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■健康保険証や年金手帳などを集約 共通番号制度、2015年から
国民1人ひとりに番号を割り当て、社会保障や税金についての情報を一元的に管理する共通番号制度について、政府の実務検討会は28日、2015年(平成27年)1月から番号の利用を開始するなどとした基本方針案を取りまとめました。
座長を務める与謝野馨・経済財政担当相は、「長年の、この社会保障制度の中での課題が今日、歴史的な第一歩を踏み出して、秋に向けてきちんきちんと一歩一歩進んでいく」と述べました。
基本方針案では、健康保険証や介護保険証、年金手帳の機能を集約したICカードを新たに配布。一枚のカードで医療サービスなどを受けられるようにすると同時に、国が所得や納税、保険料の納入を把握できるようにします。
個人に割り当てる番号は、総務省が所管する住民基本台帳ネットワーク(住基ネット)を活用。2014年(平成26年)6月をめどに番号を配り、2015年1月から利用を開始するとしています。法人にも割り当てて、国税庁が管理します。
将来的には「歳入庁」を新設し、一括で扱う方針。個人情報保護の観点から、2014年1月までに監視機能を持つ第三者機関を設立することも検討します。
ICカードの利用範囲は当面、医療、介護、年金、福祉などの社会保障分野と国と地方の税務分野とし、年金を含めたさまざまな収入や納税の記録、児童扶養手当などの給付状況、医療や介護費用の支払い記録などを一括管理します。
行政機関ごとにバラバラに把握していた利用者の情報がつながり、手当の申請や税金の確定申告で提出書類を省略できます。ネット上に個人専用ページ「マイ・ポータル」を設け、自分の情報や利用できる福祉サービスを一覧できるようにもします。
政府は6月に共通番号制度の大綱をまとめ、秋の臨時国会に法案を提出する方針ですが、参議院の過半数を野党が占める「ねじれ国会」の中で法案が成立するかは不透明です。
2011年1月31日(月)
■インフル流行拡大、3週連続で倍増 ウイルスは新型が7割
国立感染症研究所は28日、1月17~23日の1週間に全国約5000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は1機関当たり26・41人となり、前週の12・09人の2倍以上に増加したと発表しました。患者数は3週連続で倍増し、全国的に警報発令レベルの30に届く勢いです。
最新の週の推計患者数は、全国で149万人。5~9歳が全体の18・2パーセントを占め、20歳代が15・5パーセント、10~14歳が13・5パーセント。14歳以下の増加が多かったといいます。
1月16日までの5週間に検出されたウイルスは新型が74パーセントで、季節性のA香港型の23パーセントを大きく上回っています。
全都道府県で前週より増加。九州が多くて全県で警報レベルの30を超え、宮崎県64・49人(前週24・08人)、沖縄県63・17人(同55・26人)、福岡県48・97人(24・81人)、佐賀県48・44人(27・87人)、長崎県47・29人(20・43人)と続き、大分県45・00人、鹿児島県39・48人、熊本県37・31人の順となっています。
群馬県36・41人(前週16・42人)、千葉県36・38人(同17・56人)、埼玉県34・29人(14・41人)など関東も多く、13県で警報レベルを上回りました。注意報発令レベルの10を下回ったのは、徳島県9・18人と香川県9・49人の2県だけ。
感染研の感染症情報センターの安井良則主任研究官は、「まだまだ油断している人もおり感染の広がりが心配だ。新型インフルが発生した昨シーズンのピーク(39・66人)を超えるのではないか」とみています。過去10年で最も流行が大きかったのは、2004~05年のシーズンの50・07人でした。
感染研は、改めて手洗いの徹底などの予防策を呼び掛けています。
2011年1月30日(日)
■年収が高くなるほどスポーツに積極的 笹川スポーツ財団調べ
笹川スポーツ財団が発表した「スポーツライフデータ2010」で、1910万人が週2回以上、1回30分以上、運動強度「ややきつい」以上のスポーツライフを送っているという実態が浮かび上がりました。
ウォーキングやジョギング・ランニングが実施される一方で、サッカー以外のスポーツ系の種目の実施率は伸びていません。スポーツ観戦では、プロ野球、プロゴルフに加えて、新たにフィギュアスケートが人気となり、特に女性の観戦率が高くなっています。
年収とスポーツ実施状況の関係をみると、年収が高い人ほど体を動かすことに積極的で、実施種目にも収入格差があるという実態が浮かび上がりました。
今回の調査は昨年5~6月、全国2000人の成人を対象に実施されました。
「過去1年間まったく運動しなかった」人は、年収100万円未満(全体の30・3パーセント)の層では25・7パーセントだったのに対し、600万円以上(同8・1パーセント)だと13・0パーセントと半減。逆に、「週2回以上、1回30分以上ややきつい運動をする」人は、600万円以上では21・1パーセントで、100万円未満の18・3パーセントを上回りました。
また、ゴルフのラウンドに出た人は、100万円未満の層は1・48パーセント。これが100万円~600万円未満(同43・1パーセント)だと10・9パーセントに上り、600万円以上では26・71パーセントに跳ね上がりました。
同財団は1992年から「スポーツライフ」調査を1年おきに続けていますが、年収の質問事項を入れたのは今回が初めて。2000人のうち370人(同18・5パーセント)が年収については「答えたくない」としたほか、親と同居する学生や専業主婦は世帯収入が多いにもかかわらず「収入なし」と回答した可能性もあるなどの限界はあります。
それでも、調査委員長を務めた海老原修・横浜国立大教授(スポーツ社会学)は、「社会的、経済的なさまざまな格差がいわれる中で、スポーツ行動と収入の一定の相関関係を示せたのではないか」と話しています。
2011年1月29日(土)
■花粉のピークは3~4月上旬 飛散開始は2~3月
環境省は27日、今年のスギ花粉は最も早い鹿児島県で来月上旬ごろから飛び始め、スギやヒノキ花粉の飛散する量は全国的に去年より多くなる見込みだと発表しました。
猛暑だった昨年夏の日照や気温、降水量、昨年11~12月のスギ雄花の調査から、飛散量を予測。気象庁による気温の長期予報を踏まえ、スギやヒノキ花粉の飛散する量は、東海や近畿の一部で飛散量の少なかった昨年に比べて10倍以上になり、関東、北陸、東海、近畿では1カ月以上に渡って飛散量の多い日が続く可能性があるとしました。
ほかの地域における花粉の飛散する量は、東北では一部を除いて2倍から6倍近く、関東では2倍から5倍以上、北陸では6倍から7倍以上、中国では3倍から6倍近く、四国では2倍以上から4倍、九州では一部を除いて2倍から3倍以上と予測されています。
一方、スギ花粉が本格的に飛び始める時期は、最も早い鹿児島県で2月上旬ごろ、このほかの九州・四国・近畿南部・静岡県・関東地方の多くでは2月中旬ごろ、中国地方から近畿地方北部・福島県などでは2月下旬ごろ、長野県・新潟県・宮城県などでは3月上旬ごろ、東北地方北部では3月中旬ごろ、北海道では3月下旬ごろと予測されています。
また、スギやヒノキ花粉の飛ぶ量がピークとなる時期は、九州北部・関東南部・静岡県・山梨県では3月上旬、九州南部・四国・中国・近畿・北陸・東海地方の一部・関東北部では3月中旬、福島県・新潟県・長野県では3月下旬、東北地方の多くでは4月上旬と予測されています。
環境省は、「例年より飛散量が多いと予測される地域では、急激に花粉の飛散が増える場合もありうる。早めにマスクをしたり、たくさん飛んでいる日は布団を外に干したりしないなどの予防対策をしてほしい」と呼び掛けています。
花粉についての情報は、同省の花粉情報サイト(http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/index.html)で順次、公表されます。
2011年1月28日(金)
■ビフィズス菌の作る酢酸がO157感染をガード 理研などが解明
腸内細菌の一種であるビフィズス菌が腸管出血性大腸菌O157による腸の炎症や死亡を防ぐ仕組みを、理化学研究所免疫・アレルギー科学総合研究センターや東京大学の研究グループなどが、マウスで解明しました。27日付の英科学誌ネイチャーで発表します。
ビフィズス菌が作り出す酢酸が、大腸の粘膜を保護していました。予防法の開発などに応用できると期待されます。
体内に菌のいない無菌マウスにO157を感染させると7日以内に死にますが、同センターの大野博司チームリーダーらが人間の腸内にいるビフィズス菌の一種を事前に与えると、O157を感染させても死亡せず、腸の粘膜に炎症も起きませんでした。
別の種類のビフィズス菌だと、死亡までの平均日数が2日延びただけでした。生き延びたマウスは死亡したマウスに比べて、腸内のビフィズス菌が作る酢酸が2倍以上ありました。
酢酸には、腸の粘膜を保護し粘膜の新陳代謝を促す働きがあります。ビフィズス菌は通常、腸内のブドウ糖を原料に酢酸を作りますが、腸内は下部に行くほどブドウ糖が少なくなり、果糖が多くなります。予防効果がみられたビフィズス菌は、果糖を菌内に取り込む遺伝子も持っているため、腸の下部でも酢酸を作って腸の粘膜を保護し、O157の被害を防げたと考えられます。
O157は代表的な食中毒の原因菌の1つで、シガ毒素を産生します。その症状は軽度の下痢症から、シガ毒素による腸粘膜上皮障害が起こると血便と激しい腹痛を伴う出血性大腸炎、さらにシガ毒素が体内に入ると血球や腎尿細管細胞の破壊による溶血性尿毒症症候群、神経細胞障害による急性脳症などに及び、死に至ることもあります。
2011年1月27日(木)
■田辺三菱製薬子会社の工場に立ち入り調査 注射薬の無試験出荷の疑い
田辺三菱製薬(本社・大阪市中央区)の子会社「田辺三菱製薬工場」が医療機関向けの注射薬を品質試験をせずに出荷していた疑いがあるとして、栃木県と厚生労働省は26日、薬事法に基づき、栃木県足利市にある足利工場に立ち入り調査に入りました。
栃木県の薬務課によると、同工場から4種類の注射薬について、出荷時に課されている製品検査項目の一部を実施していなかったという報告が25日夕、同課に寄せられたためといいます。同課職員2人と厚労省の職員2人が26日午前10時から、薬の製造段階で品質試験を実施していたかどうかなど、薬事法に抵触する行為の有無を調べているといいます。
注射薬の無試験出荷の疑いは、社外の弁護士らによる調査チームが指摘し、この調査結果を田辺三菱製薬が厚生労働省に報告していました。2007~10年3月の約3年間に試験担当社員が一部の試験を行わず、出荷の基準に合格したように虚偽の試験結果を記録した行為があったとしています。
今回の問題で、田辺三菱製薬側の社内調査は「試験は行われていた」としていましたが、その後の社外の調査チームの調べに対し、試験担当社員は試験の一部を実施しなかったことを認め、その理由を「手間がかかる」などと話しました。
無試験出荷の疑いが持たれている医療機関向けの注射薬は、「リプル注」「パルクス注」「リメタゾン静注」「パズクロス点滴静注液」の4製品。社外の調査チームは、4製品にそれぞれ行う十数項目の試験のうち、担当社員が試験をしていない疑いが持たれた4項目の試験について調べました。
一つの試験項目は、使うべき備品の数に比べ購入量が少なかったことなどから、「全体の77パーセントは実施していない」と判断。記録では必要な試験は行われたことになっているため、虚偽の試験結果が記入されたとみています。もう一つの試験項目では、機器の使用記録が3年間で1回しかなかったことなどから「試験を実施したとは思えない」としました。
社外の調査チームは、その他の2項目についても、試験をしたとする社員の説明が「不合理で不自然」などとして、「実施しているとは思えない」との見解を示しました。
田辺三菱製薬は、「問題なしとした社内調査は、調査のノウハウなどが不十分だった。隠蔽する趣旨はなかった。今後は原因究明などの調査を続ける」としています。同社によると、健康被害は報告されていないといいます。
リプル、パルクスを開発したLTTバイオファーマ(東京都港区)によると、リプル、パルクスは閉塞性動脈硬化症などの手術や治療に使われる代表的な薬。二つの薬は1988年に販売が開始され、二つとも田辺三菱製薬が製造していますが、パルクスは大正製薬が販売しています。
田辺三菱製薬によると、リプルの年間の売上高は約80億円。後発医薬品の影響で単価も下がってきたものの、LTTバイオファーマは「過去のピーク時には二つの薬で約500億円の市場規模。そのころよりは落ちているが、依然として注射薬の定番」と話しています。
なお、田辺三菱製薬と別の子会社であるバイファ(北海道千歳市)は昨年4月、薬の承認申請で試験データを改ざんしたなどとして、田辺三菱製薬は25日間、バイファは30日間の業務停止処分を受けました。
2011年1月26日(水)
■介護福祉士の資格要件見直し、3年先送り 現場に戸惑い
介護福祉士の質を向上させるための資格要件の見直しが、2012年度の実施を前に3年間先送りされます。人手不足にあえぐ介護現場からの反発を受け、政権交代後に厚生労働省の政務三役が政治主導で決断。朝令暮改の方針転換に、教育現場には不信感が広がっています。
07年の社会福祉士・介護福祉士法改正で、福祉系の大学や専門学校を卒業して介護福祉士になる場合、不要だった国家試験の合格が必須となりました。3年以上の実務経験がある人は国家試験の合格が必要でしたが、さらに600時間の研修が義務付けられることになりました。
この見直しは12年度に実施予定でしたが、今月20日の厚労省の検討会の報告を受け、3年間遅らせます。延期には法改正が必要で、前回の法改正の施行を前に、再び改正する異例の事態です。
07年の改正は、認知症やうつ病など看護制の高い利用者が増加し、それとともに質の高い介護サービスが求められることから、介護福祉士の資格を国家試験合格者に一本化する狙いがありました。
しかし、介護現場から「600時間の研修は負担が重く、資格を目指す職員が減る」と反発を受け、厚労省は研修時間を450時間に短縮する方針。研修内容も大幅に見直します。
教育現場には戸惑いが広がっています。福祉系の4年制大学68校で作る連絡協議会が昨年末にまとめたアンケートでは、国家試験の延期に8割が「影響がある」と答えました。すでに国家試験受験を前提に生徒募集が続けられ、「抗議が予想される」と悲鳴も上がっています。
福祉系高校は、資格要件の見直しに伴い、2年前から研修時間を増やしました。北海道立で唯一の福祉科がある置戸高校の佐々木裕校長は、「介護福祉士の質の向上のためと覚悟を決めて受験準備に取り組んでいるが、ハシゴを外された気持ちだ」と話しています。
介護福祉士の有資格者は約90万人で、日常生活に手助けが必要な高齢者や障害者に対し、心身の状態に応じた介護を行う専門的な知識や技術を持ちます。現在は無資格者でも介護の仕事をすることはできますが、ホームヘルパー1級の廃止が決定しており、いずれは介護福祉士が介護職に就くために最低限必要な資格となる可能性があります。
2011年1月25日(火)
■小児ワクチンの同時接種を推奨 小児科学会、個別接種を改める
日本小児科学会は、一人の子に複数の種類のワクチンを同じ機会に接種する「同時接種」を推奨する見解を発表しました。
国内では従来、1回1種類が原則でしたが、ワクチン接種への公費助成が広がる中、子供を医療機関に連れて行く親の負担などを減らし接種率を上げるには、同時接種の普及が必要と判断しました。
同時接種は、厚生労働省の予防接種実施要領で、医師が特に必要と認めた場合にだけ行えるとされており、慎重な小児科医が少なくありませんでした。
日本小児科学会は、海外では同時接種が一般的で、有効性や副反応の頻度に基本的に影響ないと科学的にわかっており、国内でも一般的な医療行為として広げる必要があると結論付けました。
同時接種を行う際の留意点として、注射の位置を2・5センチ以上空け、注射液を医師の判断で混ぜてはいけないとしています。
国内では、今年度からインフルエンザ菌b型(ヒブ)や肺炎球菌などのワクチンへの公費助成が始まるなど、原則無料で接種が受けられる種類が増えつつあります。乳児期に3回以上接種する種類もあり、個別の接種では子供を医療機関に連れて行く親の経済的、時間的負担が大きくなります。接種を受け終わるのに時間がかかり、その間に感染する危険性もあると指摘されていました。
2011年1月24日(月)
■メタボ、4人に1人が危険性 09年度分の健診結果を厚労省集計
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を調べる特定健康診査(メタボ健診)の結果、2009年度は14・7パーセントが該当したことが厚生労働省の速報集計で明らかになりました。予備群も含めれば27パーセントに上り、4人に1人はメタボの危険性があることになります。
メタボ健診は、08年度から40~74歳を対象に健康保険組合などの保険者に義務付けられました。09年度のメタボ該当者は、前年度の14・4パーセントから微増。09年度の予備群は12・5パーセントで、前年度の12・4パーセントとほとんど変わりませんでした。
メタボ健診は、腹囲に加えて、(1)血圧(2)血糖(3)血中脂質の数値をもとに判定。腹囲が基準を上回り、二つ以上の数値が悪ければメタボ、一つなら予備群になります。危険性が高い人に保健指導を行うことで、糖尿病や高血圧症といった生活習慣病を防ぐ狙いがあります。09年度は約5220万人のメタボ健診対象者のうち、40・5パーセントが受診。前回より1・6ポイント上昇しました。
メタボリックシンドロームは、内臓に脂肪がついている状態に加えて、高血圧、高血糖、高脂血症のうちの二つ以上を合併した状態のこと。内臓脂肪は皮下脂肪と異なり、腸や肝臓など内臓の周囲にたまります。内臓脂肪がつきすぎると、ホルモン分泌のバランスを崩し、放置すると高血圧や高血糖などを引き起こし、心疾患や脳卒中などのリスクを高めるとされます。
2011年1月23日(日)
■痛風に40年ぶり新治療薬 1日1回の服用で尿酸を目標値に
帝人ファーマ(東京都千代田区)は21日、痛風や高尿酸血症の新しい治療薬「フェブリク錠(一般名:フェブキソスタット)」を日本で今春発売すると発表しました。尿酸の形成を阻害する薬としては約40年ぶり。
国内では約1600万人の痛風および高尿酸血症の患者がいると推定され、久々の大型新薬は注目されそうです。
2009年12月に厚生労働省に製造販売の申請をし、21日に承認されました。すでに米国、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、アイルランド、イタリア、ギリシャ、オーストリアの欧米9カ国で先行発売しており、今後、全世界で年間1000億円以上の売上高を目指します。
ここ約40年間は、英グラクソ・スミスクライン社の「ザイロリック錠(一般名:アロプリノール)」が治療薬として主流で、1日に2、3回の服用が必要でした。
帝人ファーマが自社創製した新薬のフェブリク錠は、1日1回の服用で尿酸値を治療目標値まで下げ、長期に維持します。ザイロリック錠と同様、尿酸生成をつかさどる酵素であるキサンチンオキシダーゼ阻害剤ですが、世界初の非プリン型選択的キサンチンオキシダーゼ阻害剤で、ザイロリック錠とは異なる新しい作用機序を有しています。
また、腎機能が軽度から中等度に低下した患者でも、用量を調節せずに服用できるのも特徴といいます。
高尿酸血症とは、血中尿酸値が7・0mg/dLを超えた状態であると定義されています。高尿酸血症を放置すると、尿酸塩の結晶が析出し、体の組織に沈着することにより、痛風関節炎、痛風結節、痛風腎など、一般的に痛風として知られる病態や尿路結石が引き起こされ、腎臓の機能も低下してくることが知られています。
また、血中尿酸値が高いほどメタボリックシンドローム、高血圧などの生活習慣病や、必ずしも尿酸塩の沈着を伴わない腎障害(慢性腎臓病/CKDなど)の発症率が高いとの研究報告も増えており、これらの疾患の危機因子としてより関心が高まっています。
2011年1月22日(土)
■今季初、インフルエンザが全国的に注意報レベル
国立感染症研究所は21日、全国約5000カ所の医療機関を対象にしたインフルエンザの定点調査の結果、最新の1週間(1月10~16日)に、新たに医療機関を受診した患者が1カ所当たり12・09人だったと発表しました。5・06人だった前週から2倍以上増え、今季初めて全国的に注意報レベルの10人を超えました。
都道府県別では、沖縄県が55・26人(前週25・90人)で警報レベルの30人を超過。注意報レベルの10人を超えたのは、沖縄県を含む26県で、前週の3県を大幅に上回りました。佐賀県27・87人(前週11・41人)、福岡県24・81人(前週11・53人)などで患者が多く、首都圏では千葉県が17・56人、埼玉県14・41人、神奈川県10・25人、東京都9・88人。
この1週間で推計78万人が受診し、うち成人が57・7パーセントを占めました。今季の受診者は累計で165万人になり、感染が急速に広がっています。18日現在、22人が死亡、72人が重症との報告があります。
直近5週間で検出されたウイルスは、新型インフルエンザが最も多く約63パーセントで、季節性のA香港型は約33パーセントでした。
新型インフルエンザに関しては、小児や10歳代に感染者が集中した昨シーズンに比べて、今シーズンは20~50歳代の感染者が目立っています。
この傾向について、感染研感染症情報センターの安井良則主任研究官は、「昨シーズンの流行の中心だった5~19歳は免疫ができて、今シーズンは感染しにくい可能性がある」と話し、昨シーズンに成人に流行しなかった理由については、「国民全体がインフル対策を徹底し、最も流行しやすい学校内では広がったが、外の社会まで流行が及ばなかったためではないか」と推測しています。
東北大学の押谷仁教授(ウイルス学)も、「学校閉鎖や抗ウイルス薬の早期投与などが感染の広がりを抑えていた」と昨年の対策を評価。その上で「世界的にみると、新型インフルは40、50歳代の重症例が非常に多かった。日本でも感染が成人に及べば、多くの被害が出る可能性がある。警戒感が薄れている現状は大変危険だ」と警鐘を鳴らしています。
厚生労働省は約2週間後のピークに備え、「なるべく人込みを避け、手洗いやマスク着用などの徹底を」と呼び掛けています。
2011年1月21日(金)
■脳を働かせるには糖分だけでは不十分 東北大教授が呼び掛け
朝から脳を活発に働かせるには糖分だけでなく、バランスよく栄養を取る必要があると、東北大の川島隆太教授が呼び掛けています。脳のエネルギーは糖分といわれてきたが、糖分に偏った食事だと脳は効率よく働かないという調査結果もあるとしています。
科学技術振興機構(JST)が2004~09年に全国の小学生951人に実施した研究で、朝ごはんのおかずが「ない」または「少ない」と答えた子ほど、記憶力や図形認識などのテストの成績が低い傾向がみられました。
そこで09年、朝ごはんを食べる習慣のある大学生6人を対象に、朝食として(1)水だけ(2)糖分だけ(3)たんぱく質や脂肪、ビタミン、ミネラルも含む流動食、を食べてもらいました。その後、単純計算や機能的磁気共鳴断層撮影(fMRI)で撮影しながら記憶テストを3回実施したところ、(1)や(2)に比べ、(3)は脳の働きが活発でした。疲労感や集中力も、(3)の食事のほうが改善されたといいます。朝ごはんをただ食べるだけでなく、その質も大事だとしています。
川島教授は、「朝ごはんに菓子パンやジュースだけでは頭が十分働かない可能性がある」と指摘しています。
文部科学省の調査でも、朝ごはんの習慣を身に着けていない小・中学生の学力が低いことは明らかになっており、同省は「早ね早おき朝ごはん」運動を推進しています。
2011年1月20日(木)
■献血可能な人口が減って輸血ピンチ 16年後、血液不足100万人分
少子高齢化で16年後には約100万人分の血液が足りなくなるという推計結果を、日本赤十字社が輸血の調査結果と国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口などからまとめました。
がんや心臓病の手術などで輸血が必要な50歳以上の高齢者が増えるにもかかわらず、献血できる若者の数が減るためです。厚生労働省は、献血者が減り続けている10歳代の若者への協力呼び掛けを強化していきます。
日赤によると、輸血用血液製剤の約85パーセントが50歳以上の患者に使われていることから、高齢化が進んだ2027年に輸血を必要とする人は最多になり、549万人分の血液が必要になるといいます。一方で、献血可能な16~69歳の人口は7588万人になります。
このうち実際に献血する人は、09年と同じ割合の5・9パーセントだと仮定すると約448万人で、101万人分の血液が足りない計算になります。その後も人口減で需要は減るものの、少子化で不足は拡大していくとみられます。
がんや心臓病の手術などで使われる輸血用血液製剤は、これまでも国内自給率100パーセントでした。時間がたつと赤血球などの働きが落ちていくため、輸入には難しい面があります。不足分を確保するためには、献血者の割合を27年に、7・2パーセントまで引き上げる必要があるといいます。
ここ10年間、献血率は6パーセント前後で推移。街頭での呼び掛けなどを強化して、10年は献血者数が増え、献血率は5・9パーセントよりも増加したとみられます。09年度は、約208万リットルの献血量があり、目標の201万リットルを上回るなど現状では血液が確保されています。
しかし、献血率の増加を支えるのは40、50歳代の献血率の増加であり、16~19歳の献血率は00年の10・2パーセントから09年の6パーセントまで落ち込んでいます。全国を巡回して献血者を募る献血バスは、20年前には全国の高校の6割が受け入れていたのに比べ、09年には2割にとどまっています。厚労省による08年の意識調査によると、10歳代、20歳代が献血しない理由について「針を刺すのが痛い」「なんとなく不安」が上位を占めています。
厚労省の担当者は「このまま、この世代が大人になっても、献血しない可能性が高い」と危機感を抱いているため、14年までに10歳代の献血率を6・4パーセントに増加させるなどの目標を設定。4月から、400ミリリットル献血の対象者年齢を男子に限って18歳から17歳に引き下げたり、学校に専門家を派遣して輸血の必要性に理解を求める活動を始めたりします。
これまでに献血に協力してくれた人にも、メールなどを使って呼び掛けを続けるといいます。日赤の担当者は、「献血をする人でも、平均すると年に約1・7回と決して多くない。これまでは献血を一度すれば終わりという考え方が一般的だった。しかし、少子化が進む中で献血の精神を継続的に持ってもらえるようにしたい」と話しています。
献血は、全国155カ所ある献血ルームや血液センターなど日本赤十字社の常設施設で受け付けています。200ミリリットルであれば、男女とも16歳から献血できます。献血バスはあらかじめ決められた場所を巡回していますが、会社や学校など一定の献血者が見込める会場には、要請があれば訪問することも可能。
献血ルームの所在地や献血バスの運行ルートは、日本赤十字社のホームページ(http://www.jrc.or.jp/donation/index.html)で検索できます。
2011年1月19日(水)
■日本COPD対策推進会議を設立 日医など4団体
主に喫煙が原因で起こる「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」の早期発見と治療を目指し、日本医師会と結核予防会、日本呼吸器学会、日本呼吸ケア・リハビリテーション学会がこのほど共同で、日本COPD対策推進会議を設置しました。
COPDは早期に治療することで進行を遅らせられるものの、推計患者500万人に対し治療を受けている人は約22万人と少数。
同会議では、COPD症状や診断法について、国民や医師の理解が足りないことから、具体的な取り組みとして、日本医師会の会員約17万人に対しCOPDの診断の流れや治療法などを記したリーフレットを送付し、掛り付け医による患者発見を促進。集団検診での問診票活用の勧奨や、一般啓発用ポスター作成などの活動も予定しています。
各都道府県に支部を設け、地域の医療連携も促進していく考えで、同会議の会長には日本医師会の原中勝征会長が就きました。
同会議の副会長に就いた日本呼吸ケア・リハビリテーション学会の木田厚瑞理事長は、「COPDはさまざまな合併症を引き起こす可能性がある。呼吸器専門の医師だけが頑張っても仕方がない」と述べ、地域での医療連携の必要性を示しました。
同じく副会長に就いた結核予防会の工藤翔二理事は、「COPDの発見の仕方や治療法、専門医との連携などをどのようにすべきか、掛り付け医に伝達することがまずは重要だ」と指摘。また、国民への普及啓発については、「肺年齢など、COPDよりもわかりやすい言葉で伝えていくべきではないか」と述べました。
COPDは別名たばこ病ともいわれるように、喫煙を原因の一つとする進行性の病気で、初期には乾いたせきやたん、特に息を吐くのが困難になるなど呼吸器系に症状がみられます。これらの症状が出た中年期以上の喫煙経験が長い人、受動喫煙経験が長い人、もしくは長かった人には、呼吸器内科で検査を受けることが勧められます。
2011年1月18日(火)
■突然死リスク患者からiPS細胞を作製 副作用の確認可能に
さまざまな細胞に変化できるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使い、突然死の恐れもある遺伝性の心臓病であうQT延長症候群(家族性突然死症候群)の患者の皮膚から心筋細胞を作製するることに、イスラエル工科大の研究チームが成功しました。17日付けで、英科学誌ネイチャーに発表しました。
研究チームは、QT延長症候群の28歳の女性から採取した皮膚の線維芽細胞を使用。遺伝子の“運び屋”にレトロウイルスを使って3種類の遺伝子を導入し、iPS細胞を作製、心筋細胞に分化させました。
今回作製した心筋細胞を利用すれば、この病気の治療薬開発だけでなく、新薬開発の際の毒性試験に利用し、重大な副作用があるかどうかを調べることができるといいます。iPS細胞の生みの親である山中伸弥・京都大教授が、「iPSが最も早く実用化される例になる」と予測していました。
QT延長症候群は、心臓を動かすために細胞同士がやり取りする信号がうまく伝わらず、脈が乱れて立ちくらみや失神などの発作を起こします。薬剤の服用が不整脈の引き金となって、死に至る場合もあります。しかし、発作がない時は自覚症状は全くありません。また、検査をしても心電図のQTといわれる波形の部分が正常に比べて長い以外は、異常が見付かりません。
2011年1月17日(月)
■体温も鏡でチェックする製品を発売 計測2秒、高熱にアラーム
鏡をのぞき込むだけで済む体温計を、NECのグループ会社「NEC Avio(アビオ)赤外線テクノロジー」(東京都品川区)が発売しました。額に投射される赤外線で測り、機器に触れないため、インフルエンザなどの二次感染の切っ掛けを減らせるといいます。
製品名は、非接触ミラー型皮膚温度計「サーモミラー SX-01シリーズ」。鏡に赤外線センサーを内蔵し、顔を30センチまで近付けると約2秒で測定し、平熱だと緑で体温が表示されます。平熱より高いと赤で体温が表示され、アラームで警告します。待機中は時刻や室温を表示するので、インテリアとしても使えます。
通常の体温計は皮膚に接触させて測定するため、菌やウイルスによる二次感染を防ぐために、毎回の消毒が必要となります。「サーモミラー」は額に投射されるLED光を鏡で確認しながら、装置に触れることなく皮膚温度を測定できるため、二次感染の心配がありません。
また、皮膚温度は環境温度により変動するため、体温が38℃以上ある人の額の温度のアラーム値を室温から自動的に計算する「アラーム温度自動計算機能」を搭載しています。
「サーモミラー」の原理は、新型のインフルエンザが流行した際、感染者の発見のために空港などで使われたカメラ型のサーモグラフィーと同じ。「面」全体で計測するサーモグラフィーは1台100万円前後しますが、測定箇所を額に絞り込むことで、価格を税込み10万2900円(通信機能付きは12万6000円)に抑えました。
NEC Avio赤外線テクノロジーでは、日常の体調管理やインフルエンザなどによる高熱者の発見に役立つとして、企業の受付やホテルのフロント、学校、病院、施設などでの利用を見込んでいます。
2011年1月16日(日)
■花粉の飛散量を携帯でチェック ドコモ、基地局にセンサー設置
NTTドコモは、全国の携帯電話基地局2500カ所に設置した花粉センサーで測った花粉の飛散状況が携帯電話で見られるサイト「ドコモ花粉ライブ」を、14日に開設しました。
知りたい地域の飛散量を「ほとんどなし」から「極めて多い」の6段階で示し、飛散量の都道府県単位の全国ランキングも掲載します。データ通信料だけで閲覧できます。
NTTドコモでは、企業や行政に情報提供するサービスのため、2009年秋から花粉センサーを設置してきました。飛散量が少ない沖縄を除く全国を網羅したため、一般向けサービスとして試験的に始めます。
サービス開始に当たっては、花粉の飛散量予報や花粉の濃度の測定・解析技術などに強みを持つウェザー・サービス(千葉県成田市)に約35パーセント出資し、技術ノウハウの取り込みを図りました。
また、基地局に設置した花粉センサーが砂ぼこりや粉塵、雪などを誤って花粉として検知・測定してしまい、精度が下がることもあるため、高度な除去技術を採用して精度の高い花粉の実測値を得るようにするなど、情報の信頼性が大きなセールスポイント。
今後数年で、花粉センサーの設置を9000カ所に広げ、精度も上げます。将来的には、二酸化炭素(CO2)濃度などの情報提供も検討しています。
基地局を使った気象サービスでは、KDDIも昨年にウェザーニューズ(東京都港区)と提携。全国3000カ所の観測装置を元に天候や気温情報を配信するサービスを始めており、花粉情報の扱いも検討しています。
2011年1月15日(土)
■インフルエンザの流行本格化 患者は20~40歳代が増加
インフルエンザの流行が本格化したことが14日、国立感染症研究所の調査でわかりました。最新の1週間(1月3~9日)で、全国約5000の医療機関の患者数が1機関当たり5・06人になり、前週の2・3人から倍増。今季初めて、全都道府県で流行開始の目安となる1を超えました。
沖縄県では警報発令レベルの30人に近い25・9人、福岡県などで注意報発令レベルの10人を超え、北海道以外のすべての都府県で前週を上回りました。
患者数が多い自治体は、福岡県(11・53人)、佐賀県(11・41人)、長崎県(9・29人)、宮城県(9・15人)、鹿児島県(7・41人)、宮崎県(7・25人)、千葉県(6・6人)など。北海道は5・47人、東京都は4・28人、岐阜県は4・7人、愛知県は4・18人、三重県は2・9人でした。
感染研の感染症情報センターによると、患者は20~40歳代が目立ちます。学校再開後の患者数が判明する来週は、さらに子供の患者が増えると見なされています。昨季に流行がさほど広がらなかった0~4歳の乳幼児への感染拡大も、心配されています。
年明けに検出されたウイルスの8割以上が、昨年世界的に流行した新型の豚インフルエンザ。A香港型を12月に逆転、さらに勢いを増しました。A香港型は約18パーセント、B型の検出はありませんでした。
例年1月から3月は、インフルエンザが最も流行する期間で注意が必要。専門家は、感染しにくくなるほか、感染しても重症化を防げる予防接種を勧める一方で、基本的な対策として、外出後や食事前の手洗いやせきエチケットの徹底を呼び掛けています。
感染が広がりやすい保育園児や幼稚園児が具合が悪い場合は、可能な限り休ませることを勧めています。また、妊婦や出産直後の女性は免疫が落ちているため、ワクチン接種をしていない場合、インフルにかかると重症化する恐れがあると注意を促しています。
2011年1月15日(土)
■はしか患者、昨年さらに減少 集団感染例は続き、接種必要
2010年のはしか(麻疹)の患者数は457人との速報値を、国立感染症研究所が14日までにまとめました。08年は1万1015人でしたが、09年は741人に減少、10年はさらに少なくなりました。
ただ小規模な集団感染例も起きており、保健所や感染研は警戒を強めています。厚生労働省が12年度までにワクチン接種などで、はしかの患者をゼロに近付けるとしている目標の実現に向け、感染研は「さらに予防接種を進める必要がある」としています。
06年から小学校入学前までのワクチンの2回接種が定期接種になったほか、07年に10歳代の間で流行し大学や高校で休校が相次いで問題になったため、08年から5年間の時限措置で中1(13歳)と高3(18歳)へ追加接種をしており、こうした対策の効果が患者の減少に現れたとみられます。
患者の全数調査も、08年に始まりました。
はしかは、麻疹ウイルスが原因で全身に発疹ができ、高熱が出ます。感染力は強く、人から人へ空気感染します。はしかを発症すると1カ月ほどは免疫力が落ち、この間にインフルエンザなど、ほかの病気にかかると重症化する恐れもあります。
2011年1月14日(金)
■国民年金の保険料、初の引き下げへ 月額1万5020円に
2011年度の国民年金の月額保険料は10年度の月額1万5100円から80円引き下げられ、1万5020円になることが決まりました。1961年度に国民年金制度が始まって以来、保険料が下がるのは初めて。
長引く不況やデフレによって、賃金や物価が下落したことが影響しました。
04年の年金制度改革で、自営業者らが加入する国民年金の保険料は毎年4月に280円ずつ引き上げられ、17年度以降は1万6900円に据え置くことが決まっています。ただ、280円は04年時点の物価水準に基づく指標で、実際の上げ幅は各年度の2年前の賃金や物価の変動に応じて調整される仕組み。
初の引き下げとなる11年度は、09年の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む)が、リーマン・ショックや原油価格の下落などで前年比マイナス1・4パーセントと大幅に低下したことが影響。全国平均の賃金も伸びませんでした。
民間企業の労働者が加入する厚生年金の保険料率は、毎年0・354パーセントずつ引き上げられ、17年以降は18・3パーセントに据え置かれます。
2011年1月13日(木)
■辛抱強く待つか、あきらめるか 関与する神経伝達物質が判明
なかなか来ないバスを辛抱強く待ち続けるか、あきらめて歩くかどうかの意思決定にかかわるとみられる神経伝達物質を、独立行政法人の沖縄科学技術研究基盤整備機構神経計算ユニットのチームが、ラット実験で突き止めました。うつ病などの原因解明につながると期待されます。
12日発行の米専門誌ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス電子版に発表します。
チームは、うつ病や睡眠にかかわる神経伝達物質セロトニンに着目。報酬のために待つかどうかの判断にかかわっているとの仮説を立て、ラットがエサ場や水場に着くとすぐエサや水が得られる場合と、4秒待たないと得られない場合とで、脳内のセロトニンの働きを調べました。
すると、4秒待つ時の方がセロトニンの放出が高まり、濃度が上昇しました。さらに、大脳にセロトニンを送る神経細胞の活動を電極で測ると、待っている間に活動が高まり、あきらめてしまう場合に弱まることがわかりました。
代表研究者の銅谷賢治さんは、「セロトニンの役割を詳細に調べ、うつ病などの原因の解明や、人間的な判断ができるロボットの開発などに貢献したい」と話しています。
これまで、セロトニンの働きを抑えると衝動的に目先の利益を選びがちなことは実験で示されていました。
セロトニンとは、ノルアドレナリンやドーパミンと並んで、体内で特に重要な役割を果たしている三大神経伝達物質の一つです。体を活動状態に向かわせる神経伝達物質であるノルアドレナリンやドーパミンの暴走を抑え、心のバランスを整える作用のある神経伝達物質であり、セロトニンが不足すると精神のバランスが崩れて、暴力的になったり、うつ病などの精神疾患に陥りやすいといわれています。
2011年1月12日(水)
■インフル万能ワクチン開発に期待 新型患者から抗体発見
米国のシカゴ大とエモリー大などの研究チームが、2009年に流行した新型の豚インフルエンザにかかりながら回復した患者が広い範囲のインフルエンザを予防できる抗体を持っていることを突き止めました。
ウイルスの変異にかかわらずに効き目がある「万能ワクチン」の開発につながる可能性がある発見で、10日発行の米専門誌ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディスンに発表しました。
研究チームは、新型インフルエンザのワクチンを開発するため、21~45歳の患者9人の血液から抗体の遺伝子を特定。その遺伝子から86種類の抗体を作り、ハツカネズミに各種のインフルエンザのウイルスを与えて反応を確かめました。
その結果、5種類の抗体では、過去10年ほどの間に流行したすべてのH1N1型ウイルスに対して予防効果がありました。また、スペイン風邪を起こしたH1N1亜型ウイルスや、毒性が強いH5N1型(鳥インフルエンザ)ウイルスにも効果がありました。
インフルエンザのウイルスの型は、表面に突き出る棒のような蛋白質の形状で決まりますが、今回見付かった抗体は、変異しやすい先端部ではなく、あまり変化しない軸の部分の蛋白質に反応しやすく、広範囲のウイルスに効くと見なされます。
研究チームのパトリック・ウィルソン博士は、「すべてのウイルスに反応するわけではないが、万能ワクチンができそうだ」と語っています。
季節性インフルエンザに感染すると体内に抗体ができますが、別の型が流行すると予防効果は期待できず、次の流行期に広がる型を予想して製造されるワクチンを接種する必要があります。万能ワクチンができれば、抗体の効き目が残っている間は新たな接種の必要がなくなって副反応のリスクが減るほか、製造コストの低減などが期待されます。
田代真人・国立感染症研究所インフルエンザウイルス研究センター長は、「軸に作用する抗体があることは以前からわかっていた。万能ワクチンを作るという方向性を支える一つの要素にはなるが、実現には、形状が複雑な最近の季節性インフルエンザに効くか、ワクチン自体がアレルギー反応を起こさないかなど、課題が多く時間がかかるだろう」と語っています。
2011年1月11日(火)
■ニンジンを食べればより魅力的な人に 英大学の研究結果
ニンジンやプラムなど色の濃い野菜や果物を食べると、より魅力的に見えるようになるとの英大学の研究結果が、英食品業界誌「グローサー(The Grocer)」に掲載されました。
同誌によると、英国のセントアンドルーズ大学とブリストル大学のチームは、人間の肌の色と魅力の関係を研究。40人のボランティアに、スコットランド系白人51人の顔を「健康的」、「魅力的」といった指標でランク付けしてもらいました。
すると、黄色味の強い肌の人ほど健康的で、魅力的に見えることがわかったといいます。さらに、特定の野菜や果物に含まれる黄色素「カロテノイド(カロチノイド)」が、肌の黄色味を増すのに大きな役割を果たしていることを初めて突き止めました。
今回の結果について、研究チームは「若年層の野菜、果物消費を促進する材料になる」、「もっと健康的な食事をしないと40年後に心臓発作を起こす、と警告するのも一手だ。でも今回の研究のお陰で、もっと果物や野菜を食べれば、数カ月後にはより魅力的に見えるようになるよ、ということも可能になった」と語っています。
ニンジンはセリ科の1、2年草で、緑黄色野菜の代表。ニンジンの黄色素カロテノイドは体内でビタミンAに変わり、皮膚の細胞を強くし粘膜を丈夫にして病気への抵抗力をつけます。また、夜盲症や口角炎を防ぐ働きがあることもよく知られています。
そのニンジンのカロテノイド量は、生100g中に9100μgとホウレン草の2倍以上。カロテノイドは脂溶性で熱に強いので、適量の油を使って食べやすいように調理して十分な量を取るようにしたいもの。ニンジンには補血効果もあり、貧血を改善し冷え症や低血圧を治すとともに、疲労回復、体力づくりにも有効です。
2011年1月10日(月)
■昨年の自殺者、13年連続3万人超える 前年比は1200人減
2010年の全国の自殺者は3万1560人で、13年連続で3万人を超えたことが7日、警察庁の速報値で明らかになりました。ただ、前年比では3・9パーセント、1285人減っており、01年以来9年ぶりに3万1000人台に下がりました。
政府が自殺予防の啓発キャンペーンを始めたり、自治体や民間団体がカウンセリング活動を強めたりした効果が徐々に出ているとの見方もあります。
警察庁のまとめによると、自殺者の性別は男性が2万2178人(前年比1294人減)、女性は9382人(前年比9人増)。依然として男性が7割を占めます。
都道府県別では、多い順に東京都2938人(前年比51人減)、大阪府2031人(8人減)、神奈川県1810人(25人減)、埼玉県1717人(79人減)、愛知県1573人(50人減)。一番少なかったのは徳島県の168人でした。
全体数が減る中で、地域別では36都道府県で減少。減少率が最も高かったのは三重県で、24・6パーセント、117人減の359人。青森県(17・3パーセント、94人減の449人)、秋田県(16・0パーセント、70人減の368人)、島根県(15・4パーセント、37人減の204人)、高知県(14・5パーセント、38人減の224人)がそれに次ぎます。
一方、滋賀県(30人増)、香川県(21人増)、石川県(18人増)など11府県で増加しました。
自殺者は年度替わりの3、4月に多くなる傾向があり、昨年は内閣府が中心になって3月と9月に、うつ病の早期診断などを呼び掛ける街頭キャンペーンを各地で実施。今回の警察庁の速報値では、3月の自殺者は前年比5・0パーセント減、4月は15・9パーセント減、10月は13・5パーセント減と、一定の効果があったことをうかがわせました。
ただし、11月の自殺者は逆に前年比10・0パーセント増。不況の長期化などもあり、減少傾向に転じたとは言い切れず、異常な状況は続いています。
国の自殺対策にかかわっているNPO法人・ライフリンクの清水康之代表は、「自殺者は、国や自治体が自殺対策を強化した直後や、自殺相談の啓発活動が進んでいる地域で大幅に減っている」、「生きるための支援を充実させれば自殺者を減らせることを示している。時期や地域を問わず、取り組みを進めるべきだ」と指摘しています。
2011年1月10日(月)
■速く歩く人ほど長生き 米医師が高齢者を調査
歩くのが速い高齢者ほど長生きする傾向があるという研究結果を、米ピッツバーグ大学の医師らがまとめ、米医師会雑誌「JAMA」(Journal of the American Medical Association)で発表しました。
1986年~2000年の間に発表された9つのデータを医師らの研究チームが分析した結果、65歳を超えた高齢者の予測生存率は歩行速度と強い相関関係があり、年を取った人の間では歩く速度が速いほうが余命が長いことがわかりました。
すべてのデータとも、起立した状態から自分のいつものペースで歩いてもらったもので、歩行距離は2・4メートルから6メートルとばらつきがありますが、男女計3万4485人の対象者の平均歩行速度は毎秒0・92メートル(時速約3・3キロメートル)。
6~21年間の生存率を分析した結果、どの年齢でも毎秒1メートル以上で歩く人は比較的長く生き、歩くのが速い人ほど余命が長くなりました。一方、毎秒0・6メートル以下の人は早く亡くなることが多くなりました。
この生存率と歩行速度の関係はすべての年齢層、性別で同じことがいえましたが、特に75歳以上では顕著なことが確認されました。
研究チームは、「歩行にはエネルギー、動きの制御、支持などが必要で、また心臓や肺、循環器、神経、筋骨格系といった多くの臓器系にそれが求められる。歩行速度の低下は臓器系の障害と、歩行に多くのエネルギーが必要なことの両方を反映している」と指摘しています。
現在、高齢者の余命を予測する良い指標はないため、研究チームは「歩行速度に注目すれば、高齢者の健康管理などに役立つ」とも指摘しています。
2011年1月9日(日)
■新型の割合が急増して6割を超える インフルエンザ患者
国立感染症研究所は7日、最新の1週間(12月20日~26日)に全国5000の定点医療機関を受診したインフルエンザ患者数が、1医療機関当たり2・06人、合計で9863人になったと発表しました。
流行期入りした前週の1・41人からさらに増え、27都道府県で流行の目安となる「1」を超えました。患者数は、10週連続で増加しました。
1医療機関当たりの患者数は多い順に、佐賀県(9・41)、長崎県(7・64)、北海道(7・14)、大分県(3・78)、埼玉県(3・69)、沖縄県(3・31)、山梨県(3・28)、群馬県(3・07)など。
患者から検出されるウイルスは、昨年11月までは高齢者や乳幼児で重症化しやすい季節性のA香港型ウイルスが半数以上を占めていましたが、12月以降は新型ウイルスが62パーセントにまで急増しています。特に、南関東や関西、福岡県など大都市周辺では、ほとんどが新型ウイルスになっています。
国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「今後は新型インフルエンザを中心に流行が大きくなる可能性があり、流行のピークは1月下旬から2月にかけてとみられる。昨シーズンは小中高校生が患者の中心だったが、今回は乳幼児や持病のある人、それに妊婦など幅広い年齢層にも広がる可能性があるので、引き続き、手洗いなど予防策を徹底してほしい」と注意を呼び掛けています。
2011年1月8日(土)
■火を使わず煙も出ない無煙たばこの販売、全国に拡大 JT
日本たばこ産業(JT)は、火を使わず煙が出ない無煙たばこ「ゼロスタイル・ミント」を1月上旬から、全国で発売しています。昨年までは東京都と神奈川県で限定販売していましが、需要が大きいとしてほかの地域にも販売を拡大し、スーパーやコンビニなどを除く一般のたばこ販売店約4000店でも扱うことになりました。
たばこの葉が詰まった専用カートリッジをパイプ状の本体に差し込んで吸う「かぎたばこ」で、周囲への煙やにおいを気にせずに、たばこの味や香りを楽しめるとされます。包装はサイドオープンのボックス形態で、味はメンソールタイプのみ、価格は本体1本にカートリッジ2本入りで税込み 410円。詰替え用カートリッジは、カートリッジ4本入りで税込み600円となっています。
タールはゼロで、ニコチンは軽めのたばこの20分の1程度含まれ、使用頻度に応じて1本のカートリッジで半日から1日程度楽しめ、呼気からのにおいも気にならないといいます。
昨年5月に東京都で売り出したところ、喫煙場所が広がるとして人気を集め、一時品薄になりました。販売地域の拡大に合わせ、生産能力を月産100万個から120万個に引き上げました。
ただ、煙は出なくても口腔がんなどの要因になり、禁煙推進団体は通常の紙巻きたばこと同様、喫煙場所の制限を求めています。
かぎたばこは、粉末状のたばこの葉を鼻孔の粘膜、口腔内粘膜などから摂取するもので、日本国内では「ゼロスタイル・ミント」のほか、「スナッフ(Snuff)」、「スヌース(Sunus)」の2種類が以前から販売されています。そのほかの無煙たばことして、湿った粉末状のたばこの葉を歯茎に塗布する「アメリカンスナッフ」や「噛みたばこ」などがありますが、日本では未発売。
2011年1月7日(金)
■任天堂3DS、6歳以下の利用に注意喚起 目の成長に影響
裸眼で立体(3D)映像が楽しめる初の携帯ゲーム機「ニンテンドー3DS」を2月26日に発売予定の任天堂は、6歳以下の子供に3D映像を長時間見せないよう求める告知を同社のホームページで始めました。3D映像が幼児の視覚に悪い影響を与える可能性があり、これを防ぐためとしています。
3D映像は左右の目に異なる映像を次々と映すことによって、立体感を受け手に与える仕組みで、昨年からテレビやパソコンなどで3D機能搭載機種が発売されています。ただ、成人にも平面(2D)映像と比べ疲労感を与えるほか、視覚が未熟な幼児には目の成長に影響を与える可能性があると専門家が指摘。3Dテレビを発売したメーカー各社も、3D映像の視聴は6歳以上からとするよう呼び掛けています。
このため任天堂も、6歳以下の子供の場合は長時間の3D利用を避け、2Dに切り替えて利用するよう注意喚起。1月8~10日には千葉県の幕張メッセで、一般人が初めて3DSに触れる無料体験会を開きますが、会場では6歳以下には2D映像の設定で遊んでもらいます。
発売予定のニンテンドー3DSには、保護者が決めた暗証番号を入力しないと2D映像しか映し出さないペアレンタルコントロール機能も搭載します。立体感を段階的に抑えられる機能もあるといいます。
また任天堂では、6歳以上が3D映像でゲームを行う際にも、従来の2Dの映像と比べて疲れを感じやすい場合があるとし、目安として30分ごとに休憩を取り、体調が悪い時や気分が悪くなった時は直ちに使用を中止することを勧めています。
2011年1月6日(木)
■サケの頭からコンドロイチン抽出 三陸発の健康食品として発売
岩手県釜石市の水産加工業、丸辰カマスイは、三陸沿岸の主力魚種であるサケの頭から、関節痛などに有効とされる成分「コンドロイチン」を抽出し、サプリメントを商品化しました。
一般的には廃棄される部位を有効利用し、三陸発の健康食品として、「三陸鮭(さけ)王」の名前で1月からインターネットで販売しています。
コンドロイチンは、関節痛や美肌などに有効とされ、健康食品や美容品などの原料として広い用途があります。成分はサメ軟骨のほか、サケの鼻軟骨やイカの軟骨などから取り出され、高齢化や健康志向の高まりでニーズは拡大傾向にあります。
水産資源を限りなく活用する「一物全体利用」を企業理念とし、加工原料としてサケを多く扱う丸辰カマスイも5年以上前から研究に着手。鼻軟骨だけではなく、コンドロイチンが含まれながら効率的な抽出方法がないため廃棄するだけだった頭全体に着目しました。
2007年度から経済産業省の補助事業に採択され、大船渡市の北里大海洋生命科学部や県外の水産化学会社2社と連携。技術指導などを得て、サケの頭をミンチにして成分を取り出す新しい製造技術を確立し、商品化につなげました。
錠剤に仕上げた商品には、コンドロイチンと同様の効能があるとされるNアセチルグルコサミンやプロテオグリカンも配合。Nアセチルグルコサミンは岩手県外の業者から調達していますが、丸辰カマスイは県内で盛んに水揚げされるツノナシオキアミ(通称イサダ)から抽出する研究も進めており、同社の田代勝男会長は「将来的には岩手独自のサプリメントを作りたい」と意気込んでいます。
1瓶180粒入りで定価6300円(税込み、送料別)。2月末までは、発売記念として4950円(同)で提供。問い合わせは同社(0193・22・3530)へ。「三陸鮭王」の販売代理店、海洋バイオのホームページは(http://www.sanriku-sakeou.com/)。
2011年1月5日(水)
■生命保険加入率、女性が男性上回る 生保センター調査で初
生命保険文化センターがまとめた2010年度の「生活保障に関する調査」によると、個人年金保険を含む生命保険の女性の加入率が1987年の調査開始以来初めて、男性の加入率を上回りました。
調査は3年ごとに行っており、10年度調査は10年4~6月に全国の18~69歳の4076人を対象に行いました。それによると、民間の生命保険や簡易生命保険、JA(農協)の共済などを含む全生保では、男性が前回の07年の調査より2・0ポイント減少して79・9パーセントと初めて8割を切ったのに対し、女性は同0・2ポイント増加して81・4パーセントでした。
初回の87年の調査では、男性が84・9パーセント、女性が71・2パーセント。長期に渡って男性が減り、女性が増える傾向にあります。
生命保険文化センターは、「女性の未婚率上昇や所得減少による男性の死亡保険の加入減が影響した。働く女性の増加で医療保険の加入が増えたことも要因」と、背景を分析しています。
生保各社では今後も成長が見込めるとして、女性向けの商品を強化しています。
朝日生命保険は昨年10月、男性に比べて女性のほうが患者数が多い病気などによる入院に給付金を払う女性専用の医療特約を発売。アクサ生命保険は昨年6月、働く独身女性をターゲットに、がんと診断された場合に通院などで減る収入を補う商品を日本で初めて売り出しました。
がん保険が主力のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)も、乳がんなどの女性特有のがん治療に給付金を手厚く払う特約を販売するなど、女性のニーズに合わせた商品を増やしています。
2011年1月4日(火)
■餅詰まらせ東京都内で6人死亡 24人を救急搬送
東京都内で元日から2日午後8時までに、餅をのどに詰まらせて24人が救急車で病院に運ばれ、うち6人が死亡しました。東京消防庁が2日発表しました。
亡くなったのは葛飾、足立、渋谷各区と八王子市に住む70~95歳の男性5人と女性1人で、いずれも自宅で雑煮などを食べていた際、のどに詰まらせ意識を失ったといいます。搬送された24人のうち23人が60歳代以上。
同庁は、「餅はできるだけ小さく切って食べ、慌てずによくかんでほしい。お年寄りや子供がいる家では家族がそばにいて」と注意を呼び掛けています。
餅は窒息事故が最も多い食品で、しかも事故となった場合、約半数が重症以上となっています。しかし、窒息事故は餅だけでなく、ご飯やパンなど日常的に食べている食品が原因となっていることも多いのです。東京都内では昨年末、ミニアメリカンドッグをのどに詰まらせた小3男児が死亡するケースもありました。
厚生労働省によると、平成21年に食べ物による窒息事故で死亡したのは4679人で、10年前の約1.2倍。
乳幼児では、誤って気管支に入りやすいピーナツなどの豆類は3歳ごろまで食べさせない、仰向けに寝た状態や歩きながら食べさせないなど、与える食べ物や食べさせ方に注意することが必要。高齢者は唾液の分泌が少なく咀嚼機能が低下し、餅やご飯、パンなど粘りのある食べ物が咀嚼しにくくなっているため、お茶や水など水分を取りながら食べるようにしたほうがよいでしょう。
万一、食べ物がのどに詰まった時のために、応急処置を覚えておくことも大切。まず、せきをすることが可能であれば、せきをさせます。せきもできず、顔色が急に真っ青になったような窒息状態の場合は、背部叩打法を行います。
背部叩打法の手順は以下の通り。やや後方から胸、または下あごを支えて、苦しんでいる人をうつむかせ、もう片方の手の付け根で、肩甲骨と肩甲骨の間を4~5回、強くたたく。口の中を見て、異物が出てきたら取り除けばOK。
2011年1月3日(月)
■全中学生に臓器移植パンフを配布 厚生労働省
15歳未満の小児からの脳死臓器提供を可能にした2009年の臓器移植法改正を受け、厚生労働省はすべての中学生に対し、脳死や臓器移植について解説したパンフレットを本年度中に配布することを決めました。
09年度までは、臓器提供が可能な15歳に達する中学3年生にのみ配布されていました。新しいパンフレットは改正法の要点を新たに盛り込み、約360万部を印刷予定。
改正法では、「国や自治体は移植医療に関する普及啓発策を講じること」とされました。厚労省臓器移植対策室は、「わかりやすい内容をと心掛けた。家庭に持ち帰って、話をしてもらう切っ掛けになれば」と話しています。
2011年1月3日(月)
■成人T細胞白血病に新治療薬 協和発酵キリンが春に承認申請
毎年約1000人が死亡している血液がん・成人T細胞白血病(ATL)の治療に有効性がある新薬を、製薬会社の協和発酵キリン(東京都)が開発しました。同社は2011年春、厚生労働省に製造、販売の承認申請をします。
臨床試験では、患者の半数で新薬の効果が確認されました。現在、有効な治療薬はなく、この治験結果にATLの原因ウイルスHTLV1総合対策を検討する官邸の特命チームは注目しています。厚労省は審査期間を短縮する特例措置を取る方針で、早期に承認されれば、12年初頭にも発売されます。
協和発酵キリンが開発した新薬は、「抗CCR4抗体KW-0761」。がん化した細胞だけを狙い撃つ「分子標的薬」(抗体医薬)としては、初のATL治療薬。同社独自の技術で、ATLを引き起こすがん細胞を攻撃する能力が高い抗体を人工的に作り、点滴で投与します。
正常な細胞まで破壊してしまう従来の抗がん剤に比べ、副作用の心配が少ないのも特長とされます。
昨年末に治験結果をまとめた名古屋市立大大学院の石田高司講師(免疫内科学)によると、治験はATL患者のうち、抗がん剤治療後に症状が再び悪化した26人を対象に実施。新薬を1週間間隔で、計8回投与しました。
その結果、半数の13人に血液中のがん細胞が減ったり、リンパ節の腫瘍が縮小したりするなどの効果が確認され、うち8人は白血病細胞や腫瘍が消滅しました。発熱や発疹などの副作用はありましたが、いずれも対症療法で改善できるレベルでした。
ATL患者の受診医療施設として国内有数の今村病院分院(鹿児島市)の宇都宮與(あたえ)院長は、「新薬の治験で有効率50パーセントは極めて珍しい高さ。抗がん剤と併用すればさらに治療効果が高まるだろう。患者は新薬を待ち望んでおり、少しでも早く医療現場に普及させてほしい」と話しています。
官邸特命チームのメンバーである外山千也厚労省健康局長は、「治験結果は好成績であり注目している」と話しています。
成人T細胞白血病(ATL)は、主に母乳を介して感染するウイルスHTLV1が原因の難治性血液がん。国内感染者は100万人以上で、九州・沖縄在住者が約半数を占めます。発症すると血液中で白血病細胞が増殖し、免疫機能が低下したり、リンパ節に腫瘍ができたりします。
潜伏期間が平均55年と長く、感染者の生涯発症率は約5パーセントと低いものの、発症後の平均生存期間が半年から1年と短く、有効な治療法は未確立。毎年、全国で約1000人、九州だけで約500人が死亡しています。
国は19911年に九州などの「風土病」と判断し、全国対策を放置してきましたが、菅直人首相が2010年9月、当時の判断ミスを認めて患者団体代表らに謝罪。12月に、公費による全妊婦検査や、治療法開発に向け11年度の研究予算を従来の4倍以上で、エイズや肝炎並みの10億円に増額するなどの総合対策を発表しました。
2011年1月2日(日)
■妊娠高血圧の治療にマウスで成功 スタチンを投与
人の妊娠高血圧症候群に近いモデルのマウスづくりに、大阪大(大阪府吹田市)の医学部と微生物病研究所のチームが世界で初めて成功しました。このマウスに、高脂血症の治療薬のスタチンを投与して、母マウスの血圧を下げることにも成功しました。
かつては妊娠中毒症と呼ばれていた妊娠高血圧症候群は、妊婦の約1割が患います。妊娠に伴って血圧が異常に高くなり、足がむくんだり血管が破れやすくなったりして、重症だとけいれん発作や脳出血などの合併症を起こし、母子ともに危険な状態になる恐れがあります。胎盤の血管がうまく育たないことが、原因の一つとされます。
微生物病研究所の伊川正人准教授(実験動物学)らは、胎盤の血管を育ちにくくする遺伝子を着床前のマウスの胚に入れ、人の妊娠高血圧症と同じ症状を起こすマウスをまずつくりました。このマウスを妊娠させ、高血圧の発症前にスタチンを与えたところ、血圧は妊娠中も正常の範囲にとどまりました。胎盤の成長も2割ほどよくなりました。赤ちゃんの体重も、スタチンを与えなかった母マウスの赤ちゃんと比べて15パーセント重くなりました。
高脂血症の治療薬のスタチンは、血液中のコレステロール値を下げる働きのほか、心筋梗塞や脳血管障害を起こしにくくすることが知られています。ただ、現在の市販薬は赤ちゃんに奇形が生じる可能性があるとして、妊婦には原則として使えません。
今回のマウスは、妊婦に安全な治療薬を探すのに役立ちます。伊川准教授は、「治療だけでなく発症を予防する効果もあり、よりよい薬が見付かれば、日本だけでなく途上国でも周産期死亡を減らせるのではないか」と話しています。
2011年1月1日(土)
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