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健康ダイジェスト

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■4種混合ワクチン、一部の医療機関で不足 従来型の接種も

 11月から予防接種に導入された4種混合ワクチンが、一部の自治体や医療機関で行き渡っていません。従来のワクチンに比べて注射回数を減らせ、子供の負担が小さいことから、全国同時に普及させるはずでした。厚生労働省は、在庫が一部の医療機関に偏っている可能性があるとみています。

 4種混合ワクチンは、従来のジフテリアと破傷風、それに百日ぜきの3種混合ワクチンに、ポリオワクチンを追加したもの。副作用の懸念があったポリオの生ワクチンを病原性をなくした不活化ワクチンに9月から切り替えたのに伴う導入で、新たなワクチンが承認されたのを受けて11月に始まりました。

 しかし、4種混合ワクチンに対する希望者が多く、接種できない医療機関が全国的に相次いでいます。今年8月に生まれた子供から接種を始める計画でしたが、注射の回数が少なくてすむことから、7月以前に生まれた子供のいる保護者が4種混合の導入を待って接種させるケースが多いためともみられています。

 東京都豊島区では11月下旬から、10月までの3種混合とポリオを別々に受ける方式の予診票も送り始めました。当初は足りていた4種混合ワクチンが、一部の医療機関で入手できなくなったためです。愛知県刈谷市でも4種混合ワクチンの供給が不安定なため、11月は対象者の2割強が別々の方式で受け、担当者は「不足は続いている」と話しています。埼玉県内のある自治体は、一時的にすべて別々の方式に戻しました。

 都道府県の月々の出生数などに基づき、需要の2倍程度をワクチンメーカーが出荷していますが、地域や医療機関によってむらが出ている状況。

 4種混合は生後3カ月から3週間以上の間隔を空けて3回、さらに半年後に1回します。東京都内の医薬品卸業者は、「当初、医療機関が初めの3回分をまとめて確保しようとする動きがあった。従来のワクチンを控えて待っていた人たちが受け、拍車をかけた可能性もある」としています。

 こうした中、小児科医などで作るNPO「VPDを知って、子どもを守ろうの会」は、感染力が非常に強く、乳幼児に感染すると重症化する恐れがある百日ぜきが大人で増えているとして、保護者に対し、接種の時期が来たら従来の3種混合ワクチンを接種するよう呼び掛けています。3種混合も、ポリオのワクチンも受けていない生後3カ月から7歳6カ月未満の子供は、原則として無料で受けられます。

 NPOの代表を務める薗部友良医師は、「接種は3回必要で、一度3種混合を受けても、その後、4種混合を受けられるので、生後3カ月になったらなるべく早く接種を受けることが大切だ」と話しています。

 厚生労働省も、「年度内には解消する見通しだが、接種時期が来たら待たずに早めに受けてほしい」としています。

 2012年12月31日(月)

 

■インフルエンザ患者、2倍近くに増加 ノロウイルスはピーク越えも

 インフルエンザの患者が九州や関東地方を中心に増加し、今後、年末年始で人の集まる機会が多くなることから、国立感染症研究所(東京都新宿区)は、感染の予防に注意を払うよう呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、今月17日から23日までの1週間に、全国およそ5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者は、前の週の1・9倍の1万977人で、九州や関東地方を中心に、滋賀、山口を除く45の都道府県で増加しました。

 1つの医療機関当たりの患者の数は2・23人で、全国的な流行開始の指標である1・00人を今シーズンで初めて上回った前週の1・17人の2倍近くに増えました。都道府県別では、群馬県が13・07人、佐賀県が8・63人、埼玉県が5・81人、沖縄県が5・69人、栃木県が5・41人、山梨県が4・50人、千葉県が3・91人などとなっています。

 このうち、群馬県には、大きな流行の発生が疑われる警報レベルに達している地域があります。また、4週間以内に大きな流行となる恐れがある注意報レベルの地域があるのは、前の週の5県から11県に増えています。

 今シーズンに入って患者から検出されたウイルスは、A香港型が82パーセントと最も多く、次いで、B型が12パーセント、3年前に新型インフルエンザとして流行したウイルスは7パーセントとなっています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「年末年始は人の集まる機会が増え、感染のリスクが高まるほか、多くの人が長い距離を移動するので、ウイルスが拡散する恐れもある。くしゃみやせきがある場合はマスクをし、外出先から戻ったら手洗いを徹底するなど感染予防を心掛けてほしい」と注意を呼び掛けています。

 一方、国立感染症研究所によると、感染性胃腸炎の全国およそ3000カ所の小児科定点医療機関から報告された患者数は1医療機関当たり19・23人で、前週の19・62人からわずかに減り、9週ぶりに減少に転じました。

 都道府県別では、鹿児島県の33・04人が最多で、以下は香川県が33・03人、愛媛県が29・76人、宮崎県が29・69人、大分県が29・00人などの順でした。

 過去10年間の同時期と比べると、2006年の22・81人、2007年の19・33人に次いで3番目に多くなっています。2006年と2007年の流行では、この週をピークに減少に転じました。

 感染性胃腸炎は12月ごろがピークですが、新種のノロウイルスが広がり、宮崎県日南市の病院で入院患者6人が死亡するなど全国で集団感染が相次いでいることから、引き続き注意が必要。

 厚生労働省は、「ノロウイルスはピークを越えた可能性があるものの、依然として高水準で油断できない」として、感染防止策の徹底を呼び掛けています。

 2012年12月29日(土)

 

■70歳から74歳の医療費2割負担、2014年からに延期 自公検討

 特例措置として現在1割に据え置かれている70~74歳の医療費の窓口負担について、自民、公明両党は26日、来年4月からの2割引き上げ実施は見送り、2014年1月から段階的に2割にする検討に入りました。

 高齢者の反発を招くのは必至のため、来年夏の参院選以降に先送りして批判を回避し、政権への打撃を抑えたい狙いがあるとみられます。重い負担を担う現役世代からは、給付抑制を急ぐよう求める声が上がりそうです。

 70~74歳の窓口負担を巡っては、75歳以上の後期高齢者医療制度の創設に伴って2008年度から自己負担割合を2割に上げる予定でした。ただ、2007年の参院選で惨敗した自公政権は高齢者の反発を恐れて、施行直前に1割に凍結。毎年2000億円を超す予算を投じ、1割負担で据え置いています。

 野田政権は消費増税と社会保障の一体改革の中で、2012年度から2割に引き上げる方向で当初検討しましたが、民主党内の反発を受けて見送られていました。

 厚生労働省は先月の社会保障審議会の医療保険部会で、来年4月に70歳になる人から2割にする案を示しました。団塊世代が70歳以上になると、公費負担は3000億円に急増するため、2割への引き上げを急ぐ構えでした。しかし、来年夏に参院選を控え、与野党ともに慎重な声が多く上がっていました。

 検討案では、2013年中に70歳になる人までは1割負担のままとし、2014年以降に70歳になる人から順次、2割にします。

 2012年12月28日(金)

 

■iPS細胞を献血者から作成し備蓄 京大の計画に日赤が協力へ

 将来の再生医療を見据え、医療用のiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作成して備蓄する京都大学iPS細胞研究所の計画に、日本赤十字社が協力すると26日発表しました。

 iPS細胞は、すべての細胞に分化できる能力を持つことから、再生医療などへの応用が期待されています。ただし、患者本人の細胞からiPS細胞を作った場合、実際に移植するまで数カ月かかるため、損傷した脊髄の再生や進行の早い病気の治療に、効果が十分得られなくなる恐れがあると指摘されています。

 このため、京大iPS細胞研究所は、免疫拒絶反応を起こしにくいHLA(ヒト白血球型抗原)の組み合わせを有する細胞を持つ人の血液などから、医療用のiPS細胞を作成して備蓄する「医療用iPS細胞ストック構築計画」を立てていますが、作成に適した特殊なHLA型を持つ日本人は、全体の2~4パーセントしかいません。

 今回、日本赤十字社は、特殊なHLA型を持つ献血者に協力を依頼する計画を発表し、この日開かれた厚生労働省の審議会で、計画が了承されました。

 日赤の計画は、来年春ごろから全国の献血ルームなどで献血者への周知を開始して、夏ごろから本格的に始まり、献血の際に計画への協力を呼び掛けます。他人に移植しても免疫拒絶反応を起こしにくい特殊なHLA型を持つ人がいれば、計画の説明と協力依頼の手紙を出します。協力したい人は京大病院に連絡し、iPS細胞を作成するための血液か皮膚を提供します。

 白血球型の情報を備蓄計画に使われたくない場合は、献血時に拒否できます。日赤が現在保管している血液は、輸血を前提に提供されたため使われません。献血者の情報も京大に提供されません。

 備蓄計画では、10年以内に、日本人の9割をカバーできる150種類の型を集めるのが目標。そのためには数十万~数百万人の型を調べる必要がありますが、日赤の協力があれば達成できる見込みだといいます。備蓄するiPS細胞の材料には、臍帯血(さいたいけつ)や、京大病院の患者の血液も使われる予定。

 京大iPS細胞研究所の木村貴文教授は、「献血する人の協力が得られるかが最も重要なので、日本赤十字社とともに実用化に向けて前進していきたい」と述べています。

 2012年12月27日(木)

 

■清涼飲料の飲みすぎ、脳梗塞のリスク増 毎日の女性で1・8倍

 コーラやジュースなどの清涼飲料水をほぼ毎日飲む女性は、ほとんど飲まない女性と比べて脳梗塞になる危険性が1・8倍高いとの研究結果を、国立がん研究センターや大阪大などが26日に発表しました。

 糖分を多く含む清涼飲料水を過度に飲むと、糖尿病になりやすく、動脈硬化が進んで、脳梗塞のリスクも高まると分析しています。研究結果をまとめた論文は、米専門誌12月号に掲載されました。

 研究チームは、岩手や東京、沖縄など5都県に住み、1990年に40~59歳だった男女約4万人を、平均で18年間追跡調査。食事内容を聞き取って、100パーセントの果汁ジュースを除き、甘味料を加えたカロリーのある市販の飲み物250ミリリットル程度を飲む頻度で、「ほぼ毎日」「週3、4回」「週1、2回」「ほとんど飲まない」の4グループに分け、脳卒中などになった人の割合を比較しました。

 この結果、脳の血管が詰まる脳梗塞になるリスクは、喫煙や日ごろの運動といった他の生活習慣の影響を受けないよう調整しても、女性では飲む頻度が高いほど高い傾向が出ました。ほぼ毎日飲む女性グループは、ほとんど飲まない女性グループの1・8倍でした。

 一方、男性では明らかな関連はみられませんでした。また、脳の血管が破れるタイプの脳出血、心筋梗塞などの虚血性心疾患についても調べましたが、男女ともに関連はありませんでした。

 清涼飲料水を過度に飲むと、血糖値や中性脂肪などが上昇し糖尿病になりやすくなります。糖尿病になると血液がドロドロになり、動脈硬化につながります。

 分析結果が男女で異なることについて、研究班の磯博康・大阪大教授(公衆衛生学)は、「一般に女性は男性に比べ筋肉や運動の量が少なく、代謝が悪いため、糖分や炭水化物を含む清涼飲料水の影響を受けやすいのではないか」と指摘し、「自分なりに清涼飲料水の飲みすぎにブレーキをかけて、賢く付き合ってほしい」と話しています。

 国内の清涼飲料水メーカーが加盟する「全国清涼飲料工業会」の渡辺健介技術部長は、「今回の研究は、相関関係があるかどうかについての疫学研究で、科学的に因果関係が示されたものではないと受け止めている。消費者は、清涼飲料の栄養成分表示を参考に、それぞれの生活習慣に合わせて上手に利用してほしい」と話しています。

 2012年12月26日(水)

 

■年末年始の海外旅行、鳥インフルエンザなどの感染症に注意を

 年末年始の休みを利用して海外を訪れる人が増えることから、厚生労働省は、鳥インフルエンザやマラリアなど海外で流行している感染症に注意するよう呼び掛けています。

 毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザは、東南アジアを中心に人への感染が確認されており、今年インドネシアやエジプトなど6カ国で新たに人32が感染し、このうち20人が死亡しました。

 このため厚労省は、これらの国を旅行で訪れる人に、生きた鳥が売られている市場や養鶏場に近付かないことや、鳥の死骸やふんには絶対に触らないこと、手洗いやうがいを徹底するよう呼び掛けています。

 同時に、マラリアやデング熱など蚊を介して広がる感染症も、アジアやアフリカなどで流行しています。このうちデング熱は、突然の発熱や関節の痛みなどの症状が出て、重症化すると死亡する恐れもあり、今年に入って海外で感染した日本人渡航者は200人を超えています。

 蚊を介して広がる感染症の予防には、長袖の上着と長ズボンを着用し、虫よけスプレーを使うことが有効だということです。

 感染症で最も目立つのは感染性腸炎で、病原性大腸菌やサルモネラ菌、ノロウイルスなどが原因となり、症状から旅行者下痢症とも呼ばれます。日本人で多い1週間の滞在だと10パーセント弱程度の割合でかかり、発展途上国はもちろん先進国でも油断はできません。

 旅行中は疲れから、胃の防御機能が低下しがち。飲食物が感染源となるため、ミネラルウオーターや煮沸した水を飲み、加熱された料理を選ぶことが大切だということです。

 厚労省は、海外の感染症に関する情報をホームページで公開しているほか、帰国後に体調が悪くなった人には医師に相談するよう呼び掛けています。

 なお、年末年始に成田空港を利用する人は、円高傾向が続き海外旅行に割安感があることなどから、前の年の同じ時期より5パーセント増える見通しです。

 成田空港会社によりますと、今月21日から来月6日までの年末年始の休みの期間中に、成田空港を利用する人は117万8400人となる見通しで、利用者数は東日本大震災前の水準に回復した前年の同じ時期と比べて6万人余り、率にして5・4パーセント増えています。

 行き先は、尖閣諸島を巡って関係が冷え込んだ中国方面は引き続き低調な見通しで、遠方のヨーロッパ方面は土日を含めて連休を取りやすくなっているため人気を集めているということです。

 成田空港を利用する人たちの出国のピークは今月29日、帰国のピークは来年の1月6日になる見通しです。

 2012年12月26日(水)

 

■RSウイルス感染症の患者、最多状態が続く 乳幼児と高齢者は警戒を

 乳幼児の重い肺炎や細気管支炎の原因となるRSウイルスが猛威を振るっており、患者数が過去の同時期と比べて最多の状態が続いています。専門家は乳幼児だけでなく、高齢者でも長期療養施設内での集団感染の恐れがあるとして警戒するよう指摘し、厚生労働省も注意を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によると、12月3~9日の1週間で、全国の指定医療機関から報告された患者は4020人。1歳以下が全体の約7割を占めています。小児科を基本にした調査のため、成人での広がりは不明。感染者が増えた原因もよくわかっていません。

 九州大の池松秀之特任教授は、「高齢者の原因不明とされる肺炎の多くは、RSウイルスによる可能性がある」といいます。池松さんらは2008~09年のインフルエンザ流行に、発熱やせきなどの症状がある50歳以上の約400人を調査。ウイルスが検出された人の2割がRSウイルスに感染しており、インフルエンザウイルスに次いで多くみられました。

 東京都健康長寿医療センターの稲松孝思・臨床検査科部長も、「日本では赤ちゃんの感染症と思われているが、高齢者への注意喚起が必要だ」と話しています。RSウイルスは治療薬などがなく、予防が中心。感染が疑わしい乳幼児は、高齢者に近付けないほうがいいといいます。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た呼吸器症状を起こす病気で、初めての感染では肺炎や細気管支炎、脳症を引き起こして重症化することがあります。乳幼児の肺炎の50パーセント、細気管支炎の50~90パーセントが RSウイルス感染によるものとの報告があります。

 特に重症化しやすいのは、生後6カ月以内の乳児や早産児、慢性肺疾患や先天性心疾患などの基礎疾患を持っている乳幼児とされます。さらに、生後4週未満では、突然死(乳幼児突然死症候群)につながる無呼吸が起きやすく、注意が必要です。

 潜伏期間は2~8日で、2歳までにほぼ100パーセントが感染します。一度感染しただけでは感染防御免疫が不十分で何度も発症しますが、通常は再感染のたびに症状は軽くなっていきます。主な感染経路は飛沫感染と接触感染で、せきエチケットや手洗いの徹底が感染予防として重要だとされています。

 ただし、感染力が強く、また再感染などで典型的な症状を示さずにRSウイルス感染症だと気付かれない軽症例も存在することから、家族間の感染や保育園などでの流行を効果的に抑えることは難しいとされています。

 厚労省は先月29日、RSウイルス感染症について「Q&A」を公表。高齢者でも重症の下気道炎を起こすことがあることや、長期療養施設内での集団発生が問題になることなどを指摘しています。

 2012年12月25日(火)

 

■花粉、来春は東日本で多め2~6倍 飛散は2月中旬から

 環境省は21日、来年春のスギとヒノキの花粉飛散量について、東日本は全体的に過去10年間を平均した例年の値よりも多くなるとの予測を発表しました。スギ花粉の飛散が始まる時期は今年よりやや早く、関東より西の太平洋側では2月中旬ごろとなる見込み。

 例年と比べた飛散総量は、関東から東海にかけて1・5倍を超える地域があります。増加率が高いのは、福井市(2・10倍)、さいたま市(1・74倍)、名古屋市(1・65倍)、東京都千代田区(1・64倍)となっています。

 中部も全体的に多め。関西は例年並みかやや多め。北海道や東北北部は例年以下が多く、岡山市と広島市を除いた中国、四国、九州地方は例年の6~9割とやや少なめと予測しています。

 飛散量が少なかった今年春との比較では、東北南部から関東、東海で増加が目立ち、2~6倍になる地域が多いとしています。

 スギ花粉の飛散開始日は、関東より西で今年よりやや早く、例年より3日前後遅くなる可能性が高くなっています。東北はほぼ例年並みの3月上旬から中旬の見通し。

 今年の7月と8月の日照時間が四国や九州を除いて長く、気温も高めだったことなどを基に予測しました。飛散量は前年夏の日照時間が長く、気温が高いと、多くなりやすい傾向にあります。

 環境省は、「ほとんどの地域で花粉症に注意が必要なレベルを超える予測となっており、早めの予防対策が必要だ」としており、マスクやメガネの着用、ぬれたぞうきんやモップを使った掃除などを勧めています。

 2012年12月24日(月)

 

■ミカンの黄色い色素に予防効果 女性の骨粗鬆症

 ミカンをよく食べると骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の予防に役立つ可能性が高いことが、農研機構・果樹研究所(本部・茨城県つくば市)の杉浦実主任研究員らの研究でわかりました。ミカンを黄色くする色素であるβクリプトキサンチンが、骨を増やしたり、減少を抑えたりしていると考えられます。

 この研究成果は20日付けで、米国の総合科学誌「プロスワン」のオンライン版に公開されています。

 女性が閉経してホルモンのバランスが変わると、骨粗鬆症にかかりやすくなります。一方、杉浦研究員らが温州ミカンの産地の一つ、浜松市の三ケ日町地域で行ってきた研究で、ミカンを多く食べる女性は患者が少ない傾向もわかっていました。

 そこで、この地域の閉経後の女性457人を対象に2005~2009年に調査を行い、βクリプトキサンチンの血中濃度と骨粗鬆症の関連を調べたところ、ミカンを毎日4個食べることに相当する血中濃度の人は、ミカンを食べない日がある人よりも、骨粗鬆症にかかるリスクが92パーセント低いことがわかりました。一方、男性や閉経前の女性においては、このような関連はみられませんでした。

 果物などに含まれる色素の骨粗鬆症予防効果が明らかになったのは、世界で初めてといいます。

 βクリプトキサンチンは、ニンジンのβカロテン、ホウレン草のルテインなどと同じカロテノイドの仲間。温州ミカンの果肉に多く含まれていますが、オレンジにはその10分の1程度しかなく、レモンやグレープフルーツには全く含まれていません。

 欧米では、βクリプトキサンチンのがん予防効果の研究が盛んで、多くとる人は肺がんにかかるリスクが低いという研究結果が出ています。オランダでは、65~85歳の男女を約7年にわたって追跡調査し、血液中のβクリプトキサンチンが濃い人は死亡率が低かったという研究結果も出ています。

 2012年12月23日(日)

 

■セックスレス夫婦4割以上 性交渉に関心ない草食系男子も増加進行

 1カ月間に性交がないセックスレスの夫婦は16~49歳で4割以上を占め、今回を含めた5回の調査で一貫して増えていると、日本家族計画協会(東京都新宿区)が20日、発表しました。

 2004年調査では31・9パーセントで調査を重ねるごとに増加し、2006年34・6パーセント、2008年36・5パーセント、2010年には40・8パーセントで4割を超えました。今年は41・3パーセントで増加度合いは鈍くなったものの、セックスレス化が進行している状況は変わらないといいます。年齢別にみると、35歳〜39歳が最もセックスレスの割合が高く、46・9パーセントでした。

 調査は9月、全国の16~49歳の男女3000人を対象に実施し、1306人から回答を得ました。

 セックスに積極的になれない理由は、「仕事で疲れている」が男性28・2パーセント、女性19・3パーセント、「出産後何となく」が男性17・9パーセント、女性20・5パーセント、「面倒くさい」が男性12・0パーセント、女性23・5パーセントでした。

 また、セックスに無関心だったり、嫌悪感を持ったりしている男性を前回調査と比較すると、16~19歳ではやや減ったものの、結婚適齢期とされる20~34歳では2~8パーセントほど増加する傾向がありました。20~24歳では4人に1人に当たる24・6パーセントで、前回調査より3・1パーセント増えました。25~29歳では14・1パーセントで、同2パーセント増、30~34歳では13・4パーセントで、同7・6パーセント増でした。

 性交渉に関心がない20歳代の男性を分析すると、「中学生のころの家庭は楽しかった」「子供が欲しい」といった回答が、関心がある男性より総じて低い傾向がありました。

 北村邦夫・日本家族計画協会専務理事は、「セックスレスに、仕事の問題も何らかの形で影響しているようだ。企業が時間外労働を減らす努力をすることも、少子化対策になるのではないか」、「若い世代では、経済的理由より、コミュニケーション能力が不足していることが大きい」と分析しています。

 2012年12月22日(土)

 

■インフルエンザ、全国的な流行入り A香港型ウイルスが最多

 インフルエンザの患者が九州や関東地方などで増え、国立感染症研究所(東京都新宿区)は21日、インフルエンザは全国的な流行に入ったと発表しました。時期は平年並みで、流行は今後さらに拡大する見通しだということです。

 国立感染症研究所によりますと、今月16日までの1週間に全国のおよそ5000の医療機関から報告されたインフルエンザの患者は、前の週の2倍の5789人で、九州や関東地方などを中心に8週連続の増加となりました。1つの医療機関当たりの患者の数は1・17人で、流行の目安とされる「1」を超えました。

 都道府県別では、佐賀県8・11人、群馬県6・87人、沖縄3・79人の順で多くなっています。また、佐賀県、群馬県、千葉県、大分県、それに長崎県を加えた5つの県では、今後4週間以内に大きな流行となる恐れがある「注意報レベル」を超える地域も出ています。

 現在までのところ、群馬県を始めとした関東地方での流行が目立ちます。国立感染症研究所によりますと、今月16日までの1週間に関東地方1都6県のおよそ1500の医療機関から報告されたインフルエンザの患者は、前の週のおよそ2倍の2616人。

 1つの医療機関当たりの患者の数を都県別にみると、埼玉県が2・28人、千葉県が2・27人、栃木県が2・03人、東京都が1・12人、神奈川県が0・73人、茨城県が0・45人となっていて、「1」を超えた自治体はそれぞれ流行入りを宣言しています。

 今年9月以降に全国の患者から検出されたウイルスは、高齢者で重症化しやすいとされるA香港型が82パーセントを占め、3年前に新型インフルエンザとして流行したウイルスは7パーセントにとどまっているということです。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「流行は今後、さらに拡大し、学校の冬休みが終わる1月中旬以降、全国で本格化する見通しだ。せっけんを使って水を流しながら手を洗うとともに、今からでもワクチンを接種するなど予防に努めてほしい」と話しています。

 東京都内の小児科の病院では、インフルエンザの流行がピークになるのを前に、予防のためのワクチンの接種を受けようと多くの親子連れが訪れています。

 このうち調布市の小児科の病院では、インフルエンザの患者はまだいないということですが、予防のためのワクチンの接種を受けようと親子連れが次々と訪れています。

 佐々木こどもクリニックの佐々木伸彦院長は、「ワクチンの効果が出始めるのは2週間から3週間後とされているので、早めに打ってほしい。インフルエンザはせきやくしゃみなどで飛ぶ唾液から感染することが多いので、人混みを避け、家に帰ってからはしっかりうがいや手洗いをしてほしい。またインフルエンザのウイルスは乾燥した場所で長生きするので、部屋を加湿し、こまめに水分をとってのどを潤すことが大切です」と話しています。

 同時に、高齢者は肺炎になり重症化する場合もあるということで、インフルエンザのワクチンと合わせて、肺炎球菌のワクチンも接種してほしいとしています。

 2012年12月21日(金)

 

■高脂血症の治療薬「エパデール」、市販薬として承認

 血液中の中性脂肪などが高い高脂血症の治療薬が、生活習慣病の医薬品としては初めて、薬局などで購入できる市販薬として承認されることになりました。

 市販薬として承認されるのは、持田製薬(東京都新宿区)が開発、製造している高脂血症の治療薬で、生活習慣病の元凶といわれる中性脂肪の値を下げる効果があるとされる「エパデール」です。

 19日に開かれた厚生労働省の審議会で報告されました。

 このエパデールは現在、医師の処方箋が必要な医療用医薬品ですが、厚労省は、薬の主な原料はイワシの油で、副作用のリスクは比較的低いなどとして、市販薬として承認することになりました。

 厚労省は、症状が進む前に薬局で薬を購入し、自分で中性脂肪を管理できれば、動脈硬化や心筋梗塞などを減らし、医療費の削減にもつながるとしています。

 厚労省は年内にも承認の手続きを行い、早ければ来年度中にも薬局などで販売が始まる見通しです。その際は、大正製薬(東京都豊島区)が持田製薬からエパデールを調達して販売します。

 生活習慣病の治療薬を市販薬として販売することを巡っては、日本医師会が、患者が病院を訪れず、病気の悪化を見過ごし、生活習慣の改善を怠ったりする恐れがあるとして反対しており、厚生労働省は今後、新たに検討の場を作って議論することになりました。

 日本チェーンドラッグストア協会の宗像守事務総長は、「薬局で販売されれば、病気の予備軍の人が手軽に自己管理ができるようになり、非常によいことだと思う。初期の段階では市販薬を飲んで改善を図り、進行したら医療機関を受診するという仕組みを作りたい」と話しています。

 一方、厚労省の審議会の委員で、日本医師会の中川俊男副会長は、「生活習慣病の医薬品を市販薬とすると、最初から医師にかからず薬で済ましてしまい、重症化する恐れもあり、反対だ。生活習慣病の薬を市販薬として認める際の手続きの在り方について、厚生労働省と議論していきたい」と話しています。

 エパデールは1981年に、持田製薬がニッスイとの共同研究により、EPA(エイコサペンタエン酸)を原体として開発した医薬品。最初の承認は、閉塞性動脈硬化症での適用でしたが、その後高脂血症に適用を拡大、さらに冠動脈疾患の1次予防、2次要望にも有効であることが明らかになっています。

 近年、EPAやDHA(ドコサヘキサエン酸)など、主に魚介類に含まれる不飽和脂肪酸の成分が健康食として有効であると、耳にすることが多くなってきましたが、エパデールは世界で始めて青魚から高純度のEPAを抽出、精製に成功して生まれた医薬品に相当します。

 2012年12月20日(木)

 

■入浴中に4554人が死亡、高齢化進み急増 厚労省調査へ

 高齢者に多いと見なされる入浴中の死亡事故を防ごうと、厚生労働省が対策に乗り出しました。入浴による事故や死亡は冬に多く報告され、多くは高齢者。浴槽につかる習慣のある日本特有の「生活習慣病」ととらえ、実態を把握するための初の全国的調査をした上で予防策を検討します。

 厚労省は今年、研究班を立ち上げ、山形、東京、佐賀の3都県に協力を依頼し、入浴に関連した死亡例、搬送例などのデータを集めています。死亡や回復に至った治療経過などを検証し、北と南、都市と地方で地域差が出ていないかどうかも検討します。

 厚労省の人口動態調査では、「浴槽内での溺死」は2001年に3001人でしたが、昨年は4554人に増えました。高齢化が進んだことが背景にあると考えられ、昨年は65歳以上が9割近くを占めました。

 ただ、この数字は「事故死」に分類されたもののみで、入浴が引き金になって脳卒中や心筋梗塞、不整脈などになっても、「病死」として扱われると数字には上がってきません。このため、実際の死亡者はもっと多い可能性があると指摘されています。

 東京都など一部地域の調査や死亡統計からの推計では、入浴中に死亡する人は年間約1万40000人と、交通事故の死者数(昨年4612人)を大幅に上回ると見なされますが、実態はわかっていません。

 東京都監察医務院などによる都内の調査や救急搬送患者の調査など、範囲を限定した研究はありますが、全国の事故を網羅した調査はありません。浴槽につかる入浴は日本特有の習慣のため、世界的なデータもありません。

 日本温泉気候物理医学会と日本救急医学会、日本法医学会は、浴室内の温度管理や浴槽のつかり方、水分補給などである程度は予防できるが、正確な実態と死因が不明なままでは科学的なアドバイスや対策作りが難しいとして、厚労省に対して全国的な調査の確実な実施と予防のための研究支援を求めていました。

 入浴時の事故に詳しい猪熊茂子・日本温泉気候物理医学会理事長は、「効果的な防止策には全国レベルの調査が欠かせない。高齢者の安全な入浴法を確立し、啓発するためにも実態調査は重要だ」と話しています。

 2012年12月19日(水)

 

■感染性胃腸炎、8週連続で増加 年末にかけて拡大の見込み

 ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の増加が続き、流行は年末にかけてさらに拡大するとみられることから、国立感染症研究所(東京都新宿区)は手洗いなど感染防止策の徹底を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、全国の小児科から報告される感染性胃腸炎の患者は、8週連続で増加し、今月9日までの1週間で、1施設当たり19・62人となりました。

 これは去年の同じ時期の2・2倍で、この10年では全国的な大流行となった2006年に次ぐ多さです。1施設当たり20人を超えたのは2006年だけで、同年の流行のピークだった12月11日から17日の週には22・81人に達しました。

 都道府県別にみると、宮崎県が35・94人と最も多く、鹿児島県が34・02人、愛媛県が31・84人、福井県29・50人、富山県が28・07人などとなっており、九州や関西などでは前の週を下回ったものの、関東や東海を中心に増加が続いています。

 この時期の感染性胃腸炎の大半はノロウイルスが原因で、今年は新しい遺伝子変異が全国で確認されていることから、感染が広がりやすくなっていると指摘されています。ノロウイルスのほかには、サポウイルス、ロタウイルス、アストロウイルスなども、感染性胃腸炎の原因となっています。

 このため、国立感染症研究所では、流行は年末にかけてさらに拡大するとみて、手洗いをこまめに行うとともに、下痢や嘔吐などの症状のある人が出た場合、マスクや手袋をした上で、周囲を塩素系の消毒剤でふき取るよう呼び掛けています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「忘年会シーズンを迎え、感染性胃腸炎は食中毒や集団感染によって、さらに増えるとみられる。感染防止策の徹底を図ってほしい」と呼び掛けています。

 2012年12月18日(火)

 

■発展途上国でも生活習慣病 栄養失調より健康を脅かすリスク上位に

 発展途上国を含む世界の人々の健康を脅かす最も大きな要因は1990年当時は栄養失調による子供の低体重だったのが、2010年は高血圧に変わったことが、東京大学や世界保健機関(WHO)などの研究でわかりました。今後は発展途上国でも、肥満防止など生活習慣病対策が課題になります。

 日米英豪の大学とWHOが中心になり、世界187カ国を対象に死因データなどを使って調べました。生活習慣や環境汚染などのリスク因子で、各国の人々の死亡が早まったり健康を損ねたりして失われる年数を計算し、病気による社会的な負担を比べました。

 1990年段階で最大のリスク因子だった小児期の低体重は2010年には8位になり、病気による負担の程度は1990年に比べて61パーセント低下しました。2010年のリスク因子の1位は高血圧、2位は喫煙、3位はアルコール摂取。高血圧による負担の程度は1990年に比べて27パーセント増え、2010年で6位の肥満による負担の程度は1990年に比べて82パーセントも急増していました。

 一般に国の経済発展に伴って死亡率は減少し、肥満が増える傾向にあります。同じWHOが経済協力開発機構(OECD)などと共同でまとめたアジア太平洋地域の2012年版の保健医療報告書によると、日本の成人男性は30パーセント、成人女性は21パーセントが肥満とわかりました。

 WHOなどは、日本を含むアジア太平洋地域の計19カ国で入手可能な最新データを使い、成人人口に占めるやせと肥満の割合を男女別に比較。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)18・5未満をやせ、25以上を肥満としました。

 短命と関係が深いやせは、発展途上国の南アジアで目立ち、成人男性の34パーセント、成人女性の36パーセントを占めるインドを筆頭に、パキスタン、バングラデシュ、ベトナムで多くなっています。これに対し先進34カ国で構成するOECDの平均は、成人男性の1パーセント、成人女性の4パーセントがやせでした。

 日本のやせは、男性4パーセント、女性11パーセント。女性の割合が男性を大きく上回っている点が、男性4パーセント、女性15パーセントのシンガポールと共通する特徴でした。

 一方、健康を脅かす肥満は、オーストラリア、ニュージーランドなどで成人の過半数を占めました。OECDの平均も半数程度が肥満となっており、日本の肥満の割合はまだ低いほうです。

 保健医療報告書は、発展途上国では都市部の富裕層や中年女性に肥満が多い傾向があり、先進国では年齢に関係なく肥満が増えており、とりわけ社会経済的地位が低い層の女性に肥満が多い傾向があるとしています。また、経済発展の移行期にあるフィリピン、マレーシア、タイなどは今、栄養不足と栄養過多の両方の問題に直面していると分析しています。

 2012年12月17日(月)

 

■広島で1000人超の食中毒被害 12人からノロウイルス検出

 広島市は14日、弁当製造業「ダイヤス食品広島支社」(同市安佐北区)の弁当を食べた1052人が食中毒のような症状を訴え、うち11人と同支社の従業員1人からノロウイルスを検出したと発表しました。同支社は1日約5000食を県内に出荷しており、さらに患者数が増えると市はみています。

 症状を訴えているのは、同支社が昼食向け弁当を配達している同市周辺の事業所など285カ所の従業員ら。11~12日ごろ下痢や吐き気などを訴え、1人が入院しました。ほとんどの人は、快方に向かっているといいます。

 12日、配達先の事業所から市に連絡があり、発覚。市は13日、再発防止策が確認できるまで当面の営業禁止を同支社に命じ、10~11日の昼食向け弁当が原因とみて調べています。弁当の中身はご飯や漬け物のほか、10日はから揚げ南蛮やキャベツ、11日はハンバーグやエビフライでした。

 同支社の幾野彰支社長は、「大変申し訳ない。原因究明に努めている。従業員の衛生教育を徹底したい」と話しました。

 広島市内で起きた集団食中毒では過去最大規模の被害になりましたが、記録が残る1989年以降、同市内で発生した集団食中毒で最も発症者数が多かったのは、2008年1月に業者の弁当などを食べた749人のケース。ノロウイルスが原因でした。

 厚生労働省によると1998年以降、発症者が1000人を超す集団食中毒は、雪印乳業食中毒事件(2000年、1万3420人)や奈良県で起きた仕出し弁当による食中毒(2006年、1734人)などがあります。

 2012年12月16日(日)

 

■新しい出生前診断を認定制に 産科婦人科学会が指針案

 妊婦の血液を調べ、胎児に染色体の異常があるかどうか判定する、新しい出生前診断について、日本産科婦人科学会は、専門のカウンセリング態勢が整った施設に限って実施するという指針の案をまとめるとともに、施設の審査、認定制度を始める考えを明らかにしました。

 新しい出生前診断は、妊婦の血液を調べ、胎児にダウン症などを引き起こす染色体の異常があるかどうを判定するもので、全国の20近い施設が導入を検討しています。これに対して日本産科婦人科学会は、安易な実施は慎むべきだとして、指針の作成を進めてきました。

 学会が15日に公表した指針案によると、新しい出生前診断は遺伝学の専門知識を備えた医師らが今後増えて体制が整うまで、「一般臨床ではなく臨床研究として慎重に開始されるべきだ」と指摘。実施施設には診療経験豊富な産婦人科医と小児科医が在籍し、どちらかが遺伝に関する専門資格を持っていることを条件としました。実施施設には遺伝カウンセラーらがいることが望ましいともしました。

 対象者は35歳以上や、超音波検査で胎児の染色体異常の可能性が示唆された妊婦など。診断に対する認識不足や誤解が生じる恐れがあるとして、妊婦や配偶者に説明して理解を得ることも条件に挙げています。

 実施施設の申請を受け、同学会や関連団体などでつくる第三者組織が、これらの条件を満たしているかどうか審査し、認定します。認定施設は出生前診断を受けた妊婦の経過について、第三者組織に報告します。組織には日本ダウン症協会に加わってもらうことも検討します。

 記者会見した同学会の小西郁生理事長は、「新しい出生前診断は審査、認定された施設で、臨床研究として慎重に始めるべきで、遺伝カウンセリングが必須だ」と話しました。

 日本産科婦人科学会では、ホームページで指針案を公開し、一般からの意見を聞いた上で、来年3月に新しい診断の指針を正式決定し審査、認定制度を始めることにしています。

 2012年12月15日(土)

 

■過去最多更新を続ける生活保護受給者 9月は213万3905人

 9月時点で生活保護を受給している人は213万3905人で、5カ月連続で過去最多を更新しました。厚生労働省のまとめでわかりました。

 前月より2894人増え、これまでに比べると増加の割合は緩やかになってきていますが、厚労省は「増加が落ち着いたかは、まだわからない。雇用情勢が依然として厳しいため、受給者の増加に歯止めがかかっていない」としています。

 世帯数は155万7546世帯で、過去最多。前月より2543世帯増えました。世帯別では、「高齢者世帯(男女とも65歳以上の世帯、またはこれらに18歳未満の未婚者が加わった世帯)」が最も多く67万5238で、世帯全体の43パーセントを占めているほか、病気やけがをした「傷病者世帯」が前月より583世帯減って29万8060世帯で、世帯全体の19パーセントを占め、働くことのできる世代を含む「その他の世帯」が28万5642で、世帯全体の18パーセントを占めています。

 続いて、「障害者世帯」が17万7329世帯、「母子世帯」が11万4311世帯。

 東日本大震災の影響で生活保護を受給し始めたのは、10月時点で計1425世帯となっており、世帯別では働くことのできる世代を含む「その他の世帯」が681世帯で最多。被災地別では、福島県が660世帯、宮城県474世帯、岩手県146世帯となっています。

 生活保護の給付総額は、今年度3兆7000億円を超える見通しで、厚労省は自立支援策や不正受給の防止策、それに支給の基準額について専門家会議で検討を行い、制度の抜本的な見直しを進めています。

 また、厚労省のまとめによると、2011年度に生活保護を受給していた人が平均206万7244人と、通年で過去最多を更新しました。2010年度に比べて11万5181人増で、前年度比5・9パーセント増えました。これまで最も多かったのは調査初年度の1951年度の204万6646人でした。

 生活保護を受給している世帯も149万8375世帯で、2010年度より8万8326世帯多く、前年度比6・3パーセント増え、11年連続で過去最多を更新しました。

 世帯別では高齢者世帯が最も多く63万6469世帯で、前年度比5・5パーセント増。伸び率が最も大きかったのは働ける世代を含む「その他の世帯」で、11・6パーセント増の25万3740世帯。2007年度の2・3倍でした。

 2012年12月14日(金)

 

■日本脳炎ワクチン、接種継続へ 厚労省専門家会議

 日本脳炎の予防接種を受けた子供2人がその後、死亡したことについて、厚生労働省の専門家会議は、いずれも明確な因果関係は認められないという見解をまとめ、今のワクチンを使った予防接種は継続されることになりました。

 日本脳炎の予防接種を巡っては、今年7月にワクチンの接種を受けた子供が1週間後に急性脳症で死亡したことや、10月には岐阜県美濃市で10歳の男の子が接種直後に意識を失い、その後、死亡したことが厚労省に報告されています。

 このため、厚労省の専門家会議が、検査データや血液などを詳しく調べたところ、急性脳症で死亡した子供には、別の感染症の症状があり、接種の3日後に肺炎を起こしていたことがわかりました。専門家会議は、感染症が急性脳症を引き起こした可能性が高く、ワクチンの接種との明確な因果関係は認められないという見解をまとめました。

 また、岐阜県美濃市の子供には、持病の治療薬として一緒に飲むと死亡する危険性があるとされる薬が処方されていて、血液からも薬の成分が高い濃度で検出されたということです。専門家会議は、薬の副作用による突然死の可能性も考えられ、ワクチンとの直接的な因果関係は認められないという見解をまとめました。

 こうした検証結果を受けて、厚労省は今のワクチンを使った日本脳炎の予防接種を継続することを決めました。

 日本脳炎ワクチンの予防接種では、2004年に女子中学生が接種後、けいれんや運動障害などの症状が出る脳神経系の病気である急性散在性脳脊髄炎にかかり、厚労省は急性散在性脳脊髄炎の重症例との因果関係が認められるとして、2005年に「積極的な勧奨」を控えました。

 2009年6月より、マウスの脳を利用した旧ワクチンから、動物の脳が使われず副作用が少ないとされる乾燥ワクチンが使われていますが、重い副作用の例も厚労省に報告されていました。

 今後は、今のワクチンに関して死亡や重い障害を伴う副作用の例が報告された場合には、緊急に専門家を招集して複数のチェック項目に基づいて検討し、接種中止などの対応を判断することになります。

 2012年12月13日(木)

 

■レジオネラ菌で4人入院 埼玉県日高市の温泉施設

 埼玉県は11日、埼玉種畜牧場・サイボクハムが運営する日高市下大谷沢の入浴施設「サイボク天然温泉 まきばの湯」を利用した男女4人がレジオネラ症を発症し、全員が発熱や肺炎、呼吸困難などの症状で現在も入院中と発表しました。うち1人は重症といいます。

 県によると、4人は東京都の50歳代男性、埼玉県川越市の60歳代男性、埼玉県坂戸市の70歳代女性、大阪市の80歳代女性。先月19~28日、別々に施設を利用し、先月26日~今月5日にかけて発症しました。

 県が今月1日、施設の湯を採取して調べた結果、一部から基準を上回るレジオネラ菌が検出されました。患者の菌と同一かどうか調査を進めています。

 同県の狭山保健所が営業自粛を要請し、運営会社のサイボクハムは今月6日から施設の営業を自粛、11日からは全施設の営業を無期限停止しています。原因が究明されるまで継続する方針。

 県によると、まきばの湯の場合、条例で定められた定期検査を年1回以上行う必要があり、直近では今年9月21日に実施した時点では、レジオネラ菌は不検出だったといいます。

 サイボクハムは「湯は掛け流しで、毎日入れ替えている」と説明。11日に会見した幹部は「患者の方の1日も早い回復をお祈りしています」、「消毒方法や入浴の仕方、施設そのものに問題がないかなど原因を究明したい」と話しています。

 まきばの湯は2004年にオープン、年間約30万人の利用客がいます。泉質にこだわり、一般的な塩素消毒ではなく、銀イオンで消毒していたといいます。

 レジオネラ症は、循環水を利用した風呂に入浴した際などに、レジオネラ・ニューモフィラに代表されるレジオネラ属菌に汚染されたエアロゾル(小さな水滴)を、 気道から吸入することで発病する感染症です。劇症型のレジオネラ肺炎と、一過性のポンティアック熱に大別されます。

 レジオネラ属菌はもともと、土の中、河川、湖沼など自然界に広く生息している菌であり、温水タンク、給水塔、冷却塔などの人工環境においても、配水管のバイオフィルム(ぬめり)に生息するアメーバなどの微小生物に寄生し、増殖しています。20~50℃の水温で生育し、最も増殖に適した温度は36℃前後といわれています。

 レジオネラ肺炎は発熱、呼吸困難、筋肉痛、下痢などの症状が出て、発症はまれでも、急激に重症化することが少なくありません。一方、ポンティアック熱は発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛などの症状が出ますが、一般に数日で自然に治ります。 

 高齢者、乳幼児、糖尿病患者、慢性呼吸器患者、免疫不全者などの抵抗力が低下している人や、健康な人でも疲労などで体力が落ちている人が発病しやすいといわれています。人から人へ感染することはありません。

 国や地方公共団体の調査によると、公衆浴場、旅館などの入浴施設では、衛生管理が徹底していない循環式浴槽、循環浴槽水を利用した気泡発生装置付浴槽・ ジェット噴射装置付浴槽、打たせ湯、足湯、ビルなどの一般施設では、給水塔、冷却塔、給水・給湯設備などが、レジオネラ症の感染源として報告されています。

 家庭においても、エアロゾルを発生させる24時間風呂や加湿器などの衛生管理を徹底しないと、感染源となることがあります。

 2012年12月12日(水)

 

■中国茶葉に残留農薬、伊藤園ウーロン茶40万個自主回収

 大手飲料メーカーの伊藤園(東京都渋谷区)が中国から輸入したウーロン茶の茶葉から、国の定めた安全基準を上回る残留農薬の成分が検出され、この茶葉を使ったティーバッグ式の商品およそ40万個を自主回収しています。

 自主回収しているのは、伊藤園が製造・販売した「ウーロン茶ティーバッグ」54袋入りのうち、賞味期限が来年11月27日以前のものと、「濃いウーロン茶ティーバッグ」30袋入りのうち、賞味期限が来年11月25日以前のもの。それに、大手スーパーなどのプライベートブランドとして製造した「スタイルワン烏龍茶ティーバッグ」54袋入りのうち、賞味期限が来年11月16日以前の商品です。

 これらの商品は、合わせておよそ40万個に上るということです。

 他社でティーバッグ式ウーロン茶から基準値を超える残留農薬が検出される例があったため、伊藤園が今月上旬、自主検査を行ったところ、中国の福建省から輸入した茶葉から、食品衛生法の基準を上回る2種類の残留農薬の成分が検出されたということです。中国での輸出前検査では異常はなかったといい、3商品の生産を停止し、原因を「調査中」としています。

 同社によりますと、今回、検出された残留農薬の量から考えると、茶葉を大量に直接食べなければ、お茶を通常の使用方法で飲んでも健康に影響を与える恐れはなく、現時点で被害の報告もないといいます。

 伊藤園では、「お客様に多大なるご迷惑をおかけし心よりおわびします。今後は、管理体制の向上に努めます」と話しています。

 問い合わせは、11日午前9時からフリーダイヤル0120-556-760で受け付けています。

 2012年12月11日(火)

 

■発達障害の可能性がある児童・生徒、通常学級に6・5パーセント

 公立小中学校の通常学級に、注意欠陥多動性障害(ADHD)など発達障害のある児童生徒が6・5パーセント在籍していると推定されることが、文部科学省の調査でわかりました。40人学級で1クラスにつき2~3人が、「読む・書く・計算」が苦手、授業に集中できないなどの課題を抱えていることになります。

 岩手、宮城、福島の3県を除く調査対象地域の44都道府県を基に推計すると、約61万4000人。このうち約4割は学校で特に支援を受けておらず、文科省は「教員研修を充実させるなど、現場の意識を高めることに取り組みたい」としています。

 調査は今年2~3月、全国1200の公立小中学校の約5万3800人を抽出して実施。学習障害(LD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、高機能(知的発達の遅れのない)自閉症の発達障害の主な3要素について、困難な点があるかを判定する複数の項目を設定して担任教諭が回答し、多く当てはまる児童生徒の数を集計しました。

 「文章の要点を読み取れない」「簡単な計算ができない」など学習障害があり、学習面で著しい困難がある小中学生は4・5パーセント。「教室で離席する」などの注意欠陥多動性障害が3・1パーセント。「周りの人が困惑することを配慮せずいう」などの高機能自閉症は1・1パーセント。一部はこれらが重複していました。

 学校別にみますと、小学校では平均で7・7パーセント、中学校では平均で4パーセントと推計され、いずれも低い学年のほうが在籍している割合が高い傾向にあります。学年別に見ると、小学1年が最多で9・8パーセント。成長に伴い障害が改善され、小学4年7・8パーセント、中学1年4・8パーセント、中学3年3・2パーセントでした。

 また、38・6パーセントは個別指導などの支援は受けておらず、学校内で支援が必要と判断された児童生徒(18・4パーセント)でも6パーセントが無支援でした。

 調査に協力した大南英明・全国特別支援教育推進連盟理事長は、「医師らで構成される専門家チームの設置や教員の増員などの対策が必要だ」と訴えました。

 同様の調査は2002年にも、5県から約4万人を抽出して実施。発達障害の可能性がある子供は、今回より0・2ポイント低い6・3パーセントでした。

 2012年12月10日(月)

 

■原爆投下後に降った黒い雨、がんリスク増えず 放影研が分析結果発表 

 被爆者の健康を日米共同で調査している放射線影響研究所(放影研=広島市、長崎市)は7日、原爆投下直後に降った放射性物質を含む黒い雨を浴びたと証言した被爆者とそうでない被爆者について、がんや白血病による死亡や罹患との関係を比較したところ、「いずれも明確な差があるとはいえなかった」と発表しました。

 放影研が解析したのは、前身の原爆傷害調査委員会(ABCC)が1950年代半ばから行った被爆状況に関する面接調査。この調査のデータが保管されていたことが、昨年11月に明らかになり、放影研は住民などからの要請を受けてデータの分析を進め、未解明な点が多い黒い雨の発がんリスクや、人体への影響の現れ方の手掛かりがつかめるかどうかが焦点となっていました。

 調査の対象は、原爆直後の雨に「遭った」と答えた人1万2401人と「遭わなかった」とした5万2948人。広島で1950~2003年にがんや白血病で死亡・罹患した総数を分析したところ、両者に有意差はみられませんでした。一方、1962~2003年の長崎での死亡・罹患者をみると、黒い雨に遭った人の方が固形がんの死亡比率が30パーセント高いことが判明。

 しかし、長崎で「雨に遭った」と答えた人が734人で、「遭わなかった」が2万3678人であり、放影研の小笹晃太郎疫学部長は「データが少なく、意味のある結果とはいえない」と結論づけました。

 脱毛、発熱などの14種類の急性症状の有無と程度、発症時期などを尋ねたこれだけの大規模な調査は存在しないとみられますが、放影研は急性症状に関する解析はしませんでした。「同じ聞き方をしておらず、科学的な分析が困難」という理由からで、データの信頼性を理由に、放影研は一貫して活用することに消極的な姿勢を示してきました。

 データの比較方法など、分析の手法に専門家から批判の声も出ています。昨年秋、データの存在に気付き、放影研に指摘した長崎市保険医協会の本田孝也会長は「貴重なデータを十分に活用しておらず、黒い雨を浴びた人の期待に応えていない」と疑問を投げ掛けています。

 黒い雨を研究している広島大学原爆放射線医科学研究所の大瀧慈教授は、「分析手法や導かれた結果が適切なのかまだわからない面もある。分析を終えるとすれば大変残念で、放影研との共同研究の提案を考えたい」と話しています。

 2012年12月9日(日)

 

■2012年の自殺者数、15年ぶりに3万人下回る水準で推移 

 今年1~11月の全国の自殺者は2万5754人になり、前年の同じ時期より2800人、率にして9・8パーセント減ったことが7日、警察庁の統計(速報値)でわかりました。年間の自殺者は前年まで14年連続で3万人を超えていますが、今年は1997年以来、15年ぶりに3万人を下回る可能性が強まりました。

 統計によると、11月までの自殺者は男性が1万7840人、女性が7914人。

 今年の月別の自殺者は、いずれも2000人台の前半から半ばで推移しており、3月が最多で2581人でした。前年の同じ時期に比べると、2月と3月が前年よりわずかに多かった以外はいずれも減少し、特に5月は25・5パーセント、6月は24・1パーセントの大幅減となりました。

 都道府県別では、最も多いのが東京都で2564人、次いで大阪府が1608人、神奈川県が1539人、埼玉県が1433人などとなっています。一方、最も少ないのは鳥取県で120人、次いで、徳島県が155人、福井県が170人などとなっています。

 警察庁は1978年から自殺者の統計を取り始め、1997年までは2万人台で推移しました。1998年に3万人を初めて突破し、ピークの2003年には3万4427人となりました。近年は2009年3万2845人、2010年3万1690人、2011年3万651人と減少傾向で推移しています。

 3万人を下回る見通しとなったことについて、自殺対策を担当する内閣府は「自治体や民間で電話や対面による相談の体制が整備されたことなどの効果が出ていると考えられる。しかし、依然として高い水準にあるのが現状で、引き続き対策を進める必要がある」としています。

 「日本いのちの電話連盟」によると相談者数は増加傾向にあり、岡本正子事務局長は「支援はまだ足りない」と指摘しています。

 2012年12月8日(土)

 

■医学部定員50人増へ 2013年度9041人に

 文部科学省は7日、2013年度の大学医学部定員を、申請に基づいて計50人増員する方針を発表しました。内訳は国立大学10校30人、公立大学1校5人、私立大学6校15人。

 50人のうち私立大学が申請した6校15人分は、田中真紀子文科相が同日、増員可否を大学設置・学校法人審議会に諮問しました。国立大学の10校30人分についても、意見を求めます。

 定員増は(1)都道府県が地元勤務を義務付けるかわりに奨学金を出す「地域枠」を設ける(2)複数の大学で連携して研究医養成の拠点を目指す(3)歯学部の定員を減らすーー場合に認められます。

 医師不足解消のため、文科省は2008年度以降、毎年定員を増やしており、増員が認められれば2013年度は2007年度から1416人増の9041人となります。同省は2019年度まで医学部の定員増を認める予定です。

 一方、今の医師の増やし方では20年後も医師不足というシミュレーション結果を、東京大学医科学研究所のグループが1日、米科学誌プロスワンに発表しています。医学部の定員増により医師数は増えますが、高齢化で死者数も増えるため、負担は変わらない可能性が示唆されました。

 国の人口推計や医師数調査のデータに基づいて、2035年の状況を解析しました。医師数は39万7000人で、2010年より1・46倍に増えますが、死者数も1・42倍に増加。3人に1人の医師が60歳以上になるため、年齢や性別を考慮した医師の勤務時間当たりの死者数は現在と変わりませんでした。

 同研究所の湯地晃一郎助教は、「死者の大半は病院で死亡している。現状では勤務状況が改善されない」と指摘しています。

 2012年12月7日(金)

 

■日本人の肉類の摂取量が増加、野菜類は減少 2011年国民健康・栄養調査

 日本人は10年前に比べ、魚介類や野菜類の摂取量が減り、肉類は増えて「肉食化」が進んでいることが6日、厚生労働省が公表した2011年の「国民健康・栄養調査」でわかりました。

 調査は、国民の食事や健康状況などを把握するため毎年行い、今回は2011年11月に実施。東日本大震災の影響で岩手、宮城、福島の3県を除く全国3412世帯で集計しました。

 成人の1日当たりの生鮮食品の摂取量(平均値)は、2001年調査と比べ野菜類が18・4グラム減の277・4グラム、果物類が22・0グラム減の110・3グラム、魚介類が24・3グラム減の78・6グラム。一方、肉類は6・7グラム増の80・7グラムでした。2008年調査までは魚介類が肉類を上回っており、2009年以降逆転が続いています。

 年齢階級別では、20~40歳代の野菜類、果物類、魚介類の摂取量が少なくなっています。

 厚労省は、「手軽さや外食の増加で肉食が増えている。生活習慣病予防には野菜の摂取が必要」と指摘しています。

 また、年収が低い人ほど、野菜類や果物類などを食べる量が少なくなる傾向があることが、同調査でわかりました。

 年収が200万円未満の男性は、野菜類が259グラム、果物類が74グラムで、年収600万円以上の男性よりも、野菜類が25グラム、果物類が20グラム少なくなるなど、年収が低いほど摂取量が減る傾向にあることがわかりました。魚介類や肉類の摂取量も、同じ傾向でした。

 厚労省は、「経済的な差が栄養の格差を生み出していると考えられる。栄養は生活習慣病とも大きくかかわっており、必要な栄養素をバランスよくとるよう心掛けてほしい」と話しています。

 一方、8割の人が日常生活で、何らかの不安を感じていることも判明しました。「自分の健康」が最も高く、男性で42・1パーセント、女性で48・2パーセントに上りました。

 さらに、過去最大の値上げ幅だった2010年のたばこ値上げを受けて禁煙したのは、回答した喫煙者約3000人のうち、4・4パーセントにとどまることが明らかになりました。喫煙率は男性32・4パーセント、女性9・7パーセントで、いずれも前年から微増しました。

 同調査によると、習慣的な喫煙者3013人のうち、値上げで喫煙状況に「影響があった」と回答したのは29・2パーセントに当たる880人。

 具体的な内容としては、「吸う本数を減らした」が343人(11・4パーセント)で最多、「吸うのをやめた」は132人(4・4パーセント)でした。

 2012年12月6日(木)

 

■ノロウイルスに変異 全国で大流行の恐れも

 感染性胃腸炎の主な原因となるノロウイルスで今年、新しい遺伝子変異のあるものが全国に広がっていることが確認され、専門家は「大きな流行を引き起こす恐れがある」と注意を呼び掛けています。

 感染性胃腸炎の主な原因となるノロウイルスには、さまざまなタイプがありますが、ここ数年は、2006年に全国で大きな流行を引き起こしたものがほとんどを占めてきました。

 ところが、新潟県長岡市の2つの福祉施設で10月に集団発生した感染性胃腸炎で患者から検出されたノロウイルスを分析したところ、これまで確認されていない新しいタイプであることがわかったということです。

 分析に当たった国立医薬品食品衛生研究所は、感染しやすさを決める遺伝子の特定の部分に、これまでのウイルスにない変異が見付かったとしています。

 その後、各地で同じ変異のあるウイルスが次々と見付かり、これまで北海道や東京都、千葉県、新潟県、大阪府、広島県、島根県、大分県、沖縄県など少なくとも9つの都道府県に広がっていることが確認されているということです。2006年の感染性胃腸炎の大流行も、こうした遺伝子変異が切っ掛けとみられています。

 国立医薬品食品衛生研究所の野田衛室長は、「今シーズン、健康な大人でも胃腸炎を発症する例が目立っているのは、新しいタイプのウイルスに対する免疫がないためと考えられる。大きな流行を引き起こす恐れがあり、注意が必要だ」と話しています。

 その新しいタイプのノロウイルスは香港でも8月に検出されており、国立感染症研究所では「世界的にも流行が拡大しているのではないか」と推測しています。

 なお、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行はすでに本格化し、1週間の患者数は去年のピークを上回ってさらに増えるとみられています。

 国立感染症研究所によりますと、全国およそ3000の小児科の医療機関から報告される感染性胃腸炎の患者は6週連続で増加し、先月25日までの1週間で1施設あたり13・02人となりました。これは去年のピークをすでに上回り、この10年では全国的な大流行となった2006年に次ぐ多さです。

 都道府県別では、宮崎県が31・19人と最も多く、鹿児島県が27・15人、福井県が23・32人などとなっていて、九州や北陸を中心に本格的な流行となっています。

 この時期の感染性胃腸炎の大半はノロウイルスが原因で、特に乳幼児や高齢者では激しい下痢や嘔吐を繰り返し、脱水症状が進んで重症化することもあります。

 ノロウイルスはわずか数個でも感染を引き起こすことから、下痢や嘔吐などの症状のある人が出た場合、マスクや手袋をした上で、周囲を塩素系の消毒剤でふき取ることが有効とされています。

 国立感染症研究所の安井良則主任研究官は、「今年は、幼い子供や高齢者が過ごす施設での集団発生で、健康な大人も発症している例が目立っている。流行のピークはこれから年末にかけてとみられ、手洗いなど感染の予防を徹底してほしい」と注意を呼び掛けています。

 2012年12月5日(水)

 

■ノロウイルス、大阪で集団感染、入院患者2人死亡

 大阪府は4日、同府大東市内の病院で入院患者や職員ら計48人が嘔吐や下痢の症状を訴え、うち入院患者の女性(88歳)と男性(76歳)の2人が死亡したと発表しました。

 死亡した女性を含む発症者6人からノロウイルスを検出。府は医療機関内での集団感染とみていますが、死亡との因果関係は不明といいます。

 府によると、先月27日に入院患者の1人に症状が出始め、2日までに入院患者39人と職員9人が発症。食中毒ではなく、接触による感染とみられます。

 死亡した女性は先月29日に発症して30日に心不全で、男性は1日に発症して2日に誤嚥性肺炎でそれぞれ死亡しました。

 府は当初「全員快方に向かっている」と説明していたが、後に訂正しました。「病院から正確な情報が伝わってこなかったため」としています。

 残る46人の患者や職員は、快方に向かっているといいます。四條畷保健所が、感染経路などを調べています。 

 2012年12月4日(火)

 

■大腸がん幹細胞の目印を発見 京大グループ

 大腸でがん細胞を作る「がん幹細胞」の目印となるタンパク質を、京都大学医学研究科の千葉勉教授(消化器内科)らの研究グループが見付けました。副作用の少ないがん治療薬の開発につながる成果で、英科学誌ネイチャー・ジェネティクスで3日発表しました。

 治療をしても体内にがん幹細胞が残ると、持続的にがん細胞を作って再発や転移が起きるため、がんを根絶やしにするにはこの幹細胞を見付け、排除する必要がありますが、がん幹細胞とがん以外の幹細胞の区別が難しいとされています。

 研究グループでは、マウスの大腸がんにあるDclk1というタンパク質に注目し、特殊な方法で色をつけて詳しく調べました。その結果、このタンパク質を持つ細胞が、がん細胞を次々に作り出していることがわかり、がん幹細胞と確認されたということです。

 このタンパク質は、通常のがん細胞にはないことも確認され、Dclk1ががん幹細胞を見分ける目印になることがわかったとしています。また、Dclk1が現れた細胞だけが死滅するように遺伝子操作すると、副作用は起きず、大腸がんの組織を8割以上縮小したり消失させたりできたといいます。

 Dclk1は人間の大腸がんにもあることから、研究グループでは、これを目印にがん幹細胞を集中的に攻撃することができれば、大腸がんの再発を防ぐ画期的な治療法の開発につながる可能性があるとしています。

 研究を行った千葉教授は、「Dclk1が人間の大腸がんでも、がん幹細胞を見分ける目印になることを早急に確認したい。Dclk1に結合する抗体と抗がん剤を組み合わせた薬剤を開発できれば、副作用の少ないがん治療が期待できる」と話しています。

 2012年12月3日(月)

 

■慶大、白血病リスクの血液からiPS細胞 京大、iPS細胞で不整脈を再現

 白血病になるリスクの高い遺伝子の特徴のある人から、体のあらゆる臓器や組織になるとされるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作り出すことに慶応大学の研究グループが成功しました。白血病の発症の仕組みの解明や薬の開発に役立つのではないかと期待されています。

 慶応大学血液内科などの研究グループは、白血病の一つ、急性骨髄性白血病になりやすい遺伝子の特徴のある人から血液の提供を受け、白血球からiPS細胞を作り出すことに成功しました。このiPS細胞を健康な人から作り出したiPS細胞と比較したところ、血液の細胞に変化する能力が半分以下と低く、細胞が分裂する過程で何らかの障害が起きている可能性がうかがえたとしています。

 こうした遺伝子の特徴のある人は、およそ50パーセントの確率で白血病を発症するものの、詳しい仕組みはわかっていません。研究グループでは今後、このiPS細胞をもとにした血液の細胞で実験を繰り返し、白血病を発症する条件を特定したいとしています。

 研究に当たった中島秀明准教授は、「急性骨髄性白血病の患者の中には治療が効果を示さない人もいる。発症の仕組みを解明し、新しい薬の開発につなげたい」と話しています。

 一方、京都大学の研究グループは、iPS細胞から心臓の筋肉の組織を作り出し、脈の打ち方が異常に速くなる不整脈を再現することに成功しました。新たな治療薬の開発などに役立つと期待されています。

 この研究を行ったのは京都大学物質ー細胞統合システム拠点の中辻憲夫教授らのグループで、iPS細胞から心臓の筋肉の細胞を作り出し、直径12ミリほどの円形のシート状に培養しました。そして、密度が部分的に低い部位をつくったところ、規則正しく収縮を繰り返していた心臓の筋肉が不規則に収縮し始め、不整脈が起きた時と同じ状態を再現できたということです。

 実際の心臓でも、心筋梗塞などで心臓の筋肉の機能が衰えた部位が部分的にできると、不整脈が起きることが知られています。

 研究グループによりますと、ヒトの心臓の筋肉の組織で不整脈を再現できたのは初めてで、中辻教授は「これまである不整脈のモデルの中では最も実際の病気に近いもので、新たな治療法や薬の開発に貢献できると思う」と話しています。

 欧州心臓病学会誌速報電子版に1日、発表しました。

 2012年12月2日(日)

 

■高齢者の入院患者は2パーセント減 外来患者は過去最多

 65歳以上の高齢者の1日当たりの推計入院患者数は2011年に91万4900人となり、2008年の前回調査から2パーセント減ったことが、厚生労働省の患者調査でわかりました。

 入院患者の総数も、前回より減少しました。一方で、高齢者の外来患者は過去最多となっており、入院から外来や在宅医療へのシフトが鮮明になった形。

 入院患者の減少について、厚労省は「新薬開発や医療技術の向上を背景に、可能になった通院治療が増えていることなどが挙げられる」と説明しています。高齢化社会を受け、入院患者を抑えて在宅医療を促す同省の政策も影響したとみられます。

 患者調査は3年ごとに実施。2011年10月の指定した1日に無作為抽出した全国1万3423カ所の医療機関に入院、通院した約233万5000人を基に、全国の推計値を算出しました。東日本大震災で被害を受けた宮城県の3市2町と福島県は除きました。

 入院患者の総数は134万1000人で、前回から5万1400人減少しました。年齢層別では、80~84歳が最多の18万9500人で、75~79歳が17万6100人、85~89歳が15万8300人と続きました。65歳以上が全体の68パーセントを占めましたが、前回の93万1400人から1万6500人減少しました。

 外来患者の総数は前回より51万7000人多い726万500人。特に65歳以上が同8パーセント増の332万9900人で、過去最多となりました。

 一方、2011年9月に医療機関(病院及び診療所)から退院した推計患者の平均在院日数は32・8日となり、前回の35・6日から2・8日短縮しました。病院は都道府県で差がみられ、最長は高知の54・7日、最短は神奈川の25・5日。主に四国や九州で長くなる傾向は前回と変わりませんでした。

 また、患者調査によると、うつ病を含む「気分障害」の推計患者数は95万8000人となり、現在の形での統計がある1996年以降、初めて減少しました。

 気分障害で入院したり、医療機関を外来で受診したりした患者数は1996年が43万3000人、1999年も44万1000人とほぼ横ばいでしたが、2002年は71万1000人に急増。前回の2008年調査では104万1000人で、初めて100万人を超えていました。

 主な傷病の推計患者数は、「悪性新生物」が152万6000人、「糖尿病」が270万人、「高脂血症」が188万6000人、「高血圧性疾患」が906万7000人、「心疾患(高血圧性のものを除く)」が161万2000人、「脳血管疾患」が123万5000人となっています。

 2012年12月1日(土)

 

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