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健康ダイジェスト

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■要介護認定500万人突破、10年でほぼ倍増 介護保険給付費7兆円

 2010年度末時点で、介護保険サービスの必要度を判断するための「要介護認定」を受けた人が506万人と、初めて500万人を超えました。介護保険サービスにかかった費用から利用者負担を除いた「給付費」も、初めて7兆円を突破。

 厚生労働省が29日に「介護保険事業状況報告」を公表し、その中で集計結果を明らかにしました。東日本大震災の影響で、福島県の6町村を除いて集計しました。

 要介護認定は、必要度が軽い順から要支援1~2、要介護1~5の7段階に分かれます。厚労省によると、2010年度末時点で認定を受けた人は、前年度末より22万人(4・5パーセント)増加。制度が始まった2000年度の256万人からほぼ倍増しており、毎年過去最高を更新しています。全体の6割を軽度(要支援1~要介護2)の人が占めました。

 介護保健サービスの利用状況をみると、在宅が最も多く71パーセント、施設(介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護療養型医療施設)が22パーセント、認知症グループホームが4パーセント、特定施設(8割は有料老人ホーム)が3パーセント。「要介護状態になっても、可能な限り住み慣れた地域や自宅で生活したい」と望む声が多く、圧倒的なユーザーが自宅にいることがわかりました。

 2010年度の介護保険給付費は7兆2536億円で、前年度より3843億円(5・6パーセント)増えました。厚労省は、「傾向に大きな変化はなく、5パーセント程度の増加は見込んでいた」としています。 

 高齢化で介護保険サービスを利用する人は今後も増える見込みで、同省は今年度の給付費は8・4兆円、2025年度には19・8兆円になると試算しています。

 また、介護労働人口は2005年の112・5万人から、2025年には212〜255万人と倍増する見通しで、労働力人口のうち3・4〜4・4パーセントを占めるようになると予測されています。

 2012年6月30日(土)

 

■脳動脈瘤、7ミリ以上で破裂リスク上昇 6000人を追跡調査

 くも膜下出血につながる脳動脈瘤(りゅう)は、7ミリ以上になると破裂のリスクが高まり、7~9ミリの大きさでは年間に60人に1人が破裂することがわかりました。こぶの位置や形によっても、破裂のリスクが高まりました。

 日本脳神経外科学会が約6000人を対象に追跡調査。脳ドックでこぶが見付かっても、何ミリ以上になると破裂しやすいか、明確なデータはありませんでした。

 未破裂脳動脈瘤は、成人の5パーセント程度にあるとされます。くも膜下出血は発症すると3分の1が亡くなり、30~40歳代の患者も多くいます。

 日本脳神経外科学会は2001年1月から2004年4月までに、全国の医療機関で未破裂の脳動脈瘤が見付かった5720人、計6697個のこぶの経過を最長8年間追跡し、経過を調べました。患者の3分の2は女性で、平均年齢は62・5歳、こぶの大きさは平均5・7ミリでした。

 全体の破裂率は年間0・95パーセントで、3ミリから4ミリは0・36パーセント、5ミリから6ミリは0・50パーセントでした。7ミリから9ミリになると1・69パーセントに上がり、10ミリから24ミリは4・37パーセント、25ミリ以上では33・40パーセントが破裂していました。

 こぶができる場所や形によっても、破裂のリスクに違いがありました。大脳の太い動脈をつないでいる交通動脈にできたこぶのリスクは、大脳の中心を流れる中大脳動脈にできたこぶに比べ、2倍前後に高まっていました。形がいびつなこぶのリスクも、滑らかなこぶにに比べ、1・63倍に高まっていました。

 脳ドックの普及に伴い、脳動脈瘤の発見は増えていますが、手術するとまひやしびれ、重い後遺症などが出る可能性もあり、予防的な治療を行うかどうか判断に迷うケースがあります。調査をまとめたNTT東日本関東病院(東京都)の森田明夫脳神経外科部長は、「大きさはもとより、部位や形状などによる個別のリスクがわかってきた。診断の基礎にしたい」と話しています。

 日本脳卒中学会が2009年に作った指針では、海外のデータなどから、平均的な寿命まで10年から15年以上あり、こぶの大きさがが5ミリから7ミリ以上なら治療を検討することにしています。

 日本脳神経外科学会の調査結果は28日付で、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に発表されました。

 2012年6月29日(金)

 

■O157に猛毒型が存在 千葉大チーム、識別検査法も開発

 病原性大腸菌O(オー)157の中に、健康な人でも死に至るほどの重い症状を引き起こす「猛毒型」があることを、千葉大学の野田公俊教授(病原分子制御学)の研究チームが発見しました。これまでは、人によって症状の重さに差が出る理由がわかっていませんでしたが、その識別方法も開発。今後、治療方法の開発に役立つ可能性があるといいます。

 研究内容は、英国の専門誌「モレキュラーマイクロバイオロジー」の電子版に発表されました。

 O157は溶血性尿毒症症候群や脳症など非常に重い症状になる場合がありますが、その確率は日本では1・4パーセントとされます。これまで、同じ菌なのに症状が大きく違う理由は不明で、「患者の体調による」などさまざまな説がありました。

 野田教授は清水健准教授らと研究。体内に細菌が入ると、マクロファージ(細菌を食べる細胞)が殺菌物質の一酸化窒素(NO)を出して攻撃しますが、そのNOを破壊する特殊な酵素を持った猛毒型のO157が存在することを発見しました。NOが減少すると、O157が出す毒素が通常の2倍から3倍に増えることも確認できたといいます。

 去年、ヨーロッパで39人の死者が出た病原性大腸菌O104でも、同じ酵素が働いていることを確認したとしています。

 猛毒型かどうかを遺伝子から識別する検査法も考案。1〜2時間で判定できるといいます。

 野田教授は、「O157に感染したらまず遺伝子を調べ、重症化の恐れがある猛毒型とわかれば、症状が悪化する前に適切な治療を行えるようになる。早急に検査法の実用化を目指したい」と話しています。

 O157は腸管出血性大腸菌の一つで、少量でも食中毒の原因になります。赤痢と同じ毒素を作り、出血を伴う腸炎を発症させます。1982年、アメリカでハンバーガーによる集団食中毒が世界で初めて発生し、その後、世界各地で報告されました。

 日本では1990年、埼玉県浦和市(当時)の幼稚園で、井戸水汚染により2人が死亡したのが最初。1996年には全国で爆発的発生がみられ、特に堺市では小学校給食がO157に汚染したため、9000人以上が発症し、3人が死亡しました。

 厚生労働省の統計によると、2010年までの10年間で2599人が発症し、10人が死亡しました。今年7月から牛の生レバーの提供が禁止される原因にもなりました。

 2012年6月28日(木)

 

■子宮頸がんワクチン、接種後567人失神状態 30分は座って休息を

 厚生労働省は27日、子宮頸がんを予防するワクチンを接種した後に、失神を起こしたり気が遠くなったりした女子中高生が812人報告されたと発表しました。筋肉注射の痛みや恐怖によって神経が防御反応を起こす迷走神経反射によるもので、ワクチンそのものとは無関係とみられます。

 厚労省は、失神に備えて接種後30分は院内で安静にさせるよう医療機関に注意を呼び掛けています。

 厚労省によると、今年3月までに推定284万人(延べ686万人)が接種し、症状が出た812人のうち、意識を失う失神状態になった人は567人、さらに転倒して頭を強く打ち付けたり歯や鼻の骨が折れる二次被害が起きた人が51人いました。

 子宮頸がんワクチンは、2009年に発売されたグラクソ・スミスクライン社の「サーバリックス」と、2011年発売に発売されたMSD社の「ガーダシル」があります。接種後に症状が出たのは、253万人(延べ634万人)に接種されたサーバリックスで683人、31万人(延べ約53万人)に接種されたガーダシルで129人。うち二次被害が起きたのは、前者で38人、後者で13人でした。

 注射は肩近くの筋肉に行われ、皮下注射の他の予防接種より痛みが強いため、注射そのものの痛みや恐怖、興奮などから失神したり、転倒したりする副反応が起きることがあるといいます。

 失神を起こしたのは、接種から15分以内が約9割を占めました。厚労省は、接種後に歩く際には保護者や看護師らが付き添うことや、約30分間は背もたれのあるイスに座らせることを徹底するよう求めています。

 子宮頸がんワクチンは現在、国と市町村が中学1年~高校1年の女子を対象に接種費用を公費で助成しています。来年度には、予防接種法に基づく定期接種となる見通し。

 接種後の失神でひどいけがをしたら、公的な救済制度で医療費などが支給される場合もあります。

 2012年6月28日(木)

 

青色光、遮断メガネが人気 パソコンやスマホで目の疲れ

 パソコンやスマートフォン、タブレット型の端末など、職場や家庭で液晶画面の光を見詰める機会が増える中、光に含まれる「青色光(あおいろこう)」の危険性が注目されています。長期間浴びた場合の網膜などへの影響について研究が始まる一方で、商機ととらえる動きも広がっています。

 眼科や精神神経科の医師たちは「ブルーライト研究会」を発足させ、今後、網膜や生体リズムへの影響を医学的に検証し、公表する考えです。同研究会によりますと、青色の光は目に見える光の中で波長が最も短く、エネルギーが強いため、赤色・黄色・緑色などほかの色の光よりも目に対する負担が大きく、長い時間見ると網膜に炎症が起きるなどの恐れがあるということです。

 また、青色の光は太陽の光にも含まれていて、夜に浴びると睡眠のリズムが乱れたり、自律神経の機能が狂ってしまう可能性があるということです。

 ブルーライト研究会の会長で慶應義塾大学医学部の坪田一男教授(眼科)は、「目の疲れのほか、体内リズムも青色の光の影響を受けると考えられるので、目と全身の2つの視点で研究していきたい」と話しています。

 紫外線による有害性については広く知られていますが、波長が紫外線に近接している青色光も人体に傷害を及ぼす可能性があることは、これまで一般の人にはあまり知られていませんでした。ところが、LED=発光ダイオードの登場により、白色LEDの光がこれまでの光源に比べて青色成分が含まれる割合が高いため、専門家によって問題が指摘されています。さらに、問題の青色光そのものを発光する青色LEDの場合はさらにその危険性が指摘されています。

 眼鏡ブランド「JINS」を展開するジェイアイエヌ(東京都渋谷区)は昨年9月、青色光を遮る眼鏡を発売。当初は度なしのみだったが、予想を超える売り上げを記録し、度付きや子供用のレンズも開発。後を追うように、数社が同様の眼鏡を売り出しました。同社マーケティング室は、「新たな顧客層を開拓できている」と話しています。

 職場でパソコンを使う企業、団体も、動き始めました。日本マイクロソフトやリクルートメディアコミュニケーションズは、福利厚生の一つとして、青色光を遮断する眼鏡を導入しました。

 最近は、パソコンやスマートフォンなどの液晶画面に張る保護フィルムでも、「青色光カット」を施したものが発売されています。

 2012年6月27日(水)

 

■新型インフルによる死者28万人と推計 従来報告の15倍

 2009年に世界的大流行を引き起こした当時の新型インフルエンザによる死者数は世界で約28万人との推計結果が、米疾病対策センター(CDC)などの国際チームによって25日、英医学誌ランセットに発表されました。

 豚インフルエンザとして知られる新型インフルエンザA型(H1N1)によるものとして、世界保健機関(WHO)には約1万8500件の死亡例が報告されましたが、研究者たちはこの報告数は実際を大きく下回っていると考えていました。

 今回、疫学者と医師らによる国際チームはより正確な数字として、2009年4月から2010年8月までの死者数は世界で少なくとも28万4400人、多ければ57万5400人に達したとする推計を出しました。

 WHOの数値は検査で確認された例にとどまりますが、発展途上国では検査を受けないまま肺炎などで亡くなった患者も多く、こうした死者の推計値を加えた結果、約15倍と大幅に増えることになったといいます。

 主著者である米疾病対策センターのファティマ・ダウッド氏は、「定期的な検体検査が不足している上、インフルエンザ関連の死亡の識別は困難なため、検査で確認されるインフルエンザ関連の死者はかなり過小評価された数だ」とし、「他の推定死亡率と異なり、今回はインフルエンザによる死亡データの入手が限られている東南アジアやアフリカの国々も推計に含めた」と述べています。

 新型インフルエンザA型の感染は、WHOが世界的流行の終息を宣言した2010年8月10日にかけて214の国・地域で報告され、日本では同年6月末に死者が200人に達しました。通常の季節性インフルエンザと異なり、若い人の死亡が多いのが特徴。

 これ以降、新型インフルエンザA型は世界的に流行する季節性インフルエンザ3種のうちの1つに数えられ、主に冬季に感染を引き起こしています。WHOによると、季節性インフルエンザによる死者は毎年最大50万人に上っています。

 2012年6月26日(火)

 

■長寿の秘けつ、国際研究始まる 日本、フランス、スウェーデンなど 

 世界各国で高齢化が進む中、日本やフランスなど世界トップクラスの5つの長寿国の専門家が、各国で今年100歳になる高齢者の健康状態や生活の習慣を調べることで長寿の秘けつを探ろうという、初めての国際的な研究が始まりました。

 この研究は、日本、フランス、デンマーク、スウェーデン、そしてスイスの世界トップクラスの5つの長寿国で、老年医学や人口問題の専門家が行います。

 それぞれの国で今年100歳になる250人を対象に、健康状態や生活習慣などについて聞き取り調査を行うほか、承諾が得られれば血液を採取して遺伝子の解析も行い、健康に長生きできる秘けつを探ります。

 日本では、東京都や兵庫県、それに沖縄県などの5つの都県で調査が行われます。このうち東京都江戸川区では、今月から専門家が高齢者の自宅を訪れて調査を始めました。調査では、高齢者や家族から健康状態などを聞き取ったり、軽い運動をしてもらって運動機能を確かめたりしたほか、記憶力などをチェックしていました。

 研究に参加している日本大学大学院の齋藤安彦教授は、「これから各国で100歳以上のお年寄りが増えてくる。寝たきりや介護が必要な高齢者が多い国がある一方で、元気な人が多い国もある。どうやったら健康で長生きできるのか、明らかにしていきたい」と話しています。

 2012年6月25日(月)

 

■不妊の原因、卵子の老化が約半数 NHKが全国調査 

 多くの夫婦が不妊に悩む原因や背景を探るため、NHKが全国の専門医療機関に調査を行ったところ、女性が年を重ねるとともに妊娠しづらくなる「卵子の老化」に原因がある患者の割合が半数近くに上ることが、初めて明らかになりました。

 専門家は、「卵子の老化が知られていないことが、不妊に悩む夫婦の増加に拍車をかけている」と指摘しています。

 日本は不妊治療専門のクリニックが世界一多く、不妊の検査や治療を受けた夫婦は6組に1組に上り、より高度な不妊治療である体外受精の件数は年間で21万件と、5年で倍増して世界最多になりました。

 その原因や背景を探るため、調査は先月から今月にかけて行われ、全国の専門医療機関の半数に当たるおよそ300と、不妊治療をしている患者など8000人余りから回答を得ました。

 このうち、医療機関に対して不妊の原因について聞いたところ、女性では30歳代半ばを過ぎると卵子の質が低下して妊娠しづらくなる「卵子の老化」に原因がある患者の割合は、平均で47パーセントと半数近くに上ることがわかりました。

 実は、女性にはあらかじめ一生分の卵子が備わっており、その卵子は年齢を重ね年月が経つごとに鮮度が落ち、質が低下していきます。そして、卵子が古くなればなるほど、妊娠する力も低下していくため、35歳の女性が出産できる可能性は20歳代の半分になります。

 また、医療機関に対して初診患者の平均年齢を聞いたところ、35歳以上と答えた割合が、77パーセントに上りました。10年前は20パーセントにとどまっていたことから、卵子の老化によって妊娠が難しくなってから治療に駆け込む人が相次いでいる実態が、初めて明らかになりました。

 一方、35歳以上の女性患者の中で、不妊治療を始めるまで「卵子の老化」について「知らなかった」と答えた人が55パーセントで、半数を超えました。こうした患者の53パーセントが、体外受精をすれば45歳まで妊娠は可能と考え、中には50歳まで可能と考えていた患者も17パーセントいました。

 日本産科婦人科学会によりますと、体外受精など高度な不妊治療で出産できる確率は、卵子の老化の影響で45歳では0・5パーセントに低下します。

 不妊の問題に詳しい、東京の国立成育医療研究センターの齊藤英和医師は、「卵子が老化することが知られていないことで、高齢になっても治療を受ければ十分に妊娠は可能という誤解を生み、不妊に悩む夫婦の増加に拍車をかけている。卵子の老化について、きちんと知らせる仕組みを作る必要がある」と指摘しています。

 「卵子の老化」による不妊をさらに深刻化させる一因は、男性側にもあります。 実は、不妊の原因の半分は男性側にありますが、夫が不妊の検査に行きたがらず、ようやく治療が始まった時には、妻の卵子が老化しているというケースが後を絶ちません。

 専門家は、「早くに気付いて治療すれば、自然妊娠が見込めるケースも多い」と指摘しています。

 2012年6月24日(日)

 

■医療での被曝量、患者ごとに把握する仕組みを検討 医療被ばく研究情報ネットワーク

 CT検査などの普及で医療の検査、治療による被曝が増えているため、日本医学放射線学会など12学会・団体は、患者ごとに医療被曝の総線量を把握する仕組み作りに乗り出しました。

 生涯に渡って医療による総被曝線量を把握して、過剰な被曝をなくすことを目指します。2年以内に提言をまとめ、関係省庁などに実現を働き掛けていきます。

 検討を始めたのは、日本医学放射線学会や日本放射線腫瘍学会、日本小児放射線学会など、放射線科医や診療放射線技師らの学会などが結成した「医療被ばく研究情報ネットワーク(J―RIME)」。

 まず、CTや、放射性物質を含む薬剤を注射してがんの有無を調べるPETなど検査による被曝実態を調べます。検査ごとに患者個人の被曝線量を把握する方法や記録する方法、項目も検討します。将来的には、個人が生涯にどこで検査、治療を受けても、どれだけ被曝したのか総線量がわかるような仕組みを目指します。

 また、成人用に照射量が設定されているCT機器の小児用の照射量基準を検討するなど、子供を医療被曝の害から守る対策なども検討します。

 放射線診断、放射線治療の進歩と普及に伴い、日本を含む一部の医療先進国では、医療被曝の実効線量が自然放射線からの被曝より大きくなっています。国連科学委員会の推計では、過去20年間で医療被曝の線量がほぼ倍増。その一因は、平均して1回5〜30ミリシーベルトと、一般的なX線検査の10倍以上線量が多いCT検査の増加です。

 とりわけ日本は、CT機器の保有台数が先進国の中でも突出して多い医療被曝大国といわれています。このような高額な装置の場合は検査が過剰に行われる懸念が指摘されており、放射線医学総合研究所の推計では、治療を除く医療被曝線量は1人当たり年約3・8ミリシーベルトと、先進国平均の2倍で、一般の人の年間線量限度の4倍に近くなっています。

 イギリスの研究チームは今月、18万人を対象にした調査結果を医学誌に発表し、10歳以下で頭部CT検査を1回受けると1万人に1人の割合で白血病や脳腫瘍が増える恐れがあるとしています。

 国際原子力機関(IAEA)や世界保健機関(WHO)なども4月末、加盟国に対して、患者個人の医療被曝把握の規則作りを求める声明を出しました。

 J―RIME代表の米倉義晴・法医研理事長は、「患者が放射線診療の利益を最大限に受けられる仕組みを作りたい」と話しています。

 2012年6月23日(土)

 

■はしか予防接種、3年間で176万人が未接種 感染研が実数を初めて公表

 予防接種法に基づく定期予防接種の対象となっている、はしか(麻疹)ワクチンの定期接種を受けなかった人が、2008年から2010年度の3年間で約176万人に上ることが20日、国立感染症研究所感染症情報センターのまとめでわかりました。

 接種率は毎年公表されていますが、未接種者の実数が公表されたのは初めて。

 未接種者数を年齢別に見ると、1歳児(第1期)が18万214人、小学校入学まで1年以内の幼児(第2期)が26万7208人、中学1年生に相当する年齢の人(第3期)が49万8202人、高校3年生に相当する年齢の人(第4期)が81万3459人で、計175万9083人。

 第3期と第4期の定期接種は、はしか予防に必要な2回目の接種を受けていない世代に接種機会を提供するため、2008年度から5年間の時限措置として行われているものですが、2回目の接種を受けていない人が数多くいることが浮き彫りになりました。

 このデータは、国のはしか対策を定める特定感染症予防指針の見直しを検討している厚生労働省関係の厚生科学審議会の「麻疹に関する小委員会」に同日、報告されました。岡部信彦委員長(川崎市衛生研究所長)は、「3期、4期を受け損ねた人に、2回目のワクチン接種を受けるチャンスを与える方法はないのか」と問題提起しました。

 厚生労働省は、2007年に高校生、大学生を中心にはしかが流行したことを踏まえ、2012年度時点ではしか発症例が人口100万人当たり年間1例未満などとする「はしかの排除」状態を目指していますが、2011年は発症例が434例あり、100万人当たりだと3・45例でした。

 厚労省は、「対象者は必ず予防接種を受けてほしい」と訴えています。

 2012年6月22日(金)

 

■血栓症、凝固タンパク質異常も原因 名古屋大学グループ

 血液が血管の中で固まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こす「血栓症」は、血液凝固に関与するタンパク質の異常が原因の一つになっていることが、名古屋大学のグループの研究でわかり、新たな治療法の開発につながると注目されています。

 研究を行ったのは、名古屋大学大学院医学系研究科の小嶋哲人教授のグループ。研究では、家族に血栓症が多い患者に協力してもらい、白血球を調べたところ、「プロトロンビン」と呼ばれ、血液を凝固させるタンパク質の遺伝子が一部、変異していることが判明しました。

 このプロトロンビンの遺伝子を細胞に組み込んで培養すると、正常な遺伝子の場合と比べて血液の流れをよくする働きが弱まり、血液を固まりやすくする物質が大量に作られていました。

 けがなどで出血すると、プロトロンビンがトロンビンと呼ばれる酵素に変化し、トロンビンの作用により血管内で血が固まります。その一方、トロンビンはアンチトロンビンと呼ばれる血液の凝固を抑制するタンパク質と結合して凝固を止め、血液が固まりすぎないようにします。

 しかし、研究グループが今回発見した遺伝子に異常を持つ変異型のプロトロンビンは、トロンビンに変化してもアンチトロンビンとほとんど結合せず、血液が凝固し続けて血栓症につながることが判明しました。

 このプロトロンビンの変異は患者の家族に共通してみられたということで、研究グループでは、血栓症は生活習慣などのほかに、タンパク質の異常によっても引き起こされ、遺伝することが裏付けられたとしています。

 小嶋教授は、「血栓症は、心臓や脳の病気など日本人の死因のおよそ4分の1に関係しているといわれている。原因を一つ解明したことで、将来、血栓ができるのを防ぐ方法が見付けられるのではないか」と話しています。

 21日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに、研究成果は発表されました。

 2012年6月21日(木)

 

■台風一過、各地で真夏日 関東地方では熱中症で12人搬送

 台風一過の20日、南から暖かい空気が流れ込んだため、関東地方は午前中から厳しい暑さとなりました。群馬県では、前橋地方気象台が日中に気温が35度以上になる地点が出る恐れがあるとして、今年初めての高温注意情報を県内に出しました。

 正午までに群馬県高崎市で33度、茨城県笠間市で32・8度、栃木県小山市で32・5度を観測。東京都心でも30・2度になり、今年初めて30度以上の真夏日になりました。気象庁は、熱中症などへの注意を呼び掛けました。

 関東地方では、5つの県で合わせて12人が熱中症の症状で病院に搬送されました。今年、全国で初めて高温注意情報が出された群馬県では、みどり市大間々町の工場で作業をしていた72歳の女性が体調不良を訴えたほか、伊勢崎市内のスーパーで買い物をしていた59歳の女性が体調不良を訴え、ともに病院で熱中症と診断されました。

 茨城県では、常総市で60歳代の男性がコンビニエンスストアの駐車場で倒れ病院に運ばれるなど、4人が熱中症にかかって病院に搬送されました。栃木県でも、男女合わせて3人が病院に搬送され熱中症と診断されています。千葉市緑区のゴルフ場でも、67歳の男性がゴルフのプレー中に気分が悪くなって病院に運ばれ、熱中症とみられています。

 朝の時間帯にも熱中症にかかる人が相次ぎ、神奈川県川崎市高津区では午前7時ごろ、自宅で入浴していた70歳代の女性が風呂場で倒れているのを家族が発見し、女性は病院に運ばれましたが、意識不明の重体となっていて熱中症と診断されたということです。

 消防は、原因ははっきりわからないとしていますが、気温にかかわらず、入浴中に体温が上昇し水分が失われることで、屋外で太陽に照らされたのと同じめまいやおう吐など熱中症の症状が現れることは、お年寄りに多くみられるとしています。

 一方、東京の都営住宅では、高齢者の熱中症を防ごうと、看護師が「経口補水液」と呼ばれる飲み物などで、こまめに水分補給をするよう呼び掛けました。独り暮らしのお年寄りが多い東京・新宿区の都営住宅の一角には、専門のスタッフが無料で健康相談に応じる「暮らしの保健室」というスペースが設けられています。

 真夏日となった20日は、看護師が、集まったお年寄りたちに熱中症を予防するよう声を掛け、塩分や糖分を含んだ経口補水液を飲むよう勧めていました。経口補水液は、点滴と同じ成分で作られる体が吸収しやすい飲み物で、自分で水に塩や砂糖を混ぜて手軽に作る方法も紹介していました。

 また、室内にいても熱中症になる危険性があることや、のどが渇いていなくても脱水症状が起きる恐れがあることなど、これから暑さが続く上での注意を呼び掛けていました。看護師の松浦志野さんは、「急に気温が上がると高齢者は対応できず、気付かないうちに熱中症の症状が進む恐れがあるので、きちんと水分がとれているか気を付けてほしい」と話していました。

 2012年6月20日(水)

 

■ES細胞から立体的な目の網膜組織 移植治療実現へ一歩

 さまざまな細胞になる能力がある胚性幹細胞(ES細胞)から立体的な人の目の網膜組織を作ることに、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市中央区)などが成功し、網膜の再生医療に期待が高まっています。

 試験管内に約9000個のES細胞を浮遊させながら目的の細胞に分化させ、約1カ月後には、真ん中が杯のようにへこんだ「眼杯(がんぱい)」と呼ばれる状態になりました。4カ月後には、人の場合と同じように神経など細胞が層構造を持つ網膜組織を確認できたといいます。液体窒素で急速に冷やすことで、どの段階でも冷凍保存できるようにもなりました。

 このES細胞から作った網膜組織は今後5年以内に動物実験で有効性を確認するほか、同じく「万能細胞」と呼ばれる人工多能性幹細胞(iPS細胞)から同センターなどが作ったシート状の網膜の一部細胞は、患者に移植する臨床研究が2013年度にも始まる見通しです。動物実験で網膜の細胞ががん化せず、人に移植しても問題がないと確認できたためで、実現すればiPS細胞を使った国内初の臨床研究となります。

 計画によると、iPS細胞から網膜を構成する網膜色素上皮細胞を作り、悪化すれば失明につながる「加齢黄斑変性症」の患者の網膜裏に移植します。病気の進行を遅らせ、視力を少し回復する効果が期待できるといいます。この加齢黄斑変性症は網膜色素上皮細胞が傷付き、この細胞が栄養を供給する視細胞にも障害が出る病気で、60歳代以上に多く、国内に数十万人の患者がいるとみられます。

 網膜は光を感知する組織で、いったん傷付くと再生せず、治療法が確立されていません。再生医療の対象となる主な病気は、加齢黄斑変性と、視細胞が傷付いて視野が狭くなるなどする「網膜色素変性症」の2種類。

 網膜色素上皮細胞は比較的構造が単純なことなどから応用が近付きましたが、一方で視細胞は神経系のため構造が複雑で培養が難しく、細胞移植だけでは機能の回復が難しい可能性も指摘されていました。

 14日、同センターなどが米科学誌「セル・ステムセル」に発表した目の網膜組織作製の成功で、網膜色素変性症に対する移植治療も、実現へと一歩近付きました。網膜色素変性症の治療法確立は、患者らの団体が寄付して各地の治療研究を支援するほど期待されています。同センターは、サルなどで有効性を確認した上で、臨床研究につなげたいといいます。

 また、目の網膜組織作製の成功は、重い加齢黄斑変性の治療にも役立つ可能性があります。同症でも網膜色素上皮細胞だけでなく、視細胞にも大きな障害がある場合は両方とも置き換えなければならず、組織の移植が必要になるためです。

 同センターの笹井芳樹グループディレクターらは、「移植研究の一方、患者の細胞を使って網膜組織を作ることで、病気の原因遺伝子の治療研究なども進めたい」としています。

 2012年6月19日(火)

 

■精神障害者の雇用、企業に義務づけへ 厚労省方針

 厚生労働省は、新たに精神障害者の採用を企業に義務づける方針を固めました。身体障害者に加え、知的障害者の雇用を義務化した1997年以来の対象拡大になります。

 障害者の社会進出をさらに促す狙いで、企業に達成が義務づけられている障害者雇用率は、上がることになりそうです。

 今秋から労働政策審議会で議論し、来年にも障害者雇用促進法の改正案を通常国会に提出します。企業だけでなく、国や地方公共団体などにも義務づけます。

 障害者雇用促進法は、企業などに全従業員に占める障害者の割合を国が定める障害者雇用率以上にするよう義務づけています。障害者の範囲は身体、知的に限られていましたが、そううつ病や統合失調症などの精神障害者を新たに加えます。

 障害者雇用率は、働いたり、働く意思があったりする障害者の全労働者に占める割合と同程度になるように、計算して定められています。現在1・8パーセントで、来年4月から2・0パーセントに引き上げることがすでに決まっています。同時に、義務づける企業の規模も従業員56人以上から、50人以上に広げることもすでに決まっています。対象拡大で、この計算にも新たに精神障害者が加わるため、率は上がりそうです。

 今のところ、働いたり、働く意思があったりする精神障害者の人数の正確な統計はないものの、統計がある「ハローワークを通じて仕事を探す精神障害者」の推移によると年々増えており、2011年度は約4万8000人。この数字で単純計算すると、雇用率は少なくとも2・2パーセントになります。

 精神障害者の定義は、精神障害者保健福祉手帳を持つ人とする案が有力で、2010年度は59万人に交付されています。

 精神障害者の雇用義務づけは、働く障害者の増加に伴い、障害者団体からの要望も強まっていました。

 障害者雇用率を達成できないと、従業員201人以上の企業の場合は、不足する1人につき月5万円を国に納付しなければなりません。2011年6月時点では、従業員56人以上の約7万5000社のうち、雇用率を達成している企業は45・3パーセント。

 2012年6月18日(月)

 

■心の病の労災申請、3年連続で最多 厚労省調査

 職場の人間関係のトラブルや過労などでうつ病などの精神疾患を発症したとして、労災申請した人が2011年度は前年度比91人増の1272人に上り、3年連続で過去最多を更新したことが15日、厚生労働省のまとめでわかりました。このうち、自殺(未遂を含む)による労災申請は202人で、こちらも過去最多でした。

 労災認定も前年度比17人増の325人で、こちらも過去最多。このうち、東日本大震災が原因だったのは20人を占め、認定者数を押し上げる要因となりました。認定率は30・3パーセント。

 厚労省は労災認定の増加について、「うつ病の患者が増えていることや、認定基準の見直しで精神疾患が労災の対象になるとの認識が広まったことが影響した。仕事量の増加による強い不安も影響している」と分析しています。

 同省によると、精神疾患による労災申請の多い業種は、病院などの医療業が94人、社会福祉・介護事業が76人の順。年齢別では、30~39歳が420人で最も多く、40~49歳の365人、20~29歳の247人と続きました。

 労災認定された325人のうち、発症の原因別にみると「仕事内容・仕事量の大きな変化を生じさせる出来事があった」が52人(うち自殺24人)、「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が48人(同0人)、「嫌がらせ、いじめ、暴行を受けた」が40人(同3人)でした。

 認定者の業種では、製造業の59人が最も多く、卸売・小売業の41人、医療・福祉の39人が続きました。年齢別では、30歳代が112人で最多でした。

 一方、脳梗塞や心筋梗塞など脳・心臓疾患で労災申請した人は96人増えて898人となり、2年連続で増加。認定されたのは310人で、4年ぶりに増加しました。

 労災申請を巡っては、うつ病などの精神疾患は発症前1カ月に160時間以上の残業を行っていた場合などを労災と認定。脳・心臓疾患は、発症前2~6カ月間に渡り、1月当たり80時間以上の残業をしていた場合などに認定されます。

 2012年6月17日(日)

 

■心肝腎すべて移植終了 6歳未満の男児からの臓器提供

 富山大学附属病院(富山市)で脳死と判定された6歳未満の男児が提供した肝臓を肝不全の10歳未満の女児に移植する手術が、16日未明に終了しました。これで心臓、腎臓、肝臓の移植手術が、すべて終わりました。

 肝臓移植は、国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で15日午後4時に始まり、16日午前3時に終了。女児の容体は安定していますが、今後も拒絶反応や感染への注意が必要で、退院までに2~3カ月かかる見通しだといいます。

 女児の父親は、「大きな悲しみの中で、臓器提供を決断されたご家族のお気持ちに大変感謝しております。もう娘に残された時間はないのかと思っていました」などと話したといいます。先週から病状が悪化し、生体肝移植も検討していました。

 男児は事故による心肺停止で低酸素性脳症になり、14日、改正臓器移植法に基づき6歳未満としては初めて脳死と判定されました。15日に臓器が摘出されて、全国3カ所の病院に運ばれ、待機していた患者に移植する手術が進められました。

 このうち心臓は、大阪大学附属病院(大阪府吹田市)で、拡張型心筋症と呼ばれる重い心臓病の10歳未満の女児に移植されました。手術は15日午後6時半すぎに終了し、移植された心臓は自然に動き始めるなど、極めて良好で、女児の容体は安定しているということです。

 また、富山県立中央病院(富山市)で行われていた、両方の腎臓を慢性糸球体腎炎の60歳代の女性に移植する手術は、16日午前2時すぎに終わりました。移植した腎臓が正常に機能し始めるなど、女性の容体は安定しており、経過が順調ならば長年続けてきた人工透析が不要になるといいます。

 摘出された眼球については、富山県アイバンクが角膜を保存し、近く角膜移植を待つ患者に提供されます。

 今回の手術は、体に合う大きさの臓器の提供がなく、これまで国内で移植を受けられなかった重い心臓病の子供の患者などに、新たな道を示しました。一方で、子供の脳は大人に比べて回復力が強く、脳死を正確に判定できるのか、もっと研究すべきだとする慎重な意見もあり、脳死判定と移植手術について十分な情報公開と検証が求められています。

 2012年6月16日(土)

 

■6歳未満の男児から脳死臓器提供へ 富山大病院、国内初

 日本臓器移植ネットワークは14日、改正臓器移植法に基づき、富山大学付属病院で6歳未満の男児が脳死と判定され、臓器を提供することになったと発表しました。脳死となった6歳未満の幼児からの臓器提供は、国内で初めてとなります。

 男児の死因は、低酸素性脳症でした。今月7日、主治医から家族に「重篤な脳障害を来している」と病状を説明。その後、家族から臓器提供の申し出がありました。

 9日、富山県のコーディネーターが家族に一般的な臓器提供の説明を実施。9、10日の2日間で70分の説明を行いました。その上で主治医は10日、脳死の可能性があると診断。12日、家族から臓器提供の説明を求める申し出があり、主治医は日本臓器移植ネットワークに連絡しました。

 富山大病院は、院内に虐待防止委員会があり、マニュアルが整備されていることを確認。コーディネーター2人が1時間に渡って説明し、家族と親族8人の総意として承諾されたといいます。

 富山県警や児童相談所に虐待の確認が行われたほか、県警の検視もあったといいます。富山大病院では、虐待防止委員会で確認したほか、臓器摘出に関しても倫理委員会で承認されました。

 臓器移植ネットは午後7時から厚生労働省で開かれた会見で、「事件性、虐待の疑いがないことを確認している」と説明しました。

 13日午前9時15分から1回目の脳死判定が始まり、13日午後0時過ぎに終了。24時間の間隔を開けて2回目の脳死判定を行い、14日午後2時過ぎ、臓器移植法による脳死と判定されました。

 富山大病院では15日午後2時までに、提供を予定した心臓と肝臓、それに腎臓のすべての摘出が終わり、それぞれの臓器は移植を待つ患者のいる施設に向け運び出されました。

 このうち心臓は飛行機などで大阪府吹田市にある大阪大学附属病院に運ばれ、10歳未満の拡張型心筋症の女児に移植する手術が行われます。一方、肝臓は東京都世田谷区の国立成育医療研究センターで10歳未満の肝不全の女児に、両方の腎臓は富山市の富山県立中央病院で60歳代の慢性糸球体腎炎の女性にそれぞれ移植されることになっています。すべての臓器の移植手術が終わるのは、16日の昼前になる見通しだということです。

 男児の両親は、臓器移植ネットを通じて、「大変悲しいことだが、大きな希望を残してくれた。息子が誰かの体の一部となって長く生きてくれるのではないかと。このような事を成し遂げる息子を誇りに思っている」などとするコメントを発表しました。

 2010年7月の臓器移植法の改正で15歳未満の子供からの提供や、本人が拒否していなければ家族の承諾による提供が認められました。15歳未満の脳死判定は2011年4月の関東甲信越地方の10歳代前半男児以来2例目ですが、より厳格な判定基準を適用する6歳未満では初めて。改正臓器移植法施行後、脳死での臓器提供は91例目。

 2012年6月15日(金)

 

■ディーゼルエンジンの排気ガス、発がん性リスク最高度に WHO

 健康への悪影響が指摘されているディーゼルエンジンからの排気ガスについて、WHO(世界保健機関)は、これまでの研究で肺がんの原因になることが確認されたとして、発がん性のリスクを5段階の危険度のうち、最も高い分類に引き上げると発表しました。

 これはWHOの専門機関であるIARC(国際がん研究機関)が12日、発表したものです。

 ディーゼル車など、ディーゼルエンジンから出される排気ガスにはごく小さな粒子状の大気汚染物質が含まれ、肺がんなど健康への悪影響が指摘されてきました。IARCでは、高濃度の排気ガスにさらされている鉱山労働者を対象にしたアメリカでの最新の疫学調査など、これまでの研究を分析した結果として「ディーゼルエンジンからの排気ガスは、肺がんの原因になるとともに、ぼうこうがんのリスクを高める可能性もある」と結論付けました。

 そして、その発がん性のリスクについて、1988年の調査結果から5段階の危険度評価のうち2番目に分類されていたものを、今回の調査結果から喫煙やアスベストなどと同じ最も高い分類に引き上げました。

 WHOの専門家は、先進国を中心に排気ガスの規制が進み、クリーンなディーゼルエンジンの開発が進んでいることを評価する一方で、こうした環境性能が高いエンジンが普及するには時間がかかるとして、とりわけ環境規制が立ち遅れている途上国で対策の強化を呼び掛けました。

 ガソリンからの排気ガスについては、発がん性が「限定的ながら認められる」と発表。1989年の調査結果から3番目に分類されている危険度評価を変えませんでした。

 2012年6月14日(木)

 

■牛の生レバー、7月から提供禁止 厚労省が正式決定

 厚生労働省は12日、飲食店の「レバ刺し」など、牛の生レバー(肝臓)の提供を7月1日から禁止することを正式に決めました。食肉業界などから反発の声も上がっていましたが、同省は「現状では加熱以外にレバー内部の菌を有効に取り除く方法がない」と禁止の判断に至りました。

 厚労省の薬事・食品衛生審議会の分科会が12日、生レバーの提供禁止を了承し、同省が決定しました。食品衛生法に基づく規格基準として、生レバーを使って食品を製造・加工する場合、75度で1分以上加熱するなど、中心部に十分火を通すことが必要となります。

 飲食店が加熱用の肉でも生の状態で出す場合は、きちんと加熱して食べるよう客への注意を求めます。食肉店が消費者に売る場合も、十分な加熱が必要と伝えるよう義務付けます。

 自治体の改善指導に従わずに提供を続けるなど、悪質な違反には懲役2年以下または罰金200万円以下の刑罰を科すことができます。

 昨年4月に富山県などで発生した焼き肉チェーン店のユッケによる集団食中毒事件を受け、厚労省は昨年7月、飲食店などに牛の生レバー提供の自粛を要請しました。その後の調査で、レバー内部に食中毒を引き起こす細菌「カンピロバクター」、毒性の強い腸管出血性大腸菌「O(オー)157」が存在することが確認されました。

 レバー内部の菌を取り除くには、加熱する以外に有効な方法がないのが現状。O157は毒性が強く、自粛要請後も生レバーによる食中毒が4件発生していることなどから、厚労省は法的に提供禁止する必要があると判断しました。O157に感染すると、重い腎臓病や脳症で死に至ることもある上、感染力が強く二次感染の恐れもあります。

 食肉業界には「食事の調理方法は自己責任が基本」と反発や戸惑いの声があり、分科会に参考人として出席した全国食肉事業協同組合連合会の小林喜一専務理事は、「業界として生レバーを安全に提供できる方法の研究を今後も続けていく」と話しています。

 厚労省が行ったパブリックコメントには約1500件の意見が寄せられ、大半は「レバ刺しは食文化」などと提供禁止に反対する意見でした。

 厚労省は、レバー内部の殺菌や洗浄などで生食の安全性が確保できる方法が確認された場合は、禁止解除を検討するとしています。

 牛の生肉を巡っては、厚労省が昨年10月、ユッケなどの提供について、表面から1センチ以上の深さまで60度で2分以上加熱し、専用調理場を設置するよう義務付ける新基準を定めています。

 2012年6月13日(水)

 

■アトピー性皮膚炎、慢性化の原因タンパク質特定 佐賀大など

 アトピー性皮膚炎の症状を慢性化させる原因物質とメカニズムを解明したと、佐賀大学や九州大、岐阜薬科大などの研究チームが発表しました。新たな治療薬の開発につながると期待されています。

 アトピー性皮膚炎は、かゆみを伴ったアレルギー性の皮膚疾患で、アレルギーの基になるダニや花粉などに接触しないようにしても、炎症が慢性的に続くことが知られています。

 佐賀大学医学部の出原賢治教授(生化学)などの研究チームは、アレルギー物質による刺激とは別に、体内で炎症が継続するメカニズムがあると考えて研究を進めていました。

 研究チームは、アレルギーの基になる原因物質(抗原)が体内に入ると、免疫細胞が働いてかゆみが生じると同時に、「ペリオスチン」というタンパク質が大量に作られることに着目。ペリオスチンは皮膚の組織に沈着して、炎症を引き起こす別のタンパク質を作り出すことで、抗原がなくても炎症を継続させていました。

 チームはアトピー性皮膚炎の患者の皮膚で、ペリオスチンが強く働いていることを確認。マウスを使った実験で、2つのタンパク質の結合を阻害する抗体を投与したところ、アトピー性皮膚炎が起きなくなったということです。

 研究に当たった出原教授は、「アトピー性皮膚炎の治療にはステロイド剤や免疫抑制剤が主に使われているが、今回の研究を基にペリオスチンの作用を抑える新薬が開発されれば、副作用を心配せずに治療ができる」と話しています。

 研究成果は、米医学誌に11日発表されました。

 2012年6月12日(火)

 

■重症肺炎の新治療法 日本の生存率はイギリスの半分程度

 2010年から2011年にかけて、当時の新型インフルエンザで重い肺炎になり、肺の機能を一時的に代行する装置で治療を受けた患者の生存率は、イギリスなどの半分程度にとどまったことが専門の学会の調査でわかりました。

 インフルエンザで肺炎が重症化すると、人工呼吸器が役に立たなくなるため、肺の機能を一時的に代行する体外式膜型人工肺(ECMO、エクモ)という装置で血液に直接酸素を供給する治療法が普及し始めています。

 日本集中治療医学会と日本呼吸療法医学会は、2010年から2011年にかけて、当時の新型インフルエンザで重い肺炎になり、体外式膜型人工肺(ECMO)を使った21歳から63歳の患者14人の経過を詳しく調査しました。その結果、回復したのは5人で、生存率は35・7パーセントにとどまったことがわかりました。

 入院前に持病のあった患者はいなかったものの、13人に肺以外からの出血や血管が詰まる合併症が起きていたということです。

 体外式膜型人工肺(ECMO)による治療の生存率は、スウェーデンで92パーセント、イギリスで73パーセント、オーストラリアとニュージーランドで71パーセントと報告されていて、日本は半分程度となっています。

 調査を行った日本医科大学の竹田晋浩准教授は、「全身状態の管理など、治療法に対する理解が不十分だ。毒性の強い新型インフルエンザなどに備え、治療技術の向上に早急に取り組むべきだ」と指摘しています。

 体外式膜型人工肺(ECMO)は、保存的療法に反応しない重症呼吸循環不全例に対して体外循環を用いて行われる救命手段であり、呼吸補助、循環補助、肺の安静化などの目的で導入されています。患者から体外循環ポンプで脱血し、人工肺で血液の酸素化と二酸化炭素の排出を行い、熱交換器で加温して患者へ返血するシステムで、静脈系から脱血して人工肺を通り動脈系に返血する方式と、静脈系から脱血して人工肺を通り静脈系に返血する方式があります。体外式膜型人工肺(ECMO)自体は生命補助装置であって、原疾患を直接的に改善させるわけではありません。

 日本呼吸療法医学会では、急性呼吸不全症例に対する体外式膜型人工肺(ECMO)による治療成績を向上させることを目的として、ECMOプロジェクトを開始しており、参加する施設を募集中です。

 2012年6月11日(月)

 

■老化の原因物質特定、がんや糖尿病予防に期待 阪大など

 体の筋肉が衰えるなど老化の原因となるタンパク質を大阪大や北海道大、千葉大などの研究チームがマウスで特定し、8日付の米科学誌セル電子版に発表しました。高齢マウスの血液中や臓器で幼少マウスよりも増加しており、このタンパク質を作れなくすると動脈硬化などが起きにくくなりました。

 年を取ると、糖尿病やアルツハイマー病、がん、心不全などを発症しやすくなります。このタンパク質は人間にもあり、働きを抑える老化防止薬ができれば、これらの病気の予防や治療につながる可能性があります。だが、体内に侵入した細菌やウイルスを撃退する免疫を担う物質でもあり、新薬開発には多くの課題もあります。

 研究チームは、生後2年の高齢マウス(寿命約2年半)において、生後2カ月の幼少マウスよりも血液中で「C1q(シーワンキュー)」というタンパク質の量が5倍以上に増え、心臓や肺など多くの臓器でも増加していることを発見。このC1qの働きで、全身の細胞の表面にある「LRP5」または「LRP6」というタンパク質が切断され、老化を促進していました。組織の再生に異常が起きるとみられます。

 そして、幼少マウスの足にC1qを注入したところ、筋肉の繊維化が進み、筋力が衰えるなどの老化を引き起こすことが確認できました。逆に、高齢マウスからC1qをなくしてしまうと、筋肉の細胞が再生され、幼少マウスのように繊維化した部分が少なくなることも確認されました。心不全や動脈硬化、糖尿病が改善する結果も得られました。

 C1qは免疫で重要な役割をする「補体」の一種ですが、過剰になると老化につながるとみられます。年を取るとともに増える理由は、はっきりしていません。

 米スタンフォード大のグループが、老いたマウスと若いマウスの皮膚を縫い合わせ、血液が行き来できるようにしたところ、若いマウスが老化することを2005年に発表。血液中に老化物質があると指摘されていました。

 研究チームの小室一成大阪大教授は、「C1qは心不全や動脈硬化など、老化に伴って起きるさまざまな病気に関係している可能性がある。免疫でも重要な役割を果たしているため、なくせばよいというものではないが、この物質の働きがさらにわかれば、老化に伴うさまざまな病気を治療できるかもしれない。実用化のハードルは高いが、老化を防ぐ人類の夢に一歩近付く成果」と話しています。

 2012年6月10日(日)

 

■自殺者、14年連続で3万人超 震災影響か、昨年5月急増

 内閣府は9日、2011年の自殺の概要をまとめた「自殺対策白書」公表し、自殺者は前年比1039人減(3・3パーセント減)の3万651人(確定値)で、1998年から14年連続で3万人を超えました。

 月別では、5月が3375人で前年比593人増(21・3パーセント増)でした。東日本大震災で被災した岩手県、宮城県、福島県の各県ではいずれも自殺者数が前年を下回りましたが、関東や西日本の大都市圏を中心に自殺者数が増えました。

 自殺者数は例年、企業が決算期を迎える3月にピークを迎える傾向があるのに対して、昨年は3月まで低めに推移し、4~6月と8月に前年の自殺者数を上回りました。

 遺書などから自殺の理由を分析したところ、昨年4~6月は男性が企業の倒産や生活苦で自殺するケースが増えていました。白書では、「大震災後の景気の急速な悪化や、全国的な不安の高まりなどが影響した可能性がある」との見方を示しています。

 都道府県別では、東京都、愛知県、福岡県など13都県で増加しました。男女別では、女性が前年より289人増加して全体の31・6パーセントとなりました。女性を中心に、うつ病や統合失調症による自殺も増えています。

 年齢別では、60歳代が5547人で最も多く18・1パーセント。次いで50歳代が5375人、40歳代が5053人の順。若年層では、19歳以下が70人増えて622人、20歳代が64人増えて3304人となっています。

 職業別では、無職が1万8074人(前年比3・2パーセント減)で6割近くを占めました。自営業・家事従業者、被用者・勤め人は前年比で減少しましたが、学生・生徒らは1029人で10・9パーセントの大幅増となりました。調査を開始した1978年以来、学生・生徒らの自殺者数が1000人を突破したのは初めてのことです。

 遺書などから自殺の理由(複数計上)が判明したのは2万2581人で、「健康問題」が最も多く1万4621人で前年比7・5パーセント減。「経済・生活問題」がこれに次ぐ6406人で、13・9パーセントの大幅減。逆に、「家庭問題」が4547人で前年比1・1パーセント増、「学校問題」が429人で前年比15・6パーセント増となりました。

 内閣府は若年層の自殺が増えていることについて、「20歳代の自殺率は近年、失業率と近い動きをしており、非正規雇用の割合の増加など、若者を取り巻く厳しい雇用情勢が影響している可能性もある」と分析しています。

 また、就職の失敗を原因とした自殺の増加にも、注意を払っていく必要があるとしています。警察庁の統計では、就職失敗による10~20歳代の自殺者数は2007年の60人から、2011年は150人にまで増加しています。

 政府は、今回の分析を踏まえ、近く「自殺総合対策大綱」を見直すことにしています。

 2012年6月9日(土)

 

■森永乳業、牛乳など雑菌混入で32万本回収 17都道県で流通

 森永乳業(東京都港区)は8日、子会社の北海道保証牛乳(小樽市)が製造した成分調整牛乳「森永まきばの空」や「小樽工場発こだわり低脂肪牛乳」、「リプトンミルクティー」など計約32万2000本の自主回収を始めました。7日夜からコンビニなどの取引先に経緯を説明し、回収を要請しました。

 北海道厚生局と小樽市保健所は8日午後、食品衛生法に基づき北海道保証牛乳の工場を立ち入り調査しました。森永乳業によると、対象は3~6日に製造された賞味期限が今月17~20日の牛乳5商品とミルクティー2商品。流通先は北海道、青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県、東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県、新潟県の17都道県。

 森永乳業によりますと、工場の生乳を殺菌する装置で配管のバルブがうまく閉まっていなかったため、要冷蔵飲料すべてについて行う検査で、会社の規定を超える雑菌が検出されたということです。これらの商品を飲んだとしても健康に害はないとしていますが、風味が落ちる可能性があるなどとして、店頭から商品を回収することにしたといいます。

 森永乳業は、「食中毒の恐れはないが、冷蔵保存しない場合は雑菌が増えて腹痛を引き起こす可能性はある」、「ご迷惑をおかけし深くおわび申し上げます。品質管理体制の一層の強化に努めます」としています。

 家庭などで購入された商品については、空の容器を北海道保証牛乳に送れば、森永乳業が返金します。問い合わせは同社お客さま相談室、フリーダイヤル(0120)899390。受付時間は午前9時~午後5時半。

 消費者からの問い合わせは8日午前10時の時点で、1000件を超えたといいます。これまでのところ、消費者から体調不良など健康被害の報告はないといいます。

 2012年6月8日(金)

 

■魚を食べる人は肝臓がんリスク4割低下 国立がん研究センター

 青魚やウナギなどをよく食べる人は、あまり食べない人に比べて肝臓がんになるリスクが約4割低下するとの研究結果を、 国立がん研究センターが7日発表しました。魚の油に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などの不飽和脂肪酸を多く取っている グループほど、リスクが低下していました。

 肝臓がんの多くは、B型、C型肝炎ウイルスの感染による慢性肝炎を経て発症します。 同センターの沢田典絵研究員は、「DHAなどの不飽和脂肪酸には抗炎症作用があり、 肝炎が肝臓がんに移行するのを抑えているのではないか」と話しています。

 調査は、岩手県など9府県の45~74歳の男女約9万人を対象に、1995年から最長2008年まで13年間に渡って追跡。

 不飽和脂肪酸を多く含むサケ、マス、アジ、イワシ、サンマ、サバ、ウナギ、タイの8種類の合計の摂取量で5つのグループに分け、肝臓がんの発症との関係を調べました。

 1日に食べる量が70・6グラム前後と最も多く食べるグループは、9・6グラム前後と最も少ないグループに比べて、肝臓がんになるリスクが36パーセント低くなりました。 2番目に多く食べるグループは16パーセント、3番目に多く食べるグループは14パーセント、4番目に多く食べるグループは2パーセントと続き、食べる量が多いほどリスクが下がる傾向がありました。

 DHAだけに着目すると、DHAを含む魚を最も多く食べるグループは、最も少ないグループに比べて、リスクが44パーセント低くなりました。

 肝臓がんの主な原因となるB型、C型肝炎ウイルスの感染者に限って調べても、同様の傾向がみられました。

 国立がん研究センターの研究結果は、米国の消化器病学会誌に発表されました。

 2012年6月7日(木)

 

■インプラント治療で、重篤なトラブル400件余り 

 あごの骨に金属を埋め込んで人工の歯を取り付けるインプラント治療で、手術の際に神経を傷付けてしびれが残ったなどの重篤な医療トラブルが去年までの3年間に全国で400件余り起きていたことが、専門の歯科医師などで作る学会の初めての実態調査で明らかになりました。

 この調査は、インプラント治療を巡るトラブルが後を絶たないことを受けて「日本顎顔面インプラント学会」が、口腔外科がある病院や歯科大学の付属病院など、地域の拠点となっている全国の79の施設を対象に初めて行ったもので、9割を超える74施設から回答がありました。

 それによりますと、歯科医院などでインプラントの手術を受けた後に再治療が必要になった重篤な医療トラブルは、去年までの3年間で合わせて421件報告されました。このうち、あごの骨の中を通る神経を傷つけて、しびれ、まひなどが残ったケースが158件で最も多く、全体の4割近くを占めました。

 また、インプラントが上あごの骨を貫通し、誤って眼の下にある「上顎洞(じょうがくどう)」と呼ばれる空洞内に入ったケースが63件で15パーセント。このほか、上顎洞が炎症を起こしたケースが61件、経過観察を十分しなかったため骨粗鬆症の治療薬の影響などでインプラント周辺のあごの骨が壊死したケースが10件報告されました。

 あごの骨が壊死したケースは、「ビスホスホネート系薬剤」と呼ばれる骨粗鬆症の治療薬の影響とされています。ビスホスホネート系薬剤は高齢の女性に多くみられる骨粗鬆症の進行を遅らせる効果がある一方で、細菌などへの抵抗力が弱まるという指摘もあり、感染症などに注意が必要とされています。このため、専門家で作る「日本口腔外科学会」などは、細菌が多い口の中の手術が必要なインプラントの手術する前には、この薬の服用を一定期間やめるよう呼び掛けています。あごの骨が壊死した場合、多くは大きく切除しなくてはならず、患者には重い負担がかかります。

 実態調査を行った日本顎顔面インプラント学会の瀬戸晥一理事長は、「インプラント治療が急速に広がる中、歯科医師は、基本的な技術や知識を身に着ける必要がある。患者の側も、手術のリスクや、服用している薬の影響などについて十分説明してくれる歯科医師を選んでほしい」と話しています。

 学会は、今回の調査結果を詳しく分析して再発防止策を検討するとともに、6月1日から安全対策の一つとして、試行的に「インプラント手帳」の活用を始めました。この手帳には、服用している薬の名前、金属アレルギーなどがあるか、過去に大きな病気をしたことがあるかなどの記入欄があって、歯科医師が記入して患者に渡します。事前のチェックに生かしてもらおうというねらいです。

 また、インプラントの手術日や埋め込んだインプラントのメーカーの名前や種類などの記入欄もあり、医療機関が変わっても基本的な情報を共有することができます。全国に79ある日本顎顔面インプラント学会の「認定医療機関」で、インプラント手帳は使われることになっています。

 2012年6月6日(水)

 

■2011年の出生率、横ばい1・39 回復ペース鈍化 

 1人の女性が生涯に産む子供の数の指標となる2011年の合計特殊出生率は、前年と同じ1・39だったことがわかりました。厚生労働省が近く、人口動態統計の中で公表します。

 2005年を底に上昇傾向が続いていましたが、ここに来て回復の歩みが鈍くなった形です。若者向けの子育て支援や働く場の環境改善などの政策論議にも、影響を与えそうです。

 都道府県別で最も高かったのは、沖縄県で1・86、次いで宮崎県の1・68などとなっています。一方、最も低かったのは、東京都で1・06、次いで京都府、宮城県、北海道の1・25などとなっています。

 出生率は、第1次ベビーブームの1947年が4・54、第2次ベビーブームの1971年が2・16でしたが、その後は晩婚・晩産化の影響で下がる傾向が続き、2005年には過去最低の1・26まで落ち込みました。翌年からは上昇に転じ、2008年に1・37まで急回復しました。女性が30歳代後半になって出産を急ぐ傾向などが、後押ししたと見なされています。

 ただ、その後は回復ペースが失速気味で、2009年は前年比で横ばいに。2010年はわずかに上昇したものの、2011年は再び横ばいとなりました。

 第一子を出産した平均年齢は30・1歳と、初めて30歳を超えました。また、母親の年代別に出産した子供の数をみますと、30歳代前半が最も多く全体の36パーセントを占めたほか、伸び率が最も高かったのは40歳代前半で、2010年より8ポイント余り増加し、晩産化の傾向が進んでいることがうかがえます。

 このほか、2011年に生まれた子供の数は、105万698人で、2010年よりおよそ2万人減って過去最低。一方、死亡した人は、東日本大震災の影響で125万3463人と戦後、最も多くなりました。その結果、出生数から死亡数を引いた「自然減」の人数は、20万2765人と過去最多となりました。

 厚生労働省は、「ここ数年、いわゆる団塊ジュニア世代の30歳代後半から40歳代前半の女性の出産が増加し、出生率は上昇傾向だったが、20歳代の出生率は上がっておらず、少子化の流れは変わらない」と話しています。

 国立社会保障・人口問題研究所は、今後も生涯未婚の女性の割合が増えたり、夫婦がもうける子供の数が減ったりするなど、少子化の傾向が続くとみており、出生率も低下基調を見込んでいます。同研究所の推計では、2020年代前半には1・33程度になり、その後は1・35前後で推移する見通し。

 人口を維持するには、2・07程度が必要とされます。海外では、米国が2・01(2009年)、フランスが1・99(同)、ドイツが1・39(2010年)など。

 2012年6月5日(火)

 

■80歳で自分の歯20本、初の30パーセント超 厚労省調べ  

 80歳で自分の歯を20本以上持つ日本人が初めて30パーセントを超えたことが1日、厚生労働省の「2011年歯科疾患実態調査」でわかりました。推計値で38・3パーセント。

 40歳以上のすべての年齢層でも、自分の歯を20本以上持つ人が2005年の前回調査から増え、特に75~79歳では20ポイント以上の大幅増でした。

 20本は、入れ歯なしにほとんどの食べ物を食べられる目安となる本数。80歳で20本あることを目指す「8020(ハチマルニイマル)運動」を推進する同省は、歯周病の治療や周知が進んだことなどが要因とみています。

 歯科疾患実態調査は1957年以降、6年ごとに実施。10回目の今回は昨年11月、全国の1歳以上の男女4253人を対象としました。

 厚労省によると、20本以上の歯を持つ人は、85歳以上では17・0パーセント(前回8・3パーセント)と、前回から8・7ポイント増えました。80~84歳では28・9パーセント(同21・1パーセント)、75~79歳は47・6パーセント(同27・1パーセント)、70~74歳では52・3パーセント(同42・4パーセント)など。

 調査結果は5歳刻みですが、ピンポイントの80歳については前後の年齢層の数値から推計し、38・3パーセントで過去最高。2005年の前回調査では、24・1パーセントでした。

 また、虫歯や歯周病で失われた歯の数は平均で、40歳代後半で1・5本、50歳代後半で4・1本、60歳代後半で7・2本で、いずれも前回調査より少なくなっていました。

 調査時に虫歯があった子供の割合は、5歳で50・0パーセント(前回60・5パーセント)、14歳は52・6パーセント(同71・0パーセント)など、5~14歳のほとんどの年齢で改善しました。

 1日の歯磨き回数は、2回が48・3パーセント、3回以上が25・2パーセントで、合わせると73・5パーセントに達しました。

 厚労省では、「歯を失う最大の原因である歯周病を悪化させないよう、きちんと歯磨きをする意識が広がっていることが成果につながっている。10年後には80歳で20本の歯が残っている人の割合を50パーセントまで引き上げたい」としています。

 なお、親知らずを除くと、永久歯は28本。乳歯は20本。

 2012年6月4日(月)

 

■ポリオの不活化ワクチン接種、今秋スタート 混乱の収拾に期待

 ポリオ(小児まひ)の不活化ワクチンが4月下旬、厚生労働省の承認を受け、今秋から乳幼児への接種が始まる見通しとなりました。これに合わせ、現行の生ワクチンの接種は終了します。

 生ワクチンではポリオウイルスに100万人に1・4人の割合で感染し、手足がまひするなどの後遺症が出ることがあり、近年は接種を控える動きが広がっていました。不活化ワクチンも登場で混乱の収束が期待されますが、過去の生ワクチンの接種歴により不活化の接種回数が変わるため、当面は注意が必要。

 ポリオの不活化ワクチンは、ジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合と合わせた4種混合ワクチンと、単独ワクチンの2種類の準備が進んでいました。このうち、フランスの製薬会社・サノフィパスツールが申請した単独ワクチンが4月27日に承認され、9月1日の先行導入が決まりました。

 ポリオは口から入ったポリオウイルスが中枢神経を侵してまひを引き起こし、手足に一生続く障害を残すことがあります。日本では1960年に新潟県、北海道、九州地方で大流行し、61年から生ワクチンの服用が全国的に実施されています。1980年には自然感染によるポリオが根絶され、1981年以降は発生ゼロの年が続きました。

 しかし、生ワクチンは毒性を弱めた生きたウイルスが原料のため、接種が原因でポリオ患者が発生したため、厚労省は約10年前から、まひを起こさないように化学処理した不活化ワクチンへの切り替えを模索。開発方針の変更などが影響して導入が遅れている間に、保護者らの生ワクチンへの抵抗が拡大し、90パーセント台だった接種率は2011年秋には76パーセントまで落ち込みました。

 現在、生ワクチンの接種は生後3カ月から7歳6カ月未満を対象とし、原則無料ですが、これは不活化ワクチン導入後も変わりません。生ワクチンで2回だった接種回数は4回に倍増し、生後3~12カ月に20~56日の間隔をあけて3回接種し、3回目の接種後6カ月以上たってから4回目を受けます。

 ただし、過去に生ワクチンを1回受けていれば不活化ワクチン1回分と見なし、残りは3回必要。生ワクチンが2回済んでいれば、不活化ワクチンは不要。これまでに個人輸入で不活化ワクチンを接種していた場合は、全部で4回となるように残りの回数を調整します。

 11月には4種混合ワクチンの導入も予定されます。既存の3種混合の接種歴も絡んで対応は複雑にみえますが、厚労省の担当者は「不活化ポリオワクチンを計4回分、3種混合ワクチンを計4回分、それぞれ完了するように受ければよい」と解説します。最終的に必要回数を満たすなら、保護者の希望や医師の判断で11月以降に4種混合を選択可能。8月以降に生まれる子は、4種混合の4回接種に統一される予定です。

 現行の生ワクチンは飲むタイプですが、不活化ワクチンは上腕に皮下注射します。また、生ワクチンは春と秋に市区町村で集団接種するケースが多かったのに対して、不活化ワクチンは個人で医療機関を受診する方法が基本で、一年中受けられます。乳幼児の予防接種は多くの種類があり、保護者のスケジュール管理が一層重要になります。

 2012年6月3日(日)

 

■子供の紫外線対策、皮膚科医で作る学会が指針

 過剰な紫外線を浴びることは健康にさまざまな悪影響を与えるとして、皮膚科の医師で作る日本臨床皮膚科医会は、子供が屋外で過ごす際、時間を工夫することなどを学校現場に求める指針を初めてまとめました。

 この指針には、子供が学校や幼稚園などで過ごす際の紫外線対策が示されています。このうち外で活動する時間については、紫外線の強い午前10時から午後2時までの時間を避け、運動会などの学校行事も春ではなく紫外線に対する肌の抵抗力が強くなる秋に行うよう勧めています。

 また、紫外線のおよそ60パーセントをカットできるとして、つばが7センチ以上の帽子をかぶることや、肌の露出をできるだけ抑えるため袖や襟がついた服を着ることを呼び掛けています。

 このほか、小学校などで化粧品であるとして、使用が禁止されていることが多い日焼け止めクリームについても、特にプールでの授業などの際には活用するよう勧めています。

 新陳代謝が活発な子供の日焼け対策を巡っては、必要かどうか皮膚科医の間で議論がありましたが、日本臨床皮膚科医会では過剰な紫外線を浴びることは健康に悪影響があるとして今回初めて指針をまとめ、今後学校現場などに対策を呼び掛けていくことにしています。

 太陽の光は骨を丈夫にするビタミンDを作るというメリットもある反面、この20年間で紫外線の量が緩やかに増えてきていて、特に有害な種類の紫外線が多くなっているという指摘があります。皮膚が未熟で薄い子供は、とりわけ影響を受けやすいされています。紫外線の積み重ねが将来、大人になってから皮膚がんを引き起こしたり、目を痛めたりすることもわかってきました。

 しかも、今の季節から対策を始めたほうがいいといわれています。紫外線の量は夏場がピークですが、この時期はまだ肌が紫外線に慣れていないので、ちょっとした光でも日焼けしやすいといわれます。

 指針をまとめた皮膚科医の1人、岡村理栄子医師は「子供は皮膚が薄く紫外線を反射する力も弱いため、大人よりもダメージを受けやすい」とし、「外で元気に活動することはメリットも大きいのでむやみに紫外線を怖がることはないが、自分から積極的に紫外線を浴びたり無防備に強い光にさらされたりすることは避けたほうがいいので、できる範囲で対策を取ってほしい」と話しています。

 2012年6月2日(土)

 

■日本人の確定平均寿命、女性は86・30歳、男性は79・55歳

 厚生労働省は5月31日、日本人の平均寿命などをまとめた完全生命表を発表しました。昨年7月に発表した簡易生命表の確定版で、2010年の平均寿命は女性が86・30歳、男性が79・55歳となりました。

 昨年7月発表の簡易生命表で2010年の平均寿命は女性86・39歳、男性79・64歳でしたが、今回の完全生命表で男女とも0・09歳ずつ低く補正されました。前回調査の2005年の完全生命表と比べると、女性は0・78歳、男性は0・99歳延びました。

 主要国・地域の直近の統計と比べると国際的な順位は変わらず、女性は26年連続で世界一、男性も香港、スイス、イスラエルに次いで世界4位と、日本は世界でトップクラスの長寿国となっています。

 厚労省は推計人口を基に算出した簡易生命表を毎年公表し、完全生命表は国勢調査で確定した人口を基に5年に1度発表しています。

 平均寿命は、その年の出生児が平均で何歳まで生きるかを予測したもの。

 一方、厚労省が初算出して1日に発表した健康寿命によると、2010年は女性73・62歳、男性70・42歳になりました。健康寿命は、介護を受けたり病気で寝たきりになったりせず、自立して健康に生活できる期間を示します。

 社会の高齢化が加速する中、厚労省は「健康に長生きすること」を重視。2013~2022年度の国民の健康づくり計画案に、「健康寿命を延ばす」とする目標を盛り込みます。

 健康寿命を都道府県別でみると、女性は静岡県の75・32歳が最も長く、最短は滋賀県の72・37歳でした。男性で最も長いのは愛知県の71・74歳、最短は青森県の68・95歳でした。

 最長と最短の差は女性で2・95歳、男性で2・79歳あり、国民の健康づくり計画案では、こうした都道府県格差の縮小も目標とします。

 2012年6月1日(金)

 

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