自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾/自らの体と心と病を知り/自らの健康を創る/健康創造塾

健康ダイジェスト

2017年1月〜 2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

 

■介護施設で暮らす女性高齢者、8割がビタミンD不足

 特別養護老人ホームなどの介護施設で暮らす女性高齢者の8割が、カルシウムの吸収を助けるビタミンDが不足しており、自宅で暮らす人に比べて血中濃度も半分程度と低いことが、国立長寿医療研究センター(愛知県)の原田敦・先端機能回復診療部長らの29日までの調査でわかりました。

 調査対象は、愛知県内の特養や老人保健施設、認知症グループホーム計46施設に入所する女性435人。寝たきりになっていない人たちで、平均年齢は86歳。

 原田部長は、「ビタミンDの取りすぎはよくないが、干ししいたけなどの食品やサプリメント、日光浴などで補うほうがいい」と話しています。

 カルシウムの吸収を促し、骨の形成を助けるビタミンDの不足は骨折や転倒の原因となり、骨折したことがある高齢者には不足傾向が確認されています。太ももの付け根近くの骨折がもとで、歩行困難から寝たきりにつながる人も多くいます。

 2010年7月31日(土)

 

■インフルエンザのワクチン接種、10月から 今季は1回でOK

 秋以降の流行が見込まれるインフルエンザ対策で、厚生労働省は28日、国民全員を対象にワクチンの接種を10月1日に始める方針を示しました。

 今季のワクチンは、新型の豚インフルエンザに加え、従来の季節性インフルであるA香港型とB型の3タイプのウイルスに対応します。予防接種法の改正で実施主体が国から市町村に移るのを念頭に、接種料金は市町村が決めます。

 昨季は新型インフルのワクチンと、季節性のワクチンを別々に打つ必要がありましたが、今季は1回ですみます。ただし、13歳未満は2回接種します。今季に製造されるワクチンは、約5800万回分の見込み。

 新型インフル対策については、昨季のワクチン在庫が約7300万回分あるため、厚労省は「国民全員に対応できる量がある」として、昨季のように接種対象者に優先順位はつけません。

 厚労省によると、接種料金は昨季、新型インフルは1回3600円で全国一律、2回接種が必要な子供は6150~7200円。季節性は、定期接種の対象である65歳以上の人は市町村が料金を決めていましたが、それ以外は医療機関が自由に決めており、約2000~4000円前後でした。混乱を避けるため、厚労省は近く目安となる補助金額を示したいとしています。

 2010年7月30日(金)

 

■メタボ健診の保健指導に効果 1年で体重が平均1・7キロ減

 40~74歳へのメタボ健診(特定健診)で、食事や運動などの指導を受けた人は1年間で体重が平均で1・7キロ減ったことが国立保健医療科学院などによる全国規模の調査でわかりました。体重は男性2・4パーセント、女性3・0パーセントの減少で、腹囲(おなか回り)は男性が2センチ、女性が2・48センチ減りました。

 メタボ健診後の保健指導による体重減少などで全国的な大規模集計が出たのは、初めて。国立保健医療科学院の今井博久疫学部長らは、北海道から九州まで協力が得られた8都道府県で、メタボ健診が始まった2008年度に受診した38万人を対象に追跡調査しました。

 38万人のうち6万人が腹囲が基準を上回るなどして、保健指導の対象になりました。うち1万2000人(平均64・83歳)が実際に保健指導に参加して、体重減などを目指しました。指導参加者の体重は08年度に比べて09年度は男性で平均1・65キロ(2・4パーセント)減、女性は1・79キロ(3・0パーセント)減でした。

 保健指導の対象になったものの指導までは受けなかった人も体重は減っていましたが、その減少幅は男性0・49キロ、女性0・61キロと少ないため、保健指導の効果があったとみられました。

 体重、腹囲のほかには、中性脂肪が男性11パーセント減、女性10パーセント減、最高血圧が男性1・4パーセント低下、女性1・8パーセント低下などの効果がみられました。

 ただ、保健指導の効果には地域差がありました。岩手・三重・山口・香川・高知・宮崎の6県で体重減少幅を比較した結果、男性では山口や岩手が2キロ以上減りましたが、宮崎は1・25キロで平均より低いものでした。女性でも地域差があり、岩手県内のの35市町村の分析では、3市町村で平均3キロ以上減った一方、体重が0・2キロ増えた市町村もありました。地域差の要因には、保健指導の方法が市町村ごとに違うことが考えられます。

 今井部長は、「滑り出しとしては体重減などの効果が出た。効果には差もあり、指導の改善につなげてほしい。今後、病気の予防や医療費への影響なども検証する必要がある」と語っています。

 市町村の国民健康保険や健保組合などが実施する特定健診は、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)に着目しているため、メタボ健診とも呼ばれています。腹囲、血圧、脂質、血糖の健診結果をもとに、高リスクの人は保健師や栄養士らによる食事や運動などの特定保健指導を受けます。腹囲は男性85センチ以上、女性90センチ以上が指導対象ですが、この基準などを巡っては見直し論議が起きています。

 2010年7月29日(木)

 

■自殺未遂患者の6割、境界性パーソナリティ障害

 向精神薬を大量に飲んだりリストカットを繰り返すなど、自殺に関連する行動で精神科に入院した患者の約6割が、若年層に多い「境界性パーソナリティー障害」と診断されていたことが、東京都立松沢病院の研究でわかりました。

 都の精神科救急医療の拠点病院である松沢病院に2006~07年に入院した患者のうち、自殺未遂を経験した155人(男性68人、女性87人)を対象に面接調査しました。自殺未遂の方法は、薬の過剰摂取が約3割、リストカットが約4割を占めました。

 境界性パーソナリティー障害と診断されたのは、全体の56パーセント。女性のほうが割合が高く、男性の41パーセントに対し女性は67パーセントでした。平均年齢は33歳。

 境界性パーソナリティー障害は思春期から青年期の患者が多く、物の見方や考え方に著しい偏りがあり、社会生活を送るのが難しい、人に見捨てられるのではないかと強い不安を抱く、対人関係が両極端で不安定、衝動的な自傷行為を繰り返すといった症状が出ます。自殺リスクの高さは欧米では報告されており、8~10パーセントが自殺に至るとされます。

 精神科で処方された向精神薬の過量服薬は社会問題となっており、厚労省研究班の調査では、精神科を受診していた自殺者の58パーセントが自殺時に向精神薬を大量に飲んでいました。同省は6月、自殺の危険性がある患者には向精神薬を長期間、大量に処方しないよう呼び掛ける通知を日本医師会などに出しました。

 先進7カ国中、日本は唯一、15~34歳の若い世代の死因で自殺がトップを占めます。警察庁によると、20~30歳代の自殺率は昨年、統計を取り始めた1978年以降で最悪を記録しました。

 松沢病院の林直樹・精神科部長は、「日本の自殺対策は中高年のうつ病対策に偏っているが、境界性パーソナリティー障害が多い若年層への対策も必要だ」と指摘しています。

 2010年7月28日(水)

 

■平均寿命、過去最高を更新 女性は86・44歳で25年連続世界一

 日本人の2009年の平均寿命は女性が86・44歳、男性が79・59歳で、いずれも4年続けて過去最高を更新したことが26日、厚生労働省が公表した「簡易生命表」でわかりました。

 女性は08年より0・39歳延び、25年連続世界一。男性も0・30歳延びましたが、08年の世界4位から5位に順位を下げました。4位より下になったのは1973年以来36年ぶり。男女差は6・85歳で、昨年より0・09歳広がりました。

 厚労省は、「がん、心疾患、脳血管疾患という日本人の三大死因と肺炎の治療成績が向上したことが主な要因。インフルエンザが大流行しなければ今後も寿命は延びるだろう」と分析。男性が下がった理由は、「ほかの国も寿命が延びた相対的なもの」と説明しています。

 女性の平均寿命の2位は香港の86・1歳、3位はフランスの84・5歳で、4位スイス、5位スペインの順。男性は1位がカタールの81・0歳、2位が香港の79・8歳で、3位はアイスランドとスイスが79・7歳で並びました。

 09年に生まれた赤ちゃんが75歳まで生きる割合は、男性71・9パーセント、女性86・5パーセント、95歳まで生きるのは男性8・2パーセント、女性23・7パーセントと試算されました。

 2010年7月27日(火)

 

■遺伝子検査で乳がん薬を選ぶ手法を開発

 乳がん患者の遺伝子を調べることで、手術後の再発予防に効果があってしかも安価な薬を選ぶ手法を、東京大学の中村祐輔教授らが開発しました。今後、四国の5医療機関で実際の治療に応用し、有効性を検証します。

 乳がん手術後の再発予防には、タモキシフェンとアロマターゼ阻害剤という二つのタイプの薬があります。タモキシフェンは後発医薬品が発売され、価格がアロマターゼ阻害剤の10分の1程度のものもありますが、タモキシフェンを使う患者の20~30パーセントが5年以内に再発、阻害剤に比べ効果がやや劣っていました。

 研究チームは、タモキシフェンの再発防止効果に患者で差があることに着目。徳島県で1986~2007年に乳がん手術を受け、タモキシフェンだけを投与された患者282人を調べました。

 タモキシフェンは体内で分解され、がんに効く成分ができます。遺伝子の微妙な違いで、分解酵素の働きが弱い患者は、酵素の働きが「正常」「やや弱い」患者に比べ、再発の危険性が2・2~9・5倍高くなりました。

 分解酵素の働きが弱いのは患者の2割。研究チームは残りの8割にタモキシフェンを投与すれば再発率を10パーセント未満に抑え、アロマターゼ阻害剤よりも効果が高いと予測、年間110億円を節約できると試算しています。

 2010年7月26日(月)

 

■増加する働き盛りのがん患者 仕事の継続のために厚労省が支援

 がん患者の3割以上が、病気を切っ掛けに仕事を辞めざるを得ない中、厚生労働省研究班が今年度から、治療後も働き続けられるマニュアル作りに乗り出します。

 20~50歳代の働き盛り世代では、年間約16万人が新たにがんになり、年々増えています。家族や企業、医師向けの小冊子作成や、「がんサバイバー就業塾」などを計画しています。

 別の厚労省研究班が03年に実施した調査によると、がんと診断された時点で働いていた人のうち31パーセントが依願退職し、4パーセントが解雇されていました。治療による体力や気力の低下、退院後の通院治療などが重なり、「会社に迷惑をかける」と退職する例が多くみられます。

 研究班では、がん患者の就労の実態調査を行うほか、がん患者を世話する家族や、企業の人事担当者、産業医、治療を担当する医師らにも調査を実施。就労を阻む要因や対応すべき課題などを探ります。

 こうした調査をもとに、3年以内に小冊子やDVDなどを作成し、全国の医療機関や企業に配布します。がん経験者に、雇用継続や就活のコツを教える「就業塾」の教材開発も目指します。9月には、海外での就労支援をまとめたウェブサイトを立ち上げます。欧米では、NGOががん患者向けの就労手引を作るなどの動きが始まっていますが、日本ではほとんど手がつけられていません。

 主任研究者の高橋都・独協医科大准教授(公衆衛生学)は、「治療の影響で一時的に仕事の実績が下がっても、多くの場合回復する。経済的不安があると適切な治療法が選べない可能性があり、貴重な労働力を失うことは雇用側にも痛手だ」と指摘しています。

 2010年7月25日(日)

 

■1日1万5000歩は歩こう 都教委が小中高生対象に目標

 子供は毎日、1万5000歩以上歩こう――。東京都教育委員会は22日、都内の小、中、高校生の体力向上策として、こんな目標を決めました。

 子供はどんどん体を動かさないようになっており、例えば小学生の1日の歩数は1979年の全国調査で平均約2万7000歩だったのが、2007年には約1万3000歩に半減。都教委は「現実的に達成可能な水準」として、「1日1万5000歩以上」を掲げることにしました。距離は7・5キロ相当だといい、今後、モデル校に歩数計を配って達成具合を測るといいます。

 子供の歩数が減っているのは、テレビゲームの普及などで外遊びの機会が減ったことや、交通機関の発達が原因とみられています。

 都教委は同日、10~12年度に公立小中学校・高校で取り組む体力向上策をまとめた推進計画を作り、歩数の目標も盛り込みました。今秋までに、まず小学校数校をモデル校とし、児童用の歩数計を配布。各校は独自に歩数を増やす取り組みを考え、「1万5000歩」の達成を目指します。来年度以降は対象校を増やすといいます。

 文部科学省が昨年度、50メートル走やボール投げ、握力といった種目で小5と中2に実施した全国体力調査では、東京の小5は47都道府県で30位台、中2は40位台でした。都教委には危機感が強く、担当者は「歩くことは体作りの基本。達成状況を見て将来的には目標の歩数を増やすことも検討したい」とし、12年度までに体力の数値を「平均並みにしたい」といいます。

 2010年7月24日(土)

 

■熱中症による死者、30年前の6倍 冷暖房慣れも影響か

 猛暑が続き、熱中症による死者が増えています。死者数は、最近の10年間では年平均で400人近く、30年前に比べ6倍になっています。

 一日の最高気温が35度以上の猛暑日が増加し、高齢者の死亡につながるケースが目立ちます。専門家は、気温だけでなく湿度への注意を呼び掛けています。

 総務省消防庁によると、この夏(5月31日~7月18日)、熱中症の疑いで救急車で搬送された人は5574人。うち12人が死亡しています。

 熱中症による死者は増加傾向。厚生労働省の人口動態統計によると、1999年から2008年までの10年間に「自然の過度の高温」で3954人が死亡しました。69年から78年までの658人の6倍に増えています。

 京都女子大学の中井誠一教授(運動衛生学)によると、最近の死者の65~70パーセントは65歳以上の高齢者で、「体力が弱っていたり、持病などがあったりすると死に至りやすい。冷暖房などに慣れ、気温の急激な変化に対応する力が衰えている可能性もある」とみています。

 国立環境研究所の小野雅司さん(疫学)は、東京都と大阪府の72年から96年までの熱中症による死者と一日の最高気温の関係を調べました。30度を超えると死者が増え始め、33度を超えると急増していました。最高気温が高いと、夜の気温が25度以上の熱帯夜となり、寝苦しい夜で体力が奪われるという悪循環になります。

 同じ気温でも、東京都のほうが大阪府より死者の割合が多くなっていました。小野さんは湿度の影響とみており、平年の8月の湿度は東京都心の72パーセントに対して大阪市は67パーセント。小野さんは「湿度が高いと汗が乾きにくく、体温が下がりにくい。気温だけでなく、湿度にも注意してほしい」と話しています。

 気象庁のデータで、東京都心、名古屋市、大阪市、福岡市の4大都市で35度以上の猛暑日の変化をみると、69~78年の10年間の4都市の合計は142日でしたが、99~08年では400日と約3倍に増えています。この夏はどうなるのか。気象庁の最新の1カ月予報では、平年並みか平年より高温になると見なされます。

 2010年7月23日(金)

 

■熱中症、60歳以上は特に注意を 日常生活の中でも発症

 60歳以上で熱中症になった人の6割が日常生活の中で発症していることが、日本救急医学会の調査でわかりました。高齢者は重症化しやすいため、専門家はエアコンなどによる室温の管理や十分な水分補給を呼び掛けています。

 調査は2008年6~9月に実施し、全国の救命救急センターや救急科のある82施設を熱中症で受診した913人を調べました。60歳以上の228人のうち、63パーセントに当たる144人が特にスポーツや仕事をしているわけではない日常生活で発症していました。

 症状を3段階に分けると軽症では、めまいやこむら返りが起こります。中等度は頭痛、嘔吐、倦怠感、重症の場合は意識障害や肝、腎機能障害などが起こります。重症の198人のうち、4割の81人が60歳以上でした。

 熱中症の初期症状は頭痛やめまい、吐き気などで、特有の症状ではないので気付きにくいとされます。特に高齢者は暑さに対する感覚が鈍く、若い人より体内の水分量が少ないので体温が上昇しがちのため、熱中症になりやすくなります。熱中症は屋内でも発症しますので、湿度計付き温度計を置き、室温28度、湿度60パーセントになったらエアコンを使うなど、目で確認できる温度の管理が重要です。

 調査責任者の三宅康史・昭和大准教授は、「高齢者はのどの渇きを感じなくてもこまめな水分補給をして、エアコンや扇風機を使って定期的に室温を下げることが予防への一歩」と話しています。

 2010年7月22日(木)

 

■低体重児の成人後の健康状態は? 厚労省が本格調査へ

 体重1500グラム未満で生まれた赤ちゃんは、成人後にどんな健康状態か。厚生労働省の研究班が今秋から、初の全国調査を始めます。

 小さく生まれると、知的発達の遅れや視覚障害が出るほか、生活習慣病のリスクが高まる可能性が指摘されています。成人後にも影響が残るかを調べ、成長に応じて行うべき検査や予防法、支援策を探るのが狙い。

 厚労省研究班の調査は今秋から1年かけ、新生児集中治療室(NICU)がある約100カ所の病院に協力を求め、1990年前後に1500グラム未満で生まれた人にアンケートを行います。対象は推計約4000人。

 現在の体格や思春期の時期、これまでの健康状態、自分をどう評価しているか、健康上、社会生活上で何か問題はあるか、などを尋ねます。共通の問題点があれば、来年度以降、健康診断も含め、本格的な調査を始めます。

 2500グラム未満(低出生体重児)で生まれた子供の割合は、07年に新生児の9・7パーセントと、この30年間で2倍になりました。1500グラム未満(極低出生体重児)で生まれた子供の割合も、0・3パーセントから0・8パーセントに増えました。医療の進歩で出産後の死亡率が下がったほか、不妊治療による多胎、高齢妊娠による早産の増加などの影響とみられます。

 厚労省研究班による3歳、6歳、9歳児への追跡調査では、脳性まひやてんかん、知的障害、視力・聴覚障害などを持ちやすいことがわかっています。1000グラム未満で生まれた子供のうち、てんかん発作のある子は3歳では4パーセントでしたが、9歳では10パーセントに、知的障害と知的障害に近い状態の子も23パーセントから34パーセントへと、年齢とともに増えていました。

 欧米の調査では、高血圧や糖尿病など生活習慣病のリスクが高まる可能性も指摘されていて、生まれた直後の低栄養状態などが関係しているとみられています。ただ、成人後に影響が残るかは、はっきりしません。米国の研究で、高校進学率や妊娠率も低いという調査結果がある一方で、カナダでは進学率や就職率、既婚率とも差がなく、「幼少時の障害は克服可能」との結果も出ています。

 調査を進める板橋家頭夫(かずお)昭和大教授は、「日本の追跡調査は9歳までで、身体的な成長と知能・精神の発達が中心だった。生活習慣病のリスクなどがわかれば、適切な運動を指導するなど、予防対策も取れるようになる」といいます。

 2010年7月21日(水)

 

■パッチを張るだけでインフルワクチン接種 米研究チームが開発

 微小な針が多数ついたパッチを皮膚に張るだけで接種できるインフルエンザワクチンを、米ジョージア工科大などの研究チームが開発し、動物実験で効果を確認しました。

 針は皮膚に刺さると溶け、ワクチンと共に吸収されます。実用化すれば、自分でも接種でき、輸送や保存も簡便になり、接種費用が抑えられます。米医学誌ネイチャー・メディシン(電子版)で発表しました。

 開発したパッチは、生体に吸収されやすい物質でできた高さ0・7ミリの針が100本ついています。針の中には、液体ワクチンを凍結乾燥させた粉末が入っています。

 人の皮膚に似た豚の皮膚を使った実験で、親指でパッチを皮膚に押しつけただけで表皮に刺さり、数分以内に溶け、ワクチンと針が皮膚に吸収されることを確認しました。深く刺さらないため、研究チームは「痛くはないはずだ」としています。

 このワクチンを接種したマウス6匹にインフルウイルスを感染させたところ、すべて生き残り、体重も5パーセント以下しか減りませんでした。通常のワクチンを注射したマウスも同様でしたが、接種しないマウスは6日以内にすべて死にました。

 研究チームは、「通常のワクチンと同等の効果がある。製造費用も同程度だが、接種に医師や看護師が必要なく、注射針の処理もいらず、費用は安くなる」とみています。

 2010年7月20日(火)

 

■携帯電話でストレス計測 KDDIがソフトを開発

 携帯電話を使ってストレスの強さを計測できるソフトを、KDDI研究所(埼玉県ふじみ野市)が開発しました。センサーで読み込んだ脈拍を手掛かりにして測ります。

 1人に1台行き渡っている携帯電話を利用することで、場所や時間を選ばず個人で手軽にストレスを計測できることから、日々の体調管理の目安にするほか、ゲームへの応用も検討中。年内の実用化を目指しています。

 ストレスの計測では、耳たぶにクリップ型の脈拍センサーを装着し、脈拍を信号に変えてケーブルで携帯電話に送ります。脈拍の間隔が短くなったり長くなったりする「揺らぎ」を分析することで、交感神経が高揚しているストレスの高い状態にあるかどうかを推定するといいます。

 計測前には、「精神的な疲れ」「肉体的な疲れ」「気分スッキリ度」「やる気」などの問診があり、5段階で答えを入力。計測時間は2分半で、「あなたのストレスレベルは72パーセントです」などと画面に表示されます。

 同様に高揚感も計測できるため、対戦型ゲームで集中度を得点に加えたり、合コンで気分を計測して楽しんだりするゲームへの応用も検討しています。

 2010年7月19日(月)

 

■「乳酸菌飲料」が食品の国際規格入り

 ジュネーブで7月上旬に開かれた食品基準を定める政府間組織「国際食品規格委員会(CAC)」総会で、日本で開発されて普及した「乳酸菌飲料」が、新たな食品の国際規格として採択されました。

 これまで清涼飲料などに区分されていましたが、健康に役立つ「乳製品」の1分野に認定されたもので、国によっては消費税などが軽減される見通し。食品の国際規格は欧米案が採択されるケースが多く、日本案が採択されたのは珍しいといいます。

 乳酸菌飲料は牛乳などを発酵させたものを原料とした飲料で、ヤクルト本社の「ヤクルト」、日清ヨークのピルクルなどが代表的です。日本政府は1994年から交渉を重ね、ようやく認定にこぎ着けました。

 海外では食品の課税をCACに準じて決めており、欧州では乳製品を健康食品として優遇しているケースが多くみられます。例えば、イタリアでは日本の乳酸菌飲料は「非アルコール飲料」に分類され、日本の消費税に当たる「付加価値税」が20パーセント課税されていますが、「10パーセント以下に下がる見通し」(大手メーカー)だといいます。

 2010年7月18日(日)

 

■湿度に敏感、1位は京都府 「梅雨のジメジメ感」調査

 日本で一番梅雨をジメジメ感じているのは京都府民で、感じていないのは青森県民ーー。梅雨末期を迎え、気象情報会社「ウェザーニューズ」(東京)が実施したアンケートで、こんな結果が出ました。

 調査は7月上旬、同社の携帯電話サイト利用者を対象にして行い、約9700人が回答しました。

 今の湿度の感じを「超ジメジメ」「ちょっと」「ジメジメしていない」の三つから選んでもらいました。湿度は地域差があるため、調査時の各地の湿度観測値から「もし梅雨期間の全国平均湿度(77・7パーセント)ならどう感じるか」になるようデータを補正しました。

 「超ジメジメ」の回答が最も多かったのが、京都府の71・0パーセント。次いで愛知県69・3パーセント、山梨県64・0パーセントの順。最少は青森県の22・5パーセントで、1位の京都の3分の1程度。

 除湿対策で「部屋に除湿剤を何個置くか」では、石川県が4・03個と最多、次いで福井3・89個、富山3・68個と北陸3県がトップ3。ただし北陸以外の本州日本海側は、いずれも全国平均の2・92個を下回り、ウェザーニューズは「北陸には、独特のジメジメ感があるのかも」と分析しています。

 2010年7月17日(土)

 

■こんにゃくゼリー窒息防止策検討 消費者庁が指標作りへ

 こんにゃくゼリーなど食品による窒息事故の防止策を検討している消費者庁は16日までに、製品の硬さや形などの安全基準となる指標を作るため、専門家や製造業者らで構成する研究会を立ち上げることを決めました。年内をめどに結論を出します。

 こんにゃくゼリーの法規制の在り方などを検討してきた同庁の「食品SOS対応プロジェクト」が16日、会合を開いて協議。その後の政務三役会議を経て発表する見通し。

 内閣府や消費者庁などによると、こんにゃくゼリーは普通のゼリーに比べ、硬く弾力性が強いためのどに詰まりやすく、食べた子供やお年寄りが窒息する事故が多発。1994年以降、少なくとも54件発生し、22人が死亡しました。

 また、消費者庁の分析によると、都市部を中心に2006~08年に救急搬送された約4000件の窒息事故のうち、こんにゃくゼリーが原因となった事故の85パーセントが命の危険がある「重症」以上で、餅やアメなど他の食品の「重症率」を大きく上回っています。

 消費者庁は、こんにゃくゼリーを巡る初めての指標作りには、医学や口腔衛生学、食品学などの専門家や製造業者らを交えた研究会が必要と判断。こんにゃくゼリーを含む窒息事故が起こりやすい食品の形や硬さを調査、研究します。指標を踏まえて、業界に自主改善を求める方針。

 2010年7月16日(金)

 

■6月の熱中症による搬送者2276人、4人死亡

 総務省消防庁は14日、熱中症により6月に全国で救急搬送された人は2276人で、うち4人が死亡したと発表しました。熱中症とは、熱疲労、熱射病、日射病、熱けいれんなどをいいます。

 消防庁はこれまで熱中症による搬送者の増える7~9月分を集計してきましたが、今年は6月も気温や湿度が高い日が多く、初めて集計に加えました。

 同庁によると、6月前半は寒気の影響で全国的に低温でしたが、後半は梅雨前線の北上とともに気温が上昇。26日以降、搬送者は毎日100人を超え、28日は299人に上りました。北海道では26日、上空のジェット気流の影響により帯広などで気温35度以上の「猛暑日」となり、33人が搬送されました。

 都道府県別では、最多が愛知の284人、次いで北海道142人、埼玉140人、大阪125人など。症状が重く死亡したケースは北海道、大阪、徳島、宮崎の4道府県で各1人でした。

 65歳以上の高齢者は、搬送者全体の43パーセント(972人)を占めました。

 2010年7月15日(木)

 

■臓器提供の意思表示、コンビニなどで新カード配布開始

 17日施行の改正臓器移植法に対応する新しい意思表示カードの配布が、コンビニエンスストアで始まりました。

 東京都千代田区のセブンイレブン千代田二番町店では13日、全国の店舗に先駆け入り口近くのパンフレットラックに緑色の新たなカードが置かれました。全国の店舗では16日から。

 施行後は本人の意思が不明でも、家族の承諾で脳死提供が可能になります。そこで新カードは、臓器提供を拒む意思を明確に記せるようにしました。日本臓器移植ネットワークは350万枚を用意し、コンビニや市町村の窓口、運転免許試験場など全国で約3万4000カ所に、17日ごろから来年3月末まで置いてもらいます。

 新カードでは、(1)脳死後および心停止後のいずれでも提供、(2)心停止後に限り提供、(3)臓器を提供しない――のいずれかに「◯」を付けます。(2)ならば改正臓器移植法に基づく脳死判定を受けず、心停止後の提供となります。(3)ならば「拒否」の意思表示となり、法改正で認められた家族の承諾による脳死判定や臓器提供は実施されません。

 また、新たに特記欄が設けられ、1月に先行して施行した親族優先提供に対応。15歳以上が「親族優先」などと記入すれば、移植を希望して登録している親族(父母、子、配偶者)が優先提供の対象となります。

 2010年7月14日(水)

 

■インフルワクチン供給、今季は5810万人分の見込み

 インフルエンザワクチンの需要などを議論する厚生労働省の検討会で12日、国内メーカーが製造する今季のワクチンは最大で計5810万人分(13歳以上の接種量で換算)の供給能力が見込めることが報告されました。

 厚労省は医療機関調査などから、この冬の需要を4460万~5340万人分と予想し、「十分な供給能力は確保されている」としました。予測する接種率は、乳幼児や小学生が60パーセント、13~64歳が25パーセント、65歳以上の高齢者が50パーセントだといいます。

 昨季は新型の豚インフルのワクチンと、従来の季節性のワクチンとを別々に打つ必要がありました。今季は季節性のワクチンに新型を組み込むため、1回の接種ですむといいます。厚労省は10月ごろの接種開始を見込んでいます。

 一方、昨年度準備して余った新型のワクチンは、今年11月時点で7300万回分、来年2月時点でも4200万回分が使用期限内。厚労省は接種開始時期より前に新型の流行が始まったり、流行規模が予想以上に大きくなる懸念があったりする場合に使えるとしていますが、新たに製造するワクチンで需要が満たされれば、出番のないまま廃棄される可能性があります。

 2010年7月13日(火)

 

■乳幼児の夏風邪「ヘルパンギーナ」、国の警戒レベルに

 神奈川県は8日、乳幼児を中心に夏風邪の一種「ヘルパンギーナ」(水疱性咽頭炎)が県内で流行し、国の警戒レベルに達したと発表しました。注意を呼び掛けています。

 県健康危機管理課によると、6月28日から1週間の県指定医療機関209カ所の平均患者数が6・55人となり、警報レベルの6人を超えました。県内で警戒レベルを超えるのは2007年以来。

 ヘルパンギーナは、ウイルスが原因の感染症で、のどの奥に水疱ができ、高熱、食欲不振、嘔吐などの症状を引き起こします。乳幼児を中心に初夏から秋にかけて流行しやすいのが特徴。38~40度の高熱は2~3日続き、水分が十分にとれないと脱水症になることもあります。

 健康危機管理課では、「うがいや手洗いをして予防してほしい」と呼び掛けています。治療には特効薬はなく、熱やのどの痛みの症状を抑える解熱鎮痛剤を使う治療が中心となります。

 2010年7月12日(月)

 

■趣味は認知症を防ぐ? 東北大などが10万人調査へ

 ゴルフや散歩、俳句、カラオケなどの趣味は、認知症の予防に役立つのか――。東北大や国立社会保障・人口問題研究所などの10大学・研究所が今月から、全国で10万人規模の高齢者を対象に趣味を調べ、健康状態の追跡を始めます。趣味と認知症の関係を探り、増え続ける認知症の予防への活用を目指します。

 日本福祉大が2000年から05年まで、愛知県内の高齢者2725人を追跡した結果、趣味のある人はない人に比べて、認知症になる確率が半分以下でした。今回の調査は、この傾向が全国的なものかどうかを調べることが狙い。趣味の内容による違いや男女差などの分析も試みます。

 調査は全国各地の約20市町村を選び、65歳以上で介護を必要としない人を対象に個人を特定できない形で実施。まずは3年間かけて、健康状態の変化を追います。ゴルフや散歩、読書、楽器演奏、カラオケ、俳句、園芸、旅行、パチンコなど24種類の選択肢のほか自由記入欄も設け、趣味を幅広く聞くのがポイント。

 厚生労働省の推計では、認知症は10年は208万人だが、団塊世代が75歳以上になる25年には323万人に増えるとされます。同省研究班による「35年に445万人」という推計もあります。

 調査研究の責任者の近藤克則日本福祉大教授は、「『趣味を持つことは健康に良い』といわれているが、日本ではそれを裏付ける調査が少ない。自治体がどのような介護予防事業を実施するかを考える材料にもなる」と意義を語っています。

 2010年7月11日(日)

 

■不妊研究で受精卵作製を容認 移植は禁止、国が指針案

 不妊症の診断、治療など生殖補助医療研究に使う目的で人の受精卵を作製する場合、作った受精卵を人や動物の子宮に移植することや、本格的に臓器や組織へ成長を始めて以降の使用を禁止するなどの倫理指針案を厚生労働省と文部科学省が9日、公表しました。8月7日まで一般からの意見を募集します。

 指針案では、精子や卵子を提供する医療機関には産科や婦人科などの医師がいること、提供を認める卵子は生殖補助医療での使用を目的に採取されたが不要になったものなどに限定すること、提供者からは文書で同意を得ることなどを定めました。

 研究機関では、研究に最低1人の医師が参加、倫理審査委員会で計画を承認し、国にも報告することを盛り込みました。

 国の総合科学技術会議は2004年、研究材料としての人の受精卵を作ることは原則禁止としつつ、生殖補助医療の研究目的は例外として容認していました。

 2010年7月10日(土)

 

■患者推計2500万人 変形性関節症に診断基準

 ひざなど関節の変形で慢性的な痛みに悩まされる「変形性関節症」に対して、厚生労働省研究班が統一した診断基準作りを始めました。

 これまで診断はバラバラでした。早く見付けて予防するには診断基準は欠かせず、病気が進行して寝たきりになる高齢者を少なくできると期待されています。

 中村耕三東京大教授を主任研究者とする研究班は、2005~07年に和歌山県や東京都内の約3000人を調べ、予備軍を含めひざだけで2500万人の変形性関節症の患者がいると推計しています。

 自覚症状があるのは2~4割にとどまっており、知らぬ間に病気が進行して、悪化しやすい特徴があります。東大病院でも、ひざのケガなど別の治療でエックス線を撮って初めて変形性関節症とわかることも多いといいます。日本で寝たきりの高齢者の約10パーセントが関節の障害によるものだとの報告もあります。

 東大の川口浩准教授によると、わかりやすい診断基準がないことが一因。骨粗鬆症は診断基準を作って病気や予防法が広く知られるようになりましたが、変形性関節症は医師ごとに、関節部分に骨のトゲがあるか、関節の透き間が狭くなっているかなど見た目で判断しているので、ばらつきが大きいといいます。

 変形性関節症でも、研究班として診断基準を作り、予防に役立てることにしました。研究班メンバーの岡敬之東大助教が、エックス線の写真から変形性関節症の危険度を3段階で判定できる画像解析ソフトを開発。解析ソフトでは、関節の透き間の面積、軟骨の一番薄い部分の状態、骨のトゲの大きさ、O脚かどうかなどを判定の材料としました。

 解析ソフトは広島県のソフト開発・販売会社「イノテック」が7月1日に発売。医療機関向けで、すでに研究班メンバーがいる慶応大や新潟大、和歌山医大など8施設に導入されています。論文データなどを参考に医師がそれぞれ基準値を設定しますが、このソフトを使って症例を積み重ね、並行して学会などで基準値を議論します。

 岡助教は、「近くに整形外科の専門医がいない高齢者でも、掛かり付け医で簡単で的確な診断を受けられることを目指したい」と話しています。

 変形性関節症は、ひざのほか、股関節、手足の関節、背骨の関節でも起こります。加齢や肥満、力仕事などで関節に負担がかかることが原因とみられます。軽症なら、筋肉を鍛える運動療法や消炎剤などで痛みを和らげることができます。症状が進むと、人工関節手術が必要になることもあり、2008年度に手術を受けたのはひざと股関節で推定10万人。

 2010年7月9日(金)

 

■上半期の自殺者1万5906人 前年同期比7・4パーセント減

 警察庁は6日、今年上半期(1~6月)に全国で自殺した人が1万5906人で、前年同期比7・4パーセント減(1280人減)だったと、速報値を発表しました。ただ、このペースだと今年も通年では3万人を超えかねない状況です。

 同庁によると、男性は前年同期比7・6パーセント減の1万1354人、女性は同7パーセント減の4552人。月別でみると、企業の決算期で雇用契約が切れる年度末の3月が最多の2932人(前年同月比5・5パーセント減)、他の月は2400人台から2700人台で推移しています。

 昨年9月から今年6月まで、前年同月比が10カ月連続減少しており、今年4月は約17パーセント、5月も10パーセントと大幅に減りました。しかし、6月は減少率が3・5パーセントにとどまりました。

 都道府県別で多いのは、東京都269人、大阪府171人、愛知県153人など。北海道で昨年同期より40人減の121人、神奈川県で30人減の135人となるなど、計23道府県で昨年同期を下回りました。

 自殺者は1998年から昨年まで、12年連続して年間3万人を超えています。

 2010年7月8日(木)

 

■新型インフルワクチンの製造期間、新体制で大幅短縮へ

 厚生労働省は6日、人工培養した動物の細胞を使う新たな方法で新型インフルエンザのワクチンを開発する体制を発表しました。これまでのメーカーに国内製薬最大手の武田薬品工業などが加わり、全国民分のワクチンを準備する期間を大幅に短縮します。

 厚労省によると、政府の補助金を受ける実験製造拠点は、武田、北里研究所、化学及血清療法研究所、UMNファーマの計4社。

 国内では従来、中小4社が鶏の有精卵を使った方法でワクチンを生産してきました。有精卵の安定供給が難しく、製造規模も限られていました。 

 4社の体制では、作り始めてから出荷までに1年半から2年かかりますが、新たな「細胞培養法」だと製造スピードを大幅に上げられます。感染性のあるインフルエンザウイルスを培養しないことから、ワクチンを安全に大量生産することも可能となります。

 また、鼻や口から取り込める新たなワクチンの開発には、テルモ、阪大微生物病研究会を選びました。政府は、全国民分を新型インフル発生から約半年で生産できる体制を5年以内に整えることを目指しています。

 2010年7月7日(水)

 

■看護師の4割、事故で深刻なダメージ

 川崎医療短期大(岡山県倉敷市)の林千加子講師(基礎看護学)らは、医療現場で事故や、事故につながりかねない「ヒヤリ・ハット事例」を経験した看護職員に対する支援の在り方を探るため、アンケートを実施。約4割が直後から仕事に集中できないなどの深刻なダメージを受けていた可能性がある結果となり、林講師は「早い段階から当事者を支える仕組みを作ることが不可欠」と訴えています。

 調査は2008年12月〜09年4月、岡山、広島県など中四国、近畿地方の計23病院の協力を得て、看護職員1051人を対象に実施。439人から有効回答を得ました(回答率41・8パーセント)。

 医療事故やヒヤリ・ハット事例を切っ掛けに仕事に集中できなかったり、休みがちになったりするなどの症状を自覚し、現在は回復している人が143人(32・6パーセント)。さらに、事故などが起きた当時から調査時点においても同様の症状がみられた人は34人(7・7パーセント)おり、中には25年間引きずっていると思われるケースもありました。

 2010年7月6日(火)

 

■ヒマラヤ級の登山者、健康診断の基準統一へ

 ヒマラヤやキリマンジャロなど標高3800メートル以上の山岳ツアーが人気を集めているため、日本登山医学会と旅行会社が、参加希望者の健康状態を事前にチェックする統一の診断基準作りに乗り出ました。中高年を中心に年間5000人が参加していますが、死亡例が相次いでいるためです。

 基準作りを始めたのは「登山者検診ネットワーク」。登山医学の専門家ら370人が参加する日本登山医学会と山岳ツアー専門旅行会社3社が加わっています。

 高山では、高山病や隠れた持病の悪化で、死亡する例が少なくありません。登山に詳しい医師や旅行会社は、登山に耐えられる健康状態かどうか事前にチェックするよう求めていますが、医師によって診断にばらつきがあるのが実情です。

 新しく作る基準では、富士山より高い海外の山を目指す人を対象に、生活習慣病や喫煙の有無、病歴など13項目を点数化し、医師の診断の目安にしてもらうことを想定しています。高血圧や糖尿病などの生活習慣病の状態が悪いと減点し、ふだんから運動している人は加点。それぞれ2~4段階で判定し、問題のある人には精密検査(低酸素室でのものを含む)を勧めることがありますし、合計の点数が一定水準以下の人にはツアー参加の中止を勧めることもあります。

 登山者検診ネットワークが全国16の病院・診療所でツアー参加希望者833人を試験的に判定した結果、心臓や肝臓などに持病がある60~81歳の6人には、危険として参加を中止してもらいました。中止が望ましいとされた人も4人いました。

 標高3800メートル以上の登山やトレッキングに、日本から推計で年間約5000人が参加していますが、中高年が過半数を占め、06年に開通した中国・青海チベット鉄道などの影響で増加傾向にあります。

 ヒマラヤ山脈を抱えたネパールの日本大使館の元医務官の報告によると、96~05年に日本人旅行者65人が死亡。死因が判明しているだけで高山病が5人、心臓や肝臓の病気が5人いました。

 登山者検診ネットワークに加わる旅行会社アルパインツアーサービスの黒川恵社長は、「ツアーのリーダーも、統一された基準の健康データを持っていれば、万一の時に適切に対処しやすい」と話しています。

 2010年7月5日(月)

 

■75歳以上の医療費 一人当たり年85万円

 2008年度の1年間で国民1人当たりにかかった医療費は、75歳以上の後期高齢者医療制度では85万5606円だったことが、厚生労働省が2日までにまとめた医療給付実態調査でわかりました。

 公的医療保険の各制度のうち後期医療が最も高く、最も低い大企業の健康保険組合での12万280円と7倍の差がありました。後期医療の加入者の平均年齢は81・8歳で、健保組合の33・8歳と大きく開きがあるため。

 ほかは、自営業者らの国民健康保険(国保)が26万6618円、公務員らの共済組合は14万7410円、中小企業の従業員らが加入する全国健康保険協会(協会けんぽ)で14万5081円でした。国保が高水準なのは、退職者が加入し平均年齢が高いことが主な理由。

 これまで厚労省は協会けんぽの前身である政府管掌健康保険と、国保については医療費の調査をまとめていましたが、医療保険制度全体を調べたのは今回が初めて。

 09年3月に1度でも医療機関にかかった人の割合は、後期医療で86パーセントに上ったのに対し、協会けんぽは46パーセント、健保組合は43パーセントでした。

 2010年7月4日(日)

 

■慶大が血液1滴からiPS細胞作製 世界最速25日間

 人間の1滴の血液から、体のさまざまな細胞になる能力があるiPS細胞(人工多能性幹細胞)を作製することに成功したと、福田恵一慶応大教授らが1日付の米科学誌セル・ステム・セル電子版に発表しました。

 皮膚細胞を採取しiPS細胞を作製する従来の方法は60~70日間程度かかっていましたが、今回の方法は採血から25日間と大幅に短縮し、「世界最速」としています。福田教授は、「女性や子供から皮膚を採取するのは難しかったが、この方法は検査で採取した血液を利用できる」と話しています。

 福田教授らは、血液中に豊富に含まれるリンパ球の一種、T細胞に注目し、0・1ミリリットルの血液からT細胞を取り出しました。このT細胞に、iPS細胞作製に必要な特定の4遺伝子を導入するため、「運び屋」にセンダイウイルスを使用。このウイルスは細胞に感染しても細胞質にとどまり核の中には入らないため、細胞のDNAを傷付けず、がん化する恐れが低い利点があります。

 福田教授らは、今回の方法によるiPS細胞から心筋細胞ができることを確認。作り方が簡単になったことによって、再生医療への応用や病気の研究が進むとみています。

 2010年7月3日(土)

 

■慶大が製薬会社14社の協力で、「既存薬ライブラリー」を構築

 慶応大学が製薬会社14社の協力で、薬の図書館に相当する「既存薬ライブラリー」を始め、医薬品として開発され、安全性が確認済みの薬を研究者に無料で配布しています。

 既存薬ライブラリーの目的は、研究者が別の薬効を持つ「新薬」を安上がりに見付けること。宝の山を眠らせずに新薬が開発できれば、製薬会社にとっても大きなメリットにつながります。新薬をゼロから開発するには、化合物の探索から安全性の確認までハードルが多数あります。しかし、製薬会社が安全性を確認した既存薬の化合物から新たな薬効を調べれば、安全性確認など膨大なコストを大幅に省くことができます。

 新薬開発では、当初の想定とは違う薬効が偶然見付かる例は少なくありません。男性の勃起障害の治療薬バイアグア(有効成分はクエン酸シルデナフィル)は元々、狭心症の治療薬として開発され、男性用発毛剤リアップ(有効成分はミノキシジル)は高血圧の治療薬として開発されていました。

 既存薬ライブラリーには、ツムラや協和発酵キリン、ヤクルトなど14社が協力し、すでに1274種類の既存薬が提供されました。市販中の薬や特許が間もなく切れる薬、市販されていない薬などが含まれています。

 ライブラリー代表の佐谷秀行慶大医学部教授による予備実験では、降圧剤と抗アレルギー薬として開発されていた化合物が、子宮内膜症など月経困難症の治療薬に使えそうなことがわかり、特許申請されました。年内に患者を対象とする臨床研究を始める計画。

 また、既存薬ライブラリーは今後、協力企業をさらに増やして産学連携を推進し、質の高いライブラリーの構築と、新しい抗がん剤の開発を目指すとしています。

 2010年7月2日(金)

 

■家畜への抗生物質投与を制限 米当局、耐性菌を懸念

 米食品医薬品局(FDA)は6月28日、えさや飲み水に混ぜて豚や鶏などの家畜へ常時与える抗生物質の量を減らすよう、畜産業界に求める指針案を発表しました。

 抗生物質を家畜に与えると、病気の治療や予防だけでなく成長促進の効果があり、米国では感染の有無とは無関係に広く使われています。しかし、薬剤耐性菌発生の温床となり、人間の感染症治療が難しくなる恐れがあります。

 抗生物質を使うことで、サルモネラ菌などの耐性菌がはびこる懸念は古くから指摘され、医療現場では使用を最小限に抑えることが常識になっています。

 FDAの指針案は、成長促進を目的とした常時投与を条件付きで廃止するよう勧告した世界保健機関(WHO)の報告書などを紹介。「医療上重要な抗生物質の家畜への投与は、家畜の健康上、必要と考えられる場合に限るべきだ」として対策の必要性を強調しました。60日間の意見募集後、指針をまとめます。

 FDAは1970年代から常時投与を規制しようとしてきましたが、畜産業界などが反対していました。日本では、食品安全委員会が2004年から、家畜に使われる抗生物質の危険度評価をしていますが、現在も常時投与は広く行われています。欧州連合(EU)は成長促進を目的とした常時投与を06年から全面禁止しています。

 2010年7月1日(木)

 

2017年1月〜 2016年7月〜12月 1月〜6月 2015年7月〜12月 1月〜6月 2014年7月〜12月 1〜6月 2013年6〜12月 5月 4月 3月 2月 1月 2012年12月 11 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2011年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月 2010年12月 11月 10月 9月 8月 7月 6月 5月 4月 3月 2月 1月

ホームへ戻ります   四百四病の事典へ寄り道します  ページのトップへ戻ります

ホームへ戻ります  健康実用辞典へ寄り道します  ページのトップへ戻ります


Copyright 2003〜 kenkosozojuku Japan, Inc. All rights reserved.