自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾/自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾
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■福島第一原発港湾内の魚から、51万ベクレルの放射性セシウムを検出
東京電力福島第一原子力発電所の専用の港湾内で、魚が外に出るのを防ぐ網にかかったアイナメから、これまでで最大となる1キログラム当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出されました。
福島第一原発に面した専用の港湾で捕獲された魚介類からは、非常に高い濃度の放射性セシウムが検出されるケースが相次ぎ、東京電力は今月8日、魚が港湾の外に出るのを防ぐ網を設置しました。
東京電力が今月17日に網を引き上げて、かかった魚を調べたところ、アイナメ1匹から1キログラム当たり51万ベクレルの放射性セシウムが検出されました。セシウム134が18万ベクレル、同137が33万ベクレルで、合わせて51万ベクレルとなりました。
この値は、原発事故後、魚から検出されたものとしては最大で、一般食品のセシウム濃度基準値(1キロ当たり100ベクレル)の5100倍に当たります。また、網が設置される前の昨年12月20日に捕獲されたムラソイ1匹から検出された、これまでの最大値である1キログラム当たり25万4000ベクレルのおよそ2倍になります。
東京電力は、魚が港湾の外に出るのを防ぐ対策をさらに強化するとともに、港湾の中で魚の駆除を進めることにしています。
東京電力の新妻常正常務は、「港湾内の海水の放射性物質濃度に変化はなく、事故初期に放出された高濃度汚染水が影響している。魚の移動を防いだり駆除したりといった対策を計画的に、かつ前倒しして取り組んでいきたい」と説明しています。
原子力発電所などの事故で環境中に放出され、海水や大気中に浮遊する放射性物質として、住民の健康への影響が問題になることが多いのは、セシウム137です。セシウム134は半減期が2年なのに対して、セシウム137は半減期が30年で、同じセシウムでも長期的な影響が違います。
セシウム137は、血液に入るといろいろな臓器に吸収され、白血病などを引き起こします。すでに被曝した場合には、セシウムを体外に排出させる薬剤を服用します。体に入らなくても、地面に降った後も長く放射線を出し続けたり、農作物や飲料水を通じて体内に取り込まれたりするので危険です。
2013年2月28日(木)
■基準値の2倍超で外出を自粛 PM2・5で環境省が対策指針を決定
環境省の専門家による検討会は27日、微小粒子状物質「PM2・5」の大気中濃度が環境基準値の2倍を超えると予測される日に、都道府県が住民に外出の自粛などを呼び掛けることを柱とした指針を決定しました。
中国では、車の排気ガスなどに含まれる極めて小さな粒子であるPM2・5の濃度が高くなり、深刻な大気汚染が続いていて、日本への越境汚染も懸念されています。
環境省は、これまで健康を維持するのに望ましいとされる基準値として、大気中のPM2・5の濃度が1日の平均で1立方メートル当たり35マイクログラム以下という数値を設けていましたが、基準値を超えた場合、どのような注意が必要なのか示していなかったため、専門家による検討会を設置し、議論を続けていました。
27日に開かれた検討会では、1日の平均濃度がこれまでの基準値の2倍に当たる1立方メートル当たり70マイクログラムを超えると予測された場合は、健康に影響を及ぼす可能性が高くなるとして、都道府県などが外出や屋外での長時間の激しい運動、それに部屋の換気を控えるよう注意を呼び掛けるとした指針を決定しました。
心臓や肺に持病のある高齢者や子供、ぜんそくなどの疾患がある人については、この数値を下回っても健康への影響が出る可能性があり、特に注意を促しています。
環境省は、新しい指針の数値について、アメリカで健康に影響を与える可能性があるとされる目安の値や、これまでの国内での研究結果などを参考に設定したとしていて、過去3年間で、全国で複数回、観測されているということです。
また、検討会は、早朝の1時間の平均濃度が1立方メートル当たり85マイクログラムを超えると、統計的に1日の平均濃度が新しい指針の数値を超える可能性が高くなるとして、注意を呼び掛ける際の目安にしてほしいとしています。
PM2・5については、来月から5月にかけて、黄砂とともに中国から国内に飛んでくる量が増える可能性もあり、環境省は早ければ今週中にも、新しい指針を全国の自治体に周知することにしています。
指針では、PM2・5による健康への影響を防ぐための身近な対策として、マスクや空気清浄機についても紹介。マスクについては、高性能の防じんマスクであれば、PM2・5の吸入を減らす効果があるとしています。使用する場合には、顔に密着するように着けなければ十分な効果が期待できないとし、着用すると少し息苦しいため長時間の使用には向かないとしています。
空気清浄機については、一部の製品はPM2・5を除去する上で有効性が確認されているとしていますが、効果はフィルターの有無や性能など機種によって異なるとしていて、使用する場合はメーカーに効果を確認する必要があるとしています。
新たな対策指針作りにかかわった委員の1人で、呼吸器やアレルギーに詳しい国立病院機構福岡病院の小田嶋博副院長は、「70マイクログラムを超えなければ、一般の人にとっては健康への影響を心配する必要のない濃度だと思う。呼吸器が弱い人やぜんそくがある場合には、高い濃度になるとせき込んだりすることがあるかもしれないので、薬を飲んだり、うがいをしたりの対策を取ったほうがいいだろう」と話しています。
2013年2月27日(水)
■ダニ媒介感染症、死者5人に ウイルス、以前から国内に存在
厚生労働省は26日、野外のマダニを介して感染するとみられる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)で、2005年秋に長崎県の当時60歳代の男性が死亡していた、と発表しました。
国内での死亡確認は5人目。これまでの4人はいずれも昨年の死亡例で、原因ウイルスが以前から国内に存在していたことが裏付けられました。
SFTSを巡っては21日、大分県も県内の女性が死亡した疑いがあると発表しましたが、血液検体の分析の結果、陰性と判明しました。
厚労省によると、長崎県の男性は医療機関が保存していた血液検体から見付かったウイルス遺伝子により、国内で感染したとみられることがわかりました。男性に直前の渡航歴はなく、発熱や血小板減少などの症状がありました。ウイルスは中国で確認されているものとは特徴が異なり、国内の4例と同様のタイプでした。
SFTSは2009年に中国で集団発生が報告され、2011年にウイルスが特定されました。国内では今年1月末に初確認され、これまでに山口、愛媛、宮崎、広島の4つの県で4人の死亡が確認されています。
これまでの4人はいずれも去年、死亡していますが、長崎県の男性は8年前に死亡していることから、厚労省は原因ウイルスが以前から国内に存在した可能性が高いとしています。
動物が媒介する感染症に詳しい北海道大学の有川二郎教授は、「男性に感染が疑われる期間の渡航歴がないのであれば、少なくとも2005年には日本にもSFTSのウイルスが存在していたことになる。日本で見付かっているウイルスが海外から新たに入ってきたものだとすれば特定の地域で流行してもおかしくないが、これまでの患者は時期や場所がバラバラで流行は発生していない。こうしたことから、SFTSのウイルスは古くから日本にあった可能性が高いのではないか」と話しています。
厚労省は疑わしい例の情報提供を求めており、5例が検査待ちの状態といいます。
ウイルスを媒介するマダニは、日本の山野に全国的に生息しており、衣類や寝具など家の中に生息するイエダニとは種類が異なります。マダニは春から秋にかけて、活動が活発になります。厚労省はマダニが多く生息する草むらなどでは長袖、長ズボンを着用し、かまれないよう注意を呼び掛けています。
ウイルスに感染すると、発熱やせき、おう吐や下痢など風邪のような症状が現れ、重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することもあるとされています。感染してから発症するまでの潜伏期は6日から2週間とされ、血液などを介して人から人に感染することもあるとみられています。今のところ有効なワクチンや薬はなく、対症療法が中心になります。
2013年2月26日(火)
■たばこの煙のPM2・5は中国並み 受動喫煙でアルツハイマー病悪化の可能性
中国の大気汚染で問題化している微小粒子状物質PM2・5にからみ、日本癌学会など18学会でつくる学術グループが、PM2・5を含むたばこの煙の対策を訴えています。喫煙可能な飲食店などの濃度は北京の屋外と同レベルで、日本国内では屋外よりも受動喫煙対策の不十分な屋内が深刻としています。
PM2・5は直径2・5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の粒子で、肺の奥深くに入り呼吸器や循環器系などの病気のリスクが高まると懸念されています。
22日、記者会見した禁煙推進学術ネットワーク(委員長、藤原久義・兵庫県立尼崎病院長)によると、福岡市の喫煙可能な喫茶店での測定結果は、常に1立方メートル当たり300マイクログラムを超え、平均371マイクログラム。横浜市のカフェの喫煙席も、200~700マイクログラムでした。日本の1日平均の環境基準である35マイクログラムを大きく上回り、中国の屋外と同様の濃度を記録しました。
一方、受動喫煙で、アルツハイマー病が悪化する可能性のあることが、米テキサス大医学部などの研究チームによるマウスの実験で明らかになりました。19日付英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに掲載されました。
認知症の一つであるアルツハイマー病は、脳の中にアミロイドベータ(Aβ)やタウと呼ばれる異常なタンパク質が蓄積することで、やがて神経細胞が減り、記憶力や判断力が衰えるとされます。
研究チームは、遺伝子操作でアルツハイマー病を発病するようにした生後3カ月のマウスを、1日に1時間、たばこ1本分の煙にさらされるグループと、全く煙のない部屋で育てたグループに分けて4カ月間育てました。
すると、煙にさらされたマウスはそうでなかったマウスに比べ、脳内で記憶をつかさどる海馬や大脳皮質の神経細胞にAβが約40~50パーセント多く蓄積し、炎症を起こしている神経も増えていました。
研究チームは、「人への影響はさらなる研究が必要だが、たばこの煙はアルツハイマー病の重要な環境リスク因子になる可能性を示した」と指摘しています。
2013年2月25日(月)
■ミネラルウォーターの賞味期限、日付単位から月単位に変更へ
ボトル入り飲料水の大手メーカー5社は25日、国産水や国産ミネラルウォーターの2リットルペットボトル商品の賞味期限表示を日付単位から月単位に切り替える取り組みを5月から実施すると発表しました。
商品管理が月単位になることで物流や保管の効率化が図れるほか、賞味期限切れで廃棄される商品が減るといいます。
ミネラルウォーターのような比較的、長期間の保存が可能な食品については、法律で賞味期限を日付単位か月単位のどちらかで表示することが義務付けられています。現在は、ほとんどのメーカーが日付単位で表示しているため、賞味期限の日付が過ぎたとして、品質上飲食に問題はないのに廃棄される商品が少なくないということです。
大手5社と最初に取り組む商品は、アサヒ飲料の「アサヒ おいしい水」、伊藤園の「磨かれて、澄みきった日本の水」、キリンビバレッジの「キリン アルカリイオンの水」、サントリー食品インターナショナルの「サントリー天然水」、日本コカ・コーラの「森の水だより」。
5月以降の製造分から順次、表示方法を切り替えます。その後、対象商品を容量500ミリリットルの商品にも拡大し、将来的には他の清涼飲料水にも広げます。加盟社以外にも協力を求めていく方針。数字を列挙した従来の「20131231」といった表記もやめ、「2013年12月」のような平易な表示に改めます。
5社は大手小売りや飲料メーカーなど約30社で作る団体「日本TCGF」に加入しており、今回の表記変更は目標の一つとしていました。
プロジェクトの委員長を務めるキリンホールディングスの三宅占二社長は、「表示を月単位に改めるだけでなく、賞味期限が切れてもすぐに飲めなくなるのではないということを消費者にアピールして、廃棄ロスの削減につなげたい」と話しました。
農林水産省の推計では、国内で廃棄される年間約1800トンのうち、まだ食べられる食品が500~800万トン含まれており、廃棄食品の削減は業界の課題となっています。
2013年2月25日(月)
■血液を使う出生前診断、民間が先行開始 学会指針、骨抜きの恐れ
妊婦の血液を調べ、胎児にダウン症などの染色体の異常があるかどうか判定する新型の出生前診断について、東京都内の民間会社が、米国での検査を周旋するサービスを始めると発表しました。
この検査は安易な人工中絶につながる心配もあり、日本産科婦人科学会(日産婦)は3月に対象年齢や施設を限定する指針を発表する予定でした。学会関係者からは指針が骨抜きにされかねない、との声が上がっています。
この会社は昨年9月に設立され、業務内容は「不妊、妊娠、出産に関わる海外検査の提供」といいます。担当者によると、グアムやハワイ、米国西海岸の3カ所の医療施設と提携。妊婦が渡航して採血、米国のカリフォルニア州サンディエゴに本社がある検査会社シーケノム社で判定します。費用は約35万円で別に渡航費が必要なため、「都内のクリニックでも採血できるよう調整中」といいます。
国内では国立成育医療研究センターや昭和大、大阪大、兵庫医科大など20近い医療機関が、日産婦が3月に指針を完成させるのを待って、シーケノム社に依頼して行う計画。
この検査には「命の選別につながる」との批判があり、日産婦は検査対象や実施施設を限定する指針作りを進めています。昨年12月に公表された指針案では、△対象者は35歳以上や、超音波検査で胎児の染色体異常の可能性が示唆された妊婦に限る△ダウン症や検査結果の意味についてきちんと説明するなど、十分な遺伝カウンセリングができると認定した施設に限って行う、としました。
ただし、指針はあくまで会員である産婦人科医が対象で、強制力はありません。採血は産婦人科以外の医師でも簡単にできることから、日産婦は、ほかの学会も所属する日本医学会などとも相談しながら、指針を最終決定させる方針でした。
一方、日産婦の指針には異論もあります。開業医が中心の日本産婦人科医会は先月、施設の限定など条件が厳しすぎると、検査を望む妊婦の思いに応えられなくなるとして、緩和を求める意見書を出しました。
この会社は、「体の状況を知る権利はすべての人にある。希望があればそのニーズを満たしたい」と説明しています。
これに対し、日産婦の前理事長の吉村泰典・慶応大教授は、「十分にカウンセリングをして、妊婦さんが結果の意味をきちんと理解してから受けてもらうべきだ。その点が担保されないで行うのは心配だ。学会レベルの規制には限界があり、国の指針を作る必要がある」といいます。
指針を受けて行う予定の宮城県立こども病院の室月淳産科部長は、「米国ではこの検査で、性別や性染色体異常も調べている。日本でも、ひとたび始まれば、そこまで広がるだろう。遺伝などに詳しい専門家が説明、相談に乗りながら行わなければ、結局、傷付くのは妊婦さんだ」と話しています。
妊婦の血液だけで染色体異常の有無を高い確率で判定できる新型の出生前診断は、シーケノム社が検査技術を開発し、米国では2011年10月に始まりました。比較的高い確度で調べるには従来、子宮内の羊水を採取して調べるしかなく、流産の危険を伴いましたが、血液で簡易に早く判定できることから中国、スイスなどにも広がりました。昨年8月に導入したドイツは、法律でカウンセリングを義務付けています。
2013年2月24日(日)
■食べる順番、最初に野菜がお勧め 血糖値の上昇を抑制
食事のメニューが同じでも、最初に野菜を食べると血糖値の上がり方が緩やかなるとする報告を、大阪府立大の今井佐恵子教授(臨床栄養学)らのグループが論文にまとめ、英国の糖尿病専門誌に掲載されました。「食べる順番」はダイエットの手法としても注目されていますが、効果の一端が数値で確認されました。
グループでは、2型糖尿病の患者19人と健康な21人に、血糖値を連続して測定できる装置を身に着けてもらい、同じ食事内容で野菜を先に食べた時と、炭水化物を先に食べた時とで血糖値の変動がどう違うかを調べました。
野菜が先は、500グラムの野菜を5分かけて食べた後、肉や魚などのタンパク質を食べ始め、さらに5分してからご飯やパンなどを食べるという条件。
すると、2型糖尿病患者と健康な人のいずれでも、野菜を先に食べた時に食後の血糖値の上昇幅が半分ほどに抑えられました。炭水化物が先だと血糖値は1デシリットル当たり300ミリグラム以上に達したのに、野菜が先だと150~250ミリグラムほどですむ人もいました。食前の血糖値の低下も抑えられた人もいて、24時間の変動幅は約3分の2に減少しました。
野菜が先だと、食物繊維の作用で炭水化物の吸収がゆっくりになることなどが考えられます。早食いをすると食べすぎの原因となるほか、急激な血糖値の上昇を招くため、効果が弱まるといいます。
血糖値の大幅な変動は、動脈硬化などを促進させるとされます。上昇幅を減らせば、脂肪をため込む働きのあるインスリンの分泌も減ります。
グループのメンバーで梶山内科クリニック(京都市)の梶山静夫院長は、「野菜から先に食べるのは、実行しやすい生活習慣病の予防策ではないか」と話しています。
食べる順番ダイエットでは、食事のメニューには、血糖値を上げやすいご飯、パン、脂肪分の多い肉類などと、そうでない野菜、キノコ類、豆類、海藻類などがあるとしています。
2型糖尿病は、日本人の糖尿病の約9割が当てはまり、生活習慣病の一つとされています。この2型糖尿病では、親や兄弟にも糖尿病にかかっている人がいることが多く、遺伝的要素が強く関係していると見なされています。過食など発症の引き金となる複数の因子の中では、とりわけ肥満が深く関係しています。
2013年2月23日(土)
■1都11県が本格花粉シーズンに、2府11県が花粉シーズンに突入
ウェザーニューズ(東京都港区)は2月20日、西日本から東日本の各地で花粉飛散数が増加し、本日以降も飛散数がさらに増える見通しであることから、東京都を含む1都7県が「本格花粉シーズン」に突入したと発表しました。
同社は全国1000カ所に、独自の花粉観測機「ポールンロボ」を設置。20日、東京都内の総数98カ所のうち29カ所の観測地点において、花粉症の症状が出始める花粉飛散量(30個)を超えると予想され、同じく埼玉県、茨城県、栃木県、群馬県、静岡県、山口県、宮崎県でも同レベルの飛散量に達する予想であるため、本格花粉シーズンに突入したとしています。
この結果、すでに先週末突入している福岡県、長崎県、熊本県、大分県と合わせ、1都11県が本格花粉シーズンに突入したことになるといいます。
また、大阪府、愛知県、岐阜県、長野県、三重県、滋賀県、京都府、兵庫県、島根県、鳥取県、香川県、宮城県、福島県の2府11県が、敏感な人に症状が出始める花粉飛散量(10個)を超えるレベルに達し、「花粉シーズン」に突入したとしています。
関東地方の本格飛散開始は、昨年より4日から7日程度早いものの、ほぼ平年(過去5年の平均)並みだといいます。近畿地方の本格飛散開始は昨シーズンよりは1週間程度早いものの、平年とほぼ同時期。九州での本格飛散開始は昨シーズンより1週間程度、平年よりも3日から7日程度早くなっているとしています。
2月に入り、寒さが緩む日が多くなってきたのが原因。高気圧に覆われて、日本海側の地域を含めて晴れる日が増えてきており、西日本から東日本の広いエリアでスギ花粉が飛散しやすくなっています。
3月に入ると寒さは一段と緩み、西日本から東日本の広いエリアでスギ花粉の飛散ピークを迎える見通し。今年の花粉の飛散量は、昨シーズンより多くなる所が多く、東北地方を中心として大量飛散となった2011年シーズンと同程度となる可能性もあるとのこと。
最新の飛散状況と各地の本格花粉シーズン突入の情報は、同社のスマートフォン向けアプリケーション「ウェザーニュースタッチ」、および携帯サイト( http://wni.jp )で随時確認できます。
2013年2月22日(金)
■PM2・5基準値超え、全国で最大3割 越境汚染の影響と環境研
中国で大気汚染を引き起こし、日本への影響が心配される微小粒子状物質(PM2・5)について、国立環境研究所(茨城県つくば市)は21日、全国の観測値の分析結果を発表しました。
1月31日の大気中濃度は、全国155測定局の31パーセントに当たる48測定局で、1日平均の環境基準値である1立方メートル当たり35マイクログラムを超えていました。
大気中濃度は西高東低の分布を示しており、中国からの越境汚染が影響した可能性が高いとしています。1月5日~31日について、大気中濃度の1日当たりの平均値を分析したところ、九州は1立方メートル当たり約22マイクログラムでしたが、近畿は同16マイクログラム、関東は同13マイクログラム、北海道は同10マイクログラムを示しました。
ただ、影響の少ない関東や東海などで高い日もあり、都市で発生した汚染と越境汚染が複合した可能性もあるといいます。環境研は、「都市部では局所的に高くなる傾向がある。すべてが中国由来ではなく、国内対策も重要」としています。
また、環境研は、「春にかけては中国から黄砂とともに飛んで来たり、西日本での光化学スモッグ発生が重なったりした場合に、呼吸器疾患の患者や高齢者、小さい子供は注意が必要と考えられる」とし、「気圧配置や黄砂の影響で5月ごろまで高濃度が続く可能性がある」と分析しています。
PM2・5は直径2・5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以下の粒子で、肺の奥深くに入り呼吸器や循環器系などの病気のリスクが高まるとされます。
一方、北京の日本大使館は21日、北京日本人学校(多田賢一校長)で、北京市の大気汚染の状況に関して保護者向けの説明会を開催しました。日本大使館の平野加容子医務官は、四大公害病の一つ、四日市ぜんそくが発生した1960年代から70年代の三重県四日市市に近い状況との認識を示し、室内での空気清浄器の使用や外出時のマスク着用を改めて呼び掛けました。
また、平野医務官は、「体育など屋外活動を制限する独自の学校基準をさらに厳しくしたほうがよい」との個人的見解も明らかにしました。
日本人学校では、中国の大気汚染指数に応じ屋外活動を禁止する基準を昨年から設けています。
2013年2月21日(木)
■胆管がん、初の労災認定へ 大阪の印刷会社16人
全国の印刷会社で従業員らが相次いで胆管がんを発症した問題で、発症者が最も多い大阪市中央区の印刷会社「サンヨー・シーワィピー」で働いていた16人(うち死亡7人)について、厚生労働省が労災申請を認める方針を固めたことが20日にわかりました。
同一の職場で多くの若い従業員が、高齢者に多いとされる胆管がんを発症していることから、業務と発症との関連があると判断しました。胆管がんによる労災認定は初めてとなります。
今回の問題では、死亡後5年を過ぎて労災申請上の時効が成立した人もいますが、厚労省は時効の起算点についても柔軟に対応する方針。
通常、労災認定の可否は全国の労働基準監督署で判断します。しかし、胆管がんはアスベスト(石綿)や放射線被曝などと同様に判定が難しいため、厚労省は昨年9月から早期救済を目指し、発症者や遺族から申請された労災認定を判断する専門家の検討会で議論を進めてきました。3月中旬に開く次回の検討会で、業務との関連性や認定を判断する基本的な考え方をまとめ、16人の労災認定を決めます。申請を受けた労基署が認定します。
厚労省によると、今月12日時点で、印刷会社で働いて胆管がんを発症したとして労災申請があったのは62人(うち死亡38人)。このうち、サンヨー社の元従業員らの申請が16人で最も多くなっています。
年代別の内訳は40歳代が8人(うち死亡3人)、30歳代が7人(同3人)、20歳代が1人(同1人)で、通常よりも発症年齢が若くなっています。
サンヨー者は作業場が地下にあり、発症との関連が指摘される印刷機のインキ洗浄剤を大量に使用。換気が不十分で室内の化学物質が高濃度になっていたことが判明しています。胆管がんによる従業員の死者が出る割合が日本人の年齢別死亡率から算出された死亡数と比較して、約2900倍に上ることも指摘されました。
こうした調査結果などを踏まえ、厚労省の検討会は胆管がんの発症が業務との関連があると判断したとみられます。検討会ではサンヨー社以外の46人(同31人)労災申請についても、個別に議論して判断します.
胆管がんは、肝臓で作られた胆汁を十二指腸まで運ぶ8センチの細い胆管にできます。多くの場合、回りの組織に染み込むように広がり、腫瘍が目立たないため、発見が難しいという特徴があります。2010年に胆管がんで志望した人は約1万3000人で、その8割は70歳以上。
2013年2月20日(水)
■ダニ媒介感染症、死者4人に 昨年夏に広島県の男性死亡
先月、国内で初めて確認されたマダニが媒介するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群」(SFTS)で、昨年夏、広島県の成人の男性1人が死亡していたことが国立感染症研究所(東京都新宿区)の検査で新たにわかりました。
国内での死亡確認は、山口県の女性1人、愛媛、宮崎両県の男性各1人に続き4人目。
広島県の男性は昨年夏に38度以上の高熱や吐血、下血、血小板と白血球の減少などの症状があり、発症から約10日後に入院先で亡くなりました。
マダニにかまれた痕跡や発疹はありませんでしたが、血液からウイルスの遺伝子が見付かりました。これまで国内で見付かったウイルスと遺伝子配列が似ており、国内で感染したとみられます。男性に最近の海外渡航歴はありませんでした。
厚生労働省が1月30日に示した重症熱性血小板減少症候群の患者の要件に該当していたことから、主治医が広島県に連絡。県が2月8日、凍結保存されていた患者の検体を国立感染症研究所に送り、同研究所が18日に重症熱性血小板減少症候群のウイルスと確認しました。
国立感染症研究所にはこのほか、感染が疑われる9人の患者の血液が19日段階で送られてきていて、検査を進めているということで、国内感染の確認例が増える可能性が高くなっています。
ウイルスを媒介するマダニは、衣類や寝具など家の中に生息するイエダニとは種類が異なり、国内でも屋外に広く分布しています。
重症熱性血小板減少症候群を媒介するマダニは春から秋に野外で活動期に入りますが、専門家は「むやみに恐れず、できる範囲の対策で十分だ」と話しています。
ダニの研究が専門の福井大学の高田伸弘シニアフェローは、「ダニが媒介するヒトの病気はいくつかあるが、重症熱性血小板減少症候群もほかの病気と同じように昔から日本にあったと考えられる。重篤なケースばかり表に出ているが、感染しても発症していない人がかなりいるとみられ、むやみに恐れなくてもいい。生活スタイルを変える必要はなく、できる範囲の対策で十分だ」と話しています。
そして、農作業や野山に入る際の注意点について、「マダニは特殊な環境ではなく、身近なところに潜んでいることを念頭に置いて、服装はダニが比較的つきにくいナイロン製の衣類にするなど、工夫してほしい。また、ダニが多くいる道の脇の草むらや、やぶなどにむやみに入らないようにし、農作業などから帰った後は入浴して体にダニがついていないか確認してほしい。神経質になりすぎず、あくまでこれまでやってきた範囲のことでかまわない」と指摘しています。
2013年2月19日(火)
■中皮腫、患者情報データベース提供へ 環境省、石綿健康被害で
早期発見が難しいとされるアスベスト(石綿)が原因のがん、中皮腫について、環境省は医師の診断に役立ててもらうため来年度から患者の情報を集約してデータベースを作り、全国の医療機関に提供することになりました。
中皮腫はアスベストを吸い込むことが原因で起こるがんですが、ほかのがんに比べて早期発見が難しく、発見された後では、すでに悪化が進んでいて、治療が難しくなるケースが多いといわれています。石綿健康被害救済法の指定疾病になっているものの、医師の診断も難しいことから、認定までの時間がかかりすぎるとの指摘もあります。
このため、環境省は、医師の診断に役立ててもらうため、中皮腫患者の情報を登録するデータベースを作り、全国の医療機関に提供することになりました。データベースの運営は、患者認定や医療費支給などを担う環境再生保全機構が行います。
データベースには、法律の基準で中皮腫と診断された患者の年齢や職業、石綿の暴露歴のほか、医師の所見や治療内容などが登録され、中皮腫と判断したポイントなどがわかるということです。
環境省では来年度から登録を始め、600人程度のデータを提供する計画で、今後、登録された内容を基に、迅速に診断するポイントや有効な治療法について盛り込んだパンフレットを作成し医療機関に配付したり、セミナー開催やホームページ掲載などを通じ、全国の医療機関に伝えます。
環境省は、「データベースの活用によって、患者が全国どこでも一定水準以上の医療を受けられる態勢を作り、治療率の向上や早期発見につなげたい」と話しています。
2013年2月17日(日)
■誤ったマスク使用7割 製薬企業エーザイが調査
マスクを日常的に使用している人のうち73パーセントがマスクを正しく使用できていないことが、製薬企業エーザイ(東京都文京区)のインターネット調査でわかりました。
調査は、例年12月〜翌年2月にインフルエンザなどの感染症対策のためにマスクを週1回以上使用している全国の12歳以上の男女310人を対象に、11月29、30日にインターネットで実施しました。
それによると、「ノロウイルス」や「マイコプラズマ肺炎」、「RSウイルス」など感染症に対する予防意識が高い人が85パーセントに上り、また、97・1パーセントの人が「マスクの着用は感染症予防に有効だと思っている」と答えました。
しかし、普段のマスクの使い方について五つの項目から調査をしたところ、
1、鼻、口、顎を覆うようにマスクを装着する
2、鼻の部分を抑えてフィットさせ、隙間がないように装着する
3、使用中、口周りを覆うフィルター部分は触らない
4、外す際、フィルター部分の表面に触れないようゴムひもを持って顔から外す
5、マスクを外した後は手を洗う
という正しい使い方をしている人は26・8パーセントと、約7割の人が正しいマスクの使い方ができていないことが明らかになった。
マスクの誤った使用方法としては、「マスクを外した後は手を洗う」ができていないケースの53・9パーセントが最も多く、次に多いのが「使用中、口周りを覆うフィルター部分は触らない」ができていないケースの43パーセント、次いで「外す際、フィルター部分の表面に触れないようゴムひもを持って顔から外す」ができていないケースの38・7パーセントでした。
マスクの使用頻度については、「1日1回」が69・4パーセントと最も多かった一方で、2日以上同じマスクを使用する人が16・8パーセントでした。2日以上同じマスクを使用する人を男女別で見ると、男性が21・3パーセント、女性が12・2パーセントと男性のほうが同じマスクを長く使用する傾向があり、特に50歳以上の男性では45・2パーセントとほぼ半数の人が2日以上マスクを取り換えていないことが明らかになりました。
また、同じマスクを使用している時のマスクの着脱回数は平均8・2回で、外したマスクを再度着ける際に何もしていない人が91・9パーセントでした。
この調査を監修した広島大学大学院の坂口剛正教授(ウイルス学)は、「マスクには飛沫感染を防ぐという目的がありますので、ウイルスの侵入経路である鼻と口をできるだけ空気の漏れがないように覆うようにしましょう。また、使用しているとマスクの外側のフィルター部分にはウイルスを始めとする病原体が付着していると考えるべきです。そこで、使用中やマスクを外す時、口周りを覆うフィルター部分は触らないことが大切になります。マスク使用前に、マスクに防菌のスプレーをすることも、ウイルスの付着を防ぎ効果的です。さらにマスクを外した後で手を洗えば、感染予防になります」とコメントしています。
2013年2月16日(土)
■官民で筋ジストロフィー治療薬開発 第一三共と産業革新機構
製薬大手の第一三共は、全身の筋肉が徐々に失われる遺伝性の難病「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の治療薬の開発を進めていこうと、官民投資ファンドの「産業革新機構」などと共同で、薬の開発に当たる新会社「オーファン・ディジーズ・トリートメント・インスティテュート」を来月設立すると正式に発表しました。
第一三共が来月設立するのは、筋ジストロフィーの治療薬の開発に当たる会社で、産業革新機構と投資会社の「三菱UFJキャピタル」が合わせて16億円余りを出資します。
薬の開発は、筋ジストロフィーの研究に取り組む神戸大学と神戸学院大の研究者と共同で進め、7年後の2020年の販売開始を目指すとしています。製品化にめどがつけば、産業革新機構などの保有株を第一三共が買い取ります。
薬の開発には長い時間と巨額の費用がかかりますが、特に筋ジストロフィーのように患者が少ない難病の治療薬については、開発しても採算が合わないとして、力を入れる製薬会社が少ないのが実態です。
こうした中、企業の費用負担をいかに軽くするかは難病の治療薬開発の課題になっており、公的な性格を持つ投資ファンドや民間の投資会社の資金も活用する今回の試みは新たな手法として注目されそうです。
14日の会見で第一三共の中山譲治社長は、「今後もこうした手法を導入して、治療の方法がない難病の医療現場に薬を提供できるようにしたい」と述べました。
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、生まれた男児の約3500人に1人の割合で発症する遺伝性疾患。多くは幼児期から軽度の歩行障害が起き、次第に全身の筋肉の委縮が進んで体を動かせなくなります。最終的には心不全や呼吸不全などに陥り、多くの患者が20~30歳代で死に至っています。現在、有効な治療法は確立されていません。
2013年2月15日(金)
■iPS細胞、初の臨床研究を承認 視力が低下する病気が対象
理化学研究所の研究チームが計画するiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った「加齢黄斑(おうはん)変性」という目の病気の臨床研究について、実施医療機関である先端医療振興財団先端医療センター病院(神戸市)は13日、倫理審査委員会を開き、計画を条件付きで承認しました。
理研と同財団は3月末までに厚生労働省に承認申請し、来年度中の実施を目指します。実現すれば、iPS細胞を使った世界初の臨床研究が実現する見通し。
計画しているのは、理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の高橋政代プロジェクトリーダーら。
先端医療センター病院の審査委は、臨床研究に必要な安全性試験に関する最終報告など3項目の条件を付けた上で、実施を妥当としました。理研の倫理委員会はすでに昨年11月に承認済みで、残る協力医療機関の承認が得られ次第、厚労省に申請する見通しです。
加齢黄斑変性は、加齢に伴って網膜に酸素や栄養を橋渡しする色素上皮という細胞の層が壊れ、視界が狭くなったり、視力が落ちたりする病気。このうち網膜の裏側に異常な血管ができて網膜が傷付いて視力が落ちる滲出(しんしゅつ)型と呼ばれるタイプの50歳以上の患者6人を対象に、臨床研究を行います。
計画では、理研発生・再生科学総合研究センターが、患者自身の細胞からiPS細胞を作り、網膜の機能を助ける色素上皮細胞に分化させ、数ミリ角のシートにします。このシートを財団の付属病院である先端医療センター病院が、眼球に特別な注射針を刺し、傷んだ色素上皮や血管を取り除いた上でシートを目の底に移植し、安全性などを確認します。
視力の大幅な改善は期待できないものの、数年間にわたり検証し、より効果的な治療法の開発を目指します。
高橋プロジェクトリーダーは、今回の臨床研究について「移植する細胞を作るのに8~10カ月かかり、最初の患者への移植は2013年度中にできればいい」と見通しを示しています。
2013年2月14日(木)
■マダニ媒介の感染症で、新たに2人死亡 愛媛県と宮崎県の成人男性
先月、国内で初めて確認されたマダニが媒介するウイルスによる新たな感染症で、昨年の秋、愛媛県と宮崎県の成人の男性合わせて2人が死亡していたことが、国立感染症研究所(東京都新宿区)の検査で新たにわかりました。2人は死亡する前、海外に行っていなかったということで、厚生労働省は国内でマダニにかまれて感染したとみて詳しく調べています。
厚労省などによりますと、男性2人は昨年秋、発熱や下痢などの症状を訴えて入院し、10日から16日後に死亡したということで、国立感染症研究所が血液を調べたところ、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こすウイルスが検出されたということです。
このウイルスは一昨年、患者が集団発生した中国で新たに特定され、致死率は10パーセントを超えるとされており、国内では昨年秋、山口県の渡航歴がない女性1人が感染し死亡したことが、先月、初めて確認されています。男性2人から検出されたウイルスは、山口県の女性のものとほぼ同じで、中国のウイルスとは遺伝子配列の一部が異なっていることから、以前から国内に広がっていた可能性があるとされています。
国立感染症研究所には、このほか5人の患者について、この重症熱性血小板減少症候群が疑われるとして血液が送られており、検査しているということです。
厚労省は、重症熱性血小板減少症候群の広がりを調べるため、全国の医療機関に対して同じような症状の患者を診察した場合、報告するよう求めるとともに、患者が確認された地域のマダニについて、ウイルスを保有しているかどうか調査することにしています。
重症熱性血小板減少症候群のウイルスは、「クリミア・コンゴ出血熱」のウイルスなどと同じブニヤウイルス科に属し、マダニが感染を媒介するとされています。ウイルスを媒介するマダニは、日本の山野にも全国的に生息しており、衣類や寝具など家の中に生息するイエダニとは種類が異なります。マダニは春から秋にかけて、活動が活発になります。
感染すると、発熱やせき、おう吐や下痢など風邪のような症状が現れ、重症の場合は、血液中の血小板が減少して出血が止まらなくなったり、腎臓の機能が低下したりして死亡することもあるとされています。感染してから発症するまでの潜伏期は6日から2週間とされ、血液などを介して人から人に感染することもあるとみられています。今のところ有効なワクチンや薬はなく、対症療法が中心になります。
感染症を媒介するダニの生態に詳しい国立感染症研究所昆虫医科学部の沢辺京子部長は、「マダニは、草むらややぶなどの葉の先端や裏側にいたり、山の中ではイノシシなどの野生動物の表面にくっついて吸血したりしているほか、ペットの犬や猫などにくっついている場合もある。国内には44種類のマダニが生息しているが、防虫スプレーなどの効果はなく、大きさが1ミリ以下のものも多く気が付かない場合もあるため、予防策は難しい。草むらなどに入る場合は、長靴の中にダニが入らないよう長靴をズボンで覆ったり、手袋をしたりして、マダニが体に接触しないように注意してほしい」と呼び掛けています。
その上で、「新たな感染症を媒介しているマダニの種類は特定できていないが、ダニは飛ばないため、動物や人にくっついて比較的狭い範囲で感染が起きるのではないか」と指摘しています。
2013年2月13日(水)
■環境省、微小粒子状物質PM2・5の専用ホームページを開設
中国で深刻な大気汚染が続き、日本への影響も懸念されている折、環境省は影響が心配されている微小粒子状物質PM2・5に関する専用ホームページを12日に開設しました。
中国では、先月初めから東部や内陸部を中心に、車の排気ガスや工場からの煙などに含まれるPM2・5という極めて小さな粒子の大気汚染物質の濃度が高くなって深刻な大気汚染が続き、日本への影響も懸念されています。
環境省はこれまで大気汚染物質に関する情報をまとめたホームページの中で各地のPM2・5の観測値を掲載していましたが、接続しにくい状態が続いていたため、新たにPM2・5に関する専用のホームページを開設しました。
専用のホームページでは、PM2・5のに関する基本的な知識(どういったものであるか、どういう影響が人にあるか、どういったものが発生源になっているかなど)や、日本政府が定める環境基準(1年平均値で15μg/m3以下、かつ1日平均値35μg/m3以下)の算定理由などが紹介されるほか、観測地点のデータを詳しく掲載している35の都府県のホームページに接続できるようになっています。
35都府県は、秋田県、宮城県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県。
また、6つの都府県については、去年12月からの観測値と昨年度の観測値を合わせて掲載し、比較することができるということです。
環境省は大気汚染物質に関する情報をまとめたホームページにも引き続き情報を提供するということで、「現時点での観測値では直ちに健康に影響があるとは考えにくいが、できるかぎり迅速に情報が見られるようにしていきたい」と話しています。
専用ホームページのアドレスは、(http://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html)。
2013年2月12日(火)
■iPS細胞を使った再生医療で特別承認制度導入へ 厚労省
iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った再生医療で作られた人工の臓器などを患者が早く利用できるよう、厚生労働省は、少ない症例でも安全性を確認できれば特別に承認する新たな制度を導入することになりました。
iPS細胞を使った再生医療で作られた人工の臓器などは、医薬品と比べて質にばらつきがあるほか、有効性や安全性を確認するための症例も集まりにくいため、薬事法に基づく承認に通常より時間がかかることが懸念されています。
このため、厚労省は再生医療で作られた臓器などについては、早期に特別の承認をする制度を新たに導入することを決めました。新たな制度では、少ない症例でも安全性が確認できれば特別に承認を行い、その後、治療データを集めて有効性と安全性について詳しい調査を行い、正式に承認するかどうか決めるとしています。
このほか、歯科のインプラントやコンタクトレンズなどの医療機器のうち、同じ種類の製品がすでに承認されているものについては、これまでよりも迅速に承認を行う仕組みを導入することになりました。治療に不可欠な医療機器を迅速に供給するとともに、国内メーカーの競争力を強化する狙いがあります。
厚労省は、今の通常国会にこうした内容を盛り込んだ薬事法の改正案を提出し、4月からの施行を目指したいとしています。
2013年2月11日(月)
■大気汚染物質、関東の自治体でも測定値公表広がる
中国で深刻な大気汚染を引き起こしているPM2・5と呼ばれる汚染物質が、日本にも飛来することが懸念される中、関東地方の自治体でも、最新の測定データをホームページなどで独自に公表する動きが広がっています。
中国では先月初めから、東部や内陸部を中心に車の排気ガスや工場からの煙などに含まれるPM2・5という、直径2・5マイクロ・メートル(1マイクロは100万分の1)以下の極めて小さな粒子の濃度が高くなり、深刻な大気汚染が続いています。
環境省が全国各地の測定データを公表する中、関東地方の自治体も市民の関心が高まっていることを受けて、最新の測定データを独自に公表し始めています。神奈川、群馬の各県は、今月に入って次々にホームページで公表を始め、関東1都6県のホームページすべてで閲覧できるようになったほか、横浜市も市内6カ所の測定データを今月12日からホームページで公表することを7日に明らかにしました。
東京都は31か所の測定データを7日から、ツイッターでも見られるようにしています。
各自治体によりますと、これまでに数値に異常は見られないということです。
PM2・5は、一時的に国の環境基準を超えても、周辺を走る車の排気ガスによるケースもあり、中国から飛来したかどうかの判断は直ちには難しいということで、東京都環境局は「環境基準を超える日が一定期間続けば注意喚起を検討するが、冷静に対応してほしい」としています。
一方、環境省は8日、観測局を拡充するほか、高濃度時の注意喚起の在り方を検討し、月内に結論を出すことを決めました。自治体が設置する観測局を約500から約1300局へ拡充することを目指します。
専門家会合を13日に開くほか、18日には都道府県や関係自治体を集めて協力態勢などを話し合います。
PM2・5を巡っては西日本を中心に1月以降、日平均の環境基準である1立方メートル当たり35マイクログラムを一時的に上回る事例が相次ぎました。福岡市では1月31日、PM2・5が国の環境基準を超える1日平均52・6マイクロ・グラム、 大阪府枚方市でも同13日に同63マイクロ・グラムをそれぞれ観測。
今月に入ってからも高い値が続いており、広島県福山市では2日午後1時の測定値は61マイクロ・グラム。東京都内では今年に入ってから1日平均5~30マイクログラムを観測していますが、東京都環境局は「中国の大気汚染の影響かどうかはっきりしない」としています。
環境省は「一時的に基準を超えても健康被害に直結する可能性は小さい」とする一方、反響の大きさを踏まえて早急に対応を取ることにしました。
2013年2月10日(日)
■スギ花粉、本格的な飛散始まる 大量飛散に注意を
西日本と東日本で一定量のスギ花粉が飛んだのが観測され、環境省は8日、国内で花粉の飛散が本格的に始まったと発表しました。
環境省は、スギ花粉の本格的な飛散の開始について、1平方センチメートルの平面上に1個以上の花粉が2日連続で観測された場合と位置付けています。
この条件に相当する量のスギ花粉が飛んだことが、福岡県、長崎県、大分県、山口県、島根県、愛媛県、高知県、静岡県、千葉県の9県で確認され、環境省は国内で花粉の飛散が本格的に始まったと発表しました。
これまで関東以西はおおむね2月中下旬に飛び始めると予測されていましたが、2月初めに気温が高かった影響で、飛散開始が早まったとみられます。
今年、全国各地でスギとヒノキの花粉の飛ぶ量がピークとなる時期は、当初の予想よりやや早まり、九州、中国、四国、東海、関東南部のほとんどの地域で3月上旬ごろ、関東北部や近畿などで3月中旬ごろ、北陸などで3月下旬ごろ、東北で4月上旬ごろとなる見込みです。
花粉の飛ぶ量は、九州や四国を除いて全国的に去年よりも2倍から7倍に増える見込みです。
なお、気象予報会社のウェザーニューズ(東京都港区)によると、全国的な今年の花粉の飛散量は昨年に比べ7割増の予測。特に昨夏の猛暑、少雨で、スギの雄花の育ちがよかった東北、関東は、昨年の約3倍になる場所もあると予想されています。
環境省は、「花粉の本格的な飛散が始まったが、マスクや眼鏡を着用するなどして花粉症対策を心掛けるとともに、引き続き花粉の最新情報に注意してほしい」と呼び掛けています。
2013年2月9日(土)
■風疹、過去最大の大流行 1月だけで平均年間患者数を超える
発熱や発疹の症状が出る「風疹」の感染が関東や関西を中心に大流行し、今年に入ってこれまでにない規模の患者が出ています。1月だけで平均的な年間の患者数を超えたほか、大流行した昨年の1月の13倍という流行ぶり。
妊婦が感染して、心臓などに障害が出た赤ちゃんも昨年から6人が報告されました。1年間の報告が2人を超えるのは、8年ぶり。厚生労働省は、妊娠を望む女性や夫らに予防接種を急ぐよう、呼び掛けています。
国立感染症研究所(東京都新宿区)の5日の発表によると、最新の1週間(1月21~27日)の風疹患者は76人。1月の累計で254人が報告され、2008年から4年間の平均年間患者数224人を上回りました。風疹は春から初夏に多い傾向があり、年間の患者数が2353人と大流行した昨年も1月は19人にとどまっていました。
例年は患者が少ない冬の時期に、これだけの患者がいるということは、これから春に向かってさらに患者が増える恐れもあります。
流行は関東や関西が中心で、女性の3~4倍と男性に多いのも特徴。とりわけ若い男性に多く、20歳~40歳代が8~9割を占めています。風疹の予防接種は1994年まで中学生で女子に限られていた影響で、幼児期などに定期的な予防接種を受ける機会がなかった男性を中心に、感染が広がっているとみられます。
風疹は、患者のせきやくしゃみから感染し発熱や発疹などが出ます。治療法はありませんが、一度感染するか予防接種を受けて十分な免疫ができれば、再び感染することはありません。妊婦は予防接種を受けられません。
妊娠初期に感染すると、新生児が難聴や白内障、心臓疾患などの障害を持って生まれる「先天性風疹症候群」になる危険があります。感染研の調べでは、昨年は10月以降に大阪府、兵庫県、埼玉県、香川県で5人、今年に入って大阪府で1人の新生児で報告されました。
これを受け、厚労省は先月29日、予防接種を呼び掛ける通知を出しました。免疫がない夫から妊婦が感染する危険があり、感染研感染症情報センターの多屋馨子室長は「妊娠希望者だけでなく、夫やその家族も積極的に接種を」と話しています。
また、国が期間限定で中学1年と高校3年を対象に行っていた風疹とはしかの公費の予防接種は、今年度で終了します。今年度内なら無料ですが、来年度以降は約1万円必要になります。
2013年2月7日(木)
■治療に使えなかった献血、研究に活用 厚労省、同意得て配分へ
厚生労働省は、国民の善意による献血の血液を研究に使えるようにする新制度を新年度からスタートさせます。治療に使えなかった血液を、有効活用するのが狙いです。
献血時の説明文書に、「研究開発などに使用することがあります」と明記し、書面で同意が得られた分について利用したい研究機関を公募し、専門家の評価を踏まえて公平に分配します。
血液にはさまざまな血球やタンパク質が含まれ、血液製剤の開発研究に使えるほか、診断薬の開発や病気の要因を探る研究に使える可能性があります。
献血された血液は、成分が規格に合わないと治療には適しません。有効期間も血小板が4日間、赤血球が21日間と短く、血液が不足し、街中で献血を呼び掛けたりしていても使えない分が出てきます。また、血液製剤の製造でも、精製時に取り除かれる成分が生じます。
これらの「不要物」は、日本赤十字社や血液製剤メーカーが管理し、要望のあった一部の研究機関には個別に提供してきました。しかし、幅広い研究利用が見込め、遺伝情報も含まれることから、厚労省は配分のルールを明確にし、倫理面にも配慮した上で、広く門戸を開くことにしました。
厚労省が新たに定めた指針では、献血者の同意が得られたもののみ研究利用を認めます。献血の安全性や血液製剤の性能を高める研究や、医学の発展や国民の健康の向上につながる研究を対象にし、遺伝子を解析する場合は別に同意を得るよう求めます。
利用は公募し、血液製剤の品質管理などに使う場合を除き、専門家の委員会が研究内容や使用量を事前に評価します。治療に使える血液製剤についても、治療への支障がなく専門委員会が認めた場合に限り、研究に使えるようにします。
2013年2月6日(水)
■乳がんや肺がんなどの発症に関わる遺伝子発見 自治医科大学などの研究チーム
ほとんどの薬剤が効果を示さない一部の乳がんなどの発症に関わる遺伝子を自治医科大学などの研究チームが発見しました。新たな治療薬の開発につながる可能性があると期待されています。
研究の成果は、米国東部時間2月4日付けで米国科学雑誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」オンライン速報版に掲載されました。
自治医科大学や東京大学の研究グループは、がんを引き起こす未知の遺伝子を特定するため、骨などにできる「線維肉腫」というがんの細胞からおよそ900個の遺伝子を取り出し、一つ一つ詳しく調べました。
その結果、「RAC」と呼ばれる遺伝子の一部が変異し、異常なタンパク質が作り出されると、細胞が確実にがん化することが判明しました。さらに、変異のあるRAC遺伝子が働かないようにすると、がん細胞が死ぬことを実験で確かめたとしています。
ほかのがんでも調べたところ、RAC遺伝子の変異は、ほとんどの薬剤が効果を示さない乳がんや肺がん、すい臓がん、悪性黒色腫という皮膚がん、口の中にできる口腔がん、それに慢性骨髄性白血病のそれぞれ一部でも確認できたということです。
これらのがんは、いずれも治療が難しく、研究チームでは、変異RACタンパク質の機能を抑制する新たな治療薬の開発につながる発見だとしています。
研究グループの代表を務める自治医科大学の間野博行教授は、「遺伝子変異のある患者を見付け出す診断法の研究を進めるとともに、製薬会社に働き掛けて、さまざまながんの治療薬を開発していきたい」と話しています。
2013年2月5日(火)
■中国、大気汚染6億人に影響 九州など、一時的に汚染物質上昇
中国では先月初めから、東部や内陸部を中心に車の排気ガスや工場からの煙などに含まれるPM2・5という、直径2・5マイクロ・メートル(1マイクロは100万分の1)以下の極めて小さな粒子の濃度が高くなり、有害物質を含んだ濃霧による大気汚染が深刻な状態が続いています。
中国環境保護省は4日、有害物質を含んだ濃霧について、1月24日以前の段階で中国全土の4分の1が包まれ、全人口の5割弱の約6億人が影響を受けたと発表しました。濃霧はその後も発生しており、最終的な汚染規模はより広範に及んだ可能性が高くなっています。大気汚染の拡大を防止するため、2月10日の春節(旧正月)を祝う花火や爆竹の自粛を求める声も上がっています。
日本の環境省によりますと、先月中旬から今月にかけて福岡県や佐賀県、それに富山県などでPM2・5の濃度が平常時に比べて一時的に高くなっている地点があったということです。これについて環境省は「汚染物質が中国から風に乗って日本に飛んできた可能性は高い」として調査を続けています。
また、一時的に濃度が高くなっていることについて、影響を心配する声が高まっていて、各地の観測値を掲載している環境省のホームページが接続しにくい状態になっているということです。
環境省は「観測されている数値は健康への影響が心配されるレベルではない」として、冷静に対応するよう呼び掛けています。
PM2・5の濃度が国内で一時的に高くなっている地点が出ていることについて、大気汚染物質が健康に及ぼす影響に詳しい国立環境研究所環境健康研究センターの新田裕史センター長は、「基準値を多少超えたからといって、すぐに重大な健康被害が出るとは考えられない。ただ、ぜんそくなどの呼吸器や循環器系の持病がある人は、数値が高い日はなるべく外出を控えるなどの予防策を取るのも一つの方法だ」と話しています。
さらに新田センター長は、「PM2・5は、さまざまな物質が混じり合っていて、それぞれの成分と健康影響との関係についての解明が不十分なところもあり、高い濃度が出た時の短期的、長期的、それぞれの健康影響についての研究を進めていく必要がある」と話しています。
一方、中国の大気汚染が深刻化していることから、福岡市は中国から偏西風に乗って飛来する汚染物質の濃度を独自に予測し、市民に注意を呼び掛ける予報を今年の夏にも始めることになりました。
福岡市では現在、市内に6カ所ある粒子の測定ポイントを新たに3カ所増やした上で、専門家の意見を基に独自の健康基準を定めることにしています。その上で観測値や風向きなどから基準値を上回りそうな場合には、インターネットや防災メールを使って市民に注意を呼び掛けることにしています。
福岡市によりますと、中国からの汚染物質の飛来による大気汚染の予報を行うのは、全国でも初めてだということです。
2013年2月4日(月)
■子宮頸がんワクチンなど定期予防接種に 厚生労働省
若い女性に増えている「子宮頸がん」と幼い子供がかかる「細菌性髄膜炎」を予防する、合わせて3種類の子供向けのワクチンについて、厚生労働省は今年4月から、法律に基づいて行われる定期の予防接種に新たに追加することを決めました。
新たに追加されるのは、若い女性に増えていて毎年2500ほどが死亡している子宮頸がんを予防するワクチンと、幼い子供が年間350人ほどかかり、死亡や後遺症につながる恐れがある細菌性髄膜炎を予防する肺炎球菌ワクチンとヒブ(インフルエンザ菌b型)ワクチンの合わせて3種類です。
これらのワクチンは、厚労省が3年前から基金を作って費用の一部を助成しています。しかし、接種を勧める案内をしていない自治体があったり、子宮頸がんワクチンの対象者の3パーセントしか接種していない自治体があるなど問題になっていました。
このため厚労省は、3種類のワクチンを今年4月から法律に基づいて行われる定期の予防接種に新たに追加することを決めました。
これで、自治体は対象者全員に接種の案内を送らなければならなくなるほか、費用について自治体が少なくとも9割負担する財源が恒久的に確保されることになります。
厚労省は、予防接種法の改正案を今の国会に提出することにしています。
3種類のワクチンは欧米ではすでに公的予防接種の対象となっており、法案が成立すれば先進国の水準に追い付くことになります。
2013年2月4日(月)
■ピロリ除菌の保険拡大し、胃炎も適用へ 胃がん減らせる可能性
胃の粘膜に感染して胃がんなどを引き起こすピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)の感染による慢性胃炎について、除菌治療が保険診療として認められる見通しになったことがわかりました。
ピロリ菌の除菌は胃がん予防に大きな効果があるとされていますが、これまでは慢性胃炎からさらに進んで胃潰瘍などになるまでは保険適用されていませんでした。対象拡大でより早い段階で治療が受けられるようになり、胃がんの発症者数を大幅に減らせる可能性があります。
ピロリ菌は胃の粘膜にいる細菌。感染者は国内で約3500万人で、50歳以上の7~8割が感染しているとみられます。子供のころに感染すると、成人になっても胃の中でピロリ菌が生き続けます。
現在、公的医療保険で除菌の対象になる病気は胃潰瘍、十二指腸潰瘍など。これまで慢性胃炎の除菌は保険の対象外なので自費診療になり、1回につき、数万円の自己負担が必要でした。
厚生労働省の専門部会で治療効果などについて検討され、1月31日開催された会議で、症状の軽い患者でも除菌で慢性胃炎が改善するとの研究結果を確認、除菌に必要な複数の薬剤の適用範囲を広げることを認めました。早ければ3月から受けられる見込み。
慢性胃炎の除菌治療で保険適用が認められるのは、ピロリ菌の除菌剤とその効き目を高めるための補助剤。ただし、吐いた息で調べる検査などで感染を確認し、内視鏡検査で炎症が見付かるのが条件となります。
胃がんによる死亡者数は年間約5万人。日本ヘリコバクター学会などは胃がん予防のため、厚労省にピロリ菌除菌の保険適用を拡大するよう求めていました。
ピロリ菌は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、慢性胃炎を起こすだけでなく、長い年月を経て胃がんの原因にもなります。除菌によって将来の胃がんが減るという研究結果もあります。
除菌には3種類の薬を朝夕2回、7日間にわたって飲み続けます。これで除菌できない場合は、2回目の除菌をします。ただし、薬で下痢、軟便などの副作用が出る場合があるほか、治療後に逆流性食道炎で胸焼けなどを訴える人もいます。
2013年2月3日(日)
■高齢者の入浴中の急死、年間1万7000人 80歳以上が6割
高齢者が自宅などで入浴中に意識障害を起こしておぼれたり、脳卒中や心筋梗塞を発症したりして急死するとされる「入浴関連死」が、全国で年間約1万7000人に上るとの推計を東京都健康長寿医療センター研究所(東京都板橋区)が2日までにまとめました。
入浴中の急死は冬場に多発。温度差による血圧の急激な変化が原因と指摘されていますが、実態はよくわかっていませんでした。熱中症も原因の一つと見なされており、厚生労働省は、具体的な発症要因を探って防止策につなげようと実態把握を進める方針。
同研究所は昨年10月、北海道や東北、関東、中部地方の23都道県にある440以上の消防本部すべてを対象に、入浴中に心肺停止状態となって救急搬送された65歳以上の高齢者に関する調査票を郵送。378消防本部から回答があり、うち365本部で該当事例がありました。
それによると、2011年中に、365本部で計4252人が搬送されていたことが判明。年代別では80歳以上が2438人と6割近くを占め、75~79歳の921人が続きました。
同研究所は、救命につながったケースはごく一部に限られるとみて、年齢分布を考慮するなどし、同様のケースによる全国の死者数を推計。一部の消防本部からは発見時にすでに死亡していた「不搬送」事例の報告もあり、これらも推計に反映させました。
調査は、寒冷地では入浴死のリスクが高まると指摘されることから、東日本を対象にしました。
同研究所の高橋龍太郎副所長によると、冷え込んだ脱衣所や浴室では、急に体温が奪われ血管が縮んで血圧が上がります。湯船に入った直後も熱さが刺激となって血圧が上がり、その後は血管が広がって急速に下がります。こうした血圧の急変動が意識障害の引き金になり、おぼれる恐れがあるといいます。脳卒中などの発症につながるほか、「湯に長く漬かることで熱中症もあり得る」としています。
高橋副所長は、浴室や脱衣所を暖房器具で暖めたり、入浴前に浴室の床に湯をまいたりといった予防策を勧めています。「可能なら浴室の壁に断熱材を入れ、二重窓にするのも有効」といいます。
2013年2月2日(土)
■インフルエンザ患者、推計で214万人 44都道府県で警報レベルに
インフルエンザの流行がさらに拡大し、全国の44都道府県で警報レベルに入りました。国立感染症研究所(東京都新宿区)が1日に発表した全国約5000カ所の医療機関を受診した平均患者数は、最新の1週間(1月21~27日)で警報レベルの「30人」を超える36・44人。前週は22・58人で、6週連続で増加しました。
感染研によると、この1週間に全国で214万人(推計)が受診しており、前週よりも74万人増えました。これは昨年のピーク時の211万人を上回り、2009年に当時の新型インフルエンザの流行を切っ掛けに、週ごとの推計患者数の公表が始まってから最も多くなりました。
都道府県別にみると、1医療機関当たりの患者数が最も多いのは新潟県の53・81人で、次いで千葉県の53・22人、長崎県の50・91人、埼玉県の49・53人、愛知県の46・65人、福岡県の45・74人と続きます。すべての都道府県で前週よりも患者数が増加し、警報レベルを超えたのは前週よりも16府県増えました。
年齢別にみると、5歳から9歳が35万人と最も多く、次いで10歳から14歳が30万人、30歳代が26万人などとなっていて、小学校や中学校での流行に加え、その親に当たる世代でも感染が広がっています。例年より成人の患者が多いのが今シーズンの特徴で、前週の調査では20歳代以上が全体の5割以上を占めました。
病院での集団発生も相次いでおり、長野県では入院患者の80歳代と90歳代の女性2人が死亡。神奈川県でも80歳代の女性1人が死亡しました。流行しているウイルスは昨シーズンと同じA香港型で、症状が重く入院する患者は半数以上が60歳以上だということです。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「インフルエンザは流行のピークに入りつつある。今年は、大人の患者が多いことが全体の患者数を押し上げている。家族からの感染が要因の1つとみられるので、家庭でもこまめな手洗いやマスクの着用といった予防策を心掛けてほしい」と話しています。
2013年2月1日(金)
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