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健康ダイジェスト

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■BSEによる米産牛肉輸入規制、緩和へ 「リスク低下」と厚労省

 厚生労働省は31日、米国産牛肉の輸入制限を緩和する方針を固めました。同日午前から始まった厚労省の薬事・食品衛生審議会も、輸入制限や国産牛の検査体制など牛海綿状脳症(BSE)対策全般の見直しについて了承しました。

 現在、国産牛の検査対象は「生後21カ月以上」、輸入条件は「同20カ月以下」とされています。今回の見直しでは、検査対象を「生後31カ月以上」とし、輸入条件も「同30カ月以下」とする案が有力です。

 厚労省では、世界で確認されたBSE感染牛が2001年の2215頭から、10年は45頭(うち44頭は欧州)に減少し、欧州でも今年7月から検査対象を「生後72カ月超」と緩和し、日本の規制は国際的に厳しいことなどから、緩和を検討することにしました。

 同省は今後、米国、カナダなど牛肉の輸入制限の対象になっている各国と調整し、年度内にも新たな輸入規制案や国内検査体制の見直し案をまとめる方針。条件案の評価を内閣府の食品安全委員会に諮問した上で、来年前半にも緩和に踏み切る見通しです。

 輸入制限の緩和は、東京電力福島第一原発事故の影響で、日本の農産物の輸入を制限する国が相次いだことも背景にあります。科学的な根拠に基づく対応を求めるには、牛肉の輸入制限についても最新の知見で見直す必要があると判断されました。

 厚労省の担当者は、「BSEのリスクは低下してきており、研究も進んでいる。規制の再評価が必要と考えている」と説明しています。

 2011年10月31日(月)

 

■医療法人徳洲会、病気腎移植を先進医療申請へ 保険の一部適用が目的

 がん患者から治療で摘出した腎臓を腫瘍部分だけ切除し、慢性腎不全の別の患者に移植する「病気腎移植」に取り組んでいる医療法人徳洲会は29日、第三者間の病気腎移植を先進医療として厚生労働省に31日に申請すると発表しました。保険の一部適用が目的。

 同会は今年の夏に申請を予定していましたが、東京の医師らが逮捕された臓器売買事件などを受けて先延ばしにしていました。同会の能宗克行事務総長は、「移植の現状を知ってもらえば前向きな判断が出ると思う」と話しました。

 執刀してきた宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠(まんなみ・まこと)医師を中心とするグループは、病気腎移植を生体腎・死体腎移植に次ぐ「第3の道」と主張、臓器提供者不足も解決できるとしています。一方、日本移植学会などは、安全性が認められていないとして医学的妥当性を否定しています。

 厚労省も2007年に病気腎移植を原則禁止し、臨床研究については09年1月に「対象疾患に制限を設けない」と容認の見解を出しました。万波医師らは今年4月までに、臨床研究としての移植を4例実施しました。

 2011年10月30日(日)

 

■放射性セシウムの許容線量 食品は年1ミリシーベルトに引き下げ

 食品に含まれる放射性物質の規制値について、小宮山洋子厚生労働相は28日、放射性セシウムの許容線量を現在の年間5ミリシーベルトから同1ミリシーベルトに引き下げる方針を明らかにしました。現行の5分の1に厳しくし、食品の安全に配慮します。来年4月をめどに新たな規制値を適用します。

 内閣府・食品安全委員会が27日、食品から摂取する放射性物質について、健康に影響が出る内部被曝線量は「生涯の累積で100ミリシーベルト以上」との評価をまとめ、厚生労働省に答申しました。同省はこれを踏まえるとともに、食品の国際規格を作成する政府間組織がセシウムの指標を年間1ミリシーベルトとしていることなどから、見直しを決めました。

 現在の暫定規制値は、食品に含まれるヨウ素やセシウムなどの放射性物質の上限を、年間で計17ミリシーベルトに設定しています。このうちセシウムの上限は年間5ミリシーベルトで、この大枠をもとに、飲料水や野菜、肉など5分野ごとに1ミリシーベルトずつ割り振っていました。

 今後は、暫定規制値から新たに決まる正式な規制値に移行する予定ですが、大枠が5分の1に厳格化されたことに伴い、食品分野ごとの規制値も現在の暫定規制値より引き下げられる見通し。

 31日から始まる厚労省の審議会では、規制値を見直す放射性物質がセシウムだけでよいかどうかも検討します。お茶やキノコなど乾燥食品ではセシウムが濃縮されて規制値を超えやすくなる問題も議論します。また、欧州連合では放射性物質への感受性が高いとされる子供への配慮から、乳幼児用食品の規制を厳しくしていることを踏まえ、乳幼児用食品の規制を厳しくするかどうかも検討します。

 小宮山厚労相は、「暫定規制値に適合する食品の安全は確保されているが、より安全を確保するため規制値を見直す。専門家に議論いただき、国民が納得いく規制値を設定したい」と話しました。

 2011年10月29日(土)

 

■禁煙補助剤で意識障害 注意喚起後も車事故6件

 禁煙補助剤「チャンピックス」(成分名・バレニクリン)を服用後に意識障害に陥って自動車事故が起きた問題で、厚生労働省が販売元の製薬大手ファイザー(東京都渋谷区)に添付文書の改訂を指示した7月以降に、同様の事故が6件起きていることが26日、わかりました。

 同省は医師や服用患者に、「服用期間中は自動車の運転など危険を伴う機械の操作をしないように」と再び注意喚起しました。

 この禁煙補助剤は国内初の飲み薬タイプ(錠剤)で、ファイザーの推定では2008年5月の発売から今年6月までに約85万人が服用したといいます。昨年10月のたばこ増税の際には禁煙する患者が増え、供給不足に陥ったこともあります。

 同省によると、7月下旬に70歳代男性が服用後に車を運転したところ、眠気に襲われ運転を誤って側溝に落ち、横に2回転する自損事故を起こしました。男性は軽傷だったといいます。この男性を含め30~80歳代の男性計6人が7月以降、服用後に自損事故を起こしていました。他人を巻き込んだ事故はないといいます。

 同省は7月5日、服用後の自動車事故が3件報告されたとしてファイザーに医師向けの添付文書の改訂を指示。同社は意識障害で自動車事故が起きたことを盛り込み、注意喚起しています。

 改訂以前の自動車事故は、ほかに3件追加報告されており、今回の発表分を含め、服用後の事故は計12件となりました。同剤は12週間服用を続ける必要があり、同省は「仕事や日常生活で運転が必要な人は、ほかの薬を使うか別の禁煙方法に取り組むなど、医師と相談してほしい」としています。

 チャンピックスはニコチンを含みませんが、脳の神経細胞のニコチンを受け取る部分をブロックし、禁断症状を抑えるだけでなく喫煙しても満足感が得られないような作用があります。少量で1日1回から始め、次第に回数と量を増やし、12週間続けます。チャンピックスを使用して医療機関で禁煙治療を受ける場合は、一定の条件を満たせば保険適用となり、ニコチン依存症の人の禁煙に効果を上げています。

 2011年10月28日(金)

 

■子宮頸がん予防ワクチンを男子にも 米で推奨

 米疾病対策センター(CDC)の予防接種に関する諮問委員会は25日、性交渉を通じて感染し子宮頸がんなどの原因になるヒトパピローマウイルス(HPV)に対するワクチンについて、11~12歳の男子に対して定期接種を求める勧告を承認しました。

 HPVは子宮頸がんや尖圭コンジローマを引き起こすことで知られますが、最近、HPVワクチンが男性に対しても口やのど、肛門のがんの予防効果があることがわかったため、性交渉を始める前の男子への定期接種が有効だと判断しました。

 CDCはすでに、11~12歳の女子に対してHPVワクチンの定期接種を勧めています。米メディアによれば、今回の決定の背景には、男性が女性への感染源となっていることから、全体で感染率を下げる狙いもあります。HPVワクチンが高価なこともあり、女子での初回接種率は半分程度にとどまっているといいます。

 一方、HPVワクチンの接種は男性同性愛者の肛門がん予防にも効果があるとの研究結果が、26日の米医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル」に発表されました。

 米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のジョエル・パレフスキー教授率いる研究チームは2006~08年、米国やオーストラリアなどの16~26歳の男性同性愛者602人を対象に追跡調査を行いました。

 被験者にはHPVワクチン、または偽薬を無作為に投与しました。その結果、HPVワクチンを接種した被験者が肛門のHPV感染や前がん病変を発症した割合は、偽薬を投与された被験者と比べて、HPV感染歴がない被験者で75パーセント、感染歴のある被験者で54パーセント低くなりました。

 HPV感染は性的に活発な男性同性愛者の半数が経験し、がんを誘発する恐れがありますが、早期に発見できれば病変を取り除き、がん発症を予防できます。ただし、性経験をする前にHPVワクチン接種を受けることが重要だ、と専門家達は指摘しています。

 2011年10月27日(木)

 

■子供が受診する病院は屋内禁煙に 厚労省、12年度から

 厚生労働省は26日、子供の患者が受診する医療機関では、他人のたばこの煙を吸わされる受動喫煙の害を防ぐため原則的に屋内全面禁煙とする方針を決めました。同日の中央社会保険医療協議会(中医協)に提案、了承されました。

 診療報酬の要件にするなどの方法で、2012年度から実施します。

 対象となるのは、小児患者のほか生活習慣病や呼吸器疾患の患者らが受診する医療機関。ほとんどの病院や多くの診療所が該当するとみられます。

 厚労省によると、08年の調査では、屋内全面禁煙になっている病院は63・8パーセントで、分煙が35パーセント、対策なしが0・5パーセントでした。

 厚労省は「受動喫煙による健康への悪影響は明らか」として、病院の禁煙化の遅れを問題視。しかし、院内での喫煙が認められることの多い末期がん患者らへの配慮が必要として、何らかの例外を設けることも検討しています。

 受動喫煙についての健康影響は、流涙、頭痛などの症状だけでなく、肺がんや虚血性心疾患などの疾患の死亡率が上昇したり、非喫煙妊婦でも低出生体重児の出産の発生率が上昇するといった研究結果が近年多く報告されています。小児では喘息、気管支炎といった呼吸器疾患などと関連があると報告されています。また、乳児では乳幼児突然死症候群と関連があると報告されています。

 2011年10月26日(水

 

■小児がんの記録、生涯保存 クラウド活用し成人後の治療に生かす

 小児がんの子供の診療記録を半永久的に保存する仕組み作りが、内閣府IT戦略本部の「医療情報化」の一環として始まります。記録の保存義務はこれまで5年間でした。

 がんを克服した後のフォローアップや、成人後に別の病気になった際に、どこに住んでいても、子供時代の診療内容も参考に、治療方針を決められるようにします。

 この事業は、データをパソコンなどではなく、インターネット上に保存できるクラウドコンピューティングを使います。千葉県がんセンターなどが中心になり、まずは小児がん患者を診ている約60病院に参加を呼び掛け、12月に協議会を発足。

 小児がんの中で白血病と脳腫瘍に次いで多い神経芽腫を中心に、登録を始めます。順次、小児がん全体に対象を広げ、小児がん診療を手掛ける約130病院の参加を目指します。

 毎年2000〜2500の子供が新たにがんになりますが、8割近くは治ります。現在、小児がん経験者は約10万人いるとみられています。

 経験者の数割は何年もたってから、二次がんや分泌障害などの晩期合併症が起こるため、長期のフォローアップが欠かせません。成人した後、別の病気の治療で過去の診療記録が必要になることもあります。

 現状では、医療機関ごとに診療記録を保存し、保存義務は5年間となっているために、別の病院では使えず、成人した後に必要になっても残っていないことが少なくありません。

 そこで、小児がん経験者がどこにいても安心して健康管理ができるように、本人や保護者が同意した診療記録を半永久的に記録、保存します。検査や治療内容のほか、フォローアップの情報、特定の薬や食物へのアレルギーなども記録します。

 診療記録は、がん治療終了後は本人や保護者が自らパスワードを使って管理。別の医療機関を受診する際は、パスワードを伝えれば、医師が過去の診療記録を参照できるようにします。最終的には、本人の許可があれば、どこの医療機関からも過去の診療情報を参照できる体制を目指します。

 2011年10月25日(火)

 

■マイコプラズマ肺炎が急増 愛知県は全国平均の3倍

 若い世代に多い「マイコプラズマ肺炎」の患者が全国的に増えています。特に愛知県で急増し、ここ数週間の患者数は全国平均を3倍近く上回っています。国がまとめた1医療機関あたりの患者数は、夏ごろから急に増え、10月以降ここ数年にない数に上っています。

 マイコプラズマ肺炎は、細菌による感染症でワクチンはありません。せきや接触で移り、潜伏期間は2~3週間。幼児や小学生、若者に患者が多くみられます。乾いたせきから始まり、発熱や頭痛、だるさの症状があります。重症になると、中耳炎や脳炎などの合併症を起こします。

 国立感染症研究所が全国約500カ所の医療機関から報告された患者数をまとめたところ、1医療機関あたりの患者数が6月から0・6~0・7人に増えました。これは例年の流行期である10月中旬から春先の患者数に当たります。10月に入ると、過去10年間では初めて「1人」を超えました。

 特に愛知県の場合、6月ごろから増え始め、9月にすでに2人を超え、10月に入ると3・15人を数えました。これまでの5年間では1人を上回ったことがほとんどなく、患者数の多さは異例。患者年齢は5~9歳に集まっています。患者が多いのは、ほかに埼玉県や東京都、大阪府など。

 マイコプラズマ肺炎は一般的な風邪などと判別しづらいものの、特徴的な乾いたせきがダラダラと続く場合は注意が必要。医師による診断は症状に加え、血液検査で確定します。治療は抗生物質の服用が中心ですが、注意したいのは抗生物質の種類です。マイコプラズマは細胞壁を持たない細菌のため、細胞壁の合成を阻害するタイプの抗生物質(ペニシリン系、セフェム系)が効きません。マクロライド系の抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシンなど)が主に使われます。

 かかった場合は、せきが出る間は感染力が残るので、登校、登園の再開は、掛かり付け医に相談します。感染を広めないためには、マスクやうがい、手洗い、かかった人の使うタオルやコップを使わないなど、普通の風邪と同じような予防法を心掛けることです。

 2011年10月24日(月)

 

■インフル予防のトローチ、発売中止 医薬品と誤解の恐れ

 「インフルエンザ予防に役立つ」として、ミヤリサン製薬(東京都北区)とバイオベンチャー企業のファーマフーズ(京都市)が共同開発したトローチが発売中止になりました。

 健康食品として今月中にも売り出す予定でしたが、予防に期待する消費者からの問い合わせが殺到。製造販売元のミヤリサン製薬は、「医薬品と誤解される恐れがある」と判断しました。

 同社などは、ニワトリに無毒化したインフルエンザウイルスを注射し、卵黄からウイルスに対する抗体を作製することに世界で初めて成功しました。この抗体を成分に配合したトローチの「バリフル」(1箱18錠入り)を薬局、薬店で売り出すことが、今月中旬以降、報道や医学会発表で伝えられると、消費者から連日、企業側に問い合わせが寄せられたといいます。

 同社の開発担当者は、「健康食品なので、人への臨床試験はしていない。パッケージにも健康食品と記載しており、医薬品と間違われるような効能も宣伝していない。ただ、医薬品ではないとはっきり周知する必要がある」として、当面の販売中止を決めました。販売については今後、厚生労働省と調整するといいます。

 厚生労働省医薬食品局の担当者は、「効能をうたっていなくても、成分の説明などで誤解を招きかねない場合もある」と注視しています。

 2011年10月23日(日)

 

■脳死の少年の肝臓、2人の子供へ分割移植 国内で初めて成功

 改正臓器移植法に基づき脳死と判定された少年から提供された肝臓を、2人の子供に分割して移植する国内初の手術が成功しました。国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)で移植を受けた10歳代の少女が19日、退院を前に会見しました。

 脳死の子供からの臓器提供がまだ2件にとどまる中で、分割移植が確立すれば、移植を受ける機会が広がると期待されます。

 肝臓は、9月3日に脳死と判定された15~17歳の少年から提供されました。肝臓のサイズが大きかったため2つに分割され、一方は国立成育医療研究センターで肝硬変の10歳代の少女に、もう一方は京都大病院で肝硬変の10歳未満の女児に、それぞれ9月4日に移植されました。子供から子供への肝臓移植も国内初。

 退院を前に会見した少女は、「提供を受けて退院できるようになり、ドナー(臓器提供者)の方に感謝したい。これまで病気で学校行事に参加できなかったので、これからは参加したい」と述べました。少女は手術後の経過が順調で、退院後1カ月ほどで運動もできるようになる見込みといいます。

 京都大病院で移植を受けた女児も経過が順調で、来週にも退院する見込みだといいます。

 肝臓の分割手術は、肝臓の働きを低下させる心配が生じます。大人の肝臓を、大人と子供で分割した例もごく限られています。厚生労働省が今年3月に、移植を受ける人の選び方を改め、18未満の子供の肝臓は、18未満の子供が移植を受けやすくなりました。

 2011年10月22日(土)

 

■夫婦の子供、初めて2人割る 出生動向基本調査

 夫婦が生涯にもうける子供の平均数(完結出生児数)は1・96人で、初めて2人を下回ったことが21日、国立社会保障・人口問題研究所が昨年実施した出生動向基本調査で判明しました。子供がいないか1人だけの夫婦も初めて2割を超えました。理想とする子供の数は2・42人で過去最低を更新し、少子化が着実に進んでいる実態が改めて浮き彫りになりました。

 調査は原則5年ごとに実施し14回目。昨年6月に妻の年齢が50歳未満の夫婦9050組に調査票を配り、有効回答のうち初婚同士の6705組を集計しました。

 1990年代前半に結婚し、子供をほぼ産み終える結婚期間が15~19年の夫婦の子供は平均1・96人で、2005年の前回調査の2・09人から0・13人減少。初回調査の40年は4・27人で、72年~02年までは2・2人前後で推移していました。

 同研究所は、「調査対象は晩婚化が鮮明になった90年代前半に結婚した人達で、出産適齢期が短いため出生数が少なかった」と分析しています。

 未婚を含めた女性1人が生涯に産むとされる子供の人数(合計特殊出生率)は昨年1・39人と2年ぶりに回復しましたが、一時的なものとみられ、将来的な少子化の流れに歯止めはかかっていません。

 実際に予定する子供の人数も2・07人で、過去最低。理想とする子供の数2・42人との差は0・35人で、理想数の減少が大きかったため、差は前回調査の0・37人より微減しました。予定数が理想数を下回る理由(複数回答)は、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が60・4パーセントと前回に続き最多。特に30歳代未満では8割を超えましたが、30歳代では「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられない」が2割を占めました。

 初婚年齢は男29・8歳(前回調査29・1歳)、女性28・5歳(同27・4歳)で、一層晩婚化が進みました。

 2011年10月21日(金)

 

■魚介類から微量セシウムを検出 環境保護団体が店頭調査

 環境保護団体グリーンピースは20日、大手スーパーマーケット5社を対象にした抜き打ちの魚介類商品の放射能汚染調査から放射性セシウムを検出したことで、消費者庁、農林水産省、厚生労働省、日本チェーンストア協会に、魚介類商品におけるベクレル値と漁獲海域の表示およびスクリーニング検査の強化を求める要請書を提出しました。

 グリーンピースの抜き打ち調査は、イオン、イトーヨーカドー、ユニー(アピタ)、ダイエー、西友に実施を事前に通達した上で、9月4日から10月7日に実施。東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県、福島県、宮城県内の計17店舗で、東日本太平洋側と産地表示のある魚介類商品を中心に購入したサンプルをグリーンピースの放射能測定室でスクリーニング検査後、第三者機関である日本食品エコロジー研究所でゲルマニウム半導体検出器を用いて検査したものです。サンプル数は各社12サンプル、計60サンプルです。

 調査結果は大手スーパー5 社全社で、60サンプル中34サンプルから微量の放射性セシウムを検出し、日本政府が定める暫定基準値である1キログラム当たり500ベクレルを下回っているものの、一般に購入できる魚介類商品に放射能汚染がある事実が明らかになりました。最大値は、埼玉県内の店舗で売られていた茨城県産ワカサギの1キログラム当たり88ベクレルでした。

 グリーンピース・ジャパンの海洋生態系問題担当の花岡和佳男さんは、「調査した全5社の幅広い商品でセシウムが確認された。特に幼児の親や妊婦などにとっては、数十ベクレルが大きな意味を持つ。魚介類商品の放射能汚染が広く流通網に広がっており、行政の動きが極めて遅い中、消費者は魚介類を選択購入し安心して消費するために、購入現場で商品の汚染度合いに関する情報を求めている」と話しました。

 「現在はイオン1社だけが魚介類における自主放射能検査の実施を公表しているが、他のスーパーも同業他社や行政の顔色ではなく、消費者と向き合った運営をすることが急務だ」と付け加えました。

 グリーンピースは大手スーパーマーケット5社と8月から対話を続けており、魚介類における自主放射能検査の実施と結果の公表、暫定規制値にとらわれない独自の流通基準の策定、そして水揚げ港ではなく漁獲海域表示の徹底を要請しています。

 2011年10月20日(水)

 

■インフル予防にトローチ開発 バイオ企業が卵黄から作製

 インフルエンザ感染を抑制する抗体入りのトローチを、バイオベンチャー企業ファーマフーズ(京都市)とミヤリサン製薬(東京都北区)が共同開発し、健康食品として販売を始めます。

 ファーマフーズは、ニワトリの卵を使って抗体を作り出す技術を持っています。京都府立医科大と共同で、ニワトリに季節性インフルエンザAソ連型と、2009年に流行した新型インフルエンザの2種類のウイルスを無毒化して注射し、卵黄からウイルスに対する抗体を作製。インフルエンザ感染実験で一般的に使われる細胞にウイルスを加えると約1分で感染しましたが、抗体入りの卵黄を粉末化して同時に入れると、ウイルスは約30秒で感染力を失いました。唾液の成分で感染抑制効果が失われることもなかったといいます。

 抗体入りのトローチの商品名は、「バリフル」(1箱18錠入り)。季節性と新型のインフルエンザウイルスのほか、弱毒性の高病原性鳥インフルエンザウイルスの抗体も含む「万能型」で、子供がなめても大丈夫といいます。今月中にも薬局、薬店の店頭に並ぶ予定。値段はまだ、発表されてません。

 ファーマフーズによると、ニワトリに作らせた抗体を食べてインフルエンザを予防する方法は、世界で初めて。トローチはなめ終わった後も1、2時間は効果が持続します。ファーマフーズは、「通勤・通学の人混みの中で特に有効。手軽に摂取できるので、感染予防に役立つ」としています。

 2011年10月19日(水)

 

■子供向けの薬の開発を進めよう 小児医療機関27施設が連携

 子供向けの薬の開発を進めるため、全国27の小児医療専門機関が「小児治験ネットワーク」を立ち上げました。

 子供は患者数が少ないため、製薬企業は小児医薬品の開発に及び腰で、7割の薬は大人向けの量を適当に減らすなどして使われています。同じ薬でも、大人と子供では安全性や効果が異なり、子供向けの臨床試験(治験)の必要性が指摘されていました。

 小児治験ネットワークは、国立成育医療研究センター、北海道立子ども総合医療・療育センター、名古屋第一赤十字病院小児医療センター、大阪府立母子保健総合医療センター、福岡市立こども病院・感染症センターなど27施設で発足。製薬企業が治験を行いやすい環境作りを目指します。

 国立成育医療研究センターを窓口にして、治験の事務手続きを簡略化。複数の病院が共同で治験を行うことで、参加する患者を短期間に集めやすくします。早ければ、年明けにも共同で治験を行います。

 子供の患者数は大人の数十分の1程度しかない上、年齢による体格差も大きく、製薬企業は治験に消極的です。厚生労働省研究班が約1500の調剤薬を調べたところ、添付文書で子供向けの用法、用量の記載があったのは、3割にすぎませんでした。

 このため医療機関が独自に、大人の薬の量を減らしたり、飲みにくい錠剤やカプセルを粉状に加工したりして処方しています。ただ、子供と大人では薬に体する反応が異なり、錠剤などを粉砕して使えば品質の保証も課題になります。成長過程にある子供では、病気の特殊性もあります。

 治験はまず、すでに大人用に認められている薬を中心に始めます。

 2011年10月18日(火)

 

■人工乳房、全国の温泉巡る 浸して色や形の変化を検証

 乳がん摘出手術で人工乳房をつける人に安心して温泉を楽しんでもらうための「おっぱいリレー」が17日、全国各地で一斉に始まりました。人工乳房を温泉などに浸して色や形が変わらないか調べる初の試みで、メーカーと温浴施設の共同企画。

 人工乳房をバトンがわりに湯から湯へ、北海道から鹿児島県まで19地域の計95施設を巡ります。

 17日朝、福岡県那珂川町のスーパー銭湯「湯あみの郷(さと)」。営業前に、従業員が炭酸カルシウム入りの人工温泉に人工乳房を浸しました。30分後、色や形が変わっていないか確かめ、写真に収めて「検証」は終了。永倉篤彦支配人は、「よかった。人工乳房をつけている方に安心してうちの湯に来てもらいたい」。

 3日以内に次の湯に届け、31日までにゴールします。

 検証に使うのは、業界最大手の池山メディカルジャパン(名古屋市)のシリコーン製の商品。池山紀之社長によると、シリコーン製の人工乳房は水を通さず、熱・酸・アルカリに強くて耐久性は抜群で、社内実験で温泉の影響はありませんでした。しかし、泉質は多様なため、変化する可能性は「ゼロではない」。人工乳房使用者の問い合わせに施設側も答えられない実情を知り、知人の温浴施設「夢古道の湯」(三重県尾鷲市)の伊東将志店長に相談。ツイッターやフェイスブックで参加を募り、リレー方式で確かめる話が進みました。

 福岡県北九州市の「本城天然温泉おとぎの杜」、三重県四日市市の「天然温泉ユラックス」、埼玉県の「湯郷多摩川温泉」、群馬県前橋市の「前橋荻窪温泉あいのやまの湯」など全国の施設も参加して、検証後、人工乳房が変色・変形などの影響を受けなかった参加施設に認定証と「おっぱいフリーシール」を渡し、結果をリストにして医療機関などに配ります。

 あいのやまの湯の斉藤マネージャーは、「当温泉が『おっぱいフリー』に認定された折には、一人でも多くの方に気軽に温泉を楽しんでもらえるよう案内する」と力を込めています。

 今月は「乳がん月間」。女性が罹患するがんの中で最も多い乳がんは日本人女性の16人に1人が発症するとされ、日本人工乳房協会(名古屋市)によると、年間約4万人が全摘出か部分摘出の手術を受けます。

 2011年10月17日(月)

 

■放射線知識学ぶ副読本を公開 文科省、小中高向け

 文部科学省は14日、放射線の基礎知識を学ぶため、新たに作成した小中高校生向けの副読本を公表しました。福島第一原子力発電所の事故で児童生徒や保護者の不安が高まり、どう教えるか悩む教員が多いことに対応しました。

 放射線の性質や人体への影響、身の守り方などを紹介する一方、同原発事故には冒頭部分で作成の背景として言及し、本文では触れていません。

 今月末にも全国の国公私立の小中高校と教育委員会に1部ずつ計約8万部を配布し、希望に応じて増刷します。14日から文科省のホームページ(http://www.mext.go.jp/)でも公開。実際に授業で使うかどうかは学校の自由といいます。

 小中高別に3種類あり、A4判約20ページ。それぞれに対応した教員向け解説資料も作りました。放射線が原発事故前から自然界に存在すると紹介し、風邪のように伝染することはなく、医療や産業での利用例を挙げ、不必要に恐れないよう呼び掛けました。

 人体への影響については、大量に浴びるとやけどを負ったり、がんになったりすると明記。「100ミリシーベルト以下の低線量と病気との関係については明確な証拠はない」が、健康リスクを考え被曝量はできるだけ少なくすべきだとしました。

 原発事故などの際は放射性物質が体内に入るのを防ぐため、マスクを着け、規制値を超えた食品はとらないなど注意点も盛り込みました。

 文科省は昨年度、原子力と放射線に関する副読本を初めて作成しましたが、事故後、原発の安全性を強調した部分が不適切と批判を受けたため、作り直すことを決定。現職教員や放射線専門家ら外部有識者13人による作成委員会(委員長=中村尚司東北大名誉教授)が編集し、日本医学放射線学会など4団体が監修しました。

 同省は編集方針について「作成委が議論し、放射線の基礎知識に絞った」と説明。原子力や原発に関する教育は、「政府のエネルギー政策の方向性が決まった段階で検討する」としています。

 放射線の授業は「脱ゆとり教育」の新学習指導要領に基づき、今年度から約30年ぶりに中学校で復活しました。ただ、指導法などのノウハウは乏しく、教え方に頭を悩ませる教員が多くいました。

 2011年10月16日(日)

 

■ポリオ不活化ワクチン、神奈川県内5カ所で接種可能に 全国初

 神奈川県と県立病院機構が、乳幼児に定期接種しているポリオ(小児まひ)の予防接種で、まひの副作用がないとされる不活化ワクチンを、県内の保健福祉事務所で年内にも接種できるようにすることがわかりました。県によると、病院単位での不活化ワクチンの提供はあるものの、都道府県で接種機会を増やす取り組みは全国で初めてといいます。

 接種を予定しているのは、県内9カ所の保健福祉事務所のうち5カ所。費用は助成せず、1回5000~6000円になる見込み。国内で未承認のため、県立病院の医師が海外から個人輸入する予定。接種による健康被害が起きた場合は、県としての補償はしない方針で、接種の際には同意書の提出を求めるといいます。

 神奈川県で、今年4~6月にポリオ生ワクチンの公的な予防接種を受けた乳幼児は、前年同時期に比べ約1万7000人(21・5パーセント)減りました。当面、この1万7000人が接種できる量のワクチンの輸入を目指すといいます。

 ポリオワクチンは海外では不活化ワクチンが主流ですが、国内で公費負担の定期接種として認められているのは生ワクチンのみ。この生ワクチンには、毒性を弱めた生きたウイルスが入っているため、接種によりまれにまひが起こることがあるとの不安から、安全性の高い不活化ワクチンへの移行まで定期接種を控える動きが保護者の間にあります。

 厚労省によると、ポリオの予防接種が原因とされるポリオの認定患者は平成13年度からの10年間で15人。100万人当たり約1・4人の割合で発生していることになります。国は15人を予防接種による健康被害の救済制度で補償しているのに対して、不活化ワクチンを輸入する医療機関で全額自己負担で接種した場合は救済の対象外となります。

 同省は、ウイルスを無毒化した不活化ワクチンの導入を進めていますが、メーカーの承認申請は年末になる見込みで、導入は早くても平成24年度の終わりごろになります。

 2011年10月15日(土)

 

■ビタミンE多量摂取で前立腺がんの危険性増加か 米国の研究

 健康補助食品のビタミンEを多量に摂取する人は、そうでない人に比べて前立腺がんになる危険性が17パーセント高いとする研究結果を米クリーブランド病院のチームがまとめ、11日、米医学会誌に発表しました。

 研究グループは米国、カナダ、プエルトリコの50歳以上の男性、約3万5000人を対象に、ビタミンEを1日に268ミリグラム以上摂取するグループ、セレンを摂取するグループ、ビタミンEとセレンの両方を摂取するグループ、健康食品の偽薬を摂取するグループの4つに分け、最大で約10年間、健康状態を追跡調査。この調査は、ブラジルナッツやマグロ、牛肉に含まれる微量ミネラルのセレン、およびビタミンEには前立腺がんリスクを下げる効果がありそうだとの研究結果を受けて、米国立がん研究所などの資金提供により行われたもの。

 10年間の追跡調査の結果、前立腺がんを発症したのはビタミンEを摂取したグループで620人、セレンを摂取したグループで575人、セレンとビタミンEの両方を摂取したグループで555人、偽薬を摂取したグループで529人。ビタミンEを摂取したグループは突出して多く、偽薬を摂取したグループに比べて発症リスクが17パーセント高いことが判明しました。

 研究グループは、ビタミンEが前立腺がんリスクを押し上げる生物学的な理由は不明だとしながらも、ビタミンEサプリメントの取り過ぎは健康を害することになり、摂取をやめた後も有害性が継続する可能性があると注意を促しています。ビタミンEは脂溶性のため、体内に蓄積されやすく、サプリメントで摂取する人の多くは大量に摂取するため、過剰になりやすい傾向がみられます。

 一方、米国の健康食品業界が作る団体は、逆にビタミンEが前立腺がんを減らす効果や、病気に対する有用性を示す別の研究があることを示した上で、「この研究結果だけで急いでビタミンEに対する判断を下すべきでない」との声明を発表しました。

 2011年10月14日(金)

 

■厚生年金の支給開始68~70歳検討 厚労省案

 厚生労働省は11日、60歳から65歳へと段階的に引き上げている厚生年金の支給開始年齢について、2030年度を想定している引き上げ完了時期を9年繰り上げて21年度とする案を社会保障審議会年金部会に示しました。また、支給開始年齢そのものを68~70歳へと遅らせる案も提示し、68歳とした場合の引き上げスケジュールを公表しました。

 ただ、定年延長など高齢者の働く場を確保するための法整備は進んでおらず、早期実現のハードルは高そうです。

 60歳以上で働いている人の厚生年金をカットする「在職老齢年金制度」に関し、60~64歳の減額基準を緩める案も示しました。賃金と年金の合計額が月28万円を超えると年金を減らしていますが、この基準を65歳以上と同じ「46万円超」へと緩和する案と、60~64歳の平均所得に合わせた「33万円超」とする2案で、来年の通常国会への関連法案提出を目指します。

 厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢は男性が13年度から、女性は18年度から3年に1歳ずつ引き上げられ、男性は25年度、女性は30年度以降65歳となることが決まっています。しかし、高齢化による年金財政の悪化を踏まえ、厚労省は女性も男性同様13年度から引き上げを始め、ペースも「2年に1歳」へと速めることで、男女とも21年度から65歳支給に完全移行する案を説明しました。

 さらに、男女とも13年度からの引き上げとした上で(1)「3年に1歳」の引き上げペースは維持しつつ、支給開始を68歳に遅らせる(2)ペースを「2年に1歳」に速め、支給開始も68歳とする--計画表も示しました。男女とも完全に68歳支給となるのは、(1)で34年度、(2)は27年度となります。65歳支給の基礎年金も併せて68歳からの支給となり、1歳の引き上げで基礎年金給付費は年に約1兆円縮小します。

 在職老齢年金制度の見直しは、「働くと年金が減るのでは高齢者の就労意欲をなくす」との批判に応えました。60~64歳の人は月額換算賃金と年金の合計が月28万円を超すと、超過額の半分が毎月の年金から差し引かれます。年金と賃金が15万円ずつの人は月収30万円で基準を2万円超すため、超過額の半分の1万円がカットされ、年金は月14万円となります。減額基準を「46万円超」に緩和した場合、給付総額は5000億円程度膨らむといいます。

 2011年10月13日(木)

 

■2012年の花粉飛散量、今年より7割減 ウェザーニューズ発表

 花粉症で苦しむ方々に朗報です。2012年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は、全国的に今年より7割減少するとの予想をウェザーニューズ(千葉市美浜区)が発表しました。

 同社によると、スギの雄花生産量は前年の夏の天候に影響され、よく晴れて暑い夏ほど生産量が多くなります。2011年の夏は、太平洋高気圧に覆われて晴れる日もあったものの、西日本を中心に曇りや雨となる時期があり、東日本では西日本に比べると雨は少なくよく晴れて暑い夏となりましたが、全国的な猛暑となった2010年の夏に比べると雲が多く、気温も低い傾向となりました。

 このため、スギ花粉の発生源となる雄花の量は2011年より少なく、2012年のスギ花粉飛散量は少なくなる見通しといいます。

 また、花粉の飛散は、多く飛散した翌年は飛散量が少なくなったり(裏年)、少ない年の翌年に多くなったり(表年)と交互に増減する傾向があります。2011年が全国的に飛散量が非常に多くなったため、統計的に見ても2012年の飛散量は2011年より少なくなる見通しとしています。 

 さらに、スギ・ヒノキ林とスギの雄花の現在までの状況についても、今年から新たに取り入れたスギ・ヒノキ林の活性状況(光合成有効放射吸収率:植物が光合成に有効な波長の光を吸収する割合)を観測した結果、2011年は2010年よりも全国的にスギ・ヒノキ林の活性度が低く、スギの雄花の量も少なくなる予想。

 同社によれば、先週までに全国のウェザーリポーターと花粉の発生源となるスギ雄花を調査した「雄花リポート」を見ても、昨年と比較して今年は雄花の数が少ないと感じている報告が多く、半分以下であるという報告も寄せられているといいます。

 スギ花粉の発生源となる雄花のこの時期の成長具合は、花粉飛散量に大きく影響するため、これらを総合的に考慮し、同社では「2012年の花粉飛散量は、全国的に2011年よりも少なく、全国平均では2011年の約3割の飛散量となる」と予想しています。

 過去の飛散状況と比較すると、比較的飛散量の少なかった2006年、2008年、2010年と似た傾向となり、ヒノキ花粉の飛散量はスギ花粉の飛散量と傾向が似ていることから、2012年はヒノキ花粉の飛散量も少なくなると予想しています。

 なお、北海道のシラカバ花粉も2012年の飛散量は2011年よりも少なくなる見通し。

 2011年10月12日(水)

 

■サプリメントの摂取は大半の人で不要、逆効果も  米大学の研究

 ビタミンサプリメントの摂取は大半の人では必要なく、年配女性では死亡リスクが高くなる恐れもある――。米国医師会の内科専門誌「アーカイブス・オブ・インターナル・メディシン」に10日、このような研究結果が発表されました。

 米国では、2人に1人が何らかのビタミン剤を摂取しています。東フィンランド大と米ミネソタ大の研究チームは、200億ドル(約1兆5000億円)規模のサプリメント産業がすでに栄養状態の良い国民の寿命を延ばすことに貢献しているかを探るため、米アイオワ州の女性を対象にした健康調査のデータ(参加人数3万8772人、平均年齢62歳)を分析しました。

 1986年、1997年、2004年のサプリメントに関する自己申告を見ると、当初サプリを使用していたのは全参加者の66パーセントでしたが、04年にはこの割合が85パーセントに上がりました。

 サプリメントを使用している人は、健康的なライフスタイルを示す指標が高く、サプリメントを使用していない人よりも非喫煙者が多く、低脂肪食の割合が高く、運動量も多いという傾向がありました。

 ただし、サプリメントを使用した人の死亡リスクが使用しない人よりも高くなるケースも、多数ありました。特に、鉄分のサプリメントの使用は、総死亡リスクの上昇と強く、かつ用量依存的に結び付いていました。

 一方で、カルシウムのサプリメントは一貫して、総死亡リスクの低下に結び付いていました。用量依存性は不明といいます。

 研究チームは、鉄分サプリメントの使用者で死亡リスクが高くなる理由について、サプリメントを使用せざるを得ない根本原因が存在する可能性を排除しておらず、さらなる研究が必要だと述べています。

 今回の結果を受け、医師らは、栄養不足を解消するために必要な場合を除き、摂取した場合のリスクを考慮すべきだと呼び掛けています。

 セルビア・ニス大のゴラン・ビジェラコヴィク医師らは、解説記事で「『多ければ多いほど良い』というパラダイムは間違いだ」と記しました。また、今回の結果は、ビタミンE、ビタミンA、ベータカロチンなど一部の抗酸化物質のサプリが有害になり得ることを示す新たな証拠だとした上で、「ビタミンとミネラルのサプリメントは、少なくとも栄養状態が良い人には予防措置として勧められない」と記しました。

 ゴラン・ビジェラコヴィク医師らによると、年配女性、そして恐らくは年配男性にも有益と見なされる唯一のサプリメントは、ビタミンD3だといいます。食事または日光暴露により十分なビタミンD3を得られなかった場合に、有効だといいます。

 なお、カルシウムサプリメントを摂取すべきかの問題については、研究チームは「さらなる調査が必要」としています。

 2011年10月11日(火)

 

■子供の体力は回復、65歳以上の体力は向上 10年度文科省調べ

 短距離走の速さやボールを投げる力など子供の基礎的な運動能力の回復傾向が鮮明になっていることが、文部科学省が10日の体育の日に合わせて公表した2010年度の体力・運動能力調査でわかりました。中学、高校で運動部に所属していた人はその後も生涯に渡って高い体力を維持していることも、明らかになりました。

 調査は昨年5~10月、全国の6~79歳の男女約7万4000人を対象に実施。約6万8000人の調査票を回収しました。

 「走る、跳ぶ、投げる」の基礎的な運動能力を示す種目について、現行の調査方式になった1998年度以降の数値の推移を分析しました。各年齢層の代表値とする小学生(11歳)、中学生(13歳)、高校生(16歳)は、ほぼ全種目で数値が向上か横ばいになりました。

 09年度は横ばいだった11歳男子の50メートル走、13歳女子の持久走、16歳女子の50メートル走と立ち幅跳びは今回、向上に転じました。各種目を点数化した合計点は、小中高とも98年度以降で最高となりました。

 文科省は00年にスポーツ振興基本計画を策定。体育の授業改善などに力を入れており、近年の向上傾向の一因とみています。調査した順天堂大の内藤久士教授は、「子供の体力低下に危機感を抱いた学校やスポーツ関係者がさまざまな取り組みを進めた成果が出た」と分析しています。

 ただし、子供の体力のピークだった85年の水準には届いていません。筋力を測る種目などで差が目立ち、11歳男女のボール投げは当時に比べて約3メートル短く、16歳男女の握力も2~3キロ弱くなっています。

 また、運動をする子としない子の成績差が大きく、かつ以前より広がっています。運動習慣を「ほとんど毎日」から「しない」までの4階層に分けて分析すると、小学生男子の50メートル走は「ほとんど毎日」の子と「しない」子の差が、85年度の0・32秒から10年度は0・64秒に拡大しました。女子も、差がほぼ倍に広がりました。

 一方、大人については、50歳以上では男女ともに体力が上昇しているのに対し、20歳代から40歳代の働き盛りの年代で体力の低下がみられました。50歳以降は男女とも緩やかに上昇、65~79歳は握力、上体起こし、長座体前屈に加え、開眼片足立ち、10メートル障害物歩行、6分間歩行の6種目のほとんどで上昇しています。

 調査では、中学と高校での運動部活動の経験の有無と体力の関係も分析しました。中高で運動部経験がある人の合計点は、全年代で男女とも未経験者を上回りました。経験者の体力は、5~20歳下の未経験者とほぼ同じでした。

 文科省は、「運動部の経験がその後の運動習慣につながっており、生涯に渡って高い水準の体力を維持するのに重要な役割を果たしている」と指摘しています。

 2011年10月10日(月)

 

■子供の甲状腺検査始まる 福島県、36万人が対象

 福島県は9日、東京電力福島第一原発事故に伴う県民健康管理調査の一環として、事故発生時0~18歳の子供約36万人を対象とする甲状腺の超音波検査を福島市の県立医大病院で始めました。

 1986年のチェルノブイリ原発事故では子供の甲状腺がんが多発し、県内の保護者の間に不安が広がっているため、県は世界でも類を見ない規模の甲状腺検査を進めます。

 検査では、ベッドで横になった子供の首に医師が超音波検査装置を当てて、甲状腺の大きさやがんにつながるしこりの有無を確認する形で行われ、所要時間は1人5分程度。結果は1カ月後に通知され、異常があった場合は血液検査などを行って詳しく調べます。

 来月中旬までに、事故直後から高い放射線量が測定されている飯舘村や浪江町、川俣町山木屋地区の4908人に先行実施。その後は全県に拡大させ、11月下旬以降、学校や公共施設での巡回検査を開始。日本甲状腺学会などの協力を得て各地に診断チームを派遣するなど、検査体制を強化して、甲状腺検査は2014年3月までにいったん終えます。

 対象の子供は2年ごとに検査を受け、20歳に達してからは5年ごとに生涯に渡ってチェックします。

 子供への詳細調査以降、県は心の健康や妊産婦調査を始める計画で、調査への参加と理解を得るため調査ごとのスケジュールや検査への対応などをまとめた行程表を作成、全県民の健康を守る取り組みを本格化させます。

 2011年10月9日(日)

 

■健康づくり運動、目標達成17パーセントどまり 厚労省が最終評価

 政府が進める健康づくり運動「健康日本21」で、全59項目の課題のうち、数値目標を達成したのはメタボリックシンドロームの認知など10項目(17パーセント)にとどまることが7日、厚生労働省のまとめでわかりました。1日の歩数やカルシウムの摂取量など9項目(15パーセント)は、悪化していました。

 「健康日本21」は1970年代から始まった第1次、第2次の国民健康づくり運動に続く第3次国民健康づくり運動であり、生活習慣病の発生を減らすことなどを目的にして、食生活や運動などの数値目標を初めて掲げて2000年に始まり、来年度に終了します。13年度からの新たな国民健康運動の計画づくりのため、今回を最終評価としました。

 最終評価をまとめる作業部会に同省が提示した資料によると、00年度と比較して10年度に「目標値に達した」のは10項目。メタボリック症候群の認知度のほか、歯の健康などが占めました。「目標に届かなかったが、改善傾向にある」と判断されたのは、食塩摂取量の減少や高血圧の改善など25項目。「変わらない」とされた14項目には、自殺者の減少、多量に飲酒する人の減少などが含まれています。

 目標設定時より「悪化している」と評価されたのは9項目で、1日の平均歩数やカルシウムの摂取量は減り、朝食を食べない人や睡眠のために薬やアルコールを使う人が増えました。運動の面では「運動を心掛けている」とする人は増加したものの、実際の運動量の増加にはつながらず、1日の平均歩数は15歳以上の男性7243歩、女性6431歩で、それぞれ959歩と851歩減少しました。背景には、エレベーターやエスカレーターなどが増えたことがあるとみています。

 分野別で最も目標達成度が高かったのは「歯の健康」で、11項目のうち、高齢者の歯の喪失予防など5項目で目標値を達成し、成人の歯周病予防でも改善がみられました。「たばこ」は目標値超えの項目はなかったものの、5項目すべてが改善傾向にあると判断されました。分煙や未成年者の喫煙防止などの効果が現れたとみられます。

 反対に、改善度合いが低かったのは「栄養・食生活」の分野で、15項目のうち9項目が「変わらない」「悪化している」と判定されました。20~60歳代の肥満者の割合では、女性は減ったものの、男性は当初の24・3パーセントより悪化し、31・7パーセント(目標は15パーセント以下)となりました。とりわけ20~30歳代の男性の肥満傾向が進んでいます。

 厚労省の担当者は、「国民の健康意識は高まっているが、行動に移していない面がある。悪化や改善していない項目を中心に取り組みを強化していきたい」と話しています。

 2011年10月8日(土)

 

■全国の電子カルテ、ネットで管理 富士通が震災を機に開発

 電子カルテシステムの大手である富士通は、災害時に備えて全国の病院から電子カルテの情報を預かる事業に乗り出します。掛かり付けの病院が被災しても、あらかじめ同社が病院から患者の電子カルテを預っておくことで、ほかの病院からインターネット経由で患者の診療情報を確認し、診察できるようにします。

 多くの病院が被災した東日本大震災を切っ掛けに開発したもので、全国規模のサービスは国内初といいいます。

 11月には、長崎県の拠点病院が導入します。神奈川、福岡、大分の各県の3病院も、年度内の採用を計画。採り入れる病院が増えないとサービスの実効性が薄れるため、100病院での早い導入を目指します。

 電子カルテは、患者の氏名や病名、処方、検査歴、検査時の画像データなどを電子データとして保管した記録。現在は病院内部のサーバーに保存したり、磁気媒体に記録して別の場所で保管したりしています。

 富士通の預かりサービスは、医師が電子カルテをパソコンで作成すると、あらかじめ設定した診療情報だけがネット経由で富士通のデータセンターに送られ、保管する仕組み。災害時には、患者が訪れた別の病院からデータセンターの診療情報を閲覧し、診察に活用できます。情報の流出を防ぐため、富士通と契約した病院だけが診療情報を閲覧できます。

 病院側の費用は、電子カルテデータをほぼ預けるケースで月15万〜35万円で、電子カルテ専用のサーバーを新たに購入するケースの10分の1以下の費用といいます。

 同社の子会社の富士通エフサスが昨年、全国400病院にアンケートすると、電子カルテの情報を2カ所以上に保管している病院は約6パーセント。ほかの業種を含めた全国平均の19パーセントと比べて、病院の低さが目立ち、今後は情報のバックアップの需要が高まると判断しました。

 一部の地域では、中核病院と診療所が電子カルテを共有する仕組み作りは始まっています。ただし、全国規模で情報を共有する仕組みは、まだないといいます。

 2011年10月7日(金)

 

■卵子と皮膚から万能細胞 米の研究チーム、人間で成功

 非営利組織の米ニューヨーク幹細胞財団研究所のディーター・エグリ博士とコロンビア大の研究チームは、人の卵子に成人の皮膚細胞を入れると体のさまざまな細胞に育つ万能細胞になることを見付けました。マウスでは、同じ遺伝子を受け継ぐクローンづくりに応用されていますが、ヒトで成功したのは初めて。

 成果は6日、英科学誌「ネイチャー」(電子版)に発表されました。

 再生医療が期待される万能細胞は、卵子を使わない作製法を京都大学の山中伸弥教授が開発していますが、米の研究チームは卵子を使うと万能細胞をつくりやすいと説明。クローン人間につながるとの批判があることから、失われた体の機能を取り戻す再生医療や、難病治療の研究目的としています。

 女性ボランティアから有償で譲り受けた健康な複数の卵子の核を残したまま、別の成人から採った皮膚細胞を入れて培養。胚盤胞と呼ぶ状態に分裂した後で一部を調べると、皮膚や骨など体のどんな細胞にもなる万能性を備えていました。一方、卵子から核を除去する従来のクローンの手法では失敗したため、研究チームは核を残すのが成功の要点とみています。

 この万能細胞は、皮膚細胞に特有の遺伝子の働きはみられず、受精卵に見劣りしませんでした。ただし、卵子と皮膚細胞の両方の染色体を含み、染色体が通常より1組多い3組あるため、再生医療への応用には卵子の染色体を取り除く必要があるといいます。

 卵子を用いた人の万能細胞づくりは、提供女性の身体的負担が大きい課題もあります。体の細胞を万能細胞につくり替える研究では、2004年に米科学誌「サイエンス」に黄禹錫(ファン・ウソク)元ソウル大学教授が人の卵子を使ってヒトクローン胚性幹細胞(ES細胞)を作ったと発表し、後に虚偽であることが発覚。07年に人の体細胞だけを用いる人工多能性幹細胞(iPS細胞)作製が成功したこともあり、最近の研究は停滞していました。

 国立成育医療研究センター幹細胞・生殖学研究室の阿久津英憲室長は、「染色体数が正常のヒトと異なるのが課題だが、卵子が体細胞を受精卵同様の状態に戻せることが証明できた意義は大きい。この方法で患者の細胞から組織や臓器を作れれば、再生医療につながる可能性がある」といいます。

 2011年10月6日(木)

 

■水溶性マグネシウムが大腸がんを抑制 岐阜大など発表

 マグネシウムを水に溶けやすくした「水溶性マグネシウム」が大腸がんをより効果的に抑制する可能性があることが、岐阜大大学院医学系研究科の久野寿也准教授(44)=腫瘍病理学=と、東海細胞研究所(岐阜市南鶉)の田中卓二所長(62)の研究で明らかになりました。4日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場で開かれた日本がん学会の学術総会で発表されました。

 研究では、微量の発がん物質をマウスの腹腔内に投与、さらに強い炎症を起こす物質を投与して大腸がんを誘発させました。その後13週間、水溶性マグネシウムを7ppm(1ppmは0・0001パーセント)、35ppm、175ppmの3種類の濃度にして一定量を投与。16週間後に病理解析した結果、何も投与しなかったマウスに比べ、がん細胞の数を7ppmでは約半分、175ppmでは約4分の1と、抑制する効果がありました。

 田中所長らは、抑制のメカニズムの解明は今後の研究課題としていますが、「がん細胞は分裂時、染色体が不均衡に分布して増殖する遺伝子の不安定性がみられるが、水溶性マグネシウムがその不安定性を軽減し増殖を妨げるのではないか」と話しています。

 水溶性マグネシウムは自然界に存在せず、酸化マグネシウムから人工的に合成することで生成します。田中所長らによると日本や韓国では、大腸がんの危険性が高くなる潰瘍性大腸炎などの患者が増えているといい、「臨床的な検証も行っていきたい」と意欲をみせました。

 今後、抑制のメカニズムや人への効果を調べ、来年3月のアメリカのがん学会で発表したいとしています。

 2011年10月5日(水)

 

■ポリオ生ワクチン接種を呼び掛け 厚労省「流行する危険性」

 ポリオ(小児まひ)の予防接種に使われる生ワクチンにはリスクがあるとの不安から、安全性の高い不活化ワクチンへの移行まで定期接種を控える動きがあることを受け、厚生労働省は4日、免疫のない子供が増えると国内でポリオが流行する恐れがあるとして、各都道府県に対し、保護者へ接種を呼び掛けるよう通知を出しました。

 厚労省は不活化ワクチンの導入は早くても平成24年度の終わりごろとした上で、国内で流行する危険性もあることから定期接種を受けることを勧めています。現在、多くの自治体が秋の集団接種時期を迎えており、ポリオを予防する生ワクチンは生後3カ月~1歳半を目安に、原則2回接種することとされています。

 ポリオワクチンは海外では不活化ワクチンが主流ですが、国内で公費負担の定期接種として認められているのは生ワクチンのみ。この生ワクチンには、毒性を弱めた生きたウイルスが入っているため、接種によりまれにまひが起こることがあります。

 厚労省によると、ポリオの予防接種が原因とされるポリオの認定患者は平成13年度からの10年間で15人。100万人当たり約1・4人の割合で発生していることになります。国は15人を予防接種による健康被害の救済制度で補償しているのに対して、不活化ワクチンを輸入する医療機関で全額自己負担で接種した場合は救済の対象外となります。

 厚労省は、ウイルスを無毒化した不活化ワクチンの導入を進めていますが、メーカーの承認申請は年末になる見込みで、導入は早くても平成24年度の終わりごろになります。

 パキスタンやナイジェリアなど海外では野生株のポリオが流行している国があり、小宮山洋子厚労相も同日の定例会見で、「最近では中国でも感染者が発生している。不活化導入までは現在の生ポリオワクチンを受けてほしい」と訴えました。

 厚労省は4日から、公式サイト上でポリオワクチンに関する情報コーナーを設置し、保護者の間に起こっているといわれる接種控えに対して、「ポリオワクチンを接種することがポリオを予防する唯一の方法」などと注意を呼び掛けています。

 2011年10月4日(火)

 

■大規模なオゾンホール、北極にも 今春観測、紫外線増加の恐れ

 北極の上空で今春、南極のオゾンホールに匹敵する大規模なオゾン層の破壊が起きたことが、国立環境研究所(茨城県つくば市)や米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所など9カ国の国際研究チームの調査で判明しました。オゾンホールは紫外線を食い止める成層圏のオゾン層が破壊された領域で、北極で観測されたのは2005年以来6年ぶり。

 北半球は緯度が高い地域にも人口が多く、生物に有害な紫外線の増加が懸念されます。英科学誌ネイチャー(電子版)に、2日付で論文が掲載されました。

 国際研究チームは、測定機器を積んだ気球や人工衛星を使って観測。その結果、北極圏上空18~29キロの成層圏で3月下旬から4月上旬、もともとあったオゾンのうち最大で80パーセントが失われました。南極ほど濃度は薄くなっていませんでしたが、北極はもとの濃度が高いため、破壊された量は南極のオゾンホールに匹敵しました。

 範囲は長軸約3000キロ、短軸約1000キロの楕円形で、3~4月にスカンジナビア半島やロシア北部で成層圏のオゾンの濃度が低くなった領域が広がり、人の居住する地域でも紫外線が増加したとみられます。オゾンが薄い領域は4月下旬、破片のようにちぎれて日本の本州付近上空も通過しました。

 オゾンの破壊は、氷点下78度以下で爆発的に進行するのが特徴。冬期に極寒になる南極ではオゾンホールが毎年出現するのに対して、それほど寒くはならない北極では数年に1度の出現にとどまり、南極に匹敵する大規模なオゾンホールはできないと考えられていましたが、今年は北極圏上空の成層圏に、過去30年間で最強の低気圧性の極渦(きょくうず)が発生し、氷点下80度以下の低温状態が長期に渡って続いたことが原因とされます。

 オゾン破壊の元凶は、冷蔵庫やエアコンの冷媒に使われていたフロン類の分解で生じる塩素化合物。1989年に発効したモントリオール議定書によってフロン類の利用は厳しく規制され、極域上空の塩素の総量は2000年以降減少に転じました。今では、オゾンホールの規模は成層圏の気温に左右されることが知られています。

 もう1つの原因と考えられているのが、温暖化ガスの増加。温暖化ガスでもあるフロンは減っていますが、それ以上に二酸化炭素などの温暖化ガスが増えています。地表から上空約1万メートルまでの対流圏で温暖化ガスの濃度が高まると、その上にある成層圏は逆に寒冷化する傾向があり、高層気象観測でもこの現象は確かめられています。

 20世紀後半からの温暖化ガスの急増と歩調を合わせるように、北極のオゾンホールの規模は次第に大きくなっています。国立環境研究所の中島英彰室長は、「増減の周期は一定ではないが、何年後かに出現するオゾンホールは今年以上に広がり、オゾンホールの破片が日本にもたらす影響も大きくなるだろう。紫外線を遮るオゾン層がなくなると健康影響も懸念される。今後も監視が必要だ」と警戒しています。

 2011年10月3日(月)

 

■健康増進を狙ってバター、チーズに「脂肪税」 デンマーク

 デンマーク政府は国民の平均寿命を延ばすため、バターなどの動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸を一定以上含む食品に対する課税を1日から開始しました。

 英メディアなどが2日までに伝えました。英BBC放送は、脂肪への課税は世界で初とみられると伝えました。

 飽和脂肪酸を多く摂取すると、動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールが増加するとされています。課税によって肥満の原因となる食品の消費を減らすことで、国民の健康を守る狙いがあります。

 英メディアなどによると、2・3パーセント以上の飽和脂肪を含むバター、チーズ、加工食品などが課税対象で、飽和脂肪1キロ当たり16クローネ(約220円)の税金がかかります。

 課税によって、約22億クローネの税収が見込まれており、バターの消費量は約15パーセント減少するとみられています。

 欧州では、ハンガリー政府が先月、肥満防止のため、スナック菓子や清涼飲料水など塩分や糖分が特に高い食品に対する課税策を導入しました。

 2011年10月3日(月)

 

■ユッケ、牛刺しの販売中止相次ぐ 新基準施行

 ユッケが食べられなくなるかもしれません。生食用牛肉の表面加熱殺菌を罰則付きで義務付ける国の新基準が始まった1日、各地でユッケや牛刺しの販売中止が相次ぎました。「焼肉酒家えびす」が提供した牛肉のユッケによる集団食中毒事件を受けた規制強化ですが、厳しい基準内容に、生肉を扱う飲食店には戸惑いが広がっています。

 新基準は、「肉塊の表面から深さ1センチ以上の部分までを60度で2分間以上加熱殺菌する」と義務付け、調理専用の部屋などを求めています。基準に適合した加工作業は飲食店では行えず、今後、加工業者が担うとみられています。

 川崎市高津区の焼き肉店「炭火焼肉酒房雷音」は、事件後の7~8月、ユッケをメニューから外しましたが、「ユッケを食べに来ているのに、なぜ提供しないのか」と客から苦情を受けて9月から提供を再開し、客の半数以上が注文して月に500食は出ていましたが、今月から再び、新基準で提供できなくなりました。

 同店の担当者は新基準について、「冷蔵庫内で調理するように求めているようなものだ」としています。新基準が肉塊の表面温度について、「加工、調理室の温度を低く保ち、10度を超えないようにする」と義務付けていることが原因。

 横浜市中区の焼き肉店「横浜関内匠家本店」でも、「普通の調理場ならまな板の上に置いた時点で10度を超える。新基準をクリアするには店内を改造しなければならない」と語り、川崎市麻生区の焼き肉店「松葉」でも「調理専用の部屋を新たに設けるようなものだ」と疑問視しています。同店の担当者は、「店で加工するにはコストがかかりすぎる。加熱殺菌済みの肉が仕入れ業者から真空パックで届けば提供できるが、仕入れ先からは何も連絡がない」。

 保健所がある神奈川県や横浜、川崎、相模原市などによると、食肉加工業者や飲食店から、新基準に適合した施設でユッケを提供すると連絡は受けていないといい、「現状ではユッケを提供できる店はない」と語っています。

 焼き肉店や韓国料理店が並ぶ名古屋市中村区でも、多くの焼き肉店でユッケを含む牛の生肉の提供を控えています。韓国焼き肉店「ミスターチャン」の調理担当者は、「調理設備の更新も必要なので、生食の牛肉はもうやらない。でも、生食への要望は強いので、牛とは基準の違う馬肉に替えて出したい」と漏らしています。

 客からの生肉の注文に「品切れです」と繰り返すのは、松阪牛で知られる三重県松阪市の焼き肉店。店主の男性は、「基準が厳しくなったのでやめた。生肉が好きなお客さんもいるので、売り上げは下がる」と肩を落としています。

 2011年10月2日(日)

 

■乳がん月間スタート 名所、そろってピンク色にライトアップ

 10月は乳がん月間。乳がんの早期発見、早期治療の大切さを啓発する世界規模キャンペーン「ピンクリボン運動」の恒例イベント「ピンクリボンフェスティバル2011」が1日、東京、神戸、仙台で始まりました。

 東京都庁舎や神戸ポートタワー、仙台トラストシティなどがピンク色にライトアップされ、夜空を彩りました。8日には、名古屋でもウオーキングイベントが行われます。

 ピンクリボン運動は、乳がんの検診率を高めようと米国で1980年代に始まった啓発運動で、今では世界規模の活動に拡大。日本でも欧米にならって10月を乳がん月間に制定し、ピンクリボンフェスティバルは今年で9回目を迎えます。

 東京、神戸、仙台、名古屋の4都市で、企業や市民団体が主催、協賛する各種イベントや、シンポジウムなどが順次行われ、 日本人女性の16人に1人がかかるといわれる乳がんの早期診断、早期診断、早期治療を呼び掛けます。

 厚生労働省の人口動態統計によると、2010年の乳がんによる死亡数は1万2545人となっており、日本人女性のがん患者数第1位で、増加の一途をたどっています。しかし、早期発見、早期治療により90パーセント以上の人が治るともいわれています。

 東京では、都民広場で午後7時から点灯式が行われ、東京都庁舎を始め東京タワー、表参道ヒルズ、レインボーブリッジなどがピンク色に輝きました。

 神戸では、午後6時に神戸港を望む神戸ポートタワーや大観覧車、神戸海洋博物館、明石海峡大橋などがピンク色にライトアップされました。ライトアップが始まると、夜景を見ていた人から「きれい」と声が上がりました。友達と遊びに来ていた兵庫県西宮市の大学3年生(21)は「若いうちから、意識を高めるのが大事ですね」と話していました。

 今年から、神戸市長田区の鉄人28号のモニュメントも、9日午後6時~9時にピンク色に照らされます。明石海峡大橋は15、16日にも日没から午前0時までライトアップされます。

 2011年10月1日(土)

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