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健康ダイジェスト

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■放射性セシウム、コメと牛肉にも新基準値適用 10月1日から

 コメと牛肉に含まれる放射性セシウムの新基準値が、10月1日から適用されます。いずれも1キログラム当たり100ベクレルとなり、東京電力福島第一原発事故後の昨年3月に設定された暫定規制値の5分の1に厳格化されます。

 新基準値を超えたコメと牛肉は出荷停止となりますが、政府や福島県などの各自治体は新基準値を事実上前倒しで適用しており、大きな混乱が出ることはなさそうです。

 厚生労働省は、飲食による内部被曝線量を国際的な指標である年間1ミリシーベルト以下に抑えるため、コメ、牛肉、大豆以外の食品と飲料水に対しては、暫定規制値より厳しい新基準値を4月から適用していました。しかし、流通期間が長いコメなどは「暫定規制値を前提に生産されたものが広く流通している」(食品安全部)として、半年から9カ月間の経過措置を設けました。

 大豆は来年1月から、新基準値に切り替えます。

 新基準値は、野菜類、穀類、肉・卵・魚などの一般食品が1キログラム当たり100ベクレル、牛乳と乳児用食品が同50ベクレル、飲料水が同10ベクレル。暫定規制値の4分の1~20分の1に引き下げ、出荷停止の基準を厳しくしました。

 厚労省によると、4~8月に検査された601件のコメはすべて新基準値以下でした。牛肉は5万8656件のうち、福島県と栃木県の計3件で同110~140ベクレルと新基準値を超えました。いずれも出荷は可能でしたが、自治体の措置で市場に流通していません。

 コメは2011年産で同100ベクレル超が検出された地域は、全袋検査の実施を条件に2012年産の作付けが認められています。農林水産省穀物課は、「新基準値を想定した検査をすでに導入しており、10月からも対応は変わらない」と話しています。

 牛肉は福島、宮城、岩手、栃木の4県で全頭検査を実施しており、同100ベクレルを超えた場合は流通させないことにしています。

 2012年9月30日(日)

 

■2010年度の国民医療費37兆円 1・4兆円増加で過去最高

 厚生労働省は27日、2010年度の国民医療費が前年度比3・9パーセント増の1兆4135億円増えて、37兆4202億円だったと発表しました。国民1人当たりに換算すると前年度比3・5パーセント増の29万2200円となり、いずれも4年連続で過去最高を更新しました。

 高齢化が進んだことに加え、診療報酬が引き上げられたこと、医療技術の高度化を受けて治療費が膨らんでいることが主因。国民医療費の国民所得に対する割合は10・71パーセントと、2年連続で10パーセントを超えました。

 国民医療費は、病気やけがの治療などで全国の医療機関に支払われた医療費の総額で、患者の自己負担を含む、保険が適用される治療にかかった費用の総額に相当します。正常な妊娠・分娩の費用や、健康診断、予防接種の費用は含まれません。

 増加した3・9パーセントの内訳を分析すると、新しい抗がん剤の開発や治療方法の確立、高度な診断機器の普及など、医療技術の高度化が2・1パーセント分を占めました。高齢者が増えたことによる影響は1・6パーセント分で、残り0・2パーセント分は治療の値段となる診療報酬をプラスに改定した影響が出ました。

 年齢別では、65歳以上の医療費が20兆7176億円で、全体の55・4パーセントを占めました。1人当たりでも70万27000円に達し、65歳未満の16万9400円の約4倍となっています。75歳以上の医療費も全体の33・3パーセントを占めました。75歳以上の1人当たり医療費は、65歳未満の約5倍でした。高齢者の医療費は現役世代が支援金の形で一部を負担しており、高齢化が進めば、さらに現役の負担が増える可能性があります。

 診療の内容別では、入院が37・7パーセントで最も多く、外来や往診など入院外が35・1パーセント、薬剤費が16・4パーセントでした。

 傷病別では、高血圧症や心筋梗塞といった循環器系の疾患が5兆6601億円で最も多く、次いでがんなどの新生物が3兆4750億円、呼吸器系の疾患が2兆1140億円と続きました。

 医療費を賄う財源では保険料が48・5パーセント、税金が38・1パーセント、患者負担が12・7パーセントでした。税金は前年度から、0・6ポイント上昇しました。医療費は原則3割が患者負担ですが、70歳以上の高齢者は自己負担の割合が低く、高齢者が増えたことで税金への依存度が高まりました。 

 医療費は今後も増え続ける見通しで、厚労省は2025年度に50兆円を超えるとみています。このため価格の低い後発医薬品の利用促進や、入院日数の短縮など医療費抑制策に取り組んでいますが、目立った成果は出ていません。

 例えば、医薬品に占める後発医薬品の割合を2012年度に30パーセントにする目標を立て、直近では25パーセント程度になっています。財務省の試算では、後発医薬品のシェアが20パーセントから30パーセントになれば、年間4800億円の医療費削減につながります。ところが、2010年度の薬局で調剤した薬剤費は、5・5パーセント増の6・1兆円でした。

 薬剤費が増えているのは、病気やけがをしやすく、薬を必要とする高齢者の絶対数が増えているためで、薬の処方が多いがん患者の増加も一因。

 医療費の伸びを抑えるには、さらに後発医薬品を普及させる必要があります。アメリカ、イギリス、ドイツの後発医薬品の割合は、6~7割と高くなっています。原則として後発医薬品の処方を義務付けるなど、大胆な改革が必要になりそうです。

 入院日数の短縮も進んでいますが、2010年度の入院医療費は6・3パーセント増の14兆908億円でした。厚労省の直近の調査では、2011年の入院日数は平均16・26日で0・36日減りました。厚労省は、「1回の入院で高額な治療を受けるケースがあり、医療費の単価が上がっている」とみています。

 2012年9月29日(土)

 

■BSEリスク最低の「清浄国」認定申請へ 農林水産省

 農林水産省は28日、日本を牛海綿状脳症(BSE)の発生リスクが最も低い「無視できるリスク」の国として認定するよう、国際獣疫事務局(OIE)に同日中に申請を行うと発表しました。

 郡司彰農水相は閣議後の会見で、「来年5月のOIE総会での認定を前提に申請を行う」と説明。BSE清浄国として、牛肉の輸出拡大につなげたい考えを示しました。

 認定を受けるには、過去11年以内に自国で生まれた牛でBSEの発生がないことなどが条件。国内では2001年(平成13年)9月以降に36頭のBSE感染が確認されましたが、10月以降に感染源だと考えられる感染牛を原料とした肉骨粉を飼料として使うことを法律で規制し、感染を根本からシャットアウトしたため、2002年(平成14年)2月以降に生まれた牛にBSEは発生しておらず、来年1月中にこの要件を満たします。

 家畜の伝染病を監視する国際機関で、170以上の国・地域が加盟するOIEは、BSEの発生状況や感染源となるエサの管理などの安全対策を踏まえ、発生リスクが低い順に、「無視できるリスク」「管理されたリスク」「不明なリスク」の3段階に分類。「無視できるリスク」の清浄国に相当する国としては現在、オーストラリアやニュージーランドなど19カ国が認定されています。

 日本は2009年(平成21年5月)に、「管理されたリスク」の国として認定されていました。

 今後、申請がOIEの専門家会合で検討され、日本の主張が認められて「無視できるリスク」の国と認定されれば、貿易交渉の有利な材料になり、高級牛肉の輸出に向けた追い風になると期待されています。また、OIEが定める貿易条件も緩和され、病原体がたまりやすい脳や脊髄などの特定危険部位を除去しない牛肉でも輸出が可能となります。

 郡司農水相は記者会見で、「日本の牛肉に対する評価は大変高い。輸出をこれから伸ばしていく余地はあるだろうと思う」と述べました。農水省では、「認定は世界的な信頼を得られるもので、和牛の輸出に向けた働き掛けのサポートになる」と説明しています。

 2012年9月28日(金

 

■RSウイルス感染症、去年の2・7倍 福岡県が患者643人で最多

 冬場にかけて流行し、乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が全国で急増し、この時期としては、統計を取り始めて以降最も多かった去年の2・7倍に上る異例の流行となっています。

 国立感染症研究所(東京都)は、例年より早く流行のピークを迎える恐れがあるとして、手洗いなど、対策の徹底を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た呼吸器症状を起こす病気で、毎年、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、12~1月がピークとされてきましたが、近年は7、8月に感染するケースも増えています。初めての感染では、肺炎や脳症を引き起こして重症化することがあります。一度感染しただけでは感染防御免疫が不十分で何度も発症しますが、通常は再感染のたびに症状は軽くなっていきます。

 国立感染症研究所によりますと、今月16日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で、新たにRSウイルス感染症と診断された患者は3789人で、前の週を1000人余り上回りました。この時期としては統計を取り始めた2003年(平成15年)以降、最も多かった去年の2・7倍に上る異例の流行となっています。

 患者の数を都道府県別に見ると、福岡県が643人、東京都が358人、宮崎県が353人、大阪府が225人、広島県が155人、山口県が151人、熊本県が128人、鹿児島県が116人、千葉県が108人、埼玉県が103人など、都市部のほか九州で多くなっています。

 RSウイルス感染症の流行は例年12〜1月にピークを迎えることから、患者数は今後もさらに増えると見られています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「流行は、これから患者数が少ない地域に拡大していくと考えられる。0歳児の場合、呼吸状態が悪化して入院が必要になることも珍しくないので、熱が下がってもせきが続いているようであれば早めに医療機関を受診してほしい」とし、「高齢者の施設でも結構、集団発生する。特に今年は、介護施設などでもRSウイルス感染症に対する警戒が必要」と注意を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、呼吸器感染症の一つで、上気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの症状が現れます。乳幼児の肺炎の50パーセント、細気管支炎の50~90パーセントが RSウイルス感染によるものとの報告があります。特に重症化しやすいのは、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患などの基礎疾患を持っている乳幼児とされます。さらに、生後4週未満では、突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすく、注意が必要です。

 主な感染経路は飛沫感染と接触感染で、せきエチケットや手洗いの徹底が感染予防として重要だとされています。ただし、感染力が強く、また再感染などで典型的な症状を示さずにRSウイルス感染症だと気付かれない軽症例も存在することから、家族間の感染や保育園などでの流行を効果的に抑えることは難しいとされています。

 2012年9月27日(木)

 

■コンタクト被害3年で69件、半数はカラーレンズ 厚労省発表

 目の炎症などコンタクトレンズを使って起きたトラブルの半数をおしゃれ用のカラーコンタクトレンズ(カラコン)使用者が占めていると、厚生労働省が26日公表しました。通信販売などで入手でき、使い方が十分に伝わっていないことが背景にあるとして、厚労省は正しい手入れや定期的な受診を呼び掛けています。

 厚労省によると、2009~2011年度に、角膜障害や結膜炎、充血など69件のトラブルが医療機関から報告されました。手入れ不足や長時間の装着が主な原因とみられています。製品が特定できた43件のうち20件は、視力補正を目的としないおしゃれ用のカラーコンタクトレンズの事例でした。

 おしゃれ用カラーコンタクトレンズはトラブルが相次いだことから2009年11月、視力矯正用コンタクトレンズと同様、高度管理医療機器として薬事法の規制対象となり、その製造・輸入に当たっては厚生労働大臣の承認、販売に当たっては都道府県知事の販売業の許可、販売管理者の設置の義務付けなどの規制が設けられました。

 その後もトラブルが後を絶たないことから、厚労省は改めて販売会社や医療機関に注意を促すよう求めました。「使用者も3カ月に1回程度は目の検査を受けてほしい」としています。

 眼科医によると、おしゃれ用カラーコンタクトレンズは目に酸素を取り入れにくかったりするほか、通信販売などで洗浄や消毒、保存方法などの指導を受けずに購入でき、不適切な使用のため結膜炎のほかアレルギー症状を起こしたり、酸素不足で上皮がはがれる角膜びらん、角膜に炎症が起きる角膜浸潤、角膜の表面に傷が付く点状表層角膜症などになるケースもあります。

 2012年9月26日(水)

 

■勤務医の4割、過労死ラインとされる月80時間以上残業

 病院で働く医師の4割が過労死ラインとされる月80時間以上残業しているとの調査結果を、独立行政法人「労働政策研究・研修機構」(東京都練馬区)がまとめました。疲労感や睡眠不足を感じる医師の8割以上は、事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット」を経験しているといいます。

 調査は昨年12月、インターネットを通じて全国の勤務医1万1145人を対象に行いました。有効回答は3467人。

 調査によると、主な勤務先以外での労働を含めた1週間の労働時間は、平均53・2時間。60時間以上が全体の40パーセントを占め、80時間以上も10パーセントいました。週60時間の勤務は、労働基準法の法定労働時間(週40時間)を上回り、時間外労働は過労死ラインとされる月80時間になる計算です。

 昨年1年間に実際に取得した年次有給休暇の取得日数について聞いたところ、4〜6日が25・8パーセントと最も割合が高く、次いで1〜3日が24・9パーセント、0日が22・3パーセントなどとなっており、約半数の47・2パーセントが3日以下となっています。

 宿直について聞いたところ、宿直の日の平均睡眠(仮眠)時間は4時間以上が52・7パーセントと最も割合が高いものの、次いで3〜4時間未満が27・7パーセント、2〜3時間未満10・4パーセント、2時間未満が5・8パーセントとなっており、ほとんど睡眠できないの3・5パーセントを合わせると、半数弱の47・4パーセントが4時間未満でした。

 これを宿直1回当たりの平均患者数別にみると、患者数が増えるほど、ほとんど睡眠できないとする割合が高くなっています。86・2パーセントが宿直翌日も休まずに、通常通り勤務していました。

 こうした勤務の結果、60・3パーセントが疲労感を、45・5パーセントが睡眠不足を、49・2パーセントが健康不安を感じていました。このうち、ヒヤリ・ハットを経験した人は疲労感を感じている医師の83・9パーセント、睡眠不足を感じている医師の85・0パーセントに達し、疲労感などを感じていない医師より25ポイント前後高い結果となりました。

 過去1カ月間でのオンコール出勤(勤務時間外に呼び出しを受けて出勤し、診療に当たること)について聞いたところ、そもそもオンコールはないが11・8パーセントとな っており、88・2パーセントがオンコールのある働き方をしていました。オンコールのある働き方をしている医師について、過去1カ月間の回数の実績をみると、1〜3回が49・4パーセントと最も割合が高く、次いで0回が29・5パーセント、4〜6回が14・3パーセントなどとなっています。

 職場の医師の不足感について聞いたところでは、非常に感じる、まあ感じるの合計が68・6パーセント、ほとんど感じない、あまり感じないの合計が14・2パーセントとなっています。 診療科別にみると、麻酔科、救急科、小児科、整形外科などで、不足を感じるとする割合が高くなっています。過疎地域かどうかの別にみると、過疎地域に所在する病院で働いている医師のほうが、不足を感じるとする割合が高く、その割合は78・5パーセントとなっています。

 2012年9月25日(火)

 

■サラリーマンの昼食代、30年前の水準以下の510円に下落

 サラリーマンの男性の1回の昼食代は今年510円と、およそ30年前の水準以下にまで下がり、昼食の時間は平均で19分余りと、およそ30年前の3分の2程度まで短くなったという調査結果がまとまりました。

 新生銀行(東京都中央区)は、1979年(昭和54年)以降、数百人から1000人余りを対象に行ってきた「サラリーマンのお小遣い調査」について、金額や昼食の状況、節約する項目などの移り変わりを取りまとめました。

 それによりますと、1回の昼食代は20年前の1992年(平成4年)の746円をピークに徐々に下がって、2005年(平成17年)以降は500円台となり、昨年は490円で過去最低、今年は20円アップして510円と、調査を始めた33年前、1979年(昭和54年)の565円より低い、ほぼワンコインの水準になっています。

 また、昼食にかける時間は、1983年(昭和58年)は33分、1993年(平成5年)は27・6分と30分前後でしたが、今年は19・6分とおよそ30年前の3分の2程度まで短縮しました。「食べない」、「5分以下」と答えた人も、合わせて4・4パーセントいました。

 およそ20年前の昼食は「外食」が中心でしたが、今年の調査では少なくなり、「持参弁当」や「購入弁当」、「社食」が上位を占めているということです。外食をする店を選ぶ場合も、「味のよさやきれいかどうか」より、「安くて近いところ」を好む傾向が強く、新生銀行では、「30年前より忙しくなり、サラリーマンは昼食の時間を惜しんで働いているのではないか」と話しています。

 33年前の1979年(昭和54年)に調査を始めた時のサラリーマンの男性の1カ月の平均の小遣い(昼食代を含む)は、4万7175円でした。1982年(昭和57年)には、3万4100円と過去最低となりましたが、その後、上昇してバブル期の1990年(平成2年)には7万7725円でピークとなりました。バブル崩壊後は上下しつつも全体的に下降し続け、今年は3万9756円と、31年前の1981年(昭和56年)と同じ水準となりました。

 こうした中で、節約している項目の移り変わりをみますと、30年ほど前から現在まで、「昼食代」や「飲み代」が常に上位に入っています。また、2000年(平成12年)の調査では上位になかった「水筒持参」が今年は20・1パーセントで5位、「弁当持参」が17・4パーセントで8位となりました。

 新生銀行では、サラリーマンの昼食について「1人でスマートフォンを見ながら食べる人が増えている」と指摘し、「収入が伸びない中、昼食代、飲み物代を節約し、飲み会にも行かず、弁当と水筒を持参するという、現代のサラリーマンの切実な倹約ぶりがうかがえる。弁当と水筒とスマートフォンは、現代サラリーマンの三種の神器になっている」と話しています。

 2012年9月24日(月)

 

■食道がんの男性患者、アルコール依存症3割 京都大など研究

 食道がんになった男性の約3割にアルコール依存症の疑いがあることが、京都大や国立病院機構久里浜医療センターなどのグループの研究でわかりました。19日、札幌市で始まった日本癌(がん)学会で発表されました。

 飲酒が食道がんになりやすくするとの報告はありますが、食道がん患者にアルコール依存が多いことを示したのは初めてといいます。

 2005~2010年、全国16施設で早期の食道がんがわかり、内視鏡でがんを切除した279人の男性について、飲酒する頻度や飲み始めてやめられなかった頻度などを聞く世界保健機関のテストを実施しました。

 その結果、29パーセントはアルコール依存症の疑いがあるとの結果が出ました。16パーセントは依存症ではないものの、健康を害する危険な飲酒に分類されました。

 アルコール依存になると食事バランスが崩れ、体を壊すまで飲酒を続けるなど、がんになりやすくなります。また食道がんは切除しても、別の場所にがんができやすく、再発を防ぐためには飲酒を控えるのが望ましいとされています。

 久里浜医療センターの横山顕・臨床研究部長は、「外科医と精神科医が連携して依存症患者の治療をすることで、食道がんの患者を減らすことができる」と話しています。

 世界保健機関 (WHO)は、酒類の飲酒はストレス解消やコミュニケーションの潤滑剤として働き、体によい側面もある反面、依存性も強く、60以上の疾患やけがの原因になり得るとし、がんとも深い関係にあると指摘しています。アルコールが肝臓で分解されてできるアセトアルデヒドは発がん性のある物質で、さらに酢酸に分解されますが、その過程で唾液中にも高濃度で分泌されます。アルコール依存症の患者に食道がんや口腔がんが多いことが知られ、WHOは大腸がんや乳がんにも関係すると指摘しています。

 一方、1日当たり平均30グラムのアルコール摂取、つまり1日に日本酒で約1合、ビール大びんで約1本の適量の飲酒をする中高年は、全く飲まない人に比べて心筋梗塞や脳梗塞が起きにくく、死亡リスクが低いことが知られています。アルコールに血液の凝固を抑える作用があるためと見なされています。

 2012年9月23日(日)

 

■食の経済性志向、若年層中心に強まる 日本政策金融公庫が調査

 厳しい雇用状況が続く中、20歳代と30歳代を中心に、食に対する経済性志向が強まっているという調査結果がまとまりました。

 この調査は、日本政策金融公庫が7月1日から12日に、インターネットを通じて全国の20歳代から70歳代の男女各1000人、合わせて2000人を対象に行いました。

 それによりますと、食に対する志向について選択肢の中から2つを選ぶよう尋ねたところ、最も多かったのは44・9パーセントを占めた「健康志向」でしたが、半年前の前回調査より0・8ポイント減少しました。これに対して、2位の「経済性志向」は39・7パーセントで、前回より5・3ポイント上昇しました。加えて、「手作り志向」も26・7パーセントと前回調査から7・2ポイント上昇し、過去最大の上げ幅となりました。

 一方で、東日本大震災後の2011年7月の調査で28・5パーセントにまで高まった「安全志向」は、今回の調査では19・9パーセントとほぼ大震災前の水準に戻りました。「国産志向」は、2011年 7 月の調査の16・0パーセントから徐々に低下し、今回の調査では12・4パーセントとなっています。

 年代別にみると、健康志向と手作り志向は年代が上がるにつれて割合が高くなっています。これと対照的なのが経済性志向と「簡便化志向」で、若い層ほど割合が高い結果となりました。20歳代と70歳代を比較すると、健康志向では35・2ポイント、経済性志向では39・0ポイントの隔たりがみられました。

 前回調査と比較すると、食費を節約する経済性志向は20歳代から50歳代の各層で割合が高まっており、特に20歳代で57・3パーセント、30歳代で52・2パーセントと、ともに調査を始めた2008年以来、初めて50パーセントを超えて、若い世代ほど食に対する経済性志向が強まっていることがうかがえます。

 安全志向は全年代で割合が低下しており、特に20歳代で10・3パーセントと前回調査から7・0ポイント低下したのが目立っています。

 日本政策金融公庫は、「深刻な雇用状況などを背景に、特に若者を中心に、食について健康面や安全性以上に安さを重視する傾向がみられる。今後、消費税の増税など負担が増えれば、この傾向がさらに強まることも考えられる」と話しています。

 2012年9月22日(土)

 

■ビールの原料が筋肉老化を抑制 徳島大が発表

 ビールの原料のホップに多く含まれる「プレニル化フラボノイド」が、寝たきりの原因になる筋肉の老化を抑えるとの研究結果を徳島大の寺尾純二教授(食品機能学)の研究チームがまとめ、20日付の米オンライン科学誌プロスワンの電子板に発表しました。

 寝たきりなどで筋肉が衰えるのは、筋細胞内で特定の酵素である「ユビキチンリガーゼ」が増えることが一因。寺尾教授らは、座骨神経を切除して筋肉が減っていく、寝たきりのような状態にしたマウスに、プレニル化フラボノイドを多く含むホップを混ぜたえさを2週間与えたところ、通常のえさを与えたマウスに比べ、ふくらはぎの筋細胞内の酵素の発生量が約60パーセント抑制され、筋肉の老化や委縮を抑える効果が確認されました。

 同時に、プレニル化されたフラボノイドのほうが、そうでないフラボノイドよりも、まひさせた脚の細胞に約10倍多く蓄積し、効果を示しやすいことも確認されました。

 プレニル化されたフラボノイドは、宇宙の無重力空間に滞在したり、けがをして手や脚などを長く固定されて起きる筋肉の委縮の抑制にも有効といいます。チームは健康飲料の開発などにつながるとしています。

 今回の動物実験の結果を人に当てはめると、筋肉の老化を防ぐにはホップの乾燥粉末では毎日1キログラム、ビールに換算すると83リットル~2万リットルと大量に摂取する必要があります。

 寺尾教授は、「ビールの飲みすぎはよくないが、少量でも習慣的に飲めば効果が期待できるかもしれない」と話し、「プレニル化フラボノイドを豊富に含む健康飲料や薬の開発が期待できる」としています。

 2012年9月21日(金)

 

■よく寝る子は脳の海馬もよく育つ 東北大チームが解明

 睡眠時間の長い子供は短い子供に比べて、記憶や感情をつかさどる脳の部位「海馬」の体積が大きいとする研究結果を東北大学の研究チームがまとめ、子供のころの睡眠時間と脳の発達にかかわりがあることを示す成果として注目されています。

 研究を行ったのは、東北大加齢医学研究所の滝靖之教授らの研究チーム。研究成果は18日、名古屋市で開かれた日本神経科学大会で発表されました。

 研究チームは2008年からの4年間で、宮城県内の5歳から18歳までの健康な子供290人を対象に、MRI(磁気共鳴画像)を使って脳の詳細な画像を撮影し、海馬の体積を調べました。その上で、平日の睡眠時間のデータを併せて分析したところ、睡眠時間が長いほど海馬の体積は大きくなり、睡眠時間が6時間の子供に比べて、10時間の子供の海馬は1割程度大きくなっていました。また、睡眠時間が5、6時間の子供に比べて、8、9時間の子供のほうが海馬が大きい傾向があることがわかりました。

 研究チームによると、健康な子供を対象に睡眠時間と海馬の大きさに関係があることを確認したのは、世界で初めてだということです。

 海馬は大人になっても脳神経細胞が新たに生み出されますが、うつ病や心的外傷後ストレス障害(PTSD)の患者、高齢のアルツハイマー病患者では縮小している場合があります。滝教授は、「海馬の大きさの違いは記憶や認知機能などにも影響する可能性がある。子供のころから睡眠をしっかり取る生活習慣をつけ、海馬を大きくしておくことが、生涯にわたって健康な脳を保つ上で重要であることを示しているのではないか」と話しています。

 滝教授は東日本大震災の後、宮城県内の被災者の健康状況も調査しており、ストレスで海馬の成長に影響が出た子供がいたとみられますが、「今後1日8時間程度眠れば回復するのではないか」と話しています。 

 海馬は大脳辺縁系の古皮質に属し、脳の中にあって唯一、細胞分裂を繰り返す神経細胞が集まる器官。脳の記憶や空間学習能力に関与しており、日常的な出来事や学習して覚えた情報は海馬の中で一度ファイルされて整理整頓され、その後、大脳皮質にためられていくといわれています。海馬が働かなくなると、昔のことは覚えていても、新しいことはすぐに忘れてしまいます。

 また、海馬は壊れやすい性質を持っており、酸素不足で脳がダメージを受けると最初に死んでいくといわれています。強いストレスや恐怖にさらされた際にも、壊れて、委縮してしまう性質があります。

 2012年9月20日(木)

 

■母から娘への子宮移植手術に成功 スウェーデンで世界初

 スウェーデンのイエーテボリ大学は18日、世界初となる母から娘への子宮移植手術を16日までに2件行ったと発表しました。

 イエーテボリ大学とシャルグレンスカ大学病院の声明によると、手術を受けた2人はいずれも30歳代。1人は子宮頸がんのため数年前に子宮を摘出し、もう1人は生まれ付き子宮がありませんでした。

 手術は外科医10人以上がチームを組んで行い、合併症を起こすなど特段の問題もなく、終わったといいます。理論上は、移植された閉経後の子宮でも妊娠可能だといいます。

 術後の2人の体調は、疲労はみられるものの良好で、子宮を提供したそれぞれの母親もすでに歩けるほど回復しており、数日内には退院できる見通しだといいます。

 子宮移植手術前には、それぞれのパートナーの精子を使って体外受精した2人の受精卵が冷凍保存されており、これから1年間経過観察した後、子宮内に戻す予定だといいます。従って、「妊娠・出産を可能にすることを目的とした子宮移植手術が本当の意味で成功したといえるのは、2014年に2人が赤ちゃんを無事出産してからだ」と、チームのマッツ・ブレンストレム教授(産婦人科)は語っています。

 同教授は2人が妊娠に成功する確率には言及しなかったものの、「通常の体外受精による不妊治療で受精卵移植後に出産する割合は25~30パーセントだ」と述べました。

 また同教授は、移植臓器の拒絶反応を抑える免疫抑制剤の服用を続けずに済むように、移植された子宮は「最高で2人」を出産した後に摘出する方針だと明らかにしました。チームのミカエル・オラウソン医師は、「子宮移植による拒絶反応の発生確率は他の臓器移植と同じ約20パーセント」としています。

 移植を受けた女性2人は、自身とそのパートナーの生殖能力に問題がないといった候補者としての条件を確認するために、長い審査過程を経て選ばれました。2人の名前は、明らかにされていません。スウェーデンではさらに、8人の女性への子宮移植が今年秋から来年春にかけて予定されています。

 ブレンストレム教授は、「この移植法は生まれ付き子宮がなかったり、子宮に損傷を受けた若い女性の妊娠を助けるためのものであって、妊娠・出産可能な年齢を超えた女性を助けるためではない」と強調しています。

 1999年に始まったこのプロジェクトで、科学者や医師、その他専門家の約20人からなるチームはこれまで、マウスや霊長類などを対象に子宮移植手術を行い、移植後の妊娠・出産に成功してきました。

 子宮移植手術は新しい分野で、2011年にトルコの医師チームが世界で初めて成功しました。しかし、子宮移植は生きたドナー(臓器提供者)を必要とすることなどから、問題視されることも多いのが現状。スウェーデン中央倫理審査委員会は当初、同プロジェクトの実施を認めていませんでしたが、今年5月になってプロジェクト監視のための特別委員会の設置を条件に、移植手術実施の許可を出しました。

 2012年9月19日(水)

 

■マイコプラズマ肺炎、流行に注意 国立感染症研究所

 マイコプラズマという微生物による肺炎の患者が、この時期としては過去10年で最も多く報告されていることから、国立感染症研究所(東京都)は、せきが続く場合は早めに医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 マイコプラズマという細菌より小さくウイルスより大きな微生物が原因のマイコプラズマ肺炎は、発熱や全身のだるさとともにせきが長く続くのが特徴で、診断が遅れると肺炎が重症化したり、脳炎などを併発したりすることがあります。30歳ぐらいまでの若い年代での発症が多く、特に5~12歳の幼児から学童に多くみられます。

 国立感染症研究所によりますと、今月9日までの1週間に全国のおよそ500の医療機関から報告された患者の数は501人で、この時期としては過去10年で最も多くなっています。1つの医療機関当たりの患者数は、栃木県で6・57人、群馬県で3・63人、福島県で3・29人、愛知県で3・21人、青森県で3・17人、埼玉県で2・89人など関東を中心に東日本で流行しています。

 マイコプラズマ肺炎は、昨年も秋から冬にかけて大きな流行となりましたが、今年は年明けから患者数の多い状態が続き、今月9日までの累積の患者数は、去年の同じ時期の1・8倍に上っています。また、これまでに報告された患者の80パーセントは14歳以下の子供となっています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「これまで治療に使われていた抗生物質が効きにくいタイプが増えていて、年間を通しても昨年を超える規模の流行になる恐れがある。大きな流行になれば重症化する人も増えることから、せきが続く場合はマスクをし、早めに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 マイコプラズマ肺炎の潜伏期間は2~3週間で、インフルエンザやRSウイルス感染症などの他の小児を中心に大きく流行する呼吸器疾患と比べて長くなっています。症状は発熱、全身倦怠、頭痛などで始まり、その後、3~5日で乾いたせきが出るようになりますが、徐々にひどくなり、熱が下がった後も3~4週間続きます。鼻炎症状、気管支炎、喉の痛み、胸の痛みなどの呼吸器症状のほか、下痢、嘔吐などの消化器症状や発しんが認められる場合があります。

 肺炎にしては元気で比較的症状は軽いといわれていますが、重症肺炎になることもあります。また、まれに無菌性髄膜炎、脳炎、肝炎、すい炎、溶血性貧血、心筋炎などの合併症を引き起こすことがあります。

 2012年9月18日(火)

 

■南極のオゾンホール、去年より縮小 国連「回復の軌道に乗り始めた」

 太陽から降り注ぐ有害な紫外線を遮るオゾン層が破壊されて、穴が開いたような状態になる南極上空の「オゾンホール」が、今年は去年よりも小さいことが国連の世界気象機関(WMO)の調査でわかりました。今後、時間はかかるもののオゾン層の回復が軌道に乗り始めたと、世界気象機関は評価しています。

 これは、オゾン層を破壊するフロン類などの排出を規制する国際的な枠組み「モントリオール議定書」の1987年9月16日の採択から、25周年を迎える9月16日の「国際オゾン層保護デー」を前に、世界気象機関が発表したものです。

 南極上空のオゾンホールは、極めて低い成層圏の温度とオゾン層破壊物質の存在のために、南半球の冬季から春季に当たる8~9月ごろに発生、急速に発達し、11~12月ごろに消滅するという季節変化をしています。1980年代初めから、このようなオゾン量が極端に少なくなり、成層圏にオゾンホールができる現象が観測されています。

 発表によりますと、南極の上空にあるオゾンホールの大きさは9月13日時点で1850万平方キロメートル、去年の同じ時期よりも20パーセントほど小さいということです。最終的に、2010年よりは大きいものの、去年よりは小さくなる見通し。

 破壊が深刻でオゾン層が減少すると、有害な紫外線が地上に多く届いて皮膚がんや白内障などのリスクが増すため、1980年代ごろから世界的に問題になりましたが、1987年に採択されたモントリオール議定書に基づいて、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として使われるフロン類などが規制され、ここ10年ほど大気中で減少しています。

 世界気象機関では、フロン類などのオゾン層破壊物質の量は2000年ごろをピークに、このところ年に1パーセント程度ずつ減っており、オゾン層の回復が軌道に乗り始めたと評価しています。ただ、オゾン層を破壊する物質は長期間、大気中にとどまるため、オゾン層が1980年より前の水準に回復するためには、今後数十年の時間がかかるとしています。

 また、フロン類の代わりに使われるガスの中には温室効果が高いものがあり、地球の温暖化の原因となる恐れがあるとして、世界気象機関では、こうした物質の削減も各国に呼び掛けています。

 現在、温暖化ガスでもあるフロン類は減っていますが、それ以上に二酸化炭素などの温暖化ガスが増えています。地表から上空約1万メートルまでの対流圏で温暖化ガスの濃度が高まると、その上にある成層圏は逆に寒冷化する傾向があり、セ氏零下78度以下でオゾン層の破壊が爆発的に進行するのが特徴とされています。

 2012年9月17日(月)

 

■団塊世代が到達で、65歳以上3000万人を突破 総務省推計

 65歳以上の人口は3074万人で、初めて3000万人を突破したことが、16日わかりました。「敬老の日」を前にした総務省の推計によると、前年比3・4パーセント増の102万人増え、総人口(1億2753万人)に占める割合は0・8ポイント多い24・1パーセントと過去最高を更新しました。

 1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)生まれの「団塊の世代」のうち、1947年生まれの人が今年65歳となって「高齢者」の仲間入りをし始めたため、対前年の増加数と割合はいずれも過去最大となりました。第1次ベビーブームに生まれた団塊世代は、今後も続々と65歳に達します。

 推計は、2010年(平成22年)の国勢調査を基に、その後の出生や死亡数を今月15日時点で反映させました。65歳以上のうち、男性は1315万人で男性人口の21・2パーセント、女性は1759万人で女性人口の26・9パーセントを占めました。

 75歳以上の人口は1517万人で、初めて1500万人を超えました。85歳以上の人口も、430万人に達しました。100歳以上については、すでに厚生労働省が「初めて5万人を超えた」と発表しています。

 0歳~64歳の人口は前年に比べ128万人減り、高齢化に一層拍車をかけました。少子化は歯止めのかからない状況が続いており、社会保障費の増加を中心に対策が急がれます。

 高齢者の単身世帯の割合も、増えています。2010年の国勢調査では、65歳以上の高齢者の単身世帯数は高齢者全体の16・4パーセントに達し、1995年の国勢調査での12・1パーセントから4・3ポイント増加しました。

 一方、労働力調査によると、2011年に仕事に就いていた65歳以上の人は544万人。仕事の有無を示す就業率は65歳以上の男性が27・6パーセント、女性は13・1パーセントで、65~69歳に限ると男性は46・2パーセント、女性は26・9パーセントの人が働いていました。

 2012年9月16日(日)

 

■全国の100歳以上が初の5万人超え 42年連続で過去最多を更新

 全国の100歳以上の高齢者が9月15日時点で、前年比3620人増の5万1376人となり、42年連続で過去最多を更新し初めて5万人を突破しました。厚生労働省が14日に発表した調査でわかりました。

 このうち女性は4万4842人と全体の87・3パーセントを占め、女性比率は2年連続で過去最高を更新しました。男性は6534人でした。

 厚労省の調査は住民基本台帳による各自治体からの報告をまとめ、15日の「老人の日」に合わせて毎年公表されています。

 調査によると、人口10万人当たりの100歳以上の高齢者数は40・20人。都道府県別では高知県が78・50人で、1972年(昭和47年)以来40年ぶりに1位に返り咲きました。以下、昨年まで2年連続1位だった島根県の77・81人、山口県の67・27人と続きました。

 2019年まで37年連続で1位だった沖縄県は2010年に2位、2011年に3位と徐々に順位を落としており、今回は62・88人で5位でした。

 厚労省は、「上位3県は、いずれも人口自体が減少し、相対的に100歳以上の高齢者の割合が高くなっている」と指摘。沖縄県については、「若者を始めとした人口増が影響しているとみられる」としています。

 国内最高齢は、京都府京丹後市の木村次郎右衛門さんで、1897年(明治年30年)4月生まれの115歳。木村さんは2011年4月に、ギネス社から男性の世界最高齢者に認定されています。食事が一番の楽しみで、小食を心掛けながら、今も三食を欠かすことなく食べているといいます。

 女性の最高齢者は、川崎市の大久保琴さんで、1897年(明治年30年)12月生まれの114歳。今は息子と同じ高齢者施設に入所し、息子らの介助を受けながら、日々穏やかに過ごしているといいます。

 100歳以上の高齢者は調査を始めた1963年(昭和38年)には全国で153人でしたが、1981年(昭和56年)には1000人を、1998年(平成10年)には1万人を超え、この20年間でおよそ12倍に増えています。

 厚労省は100歳以上の高齢者が増えていることについて、「背景には医療技術の発達や介護の充実、それに栄養状態の向上があり、今後も増えるとみられる」と分析しています。

 一方、今年度中に100歳を迎える高齢者は、海外在留邦人、永住在日外国人を含め、9月1日現在で前年度比871人増の2万5823人で、過去最多を更新しました。

 2012年9月14日(金)

 

■新型インフルの発生に備えて、先行ワクチン54万人分を製造し瓶で保管

 厚生労働省は11日までに、新型インフルエンザの発生に備え、流行が拡大する前に医療関係者ら特定の職種の人に先行的に接種するためのワクチン約54万人分の製造を本年度中に完了させることを決めました。

 近く、備蓄してある原液の一部を使って製造を開始します。

 毒性や感染力が非常に強いインフルエンザに変異する恐れがあり、東南アジアなどで人への感染が問題になっている「H5N1型」の鳥インフルエンザウイルスに由来する計4株から、それぞれ約54万人分を製造します。ワクチン接種を施す医療関係者のほか、社会の維持に重要な役割を担う職業に就いている人への接種を検討しています。

 政府は4株それぞれについて、約1000万人分のワクチンの原液をタンクに備蓄しています。しかし、このワクチンの原液を接種できる状態にするまでに2カ月程度かかるということです。このため来年3月までに、その一部に免疫増強剤を加えるなどしてすぐに接種できる状態にしておき、瓶詰めの状態にして保管することになりました。

 先行ワクチンを用意しておけば新型インフルエンザの発生から時間を置かずに接種を始められますが、保存期間が原液の3年間から1年間と短くなるという欠点があります。

 厚生労働省は今後、すぐ使えるようにしたワクチンの接種対象者の具体的な職種や優先順位などについて、年内にも決めることにしています。

 2012年9月13日(木)

 

■RSウイルス感染症、過去10年で最も速いペースで急増

 冬場にかけて流行し、乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が、この10年で最も速いペースで増えています。国立感染症研究所(東京都)は、例年より早く流行のピークを迎える恐れがあるとして、手洗いなど、対策の徹底を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た呼吸器症状を起こす病気で、毎年、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、12~1月がピークとされてきましたが、近年は7、8月に感染するケースも増えています。初めての感染では、肺炎や脳症を引き起こして重症化することがあります。一度感染しただけでは感染防御免疫が不十分で何度も発症しますが、通常は再感染のたびに症状は軽くなっていきます。

 国立感染症研究所によりますと、今月2日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は1998人で、前の週の1・7倍に急増しました。

 患者の数を都道府県別に見ると、福岡県が433人、東京都が251人、宮崎県が177人、鹿児島県114人、大阪府104人、広島県86人など、九州で多くなっています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「患者の半数近くは重症化しやすい0歳児で占められている。手洗いなど感染対策を徹底するとともに、熱が下がってもせきが続いているようであれば、早めに医療機関を受診してほしい。また、手洗いのほか、せきやくしゃみを人に向けないようにするなど感染対策を徹底してほしい」と注意を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、呼吸器感染症の一つで、上気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの症状が現れます。乳幼児の肺炎の50パーセント、細気管支炎の50〜90パーセントが RSウイルス感染によるものとの報告があります。特に重症化しやすいのは、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患などの基礎疾患を持っている乳幼児とされます。さらに、生後4週未満では、突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすく、注意が必要です。

 主な感染経路は飛沫感染と接触感染で、せきエチケットや手洗いの徹底が感染予防として重要だとされています。ただし、感染力が強く、また再感染などで典型的な症状を示さずにRSウイルス感染症だと気付かれない軽症例も存在することから、家族間の感染や保育園などでの流行を効果的に抑えることは難しいとされています。

 2012年9月12日(水)

 

■小中高生の自殺200人、過去25年で最悪 文科省調査

 昨年度、小中高校生の自殺が前年度比44人(28パーセント)増の200人だったことが11日、文部科学省が発表した2011年度の「問題行動調査」でわかりました。200人以上となったのは1986年の268人以来で、過去25年間で最悪でした。

 6割近くが「原因不明」とされています。一方、いじめは前年度から7399件(9・5パーセント)減の7万231件を認知し、このうち2935件(4・2パーセント)が解消できていません。同省は「早期発見と対応の徹底が必要」としている。

 全国の国公私立小中高校、特別支援学校を対象に、各都道府県の教育委員会からの報告を集計しました。自殺は小学6年生4人(前年比3人増)のほか、中学生39人(同4人減)、高校生157人(同45人増)の計200人。背景にいじめがあったとされたのは中学生の4人だけで、全体の58パーセントに当たる115人が「原因不明」とされました。ほかに多かったのは、24人の「父母らの叱責」、20人の「進路問題」など。 

 警察庁は2011年1~12月に、小中高生の353人が自殺したと発表、前年は287人で66人増えています。文科省の統計と150人以上の隔たりがあります。文科省は学校から教委への報告をまとめており、学校が警察から詳細を知らされなかったり、学校が遺族の意向などから報告していないケースも多いとみられます。

 一方、いじめは全学校数の38パーセントに当たる1万4894校で認知。学年別では、中学1年の1万5260件が最多で、中2の1万652件、小学5年の6813件と続きます。

 いじめを発見した切っ掛けは、「学校のアンケート」などが28・3パーセントと最も多く、「本人からの訴え」の23・4パーセント、「学級担任が発見したケース」の18・1パーセントなどと続いています。

 いじめの内容(複数回答)は、「悪口や脅し文句を言われる」(4万6257件)、「遊ぶふりでたたかれたり蹴られる」(1万5646件)、「集団による無視」(1万3855件)など。

 認知後の対応は、9割のケースで教員がいじめた児童生徒に状況を聞き、5割で保護者に報告。4割で謝罪を指導しました。5万6305件でいじめが解消しましたが、双方の転・退学も671件ありました。

 認知件数は2006年度以降、減少傾向にあり、調査を担当した児童生徒課は「認知が十分にできていない学校や自治体がある。努力の余地がある」としています。同省は大津市立中学2年の男子生徒の自殺を受け、今年4月からの件数を調査中。10月にも公表する予定で、認知件数は増大する可能性があります。

 2012年9月11日(火)

 

■風疹の大流行止まらず、2011年の4倍 都市部で突出

 風疹の大流行が止まりません。例年は春先から初夏にかけて感染広がり、100~300人程度の患者の報告例しかありませんが、今年はすでに1300人を超える勢いです。

 特に人口が密集する都市部で突出。妊娠中の女性が感染すると胎児に深刻な影響が出る恐れがあり、自治体は対策を急いでいます。

 風疹の流行は今年、4年前に国が全国調査を始めて以来、最大規模となっています。国立感染症研究所(東京都)によると、患者の報告は8月下旬までの集計で、昨年1年間の374人の4倍近い1333人。

 地域別にみると、東京都305人、大阪府273人、兵庫県222人、神奈川県121人の順で、人口密集地での患者報告が多くなっています。広島県9人、岡山県5人、四国4県で計5人など徐々に周辺地域へも広がっています。

 国立感染症研究所によると、8月20日〜8月26日の1週間に、新たに風疹と診断された患者は73人で、都道府県別では東京都13人、大阪府13人、兵庫県5人、愛知県5人、千葉県3人、神奈川県3人、三重県3人、北海道1人、埼玉県1人、長野県1人、鹿児島県1人、国内(都道府県不明)24人、タイ1人。

 年齢別では、1歳2人、5〜9歳1人、10〜14歳6人、15〜19歳7人、20〜24歳5人、25〜29歳15人、30〜34歳7人、35〜39歳4人、40歳代21人、50歳代4人、60歳代1人。

 風疹はせきやくしゃみなどを通じて感染し、発症すると主に発熱や発疹の症状が出ます。妊娠中の女性が感染すると、生まれてくる赤ちゃんの心臓や目、耳などに障害が出る恐れがあります。

 感染の拡大が続いている東京都福祉保健局では、せきやくしゃみなど飛まつにより風疹が感染することから、外出後は手洗いやうがいをしっかり行うこと、せきなどの症状がある場合は、受診の際など外出時にはマスクを着用すること、風疹と診断された場合は、感染性を持つとされる期間(発疹出現後では5日間)は出勤や登校、外出を控えるようにして周囲に配慮することを呼び掛けています。

 2012年9月10日(月)

 

慢性疼痛を抱える人の約半数が治療を受けず 製薬会社2社が調査

 3カ月以上にわたって痛みが続く「慢性疼痛」の患者のうち、7割以上が「痛みがあってもある程度、我慢すべき」と考えており、約半数は5年以内に通院したことがないことが、製薬会社のファイザーとエーザイの調査でわかりました。

 調査は6月12〜15日にインターネット上で実施。成人の男女のうち、「一定以上の強さの痛みがある」「週2回以上の頻度で起こる」「3カ月以上続いている」という慢性疼痛の基準を満たした1万2595人から回答を得て、このうち各都道府県から200人を抽出、計9400人について結果を取りまとめました。

 それによりますと、腰痛やリウマチなどの「痛みがあってもある程度、我慢すべき」という回答が全国で最も高かったのは和歌山県と宮崎県の81・5パーセント(163人)、次いで石川県の80・5パーセント(161人)、兵庫県の79・5パーセント(159人)と続きました。最も低かったのは島根県と熊本県の66・5パーセント(133人)、次いで佐賀県と鹿児島県の69・0パーセント(133人)と続きました。全国平均は74・3パーセントでした。

 「5年以内に行ったことのある、長く続く痛みに対する対処法」を尋ねたところ、最も多かった回答は「自己対処している」47・6パーセント(4473人)で、「病院・医院で処方された薬」45・4パーセント(4267人)、「整体、鍼灸、接骨院、マッサージなど」38・1パーセント(3581人)が続きました。

 そのうち、「病院・医院で処方された薬」、「病院・医院で施されたリハビリテーション」の両方もしくは、いずれかと回答した「病院・医院に通院経験者」は49・9パーセント(4693人)でしたが、反対に約半数の50・1パーセント(4707人)が慢性疼痛を抱えながらも、病院・医院へ5年以内に通院した経験がないことがわかりました。

 通院していない理由としては、「病院に行くほどでもないと思ったので」31.2パーセント(1470人)が最も多く、次いで「費用の面で」15・6パーセント(733人)が続きました。「『痛い』と簡単に他人に言うべきではない」、「痛みをすぐに表現する人は軟弱」という回答もありました。

 通院経験者の中でも、64パーセントに当たる3人に2人が「通院先を変えた経験がある」と答えました。変更の理由としては、「治療効果に不満だった」が30パーセントと最も多く、「ほかによい病院があった」が17パーセント、「医師が痛みの治療に積極的でなかった」が12パーセントなどとなっています。

 そして、回答内容を分析した結果、5人に1人は神経が傷付くことが原因で起きる「神経障害性疼痛」という種類の痛みが疑われることがわかりました。神経障害性疼痛は、見た目には傷や炎症はないけれど、神経が傷付くことによって起こる痛みです。具体的な疾患としては「帯状疱疹後神経痛」、「糖尿病性神経障害に伴う痛み・しびれ」、「坐骨神経痛」、「三叉神経痛」、「神経根圧迫による慢性疼痛」などがあります。

 これらの疾患は長期間患うことが多く、痛みが長期間続くと、不眠や身体機能の低下、意欲の低下などからうつ症状を併発することも多く、QOL(生活の質)も低下します。これら神経障害性疼痛は、神経に作用する薬の投与が標準的な治療法で、炎症などを抑える一般的な鎮痛薬は効果がないとされています。

 痛みの治療に詳しい日本大学医学部の小川節郎教授は、「痛いという訴えに、鎮痛剤の処方で済まされる場合も多いと思うが、原因に合った治療をすれば、患者はもっと楽になると思う」と話しています。

 2012年9月9日(日)

 

■認知症対策に初の5カ年計画を策定 早期診断可能な医療機関を500カ所に

 認知症の高齢者が急激に増え続けていることから、厚生労働省は対策の5カ年計画を初めてまとめました。この中では、専門家のチームが高齢者の自宅を訪問し、早期の診断や支援につなげるなどして、認知症になってもできる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができる社会作りを目指すとしています。

 厚労省の推計によりますと、介護を必要とする認知症の高齢者の数は今年、全国で305万人(65歳以上人口の約10パーセント)と、10年前の2倍以上に増えています。さらに2015年に345万人(65歳以上人口の10・2パーセント)、2020年に410万人(同11・3パーセント)、2025年に470万人(同12・8パーセント)と、人数・割合ともに今後も上昇が続く見通しで、認知症の高齢者を受け入れる施設が足りなくなることも予想されます。

 このため、厚労省は、認知症になっても地域で暮らし続けられることを目指して、早期に診断し治療につなげるとともに、本人や家族に必要な支援を行うことなどを柱とした来年度からの対策の5カ年計画を初めてまとめました。

 この中では、看護師や作業療法士などの専門家による「初期集中支援チーム」を新しく作り、高齢者の自宅を訪問するなどして、認知症の疑いがあれば専門の医療機関を紹介するとともに、認知症の症状への対処の仕方をアドバイスするなど家族への支援も行うとしています。初期集中支援チームを来年度全国に10カ所程度設置し、5年後までに全国に広げるとしています。

 また、地域で認知症の早期診断ができる医療機関が不足していることから、現在の173カ所からおよそ500カ所に増やすほか、掛かり付け医などを対象にした認知症の対応力向上研修を強化し、2017度末までに5万人に受講してもらうことを目指すということです。掛かり付け医への助言や、全国の市区町村にある地域包括支援センターなどとの連携を推進する認知症サポート医も、2500人から4000人にするということです。

 厚労省はこうした計画で、5年後には今より37万人多い186万人の認知症の高齢者が、地域で暮らし続けられるようにしたいとしています。

 今回の5カ年計画について、日本認知症ケア学会の本間昭理事長は、「認知症の早期診断によって、早くから薬などの治療を行ったり、必要な介護サービスを受けたりすることで認知症の進行を遅らせることができる。また家族を支援することで、介護の負担を減らし、在宅での生活を長く続けることができるため、初期の段階からの支援が重要だ。しかし、支援のための専門家は不足しているため、今後、認知症に詳しい医療や介護の人材の育成を急ぐ必要がある」と話しています。

 2012年9月8日(土)

 

■社会保障、若い世代ほど不安感 厚労省調査

 「社会保障の水準を保つために、ある程度の負担増はやむを得ない」という意識を持つ人が5割近くに上ることが、厚生労働省が実施した「社会保障に関する国民意識調査」でわかりました。

 厚労省は2012年版の厚生労働白書をまとめ、白書に合わせてアンケート調査を実施。アンケート調査は20歳以上の男女を対象に今春、インターネットで実施し、3114人から回答を得ました。

 高齢化で費用が膨らむ医療や年金など、社会保障の「給付」と「負担」のあり方を尋ねたところ、「社会保障の水準を保つため、ある程度の負担増はやむを得ない」との答えが47パーセントで最多でした。「水準をある程度下げて、従来通りの負担に」との答えは22パーセント、「水準を大幅に下げ、負担を減らす」との答えは14パーセントで、「給付水準を上げるために、大幅に負担を増やす」との答えは3パーセントにとどまりました。

 30歳代前半までの世代に限ると、「社会保障の給付水準を引き下げるべきだ」との回答が「負担増はやむを得ない」との答えを上回り、給付の抑制に踏み込むよう促す声が多くなりました。その半面、60歳以上では、「給付水準の維持・引き上げ」を促す声が6割に達しました。

 また、社会保障の給付と負担のバランスに対する意識を尋ねたところ、恵まれた高齢者世代と不利な現役世代の印象を与える結果になりました。「負担よりやや少ない給付」または「負担よりかなり少ない給付」と感じる割合は、20~24歳で計76パーセント、25~29歳で80パーセント、30~34歳で82パーセントに達しました。同じ問いに対して、60~64歳は36パーセント、65歳以上は24パーセントにとどまり、世代間の意識の差が大きいことが示されました。

 税や保険料の負担増について尋ねたところでは、「すべての世代で負担していくべき」が52パーセントに上り、「高齢者が負担」の22パーセント、「現役世代が負担」の15パーセントを大きく上回りました。

 「福祉の充実」と「負担の軽減」のどちらを優先すべきかについて尋ねたところでは、「福祉の充実を優先すべき」との回答が50パーセントに上り、「負担の軽減を優先すべき」との回答の23パーセントの2倍以上となり、将来の不安から社会保障の充実を求める声が強い実情を印象付けました。

 一方、厚生労働白書は、社会保障の給付と負担のバランスについて「高齢者ほど得がある」とみられている傾向があることについて、「前世代が築いた社会資本から受ける恩恵は若い世代のほうが大きい」と指摘し、「生活水準の向上も考慮する必要がある」としています。「今の高齢者だけが恵まれていて、現役世代は不幸だとは一概にいえない」と訴えています。

 その上で、こうした社会構造の変化に対応するためには、社会保障給付の拡充に合わせ、効率化を図ることが重要だとしており、その第一歩が「社会保障と税の一体改革」だとしています。

 2012年9月7日(金)

 

■ヒトゲノムの8割に機能あり、国際チームが解明

 日本やアメリカなどの国際研究プロジェクトは6日、ヒトのゲノムと呼ばれる遺伝情報のうち、少なくとも80パーセントが何らかの機能を持つことがわかったと発表しました。

 エンコード計画と名付けられたこの国際プロジェクトは、ヒトの染色体にあるゲノムのうち、どの部分がどのような働きをしているか明らかにしようというもので、日本の理化学研究所(理研)やアメリカの国立衛生研究所のほか、イギリス、スペイン、スイス、シンガポールの6カ国32施設が参加しています。

 国際プロジェクトは、147種類の細胞のゲノムを解析し、遺伝子とタンパク質とが相互作用する遺伝子調節領域400万カ所を特定。その結果、タンパク質を作り出す遺伝子のスイッチを必要な時に必要な場所で入れるなど、少なくともゲノム全体の80・4パーセントに何らかの役割があることを解明したとしています。

 ヒトゲノムは、9年前にすべて解読されましたが、体を作るタンパク質の設計図である遺伝子として働くのは2パーセント程度で、残りの部分がどのような役割を果たしているのかわかっていませんでした。

 生命の維持に必要なタンパク質が正しく作られないと、がんや認知症といったさまざまな病気が引き起こされると考えられることから、理化学研究所では、今回明らかになった機能をさらに詳しく調べることで、新たな治療法や薬の開発につながる可能性があるとしています。

 今回の成果について、理化学研究所の前のゲノム医科学研究センター長の鎌谷直之博士は、「これまでヒトの遺伝情報の配列が細胞の中でどのような役割を果たしているのか、ほとんどわかっていなかった。今回は、遺伝情報の80パーセントが、何らかの役割を果たしていることが示されており、研究のベースとなる遺伝情報の百科事典ができたといえる。配列の違いによって何がもたらされるのか詳しく分析することで、病気の原因の解明や薬の開発などに役立つと期待される」と話しています。

 2012年9月6日(木)

 

■平均睡眠時間は6時間が最多 7割超が「睡眠に不満」

 9月3日は、9(ぐっ)3(スリー)との語呂合わせで「睡眠の日」とされています。その睡眠の現状を明らかにするために、大手下着メーカー「ワコール」が行ったアンケート調査によると、現代人の7割以上が睡眠に不満を持っていることがわかりました。

 ワコールは、全国の20歳代から40歳代の男女1029名を対象に、インターネットで「睡眠に関するアンケート調査」を実施。調査の結果判明した平均的な睡眠時間は、「6時間~6時間半」19・5パーセント、「6時間半~7時間」15・5パーセント、「5時間半~6時間」14・4パーセント、「7時間~7時間半」13・7パーセント、「5時間~5時間半」9・1パーセント、「7時間半~8時間」8・6パーセント、「8時間~8時間半」7・0パーセント、「4時間半~5時間」6・3パーセント、「4時間半未満」3・0パーセント、「8時間半~9時間」1・7パーセント、「9時間以上」1・2パーセントでした。

 自分の睡眠時間に対して、「満足している」人は28・9パーセント、それに対し「やや不満」(51・5パーセント)と「不満」(19・6パーセント)を合わせると、71・1パーセントの人が不満を持っていると回答しました。

 その不満の内容を複数回答可で問うと、「疲れが取れない」(52・3パーセント)、「日中に眠くなってしまう」(44・9パーセント)、「寝起きが悪い」(38・7パーセント)、「寝付きが悪い」(29・5パーセント)、「何度も目が覚める」(26・4パーセント)などが挙げられました。「リアルな夢ばかり見るので寝ている気がしない」、「睡眠薬を服用しないと眠れない」という少数意見もありました。

 現代人の多くが睡眠時間に不満を抱えつつ、疲れを引きずったまま日中を過ごしているようです。

 夏の就寝時に着用している寝間着の種類を問うと、「Tシャツ、短パン」60・1パーセント、「パジャマ」22・7パーセント、「下着のみ」5・5パーセント、「スウェット・ジャージ」5・0パーセント、「ルームウェアのまま」4・2パーセント、「その他」2・5パーセントでした。

 冬の就寝時に着用している寝間着の種類を問うと、「パジャマ」42・3パーセント、「スウェット・ジャージ」42・3パーセントが同率で1位でした。

 寝巻きに着替えると、「リラックスできる」(90・4パーセント)、「眠る準備ができた気がする」(74・0パーセント)、「1日の活動を終えた気がする」(75・4パーセント)とのこと。寝巻きは実用性だけでなく、睡眠へ導くという重要な役割を担っているようです。

 スムーズな寝付きのために、就寝前に行うその人独自の「睡眠へのスイッチ」といえる習慣行動は「入眠儀式」と呼ばれていますが、その入眠儀式を82・4パーセントの人が持っており、その具体的な内容のベスト3は、「トイレに行く」、「歯を磨く」、「パジャマ等に着替える」でした。

 睡眠に詳しい杏林大学の古賀良彦教授は、「日本人の睡眠は短くなっているだけでなく、寝付く時間も遅くなっている。睡眠は、日中の活動に大きな影響を与えるので、遅くても日付が変わる前に寝るなど睡眠に関心を持ち、規則正しい生活を心掛けることが大切だ」と話しています。

 2012年9月5日(水)

 

■熱中症搬送、8月は1万8000人超 総務省消防庁の速報

 総務省消防庁のまとめ(速報値)によると、8月27日〜9月2日にかけて、全国で熱中症の疑いで救急搬送された人は2268人で、8月20日〜26日の前週の3975人から半減したことがわかりました。

 今年の熱中症による救急搬送状況をみると、7月2日〜8日の週までは1000人以下で推移していましたが、7月9日〜15日は2661人と一気に増加。16〜22日は5711人、23〜29日は9056人と大幅な増加が続き、7月の熱中症搬送者数は2万1082人(確定値)と、消防庁が集計を始めた2008年7月以降で、月別では歴代2番目の多さを記録しました。

 その後、7月30日~8月5日の第1週は7000人を超えましたが、8月6日〜12日の週以降はやや落ち着いて3000〜4000人台で推移、今年8月の熱中症搬送者数は1万8300人を超える見込みとなりました。昨年8月の1万7566人を上回りますが、8月の最多は2008年に集計を開始して以降、2010年の2万8448人。

 8月27日〜9月2日の2268人を年齢別にみると、65歳以上の「高齢者」が1070人(47・2パーセント)で最多。このほか、18〜64歳の「成人」は910人(40・1パーセント)、7〜17歳の「少年」は265人(11・7パーセント)、生後28日〜6歳の「乳幼児」は21人(0・9パーセント)、生後28日未満の新生児は2人(0・1パーセント)でした。

 また、初診時の症状の程度については、入院の必要がない「軽症」が1417人(62・5パーセント)で最多。このほか、3週間未満の入院が必要な「中等症」が749人(33・0パーセント)、3週間以上の入院が必要な「重症者」が48人(2・1パーセント)などとなっており、「死亡」は1人でした。

 都道府県別では、東京都が182人で最も多く、埼玉県169人、北海道137人と続きました。一方、最も少なかったのは佐賀県の6人でした。

 2012年9月4日(火)

 

■低カロリー食は寿命の長さに無関係 米研究所がサルで実験

 低カロリー食を続けると健康にはなるが、寿命が延びることはないとの結果が、23年間にわたるサルを使った実験で示されたと、米国立加齢研究所が英科学誌ネイチャーに発表しました。カロリー制限は「長寿の極意」とされてきただけに、議論を呼びそうです。

 論文によると、加齢研究所では1987年から、平均寿命が27年と比較的長く、個体によっては40年生きるアカゲザルを使って長期の実験を行ってきました。実験では、さまざまな年齢の計121匹のアカゲザル2つのグループに分け、一方には「普通食」、もう一方にはカロリーが30パーセント低い食事を継続して与えました。ビタミンやミネラルのサプリメントは、両方のグループに与えました。どちらのグループも、野生のアカゲザルよりも長生きし体重も多くなりました。

 健康度でいえば、低カロリー食のグループでは普通食のグループよりも、体重が軽く、糖尿病や心疾患、がんの発症例が少なく、またオスではコレステロール値も低くなりました。しかし、加齢研究所老年学実験研究室のラファエル・デ・カボ氏によると、少なくともアカゲザルにおいてはこうした健康度が直接、寿命の長さに影響してはいませんでした。

 この実験結果は、他の研究結果と矛盾しているようにみえます。例えば米ウィスコンシン国立霊長類研究センターが現在行っている実験では、カロリー制限をしたアカゲザルのほうが長生きするという結果が出ています。

 霊長類研究センターのリッキー・コールマン上級研究員は、2つの研究には相違点が多く、実験結果の矛盾はそのためだとの見方を示しました。特に、霊長類研究センターでは普通食グループのサルに人間の通常の状態と同様、自分で好きな時に好きなだけ餌を食べられるようにしたのに対し、加齢研究所の普通食グループでは人間の理想的な食事習慣を模して決まった量の餌だけを与えていました。

 このため加齢研究所の実験では普通食グループのサルも、低カロリー食グループのサルと同じくらい長生きしたのだとみられるといいます。また、霊長類研究センターの実験ではサルにサプリメントは与えていませんでした。

 一方、デ・カボ氏は2つの異なる研究結果を比較すれば説得力のある答えがみえてくるとして、「健康な食事習慣によって寿命は延びるが、低カロリー食では病気の発症を遅らせることはあっても寿命の延長にはつながらないという結論が導き出されるだろう」と述べています。

 2012年9月3日(月)

 

■大衆薬で24人死亡の可能性 過去5年の副作用で

 風邪薬などの一般用医薬品(大衆薬)を服用した後、副作用で死亡したとみられる患者が、2007~2011年度の5年間で24人に上ることが、厚生労働省のまとめでわかりました。厚労省は、薬の服用後に体調が悪化した場合は、早めに医師や薬剤師に相談するよう呼び掛けています。

 これは厚労省が医療機関や製薬会社からの報告をまとめたもので、今年3月までの5年間に、医師の処方せんなしに薬局などで購入できる一般用医薬品を服用したり使ったりした後、副作用で死亡したとみられる患者は、合わせて24人に上るということです。

 うち半数の12人は、風邪薬を服用した患者で、服用後に皮膚が壊死したり、肝障害や肺炎などを起こして死亡したということです。このほか、痛み止めを服用した後にぜんそく発作が起きたり、漢方薬を飲んだ後に肺炎を起こたりして死亡したケースも、報告されているということです。

 一般用医薬品による副作用は、軽い症状も含めると年間およそ250件ほど起きていると報告されているということです。5年間では計1220人で、うち15人は死亡には至らなかったものの重症化して後遺症がありました。因果関係が不明なケースも含んでいるといいます。

 厚労省安全対策課は、「容易に手に入る大衆薬でも重い副作用が起きる恐れはある」と指摘。「薬の説明をしっかり確認し、薬の服用後に異変を感じたら早めに医療機関に相談してほしい」と呼び掛けています。同課によると、大衆薬でも入院治療が必要なほどの副作用があれば、公的な救済制度を利用できる場合があります。

 2012年9月2日(日)

 

■ポリオ不活化ワクチン、予防接種が始まる まひの副作用解消

 子供が受けるポリオ(小児まひ)の予防接種が、1日から毒性をなくした「不活化ワクチン」に切り替わり、全国各地の診療所などで新しいワクチンの接種が始まりました。

 ポリオの予防接種は、これまでウイルスの毒性を弱めた生ワクチンを使って行われてきましたが、ごくまれに手や足にまひ症状が出るため、1日から毒性をなくした不活化ワクチンに一斉に切り替えられました。東京・文京区の小児科の診療所には、保護者に連れられた乳幼児が次々と訪れ、接種を受けました。

 接種の対象は、これまでと同じ生後3カ月から7歳半までですが、従来の2回口に含ませる方法から4回の注射に変わります。医師は赤ちゃんをなだめながら、手早く注射していました。

 不活化ワクチンの価格は4回分で2万円余りと、これまでの生ワクチンのおよそ40倍に当たりますが、法律で定める定期接種のため、原則として無料で受けられます。

 1歳7カ月の娘に接種を受けさせた母親は、「生ワクチンによる副作用が怖くて、これまで2回は自己負担で個人輸入の不活化ワクチンを受けていました。もっと早く切り替えてほしかったが、今日からでも無料なので助かります」と話していました。

 日本小児科医会の会長を務める診療所の松平隆光院長は、「特に0歳児は多くのワクチンを受ける必要があり、スケジュール調整が難しいので、早めに医師に相談し確実に接種を受けてほしい」と話しています。

 厚生労働省によりますと、不活化ワクチンが導入されるまで接種を見合わせた人も多く、対象となる子供は、来年3月までに合わせて146万人に上るということです。同省は必要な量のワクチンは確保されているとして、自治体からの案内に従って確実に接種を受けるよう呼び掛けています。

 不活化ワクチンの接種回数は、8月末までにどんなポリオワクチンを何回受けたかで異なるので注意が必要。生ワクチンのほか、小児科医らが個人輸入した不活化ワクチンを打っている人もいます。

 これまで生ワクチン1回か不活化ワクチンを1~3回受けた場合は、全体のポリオワクチンの接種回数が計4回になるよう回数を合わせる必要があります。受ける回数などは、厚生労働省のホームページなどで確認できます。

 なお、11月からは、ポリオの不活化ワクチンとDPTワクチン(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)の4種混合ワクチンの接種も、新たに加わる予定です。

 2012年9月1日(土)

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