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健康ダイジェスト

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■マダニ媒介の新感染症で国内初の死者 山口県の成人女性

 厚生労働省は30日、野外のマダニが媒介する新種のウイルスによる感染症で、山口県の成人女性1人が昨年秋に死亡していたと発表しました。中国で集団発生した新種のウイルスにより、国内で感染が確認されたのは初めて。

 厚労省は同日、全国の医療機関に対し、同じような症状で患者が死亡した場合は直ちに報告するよう求めました。

 感染症はSFTS(重症熱性血小板減少症候群)。中国で2009年以降に数百例の患者が出ているほか、米国でも発生が報告されています。2011年に新種のウイルスが特定されました。野外にいるマダニにかまれることで主に感染し、発熱や吐き気、下痢などの症状が現れ、血液中の血小板が減ります。

 厚労省によりますと、昨年秋、山口県内の病院に発熱や嘔吐などの症状を訴えて入院した女性の患者1人が、血小板の値などが著しく低下して全身の状態が悪化し、発症後1週間で死亡したということです。

 患者は直近の海外渡航歴や輸血歴はなく、感染経路は不明。患者の家族や治療に当たった医療関係者は、いずれも発症していません。

 国立感染症研究所(東京都新宿区)が調査をしたところ、患者の血液などからSFTSを引き起こすウイルスが検出されたということですが、中国のウイルスとは遺伝子配列の一部が異なっていたことから、以前から山口県に限らず国内に広がっていた可能性があるといいます。

 SFTSの潜伏期間は6日から2週間で、致死率は10~30%パーセント。今のところ有効なワクチンや薬はなく、対症療法が中心になります。

 SFTSウイルスを媒介するマダニは体長3~4ミリで、衣類や寝具など家庭内に生息するイエダニとは別種類。アジアやオセアニアに分布し、国内でも青森県以南の山野に生息しています。

 厚労省は、草むら、やぶなどマダニが多く生息する場所では長袖、長ズボンを着用してかまれないようにし、活動が盛んな春から秋は特に注意するよう呼び掛けています。

 ダニが媒介する感染症に詳しい馬原アカリ医学研究所(徳島県阿南市)の藤田博己所長は、「マダニ類は日本全国どこにでもいる。犬の散歩などでも人にも犬にもくっつく。かまれても最初はほとんど気付かないだろう。体長は成虫で3ミリぐらいあり、何日間か血を吸って満腹になると体から落ちる。問題は、ウイルスを持ったダニの分布がわかっていないことで、今後は本格的な調査が必要だ」と話しています。

 2013年1月31日(木)

 

■風疹が関東や関西を中心に流行 妊娠中の風疹感染で新生児6人に障害

 風疹の流行が昨年から続き、妊娠初期の女性が感染して障害がある新生児が生まれたケースが相次いで報告されています。厚生労働省は、妊娠を希望する女性や妊婦の家族などに予防接種を受けるよう呼び掛ける通知を都道府県などに出しました。

 発熱や発疹、リンパ節がはれるなどの症状が出る風疹は、患者のせきやくしゃみを通じて感染します。妊娠初期の女性が感染した場合は、生まれてくる新生児が心臓や耳、目などに障害が出る先天性風疹症候群になる恐れがあります。

 国立感染症研究所(東京都新宿区)によりますと、昨年10月から今月にかけて大阪府、兵庫県、埼玉県、香川県で生まれた合わせて6人の新生児が、先天性風疹症候群と診断されたということです。

 風疹は昨年の春以降、関東や関西を中心に大流行し、昨年1年間の患者数は2353人と、すべての患者数の報告を集める今の統計方法になってからの過去5年間で最も多くなりました。

 今年に入ってからも流行は収まらず、今月20日までの3週間に新たに風疹と診断された患者は154人で、昨年の同じ時期の9倍となっています。患者の8割近くは男性で、その多くが子供のころに風疹の予防接種を受けていない20歳代から40歳代。

 このため厚労省は、都道府県などに通知を出し、この中で、妊娠を希望する女性を始め、風疹の抗体が十分にないことが検査でわかった妊婦の夫や同居する家族で風疹にかかったことがなく、予防接種を受けていない人に対して、予防接種を受けるよう呼び掛けています。

 国立感染症研究所の多屋馨子室長は、「去年の今頃は1週間に数人の報告だった。風疹は通常、春先から夏にかけて流行するので、今年は今後どんどん患者が増えていく可能性がある。妊娠を希望する女性と周りの男性は予防接種を受けてほしい」と話しています。

 2013年1月30日(水)

 

■iPSストック、来月にも作製開始 1例目で日本人2割をカバー

 京都大iPS細胞研究所は、移植用の細胞や臓器を作るためのiPS細胞(人工多能性幹細胞)をあらかじめためておく「iPS細胞ストック」計画の1例目を2月上旬に始めます。日本人で最も多い白血球の型を持つボランティアの血液から作り、日本人のうち約2割の人への移植に使えるといいます。

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した所長の山中伸弥教授が27日午後、神戸市であったシンポジウムで明らかにしました。

 iPS細胞は患者自身の皮膚や血液の細胞から作ることができますが、時間がかかるため、病気や事故で緊急に移植が必要になった際は間に合いません。また、患者ごとに作っていると、費用が膨大になります。

 そこで山中所長らは、移植しても拒絶反応を起こしにくい特殊な白血球型を持つ人たちの細胞を元に事前にiPS細胞を作っておき、必要に応じて迅速、安価に提供できるようにストックしておくことを計画。昨年9月に京都大の倫理委員会から承認を得ていました。

 今回、血液を提供するボランティアは、過去に京大病院を受診したことのある健康な人だといいます。品質管理を厳しくして質のよい細胞を厳選するため、作製まで半年ほどかかるといいます。

 山中所長は、「患者本人からiPS細胞を作ると半年かかる。1カ月以内の移植が必要な脊髄損傷などの場合、間に合わない」と指摘し、「来月早々にも採血し、臨床応用できるレベルのiPS細胞の作製を開始する予定だ」と語りました。 

 2013年1月29日(火)

 

■長期にわたる低炭水化物食、死亡率高まる可能性 厚労省の研究班

 ご飯やパンなどの炭水化物の摂取が長期にわたって少ない人は、多い人よりも死亡率が高まる可能性があるとする調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめ、米科学誌プロスワンに26日発表しました。

 炭水化物の摂取を極力控えるダイエット法に一石を投じる成果として、注目されます。

 国立国際医療研究センターの能登洋・糖尿病代謝内分泌科医長らが、米国と欧州で30歳代〜70歳代の男女20万人以上を5〜26年にわたって追跡した住民健康調査などの9データを解析。

 追跡期間中、計約1万6000人が死亡していましたが、総摂取カロリーに炭水化物が占める割合が40パーセント以下と低い人の死亡率は、炭水化物の摂取割合が60パーセント以上と高い人の1・3倍で、統計上の明確な差が出ました。死亡率が高まる理由は、よくわかっていません。

 炭水化物を抑えた食事は「低炭水化物ダイエット」「糖質制限ダイエット」などとも呼ばれ、短期的には血糖値が下がり、コレステロールの値が改善するなど、心疾患のリスクを下げるとの報告があります。ところが、今回の解析では、長期間の低炭水化物食が心疾患のリスクを下げる傾向はみられませんでした。

 能登医長は、「なぜ死亡率が高まるのか、原因の究明が課題だが、低炭水化物食は短期的には減量などに効果があっても、長年続けることには慎重になったほうがよい。日本人も含めたさらなる検証の必要性がある」と話しています。

 低炭水化物ダイエットは、元々は糖尿病治療として始まりました。減量の効果は科学的にはほぼ実証され、血糖値の改善も効果が示され、米国や英国の糖尿病学会は治療の選択肢の一つとして認めています。しかし、メカニズムや安全面で不明な点も多く、「長期間続けても大丈夫という科学的な証拠はない」「肉食中心だと、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる可能性がある」との指摘もあり、日本糖尿病学会ではどう扱うか慎重に議論をしています。

 2013年1月28日(月)

 

■喫煙女性の健康リスク激増、禁煙すればリスク激減 米国の研究チーム

 喫煙する女性が肺がんなどのたばこに関連する疾患にかかる危険は、今や過去数十年間で最も高まっているとの研究結果が、24日の米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」電子版に発表されました。

 55歳以上の成人女性220万人以上を対象としたこの研究では、喫煙女性の間で肺がんや慢性閉塞性肺疾患など、疾病死が顕著に増加していることがわかりました。非喫煙女性と比較した肺がんリスクは、1960年代の喫煙女性では2・7倍でしたが、現代女性では25・7倍でした。

 喫煙によるリスクの増加は、この間の医学の進歩を大きく上回っていると研究チームは指摘しています。

 研究を率いた「米国がん協会」元名誉副会長のマイケル・トゥン医師は、女性をターゲットに「ライト」や「マイルド」と銘打ったたばこが増えたことが、健康上の悪影響が増大した背景の少なくとも部分的な説明になると指摘しています。軽めのたばこから出る希釈された煙のほうが、ニコチンに慣れた体がいつものニコチン量を吸収しようとして、より肺の奥まで深く煙を吸い込むからだといいます。

 同誌にはこの研究論文と同時に、カナダのトロント大学付属セント・マイケルズ病院のプラブハット・ジャー医師による、喫煙者の寿命に関する論文も掲載されています。こちらの研究によれば、全く喫煙経験のない人よりも喫煙者のほうが寿命が平均10年短いといいます。

 これら2つの研究結果は、「米国よりも、もっと最近になって喫煙が定着していった多くの発展途上国にとって、深い含意を持っている」とトゥン医師は懸念しています。

 一方で、明るい材料もあります。トゥン医師の研究では、何歳になってからでも禁煙すれば、あらゆる主要な喫煙関連疾患による死亡率が劇的に下がることが確認されました。また、単に吸うたばこの本数を減らすよりも、完全に禁煙するほうがはるかに効果が高いこともわかりました。

 さらに、40歳までに禁煙した場合、たばこの吸い過ぎに関連した死のほとんどを避けることができるといいます。34歳以下で禁煙に成功した人は喫煙を続ける人より平均余命が10年長くなり、全くたばこを吸ったことがない人とほとんど同じ生存確率を示しました。禁煙に成功した年齢が35~44歳の場合でも、喫煙を続ける人より平均余命が9年長くなりました。

 喫煙によるダメージよりも、「禁煙した場合の恩恵のほうがずっと早く現れるということは朗報だ。何歳でもかなりの効果がある」とトゥン医師は述べています。

 2013年1月27日(日)

 

■スギ花粉、来月上旬から飛散の見込み ピーク期間長く、昨年より多量

 今年のスギとヒノキの花粉が飛び始める時期は、全国的に例年よりも3日前後遅くなり、最も早いところでは来月上旬ごろと予測されています。

 環境省が25日、発表したスギ・ヒノキ花粉の飛散量予測(第2報)によりますと、今年、スギの花粉が飛び始める時期は今後、気温の低い日が続くとみられることから、全国的に例年より3日前後遅くなる見込みだということです。

 最も早いのが中国の一部で来月上旬ごろ、九州、四国のほぼ全域、中国と近畿のそれぞれ南部、それに東海と関東南部などで来月中旬ごろ、中国と近畿のそれぞれ北部、北陸、関東北部などで来月下旬ごろ、甲信越と東北南部の一部などで3月上旬ごろ、東北中部から北海道にかけて3月中旬以降と予想されます。

 また、スギやヒノキの花粉の飛ぶ量がピークとなる時期は、九州、中国、四国、東海、関東南部などで3月上旬から中旬ごろ、関東北部などで3月中旬ごろ、近畿、北陸などで3月下旬から4月上旬ごろ、東北で4月上旬から中旬ごろとなる見込みです。全国的に例年と比べてピーク期間が長く、ピーク前後の10~20日間にかなり多くの量が飛ぶといいます。

 花粉の飛ぶ量は、北海道や中国地方の一部、四国、九州で例年よりやや少ないものの、それ以外は例年並みか例年を上回り、特に関東や東海、北陸は大きく増える見通しです。

 予測飛散量は先月の第1報に比べ、全体的にさらに多めになりました。少なかった昨年春に比べると、さいたま市や名古屋市で6倍を超え、東京都で約4・9倍(例年の1・9倍)になると予測しています。環境省はピーク前の2月中旬に、第3報を出す予定。

 環境省は、「気象条件によって予測が変わることもあり、花粉の最新情報に注意し、早めの対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 2013年1月26日(土)

 

■インフルエンザ患者、急増して140万人に 1週間で約2倍

 インフルエンザの患者の数が1週間で2倍近く増え、全国で140万人と推計されることがわかりました。特に小学校や中学校で流行が拡大しているとみられています。

 国立感染症研究所(東京都新宿区)によりますと、今月14日から20日までの1週間に、全国約5000カ所の定点医療機関を受診した患者数は1施設当たり22・58人で、前の週の12・07人の2倍近くに増えました。この値を基に推計した全医療機関の受診者数は約140万人で、今シーズン初めて100万人を超えました。

 定点医療機関当たり受診者数を都道府県別にみると、福島県の38・63人が最多で、次いで茨城県の36・18人、群馬県の35・66人、長崎県の34・50人、千葉県の34・17人などの順で、関東や九州などを中心に各地で流行が本格化しています。2週連続して、すべての都道府県で前週から増えたことになります。

 1つの医療機関当たりの患者の数が30人に達し、大きな流行が疑われる警報レベルの地域があるのは、28の都道府県と前の週の9県から大幅に増えました。

 また、推計患者数を年齢別にみると、5〜9歳が14・3パーセントで最も多く、以下は30歳代が13・6パーセント、0〜4歳、10〜14歳、20歳代、40歳代が各11・4パーセントなどと続いています。14歳以下が占める割合は、前週の27・5パーセントから37・1パーセントに増加。特に5歳から14歳が占める割合は、前の週の2・5倍以上に急増しました。

 流行の主流はA香港型で、全国的な流行が始まった昨年12月中旬以降に検出されたインフルエンザウイルスのうち、90パーセント以上を占めています。

 厚生労働省によりますと、インフルエンザの流行に伴い、先週、休校や学級閉鎖などの措置をとった小学校や中学校などは、全国で2108の施設に上りました。

 内訳をみますと、幼稚園が222施設、小学校が1124校、中学校が593校、高校が115校などとなっています。冬休みが終わった後、教室などでインフルエンザの感染が広まったためとみられ、都道府県別では、茨城県で390、兵庫県で165、東京都で128、埼玉県で127、千葉県で124など関東を中心に全国で増加しています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「特に子供たちの間でインフルエンザの感染が広がっている。学校や塾のほか、人が多く集まる場所に行く時はできるだけマスクを着用し、こまめにうがいや手洗いをして十分に休息や栄養をとるなど予防策を徹底してほしい」と呼び掛けています。

 2013年1月26日(土)

 

■毛髪再生、iPSで前進 慶応大が毛包再生に成功

 体のさまざまな組織になるヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を用い、毛髪を作り出したり支えたりする組織「毛包」を部分的に再生させることに成功したと、慶応大学の大山学専任講師(皮膚科学)らの研究チームが23日までに、米科学誌電子版に発表しました。

 毛包は毛穴より下にある組織で、主にケラチノサイトという皮膚細胞でできた筒の形をしており、底部分に発毛の命令を出す毛乳頭細胞があります。毛髪やひげなどは毛包から生えてきますが、毛包の数には限りがあるため、移植して薄毛や脱毛の治療に使うには限界があります。

 慶応大学の研究チームは、ヒトのiPS細胞に特定のタンパク質などを加え、ケラチノサイトになる直前の皮膚細胞に変化させました。さらに、皮膚細胞に毛包を作るよう働き掛ける毛乳頭細胞の代わりに、同様の力を持つ若いマウスの幼若線維芽細胞をケラチノサイトになる直前の皮膚細胞に混合して培養。拒絶反応をなくした別のマウスの皮膚の下に移植したところ、2週間から3週間でマウスとヒトの細胞が混ざった毛包の組織と毛髪ができました。

 研究チームでは、できた毛包の一部は、遺伝子の特徴からヒトのiPS細胞が変化したものだとしています。

 ヒトの毛乳頭には大量採取が難しいなどの問題があるため、今回は採取が容易な若いマウスの皮膚細胞を用いました。ヒトのiPS細胞から毛乳頭を作ることができれば、今回の方法を応用して完全なヒトの毛包を再生させることが可能になると期待できるといいます。

 研究チームの大山専任講師は、「iPS細胞からヒトの髪の毛ができる可能性を示すことができた。一部にマウスの細胞を使う必要があるなど課題は多いが、薄毛や脱毛の治療への応用を目指し研究を進めたい」と話しています。

 2013年1月25日(金)

 

■難病患者への福祉サービス、まず130疾患 4月に施行

 政府は15日に、4月に施行される障害者総合支援法の政令を閣議決定し、18日に政令が公布されました。障害福祉サービスの対象となる難病に、関節リウマチ、ギラン・バレー症候群、潰瘍(かいよう)性大腸炎など130疾患を指定しました。

 4月1日以降、支援の認定を受ければ、入浴や食事などの援助を受けられるようになります。

 障害者総合支援法は、障害福祉サービスを定めた障害者自立支援法を改正したもの。昨年6月に自民、公明、民主の賛成多数で成立しました。

 障害者の範囲に新たに難病を追加することが主な柱で、対象疾患は政令で決めることになっていました

 130疾患は、医療費助成や厚労省研究班の対象になっている臨床調査研究分野の疾患。障害福祉サービスの対象疾患かどうかの判断は各市町村の医師の診断書で確認し、受けられるサービスが決まる障害程度区分の認定は市町村で行います。

 難病患者の場合、通常の障害者に比べて症状が一定しない疾患が多いことから、障害区分の認定が難しく、130疾患のうち2割程度の重症患者しか障害者手帳の発行が認められていませんでした。今後は、手帳のない難病患者でも一定以上の障害が認定されれば、重症度に応じたサービスが受けられます。

 また、130疾患に対してはすでに難病患者等居宅生活支援事業があり、ホームヘルプ、短期入所事業、日常生活用具給付事業といった福祉サービスを受けられます。しかし、市町村によっては窓口がなかったり、制度自体が知られていないなどの理由で、利用は極めて少ない状況でした。その点、障害者福祉サービスは約511万人が利用しており、全国の市町村に窓口があるため、難病患者にとっても利用しやすくなると予想されます。

 厚労省は難病対策の法制化を視野に入れ、医療費助成の対象疾患を現行の56疾患から300疾患以上に拡大する方針を打ち出しており、それに伴う福祉サービスの対象者も大幅に増えるとみられます。しかし、法制化の具体的なメドはまだ立たず、障害者総合支援法の施行が先行することから、130疾患でスタートすることにしました。

 障害福祉サービスの対象となる難病130疾患は、脊髄小脳変性症、シャイ・ドレーガー症候群、モヤモヤ病(ウィリス動脈輪閉塞症)、正常圧水頭症、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群、フィッシャー症候群、慢性炎症性脱髄性多発神経炎、多巣性運動ニューロパチー(ルイス・サムナー症候群)、単クローン抗体を伴う末梢神経炎(クロウ・フカセ症候群)、筋萎縮性側索硬化症、原発性胆汁性肝硬変、脊髄性筋萎縮症、球脊髄性筋萎縮症、脊髄空洞症、パーキンソン病、ハンチントン病、進行性核上性麻痺、線条体黒質変性症、ペルオキシソーム病、ライソゾーム病、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病(GSS)、致死性家族性不眠症、亜急性硬化性全脳炎(SSPE) 、進行性多巣性白質脳症(PML)、 後縦靭帯骨化症、黄色靭帯骨化症、前縦靭帯骨化症、広範脊柱管狭窄症、特発性大腿骨頭壊死症、特発性ステロイド性骨壊死症、網膜色素変性症、加齢黄斑変性、難治性視神経症、突発性難聴、特発性両側性感音難聴、メニエール病、遅発性内リンパ水腫、PRL分泌異常症、ゴナドトロピン分泌異常症、ADH分泌異常症、中枢性摂食異常症、原発性アルドステロン症、偽性低アルドステロン症、グルココルチコイド抵抗症、副腎酵素欠損症、副腎低形成(アジソン病) 、偽性副甲状腺機能低下症、ビタミンD受容機構異常症、TSH受容体異常症、甲状腺ホルモン不応症、再生不良性貧血、溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間血色素尿症)、不応性貧血(骨髄異形成症候群) 、骨髄線維症、特発性血栓症、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、急速進行性糸球体腎炎、難治性ネフローゼ症候群、多発性嚢胞腎、肥大型心筋症、特発性拡張型(うっ血型)心筋症、拘束型心筋症、ミトコンドリア病、ファブリー病、家族性突然死症候群、原発性高脂血症、特発性間質性肺炎、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、劇症肝炎、特発性門脈圧亢進症、肝外門脈閉塞症、バット・キアリ症候群、肝内結石症、肝内胆管障害、膵嚢胞線維症、重症急性膵炎、慢性膵炎、アミロイドーシス、ベーチェット病、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎・皮膚筋炎、シェーグレン症候群、成人スティル病、高安病(大動脈炎症候群)、バージャー病、結節性多発動脈炎、ウェゲナー肉芽腫症、アレルギー性肉芽腫性血管炎、悪性関節リウマチ、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、好酸球性筋膜炎、硬化性萎縮性苔癬、原発性免疫不全症候群、若年性肺気腫、ランゲルハンス細胞組織球症、肥満低換気症候群、肺胞低換気症候群、肺動脈性肺高血圧症、慢性血栓塞栓性肺高血圧症、混合性結合組織病、神経線維腫症Ⅰ型(レックリングハウゼン病)、神経線維腫症Ⅱ型、結節性硬化症(プリングル病)、表皮水疱症、膿疱性乾癬、天疱瘡、大脳皮質基底核変性症、重症多形滲出性紅斑(急性期)、リンパ脈管筋腫症(LAM)、進行性骨化性線維異形成症(FOP)、色素性乾皮症(XP)、スモン、下垂体機能低下症、クッシング病、先端巨大症、原発性側索硬化症、有棘赤血球を伴う舞踏病、HTLV-1関連脊髄症(HAM)、先天性魚鱗癬様紅皮症。

 2013年1月24日(木)

 

■世界初、iPSから腎臓細胞 京大グループ、高効率で作製

 ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)から腎臓の細胞を作り出すことに、京都大iPS細胞研究所(所長・山中伸弥教授)に所属する長船健二准教授らのグループが、世界で初めて成功しました。22日付の英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載されました。

 作製した細胞を腎臓の5種類の部位に分化させることにも成功。これらを使って腎臓疾患などを再現できれば、世界中に多くの患者がいる腎臓病の治療薬研究に役立つほか、将来的には腎臓を作製(再生)することにもつながると期待されています。

 グループは、皮膚から作ったヒトiPS細胞に、腎臓の細胞への分化を誘導するとみられる化合物と、「アクチビンA」と「BMP7」という2種類のタンパク質を加えて培養しました。10日目には全体の90パーセント以上が、腎細胞の元になる「中間中胚葉」と呼ばれる細胞群になったといいます。

 さらに約2週間培養を続けた結果、尿細管や糸球体など腎臓の一部になり、腎臓に分化する能力があることが確かめられました。

 中間中胚葉をマウスの体内に移植して培養しても、同様に腎臓の一部に分化しました。また、中間中胚葉にマウスの胎児の腎臓細胞を加えて培養したところ、管状の器官が作られることも確認、立体的な腎臓の作製につながる可能性も確認できたといいます。

 今回、作製したのは、約20種類ある腎臓の部位のうち5種類ですが、残りも作製可能とみており、部分的に腎臓に移植する細胞療法での活用も期待されます。

 長船准教授は、「腎臓は構造が複雑で研究が進んでいない。腎臓の元となる細胞を大量に作り出せたことは、再生医療につながる大きな一歩だ」と話しています。

 2013年1月23日(水)

 

■米国産牛肉、2月1日にも輸入規制を緩和 厚労省

 厚生労働省は22日、BSE(牛海綿状脳症)対策を見直し、米国産の牛肉輸入規制を2月1日に緩和する方針を明らかにしました。対象を月齢20カ月以下に限っていたのを月齢30カ月以下に広げ、輸入に際しこれまで求めてきた脳や脊髄など特定危険部位の除去も今後は求めません。

 規制緩和が実施されれば約7年ぶり。緩和を踏まえた牛肉が実際に日本に入ってくるのは、2月下旬から3月上旬の見通しです。

 厚労省によると、現行の月齢20カ月以下では、米国で食肉処理される牛肉の半分以下しか輸入対象となりません。月齢30カ月以下に緩和すれば、9割以上が輸入可能になるといいます。28日に開催する薬事・食品衛生審議会での了承を経て正式決定します。

 緩和の対象は、米国と同様に月齢20カ月以下に輸入を限定しているカナダのほか、現在は輸入を認めていないフランスとオランダの4カ国。米国に加え、カナダ、フランスも30カ月以下、オランダは12カ月以下の輸入を認めます。

 輸入規制を巡っては、厚労省の諮問を受けた内閣府の食品安全委員会が昨年10月、月齢30カ月以下に緩和しても「リスクの差は非常に小さく、人への健康影響は無視できる」との答申をまとめました。これを受け、厚労省は4カ国と協議し、各国の安全体制に問題はないことをおおむね確認しました。

 BSEは英国で1990年代に広がり、日本では2001年に初の感染牛が確認されました。輸入牛を巡っては1996年に英国産を中止、2000年にEU諸国産、2003年には米国、カナダ産を禁止としました。米国とカナダ産牛肉は2005年12月、月齢20カ月以下を条件に輸入を再開していました。

 日本はアジア最大の牛肉輸入国で、農林水産省によると日本の2011年の牛肉輸入量は51万8227トン。米国産の輸入量は12万684トンで豪州に次いで2位。米国でBSE感染牛が確認された2003年の26万7583トンに比べ、55パーセント減少しています。

 内閣府食品安全委員会のプリオン専門調査会によると、世界のBSE感染牛の発生数は1992年の3万7316頭をピークとして、その後は大幅に減少しており、2010年は45頭、2011年は29頭にとどまっています。発生原因と考えられる感染牛の肉や骨が混入した「肉骨粉」の飼料への使用を制限したことなどが、功を奏しました。

 2013年1月22日(火)

 

■精子保存の費用助成基金を設立 白血病の男性患者が対象

 白血病の男性患者が治療によって子供が作れなくなる前に、精子を凍結保存する費用を支援しようと、白血病の患者を支援しているNPO「全国骨髄バンク推進連絡協議会」(東京都千代田区)が基金を設立しました。

 名称は「志村大輔基金」。血液疾患の患者の経済的負担の軽減を訴えながら、2012年に39歳で亡くなった慢性骨髄性白血病の患者の名前を冠した名称で、志村さんの同級生の勤務先である外資系の金融機関「ゴールドマン・サックス」(東京都港区)が基金の原資を寄付。一般からも寄付を募り、年間1500万円程度を給付できるようにするといいます。

 白血病の治療では、骨髄移植のほかに、がん細胞を集中的に減らす抗がん剤が開発されてから、症状が改善する患者が大幅に増えていて、治療が一段落した後、冷凍保存した精子で子供を作る男性患者も増えています。しかし、白血病の治療自体にも多額の費用がかかるほか、精子の採取と保存には年間数万円かかるため、患者の中には精子の保存をためらう人もいるということです。

 このため志村大輔基金では、白血病などの血液疾患で骨髄移植をする予定の45歳以下の男性患者を対象に、精子の採取と保存をする場合に20万円を上限に支援することにしています。骨髄移植を行うと副作用で生殖機能が失われる可能性がありますが、事前に精子を保存すれば、完治後に子供を持つことが可能となります。

 また、性別にかかわらず、白血病などの血液疾患で高額の費用がかかる抗がん剤治療を長期間続ける患者に対しても、所得に応じて年間30万円を上限に支援するということです。白血病などの女性患者の卵子保存については、協議会が別の基金を設立する予定。

 協議会は、「将来を見据えて精子を保存することは厳しい治療に希望を持って立ち向かう原動力にもなる。今後は寄付も募って多くの患者が利用できるようにしたい」と話しています。

 問い合わせは、全国骨髄バンク推進連絡協議会「志村大輔基金」(電)03・6693・2840。

 2013年1月21日(月)

 

水銀の規制「水俣条約」と命名し合意 国連の政府間交渉

 スイスで開かれた水銀規制条約制定の政府間交渉委員会は19日、新たな条約の制定に向けた内容で合意し、閉会しました。名称も「水銀に関する水俣条約」と決めました。

 水俣病の原因物質で、今も世界各地で健康被害や環境汚染が指摘されている水銀の使用や貿易、排出を国際的に規制する仕組みができます。

 条約は10月9~11日に、熊本市と水俣市で開かれる会議で採択される予定。発効には50カ国の批准が必要で、国連環境計画は2016年の発効を目指しています。

 合意された内容には、最終処分する目的など一部を除いて水銀の輸出入を禁止することや、水銀が使用されている一部の電池や蛍光灯、血圧計、体温計、スイッチ、農薬など16品目の製造や輸出入を2020年までに禁止すること、それに新規の鉱山からの水銀の産出を禁止し、既存の鉱山についても条約の発効から15年後までに禁止すること、大気への排出削減のために新設の石炭火力発電所などに最良の設備を義務付け、水銀を含む廃棄物を適切に管理・処分することなどが盛り込まれました。

 理念をうたう前文には、日本の提案に沿って「水俣病を教訓にして水銀を適正に管理し、将来にわたって二度と同じ問題を引き起こさない」という文言が盛り込まれました。一方、日本が前文に記載するよう求めていた、被害補償や環境回復を汚染者が担う「汚染者負担の原則」は明記されませんでした。

 今回、世界的に条約の制定に動き出した背景には、各地で広がる水銀による健康被害や環境汚染があります。

 国連環境計画によりますと、2010年の水銀の大気中への排出量は推計で1960トンに上り、小規模な金の採掘現場からが37パーセントと最も多く、次いで、発電などで使う石炭の燃焼からが24パーセントなどとなっています。

 途上国の金の採掘現場では、砂金と水銀を混ぜて火であぶり、水銀を蒸発させて金を抽出する作業が行われていて、作業員が水銀を含んだ蒸気を吸い込んだり、水銀が周辺に排出されたりしていて、健康被害や環境汚染が懸念されています。

 水俣病を経験した日本は、国内での水銀の使用は大幅に減らしましたが、使用済みの蛍光灯などに含まれる水銀をリサイクルして、現在も年間100トン前後、アジアやヨーロッパなどに輸出しています。このため、今後、条約の発効によって水銀の輸出が規制されれば、国内で余る水銀をどのように長期間保管したり処分をしたりしていくのか課題となっています。

 アメリカでは、水銀を液体の状態で屋内の施設で保管していますが、専門家は地震など自然災害の多い日本では安全管理上、適切ではないと指摘しています。現在は、水銀を固形化する技術の開発も進められていますが、実用化には時間がかかる見通しで、保管や処分にかかる費用を誰が負担するかも課題となります。

 熊本学園大学の中地重晴教授は、「日本は水銀をリサイクルする仕組みができているが、輸出する先がないのであれば日本の中で保管をしなければならない。地震国であり、なかなか適地がないかもしれないが、何らかの形で長期保管するような方法を検討して、システムとして作ることが必要だ」と話しています。

 2013年1月20日(日)

 

うつ病の発症メカニズムを解明 思春期のストレスが一因に

 成長期のマウスにストレスを与えると、脳の活動を調節する遺伝子の働きが低下し、認知力の低下などにつながるとする、うつ病発症のメカニズムを名古屋市の大学などの研究チームが発表し、新たな治療薬の開発に役立つとしています。

 研究を行ったのは、名古屋市にある名城大学の鍋島俊隆特任教授と名古屋大学、京都大学などからなる研究チーム。共同研究成果は18日付で、米科学誌サイエンスに掲載されました。

 うつ病などの精神疾患は成長・発達期の心理的ストレスなども原因とされますが、発症する詳しいメカニズムは不明でした。

 研究チームでは、うつ病などを発症しやすくしたマウスを、集団と一匹ずつ隔離した場合に分けて、それぞれ人間の思春期に当たる生後5~8週にわたって飼育しました。

 そうしたところ、集団飼育したマウスには異常は見られなかったものの、隔離したマウスには、音に過敏に反応したり、意欲が低下したり、認知力が低下したり、動きに活発さがなくなるなど、うつ病や統合失調症の症状が認められ、脳を刺激する「ドーパミン」という神経伝達物質を作る遺伝子の働きが大幅に低下していたということです。

 注意力や意思決定に関係する神経回路では、ドーパミンが減って働きが鈍っていた一方、幻覚や妄想にかかわるとされる脳の部分では、刺激を受けるとドーパミンが増えました。また、発症したマウスは、血液中のストレスホルモンの量が増えていました。

 うつ病などの症状は、集団飼育に戻しても治らなかったものの、飼育の前に、あらかじめストレスで分泌されるホルモンの働きを抑えておくと現れなかったということです。

 こうしたことから研究チームは、ストレスによって脳の活動を調節する遺伝子の働きが低下してうつ病などが発症するというメカニズムが初めてわかったとしています。

 鍋島特任教授は、「発症の仕組みがわかり、新たな治療薬の開発に役立つ」と話しています。

 2013年1月19日(土)

 

インフルエンザ患者急増、本格的な流行間近か

 インフルエンザの患者が全国各地で急増しています。国立感染症研究所(東京都新宿区)が医療機関からの報告を基に推計したところ、今月7日から13日までの1週間にインフルエンザで受診した患者は、全国でおよそ80万人に上るとみられることがわかりました。

 年齢別に見ると、20歳代と30歳代が共に15・0パーセントで最も多く、以下は40歳代が13・8パーセント、0〜4歳と5〜9歳が共に10・0パーセントなどの順。20歳以上の成人が65パーセントを占めています。

 インフルエンザを定点観測している全国約5000カ所の医療機関から報告されたインフルエンザの患者は、1機関当たりの平均で12・07人と4週連続で増え、全都道府県で前週より上昇しました。過去10年で2番目の流行となった昨年を上回るペースで、感染の流行が広がっています。

 都道府県別では、群馬県が27・71人、茨城県が25・88人、千葉県が22・52人、栃木県が21・80人、福島県が20・74人、埼玉県が20・44人などと続いており、関東などを中心に流行が拡大しています。大きな流行の発生が疑われる30・0人の警報レベルの地域があるのは、9つの県に達しています。

 去年9月以降に検出されたウイルスの型の分析では、A香港型が86パーセントと最も多く、次いでB型が9パーセント、4年前に「新型」として流行したウイルスは5パーセントにとどまっているということです。

 昨年10月下旬から増加が続き、12月中旬には全国的な流行入りの指標となる1・0人を超えており、感染研の安井良則主任研究官は「12月中に定点当たり報告数が1・0人を超えた場合、翌年の1月中旬以降に本格的な流行が到来するシーズンが多い」としています。

 また、「インフルエンザは本格的な流行に入りつつある。今は大人が流行の中心で、子供があまり出入りしない高齢者施設などでも注意が必要だ。患者数は今後さらに増える見込みで、手洗いや十分な睡眠など予防策を徹底するとともに、少しでも症状がある人はマスクの着用を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 2013年1月18日(金)

 

■自殺者、15年ぶり3万人下回る 若年層は増加傾向

 昨年1年間に自殺した人は全国で2万7766人と前の年より2885人(9・4パーセント)減り、1997年以来15年ぶりに3万人を下回ったことが、警察庁の統計(速報値)でわかりました。

 年間の自殺者は、警察庁が統計を取り始めた1978年から1997年までは2万~2万5000人台で推移していましたが、金融不安や景気悪化が拡大した1998年に急増し3万人を突破。以降3万人を超え続け、ピーク時の2003年に最多の3万4427人に上り、2010年以降は毎年1000人以上減っていました。

 統計によると、内訳は男性が1万9216人(前年比1739人減)、女性が8550人(同1146人減)。男性の自殺者が2万人を下回ったのも、1997年以来15年ぶりです。

 都道府県別では、自殺者が最も多いのは東京都の2760人で、前の年より360人減りました。次いで多いのが大阪府の1720人で204人の減少、神奈川県が1624人で228人の減少、埼玉県が1549人で118人の減少などとなっています。

 一方、最も少なかったのは鳥取県で130人、次いで徳島県が164人、島根県が168人などとなっています。東日本大震災の被災3県は宮城県が508人(前年比25人増)、岩手県が353人(同48人減)、福島県が452人(同73人減)。

 月別の前年比は3月が4・9パーセント増、2月が0・4パーセント増、10月が0・1パーセント増となったほかは、いずれも減少しました。5月は25・5パーセント、6月は24・1パーセントの大幅減。人数は3月が最も多く2584人、5月が2516人、4月が2434人でした。

 年齢別の内訳を昨年11月までの統計で見ると、60歳代が全体の18パーセントと最も多く、次いで40歳代と50歳代がそれぞれ17パーセント、30歳代が14パーセントとなっています。若年層は増加傾向にあり、20歳未満は前年比36人増の622人、20歳代は同209人増の3304人、30歳代は833人増の4455人となっています。

 また、原因・動機別では、健康問題が最も多く、次いで経済・生活問題、家庭問題などとなっています。

 内閣府自殺対策推進室の担当者は、若年層が増加傾向にあることについて「雇用環境の悪化などを背景に若年層は依然多い」と指摘し、15年ぶりに3万人を下回ったことについては「各自治体の実情に合った取り組みが効果を上げているのではないか。ただ依然、2万8000人近い人が自殺をしており、まだまだ対策が必要だ」と話しています。

 自殺を巡っては、年間3万人超を機に国が対策に乗り出し、2006年に自殺対策基本法を施行。昨年8月には新たな「自殺総合対策大綱」を決めました。

 2013年1月17日(木)

 

■インフルエンザ患者急増、東京都は全域で注意報レベルに

 全国各地でインフルエンザ患者が急増しています。東京都では、2013年第2週(1月7~13日)に、インフルエンザを定点観測している411の医療機関から報告されたインフルエンザの患者が、1施設当たり14・27人となり、全域で注意報レベルの目安とされる10人を超えました。

 前週最も多かった群馬県は27・71人に増加、警報レベルとされる30人に迫りました。

 例年、年末年始の休みが明けてから、新学期の始まりとともに学童らの間でインフルエンザ流行が拡大する傾向にあります。群馬県、東京都ともに、第2週に急激な伸びを示しています。

 東京都は17日、インフルエンザの患者が急激に増え、今後、大きな流行になる恐れがあるとして、インフルエンザの流行注意報を出しました。流行注意報が都内に出るのは、昨年と比べて1週間早いということです。

 患者報告数が平均して10人を超えたのは、都内31保健所中25保健所。管内人口の合計は、東京都全体の87パーセントになります。検出されたインフルエンザウイルスは、A香港型が9割以上を占めているといいます。

 東京都によりますと、昨年までの5年間では1月下旬から2月上旬にかけて患者の数がピークを迎え、注意報よりも高いレベルの警報を出しているということで、帰宅時の手洗いやうがいを徹底するほか、乾燥しがちな室内での適度な加湿、換気の促進を呼び掛けています。

 2013年1月17日(木)

 

■新型インフルエンザ法で、大学や百貨店など使用制限対象に

 毒性や感染力の非常に強い新型インフルエンザが発生し、国内で流行する恐れがある場合、感染の拡大を防ぐ目的で都道府県知事が使用を制限できるのは、原則として大学や百貨店など面積が1000平方メートルを超える施設とする方針が決まりました。

 新型インフルエンザに対応する特別措置法がこの春に施行されることから、専門家で作る国の有識者会議は、具体的な対策について検討しています。

 15日の会合で、新型インフルエンザが流行する恐れがある場合、感染の拡大を防ぐために、都道府県知事が法律に基づいて使用を制限する施設について協議しました。その結果、多くの人が集まり、さらに仕分けが容易なことから、届け出が必要な大型店と同じ、面積が1000平方メートルを超える施設を対象とする方針を決めました。

 毒性や感染力の強さによっては、これ以下でも使用を制限することがあるとしています。

 具体的には、大学などの教育機関、劇場、運動・遊戯施設、集会・展示施設、百貨店(食品売場などを除く)、娯楽施設などが制限の対象で、病院などの医療施設や食料品店、銀行などは、日常生活の維持に欠かせないとして制限の対象から外されます。

 施設の使用を制限する場合、知事はまず、広く営業などの自粛を求め、応じない施設に対しては、施設名の公表も含めた個別の要請や指示を行うということです。

 感染が広がりやすい小中高校や保育所などには、規模にかかわらず施設の使用制限も含めた要請を行います。

 有識者会議は、近くまとめる中間報告にこうした方針を盛り込むことにしていて、国の行動計画の策定に反映されることになっています。

 2013年1月16日(水)

 

■水銀の規制、新条約制定へ向け国連の会合 今も世界各地で健康被害

 水俣病の原因となった、水銀の使用や輸出入などを国際的に規制する新たな条約の制定に向けて、条文の内容を議論する国連の政府間交渉が日本も参加して、日本時間の13日からスイスで始まりました。

 スイスのジュネーブで始まった会合には、日本を含めたおよそ120カ国から政府関係者やNGO(非政府組織)など、およそ900人が参加しました。

 世界の水銀を巡っては、途上国を中心に環境汚染や健康被害が問題となっており、国連環境計画が3年前から汚染防止のための新たな国際条約について議論を続けてきました。今回の会合は、今年10月の採択を目指して18日まで開かれ、最終日には条文の内容や名称が決定される予定。

 開会式で、ウルグアイのフェルナンド・ルグリス議長は、「日本の水俣病を二度と繰り返さないためにも、我々は今回の会合で合意に至らなくてはならない。皆さんにさらなる努力を求めます」と述べました。

 これまでに作成された条文案には、水銀の輸出入を最終処分する目的などを除いて制限することや、水銀が使われている体温計、血圧計、蛍光ランプ、歯の治療用合金など一部の製品の製造や輸出入を禁止すること、それに、大気や水、土壌への排出を削減することなどが盛り込まれています。

 また、水銀が原因となった水俣病を経験した日本は、公害の教訓を世界で共有してもらおうと、条約の名称を「水俣条約」にするよう提案しています。

 一方、環境保護を訴える複数の国際的なNGOは、条文案について汚染を招いた企業などに被害者の補償を義務付けていないなど、規制は不十分だと指摘しています。

 今、国際的に水銀の使用や輸出入を規制する条約を作ろうとしている背景には、世界各地で広がる水銀による健康被害や環境汚染があります。

 カナダ中部のオンタリオ州では、1970年前後から、工場の排水に含まれた水銀に汚染された魚を食べた先住民の間で、手足のしびれや視野が狭くなるなどの健康被害が相次ぎました。カナダ政府は公式に認めていませんが、調査に当たった日本の医師は、これらの症状は「水俣病」に特有の症状だと診断しています。

 また、水銀による汚染は、アジアやアフリカなど世界各地で今も続いています。

 国連環境計画によりますと、2010年の水銀の大気中への排出量は推計で1960トンに上り、小規模な金の採掘現場からが37パーセントと最も多く、次いで、発電などで使う石炭の燃焼で24パーセントなどとなっています。

 途上国の金の採掘現場では、金を抽出する作業に水銀が使われるため、作業員が水銀を含んだ蒸気を吸い込んだり、水銀が周辺に排出されたりしていて、健康被害や環境汚染が懸念されています。

 水銀による汚染に詳しい熊本学園大学の中地重晴教授は、「いろんなところでまだまだ水銀が使われ、あるいは環境中に排出されていて、なおかつ魚などを通じて人間の体の中に入ってきて、健康被害が出る。水俣病の教訓を水俣に学んで、水銀による健康被害や環境汚染を防止するのであれば、法的な規制をきちんと作る必要がある」と話しています。

 2013年1月15日(火)

 

■国内初、「卵子バンク」事業を開始 医師らで構成する民間団体 

 卵巣機能が低下した患者を対象に、第三者から健康な卵子をもらって夫の精子と体外受精させ、妊娠を目指す民間団体「OD−NET卵子提供登録支援団体」(岸本佐智子代表)が14日、卵子を提供してくれる女性を募集する事業を始めると発表しました。

 匿名で無償のボランティアを登録し、条件が合った患者に提供する「卵子バンク」を目指します。海外で日本女性らから卵子提供してもらう団体はありますが、国内での提供を目指す団体は初といいます。団体は不妊治療専門医や患者関係者で構成されます。

 提供者への金銭的な報酬はなく、排卵誘発剤による副作用など何らかの異常が起こった場合、かかった医療費を患者側が負担します。

 OD−NET卵子提供登録支援団体では、卵子提供者(ドナー)の要件を満たす女性は、 ▽原則35歳未満で、すでに子のいる成人女性であること▽提供には配偶者の同意が必要(配偶者がいる場合)▽提供のための採卵回数が3回以内であること ▽卵子提供について十分に理解していること、としています。

 一方、卵子提供を受けられる被提供者(レシピエント)は、生まれ付きの体質で卵巣機能が低下している女性(ターナー症候群など)や、若くして卵巣機能が低下して月経が止まってしまう早発閉経の女性が対象で、▽医師によって、卵子がないと診断された女性であること ▽年齢は登録申請時40歳未満であること▽法律上の夫婦関係にあること、を要件としています。

 2013年1月14日(月)

 

■海外で卵子提供を受ける女性急増 金沢大学が実態調査 

 30歳代半ばを過ぎると妊娠しにくくなる「卵子の老化」が原因の不妊が増える中、海外で別の若い女性から卵子の提供を受けて出産する妊婦が急増していることが、金沢大学のグループの調査でわかりました。卵子提供についての実態調査は初めてで、専門家は国内の法整備や妊婦が安心して出産できる医療態勢作りを急ぐべきだと指摘しています。

 金沢大学の日比野由利助教のグループは、昨年10月、卵子提供の実態を調べるため国内の周産期医療を扱う医療機関を対象にアンケート調査を行い、25パーセントに当たる679の施設から回答を得ました。

 その結果、海外で別の女性から卵子の提供を受けて出産した妊婦は、確認できただけで2011年は63人と、その4年前の3倍に急増していることがわかりました。卵子提供を受けた国は、最も多かったアメリカのほか、タイやロシアなど6カ国に上りました。また、卵子を提供するのは現地の外国人の女性のほか、最近では日本の若い女性が仲介業者を通して海外に行き、卵子を提供するケースも出てきているといいます。

 これについて日比野助教は、「日本では事実上認められていないため、卵子の老化が原因で自分の卵子で妊娠できない女性が、最後の選択肢として別の女性から卵子を提供してもらうケースが増えているのではないか」とみています。

 生まれた子供は日本では出産した女性の子供と認められる一方で、卵子提供による妊婦を受け入れる国内の医療態勢が十分には整っていないことも、わかりました。

 分娩の際のリスクについて43パーセントの医師が高いと答えた上で、具体的な危険性として、早産や、最悪の場合、母子ともに命の危険がある妊娠高血圧症候群などを挙げています。

 しかし、卵子提供による妊娠とわかった場合、「分娩を断る」と答えた医療機関が4パーセントあったほか、「別の病院を紹介する」と答えた医療機関が22パーセントに上っていました。分娩を断る理由としては、「関与したくない」と答えた医療機関もありました。

 日比野助教は、「分娩を断る医師もいるため卵子提供を隠して出産する女性もおり、明らかになった卵子提供を受けた女性の数は氷山の一角だと思う。国内で卵子提供をどう扱うのか法整備を急ぐとともに、妊婦が安心して出産できる医療態勢作りを急ぐ必要がある」と話しています。

 法律や医師で作る学会の指針などに基づいて卵子提供が行われているアメリカには、日本から多くの女性が卵子提供を求めて訪れています。このうちサンフランシスコの卵子提供を仲介する業者には、今、およそ200人が卵子提供を申し込んでいるということです。

 日本語が話せるスタッフがいるこの業者には、日本からの相談が増える傾向にあり、昨年1年間で600人を超えたということです。費用は1回およそ500万円で、申し込むカップルは10年ほど前は医師や弁護士など所得の高い人たちが大半でしたが、最近では公務員や会社員が最も多いということです。

 この会社の川田ゆかり社長は、「申し込む人たちは、長く不妊治療で苦しんだ末の選択として、どうしても子供が授かりたいという気持ちで来ています。今年の5月ぐらいまで日本の休日に当たる日は予約でいっぱいです」と話しています。

 また、タイの産科婦人科学会の幹部によりますと、ここ数年、卵子提供のためタイを訪れる日本人が急増し、年間数百人が卵子の移植を受けているということです。

 2013年1月13日(日)

 

■感染性胃腸炎、流行のピークを超える インフルは患者数急増

 全国各地で流行しているノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数が3週連続で減り、今季のピークを越えたとみられることが、国立感染症研究所(東京都新宿区)の調査でわかりました。

 11日の感染研発表によると、最新の1週間(昨年12月24~30日)に全国3000カ所の小児科のある医療機関を受診した患者数の平均は、1施設当たり11・39人(速報値)でした。前週の17・00人からは3割以上減っています。

 都道府県別では、香川県の21・00人が最多で、以下は鳥取県の19・74人、高知県の17・37人、茨城県の17・19人、宮崎県の17・17人などの順。西日本で報告数が多くなりました。

 感染性胃腸炎は例年12月に流行のピークを迎え、この時期の流行はノロウイルス感染によるものが多くなっています。

 この冬の流行は、2002年以降では2006年に次いで多い水準で推移。12月3〜9日の週には定点当たり報告数が19・62人に達しましたが、これをピークに減少が続いています。

 感染研ウイルス第2部の片山和彦室長は、「ノロウイルスのピークは越えたが、例年、1~3月に小さな流行が再度来るので油断は禁物」と話しています。

 一方でインフルエンザは、最新の1週間(昨年12月24~30日)に全国約5000カ所の医療機関を受診した患者の平均が3・35人と、前週の2・23人の1・5倍に増えています.

 都道府県別では、42都道府県で前週より増えました。群馬県の15・05人が最多で、以下は栃木県の10・72人、佐賀県の10・26人、埼玉県8・08人、沖縄県7・79人などの順。地域別に見ると、関東地方で報告数が多くなりました。

 例年のインフルエンザの流行では、1月中に定点医療機関当たりの報告数が30人を超え、ピークを迎えることが多くなっています。

 2013年1月12日(土)

 

■市販薬のネット販売、解禁状態に ネット大手が相次ぎ参入表明

 医師の処方箋なしで買える一般用医薬品(市販薬)のインターネット販売を原則禁じた厚生労働省令が有効かが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(竹内行夫裁判長)は11日、省令は無効だとする判断を示しました。国の上告が棄却され、販売できる権利を業者に認めた昨年4月の二審・東京高裁判決が確定しました。

 この判決により、薬剤師らが説明して販売する態勢を整えている業者については、医薬品のネット販売が全面解禁された状態となりました。ただ、安全性の観点から慎重論も根強く、新たな規制が必要かどうか議論になりそうです。

 訴えていたのは、楽天の子会社「ケンコーコム」(東京都港区)と、「ウェルネット」(横浜市)。省令で規制されていなかった当時からインターネットで販売しており、「営業の自由の侵害だ」と主張していました。

 2009年6月に全面施行された改正薬事法は、副作用のリスクに応じて一般用医薬品を最も注意が必要な第一類、2番目に注意が必要な第二類、最も安全性が高い第三類の3つに分類。リスクの高い薬は薬剤師が客に情報提供して販売することなどを定めましたが、ネット販売を禁じた条文はありませんでした。

 一方、同時に施行された省令では、副作用の強い胃薬や毛髪薬、風邪薬、漢方薬などについて、薬局などでの対面販売を義務付けました。

 裁判では、上位のルールである薬事法の趣旨を超えて、省令が過度に規制しているかが争点となりました。2010年3月の一審・東京地裁判決は「健康被害を防ぐ規制として薬事法の範囲内だ」と2社の請求を退けましたが、二審判決はネット販売を明確に禁じる規定が薬事法にないことを重視し、省令は違法で無効と結論付けました。

 この判決を受けて、ケンコーコムは11日、一般用医薬品の第一類について販売を再開しました。

 ケンコーコムでは一般用医薬品第一類および第二類のインターネット販売を制限した改正薬事法省令の施行以後、省令の特例措置となる継続購入者や離島在住者に限定して第二類の医薬品を販売していましたが、第一類に関しては販売を行っていませんでした。

 現在、ケンコーコムでは安全性を確保するため、薬剤師が顧客と副作用についてインターネットを使った電話やメールでやり取りしたり、過去に購入した薬を顧客ごとに管理し、同じ薬を大量に購入できない仕組みを導入したりしているということです。

 ネット通販の大手企業も相次いで11日、一般用医薬品の販売を準備することを発表しました。このうち、ネット上でヤフーショッピングを運営するヤフーは、これまでも規制で認められていたビタミン剤などを扱ってきましたが、今後はこれらに加えて胃薬や風邪薬などについても、インターネットを通じて販売する準備を進めるとしています。また、ネット上で楽天市場を運営する楽天も、出店店舗が一般用医薬品をネット販売できる環境を整えるとしています。

 一方、全国のドラッグストアなどでつくる「日本チェーンドラッグストア協会」は今回の判決について、「インターネットによる販売の利便性を認めることは大事だと考えているが、安全性や日常的な健康管理の重要性が失われる恐れもあり、ネット通販の事業者には一定のルールを定めて行ってもらいたい」と話しています。

 2013年1月11日(金)

 

■自家移植でも拒絶反応なし iPS細胞、マウスで確認

 iPS細胞(人工多能性幹細胞)をそのまま移植したマウスの実験で拒絶反応が起きたとみられるというアメリカの大学チームの研究結果に対し、放射線医学総合研究所(千葉市稲毛区)などの研究チームは、iPS細胞を皮膚などの細胞に完全に変えてから移植した実験では、拒絶反応はほとんど起きなかったという研究結果をまとめました。

 臨床応用の可能性を広げる研究結果で、10日発行のイギリスの科学雑誌「ネイチャー」のオンライン版に発表されています。

 体のあらゆる組織や臓器になるとされるiPS細胞は再生医療への応用が期待されていますが、アメリカのカリフォルニア大学サンディエゴ校の研究チームが行った実験で、iPS細胞をそのまま遺伝情報が同じ別のマウスに移植したら、体が異物と認識して拒絶反応が起きたとみられるという結果が2011年5月に公表され、注目されていました。

 これを受け、放射線医学総合研究所の荒木良子室長らの研究チームは、マウスのiPS細胞を皮膚と骨髄の細胞に完全に変えてから、遺伝情報がほぼ同じマウスに移植する実験を行いました。その結果、拒絶反応はほとんど起きず、数カ月以上にわたって定着したということです。

 この研究成果により、iPS細胞も自家移植の場合に拒絶を考慮する必要がないことが示され、臨床応用の前提条件が確認できたといえます。iPS細胞を利用した治療、例えば、重度の放射線障害のように、骨髄の機能不全により血液細胞の減少が生じ、感染症や出血が原因で死に至る場合への血液の細胞の再生による治療などの応用が期待されます。

 荒木室長らは、「iPS細胞も、自家移植の場合に拒絶反応を考慮する必要がないことが示され、臨床応用の前提条件が確認できた」と話しています。

 iPS細胞に詳しい国立成育医療研究センターの阿久津英憲室長は、「人の病気の治療に直接結び付くわけではないが、実験動物のレベルでは拒絶反応が起こらないことが確かめられたのは重要だ」と話しています。

 2013年1月10日(木)

 

■20年後、大都市周辺で勤務医不足 国際医療福祉大が予測

 20年余り後の2035年には、大都市周辺を中心に14都府県の31地域で病院勤務医の不足が深刻化する一方、18道府県の21地域では勤務医が余る可能性が高いことが8日、国際医療福祉大大学院の高橋泰教授の調査でわかりました。少子高齢化の進行で人口構成が変動し、地域ごとの患者のニーズと病院の受け入れ能力との差が広がるためです。

 調査では、複数の市区町村にまたがる「2次医療圏」(全国で349地域)ごとに、2035年までの人口構成の変化を反映させ、病院での医療が必要な人と勤務医の数を分析し、将来の過不足を独自に判定しました。

 人口10万人当たりの勤務医数が100人を割り込み、十分な診療を続けるのが難しくなりそうな31地域の多くは大都市のベッドタウンで、さいたま市や千葉県市川市、京都府木津川市など。

 現在でも勤務医が比較的少ない上に、高齢化が医療需要の増加に拍車をかけます。例えば、東京都心で働き埼玉県や千葉県に住む人は、勤務先の近くで受診することが多いものの、定年後は自宅近くの病院にかかるようになるからです。

 逆に、群馬県前橋市や島根県出雲市、高知市、長崎市のように、大学病院など医療機関が集中している21地域では、勤務医が余りがちになります。

 いずれも0~74歳人口がかなり減少する見込みの地域。人口10万人当たりの勤務医数は現在でも150~300人程度と手厚い上、病気のなり始めで症状の激しい「急性期」に対応する医療の必要度は人口減に伴い低下し、マンパワーに余裕ができます。

 一方で、受診が頻繁な75歳以上の高齢者は全国的に増える見通し。高橋教授は、「勤務医の地域偏在を解消し、急性期中心の医療から地域密着型の医療に転換していくべきだ」と提言しています。

 2010年時点の勤務医数や将来の人口増減率、医療需要の予想数値などを用いて調査。現在ある病院が存続する前提で、開業医数は考慮していません。

 勤務医不足が深刻化する可能性が高いのは、栃木県宇都宮市、群馬県伊勢崎市、埼玉県の川口市、朝霞市、春日部市、さいたま市、鴻巣市、千葉県の市川市、松戸市、成田市、東京都の墨田区、八王子市、立川市、小平市、神奈川県の横浜市鶴見区、藤沢市、厚木市、静岡県磐田市、愛知県の春日井市、豊田市、碧南市、岡崎市、豊橋市、滋賀県甲賀市、京都府木津川市、兵庫県伊丹市、福岡県の古賀市、筑紫野市、佐賀県鳥栖市、熊本県の宇土市、菊池市。

 勤務医が余る可能性が高いのは、北海道の芦別市、旭川市、青森県弘前市、秋田県秋田市、栃木県栃木市、群馬県前橋市、千葉県館山市、大阪府富田林市、奈良県天理市、和歌山県和歌山市、鳥取県米子市、島根県出雲市、広島県呉市、山口県宇部市、徳島県小松島市、高知県高知市、福岡県の飯塚市、北九州市、長崎県長崎市、熊本県の熊本市、水俣市。

 2次医療圏は、医療法に基づき各都道府県が設定する地域的な単位で、特殊な技術を除き、圏内で一般的な入院医療に対応できることを目指しています。人口規模や交通事情などで決められ、圏内にどれだけのベッド数が必要かを計算する時に基準となります。多くの場合は複数の市区町村を一つにまとめて都道府県内を3~20地域程度に分けており、全国に349地域あります。

 身近な医療を提供する市区町村ごとの「1次医療圏」、高度な先進的医療を提供し原則的に都道府県単位の「3次医療圏」もあります。

 2013年1月9日(水)

 

■後発医薬品の普及進み、利用者5割を突破 薬剤師の説明不足も

 価格が安い「後発医薬品」を使ったことがある人は、患者が使いやすいよう診療報酬が改定された昨年4月以降増える傾向にある一方で、薬を受け取る際に薬剤師から説明を受けていない人が半数近くに上るという調査結果がまとまりました。

 この調査は製薬会社の沢井製薬(大阪市淀川区)が去年10月、過去3カ月以内に医療機関で薬の処方・調剤を受けた全国の30歳代から60歳代の400人を対象に、インターネットを通じて行いました。

 後発医薬品は「ジェネリック医薬品」とも呼ばれ、成分が同じで価格が安い薬ですが、国は医療費を抑えるために昨年4月、処方箋の形式を変えたり調剤薬局で詳しい説明文書を渡したりして、患者が選びやすくなるよう診療報酬を改定しました。

 調査によりますと、「これまでに使ったことがある」と答えた人は50・5パーセントと半数を突破していて、中でも4月以降に初めて使った人は14・1パーセントと、改定を切っ掛けに利用が広がっていることがわかりました。

 その一方で、薬をもらう際、後発医薬品について説明を受ける機会が増えたかどうか尋ねたところ、45・7パーセントの人が「以前と変わらず説明されていない」と答え、説明文書を渡されるだけで薬剤師から積極的な説明はされていないことがうかがえます。

 「説明される機会が増えた」と答えた人は15・8パーセントで、「以前と変わらず説明されている」と答えた人も含めると40パーセント近くの人は、説明を受けていることになります。

 また、医師・薬剤師に対する後発医薬品の処方・調剤希望では、自ら希望したり、医師・薬剤師から勧められたりして、後発医薬品という選択肢を得た人も多い一方で、「希望したことも、医師・薬剤師から勧められたこともない」人が32・2パーセントと、以前より着実に減少しつつも、いまだ多く存在していることがわかりました。

 東京都薬剤師会の山本信夫会長は、「説明の仕方にもっと工夫が必要だ。薬剤師は安さだけでなく、安全性や効果をわかりやすく説明する努力をしなればいけない」と話しています。

 2013年1月8日(火)

 

■ノロ食中毒、過去最多約2000人 広島市で配達用弁当が原因

 先月、広島市にある食品会社が作った弁当を食べた人にノロウイルスによる食中毒が広がり、その後の市の調査で患者数が1976人に上ったことがわかりました。

 厚生労働省によりますと、今回の患者の数は、ウイルスによる集団食中毒の統計を取り始めた1998年以降、国内で最も多いということです。

 広島市保健所によりますと、広島市安佐北区にある食品会社「ダイヤス食品広島支社」が去年12月10日と11日に製造した仕出し弁当を食べた人が相次いで、下痢やおう吐などの症状を訴え、保健所はノロウイルスが原因の集団食中毒と断定しました。弁当の中身はご飯や漬け物のほか、10日はから揚げ南蛮やキャベツ、11日はハンバーグやエビフライでした。

 この食品会社では1日におよそ4700食の弁当を製造していたことから保健所が調査した結果、食中毒の症状を訴えた患者は、7日現在で広島県内の計580施設の計1976人に上ったことが判明しました。

 このうち30歳代の女性1人が一時、入院しましたが、ほかの患者の症状は軽かったということです。

 この食品会社でも、昨年末までに弁当の製造にかかわった従業員28人のうち7人の便からノロウイルスが検出され、先月13日から営業禁止処分となっていましたが、広島市保健所では再発防止策が取られたとして、7日、営業禁止処分を解除しました。

 ダイヤス食品広島支社の幾野彰支社長は、「手洗いの励行などが甘かったと反省している。2度と起こさないよう感染防止対策を徹底したい」と話しています。

 2013年1月7日(月)

 

■多少の体重過多なら健康にプラス 米疾病対策センター研究

 標準体重より2~3キロ太っているのは、そう悪いことではないかもしれないという新たなメタ分析の結果が1日、米国医師会雑誌とも呼ばれるジャーナル・オブ・ジ・アメリカン・メディカル・アソシエーションに発表されました。

 米疾病対策センター(CDC)のキャサリン・フリーガル氏らの研究チームは、北米、欧州、南米、アジアの100件近い研究データと、成人280万人の健康に関する情報を分析しました。

 サンプル対象者のうち約27万人が研究対象期間内に死亡しましたが、年齢や性別、喫煙歴といった他の条件を制御した比較対照の結果、体重と身長の関係から求められる肥満度指数(BMI)で「過体重」に分類されたグループのほうが、「普通体重」とされたグループよりも死亡リスクが6パーセント低くなりました。

 また、BMIで30以上35未満のやや肥満にあたる「肥満度2」のグループでは、同じ対象期間の死亡リスクが5パーセント低くなりました。

 しかし、BMI35以上の「肥満度3」「肥満度4」の本格的な肥満となると、死亡率は「普通体重」に比べて29パーセントも上昇しました。

 肥満は健康に悪いものの、多少の体重過多なら健康にプラスに働き得ることを説明できる理由は、いくつかあると研究チームは指摘。例えば、体脂肪が増えると心臓を保護するという代謝利点が得られる可能性や、脂肪の蓄積に余分があったほうが食事が困難な疾患時などに強いといった点を挙げています。

 フリーガル氏は2005年に、過体重と長生きの関連性を示した論文を発表し論議を呼びましたが、今回の研究はより膨大なデータに基づいています。

 ただし、CDCのトーマス・フリーデン所長は声明で、「肥満が不健康なことは明らかだ。糖尿病や心疾患、がん、その他多くの健康問題のリスクを上昇させる。少しずつでも持続的な運動を増やし食生活を改善することで、大きな健康改善になる」と強調しています。

 2013年1月6日(日)

 

■高齢者向け賃貸住宅急増 サービス内容など初の実態調査へ

 安否確認などのサービスが付いた高齢者向けの賃貸住宅が、制度が始まってから1年余りで全国で8万戸以上まで急増していることから、厚生労働省は全国の事業者を対象に初めての実態調査を行い、サービスの提供内容などについて検証を進めています。

 「サービス付き高齢者向け住宅」は、厚生労働省と国土交通省が一昨年の10月、高齢者が安心して住めるよう新たに設けたバリアフリー構造の賃貸住宅で、専門のスタッフが常駐し安否確認と生活相談のサービスが義務付けられています。

 この住宅は、国から建設費の補助が出ることなどから急速に増えていて、厚労省によりますと、制度が始まってから1年2カ月の昨年12月26日の時点で、全国でおよそ2750棟、8万2809戸余りに上っています。しかし、利用者などからは「スタッフが常駐していない住宅もある」といった相談も寄せられているということです。

 このため、厚労省は、全国の事業者を対象に初めての実態調査を行い、入居者の要介護度や安否確認の具体的な方法、それに介護サービスの提供内容などについて検証を進めています。

 厚労省は、「介護分野の経験のない事業者も参入しており、実態を把握した上で、安全や質を確保できるよう必要な対応を取りたい」と話しています。

 サービス付き高齢者向け住宅を巡っては、建設が進む一方で、居室の面積は「原則25平方メートル以上」という国が示した基準より狭い物件が全体の69パーセントに上ることも、民間の研究機関「高齢者住宅研究所」の調べでわかりました。

 高齢者住宅研究所は去年10月に、その現状を調べました。国の基準には、「一定以上の広さがある共用の浴室や台所を備えれば、居室は18平方メートル以上、25平方メートル未満でかまわない」という但し書きがあることから、家賃を抑えるなどの目的で最低限の広さにする業者が多いとみられます。

 また、安否確認と生活相談以外に提供されているサービスは、食事が95パーセント、掃除などの家事が54パーセント、入浴介助などの介護が52パーセントなどとなっています。

 運営事業者で作る「サービス付き高齢者向け住宅協会」の石川則子さんは、「お年寄り自身がそこで本当に生活できるのかよく考えて選んでほしい」と話しています。

 2013年1月5日(土)

 

■iPS細胞の技術で、免疫細胞の若返りに成功 日本の2チーム

 体のさまざまな細胞を作ることができるiPS細胞(人工多能性幹細胞)の技術を応用し、体内の異物を敵と認識して攻撃する免疫の細胞を若返らせることに、東京大学と理化学研究所のチームがそれぞれ成功しました。エイズなどの感染症やがんの治療に役立つ可能性があると期待されています。

 4日付米科学誌セル・ステムセルにそれぞれ論文を発表した両チームが注目したのは、免疫を担う細胞の1つであるT細胞と呼ばれる免疫細胞。がん化したり、ウイルスに感染したりした細胞が持つ目印(抗原)をアンテナ分子で認識し、これらを殺す働きがあります。

 体内の免疫細胞を活性化させる従来の免疫療法では、がん細胞や感染細胞を認識するT細胞を体外で増やして患者に戻しますが、もともと数が少なく、1~2週間とされる寿命を終えつつあるものもあるため、効果は限定的。

 理化学研究所の河本宏チームリーダーらのチームは、皮膚がんの一種である悪性黒色腫の患者のT細胞に、「山中因子」と呼ばれる遺伝子を入れて初期化し、iPS細胞を作りました。さらに、分化という操作でT細胞に戻したところ、98パーセント以上ががん細胞の抗原を認識でき、生まれたばかりの元気な状態になっていました。

 試験管での実験段階ですが、iPS細胞から何万倍ものT細胞を量産できるといい、数の少なさの問題も克服できます。

 河本チームリーダーは、「再生したT細胞が健康な細胞を傷付けず、がん細胞だけを攻撃するかを確かめるのが次のステップ」と話しており、他のがん抗原での作用の確認を計画中。

 一方、東京大学医科学研究所の中内啓光教授らのチームは、エイズウイルスに感染した人の血液からT細胞を取り出し、特定の遺伝子を加えてiPS細胞に変化させました。そして、白血球の細胞などと一緒に10週間、培養した結果、新しいT細胞を作り出すことに世界で初めて成功したということです。

 この新しいT細胞は、エイズウイルスを異物として認識した一方で、増殖する力が元の細胞の10倍から100倍ほどに強まり、寿命も伸びていたということで、チームではT細胞の働きを維持したまま、若返らせることに成功したとしています。

 中内教授は、「攻撃力の強い若いT細胞をいくらでも作ることができる。安全性を確認しながら、体内でも機能するかどうか確かめていきたい」と話しています。

 臓器の再生や創薬で注目されるiPS細胞の技術が、感染症やがんの治療に用いられれば、iPS細胞の応用範囲は大きく広がることになります。

 2013年1月4日(金)

 

■適度な運動で遺伝子の働き変化 信州大学教授ら解明

 適度な運動による健康維持効果には遺伝子の働きの変化がかかわっていることが、信州大学大学院医学系研究科(長野県松本市)の谷口俊一郎教授と橋本繁成助教らの研究で明らかになりました。糖尿病やがんなどの原因にもなる臓器の炎症を促進する遺伝子の働きが、運動後に抑制されることを確認しました。

 生命活動を担う情報が記録されている遺伝子の働きは、人の意思で変えられることを実証した形で、「遺伝子イコール運命」といった固定観念を改めて突き崩す成果といえそうです。

 谷口教授らは、遺伝子の働きを決める仕組みの一つで、メチル基という物質が遺伝子に付着する「メチル化(炎症性遺伝子修飾)」と呼ばれる現象に着目。臓器の炎症は体が有害なストレスや刺激を受けた時に生じますが、この時、炎症を抑える働きをする遺伝子は多くのメチル基が付いて働きが抑えられ、炎症を促進する遺伝子はメチル基がはがれて働きが活発化していると考えられています。

 信州大学では、能勢博・同研究科教授が開発したゆっくり歩きと早歩きを交互に繰り返す運動法「インターバル速歩」の効果と、遺伝子の関係を調べる「遺伝子解析コンソーシアム」に取り組んでいます。谷口教授らは「適度な運動をすると遺伝子の働きも若返るのではないか」との仮説を立て、コンソーシアムを通じて、インターバル速歩を半年間行った中高年グループの血液を採取して遺伝子の変化を調べました。

 働きが強くなりすぎると炎症を起こす原因になるタンパク質「ASC」の遺伝子を調べたところ、インターバル速歩を始める前はメチル化の割合が加齢とともに減り、働きが強まって炎症を起こしやすい状態でした。だが、速歩を始めて半年後にはメチル化の割合が高くなり、健康な若者のレベルに近付きました。橋本助教は、「年齢に換算すると25~30年の若返り効果があった」と説明しています。

 炎症を促進する働きがある別の遺伝子でも同様の変化が確認でき、運動による効果が多面的に現れることも判明。半年後にメチル化の割合に変化がみられた遺伝子は約30個に上ります。肥満やがん、うつに関係する遺伝子も含まれていることから、谷口教授らは今後、個々の遺伝子を一つ一つ調査し、遺伝子の働きの変化がどんな効果をもたらしているのかなどを解き明かしていく考えです。

 遺伝情報を伝えるDNA(デオキシリボ核酸)の一部である遺伝子の構造は基本的に変わりませんが、どの遺伝子がどの程度働くかは環境などの影響で変化することはこれまでの研究でも解明されています。

 谷口教授は、「遺伝子の構造は先天的に決まっていても、その働きは努力で変えることができる。DNAは運命ではない」と話しています。

 2013年1月3日(木)

 

■餅をのどに詰まらせ東京の男性死亡 窒息事故を防ぐには

 東京都内では元日の1日、高齢者など7人が餅をのどに詰まらせて救急車で病院に運ばれ、このうち68歳の男性が死亡しました。事故を防ぐため、専門家は「のどをお茶や水で湿らせてから、薄く、小さく切った餅をゆっくりかんで食べるようにしてほしい」と話しています。

 東京消防庁によりますと、1日の都内では「餅をのどに詰まらせた」という119番通報が相次ぎ、午後3時までに、いずれも60歳代以上の男女7人が病院に運ばれました。このうち、品川区の68歳の男性は朝、自宅で雑煮を食べた際に餅をのどに詰まらせ意識を失ったため、家族が救急車を呼びましたが、搬送先の病院で亡くなりました。また、足立区の76歳の男性は朝、自宅で焼いた餅をのどに詰まらせ、意識不明の重体だということです。

 東京消防庁によりますと、都内では年間に平均120人が餅や団子などをのどに詰まらせて救急搬送され、去年までの5年間で604人に上っています。月別で最も多いのは1月で36パーセント、次が12月で15パーセント。この2カ月で全体の半数を超えます。年齢別では65歳以上が89パーセントを占め、この時期の高齢者の窒息事故に注意が必要です。

 窒息事故に詳しい昭和大学歯学部の向井美惠教授によりますと、高齢者は、食べ物をかむ力や飲み込む力が弱まったり唾液の量が減ったりするほか、物がのどに詰まりかけた際にせきをして外に出そうとする反応も弱くなっているということです。

 向井教授は高齢者が餅を食べる際の注意点として、薄く短冊形に切ってから少しずつ食べる、食べる前に水や茶を飲んでのどを湿らせておく、ゆっくり何度もかんで唾液とよく混ぜてから飲み込むなどを挙げています。

 さらに、話をする時の息継ぎで気道に食べ物が入ってしまうことがあるため、餅を口に入れた際は話をしないこと、驚いた時は息を吸って食べ物が気道に入りやすいため、食事中には周囲の人が驚かせないことも大切だとしています。

 万が一、餅がのどに詰まった際の応急処置の方法を覚えておくことも重要です。東京消防庁は、大きな声で周囲に助けを呼び、119番通報をするとともに、周りの人が食べ物を詰まらせた人の意識があるか確かめ、反応があれば背中の肩甲骨と肩甲骨の間を4回から5回、強くたたくといった対処をするよう、ホームページなどで呼び掛けています。

 このほか、予防のために、従来の餅よりねばりが少なくかみ切りやすい商品も登場しています。長野県の製薬メーカーのキッセイ薬品工業が開発した「やわらか福もち」は、普通の御飯と同じ「うるち米」が主な原料で、「もち米」で作られた市販の切り餅に比べて、くっつきやすさが半分ほど、固さが4割ほどだということです。

 東京都豊島区にある特別養護老人ホームでは、うるち米で作った餅を使って汁粉などを作り、入所している人に出しています。ホームの管理栄養士は、「お年寄りは餅が大好きですが、窒息などの危険があって、施設としてなかなか使えないので、餅に近いものを出してあげたいという思いがあり、この商品を使うようになりました」と話しています。

 2013年1月2日(水)

 

■心肺蘇生、心臓マッサ-ジだけに集中で高救命率 日本循環器学会が分析

 突然心臓が止まった人に行う心肺蘇生について、人工呼吸と心臓マッサージを併用するよりも、心臓マッサージだけを行うほうが救命率が高くなるという分析結果を、日本循環器学会がまとめました。

 専門家が作った心肺蘇生のガイドラインでは、胸の真ん中を強く押して、血液の循環を維持する「心臓マッサージ」のほか、可能であれば、口から空気を吹き込む「人工呼吸」を行うことが求められています。しかし、人工呼吸をしている間は心臓マッサージができず、血液の循環が止まります。

 日本循環器学会は効果を検証するため、2005年から2009年までの5年間に、公共の場において居合わせた人の前で倒れて心肺蘇生が行われ、さらに電気ショックで心臓の動きを元に戻すAED(自動体外式除細動器)が使われたケース1376件について、詳しく分析しました。

 心肺蘇生で人工呼吸と心臓マッサージが併用されたケースは63パーセントあり、心臓マッサージだけが行われたケースは37パーセントでした。神経障害を伴わない心停止の1カ月後に社会復帰できた人の割合は、人工呼吸と心臓マッサージが併用されたケースは33パーセントだったのに対し、心臓マッサージだけが行われたケースは41パーセントで、心臓マッサージだけのほうが救命率が高いことがわかりました。

 これについて、分析を行った京都大学健康科学センターの石見拓講師は、「人工呼吸を行わない、心臓マッサージだけの心肺蘇生とAEDの電気ショックという組み合わせが、最も心停止になった人を救える可能性が高い。AEDの設置が進む日本においては、心臓マッサージとAEDを使った措置を行う人が増えれば、救命率はもっと上がると思う」と話しています。

 日本において医療機関外で心臓突然死に陥る人の数は、毎年およそ6万人とされます。2010年の1年間に目撃された心停止に対して公共の場のAEDが使われたケースは667件に上り、その45パーセントが救命されました。しかし、同じ2010年に目撃された心停止の総数は22463件あり、そのうちAEDが使用されたのは3パーセントでした。

 2011年12月現在、日本のAED設置台数は38万3247台。その内訳は医療機関が7万5076台、消防機関が1万1076台で、その他を公共施設など一般市民が使用できるAEDとすると、約29万7000台になります。

 2013年1月1日(火)

 

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