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健康ダイジェスト

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■中国の茶葉から基準超の農薬成分 商品30種の自主回収を開始

 高知市に本社がある麦茶や健康茶の製造会社「小谷穀粉」が中国から輸入したウーロン茶の茶葉から、法律の基準を上回る農薬の成分が検出されました。製造会社では、この茶葉を使ったおよそ300万個の商品の自主回収を始めました。

 自主回収の対象となっているのは、小谷穀粉が製造したティーバッグ式のウーロン茶の商品30種類です。

 この会社が今月上旬に行った検査で、中国から輸入した黒ウーロン茶の茶葉から、食品衛生法が定める基準値を超す2種類の農薬の成分が検出されました。

 高知市保健所や会社によりますと、日常的に摂取したとしても健康への影響はないレベルだということです。

 基準を上回る農薬が検出された茶葉は、中国の福建省で生産されたもので、これまでにおよそ900トンを輸入して黒ウーロン茶などおよそ300万個を製造し、全国で販売しているということです。

 会社では、ホームページに対象商品を掲載するなどして自主回収を始めました。

 小谷穀粉の小谷和弘社長は、「消費者を始め関係者にご心配をかけて申し訳ありません。速やかに回収を進めるとともに輸入茶葉の検査態勢を改めて強化したい」と話しています。

 回収対象商品は以下のようになっています。OSKティーフレッシュ黒烏龍健康麦茶20袋C型、OSK福建省・強・深発酵黒烏龍茶ティーバッグ52P、OSK冷水用ウーロン茶50P MTF型50P、OSKカット&メリットウーロン茶52袋冷水、OSKティーフレッシュ黒烏龍健康麦茶40袋NTF型、福建省・強・深発酵OSK黒烏龍茶ティーバッグ20袋、OSK黒烏龍茶インスタントティー10P、OSK黒烏龍茶インスタントティー4P、OSK黒烏龍茶インスタントティー40g、スティックOSK黒烏龍茶100P、OSKセロファンアルミ黒烏龍茶100、福建省・強・深発酵OSK黒烏龍茶ティーバック50P、OSK福建省・強・深発酵黒烏龍茶ティーバッグ60P、OSK福建省・強・深発酵黒烏龍茶ティーバッグ30P、お手軽福建省・強・深発酵OSK黒烏龍茶ティーバッグ2袋、ベストライフ福建省・強・深発酵OSK黒烏龍茶ティーバッグ8袋、OSKペットボトル用エコパック黒烏龍茶24袋、OSKご家庭用ティーバッグワンカップ用黒烏龍茶2g×60袋、OSKご家庭用お手軽パックワンカップ用黒烏龍茶2g×20袋、OSK黒烏龍茶インスタントティー0.8g×10袋、OSK給茶機用インスタントティー黒烏龍茶70g、スティックワンカップ用インスタントティーハーモニーメイトOSK黒烏龍茶100P、(株)宇治森徳黒ウーロン40P、JGG黒烏龍茶入り麦茶22袋、(株)大阪ぎょくろえん黒ウーロン茶入麦茶24P、(株)大阪ぎょくろえん黒ウーロン茶32P、(株)山城黒ウーロン茶32P、(株)宇治森徳インスタント黒ウーロン茶40g、(株)嘉木園黒ウーロン茶56P。

 2012年11月30日(金)

 

■ノロウイルスの患者急増、年末ピークか 感染予防を呼び掛け

 ノロウイルスを中心とした感染性胃腸炎が流行し始めており、過去10年間で最も流行した2006年に次ぐ勢いです。

 ノロウイルスは一年を通して活動しますが、特に11月から増加し始め、12月初旬から一気に増えて、年末にピークを迎えます。専門家は、手洗いなど感染予防を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科から報告されるノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の患者数は、11月中旬から増え始め、今月18日までの1週間で1医療機関当たり11・39人となっています。

 患者の中心は乳幼児で、0~5歳までの患者が全体の6割以上を占めます。宮崎県、福岡県、熊本県などの九州地方や西日本を中心に、全国的に増える傾向にあります。

 また、先月から全国の飲食店や旅館などで起きたノロウイルスによる食中毒は37件で、患者はおよそ1100人に上っているということです。

 ノロウイルスは多数の遺伝子型があるウイルスで、同じ人が何度も感染します。ウイルスに汚染されたカキなどの二枚貝を十分に加熱しないで食べる感染経路が有名ですが、実際には、以下のように特定原因がわからない感染経路があると考えられています。

 ▽感染者のウイルスが含まれている便や嘔吐物から。▽調理などをする人が感染していて、その人が介在して汚染したものを食べる。▽汚染された貝類(特に二枚貝)を、生あるいは十分に加熱しないで食べる。▽汚染された井戸水などを消毒せずに飲む。

 潜伏期間は一般的には1~2日で、発症すると嘔吐、腹痛、下痢、発熱を引き起こすことが特徴で、脱水症状になることもあります。人によっては、1日に10回以上の水様便が続くこともあります。

 ノロウイルスには有効な抗ウイルス薬はなく、予防には手洗いの徹底や感染者の便や嘔吐物の適切な処理しかありません。感染研ウイルス第二部の片山和彦室長は、「食前にしっかりと手洗いをすることで予防してほしい」と話しています。

 また、厚生労働省は食べ物による感染を防ぐため、飲食店や旅館などに対し、石けんで手洗いするほか、調理器具を85度以上の熱湯で1分以上消毒すること、感染した人が使った食器などは塩素系の消毒剤で洗うことなどを徹底するよう呼び掛けています。

 2012年11月29日(木)

 

■アスベスト労災など認定1144人 936事業所を公表

 職場でアスベスト(石綿)を吸い込み肺がんなどになったとして、2011年度に労災などと認定された人は、全国で1144人に上ることがわかり、厚生労働省は労災認定を受けた人が働いていた事業所をホームページなどで公表して注意を呼び掛けています。

 厚労省によりますと、職場でアスベストを吸い込み肺がんや中皮腫などの健康被害を訴えて、昨年度、労災と認定されたり、「アスベスト健康被害救済法」に基づいて補償の対象となったりした人は、前の年より108人多い1144人でした。

 労災認定を受ける人はここ数年、1000人前後で推移しており、厚労省は当面は、こうした状況が続くとみています。

 業種別では、アスベストを使った断熱材などを扱う建設業が578人、アスベストの製造工場や造船工場などの製造業が461人で、合わせて全体の9割を占めました。また、都道府県別では最も多かったのは東京都で148人、次いで大阪府と神奈川県が99人、兵庫県が97人でした。

 アスベストは2006年に使用が全面禁止になりましたが、健康被害が出るまで20年から40年の潜伏期間があるとされています。

 厚労省は今回、労災認定を受けた人が働いていた936事業所の名称を同省ホームページなどで公表しました。うち初めて公表されたのは、697事業所。

 公表は、作業中に石綿を吸い込んでいた可能性がある従業員への注意喚起や、健康への影響が懸念される事業所の周辺住民への周知が目的。労災認定などを受けた1144人が働いていた1005事業所のうち、個人事業主(一人親方)や事業所が不明な69カ所を除いた分が明らかにされました。

 ホームページに事業所一覧を掲載するほか、29、30両日の午前10時~午後5時に、補償の仕組みなどについて電話で相談を受け付けることにしています。番号は03-3595-3402。

 厚労省は、「石綿による疾患は20~40年の潜伏期間を経て発症する。自分の働いていた事業所を確認してほしい」としています。 

 2012年11月28日(水)

 

■冬の脱水に注意 専門家が注意を喚起

 冬は空気が乾燥するため、知らないうちに体の中の水分や塩分が失われる「脱水」の状態になりやすく、感染症や心筋梗塞などの危険性も高まることから、専門家が注意点や対策をまとめたホームページを作成し、注意を呼び掛けています。

 このホームページは、小児医療や高齢者医療などの専門家で作る委員会が作成したもので、27日に公開しました。

 冬は湿度が低く空気が乾燥するため、汗をかかなくても皮膚や呼気から体の水分が失われ、水分を取る量も減るため、知らないうちに脱水が進むとして、症状に気付くサインや対策を紹介しています。

 サインは、「カサ」「ネバ」「ダル」「フラ」だとして、手先などの皮膚がかさかさする、口の中が粘り食物が飲み込みにくい、下痢や嘔吐でダルさを感じやる気が低下する、めまいや立ちくらみでふらっとする状態を挙げています。

 こうした際は、水分と塩分を含む「経口補水液」などをすぐに摂取してほしいとし、体を冷やしたくなければ経口補水液は常温、もしくは湯気が出ない程度まで温めて飲むとよいとしています。

 また、インフルエンザウイルスなどは乾燥に強いため、部屋の中に洗濯物を干すなどして室内の湿度を50パーセント程度に保つことが大切だとしています。

 このほか、水分と電解質が豊富な緑黄色野菜や果物を積極的に食べ、食事と食事の間や寝る前などに意識して水分を取るよう、呼び掛けています。

 ホームページを作成した委員会の副委員長で、神奈川県立保健福祉大学の谷口英喜教授は、「冬に脱水になると感染症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクが高くなるので、ホームページを見て予防に役立ててほしい」と話しています。

 ホームページのアドレスは(http://www.kakuredassui.jp)です。

 2012年11月27日(火)

 

■トクホのペプシ、絶好調 サントリーが目標を上方修正

 サントリー食品インターナショナルは26日、特定保健用食品(トクホ)のコーラ飲料「ペプシスペシャル」の年内の販売目標を160万ケースに上方修正しました。13日の発売時は100万ケース(1ケース24本)が目標でしたが、すでに130万ケースが売れました。

 発売前からテレビCMを大々的に投入するなど強力に訴求していましたが、食物繊維の働きで脂肪の吸収を抑える効用を持たせた点が好評といいます。

 ペプシスペシャルは490ミリリットル入りで、価格は1本158円。メーンターゲットは30~40歳代男性。パッケージは高級感のある黒色と金色を基調に、ペプシのロゴマークと特定保健用食品のロゴを併記することで、ペプシブランドのトクホであることをわかりやすく表現しています。

 食事の際に飲むと、配合した食物繊維「難消化性デキストリン」の働きで脂肪の吸収を抑え、食後の血中中性脂肪の上昇を抑制するというもの。消費者庁が、効能などを表示する許可をしました。

 キリンビバレッジが4月に初の独自ブランド商品で売り出して以降、「トクホコーラ」市場は急拡大しています。キリンビバレッジの「メッツコーラ」は健康意識の高い大人の人気を集め、発売2週間で年間目標の100万ケースを達成。9月には、販売目標を当初の7倍の700万ケースに引き上げています。

 トクホコーラは脂肪の多い食事をとりがちか、中性脂肪が気になる人が対象。メッツコーラにも1本当たり5グラム入っている難消化性デキストリンは、トウモロコシなどのでんぷんを酵素処理して作られる水溶性の食物繊維で、もともとは食事の欧米化などで不足しがちな食物繊維を補う目的で作られた食品素材です。

 この難消化性デキストリンが入った飲料には、アサヒ飲料の「十六茶プラス」やカルピスの「健茶王すっきり烏龍(ウーロン)茶」などがあります。十六茶も脂肪の多い食事をとりがちの人、健茶王は食後の血糖値が気になる人向きといいいます。

 日本人が飲む炭酸飲料の約2本に1本は、コーラ系飲料とされます。ポテトチップスなどのスナック菓子やハンバーガー、揚げ物といった脂っぽい食べ物と合わせて、コーラを飲む人が多くいます。ただし、コーラ系飲料を飲むのは若年層が中心で、年齢とともに飲用率が低下する特徴があります。一方で、健康意識の強い30歳代以上の男性は、トクホ飲料の飲用率が高くなっています。

 そんなジレンマを解消し、コーラ離れした層の需要を掘り起こす商品がトクホコーラであり、ペプシスペシャルとメッツコーラは効能や価格が同じとあって、売り場の確保や味でいかにリピーターを獲得できるかが今後の勝負になります。

 2012年11月26日(月)

 

■新型ワクチン生産メーカーが撤退 計画達成2年遅れる見通しに

 毒性や感染力が非常に強い新型インフルエンザが発生した際、半年以内にすべての国民にワクチンを接種できるよう、国が来年度中に生産体制の整備を目指している事業からメーカー1社が撤退することになり、計画の達成は2年遅れる見通しになりました。

 新型インフルエンザの発生に備えて、国はワクチンメーカー4社に合わせて1000億円余りの助成金を出して、他国で発生するなどしたウイルス株を入手してから半年以内にすべての国民にワクチンを接種できるよう、1億3000万人分を生産できる体制を来年度中に整える計画を立てています。

 しかし、このうち2500万人分を作ることになっていた大阪・吹田市のワクチンメーカー、阪大微生物病研究会が、製造したワクチンの効果が基準を満たさなかったため、事業から撤退することを決めました。

 研究会は、これまでに支払われた助成金およそ178億円を全額返済することにしています。

 厚生労働省は新たに公募し、別のメーカーを選定することにしていますが、計画の達成は2年遅れる見通しになりました。

 ほかの3社、武田薬品(大阪市)、第一三共の子会社である北里第一三共ワクチン(埼玉県北本市)、ワクチン生産の財団法人である化学及血清療法研究所(熊本市)の準備は順調に進んでいるということで、仮に新型インフルエンザがこの間に発生した場合は、不足した分を海外から輸入するとしています。

 2009年に日本で新型インフルが大流行した際には、生産に2年近くかかる体制だったために国産ワクチンの用意が間に合わず、海外メーカーの製品を緊急輸入しました。世界的に流行した場合は、海外でも品薄になって輸入が難しくなる可能性が高く、国産品を素早く作れる体制を整えることが課題となっています。

 2012年11月25日(日)

 

■中東でまたSARSに似た新型ウイルス 感染者6人、2人死亡

 世界保健機関(WHO)は23日、9月に初めて検出した重症急性呼吸器症候群(SARS)に似ている新型コロナウイルスについて、サウジアラビアとカタールで新たに4人の感染者を確認したと発表しました。このうちサウジアラビアの1人は、死亡しました。

 9月にカタールから英国に搬送された男性で感染が確認されて以降、この新型ウイルスによる感染者は合計で6人、死者は2人に増えました。

 新たに確認されたのは、サウジアラビアの3人とカタールの1人。サウジアラビアの死亡者を含む2人は同じ家に住む家族で、この2人には疫学上の関連性がみられるといいます。AP通信によると、カタールの患者は10月に発症、搬送されたドイツで感染が確認されたが、回復しました。

 WHOは家族内での発症があることから、「人から人への感染の可能性について詳しい調査を進めている」としています。

 新種コロナウイルスは当初、2003年に流行したSARSに似ているものの感染力は弱いとみられていました。WHOでは「SARSの時と状況は違う」としながらも、「これまで関係した国以外にもウイルスは広まっているとみなしたほうが賢明だ」として、各国の保健当局に監視強化を呼び掛けています。

 SARSは2002年から2003年にかけて中国を中心に流行し、全世界で8098名が感染し、774人が亡くなりました。SARSの最初の症例は2002年11月中旬に中国広東省で発生していましたが、WHOに対してこの地域における非定型肺炎の集団発生に関する報告があったのは2月11日でした。そして、これがSARSの症例定義に当てはまると確認されたのは、4月2日にWHOの調査チームが広東省を訪れる許可が下りた後でした。

 その間の2月21日に、広東省で患者の治療に当たっていた1名の医師が香港のホテルに滞在し、その時期に同じホテルに宿泊していた人を通じてベトナム、香港、シンガポール、トロントなど世界中に感染が広がりました。

 2012年11月24日(土)

 

■喫煙者の寿命、男性で8年、女性で10年縮まる

 未成年でたばこを吸い始めて禁煙しなかった人の寿命は、たばこを吸わない人より8~10年縮まる可能性があることが21日、放射線影響研究所(放影研、広島市南区)と英オックスフォード大の研究でわかりました。35歳までに禁煙すると、死亡リスクのほとんどを回避できるとの結果も出ました。

 研究チームは、被爆者の健康影響を調べるために放影研が60年以上続けている「寿命調査」の対象者のうち、1963~1991年に実施したアンケートや問診で喫煙状況を把握できた広島、長崎の被爆者約6万7973人(男性 2万7311人、女性4万0662人)について、吸い始めた年齢や寿命を分析しました。最初に喫煙状況を把握できた以降の平均追跡期間は、22・9年でした。

 その結果、20歳までに喫煙を始めた男性(1920~1945年生まれ)のうち70歳まで生きたのは、72パーセントでした。一方、同じ年代で喫煙しない男性の72パーセントは78歳まで生きました。たばこで寿命が8年縮まったことになります。

 同様の比較で、20歳までに喫煙を始めた女性のうち70歳まで生きたのは、79パーセントでした。一方、同じ年代で喫煙しない女性の79パーセントは80歳まで生きました。たばこで寿命が10年縮まったことになります。

 しかし、35歳までに喫煙をやめた人は、喫煙を続けた場合の過剰なリスクのほとんどを回避することができました。45歳までに禁煙した人でも、その大部分を回避することができました。

 平均喫煙開始年齢は1890年以前に生まれた人では男性で23歳、女性で36歳でしたが、1930〜1945年に生まれた人では男性で19・8歳、女性で24・3歳に低下しました。一日当たりの喫煙本数の平均は1890 年以前に生まれた人では男性で13本、女性で7本でしたが、1930〜1945年に生まれた人では男性で25本、女性で13本に増加していた。

 日本人を対象にしたこれまでの調査では、喫煙が寿命を短くする影響は数年とされていて、イギリスやアメリカなどの他の先進国で行われた調査で約10年短いという結果が出ているのと比べて、喫煙が寿命を短くする幅がかなり小さいものとなっていました。

 放影研は、従来の調査は喫煙量が比較的少ない1920年代以前に生まれた人を多く含んでいるとし、「喫煙リスクが過小評価されていた」と指摘しています。

 2012年11月23日(金)

 

■夫婦円満には我慢や忍耐が必要 民間企業が調査

 語呂合わせで「いい夫婦の日」に当たる11月22日を前に、民間企業が行った調査で、全体の8割以上が「夫婦円満」だと答えたものの、円満でいるために「我慢や忍耐が必要」だと考えている人が多いことがわかりました。

 明治安田生命は、「いい夫婦の日」を前に、20歳代から50歳代の既婚の男女を対象に、インターネットを通じてアンケート調査を行い、1086人から回答を得ました。

 それによりますと、全体の8割以上が、「夫婦円満」だと答えました。夫婦円満の秘けつを聞くと、「プレゼントを贈る」「一緒に食事に出掛ける」よりも「よく会話する」「感謝の気持ちを忘れない」がトップ2となり、コミュニケーションが大切であることがうかがえました。とりわけ夫婦間の会話時間が長ければ長いほど、愛情を感じる人の度合が増加しており、会話時間が愛情のバロメーターとなっています。

 そうした中でも不満がないかを聞くと、妻の8割以上が夫に不満があり、「気が利かない」「整理整頓ができない」「家事の協力をしない」がトップ3。夫のほとんども妻に対して何らかの不満を持っており、「整理整頓ができない」がトップ。

 夫婦のへそくり事情を聞くと、調査開始の2006年の水準から夫は約2割減少する一方、妻は3割以上増加し、格差は約3倍まで拡大しています。ただ、へそくりを持っている人は全体の45・3パーセントで、半数以上はないという結果に。

 小遣いの平均は、妻は昨年からアップして2万4002円、夫はダウンして3万3833円になりました。夫は小遣いがダウンしても、妻への1回のプレゼント予算額は昨年から約1600円アップして、1万23552円になっています。

 理想とする有名人夫婦では、「三浦友和・山口百恵」夫婦が5年連続の1位で、支持率も過去最高に。2位は「木梨憲武・安田成美」夫婦、3位は「江口洋介・森高千里」夫婦。大病を2人で乗り越えた「桑田佳祐・原由子」夫婦が昨年からランクアップして、4位となりました。

 一方、日用品大手の「ライオン」も、20歳代後半から40歳代で、夫婦間のストレスが原因で胃痛を経験したことのある首都圏在住の既婚男女500人を対象に、10月12~14日にインターネットで調査を行いました。

 この調査でも、全体の8割以上が「いい夫婦」だと答えましたが、同じように8割以上が「いい夫婦」でいるためには「我慢や忍耐が必要」だと考えていることがわかりました。

 夫婦げんかを避けて相手に言いたいことを我慢する人の割合は、女性67・2パーセントに対し、男性は81・2パーセント。これだけは言わないように我慢している言葉では、女性は「もっと稼いでよ」(34・5パーセント)が最も多く、男性は「もっとちゃんと掃除してよ」(22・7パーセント)でした。

 ライオンの担当者は、「仲が良い夫婦ほど言動に気を付けているようだ。逆説的ですが、時には胃が痛くなるような我慢や忍耐が、夫婦円満でいられる秘けつのようです」と分析しています。

 2012年11月22日(木)

 

■小児科と産婦人科、18年連続で減少 少子化や医師不足が影響

 小児科や産婦人科(産科)がある病院の数は、少子化や医師不足などを背景に18年連続で減少していることが、厚生労働省の調査でわかりました。

 厚労省は、全国の病院が設けている診療科などを毎年調査しており、このほど昨年度の調査結果がまとまりました。

 それによりますと、小児科がある病院は去年10月現在、全国で2745施設で、前の年の同じ時期より63施設少なくなり、産科や産婦人科がある病院も1395施設と、37施設減りました。

 いずれも18年連続で減少していて、20年前に比べると小児科は33パーセント、産科、産婦人科は43パーセント減っています。

 ベッド数が19床以下の診療所では、小児科が1万9994施設、産科、産婦人科が3619施設で、21年前の調査に比べておよそ30パーセントから40パーセント、少なくなっています。

 これについて厚労省は、「少子化や慢性的な医師不足に加え、産婦人科は訴訟リスクの高さや夜間集中などの厳しい勤務状況も一因」とし、「最近では休日や夜間の診療態勢を整えるため、地域の拠点となる病院に医師を集約し、医師の少ない病院や診療科を閉鎖する傾向が強まっている」とみています。

 また、都道府県別の人口10万人当たりの常勤の医師の数は、最も多かったのが高知県の221・2人で、最も少なかった埼玉県の108・8人との間で2倍以上の格差がありました。全国平均は、前年同月比3・5人増の156・1人でした。

 高知県は、人口10万人当たりの病院の数も最多。厚労省によると、共働きの家庭が多く、病院が介護の受け皿となっている可能性があるといいます。埼玉県は、病院が多い東京都に近いことが影響しているとみられます。 

 厚労省は、小児科や産科などの診療報酬を加算したり、文部科学省と連携して地方大学の医学部の定員を増やしたりして、診療科や地域による偏りを緩和していくことにしています。

 2012年11月21日(水)

 

■真空パックの常温保存で食中毒の危険 厚労省が注意喚起

 密封性の高い真空パックの食品でも食中毒が起きる危険があるとして、厚生労働省は20日までに、購入後はきちんと冷蔵するよう消費者に注意を呼び掛けました。リーフレットを作成し、自治体を通じて配布します。

 厚労省によると、真空パックの食品をレトルト食品と混同して常温保存すると、酸素が少ない密封状態で増殖できるボツリヌス菌による食中毒が起きる危険があります。食中毒の危険が高いのは、真空パックの食品の中でも漬物や総菜など十分な高温加熱殺菌が行われていない食品。

 ボツリヌス菌は熱に強く、殺菌には120度以上の高温で4分以上の加熱が必要。冷温に弱いことから、10度以下で冷蔵保存することも有効です。こうした真空パック食品は、通常は冷蔵保存するよう表示されていますが、厚労省は改めて、密封状態を過信しないよう注意を呼び掛けました。

 レトルト食品の場合は、殺菌のため、120度で4分以上加熱することなどが義務づけられており、常温保存が可能となっています。

 厚労省によると、2000年から今年10月末までに、ボツリヌス菌による食中毒は4件起きています。食中毒での死亡例はありませんが、まひや呼吸困難など重い症状が出ることもあります。今年3月に鳥取県の60歳代夫婦が麺類の真空パックの食品で食中毒を起こし、意識不明となった事例も報告されています。

 この危険な食中毒から身を守るため、国立医薬品食品衛生研究所の五十君靜信氏は、「異臭がしたり、容器が膨らんでしまっているような状態。こういったものは、基本的には食べないように注意するというのが重要かと思います」と話しています。

 ボツリヌス菌による食中毒は、欧米では古くからハム、ソーセージなどによる腸詰め中毒として恐れられていて、ハム、ソーセージに発色剤として添加される硝酸塩は発色作用よりも、ボツリヌス菌の繁殖を抑える目的で使用されています。

 ボツリヌス菌は、酸素がなくて水分や栄養分があるなど一定の発育条件がそろった食品中で、猛毒の神経毒素であるボツリヌス毒素を産生。食品とともに摂取された毒素は、主に小腸上部で吸収され、リンパ管をへて血液中に入り、末梢性の神経まひ症状を起こします。現在知られているものでは最強の毒力があるといわれ、テロリストによって生物兵器として使われるのではないかと心配されています。

 2012年11月21日(水)

 

■カルビー、ポテトチップス534万袋を回収 ガラス片混入

 大手食品メーカーのカルビー(東京都千代田区)は20日、ポテトチップス「堅あげポテト 関西だしじょうゆ」からガラス片が見付かったとして、「堅あげポテト」シリーズの9種類、計534万4788袋を自主回収すると発表しました。

 ガラス片は約5ミリ四方の大きさで、関西地方の高校生が口の中を切るけがをしたといいます。

 回収対象は滋賀県湖南市の工場で製造された製品で、関西地区限定販売の「関西だしじょうゆ」(80グラム入りと65グラム入り)と、全国販売の「うすしお味」(同)、「のり味」(同)、「ブラックペッパー」(70グラム入りと65グラム入り)、「ゆずこしょう味」(63グラム入り)の計9種類。

 このうちパッケージの裏面右上の製造所固有記号が「b」で、製造日が2012年7月20日から11月17日まで、賞味期限が2012年11月20日から2013年3月17日までの商品です。

 今月17日に高校生側から「ガラス片かプラスチックのようなものが入っていて、口の中を切った」という連絡が寄せられ、生産設備を調べたところ、照明器具のガラスカバーが割れており、その破片が落ちたとみられるといいます。

 カルビーでは、「お客様には大変ご迷惑をおかけしますことを深くおわびします」と話しています。

 問題の商品が製造された滋賀県湖南市の工場では、2年前にもスナック菓子の一部に異物が混入していたことがわかり、自主回収を行っています。

 問い合わせ先はカルビーお客様相談室、フリーダイヤル(0120)558570。

 2012年11月20日(火)

 

■iPS細胞の心筋培養で新技術 慶大などが発見

 さまざまな体の組織になり得るヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)などから、心筋細胞を従来より効率よく低コストで大量に作製する方法を、慶応大と医薬品開発会社アスビオファーマ(神戸市)のグループが見付けました。米科学誌「セル・ステムセル」の電子版に、16日付で発表しました。

 重い心臓病を治療する再生医療用の細胞作製法として有望といいます。

 慶応大の福田恵一教授(循環器内科)と同社の服部文幸主任研究員らは以前、心筋細胞に多い細胞内小器官「ミトコンドリア」を目印に、他の細胞の中から心筋細胞をふるい分ける方法を発見。今回はそれを応用しました。

 他の細胞がブドウ糖(グルコース)を栄養とするのに対し、心筋細胞はミトコンドリア内の化学反応が主な栄養源で、ブドウ糖が不要とわかりました。そこで、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を育てるのに、途中からブドウ糖を取り除き、代わりに乳酸を加えた安価な培養液を使ったところ、純度98パーセントの心筋だけが生き残りました。

 がん化につながるiPS細胞やES細胞もほぼ残らず、この方法で心筋細胞を作ってサルの心臓に移植しても、がんになりませんでした。

 iPS細胞の実用化に当たっては、作製した細胞にほかの種類の細胞が混じらないようにする必要がありますが、今回の方法は、これまでよりもコストを抑えて、心筋細胞を効率よく確保できると期待されています。

 福田教授は、「細胞をふるい分ける高価な機械が不要になるのも利点。極めて単純な方法なので、心臓の再生医療が大きく前進するのではないか」と話しています。

 2012年11月17日(土)

 

■BCGの接種期間を延長 生後6カ月未満から1歳未満に

 小児結核を予防をするために、生後6カ月未満の乳児に定期接種が行われているBCGワクチンについて、厚生労働省の予防接種部会は14日、対象年齢を1歳未満に延ばすことを決めました。

 BCGワクチンは、乳幼児が感染した場合の重症化を防ぐため、7年前の2005年に接種の対象年齢が4歳未満から、原則、生後6カ月未満に引き下げられました。

 しかし、肩やひざなどの関節にはれや痛みが出る骨髄炎や骨炎の副作用が、対象年齢を引き下げてから平均で100万人当たり3・57人に出て、引き下げるまでの3・3倍に増えており、特に生後3カ月から4カ月の乳児で、副作用が多く報告されています。

 また、細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチンなど、6カ月未満の乳児が対象の新たな予防接種も増えて、この時期の接種のスケジュールが過密になっており、保護者などから体調を崩した場合などに接種が間に合わないという声が出ていました。

 このため予防接種部会では、BCGワクチンの定期接種の対象を、生後6カ月未満から1歳未満に延ばすことを決めました。

 厚生労働省は、予防接種法に基づく政令を改正し、来年4月から対象年齢を1歳未満とするとともに、接種を実施する市町村には、副作用と予防効果の兼ね合いを考慮し、生後5カ月から8カ月未満までに接種を行うのが望ましいとする通知を出すことにしています。

 BCGワクチンは、フランスで開発された生ワクチン。1回の接種で効果があり、小児結核の発病を75パーセント抑えてくれます。乳幼児が結核菌にさらされる前に接種することが大切で、接種後は高い発病予防効果が期待でき、効果は10年以上維持されます。

 定期接種としてのBCGワクチンは現在でも、引越しや災害など、どうしても生後6カ月以内に接種できない事情がある場合は、生後1歳まで行うことができます。

 2012年11月16日(金)

 

■特定外来生物の侵入防止強化へ 毒グモは23府県で確認

 生態系に影響を及ぼす「セアカゴケグモ」などの「特定外来生物」の生息域が国内で拡大していることを受けて、環境省が設置した専門家の委員会は、国内への侵入を水際で防ぐ対策の強化を盛り込んだ提言をまとめました。

 特定外来生物は海外から国内に持ち込まれ、生態系に影響を及ぼしたり、人に被害を与えたりする生き物や植物で、環境省はオーストラリアの「セアカゴケグモ」や南アメリカの「アルゼンチンアリ」など105種類を指定し、飼育や輸入などを規制しています。

 しかし、この一部で、輸入品に付着して国内に侵入し生息域が拡大していることから、環境省が設置した専門家でつくる委員会は、特定外来生物への対策について検討を続けてきました。

 その結果、14日に提言がまとまり、繰り返し持ち込まれている特定外来生物については、侵入経路を特定し、水際での侵入を防ぐ対策を強化することや、輸入品に付着していた場合に法的に廃棄や消毒を徹底させ、生物によってどのような消毒方法があるかガイドラインとして整備することなどが盛り込まれています。

 環境省では、14日の提言を踏まえて、今後、法改正なども含めて対策を強化することにしています。

 特定外来生物のうちの1つ、オーストラリアに生息する毒グモであるセアカゴケグモについては、17年前に初めて国内で見付かってから、これまでに全国の23府県で確認されていることが環境省の調査でわかりました。今年に入って9月に福岡市、今月12日に神奈川県川崎市の住宅で確認されるなど、生息域が全国に拡大しています。

 セアカゴケグモは雌だけに毒があり、体長が1センチ程度で雄よりも体が大きくなります。寿命も雄より雌のほうが長いといわれています。全体的に黒く、背中に赤い帯状の模様があるのが特徴。

 環境省のまとめによると、初めて発見されてから17年間で宮城、群馬、神奈川、愛知、岐阜、三重、和歌山、奈良、京都、大阪、滋賀、兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、高知、福岡、佐賀、宮崎、鹿児島、沖縄の全国の23府県で確認されています。

 最初は、海外から輸入されたコンテナなどにセアカゴケグモが付着したまま国内に侵入したものとみられ、実際に海外からの貨物船を受け入れる港などで多く確認されていました。その後、車などに巣を張り、繁殖を繰り返すなどして全国に生息域を広げていったとみられています。

 このクモにかまれる被害は毎年、10件ほど出ています。毒のあるメスは攻撃性は強くないものの、素手で触った場合にかまれることがあり、かまれると針で刺したような痛みがあるということです。症状が重い場合、痛みが全身に広がり、頭痛や吐き気などを伴う恐れがあり、今年9月に福岡市かまれた女性は一時、呼吸障害に陥りました。

 セアカゴケグモは1年中、活動していて、冬の間は寒さのために動きが鈍るものの、自動販売機の裏や側溝などに潜んでいるケースが多いということです。

 このため環境省や各自治体では、掃除などの作業をする際にはかまれないように厚手の手袋をするなどして注意するよう呼び掛けています。

 2012年11月15日(木)

 

■昨年の世界CO2排出量、過去最高 1位は中国

 2011年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量は前年から8億トン増の340億トンと過去最高になったことが、ドイツに本部を置く民間シンクタンク、国際経済フォーラム再生可能エネルギー(IWR)の13日の発表でわかりました。温室効果ガス排出量が最も多い国は、引き続き中国でした。

 数値は、英エネルギー大手BPが公開した世界の化石燃料消費量データに基づいてまとめられた。中国の排出量は89億トンで、2位の米国(60億トン)を大幅に上回りました。3位以下はインド(18億トン)、ロシア(17億トン)、日本(13億トン)、ドイツ(8億400万トン)と続きました。

 世界のCO2排出量は2009年に経済危機の影響で一時減少しましたが、再び上昇へと転じています。

 IWRのノルベルト・アルノホ所長は声明で、「現在の傾向が続けば、世界のCO2排出量は2020年までに20パーセント増え、400億トンに達する」と述べています。

 なお、国際エネルギー機関(IEA)もすでに6月下旬に、2011年の世界の二酸化炭素(CO2)排出量が過去最高を記録したと発表しています。中国の排出量が急増し、米国や欧州での減少分が相殺されたといいます。

 IEAの暫定推計によると、2011年のCO2排出量は前年比3・2パーセント増の316億トンでした。世界最大の排出国である中国の排出量が9・3パーセント増加したためで、石炭の利用が増えたことが主因。

 IEAの主任エコノミスト、ファティ・ビロル氏は、「このデータを見ると、今世紀末までに気温が6度上がるシナリオと完全に一致する。これが現実になると地球に壊滅的な影響が及ぶ」と述べています。

 科学者らは、農産物の不作や氷河の溶融といった気候変動による壊滅的な影響を回避するには、今世紀の地球の平均気温が産業革命以前の水準から2度以上上昇しないようにする必要があると指摘しています。そして、それは2020年の排出量をCO2換算で440億トン前後に抑えなければ実現不可能だとしています。

 また、IEAは、福島第一原子力発電所事故後の日本の原発稼働停止が及ぼした影響を警告し、原発の段階的停止は2011年の日本のCO2排出量が2・4パーセント増えた主な要因と指摘しました。ファティ・ビロル氏は、「日本については、排出増の理由が専ら化石燃料の使用増にある。これは他の国で脱原発が進むとどうなるかを示す重要な例だ」と述べています。

 2012年11月14日(水)

 

■来年10月から年金減額へ 新給付案とセット

 過去の物価下落時に特例で据え置かれた年金を本来の水準まで引き下げる国民年金法等改正案について、民主、自民、公明の3党は13日、来年10月から2015年4月にかけて引き下げることで合意しました。

 これにより、年金引き下げ法案は政府案を修正の上、低所得の年金受給者に新たに給付金を支給する年金生活者支援給付金法とともに、今国会で成立する見通しとなりました。

 公的年金は物価の変動に合わせて金額を改定するルールがありますが、1999〜2001年の物価下落時に政治判断で特例的に据え置かれ、本来より2・5パーセント高い水準になっています。

 これを2013年10月に1パーセント、2014年4月に1パーセント、2015年4月に0・5パーセントの3段階で引き下げ、本来の水準に戻します。

 引き下げ額は、国民年金の満額(月額約6万6000円)の人の場合で1、2年目は月約700円、3年目は月約300円になります。専業主婦のいる厚生年金の世帯(夫妻で月額約23万円)の場合で1、2年目は月約2400円、3年目は月約1200円になります。

 当初は今年10月から実施予定でしたが、同じ法案に盛り込まれた基礎年金の国庫負担2分の1維持が赤字国債の発行法案の審議とセットにされたため、継続審議になっていました。

 赤字国債の発行法案が動き出し、厚生労働省は来年4月からの引き下げを目指していましたが、引き下げに慎重な公明党などに配慮し、実施時期を来年の参院選後の来年10月に先延ばしするとともに、公明党が積極的な年金生活者向けの給付金法案とセットで審議することで折り合いました。

 2012年11月13日(火)

 

■妊娠中絶20万件、最少更新 中絶率も7・5で最低を更新

 2011年度に全国で実施された人工妊娠中絶が20万2106件だったことが、厚生労働省の集計でわかりました。

 2010年度の21万2694件から1万588件減り、初めて20万件台まで減少し、過去最少を更新しました。5年間で7万4000件超の減少となっています。

 母体保護法などで都道府県知事に届け出が義務付けられている妊娠22週未満の中絶件数が対象。データのある1955年度から一貫して減少傾向で、厚労省は「妊娠に関する知識や避妊方法の普及が影響しているのではないか」とみています。1950年代後半の年間の人工妊娠中絶件数は、100万件を超えていました。

 5歳ごとの年齢別では、20〜24歳が4万4087件(全体の21・8パーセント)で最も多く、25〜29歳が4万2708件(同21・1パーセント)、30〜34歳が3万9917件(同19・8パーセント)、35〜39歳が3万7648件(同18・6パーセント)と続きます。

 20歳未満は2万903件(全体の10・3パーセント)で、15歳未満は約406件でした。20歳未満では、東日本大震災の影響で福島県相双保健福祉事務所管内の数字を入れずに集計された2010年度の2万357件より、546件増加しました。

 一方、女子人口1000人当たりの中絶率も7・5で、過去最低を更新。ただし、5歳ごとの年齢別でほかの年齢層では一様に減ったのに対し、20歳未満の中絶率は7・1で、2010年度の中絶率6・9より増加しました。

 都道府県別では、鳥取県が中絶率11・4と最も高く、熊本県11・3、高知県10・5と続きました。最も低かったのは4・1の奈良県でした。

 人工妊娠中絶は、何らかの理由で妊娠が継続できない場合に、手術によって妊娠を中断する方法です。日本の法律では、妊娠22週0日を過ぎた場合、いかなる理由があっても中絶はできません。人工妊娠中絶ができるリミットは21週6日までです。中絶手術を行うためには、本人と相手(胎児の父親)のサインが入った同意書が必ず必要になります。

 2012年11月12日(月)

 

■70歳到達後に2割負担検討 2013年度から高齢者医療費

 厚生労働省は高齢者が医療機関の窓口で支払う自己負担について、2013年度から70歳に到達する人に2割負担を求める方向で検討に入りました。70~74歳の窓口負担を1割に据え置いている特例措置を廃止し、2017年度まで5年間かけて段階的に本来の2割に引き上げるとしています。

 2014年4月の消費増税を前に高齢者に負担増を求める内容ですが、衆院解散、総選挙も視野に政治情勢が流動的な中、厚労省案がそのまま実現するかは不透明。

 厚労省の社会保障審議会医療保険部会は16日、70~74歳の医療費の窓口負担の見直し案を提示します。70~74歳の医療費を一律に1割から2割に引き上げることは見送り、2013年度から70歳に到達する人に順次、2割負担を求めるのが柱です。

 70歳未満の世代はすでに、3割を負担しています。一人ひとりでは、負担増になる人がいないほか、すでに70歳以上の人も1割のまま増えません。現役並みの所得がある人は、3割負担とします。

 70~74歳の医療費は、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設に伴って、2008年度から自己負担割合を2割に引き上げる予定でした。しかし、2007年の参院選で惨敗した自公政権が、高齢者の反発を恐れて施行直前に1割に据え置いた経緯があります。

 民主党政権も踏襲し、毎年度に2000億円の公費を投じ、1割に据え置いています。来年度に実現すれば、ひとまず200億円規模の歳出削減効果が見込まれます。

 1割負担にしていることで、70~74歳の年間の医療費負担は4・7万円と、60歳代後半の8・8万円や75歳以上の7・7万円に比べて突出して低くなっています。本来の2割に戻すことで、7・6万円に負担が増える見込み。

 2012年11月11日(日)

 

■美肌ナンバーワンに決定したのは島根県 女性8万人調査

 化粧品会社のポーラ(東京都品川区)が8~9月に初めて実施した「美肌県グランプリ」で、島根県が堂々の総合1位に輝きました。11月12日の「いい皮膚の日」に先駆け、同社が調査結果を発表しました。

 PR事務局の担当者は、「美人は秋田といわれるが、島根のお肌の状態はダントツ」と太鼓判を押しています。

 調査は、ポーラが全国47都道府県の店頭などで16~97歳の女性8万人の肌の状態をチェック。肌の角層細胞を採取してメラニンの量などを科学的に分析して得点化し、都道府県別に集計。この結果をもとに「シミができにくい」「シワができにくい」「肌にうるおいがある」「化粧のりがよい」「角層細胞が美しい」「肌によい生活を送っている」の全6部門と、総合の美肌偏差値の順位を決定したもの。

 美肌県グランプリには、美肌偏差値63・6の島根県が輝きました。同県は「シミができにくい」全国3位、「シワができにくい」全国1位、「肌にうるおいがある」全国2位、「角層細胞が美しい」全国2位と、4部門でトップ3入りし、バランスのよい美肌偏差値で2位以下を大きく引き離しました。

 ポーラによれば、島根県は日照時間が短く紫外線の影響を受けにくいことや、水蒸気密度が高く肌のうるおいにとってよい気象条件がそろっていることが、今回の結果につながったと考えられるといいます。また、喫煙率が全国で最も低かったことも美肌に導いた要因の一つだとしています。

 第2位には、2部門で全国1位となり、美肌偏差値59・0の山梨県がつけました。以下、第3位は美肌偏差値58・4の高知県、第4位は美肌偏差値57・0の岡山県、第5位は美肌偏差値54・7の秋田県、第6位は美肌偏差値54・7の山形県、第7位は美肌偏差値54・6の宮城県、第8位は美肌偏差値54・1の東京都、第9位は美肌偏差値53・9の鳥取県と続きます。

 各部門の第1位は、「シミができにくい」が京都府、「シワができにくい」が島根県、「肌にうるおいがある」と「角層細胞が美しい」が高知県、「化粧のりがよい」と「肌によい生活を送っている」が山梨県となっています。

 その他、総合および各部門結果の詳細は、ポーラのホームページ「ニッポン美肌県グランプリ」(http://www.pola.co.jp/special/bihadaken/)で見ることができます。

 2012年11月10日(土)

 

■見た目が老けている人、心臓病を高率に発症 デンマークの大学が発表

 見た目が実年齢より老けている人は、心臓病を発症するリスクが高いというデンマークの研究結果が、米ロサンゼルスで5日開かれたアメリカ心臓協会の年次総会で発表されました。

 抜け毛や目の周りに脂肪がつくなど複数の加齢の兆候がはっきり現れている人は、若く見える同年齢の人に比べて心臓病を患う可能性が高いといいます。

 コペンハーゲン大学のアネ・トゥベアハンセン教授らの研究チームは、40歳以上の約1万1000人を35年間にわたって追跡調査。このうち心臓病を発症したのは3401人で、心臓発作を起こしたのは1708人でした。

 対象者は性別にかかわらず、加齢の兆候が1つ増えるごとに心臓発作や心臓病のリスクが高まっていました。中でも3~4つの兆候があった人は、全くない人に比べて心臓発作を起こすリスクが57パーセント、心臓病になる可能性は39パーセント高かったといいます。

 心臓発作と心臓病の両方を最も強く予見した加齢の兆候は、目の周りの脂肪の蓄積でした。ほかの加齢の兆候としては、こめかみ部分の生え際後退、頭頂部の抜け毛、耳たぶのしわなどが挙げられています。

 トゥベアハンセン教授は声明で、「目に見える加齢の兆候は生理学的または生物学的な年齢を示し、実年齢とは独立している」「医師は診察の際、こうした兆候を必ず確認するべきだ」と忠告しています。

 なお、昨年のアメリカ心臓協会の年次総会では、定期的な歯石除去は歯を美しくするだけでなく、心臓発作や脳卒中のリスクも下げる可能性があるとする台湾の研究結果が発表されています。

 台湾の台北栄民総医院の研究チームは、10万人以上を平均で7年間にわたって追跡。その結果、歯科医または歯科衛生士に歯石を除去してもらったことがある人は、一度も除去してもらったことがない人に比べ、心臓発作を起こすリスクが24パーセント、脳卒中を起こすリスクが13パーセント低かったといいます。また、少なくとも1年に1回、歯石除去を受けている人は、どちらのリスクも目立って低くなったといいます。

 研究チームは、「専門家による歯石の除去で、心臓発作や脳卒中につながる炎症を引き起こすバクテリアの増殖が抑えられるためではないか」と分析しています。

 2012年11月9日(金)

 

■親知らずからiPS細胞の作製に成功 岐阜大、山中教授と共同研究

 岐阜大学大学院医学系研究科の手塚建一准教授(47歳)らの研究グループは、ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大教授らの研究グループとの共同研究で、歯の治療で抜いた親知らずから、日本人の約20パーセントと適合する型を持つiPS細胞(人工多能性幹細胞)の作製に成功しました。岐阜大学が7日、発表しました。

 iPS細胞は体のあらゆる組織や臓器になることができ、難病を治したり、創薬に役立つと期待されていますが、別の人に移植した場合、白血球の型が異なると拒絶反応が起きることが多く、再生医療に応用するには、白血球の型が適合するiPS細胞が必要となるのが課題でした。

 手塚准教授らが作製したiPS細胞は、多くの人の白血球型に適合するため、拒絶反応が起こりにくく移植しやすいという特長があります。iPS細胞の臨床への応用にかかる費用と時間を抑制できる成果となりました。

 また、抜歯した後に捨てる親知らずを材料にするため、材料の確保は容易。手塚准教授は、「将来の医療コストを大幅に減らせるのではないか。再生医療分野などで新薬の開発がしやすくなる」と期待しています。

 研究グループは同意を得た上で、107人分の親知らずから取り出した歯髄細胞のヒト白血球(HLA)型を調べ、日本人人口の約20パーセントに適合する2種類の「HLAハプロタイプホモ」と呼ばれる特殊なHLA型を持つ細胞を発見し、山中教授が発見した細胞を初期化する4つの遺伝子を入れ、iPS細胞を作製しました。

 今回の成功は、事前に作成したiPS細胞をストックして置き、多くの人を対象にした再生医療に利用しようという山中教授らの構想実現に役立つと期待されています。

 研究成果に関連する論文は、歯学専門紙「ジャーナル・オブ・デンタルリサーチ」に掲載されました。これを受け、研究グループの研究が国際歯科研究学会と米国歯科研究学会のウィリアム・J・ギース賞を受賞しました。

 2012年11月8日(木)

 

■緑内障の点眼薬、自己判断で中断2割 進行の危険も

 眼圧が上昇し、視神経が損傷を受けて視野が欠けていく緑内障の患者の2割は「大した症状がない」などの自己判断で、点眼治療を中断していることが、製薬企業ファイザー(東京渋谷区)の調査でわかりました。

 緑内障は国内で40歳以上の20人に1人が発症し、中途失明の最大の原因となっています。治療の中心は眼圧を下げる点眼薬で、きちんと継続すれば、進行を止めたり遅らせたりして失明を免れられます。

 ファイザーは今年9月中旬、緑内障治療のために点眼薬を処方されたことがある40~60歳代の男女計900人を対象に、インターネットを通じて質問しました。

 現在、自分の判断で点眼治療を中断していると答えた人は12・7パーセント。過去に中断したことがあると答えた人は6・0パーセントで、合わせると中断率は18・7パーセントでした。

 年代別では40歳代が最も高く23・7パーセント。特に40歳代男性は25・3パーセントで、4人に1人に上りました。

 中断した人を対象に中断期間を尋ねると、1年以上が44・6パーセントに達し、その平均は4・5年でした。中断理由(複数回答)は「大した症状がなく困っていない」が44・6パーセントで最も多く、「継続受診が面倒」35・7パーセント、「治療効果が実感できない」33・3パーセントと続きました。

 治療を継続している人では、「治療を中断すると視野欠損が進行する可能性がある」と認識している人が63・3パーセントいましたが、中断した人では40・5パーセントにとどまり、中断者は継続者に比べ病気や治療への理解が不足していることが示されました。

 また、点眼治療の開始時に医療従事者から中断によるリスクについて説明を受けた人は、半数以下の41・7パーセントでした。点眼治療の中断によるリスクについて説明を受けている人は、点眼治療を継続している人が44・5パーセントに対し、点眼治療を中断した人は29・2パーセントでした。

 日本緑内障学会理事長を務める新家真・関東中央病院長は、「治療中断者の半数近くが視野欠損進行のリスクにさらされている。理解度向上が重要だ」と指摘しています。

 2012年11月7日(水)

 

■トクホのペプシ、サントリーが発売へ 市場急拡大で追随

 サントリー食品インターナショナルが、脂肪吸収を抑える効果をうたった特定保健用食品(トクホ)のコーラ系飲料「ペプシスペシャル」を11月13日から全国で発売します。キリンビバレッジが4月に初の独自ブランド商品で売り出して以降、「トクホコーラ」市場は急拡大しており、世界的なブランドも追随を決めました。

 ペプシスペシャルは食事の際に飲むと、配合した食物繊維「難消化性デキストリン」の働きで脂肪の吸収を抑え、食後の血中中性脂肪の上昇を抑制するというもの。消費者庁が、効能などを表示する許可をしました。

 490ミリリットル入りで、価格は1本158円。メーンターゲットは30~40歳代男性。年内に100万ケース(1ケース24本)、3年後には年間1000万ケース規模の販売を目指します。

 一方、キリンビバレッジの「メッツコーラ」は健康意識の高い大人の人気を集め、発売2週間で年間目標の100万ケースを達成。9月には、販売目標を当初の7倍の700万ケースに引き上げました。

 ペプシスペシャルとメッツコーラは効能や価格が同じとあって、売り場の確保や味でいかにリピーターを獲得できるかが今後の勝負になります。

 トクホコーラは脂肪の多い食事をとりがちか、中性脂肪が気になる人が対象。特長とする「脂肪の吸収を抑える」成分は、メッツコーラ1本当たり5グラム入っている難消化性デキストリン。トウモロコシなどのでんぷんを酵素処理して作られる水溶性の食物繊維で、もともとは食事の欧米化などで不足しがちな食物繊維を補う目的で作られた食品素材です。

 この難消化性デキストリンが入った飲料には、アサヒ飲料の「十六茶プラス」やカルピスの「健茶王すっきり烏龍(ウーロン)茶」などがあります。十六茶も脂肪の多い食事をとりがちの人、健茶王は食後の血糖値が気になる人向きといいいます。

 2012年11月7日(水)

 

■規制緩和のアメリカ産牛肉 年明けにも国内で流通へ

 BSE(牛海綿状脳症)対策として行われているアメリカ産牛肉の輸入規制について、厚生労働省は「生後20カ月以下」から「30カ月以下」に緩和する方針を決めました。早ければ年明けにも、規制の緩和で輸入された牛肉が国内で流通する見通しになりました。

 厚労省はBSE対策として、7年前から、アメリカ産の牛肉は生後20カ月以下に限って輸入を認めています。しかし、この10年間に生まれた牛でBSEへの感染が確認されていないことなどから、専門家会議を設けて検討した結果、BSEの病原体が蓄積しやすい脳やせき髄などを取り除くことを条件に、生後30カ月以下に規制を緩和する方針を決めました。

 厚労省によりますと、アメリカで出荷される肉牛の90パーセント以上は生後30カ月以下ということで、早ければ年明けにも、輸入された牛肉が国内で流通する見通しです。また、カナダとフランス、それにオランダについても、アメリカと同様、規制を緩和する方針を決めました。

 一方、国内で飼育され、食肉となるすべての牛について、現在BSEの検査が行われていますが、厚生労働省は来年4月からは、30カ月以下の牛は検査の対象から外すよう基準を改めることになりました。

 国内では2001年9月以降に36頭のBSE感染が確認されましたが、10月以降に感染源だと考えられる感染牛を原料とした肉骨粉を飼料として使うことを法律で規制し、感染を根本からシャットアウトしたため、2002年2月以降に生まれた牛にBSEは発生していません。

 厚労省がアメリカ産牛肉の輸入規制を緩和する方針を決めたことを受けて、アメリカ産牛肉の主力品種であるバラ肉の国内卸価格が下がっています。輸入が増えると予測され、年明け以降に一段と値下がりするとの見方が強まっています。スーパー店頭の牛肉や牛丼店などの価格も下がりそうです。

 大手牛丼チェーンなどによると、生後30カ月の牛は、20カ月以下に比べると肉に脂がのって食味がよくなるといいます。これまでは20カ月以下といっても、実際には十数カ月で出荷されるケースが多く、これが30カ月に規制緩和されると、牛が成長したぶん、肉質も肉量も向上するといいます。

 東京都練馬区のスーパーマー ケットでは、輸入規制を緩和する方針が決められたことについて、買い物客から歓迎の声がある一方、安全性を懸念する声も聞かれました。

 このうち60歳代の女性は、「アメリカ産の牛肉を煮物に使っているが、安全性が確保されるのであれば、価格が安くなると思うので、歓迎です」と話していました。一方、70歳代の女性は、「安全性がわからないので、今は買っていません。心配なので、しばらくは様子をみようと思います」と話していました。

 このスーパーでは、現在販売している牛肉のおよそ20パーセントがアメリカ産で、輸入が再開されれば販売量を増やしたいとしています。

 東京都内に4店舗を構えるスーパーマー ケット「アキダイ」の木村正太郎さんは、「規制が緩和され輸入量が増えれば、今よりも価格が20パーセントほど安くなるという話もあるので、明るい材料だ。安全性が確保された牛肉が入れば、お客さんの選択肢が増えるので、取り扱い量を拡大したい」と話しています。

 2012年11月6日(火)

 

■慢性肝疾患の進行度、血液だけで判断可能 大阪市大が新手法

 慢性肝疾患の病因や病気がどれくらい進行しているか、血液中の「マイクロRNA」を測定するだけで判断できる方法を、大阪市立大や大垣市民病院(岐阜県)、神戸薬科大、広島大の研究チームが開発しました。針を刺して肝臓組織を取り出さなくていいため、患者の負担も少なくなります。3年後に高度先進医療の認可を受けたい考えです。

 人間には、マイクロRNAと呼ばれる小さなRNA(リボ核酸)が存在しています。最近までその役割はよくわかっていませんでしたが、マイクロRNAの増減が病気とかかわっていることが明らかになってきました。

 このマイクロRNAは主に細胞の中に存在していますが、血液中では「エクソソーム」という直径100nm程度の小さな粒子の中に存在しています。今回、研究チームは慢性肝臓病の患者約100人のエクソソームの中に含まれる12種類のマイクロRNAを測定し、病気の診断とその進行度を評価する方法を開発しました。

 慢性肝臓病の代表的な原因は、肝炎ウイルスです。日本でB型肝炎ウイルスに感染している人は約150万人、C型肝炎ウイルスに感染している人は約300万人と推定されています。

 慢性肝臓病は自覚症状が現れることが少ないものの、放置すると10〜20年の経過で肝硬変になり、さらに肝がんが発生します。そのため、肝臓病の診断は重要。

 現状の肝疾患の診断では、血液検査で肝臓が壊れていることがわかると、より精密な血液検査、腹部エコーなどでその原因を調べます。さらに、肝生検を行い病理組織学的に病気の種類を診断し進行度を評価するので、手間がかかり、また、体を傷付けてしまうことが課題です。

 今回開発された方法では、エクソソームの中に含まれる12種類のマイクロRNAを測定するだけで、肝疾患のない人、B型慢性肝炎、C型慢性肝炎、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を分類でき、さらに、病気の進み具合も評価できます。

 しかも、この検査方法は簡便で、たった1回の血液検査で診断することが可能です。さらに繰り返し行うことができるため、病気の診断だけではなく、治療効果の判定などにも応用することができます。

 現状の診断では3泊ほど入院が必要で10万円ほどかかりますが、開発された方法だと最初の検査で採った血液が使え3万円ほどですむといいます。

 今回、重症度を正しく診断できたのは、進行度によって6~8割といいます。チームの村上善基大阪市大病院講師は、「従来法と比べ、繰り返し検査をしても患者の負担が小さく、治療効果の判定にも使える。がんの診断にも応用できるかもしれない。さらに精度を高め、コストも下げたい」と話しています。

 今後の予定は、2013年度中に解析数を増やし、より少ないマイクロRNAの情報で診断の精度を高め、2005年度に高度先進医療として認可されることを目指しているとしています。

 研究の詳細な内容は、10月31日付けで米オンライン科学誌プロスワンに掲載されています。

 2012年11月5日(月)

 

■介護ベッド事故多発、消費者庁が注意喚起

 介護ベッドの手すりに首を挟むなどして死亡事故が起きている問題で、消費者庁は、全国の介護ベッドのレンタル事業者に対して事故の危険性と対応策を利用者に説明するよう要請しています。

 レンタル事業者には2日付けの文書で要請ずみで、自治体の広報誌を通じた注意の呼び掛けも行います。

 介護ベッドを巡っては、2007年度から今年10月までに32件の死亡事故を含む63件の事故が起きました。大半が転落防止のために側面に設置された手すりの透き間に首や腕を挟む事故。

 同庁は都道府県などを通じて、再発防止のために安全補助具やクッションで透き間をふさぐなどの対策をするよう注意喚起を行ってきましたが、今年も4件の死亡事故を含む6件の事故が発生しました。

 度重なる注意喚起にもかかわらず、介護ベッド利用者の死傷事故が後を絶たない事態を受け、同庁は10月、在宅で介護ベッドの使用経験があるヘルパーや家族らを対象に、インターネット上で調査を実施し、計3578人から回答を得ました。

 その結果、メーカーや行政の注意喚起については、「知らない」が56パーセントを占めました。「知っているが対策していない」が19パーセント、「知っていて、対策もしている」は25パーセント。知りながら対策を取らない理由は、「事故の危険を感じない」が71パーセントでトップでした。

 6センチの透き間でも首が挟まるといい、宗林さおり消費者安全課長は「注意喚起が伝わっていなかったことは深刻に受け止めている。まずは現場に危険性を認識してほしい」と話しています。

 2012年11月4日(日)

 

■健康食品の送りつけに注意 高齢者を中心に全国で相つぐ

 申し込んでいないにもかかわらず、「注文を受けた健康食品を送る」などの電話が突然かかってきて商品が届き、支払いを迫られるトラブルの相談が高齢者を中心に全国で相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼び掛けてています。

 国民生活センターによりますと、「注文していない健康食品が送りつけられてきた。どう対応すればいいか」などの相談が今年度、先月15日までに全国の消費相談窓口に1905件寄せられ、昨年度の同じ時期の1・6倍になっています。

 相談が多いのは、「以前、注文を受けた健康食品を送る」と突然、電話がかかってきて、「申し込んだ覚えはないと」断ると、「ばかやろう」、「弁護士を連れてゆく」などと強い口調で支払いを迫るケースだということです。また、「血液がサラサラになる」、「血圧が下がる」などと言って、しつこく勧誘するケースもあるということです。

 70歳代の女性のケースでは、「注文のあった健康食品を代金引換で送る」と電話があり、「注文した覚えはない」と伝えると「確かに注文している。代金は2万円。支払わないと訴える」と脅されました。経済的にゆとりがないので、そんなに高い健康食品を注文するはずがないのに、翌日業者がいった通り商品が届いてしまいました。

 80歳代の女性のケースでは、夫が生前に契約したことがあるという業者が、電話で「通常価格より安くするから」と健康食品を勧めてきました。「すでに常用している健康食品があるから」と断ったのに、後日商品が送られてきました。

 相談者の8割が60歳以上で、国民生活センターは、申し込んでいない時はきっぱり断るとともに、商品が届いても受け取らず、受け取った場合は8日以内に、契約を解除する「クーリング・オフ」の通知を業者に送るよう呼び掛けています。また、困った時は、速やかに居住地の自治体の消費生活センターなどに相談するのがよいとしています。

 2012年11月3日(土)

 

■福島市のコメで基準値超えの110ベクレル 今年産米で2例目

 福島県は1日、2012年産米の全袋検査で、福島市の農家が生産したコシヒカリの玄米6袋から、食品基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える110ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表しました。

 今年産米の検査で基準値を超えるコメが見付かったのは、同県須賀川市に続き2例目。

 県によると、福島市の旧平田村地区の農家1戸が今年収穫した玄米140袋(1袋30キロ)の検査で、83袋が1キロ当たり60ベクレルのスクリーニングレベルを超え、詳細検査を行ったところ6袋からそれぞれ110ベクレルが検出されました。残りは基準値を下回りました。

 同地区は、昨年のコメから100ベクレル超500ベクレル以下のセシウムを検出した「事前出荷制限区域」に指定されており、生産量や保管状況をすべて把握しているため、全袋検査で基準値以下だったコメは出荷できます。基準値を超えた袋のみを隔離、処分します。

 県は、今後、基準値を超えた原因を究明します。 

 なお、政府は10月29日に、福島県須賀川市の旧西袋村地区で生産された2012年産米の出荷停止を条件付きで解除しています。

 県がコメの「管理計画」を策定したことを受けた措置で、今後、同地区で生産されたコメの全袋検査を行い、放射性セシウムが基準値以下であることが確認された袋については、出荷できます。

 同地区では農家1戸が生産した320袋のうち1袋から110ベクレルのセシウムを検出。政府は10月25日に出荷停止を指示していました。

 県によると、新基準値超えのコメを出荷した農家では、稲の天日干しをしていたほか、放射性物質の吸収を抑制するカリウム肥料を使っておらず、これが原因とみられます。土壌調査などを行い、詳しく調べる方針。

 2012年11月2日(金)

 

■衣食住の工夫で冬場の室温を20度に 今年もウォームビズ始まる

 冬場の節電対策の一環として、環境省では1日から、暖房の設定温度を下げて厚着で過ごす「ウォームビズ」を始めました。

 二酸化炭素(CO2)を始めとする温室効果ガス排出量の削減につなげる狙いで、今回で5年目。東日本大震災後の原発停止を受けて、昨年からは節電も目的に加わりました。期間は来年3月末まで。

 政府は、原発事故による厳しい電力事情を考慮して、冷房の設定温度を上げて軽装で過ごす「クールビズ」の取り組みを例年より期間を延長し、10月31日までの6カ月間実施してきました。

 そして、1日からは、環境省が暖房の設定温度を下げて厚着や重ね着などで寒さをしのぐ「ウォームビズ」の取り組みを始め、東京・霞が関の庁舎では職員が早速マフラーやコート姿で出勤していました。また、室内の温度が20度に設定され、職員たちはひざ掛けを使ったり、飲み物を温め直さないようにするために保温性の高いコップを使ったりしていました。

 職員の一人は、「暑さの中で服を脱ぐのは限界があっても、重ね着は行いやすいので気軽に取り組んでいきたい」と話していました。

 環境省は今年、ウォームビズの取り組みの一環として、暖房の効いた部屋にみんなで集まる「ウォームシェア」を提唱。自宅の暖房器具を止め、暖房の効いた施設に出掛けてもらうことで家庭の節電につなげる取り組みも呼び掛けていて、ホームページではこの取り組みに協力する店舗や施設を紹介しています。

 環境省国民生活対策室の佐藤匡広室長補佐は、「まだ寒くはないが、できるだけの準備をしたい。国民のみなさんにも、無理なく快適に過ごすための工夫によって節電につながるので、ウォームビズをぜひ心掛けてほしい」と話しています。

 2012年11月1日(木)

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