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■次の新型インフルが強毒なら、ワクチン公費で 厚労省会議

 厚生労働省の新型インフルエンザ専門家会議は29日、次の新型インフルエンザ発生に備えた国の行動計画の見直し案を大筋でまとめました。強い毒性のウイルスの場合には、ワクチンを公費負担で打てるようにします。

 昨季の新型の豚インフルエンザ(H1N1)での混乱を反省し、関係者の負担も大幅に軽減させるとしています。関係省庁で協議し、年明けにも行動計画が改定されます。

 昨季の新型インフルエンザの毒性は、従来の季節性インフルエンザとそれほど違わないとされています。行動計画は毒性の強いウイルスを想定して各種の対策を考えていたため、対応の変更が課題になりました。この経験を踏まえ、ウイルスの毒性の強さや感染力がはっきりした時点で、柔軟に対応を変えられるようにしました。同時に、政府の意思決定が国民にわかりやすくなるよう組織を整理することも求めています。

 具体的な対策は、ワクチンの公費負担のほか、国内で新型の患者が発生した時点で、患者が発生している地域から帰国し感染が疑われる人を空港近くの施設などに足止めすることは原則中止します。専門家の評価では、昨季はこうした帰国者のチェックをする検疫には、それほど効果がみられなかったといいます。

 また、昨季は、熱が出ただけで新型インフルと心配して、相談窓口に事前に尋ねないまま発熱外来に殺到する人も目立ち混乱しました。次の新型インフルエンザ発生からは、患者が発生した国への渡航歴のある人や、インフル患者と接触した人に発熱外来の対象を絞ることにしました。それ以外の患者は、一般の医療機関で対応します。

 行動計画は、東南アジアを中心に報告されている強毒性の鳥インフルエンザ(H5N1)などを想定。昨季に流行した新型インフルエンザは来年度以降、通常の季節性として扱う方針。

 2010年11月30日(火)

 

■高齢者への虐待1万5000件を超える 09年度、過去最多

 2009年度に確認された65歳以上の高齢者への虐待件数は1万5691件に上ったことが、厚生労働省が公表した調査結果で明らかになりました。08年度より732件、4・9パーセント増えて、06年度の統計開始以来最多となりました。

 ほとんどを占める「家族や親族による虐待」の被害者の45・7パーセントが介護の必要な認知症で、虐待による死亡者も06年度と並び過去最多の32人に達しました。件数は毎年増加を続け、06年度の1万2623件と比べ、4年間で約1・24倍に。

 06年施行の高齢者虐待防止法は、虐待の発見者に通報を義務付けており、全市区町村と都道府県の確認事案を厚労省が取りまとめました。

 まとめによると、家族や親族、同居人以外では、介護施設職員らによる虐待が76件(前年比8・6パーセント増)あり、これも過去最多。家族らによる虐待の被害者は77・3パーセントが女性で、年齢別では80歳代が42・2パーセントを占め、要介護認定を受けた高齢者が68・6パーセントに上りました。

 加害者は、息子41パーセント、夫17・7パーセント、娘15・2パーセントの順。加害者の6割近くを息子と夫が占め、男性家族ほど虐待に走りやすい傾向です。

 厚労省は、「介護している子供自身が就労できていなかったり、介護のため失業するなどの問題と重なっているのでは」と分析し、「男性は家事に慣れていなかったり、弱音を吐くのが苦手だったりするという指摘がある」と説明しています。

 被害類型別では、殴るけるなどの身体的虐待63・5パーセント、暴言を吐くなどの心理的虐待38・2パーセント、財産を勝手に使うなどの経済的虐待26・1パーセント、介護の放棄25・5パーセントなど。

 死亡者32人は、殺害17人、介護放棄による致死6人、暴行などによる致死5人、心中3人など。同省によると、32人のうち半数程度は市区町村が通報や相談を受けていたといいます。

 介護施設などの職員による虐待では、介護放棄で08年度に自治体の改善勧告を受けながら、09年度にも入所者への身体拘束のあったグループホームに改善命令が出たケースがありました。

 2010年11月29日(月)

 

■糖尿病の関係遺伝子発見、治療薬に期待 京大ウイルス研究所

 京都大学ウイルス研究所の増谷弘准教授、大学院生の吉原栄治さんらは、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣が原因でなりやすい「2型糖尿病」の発病や悪化に関係する遺伝子を見付け、英科学誌に発表しました。

 遺伝子は、血糖値を調節する「インスリン」の分泌を抑える仕組みにかかわっていました。治療薬の開発につながると期待されます。

 糖尿病患者の大半は、2型糖尿病。小児期に発症し、ウイルスや免疫異常で膵臓の細胞が破壊されてインスリンを作れなくなる「1型糖尿病」とは違い、生活習慣が主な原因です。

 京大ウイルス研究所のグループは、遺伝子の異常で肥満になるマウスに注目。この肥満マウスは、インスリンの分泌が悪くなるだけでなく、インスリンが効きにくくなって2型糖尿病とそっくりな症状が出ます。

 この肥満マウスでTBP2という遺伝子の働きをなくしたところ、肥満になってもインスリンの分泌が減らず、インスリンが効きにくくなることもなく、血糖値も上がりませんでした。このTBP2は、インスリンの分泌にブレーキをかける分子の働きを調節していることが判明しました。

 これまでに知られていなかったインスリン分泌を制御する仕組みとみられ、増谷准教授は「TBP2の働きを抑える新しい糖尿病治療薬が開発できる可能性がある」と話しています。

 2型糖尿病は、インスリン分泌が低下しやすく糖尿病になりやすい体質を持っている人に、過食、運動不足、肥満、ストレス、加齢のほか、発熱、過労、手術、薬の服用、ほかの疾患の影響、妊娠など、インスリンの作用を妨害するような引き金が加わって発症するタイプです。

 日本人の糖尿病の約9割がこのタイプに当てはまり、生活習慣病の一つとされています。この2型糖尿病では、親や兄弟にも糖尿病にかかっている人がいることが多く、遺伝的要素が強く関係していると見なされています。

 過食など発症の引き金となる複数の因子の中では、とりわけ肥満が深く関係しています。調査によると、2型糖尿病患者の約3分の2は、現在肥満であるか、過去に肥満を経験しています。実際、肥満者ではインスリンの血糖低下作用が弱まっていることも、明らかにされています。

 2010年11月28日(日)

 

■医薬分業が進行中 薬剤師から処方薬の説明を受ける人が増加

 処方薬の説明を薬剤師から受けた人がこの10年ほどで大幅に増え、医薬分業が確実に進んでいることが、製薬企業で組織する「くすりの適正使用協議会 」のインターネット調査で判明しました。

 調査はほぼ5年ごとで、今年が3回目。7月から8月にかけて実施し、全国の20~60歳代の成人男女1500人から回答を得ました。

 処方薬の説明を受けた人の割合は92パーセントで、1999年の87パーセント、2005年の93パーセントとほぼ同水準。しかし、このうち「十分に受けた」と答えた人は47パーセントで、99年の28パーセント、05年の44パーセントより増えました。

 説明した職種(複数回答)は、薬剤師が83パーセント、医師が42パーセント、看護師が10パーセント。薬剤師が99年の57パーセント、05年の69パーセントから大幅に増える一方、医師や看護師は減少傾向が続きました。

 処方薬の説明方法は、印刷物を利用しての説明が約80パーセントを占め、口頭のみは20パーセントにとどまりました。その処方薬の説明用紙の必要性は、71パーセントが必要とし、67パーセントが「家に帰ってから確認できる詳しい内容のもの」を希望しています。処方薬の説明内容で役立つ情報は、薬の作用(効き目)65パーセント、使用方法35パーセント、副作用31パーセントと続きました。

 また、平成24年度から中学校で「医薬品教育」の授業が義務となることを「知っていた」はわずか4パーセントでしたが、医薬品の適正使用の基礎を早期教育する「授業で必要と思うことは」という質問に対しては、「効果と副作用の兼ね合いを理解して用いること」、「使用説明書を読んで理解し、指示通り使用すること」、「使用中、いつもと違う症状が出ないか注意、観察すること」の回答がそれぞれ5割以上を占めました。

 2010年11月27日(土)

 

■住宅用火災警報器の普及率が上昇 住宅被害が半減し、死者も減少

 総務省消防庁が刊行している2010年版の消防白書が26日の閣議で配布され、住宅用の火災警報器が全国の過半数の世帯に設置され、被害軽減の効果が見えてきたことが盛り込まれました。設置によって住宅の被害が半減し、火災による死者も減少しています。

 消防法によりすべての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務付けられ、来年6月の既存住宅への全国的な適用まで半年余り。「住宅火災による死者数を半減する」という目標達成には、警報音が聞こえない聴覚障害者らへの対策が課題になります。

 消防庁には今年になって、住宅用の火災警報器が効果を発揮した事例が約120件寄せられており、隣の家の警報音に気付き、開いていたドアから入ってガスを止めて火災を防いだケースなども報告されています。

 消防白書によると、火災警報器の普及率は6月現在で58パーセント。住宅火災による死者は、2005年の1220人をピークに減少傾向に転じています。

 消防庁が2007~09年の失火を原因とした約4万4000件の住宅火災を分析した結果、100件当たりの死者数は設置していなかった場合の7.5人に対して、設置していた場合は4.7人でした。損害額や焼失面積も、設置していた場合はほぼ半減していました。

 住宅火災による年間死者数は03年から1000人を超え続けています。高齢者の増加が一因とみられ、6割が逃げ遅れによるもの。国は04年に消防法を改正し、住宅への警報器の設置を義務付けました。すでに06年6月1日より、新築住宅については全国的に適用されています。

 義務化は、設置率が90パーセントを超えたアメリカで死者が半減したことを重視しました。1970年代後半のアメリカでは火災によって約6000人の死者が発生していましたが、警報器の普及率の上昇に伴って死者数が減少し、近年では死者数が3000人弱という効果が現れています。

 普及が進む一方で、警報音が聞こえない耳が不自由な人への対策が課題。音だけの警報器は1台4000円程度からありますが、ストロボなど光も発するタイプは2倍以上の値段になります。聴覚障害者の家庭への設置率は2パーセント程度にとどまるとされるため、消防庁は財政的な支援とともに光や振動、においなどによる警報器の在り方の検討を始めています。

 東京理科大学の菅原進一教授(建築防災学)は、「お年寄りや体の不自由な人は、避難するのに時間がかかる。スプレータイプの簡単な消火道具を近くに置いたり、近所の人がどう避難を手伝ったりするかなど総合的な対策が必要だ」とコメントしています。

 2010年11月26日(金)

 

■厚労省がアルツハイマー治療薬の2種類目を承認 抗がん剤使用には注意喚起

 厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の部会は24日、アルツハイマー型認知症の進行を抑えるヤンセンファーマの「ガランタミン」(商品名・レミニール)について、「承認して差し支えない」との結論をまとめました。上部組織の薬事分科会への報告を経て、最終的に承認される見込み。

 国内で承認されているアルツハイマー型認知症治療薬はエーザイの「アリセプト」しかないため、海外ではすでに承認されていて実績のあるガランタミンや、第一三共の「メマンチン」(商品名・メマリー)などについて、日本神経学会など関連の学会が早期承認を求めていました。

 アルツハイマー型認知症は、主に初老期から老年期に発症し、記憶力低下、行動の変化、さらには言語障害や運動機能障害へと進行する脳の変性疾患。発症のメカニズムはいまだ解明されていませんが、発症者の脳内では記憶と学習に関与している神経伝達物質アセチルコリンが減少していることがわかっています。

 このアセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の働きを妨げる薬がガランタミンやアリセプトで、脳内アセチルコリン濃度を高め、アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑制します。病態そのものを治す薬ではありません。

 ガランタミンなどとは異なり、脳の神経細胞が壊れるのを防ぐ働きのあるメマンチンについても、次回の薬事分科会で議論することになりました。

 また、厚生労働省は、抗がん剤の「イレッサ」(商品名・ゲフィチニブ)と「タルセバ」を使った計5人の患者が肝不全や腎不全で死亡していたことがわかったため、使用上の注意を改めるよう製薬会社に指示しました。

 厚労省によると、2007年4月~今年7月、イレッサを使った3人に肝不全が起こり、副作用の可能性が否定できないとの報告がありました。そのうち80歳代の男性1人が使用の14日後に肝不全になり、2日後に死亡したといいます。胃や腸などに穴が開いたり、出血したりするケースも計7人から報告がありました。

 07年12月~今年5月には、イレッサと同様の作用を持つタルセバを使用した肺がん患者7人に、腎不全などの腎機能障害が起きたとの報告がありました。そのうち70~80歳代の男女3人が死亡しました。それとは別に、消化管潰瘍と消化管出血を併発した患者7人の報告があり、うち70歳代の男性1人が死亡したといいます。

 2010年11月25日(木)

 

■ノロウイルス患者が全国で増加 さらに流行拡大の恐れ

 嘔吐や下痢を繰り返す感染性胃腸炎の患者が、佐賀県を除く46都道府県で増加していることが、国立感染症研究所の集計で24日に判明しました。ノロウイルスがほとんどの原因とみられます。

 全国約3000の小児科から報告された患者は、14日までの1週間で1医療機関当たり7・7人と4週連続で増加。この時期としては、過去10年で最も多かった2006年の11・3人に次ぎます。

 同研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は、「流行はさらに拡大する可能性が高い」としており、予防のために手洗いの徹底などを呼び掛けています。

 都道府県別では、大分県が1医療機関当たり30・2人と最も多く、山形県23・0人、新潟県19・5人、山口県17・5人、長崎県15・3人、福岡県14・5人、山梨県11・8人の順。

 感染性胃腸炎は1年を通して発生しますが、ノロウイルスが乾燥や寒さに強いことから、冬場の11月から3月にかけて最も多く発生し、患者の便や嘔吐物などを介して広がります。特に、保育園、幼稚園、学校、老人福祉施設などで発生した場合は、集団発生につながることがあります。

 予防には、せっけんでしっかり手洗いをすることが重要で、嘔吐物や便などを処理する場合は周囲に広がらないように注意し、ふき取った場所を塩素系消毒剤で消毒するのが効果的。

 2010年11月24日(水)

 

■看護職員、2011年は5万6000人不足 厚労省推計

 2011年に看護師や助産師などの看護職員は140万人余りが必要なのに対し、実際には135万人弱にとどまり、約5万6000人不足する見通しであることが22日、厚生労働省のまとめでわかりました。

 その後は看護職員の増加で不足数は少なくなるものの、15年でも約1万5000人不足するといいます。同省は新卒者の離職防止や、子育てなどで退職した看護職員の再就業の支援を検討します。

 同省は8月から9月にかけて、全都道府県に聞き取り調査を実施。22日に開いた「第7次看護職員需給見通しに関する検討会」で、11~15年の5年分の見通しを示しました。短時間勤務の看護職員が増加しているため、常勤換算で算出しました。

 看護職員需給見通しによると、看護職員は11年に病院で89万9800人、診療所で23万2000人のほか、介護保険関連で15万3300人など140万4300人必要になります。一方、実際の看護職員は新卒分が4万9400人、退職後の再就業分で12万3000人増加するものの、退職などで14万4600人減少する見込みで、就業者は134万8300人にとどまるといいます。

 15年には需要は150万900人まで増えますが、再就業分の増加などで就業者は148万6000人となり、不足分は1万4900人まで縮小する見通し。

 ただ、高齢化と医療技術の進歩などで看護職員の需要は高まっており、検討会では実人員ベースで25年に最大199万7000人が必要となるが、約20万人不足するという同省研究班の長期的な需給見通しも提示。結婚や出産などで退職したままの潜在看護職員は数十万人に上るとみられ、同省は近く検討会でまとめる報告書を受け、必要な看護職員の確保策を強化します。

 2010年11月23日(火)

 

■多剤耐性緑膿菌に10人感染 東大病院

 東京大学病院(東京都文京区)は22日、9月下旬から11月中旬にかけて入院患者10人から複数の抗生剤が効かない多剤耐性緑膿(りょくのう)菌が検出され、うち5人が死亡していたと発表しました。

 死亡したのは40~70歳代の男性3人と女性2人で、9月下旬に1人、10月中旬に2人、11月上旬と中旬に各1人。死亡との因果関係は、現時点ではわからないといいます。

 10人は、重症の血液のがんの治療などで入院していました。死亡した5人のうち、3人から検出された菌の遺伝子が非常に似ているため、院内で感染したとみられます。同病院は厚生労働省関東信越厚生局や文京保健所に報告したといいます。

 今後、入院患者の受け入れ制限はしませんが、患者の菌への抵抗力を大きく下げるような治療を制限するといいます。外部専門家で作る調査委員会を立ち上げて、死亡との因果関係などを調べる予定。

 東大病院は、内科や外科など37の診療科と放射線部や救急部など29の中央診療施設があり、日本トップクラスの医療技術を持つ総合病院。1958年に種痘所として設立。病床数は精神病床50床、一般病床1150床などの計1210床。国の機関だった東大が自立性、自主性を高めるため2004年4月、国立大学法人となったのに合わせ病院も法人化しました。

 2010年11月22日(月)

 

■網走刑務所で結核に集団感染 15人が感染、うち3人が発症

 網走刑務所(網走市)は22日、受刑者14人と出所者1人の計15人が結核に集団感染したと発表しました。感染者は30歳代~60歳代の男性で、このうち発熱やせきなどの症状が出た発症者は3人いますが、いずれも快方に向かっています。

 道によると、3月に感染源とみられる40歳代の男性受刑者が肺結核を発症。これを受けて網走保健所が、5月と10月の各1回、受刑者と職員計51人を対象に血液検査を行ったところ、同室だった1人の発症と、12人の感染が確認されました。さらに、8月には出所者が神奈川県内の医療機関を受診し、発症していることがわかりました。集団感染の規模が一定の基準に達したため、発表しました。

 せきなどで感染したことが原因とみられますが、他の感染者も投薬治療の結果、発症の兆候はないといいます。また、約1200人の全受刑者について血液検査をしたところ、新たな感染者は見付かっていません。

 北海道保健福祉部は、集団感染はほぼ終息し、拡大の可能性は低いとみています。刑務所周辺の住民に感染の心配もないといいます。

 同刑務所の鈴木君彦総務部長は、「受刑者の健康状態の把握に努め、適切な対応を講じていく」としています。

 2010年11月22日(月)

 

■乳がん、きれいなまま治せる医師養成 学会設立

 乳がん手術に携わる医師らが術後の乳房の形も考えて治療を行う学会を立ち上げ、25日に設立総会を開きます。学会は「きちんと取って、きれいに治す」を合い言葉に、乳腺外科医や形成外科医らが設立。日本乳癌学会前理事長の園尾博司・川崎医科大教授が理事長を務めます。

 日本人女性の16人に1人が乳がんになり、半数以上が乳房を残す手術を選びますが、変形や傷跡に悩む人も多くいます。女性の乳房へのこだわりを理解し、きれいに治せる医師を養成していきます。

 乳がんになるのは年間約5万人。40歳代後半が最もなりやすく、この20年で倍増しています。早期発見や腫瘍の場所により、乳房温存療法が可能。温存を選ぶ人は現在、全手術の約6割を占めます。

 しかし、一般的に日本人の乳房は小さく、数センチ切っただけでも変形しやすいため、術後にショックを受ける例も多くみられます。学会は、傷跡が目立たず、変形しにくい温存手術法の研究や、身体的負担が少ない手術と乳房再建の同時手術の普及を進めます。将来的には認定医制度も検討しており、各地の乳腺外科への配置を目指します。

 発起人の一人、ナグモクリニックの南雲吉則院長は「乳房を失いたくないと手術を拒否し、亡くなる患者もいる。乳房は美しく生きるには必要不可欠で、その思いに応える医師を養成したい」と話しています。

 2010年11月21日(日)

 

■家族承諾のみで17例目の脳死臓器提供 岐阜の入院男性

 日本臓器移植ネットワーク(移植ネット)は20日、岐阜県高山市の高山赤十字病院に入院中の50歳代の男性が、改正臓器移植法に基づいて脳死と判定され、臓器提供の手続きに入ったことを明らかにしました。

 7月の改正法施行後、本人の意思が書面で残されておらず家族の承諾だけで提供されるのは、17例目に相当します。1997年の臓器移植法施行後、脳死の人からの臓器提供は104例目で、今年21例目。

 移植ネットによると、18日に高山赤十字病院から連絡が入り、家族は同日の午後9時15分に脳死判定と臓器摘出の承諾書を移植ネットに出しました。同病院で男性の脳死判定が行われ、20日午前5時53分に2回目の脳死判定が終わって死亡が確定しました。男性は脳血管の病気で、治療を受けていました。

 移植ネットは連絡を受けてコーディネーターを病院に派遣し、家族は脳死判定や移植までの流れなどについて詳しい説明を受けたとみられます。

 家族が提供を承諾した心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球のうち、心臓は東京大学病院(東京都)で50歳代女性に、片方の肺は福岡大学病院(福岡市)で40歳代女性に、肝臓は東京大学病院で40歳代男性に、腎臓は岐阜大学病院(岐阜市)と静岡県立総合病院(静岡市)でそれぞれ50歳代の女性に提供されます。膵臓と小腸、もう片方の肺は、医学的理由で移植が見送られました。

 移植ネットは移植希望を登録して待機している患者の中から、血液型や緊急度に応じて、それぞれの臓器の移植を受ける患者を選びました。

 2010年11月20日(土)

 

■介護保険料、12年度は月額52000円も 厚労省試算

 厚生労働省は19日、2012年度に実施する介護保険制度改革の財政試算をまとめ、民主党の介護保険制度改革ワーキングチームに提示しました。

 現行制度を続ければ、65歳以上の人が納める介護保険料は12年度に全国平均で月額5200円程度と、現在の4160円と比べ約1000円増えます。しかし、比較的所得の多い高齢者層の利用料(自己負担)を引き上げることなどによって、保険料は685円増の4845円に抑制できるとしています。

 国庫負担や保険料で賄う介護保険の給付費は、自然増を中心に10年度予算の7.3兆円から12年度には8.2兆円に増える見込み。在宅サービスの拡充によって、さらに支出が増えます。この結果、財政試算によれば、個人の保険料は現在より1000円以上増え、5200円程度となる見込み。

 ただ、厚労省は月額5000円を超える保険料負担は高すぎるとして、介護サービスの利用料引き上げや、財政の厳しい市町村を支援する基金取り崩しなど負担軽減策を列挙し、それぞれの効果を試算しています。

 例えば、年収320万円以上の高齢者の介護サービス利用料を現行の1割負担から2割負担に引き上げると、要介護認定者490万人の約6パーセント、30万人の利用料が上がります。これによって、個人の保険料の上昇幅を20円程度抑えられるといいます。在宅サービスを受ける場合に必要な介護計画の作成費用を要介護者に月1000円負担してもらうことでも、20円程度、保険料の上昇を軽減できます。

 このほか、特別養護老人ホームの相部屋を利用する高齢者から新たに月額5000円の室料を負担してもらうことや、介護の必要が薄い人の自己負担を現行の1割から2割へ引き上げる対応策を例示。全部実施すれば、保険料の引き上げ幅を約3分の2に抑えられるとしています。

 厚労省は19日午後開く社会保障審議会で議論した上で、民主党との調整を急ぎ、負担増の項目を決定する方針。

 一方、40歳から64歳までの現役世代のサラリーマンの保険料は、このままだと現在より550円増えて平均で月4890円程度となる見通し。加入する医療保険の加入者数で決まっている負担割合を所得に応じた割合に切り替えると、平均的な大企業のサラリーマン(年収667万円)は、さらに285~428円増えるという試算も出ました。

 2010年11月19日(金)

■日本医大病院で多剤耐性アシネトバクター 救急受け入れを制限

 日本医大病院(東京都文京区)の高度救命救急センターで、入院患者14人から多剤耐性アシネトバクターの菌が検出されていたことが18日、わかりました。うち1人が入院中に死亡しましたが、同病院は「死因は入院時の重篤な疾患によるもので、菌の検出と関連はない」としています。

 菌を持っていた患者12人が現在も入院していることから、感染拡大防止のため、救急センターでの新規の入院患者の受け入れを一時的に制限します。

 同病院の感染制御室によると、10月下旬から菌の検出が増え、今月に入り10人以上になったため、16日に都や文京保健所に報告したといいます。現在入院中の12人は、保菌しているものの、感染症状は認められないといいます。

 詳細な感染経路は不明ですが、短期間に複数の患者から菌が検出されていることから、同病院は院内感染とみており、感染経路について調査しています。

 今回検出された多剤耐性アシネトバクター菌は、カルバペネム系など一部の抗菌剤については、効果が確認されるといいます。

 多剤耐性アシネトバクター菌は一昨年から今年にかけ、帝京大学病(東京都板橋区)や福岡県の福岡大学病院、愛知県の藤田保健衛生大学で集団感染例が複数出たため、本格的な拡大が心配されます。

 2010年11月18日(木)

 

■こんにゃくゼリーに欠陥なし 地裁支部が認定

 兵庫県内の1歳9カ月の男児が2008年、こんにゃく入りゼリーをのどに詰まらせて死亡したのは製品の欠陥が原因として、男児の両親がマンナンライフ(群馬県富岡市)などを相手に、製造物責任(PL)法などに基づき約6240万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が17日、神戸地裁姫路支部でありました。

 中村隆次裁判長は「通常有すべき安全性を備えており、PL法上の欠陥はない」として、両親の請求を棄却しました。こんにゃくゼリーの製造元の責任を巡る判決は初めて。原告側は控訴する方針。

 判決によると、男児は08年7月29日、ミニカップのこんにゃく入りゼリー「蒟蒻(こんにゃく)畑マンゴー味」を祖母から凍らせた状態で与えられて、のどに詰まらせ意識不明の重体となり、同年9月20日に多臓器不全で死亡しました。

 両親は昨年3月に提訴。訴訟で「こんにゃくゼリーは通常のゼリーよりも弾力性が強く、物をかむ力や飲み込む力の弱い子供や高齢者にとっては危険性が増す食品だ」と主張。パッケージ裏面の警告表示は不十分で、同社ホームページに「冷やすとより一層おいしく召し上がれます」と表示されていたことから、消費者がゼリーを凍らせることをマンナンライフ側は予想できたと訴えていました。

 中村裁判長は、「こんにゃくゼリーの冷やすと硬さや付着性が増すなどの特性はこんにゃく自体のもので、通常のゼリーと食感が異なることは消費者も十分認識できた」、「08年当時、ゼリーの危険性は事故報道などを通じて一般の消費者に広く認識されており、外袋には子供や高齢者への注意を呼び掛けるイラスト入りの警告表示があった」などと指摘。「幼児らに与える際には食べやすい大きさに加工するのが通常と考えられる」として、製品にPL法上の欠陥はないと結論付けました。

 判決後に記者会見した原告側代理人の土居由佳弁護士は、「一般消費者がゼリーの特性を認識していたとの認定は間違いで、不当な判決」と話しました。

 一方、マンナンライフ代理人の松坂祐輔弁護士は、「冷静に結論を出してもらった。食物による窒息事故で毎年4000人以上が亡くなっており、そのうちこんにゃくゼリーは(年間)1.7人。国はこんにゃくゼリーだけでなく対策を考えてもらいたい」と話しました。

 国民生活センター(東京)によると、こんにゃく入りゼリーによる死亡事故は1995年から全国で22件発生し、08年に起きた今回の兵庫県の事故が現時点で最後の死亡事例。そのうち、96年の茨城県の男児(当時2歳)、05年の愛知県の女性(同87歳)、07年の三重県の男児(同7歳)の死亡事故もマンナンライフとエースベーカリー(愛知県小牧市)を相手に訴訟に発展しましたが、いずれも和解が成立しています。

 マンナンライフは90年代半ばからカップの形状を変えたり、パッケージに「小さなお子様やお年寄りはよくかんでお召し上がり下さい」などとする警告を表示したりしました。しかし事故は続き、農林水産省は兵庫の事故後の08年9月、全日本菓子協会など業界3団体へ対策強化を指導しました。

 現在、消費者庁がマンナンライフの協力も得ながら、形状や硬さの改善につながる指標づくりを進めています。また、内閣府の消費者委員会は今年7月、「事故防止のため、広範囲に対応できる法整備の検討が必要」と提言しています。 

 2010年11月17日(水)

 

■新規患者の入院受け入れ再開へ 院内感染の帝京大病院

 帝京大病院(東京都板橋区)で起きた多剤耐性アシネトバクターの院内感染問題を調査している外部委員会は16日、受け入れを見合わせていた新規患者の入院と二次救急の患者について、再開を認める意見をまとめました。同病院は近く、受け入れを再開します。

 保菌者はまだ数人おり、ほかの患者と異なる病棟の個室に入って感染が広がらないよう管理された状態ですが、病院全体がほぼ全面的に機能を回復します。

 16日に開かれた外部委員会の会合後、記者会見した委員長の岡部信彦国立感染症研究所センター長は、「病院内で感染が広がっておらず、水回りや設備などからも菌は検出されていない。職員の研修も進められ、病棟の再開は妥当と判断した」と話しました。

 同病院は、院内感染を公表した9月上旬から患者の受け入れを制限していましたが、9月末から救命救急センターや総合周産期母子医療センターなどを順次再開していました。

 帝京大病院では昨年以降、多剤耐性アシネトバクターに59人が感染し、34人が死亡。うち少なくとも9人は感染との因果関係が強く疑われました。

 2010年11月16日(火)

 

■インフルエンザ患者、3週連続で増加 多くはA香港型

 国立感染症研究所は12日、全国約5000の医療機関を対象にしたインフルエンザの定点調査で、最新の1週間(11月1日~7日)の新規患者数が1医療機関当たり0・2人(患者報告数942人)となり、3週連続で増加したと発表しました。

 流行開始の目安とされる1人には達していませんが、今シーズンは季節性のA香港型ウイルスの検出が多く、新型インフルエンザとA香港型が両方流行する可能性があります。

 都道府県別では北海道が1・5人で最も多く、次いで徳島県0・87人、沖縄県0・6人、茨城県0・36人、群馬県0・34人、高知県0・31人、岐阜県0・28人、神奈川県0・27人、愛媛県0・26人の順となっています。

 警報レベルを超えている保健所地域は、認められていません。また、注意報レベルのみを超えている保健所地域は、直近の2週間連続して北海道浦河保健所管内が存在していましたが、最新の1週間には注意報レベルを下回り、他の地域も含めて認められませんでした。

 検出されたウイルスは、最近5週間ではA香港型が約75パーセント、新型は約21パーセントで、残りがB型でした。

 A香港型は、高齢者が感染すると重症化することが多く、特に高齢者施設での感染対策が必要とされます。今月6日には、秋田県北秋田市の病院でA香港型による集団感染が判明し、入院患者8人が死亡しました。

 厚生労働省は、「まだ本格流行とはいえないが、昨年と同様に手洗いやワクチン接種などの対策を取ってほしい」と呼び掛けています。

 2010年11月15日(月)

 

■お金が足りずに医療が受けられないケースが増加 医療機関調査

 患者の経済的な理由から治療を中断したり、中止したことがあるという病院や診療所が4割に上ることが、全国保険医団体連合会(保団連)の全国調査でわかり、11日発表しました。患者が検査や薬を断ることもあり、保団連では「国民生活の困窮が第一線の医療に現れている」とみています。

 今年5~10月、歯科を含む会員の病院や診療所に調査票を送り、9677カ所から回答を得ました。「この半年間に主に患者の経済的理由で治療を中断または中止した事例がある」という医療機関は38.7パーセント。「医療費負担を理由に検査や治療、投薬を断られたことがある」は43.1パーセント、患者の負担分について「未収金がある」は48.2パーセントでした。

 治療中止は、糖尿病、高血圧、気管支ぜんそく、うつ病など継続した治療が必要な病気で起きていました。「原因不明の体重減少で病院を紹介したが受診せず死亡」とか、「脳梗塞の後遺症で寝たきりだったが、金銭的に大変なので往診を月1回だけにといわれ、今夏に熱中症で死亡」などの事態も起きていました。

 「いくらかかりますかと診察中にたびたび聞かれる。5年前は全くなかった」、「1000円以内でお願いしますといわれた」という回答もありました。

 保団連の住江憲勇会長は、「必要な時に十分な医療が受けられることが求められる。患者の窓口負担の大幅軽減が必要だ」と語っています。

 なお、全国保険医団体連合会は、日本の各都道府県に設立されている保険医協会が加盟する全国組織。1969年の結成で、医師・歯科医師10万3000人の開業医が加入。2大目的として、「開業医の医療、経営を守ること」および「社会保障としての国民医療を守ること」を掲げ、運動しています。

 2010年11月14日(日)

 

■ムーコル症の院内感染の疑い 千葉県で白血病患者3人が死亡

 千葉県は12日、同県市川市の東京歯科大学市川総合病院の同じ個室に入院した急性白血病の患者3人が、5月から10月までに相次いで死亡し、ムーコル真菌というカビによるムーコル症の院内感染の疑いがあると発表しました。

 ムーコル症は、カビの胞子を吸い込むことで、肺や鼻、脳などを侵す感染症。ムーコル真菌は空気中に浮遊す常在菌のため、健康な人には影響がほとんどありませんが、白血病などで免疫機能の低下した人や、血糖管理の不十分な糖尿病の人が感染すると、重症化して死に至ることも多いとされます。

 県の医療整備課の説明によると、死亡したのは30歳代の女性と、40歳代と70歳代の男性。女性は4月に入院し約1カ月後に死亡、その後の検査でムーコル真菌が見付かりました。40歳代の男性は6月に入院して約1カ月後に退院しましたが、骨髄移植のための転院先で9月にムーコル真菌が検出されて10月に死亡しました。70歳代の男性からは検出されていませんが、症状からムーコル真菌による感染の疑いが強いと判断したといいいます。

 直接の死因は、男性2人は別の感染症とみられますが、女性についてはムーコル症が死因の可能性があるといいます。個室となっている同一の病室は現在、閉鎖されています。

 病院側が調べたところ、この個室のエアコンのフィルターにたまったほこりと、個室とつながる廊下の空気からムーコル真菌が検出されました。

 10月1日に病院側から千葉県に届け出があり、同5日に県が立ち入り検査しました。今後も院内感染対策について、立ち入り検査で確認していく方針。

 2010年11月13日(土)

 

■女性、ご飯1日3杯で糖尿病リスク高まる 医療機関が追跡調査

 1日にご飯を3杯以上食べる日本人女性は糖尿病の発症率が高いという研究結果を、国立国際医療研究センター研究所のグループが12日、まとめました。  

 男女約6万人を追跡調査した結果で、1日に茶わん3杯を食べる女性のリスクは1杯程度の1・48倍、4杯だと1・65倍でした。ご飯にアワやヒエなどの雑穀を混ぜない場合は、リスクはより高まりました。男性も同様の傾向でしたが、明確な差はありませんでした。

 岩手、長野、茨城、沖縄など8県在住の45~74歳の男女約6万人を10年間追跡した調査で、このうち男性625人、女性478人の合計1103人が糖尿病を発症。女性では、1日に食べるご飯の量が茶わん1杯(140グラム)より少し多い(165グラム)から4杯(560グラム)まで、4グループに分けて糖尿病発症のリスクを分析しました。 炭水化物を多量に摂取すると発症率が高まることは知られていますが、米食と糖尿病との関連を大規模に調べたのは初めて。

 ただし、1日に1時間以上の肉体労働や激しいスポーツをする人では、食べた量と糖尿病の発症率に関係はみられませんでした。男性の場合は、運動しない人の発症率が高まる傾向にありました。

 研究グループは、米を精白する過程で、糖尿病予防によいとされる食物繊維やマグネシウムが失われることなどが影響しているとみており、南里明子研究員は「ご飯に雑穀を混ぜたり副菜などで食物繊維を摂取して、血糖値の上昇を抑えたりする工夫が大事で、糖尿病予防には運動も重要だ」と話しています。

 2010年11月12日(金)

 

■米、たばこの箱に死や病気を連想させる写真 12年に義務化へ

 米食品医薬品局(FDA)は10日、喫煙による健康被害を伝えるため、汚れた肺や、煙に巻かれそうになっている子供などの写真やイラストを載せた36種類の新たなたばこパッケージ案を発表しました。

 たばこ規制法に基づく施策の一環で、一般から意見を募集して来年6月までに9種類を選定し、2012年秋から国内で販売するたばこに表示を義務付ける方針。その後、米国内では写真なしでたばこは販売できなくなります。

 「喫煙はがんの原因になる」、「喫煙はあなたを殺す可能性がある」、「たばこは子供に害を及ぼす可能性がある」との警告文も大きく明示。たばこの吸いすぎで汚れた肺や後退した歯茎など、ショッキングな写真がパッケージの前面と後面の上半分に大きく配置されています。受動喫煙によって、子供やたばこを吸わない人に健康被害が及ぶことも警告しています。

 米国では年間約44万人が喫煙が原因で死亡しているとみられ、未成年の喫煙も問題になっています。FDAは、「毎日、4000人の若者がたばこを口にしようとし、1000人が毎日吸うようになっている。新政策は子供や一般大衆を守る重要な一歩だ」、「たばこの悪影響を減らすためには、ある程度明確で、身震いするような絵が必要になる」との声明を発表しました。

 米国では2009年、たばこの製造や販売を大幅に規制する権限をFDAに付与する初の包括的なたばこ規制法が成立しました。

 2010年11月11日(木)

 

■イレッサ初回投与を推奨 肺がん治療の指針を改定

 日本肺癌学会は19日までに、進行した非小細胞肺がんの治療について、患者の検体に特定の遺伝子変異があれば、初回治療から治療薬イレッサ(一般名ゲフィチニブ)の投与を検討するよう、医師向けの治療指針を改定することを決めました。

 肺がん患者の約3割が対象になるとみられますが、前提として、抗がん剤治療を受ける患者には、原則として遺伝子検査の実施を推奨します。

 イレッサは2002年の発売当初、劇的な効果がある一方、副作用の間質性肺炎による死亡者も相次ぎ、社会問題化しました。現在は、抗がん剤治療に十分な経験のある医師が使うようになり、副作用による死亡は減っています。

 従来の治療指針では、ほかの抗がん剤で効果がなかった場合の2番手以降の選択肢として位置付けられていた薬ですが、早くから使ったほうが治療成績がいいことがわかったといいます。学会は2004年12月~2009年8月に、発表された各国の文献を検討し、遺伝子変異があるケースでは、最初からのイレッサの投与が生存期間の延長に効果的との知見が得られたとしています。

 日本肺癌学会理事の弦間昭彦日本医大教授は、「一部の患者に対しては、イレッサ投与の妥当性が確立された」と話しています。

 イレッサを使うのは、手術が難しいほど進行した非小細胞肺がんの患者が対象。遺伝子検査で、がんの増殖にかかわる遺伝子(EGFR)に変異があると確かめられた場合、最初から使うことを推奨しました。変異がある人は肺がん患者の約3割で、50歳以下の女性では半数に上ります。 肺がんによる死者は、がんの中で最も多い年間約7万人で、非小細胞肺がんの患者は推定約5万人。

 新しい治療指針によると、進行した非小細胞肺がんの患者について、一律に遺伝子変異の有無を確認。変異がある患者で、歩行や身の回りのことが自分でできる程度に全身状態が良い人については、初回治療からイレッサ投与を検討します。

 2010年11月10日(水)

 

■乳幼児の誤飲、親の76パーセントが経験 東京都、防止目指し冊子作成

 2000人を対象とした東京都のアンケート調査で、乳幼児がシールや医薬品などを誤飲したり、しそうになったという経験を持つ親が76パーセントに上ることが9日、わかりました。

 東京都は防止策や応急手当ての要点をまとめた冊子を作成し、注意を促しています。厚生労働省によると、自治体による誤飲対策は珍しいといいます。

 アンケート調査は7月、0~6歳の子を持つ親を対象にインターネットで実施し、1512人から5801件の実例が寄せられました。誤飲したもので最も多かったのは、包装紙やティッシュなど紙類の522件。次いでシール502件、医薬品493件、たばこ489件、シャボン玉の液414件の順。1歳が最も多い2353件で、0歳1825件、2歳1113件でした。

 このうち医療機関で受診したのは、たばこ46件、医薬品23件、ビー玉8件、シール7件などでした。

 「おもちゃに張られていたシールを飲み込んで顔が紫色になり、親が口に手を入れて吐き出させた」(1歳)、「シロップの風邪薬2日分を全部飲み込んだ」(3歳)、「乾電池がのどに詰まり、取り除く手術を受けた」(1歳)といった危険なケースを含めた具体例が寄せられ、都の担当者は「シールやポリ袋がのどに張り付いたとの回答が意外に多い」と注意を呼び掛けています。

 都は保護者向けの冊子(A4判8ページ)を4万部作り、10月下旬に保育所などで配り始めました。吐かせる方法を漫画で紹介し、応急手当ても掲載。「間違った手当で症状が悪化する恐れがある」と、担当者は話しています。

 10月からは工業デザインや育児の専門家らによる協議会で、誤飲しにくい医薬品用容器の活用方法も検討しています。欧米では、両わきを押しながら回さないと開かないキャップなど、子供が開けにくい容器が実用化されています。都は今年度中に対策内容をまとめ、国などに提言する予定。 

 保護者向けの冊子は、東京都のホームページの「暮らしと住まい」から「くらしの安全情報サイト」を開き、新着・更新情報から閲覧することもできます。

 2010年11月9日(火)

 

■インフルエンザ 北海道と沖縄で流行開始の兆し

 インフルエンザの流行開始の兆しが、北海道と沖縄県で見られることが国立感染症研究所の調査でわかりました。ウイルスの型は、新型の豚インフルエンザがほとんどだった昨季と異なり、今季は今のところA香港型が多いとされます。

 感染研が11月5日にまとめたデータでは、最新の1週間(10月25日~31日)にインフルエンザ症状で医療機関を受診した人は、全国約5000のインフルエンザ定点1医療機関あたり0.15(728人)と少ないものの、2週連続で増加しました。都道府県別でみると、北海道1.06、沖縄県1.02、岐阜県0.49、青森県0.42、宮崎県0.36、宮城県0.20、千葉県0.17の順となっています。

 北海道と沖縄県で、流行開始の目安となる1を超えました。警報レベルを超えている保健所地域は認められていませんが、北海道浦河保健所管内が15.00と注意報レベルの10を超え、4.38の同苫小牧保健所管内なども流行に入っています。

 感染研の感染症情報センターの安井良則・主任研究官によると、寒さが厳しくなる北海道や東北地方は他の地域より流行入りが早く、11月、12月は要注意といいます。

 ウイルスの型は、A香港型の検出数が138と全体の3分の2を占め、新型の検出数は65、その他は9。

 田代真人・感染研インフルエンザウイルス研究センター長によると、A香港型は、昨年からウイルス抗原が変異し、免疫を持たない人が多いとみられ、注意が必要といいます。安井主任研究官は、「A香港型は、地域の流行が高齢者施設にも広がり、過去に集団発生の例がいくつかあった。高齢者は肺炎などを引き起こすことが多いので、感染対策が必要だ」と話しています。

 感染研の調査では、全国約5000のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者数を週ごとに把握しています。過去の患者発生状況をもとに設けられた基準値から、保健所ごとにその基準値を超えた場合に、注意報レベルや警報レベルを超えたことを知らせる仕組みになっています。これらはあくまで流行状況の指標であり、都道府県として発令される警報とは異なります。

 2010年11月8日(月)

 

■インフルエンザ集団感染で6人死亡  北秋田市の病院

 秋田県北秋田市綴子(つづれこ)の医療法人社団博愛会・鷹巣病院で、49人がインフルエンザに集団感染し、10月31日から今月5日にかけて、入院していた60~90歳代の男女6人が死亡したと県が6日、発表しました。

 秋田県によると、いずれも季節性のA香港型とみられます。5日現在で、入院患者25人と病院職員8人の計33人がインフルエンザの症状を訴えていますが、重篤患者はいないといいます。

 10月31日に80歳代男性が死亡、今月2日には90歳代と60歳代の男性、70歳代女性の計3人が死亡。さらに、4日に80歳代女性、5日に80歳代男性が相次いで亡くなったといいます。

 2日になって、ようやく鷹巣病院から、「先月27日以降、高熱やせきなどインフルエンザとみられる症状の患者が49人発生している。うち4人が死亡した」と北秋田保健所に連絡があり、感染疑いのある人の隔離などを指導。4、5日にも立ち入り調査を実施したといいます。県健康環境センターが患者1人の検体を詳細検査した結果、6日に季節性のA香港型と確認されました。

 死亡した6人は10月29日、ほかの入院患者らとともにインフルエンザワクチンの予防接種を受けました。発症後は、タミフルを服用したといいます。

 6日にも80歳代の男性が1人死亡しましたが、インフルエンザの簡易検査では陰性でした。

 鷹巣病院は1967年の開設で、職員約50人。精神科のほか、心療内科、内科もあり、ベッド数は144床といいます。

 県の担当者は、「病院に対し、外来患者の診療や外部からの訪問を自粛するよう指導している」と話しています。

 全国約5000の定点医療機関からインフルエンザの報告を集計している国立感染症研究所によると、今年はこの時期としては平成12年以降で3番目に多い患者数となっています。

 同研究所感染症情報センターの安井良則主任研究官は、「全体としてはまだ低いレベルだが、流行が起きているとみられる地域もある。流行が早く始まる可能性があり、ワクチン接種を予定している人は早めに受けてほしい」と呼び掛けています。

 2010年11月7日(日)

 

■薬局のヒヤリ・ハット事例で初の集計 種類、量の間違いなど1460件

 薬剤の取り違えなどで、一歩間違えば医療事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」が、全国1774軒の薬局から昨2009年4~12月に1460件報告されていたことが、財団法人・日本医療機能評価機構による初の調査でわかりました。報告は氷山の一角とみられ、治療が必要になる例もあったため、同機構は注意を呼び掛けています。

 全国に約5万3000軒ある薬局のうち、1774軒の協力を得て調べました。同機構は2009年4月から調査していますが、薬局だけの事例をまとめるのは初めて。

 薬の取り違えや数量間違いなど「調剤」の際に起こった事例が、1343件(92パーセント)と大半を占めました。このうち、最も多かったのは、薬を週単位で患者に渡し間違えるなど「数量の間違い」が590件、次いで錠剤とカプセルを間違えるなどの「規格・剤形の間違い」が216件ありました。見た目や名称が似ている薬を間違える「薬剤の取り違え」も181件ありました。

 そのほか、「調剤忘れ」、「分包間違い」、「記載間違い」、「充填間違い」、「期限切れ」などの事例も報告されました。

 実際に間違ったまま、患者の手元に渡った事例も全体で368件(25パーセント)あり、軽い治療が必要になる例も7件あったといいます。

 薬剤の取り違えでは、販売名の頭文字が2文字以上一致している事例が41件あったといいます。例えば、混合ビタミン剤の「ノイロビタン」を渡そうとして、解熱鎮痛消炎剤の「ノイトロピン」を出したり、血圧を下げる「プレラン」を渡そうとして、アレルギー症状などに処方される副腎皮質ホルモン「プレロン」を出しそうになる例がありました。薬品棚に一緒に並べていたことなどが、原因とされます。

 事例の発生要因では、「確認を怠った」が最も多く、次いで「勤務状況が繁忙だった」、「技術・手技が未熟だった」などと続いています。

 日本医療機能評価機構では、「多くの事例を共有して、再発防止につなげていきたい」としています。

 2006年6月に医療法が改正され、薬局は病院などと同じく「医療提供施設」として位置付けられ、医薬品の安全使用と管理のための体制整備が義務化されました。現在、外来患者の半数以上が薬局で調剤を受けていますが、病院などにおける調剤所とは異なり、薬局には複数の医療機関(診療科)の受診による重複投与や相互作用、一般用医薬品や薬局製剤など医療用医薬品以外の医薬品の販売、先発医薬品から後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更などで、ヒヤリ・ハット事例を起こしかねない特徴があるといわれている。

 2010年11月6日(土)

 

■来年9月から使い捨てライター販売規制へ 経産省が発表

 子供による火遊び事故が多発している使い捨てライターを、第三者機関の検査が義務付けられている消費生活用製品安全法の「特別特定製品」に追加する政令が5日、閣議決定されました。

 子供でも点火できる従来型の「100円ライター」や、音や光が出たり人気キャラクターが印刷されたりして子供の興味を引くライターなどは、来年9月27日から販売が禁止されます。ブランド品などの高級品は除外しますが、年間約6億個流通しているライターの9割以上に規制の網がかかることになります。

 経済産業省によると、レバーを重くした点火ボタンや、2カ所を同時に押すなど操作の複雑化で、子供の使用を困難にさせる「チャイルドレジスタンス(CR)機能」について国内外の試験機関でテスト。安全基準に合格したことを示す「PSCマーク」が付いていない製品は、販売できなくなります。

 PSCマークのPはProduct(製品)、SはSafety(安全)、CはConsumer(消費者)を表します。PSCマークには特定製品と、特に安全性が強く求められる特別特定製品があり、特定製品には丸いPSCマーク、特別特定製品にはひし形のPSCマークを付けます。

 ライターを特別特定製品に追加する政令は、今年12月27日に施行され、9カ月間の経過措置がとられます。

 経産省は、ライターによる子供の火遊び事故が多発しているとして、昨年12月、規制について消費経済審議会に諮問。同審議会は今年6月、特別特定製品に指定するように、経済産業相に答申していました。

 2010年11月5日(金)

 

■認知症治療薬、1つのまま 日本神経学会が8年ぶりにガイドライン改定

 日本神経学会など6学会が、認知症疾患治療ガイドラインをまとめました。2002年以来の改定ですが、アルツハイマー型認知症に使える薬は従来と同じ「アリセプト」1つだけで、薬以外の対応策の情報を充実させました。海外では、ほかに3つの薬が広く使われています。日本は薬の導入体制が遅れているという問題も、改めて浮き彫りにしました。

 認知症患者は全国に約220万人。25年後には330万人を超えると推計されます。

 国内でアルツハイマー型認知症の薬として承認されているのは、エーザイ(東京都文京区)が開発し1999年に発売したアリセプトしかありません。海外では、アリセプトと同様に脳内の神経に情報を伝える物質の分解を抑える「ガランタミン」と「リバスチグミン」、脳の神経細胞が壊れるのを防ぐ働きのある「メマンチン」が使われています。

 日本でもようやく今年、この3薬について薬事法に基づく製造販売の承認申請がされました。審査には1年ほどかかるため、ガイドラインは認知症の早期診断や予防法など薬以外の対応を幅広く採り上げました。3薬は有効性を示す科学的な裏付けがあるとし、「本邦未発売」と但し書きで紹介しました。

 ガイドライン作成の責任者、中島健二鳥取大教授(脳神経内科学)は、「限られた治療法の中で最善の治療をするための指針として医療現場で活用してほしい」と話しています。

 アルツハイマー型認知症は、主に初老期から老年期に発症し、記憶力低下、行動の変化、さらには言語障害や運動機能障害へと進行する脳の変性疾患。発症のメカニズムはいまだ解明されていませんが、発症者の脳内では記憶と学習に関与している神経伝達物質アセチルコリンが減少していることがわかっています。

 このアセチルコリンを分解する酵素(アセチルコリンエステラーゼ)の働きを妨げる薬がアリセプトで、脳内アセチルコリン濃度を高め、アルツハイマー型認知症の症状の進行を抑制します。病態そのものを治す薬ではありません。

 1999年の日本国内での販売に先立ち、1997年から米国で販売が承認され、その後、世界各国で販売が承認されています。すでに、米国や日本では軽度、中等度に加えて高度のアルツハイマー型認知症まで、すべてのステージのアルツハイマー型認知症治療薬として承認されています。

 2010年11月4日(木)

 

■難聴起こすサイトメガロウイルスに、新生児300人に1人感染

 胎児の時に感染すると難聴や脳に障害が起きる危険性のあるサイトメガロウイルスに、新生児300人に1人の割合で感染していることがわかりました。厚生労働省の研究班が、新生児2万人以上を対象に国内初の大規模な調査をしました。

 サイトメガロウイルスに抗体のない妊婦が感染すると、胎児に感染することがあります。通常は幼児期に感染し抗体がありますが、最近は抗体のない妊婦が3人に1人程度と増えています。胎児の感染も増加する可能性があります。

 研究班は、全国25施設で生まれた新生児2万1272人(2010年7月末時点)を調査。尿を採取してウイルスの有無を検査し、66人が陽性と判明しました。幼児期に感染しても症状が出ず、胎内感染でも多くは発症しませんが、うち15人に難聴や脳の発達異常など典型的な症状が見られました。

 今回の調査で陽性だった新生児のうち47人を調べたところ、31人は上に兄か姉がいて多くから同じウイルス株が見付かりました。自然に感染した上の子から、妊娠中の母親が初感染し、それが胎児に感染したと推測されるといいます。

 この抗体を持っている妊婦の割合は、年々低下しています。1986年の国内での調査報告では96パーセントが抗体を持っていましたが、今回調査した妊婦4306人のうち、確実に抗体があるのは66パーセントでした。衛生環境の改善などで、幼児期の感染が減ったためと見なされます。

 研究班は、先天性感染児への治療ガイドラインも検討。抗ウイルス薬を6週間投与することで改善する例もあり、難聴も早期に発見し補聴器をつけることで言語発達への影響を少なくできるといいます。

 研究班代表の古谷野伸・旭川医科大講師は、感染したばかりの乳幼児の尿や唾液にはウイルスが多く含まれているため、妊婦はおむつを取り替えた後には手洗いし、口移しやキスなどを避けるよう呼び掛けています。サイトメガロウイルスは、同様に胎児に母子感染症を起こす風疹などとは違い、感染しても妊婦にはっきりした症状がないため気付きにくいという特徴があります。

 古谷野さんは、「これまで難聴などの障害があっても原因がわからず、遺伝的な病気と悩んでいた家族もいたが、サイトメガロウイルスが原因の場合も多い」と指摘しています。

 2010年11月3日(水)

 

■小麦入りせっけんでアレルギーの報告相次ぐ 厚労省が表示を義務化

 厚生労働省は、小麦成分の入った医薬部外品や化粧品について成分表示をメーカーに義務付ける通知を出しました。小麦の成分が入ったせっけんや化粧品を使い続けて食物アレルギーを起こした例があったためで、かゆみや刺激を感じた場合には、使うのを控えるよう表記することも求めました。

 厚労省によると、今年9月からの約1カ月間に全国の医療機関から、21件のアレルギー報告がありました。いずれも小麦を分解して作った成分の入ったせっけんを数年間使い続けた人たちでした。

 パンやケーキなどの小麦食品を食べた後に運動すると、手や足にかゆみが出たり全身が赤くなったりする運動誘発性アレルギー症状が現れたケースも複数ありました。血圧低下などの強い反応が出るケースもありました。せっけんの使用を中止すると、症状は治まったといいます。

 30歳代女性の例では、約2年前から小麦成分入りのせっけんを使い続けていました。パンを食べた後、自転車で5分ほど走ったら、手足のかゆみや全身が赤くなるなどのアレルギー症状が出たといいます。

 せっけんやシャンプー、化粧水、毛染めに入れられた小麦成分は、手触りを滑らかにしたり泡立ちをよくしたりします。以前から製品はありましたが、昨年ごろから、アレルギーを起こすことが専門医に知られるようになってきたといいます。「加水分解コムギ」などと表示されています。

 厚労省の通知(10月15日付)は都道府県あてで、製造販売業者に対し、小麦成分を含む商品には半年以内に容器や外箱に成分名などを記載させるよう求めました。

 運動誘発性アレルギーは1万人に1人程度の割合で起こるとの研究がありますが、食品ではなく医薬部外品や化粧品がアレルギーのもともとの原因と推定される事例はまれだといいます。

 2010年11月2日(火)

 

■子供にも使える点滴型の抗インフル薬 塩野義製薬に承認

 塩野義製薬(大阪市)は、点滴の抗インフルエンザウイルス薬「ラピアクタ」(一般名ペラミビル)について、厚生労働省から小児への使用に関する追加承認を得たと発表しました。成人向けはすでに承認済みで今年1月末から販売していますが、乳児、幼児、新生児にも使うことができるようになりました。

 ラピアクタは新型インフルエンザを含むA型、B型のインフルエンザに効く世界初の点滴の治療薬で、経口薬や吸入薬の使用が難しい重症患者でも使いやすい利点があります。同社によると、ラピアクタは来年3月までに約97万人分を確保できる見込みといい、想定を超えた需要が発生した場合でも早急な増産が可能な生産体制にあるとしています。

 ラピアクタは、塩野義製薬が米ベンチャー企業から日本国内での開発、販売権を取得したもので、国内生産が可能です。医師等の処方せんにより使用し、小児の場合は通常、1日1 回 10 mg/kg を15分以上かけて単回、点滴静注します。症状に応じて、連日反復投与できます。投与量の上限は、1回量として600mgまでとされています。

 2010年11月1日(月)

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