向けた早期対策を訴えます。

 対策のポイントとして地域や家庭で高齢者の参加機会を増やすことを挙げ、「日常生活の中で自然に頭と体を使うのが基本。高齢者が知恵と能力を発揮し、充実した生活を送れるよう周囲の工夫が重要だ」と語っています。

 調査は昨年10~11月、同町の全町民約1万3000人を対象にした健康状況調査の一環として実施。訪問や郵送で回収しました。

 生活不活発病は、日常生活が不活発になって体を動かさない状態が続くことが原因で、全身の機能が低下する障害。医学用語では廃用症候群と呼び、廃用は使わないことを意味します。

 高齢者や、持病のために安静が必要な人に起こりやすく、入院などが切っ掛けとなることが多くみられますが、災害時の避難生活などでも多発することから、東日本大震災発生後、厚生労働省などは注意を呼び掛けています。

 症状としては、歩行、食事、入浴、洗面、トイレなど身の回りの動作が不自由になり、家事や仕事、趣味やスポーツ、人との付き合い、電話やメールで連絡をとるなどの日常活動も低下します。

 健常な人でも体を動かさないでいると、意外に早く筋力が落ちたり、関節が固まるなど運動器官の機能低下がみられます。安静による筋力低下は、1週目で20パーセント、2週目で40パーセント、3週目で60パーセントにも及び、1週間の安静により生じた筋力低下を回復するには1カ月かかるともいわれています。特に高齢者では、その範囲が大きく、進行が早くなります。

 体を動かさなくなったために起こる機能の低下は、筋肉や関節だけではなく、全身のいろいろの臓器に生じてきます。抑うつ状態、仮性痴呆(ちほう)、偽痴呆などの精神や知能の障害、起立性低血圧、静脈血栓症、床擦れ、沈下性肺炎、尿路結石、尿閉、尿失禁、便秘などが、主な障害として挙げられます。

 「年のせい」と思いがちな、いろいろな動作の不自由や体力の衰えが、実はこの生活不活発病によるということも多いのです。また、「病気のため」と思っていることに、実はこの生活不活発病が加わっていることも多いのです。
 
 生活不活発病はいったん起こると悪循環に陥りやすく、回復には相当の時間を要するため、治療よりも予防のほうが大切です。すなわち、動かして起こるリスクより安静にして起こるリスクのほうが高いことを認識し、心身の機能低下を予防しなければなりません。家族や周囲が早期に気付けば、積極的に体を動かさせることで機能の改善、回復も見込めます。

 体を動かす用事や機会を増やしながら、自然に脳や体を活性化させたり、腰や脚など下半身の筋肉を保ったりすることが大切。外出する意欲を持てるよう仲間を作るのもよいでしょう。

 2012年1月4日(水)

 

■血糖値、採血せず光で測定 長野県のメーカーなど年内にも試作機

 採血しなくも近赤外線を指先に当てるだけで、血糖値がわかりますー。長野県内の精密機器部品メーカーや研究機関で作る研究会が開発を進める小型血糖値測定機器の試作機が、年内にも完成します。

 白熱電球などが発する近赤外線の反射光を解析して血糖値を割り出す仕組みで、早ければ2013年にも市場に投入したい考え。実用化されれば、国内約1070万人、世界で3億6600万人いるとされる糖尿病患者にとって、体調管理や経済的な負担の軽減につながります。

 血糖値は、手の指先などから針で少量の血液を採取して測るのが一般的。だが、痛みや手間が伴う上に、血液を付けて値を計測するための使い捨て検査チップの経費もかさみます。血糖値は食後などに大きく変化するため、医療現場では、常時携帯でき、24時間を通して測定できる簡便な機器のニーズが高まっています。

 長野県内では、精密機器部品メーカーやソフトウエア開発会社、信州大学、長野県テクノ財団(長野市)が、代表者15人による研究会を昨夏に結成、機器の開発に着手しました。

 物質に光を当てると、分子構造に対応した光を吸収する性質を応用。近赤外線は波長帯が広く照射対象に吸収されやすいほか、光源の入手も容易なため、医療機器や観測の計器などに多く利用されています。研究会が開発中の機器は、その反射光を解析し、データを照らし合わせることで、血中のグルコース(ブドウ糖)の濃度を測定します。

 研究会の一員で、光による血糖値測定を研究している石沢広明・信州大学繊維学部准教授(55歳)の研究室が、実験用機器を製造。石沢准教授によると、この機器を使ってこれまでに延べ1000人以上を対象に実験を行い、反射光の強さと血糖値の相関関係について分析を重ねてきました。その結果、採血による測定に近い精度で血糖値を解析できるデータが得られたといいます。

 反射光から血糖値を割り出す解析プログラムは2月までに完成する予定。実験用機器は、血糖値の計測に必要な光を出す装置や解析プログラムを入れたパソコンなどが別々になっていますが、これらを一体化し、持ち運びしやすい携帯電話ほどの大きさの試作機を年内に作る計画です。

 厚生労働省生活習慣病対策室などによると、皮膚を傷付けずに血糖値を測る方法は全国でさまざまな手法の研究が進んでいるものの、実用機はまだ確立されていません。

 2012年1月3日(火)

 

■体外受精培養液から高濃度の化学物質を検出 胎児への影響懸念

 プラスチックを加工しやすくする化学物質「フタル酸エステル類」が人の体外受精で必要となる培養液に高い濃度で含まれていることが、厚生労働省研究班の調査で判明しました。

 妊婦の血液から検出される濃度の最大で約100倍に相当します。動物の胎児の生殖機能に影響を与える濃度の1000分の1ほどですが、マウスの細胞の遺伝子には異常が起きるレベルで、受精卵や胎児への影響が懸念されます。

 日本では体外受精で毎年2万人以上の赤ちゃんが生まれており、主任研究者で有隣厚生会東部病院(静岡県御殿場市)の牧野恒久院長は「生命発生の重要な時期にこのような培養液を使って大丈夫なのか、詳しく調べる必要がある」と説明、培養液に高濃度の化学物質が含まれるとの研究結果は世界初といいます。

 フタル酸エステル類は身近な工業製品に幅広く使われ、人の血液や尿からも検出されています。空気や食品などを通じて取り込んでいると見なされます。培養液は人の血清などを含んでおり、それを通じて混入したとみられます。

 厚労省研究班が調べたのは、精子を選別したり、受精卵を数日間育てたりするための培養液24製品と、培養液に栄養源として添加する人の血清6製品。国内の臨床現場で使われているほとんどの製品を分析対象にしたといいます。

 培養液からは、フタル酸エステル類のDEHP(フタル酸ジ-2-エチレンヘキシル)が1ミリリットル当たり約10〜110ナノグラム(ナノは10億分の1)、DEHPが体内で代謝されてできるMEHP(フタル酸モノ-2-エチルヘキシル)は約2〜250ナノグラム検出されました。いずれも、人の血清が含まれる製品で濃度が高い傾向がありました。一方、妊婦の血液からはDEHPは約10ナノグラム、MEHPは約2ナノグラム検出されました。

 培養液への添加用の血清では、DEHPが最大約980ナノグラム、MEHPが1840ナノグラムとさらに高濃度で、海外などで提供された血液が汚染されていた可能性があるといいます。

 フタル酸エステル類は、プラスチックを軟らかくしたり、加工しやすくしたりするための可塑剤として、樹脂や塗料、化粧品などに幅広く使われています。子供が口にすると成分が溶け出す恐れがあり、健康に有害だとして、欧米ではフタル酸エステル類を使ったおもちゃを使用禁止にしています。日本でも2002年、一部の種類でおもちゃや食品用のラップ、手袋などへの使用禁止を決めました。内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の疑いも指摘されていますが、結論は出ていません。

 2012年1月2日(月)

 

■人口自然減、過去最大の20万4000人 2011年の動態統計

 2011年の日本の人口減少幅は過去最大の20万4000人に上ることが1日、厚生労働省の人口動態統計(年間推計)でわかりました。出生数が死亡数を下回る自然減は5年連続で、20万人を超えるのは初めて。

 婚姻件数は67万組で戦後最少となる見通し。東日本大震災を切っ掛けに「絆」が再認識された年でしたが、前年比3万組の減少で、少子化の一段の加速につながる可能性もあります。

 年間推計は10月までの速報値などを用いて算出。出生数は戦後最少の105万7000人で、出産しやすい15~49歳の女性人口が減る傾向にあることから、前年に比べて1万4000人減りました。死亡数は126万1000人で、東日本大震災の死者(昨年12月30日現在で1万5844人確認)の影響もあり、前年に比べて6万4000人増えて戦後最多を更新しました。

 死因別では、がん(35万8000人)、心筋梗塞など心疾患(19万8000人)、脳卒中など脳血管疾患(12万6000人)の三大死因の順位は変わらず、いずれも前年より増えました。

 自然減が始まったのは2005年。2006年は出生数が増えて自然増でしたが、2007年以降、再び自然減に転じました。2010年は12万5000人だった減少幅が1・5倍以上と急拡大したことについて、厚労省は「出産可能な女性の人口が減り出生数が減った。高齢化に加え、2011年は震災で死亡数が増えた」と分析しています。

 婚姻件数は年間100万組を超えた1970年代前半をピークに減少し、1978年に80万組を割り込みました。1987年にこれまで最少の69万6000組となった後、1988年からは70万台で推移していました。厚労省は「少子化で結婚適齢期の女性が減っていることが影響している。初婚年齢が変わらなければ今後も減少が続く」と説明しています。

 一方、離婚件数は23万5000組で、前年比1万6000組減。1996年に20万組を突破し、2002年に28万9000組で戦後最多となって以降は減少傾向が続いています。

 国立社会保障・人口問題研究所が2010年6月に実施した「出生動向基本調査」では、18歳以上35歳未満の未婚者のうち、「交際している異性がいない」とした男性は2005年の前回調査より9・2ポイント増の61・4パーセント。女性も4・8ポイント増の49・5パーセントでした。

 「一生結婚するつもりはない」と答えた男性は2・3ポイント増の9・4パーセント、女性は1・2ポイント増の6・8パーセントで、独身志向の未婚者の増加傾向が明らかになっています。

 2012年1月1日(日)

 

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