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健康ダイジェスト

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■新型インフル、4月から季節性扱いに 厚労省発表

 2009年春に発生し、世界的に大流行した新型インフルエンザについて、厚生労働省は31日、新型としての対策を終えたと発表しました。4月からはA香港型などと同じ季節性インフルエンザとして扱います。

 新たな名称は「インフルエンザ(H1N1)2009」。新型の流行を受けて始めた重症者などの発生動向の把握は、来シーズンも簡素化した形で続ける予定といいます。

 09~10年は推計約2077万人がインフルエンザにかかり、ほとんどは新型で、ピークは秋という変則的な流行でした。10~11年は3月10日までの推計患者数は約962万人で、新型のほかにA香港型の患者も多く、冬にピークを迎えるという例年並みの状況となりました。このため専門家の部会で検討し、季節性への移行を決めました。

 また、厚生労働省は31日、2009年から10年に新型として世界中で流行したインフルエンザ(H1N1)2009のワクチンについて、国内4社から購入した約149億円(健康な成人換算で約3100万人)分のワクチンを有効期限切れで廃棄したと発表しました。

 厚労省は09年10月、インフルエンザの流行に備え、国内の4社から5400万人分のワクチンを260億円で購入。2300万人分は病院などに納入されましたが、接種回数が2回から1回に変更されるなどで、残りは使われませんでした。

 さらに、厚労省は09年から10年にかけて、海外メーカー2社ともインフルワクチン9900万人分の輸入契約を結びました。しかし、接種が予想を大きく下回り一部を解約。2社への支払額は違約金も含め、853億円に上りますが、ほとんどが廃棄されています。

 2011年3月31日(木)

 

■花粉の季節に服薬再点検を ぜんそく患者に専門家が助言

 花粉症シーズンの春は、気管支ぜんそくの発作も増える時期です。ぜんそく患者の多くはアレルギー性鼻炎も合併しており、専門家は「薬とうまく付き合いながら乗り切ることが大事」と指摘しています。

 気管支ぜんそくとは、アレルゲン(原因物質)や個人の生活環境から生じる刺激物質などによって、気道が過敏な反応を呈して、気道の内腔が狭くなることにより、突然、せきが出て、ゼーゼー、ヒューヒューなどといった音を伴う呼吸となり、息苦しくなる病気です。しかも、繰り返すことが特徴です。

 帝京大の大田健教授(呼吸器・アレルギー学)が2009年にぜんそく患者2万6680人を対象に調査したところ、アレルギー性鼻炎を合併していた人は全体の67・3パーセントに上りました。

 最近は住宅の密閉性が高まり、室内のホコリに含まれるチリやダニが増えています。一方、今季はスギやヒノキの花粉飛散量も、東北、北陸から関東、近畿にかけては例年に比べて多くなると予想されており、ぜんそく患者は室内外で厳しい環境にさらされることになります。

 大田教授は、「この時期は花粉がぜんそく発作の誘因になったり、花粉症で鼻の調子が崩れて、ぜんそくまで悪化したりする。花粉症にも薬で対処し、快適に過ごしてほしい」と勧めています。

 呼吸をするとゼーゼー、ヒューヒューと音が出たり、抗生物質を飲んでもせきが2週間以上治らなければ、受診のタイミング。ぜんそく症状をコントロールする吸入ステロイド薬の服用を早く始め、きちんと続ければ、健康な人と同様の生活を維持できます。

 ただ、治療である程度体調がよくなると満足してしまい、ぜんそく治療薬の服用を怠ってしまう患者も多くみられます。

 大田教授は、「改善したといっても、実は階段が上れなかったり、テニスを我慢したりと、普通の生活からは程遠い人もいる。ぜんそく治療を怠けていた人は、こういう季節に思い出し、きちんとした服薬習慣を取り戻してほしい」と助言しています。

 2011年3月30日(水)

 

■原発事故、健康被害の心配なし 国立がんセンターが緊急会見

 国立がん研究センター理事長の嘉山孝正氏らが3月28日に緊急記者会見を開き、社会不安の様相を呈している東京電力福島第一原発による放射線被曝の問題について、見解を表明しました。

 嘉山氏らは、2008年に国連科学委員会(IAEA)が公表した「チェルブイリ事故の放射線の影響に関する報告」を引用しながら、周辺地域で通常より高い放射線や放射性物質が観測、検出されていることについて、「原発で作業を行っている人以外、ほとんど問題がない。正しい知識に基づいた冷静な行動を取ってほしい」と平静を保つよう求めました。

 また、東京が現在までに被曝した放射線量は懸念する段階になく、飲料水や食料などの買い占め行為は無用との見解を示しました。

 自然の放射線以外で、一般の人が被曝しても問題にならない1年間の量は1ミリシーベルトで、この1ミリシーベルトもかなり余裕をみた数字。今回の原発事故ではまず、一般の人がこれだけ被曝することは、現時点で考えにくいといいます。同センターによると、広島や長崎の被爆者でも一度に浴びた量が200ミリシーベルト以下だと、白血病やがんの発症との関係ははっきり確認できないといい、時間をかけて被曝した場合、細胞や遺伝子の修復機能が働くために影響はさらに少なくなるといいます。

 逆に、成人が一度に1000ミリシーベルトを被曝すると、がんの発症リスクが1・6倍に上昇しますが、これは非喫煙者と比べた場合の喫煙者に生じる危険性と同レベルだといいます。

 同センター中央病院の伊丹純・放射線治療科長は、「福島第1原発から放出されている放射性物質の量は、1986年に起きた旧ソ連のチェルノブイリ原発事故よりも少ない」と指摘。最も重い急性放射線症候群となった作業員は、4000~6000ミリシーベルトの被曝をした134人で、そのうち被曝が原因で死亡したのは28人だけ。全体で数十万人が現場で作業に当たりましたが、1000ミリ以上被曝した人に限って、白血病や白内障などにかかる割合の上昇が示唆されたといいます。

 20年間の追跡調査の結果によると、チェルノブイリ事故で周辺住民が受けた深刻な健康被害は、ほぼ放射性ヨウ素による被曝に限られます。その影響で発生した甲状腺がんの多くは、ヨウ素剤服用で防げたはずで、当時のソ連では一律にヨウ素剤は配布されませんでしたが、配られた地域では発生率は低かったといいます。

 ヨウ素剤服用のタイミングについて伊丹科長は、「一度に100ミリシーベルトの被曝が予測される前6時間もしくは、被曝後3時間以内」と説明。発症までに長い時間が掛かることなどから、40歳以上の人はそもそも服用の必要がないといいます。

 放射性ヨウ素による健康被害は若いほど、特に乳児に対して大きくなります。東京都水道局の浄水場では22日に、水道水1キログラム当たり210ベクレルの放射性ヨウ素を検出し、乳児の基準100ベクレルを超えました。これは216リットルを飲むと、1ミリシーベルトの被曝を受けるという量で、伊丹科長は「実生活で問題になる量ではなく、ヨウ素剤が必要となるような被曝でもない」としました。

 「心配なのは、原子炉で作業をする人」と嘉山理事長。被曝の程度によっては骨髄の造血機能が低下するリスクもあるので、将来に備え「事前に自分の末梢血幹細胞を保存し、もし造血機能の損傷が生じた場合は、幹細胞移植によって機能の回復を図ることを提案する」としました。

 2011年3月29日(火)

 

■降雨後の取水、一時中断を水道事業者に要請 厚労省

 厚生労働省は27日までに、全国の水道事業者に対し、水道水への放射性物質流入を防ぐため降雨後の浄水場への取水を一時中断したり、貯水池をビニールシートで覆ったりするよう要請しました。

 厚労省は、東京電力福島第1原子力発電所から漏えいした放射性物質を含む雨水が河川やダムを通じて、水道水に流入する可能性があると指摘。全国の水道事業者に、水の安定供給に支障のない範囲で「降雨後に河川からの取水を中断して、貯水池をビニールシートで覆う」などの措置を要請しました。

 また、水をろ過することで、放射性物質の低減が期待できる粉末活性炭についても、水道事業者に浄水場での使用の検討を求めました。

 2011年3月28日(月)

 

■震災の疑似体験で心身不調 被災地以外でも注意を

 東日本大震災が人々の心に与えるストレスの影響が、被災地以外のところでも現れ始めています。若者から高齢者まで世代を問わず、不眠や気分の落ち込みといった心身の不調を訴える人が出てきました。

 災害心理学の専門家によると、津波が街をのみ込む映像をテレビなどで長時間視聴して「災害の疑似体験」をしたと考えられ、まじめで感受性の高い人ほどストレスにさらされやすいといいます。

 「映像が悲惨で、家で見ることができないんです」。京都大1年の女子学生(20歳)は不安を口にしました。関東に友人がおり、今回の震災直後からニュースを見続けました。「スマトラ沖地震でも津波の映像はあったけど、今回はよりリアルに感じた」。

 京都新聞社では3月18日、京都市内で大学生50人にアンケートをしました。その結果、半数を超える31人が震災後に何らかの心身の不調を感じたと答えました。具体的には、複数回答で「被災地の人に申し訳なく思う」が18人、「テレビを見るのが苦痛」が14人、「不眠」が2人、「訳もなくイライラする」「集中力がなくなった」が各1人でした。

 高齢者にも影響が出ています。東山区の養護老人ホーム「洛東園」に入居する舞能美佐子さん(81歳)は、「昔の空襲を思い出す。被災地の人達が気の毒で、気になって夜も眠れなくなった」と話しています。

 中京区の高木神経科医院では、震災前から通院する患者約400人のうち3割に、震災後、不眠やうつ症状の悪化がみられました。浜垣誠司院長(50歳)は、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)よりは軽いが、明らかに震災ストレスが影響している。特に子供は注意が必要」と指摘しています。

 災害時の心理に詳しい東京女子大の広瀬弘忠教授は、「映像を繰り返し視聴することで、あたかも自分の身に起きたような錯覚を起こす」と説明。「無理に震災を忘れようとしても難しい。それよりも、義援金や応援メッセージを送るなどの行動で、被災地支援に貢献したと感じることが心の安定につながる」と助言しています。

 一方、岩手医大などの調査では、東日本大震災で被災した岩手県沿岸で、不安や不眠などで早期に精神的ケアが必要な被災者がいる避難所が6割あることが判明しています。調査担当者は、「自殺や深刻なトラブルにつながる前に対処が必要だ」と訴えています。

 被災地で本格的なケアを行う前の基礎調査として、同医大と県精神科医会の要請で、宮古市の三陸病院と宮古山口病院が行いました。3月18~22日に宮古市など4市町村の73の避難所で、保健師らから聞き取りました。

 その結果、今後の不安が16カ所、イライラするが11カ所、不眠が9カ所などを訴え、心のケアが必要な被災者がいる避難所を44カ所確認しました。薬が切れるなどして精神疾患のある人の症状が悪化、家族を亡くした人が夜間に徘徊、認知症の人が心配などの避難所もありました。

 調査を担当した三陸病院の三浦正之・院長代行は、「大きな避難所は多数の人が詰め込まれ、精神健康状態が悪い印象だった。スタッフの疲労が濃い、小さな子供が多いといった場所も優先的に手を打つべきだ」と話しています。

 2011年3月28日(月)

 

■インフルエンザ患者、2週連続で増加 A香港型が避難所で流行

 インフルエンザの患者数が2週連続で、前の週を上回りました。国立感染症研究所(感染研)が25日に発表した調査結果によると、最新の1週間の3月14~20日に全国の定点医療機関を新たに受診したインフルエンザ患者は1医療機関当たり17・25人で、前週の16・81人から増加しました。

 前週に続き、東日本大震災で被害を受けた岩手県の一部と福島県からの報告はありませんでした。前週のデータがない福島県と宮城県を除く45都道府県のうち31道府県で定点医療機関当たりの報告数が増えました。推計では、最新の1週間に受診した患者は全国約74万人(前週68万人)。特に0~14歳で増加がみられました。

 警報発令レベルの「30」を超えたのは、山口県48・87(前週43・96)、大分県41・55(同37・67)、愛知県31・55(同35・64)、岐阜県30・59(同29・98)。

 他の地域では、北海道20・49(同17・43)、山形県12・75(同11・68)、東京都15・28(同16・26)、埼玉県21・28(同20・28)、大阪府12・15(同10・79)、兵庫県13・40(同11・56)、福岡県29・81(同27・79)でした。

 直近5週間に検出されたウイルスは、季節性のA香港型が最も多く、新型、B型と続きました。

 感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は、「避難所ではA香港型の集団発生が目立つ。高齢者が感染すると、肺炎になるなど重症化の恐れがある。マスクをつけるなど、せきエチケットを徹底してウイルスを持ち込まないよう心掛け、もし発症者が出たら、避難所内で広がらないよう他の人と距離を置くなどしてほしい」と話しました。

 また、東北大の押谷仁教授らは11日の地震後に仙台市と周辺を調査し、インフルエンザの流行が続いていることを確認しました。「避難所を中心に厳重な警戒が必要だ。症状のある人はマスクをし、早期治療が重要。できるだけ人と人の間隔が取れるような工夫をしてほしい」と話しています。

 押谷教授らが集めた陽性の検体21件のうち、A香港型は19件、新型は2件。21件には、避難所の被災者や支援しているスタッフ4人のものも含まれていたといいます。

 2011年3月27日(日)

 

■ワクチン2種、来月から接種再開へ 厚労省「安全性問題なし」

 厚生労働省は25日までに、他のワクチンと同時接種後の死亡報告が相次ぎ、3月上旬から一時見合わせていた細菌性髄膜炎を予防する小児用肺炎球菌ワクチンとヒブワクチンについて、4月から接種を再開する方針を決めました。

 心疾患など重い持病がある乳幼児については単独接種も検討し、同時接種が必要な場合には医師の判断で実施するとしました。

 専門家検討会が24日に開かれ、追加報告された2例を含む計7例(0〜2歳)の死亡例を検証。このうち6例で解剖が行われ、死因は感染症や乳幼児突然死症候群、それに心臓の病気などの可能性が高いと報告されました。いずれも接種と死亡との明確な因果関係は認められず、同時接種による副作用の増加もないと評価されたため、同省はワクチンの安全性に特段の問題はないと判断しました。

 米国など海外の使用実績でも、10万人に0・1~1人の割合で接種後の死亡報告がありますが、死因は感染症などが大半を占め、国内の死亡割合と大きな違いはありませんでした。

 ヒブワクチンについては、一部製品で異物の混入が見付かり、製薬会社が一部を自主回収しましたが、調査の結果、針と注射筒を接着する際に誤って合成樹脂が混入したもので死亡との関連はないとしました。

 ただ、専門家検討会は厚労省に対して、今後も接種後の死亡例の情報を集め、死亡例が報告された場合は、専門家による評価を速やかに行うことを求めました。

 2011年3月26日(土)

 

■福島原発の放射性物質、2~3週で世界一周 放出量はチェルノブイリの2~5割

 大気中の放射性物質を観測する包括的核実験禁止条約(CTBT)機構準備委員会は24日、本部ウィーンで日本の報道機関に対し、東京電力福島第1原発から放出され、すでに太平洋上から米国、欧州に達した放射性物質は今後2~3週間で世界を一周するとの見通しを示しました。量は極めてわずかで、人体への影響はないといいます。

 委員会は群馬県高崎市など世界63カ所で、大気中の放射性物質の観測施設を運営。観測部門幹部のラッシナ・ゼルボ氏によると、高崎市の観測値は微量ながら現在も上下動を繰り返しており、同原発からの放出量が減少傾向にあるとは決していえないと述べました。

 微量の放射性物質は米西部カリフォルニア州の観測施設で18日に、アイスランドの施設でも22日に検出が発表され、欧州各国の当局も近日中に到達するとみています。ゼルボ氏は大気の流れから放射性物質はさらに東に向かい、北半球を一周すると予測しました。

 国際原子力機関(IAEA)外交筋によると、放射性物質の影響について東南アジアの国々から心配する声が上がっています。これに対し、経済産業省原子力安全・保安院幹部は、「これまでの観測データから外国への影響はないと考えている」としています。

 一方、オーストリア気象当局は23日、福島第1原発の事故後、3~4日の間に放出された放射性物質セシウム137の量は、旧ソ連チェルノブイリの原発事故後10日間の放出量の20~50パーセントに相当するとの試算を明らかにしました。

 同当局は双方の事故現場から1日当たりに放出されたセシウム137の量は大差がないとする一方、放射性物質の影響を総合的に判断したわけではなく、福島の事故規模がチェルノブイリよりも大きいとは決していえないとしています。

 同当局は、包括的核実験禁止条約(CTBT)機構の暫定技術事務局が日本や米国、ロシアなどで集めたデータを基に試算したとしています。

 2011年3月25日(金)

 

■政府が飲料水の増産指示 埼玉、千葉の浄水場でも放射性ヨウ素を検出

 東京都などの水道水から乳児の摂取基準値、1キログラム当たり100ベクレルを超える210ベクレルの放射性ヨウ素が検出された問題で、枝野幸男官房長官は24日午前の記者会見で「国としてもペットボトルの増産と適切な対応を関連部局に指示したい」と述べました。

 埼玉県川口市は24日、市内の浄水場1カ所から120ベクレルの放射性ヨウ素を検出したと公表しました。検出は22日採取分で、24日採取分は46ベクレルと基準値を下回りました。22日に微量が検出されていたセシウムは検出されませんでした。市は「安全と判断している」として、1歳未満の乳児への摂取制限は呼び掛けないといいます。

 千葉県も24日、松戸市の浄水場2カ所で220ベクレルと180ベクレルの、乳児の基準値を超える放射性ヨウ素が検出されたと発表しました。

 東京都で基準値を超えていた葛飾区の金町浄水場では24日再調査した結果、79ベクレルと基準を下回り、都は乳児について24日は水道水の摂取を控える必要性はなくなったとして、摂取制限を解除しました。都水道局は、「水道管内部には、この数日の間に取水された水がまだ流れているが、長期に渡って飲むのではなければ健康には問題がなく、制限は不要と判断した」としています。

 枝野官房長官は、「念には念を入れた数値に基づいて摂取を控えるようお願いした。それ以外の人は全くといっていいほど影響を及ぼすことはない。冷静な対応をお願いしたい」と呼び掛けました。海外からの輸入については、「あらゆる可能性を検討している」と述べました。

 東京都23区の各区役所では、独自に備蓄する飲料水を配布。江東区は24日午前10時から、保管していた2リットルボトルのうち約300本を区内の保育園に配布し、区役所入り口で受け取った保育園職員らは足早に戻っていきました。

 ミルクが必要な乳児2人が通う「亀戸のびっこ保育園」(江東区)の金子なおみ園長は、「今、一生懸命水をかき集めている。職員みんなでスーパーなどを当たっているが、思うように集まらない」と焦りをみせました。

 港区には午後、交流協定を結ぶ岐阜県郡上市から2台の給水車が到着し、保育園に配布しました。

 2011年3月24日(木)

 

■福島県産の葉物野菜など摂取制限 首相が指示

 菅直人首相は23日午前、福島県産のホウレンソウ、コマツナ、キャベツなど葉物野菜や、アブラナ科のブロッコリー、カリフラワーなどを食べないよう全国の消費者らに求める「摂取制限」の発動を、同県の佐藤雄平知事に対して指示しました。これらに根菜類のカブを加えた野菜の出荷停止も指示しました。

 東京電力福島第一原発の事故を受け、同県の野菜11品種から、食品衛生法で定められた暫定基準値を大幅に超える放射性物質が新たに検出されたため。11品種と同じような状態と推定される他の野菜も、放射性物質が検出されていなくても広く規制の対象に含めました。

 摂取制限は原子力災害特別措置法に基づく措置で、発動は初めて。消費者が出荷停止前に購入した分を摂取することや、農家の自家消費もやめるよう求める内容です。摂取制限の期間は「当分の間」としています。

 JA全農を通じ流通する福島県の露地栽培野菜は、21日以降は出荷されていないといいます。首相は茨城県産の原乳、パセリの出荷停止も指示しました。

 厚生労働省は、放射性物質の量が最も多く検出された野菜を約10日間、1日100グラムずつ食べ続けた場合に浴びる放射線量は、1年間で人が自然に浴びる放射線量の約半分に相当すると説明。枝野幸男官房長官は摂取制限の理由について、「放射性物質が飛散する状況が長期化することを予測し、早い段階から摂取を控えることが望ましい」と語りました。

 同省によると、食品衛生法の暫定基準値を大幅に超える放射性物質が検出された福島県の野菜は、サントウナ、アブラナなど11品種。

 福島県本宮市で21日に採取されたクキタチナからは、基準値である1キロ当たり500ベクレルの164倍に当たる8万2000ベクレルの放射性セシウムが検出され、同じく基準値である2000ベクレルの7倍以上に当たる1万5000ベクレルの放射性ヨウ素も検出されました。

 茨城県でも、水戸市と河内町で19日から21日にかけて採取された原乳、鉾田市と行方市で採取されたパセリから、基準値を超える放射性物質が検出されました。

 政府は21日、福島、茨城、栃木、群馬の4県にホウレンソウとカキナの出荷停止を指示。福島県には原乳の出荷停止も指示していました。

 なお、厚労省は23日、出荷停止が指示されている4県に隣接する宮城、山形、埼玉、千葉、新潟、長野6県に対し、放射性物質が付着しやすい葉物や原乳などの農産物について放射性物質の検査を行うよう求めました。原発事故の影響について監視体制を強化する狙いです。

 2011年3月23日(水)

 

■一部地域で雨による放射性物質増加 水道水からは10都県で検出

 文部科学省は21日、20日朝から24時間の雨やちり、ほこりなど降下物の検査結果について、雨の影響で、放射性のヨウ素やセシウムの量が大幅に増えた地域があったと発表しました。

 文科省は「別の検査の結果を考慮すると、空間や水道水の放射性物質は健康に問題ないレベル」とし、「農作物への影響は、厚生労働省を中心に検査する必要がある」と説明しました。

 また、文科省は21日、都道府県が20日に採取した水道水の検査結果を集計し、放射性のヨウ素とセシウムが茨城県、栃木県、群馬県で、ヨウ素が埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県で検出されたと発表。独自調査している福島県も、21日午前8時の採水で、ヨウ素が水1キロ当たり23ベクレル検出されたと発表しました。いずれも国の摂取制限基準値を下回りました。

 文科省集計分は20日(19日採取)と比べ、ヨウ素が山梨県で追加検出され、セシウムは東京都で不検出となった一方、群馬県で追加確認されました。

 水1キロ当たりの量はヨウ素が茨城県12ベクレル、栃木県10ベクレル、東京都2・9ベクレル、新潟県3・6ベクレルなど。セシウムは栃木県2・8ベクレル、群馬県1・2ベクレルなど。宮城県は震災の被害で計測不能。

 国の原子力安全委員会の摂取制限基準値は、水1キロ当たりヨウ素が300ベクレル、セシウムが 200ベクレル。

 一方、厚生労働省は21日、福島県飯舘村で20日に検査した水道水から、国の摂取制限基準値である水1キロ当たり300ベクレルの3倍を超える、1キロ当たり965ベクレルの放射性のヨウ素が検出されたと発表しました。21日に行った2回目の検査では、492ベクレルに減少しました。

 厚労省は福島県を通し、飲用を控えるよう周知することを村に要請しました。国と県は「手洗いや入浴など生活用水として使用することは健康上、問題なく、一時的に飲用しても、すぐに健康に影響が出ることはない」としています。

 県によると、川俣町で水道水から摂取制限基準値を超える放射性のヨウ素が検出されたため、隣接する飯舘村の滝下浄水場の水道水を測定しました。965ベクレルを含んだ水1キロを飲んだ場合の人体への影響は、胃のエックス線集団検診1回で受ける影響の106分の1とされます。

 県は21日、村民への飲用水の配給を決定。自衛隊員が村まで運び入れ、ペットボトル入り計9.6トンを配りました。さらに、22日に150トンを届けます。村民の10日間分の飲用水は確保される見通しです。その後の対応は、国が継続して実施する検査の結果を踏まえて検討します。

 21日現在、同村には避難した村民を除き約3200人が生活しています。

 2011年3月22日(火)

 

■農産物の規制値超す放射性物質の検出 栃木、群馬、千葉を加え5県に拡大

 栃木、群馬両県は20日、それぞれの県内産ホウレン草などの野菜から、食品衛生法の暫定規制値を超える放射性ヨウ素やセシウムが検出されたと発表しました。千葉県産シュンギクのヨウ素も、規制値を超えました。

 規制値を超えた農産物は福島、茨城に加え5県に拡大しました。東京電力福島第一原発の事故の影響とみられます。

 ホウレン草の供給不足が懸念されるため、農林水産省は20日、全国農業協同組合連合会に、規定の大きさや形に達していない作物の出荷などを要請しました。政府は一定地域の食品の摂取制限や出荷停止が必要かどうか、21日に結論を出す方針。

 枝野幸男官房長官は20日の記者会見で、「直ちに健康に影響を及ぼすとは考えられない」と強調しました。厚生労働省は、健康への影響評価を食品安全委員会に諮問しました。

 栃木県ではホウレン草から、規制値を超えるヨウ素とセシウムが検出されました。かき菜からは、規制値と同じ値のヨウ素が出ました。県はJAに、ホウレン草とかき菜の出荷自粛と出荷分の自主回収を要請。牛乳からは、放射性物質は検出されませんでした。

 群馬県でも、ホウレン草から規制値を超えるヨウ素、かき菜からセシウムが検出され、出荷自粛をJAに要請しました。

 規制を超えるヨウ素が検出された千葉県旭市産のシュンギクは、東京都が都内に流通している農産物を調べて見付かりました。都は同時に出荷されたシュンギク90キロを販売禁止とし、千葉県などに旭市産農畜産物の出荷自粛を求めます。

 福島県では、新たに4カ所の農場の牛乳が規制値を超え、ヨウ素の値は最高17倍を記録しました。県は市場に出回っていないとしており、安全性が確認されるまで県内すべての牛乳の出荷自粛を酪農家に要請。ホウレン草は検査ミスで改めて調べますが、21日から念のため県内全域の露地野菜の出荷自粛をJAなどに求めました。

 茨城県では、ハウス栽培を含むホウレン草から規制値を超えるヨウ素(最高27倍)やセシウム(同4倍)が検出されました。一方、トマト、イチゴ、キュウリ、ニラ、水菜、チンゲンサイ、レンコン、キャベツ、ネギ、ピーマン、レタスは規制値を下回りました。

 新潟県では、県内に流通する農産物は規制値を下回りました。

 一方、東京電力は21日、同社福島第一原発で基準濃度の6倍のヨウ素131が検出され、セシウムも見付かったと発表しました。いずれも核分裂によってできる代表的な物質で、原子炉や使用済み燃料プール内の核燃料が損傷していることが確実になりました。

 東電が1号機の北西約200メートルの空気中から採取した物質を19日、事故後初めて調べた結果、ヨウ素131の濃度は1cc当たり5・9ミリベクレルでした。1年吸い続けると、300ミリシーベルト被曝する濃度。このほかに見付かったのはヨウ素132が2・2ミリベクレル、133が0・04ミリベクレル、セシウム134と137がいずれも0・02ミリベクレルでした。

 分析装置のある福島第二原発に持ち込む必要があり、調査に時間がかかっていました。

 2011年3月21日(月)

 

■水道水、1都5県で放射性物質を検出 健康に影響なし、と文科省

 文部科学省は19日、東京電力の福島第1原発の事故に伴い、全国の都道府県が計測した水道水に含まれる放射性のヨウ素131と放射性のセシウム137の濃度を公表しました。データが届かなかった宮城県、福島県、茨城県、奈良県を除くと栃木県(宇都宮市)が最も高かったものの、基準値以下で健康には影響しないといいます。

 水道水に設けられた摂取制限の基準値は、1キログラム当たり放射性のヨウ素131が300ベクレル、放射性のセシウム137が200ベクレル。いずれも通常は検出されませんが、栃木県では18日午前9時に採取した水道水から77ベクレルのヨウ素131、1・6ベクレルのセシウム137を計測しました。

 群馬県(前橋市)でも、2・5ベクレルのヨウ素131、0・22ベクレルのセシウム137を計測したほか、0・16ベクレルのセシウム134も計測しました。放射性のヨウ素131だけが計測されたのは、東京都(新宿区)の1・5ベクレル、千葉県(市原市)の0・79ベクレル、埼玉県(さいたま市)の0・62ベクレル、新潟県(新潟市)の0・27ベクレルでした。宮城県と茨城県は、断水などの影響で計測されていません。

 そのほか、群馬県の独自調査で18日に採取した県央第1水道事務所(榛東村)の水道水からも、ヨウ素131が14ベクレル検出されました。みどり市塩原浄水場(みどり市大間々町)の渡良瀬川の原水からは、放射物質は検出されませんでした。

 文科省は今後、水道水の計測結果を毎日公表するといいます。

 また、厚生労働省は19日、水道水の計測結果が基準値を超えて摂取制限が指示された場合、飲用を控えるように広報することを都道府県に対して通知しました。

 2011年3月20日(日)

 

■福島県の牛乳と茨城県のホウレン草から、基準値超える放射線量

 枝野幸男官房長官は19日の記者会見で、福島県産の牛乳と茨城県産のホウレン草から、食品衛生法上の暫定規制値を超える放射性ヨウ素などが検出されたことを明らかにしました。政府は、東京電力福島第一原子力発電所の事故の影響とみて調査し、同原発から一定区域内の産品の摂取制限や出荷規制などの対応を検討します。

 枝野官房長官は、検出された放射性物質濃度の牛乳を1年間摂取し続けた場合、被曝量は胸部CTスキャン1回分程度、ホウレン草は胸部CTスキャン1回分の5分の1程度、と説明。「直ちに健康に影響を及ぼす数値ではないということを十分ご理解いただき、冷静な対応をお願いしたい」、と呼び掛けました。

 厚生労働省によると、福島第一原発から30~40キロ離れた福島県川俣町の農場の原乳3検体から検出されたヨウ素131が、いずれも基準を超えました。基準の3倍を超えた検体もあり、そのうち1検体からはセシウム137も検出されたものの、規制値内でした。

 茨城県によると、18日に福島県境に近い高萩市で採取したホウレン草から、国が示した規制値の約7・5倍のヨウ素131を検出。日立市や常陸太田市、東海村やひたちなか市、大子町の5地点のホウレンソウからも、3~7倍程度のヨウ素131が検出されました。高萩市のホウレン草からは、規制値を超すセシウム137も検出されました。

 第一原発から、各自治体の中心地は84~122キロ離れているといいます。同県の橋本昌知事は19日、ハウス栽培も含め県内全域で取れるホウレン草すべてについて、JAなどを通じて出荷自粛を要請したことを明らかにしました。県は、「毎日15グラムを1年間食べ続けても健康に影響を及ぼすレベルではない」としています。

 厚労省は19日、福島県と茨城県に対し、該当する牛乳とホウレン草の入手先や流通先を調べた上で、その結果に基づき販売の禁止など必要な措置を取るよう要請。政府は、厚労省に文部科学省や農林水産省、関係自治体などのデータを集約させ、原子力災害対策本部が調査結果を踏まえて対応を指示します。

 暫定規制値は、福島原発の事故を踏まえて政府が食品衛生法に基づき設けた基準で、放射性物質で汚染された食品の出荷や販売を規制します。枝野官房長官は、「通常から確定的な基準として数値を設定しておくべきだったと思っているが、そのことによって国民の健康被害を防ぐことについての影響はない」と述べました。

 2011年3月19日(土)

 

■インフルエンザの患者、全国で急増 被災地での拡大懸念

 国立感染症研究所は18日、3月第2週のインフルエンザの患者報告数が全国で急増したと発表しました。東日本大震災で被災した岩手県の一部と宮城県、福島県のデータはありませんが、周辺では増えており、被災地でも増加しているとみられるといいます。

 感染研は、「避難所は集団生活で体力が弱っている人も多く、インフルエンザが広がりやすい。症状がある人はマスクを着用し、できればほかの人と離れて」と話しています。

 13日までの1週間で、全国の約4700の医療機関からの患者報告数は1施設当たり16・81人で、前週から2・96人増加。全国の報告数は7万9174人と、前週の6万8327人を大きく上回りました。検出が多いのはA香港型。この型が今の時期に流行するのは異例で、高齢者の重症化が懸念されるといいます。

 施設当たり報告数が多い都道府県は、山口県(43・96人)、大分県(37・67人)、愛知県(35・64人)、三重県(30・96人)、岐阜県(29・98人)など。報告した45都道府県中、40都道府県で増えました。

 感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は、今後被災地に入る支援ボランティアの増加によりウイルスが持ち込まれる可能性もあることから、「体調を崩している人は現地に入るのは控えて」と呼び掛けています。

 一方、厚生労働省は18日、2009年に流行した新型の豚インフルエンザについて、今年4月以降は感染症法上の「新型」とは見なさず、例年の季節性と同じ扱いをすることを決めました。今後は「インフルエンザ(H1N1)2009」と呼び、季節性インフル対策として全国500カ所の医療機関で入院患者の動向を調べます。

 新型インフルエンザは、世界保健機関(WHO)がメキシコや米国での発生を確認したことを受け、09年4月28日、当時の舛添要一厚労相が国内での発生を宣言。若年者への感染の割合が多く、季節はずれの8月に流行入りし、11月にピークを迎えました。終息するまでに、約2000万人の患者が感染したと推定されます。

 感染症法上で「新型」とみなされたことで、ワクチンの緊急輸入などの対策がとられました。また、すべての医療機関に重症、死亡者の報告などを求めていました。

 今シーズン(10~11年)のインフルエンザは、12月に流行入りして1月にピークを迎え、複数のウイルス型が混在して各年齢層で感染、推計患者数は3月10日現在で約962万人と、例年と同様の傾向を示しました。このため、季節性との違いはないと結論付けられました。

 今後は、省令を改正し、流行期に全国の定点医療機関500カ所で入院患者の動向を調べる制度を始める方針。

 2011年3月19日(土)

 

■東日本大震災、発生から1週間 死者6539人で阪神の被害超える

 東日本大震災で確認された死者数が18日、6539人となり、1995年の阪神大震災の6434人を超えました。国内の自然災害の犠牲者としては戦後最悪。

 現在も約1万7000人の安否がわかっておらず、死者数がさらに大きく増えるのは確実です。

 警察庁が各県警からの報告を集計した結果、18日午後2時時点で死者数が6539人となりました。内訳は宮城県が3860人で最も多く、岩手県は2040人、福島県は583人。犠牲者が出た地域は12都道県に及んでいます。

 地震発生から1週間がたち、避難が長期化する被災者らの支援が課題となっています。

 2011年3月18日(金)

 

■地震酔いが抜けない人は、リッラクスできる工夫を

 3月11日に発生した東日本大震災地震の直後から、地震酔いという乗り物酔いのような症状が起き、いまだに抜けない人も多いようです。今回の地震は揺れた時間が長く、しかも大きな余震も続いているのが原因です。

 大地が揺れていないのに、まだ揺れているという感覚が止まらなかったり、座っていても、ふわっとした気持ち悪さがなかなか消えずに、気分が悪くなったりします。ひどくなると、顔面蒼白になったり、首や額、手のひらに冷や汗をかいたり、手足に冷感を覚えたりし、吐き気を伴うこともあります。

 地震酔いのメカニズムは、船酔いや車酔いを始めとする乗り物酔いと同じです。大地が揺れている時の振動などによって、耳の奥にある内耳の三半規管と前庭という平衡器官が連続的に刺激されて、起こると考えられます。

 体の平衡、すなわちバランスは、静止時でも運動時でも、脳やほかの神経系、目でも調節されますが、耳がたいへん重要な役割を果たしています。耳では、三半規管と前庭が体の平衡を調節しており、三半規管は主に回転運動に関係し、前庭は上下、前後の運動に関係しています。三半規管と前庭が病的に侵されると、立つことも歩くこともできず、めまいが起こります。

 三半規管と前庭が強く刺激された例が乗り物酔い、そして地震酔いであり、この平衡器官は呼吸や循環器をつかさどる自律神経系とも連絡しているために、気分が悪くなったり、冷や汗、吐き気などの症状が出てくるのです。

 不安感なども、地震酔いの原因です。乗り物酔いをする人がバスの中のにおいや、たばこなど苦手なにおいがすると酔いやすくなるのと同じで、「また地震が起こるかも」、「親戚、家族は大丈夫だろうか」といった不安感が、余震による酔いを増幅させていると考えられます。

 地震酔いが苦しい人は、深呼吸をし、冷たい水や温かいお茶を飲むなど、リラックスできる工夫をしてみて下さい。

 軽い症状の場合は、まず、深呼吸をしてみて下さい。目を開けた状態で、ゆっくり深く息を吸い、息を吐き出します。次に、目を閉じた状態で、ゆっくり深く息を吸い、息を吐き出します。最後に、冷たい水や温かいお茶を飲みます。

 睡眠不足も、地震酔いの要因になります。不安でなかなか寝付けない、寒くて眠れない場合もあるかと思います。暖房器具が使えない場合は、ペットボトルにお湯を入れて簡易カイロの代わりにするのも一案です。

 目からの情報と体で感じる揺れ情報のズレが、地震酔いを引き起こすこともあります。読書や携帯メール、携帯ゲーム機のプレイなど、眼球の動きを細かくするような行為をしている時に起きやすいので、しばらく目を使うのはやめて、なるべく遠くの景色、できればあまり変化のない遠くの景色をぼんやり眺めるようにしましょう。歩いたり、軽いストレッチをするのも効きます。

 子供などでは、極度の緊張から地震酔いになることもあります。そんな時は、腹を圧迫してはいけないので、体を締め付ける服装は避けます。ベルトやネクタイを外し、衣服を緩め、靴を脱ぎ、体をリラックスさせて下さい。

 乗り物での移動中や外出中に地震酔いになってしまった時には、地震酔いに効くツボというものがあります。手の甲を上にして、親指と人差し指の付け根の間にある「合谷」がツボですので、もう片方の手の親指と人差し指で挟むようにして、少し痛さを感じるくらい押してみましょう。

 また、空腹すぎても、地震酔いが起こることもあります。そんな時は、梅干しを食べたり、紅ショウガをかじったり、きつめのミントガムやペパーミントガムをかんでいると治るケースがあります。

 上記のすべての方法が効果を発揮しない際は、酔い止めの薬を飲みます。この内服薬は抗ヒスタミン剤が代表的で、眠気やだるさの副作用が伴うために、これに無水カフェインを含ませている薬もあります。内服液になっているものや、水なしで内服できるチュアブルタイプの薬もあります。

 2011年3月17日(水)

 

■災害保険金の全額支払いを決定 生保・損保大手

 生命保険と損害保険の大手各社は、東日本大震災で被災した保険契約者には「地震や津波の際には保険金などを支払わないこともある」という条件があっても、保険金を全額支払うことにしました。

 対象は、生保が死亡保険などの特約でついている「災害入院給付金」や、災害時に死亡保険金に上乗せされる保険金、損保が医療保険の「傷害入院保険金」など。

 これらの保険では、地震や噴火、津波などで自然災害の被災者が想定数を超えた場合は「保険金や給付金を減額したり、支払わないことがある」との条項がありますが、東日本大震災では被害は甚大だが契約者が被災した件数は想定内と判断し、この条項を適用せずにすべての対象者に全額支払います。ただし、同様の条項がある傷害保険は、この条項が適用されます。

 生保大手は1995年の阪神大震災でも同じ措置を取り、被災した契約者に全額支払いました。生保協会によると、小規模な地震などでも保険金を減額したり、支払わなかったりしたケースはないといいます。

 保険金の支払い手続きも簡素化します。死亡保険の場合、契約者が保険金を請求してから保険会社が支払うまで通常2~3日かかるといいます。だが、被災した契約者は保険証券や届け出印を紛失している可能性もあり、免許証などがあれば原則、支払うように手続きを改める方針。これにより、支払いまでの期間を1日程度に縮めることを目指すといいます。

 全額支払いを決めたのは生命保険協会加盟のうち、同じような保険を扱っている生保45社。損保では、東京海上日動火災保険、損保ジャパン、三井住友海上火災保険、日本興亜損害保険など。

 一方、日本損害保険協会に加盟する損害保険26社は14日から、被災状況を早期に把握するための共同調査を始めています。航空写真などを使って建物が全損している地域を確定し、被害が激しい地域から優先して保険金を支払うように情報を共有する狙い。

 2011年3月16日(水)

 

■放射線医学総合研究所が注意喚起 「うがい薬を飲んではいけません」

 大量の放射性ヨウ素を体内に取り込んだ場合の健康被害を防ぐ内服薬「安定ヨウ素剤」の代わりに、うがい薬などの市販品を飲むのは効果がないばかりか、健康を害する恐れもあるとして、放射線医学総合研究所(千葉市)は14日、注意を促す見解を出しました。

 同研究所によると、「安定ヨウ素剤の代わりに、ヨウ素を含むうがい薬やのどスプレー、ヨードチンキ、消毒用せっけん、ルゴール液、ワカメなど海藻類の摂取が有効」などという情報がインターネットなどで流れていますが、こうした市販品の効果は不明だったり、不十分だったりし、根拠のない情報といいます。

 特に、うがい薬などの市販品は口から飲むことを想定した内服薬でなく、飲むと体に有害な作用を及ぼす恐れのある物質も含むため、「安定ヨウ素剤の代わりに飲むのは絶対にやめて」と呼び掛けました。

 たとえ、うがい薬などを飲んだとしても、ヨウ素含有量が少ないため放射性ヨウ素が甲状腺に集まるのを抑制する効果はありません。ワカメなどの海藻類にもヨウ素が含まれていますが、これらも十分な効果はありません。

 なお、安定ヨウ素剤は副作用もあるため、専門家が必要と判断した場合に限り、指定された避難所などで医師の指示に従い服用します。

 2011年3月15日(火)

 

■被曝対策 マスクや帽子必携、窓閉め、換気扇も制限

 炉心溶融が起きた東京電力福島第1原発の周辺で、被曝者が出ました。放射性物質から身を守るための注意点は、以下となります。

 まず必要なのは、発生源からなるべく早く離れること。避難の際は、放射性物質を吸い込むのを防ぐため、ぬれたタオルやマスクで口や鼻をふさぎ、肌は露出せず気密性が高いカッパなどを着用し、帽子もかぶります。風下を避け、雨は濃度が高まる恐れがあるため触れるのは厳禁です。

 避難先には、放射性物質を通しにくいコンクリート製建物が望まれます。外から室内に入る際は、汚染された心配がある衣服を戸外で脱ぎ、ビニール袋に入れて口を縛ります。水場があれば全身を洗って除染します。すでに被曝した場合にも有効な対策です。頭髪は念入りに洗いたい部位ながら、爪を立てたりして皮膚を傷付けると逆効果です。

 室内に入った後は窓を閉めて、不要な外出は避け、外気を取り込むエアコンや換気扇も使わないことです。

 発生源周辺の農作物は放射性物質が付着している可能性があり、口にしないよう注意が必要。周辺の水も使用してはいけません。

 1986年の旧ソ連・チェルノブイリ原発事故では、約1週間で日本に放射性物質が届きました。放射性物質は拡散しやすく、発生源から離れていても油断はできません。

 放射性物質の一つであるヨウ素は、体内に入ると甲状腺に集まりやすく、特に子供では甲状腺がんの原因になります。自治体が備蓄するヨウ素剤を事前に飲めば発症をある程度防げますが、副作用があるため専門家の指示に従って服用します。放射性物質の一つであるセシウムは、白血病などを引き起こします。

 放射性物質による健康影響が生じるのは、遺伝子などが傷付けられてしまうため。被曝後、数週間以内に出る急性の症状と、数カ月から数年以上たってから出る症状があります。

 2~3週間以内に出る症状は免疫力の低下や貧血、出血など。骨にある骨髄が被曝でダメージを受け、白血球や赤血球などを作る機能が損なわれるため、こうした症状が出ます。免疫力が低下すると、感染症にかかりやすくなり、腸管や脳が障害を受けることもあります。

 被曝後すぐに症状が出なくても、数カ月から数年以上たってから、白血病や甲状腺がんなどを発症することもあります。妊娠から間もない妊婦が放射線を多く浴びると、胎児に奇形などが生じる危険性もあります。

 被曝には、体の外から被曝する外部被曝と、放射性物質を吸い込み、体の内側から被曝する内部被曝があります。内部被曝の場合、放射性物質の排出を促す薬を服用するなどの対策が必要になります。

 被曝したかどうか不安な場合は、病院の放射線科などで体表の放射線量を調べてもらえます。

 2011年3月14日(月)

 

■首凝りと上手に付き合う 首を後方に反らす休憩が大切

 肩凝りや首凝り(首痛)に悩む日本人は大勢います。ところが、内臓疾患に比べると軽視されがち。首凝りに対する誤解がある中、「頸筋疲労は、めまいや頭痛、うつ症状を引き起こす」と専門家は警鐘を鳴らしています。

 「首は脳の一部で、心身の健康をコントロールする要所」と力説するのは、首が原因の体調不良や、うつ症状と長年向き合ってきた東京脳神経センター(東京都港区)理事長の松井孝嘉医師。現代人に首凝りが流行する背景に、長時間におよぶ「うつむき姿勢」があると指摘しています。

 仕事中、パソコン画面と対座し、行き帰りの電車の中で携帯メールを送ったり、本を読んだりと、一日のうち、頭が前に突き出る姿勢になっている時間は多いもの。「首の異常は、病気を起こさないというのが医学の常識だった。しかし、これまで原因不明とされてきた病気の原因が首の筋肉にあることがわかってきた。首の疲労を解消することで、増加する頸性うつの多くが治ります」。

 松井医師によると、首痛予防には仕事中も首休憩を挟むなどの小さな習慣の実践が大切といいます。首休憩は後頭部に両手を当てて、首を後方に反らす運動。

 医薬品の研究・開発のムンディファーマ(東京都港区)が行った「痛み」に関する調査で、成人の4・4人に1人が何らかの慢性的な痛みを抱え、そのうちの約7割が適切に緩和されていないことがわかりました。言い換えれば、現代人は痛みに関して周囲からの理解が得られていないことになります。

 日本人の首は欧米人に比べ、豆腐のように弱いといわれます。年代的に中高年の働き盛りは最も危険をはらみ、突然、勤続疲労を起こすことも珍しくありません。

 「重さ約6キロの頭部は、祭りの御輿(みこし)に例えられる。担ぎ手である頸筋、頸椎が元気でそろっていれば問題ないが、けがをすると残りで支えなければならない。首の筋肉に異常を感じたら早めの処置が大事。首のケアは若々しい人生を維持するカギになる」と松井医師。

 一見、太く頑強そうに見える首も、恐ろしくデリケートな部位であることを知っておきたいもの。仕事中にも後頭部に両手を当てて、首を後方に反らす首休憩を挟むなど小さないたわりが大切です。

 2011年3月13日(日)

 

■被災者、保険証なしで受診可能 厚労省、自治体に通知

 厚生労働省は、東日本大震災の被災者が医療機関で健康保険証を提示しなくても、氏名や生年月日などを申告すれば保険扱いで治療を受けられるよう、12日までに都道府県などに通知しました。

 被災して保険証を紛失したり、家に残して避難したりした人でも受診できるよう配慮しました。

 また、市町村の判断で、市町村運営の国民健康保険に加入する自営業者らに、窓口負担金と保険料の減免や納付猶予を認めるよう指示しました。

 厚生労働省は、透析医療の確保も都道府県に通知。日本透析医会は人工透析をしている医療機関の状況をホームページ上で公開しています。同会のホームページの災害情報ネットワークから、登録されている医療機関について、(1)透析ができるか(2)医療機関の被災の有無(3)透析室の貸し出し可能病床(4)透析受け入れ可能状況(5)不足物品や連絡事項――などを見ることができます。

 2011年3月12日(土)

 

■24時間対応の訪問サービスを新設 介護保険法改正案

 2012年度の介護保険制度改正に向けて政府は11日、介護保険関連法改正案を閣議決定しました。24時間対応の新しい訪問サービスを創設するなど、利用者が住み慣れた家で暮らせることを支援するのが柱。保険料上昇を抑えるため、都道府県の基金を取り崩せることも盛り込みました。

 24時間対応のサービスは、重度でも自宅で生活できるよう、看護師やヘルパーが定期巡回するほか、夜間など緊急時の通報にはオペレーターが対応します。原則として医師や看護師にしか認められていないたんの吸引や経管栄養は、研修を受けた介護職員が実施できるようにします。

 病院で介護保険が適用される介護型の療養病床の廃止期限は、当初予定していた2011年度末から6年延長し、17年度末としました。また、特別養護老人ホームの設置を社会医療法人にも認めることを盛り込みました。

 65歳以上の月額保険料は現在、全国平均で4160円。サービス利用の急増で保険料は膨らみますが、基金利用で月5000円未満を目指します。

 政府は今後、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)などでの議論を経て、改正法施行と併せて介護報酬を改定します。改正法は来年4月の施行予定。 

 2011年3月11日(金)

 

■血液検査で9種類の肝臓疾患を診断可能に 慶応大などの研究グループ

 1滴の血液からB型肝炎、C型肝炎、慢性肝炎、肝細胞がんなど9種類の肝臓の病気を同時に判定できる診断法を、慶応大などのグループが開発しました。30分程度で一斉にわかるといいます。

 肝臓の病気は症状が表に出るまで時間がかかるため、血液検査で早期発見できれば、治療にもつなげられます。今後2~3年での実用化を目指すといいます。

 人間の血液内には、細胞の活動により生まれる「代謝物」が約3000種類あります。慶応大先端生命科学研究所の曽我朋義教授(分析化学)らは、病気ごとに、この代謝物の種類、濃度が異なることに着目。代謝物の違いなどを測定できる装置を開発しました。

 その上で、東大と山形大などの協力を得て、肝臓の病気を持つ患者ら237人の血液に特徴がないか調べました。この結果、肝臓の病気には、5~10種類程度の特定の代謝物(酸化ストレスマーカー)があることがわかりました。また、病気ごとに濃度も違いました。これらの特徴を比較することで、まだ発症していないB型とC型肝炎、B型とC型の慢性肝炎、薬剤性肝炎、C型肝硬変、C型肝細胞がん、単純性脂肪肝、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の9種類の違いをほぼ正しく見分けることに成功しました。

 1回の測定に必要な血液量は0・1ミリリットル程度で、費用も2万~3万円ですむといいます。すでに特許を申請し、食品会社と契約、製薬企業とも交渉中。グループの研究成果は近く、欧州肝臓学会誌電子版に発表されます。

 B型、C型肝炎の感染者は、国内に300万人以上おり、曽我さんは「この検査法なら、ウイルス感染の有無だけでなく、病名もわかる。早期診断が可能になることで、多くの命が救えるはずだ」と話しています。

 現在、肝臓の病気は、複数の検査を組み合わせて診断しています。ウイルスの有無や画像診断のほか、肝臓の組織をとって調べる方法などです。

 2011年3月10日(木)

 

■乳がんリンパ全切除の有効性疑問 一部切除と生存率変わらず

 早期の乳がん患者の外科手術で、転移を防ぐために脇の下のリンパ節全体を切除する「郭清(かくせい)」をしても、リンパ節の一部しか切除しなかった場合と生存率に変わりはないとする米国の多施設臨床試験の結果が、9日付米医学会誌に発表されました。

 リンパ節郭清はがんの再発を防ぐために広く行われていますが、腕のむくみが出るリンパ浮腫などの合併症が起きやすいとされています。リンパ節のごく一部を採取して転移の状況を確認し、リンパ節切除を最小限に抑える「センチネルリンパ節生体組織検査(生検)」の普及に拍車がかかりそうです。

 米国の研究グループは、「(郭清をやめる)新手法を取り入れることによって、術後の生活を改善できる」と指摘しています。

 臨床試験には、100カ所以上の医療機関が参加。1999~2004年に、手術前に脇の下のセンチネルリンパ節を検査して転移が見付かった早期がんの患者を対象に、リンパ節全体の郭清をした場合と、転移が見付かった一部だけを取り除いた場合の生存率を比較しました。

 転移を防ぐための抗がん剤や放射線治療なども続けた結果、5年後の生存率は全切除した445人は91・8パーセント、一部切除の446人は92・5パーセントと、ほぼ同じでした。

 一方、合併症は全切除では70パーセントで起きましたが、一部切除では25パーセントで、大きな差が出ました。

 乳がんは、乳腺組織からこぼれ落ちたがん細胞がリンパや血液の流れに乗って肺や肝臓、骨などに広がります。乳房に近いリンパ節にがんが転移すると、全身に広がる可能性が高いとみられるため、手術では脇の下のリンパ節と乳房を切除するのが一般的。

 国立がん研究センターのホームページ「がん情報サービス」によると、リンパ節郭清は再発予防や再発の可能性を予測して手術後に薬物療法が必要かどうかを検討する意味で重要だが、リンパの流れが悪くなって腕にむくみが出るリンパ浮腫が10~20パーセント程度出るなど後遺症も起こり得るとされます。

 こうした後遺症に苦しむ患者は多く、負担を軽減しようというのがセンチネルリンパ節生検。センチネルは「見張り番」という意味で、こぼれ落ちたがん細胞が最初に流れ着くリンパ節を指します。多くは脇の下にあり、放射性同位元素や色素を注射して見付けます。ここに転移がなければ、その先のリンパ節まで転移していない可能性が高いので、リンパ節郭清は行わない方法です。

 2011年3月9日(水)

 

■永久歯の欠損している子、1割 かみ合わせ異常も

 28本の永久歯のうち、1~数本が何らかの原因により作られず、欠損している「先天欠如」の子供が10人に1人の割合でいることが、日本小児歯科学会の初の全国調査で5日、わかりました。

 生えそろわないと、かみ合わせの異常や歯周病などさまざまな悪影響が出る可能性があります。担当した山崎要一・鹿児島大教授(小児歯科学)は、「かなり多い。治療の多くは自費診療が必要な上、治療ができる専門の歯科医師の数も少なく、大きな問題だ」と話しています。

 調査には7大学の小児歯科と協力医が参加し、2007~08年に、先天欠如以外の理由で小児歯科を受診した12都道府県の7歳以上の子供1万5544人のX線画像を分析。その結果、1本以上の永久歯の先天欠如は、1568人で見付かりました。全体では10・1パーセント、男子では9・1パーセント、女子では11・0パーセントが先天欠如でした。

 上あごだけに欠損がある子供は2・5パーセント、下あごだけは5・7パーセント、両方は1・9パーセント。下あごで、中央から左右に向かって5本目にある「第2小臼歯」がないケースが最多で、2本目の「側切歯」がない子供も多くいました。

 7歳の段階でエックス線写真でも、永久歯の芽である歯胚(しはい)が確認されないと、約99パーセントの確率で欠如するとされます。多くの場合、乳歯は普通に生えています。

 永久歯の先天欠如は原因不明のため、予防はできません。歯の位置や本数などによって治療法は異なり、かみ合わせを正常にするため歯並びを整えたり、インプラント(人工歯根)治療をしたりするといったかなり専門的な治療が必要になるとされます。

 山崎教授は、「学会のホームページで紹介する専門医か矯正歯科医に相談してほしい」と話しています。

 永久歯の先天欠如は、親知らずを除き、上下14本ずつ計28本あるべき永久歯もしくは永久歯の芽(歯胚)が作られず、生えてこない状態。一部の先天欠如は遺伝子の異常によりますが、大部分は原因不明。1~2本が欠けるケースが多いが、遺伝が原因の場合は6本以上生えないこともあります。あごの骨の成長が不十分になったり、関節に負担がかかったりします。

 2011年3月8日(火)

 

■子宮頸がんワクチン不足で高2も助成対象に 厚労省

 子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの供給が全国的に不足しているとして、厚生労働省は7日、接種費用の助成対象年齢の上限である高1の女性は、3月末までに接種を受けられず高2になってから接種を始めても、当面は助成の対象にすることを決めました。

 このHPVワクチンは10歳以上の女性が対象で、初回、1カ月後、6カ月後と計3回の接種が必要。厚労省は自治体に対して、在庫が十分にない場合は、初回接種の人よりも2、3回目の人を優先するよう要請しました。

 供給不足の原因は、昨年11月に国の費用助成が始まったことによる需要急増とみられます。製造販売するグラクソ・スミスクライン社によると、1~2月の注文数は、2009年12月の発売開始から今年1月までに出荷した約100万回分に迫る勢いとなり、2月末から在庫が窮迫し始めました。

 ただ年間の必要量400万回分は満たせる見通しで、7月ごろには安定供給が可能になりそうだといいます。

 市区町村が主体となってHPVワクチンの接種と公費補助をする場合、国が半額負担する事業は11年度末までの予定。対象は原則として中1~高1の女性で、ほぼすべての自治体が接種を始めたり、始める準備を進めています。

 子宮頸がんは、年間約8500人が発症し、約2500人が死亡する女性特有のがん。中1~高1でワクチン接種すれば、50~70パーセントの確率で感染が防げるとされています。

 2011年3月7日(月)

 

■子宮頸がんのワクチン品薄 公費助成開始で注文急増

 子宮頸がんを予防するヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンが品薄になり、予約してもすぐ打てない状態に陥っています。

 自治体の公費助成が始まり希望者が増えているためで、メーカーは3日、関係機関に「予測を上回る注文ですべての要望にお応えできない状況」と通知を出しました。7月ごろまで厳しい状態が続きそうだといいます。

 HPVワクチンは、グラクソ・スミスクライン社が2009年12月に発売。10歳以上の女性が対象で、半年以内に計3回の接種が必要にな ります。

 国は昨年11月、HPVワクチンについて、来年度までの期限付きで、接種費用を助成する全自治体に事業費の半分を公費助成するための予算をつけました。助成の対象は原則として中1~高1の女子ですが、自治体の判断で小学6年での実施も認めています。

 北海道釧路市は4日、HPVワクチンの接種を実施している同市内の医療機関27カ所に対して、新規予約受け付けを中止するよう要請しました。同市は病院と連携し、接種の周知に力を入れていただけに、担当者は困惑顔。

 グラクソ・スミスクライン社は公費で接種する人を100万人と想定し、1回1万6000円前後の自己負担で打ちたいという人の分も含めて約400万回分のワクチンを確保しました。しかし、注文が予想以上に多く、製造工場のあるベルギーから定期的に輸送される量が、需要に追い付かない事態になりました。同社広報は、「7月にはこの状態は改善できる」と話しています。

 08年に発売された子供の細菌性髄膜炎を防ぐインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチンでも、品薄が問題化。予約しても「半年待ち」、「妊娠がわかった段階で予約」という事態もありました。昨秋にようやく供給量が安定してきました。

 2011年3月6日(日)

 

■ワクチン接種後に乳児死亡 川崎市で全国4例目が発生

 川崎市は4日、DPT(ジフテリア、百日ぜき、破傷風の3種混合)と、細菌性髄膜炎を予防するヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの計3種類の予防接種を受けた同市内に住む生後3カ月の女児が死亡したと発表しました。

 乳幼児の死亡例は、兵庫県宝塚、西宮の両市、京都市に続き全国で4例目。

 厚生労働省は同日、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンなどの接種後に乳児らが死亡したのを受け、公費での接種費用補助をしているこの2種類のワクチンの接種を当面、見合わせることを決め、自治体や販売業者に伝えました。

 厚労省によると、4例ともワクチンの接種と死亡との因果関係は不明。週明けにも専門家による調査会などを開いて、接種の再開を検討します。

 川崎市健康福祉局によると、兵庫県で幼児2人が死亡したという報道を見た女児の母親から、同日午後2時50分ごろ、市内保健所に通報がありました。

 女児は2月17日に市内の民間診療所で接種を受け、3日後の20日午前8時ごろ、呼吸停止状態になっているのを母親が発見。市内の民間病院に救急搬送後、死亡が確認されました。女児に基礎疾患はなく、健康だったといいます。同健康福祉局は、「予防接種との因果関係は不明」としています。

 川崎市は2011年度から、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌の両ワクチンなどを公費で全額負担する予定でしたが、「国の指示に従って当面見合わせる」としています。今回のヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチンの接種は任意でした。

 死亡した乳幼児4人は、小児用肺炎球菌ワクチンのプレベナー(販売名)の摂取を受けていました。このうち3人が、ヒブワクチンのアクトヒブ(同)との同時接種。もう1人は、DPTとの同時接種でした。プレベナーを製造・販売するファイザー(東京都渋谷区)のスペシャリティ・ケア事業広報部は、「詳細情報の収集を進めている」と話しています。

 野々山恵章・防衛医大教授(小児科)は、「米国ではヒブワクチンは約20年前、肺炎球菌ワクチンも約10年前から打っており、同時接種もしていて問題は起きていない。今回、死亡した子供の死因について検証は必要だが、不用意にワクチンを怖がって、やっと日本に導入されたワクチンが打たれなくならないようにしてほしい」といっています。

 2011年3月5日(土)

 

■鳥取でアワビに国内初の感染症 県の施設、1万個以上を焼却

 鳥取県は4日、県の水産施設の水槽で、クロアワビが「キセノハリオチス感染症」にかかったと発表しました。国内で初めての感染例。

 約6600個体が死に、約1万3000個体を焼却処分しました。

 県によると、施設内の水槽7基のうち1基で昨年9月からクロアワビの突然死が相次ぎました。今年1月に水産総合研究センター養殖研究所に検査を依頼し、今月2日に感染を確認し、3日に同じ水槽で飼育されていた個体を焼却処分しました。県内で、アワビを生産する施設はこの1カ所のみ。

 残り6基の水槽で飼育されていた個体についても、引き続き検査をします。

 農林水産省でアワビ類の主要生産県に聞き取りを行ったところ、アワビに死亡率増加などのの異常は見られないとのことです。同省は、魚病の専門家の意見を聴取しつつ、キセノハリオチス感染症の発生状況の調査結果を解析し、感染拡大防止のために必要な対策の確立、実施を図るとしています。

 キセノハリオチス感染症とは、クロアワビ、エゾアワビなどのアワビ類に摂食障害や衰弱、死亡を起こす病気で、OIE(国際獣疫事務局)のリスト疾病に指定されています。1980年代から米国カリフォルニア州周辺、メキシコで発生し、被害がありました。その後、ヨ-ロッパ諸国のフランス、アイルランド、アイスランドやチリで発生しています。

 キセノハリオチス感染症の病原体は、アワビ類以外の魚介類に感染せず、人間へも感染しません。鳥取県によると、感染したアワビを生で食べても、健康被害はありません。

 2011年3月4日(金)

 

■無保険で受診遅れ、71人死亡 民医連は「制度崩壊」と指摘

 国民健康保険(国保)の保険料を滞納して「無保険」状態になったり、保険証は持っていても医療費の自己負担分を払えなかったりして受診が遅れ亡くなった人が昨年、24都道府県で71人に上り、前年の47人の約1・5倍に増えたことが2日、全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査でわかりました。

 失業者や非正規労働者が多く、民医連は「厳しい雇用状況が続く中、払いたくても払えない人が急増しており、もはや国民皆保険制度は崩壊している」と指摘。調査対象は民医連加盟の病院や診療所計1767施設で、「背後にはもっと多くの犠牲者がいる可能性がある」としています。

 71人のうち、保険料滞納は42人。内訳は全く保険がない「無保険」が24人、滞納のため有効期間が短くなる「短期保険証」が10人、さらに滞納が続き保険証を返して医療費全額をいったん払わなければならない「資格証明書」が8人でした。

 都道府県別では、長野県、兵庫県、沖縄県が4人で最多で、東京都、神奈川県、石川県が3人。職業別では、無職26人、非正規10人、自営業3人、ホームレス2人、年金生活者1人。年齢別では、60歳代18人、50歳代11人、40歳代7人、70歳代4人、80歳代と30歳代が各1人。性別では、男性8対女性2。

 民医連では国保についての緊急提言として、 短期保険証、資格証明書の発行は直ちに中止し、すべての人に正規の保険証を交付すること、 窓口一部負担金を軽減し、少なくとも3割から2割へ軽減すること、高齢者と子供の医療費は無料にすること、「無料低額診療」事業の積極的活用と拡大を図ることなどを挙げています。

 2011年3月3日(木)

 

■大衆薬の通信販売規制、経過措置を延長へ 厚労省

 一般用医薬品(大衆薬)のインターネットや電話などによる通信販売規制について、厚生労働省は1日、薬局のない離島に住む人や漢方薬など特定の薬を継続利用していた人に限って今年5月末まで認めていた経過措置を、さらに2年程度延長する方向で検討に入りました。

 経過措置を延長する場合には、新たな改正省令が必要となり、パブリックコメントを募集することになるため、厚労省は月内にも方針を示すとしています。

 利用者が多いことから、延長は混乱を避けるためとみられます。インターネットを含めた通信販売全体の規制緩和には、否定的な姿勢を崩していません。

 厚労省は2009年6月、改正薬事法を施行。医師の処方箋がなくても買える大衆薬を副作用の危険度別に3分類し、H2ブロッカー(胃薬)や風邪薬など第1、2類は、原則的に薬剤師が店頭で対面販売することを定めました。

 しかし、通販で買えないと健康を保てない人もいるとして、改正省令により、離島に居住する人や調合した漢方薬など特定の薬を継続して使う人には、2年に限り、郵送や通販を認めていました。

 大衆薬のネット販売については、規制緩和を求める動きがあります。行政刷新会議で規制や制度改革を検討している分科会は、「販売履歴の管理や、購入量の制限など一定のルールを設けてネットで販売できるようにすべきだ」との案を示しました。3月末までに、厚労省と調整した上で結論を得るとしている。

 2011年3月2日(水)

 

■認知症患者への人工栄養補給、医師の9割「判断困難」

 口で食べられない認知症末期患者の高齢者らに対し、腹部に開けた穴から管で胃に栄養分を送る「胃ろう」など人工的な栄養・水分補給を行うかどうか判断する際、約9割の医師が難しいと感じていることが27日、日本老年医学会の調査でわかりました。

 調査は昨年10~11月、同学会の医師約4500人を対象に郵送で実施。1554人から回答を得ました。

 日本の医療現場では、人工的な栄養・水分補給法(ANH)として、胃ろうのほか、高カロリー輸液を点滴する「中心静脈栄養法」や、鼻から通した管で胃に栄養分を送る方法などが実施されていて、胃ろうでは年単位で生き続けることもあります。

 調査では、自分の意思を明確に伝えられない認知症末期の患者が口から食べたり、飲んだりするのが難しくなった際に、人工的補給を行うかどうか判断した経験があると答えた1058人のうち、16パーセントが「非常に大きな困難を感じた」、46パーセントが「ある程度の困難を感じた」と回答。27パーセントが「少し困った」としており、約9割が抵抗を感じていました。

 深く悩んだり、困ったりした理由(複数回答)は、4分の3が「本人の意思が不明」、半数以上が「家族の意思が不統一」と回答、患者本人の意向がわからない中で対応に苦しむ医師が多く、終末医療の在り方を巡る医療現場の困惑が浮かび上がりました。

 補給を控えた場合の「倫理的問題」を指摘する人が半数、刑事罰に問われるなど「法的問題」との回答も2割に達し、延命重視を伝統とする日本の医療文化を色濃く反映する結果となりました。

 いったん実施した補給を中止した経験のある医師は44パーセント。理由として、うち68パーセントが「下痢や肺炎などの医学的理由」を挙げた一方、「患者家族の強い要望」が43パーセント、「患者の苦痛を長引かせると判断」が23パーセント、「患者の尊厳を侵害する」が14パーセントでした。

 補給を中止した後は、基本的には、可能な範囲で口から水分補給をしたり、口を湿らせたり、苦痛・苦しみを和らげながら「自然な経過」でみとることになります。

 日本の医療現場では延命重視の伝統が根強い一方、回復の見込みのない末期患者への人工的補給には疑問の声も少なくありません。日本老年医学会は「終末医療にも延命重視から自然なみとりまで多様な選択肢が必要」とし、今回の調査結果などを基に、認知症末期の高齢者について、人工的補給の導入に当たって患者・家族らに説明すべき内容や手続き、導入後に中断・中止を判断する手続きなどについて指針を作成する方針です。

 2011年3月1日(火)

 

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