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2019年1月〜 20187月〜12月 1月〜6月 2017年7月〜12月 1月〜6月 2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月
■脳波で意思伝達 障害者支援の新システム
産業技術総合研究所(茨城県つくば市)は29日、言葉や筆記などコミュニケーションが困難な重度の障害者でも、頭皮上の脳波を測定し、意思伝達できる「ニューロコミュニケーター」を開発したと発表しました。
2~3年後の実用化を目指します。思うだけで機械が動く仕組みが手軽な形で実現できれば、体の自由が利かない障害者や高齢者にとっては朗報。
ニューロコミュニケーターは、頭に装着する脳波計の大きさを携帯電話の半分程度と小型化したほか、無線で読み込んだ脳の信号を高速、高精度に解読し、「水が飲みたい」など、意思伝達を実用的なレベルで表すアプリケーションも新たに開発しました。
パソコン画面上に、「飲食する」や「移動する」「体のケア」「気持ち」など8つのイラストと文字を表示して順番に光り、脳波の変化が大きかった選択肢を本人が希望したと、相手に伝える仕組み。
さらに画面を見て選択を進めると、入浴やトイレなどの日常生活の行動のほか、「好き」や「怖い」といった感情表現など512種類の意思表示が可能といいます。例えば、「移動する」「洗面所」「歯磨き」と本人が選択すれば、「洗面所に行って歯を磨きたいです」と音声が流れます。
従来機のニューロコミュニケーターは800万円前後と高価で操作も複雑なのが難点でしたが、産総研のニューロコミュニケーターは10万円以下の価格での実用化を目指しています。
長谷川良平・ニューロテクノロジー研究グループ長は「個人が使うレベルで実用化されたシステムが、これだけ安価にできたのは世界初。訓練すれば10秒ほどで意思表示が可能で、精度も90パーセント以上になる。外出にも携帯できる利点も大きい」と話しています。
2010年3月31日(水)
■日本人の喫煙率、アラサー・アラフォー女性のみに上昇傾向
国立がんセンターがん対策情報センターが、毎年、実施している国民健康・栄養調査などをもとに、2008年の日本人の喫煙率についてまとめ、公表しました。
喫煙率は成人男性が37パーセント、成人女性が9パーセントで、徐々に下がりつつありますが、30〜40歳代の「アラサー・アラフォー女子」で上がる傾向にあります。
日本人全体の喫煙率は22パーセントで、現在の調査手法になった5年前に比べ6ポイント下がりました。男性は40歳代の喫煙率が最も高く52パーセント、女性は30歳代で18パーセント、次いで40歳代で13パーセントでした。1995年以降、男性はどの年代も喫煙率が下がる傾向にあり、女性は30〜40歳代のみ上がる傾向にあります。女性の20歳代は、2005年以降減少がみられます。
また、都道府県別で喫煙率が高いのは男性が青森、北海道、福島、栃木、石川、女性は北海道、東京、神奈川、青森、埼玉の順でした。喫煙率が低いのは男性が奈良、島根、京都、東京、沖縄、女性は島根、鹿児島、福井、鳥取、長野の順でした。
2010年3月30日(火)
■子供の1割がサプリメント、健康食品を摂取
サプリメントや健康食品を使っている子供がが1割を占める――。このようなデータが、帝京大学薬学部医療薬学の斎藤百枝美(もえみ)准教授らの調べでわかりました。
調査は2006〜08年に、帝京大学病院(東京都板橋区)の小児科を発熱やせきなどで受診した0〜16歳までの1198人の保護者らに聞きました。うち、131人(10.9パーセント)がサプリメントや健康食品を使っていると答えました。
年齢別では3~4歳が14人と最も多く、0歳から使用しているケースもみられました。使ったことがあるサプリメント、健康食品で最も多かったのは、ビタミンCや葉酸、肝油などのビタミン類(60人)。次いで、カルシウムや亜鉛、鉄入りビスケットなどのミネラル類(38人)、青汁などの植物成分(23人)と続きました。
2種類以上使用している子供も25人いて、カルシウム、ビタミンなど4種類のサプリメントを使っている13歳の男子もいました。親が与えている場合がほとんどで、その理由で多かったのは「健康によいから」(38人)、「栄養補給」(19人)、「成長に必要」(14人)の順。
斎藤さんは「多くの情報がある中で正しい判断をするのが難しい場合もあると思いますが、代謝や排泄(はいせつ)が未発達の子供が大人と同じ量のサプリメントをとると、腎機能や肝機能の障害が出る恐れがあります。また、病院にかかっている場合は飲み合わせによっては薬の効果が減少することもあるので、医師に何のサプリ、健康食品を使用しているのかを伝えて下さい」と、注意を呼び掛けています。
2010年3月29日(月)
■フィリピン候補ら3人が看護師国家試験に合格
厚生労働省は26日、日本との経済連携協定(EPA)に基づいて来日し、国内の病院で働いているフィリピンとインドネシアの看護師候補者の男女計3人が、2月実施の2010年度の看護師国家試験に合格したと発表しました。
EPAで看護師候補者が来日を始めた08年以来、合格者が出たのは初めて。だが、日本人も含めた全体の合格者は4万7340人で合格率は90パーセントだったのに対して、両国から来て研修中の看護師候補者は今回は254人が受験し3人だけが合格と、合格率が約1パーセントにとどまる狭き門の現実は変わりませんでした。
厚労省によると、合格した3人のうち2人はインドネシアから来日し、新潟県三条市の三之町病院で働く男性のヤレド・フェブリアン・フェルナンデスさん(26)と、女性のリア・アグスティナさん(26)。2人は病院で開かれた記者会見で、「受験番号を見つけた時は安心してうれしかったです」「これからもっと勉強しないといけない」と表情を引き締めました。2人とも母国では看護師で、年初めから睡眠時間を削り、休日も日本語や試験の勉強を続けてきたといいます。
もう1人の合格者は、栃木県足利市の足利赤十字病院に勤めるフィリピンの女性のラリン・エバー・ガメッドさん(34)。病院での記者会見では、「すばらしい教育環境を提供してくれた病院の人たちに感謝したい」と笑顔を浮かべました。ラリンさんは母国で看護師として8年間勤務後、サウジアラビアで5年間、救命医療などに携わっていました。
経済連携協定では、看護師候補者は滞在期間の3年以内に日本語による国家試験に合格できなければ、帰国しなければなりません。厚労省は今後、日本語を教える研修費の助成など、施設での語学教育支援を強化する方針。
2010年3月28日(日)
■病院が4月から、医療費明細書の無料発行を開始
4月から、病院などの医療機関で治療を受けた際には、従来の領収書に加えて明細書も窓口で無料でもらえることになります。明細書には、これまで書かれていなかった詳しい検査内容や薬の正式名称、それぞれの診療報酬の点数が明記され、医療情報の透明化が進みます。
健康保険制度に基づく医療は、検査や手術の内容ごとに「診療報酬点数表」が細かく決められています。診療報酬は1点につき10円で、医療機関は点数表をもとに患者ごとに医療費を計算。実施した医療行為と投薬量などを明記したレセプト(診療報酬明細書)を作って、健康保険組合へ請求します。
医療費の一部は患者本人(被保険者)が窓口で支払いますが、その際にもらえる領収書では「初・再診料」「検査(料)」「画像診断(料)」「投薬(料)」の4項目ごとの診療報酬点数しかわかりません。これに対し、レセプトはより詳細で、「検査名」「薬品名」「診療報酬点数」が記載されています。
97年まで旧厚生省は「患者に告知していない病気を知らせてしまう恐れがある」「医師のプライバシーにかかわる情報も含まれる」などを理由に、健保組合や自治体などに対し、レセプトを患者に見せないよう指導していました。97年以降は、患者が請求すれば開示されるように方針転換されましたが、一般にはあまり知られていませんでした。
4月からは請求しなくても、レセプト並みの情報が記載された明細書が原則、全医療機関の窓口で無料発行されることになります。入院ベッドが19床以下の診療所の窓口では7月から発行され、明細書発行機能がないコンピューターを使っている一部病院などは除かれます。その場合も患者から求めがあれば、無料で発行されます。
検査や薬について知りたいことがあれば、医師や薬剤師に尋ねるのが基本ですが、質問し忘れたり、聞きにくかったりした場合でも、この明細書があれば自分である程度調べられ、第三者に聞くこともできます。保管しておけば、検査項目が増えたり、薬が変わったりしたことがわかるというメリットもあります。
2010年3月27日(土)
■特養介護職員のたん吸引を容認 厚労省が通知へ
厚生労働省は25日、特別養護老人ホーム(特養)の介護職員が、たんの吸引など医師や看護師にしか認められていない医療行為の一部を行うことを特例として認める方針を決めました。4月中にも都道府県知事に対し通知を出します。
厚労省によると、認められるのは入所者の口腔内からたんや唾液などを機械で吸い出す「吸引」と、胃に通したチューブから流動食を入れる「経管栄養」。
実施できるのはあらかじめ決められた介護職員で、入所者の状態が安定していることが前提。その上で、入所者の同意を書面で得ること、医師や看護師による指導や研修を受けること、施設が安全確保体制を整えることなどが条件となる見通しです。
全国125施設で昨年9~12月に実施したモデル事業の結果、研修を積んだ介護職員であれば吸引などが可能であることを、25日の厚労省検討会で確認したことを受けました。研修は5月にも始まる予定。
今回の容認で、特養入所者の自己負担が増えることはありません。グループホームなど他の施設について、厚労省は「今後の検討課題」としています。
2010年3月26日(金)
■神奈川県が海水浴場を禁煙に
今シーズンから神奈川県内にある海水浴場は、海水浴場設置者が設けた喫煙専用区域以外では原則禁煙となります。海の家などの休憩所や飲食店は対象外。
昨夏、同県内約30の海水浴場には416万人が訪れましたが、県が利用客約7000人にアンケートをとると、約7割が「喫煙場所以外では吸えない」ルールに賛成し、県と沿岸14市町で検討し、違反者への罰則は設けない形で県条例の一部改正案が県議会本会議で可決、成立しました。
海水浴場での禁煙を条例で定めている市町は静岡県熱海市、京都府京丹後市、和歌山県白浜町など数例ありますが、都道府県単位では全国初です。施行は海開き前の5月中の予定で、海水浴場に看板を設置したり、スピーカーで放送したりして条例の周知を図ることになります。なお、施行日から3年ごとに見直しを行います。
松沢成文知事は「世界の有名海岸で禁煙は常識。砂浜がきれいになって湘南海岸のブランドイメージが上がり、多くの観光客に伝わるのではないか」と期待感を示しました。
2010年3月25日(木)
■30〜50歳代の女性に、トランス脂肪酸の過摂取の傾向
マーガリンやスナック菓子などの原料に含まれ、心臓病との関係が指摘されるトランス脂肪酸の摂取量を探るために、東京大など8大学のグループが日本で初めて実施した本格調査の結果が、まとまりました。
世界保健機関(WHO)と国連食糧農業機関(FAO)が勧める「1日にとる総カロリーの1パーセント未満」という目安を超えて摂取していた人が、30〜40歳代の女性で3割を超えました。疑われるのは、お菓子。
トランス脂肪酸は植物油を加工した油や、それを使ったビスケットやケーキ、ファストフード、菓子パンなどに含まれます。多量に摂取すると血中の悪玉(LDL)コレステロールを増やし、善玉(HDL)コレステロールを減らして、動脈硬化や心筋梗塞(こうそく)などの発症リスクが高まるとされます。
調査では、526の食品ごとに、含まれるトランス脂肪酸の量を国内外のデータを使って検討したほか、国内4地域に住む30〜60歳代の男女225人に、季節ごとに4日間ずつ計16日間、食事の内容を詳しく記録してもらい、摂取量を算出しました。
1日の平均摂取量は男女とも1.7グラム、総カロリーに占める割合はそれぞれ0.7パーセント、0.8パーセント。30歳代の女性では2.1グラム(総カロリーの1パーセント)、40歳代の女性で1.9グラム(同0.9パーセント)でしたが、この両世代の女性の中には、WHOなどの推奨の範囲内に収まらない1パーセント以上の人がそれぞれ33パーセント、38パーセントいました。50歳代の女性でも、1パーセント以上の人が25.1パーセントいました。
女性全体では、トランス脂肪酸のもとになった食品のうち、お菓子類が22パーセントを占めたのに対して、男性全体では、15パーセント。お菓子をたくさん食べる女性の習慣が、トランス脂肪酸を多く摂取することにつながった可能性があります。
一方、福島瑞穂消費者行政担当相は24日の会見で、トランス脂肪酸の食品への含有量の表示義務化を検討するように、消費者庁に指示したことを明らかにしました。欧米などでは食品への含有量の規制や表示の義務化が進んでおり、日本国内でも消費者団体などから「規制が必要だ」との要望が上がっていました。
食品安全委員会では、「平均的な日本人の食生活ではすぐに、トランス脂肪酸による健康被害が出るようなことはない。バランスの良い食事を心掛けることが大切」としています。
2010年3月24日(水)
■救急救命士の業務を拡大し、重症ぜんそくの薬吸入を解禁
救急搬送中の処置を充実させ救命率向上を図る目的で、救急救命士の業務拡大を協議している厚生労働省の検討会が、搬送中の重症ぜんそく患者に薬を吸入させる医療行為を新たに認める方針を固めました。有効性などを精査する実証研究を行った上、正式な解禁時期など細部を詰めます。
搬送中の処置は病院前救護といわれ、発症直後の「超急性期医療」の一環。検討会では、発作で意識障害のある糖尿病患者へのブドウ糖投与や、心肺停止前に静脈の輸液路を確保する処置の可否なども議論しており、救急救命士業務の重要性は今後も増しそうです。
検討会では、ぜんそく患者が重度の発作を起こし、気管支を広げる「短時間作用性β2刺激薬」を自力で吸入できない場合、救急救命士が代わりに吸入させてよいかどうかを協議。その結果、委員らはこの薬の吸入が簡単で、少量でも効果が高いことを根拠に「重症発作による死亡の減少が期待できる」と判断しました。
実証研究は、厚労省研究班が全国の複数地域を選んで実施。一定期間、試験的に解禁し、医療、消防、自治体関係者の必要とされる人員数の確認や、どれほど救命に貢献するかなどのデータ分析を行います。
2010年3月23日(火)
■不適切な点眼をしている人が9割以上と判明
点眼後の目のパチパチは禁物ーー。目薬をさした後に目をしばたたかせるなど、不適切な点眼をしている人が9割を超すことが、医薬品メーカー、ファイザー(東京都渋谷区)の調査で判明しました。
同社は、緑内障など成人の目の病気が多く発症してくる40~60歳代の男女1200人を対象に、インターネットで調査。適切な点眼後の行動である「しばらく目を閉じて、薬が鼻やのどに流れないよう目頭を軽く押さえる」を実行している人はわずか5.8パーセントで、「目をパチパチさせている」43.3パーセント、「しばらくの間、目を閉じている」30.2パーセント、「しばらくの間、目を見開いたままじっとしている」15.1パーセントなど、計94.2パーセントの人が不適切でした。
「目をパチパチさせている」人のうち、88.3パーセントは「目薬が目全体や患部に行き渡ると思うから」と答えていました。この方法では、薬が外に流れ出てしまい、十分な効果が得られないといいます。
目薬の1滴は目の中にためることができる適切な量ですが、33.5パーセントが2滴以上さしており、3人に1人がさし過ぎでした。また、緑内障の治療などで2種類以上の目薬を処方された場合、約5分以上の間隔を空けていない人も37.2パーセントいました。
2010年3月22日(月)
■たん吸引を理学療法士や作業療法士に解禁し、特定看護師も創設へ
厚生労働省の「チーム医療の推進に関する検討会」は19日、医師、看護師のほかは認められていない患者のたん吸引について、リハビリテーションを担う理学療法士や作業療法士、言語聴覚士、さらに人工呼吸器の管理をする臨床工学技士にも解禁すべきだという報告書をまとめました。
同省は4月にも通知を出し、合法化します。2008年10月1日現在、対象となる4つの医療職は計約9万8000人。
呼吸や言葉の訓練、食事の練習などで、たんの吸引が必要な場合がありますが、各資格を定めた現行法では医療行為の明確な規定がありません。臨床工学技士は指針で「吸引の介助」のみが認められてきましたが、ほかの理学療法士などの資格では「できない」と解釈されていました。
今回、合法化することで医療サービスの質が向上するだけでなく、人工呼吸器をつけたり呼吸機能が弱ったりして在宅で療養生活をする小児や高齢者の介護を支える戦力が増えることになります。介護が必要な患者は自分でたんを出せないため、多い時は1時間に1回はたんの吸引が必要。放置すれば、窒息や誤嚥(ごえん)性肺炎などの危険もあります。
また、厚生労働省の検討会は同日、従来よりも高度な医療行為ができる新しい看護職種「特定看護師(仮称)」を試験的に導入すべきだという報告書もまとめました。これを受けて、同省は新年度に新設する検討会で、特定看護師が行える医療行為を具体的に選定し、試行を経て早ければ3年をめどに法制化も検討します。
報告書では特定看護師が行える医療行為として、医師の指示を前提に、傷口の縫合や気管挿管のほか、在宅療養中の患者に対する薬の変更や中止、救急外来患者の重症度の判断などを例示しています。認定条件としては看護師として一定の経験があり、専門のカリキュラムを持つ大学院で学んだ上で新設する第三者機関の認定を受けることを挙げ、数年ごとに同機関で能力を評価することも求めました。
さらに、報告書では一般の看護師についても、一定の範囲で業務を拡大することを明記しました。
2010年3月21日(日)
■一般市民による心肺蘇生で、AED使用は2パーセント
病院外で突然、心肺停止した人を一般市民が目撃した際に、心臓に電気ショックを与えて救命するAED(自動体外式除細動器)を実際に使ったケースは、2008年の1年間で2パーセントにとどまっていました。
総務省消防庁が全国の消防本部や消防局からデータを集めてまとめたところ、08年に心筋梗塞(こうそく)などで患者が心肺停止した6万3283件のうち、病院以外の一般市民の前で起きたケースは2万769件。このうちほぼ半数の9970件で市民による心肺蘇生がなされていましたが、AEDが使われたのは429件(2.1パーセント)にとどまっていました。05年の46件に比べると10倍近く増えていましたが、まだ使用率は低いまま。
消防庁によると、AEDを使わなかった場合の患者の1カ月後の生存率は9.8パーセントなのに対して、使用した場合の生存率は43.8パーセントで4.5倍に上昇します。1カ月後の社会復帰率も未使用では5.6パーセントなのに対して、使用した場合は38.2パーセントで6.8倍に急上昇します。
調査結果について、消防庁は「救急隊員が到着するまでに、少しでも早く処置をしてもらうことが救命につながる。もっと多くの人に使ってもらえるよう啓発したい」としています。04年から一般市民の使用が可能となったAEDの設置数が急増する一方で、周知が進まず、使用に不安を抱く人も多いことなどが、使用率が低い原因とみられます。
厚生労働省研究班によると、AEDの設置台数は08年末で約20万台。医療機関や消防署以外では、公的施設や商業施設、マンションなど市民が使える場所に約15万台設置されています。しかし、使用法を学べる機会は、各地の消防署で開かれる「講習会」などに限られているのが現状です。
2010年3月20日(土)
■火を使わず煙も出ないたばこを、JTが5月に発売
日本たばこ産業(JT)は17日、火を使わず煙も出ない無煙たばこ「ゼロスタイル・ミント」を開発し、5月中旬に東京都限定で発売すると発表しました。
たばこの葉が詰まったカートリッジをパイプ状の本体にセットして吸う「かぎたばこ」で、周囲への煙やにおいを気にせずに、たばこの味や香りを楽しめるといいます。価格は本体とカートリッジ2本のセットで税込み300円、詰め替え用カートリッジは4本入りで400円。
タールはゼロで、ニコチンは軽めのたばこの20分の1程度含まれ、使用頻度に応じて1本のカートリッジで半日から1日程度楽しめ、呼気からのにおいも気にならないといいます。
同日、東京都内で会見した小泉光臣副社長は、「たばこの煙が周囲に迷惑かけるという愛煙家の不安、懸念、心配を取り除いた商品」、「ビルや店などの判断にもよるが、煙が出ないのでさまざまな場所で吸える」とピーアール。従来のたばこが吸えないエリアでの代替需要を見込んでいるといい、順次、販売地域を全国に広げる計画です。
公共施設での全面禁煙を求める通知を2月下旬、全国の自治体に出した厚生労働省では、禁煙場所での利用について「公式な見解ではないが、受動喫煙のリスクがなければ構わないかもしれない」(生活習慣病対策室)とコメントしています。
かぎたばこは、粉末状のたばこの葉を鼻孔の粘膜、口腔内粘膜などから摂取するもので、日本国内では「スナッフ(Snuff)」、「スヌース(Sunus)」の2種類がすでに販売されています。そのほかの無煙たばことして、湿った粉末状のたばこの葉を歯茎に塗布する「アメリカンスナッフ」や「噛みたばこ」などがありますが、日本では未発売。
2010年3月19日(金)
■AEDを使った市民の心肺蘇生で、社会復帰2倍以上
病院外で突然、心停止した人を目撃した一般市民が公共の自動体外式除細動器(AED)を使うと、救急隊員が到着後に使った時に比べ、社会復帰できた割合が2倍以上になるとの調査結果を京都大の石見拓助教(救急医学)らのチームがまとめました。
18日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表、石見助教は「AED普及の有効性を初めて実証できた」としています。
チームは、総務省消防庁の2005~2007年の全国データをもとに、病院外で心停止し、心臓に電気ショックを与えて蘇生させるAEDを受けた約1万2000人を調査。脳への障害がなかったり少なかったりして1カ月後に社会復帰できた率は、近くにいた一般市民から受けた約460人では約32パーセントでしたが、駆け付けた救急隊員が最初にショックを与えた約1万1700人では約14パーセントで、実施までの時間が短いほうが有効でした。
また、人が住んでいる(可住)面積1平方キロ当たりのAED設置が4台以上の地域は、1台未満の地域よりも社会復帰率が4倍近くに増加していました。
AEDは04年から一般市民の使用が可能となりましたが、消防庁の全国調査では、実際に一般市民が使ったケースは08年の1年間でも2パーセントにとどまっています。
2010年3月18日(木)
■来季のインフルワクチン、季節性と新型を一つに
来季のインフルエンザ流行シーズンに備えるワクチンについて厚生労働省は15日、新型の豚インフルと、季節性のA香港型、B型の3タイプのウイルスを対象にすることを決め、3つを組み合わせたワクチンの製造を国内メーカーに依頼する方針を明らかにしました。
新型と季節性のワクチンを一度に接種できるようになるため、接種を受ける人の経済的、身体的な負担が少なくなります。新型だけのワクチン接種を希望する人には、今シーズン使われなかったワクチンを備蓄して対応するといいます。
今季のシーズンに向けたワクチンは、季節性のA香港型、Aソ連型、B型の3つを組み合わせたワクチンで、新型流行を受けて新たに新型のワクチンを製造しました。世界保健機関(WHO)は2月、来シーズンに向けて、Aソ連型を新型に置き換えるよう北半球向けに推奨、日本もこれを受け入れた形。
最終的には、製造メーカーが専門家の意見を聞くなどして決めますが、接種した人に健康被害が生じた場合は、今国会に提出された改正予防接種法案で想定する「新臨時接種」並みの補償水準とし、現行の季節性インフルより高く設定する方向で検討されます。
2010年3月17日(水)
■心筋梗塞の病巣がホルモンで縮小
急性心筋梗塞(こうそく)になったミニブタの血管に脂肪組織から分泌されるホルモンを注射すると、梗塞した病巣が縮小することを名古屋大大学院医学系研究科の柴田玲講師、室原豊明教授らの研究チームが突き止め、米医学誌の電子版に発表しました。
研究チームによると、アディポネクチンというホルモンを7匹のミニブタの心臓の血管に静脈注射したところ、注射しない9匹のミニブタと比べ、病巣が平均で42パーセント縮小。チームはマウスを使った実験で、アディポネクチンを増やすと心臓の保護に効果があることは、すでに確認済みです。
今回、より人間に近い大動物でも病巣が縮小したことで、実際の治療への応用に一歩近付きました。柴田講師は、「少量注射するだけで、効果があるとわかった。画期的な治療法で、ぜひとも臨床応用につなげたい」と話しています。
アディポネクチンは、大阪大学分子制御内科学教室の松澤佑次教授のグループによって発見された物質。高血圧や糖尿病、動脈硬化に抵抗する作用を持ち、肥満症や糖尿病、動脈硬化症など生活習慣病の患者では、その血中濃度が低下していることが判明しています。
2010年3月16日(火)
■日本初の子供ホスピス、3カ所開設へ
重い病気や障害とともに生きる子供や家族を支える日本初の「子供ホスピス」が、神奈川県大磯町と奈良市、北海道滝川市の3カ所で、今年から2012年にかけて開設されます。
子供ホスピスは英国で誕生し、小児がんや脳性まひ、筋ジストロフィーなどの病気や障害とともに365日間、暮らす子供や家族が「第二の家」として滞在し、つかの間の休息を得られる施設として、同国に約40カ所あるほか、豪州、カナダなどにも広がっています。
小児科医らで作る「小児在宅医療・緩和ケア研究会」代表の細谷亮太・聖路加国際病院副院長によると、子供ホスピスのような施設は日本にはまだありません。研究会は新たにNPO法人を作り、神奈川県大磯町の自然に囲まれた古民家を利用して、子供ホスピスの2年後の開設と周辺の医療施設との連携を目指します。
奈良市では、東大寺の宿坊「華厳(けごん)寮」を子供ホスピスとして利用する計画が進んでいます。京都大付属病院遺伝子診療部の富和清隆教授が任期切れを機に、4月に東大寺福祉療育病院に移り、寺と協力して運営方法を検討し、年内の一部開設を目指します。
北海道滝川市では、難病児のための野外施設「そらぷちキッズキャンプ」で、今春から子供ホスピスの建設が始まります。
2010年3月15日(月)
■改正臓器移植法では、15歳未満でも提供拒否が有効に
7月に本格施行される改正臓器移植法の運用を検討する厚生労働省の作業班は11日、15歳未満の子供が臓器提供を拒否する意思を口頭で示していた場合にも、その意思表示を有効とする考えで合意しました。
臓器提供の意思を示すことができるのは、改正法施行後も現行法と同じ15歳以上と規定される予定で、意思は書面で残さなければなりませんが、拒否の場合は本人が生前に口頭で意思を表明していても有効とされます。ただし、子供の場合は臓器提供の意味がわかっていることが必要条件。
現行法では、脳死になった人からの臓器提供には本人があらかじめ書面で意思表示してあることが必要。民法上、遺言が可能になるのが15歳以上とされていることから、15歳未満の子供は意思表示できず、臓器を提供できません。改正法施行後は、15歳未満の子供の本人意思が不明でも生前の拒否がない限り、家族の書面による同意で臓器提供できるよう改められます。
なお、作業班は約1億2000万枚配布された現行の意思表示カードで、心臓が止まった後の臓器提供にだけ同意している人について、脳死下の臓器提供を拒否していたと扱うことでも合意しました。
2010年3月14日(日)
■隠れメタボで、やせている人も高リスク
ウエストのサイズが大きくてもそうでなくても、血圧や血糖値などで異常が重なればメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群=メタボ)と同じように心筋梗塞(こうそく)や脳卒中を起こすリスクが高まることがわかりました。
メタボ健診の基準を検証している厚生労働省の研究班が11日、解析結果をまとめました。腹が出ていない人たちに向けた対策も進めるよう提言を報告書に盛り込み、将来の基準に反映される見通しです。
日本の現在の基準は日本肥満学会が中心となって作成したもので、腹囲が男性85センチ以上、女性90センチ以上であるのが第一条件。その上で血圧や血糖、脂質の検査値の異常が二つ以上あると「メタボ」と認定します。
研究班は全国の40〜74歳の男女約3万人を対象に、腹囲が基準を満たした場合と満たさない場合とで調べたところ、腹囲が基準に達しない人でも、検査値の異常が増えるにつれて心筋梗塞などの発症リスクが増えていました。また、女性で発症した506人のうち、半数以上は腹囲が基準より小さく、何らかの検査値の異常を抱えていました。
40〜74歳の全国民を対象としている特定健診では、メタボに該当するか、予備群とされた人に対して特定保健指導をしています。ただ、やせていて血圧や血糖値が高い人はとりわけ日本に多く、死亡リスクも高いことが、従来から指摘されてきました。海外では昨年10月、国際糖尿病連合などが「腹囲を必須条件としない」とする世界的な統一基準を作成しています。
■かかる医療費がメタボでは6割増し、と検診調査で判明
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群=メタボ)の人の医療費は、該当しない人の1.6倍。血圧や腹囲の数値が高いメタボ予備群の人の医療費も、該当しない人より高め。
中小企業のサラリーマンらが加入する協会けんぽを運営する全国健康保険協会が10日、2008年度に生活習慣病の健康診断を受けた35歳以上の被保険者約425万人のデータを分析し、メタボに該当する人と、そのリスクがない人について1年間の医療費を比較した結果をまとめました。
メタボの男性1人当たりの外来の医療費(薬代を含む)は平均11万2705円で、該当しない男性の平均7万9619円の1.4倍かかっていました。メタボの女性は平均13万9390円に上り、該当しない女性の1.6倍かかっていました。入院医療費でも、メタボの男性が1.3倍、メタボの女性が1.5倍かかるという結果が出ました。
また、メタボの男女は「食事を食べる速度が他人と比較して速い」と回答した割合が高く、男性は45.8パーセント、女性は44パーセント。該当しない男性の34.1パーセント、女性の30.4パーセントを大きく上回っていました。
全国健康保険協会が健診データと医療費を比較分析したのは初めてで、「今後、医療費などのデータがどう変わっていくかを継続して分析していく」方針です。
2010年3月12日(金)
■昨年のはしか患者が激減し、初めて1000人を下回る
昨年1年間に日本国内で、はしか(麻疹)に感染した患者数が激減し、741人にとどまりました。10日に発表した厚生労働省によると、前年の1万1015人に比べて大幅に減少し、記録を取り始めた1982年以来初めて1000人を切りました。
同省は、「2008年度から13歳と18歳を対象に、ワクチンの公費による追加接種を始めたことが、患者減少につながった」としています。
人口100万人当たり1人を下回ると、はしかがその国から排除されたことになります。今回は全国平均は5.8人でしたが、都道府県別では秋田、高知、熊本、石川の4県が1人を下回りました。逆に、千葉116人、東京112人、神奈川97人と、都市部の患者数が全体に占める割合は5割以上。
昨年4〜12月のワクチン接種率は、小学校就学前で67.3パーセント、13歳で65.8パーセント、18歳で56.6パーセントと、各年代とも目標とする95パーセントには到達しませんでした。
2010年3月11日(木)
■健康食品320業者に消費者庁が改善指導
消費者庁は8日、健康食品を不適切な表現で販売していたインターネット上のショッピングモール運営320事業者に対し、表示を改善するよう指導したと発表しました。
健康増進法第32条の2に基づく業務の一環として、消費者庁ではインターネットにおける健康食品等の虚偽・誇大表示の監視業務を行っています。 「平成21年度健康食品インターネット広告実態調査」を実施したところ、健康食品などを疾病に関連させて「がんや糖尿病が治る」といった、消費者を誤認させる恐れのある表示が掲載されているサイトが547件確認されました。
これらのサイトは監視を継続され、改善がみられない場合は、指導に続く勧告と命令によって、100万円以下の罰金などの刑事罰が科されることになります。
2010年3月10日(水)
■世界各国の喫煙者減少の目標、成果上げず
世界保健機関(WHO)が、保健分野で初の多国間条約である「たばこ規制枠組み条約」の発効から2月末で5年が経過した現状をまとめたところ、各国でさまざまな禁煙措置が導入されているにもかかわらず「喫煙者を減らす」目標はほとんど成果を上げていないことが判明しました。
WHOでは、「世界的に喫煙者数が減少しているとはいえない。途上国では増加傾向にあり、女性の喫煙者は増えている」としています。現在、世界の喫煙人口は13億人で、年500万人が喫煙が原因の病気で死亡していると見なされ、2025年までに喫煙人口は17億人に増えるとの推計もあります。
地域別で比べると、規制強化と喫煙者数の因果関係は必ずしもはっきりしません。喫煙制限が最も進んでいるヨーロッパでは、男性の喫煙者は減ったものの、女性の喫煙者は16パーセントと世界で最も多く、4.5パーセントと最も少ない東地中海地域の3倍以上。
男性の喫煙者が最も多いのは東南アジアで、たばこ税率が58.3パーセントとヨーロッパの50.2パーセントより高いにもかかわらず43パーセント。逆に、男性の喫煙者が最も少ないのはアフリカで、喫煙規制があまり進まず税率も35.4パーセントにとどまるにもかかわらず28パーセント。
日本たばこ産業(JT)によると、日本男性の喫煙者は38.9パーセント、日本女性の喫煙者は11.9パーセントで、男性が減少し続けているのに対して、女性はほぼ横ばいといった状況です。
WHOはたばこを「法律で禁止されていない唯一の有害物質」と位置付け、たばこ規制枠組み条約に、たばこ税の強化、公共の場での喫煙制限、包装・広告規制などを盛り込み、各国で多くの取り組みを進めています。
また、新たな規制作りにも意欲的で、3月14日からの政府間交渉では、たばこの不法貿易に関する規制原案をまとめます。正規の輸入ルートを通らない安いたばこが若年層への喫煙を広げているとして、たばこ1箱単位で追跡するシステムを導入する構想で、11月にウルグアイで行われる第4回たばこ規制枠組み条約会議での採択を目指しています。
2010年3月9日(火)
■後発医薬品の需要が増え、国も後押し
日本国内の後発医薬品(ジェネリック医薬品)市場で、製薬会社が新規に参入したり、事業を拡大したりする動きが広がっています。国が医療費削減を目指して後発薬の普及策を強化する上、製薬会社の主力薬の特許切れを迎え、市場拡大が期待できるためです。
後発医薬品は、新薬の20〜25年程度の特許期間が切れた後に、別メーカーが新薬と同じ有効成分を使って売り出す薬。研究開発費がかからないため、価格は新薬の2〜7割程度と割安なのが特徴です。
昨年9月時点で、国内の医療用医薬品に占める後発薬のシェアは20.2パーセント。保険制度の違いもあり、5〜7割を占める欧米に比べ普及が遅れています。厚生労働省は医療費削減のため、12年に30パーセント以上を目標に普及策を促進します。
10年度の診療報酬改定で、4月から調剤薬局で処方する後発薬の使用量を増やせば、医療保険から支払われる調剤報酬をより多く加算できるように、制度が改められます。また、患者が後発薬を使うかどうかの意向を医師が診察時に聞くことなども、努力義務に加えられます。
調剤薬局チェーンの日本調剤では、約500品目の後発薬をそろえた新コンセプトの店舗を昨年12月から展開しており、新薬と後発薬がともに使える場合、医療機関から処方箋(せん)をもらった患者の7〜8割が後発薬の購入を希望する店舗もあるといいます。
製薬会社が国内で数100億円の売上高を稼ぐ主力薬の特許切れも、後発薬にとっての追い風。アステラス製薬の臓器移植患者向けの免疫抑制剤「プログラフ」が10年12月、武田薬品工業の糖尿病薬「アクトス」も11年中に特許が切れ、後発薬が出せるため、事業機会が広がります。
需要増を背景に、製薬会社の参入も相次ぎます。第一三共は4月に後発薬販売の新会社「第一三共エスファ」を設立して、10月から販売を開始し、15年に売上高500億円を目指します。外資系では、後発薬で世界最大手のテバファーマスーティカル・インダストリーズ(イスラエル)が興和と合弁会社を設立して、1月から販売を開始しており、15年に現在の約5倍の売上高1000億円を目指します。
新規参入組に対して、既存の後発薬会社も開発強化などで対抗。後発薬専業で国内最大手の日医工は25億円投じ、11年末に富山県に開発拠点を新設し、需要増が見込まれるバイオ技術を使った後発薬の開発を急ぎます。
2010年3月8日(月)
■石綿救済法の対象に重症の石綿肺などを追加
石綿(アスベスト)健康被害救済法の対象拡大を検討してきた環境省の石綿健康被害救済小委員会は5日、適用外となっているじん肺の一種「石綿肺」と、胸膜が癒着し呼吸困難になる「びまん性胸膜肥厚」について、著しい呼吸機能障害を来している場合は対象に加えるとする答申案を取りまとめました。
今後、一般からの意見募集(パブリックコメント)をした上で、4月下旬に委員会を開催。答申内容が最終的に決まれば、これに基づいて環境省は政令改正手続きに入ります。早ければ7月にも、施行令が出される見通し。
石綿健康被害救済法(石綿新法)は2006年3月施行。環境省は、施行から5年以内に見直すとの規定に基づき、救済対象範囲の見直しなどを検討していました。
現在は、石綿以外の発症原因が考えにくい中皮腫(ちゅうひしゅ)と、症状が重篤な肺がんに適用対象が限定されており、石綿を大量吸入することで起こる石綿肺も対象とすべきだとの声が患者支援団体などから出ていました。重症と認められない石綿肺と、びまん性胸膜肥厚については、新たな給付水準を含めて議論が続けられます。
2010年3月7日(日)
■糖尿病の新しい飲み薬が相次ぎ登場
新しいメカニズムで効く糖尿病の飲み薬(経口薬)が約10年ぶりに、相次ぎ登場しています。新薬は従来品より低血糖になるリスクが少ないとされ、医師らの関心も高くなっています。
国内外の製薬会社大手は新薬が出ないまま主力薬の特許が切れる「2010年問題」に直面しているため、患者数が多い糖尿病での画期的新薬への期待は大。
国内最大手、武田薬品工業の「ネシーナ」は2月末、厚生労働省の審議会で薬事承認の見込みが立ち、2010年度前半の発売を予定しています。昨年末に国内初発売となった万有製薬「ジャヌビア」と、4月に発売予定のノバルティスファーマ「エクア」に続く3品目。いずれも「DPP—4阻害薬」と呼ばれる種類の薬で、ほかにも6社の5品目が現在臨床試験の後期段階にあります。
血糖値を下げるインスリンの分泌を膵(すい)臓に促すインクレチンというホルモンがあります。DPP—4はこれを分解してしまう酵素で、新薬はこの酵素を阻害してインスリン量を増やす仕組み。従来品の投薬は低血糖にならないように微妙なさじ加減が求められていますが、新薬は高血糖時にのみ働くインクレチンに着目しており、低血糖になりにくく、体重増につながる空腹感など他の副作用も少ないとされます。
この分野で新しい作用の薬は、武田薬品工業が1999年末に発売した「アクトス」以来。新しいメカニズムは注目度が高く、国内外の製薬会社大手がそれぞれ違う化合物を用いて、「インクレチン関連薬」と呼ばれる新薬の開発競争してきました。
メリルリンチ日本証券の渡辺律夫アナリストは、「日本の医師らは特に安全を重視する傾向が強い。副作用の少ない新薬の売り上げ規模は5年後には各社合計で1000億円を超え、経口糖尿病薬全体の3〜4割を占める可能性もある」と分析しています。
これまでのところ、新薬による重い副作用は報告されていませんが、欧米でも3〜4年間しか使われていない薬のため、長期間使うことの影響はわかりません。糖尿病治療の基本は運動と食事療法であり、これをきちんと実行しないと、どんな薬も効かなくなることに変わりはありません。
2010年3月6日(土)
■不慮の死の原因は、食べ物による窒息が3年連続トップ
厚生労働省は4日、毎年公表している人口動態統計のデータから、風呂場での水死や転倒など「不慮の事故」による死亡の分析結果をまとめました。2008年の死亡者は3万8153人で、最近10年余りは4万人前後で推移している中で、高齢者の増加を反映し、食べ物をのどに詰まらせる「窒息」が原因のトップになっています。
08年の死因では、がん、心疾患、脳卒中、肺炎に次いで、「不慮の事故」は5番目に多く全体の3.3パーセント。08年の不慮の事故死の内訳では、窒息の9419人が3年続けて最多。交通事故の7499人、転倒・転落の7170人、水死の6464人と続きました。
05年まで最多だった交通事故は、1995年から半減した一方、窒息は3割増、転倒・転落は2割以上増えています。
都道府県別に人口10万人当たりの死亡率をみると、08年は全国平均が30.3人に対し、高知県が53.3人と最多で、秋田県48.8人、富山県46.9人と続きました。最も低いのは沖縄県の19.6人。
2010年3月6日(土)
■子宮頸がんワクチンの公費助成を求める会が発足
子宮頸がんを予防するワクチンの公費助成を求める実行委員会が、3月より発足しました。実行委員会は産婦人科医や患者団体などで構成され、5月末までにインターネットなどで10万人以上の署名を集め、2011年度の施策に反映するよう、厚生労働相に求めます。
子宮頸がんの発生は10代前半にワクチンを打てば、約7割減らす効果がありますが、現在は約5万円の費用が自己負担だといいます。
実行委員会では会見を開き、発起人共同代表を務める国立がんセンター中央病院の土屋了介院長は、中学生はもちろんその両親もワクチンの必要性を納得する大切さを強調し、「署名活動で訴えていきたい」と話しました。
同じく発起人共同代表を務める女優の仁科亜希子さんも、自らが子宮頸がんで子宮摘出手術を受けたことを踏まえて、「私が経験したような、つらい思いをする女性が一人でも減ってほしい」と訴えました。
子宮頸がんは、子宮の出口に当たる頸部に発生するがん。ヒトパピローマウイルスの感染が主な原因で、日本では年間約1万5000人が発症し、約3500人が亡くなっています。予防ワクチンは、昨年末に発売されています。
2010年3月5日(金)
■生の鶏肉を食べた場合、食中毒菌の感染率は77倍
飲食店で鶏肉を生で食べる人は、食中毒菌の一つのカンピロバクターに感染する確率が、食べない人に比べて約77倍も高いことがわかりました。食品安全委員会(東京都港区)がリスク評価を行って「生食を減らすための啓発が重要」と指摘し、東京都は現在、子どもの保護者や飲食店に注意喚起のチラシを配っています。
東京都内では08年に106件の食中毒が発生し、そのほぼ3件に1件に当たる34件は生または半生の肉が原因と推定されています。厚生労働省によると、全国では08年に1369件の食中毒が発生し、その第1位の509件はカンピロバクターによるものでした。
生食の実態を調べようと、東京都が09年に20歳以上の1000人にネット調査したところ、ユッケ、鳥わさ、レバ刺しなどの生肉を3カ月以内に食べた人は40パーセントに達し、20歳代では53パーセントと若い年代ほど割合が高くなっていました。
鶏や牛の腸管にいる細菌であるカンピロバクターや腸管出血性大腸菌は、肉の鮮度とは関係なく少量の菌でも食中毒を発症させる力があります。加熱調理をすれば、菌は死ぬので問題はありません。
飲食店に生の肉のメニューがあったとしても、実際には「生食用」の鶏肉と牛肉は現在流通していません。牛肉と馬肉は厚生労働省が定めた生食用衛生基準を満たした肉にのみ、「生食用」と表示して売ることになっていますが、08年度の生食用牛肉の出荷実績はゼロ。鶏肉にはそもそも、生食用の衛生基準がありません。
飲食店は「新鮮だから」などという判断で、加熱用の肉を生肉として流用しているのが実態。生食用衛生基準はあくまで行政指導なので、守らなくても罰せられることはありません。
2010年3月4日(木)
■アルツハイマー型認知症の治療薬2種が承認申請される
アルツハイマー型認知症の世界的な標準治療薬であるヤンセンファーマの「ガランタミン」(一般名・臭化水素酸ガランタミン)と、アスビオファーマの「メマンチン」(一般名・塩酸メマンチン)が、厚生労働省に対し薬事法に基づき承認申請されました。
いずれも審査に1年ほどはかかる見通し。日本国内では現在、アルツハイマー型認知症治療薬はエーザイの「アリセプト」しか承認されていません。
ガランタミンはアリセプトと同じように、脳内の神経に情報を流すのに必要な物質であるアセチルコリンの分解を抑えます。さらにガランタミンは、アセチルコリンの産生も促進。錠剤、口腔内崩壊錠、内用液の3剤形が承認申請されました。メマンチンのほうは、脳の神経細胞が壊れるのを防ぐ作用があります。
ガランタミン、メマンチンの2剤ともアリセプトのように、認知症の進行を緩やかにする効果が期待されています。
日本国内のアルツハイマー型認知症患者は100万人以上とも見なされ、現在の治療薬の市場は薬価ベースで約1000億円という試算もあります。
2010年3月3日(水)
■鳥インフルと季節性インフルの混合で重症化も
アジアなどで人への感染が続き死者が出ている鳥インフルエンザウイルスH5N1型が、毎年流行する季節性インフルエンザウイルスと交雑した場合、哺乳類に効率的に感染するだけでなく、重症化しやすいウイルスに変わる恐れがあることがわかりました。
突き止めたのは東京大医科学研究所の河岡義裕教授や米ウィスコンシン大の八田正人准教授らのチームで、3月下旬付の米科学アカデミー紀要電子版に発表しました。
インフルエンザウイルスの内部には8本の遺伝子があります。ウイルスが細胞に感染した場合、核内でこれらの遺伝子がそれぞれ複製されて増殖します。一つの細胞に二つの異なる型のウイルスが同時に感染した場合、両者の遺伝子が混ざり合い、元の二つとは違う性質を持つウイルスが生まれます。
チームは、鶏から検出したH5N1型と人のA香港型(H3N2型)の二つのウイルスから、起こり得るすべての遺伝子の組み合わせである254種類のウイルスを人工合成し、パンデミック(世界的大流行)を起こす恐れが強く、増殖能力の高い75種類をマウスに感染させました。そのうち22種類は、ウイルス1万個を感染させたマウス4匹がすべて2週間以内に死亡。特に致死性の高い3種類は、わずか10個のウイルスの感染で半数のマウスが死亡。22種類すべてで、ウイルスの増殖に関係する遺伝子(PB2)は季節性インフルのものでした。
人の場合も、鳥インフルと季節性インフルに同時に感染すると、体内で遺伝子組み換えが起こり、病原性の高いウイルスが誕生する可能性があります。チームによると、感染力は強くないものの、PB2がヒト型の鳥インフルはすでに欧州で散発的にみられるため、継続的に調査を実施することが大切だといいます。
2010年3月2日(火)
■レンタル福祉用具の料金に最大7倍の差も
介護保険で利用できる車いすやベッドなどの福祉用具のレンタル料金が、事業所ごとに大きく異なっています。事業所が自由に価格を設定できるため、同じ製品で価格差が7倍というケースもあります。
高価な用具の利用は介護保険の財政を圧迫しかねないため、厚生労働省では、価格の情報を利用者に提供するよう自治体を促し、対応が不十分な場合は改善を求めていく方針です。
介護保険では、食事や入浴の介助サービスなどについて内容や時間に応じて公定価格を定めていますが、福祉用具のレンタルには公定価格がありません。現在、車いすや特殊ベッドなど12種類の福祉用具のレンタルが保険適用されますが、料金設定は事業所任せ。
レンタル料金の価格差を、厚労省は昨年6月、利用者側が価格を比べられず市場原理が働いていないとして、同一製品のレンタル料金の平均額や最高、最低額を利用者に知らせるよう自治体に求めました。
横浜市では、昨年11月時点で福祉用具のレンタル制度を利用している約2万7000人の実態を調査。ベッドからの落下を防ぐ「サイドレール」で、神奈川県内の平均額560円に対して、5.4倍の3000円で貸し出しているケースなどが明らかになりました。同市は、県平均の2倍以上の料金で福祉用具を借りている263人に対し、県内の平均価格や最低価格を通知。利用者からは「高いとは知らなかった。これからは低価格の事業者を探す」という声が、市に寄せられたといいます。
同市など自治体側からは、「種類ごとに上限価格を設定すべきである」「事業所にはホームページなどで価格の開示を義務づけるべきである」などレンタル制度の見直しを求める意見も出ています。
2010年3月1日(月)
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