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健康ダイジェスト

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■エボラ出血熱感染者2万人を超える イギリスの医療従事者も発症

 世界保健機関(WHO)は29日、エボラ出血熱が流行する西アフリカのリベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国で、疑い例を含む感染者が27日時点で2万81人となり、うち死者が7842人に上ったとの集計を発表しました。

 感染者は19日の発表から約1000人増えており、感染拡大が依然として続いています。

 WHOは感染拡大のペースが以前より鈍化しているとの見方を示す一方、シエラレオネの感染者が9400人を超え、首都フリータウンで流行が続いていることを警戒。シエラレオネの政府は、公の場での新年祝賀イベント開催を禁止しています。

 国別の死者は、リベリア3413人、シエラレオネ2732人、ギニア1697人。3カ国以外では、米国やナイジェリアなどで計15人が死亡しています。

 また、イギリスのスコットランドでも29日、シエラレオネから帰国した医療従事者の女性がエボラ出血熱に感染していることが確認されました。発症初期の段階で、スコットランド行政府は「周囲の一般市民に感染が広がる危険性は極めて低い」としています。

 この女性は、シエラレオネのケリータウンにあるエボラ出血熱の治療センターで、エボラ出血熱の治療活動に取り組んでいました。

 モロッコのカサブランカとロンドンのヒースロー空港を経由して空路、スコットランドのグラスゴーに28日夜到着。体調不良で29日朝に病院にかかり、隔離されました。容体は安定しており、隔離装備を搭載した空軍機によってロンドンの隔離治療施設に転送されました。

 イギリスではすでに一人、シエラレオネでエボラ出血熱を発症した看護師の男性が搬送されて治療を受け回復していますが、イギリス人が帰国後にエボラ熱の感染が判明したケースは初めて。

 当局は、この女性が帰国の際に使用した航空便に搭乗していた乗客を追跡調査しています。

 2014年12月31日(水)

 

■強毒性の疑いのある鳥インフルエンザウイルス、ニワトリから確認 宮崎県と山口県の養鶏場

 宮崎市の養鶏場で鳥インフルエンザウイルスが検出されたことを受けて、宮崎県は養鶏場のニワトリおよそ4万2000羽を処分し、29日午後、敷地内に埋める作業を終えました。

 宮崎市高岡町の養鶏場でニワトリ30羽が死んでいるのが28日に確認され、宮崎県が詳しく検査したところ、数羽から「H5型」の強毒性の疑いのある鳥インフルエンザウイルスが検出されました。

 このため、宮崎県は国の指針に基づいて養鶏場で飼育されていたニワトリおよそ4万2000羽を処分し、29日午後、養鶏場の敷地内に埋める作業と消毒を終えました。

 また、周辺に感染が広がっていないかどうかを調べるため、この養鶏場の半径3キロ以内にある5つの養鶏場を対象に検査を行っていますが、これまでのところ、異常は確認されていないということです。

 宮崎県は、感染の拡大を防ぐため、この養鶏場から半径3キロ以内の5つの養鶏場と1つの食肉処理場を対象にニワトリや卵などの移動を禁止するとともに、半径3キロから10キロ以内の55の養鶏場を対象に域外への出荷を禁止したほか、おおむね10キロの範囲にある国道などの合わせて10カ所に消毒ポイントを設けて通行する車を消毒しています。

 宮崎県の鳥インフルエンザは、今月16日、県北部の延岡市の養鶏場で強毒性の「H5N8型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されたのに続いて、今回が、この冬2例目です。

 また、山口県長門市の養鶏場で、21羽のニワトリが死んでいるのが28日から29日にかけて見付かり、県が詳しい遺伝子検査を行った結果、強い毒性を持つ恐れがある「H5型」の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。

 これを受けて、山口県は職員を現地に派遣し、この養鶏場で飼育されているおよそ3万7000羽のニワトリすべての処分を始めました。

 山口県は30日夕方までにすべてのニワトリを処分した上で、鶏舎や周辺の消毒作業を終える予定でしたが遅れていて、ウイルスの検出が確認されてから24時間以内の30日夜遅くから31日未明までに処分を終えられるよう、職員を増やして対応しています。

 同時に、山口県はこの養鶏場から半径3キロ以内にある養鶏場9カ所に対して、ニワトリや卵の移動を禁止するとともに、半径3キロから10キロ以内にある養鶏場18カ所に対しても、域外への出荷などを禁止する措置を取りました。

 さらに、半径10キロ以内の13カ所に消毒ポイントを設置して、通行する車に対する消毒を行い感染の拡大を防ぐ対策を進めることにしています。

 2014年12月31日(水)

 

■エボラウイルス検出されず、西アフリカ滞在の男性 厚労省発表

 西アフリカのシエラレオネに滞在し、発熱の症状を訴えた東京都の30歳代の男性について、厚生労働省がエボラウイルスに感染しているかどうか詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されませんでした。

 厚労省によりますと、西アフリカのシエラレオネに滞在歴のある東京都世田谷区の30歳代の男性から、29日未明に38・2度の発熱があり、明け方にも37・2度の熱があると、保健所に連絡がありました。

 男性は今月21日まで8日間シエラレオネに滞在し、23日に成田空港に到着したということです。男性は現地でエボラ出血熱の患者と直接接触したことはないということですが、17日に遺体の埋葬に立ち会い遺体の入った袋に素手で触れたことがあると説明しているということです。

 男性は成田空港の検疫所でシエラレオネの滞在歴を申告したため、外出を自粛し毎日朝夕2回健康状態を保健所に報告するよう、検疫所などから求められており、帰国後は自宅から外出していないといいます。

 厚労省は男性の感染の有無を確認するため、29日午前に指定医療機関である東京都新宿区の国立国際医療研究センターに搬送するとともに、採取した血液を東京都武蔵村山市の国立感染症研究所村山庁舎に送って念のため詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されませんでした。

 センター搬送後の検温では、男性の熱は37・4度に下がっており、急性副鼻腔炎と診断されました。症状が回復次第、退院するといいます。

 エボラ出血熱を巡っては、国立感染症研究所村山庁舎で感染確認検査をしたのは今回が4人目で、いずれも陰性でした。

 2014年12月30日(火)

 

■海外旅行中の感染症に注意を 鳥インフルエンザやデング熱など

 年末年始の休みを利用して海外旅行に出掛ける人が増えることから、厚生労働省は鳥インフルエンザやデング熱などの感染症に注意するよう呼び掛けています。

 厚労省によりますと、海外ではこの冬、重い症状を引き起こすこともある感染症が各地で確認されています。

 このうち、毒性の強いH7N9型の鳥インフルエンザは、流行は落ち着いているものの、依然として中国では新たな感染の確認が相次いでいます。

 このため厚労省は、生きた鳥が売られている市場や養鶏場に近付かないことや、鳥の死骸やふんには絶対に触らないこと、手洗いやうがいを徹底するよう呼び掛けています。

 また、今年国内で感染が広がったデング熱は、中国やマレーシア、シンガポールなど東南アジアを中心に流行が続いています。毎年、海外でデング熱に感染して日本に入国する人が200人前後、確認されていることから、厚労省は国内にウイルスが持ち込まれると再び流行が起きる恐れがあるとしています。

 蚊を介して広がるデング熱やマラリアなどの感染症の予防には、長袖の上着と長ズボンを着用し、虫よけスプレーを使うことが有効だということです。

 このほか、重い肺炎などを引き起こすMERSコロナウイルスへの感染も、サウジアラビアなど中東を中心に感染が広がっています。

 感染症で最も目立つのは感染性腸炎で、病原性大腸菌やサルモネラ菌、ノロウイルスなどが原因となり、症状から旅行者下痢症とも呼ばれます。日本人で多い1週間の滞在だと10パーセント弱程度の割合でかかり、発展途上国はもちろん先進国でも油断はできません。

 旅行中は疲れから、胃の防御機能が低下しがち。飲食物が感染源となるため、ミネラルウオーターや煮沸した水を飲み、加熱された料理を選ぶことが大切だということです。

 厚労省は、「旅行に出掛ける前に検疫所のホームページなどで現地で流行している感染症について確認し、生きた鳥や動物にむやみに触れないほか、蚊に刺されるのを防ぐなど対策を取ってほしい」と話しています。

 2014年12月28日(日)

 

■来年の春の花粉飛散量、東日本と北日本で多い予測 今年の春の数倍も

 環境省は25日、来年の春のスギ・ヒノキ花粉の飛散予測を発表しました。総飛散量は今年の春と比べて、東北から東海、北陸でかなり多くなり、近畿と中国は同程度かやや多め、四国と九州で少なくなる見込みだといいます。

 東北、関東、甲信、北陸、東海は、一部を除き今春の180パーセント以上の飛散が見込まれ、県によっては数倍から10倍を超えます。近畿と中国では一部の県を除き今春の80~150パーセント、四国と九州のほとんどは50パーセント未満と予測されました。

 大気中の飛散量が全国で最も多いと予想される都道府県は茨城県で、水戸市では例年のおよそ2倍、今年の春のおよそ11倍の飛散が見込まれます。宇都宮市、仙台市、福井市、盛岡市などでも、およそ6倍の飛散が見込まれます。

 スギ花粉の飛散開始時期は、全国的にほぼ例年並みで、今年の春と比べて、関東と東海の太平洋側、それに四国と九州では遅く、そのほかの地方では今年の春並みかやや早くなると予測しています。

 具体的には、九州北部と東海の一部などが2月上旬ごろ、四国全域と九州、中国、東海、関東の大半、それに近畿と甲信の一部が2月中旬ごろ、近畿と北陸の大半、関東、甲信の一部、それに東北の南部などが2月下旬ごろ、北陸の一部と東北の中部が3月上旬ごろ、東北の北部から北海道にかけては3月中旬以降などとなっています。

 環境省は、「東日本ではかなり量が多くなるので、今春症状が出なかった人も気を付けて」とし、「花粉の飛ぶ時期はマスクやメガネを着用したり、掃除をこまめに行う、洗濯物の屋内干しを行うなどの対策を心掛けてほしい」と呼び掛けています。

 スギ・ヒノキの花粉の数は、前年の夏の天候に大きな影響を受けるほか、花粉が少なかった次の年は雄花が多くなる傾向があります。今年の夏は東日本と北日本で、日照時間が多い、気温が高い、降水量が多いなどスギ・ヒノキの雄花が多く作られる条件だったほか、今年の春の飛散量も少なめでした。

 2014年12月27日(土)

 

■インフルエンザの患者数、140万人突破 全国で注意報レベルに

 今シーズンのこれまでのインフルエンザの患者数は140万人を突破し、直近の1週間(15~21日)当たりの患者数は全国で注意報レベルに達したことが26日、国立感染症研究所の調査でわかりました。

 直近の1週間に全国約5000カ所の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は計7万4752人で、これを基に推計した全国の患者数は72万人と前の週の2倍以上に上っています。今シーズンのこれまでの累計の患者数は、およそ141万人となりました。

 直近の1週間に全国の定点医療機関から報告された患者数の平均は15・17人に達し、今シーズン初めて、注意報レベルとなる10人を超えました。全国で注意報レベルを超えるのは、昨シーズンより1カ月早くなりました。

 都道府県別では、1医療機関当たりの患者数が最も多かったのは埼玉県で、大きな流行が起きている恐れを示す警報レベルの30人を超えて35・38人となり、県は警報を発令しました。

 ほかに患者数が多かったのは、北海道25・95人、岩手県24・73人、奈良県23・85人、神奈川県22・48人、東京都20・60人、千葉県20・36人で、北日本や関東を中心に急速に増えています。

 関西でも、前の週に注意報レベルになった奈良県に続き、京都府19・76人、大阪府17・76人で10人を超えました。九州では、福岡県が13・15人、大分県が10・31人でした。愛知県は9・17人、三重県は10・65人でした。

 また、警報レベルを超える患者数の地域が、14の都道府県で出ています。推計患者数を年齢別でみると、5~14歳の患者が全体の半分を占めます。

 今年9月以降に検出されたウイルスは、ワクチンが効きにくく高齢者で重症化しやすいとされるA香港型が全体のおよそ96パーセントを占めています。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「年末年始は帰省や旅行で人の動きが激しくなるため、今後一気に全国で流行が拡大する可能性がある。今の流行の中心は小中学生だが、お正月は祖父母などに会う機会も多く、重症化しやすい高齢者の世代に感染が広がる切っ掛けにもなり得る。手洗いの徹底や体調が悪い時は外出を控えるなど対策に努めてほしい」と話しています。

 2014年12月27日(土)

 

■精子や卵子になる生殖細胞、人間の万能細胞から作製 英ケンブリッジ大など

 人間の万能細胞から精子や卵子のもとになる始原生殖細胞を安定的につくることに成功したと、イギリスのケンブリッジ大とイスラエルのワイツマン科学研究所の研究チームが24日付のアメリカの科学誌セル電子版に発表しました。

 マウスでは京都大の斎藤通紀教授(細胞生物学)らが成功していますが、人間で効率よく成功したのは初めてと、英ケンブリッジ大などは発表しています。

 胚(成長した受精卵)から作ったES細胞(胚性幹細胞)と、体細胞に遺伝子群を導入して作ったiPS細胞(人工多能性幹細胞)を万能細胞として使い、それぞれ始原生殖細胞に変化させました。これまでも作製に成功したとの報告例はありましたが、今回の研究では、マウスの場合と違って、始原生殖細胞に変わる際に「SOX17」という遺伝子が重要な役割を果たすことを突き止め、安定的につくれるようになったといいます。

 この始原生殖細胞を精子や卵子に変えるには技術的な課題がありますが、将来実現すれば精子や卵子の形成過程の解明に役立ち、新たな不妊治療の手段になる可能性があります。

 斎藤教授らのマウス実験では、始原生殖細胞を精子ができない変異マウスの精巣に移植して精子に成長させたり、卵巣の体細胞と一緒に培養した後に卵巣に移植して卵子に変えたりし、出産させるところまで成功していますが、人間で同じ方法を取るのは難しい面があります。

 人間の万能細胞から精子や卵子ができた場合、安全性の確保や生命倫理上の問題があると考えられ、日本では政府の総合科学技術・イノベーション会議の生命倫理専門調査会が受精まで認めるか、研究者からヒアリングを重ねて検討しています。

 斎藤教授は、「今回は途中経過がわかるやり方で非常に初期の始原生殖細胞をつくっている。マウスと人間との違いを明らかにできたことは意義深い。今後はこの細胞が実際に精子や卵子になるか調べる研究が進むだろう」と話しています。

 2014年12月25日(木)

 

■アメリカで、同性愛男性も献血可能に 30年ぶりの新指針を来年公表

 アメリカの食品医薬品局(FDA)は23日、1983年以来約30年間禁止している同性愛の男性による献血を認める方針を明らかにしました。来年、最後の性交渉から1年経過した場合に献血を認める新指針を公表し、これに対する国民の意見を聞いた上で最終的に判断する方針です。

 献血の禁止は、社会問題となったエイズ(後天性免疫不全症候群)感染への不安が切っ掛け。現在は、同性愛の男性は生涯献血できないものの、医療と法律の専門家らの間では、現行の規則は時代遅れであり、エイズウイルス(HIV)に関する高度な検査を行えるようになった現在では、同性愛の男性による献血の安全性は大幅に向上しているとの意見が増えていました。

 FDAは、献血に関する今回の決定について、ここ数年間に示された科学的証拠を見直した結果に基づくものと説明しています。マーガレット・ハンバーグ局長が出した声明は、「FDAは同性愛の男性に生涯献血を禁じてきた規則の変更を提言する方針であり、そのために必要な措置を講じていく」と述べました。

 アメリカのメディアによると、輸血用血液の供給量が4パーセント程度増える期待があります。

 日本の献血事業を手掛ける日本赤十字社は、同性との性交渉から6カ月を経過した男性からの献血を認めています。

 ただ、自己申告に頼らざるを得ないためエイズウイルス(HIV)感染者の血液が検査をすり抜けて輸血される例も起きており、厚生労働省が安全体制を強化しています。

 2014年12月24日(水)

 

■エボラ出血熱の死者、7500人を超す WHO発表、シエラレオネで感染増加続く

 世界保健機関(WHO)は22日、エボラ出血熱の流行による死者が7500人を超え、感染者は2万人に近づいていると発表しました。

 エボラ出血熱の流行が深刻な西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国では、20日までの感染者数が1万9340人に上り、うち7518人が死亡しています。

 そのほかの国での死者数は、マリで6人、米国で1人、10月に終息宣言が出されたナイジェリアで8人で、いずれも前回発表時と変わっていません。

 エボラ出血熱の拡大は一時、感染は制圧されたと考えられ、ピークはすぎた思われていましたが、報告されていない感染者とみられる多数の遺体が発見され、今月上旬にリベリアに替わって感染者数が最多となったシエラレオネでは、20日までの4日間で、感染者数が180人増えて8939人、死者数が79人増えて2556人となりました。

 また、14日の時点で確認されている医療関係者の感染者数は、649人に上り、そのうち365人がこれまでに死亡しています。

 2014年12月24日(水)

 

■トイレ用洗剤、子どもの誤飲事故多発 日本中毒情報センターが注意喚起

 トイレに貼り付けて使用するゼリー状の洗剤や芳香剤を子どもが飲み込む事故が多発し、昨年1年間に少なくとも200件余り起きていることがわかりました。こうした製品の誤飲事故としては異例の多さで、日本中毒情報センターは、小さな子どもがいる家庭ではトイレのドアを閉めておくなどの対策をとってほしいと呼び掛けています。

 子どもが誤って飲み込む事故が多発しているのは、トイレの便器の内側に貼り付けるゼリー状の洗剤や芳香剤で、3年前から家庭用品メーカーの「ジョンソン」が「スクラビングバブルトイレスタンプクリーナー」などという名前で販売しています。これらは、きれいな色やよい香りをしているため、子どもの興味を引きます。

 日本中毒情報センターには、親が目を離したすきに子どもがトイレに入り、手でとって飲み込んだという事故の相談が、昨年1年間だけで214件寄せられ、こうした状況が今年に入ってからも続いているということです。

 また、製薬会社の「小林製薬」も今年9月から、「ブルーレットデコラル」というトイレに貼るタイプの芳香剤を販売しています。この製品についても誤って飲み込んだという報告が寄せられています。

 このため、日本中毒情報センターは、小さな子どもがいる家庭でこうした製品を使う際はトイレのドアや便器のふたを閉めておくことや、もし誤って飲み込んだ場合はすぐに牛乳や水を飲ませるよう呼び掛けています。

 製品を販売しているジョンソンは、「小さな子どものいる家庭では子どもが1人でトイレに立ち入らないよう、保護者が注意して使用してほしい」と話しています。

 また、小林製薬は「商品のパッケージには誤飲への注意表示をするなど安全性には十分配慮した製品づくりを行っている。現時点で会社には利用者からの誤飲の報告は寄せられていないが、申し出があった場合には真摯(しんし)に対応したい」と話しています。

 一昨年、当時1歳だった娘がゼリー状の洗剤を誤飲した、近畿地方に住む30歳代の母親は、「トイレのドアや便器のふたはふだんから閉めていたが、その日は私が目を離したすきに兄についてトイレに入り、気が付いたら洗剤を手ですくってなめていた。丸くてキラキラした様子に、娘は大変興味を持ったようで、この洗剤を使い始めて1週間もたたない時期の事故だった。便器につかまり立ちをすると、ちょうど手が届く位置に貼る製品なので、手にとって飲んだのだと思う。それ以降は反省し、必ずトイレに鍵をかけるようになった」と話しています。

 2014年12月24日(水)

 

■2014年の世界の平均気温、過去最高になる見通し 地球温暖化が影響

 気象庁は22日、今年の世界の平均気温が平年を0・27度上回り、1891年の統計開始から最も高くなる見通しとする速報値を発表しました。11月までのデータから分析しました。

 気象庁によりますと、世界各地のおよそ1万地点の地上と海面の観測データを分析した結果、今年1月から11月までの世界の平均気温は平年より0・27度高くなり、これまで最も高かった1998年の0・22度を上回り、1891年に統計を取り始めてから最も高くなる見通しとなりました。

 このうち、アメリカ南西部からメキシコ北西部にかけては、アメリカのサンフランシスコで今年1月から11月までの平均気温が平年より2・1度高くなるなど、各地で1月以降、異常な高温が続き、干ばつによる農作物への被害や森林火災などが相次ぎました。

 ヨーロッパ南部でも、2月と4月、それに10月と11月が異常な高温となり、イタリア北東部のトリエステでは今年2月の月の平均気温が平年を4・1度上回りました。

 日本も今年1月から11月までの平均気温が平年より0・28度高く、1898年の統計開始以降11番目の高さでした。また、集中豪雨や大雨などによる被害も各地で相次ぎ、7月末から8月にかけて各地で局地的な豪雨や台風による大雨が相次ぎ、広島市の土砂災害では74人が犠牲になりました。

 インドでは7月から9月にかけて大雨による洪水や地滑りが発生して1000人以上が死亡したほか、パキスタンでは9月に大雨による洪水などで360人以上が死亡しました。

 気象庁気候情報課の石原幸司調査官は、「気温上昇の背景には地球温暖化の進行がある。今後も温暖化が進むと予想されていることから、局地的な大雨など極端な気象現象が増える可能性がある」と指摘しています。

 世界各国の科学者などで作る国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は、今年まとめた報告書の中で、地球温暖化は「人間の活動によって引き起こされた可能性が極めて高い」として、温暖化が人為的に引き起こされていることを、踏み込んだ表現で強調しました。

 また、今後、気温が19世紀後半の産業革命前と比べて2度上昇すると、サンゴ礁など生態系への影響が大きくなり、熱波や集中豪雨などの異常気象のリスクが高まると予測しました。

 一方、気象庁気象研究所などの研究グループは、今世紀後半に世界の平均気温が現在よりも2・2度上昇した場合の気候への影響を予測しました。

 その結果、世界の水蒸気量はおよそ13パーセント、降水量はおよそ6パーセントそれぞれ増加し、このうち日本付近では、気温が平均で2・3度上がって水蒸気量はおよそ16パーセント増加し、一度に降る雨が多くなることが予想されています。

 台風の発生数や規模については、名古屋大学などの研究グループが2070年代から80年代に平均気温が2度上昇した場合の影響を予測したところ、台風の数は少なくなるものの、伊勢湾台風のような風速70メートルを超える猛烈な台風が毎年のように発生する恐れがあるとしています。

 IPCCは、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比べて2度以内に抑えるためには、温室効果ガスの排出量を2050年の時点で2010年と比べて4割から7割削減し、今世紀末にはほぼゼロにするか、大気中から温室効果ガスを回収してマイナスにする必要があると指摘しています。

 2014年12月23日(火)

 

■エボラ出血熱の死者、7000人を超す WHO発表、感染増加続く

 世界保健機関(WHO)は20日までに、西アフリカで大流行中のエボラ出血熱の疑い例も含む死者数が7388人に達したと発表しました。感染者は、1万9065人に上っているといいます。

 感染者、死者ともに依然として増加が続いています。ただWHOは、エボラ熱の感染拡大のペースは以前に比べて鈍化しているとの見方を示しています。

 国別では、シエラレオネが感染者8759人で死者2477人。リベリアが感染者7819人で死者3346人。ギニアが感染者2453人で死者1550人。マリは感染者8人で死者6人。米国は感染者4人で死者1人。

 すでに終息が宣言された国々では、ナイジェリアが感染者20人と死者8人、スペインおよびセネガルがそれぞれ感染者1人。

 こうした中、国連のパン・ギムン(潘基文)事務総長はエボラ出血熱の状況を現地で確認するために、18日から西アフリカの各国を訪れており、シエラレオネで患者の治療センターを視察した後、「我々は感染を終息させるまで立ち止まることは許されない」と強調し、国際社会に改めて支援を呼び掛けました。

 2014年12月22日(月)

 

■電気給湯器「エコキュート」の音で健康被害 消費者庁が防止策を提言

 消費者庁の安全調査委員会、いわゆる消費者事故調は「エコキュート」と呼ばれる電気給湯器の音で、不眠や頭痛の症状が出たとするケースについて報告書をまとめ、公表しました。

 因果関係は断定しなかったものの、人の耳では聞き取りにくい低周波の音が原因となった可能性があるとして、経済産業省などに再発防止策を提言しました。

 暮らしにかかわる事故の原因究明などを行う消費者事故調は、19日、家庭用の電気給湯器「エコキュート」から出る音によって、不眠や頭痛の症状が出たとする群馬県高崎市の男性のケースについて報告書をまとめました。

 それによりますと、50歳代の男性のこうした症状は、新築の隣家にエコキュートが設置された期間に出ていることなどから、機械から出た低周波の音による健康被害の可能性があると指摘しています。

 このため、消費者事故調は、同様のケースを防ぐため、経済産業省に対し、給湯器の適切な設置場所を記したガイドブックを順守するよう業界団体を指導することや、低周波の音が出にくい製品開発を行うようメーカーに促すことなど、再発防止策を提言しました。

 また、環境省に対しても、低周波の音が人の体に与える影響について研究を進めることなどを提言しました。

 消費者事故調の畑村洋太郎委員長は、「給湯器によって日常生活に支障を来していると思われるケースもある。今後も普及が見込まれることからリスクを下げる努力をお願いしたい」と話しています。

 エコキュートは、空気中の熱を集めて使う「ヒートポンプ」という技術で湯を沸かす電気給湯器の愛称。安い夜間電力を主に使い、内部の冷媒の二酸化炭素を圧縮する時などに数時間程度、低周波音を出します。省エネ性に優れ、エネルギー効率が高いことから、経済産業省が2010年まで8年間にわたって補助金を出して導入を後押しし、これまでに少なくとも9社で450万台が普及しています。

 消費者庁によりますと、設置した家の近くに住む人などから、「機械の音で不眠や頭痛などの健康被害が出た」などという訴えが相次いでいて、今年2月末までの4年半ほどの間に110件余りが報告されています。

 こうした声を受けて、メーカーなどの業界団体「日本冷凍空調工業会」は3年前、エコキュートの設置を行う事業者に向けたガイドブックを作成し、隣の家の寝室のそばには設置しないことや、壁や塀で音が反響しないよう周囲にはスペースを設けることなどを呼び掛けています。

 しかし、消費者庁が「エコキュート」の設置を行ったことがある全国700社余りの電器店や工務店などを対象に調査したところ、このガイドブックについて「知っている」と答えた事業者は、全体の3割以下にとどまっていたということです。

 2014年12月21日(日)

 

■世界の平均寿命が71・5歳に延びる サハラ以南のアフリカ地域は5年短縮

 世界の平均寿命は2013年に71・5歳となり、1990年の65・3歳から延びたことが、18日に発表された研究で明らかになりました。世界の平均寿命は1990年から2013年の間に、男性では5・8年、女性では6・6年延びました。

 英医学専門誌ランセットに発表された、米国ワシントン大学保健指標評価研究所と東京大学などによる共同プロジェクトである「世界疾病負担研究2013」によると、平均寿命が延びた原因は、世界の高所得地域では、がんと心疾患による死亡率の低下で、前者は15パーセント減少し、後者は22パーセント減少しました。

 世界の低所得地域では、下痢、下気道感染、新生児期の障害を原因とする死亡率の急激な低下が、平均寿命を押し上げました。

 ただし、サハラ以南のアフリカ地域は、寿命の延び傾向の恩恵には浴しておらず、AIDS(エイズ、後天性免疫不全症候群)/HIV(ヒト免疫不全ウイルス)による死亡のために、平均寿命が5年短縮する結果となりました。

 平均寿命は延びたとはいえ、研究結果によると、一部の慢性疾患による死亡率が高まっており、C型肝炎によって引き起こされる肝臓がん(1990年から125パーセント増)、薬物使用障害(63パーセント増)、慢性腎疾患(37パーセント増)、糖尿病(9パーセント増)、膵臓がん(7パーセント増)などが含まれています。

 研究は、インドで自殺の増加が公衆衛生問題となっており、世界の自殺による死亡の半分がインドあるいは中国で起きていることに注目しています。

 研究によると、5歳未満の死亡は、1990年の760万人から2013年には370万人に激減しましたが、下気道感染、マラリア、下痢性疾患が、今なお世界の子どもの死亡原因のトップ5に入っており、そのため毎年ほぼ200万人の子どもが死亡しています。

 2014年12月19日(金)

 

■介護報酬、9年ぶり引き下げへ 来年4月、3パーセント軸

 政府は16日、介護事業者に支払われる介護報酬について、2015年度の改定で引き下げる方針を固めました。減額改定は0・5パーセン減だった2006年度以来9年ぶり。全体の引き下げ幅は3・0パーセント前後となる見通し。

 来年1月の2015年度予算編成で決定し、4月から実施します。

 介護報酬は介護保険サービスの公定価格で、原則3年に1度改定されます。利用者の自己負担は1割で、9割分は保険料と税で賄われます。総額は年間約10兆円。1パーセント下げると支出は1000億円減(税520億円減、保険料410億円減、利用者負担70億円減)となります。国民の負担軽減になる半面、事業者の収入は減り、サービスの質が低下したり、介護スタッフを集めにくくなったりする心配もあります。

 引き下げは、財務省が厚生労働省に要請しました。両省は、人手不足が深刻な介護職員の給与を月額で平均1万円程度増やすのに必要な介護報酬(約1300億円、約1・3パーセント増分)を別途確保することでは、合意しています。認知症対策や、在宅介護の推進費もカットしない意向です。

 ただし、財務省は消費増税の先送りで財源が限られる中、特別養護老人ホームや通所介護(デイサービス)事業者の報酬は大幅に削減する考え。ともに収益率が高いためで、財務省は全体で3パーセント台前半の削減を求めています。

 厚労省も介護報酬増は保険料アップに直結するため、マイナス改定は認めるものの、財務省の提案に対しては「人件費を除くと実質5パーセント近い減額で、経営難に陥る事業者が出る」と反発。2パーセント台後半での決着を模索しています。

 引き下げ幅は、最終的には政府・与党で調整し、1月中旬に決まる見通しです。

 2014年12月19日(金)

 

■高病原性の鳥インフルエンザウイルス、養鶏場のニワトリから確認 宮崎県延岡市

 農林水産省と宮崎県は16日、簡易検査で鳥インフルエンザの陽性反応が出た同県延岡市北川町の養鶏場のニワトリについて、遺伝子検査の結果、高病原性鳥インフルエンザウイルス「H5亜型」を確認した、と発表しました。

 宮崎県は同日、家畜伝染病予防法に基づき、養鶏場で飼育されている約4000羽を殺処分し、埋める作業を進めています。農水省や県によると、国内の養鶏場での高病原性鳥インフルエンザの発生は今年4月以来で、今季は初めて。

 発表によると、北川町の養鶏場では、14日に10羽、15日に19羽が死に、同日午前11時30分ごろ、養鶏場関係者が延岡家畜保健衛生所に連絡しました。養鶏場から持ち込まれたニワトリを簡易検査したところ、死んだ3羽から陽性反応が出たため、遺伝子検査を実施。その結果、3羽から強い毒性を持つH5亜型ウイルスの遺伝子が確認されました。

 ウイルス検査の専門設備を備える動物衛生研究所(茨城県つくば市)に検体を送り、さらに詳細なウイルスの型の特定を進めます。養鶏場のそばに川が流れており、県は、渡り鳥など水鳥から感染した可能性もあるとみています。

 高病原性ウイルスの確認を受け、県は家畜伝染病予防法に基づき、養鶏場から半径3キロ圏内をニワトリや卵の移動を禁じる移動制限区域に、同3~10キロ圏内を域外への出荷を禁じる搬出制限区域に設定しました。搬出制限区域には、大分県佐伯市の一部も入ります。

 発生養鶏場とは別に、移動制限区域内に養鶏場が1カ所(飼育数8280羽)、搬出制限区域内に養鶏場が2カ所(飼育数計1万1300羽)あり、異常がないか確認を進めています。

 宮崎県は16日、緊急の対策本部会議を開催。本部長の河野俊嗣知事は、「国や関係機関と協議しながら、感染の拡大を防いでほしい」と指示しました。

 10キロ圏内の国道など8カ所に消毒ポイントを設け、通行車両に対する消毒を行い、感染拡大の防止対策を進めています。

 有村消費者担当大臣は16日の閣議後の記者会見で、「市場に出回っているニワトリの肉や卵を食べることによって、鳥インフルエンザウイルスが人に感染することはない。国民に安心してもらえるよう正確で迅速な情報提供に努めていきたい」と話し、消費者に冷静な対応を呼び掛けました。

 宮崎県では、2007年に清武町(現宮崎市)などの養鶏場で高病原性鳥インフルエンザが発生し約20万羽を殺処分。2011年には宮崎市など13農場で発生が確認され、約102万羽が殺処分されました。

 農林水産省によると今年2月現在、宮崎県内のブロイラーの飼育戸数は483戸、飼育羽数は2818万羽。いずれも全国シェア約20パーセントで1位を占めています。2012年の産出額は676億円。全国シェアは8・8パーセントで2位を占めています。

 2014年12月17日(水)

 

■がんの種類ごとに実績ある病院を紹介 新しい検索システムが本格稼働

 がんの種類ごとに、全国の主要な病院が何人の患者を診療したかを詳しく調べられる新しい検索システムを国立がん研究センターが開発し、12月9日から本格稼働させました。

 患者は、都道府県の拠点病院にある「がん相談支援センター」などで相談すれば、希望するエリアで自分と同じがんの診療実績がある病院を紹介してもらうなどのサービスが受けられます。

 新しい検索システムでは、全国407のがん診療連携拠点病院で登録された2009年から2012年の約220万人分の患者情報を活用。皮膚がんや骨肉腫など患者数の少ないがんについて、3年間で患者登録が5例以上ある病院と症例数を検索できるようにしました。また、患者数の多いがんでも、例えば肺がんなら扁平上皮がんか腺がんかといった細かい分類ごとに検索できます。

 新しい検索システムに基づく病院探しの相談は、全国のがん相談支援センターのうち46カ所、国立がん研究センターの2病院などで受けられます。

 がん相談支援センターなどでは、これまでも地域の病院などの情報を提供してきましたが、国立がん研究センターの東尚弘がん政策科学研究部長は「特に遠い地域における希少ながんについての情報が入手しにくく、紹介が難しかった。今後は実家に帰って受診できる病院を知りたいといった相談にも答えやすくなる」と話しています。

 <運用を開始したがん相談支援センターがある拠点病院など>

 がん情報サービスサポートセンター 北海道がんセンター 青森県立中央病院 岩手医科大学附属病院 宮城県立がんセンター 東北大学病院 秋田大学医学部附属病院 山形県立中央病院 福島県立医科大学附属病院 茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター 栃木県立がんセンター 群馬大学医学部附属病院 埼玉県立がんセンター 千葉県がんセンター 東京都立駒込病院 がん研究会有明病院 神奈川県立がんセンター 新潟県立がんセンター新潟病院 富山県立中央病院 金沢大学附属病院 福井県立病院 山梨県立中央病院 信州大学医学部附属病院 岐阜大学医学部附属病院 静岡県立静岡がんセンター 愛知県がんセンター中央病院 滋賀県立成人病センター 京都府立医科大学附属病院 京都大学医学部附属病院 大阪府立成人病センター 兵庫県立がんセンター 奈良県立医科大学附属病院 和歌山県立医科大学附属病院 島根大学医学部附属病院 岡山大学病院 広島大学病院 山口大学医学部附属病院 徳島大学病院 香川大学医学部附属病院 四国がんセンター 高知大学医学部附属病院 九州がんセンター 九州大学病院 佐賀大学医学部附属病院 熊本大学医学部附属病院 大分大学医学部附属病院 宮崎大学医学部附属病院 鹿児島大学病院 国立がん研究センター中央病院 国立がん研究センター東病院

 2014年12月15日(月)

 

■生体腎移植で脊髄症発症、5人が歩行困難などに 厚労省が注意喚起

 厚生労働省は12日、家族らから生体腎移植を受けた患者5人が、両足がしびれ、歩行や排尿が困難になる難病「HTLV―1関連脊髄症(HAM)」を発症していたとの報告があったと発表しました。

 移植を通じて原因ウイルスに感染しました。通常より高い発症率で重症化も早いことから、厚労省と日本移植学会で研究班を立ち上げて、実態を調査します。

 HAMの研究者である聖マリアンナ医大の山野嘉久准教授が、2000~13年に生体腎移植で原因ウイルスのHTLV―1に感染し、脊髄症を発症した5人を確認し、厚生労働省に通報しました。

 感染者から腎提供を受けた場合の発症率は5パーセント以上と推定されており、通常の感染者の20倍以上に上ります。発症までの期間も通常の約50年に比べ、いずれも移植から5年以内に発症し、その後数年で歩けなくなるなど重症化も早くなりました。

 HTLV―1は白血病ウイルスの一種で、母乳などで感染します。日本人は男性で0・66パーセント、女性で1パーセント程度が感染していると推定され、感染者の約0・25パーセントが脊髄症を発症するとされます。

 日本移植学会によると、これまではウイルスに感染しても発症率が低く発症までの期間が長いと考えられていたため、感染者からの重い腎臓病患者への生体腎移植は禁止されていません。提供者のウイルス検査も義務付けておらず、検査を行うかは施設によって異なります。

 厚労省は12日、腎移植を受ける患者と提供者にHTLV―1の感染検査をするほか、移植手術を受ける際には重症例について説明して同意を得ることを医療機関に求めました。

 2014年12月15日(月)

 

■新しい受精卵診断、臨床研究を承認 日本産科婦人科学会

 日本産科婦人科学会は13日、東京都内で理事会を開き、体外受精した女性の習慣流産を防ぐ新しい受精卵診断の臨床研究を承認しました。

 受精卵の染色体の数に異常がないか検査する「着床前スクリーニング」をした上で子宮に戻し、妊娠成功率や流産率などが改善するかどうかを3年かけて調べます。重い遺伝病ではない人にも対象を広げ、2015年にも始めます。

 2月初めのシンポジウムで、専門家らに説明して広く意見を募り、早ければ2月末にも開く理事会で、具体的な手順が承認される見通し。

 体外受精後に細胞分裂を始めた受精卵から細胞を取り出し、「アレイCGH」という方法で染色体の本数の異常を調べます。体外受精や受精卵の診断は、学会が指定する施設に限ります。検査には高度な技術が必要で、慶応義塾大や東京女子医大、名古屋市立大などが候補になっています。

 臨床研究は、体外受精に3回以上失敗した女性や流産を2回以上繰り返す女性などを対象に、3年間で計600例の実施を予定。

 卵子に注射針で精子を注入する顕微授精で受精卵を作り、染色体の本数に異常のない受精卵を選んで子宮に戻した時、妊娠する確率が上がるかどうか、流産するリスクを下げられるかどうかを調べます。費用は数十万円程度とみられ、女性側が負担。

 日本では、出産の高齢化などの理由で流産を繰り返すケースが増えており、社会問題になっています。精子や卵子の染色体の本数の異常が、流産を繰り返す原因として疑われているといいます。

 日本産科婦人科学会はこれまで、デュシェンヌ型筋ジストロフィーなど重い遺伝病や、染色体の構造異常で流産を繰り返す人などに限り、染色体の一部の検査を認めていました。

 新たな臨床研究は流産の回避のため、重い遺伝病ではない人も対象とし、すべての染色体の本数の異常を一度に調べるため、染色体異常を見分けやすくなります。一方で、新手法はダウン症などを受精卵の段階で排除することにもつながりかねず、倫理的な問題をはらみます。

 理事会後の会見で、学会倫理委員会の苛原(いらはら)稔委員長は、「流産を防ぐ有用性がわかってから、実際に医療として導入するかどうかについては倫理的な検討を加える」と説明しました。

 2014年12月14日(日)

 

■女性の8人に1人がやせ、過去最高 男性の肥満、高止まり

 厚生労働省が国民の健康について行った実態調査で、「やせている」とされる女性の割合が、過去最高となったことがわかりました。

 厚労省は昨年11月、およそ3500世帯から回答を得た国民健康・栄養調査を実施。体重(キロ)を身長(メートル)の2乗で割った体格指数(BMI)が18・5未満で、「やせ」と判定された女性は女性全体の12・3パーセントと8人に1人に当たり、データがある1980年以降で割合が最も高くなりました。

 10年前から2・1ポイント増えていて、「やせている」女性は、緩やかな増加傾向にあるということです。

 「やせ」の女性を年代別にみると、20歳代が21・5パーセントで最も高く、50歳代の8・5パーセントまでは年を重ねると減りますが、60歳代は10・3パーセント、70歳代は11・9パーセントと再び上昇しました。男性の「やせ」は、全体で4・7パーセント。

 一方、男性は体格指数(BMI)が25以上の「肥満」の人が28・6パーセントで、ここ数年、30パーセント前後で高止まりした状態が続いています。女性は20・3パーセントで、減少傾向でした。

 また、習慣的に喫煙をしている人は全体の19・3パーセントで、過去最低となりました。男女とも減少傾向で、特に男性は10年前と比べて1割以上減少しています。20歳以上で喫煙をしていない人の30パーセント超は、直近1カ月間に飲食店、遊技場、職場、路上の各場所で1回以上受動喫煙を経験していました。

 厚労省は、「女性のやせ志向が20歳代だけでなく、30歳代、40歳代にも広がっている。若い女性がホルモンバランスを崩したり、高齢者が低栄養になったりして健康上問題が出る恐れもあり、しっかり食事をとり、適度な運動をするよう心掛けて」と呼び掛けています。

 男性については、働き盛りの世代で運動をする時間が少ないことなどが影響しているとみています。

 2014年12月11日(木)

 

■9月発売の抗がん剤、投与後に5人死亡 製薬会社「慎重投与」を呼び掛け

 今年9月に販売が始まった抗がん剤を投与された患者のうち5人がこの3カ月の間に死亡していたことがわかり、抗がん剤を販売する製薬会社は、薬の投与との因果関係が否定できないとして、医療機関に対して慎重に投与するよう注意を呼び掛けています。

 東京都新宿区に本社がある製薬会社サノフィによりますと、今年9月に、男性ホルモンであるアンドロゲンにより増殖する前立腺がんの抗がん剤「ジェブタナ」(一般名:カバジタキセル)の販売を始め、9月4日から12月3日までの3カ月間に、およそ200人の患者に点滴で投与されましたが、およそ20パーセントに当たる40人に「好中球」と呼ばれる白血球の一種が減少する症状が確認されたということです。

 このうち60歳代の3人、70歳代の2人の患者計5人は、感染症などが原因で死亡し、いずれも薬の投与との因果関係が否定できないということです。

 薬の添付文書には、「海外では好中球が減少して患者が死亡するケースが報告されている」として、感染症の症状がある患者には投与しないよう記載されています。

 今回の事態を受け、サノフィは改めて医療機関に対し、薬を慎重に投与するよう注意を呼び掛けています。

 サノフィは、「薬を投与した患者に対しては血液検査を頻繁に行って白血球の状態を確認し、発熱などの症状が出て何らかの感染症が疑われる場合には速やかに治療を行ってほしい」と話しています。

 2014年12月10日(水)

 

■RSウイルス感染症、過去10年で患者最多 重症化すると入院が必要に

 乳幼児に肺炎や気管支炎などを引き起こす恐れのあるRSウイルス感染症が、子どもたちの間で広がっています。患者の数はこの10年で最も多くなっていて、有効なワクチンがないことから、国立感染症研究所は手洗いやうがいなどの徹底を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、感染すると発熱やせきなど風邪に似た症状が現れる病気で、主に乳幼児で流行し、初めての感染では3人に1人が肺炎や気管支炎を起こすなど重症化すると入院が必要になることもあります。入院が必要になるのは、初めて感染した乳幼児の2パーセントから5パーセントで年間、およそ2万人に上ると推計されています。

 国立感染症研究所によりますと、先月24日から30日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で、新たにRSウイルス感染症と診断された患者は、調査を始めた2003年11月以来、過去最多の5495人に上りました。感染者が5000人を超えたのは2週連続で、全国的に急速に感染が広がりつつあります。

 都道府県別では、北海道が376人、埼玉県が341人、東京都が340人、大阪府が317人、愛知県が315人などとなっています。

 RSウイルス感染症の流行は、例年12月から1月にかけてピークを迎えることから、今後もしばらくは患者の多い状態が続く恐れがあります。

 国立感染症研究所の木村博一室長は、「生後6カ月未満の赤ちゃんが感染すると症状が急激に悪化して呼吸困難に陥る恐れがあり、赤ちゃんにとってはインフルエンザ以上に怖い感染症だ。家族から移さないように、しっかりと手洗いをしたり、せきなどの症状があるときはマスクをするなど対策を徹底してほしい」と呼び掛けています。

 千葉市立海浜病院の小児科の病棟には、RSウイルスに感染し、肺炎や気管支炎を起こした、生後18日から7歳までの子ども9人が、現在入院しています。

 院内で感染を広げないよう同じ病室に集めたり、個室にしたりして対応していますが、例年より患者数が多いため、新たな入院患者の受け入れを断らざるを得ないケースも出ています。

 このうち入院5日目という3歳の女の子は、気管支炎のため酸素をうまく取り込めなくなっていて、酸素吸入用のマスクを口に当て気管支を広げる薬の投与を受けていました。

 また、1歳4カ月の男の子は、せきがひどく点滴で栄養を補っている状態だということで、母親は「ゼーゼーという呼吸がとても苦しそうで、感染しないように気を付けていればよかった」と話していました。

 千葉市立海浜病院小児科の地引利昭統括部長は、「夏ごろから入院患者が増え、その勢いを保ったまま12月に突入していて、例年より多い印象だ。今年はインフルエンザの入院患者もいつもより早く出ているので、小児科病棟では感染対策をより慎重に行わなければならない状況になっている」と話しています。

 その上で、RSウイルスへの注意点として、「大人や4、5歳以上の子どもは軽い鼻風邪程度ですむが、3歳未満の乳幼児は重症になることがある。家族が移さないように手洗いやマスクといった対策を徹底してほしい。また感染した場合には、呼吸がゼーゼーしてきたり、元気がなくなって食事がとれなくなったりしてきたら要注意だ。こうした変化に早く気付き医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2014年12月9日(火)

 

■12年凍結の卵子で出産 がん発症し高2で採取、結婚後受精

 愛知県の女性(30歳)が、高校時代にがん治療で生殖機能を失う前に卵子を凍結保存し、12年後に解凍して夫の精子と体外受精した受精卵を子宮に戻すことで、今年8月に出産していたことがわかりました。 

 精子や受精卵に続き、近年、卵子(未受精卵)も凍結保存できるようになりましたが、国内で10年以上凍結保存した卵子で出産したケースは珍しいといいます。

 がん治療で不妊に悩む患者にとっては福音となる一方、晩婚化を背景に、将来の妊娠に備えて卵子凍結をする未婚女性も増えており、こうした傾向に拍車がかからないか懸念する声もあります。

 この女性の卵子凍結を担当したリプロサポートメディカルリサーチセンター(東京都新宿区)の桑山正成博士(生殖工学)によると、女性は2001年に血液のがん「悪性リンパ腫」を発症。この病気の治療には抗がん剤の投与と骨髄移植が必要で、抗がん剤の投与で卵子がつくられなくなる可能性があります。

 女性は本格的に治療を始める前に、不妊治療施設「加藤レディスクリニック」(同)で卵子2個を採取、液体窒素で凍らせ、零下196度で保管していました。女性は1カ月後に、骨髄移植でがんを克服しました。

 女性は2013年に結婚し、解凍した卵子と夫の精子を体外受精させ、受精卵1個を子宮に戻したところ妊娠。今年8月に名古屋市内の病院で、3295グラムの男児を出産しました。もう1つの卵子も受精が成功し、第2児の出産に備えて再び凍結した。

 女性と交流のあるNPO法人「全国骨髄バンク推進連絡協議会」の大谷貴子さんによると、この女性は「子どもが生まれてとても毎日が幸せです。血液疾患の患者さんすべてが希望を持ち、治療に励んでほしい」と話しているといいます。

 卵子凍結を巡っては、日本生殖医学会が2013年、健康な未婚女性の卵子凍結を容認し、ガイドラインで実施できる施設を決めました。

 2014年12月8日(月)

 

■救急病院の9割以上、認知症患者への対応困難 全国アンケート

 認知症の人が急なけがや病気で搬送され治療を受ける場合に、全国アンケートに応じた救急病院の94パーセントが対応は困難だと感じていることが、国立長寿医療研究センター(愛知県)などの調査でわかりました。

 患者を受け入れているものの、意思疎通が難しいことが主な理由で、診断に必要な病状の聞き取りや検査に支障が出ている可能性があります。

 認知症の人は記憶力や判断力が低下するため、細やかな配慮が必要ですが、介護の現場で「緊急やむを得ない場合」に限っている患者の身体拘束は、78パーセントの病院が実施していました。

 患者側へのアンケートでは、治療への不満や、入院中に認知症そのものが悪化したとの回答も目立ち、救急医療現場で対策が遅れている実態が浮かび上がりました。専門知識を持つ人材の育成などが急務です。

 2013年の10~11月に全国の救急病院3697カ所に調査票を郵送し、589カ所から有効回答を得ました。このうち患者の入院や手術に対応できる2次救急病院は、約60パーセントでした。

 ほとんどの病院は認知症の人の診察や入院を受け入れているとしましたが、「対応は困難だと感じることがある」が94パーセントを占めました。理由(複数回答)は、「転倒・転落の危険」(88パーセント)が最も多く、「意思疎通が困難」(85パーセント)、「身体検査・処置への協力が得られにくい」(82パーセント)が続きました。

 認知症の人は医師や看護師からの矢継ぎ早な質問や、検査の最中に次々と出される指示を理解できないことがあり、不安が強くなれば徘徊したり、体に取り付けられた点滴や医療機器を自分で外したりすることもあります。

 90パーセント以上の病院が「患者の不安や混乱を取り除くよう努めている」としましたが、認知症の対応マニュアルがあるのは16パーセントにとどまりました。患者の身体拘束のほかに、薬物による鎮静は70パーセントが実施していました。

 患者側へのアンケートは、「認知症の人と家族の会」(京都市)の協力で500人に実施。急病などで病院に行ったことがある人のうち6・9パーセントが、「診察や入院の拒否」を受けたと回答しました。

 自由記述では、「24時間家族が付き添うのが入院の条件といわれた」「2カ月の入院期間中に体を拘束され、自立歩行が困難になった」などの意見がありました。

 調査の主任研究者で長寿医療研究センターの武田章敬医師は、「高齢化に伴い、今後、認知症の人が救急患者として搬送されるケースも増加する。救急医療の現場で、認知症に対応できる医療スタッフを増やしたり、掛かり付け医と連携を強化したりするなど、総合的な対策が必要だ」と話しています。

 2014年12月7日(日)

 

■温室効果ガス排出量、2013度は過去最大に 火力発電の増加が影響

 環境省は4日、2013年度の国内の温室効果ガス排出量(速報値)が前年度比1・6パーセント増の13億9500万トン(二酸化炭素換算)と、統計を取り始めた1990年度以降で過去最大になったと発表しました。

 東京電力福島第1原発事故後、火力発電の利用が増えたことより、石炭など化石燃料の消費量が増えたことが最大の原因と説明しています。

 これまでの最大は2007年度の13億9400万トン。2008年のリーマン・ショック後の景気低迷で、2009年度には12億3400万トンまで大きく減ったものの、2010年度以降は増加傾向が続いています。

 政府は全国の原発の運転が停止している状況を踏まえて、温室効果ガスの排出量を2020年度までに、2005年度と比べて3・8パーセント減の約13億2470トンにするという目標を策定していますが、今回の排出量は2005年度に比べると1・3パーセントの増加となっています。

 環境省は、福島第1原発事故前の2010年度と同じ原発比率だったと仮定した場合の総排出量は、1億4700万トン減の12億4800万トンにとどまるとの試算も提示。しかし、事故前の規模の原発再稼働は現実的ではなく、同省の担当者は「徹底した省エネや再生可能エネルギーの最大限の導入が必要」と話しています。

 部門別では、排出が増えていた家庭部門が、省エネ機器の普及や節電意識の向上などによって前年度比0・4パーセント減、運輸部門はハイブリッド車の普及などで同1・8パーセント減となりました。排出量全体の約3割を占める産業部門は、業績が好転した鉄鋼業や化学工業の排出が増えて全体で同3パーセント増えました。

 日本は中国、米国、インド、ロシアに次ぐ世界5位の排出国。主な先進国の2012年の排出量は、米国が64億9000万トン、ロシアが23億トン、ドイツが9億4000万トン。

 2014年12月7日(日)

 

■インフルエンザ、全国で流行期入り 過去10年で2番目の早さ

 インフルエンザの患者が全国的に増えていて、国立感染症研究所は5日、インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表しました。昨年に比べ、3週間早い流行期入りとなっていて、専門家は早めのワクチン接種など対策の徹底を呼び掛けています。

 国立感染症研究所によりますと、11月24日から30日までの1週間に全国およそ5000の医療機関から報告されたインフルエンザの患者数は、前の週の2倍に当たる9396人で、徳島県を除く46の都道府県で増加しました。

 この結果、1医療機関当たりの患者数は1・90人と、流行開始の目安となる1・0人を超えたため、国立感染症研究所はインフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表しました。

 インフルエンザの流行期入りの発表は、昨年は12月27日でしたが、今年はこれよりも3週間早く、過去10年でも2番目の早さとなっています。

 都道府県別の患者数をみますと、岩手県が10・52人、福島県が6・41人、埼玉県が5・05人、神奈川県が4・04人、東京都が3・62人など、東日本を中心に患者数が多くなっています。

 保育所や幼稚園、小中高での学級閉鎖や休校は、全国305施設に上り、昨年同期の43施設を大きく上回っています。

 11月24日から30日に医療機関を受診した患者は、全国で推定約10万人。今年9月以降に検出されたウイルスは、高齢者で重症化しやすいとされるA香港型が全体の9割近くを占めています。

 インフルエンザで医療機関を受診する患者は、毎年、推計1000万人から1500万人。死亡者は、インフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する「超過死亡概念」という方法での計算で、高齢者を中心におよそ1万人に上るとされています。

 感染経路は、主に接触感染と飛まつ感染の2つ。接触感染は、感染した人がウイルスの付いた手で触れたドアノブなどを健康な別の人が触り、その手で口や鼻の回りを触ることでウイルスを体内に取り込むという経路です。飛まつ感染は、感染した人のせきやくしゃみにウイルスが含まれていて、その飛まつを健康な人が吸い込んで感染するという経路です。

 ウイルスに感染すると、1日から4日で、突然の発熱や頭痛、それにせきやけん怠感などの症状が出てきます。症状が出てから大人では3日から5日、子どもでは7日から10日の間はウイルスを排出していてほかの人に感染させる可能性があるとされています。

 国立感染症研究所の砂川富正室長は、「流行は今後さらに拡大し、来年1月から2月にかけてピークを迎えるとみられる。流行入りが早いと場合によっては、流行の規模が大きくなる恐れもあるので、早めのワクチン接種や手洗い、それに症状が出た場合のせきエチケットといった対策を徹底してほしい。特に、重症化しやすい高齢者や持病のある人、それに妊娠している女性や乳幼児がいる家庭では、対策を徹底してウイルスを持ち込まないよう気を付けてほしい」と呼び掛けています。

 2014年12月6日(土)

 

■冬の日光浴、札幌139分・那覇14分が奨励時間 国立環境研究所などが算出

 健康な生活のため、冬の一日に必要な日光浴の推奨時間を地点ごとに算出するシステムを、国立環境研究所と東京家政大の研究チームが開発しました。

 12月の晴天の正午では、札幌市139分、茨城県つくば市41分、那覇市14分となり、「冬季の北日本では特に積極的な日光浴が推奨される」といいます。

 太陽の光に含まれる紫外線には、骨の成長に欠かせないビタミンDを皮膚で生成させる効果があります。一方、過剰に浴びると染みなどの原因になるため、紫外線を避ける人もいます。研究チームはビタミンD不足解消につなげようと、健康面の効果と有害性を比較して推奨時間をはじき出しました。

 システムでは、まず地上に到達する紫外線の量を大気中のオゾン量などから地点と日時ごとに算出。冬は顔と両手の甲の皮膚を露出させると仮定し、成人が1日に必要なビタミンD(約15マイクログラム)のうち食物から摂取する分を除いた10マイクログラムをつくるのに必要な時間と、皮膚に悪影響が出始める時間をそれぞれ求めました。

 冬の晴天の正午の場合、悪影響が出始める時間は札幌市227分、つくば市98分、那覇市42分で、いずれもビタミンD生成に必要な時間の2~3倍でした。

 一方、7月の晴天の正午だと札幌市でも8分で必要時間になり、25分で悪影響が出始めるため、夏は十分な紫外線対策が必要。

 国立環境研究所は全国5地点について、日差しの強さに応じたほぼリアルタイムの推奨時間をサイト(http://db.cger.nies.go.jp/dataset/uv_vitaminD/ja/)で公開中。

 ビタミンDには、骨の生育に必須な血中のカルシウム代謝を正常化する作用のほかに、免疫作用を高めたり、さまざまな病気の予防効果があることがわかってきています。ビタミンDが不足すると、骨へのカルシウム沈着障害が発生し、幼児の頭蓋ろう、骨格の発達期におけるくる病、高齢者の骨軟化症、骨粗しょう症などの病気が引き起こされるほか、各種がんなどの疾病への罹患率が上昇する可能性が指摘されています。

 ビタミンDは、魚や一部のキノコなどの食物に比較的多く含まれているほか、太陽の紫外線を浴びることで皮膚の中で生成することもできます。

 2014年12月4日(木)

 

■世界初、母からの生体子宮移植を受けた女性が出産に成功 スウェーデンで2例

 スウェーデンのイエーテボリで、母親の子宮を生体移植された女性2人が男児1人ずつを出産したことがわかりました。

 子供が祖母の子宮から誕生した例は初めてといいます。12月3日付の英紙デーリー・メールが伝えました。

 同紙によると、出産したのは、生まれ付き子宮がない女性(29歳)と、がん治療のため自らの子宮を摘出した女性(34歳)。2人は、イエーテボリ大の医師らにより、出産目的で生体子宮移植を受けていました。

 同大はこの女性2人を含む計9人に子宮を移植し、これまで4人が妊娠したといいます。

 男児2人は約1カ月前に帝王切開で生まれ、自宅で順調に育っています。

 スウェーデンでは9月、7年前に閉経した61歳の知人女性から提供された子宮の移植を受けた女性(36歳)が、移植手術から約1年後に世界初の出産に成功。今回も含めると、子宮移植による出産の成功は計3例になります。

 手術を担当したスウェーデンのイエーテボリ大学のマッツ・ブレンストレム教授は、子宮移植による世界初の出産の成功に際して「今回の成功は、10年以上に及ぶ徹底的な動物を使った研究と外科訓練の結果であり、不妊症に苦しむ世界中の数多くの若い女性の治療に可能性を開くものだ」と述べ、「我々のチームは、閉経後のドナーからも生体子宮移植が実行可能であることを示した」と語りました。

 生体子宮移植による妊娠は、トルコで昨年成功しましたが、その後、流産しました。

 2014年12月4日(木)

 

■新しい受精卵診断を承認 日本産科婦人科学会

 体外受精をしても妊娠できなかったり流産を繰り返したりする女性を対象に、受精卵の染色体を特殊な検査法で調べ、異常がないものだけを子宮に戻す、新しい受精卵診断の臨床研究案を、日本産科婦人科学会の倫理委員会がまとめました。

 出産の確率を高められるか調べるのが目的ですが、ダウン症などの病気があるかどうかについても同時にわかることから議論を呼びそうです。

 新たな受精卵診断の臨床研究案は、日本産科婦人科学会の倫理委員会が11月25日承認したもので、対象となるのは、体外受精をしても3回以上着床しなかった女性と、流産を2回以上経験した女性です。

 体外受精の際、受精卵の染色体に異常がないかどうか「アレイCGH」と呼ばれる方法で調べ、異常がない受精卵を子宮に戻すことで流産のリスクを減らし、出産の確率を高められるかを調べます。

 ただし、この検査法では、23対あるヒトの染色体の異常が一度にすべてわかるため、流産を引き起こす染色体の異常だけでなく、ダウン症など出産の可能性がある染色体の病気や、男女の性別についても一緒に結果が出ます。

 倫理委員会では、これらの検査結果について、どこまで本人に伝えるかは、今後さらに議論するとしていますが、専門家は、より完璧な赤ちゃんを選ぶという傾向を助長するなど倫理的な問題も生じるのではないかと指摘しています。

 また、学会の指針でも、受精卵の診断は、重い遺伝病の子どもが生まれる可能性がある場合などに限るとしており、不妊治療を受ける女性一般を対象に、流産の予防を目的とした検査は認めていません。

 日本産科婦人科学会の苛原稔倫理委員会委員長は、「学会の指針を変えるわけではない。あくまでも出産を望む妊婦にとって効果のある方法か、医学的な検証のために行うものだ」と話しています。

 学会では今後、シンポジウムを開いて広く意見を聞くなどした後、理事会で実施の可否を協議し、承認されれば、来年にもこの臨床研究をスタートすることにしています。

 臨床研究案では、異常がない受精卵を選んで子宮に戻し、出産を目指す手法が流産回避に有効かどうかを検証。期間は3年間程度で、体外受精に3回以上失敗した女性や流産を2回以上繰り返す女性など数百人規模を対象に、従来の受精卵診断に一定の実績がある病院で実施します。

 日本ダウン症協会の玉井邦夫代表理事は、「受精卵の段階で障害がわかることで、生まれてからの子どもの姿を想像することもなく、出生前診断よりも安易に、その受精卵を選ばない判断をしてしまうのではないかと懸念している。学会の中だけではなく、もっと一般の国民に、この技術や倫理的な問題を理解してもらい、議論する必要があると思う」と話しています。

 2014年12月2日(火)

 

■カネボウ白斑被害、14人が提訴 愛知、岐阜両県

 カネボウ化粧品の美白化粧品で肌がまだらに白くなる白斑症状に苦しめられているとして愛知、岐阜県に住む30~70歳代の女性14人が1日、同社を相手に、製造物責任法に基づき総額1億9000万円の損害賠償を求めて名古屋地裁に提訴しました。

 治療費や慰謝料など1人当たり請求額は500万~2300万円で、東海3県の集団提訴は初めて。

 このほか千葉、京都地裁でも1日午後、計20人近い被害者が一斉提訴に踏み切りました。今春以降、集団訴訟を起こす動きが本格化しており、すでに係争中の静岡、広島、仙台地裁と合わせ、全国6地裁に拡大しました。

 名古屋地裁の原告は愛知県在住が12人、岐阜県2人。訴状によると、それぞれ2010~2013年、メラニンの生成を抑える美白成分「ロドデノール」が配合されたカネボウの化粧水や乳液を使用し、顔や首、手など化粧品を塗った部位に白斑を発症しました。

 有効な治療法が解明されないため回復の見込みが立たず、現在も人目を気にして外出できないなど、生活にも影響が出ているといいます。請求内容には休業損害や逸失利益が含まれています。

 弁護団は、「カネボウは、2011年10月には白斑症状の報告が寄せられていたのに、問題の化粧品の製造、販売を続けて被害を拡大させた。示談交渉を続けても、適正な賠償による解決は困難と判断した」と主張。今後も新たな原告を募り、2次提訴の準備を進めます。

 カネボウは先月28日、最大で1人1000万円程度の補償金を支払うと発表したばかり。補償金は「手足の露出面」や「顔に10円玉大以上」など、白斑の部位や大きさによって100万~300万円程度を想定し、特に症状が重い場合は「基準の2~3倍の支払いを検討する」としています。

 名古屋市内で記者会見した弁護団長の石川真司弁護士は、「被害額の認識でカネボウとの隔たりは大きい。集団訴訟を通じて適正な賠償基準を求めたい」と話しました。

 一方、カネボウ化粧品広報グループは、「訴状を確認していないのでコメントは差し控える」としています。

 カネボウの白斑問題では、今年10月末までに全国で1万9370人から被害の訴えがあり、約7500人と和解しました。これまでに約9200人が完治したといいます。

 2014年12月1日(月)

 

■ボール投げと握力は最低、持久力は向上 子どもの全国体力テスト

 文部科学省は29日、全国の小学5年と中学2年全員の214万人余りを対象にした今年度の「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」(全国体力テスト)の結果を公表しました。

 ボール投げと握力は2008年度の調査開始以降、小中学生とも過去最低か最低に並んだのに対し、持久走など持久力系の種目は上昇傾向で、二極化が進んでいます。幼少期に多様な運動経験があるほど体力が高いこともわかりました。文科省は、「運動の習慣が体力に影響しており、効果的な体力向上策を考えたい」と話しています。

 実技8種目の体力合計点(80点満点)は、小学男子53・9点、小学女子55・0点、中学男子41・6点、中学女子48・5点で、いずれも2008年度以降横ばい。

 種目別では、ボール投げは小学男子22・9メートル、小学女子13・9メートル、中学男子20・8メートル、中学女子12・8メートルで、すべて過去最低。小学男子は2008年度より2・5メートル短く、中学女子は0・7メートル縮まっています。放課後や休日にボール投げをする機会が多いほど、記録がよくなりました。

 握力は小学男子16・6キロ、小学女子16・1キロ、中学男子29・0キロ、中学女子23・7キロ。

 一方、上体起こし(腹筋運動)や、決められた時間内に20メートルを何回走りきれるかで持久力を測る20メートルシャトルラン(往復持久走)は、小学生男女で上昇傾向です。中でも、20メートルシャトルランでは、男子の平均が51・7回とこの5年で2・3回増え、女子は40・3回と1・6回増えました。

 調査結果を都道府県別にみますと、実技8種目の合計点が小中学生の男女ともに最も高かったのは福井県で、小学生は調査開始以降、毎回、全国1位となっています。中でも、持久力系の種目で高い結果が出ており、20メートルシャトルランは小学生男子の平均が65・14回、女子は53・93回と、いずれも全国平均より13回以上多くなっています。

 調査結果を分析した筑波大学の西嶋尚彦教授(体育科学)は、「持久力は運動習慣の成果が出やすく、学校での取り組みが広がり運動量が増えている結果だ。ボール投げについては放課後に校庭や体育館を開放し子どもたちがボールを投げて遊べる環境にするとともに、投げる動作に特化した指導をすることで伸ばしていくことができると思う」と説明しています。

 小学生について幼少期の運動体験と合計点を比べたところ、「いろいろな運動経験がある」という児童の点数が最高で、続いて「いつも同じ内容の運動」(例えば水泳だけ、サッカーだけ)、「経験がない」の順でした。多様な運動経験を持つ児童と、経験がない児童では男子で7点、女子で6点の差がありました。

 全国体力テストは、国公私立の小学5年生と中学2年生を対象に2008年度から毎年4〜7月に実施しており、今回が6回目(2011年度は東日本大震災で中止)。民主党政権下の2010、2012年度は抽出調査。実技8種目は、握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、20メートルシャトルラン(中学生は持久走との選択可)、50メートル走、立ち幅跳び、ボール投げ(小学生ソフトボール、中学生ハンドボール)。

 2014年11月30日(日)

 

■ツルから高病原性鳥インフルエンザウイルス検出 鹿児島県出水市

 今月23日、国内最大のツルの越冬地である鹿児島県出水(いずみ)市で弱ったマナヅル1羽が見付かり、その後の検査で、強い毒性を持つ高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されました。

 野鳥から高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出されたのは、今季に入って国内で島根県、千葉県、鳥取県に続き4例目。

 鹿児島県によりますと、今月23日、出水市のツルの越冬地で弱ったマナヅル1羽が見付かり、検査したところ、A型の鳥インフルエンザウイルスが検出されました。鹿児島大学でさらに詳しい検査を行った結果、強い毒性を持つH5N8型の鳥インフルエンザウイルスと確認されたということです。

 県は28日、マナヅルが見付かった場所から半径10キロ圏内の141の養鶏場に、野鳥侵入防止用の防鳥ネットが破れていないか確認を求めるとともに、電話で聞き取り調査しましたが、異常があったとの報告はないといいます。30日には、周辺にある33の養鶏場で、立入検査を行うことにしています。

 農林水産省のまとめでは、鹿児島県のブロイラー飼育数は今年2月1日現在2634万羽で宮崎県に次いで全国2位、採卵鶏と種鶏は1006万1000羽で全国3位。出水市内ではブロイラー、採卵鶏を含め約150戸の養鶏農家が約560万羽を飼育しています。

 環境省は27日、マナヅルが見付かった場所から半径10キロ圏内を野鳥の監視を強化する地域に指定していて、今後、さらに監視を強化する方針。12月2日には、緊急調査チームを派遣します。

 出水市のツルは2010年12月にも、鳥インフルエンザ感染が確認されました。2011年1月には出水市内の採卵鶏農場の養鶏も感染し、約8600羽を殺処分し、半径10キロ圏内のブロイラーと卵の移動を制限しました。県は当時の被害額を約4億円と試算しています。

 鹿児島県のツルと渡来地は、特別天然記念物に指定されています。越冬ヅルは18季連続で1万羽を超え、11月の調査では過去最高の1万4378羽を確認。

 さらにナベヅル、マナヅルは絶滅危惧種のため、環境省野生生物課は「ツルの密集は感染防止の面から危険でもあり、新しい越冬地などの環境整備を検討していきたい」としています。

 2014年11月30日(日)

 

■東京都でインフルエンザの流行始まる 神奈川県も流行確認

 インフルエンザの患者が増えていることから、東京都は27日、「インフルエンザの流行が始まった」と発表しました。

 東京都によりますと、今月23日までの1週間に、都内419の定点医療機関から報告されたインフルエンザの患者は1施設当たり1・9人。流行開始の目安となる1・0人を超えたとして、インフルエンザの流行開始を発表しました。

 インフルエンザの患者が1施設当たり1・0人を超えた保健所は、都内31カ所中21カ所で、荒川区が最も多く、文京区、江戸川区、江東区、大田区が高い値となっています。

 インフルエンザは例年、12月から3月にかけて流行しますが、11月から流行が始まるのは2007年以来7年ぶりだということです。

 東京都内では、今月23日までに学校や福祉施設など合わせて59の施設でインフルエンザとみられる集団感染が発生し、48の幼稚園や学校で学級閉鎖などが行われたということです。

 これまで東京都の研究施設で検出したウイルスの型は、すべてA香港型だということです。

 東京都福祉保健局は、本格的な流行を前に手洗いやうがい、マスク着用などの予防策を徹底するよう呼び掛けています。

 また、神奈川県は26日、インフルエンザの流行が県内で始まったと発表しました。16日からの1週間で1医療機関当たり患者報告数が流行開始の目安となる1・0人を超え、1・03人となりました。

 開始時期が例年並みのため、流行のピークを例年と同じ1月下旬から2月上旬と予測。こまめな手洗いやマスクの着用、ワクチン接種を呼び掛けています。

 2014年11月27日(木)

 

■冷凍グラタンに金属片混入の恐れ ホクレンなど、約16万個を自主回収 

 北海道のJAグループの「ホクレン」などは、全国の生協やスーパーなどで販売している冷凍食品のグラタンに金属片が混入した恐れがあるとして、26日から16万個余りの商品の自主回収を始めました。

 自主回収の対象となっているのは、ホクレンが製造・販売している冷凍食品「北海道のグラタン」。

 ホクレンによりますと、10月29日、北海道内の製造工場で実施した出荷前のエックス線検査で、商品のうちの1個から、原材料の秋サケの加工品に交じっている金属片(長さ約3ミリ、幅約1ミリ、厚さ約0・5ミリ)が見付かったということです。

 金属片は、秋サケを加工する際に使うカッターの刃の一部とみられ、ホクレンと原材料の秋サケを供給した「北海道ぎょれん」は、商品に混入した恐れがあるとして、26日から16万5500個の商品の自主回収を始めました。回収対象は、賞味期限が11月28日から2015年10月24日までの商品。

 この商品は、全国の生協やスーパーなどで販売しているということですが、これまでのところ、異物の混入や健康被害などの情報は寄せられていないということです。

 金属片が見付かってから1カ月近くたって自主回収を始めたことについて、ホクレンは「原因の究明を優先していた。対応が適切だったかどうか、今後、検証したい」としています。

 ホクレンと北海道ぎょれんは、消費者からの問い合わせなどに電話で対応しています。電話番号は0120(829)732。

 2014年11月27日(木)

 

■脳死の女児から男児への心臓移植成功 6歳未満からの臓器提供、国内2人目

 東京都の病院で脳死と判定された6歳未満の女児から臓器が提供され、このうち心臓は大阪大学附属病院に運ばれて、10歳未満の男児に移植する手術が行われました。移植された心臓は、正常に機能しているということです。

 東京都文京区の順天堂大学附属順天堂医院で、23日正午に脳死と判定された6歳未満の女児から臓器を摘出する手術は、24日昼前から始まり、午後4時ごろまでにすべて終了しました。

 摘出された心臓、肺、肝臓、それに腎臓は、移植を必要とする患者がいるそれぞれの病院へと搬送され、このうち心臓は、チャーター機で大阪空港に運ばれた後、午後2時半すぎ、大阪府吹田市の大阪大学附属病院に到着しました。

 病院では、心筋の一部が正常に育たない左室心筋緻密化障害という重い心臓病の10歳未満の男児に移植する手術が行われ、手術は午後7時前に終わりました。

 病院によりますと、移植された心臓は正常に機能しているということで、男児は経過が順調ならば、3カ月から半年ほどで退院できる見込みだということです。

 執刀した心臓血管外科の澤芳樹教授は、「脳死段階での大人からの臓器提供は増えつつあるが、特に6歳未満の子どもは提供が少なく、患者にとっては非常に厳しい状況が続いている。移植への理解を得ながら、子どもの提供が増えるよう努力していく必要がある」と述べました。

 このほか、肺と肝臓は、京都大学附属病院で、それぞれ10歳未満の男児と10歳代の女性に、片方の腎臓は、東京女子医科大学病院で40歳代の女性に、もう片方の腎臓は、東京医科大学八王子医療センターで60歳代の女性にそれぞれ移植されることになっています。

 4年前に改正臓器移植法が施行されてから、15歳未満の子どもが脳死と判定されたのは6人目で、判定の基準がより厳しい6歳未満の子どもから臓器が提供されたのは、2012年6月の富山大学附属病院の男児に続いて2人目です。

 2014年11月25日(火)

 

■腹腔鏡手術、学会が緊急の調査を実施 群馬大の8人死亡受け

 群馬大学医学部付属病院(前橋市)で腹腔(ふくくう)鏡を使って肝臓の手術を受けた患者8人が手術後に死亡していた問題を受け、専門の医師で作る日本肝胆膵(かんたんすい)外科学会は全国の病院を対象に、肝臓や膵臓などの腹腔鏡手術に関する緊急の実態調査をします。

 対象は、大学病院やがんセンターなど214病院。2011年から14年までの4年間に腹腔鏡を使った肝臓や膵臓などの手術の実施件数、手術後3カ月以内の死亡数、必要な場合に病院の倫理委員会の承認を得ているかなどを調べます。来年1月末までに回答を得て、集計後に公表する予定。

 学会の理事長である宮崎勝千葉大教授は、「ここ数年、開腹手術でも非常に難しい手術に腹腔鏡でチャレンジする人が出てきた。無理な手術が行われていないか検証する必要がある」と話しています。

 群馬大学医学部付属病院では今月14日、腹腔鏡を使った肝臓の一部を切る手術を受けた患者8人が手術後100日以内に死亡していたことが明らかになり、病院が詳しい調査を進めています。

 これまでのところ手術と死亡との因果関係はわかっていませんが、8人の手術はいずれも高度な技術が必要で、安全性や有効性が十分に確認されていない保険適用外の手術だったということです。

 今年4月には、千葉県がんセンターで膵臓の腹腔鏡手術を受けた患者の死亡も明らかになっています。

 2014年11月24日(月)

 

■子宮頸がんワクチンの副作用診療に当たる医療機関を選定 34都道府県51施設

 子宮頸(けい)がんワクチンの接種後に長期的な痛みなどの副作用を訴える事例が相次いでいる問題で、厚生労働省は治療に当たる協力医療機関に決まった34都道県の51医療機関を公表しました。

 子宮頸がんは「ヒトパピローマウイルス(HPV)」に長期にわたって感染することで発症するとされ、予防策としてワクチンの接種が2013年4月から定期接種に定められました。

 しかし、ワクチンの接種後に慢性的な痛みやしびれ、運動障害などを訴える人が相次ぎ、製薬企業や医療機関からの副作用報告数は今年3月末までに2475例に上り、うち617例が重篤であるとされています。

 この事態を受け、厚労省は自治体などに対して、定期接種を受けるよう積極的に推奨することを控えるように勧告。さらに、都道府県単位で協力医療機関を選定し、患者が身近な地域で診療を受けられる体制の整備を進めています。

 協力医療機関では、ワクチンや副作用に関する研修を受けた医師が、地域の患者の掛かり付け医らから紹介を受けて治療に当たり、小児科や産婦人科なども連携して接種後に生じた症状に対応します。必要に応じて、より高度な専門医療機関への橋渡しも行います。

 厚労省では、近々各都道府県に少なくとも一つの協力医療機関を整備する方針で、残る大阪府や福岡県など13府県でも調整を進めています。

 また、厚労省は医療機関や自治体に、これまでに報告された副作用を原則すべて追跡調査して来年2月末までに報告するよう要請。報告の結果を踏まえて、定期接種の取り扱いを検討するとしています。

■協力医療機関の一覧(11月20日現在)

 札幌医大病院、北海道大病院、八戸市立市民病院、弘前大病院、岩手医大病院、東北大病院、秋田大病院、山形済生病院、福島県立医大病院、筑波大病院、水戸赤十字病院、群馬大病院、自治医大さいたま医療センター、埼玉医大病院、千葉大病院、東京大病院、東京慈恵会医大病院、順天堂大順天堂医院、日本大板橋病院、聖マリアンナ医大病院、昭和大横浜市北部病院、昭和大藤が丘病院、横浜市立大病院、北里大病院、北里大東病院、東海大病院、新潟大病院、富山大病院、福井大病院、山梨大病院、信州大病院、岐阜大病院、名古屋大病院、愛知医大病院、三重大病院、島根大病院、岡山大病院、川崎医大病院、山口大病院、香川県立中央病院、高松赤十字病院、香川大病院、愛媛大病院、高知大病院、佐賀大病院、長崎大病院、熊本大病院、大分大病院、宮崎大病院、鹿児島大病院、琉球大病院

 2014年11月24日(月)

 

■千葉県で渡り鳥から高病原性鳥インフル検出 国内で今季2例目

 環境省は21日、千葉県長柄町で見付かった渡り鳥の糞から、強い毒性を持つ高病原性鳥インフルエンザウイルスのH5N8亜型が確定検査で確認されたと発表しました。

 国内での野鳥の高病原性インフルエンザ検出は、13日に島根県安来市で見付かったコハクチョウの糞から同じH5N8亜型が確認されたのに続き今季2例目。

 環境省は警戒のため、全国的に対応レベルを最高の3に引き上げました。対応レベル3になったのは、2011年9月に現在の対応をとるように決めてから初めて。

 千葉県で見付かった糞はカモ類のもので、18日に県の定期調査で見付かりました。県の簡易検査で、今季韓国や欧州で流行しているH5N8亜型との結果が出ていた2つの検体を動物衛生研究所(茨城県つくば市)に送り、確定検査でウイルスの型を調べていました。

 環境省は20日、糞の採取地点周辺の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定。23日から野鳥緊急調査チームを派遣し、野鳥の大量死や異常行動がないか調べます。

 また、千葉県も周辺の半径10キロ圏内に5カ所ある養鶏場にすでに担当者を派遣し、鳥インフルエンザへの対策がとられていることを確認するとともに、周辺で死んでいる野鳥がいないかなど、パトロールを行うことにしています。

 千葉県は、県内のすべての養鶏場に対して、消毒など予防策を徹底するよう呼び掛けています。

 2014年11月23日(日)

 

■エボラ出血熱、感染者1万5000人超、死者5420人 WHO発表

 西アフリカを中心に流行が続くエボラ出血熱を巡り、感染やその疑いのある人が1万5000人を超え、特に感染が全土に広がっているシエラレオネでは、患者が急増しています。

 世界保健機関(WHO)が19日に行った発表によりますと、エボラ出血熱を巡り感染やその疑いがある人は、西アフリカのリベリア、ギニア、シエラレオネを中心に8カ国で合わせて1万5145人に上り、このうち5420人が死亡しました。

 国別の死者はリベリア2964人、シエラレオネ1250人、ギニア1192人、ナイジェリア8人、マリ5人、米国1人。

 感染やその疑いがある人はこの1週間で1000人余り増え、このうち700人をシエラレオネの人たちが占め、感染の拡大が加速しています。リベリア、ギニアでは感染拡大のペースは緩やかだといいます。

 感染が全土に広がっているシエラレオネでは、隔離される患者の割合が13パーセントにとどまり、66パーセントの患者については状況が把握されておらず、広がり続ける感染に対応が追い付いていないことがうかがえます。

 こうした中、シエラレオネで医療活動に当たっていたキューバ人の医師がエボラウイルスに感染したことが確認され、スイスのジュネーブの病院に搬送され、治療を受けることになりました。

 WHOによりますと、医療従事者への感染も依然として深刻な状況にあり、これまでに584人が感染し、このうち329人が死亡したということです

 感染が広がるエボラ出血熱について、アメリカの疾病対策センター(CDC)のフリーデン所長は、「西アフリカでは雨期が終わり、感染が深刻な国からその他の国への人々の移動が活発になって感染が拡大する恐れが高まっている」として、警戒を強めるよう呼び掛けるとともに、国際社会に対し支援の強化を訴えました。

 そして、西アフリカの4カ国からの渡航者に対して、アメリカ入国後3週間は毎日、体温を測って州当局に報告するよう求めていることについて、「先月下旬から2000人以上が入国しているが、感染者は出ていない」と述べ、冷静に対応するよう呼び掛けました。

 アメリカでは17日、シエラレオネでエボラウイルスに感染して中西部ネブラスカ州の病院に搬送された男性が死亡したばかりで、感染拡大に対する不安が広がっています。

 2014年11月21日(金)

 

■身長が2センチ縮んだ高齢女性、介護リスク2倍に 厚労省が追跡調査

 40歳代に比べて身長が2センチ以上縮んだ高齢の女性は、介護が必要になるリスクが2倍高くなるという調査結果を、厚生労働省の研究班がまとめました。

 姿勢が悪くなると肺炎などにかかりやすくなるほか、気付かないうちに背骨が折れていることもあるといいます。研究班は、身長を定期的に測ることで、要介護の高齢者を減らせないかと期待しています。

 放射線影響研究所(広島市)で定期的に健診を受けている女性747人(平均年齢71歳)を調査。2005~06年の時点で介助や介護が不要だった625人の状態を6年間追跡し、新たに介助や介護が必要になった人と、身長との関係を分析しました。

 6年間で、22パーセントに当たる137人が、介助や介護が必要になっていました。2005~06年年時点の身長が40歳代の時の平均身長より2センチ以上縮んだ人は、ほかの要因を除いても、そうでない人より2倍リスクが高くなっていました。男性は調査対象者が少なく、はっきり差は出ませんでした。

 年を取って前かがみの姿勢になると、胸や腹が圧迫されて肺炎や心臓の病気にもかかりやすくなります。背骨が1カ所折れると、別の骨も折れやすなります。

 主任研究者で、広島原爆障害対策協議会健康管理・増進センターの藤原佐枝子所長は、「背骨の骨折は気付きにくく、3分の2は放置されている。年に1度は身長を測り、2センチ以上縮んでいれば骨折していないかを調べ、治療して次の骨折を防ぐべきだ」と話しています。

 2014年11月20日(木)

 

■宮城県でハクチョウから鳥インフルを検出 簡易検査で陽性反応が出る

 宮城県は19日、栗原市でオオハクチョウ1羽が死んでいるのが見付かり、環境省による簡易検査で、鳥インフルエンザの陽性反応が出たと発表しました。

 北海道大で確定検査をして、高病原性の鳥インフルエンザウイルスの有無を調べますが、結果判明には数日から1週間程度かかる見込み。

 宮城県などによると、東京都や島根県でも今月、野鳥やその糞から鳥インフルエンザの陽性反応が出ており、13日に島根県安来市で見付かったコハクチョウの糞からは高病原性の鳥インフルエンザウイルス(H5N8亜型)が検出されています。

 オオハクチョウは、栗原市にある国指定の「伊豆沼鳥獣保護区」で見付かりました。周辺でほかに死んだ野鳥は、確認されていません。

 環境省や宮城県は、発生地周辺の半径10キロ圏内で野鳥の監視を強化します。

 環境省によると、感染した鳥と濃密な接触をしない限り、日常生活では感染しないといいます。死亡した野鳥に素手で触らない、野鳥のいる公園などに行った際は靴で糞を踏まない、野鳥の糞などに触れた場合は手洗いやうがいをするよう注意を呼び掛けています。

 2014年11月19日(水)

 

■東京都内で初の鳥インフルを検出 江東区の渡り鳥の死骸から

 環境省と東京都は17日、江東区内で回収した渡り鳥のホシハジロの死骸1体から、A型の鳥インフルエンザウイルスが検出されたと発表しました。

 動物衛生研究所で18日から、高病原性の鳥インフルエンザウイルスの有無を検査します。東京都によると、都内での鳥インフルエンザウイルスの検出は初めて。

 東京都環境局によると、ホシハジロの死骸は13日に回収し、簡易検査では陰性でしたが、国のマニュアルに沿って、国立環境研究所が遺伝子を検査したところ、ウイルスが検出されたといいます。

 動物衛生研究所による高病原性の鳥インフルエンザウイルスかどうかの確認には、数日から1週間かかる見通し。高病原性のウイルスが確定した場合には、野鳥緊急調査チームが派遣される予定です。

 これを受け、環境省は発生地周辺の半径10キロ圏内を野鳥監視重点区域に指定、環境省と東京都、千葉県は野鳥の監視を強化します。

 環境省によると、感染した鳥と濃密な接触をしない限り、日常生活では感染しないといいます。死亡した野鳥に素手で触らない、野鳥のいる公園などに行った際は靴で糞を踏まない、野鳥の糞などに触れた場合は手洗いやうがいをするよう注意を呼び掛けています。

 2014年11月18日(火)

 

■エボラ出血熱の死者5177人、感染者1万4413人 WHO集計、増加続く

 世界保健機関(WHO)は14日、西アフリカを中心に流行するエボラ出血熱の疑い例を含む感染者が11日までに8カ国で1万4413人に達し、うち5177人が死亡したとの集計を発表しました。

 12日発表の前回集計より感染者が315人、死者が17人増えました。リベリア、シエラレオネ、ギニアの3カ国では、依然として深刻な状況であることに変わりはありません。特にシエラレオネでは、感染の拡大が加速しています。

 リベリアは感染者が6878人、死者が2812人で、感染者が56人増えた一方で、死者は前回の2836人から24人減の2812人に下方修正されました。シエラレオネは感染者が5586人、死者が1187人。ギニアは感染者が1919人、死者が1166人。11日に感染拡大が確認されたマリは感染者が4人で、死者が1人減の3人に下方修正されました。下方修正は、疑い例からエボラ出血熱と関係ないものを除外したためといいます。

 米国(感染者4人、死者1人)やスペイン(感染者1人)、すでに終息が宣言されたナイジェリア(感染者20人、死者8人)およびセネガル(感染者1人)はいずれも、増減はありませんでした。

 医療従事者は計570人が感染し、うち324人が死亡しました。

 WHOはリベリア、シエラレオネ、ギニアで引き続き感染者の隔離や接触者の追跡など、拡大阻止に全力を挙げています。しかし、設置を計画している治療センター53カ所のうち、実際に開設されたのは19カ所にとどまるなど、対策の実施が難航している現状もあります。

 一方、国際医療援助NPO「国境なき医師団」は16日までに、西アフリカで来月、エボラ出血熱治療薬の臨床試験を開始すると発表しました。

 リベリアとギニアの3カ所にある治療センターで実施します。リベリアの首都モンロビアの治療センターでは、患者に抗ウイルス剤「ブリンシドフォビル」を投与。ギニア南部にあるゲケドゥ町では、「ファビピラビル」を使う予定。

 また、ギニアの首都コナクリでは、回復患者の血液を用いた全血および血漿(けっしょう)製剤の試験治療を試します。この方法は、WHOが推奨しています。

 2014年11月17日(月)

 

■薬局で買える一般用検査薬を拡大 厚労省が十数品目の解禁を検討

 厚生労働省の専門部会は11月12日、自宅で病気や体調をチェックできる検査薬の市販対象を広げる販売ルールの見直し案を了承しました。

 現在、医師の処方せんなしに薬局などで購入できる一般用(市販)検査薬は3品目だけですが、排卵日予測や尿潜血など十数品目について、解禁を検討します。実際に薬局で買えるのは、来年度以降になります。

 販売ルールの見直しは、1991年以来。市販されている検査薬は現在、妊娠の有無を判定する妊娠検査薬、糖尿病が疑われる場合に尿中のブドウ糖の混入を判定する尿糖検査薬、腎機能や尿管の障害を調べる尿蛋白検査薬の3品目だけ。

 検査に使う検体は、尿と糞便だけが認められていましたが、体を傷つけずに採取できる鼻汁や唾液、涙液などにも広げます。販売時には、薬剤師が指導したり相談を受けることも明示しました。

 新しい販売ルールに沿うと、排卵日を予測する「黄体形成ホルモンキット」や、腎臓の状態を調べる「潜血キット」、腸管からの出血の有無を調べる「便潜血キット」など十数品目が検討対象となります。業界団体がガイドラインを作成した上で、専門部会などで審議して最終的に追加品目を決定します。

 血液を扱う二十数品目の検査薬は、感染症の恐れがあるなどとして除外。クラミジアなどの感染を調べる検査薬は、潜伏期間中に陰性が出て利用者が判断を誤る恐れがあり、「個別に販売方法を含め慎重に検討する」としました。がんなど重大な病気を診断する検査薬も除きました。

 検査薬の性能は医療技術の進歩で向上しており、市販化の拡大で個人の健康管理を後押しし、早期受診につなげる狙いもあります。政府の規制改革会議が3月に、「医療用検査薬から一般用(市販)検査薬への転用の仕組みを早期に構築するべきだ」と指摘していました。

■市販の検討対象となる主な検査薬

【生活習慣病】▽アルブミンキット(血糖)▽尿酸キット 

【健康状態】▽便潜血キット(腸管出血)▽潜血キット▽pHキット▽食塩キット▽亜硝酸塩キット▽白血球キット▽比重キット

【排卵日予測】▽自己検査用黄体形成ホルモンキット▽自己検査用エストロン―3―グルクロニドキット

 2014年11月15日(土)

 

■日本のインフル薬、エボラ出血熱薬1号か 来年1月に承認の可能性

 国際医療援助NPO「国境なき医師団」は、エボラ出血熱の治療薬と回復患者の血液から作った製剤について、西アフリカの患者を対象に初めての臨床試験を開始すると発表しました。

 臨床試験が行われるのは、富士フイルムホールディングス傘下の富山化学工業が開発した抗ウイルス剤で、日本で今年3月にインフルエンザ治療薬として承認された「アビガン(一般名・ファビピラビル)」。フランス国立保健医学研究所が、11月中旬からギニア南部のゲケドゥで臨床試験を行います。

 また、ベルギー・アントワープの熱帯医学研究所の主導で、「回復患者の血液を使った全血および血漿(けっしょう)製剤」の試験を、ギニアの首都コナクリのドンカ病院内にある国境なき医師団の治療センターで実施します。

 さらに、国境なき医師団は、3つ目の臨床試験についても検討しています。これは抗ウイルス薬ブリンシドフォビルで、リベリアの首都モンロビアでの試験となりますが、正式にはまだ決まっていません。

 致死率70パーセントとされているエボラウイルスは、患者の体液に触れて感染し、出血や発熱の症状が現れます。現時点では確立された治療方法はなく、早期発見後の解熱剤の使用と水分および栄養の補給が唯一の手立てとなっています。

 ワクチンも未承認ですが、英製薬大手グラクソ・スミスクラインの「ChAd3」に有用性があると考えられており、現在マリなどで試験が行われています。

 富士フイルムホールディングスによると、フランス国立保健医学研究所が11月中旬からギニアで実施する臨床試験は、12月末に結果が出る見通し。事態の緊急性を踏まえて、関係当局が1カ月程度の短い期間で安全性や有効性の審査を終える見込みで、早ければ来年1月に、アビガンがエボラ出血熱の治療薬として国際的に承認される可能性があるといいます。承認されれば、世界初です。

 アビガンはエボラ出血熱では未承認の薬ですが、今回の感染の広がりを受けて世界保健機関(WHO)がエボラ出血熱にも効く可能性があるとして患者への投与を容認。9月以降に、フランスやドイツ、スペインなど欧州4カ国で4人のエボラ出血熱の患者に、ほかの薬と併用する形で緊急の対応としてに投与され、4人とも快方に向かっています。

 2014年11月14日(金)

 

■RSウイルス感染症、今年最多の患者数 関東など各地で拡大

 乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症が、全国各地で拡大しています。国立感染症研究所によりますと、10月27日から11月2日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は、今年に入ってから最多となりました。

 特に関東地方で感染が拡大しており、患者が大幅に増えた自治体では警戒を強めています。

 11月2日までの週の全国の患者数は、前週より726人多い3423人で、今年初めて3000人を超えました。2週連続の増加で、RSウイルスの発生動向調査を始めた2003年以降の同期比では、2番目に多い患者数です。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど、かぜに似た症状の出る呼吸器感染症の1つで、感染から2日から8日後に上気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの症状が現れます。患者のほとんどは軽症ですむものの、乳幼児を中心に重症化するケースもあります。

 都道府県別の患者報告数は、東京都の286人が最も多く、以下は大阪府が224人、愛知県が176人、熊本県が164人、広島県が154人、兵庫県が139人、福岡県が138人、埼玉と神奈川県が127人、宮崎県が112人などの順となっており、全国的に患者の多い状態が続いています。

 前週比1・7倍の報告数を記録した埼玉県では、幸手保健所管内で前週に比べて3倍超の報告がありました。東京都でも前週の報告数を上回っており、八王子市や多摩小平、世田谷、荒川区、江戸川などの保健所管内で多くなりました。東京都内の年齢別では、1歳以下が全体の7割超を占めました。

 神奈川県や千葉県、群馬県、栃木県、茨城県でも、患者報告数が軒並み増加。8月中旬ごろから増加傾向となっている神奈川県は、「引き続き、発生動向に注意が必要」と指摘しています。

 RSウイルス感染症の流行は例年12月から1月にかけてピークを迎えることから今後、患者の数はさらに増える恐れがあります。

 国立感染症研究所の木村博一室長は、「生後数カ月までの乳児は気管支炎や肺炎になりやすいので家族が移らないように注意が必要だ。また70歳以上の高齢者も肺炎などを起こしやすくなる。リスクの高い人に感染を広げないために、しっかりと手洗いをしたり、せきなどの症状がある人はマスクをしたりするなど対策を徹底してほしい」と話しています。

 2014年11月12日(水)

 

■アルツハイマー病、発症前に血液検査で判定 長寿研などが新技術を開発

 アルツハイマー病に関係するタンパク質が脳内で蓄積しているかを判定する目印となる血液中の物質を見付けたと、国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)と、ノーベル化学賞受賞者で島津製作所(京都市)の田中耕一シニアフェローらの研究チームが発表しました。

 治療薬開発に役立つと考えられるほか、将来はアルツハイマー病発症前の検査に使える可能性もあるといいます。

 日本学士院発行の学術誌(電子版)に11日、掲載されました。

 アルツハイマー病は発症する前に、脳内にアミロイドベータと呼ばれるタンパク質が蓄積することがわかっています。この蓄積は、PET(陽電子放射断層撮影)と呼ばれる画像診断装置でわかるものの、大型の設備が必要な上、費用も十数万円と高額だといいます。

 研究チームは、画像診断でアミロイドベータの蓄積があった高齢者40人のグループと、蓄積のなかった高齢者22人のグループの血液を用いて、島津製作所が開発したごく微量なタンパク質を高感度で検出できる装置を使い、血液中のアミロイドベータに関連するタンパク質を分析しました。

 この結果、アミロイドの蓄積があったグループの血液では、「APP669-711」と呼ばれるタンパク質の量がわずかに変化していることを突き止めました。

 この検査は、血液が数滴あればできるということで、実用化されれば、健康診断の採血の際などに調べることも可能になるということです。

 研究チームは、「簡便な血液検査で、アミロイドベータの蓄積の有無を9割以上の精度で判定することが可能だ。アルツハイマー病の発症予防や治療薬の開発に役立てたい」と話しています。

 2014年11月11日(火)

 

■依存性抑えた新型睡眠薬「ベルソムラ」、11月中にも発売 アメリカの製薬会社

 新しいタイプの睡眠薬が、世界に先駆けて日本で11月下旬にも発売されます。現在、日本で主に使われている睡眠薬は依存性が問題になっていますが、新薬は臨床試験(治験)では依存性が確認されていないとされます。

 この睡眠薬は「スボレキサント(商品名ベルソムラ)」。錠剤で、アメリカの製薬会社である「メルク・アンド・カンパニー(通称MSD)が開発しました。

 脳の覚醒を維持する神経伝達物質の働きを抑えることで、脳を覚醒状態から睡眠状態に移らせるとしています。不安を抑える別の神経伝達物質の働きを強めるなどの従来の睡眠薬とは、作用が異なります。

 日本人も参加した臨床試験では、寝付きをよくし、睡眠を持続できる時間も長くなったといいます。主な副作用は、うとうとすることや頭痛、疲労でした。臨床試験にかかわった久留米大の内村直尚教授は、「半年間の治験期間中、依存性は認められなかった」と説明しています。

 2012年12月4日にメルク・アンド・カンパニーが承認申請を行い、今年の8月13日にアメリカ食品医薬品局(FDA)で承認。日本でも9月26日に承認され、近く販売価格が決まります。用量は成人が1日1回20ミリグラム、高齢者は1日1回15ミリグラム。

 不眠症は夜寝付きが悪い、眠りを維持できない、朝早く目が覚めてしまう、眠りが浅く熟睡感がないなどの症状が1カ月以上続き、それにより日中の強い眠気や倦怠感、意欲の低下、注意力の散漫、食欲不振、さらには疲れや種々の体調不良にもつながる病気です。

 不眠症は男性よりも女性に多いといわれており、また、加齢とともに増加し、特に中年から老年へと進むにつれて急激に増加する傾向にあります。日本人の10人に1人が何らかの不眠症の症状で悩んでいるとされており、欧米に比べて受診率が低く、睡眠が浅くなるアルコールに頼る人が多いのが特徴。

 厚生労働省の研究班の調査によると、成人の20人に1人が睡眠薬を服用しているといいます。

 現在、日本の医療機関で処方されている睡眠薬は、ベンゾジアゼピン(BZ)系薬が8割近くを占めていますが、このベンゾジアゼピン系薬は薬をやめられなくなる依存性が高く、服用を中止した時に生じる不安感や不眠などの離脱症状が問題視されており、欧米では処方が控えられ、長期的な使用も制限されています。

 こうした状況から、依存性を抑えた薬の開発が待たれていました。ただ、アメリカ食品医薬品局(FDA)はベルソムラを8月に認可した際、薬の影響が翌朝まで残ることなどを理由に、日本人の成人用量の半分に当たる1日1回10ミリグラムからの使用を推奨しました。アメリカでは、睡眠薬服用者の運転で起きる交通事故が問題となっており、FDAは睡眠薬全般に慎重な姿勢をとっているといいます。

 アメリカでの発売は、年明けになる見込み。

 国立精神・神経医療研究センターの三島和夫部長は、「長期間使ってみないとわからないこともある。薬の選択肢が増えることで、適切な処方が広がってほしい」と話しています。

 2014年11月10日(月)

 

■国内初、慢性肉芽腫症に遺伝子治療 成育医療研究センター

 国立成育医療研究センター(東京都世田谷区)は11月7日、白血球の機能が生まれ付き異常で重い感染症を繰り返すX連鎖慢性肉芽腫症の20歳代男性に対する造血幹細胞遺伝子治療を、国内で初めて7月に実施したと発表しました。

 6週間経過後も、血液の機能が一定程度保たれていることが確認されたため、同センターは「生着した」と判断し、男性は全身状態良好で10月下旬に退院しました。6週間を超えて機能が一定程度保たれているのが確認されたのは、世界で2例目。

 治療は、男性から取り出した造血幹細胞に遺伝子を導入して培養した上で、体内に戻す手法。会見した同センター成育遺伝研究部長の小野寺雅史氏は、「造血幹細胞移植が有効な疾病については、同じような戦略が取れるのでは」と、期待を示しました。

 X連鎖慢性肉芽腫症は、免疫にかかわる1つの遺伝子の異常で発症する単一遺伝病で、血液成分のうち単球や好中球などの白血球が作れず、殺菌能力が低下する国指定の難病。患者は国内に200人前後おり、重篤な感染症に度々罹患します。男性も、肺や肝臓の感染症で10回以上入院しました。

 従来の治療法として、白血球や赤血球などを生み出す造血幹細胞の移植がありますが、白血球の型であるHLA適合ドナーが見付からなかったり、見付かっても全身状態が悪くて移植自体が危険な場合も多々あります。

 今回、同センターでは、患者の末梢血を採取し、遺伝子を細胞へ運ぶ運搬役として改変されたウイルスベクターを用いて、正常な遺伝子を注入。培養後に、点滴で患者の体内に戻しました。実施日は、今年の7月22日。結果として、好中球や、殺菌能力を示す活性酸素産生能が確認されました。

 現在まで同様の治療は世界で4例実施され、1例目を除いて、6週間以内に血液の機能がほぼ失われていましたが、今回は6週目以降も血液の機能が一定程度、保たれており、今後も15年以上にわたって効果と副作用を観察します。

 原発性免疫不全症に対する造血幹細胞遺伝子治療としては、2003年のアデノシン・デアミナーゼ欠損症(ADL欠損症)に続いて2例目。遺伝子治療は、移植に比べて、免疫応答による合併症の可能性が低く、前処置が軽度で致死的な感染症を引き起こす危険性が少ないとされます。

 小野寺氏は、今後、白血病などが発症しないか見守りながら、5年間で5例程度の実績を積み、ADL欠損症やウィスコットアルドリッチ症候群の患者に対しても、同様の手法の治療を試みたいとしています。

 2014年11月9日(日)

 

■感染疑い2人からエボラウイルス検出されず ギニア国籍の女性と東京都内の男性

 西アフリカのリベリアに滞在し発熱などの症状がある東京都内の男性について、厚生労働省はエボラウイルスに感染しているかどうか詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されませんでした。

 厚労省によりますと、都内に住む60歳代の男性が発熱の症状を訴え、7日、東京都町田市の医療機関を受診し38度以上の熱が確認されました。

 男性は10月26日までおよそ1カ月間、仕事でリベリアに滞在し、11月4日に羽田空港に到着したということです。男性が現地で患者と接触したという情報はないということです。

 厚労省は男性を東京都新宿区の国立国際医療研究センターに搬送し、検査を行ったところ、細菌感染による咽頭炎と診断されました。

 厚労省はエボラウイルスに感染しているかどうか確認するため、採取した血液を国立感染症研究所に送り、詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されませんでした。男性は熱が下がり次第退院するということです。

 また、西アフリカのギニアから7日、関西空港に到着し発熱の症状が確認されたギニア国籍の20歳代の女性について厚生労働省がエボラウイルスに感染しているかどうか詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されませんでした。

 厚労省によりますと6日、ギニアを出発しドバイを経由して7日午後5時前に関西空港に到着したギニア国籍の20歳代の女性に発熱の症状が確認されました。

 女性は体の不調を訴えていませんでしたが、検疫所で確認したところ38度を超える熱があったということです。女性が現地でエボラ出血熱の患者と接触したという情報はないということです。

 厚労省が7日夜、女性を大阪府泉佐野市の「りんくう総合医療センター」に搬送し、マラリアの検査を行ったところ陽性だったということです。

 厚労省はエボラウイルスに感染しているかどうか確認するため、念のため女性から採取した血液を東京都の国立感染症研究所に送り詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されませんでした。

 女性が乗っていたエミレーツ航空の316便には、ほかに乗客・乗員237人が乗っていて、厚労省は航空会社から乗客名簿の提供を受け、万が一、女性が感染していることが確認されれば乗客などの健康状態を確認することにしていました。

 女性はマラリアの症状が治まった後、医師の判断で退院する見通しですが、3週間程度、検疫所に健康状態を報告してもらうことにしています。

 2014年11月8日(土)

 

■東京都内の男性、エボラ出血熱の感染検査へ リベリアから帰国後に発熱

 西アフリカのリベリアに滞在歴がある60歳代男性が38度以上の発熱などの症状を訴え、7日午後に東京都町田市の医療機関を受診しました。政府関係者が同日、明らかにしました。

 厚生労働省などは念のため、男性を治療できる指定医療機関へ搬送し、採取した血液などからエボラ出血熱に感染していないか国立感染症研究所で検査します。男性が現地で患者らと濃厚接触したという報告はないといいます。

 関係者によると、男性は10月26日までリベリアに滞在し、11月4日に帰国。帰国した際には体の不調を訴えていませんでしたが、7日午前、男性から検疫所に38度以上の熱があると連絡があったということです。

 男性は1日朝夕の2回体温を測り、検疫所などに報告する健康監視の対象だといいます。

 日本国内でのエボラ出血熱の疑い例は2人目。リベリアに2カ月間滞在し、10月27日に羽田空港に到着した1人目のカナダ国籍の40歳代男性は、検査の結果、ウイルスが検出されず陰性でした。

 2014年11月7日(金)

 

■世界初の肺区域移植を受けた2歳男児が退院 岡山大学病院

 岡山大学病院(岡山市北区)で、30歳代の母親の左肺下部の下葉を分割して両肺に移す「生体肺区域移植手術」を受けた埼玉県の2歳11カ月の男児が6日、退院しました。

 病院によると、この手法では世界初の成功例であり、男児は手術時2歳9カ月で国内最年少の肺移植患者。

 男児は午前9時半ごろ、両親らに付き添われ、病院玄関に元気な姿を見せました。見送りの医師、看護師らに笑顔で手を振り、母親に抱かれて病院を後にしました。

 退院前に取材に応じた母親は、「発病前のように、大きな声で歌を歌ってくれてうれしい。友達や兄弟と遊ばせたり、再来年には幼稚園へ行かせたい。私たちに未来を与えてくれた移植スタッフに、感謝の気持ちでいっぱいです」と話しました。

 男児は今年5月、自発呼吸が困難になる重い肺の病気「特発性間質性肺炎」を発症。8月中旬には人工呼吸器を装着しても酸欠状態になりました。移植以外に救命の道がなく同月31日、岡山大学病院で約11時間の手術を受けました。

 肺組織は右肺が上葉、中葉、下葉、左肺が上葉、下葉に分かれています。生体肺移植は通常、肺活量が最も多い左右いずれかの下葉を使うものの、男児には大きすぎたため、左肺の下葉を肺として機能する最小単位「区域」に切り分けて移植しました。

 区域は一見して境界はないものの、細かな血管や気管支などが複雑に張り巡らされています。移植しても機能するよう傷付けずに血管や気管支を切り分け、吻合(ふんごう)するには高度な技術が求められました。

 男児は手術を受けた後、順調に自力呼吸を回復、9月中旬に人工呼吸器を外しました。現在は日常生活を送ることができるようになるまで回復し、重い拒絶反応もないということで、今後は自宅で生活しながらリハビリを行い、地元の病院で経過を観察するということです。

 執刀した呼吸器外科の大藤剛宏(おおとうたかひろ)肺移植チーフは、「元気に退院し、ほっとしている。移植した肺はよくなじみ、しっかりと機能している。これまで救命できなかった乳幼児にも生きるチャンスを与えることができるようにようになる」と話しました。

 2014年11月6日(木)

 

■生活保護世帯数、4カ月連続で最多更新 高齢者単身化で受給者数は減

 8月に全国で生活保護を受けていた世帯は160万9830世帯で、前月より836世帯増えて過去最多を4カ月連続で更新しました。一方、受給者数は7月より564人減り、216万3152人でした。

 厚生労働省が5日、速報値を公表しました。

 受給世帯の内訳(一時的な保護停止世帯を除く)をみると、伸び続けている65歳以上の「高齢者世帯」が75万7118世帯で最多。前月より1308世帯増え、全体の47パーセントを占めます。

 働ける世代を含む「その他の世帯」は前月より1613世帯減り、28万981世帯でした。「母子世帯」は10万8299世帯、「障害者世帯」は18万5844世帯、「傷病者世帯」は26万9138世帯でした。

 配偶者が死亡するなどして1人暮らしの高齢者が増えているため、全体の受給世帯数は増えているものの、母子世帯やその他の世帯は昨年秋から緩やかな減少傾向が続いています。

 厚労省保護課は、「現役世代は景気回復の影響で減少傾向にあるが、単身の高齢者世帯が増えている」とみています。

 2014年11月6日(木)

 

■デング熱に初のワクチン、仏製薬大手が効果を確認 来年にも実用化へ

 フランスの製薬大手会社サノフィは3日、デング熱に対する世界初のワクチンの効果が臨床試験で確認されたと発表しました。来年後半にも実用化できる見通しといいます。

 サノフィ社の臨床試験は、感染が広がっているアジアと中南米の10カ国で、約3万1000人を対象に実施。重症化して入院するリスクが、80・3パーセント減少したといいます。

 サノフィ社は過去20年間、デング熱の予防を目指してワクチン開発に取り組んできました。

 デング熱はもともと熱帯に多い感染症でしたが、日本でも今年8月に約70年ぶりに国内で感染した患者が確認されるなど感染地域が拡大しています。有効な抗ウイルス薬やワクチンはなく、水分補給やアセトアミノフェンなどの解熱剤による対症療法が基本とされてきました。

 デング熱に対するワクチン開発を非常に難しくしていたのは、デングウイルスには1型から4型まであるため、これらすべてに対して防御可能な免疫を誘導する必要があったためです。

 2014年11月5日(水)

 

■デング熱、温暖化進めば北海道にも流行リスク 研究機関などが報告

 この夏から秋にかけて、東京都の代々木公園周辺などで感染が相次いだデング熱は、ウイルスを媒介する蚊の生息する地域が、気温の上昇に伴って北上しており、今後、温暖化が進むと流行のリスクがある地域が北海道にも広がると予測されています。

 デング熱を巡っては、8月以降、代々木公園やその周辺などを訪れた人の感染が全国で相次ぎ、厚生労働省などによりますと、10月末時点で感染者は160人に上りました。

 ウイルスを持つ蚊が見付かった代々木公園は、感染の拡大を防ぐために10月31日までおよそ2カ月にわたって大部分が閉鎖されるなど大きな影響が出ました。公園を管理する東京都は今後、蚊が活動を始める来年春ごろ以降に備えて、園内での蚊の発生を抑えるため、雨水をためる側溝に薬剤を入れるなどの定期的な対策をとることにしています。

 環境省によりますと、デング熱のウイルスを媒介するヒトスジシマカは、戦後の1950年に行われた調査では、生息する地域の北限は栃木県の北部でした。

 それが、およそ50年後の2000年の調査では、秋田県の北部で確認されたのに続き、その10年後の2010年の調査では、青森県の一部でも確認され、生息する地域が次第に北上しています。

 環境省によりますと、ヒトスジシマカが生息する地域は年間の平均気温が11度以上の地域とほぼ重なっており、生息する地域が広がっている背景には、気温の上昇があるとみられています。

 さらに、将来予想される温暖化の被害について、国内の大学や研究機関がまとめた最新の報告書では、このまま温暖化が進めば今世紀末には生息する地域が北海道にも広がると予測されています。

 9月27日に公表されたIPCC(気候変動に関する政府間パネル )の作業部会の報告書の作成に参加した国立環境研究所環境都市システム研究室の肱岡靖明室長は、「デング熱が一般的な病気になると、日本中どこにいてもデング熱にかかってしまう可能性が非常に高い。流行の恐れのある地域が広くなると、それだけ対策費用もかかるし、抑えきれなくなるので深刻度は増していく」と指摘しています。

 2014年11月4日(火)

 

■iPS由来の心筋細胞、製薬会社向けに量産販売へ タカラバイオなど

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とタカラバイオ(本社・大津市)は10月30日、人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から品質がそろった心筋細胞を大量製造し、新薬開発時の副作用評価試験用に製薬会社向けて販売する事業を始めると発表しました。

 人のiPS細胞から製造した心筋細胞はすでに国内外で市販されていますが、品質や純度が安定して高い製品はまだないといいます。

 新薬の候補となる物質に心臓の不整脈を起こす副作用がないか調べる安全性評価試験に、人のiPS細胞から製造した心筋細胞を使うことを認めるガイドライン見直しが日米欧で議論されており、タカラバイオの峰野純一常務は記者会見で、「来年3月に大量製造技術の基盤を確立し、2016年3月までに製品を発売することを目指す」と述べました。

 5年後の市場は、100億円規模になる可能性があるといいます。

 iPS細胞を拍動する心筋細胞に変える方法はいくつかありますが、京都大iPS細胞研究所の山下潤教授らが特別な装置や培養条件を必要とせず、極めて高い効率で変える技術を開発しました。タカラバイオに技術移転し、今後はiPS細胞の作製に使う細胞や心筋細胞に変える手順の最適化、ロボットによる自動製造などに取り組みます。

 背景には、新薬の開発コストを抑える狙いがあります。500億円から1000億円もの費用がかかるといわれる新薬の開発は、副作用の発生などにより、その途中で開発中止となってしまうことが多々あり、候補となる物質の約3万分の1しか医薬品にならないとされます。開発中止となるケースのうち、心臓に対する副作用で開発中止となるケースは約20パーセントと一番多く、医薬品開発のコスト増の要因となっています。

 人のiPS細胞から作った心筋細胞に、新薬の候補となる物質を加えて反応を調べれば、副作用予測が効率化され、開発コストの低減につながると期待されます。

 2014年11月3日(月)

 

■iPS細胞から人間の「ミニ胃組織」作製に成功 アメリカの研究チーム 

 体のさまざまな組織になるiPS細胞(人工多能性幹細胞)から、食べ物を消化する胃の粘膜の組織を作り出すことに、アメリカの研究チームが成功し、29日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表しました。

 アメリカのシンシナティ小児病院医療センターなどの研究チームは、人のiPS細胞を特殊なゲル状の物質の中で4週間ほど培養し、直径約3ミリというミニサイズの立体的な胃組織である「胃オルガノイド(組織構造体)」を作り出しました。

 そして、この内部を調べると、食べ物を消化する胃の粘膜に似た立体的な組織ができていて、人間の胃と同じような多数のひだ状の組織の中には、胃液を分泌する胃腺があることも確認されたということです。

 また、この胃オルガノイドに胃がんの原因の1つとされる「ピロリ菌」を感染させると、初期の胃がんで見られるような細胞の増殖も確認されました。

 研究チームは、胃オルガノイドを使えば、ピロリ菌によって健康な胃からがんがどのように引き起こされるのかを解明したり、新たな抗がん剤の開発を進めたりすることが可能になるのではないかとしています。

 シンシナティ小児病院医療センターに所属する発生生物学の研究者、ジム・ウェルズ氏は、「人間の胃の病気を研究するよい方法はこれまで存在しなかった。人間の胃は、ほかの動物の胃と大きく異なっている。今回、作製した胃組織の異種細胞およびその構造と配置は、胃の中で通常みられるものと全く同じだといえる」と述べています。

 iPS細胞の研究に詳しい慶応大学の岡野栄之教授は、「これまでは、人では病気になった後の胃の組織しか見ることができなかった。試験管の中で、ピロリ菌に感染し、がんが発症していく様子を直接観察できれば、病気の解明や新たな治療法の開発に大きく役立つ」と話しています。

 不妊治療で余った体外受精卵から作るES細胞(胚性幹細胞)や、皮膚などの細胞に遺伝子群を導入して作るiPS細胞からは、これまで腸や肝臓などのミニ組織を作ったとの報告があります。今回の胃を含め、胎児段階の形成過程をまねる技術によって生み出されており、改善を重ねれば臓器の形成過程をほぼ完全に解明し、重い機能障害を伴う難病を治療する手掛かりが得られると期待されます。

 2014年11月2日(日)

 

■京大、iPS細胞から心臓組織シート 世界初、血管細胞含め作製に成功

 京都大iPS細胞研究所の山下潤教授らのチームは、世界で初めて人のiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作製した心筋や血管の細胞によるシート状の心臓組織を心筋梗塞のラットに移植し、心臓機能を改善させることに成功しました。

 チームによると、iPS細胞を血管の細胞を含む実物に近い構造の心臓組織に一体的に変化させ、シートにしたのは世界初。重症の心不全など心臓病患者に対する再生医療につながる可能性があります。

 英オンライン科学誌のサイエンティフィック・リポーツに、10月22日付で掲載されました。

 山下教授らは、人の皮膚から作ったiPS細胞に4種類のタンパク質などを段階的に加えることで、心臓を構成する筋肉や血管の細胞に分化させる手法を開発。これらの細胞を特殊な容器で培養し、シート状の組織を作製しました。

 これを3層に重ね、計約200万個の細胞からなる直径約1センチの心臓組織シートを心筋梗塞のラットに移植。約1カ月間にわたって観察したところ、心臓の収縮が回復したほか、新しい血管が形成されるなど、心臓の機能が改善したことが確認できました。がん化もみられませんでした。

 山下教授は、「移植した心臓組織シートから血管の形成を促す物質が分泌されたことが、心機能の回復につながったのではないか」と説明。この物質は心筋だけの状態ではあまり出ませんが、シートに血管の細胞が含まれることで分泌が増えたと考えられるといいます。

 ただ、あくまで今回の研究はラットによる実験。今後、より人に近いサイズのブタなどを使って有効性の確認を進めるほか、がん化を含めた安全性を入念に検証する必要があり、臨床応用までには長い道のりがあります。

 山下教授は、「この成果がそのまま治療に使えるわけではなく、まだまだこれからだ。今回は移植した心筋の細胞をかなり心臓に定着させることができたので、将来的に重い心不全の治療につながるのではないか」と話しています。

 最終的には心臓組織シートを製品化して、全国どこの病院でも使えるようにするのが目標といいます。

 2014年10月31日(金)

 

■エボラ出血熱疑いの男性退院、再検査で感染否定 感染者は世界で1・3万人を超える

 西アフリカのリベリアに滞在した後、羽田空港に到着し発熱の症状が確認された男性について、厚生労働省が詳しい検査を再度行った結果、エボラウイルスは検出されず最終的に感染は確認されなかったということです。

 27日の夕方、羽田空港に到着した45歳のカナダ国籍のジャーナリストの男性に発熱の症状が確認され、西アフリカのリベリアに8月18日から約2カ月間滞在していたことから、厚労省はエボラウイルスを含めて何らかの病気に感染していないか、男性を東京都新宿区の国立国際医療研究センターに搬送し詳しい検査を行っていました。

 最初の検査でエボラウイルスは検出されませんでしたが、発熱の症状が出てから日が浅いためウイルスが検出されなかった可能性もあるとして、厚労省は男性を医療機関にとどめて経過を観察していました。その後、再度、行われた検査でもウイルスは検出されず、最終的に感染は確認されなかったため、30日未明に退院したということです。

 厚労省は、「今回男性が自ら西アフリカの滞在歴を申告したため迅速な対応につながった。引き続き検疫態勢を強化してウイルスが国内に入るのを防ぎたい」としています。

 一方、西アフリカを中心に感染が広がっているエボラ出血熱について、世界保健機関(WHO)は29日、感染やその疑いのある人は1万3000人を超えたことを明らかにし、引き続き治療施設の整備など国際社会の支援が急務だとしています。

 WHOによりますと、感染やその疑いのある人は計8カ国で1万3703人で、今月25日に1万人を超えてから一気に3500人あまり増えました。

 また、死者数については、リベリアで感染の疑いがあったものの、検査の結果感染していなかった症例を除外したため、すべての国の集計ではこれまでの発表より2人少ない4920人になったとしています。

 医療従事者の感染者数は521人に達し、半数超の272人が死亡しているといいます。

 29日に会見したWHOのエイルワード事務局長補は、「新しい感染例だけでなく過去の感染例について報告があればそれも加えることもあり、数字が跳ね上がることがある」と説明しました。これまで各国が報告していなかった感染例が多数あり、急増したものとみられます。

 死者数が減少したのは、これまでのデータに誤りがあったことがわかり、修正したためだといいます。リベリアでの死者数がこれまでよりも292人少なかった一方、シエラレオネとギニアでは死者数が計290人増えたといいます。

 2014年10月30日(木)

 

■国内初、人の組織から作った人工弁を移植 大阪大が心臓病患者に

 重い心臓病の患者に、血液の塊ができる合併症などを防ぐ特殊な加工をしたほかの人から提供された心臓弁を移植する、国内で初めての手術を大阪大学附属病院(大阪府吹田市)が行い、患者は27日に退院しました。

 27日には、治療を行った大阪大学医学部附属病院の澤芳樹教授などの医療チームと、手術を受けた35歳の男性が記者会見しました。

 男性は、肺動脈が狭く血流などが悪くなる「ファロー四徴症(しちょうしょう)」という先天性の重い心臓病で、2歳の時に心臓手術を受けました。手術後、経過をみてきましたが、肺動脈の入り口の心臓弁が十分に機能せず、心臓に負荷がかかって拡大している状態でした。

 新たな人工弁を移植する手術は今月16日に実施され、術後の弁機能は良好で、27日に退院しました。

 治療に使われたのは、亡くなった人などから提供された心臓弁から薬剤で細胞を取り除き、コラーゲンなどの骨格部分だけにする「脱細胞化」という特殊な加工をしたもので、移植されると患者本人の血液の細胞が結合するということです。

 これまでの人工弁は、血液の塊の血栓ができやすく、またウシやブタの組織から作った弁はやがて硬くなって機能しなくなります。今回加工した弁では、血栓を防ぐ薬を飲み続けたり、弁を交換したりする必要がなくなるということです。

 この心臓弁はドイツで12年前に開発され、ヨーロッパでは120例ほどの移植手術が行われていますが、国内では初めてです。

 澤教授は、「人工弁に細胞が入ってくることで、あたかも患者さんの元の弁のようになる仕組みで、治療成績が安定し、有望な治療法だ。今後、この治療法を広めていきたい」と話しています。

 手術を受けた男性は、「1回の手術を受けると弁が長く持つということに魅力を感じ手術を受けました。立ちくらみなどの症状もなく体調はいいです」と話していました。

 2014年10月29日(水)

 

■リベリア滞在後、羽田到着の男性、エボラウイルス検出されず

 西アフリカのリベリアに滞在した後、27日に羽田空港に到着し、発熱の症状が確認された男性について、厚生労働省はエボラウイルスを含めて何らかの病気に感染していないか詳しい検査を行った結果、エボラウイルスは検出されなかったということです。

 しかし、男性に症状が出てから日が浅いためにエボラウイルスが検出されなかった可能性もあるとして、厚労省は念のため男性を東京都新宿区の国立国際医療研究センターに3日間程度とどめて経過を観察することにしています。

 厚労省などによりますと、27日午後4時ごろ、羽田空港に到着した男性に発熱の症状が確認されたということです。

 男性は45歳のカナダ国籍のジャーナリストで、西アフリカのリベリアに10月18日まで2カ月間滞在した後、ベルギーやイギリスを経由して、27日に羽田空港に到着したということです。男性は体の不調は訴えていませんでしたが、自らリベリアに滞在していたと申告し、検疫所で熱を測ったところ37度8分の熱があったということです。

 このため、厚労省は同意を得た上で男性を国立国際医療研究センターに搬送するとともに、採取した血液などを東京都武蔵村山市の国立感染症研究所に送り、エボラウイルスを含めて何らかの病気に感染していないか詳しい検査を行っていましたが、検査の結果、エボラウイルスは検出されなかったということです。

 男性はリベリアでエボラ出血熱について取材をしていたということですが、患者などとは接触はしていなかったといいます。現在、男性は平熱に戻り、容体は落ち着いていて、30日の最終的な検査で異常がなければ退院することになっています。

 万が一、感染が確認されていた場合、厚労省は男性と同じ便の全日空機に乗っていたすべての乗客などを対象に、男性と濃厚に接触していないかや健康状態に異常がないか調査を行うことにしていました。

 厚労省はエボラウイルスが国内に持ち込まれるのを防ぐため、今月24日からすべての入国者を対象に、検疫所などでエボラ出血熱の発生国のリベリアなど4カ国に、最長の潜伏期間に当たる過去3週間以内に滞在していないか確認し、感染が疑われる場合は指定医療機関に搬送する対応を取っています。

 エボラ出血熱など感染症の問題に詳しい東北大学の賀来満夫教授は、「エボラ出血熱のような深刻な病気では、リスクのある人を早く見付け出し、念のための対応をしていくことが重要だ。今回は本人の自己申告を基に発熱が確認され検査を行ったというケースで、検疫での対応がうまくいった事例だと思う。結果的には陰性だったが、今後、本当に感染した人が出てきた場合の対応をスムーズに行うための確認にもなった」と評価しています。

 一方で、「今回は羽田空港で疑い患者が出たため、入院先の指定医療機関や検査を行う国立感染症研究所が近くにあり、うまくいったと思うが、今後、地方で疑い患者が出ると検査用の血液を東京まで運ばなければならなかったり、指定医療機関が県内になかったりして対応に手間取ることも考えられる。各地域でしっかり準備をしておくことが必要だ」と指摘しています。

 2014年10月29日(水)

 

■エボラ出血熱疑い、羽田到着の男性を検査 西アフリカのリベリアに滞在

 エボラ出血熱が流行している西アフリカのリベリアに滞在した後、27日夕方、東京都の羽田空港に到着した男性が発熱の症状を訴えました。厚生労働省は、男性を新宿区の国立国際医療研究センターに搬送するとともに、念のためにエボラウイルスを含めて、何らかの病気に感染していないか詳しい検査を行っています。

 厚労省によりますと、男性が滞在先のリベリアでエボラ出血熱の患者などと接触したことは確認されていないといいます。

 厚労省などによりますと、27日午後4時ごろ、羽田空港に到着した男性が発熱の症状を訴えたということです。

 警視庁などによりますと、男性は45歳のジャーナリストで、西アフリカのリベリアに8月から今月18日まで2カ月間滞在した後、ベルギーやイギリスを経由して27日、羽田空港に到着したということです。

 政府関係者によると、男性はロンドン発の全日空機に搭乗していました。全日空によると、乗客190人、乗員16人が搭乗していました。

 男性は体の不調は訴えていませんが、到着時に検疫所で熱を測ったところ、37度8分の熱があったということです。このため、厚労省は、男性を新宿区の国立国際医療研究センターに搬送するとともに、念のために採取した血液などを国立感染症研究所に送り、エボラウイルスを含めて何らかの病気に感染していないか詳しい検査を行っています。

 検査の結果は、28日未明には判明する見通し。

 厚労省は、エボラウイルスが国内に持ち込まれるのを防ぐため、今月24日からすべての入国者を対象に検疫所などでエボラ出血熱の発生国のリベリアなど4カ国に最長の潜伏期間に当たる3週間以内に滞在していないか確認し、感染が疑われる場合は、指定医療機関に搬送しています。

 西アフリカでエボラ出血熱の流行が拡大して以来、日本でエボラ熱が疑われる例が明らかになり、政府が緊急対応したのは初めて。

 会見した塩崎恭久・厚生労働相は、「エボラは接触感染で移る。新型インフルエンザなどと違うということで、冷静に受け止めてもらいたい。万が一を考え、国際医療研究センターに搬送し、検査している」と話しました。

 2014年10月28日(火)

 

■C型肝炎治療薬、厚労省が注意喚起 服用した患者3人が死亡

 昨年12月に発売されたC型肝炎の治療薬を服用した患者のうち、合わせて3人が肝臓などの機能が悪化して死亡していたことがわかり、厚生労働省は、薬の服用との因果関係が否定できないとして製薬会社に対し、直ちに医療機関に注意を呼び掛けるよう指示しました。

 この薬は、東京都千代田区の製薬会社「ヤンセンファーマ」(米ジョンソン・エンド・ジョンソンの全額出資会社)が製造販売するC型肝炎の治療薬「ソブリアード」(一般名・シメプレビル)です。

 厚労省によりますと、ソブリアードはインターフェロンの治療では効果がなかったC型慢性肝炎の患者らが対象で、発売された昨年12月から9月末までに1万9000人近くが服用したと推定されています。これまでに、肝臓や腎臓の機能の悪化の指標となる血液中のビリルビンが8人の患者で大きく上昇し、うち40歳代から60歳代の男女合わせて3人が肝不全や腎不全で、今年に入って死亡していたことがわかったということです。

 このソブリアードには老廃物を分解する肝臓の機能の一部を妨げる副作用があると考えられていることから、厚労省は3人の死亡は薬の服用との因果関係が否定できないとして、ヤンセンファーマに対し直ちに医療機関に注意を呼び掛けるとともに、薬の添付文書を改訂するよう指示しました。

 具体的には、定期的に患者の血液検査を行ってビリルビンの値を測定し、異常が認められた場合は薬の使用をやめることや、患者が体調の不良を感じたり、目や皮膚が黄色くなったり、尿の色が濃くなったりした場合には医療機関の受診を指導するよう求めています。

 ヤンセンファーマは、「今回の事態を重く受け止め、注意喚起を行った上で一層の安全対策を図っていきたい」とコメントしています。

 2014年10月27日(月)

 

■エボラ出血熱、感染者1万人超える 死者は4922人、流行収まる兆しなし

 西アフリカを中心に感染が拡大するエボラ出血熱について、世界保健機関(WHO)は25日、疑い例も含む感染者が1万人を超えたと発表しました。

 西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネを中心に患者が増え続けているエボラ出血熱について、WHOが発表した最新の状況によりますと、10月23日の時点で、感染やその疑いのある人は合わせて1万141人に上り、このうち死者はマリで初めての患者となった2歳の女児を含む4922人に上っています。

 ギニア政府が今年3月にエボラ出血熱の感染拡大を報告してから7カ月で感染者は1万人を超えましたが、西アフリカでは保健当局が把握しきれないケースも多く、実際の感染者の数はさらに多いとみられます。流行が収まる兆しは、みえていません。

 また、西アフリカでは患者の治療に当たる医療従事者の感染も相次いでおり、WHOは感染した医療従事者は450人に上り、このうち半数以上の244人が命を落としたとしています。

 死者が出た西アフリカの国は、新たにマリが加わって5カ国に拡大しました。国別では、リベリアが感染者数4665人、死者数2705人で最多。シエラレオネは感染者数3896人で死者数1281人、ギニアは感染者数1553人で死者数926人でした。

 エボラ出血熱のさらなる感染拡大を防ぐため、西アフリカでの医療態勢の充実に加えて、国際空港や港などでの水際対策の強化も急務となっており、WHOや各国政府は対応に追われています。

 一方、WHOは24日、開発中のエボラ出血熱の感染を防ぐためのワクチンについて、2015年6月末までに数十万人分、同年末までに数百万人分が製造されるとの見通しを示しました。この日の会見で、WHOのキーニー事務局長補が述べました。

 最も開発が進んでいるのは、英国グラクソ・スミスクライン社などによるワクチンと、カナダの政府系研究所などによるワクチンの2種類で、臨床試験の結果が今年12月にも出ます。結果次第で、同月中にもリベリアなどで医療従事者らに接種し効果などをさらに調べます。

 一般人も対象にした大規模なワクチン接種について、キーニー氏は「来年6月より前にはない」との見方を示しました。

 日本では、厚生労働省が24日夜、専門家会議を開き、国内でエボラ出血熱の患者が出た場合に、医師の判断で未承認の治療薬を投与することを認める方針を決めました。有効性が確認されていないことなどを患者に説明し、同意を得るのが前提。未承認の治療薬としては、富士フイルムのグループ会社である富山化学工業が開発したファビピラビル(販売名・アビガン錠)を主に想定しています。

 また、厚労省は同日、全国の30空港の入国管理局と連携し、入国者全員に流行国の滞在歴の確認を始めたほか、医療機関と連携を強化する対策を打ち出しました。

 2014年10月26日(日)

 

■ニューヨークで医師がエボラウイルス陽性反応 ギニアから帰国

 アメリカのニューヨーク市は、発熱などの症状を訴えて、市内の病院に入院した男性医師について、エボラウイルスへの感染を調べた結果、陽性反応が出たと発表しました。

 市は、エボラ出血熱への備えはできているとして、市民に冷静に対応するよう呼び掛けました。

 ニューヨークのデブラシオ市長とクオモ州知事は23日夜、記者会見を開き、発熱などの症状を訴えて市内の病院に入院した33歳の男性医師について、エボラウイルスへの感染を調べた結果、陽性反応が出たと発表しました。

 現在、アメリカの疾病対策センター(CDC)がさらに詳しい検査を行って、確認を急いでいます。確認されれば、アメリカ国内でエボラ熱と診断されるのは4人目。

 市によりますと、この男性医師は国際的なNGO「国境なき医師団」の一員として、エボラ出血熱の感染が拡大する西アフリカのギニアで医療支援活動に携わり、今月17日に帰国したばかりだということです。

 22日には、地下鉄に乗ってボーリング場に出掛けていたということですが、24日の朝に発熱や胃腸の不調などを訴えて、ニューヨーク市内の病院に搬送されました。男性医師が入院している病院は、エボラ出血熱の患者に対応する施設に指定されており、現在、隔離され、治療を受けているということです。

 市は、症状が出た後に、患者の血液などの体液に直接、接触しない限りエボラウイルスに感染しないとしたとした上で、「男性医師が外出した時には、発熱などの症状は出ていない」と述べて、周囲の人が感染するリスクは、低いと説明しました。

 さらに、「我々は、この問題への備えはできている。ニューヨーク市民は不安を抱く必要はない」と述べて、市民に冷静に対応するよう呼び掛けました。

 一方、人口が集中する大都市ニューヨークで初めてエボラ熱の陽性反応を示した患者が出たことを受け、厚生労働省などは24日、検疫所と入国管理局に対し、エボラ熱が流行しているアフリカ4カ国の滞在歴がないか、すべての入国者に確認するよう指示しました。

 検疫を実施している国内30空港で、順次始めます。海外からの入国者は年間2800万人で、このうち成田空港からは1日に、外国人1万6000人を含む4万人が入国しています。

 検疫は自己申告に基づくため、パスポートを検査する入国管理局で注意喚起の文書を示し、過去21日以内にギニア、リベリア、シエラレオネ、コンゴに滞在している場合は申告を促します。検疫を受けていない場合は、検疫所に戻るよう指示します。

 2014年10月24日(金)

 

■溶連菌感染症の患者が増加し、RSウイルス感染症も西日本中心に流行

 子どもを中心に高熱やのどの痛みなどの症状が出る「溶連菌」による感染症の患者が、この時期としては過去11年間で最も多くなっていることから、小児科医などが手洗いやうがいを徹底するなど注意を呼び掛けています。

 「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」、いわゆる溶連菌による感染症は、幼児から小学生ぐらいの子どもがかかりやすく、突然の高熱やのどの痛みなどの症状が出て、まれに腎炎などの合併症を引き起こすこともあります。

 国立感染症研究所によりますと、10月12日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で、新たに溶連菌による感染症と診断された患者は3996人。1医療機関当たりの患者数は、この時期として過去11年間で最も多くなっています。

 患者は8月下旬から主に西日本で増え始め、10月には北海道や岩手県などのほか、東京都や埼玉県などの首都圏でも増え全国的な広がりをみせています。

 このうち、さいたま市の小児科医院でも溶連菌による感染症の患者が訪れ始めています。峯眞人医師は、「例年に比べて、今年は感染者が多い印象だ。溶連菌は飛まつ感染するので、疑いがある場合はすぐに医療機関を受診して感染の拡大を防いでほしい」と話しています。

 小児科医などは冬にかけてさらに患者が増える恐れがあることから、手洗いやうがいを徹底するよう呼び掛けています

 また、乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症も西日本を中心に流行していて、こちらも冬にかけて流行がピークを迎えるとみられることから、国立感染症研究所は手洗いなど対策の徹底を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た症状の出る病気で、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、初めての感染では肺炎や気管支炎を起こして重症化することがあります。

 国立感染症研究所によりますと、10月12日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で、新たにRSウイルス感染症と診断された患者は2946人で、5週連続で3000人近い患者が報告されています。

 都道府県別では、最も多いのが大阪府で285人、次いで福岡県が244人、東京都が236人、熊本県が197人などとなっていて、西日本を中心に患者の多い状態が続いています。

 RSウイルス感染症の流行は、例年12月から1月にかけてピークを迎えることから、患者数は、今後さらに増えるとみられます。

 国立感染症研究所の木村博一室長は、「生後6カ月未満の赤ちゃんは症状が急激に悪化して気管支炎や肺炎になりやすいので、家族が移さないように気を付け、かかった場合は状態をよく見てあげてほしい。また老人ホームなどでは集団感染の原因にもなるので、手洗いなど対策の徹底が大切だ」と話しています。

 2014年10月23日(木)

 

■エボラ出血熱、日本の薬を実験投与 ギニアで仏の医療チーム

 フランスの国立保健医療研究所は21日、西アフリカのギニアでエボラ出血熱の感染者に日本の製薬会社が開発したインフルエンザ治療薬を投与し、効用や一定量以上を投与した場合の人体への影響などを調べる臨床試験を11月中旬から開始すると発表しました。

 薬は、富士フイルムのグループ会社である富山化学工業が開発したファビピラビル(販売名・アビガン錠)。フランスではエボラ熱に感染した女性看護師がファビピラビルなどを投与されて治癒し、その効果に注目が集まっていました。

 同研究所のミュルグ副所長は、「西アフリカで行われる初めての臨床試験を通じ、アフリカの人たちが早く薬を使えるようにしなくてはならない」と述べ、エボラ出血熱が流行する西アフリカでファビピラビルの臨床試験が行われることの意義を強調しました。

 臨床試験はギニア南部の治療施設で、およそ50人の患者への投与から始め、来年1月ごろには最初の結果が出る見通しです。そして、治療に効果が期待できると判断されれば、来年2月以降より大規模な臨床試験を行って効用や安全性を確認したい考えです。

 一方、富士フイルムは20日、エボラ出血熱の感染者に緊急的に使われているファビピラビルを追加生産すると発表しました。感染がさらに広がった場合に備えて、約30万人分を錠剤にするといいます。

 ファビピラビルは日本では3月にインフルエンザの薬として承認され、ほかの治療薬では効果が十分でない場合などに政府の要請で生産することになっています。

 エボラ熱では未承認の薬ですが、今回の感染の広がりを受けて世界保健機関(WHO)がエボラ熱にも効く可能性があるとして患者への投与を容認。9月以降に、西アフリカでエボラウイルスに感染した後フランスに帰国して治療を受けた女性看護師や、スペインで2次感染した看護助手などに緊急の対応として投与されました。

 フランスの看護師は退院し、スペインの看護助手も回復しつつあるということですが、治療に当たってはほかの未承認薬などと併用して投与されることも多く、このファビピラビルがエボラ出血熱に効果があるのかはまだはっきりとはしていません。

 富士フイルムは現時点で2万人分の錠剤を保有していますが、追加生産は11月半ばから、富山化学工業の富山市内の工場で始めます。ギニアで11月中旬に始まる臨床試験には、無償で提供する方針です。

 治療薬の開発に向けては、WHOも、イギリスのオックスフォード大学やNGOの国境なき医師団などとともに、早ければ来月にも西アフリカで臨床試験を始めたい考えで、現在、臨床試験を行う薬について検討を進めています。

 WHOでは、エボラ出血熱の感染拡大のペースがこのまま続けば、12月には毎週およそ1万人が新たに感染する恐れもあるとみており、エボラ出血熱の治療薬やワクチンの早期の開発に向けて臨床試験の結果が注目されています。

 2014年10月22日(水)

 

■産科医療、地方で厳しい態勢続き、10年後に医師急減 日産婦など試算

 全国の産科の医師の勤務実態について日本産科婦人科学会(日産婦)と日本産婦人科医会(日産婦医会)が調べたところ、地域ごとの医師の数に差があり、福島県など全国9つの県では産科医療の厳しい態勢が続くと見込まれることがわかりました。

 この調査は日産婦と日産婦医会が行ったもので、今年3月時点の全国の産科の医師の数や年齢、それに医師1人当たりのお産や手術の数など6項目を調べました。

 その結果、人口10万人当たりの産科の医師の数は、茨城県が最も少なく4・8人、続いて福島県が5人、埼玉県が5・3人と、全国平均の7・6人を下回り、最も多い東京都や沖縄県の11・1人の半分に届きませんでした。

 また、地域医療の将来を担う35歳未満の若手の産科の医師の数をみますと、いずれも人口10万人当たりで福島県が最も少なく0・8人、続いて石川県が1人、新潟県と岐阜県が1・1人などと、全国平均の2人を下回っていました。

 6つの項目すべてで全国平均を下回ったのは、福島県、千葉県、岐阜県、和歌山県、広島県、山口県、香川県、熊本県、大分県の9つの県で、これらの県は現在、産科医療の態勢が厳しく、今後もすぐに改善することは難しいとみられるということです。

 また、調査によると、全国の産婦人科の医師は今年3月時点で1万5990人、うち産科の医師(分娩医)は約61%、9702人でしたが、10年後の2024年には、産科の医師が石川県と福島県で20パーセント以上減るなど、27府県で減少するといいます。

 高齢の医師が退職時期を迎える一方で、後継者となる若手の医師が少ないためです。産科の医師の退職時期を現状に基づき65歳と仮定し、今後10年間で65歳以上になる人数と、新たに産科の医師になる人数の推計を差し引きました。新たに産科の医師になる人数は、過去8年間の都道府県ごとの実績を1・25倍し、今後10年間の推計としました。

 その結果、10年後は全国で医師が6・9パーセント増えるといいます。しかし、西日本を中心に半数を超える27府県で減少。石川県が25・8パーセント減、福島県が20・2パーセント減となるほか、宮崎県、大分県、島根県、岐阜県、三重県など9県が10~20パーセント減ります。

 一方、増えるのは東京都(32・2パーセント)、大阪府(17・6パーセント)、兵庫県(14・6パーセント)など19都道府県。しかし、うち13道県は10パーセント以下の増加率にとどまり、大きく伸びるのは大都市圏が中心です。

 調査を行った日本医科大学の中井章人教授は、「産科の医師が現場から去っていき、今後、医療崩壊が起きる県も出てくるのではないかと懸念している。この結果を基に、各自治体はそれぞれの状況に合わせた対策を考えてほしい」と話しています。

 2014年10月20日(月)

 

75歳以上の医療保険料特例措置の廃止へ向け、厚労省が案提示 865万人が負担増

 厚生労働省は15日、高齢化で増大が避けられない医療費に関して、2016年度から実施を目指す負担増や抑制策の全体像を社会保障審議会医療保険部会に示しました。

 所得が少ない75歳以上の高齢者の保険料を安くする特例措置を、段階的に廃止することが柱です。また、厚労省はこの日、人口減少などに応じて公的年金額の伸びを抑制する制度について、社会保障審議会年金部会に諮り、大筋で了承を得ました。早ければ来年度からの抑制を目指します。

 厚労省が示した負担増の全体像は、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の見直し案が核で、低所得の高齢者を中心に全加入者約1600万人の半数に当たる約865万人が負担増となる内容。

 後期高齢者医療制度の保険料には、加入者全員が負担する「均等割」(全国平均月3750円)と、年金などで153万円を超える年収がある人だけが払う「所得割」があります。均等割に関しては現在、年収80万円以下の高齢者は9割、80万円超~168万円以下の高齢者は8・5割を軽減する特例措置があります。

 厚労省は特例措置を段階的に廃止し、本来の7割軽減に戻す方針。少子高齢化で現役世代の負担が重くなる中、高齢者にも支払い能力に応じた負担を求めて世代間の公平性を高める狙いがあります。

 厚労省が示した影響額の試算によれば、年金収入が年80万円以下の一人暮らしの高齢者の場合、現在の保険料は9割軽減の月額370円。特例措置が廃止されると7割軽減になり、月1120円に上がります。

 さらに、二人暮らしの夫婦でともに年金収入が年80万円以下の場合、現在は保険料負担は9割軽減され、二人で月740円。特例措置がなくなり7割軽減になると、月2240円に上がるといいます。

 2014年10月18日(土)

 

■デング熱で閉鎖の新宿御苑、17日に再開 蚊が大幅に減り、ウイルスも検出されず

 デング熱の国内感染の影響で閉鎖していた新宿御苑(東京都新宿区、渋谷区)について、環境省は17日から全域で施設利用を再開することを決めました。

 殺虫剤の散布や幼虫駆除、気温の低下で園内の蚊が大幅に減り、採取された蚊からもウイルスが検出されなくなったため。

 新宿御苑は、近くの代々木公園周辺でデング熱に感染した人が見付かったことを受け、9月7日から臨時に閉鎖。その後の調査でデングウイルスが検出されたため、殺虫剤の散布などを行っていました。週1度、蚊を採取してデングウイルス検査も行ってきましたが、9月26日を最後にウイルスは検出されていません。

 一方、東京都は16日、9月4日から大半を閉鎖中の代々木公園(渋谷区)で15、16両日はデングウイルスを媒介する蚊を1匹も採取できなかったと発表しました。気温の低下や雨が原因とみられます。

 都は10月中は閉鎖と蚊の採取を続け、利用再開を慎重に判断する方針といいます。

 2014年10月16日(木)

 

■エボラ2次感染、日本病院会が注意喚起 発熱患者には流行地への渡航歴確認を

 西アフリカを中心に患者が増え続けているエボラ出血熱の治療に当たっていた医療従事者が感染するケースが相次いだことを受け、全国の病院で作る団体は、万が一、日本国内で患者が確認された場合に医療従事者への2次感染を防ぐため、加盟する病院に注意を呼び掛けています。

 世界保健機関(WHO)によりますと、エボラ出血熱に感染したか、感染の疑いのある人は、リベリア、シエラレオネ、ギニア、ナイジェリア、セネガルの西アフリカに、アメリカとスペインを加えた7カ国で8997人に上り、このうち4493人が死亡しています。医療従事者の感染も深刻で、これまでにリベリアやシエラレオネを中心に427人が感染し、このうち半数以上の236人が死亡しています。

 このため全国のおよそ2400の病院で作る「日本病院会」は、万が一、国内で患者が確認された場合に医療従事者への2次感染を防ぐため、加盟する病院に注意を呼び掛ける文書を出しました。

 この中では、エボラウイルスの潜伏期間は最大で21日とされていることから、発熱している患者を診察する場合には、リベリアやギニアなど西アフリカの流行地域に3週間以内に渡航していないかを確認し、渡航歴がある場合はエボラ出血熱の可能性も考慮して、保健所に対応を相談するよう求めています。

 注意喚起の文書は、日本病院会の感染症対策委員会がまとめたもので、エボラ出血熱が「エボラウイルスが日本に入ってくるリスクは低い」としながらも、アメリカとスペインでも患者が出ていることを指摘した上で、「日本でも同様な状況が起こることを想定し、日々の診療における備えを確認する必要がある」としています。

 厚生労働省も、エボラ出血熱に感染したことが疑われる患者が発生した場合の連絡体制や、特定・第1種感染症指定医療機関への患者の搬送などの手続きについて、全国の自治体に周知しています。

 2014年10月16日(木)

 

■米テキサス州で2人目のエボラ感染、検査で陽性 12月の初めには、週1万人に感染の恐れ

 アメリカ南部のテキサス州は、エボラ出血熱の患者の治療に関わった医療従事者1人に、新たにエボラウイルスの感染を調べる検査で陽性反応が出たことを明らかにし、2人目の2次感染のケースとみて確認を急いでいます。

 アメリカでは、テキサス州ダラス市内のテキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院で、エボラ出血熱で死亡したリベリア人男性の治療に関わった26歳の女性看護師がエボラウイルスに感染し、現在治療を受けています。

 テキサス州の保健当局は、この女性看護師と同じテキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院で働く別の医療従事者1人が14日、発熱を訴えたため、エボラウイルスに感染しているか検査したところ、陽性反応が出たことを明らかにしました。

 この医療従事者も死亡したリベリア人男性の治療に関わっていたということで、保健当局は2人目の2次感染のケースとみて、この医療従事者を即座に病院で隔離したといいます。

 保健当局は、この医療従事者の性別や、リベリア人男性の治療に関わり監視対象になっていた76人の医療従事者に含まれているかどうかは、明らかにしていません。

 一方、世界保健機関(WHO)は14日、西アフリカや欧米で広がるエボラ出血熱について、12月の初めには1週間当たりの新たな感染者数が、現在の10倍に当たる1万人に急増する恐れもあると警告し、国際社会に対策を急ぐよう求めました。

 WHOのブルース・エイルワード事務局長補は、現実的な予測値として「現在の1週間当たりの新規感染1000人程度が、12月の第1週までに、1週間当たりの新規感染5000人から1万人に達する可能性がある」との見解を述べました。

 リベリア、シエラレオネ、ギニアの西アフリカ3カ国で過去最悪規模の感染拡大が続く中、エイルワード事務局長補は最新の統計値として、エボラウイルスの感染者として登録された患者数は疑い例を含め8914人で、うち4447人が死亡したとしています。

 WHOは、エボラ出血熱の感染拡大を「現代で最も深刻な」公衆衛生上の危機と位置付けています。国連(UN)では間もなく、各国首脳が出席して対策会合の「国連エボラ緊急対応ミッション」が開かれることになっています。

 現在、エボラ出血熱に有効な治療薬や予防のためのワクチンはありません。脱水症状には点滴、出血による貧血には輸血というように、それぞれの症状に応じた対症療法でしのいでいるのが現状です。

 ワクチンについては、アメリカやカナダなどで開発が進められ、治療薬についても日本の会社が開発した薬などが試験的に患者に投与された例はあります。ただ、専門家によりますと、薬の安全性や有効性は最終的に確認されておらず、数も限られているものが多いということです。

 2014年10月15日(水)

 

■ドイツでもエボラ出血熱感染者が死亡 リベリアから搬送のスーダン出身男性

 西アフリカのリベリアでエボラ出血熱に感染した国連職員の男性が、搬送先のドイツの病院で死亡しました。ドイツでエボラ出血熱による死者が出たのは、初めてです。

 これは男性を治療していたドイツ東部のライプチヒの聖ゲオルク病院が14日、明らかにしたものです。

 亡くなったのは、国連職員としてリベリアで医療活動をしていたスーダン出身の56歳の男性で、今月9日に特別機でライプチヒの聖ゲオルク病院に搬送され、集中治療を受けていました。

 ドイツでは、西アフリカからほかに2人の患者が搬送されて、エボラ出血熱の治療を受け、このうち8月にハンブルクの病院に入院したセネガル人患者は回復し、すでに退院しています。もう1人は、フランクフルトの病院で治療中。

 スペインとアメリカでは、西アフリカで感染し、帰国後死亡したエボラ出血熱の患者の治療に当たっていた医療従事者が、防護服や手袋などを着用していたにもかかわらず、エボラ出血熱に感染したことが10月に入って相次いで明らかになりました。

 このうち、アメリカ南部のテキサス州ダラスのテキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院で感染した26歳の女性看護師について、疾病対策センター(CDC)は、人工透析などの治療で患者の体液と接触した可能性もあるとして、防護服や手袋を脱ぐ際の手順などに不備がなかったか詳しく調べています。

 アメリカでは、今回の問題を受けて、看護師の団体から感染を防ぐための訓練が十分に行われていないと批判する声があがるなど、不安が広がっています。

 CDCのフリーデン所長は13日会見し、医療現場での感染を未然に防ぐため、ガイドラインの周知を徹底させるほか、医療従事者への訓練の充実などに全力を挙げる考えを示しました。

 また、スペインでも医療従事者の間で不安が広がっていることを受けて、医師や看護師に加え救急隊のメンバーなども対象にした訓練が近日中に行われる予定で、医療機関内での感染をどう防ぐのかが大きな課題となっています。

 2014年10月14日(火)

 

■米国内で初のエボラ熱感染を確認 死亡患者を治療の女性看護師

 米疾病対策センター(CDC)は12日、南部テキサス州ダラスのテキサス・ヘルス・プレズビテリアン病院でリベリア人男性のエボラ出血熱治療に関わっていた看護師の女性が、エボラ熱に2次感染しているのを確認したと発表しました。

 スペインの例と同様に治療中の院内感染で、米国内でエボラ熱の感染が起きたのは初。診断例としては、リベリアで感染しダラスの同病院で8日に死亡したリベリア人男性に続き2例目です。

 病院幹部らによると、看護師の女性は防護服を着用してリベリア人男性の治療に当たっていたといいます。10日夜、軽い発熱の症状が出て隔離され、簡易検査を受けたところ陽性の反応が出たため、CDCがより詳しい検査を行い、感染を最終確認しました。現在、女性の容体は、安定しているといいます。

 CDCのフリーデン所長は、「感染防護策に明らかな誤りがあった。ほかの医療スタッフの感染も懸念される」と指摘。事態を重く見たオバマ大統領は、早急な原因究明をCDCに指示するとともに、保健当局に万全の感染対策を取るよう求めました。

 米メディアによると、CDCは、死亡したリベリア人男性と接触があった可能性がある約100人を特定。その後、48人に絞って健康状態の観察を続けています。そのうち、男性と同居していた女性や病院搬送した救急隊員ら約10人が直接接触した疑いが強いとされていました。2次感染した看護師の女性が観察対象になっていたかどうかは、明らかになっていません。

 一方、世界保健機関(WHO)は10日、西アフリカを中心に大流行中のエボラ出血熱について、欧米も加えた計7カ国における疑い例も含む死者数が4033人、感染者数が8399人に達したと発表しました。医療従事者の死者も233人に達しています。

 9月5日に死者2000人を超えてから、わずか約1カ月で倍増し、死者は4000人を超えました。

 データは8日現在で、国別では、リベリアが死者数2316人、感染者数4076人で最多。シエラレオネは死者数930人で感染者数2950人、ギニアは死者数778人で感染者数1350人。また、米国は死者数1人で感染者数1人、スペインは感染者数1人でした。

 一方、感染拡大がすでに収まっているナイジェリアは死者数8人で感染者数20人、セネガルは感染者数1人と、これまでと変わっていません。

 2014年10月13日(月)

 

■体力や運動能力、子どもの低水準続く 高齢者は向上続く

 子どもの体力や運動能力はピークだった1985年ごろに比べて低い水準にとどまっている一方、高齢者はこの10年余り向上し続けていることが文部科学省の調査でわかりました。

 この調査は東京オリンピックが開かれた1964年度から文部科学省が毎年行っており、50回目となる昨年度は6歳から79歳までのおよそ7万4000人が対象となりました。

 調査はボール投げや握力、50メートル走などの種目で行われ、このうち小学6年生のソフトボール投げの平均は男子が28メートル41センチ、女子が16メートル85センチで、この50年で男子でおよそ5メートル、女子で2メートル近く短くなっています。

 また、小学6年生の50メートル走の平均は男子が8秒9、女子が9秒12で、50年前より速いものの、ピークと比べると男子で0秒3、女子で0秒22遅くなっています。子どもの体力や運動能力は1985年ごろをピークに低迷し、この10年余りは緩やかに回復する傾向にあるものの、依然として低い水準にとどまっています。

 一方、65歳以上の高齢者は男女ともに、ほとんどの種目で記録が向上し続けています。

 6分間にどれだけの距離を歩くことができるかを見る種目では、70歳から74歳の男性で610メートル29センチと、この種目の調査を始めた1998年より43メートル余り伸びたほか、同じ年齢層の女性は568メートル96センチで、50メートル近く伸びました。また、握力は75歳から79歳の男女ともに、1998年の記録をおよそ1・5キロ上回っています。

 結果を分析した順天堂大学大学院の内藤久士教授は、「日本国内でオリンピックが開かれると運動への関心が高まり、体力や運動能力が向上する傾向にある。6年後に向けて、スポーツ習慣が広がることを期待したい」と話しています。

 2014年10月12日(日)

 

■国民医療費、6年連続で過去最高を更新 総額39兆2000億円、1人当たり31万円弱

 厚生労働省は10月8日、「2012年度国民医療費の概況」を発表しました。それによると、2012年度の国民医療費の総額は、前年度比6267億円(1・6パーセント)増の39兆2117億円となり、6年連続で過去最高を更新しました。

 国民医療費は、その年度内に医療機関などで保険診療の対象となる病気やけがの治療にかかった費用の推計。高齢化の進展に加え、診療報酬の高い高度な検査機器の普及など医療技術が進歩し、国民医療費が膨らみました。ただ、最近5年間の2〜3パーセント台の伸び率に対し、2012年度は1パーセント台に縮小。

 厚労省は、入院日数、受診日数が減少傾向にあることが主な要因と分析しています。国民医療費が国民所得に占める割合は、11・17パーセントでした。

 1人当たりの国民医療費は、前年度比5600円(1・9パーセント)増の30万7500円となり、同じく6年連続で過去最高を記録。年齢別に見ると、65歳未満は前年度比2300円(1・3パーセント)増の17万7100円、65歳以上は前年度比3700円(0・5パーセント)減の71万7200万円となり、約4倍の開きがありました。

 国民医療費の総額を年齢階級別にみた場合、0~14歳は2兆4805億円(構成比6・3パーセント)、15~44歳は5兆2068億円(構成比13・3パーセント)、45~64歳は9兆4384億円(構成比24・1パーセント)、65歳以上は22兆860億円(構成比56・3パーセント)となりました。

 制度区分別にみると、「公費負担医療給付分」は2兆8836億円(構成比7・4パーセント)、「医療保険等給付分」は18兆5826億円(構成比47・4パーセント)、「後期高齢者医療給付分」は12兆6209億円((構成比32・2パーセント)、「患者等負担分」は4兆9296億円(構成比12・6パーセント)となりました。

 財源別では、国と地方を合わせた公費は15兆1459億円(構成比38.6%、前年度比2・3パーセント増)、うち「国庫」は10兆1138億円(構成比25・8パーセント)、「地方」は5兆321億円(構成比12・8パーセント)。国民や企業が負担する保険料は19兆1203億円(構成比48・8パーセント、前年度比2・0パーセント増)、うち「事業主」は7兆9427億円(構成比20・3パーセント)、「被保険者」は11兆1776億円(構成比28・5パーセント)。また、その他は4兆9455億円(構成比12・6パーセント)、うち「患者負担」は4兆6619億円(構成比11・9パーセント、前年度比1・7パーセント減)となりました。

 2014年10月11日(土)

 

■肥満による乳がんリスク最大2・25倍に 国立がん研究センターが発表

 国立がん研究センターは10月7日、日本人女性を対象とした研究で、肥満と閉経状況別の乳がんの関連性について確認したと発表しました。

 この成果はがん予防・検診研究センターの笹月静・予防研究部長らの研究グループによるもので、ヨーロッパのがん専門誌「Annals of Oncology(腫瘍学)」にて発表されました。

 今回の研究では、調査開始時点でがんの既往歴がない35歳以上の日本人女性計18万3940人のデータを解析し、体重(キログラム)を身長(メートル)で2回割った体格指数で肥満度を示す「BMI」と乳がんとの関連を閉経状況別に推定。平均約12年の追跡期間中に乳がんになった1783人について、診断時の状況に応じて閉経前乳がん(301人)と閉経後乳がん(1482人)に分類し、BMIによる乳がんリスクを比較しました。

 閉経前、閉経後ともにBMIが大きくなるほど乳がんリスクが高くなり、閉経前ではBMIが最も大きなグループ(30以上)でのリスクは基準値のグループ(23以上25未満)の2・25倍でした。一方、閉経後ではBMIが1上昇するごとに乳がんリスクが5パーセント上昇するという直線的な関連性が認められました。

 BMIと乳がんリスクの関連性については、これまで主に欧米の研究成果から、閉経後の乳がんではBMIが大きなリスクとなることが示されており、逆に閉経前の乳がんでは予防的であるという弱い関連が報告されています。しかし、アジア人においてBMIと乳がんの関連がどのようになっているのか、特に閉経前のBMIと乳がんとの関連性は明らかにされていませんでした。

 今回の研究によって、日本人においては乳がん予防の観点からはやせているほうがリスクが低いことが示されましたが、やせすぎると免疫力が弱まり、感染症を引き起こすほか、血管壁がもろくなり脳出を起こしやすくなります。

 そのため、国立がん研究センターがん予防・検診研究センターでは、「健康全般に配慮すれば、中高年女性のBMIの目標値は21以上25未満を推奨」としてしています。

 2014年10月10日(金)

 

■アスベスト健康被害、国の責任を認める 最高裁が初めて判断

 大阪府南部の泉南地域のアスベスト(石綿)加工工場の元従業員とその遺族89人が、規制の遅れで肺がんになったなどとして国に賠償を求めた2件の集団訴訟で、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)は9日、規制権限を行使しなかった国の対応を違法とする判決を言い渡しました。

 小法廷は、「健康被害の医学的知見が確立した1958年時点で規制すべきだった」と述べました。アスベストの健康被害を巡って最高裁が国の責任を認めたのは初めてで、各地で起こされている同様の訴訟にも影響を与えそうです。

 元従業員は1、2陣に分かれて集団提訴。1審はいずれも勝訴しましたが、2審の大阪高裁で国の責任の有無について判断が分かれ、双方が上告していました。

 小法廷はまず、「労働環境を整備し、生命、身体に対する危害を防止するため、国は技術の進歩や医学知識に合うよう適時・適切に規制権限を行使すべきだ」との枠組みを示しました。

 その上で、粉じん排気装置の設置義務化(1971年)、粉じんの濃度規制強化(1988年)、防じんマスク着用義務化(1995年)の3点について、時期が適切だったか検討。

 排気装置の設置については「1958年には実用的な技術も普及しており、義務化が可能だった」と指摘し、設置義務化が13年遅れた点を認めました。

 一方で、濃度規制については「1988年以前から専門的知識に基づき一定の規制がされていた」、マスク着用につては「石綿工場の粉じん対策としては補助的手段に過ぎない」として、いずれも元従業員側の主張を退けました。

 裁判官5人全員の意見が一致。これにより、2審の2陣54人の勝訴が確定し、計約3億3200万円の賠償を国に命じました。2審敗訴の1陣28人については、賠償額を確定させるために審理を差し戻しました。審理を経て勝訴が確定します。

 1971年以降に作業に従事した7人については、国の責任はないとして敗訴が確定。7人のうち、濃度規制強化とマスク着用義務化の遅れを理由に賠償が認められていた2陣の1人は、逆転敗訴となりました。

 1審判決は1陣で約4億3500万円、2陣で約1億8000万円の賠償を命じました。2審判決は1陣が「厳しすぎる規制は産業社会の発展を阻害する」として国の責任を否定して原告の逆転敗訴とした一方、2陣は国の責任の範囲を拡大し、賠償額を約3億4500万円に増額していました。

 アスベスト(石綿)は繊維状の天然鉱物。耐火材や断熱材として使用されました。吸い込むと中皮腫や肺がんを発症する恐れがあるため、2012年に使用が全面禁止されました。潜伏期間は数十年に及びます。厚生労働省によると、中皮腫だけで2013年までの10年間に1万1000人余が死亡し、死者は年々増え続けています。

 2014年10月10日(金)

 

■中国・広東省でデング熱の流行拡大止まらず 広州市だけで患者が2万人突破

 中国の広東省では依然として、デング熱の流行が拡大し、感染者(発症者)の増加が続いています。感染者が最も多い省都の広州市では、2014年の累計感染者数が2万人を超えました。

 広東省政府・衛生と計画出産委員会によると、全省で新たにデング熱感染が確認された人は10月1日に1189人、2日は1349人、3日は1215人、4日は1279人、5日は1431人、6日には1661人と増加し続け、7日は新たに1403人の感染が確認されて、全省における累計感染者は2万4489人。

 省都の広州市では7日、新たに1218人の感染が確認され、累計感染者数が12万788人に達しました。同市では、これまでにデング熱患者5人が死亡しました。仏山市でも1人が死亡しています。

 7日に確認された感染者が10人を超えたのは仏山市の91人(累計2176人)、中山市の18人(累計352人)、珠海市の11人(累計188人)、肇慶市の16人(累計107人)、湛江市の13人(累計77人)。深セン市では7日の感染確認が8人で、累計では108人になりました。

 デング熱の流行拡大の大きな原因が、建物外でのごみの放置とされています。広州市政府は5日までに、「愛国衛生運動」として、市内の徹底的な清掃と蚊の駆除を開始。市民や各職場に対して、「ごみや放置されている不要物を処理する」、「不要な穴は埋める」、「側溝などを掃除して水が流れるようにする」ことなどを求め、市民に「蚊の駆除をしっかりしよう。自分個人の身を守ろう」と呼び掛けました。

 中国大陸部で、広東省以外ではデング熱の大規模な流行は伝えられていません。

 台湾では、デング熱の大規模な流行が発生しており、7日までに全土における感染者が4000人を突破しました。

 流行の中心地である高雄市では、7日時点の感染確認者が1963人と発表され、2014年通年の感染者数は5000人以上になる恐れがあるといいます。高雄市では、軍の化学部隊も蚊の駆除のための殺虫剤噴霧作業に加わりました。

 2014年10月8日(水)

 

■兵庫県西宮市でデング熱、西日本で初確認 感染者は18都道府県の157人に

 兵庫県の西宮市保健所は7日、同市内の女子大生(19歳)がデング熱に国内感染したと発表しました。

 ウイルスの遺伝子配列が東京都渋谷区の代々木公園での感染例と一致。女子大生は東京周辺を訪れておらず、同保健所は別の感染者が都内から西宮市に移動し、蚊を介して女子大生に感染した可能性が高いとみています。西日本で感染が確認されるのは初めて。

 デング熱はヒトスジシマカなどが媒介し、人から人に直接感染はしません。厚生労働省によると、国内感染者は7日までに18都道府県の157人になりました。静岡県の1人を除いて、すべて代々木公園を中心に蔓延した感染例といいます。

 西宮市内の女子大生は9月28日に高熱や筋肉痛などを発症し、10月1日に同市内の医療機関を受診して入院。同保健所の簡易検査で感染疑いがあるとされ、国立感染症研究所(東京都)に確定検査を依頼していました。女子大生は重症ではなく、快方に向かっています。

 9月10~16日にマレーシアへの渡航歴があるものの、帰宅以降、西宮市外には出ておらず、「9月22日に複数回、自宅で蚊に刺された」と話しているといいます。

 西宮市は7日夕、女子大生宅周辺で蚊を採取し、8日に兵庫県立健康生活科学研究所(神戸市兵庫区)にウイルス検査を依頼する予定。同日朝から周辺の半径約200メートルで殺虫剤を散布します。

 西宮市保健所によると、同市内でほかに感染者は確認しておらず、「二次感染の可能性は低く、市民には冷静に対応してほしい」としています。

 西日本でも感染場所が確認されたことについて、厚労省の担当者は「全国どこでも感染する可能性はある」と指摘。「ウイルスを媒介するヒトスジシマカは10月下旬で活動を終える。蚊のシーズンが終わるまで長袖を着るなど対策を取ってほしい」と話しています。

 また、厚労省は7日、東京都台東区の都立上野恩賜公園で蚊に刺された都内の50歳代女性がデング熱に感染したと発表。東京都は同日、同公園の蚊の駆除を実施しました。

 2014年10月8日(水)

 

■エボラ出血熱、日本の薬投与のフランス人女性が回復 ドイツで2例目の投与も

 フランス政府は4日、エボラ出血熱の患者として初めて日本企業が開発した薬を投与されていたフランス人の女性が回復し、退院したと発表しました。

 この女性は、西アフリカのリベリアで、国境なき医師団(MSF)のボランティアとして医療活動中にエボラウイルスに感染し、フランスに帰国して9月19日から治療を受けていたフランス人の若い看護師で、エボラ出血熱の患者としては初めて、富士フイルムのグループ会社、富山化学工業が開発したインフルエンザの治療薬「ファビピラビル(商品名・アビガン錠)」の投与を受けていました。

 このファビピラビルは、エボラ出血熱の治療薬としては未承認ながらその効果が見込めるとされていて、アメリカ、カナダの製薬会社が開発した2種類の未承認薬と併用する形で投与され、フランスの保健省は4日、女性は回復し、退院したと発表しました。看護師の身元は明らかにされていません。

 ただ、今回の患者の回復が薬の効果によるものかは明らかにしていません。

 エボラ出血熱やその疑いで死亡した患者が西アフリカで3400人を超え、感染が広がり続ける中、各国の企業や研究機関は治療薬やワクチンの開発や臨床試験を急いでおり、フランスの医療研究チームは来月、ギニアで、ファビピラビルの患者への試験的な投与を行う予定です。

 一方、フランス人女性に続いて2例目となるファビピラビルの投与が、ドイツの大学病院で治療を受けているウガンダ人のエボラ出血熱の患者に、施されたことが6日、わかりました。ほかの薬と併用する形ではなく、初めて単独で投与されたということです。

 ファビピラビルの提供は、富山化学工業側がドイツの大学病院から要請を受けたもので、重い副作用を引き起こす可能性があることから、日本政府と協議した結果、緊急対応として行ったとしています。

 2014年10月6日(月)

 

■デング熱感染者154人に 新たな1人は川崎市の緑地など訪問

 東京都は4日、海外渡航歴のない東京都内の20歳代男性がデング熱を発症したと発表しました。デング熱に国内感染したのは、17都道府県で154人となりました。

 東京都内の男性は発症前日の9月28日に、東京都世田谷区と神奈川県川崎市で蚊に刺されていたことから、両自治体は蚊のウイルス保有調査などの対策を始めました。

 東京都によると、男性は代々木公園などこれまで感染場所と推定された場所を訪れていないといい、感染場所は不明。症状は安定しているといいます。

 男性は、刺されるとウイルスが蚊に伝わる恐れがある発症前日に、東京都世田谷区深沢2丁目と、川崎市川崎区の公園「白石町緑地」を訪れ、蚊に刺されていました。

 潜伏期間が3~7日間あるため、発症前日に訪れた深沢2丁目や白石町緑地で蚊に刺されたことが感染の原因である可能性は低いとみられますが、蚊がデングウイルスを保有している可能性があるため、世田谷区は付近で蚊の調査と駆除を行って住民に注意喚起し、川崎市は調査とともに、公園を閉鎖する措置を取りました。

 蚊は感染者を刺すと体内でウイルスを増殖させ、次に吸血した人を感染させます。しかし、ウイルス増殖には数日かかるため、川崎市は「10月4日までに付近で蚊に刺されていても感染の心配はない」としています。

 2014年10月5日(日)

 

■生体子宮移植を受けた女性が出産に成功 世界初、スウェーデンで

 スウェーデンのイエーテボリで先月、世界で初めて、生体子宮移植手術を受けた女性が出産に成功していたことがわかりました。

 イギリスの医学専門誌ランセットが4日に伝え、不妊に悩む女性たちにとって、画期的な出来事だと指摘しています。

 ランセット誌によると、妊娠高血圧腎症を発症した36歳のスウェーデン人女性が、妊娠31週で帝王切開により男の子を出産。新生児の出生時の体重は1775グラムで、母子ともに健康で、すでに退院しているといいます。

 女性は遺伝的な要因により、先天的に子宮がないものの、卵巣は正常に機能しています。家族の友人であり、7年前に閉経した61歳の女性から子宮の提供を受けて昨年、生体子宮移植手術を受けました。

 移植手術から約1年後に、自身の卵子と夫の精子を体外受精させ、初期胚1個を子宮に移植したところ、3週間後に妊娠が確認されたといいます。胎児の心拍に異常が出たことから9月、帝王切開で出産しました。

 ランセット誌によると、手術を担当したスウェーデンのイエーテボリ大学のマッツ・ブレンストレム教授は、「今回の成功は、10年以上に及ぶ徹底的な動物を使った研究と外科訓練の結果であり、不妊症に苦しむ世界中の数多くの若い女性の治療に可能性を開くものだ」と述べ、「我々のチームは、閉経後のドナーからも生体子宮移植が実行可能であることを示した」と語りました。

 ブレンストレム教授によると、女性のほかに、生体子宮移植を受けた7人が妊娠中といいます。

 生体子宮移植による妊娠は、トルコで昨年成功しましたが、その後、流産しました。

 2014年10月5日(日)

 

■エボラなど危険感染症、血液の強制採取も可能に 政府、改正感染症法案提出へ

 政府は2日までに、感染症法の改正案を今国会に提出する方針を固めました。

 約70年ぶりのデング熱の国内感染や、西アフリカでのエボラ出血熱の流行を踏まえ、感染症の情報収集や検査体制の強化のため、エボラ出血熱や結核、新型インフルエンザなど、国民生活に重大な影響を与える恐れのある感染症の疑いがある場合、患者が拒否しても強制的に血液などの検体を採取することを認めます。

 感染症法は、感染症を危険度が高い順に1~5類に分け、国や自治体がするべき対策を定めています。しかし、感染症対策では、血液などの検体を調べて、病原菌やウイルスの種類を特定したり、感染経路を推定したりすることが重要ですが、都道府県には法的権限がなく、患者が拒否すれば、検体の採取ができません。医療機関の中には、個人情報を理由に検体の提供を拒否するケースもあります。

 改正法案では、都道府県知事の権限を明確化して、すべての感染症で患者や医療機関に対し、血液などの検体の採取、提出を「要請」として求めることができるようにします。

 エボラ出血熱、ペスト、結核など致死率が高い1~2類の感染症や新型インフルエンザでは、患者が拒否しても「措置」として強制的に血液などの検体を採取できるようにします。その上で、採取した血液などを国立感染症研究所などで分析し、感染経路の調査などに役立てます。

 また、鳥インフルエンザ(H7N9)と中東呼吸器症候群(MERS)を正式に2類に位置付け、患者を入院させる措置を引き続き可能にします。さらに、検査の質を向上させるため、国が検査基準をつくります。

 自民党の厚生労働部会で3日、感染症法の改正案が了承されたため、政府は10月中に法案を臨時国会に提出し、成立を図る構えです。

 2014年10月4日(土)

 

■保湿剤でアトピー発症率3割低下 新生児に毎日使用

 生まれた直後から新生児の皮膚に保湿剤を毎日塗ると、アトピー性皮膚炎になるリスクを30パーセント減らすことができたとする研究成果を、国立成育医療研究センターのチームが発表しました。

 特定の方法にアトピー性皮膚炎の予防効果があると証明できたのは、これが初めてだということです。

 研究を行ったのは、国立成育医療研究センターの斎藤博久副研究所長らのチームです。

 チームでは、アトピー性皮膚炎になった家族が1人以上いる、生まれた直後の新生児118人を無作為に半分に分けました。そして、一方のグループの新生児には、一般の薬局などで売られている保湿剤を毎日1回以上、全身に塗り、もう一方のグループでは皮膚の乾燥している部分にのみワセリンを塗りました。

 そして8カ月後に湿疹の状態を調べたところ、保湿剤を塗った新生児のグループでは19人がアトピー性皮膚炎になったのに対し、ワセリンを塗ったグループは28人で、保湿剤には発症のリスクを32パーセント抑える効果があると証明できたとしています。保湿剤によって皮膚の防御機能が守られ、アレルギー疾患につながる原因物質が体内に入るのを防いだためとみています。

 また、アトピー性の湿疹がある新生児とない新生児を比べると、湿疹がある子のほうが卵アレルギーを発症している割合が高くなりました。

 研究を行った国立成育医療研究センターの大矢幸弘医長は、「かゆみが出てしまってからでは遅いので、家族に患者がいるというハイリスクの赤ちゃんは、皮膚の状態が正常な段階で保湿剤を使うようお勧めできると思う」とし、「今後、より大規模な研究を長期的に行い、アレルギー疾患を完全に予防できる治療法につなげたい」と話しています。

 国内では、未就学児の10~30パーセントがアトピー性皮膚炎を患っているとされます。アトピー性皮膚炎になると食物アレルギーやぜんそく、花粉症などのほかのアレルギー性疾患にもなりやすいとされ、これらの発症予防につながる可能性もあります。

 2014年10月3日(金)

 

■水痘ワクチン、10月1日から無料の定期予防接種に

 乳幼児を中心に毎年、推計100万人が感染する水痘(水ぼうそう)のワクチンが、10月1日から無料で接種できる定期予防接種となり、各地の小児科で子どもたちがワクチンの接種を受けました。

 水痘は、水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症です。せきやくしゃみによる飛沫感染・空気感染と、水疱から出てきたウィルスに触れる接触感染で移り、集団感染が多くみられます。感染力の最も強い感染症の一つで、発熱と前後して小さな水ぶくれが全身に出ます。治っていく時には、かさぶたとなり自然にとれるものの、かゆみが強く、痕が残ることもあります。

 子供の有り触れた病気と思われていますが、0歳児や大人が感染すると重症化することがあります。ワクチンは30年近く前からありましたが、接種率が低く、毎年、乳幼児を中心に推計100万人が感染、4000人が入院し、20人前後が死亡する状況が続いています。

 1日から法律に基づく定期接種になったことで、1歳から2歳の子どもは3カ月以上の間隔で2回、また来年3月までは3歳から4歳の子どもも1回、無料でワクチンの接種を受けられるようになりました。ただし、水痘にかかったことがある子供は、対象外となります。

 東京都内の診療所には1日の午前中、6組の親子が訪れ、接種を受けていました。

 このうち1歳の女の子の母親は、「無料になるのを待っていました。これまでさまざまなワクチンにずいぶんお金がかかったので助かります」と話していました。

 水痘のワクチンは、1回の接種では20パーセントの人が感染してしまい、症状が軽くなるためかえって周囲にウイルスを広げることがあり、2回の接種を徹底することが重要だということです。

 日本小児科医会の松平隆光会長は、「定期接種の対象者はもちろん、3歳以上の子どもや大人で水ぼうそうにかかったことのない人も、自費にはなるが病気を予防するために2回接種を受けてほしい」と話しています。

 2014年10月2日(木)

 

■2013年の健康寿命は男性71歳、女性74歳 2010年時点より延びる

 厚生労働省は1日、介護を受けたり寝たきりになったりせず日常生活を支障なく送れる期間を示す「健康寿命」が、2013年は男性71・19歳、女性74・21歳だったと公表しました。

 前回調査を行った4年前の2010年時点の健康寿命は男性70・42歳、女性73・62歳で、これと比べると男性は0・77歳、女性は0・59歳延びました。

 2013年の平均寿命は男性80・21歳、女性86・61歳であり、健康寿命以降の日常生活に支障のある期間は、2010年より男性が0・11年、女性が0・28年短縮されました。

 2013年の平均寿命と健康寿命との差は、男性9・02年、女性12・40年となっています。

 高齢化が進展する中、厚労省は、国民が健康な状態で過ごせる期間の指標として2012年に2010年時点の健康寿命を初めて算出しており、今回が2回目。

 厚労省は健康寿命と平均寿命との差を縮めていくことが重要だと指摘しており、「現役時代から運動習慣や食生活の改善などに取り組むことで、生活習慣病を予防することが必要」と訴えています。

 2014年10月1日(水)

 

■早食いの肥満リスク4倍以上 岡山大が学生追跡調査

 早食いの学生が肥満になるリスクは、ゆっくり食べる学生の4倍以上になることが、岡山大学の調査で明らかになりました。

 脂っこいメニューが好きだったり、満腹になるまで食べたりする学生よりも、早食いの学生の肥満傾向が高いことも判明。「ゆっくりとよくかんで食べる」という食習慣の大切さが、改めて浮き彫りになりました。

 同大学大学院医歯薬学総合研究科の森田学教授(予防歯科学)の研究チームなどが2010年、肥満度の目安となる体格指数「BMI」で、肥満とされる25以上の学生を除いた新入生約2000人を対象に調査しました。

 身長と体重、食べるスピードが早いか、インスタント食品やファストフードなどを好むか、脂っこいものをよく食べるか、食事が不規則か、朝食を抜くか、腹いっぱいになるまで食べるかなど12項目を問うアンケートを実施。3年後の健康診断結果との関連を分析しました。

 2013年に健康診断を受けた1314人で、肥満とされたのは38人。アンケートを統計学的に処理した結果、うち「早食い」と回答した学生の肥満リスクは、それ以外の学生の4・4倍になりました。

 さらに、BMIが23以上の肥満前段階とされたのは72人で、早食いの学生の肥満リスクは3・5倍。男性676人、女性638人の肥満リスクを比較すると、早食いの男性のほうが2・8倍高くなりました。

 また、「脂っこいものをよく食べる」「満腹になるまで食べる」の回答者については、肥満との関連は確認されたものの、リスクの数値は出なかったといいます。

 ゆっくりとよくかんで食べる習慣と肥満防止の関連性を実証する研究で、同じ対象者を一定期間継続的に追跡調査したのは珍しいといいます。

 研究に参加した江国大輔講師は、「早食いを早い段階で改善すれば、メタボリックシンドロームや、その予備軍になることを防げる可能性がある」と話しています。

 なお、肥満治療ガイドラインでは、「咀嚼(そしゃく)法」が肥満治療における行動療法の1つとして明記されているほか、1回20~30回以上かむことも推奨されています。

 岡山大の研究の詳細は、米国科学雑誌「Obesity」(電子版)に掲載されました。

 2014年10月1日(水)

 

■静岡県の男性、別ルートでデング熱感染か これまでと遺伝子配列が違うウイルスを検出

 東京都渋谷区の代々木公園周辺などを訪れた人たちに感染が相次いでいるデング熱で、今月、感染が確認された静岡県の20歳代の男性から、今回の国内感染でこれまでに確認されたものとは違う遺伝子配列のウイルスが検出されました。

 厚生労働省は、感染ルートが別の可能性が高いとして、詳しく調べています。

 この男性は9月上旬に東京都内を訪れ、10日に発症したと、厚労省や静岡県が18日に発表。直近の海外渡航歴がなく、代々木公園周辺なども訪れていないため、国立感染症研究所でウイルスの遺伝子配列を調べていました。

 遺伝子配列の検査はこれまで、代々木公園周辺のほか、新宿中央公園、明治神宮外苑、外濠(そとぼり)公園、千葉市稲毛区周辺などで感染したとされる患者計8人のウイルスでも実施しました。これらはすべて一致し、代々木公園周辺で感染した人から広がったとみられます。

 静岡県の男性は、熱海市の初島にある勤務先で9、10日に蚊に刺されたとも話しており、熱海市などが蚊の駆除をしました。今のところ、男性の周囲で感染者は確認されていないといいます。

 また、厚労省は29日、新たに東京都の男性3人の感染を確認したと発表。これで感染が確認された人は、17都道府県在住の計150人になりました。

 3人は15~24日に発症し、うち2人は代々木公園周辺に行きましたが、1人は感染場所が不明といいます。

 厚労省は、「これまでのところ、静岡県に住む男性の周辺で感染は確認されておらず、新たな感染が広がる可能性は低いと考えられるが、引き続き、全国どの地域でも蚊に刺されないよう注意し、発熱などの症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2014年9月30日(火)

 

■酒に弱い人、心筋梗塞が重症化の傾向 米スタンフォード大が研究

 酒に弱い体質の遺伝子型を持つ人は、心筋梗塞(こうそく)になった時に心臓のダメージが大きくなりやすいとする研究結果を、米スタンフォード大のチームがまとめました。ヒトのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使った実験で確かめたといいます。

 論文は、米医学誌サイエンス・トランスレーショナル・メディシン電子版に発表されました。

 酒に強いか弱いかは、悪酔いの原因となる物質アセトアルデヒドを分解する酵素をつくる遺伝子の型に左右されます。遺伝子に変異があって、その酵素をうまくつくれないタイプの人は、お酒に弱くなります。こうしたタイプは、東アジアの日本人や韓国人、中国人に多くみられます。

 スタンフォード大のチームは、東アジア系で酒に弱い遺伝子タイプの5人と、そうではない5人の皮膚の細胞からiPS細胞をつくり、心筋細胞に変化させて性質を調査。アセトアルデヒドを分解する酵素は心筋梗塞になった時に出てくる活性酸素の解毒にもかかわっていて、酒に弱いタイプでは心筋細胞でも酵素がうまく働かず、細胞が死にやすくなっていることがわかったといいます。

 臨床医の間では経験的に、酒に弱い人は心筋梗塞などが重症化しやすい傾向にあると受け止められていました。これまでのマウスの実験では、この酵素に心筋細胞を守る働きがあるかどうかははっきりしていませんでした。

 2014年9月28日(日)

 

■デング熱確認から1カ月、感染者147人に上る 引き続き注意が必要

 東京都渋谷区の代々木公園を訪れた人がデング熱に感染したことが確認されてから27日で1カ月となり、これまでの国内感染者は17都道府県の計147人に上りました。

 9月中旬以降新たな感染の確認は減っていますが、専門家は気温が高い場合はウイルスを媒介する蚊の活動が続く可能性があるとして、注意を呼び掛けています。

 デング熱は蚊が媒介する熱帯地方に多い感染症で、国内での感染はおよそ70年間確認されていませんでしたが、8月27日以降、東京都の代々木公園周辺などを訪れた人の感染が相次ぎました。

 厚生労働省によりますと、発症の時期は9月中旬までの期間に集中し、それ以降は新たな感染の確認は減っているということです。

 26日には、東京都と神奈川県の男性3人のデング熱への感染が新たに明らかになり、うち東京都の30歳代男性は東京都目黒区の中目黒公園で感染した可能性があるといいます。

 東京都や目黒区によると、30歳代男性に海外渡航歴はなく、9月上旬に中目黒公園を訪れた際に蚊に刺され、13日に発熱などの症状が出ました。職場が近くにあり、公園をほぼ毎日利用していました。目黒区は蚊を駆除するとともに、蚊を採集してウイルスが検出されるか調べています。

 このほか、東京都の10歳代男性が15日に発症し、感染場所は不明。神奈川県の30歳代男性は18日に発症し、勤務先に近い東京都新宿区の新宿中央公園を訪れていました。

 一方、東京都によると、国内感染の感染源とみられる代々木公園で24~25日に採取した41匹の蚊から、ウイルスは検出されませんでした。都は4日に同公園の大半を閉鎖し、週に1度、調査してきましたが、ウイルスの不検出は閉鎖後、初めて。蚊は減少しつつありますが、都は当面、閉鎖を続け、調査と駆除を続ける方針。

 また、患者のウイルスを分析している国立感染症研究所によりますと、今回、日本で確認されたデング熱のウイルスは中国で流行しているものと遺伝子の配列が似ていることから、中国で感染した人が代々木公園で蚊に刺され、感染が広がった可能性が高いということです。

 ウイルスを媒介する蚊が活動する時期は通常10月下旬までとされていますが、気温が高い場合は11月以降も活動が続く可能性があるということです。

 国立感染症研究所の高崎智彦室長は、「引き続き、蚊に刺されないよう注意が必要だ。今回感染した人が海外から持ち込まれた異なる型のウイルスに感染すると重症化する恐れもあるため、蚊の駆除を徹底する必要がある」と話しています。

 2014年9月27日(土)

 

■国際がん機関、ピロリ除菌を推奨 胃がんの3〜4割減少

 世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC、本部フランス)は24日、胃がんの8割がピロリ菌の感染が原因で、除菌で胃がんの発症を3~4割減らせる可能性があるとの報告書を発表しました。

 IARCは1994年にピロリ菌を発がん要因と分類しましたが、胃がんの主要な原因であると認めたのは初めて。特に、日本人に多い胃の入り口である噴門部以外の胃がんでは、9割の原因であると推測されるといいます。

 IARCの報告書は、国際的な専門家で構成される作業部会が、従来の研究結果や疫学調査を精査してまとめました。

 全胃がんの78パーセント、噴門部以外の胃がんの89パーセントがピロリ菌の慢性感染が原因だと考えられるといいます。抗生物質を使った除菌で発症が大幅に抑制できるものの、抗生物質の耐性菌が増えるなどのマイナス面も指摘しました。

 報告書によると、2012年に中国など東アジアを中心に、世界で約100万人が新たに胃がんを発症し、約72万人が死亡したと推計されています。

 IARCは各国の保健当局に対して、国内事情に応じ、除菌による胃がん予防対策を検討するように求めました。

 日本では約3500万人がピロリ菌に感染しているとみられ、年間約5万人が胃がんで死亡し、がん死因では肺がんに次いで2位。

 公的医療保険による除菌は、胃潰瘍(かいよう)などの患者に限られていましたが、昨年2月からピロリ菌による胃炎の患者全体に対象者を広げました。先行して進めている日本のピロリ菌対策が、国際的にも認められたことになります。

 2014年9月26日(金)

 

■肺を最小単位に分割し、2歳への生体肺移植に成功 岡山大病院、世界で初 

 岡山市の岡山大学病院は24日、重い肺の病気に苦しむ2歳9カ月の男児に、母親の肺下部の下葉を分割して両肺に移す「生体肺区域移植手術」に成功したと発表しました。

 病院によると、肺として機能できる最小単位の「区域」に分割し、移植する手術は世界初。埼玉県在住の男児は国内最年少の肺移植患者で、容体は安定しており、10月下旬ごろには退院できる見込みです。

 2010年の改正臓器移植法全面施行で15歳未満も脳死臓器提供が可能となりましたが、乳幼児への脳死肺移植のチャンスは極めて限られています。生体肺移植でも、成人からの提供ではサイズが合いませんでした。

 今回の手法は、治療の選択肢を大きく広げるものと期待されます。

 手術は8月31日、呼吸器外科の大藤剛宏(おおとうたかひろ)肺移植チーフを執刀医とするチーム30人が担当し、約11時間かけて行われました。今月13日には人工呼吸器を外し、22日には酸素吸入器も使わなくなるなど順調に回復しています。

 肺組織は、右肺は上葉、中葉、下葉、左肺は上葉、下葉に分かれています。生体肺移植は通常、肺活量が最も多い、左右いずれかの下葉を使いますが、男児には大きすぎるため、母親から提供された左肺の下葉を区域に切り分けて移植しました。

 区域は一見して境界はないものの、細かな血管や気管支などが複雑に張り巡らされています。移植しても機能するよう傷付けずに血管や気管支を切り分け、吻合(ふんごう)するには高度な技術が求められます。

 執刀した大藤チーフは、約3年前から研究チームをつくり、動物実験を繰り返すなど準備を進めてきました。2013年7月には、当時として最年少となる3歳の男児に母親の中葉部分を移す生体肺移植も、成功させています。

 大藤チーフは、「今回は中葉移植の時よりさらに小さな肺が必要で、区域移植しか救命の道はなかった。新しい術法の確立は、より多くの子供や家族に希望を与える成果だ」と話しています。

 男児は今年5月、肺が硬くなり縮んで動かなくなる特発性間質性肺炎を発症。8月中旬には、人工呼吸器を装着しても酸欠になるなど状態は急激に悪化し、両方の肺の移植が必要になりました。当初、大人2人から肺を一部ずつ提供してもらう想定でしたが、検査の結果、母親以外に適合する人がいませんでした。

 母親は、「再び息子の笑顔が見られた。言葉では言い尽くせないほど感謝の気持ちでいっぱい」とのコメントを寄せました。

 ただ、男児が大きく成長して肺の容量が足りなくなれば、再移植が必要になる可能性もあります。

 2014年9月25日(木)

 

■今年6〜8月の熱中症搬送者数、2010年以降で最少 全国的に猛暑日が少なく、大きく減少

 今年6~8月の全国の熱中症による救急搬送者数は3万8224人で、昨年より1万7372人減り、同時期の集計を始めた2010年以降で最も少なくなりました。全国的に猛暑日が少なく、特に8月の西日本において前線の影響や台風の上陸を受けて天候不順の日が多かったため、大きく減少したとみられます。

 総務省消防庁が9月19日、発表しました。

 今年6~8月の全国の熱中症による死者は52人で、昨年より36人少なく、こちらも2010年以降で最も少なくなりました。

 また、今年8月の全国の熱中症による救急搬送者数は1万5183人で、7月より3224人少なくなりました。死者は15人でした。 

 今年8月の救急搬送者数を昨年2013年の8月の2万7632人と比較すると、1万2449人減(45・1パーセント減)という大幅減となりました。

 昨年8月と比較すると、すべての年齢区分で人数は大きく減少し、特に新生児から乳幼児で51パーセント減、高齢者層で47パーセント減と、減少率が著しくなりました。

 今年の熱中症による救急搬送者数の減少は主に天候不順が起因であることを考えると、天候の悪化により外出を控えがちな高齢者、あるいは乳幼児を持つ保護者が自宅にとどまるケースが多くなったことから、熱中症のリスクが低減したものと見なされます。室内でも熱中症のリスクはありますが、もともと天候悪化で気温も低めなため、晴れの日における室内のリスクよりは低くなります。

 人数の上では、「観測史上最も暑い夏」として知られている猛暑となった2010年と比べるとほぼ半分。当初の冷夏予想は取り消されたものの、結果としてはそれに匹敵するほどの気温状況となり、熱中症による救急搬送者数も減りました。

 都道府県別の8月の救急搬送者数を人口10万人当たりでみると、福島県の24・25人が最多で、群馬県22・43人、茨城県21・49人と続きました。

 2014年9月24日(水)

 

■エボラ出血熱、死者2800人超 WHOが発表

 世界保健機関(WHO)は22日、西アフリカで流行するエボラ出血熱の死者(疑い例を含む)が20日時点で計2811人に達したと発表しました。リベリア、ギニア、シエラレオネでは、依然として感染の拡大傾向が続いています。

 WHOは、14日時点の死者を2630人と発表していました。1週間足らずで死者は約180人増加し、ペースが急激に加速しています。

 20日までに感染が確認されたか疑われる患者は、ナイジェリア、セネガルを加えた5カ国で計5864人。

 死者の内訳は、リベリアの死者が計1578人と全体の過半数を占め、依然として深刻な事態が続いています。ギニアは632人、シエラレオネは593人、ナイジェリア8人。医療関係者の犠牲者は、22日時点で計186人。

 また、WHOはこの日、エボラ熱感染の最新状況を踏まえ、先週開いた緊急委員会の結論を公表。「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」との判断を据え置く一方で、各国に対し、感染国に対する支援や、経済への打撃を避けるため渡航禁止措置を講じないよう求めた。

 さらに、WHOの専門家チームは23日までに、西アフリカで流行するエボラ出血熱の感染者数が、このまま推移すれば11月初めに2万人を超える恐れがあるとの論文をまとめました。

 WHOによると、感染者は20日までに5864人に達しましたが、今後1カ月余りで3倍以上に急増する計算となります。専門家チームは、リベリア、ギニア、ナイジェリアなどの感染者約4000人(疑い例を含む)の詳細なデータを分析、予想される感染規模などについて検討しました。

 感染拡大が止まる兆しが見えず、どう抑制するかが、一層大きな課題となりそう。WHOは、国際社会にさらなる支援を呼び掛けています。

 2014年9月23日(火)

 

■アルツハイマー病、脳内神経細胞に異常 東京医科歯科大などの研究チームが解明

 アルツハイマー病は脳に異常なタンパク質が蓄積することが原因と考えられていますが、それよりも前に、脳の中で神経細胞の表面にある突起が減るなどの異常が起きていることを、東京医科歯科大学などの研究チームがマウスを使った実験で突き止めました。

 アルツハイマー病の早期発見につながる可能性があると注目されます。

 研究を行ったのは、東京医科歯科大学の岡澤均教授らの研究チームです。

 アルツハイマー病は、脳にアミロイドベータと呼ばれる異常なタンパク質が蓄積し、神経細胞が壊れることが原因と考えられていますが、詳しいメカニズムはわかっていません。

 研究チームでは、遺伝子を操作し、アルツハイマー病になるようにしたマウスを使って、発病前から発病後にかけて、脳の神経細胞にどのような変化が起きているのかをスーパーコンピューターで詳しく解析しました。

 その結果、まだアミロイドベータが蓄積していない生後1カ月の若いマウスの脳で、すでに「MARCKS(マークス)」と呼ばれるタンパク質が変化し、神経細胞の表面にある突起が少なくなる異常が起きていることを突き止めたということです。

 研究を行った岡澤教授は、「今回見付かった変化が最初の兆候だとすれば、アルツハイマー病の早期発見と新たな治療法の開発につながる可能性がある」と話しています。

 アルツハイマー病は、脳の神経細胞が壊れていく病気です。患者の脳には、異常なタンパク質であるアミロイドベータが蓄積することが解明されていて、これが病気の主な原因ではないかと考えられていますが、アミロイドベータを取り除くことはできても、患者の症状を改善させる効果が確認された薬はまだありません。

 このため、新たな治療法の開発には、アルツハイマー病のごく初期の段階で脳の神経細胞に何が起きているのか、その詳しいメカニズムを解明していくことが重要だとされていて、現在、世界中で盛んに研究が行われています。

 2014年9月22日(月)

 

■人工甘味料で糖尿病リスク増加か イスラエルの研究チームが発表

 健康的とされる人工甘味料が実際には、糖尿病のリスクを高めている可能性があるとする研究論文が、9月18日付けで英科学誌ネイチャーに発表されました。人工甘味料が幅広い食品に使用され、推奨されている現状の見直しを訴えている。

 ノンカロリー人工甘味料(NAS)とも呼ばれるこの添加物は、ソーダやシリアル、デザートなどに使用されており、体重増加や糖分摂取を気にする人々向けの巨大市場となっています。

 一部の専門家らは、世界各国で増加している2型糖尿病患者や、血糖値の上昇を伴う「耐糖能障害」と呼ばれる糖尿病の前段階に当たる状態の患者に対して、人工甘味料を推奨しています。

 人工甘味料分子は、舌の上に甘い味覚を残した後、体内に吸収されることなく腸管を通過します。これが、砂糖とは違い、カロリー量が無視できる程度、あるいはゼロになる理由です。

 しかし、論文によると、複数のマウスと少人数の人間に対して実験を行った結果、人工甘味料が腸内細菌の増殖と機能を阻害し、実は耐糖能障害を促進していることがわかったといいます。

 イスラエル・ワイツマン科学研究所のエラン・エリナフ氏とエラン・セガル氏が率いる研究チームは、広く使用されている3種類の人工甘味料であるアスパルテーム、スクラロース、サッカリンを選び、人間の推奨最大摂取量をマウスの体の大きさに合わせて換算した量を飲み水に混ぜてマウスに与えました。

 その結果、人工甘味料を与えられたマウスには耐糖能障害がみられましたが、ただの水や砂糖水を摂取したマウスには耐糖能障害がみられませんでした。

 また、研究チームは、人工甘味料を摂取したマウスの排せつ物を、腸内細菌を持たないマウスのグループの体内に注入し、ブドウ糖を摂取したマウスの排せつ物を、腸内細菌を持たないマウスの別のグループの体内に注入しました。すると、人工甘味料を含む排せつ物を注入されたマウスのグループの血糖値は急上昇し、腸内細菌が別のグループと比べより活発に栄養分からブドウ糖を搾取する働きをみせました。

 チームは次の段階として、研究対象を人間に移しました。まず、糖尿病ではない381人から得たアンケートや健康データを入念に調べたところ、人工甘味料を多く摂取する人は少ない人に比べて、血糖値が高かったり体重が重かったりする傾向がみられたということです。

 さらに、研究チームは、普段は人工甘味料を摂取しないボランティア7人に、米食品医薬品局(FDA)が推奨する最大摂取量の甘味料を含んだ食事を7日間とってもらいました。結果、マウスと同様に、4人の血糖値は5~7日以内に上昇し、腸内細菌の構成にも変化がみられたといいます。

 研究チームの一人は、「大量に使われている人工甘味料の影響について再評価する必要がある」と警告しています。

 2014年9月21日(日)

 

■RSウイルス感染症、流行の兆し 1週間で新たな患者2156人

 乳幼児に肺炎などを引き起こすRSウイルス感染症の患者が、西日本を中心に増え始めていて、今後、流行が全国に広がるとみられます。

 RSウイルス感染症は、発熱やせきなど風邪に似た症状の出る病気で、秋から冬にかけて主に乳幼児で流行し、初めての感染では肺炎や脳症を引き起こして重症化することがあります。

 国立感染症研究所によりますと、9月7日までの1週間に全国およそ3000の小児科の医療機関で新たにRSウイルス感染症と診断された患者は2156人で、前の週の患者1234人から1・7倍に増えました。

 都道府県別では、最も多いのが福岡県で297人、次いで大阪府が258人、東京都が120人、広島県が114人となっており、特に西日本で患者が増えています。

 RSウイルス感染症の流行は例年、12月から1月にかけてピークを迎えることから、患者数は今後さらに増えるとみられています。

 国立感染症研究所の木村博一室長は、「今は流行のはしりで、これから全国に流行が広がると考えられる。特に6カ月未満の赤ちゃんは症状が急激に悪化して気管支炎や肺炎を引き起こしやすく、また持病のある高齢者も重症化しやすい。手洗いやマスクといった感染防止対策を徹底してほしい」と注意を呼び掛けています。

 RSウイルス感染症は、RSウイルスによって起きる呼吸器感染症。感染者のせきやくしゃみなどで飛沫を浴びたり、感染者の鼻水や唾液、たんなどが付着した手指や物品などに接触するなどして感染します。手指や物品などに付着したウイルスは、数時間生存し、感染力が強いため、人から人に容易に感染が拡大します。

 RSウイルスに感染すると、2~5日の潜伏期を経て、せきや鼻水、くしゃみ、発熱など、普通の風邪と同じ症状が出ます。大人は鼻風邪ぐらいですむことが多く、通常、1~2週間で軽快します。

 一方、赤ちゃんは気管支炎や肺炎になりやすく、早産の場合や、心臓や肺に病気があると、より重症化しやすくなります。国内では2008年〜2012年の5年間で、年平均31・4人が死亡しているとの報告もあります。

 2014年9月20日(土)

 

■東京の上野公園でもデング熱感染か 20歳代女性、蚊に刺されて発症

 東京都は19日、台東区の都立上野公園で、埼玉県内在住の20歳代女性が蚊に刺され、デング熱に感染した可能性があると発表しました。

 東京都や台東区によると、女性は9月上旬に上野公園の大噴水周辺を訪問した際に蚊に刺され、13日に発症しました。女性に海外渡航歴はなく、デング熱の感染が相次ぐ代々木公園やその周辺などは訪れていないということです。

 女性は発熱などの症状があり、現在も入院していますが、容体は落ち着いているということです。

 東京都は19日午後から、女性が蚊に刺されたとみられる場所の周辺で、蚊が多く生息している茂みなどに薬剤を散布して蚊の駆除を行いました。また、上野公園内の全域に看板を設置して、蚊に刺されないよう注意を呼び掛けています。

 東京都は公園内にウイルスを持つ蚊が生息しているかどうか確認されていないことから、駆除を行ったエリアも立ち入り禁止にはせず、園内にある美術館や博物館は通常通り、運営するということです。

 今回、デング熱の感染が確認された人は、17の都道府県で合わせて141人となりました。

 厚生労働省は、「蚊が媒介して全国どの地域でも感染が起きる可能性がある。発熱などの症状が出た場合には速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 また、調査のために9月7日から閉鎖していた新宿区と渋谷区にまたがる新宿御苑でも、捕獲された蚊からウイルスが確認されたことがわかりました。

 8月以降、渋谷区の代々木公園やその周辺などを訪れた人の感染が相次いでいるため、環境省は新宿御苑を閉鎖し、ウイルスを持った蚊がいないかどうか確認する調査を行っていました。

 その結果、園内の10カ所で捕獲したおよそ300匹のヒトスジシマカのうち、2カ所で捕獲された蚊からデング熱のウイルスが確認されたということです。

 このため、環境省は新宿御苑の閉鎖を続けた上で20日、園内で薬剤を散布して蚊の駆除作業を行うことにしています。

 環境省は、「新宿御苑の営業の再開は駆除作業の効果や今後の国内での感染の状況をみながら判断したい」としています。

 2014年9月19日(金)

 

■危険ドラッグ常習者、所持で全■国初の免停 徳島県公安委員会が処分

 危険ドラッグを使用したなどとして逮捕された徳島県の29歳の男性に対して、県公安委員会は日常的に危険ドラッグを使用していて車の運転に著しい危険があるとして、男性の運転免許を150日間、停止する処分をとりました。

 具体的な交通違反がなくても危険ドラッグの常習性を理由に運転免許を停止した処分は、全国で初めてだということです。

 徳島県内の29歳の男性は県が条例で禁止している危険ドラッグを自宅で所持し、使用した疑いで8月27日、県薬物乱用防止条例違反容疑で逮捕され、9月5日に罰金20万円の略式命令を受け、即日納付していました。

 男性には運転中の交通違反はありませんでしたが、捜査段階の調べに対して危険ドラッグを数年前から日常的に使用していたと話したということで、警察は道路交通法で定める「運転に著しい危険性があるドライバーの免許を公安委員会が停止できる」という規定を適用して、男性の免許を停止できると判断しました。

 これを受けて県公安委員会が検討した結果、男性には危険ドラッグの常習性があり、運転に著しい危険があるとして、男性の運転免許を150日間、停止する処分をとりました。

 道路交通法では、覚醒剤や麻薬の中毒者ら、危険運転につながる恐れがあるドライバーには、最長180日間の運転免許停止の処分を科せると規定しています。

 徳島県警察本部は、「あらゆる法令を適用して道路上の危険の排除を検討する中で、今回の決定に至った」とコメントしています。

 2014年9月18日(木)

 

■障害者に65歳の壁、公的サービスの切り替えで負担増 民間調査で実態明らかに

 障害のある人が65歳になると、障害福祉サービスから介護保険サービスに切り替わることで、サービスが減ったり負担額が増えたりするケースが各地で相次いでいる実態が、障害者団体の調査で明らかになりました。

 調査を行ったのは、全国の障害者向け共同作業所などで作る「きょうされん」です。

 国は、65歳以上の障害者について、障害福祉サービスより介護保険サービスを優先すると定める一方、自治体に対しては利用者の状況に合わせて配慮するよう通知しています。

 きょうされんが今年5月、65歳以上の会員を対象に初めて実態調査を行ったところ、家事や介護などの訪問支援を受けていた289人のうち、21パーセントの62人がサービスを打ち切られ、86パーセントの249人が無料から新たに負担が生じたということです。

 福岡県田川市で1人暮らしをしていて、脳性まひで体の自由が利かず、日常的に介護が必要な67歳の女性のケースでは、65歳までは週4回入浴サービスを受けられましたが、介護保険サービスに切り替えられた後は週3回に減りました。家事支援サービスの時間も減ったため、食事は出来合いの弁当やパンですませることが多くなりました。

 このほか、主に利用するデイサービスが、障害者向けから高齢者が多い施設に変わり、障害者同士で悩みを打ち明け合うこともできなくなったといいます。こうしたサービスの低下に加えて、費用はそれまでの無料から新たに1万5000円の負担が生じ、貯金を取り崩す生活をしているということです。

 福岡県田川市の伊藤信勝市長は、障害者に対して独自にサービスを上乗せするなど柔軟な対応に努めているとしています。その上で、限界も認めており、「市としてできる体力というものがあり、体力がなくなった場合には、そういったサービスすらできなくなる。地方分権といわれるが、財源がない中、制度だけがどんどん新しくなり、地方にその責任を転嫁するようなことがないよう財源と制度をきちんと議論すべきであり、現場の声を聞いて法律を作るべきだ」と話しています。

 きょうされん政策・調査委員会の小野浩委員長は、「国は実態調査をした上で改善すべきだ。65歳の区切りはなくして、当事者が障害福祉と介護保険の両方からサービスを選べるようにし、どの自治体でも同じサービスを受けられるようにしてほしい」と話しています。

 きょうされんでは、厚生労働省に調査結果を伝え、改善を求めることにしています。

 厚労省は、障害福祉サービスより介護保険サービスが優先されることについて、「自助、共助、公助といわれるように、自らできることをした上で、公的サービスが適用されるという原則に基づいたもの」とした上で、「ただ、その結果、問題が起きていることは、大きな課題の1つと認識しているので、現状を把握しながら、結果を踏まえて対応していきたい」とコメントしています。

 2014年9月17日(水)

 

■デング熱感染、17都道府県の124人に 厚労省、治療での解熱剤使用に注意喚起

 東京都の代々木公園周辺などでデング熱の感染が相次ぐ中、新たに東京都などで10人の感染が確認され、今回感染が確認されたのは、17の都道府県で合わせて124人となりました。

 デング熱は蚊が媒介する感染症で、国内での感染は1945年以来およそ70年間ありませんでしたが、8月以降、東京都渋谷区の代々木公園やその周辺などを訪れた人の感染が全国で相次いでいます。

 厚生労働省によりますと、16日、新たに東京都や埼玉県、千葉県で10人の感染が確認されました。

 10人は10~50歳代の男女で、8月29日から9月13日に発症しました。このうち、8月29日に発症した東京都の40歳代男性はこれまでに感染場所として推定されている代々木公園周辺や新宿中央公園などを訪れておらず、どこで感染したか不明といいます。

 ほかの9人はいずれも、代々木公園周辺や新宿中央公園で蚊に刺され感染したとみられます。10人全員、容体は落ち着いているということです。

 厚労省は、「蚊が媒介して全国どの地域でも感染が起きる可能性がある。発熱などの症状が出た場合には速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 また、厚労省はデング熱の治療に関して、感染した患者が特定の解熱剤を服用するとかえって症状を悪化させる恐れがあるとして、医療機関に治療のマニュアルを配布し解熱剤の使用に注意するよう呼び掛けています。

 患者のうち首都圏に住む10歳代の女性は入院中、風邪などの際に解熱剤として処方される薬を服用しましたが、3日ほどたって激しく汗が出るなど体調の異変に気付きました。

 血液検査をしたところ、血液中の血小板の値が大幅に低下していたことがわかりました。デング熱に感染すると高熱や頭痛、関節の痛みなどの症状が出るほか、出血を止める働きがある血小板が減少することがありますが、解熱剤を服用した後の検査では、血小板の数が健康な人に比べておよそ10分の1にまで減っていたといたということです。

 厚労省が8月27日に、全国の自治体を通じて医療機関に配布した治療マニュアルでは、アスピリンやロキソニンなど一部の解熱剤は血小板の機能を低下させ、出血が止まりにくくなる作用があるなどとして使用を控え、アセトアミノフェンという解熱剤を使用するよう求めています。

 デング熱には有効な抗ウイルス薬やワクチンはなく、水分補給やアセトアミノフェンなどの解熱剤による対症療法が基本とされます。

 厚労省は、「デング熱が疑われる場合、医療機関はアスピリンやロキソニンなどの解熱剤の使用を控えるとともに、患者の側も自分の判断で市販薬を服用せずに医療機関の指示に従ってほしい」と注意を呼び掛けています。

 2014年9月16日(火)

 

■子宮頸がんワクチン、重い副作用例は1112件に上る 民間の研究チームが発表

 接種後に全身の痛みなどの訴えが相次ぎ、国による接種の呼び掛けが中止されている子宮頸(けい)がんワクチン問題で、難病治療研究振興財団(理事長・坂口力元厚生労働相)の研究チームは13日、厚生労働省に寄せられた約2500件の副作用報告を調べた結果、1112件の重い副作用が出ていたとする独自の分析を発表しました。

 研究チーム代表の西岡久寿樹・東京医大医学総合研究所所長が、長野市で開かれている日本線維筋痛症学会に関連して、記者会見をしました。

 厚生労働省に重い副作用として医師や製薬企業から報告が寄せられたのは617件ですが、症状を幅広く認定した結果、数が増えたとみられます。

 研究チームは、リウマチ・膠原〈こうげん〉病、小児科、神経内科、整形外科、総合診療科、内科の医師と、生物統計学の専門家の計7人。

 けいれんや歩行障害、記憶障害などの中枢神経系の障害、視力や聴力低下などの感覚器異常、広範囲の体の痛みなどを重い副作用と判定し、約45パーセントに当たる1112件が該当したといいます。

 接種の呼び掛けの再開を議論している厚労省専門部会は、「広範な痛みや運動障害を中心とする多様な症状」がある176人を主な検証対象としており、他の症状を十分に議論していないといいます。

 西岡所長は、「厚労省は実態を調査し、原因を究明する必要がある」と述べました。

 今年3月末までに推計338万人が、ワクチンを接種しました。

 2014年9月15日(月)

 

■医療費39・3兆円、高齢化で最高更新 2013年度は8000億円増加

 2013年度に病気やけがの治療で全国の医療機関に支払われた医療費は、前年度より約8000億円(2・2パーセント)多い39兆3000億円でした。

 高齢化や医療技術の高度化を背景に、11年連続で過去最高を更新しました。このペースが続けば、2014年度にも40兆円に届く可能性があります。

 厚生労働省が9月10日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で報告しました。

 医療費を年代別にみると、75歳未満は前年度比1・3パーセント増の23兆1000億円、75歳以上は前年度比3・7パーセント増の14兆2000億円。医療費率を年代別にみると、75歳未満は前年度比0・5ポイント減の58・8パーセント、75歳以上は前年度比0・5ポイント増の36・1パーセントとなりました。

 医療費を診療別にみると、「医科の入院」が一番多く、前年度比1・3パーセント増の15兆8000億円で40・2パーセントを占めました。「医科の入院外」が13兆6000億円(34・7パーセント)、「調剤」が7兆円(17・9パーセント)、「歯科」が2兆7000億円(6・9パーセント)と続きました。

 医療機関を受診した延べ患者数に相当する受診延べ日数の伸びは、前年度比0・8パーセント減。診療別にみると、「医科の入院」が前年度比0・7パーセント減、「医科の入院外」が前年度比1・3パーセント減、歯科が前年度比0・6パーセント増となりました。

 新型の医療機器や手術などによる医療技術の高度化が進み、1人当たりの医療費は、前年度から7000円増え30万8000円。この1人当たりの医療費は、1日に付き1万5200円で、前年度比3・1パーセント増となりました。

 1人当たりの医療費を年齢別にみると、75歳以上は前年度比1万2000円増の92万7000円に大きく膨らみ、75歳以下の前年度比3000円増の20万7000円の約4・5倍に達しました。

 1人当たりの医療費を都道府県別にみると、最も高い高知県の62万5000円と、最も低い千葉県の40万1000円では、約1・6倍の差がありました。医療費総額の都道府県別の前年度比伸び率では、首都圏や中部、関西などの都市部が比較的伸び率が大きくなりました。

 また、医療費総額の前年度比伸び率は、2011年度まで3パーセント程度で推移していましたが、2012年度に1・7パーセントに縮小し、2013年度も2パーセント台にとどまっており、厚労省は、平均在院日数の短縮傾向などが要因と分析しています。

 今回の集計は、医療機関からの診療報酬請求に基づく速報値で、全体の約98パーセントに相当します。

 2014年9月14日(日)

 

■100歳以上の高齢者、5万8000人超える 44年連続増、9割近く女性

 敬老の日を前に、厚生労働省は12日、全国の100歳以上の高齢者が昨年より4423人増えて、過去最多の5万8820人に上ると発表しました。

 女性が全体の9割近くの87・1パーセントを占めました。前年比増は1971(昭和46)年以降、44年連続。

 住民基本台帳を基に、9月15日時点の100歳以上の高齢者数を、自治体を通じ1日現在で集計。女性は5万1234人(前年比3628人増)と初めて5万人を超え、男性は7586人(同795人増)でした。

 人口10万人に占める100歳以上の人数は、全国平均で46・21人。都道府県別にみると、島根県が90・17人で全国平均の2倍近くになり2年連続最多となったほか、高知県が86・44人で同じく2位になり、鳥取県が79・58人、鹿児島県が77・26人、香川県が73・71人で、西日本で多くなっています。

 2009(平成21)年まで37年間1位だった沖縄県は67・99人で、昨年の8位からさらに順位を下げて11位となりましたた。最も少なかったのは、埼玉県の26・88人。東京都は37・80人で40位、大阪府は34・90人で43位でした。

 国内最高齢は、女性が大阪市東住吉区の大川ミサヲさんで、1898(明治31)年3月生まれの116歳。大川さんは、昨年世界最高齢としてギネス世界記録に登録されています。

 男性はさいたま市の百井盛さんで、1903(明治36)年2月生まれの111歳。百井さんも、男性の世界最高齢として先月、ギネス世界記録に登録されました。

 100歳以上の高齢者は、調査を始めた1963(昭和38)年には全国で153人でしたが、1998(平成10)年には1万人を超え、2007(平成19)年に3万人、2012(平成24)年に5万人を超えました。ここ数年は、年に3000人から4000人ほど増え続けています。

 2014年度に100歳になった人と、なる予定の人は計2万9357人(前年度比1188人増)でした。

 厚生労働省は100歳以上の高齢者が増え続けていることについて、「医療技術の進歩など、高齢者の暮らしを支える環境が改善されているためではないか」と分析しています。

 2014年9月14日(日)

 

■世界初のiPS細胞を使った移植手術に成功 難病女性の目に、理研

 神戸市にある理化学研究所などの研究チームは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って目の網膜の組織を再生し、病気で失われた患者の視力を回復させようという世界初の手術を行ったと発表しました。

 京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞が実際の患者の治療に使われた初めてのケースで、再生医療の実現に向けた大きな一歩になると期待されます。

 世界初の手術を行ったのは、神戸市にある理化学研究所の高橋政代プロジェクトリーダーと、先端医療センター病院などの研究チームです。手術を受けたのは、滲出型加齢黄斑変性という重い目の病気のために、視力の低下を抑えられなくなった兵庫県の70歳代の女性患者。

 研究チームではまず、女性の腕から皮膚の細胞をわずかに取り、iPS細胞を作り出しました。そして、このiPS細胞を目の網膜の組織に変化させ、12日、病気のため傷付いた網膜の一部を取り出した後、移植する手術を実施しました。

 手術は午後1時40分ごろから神戸市にある先端医療センター病院で行われ、午後4時20分ごろ終了しました。

 研究チームによりますと、手術には先端医療センター病院の栗本康夫統括部長など眼科の医師3人を含むチームが臨み、縦およそ1・3ミリ、横3ミリのシートを患者の片方の目に移植したということです。多量の出血など問題となるような事態は起きず、患者はすでに病室に戻って元気な様子だということです。

 記者会見した栗本統括部長は、「手術は成功したと考えている」と述べました。

 研究チームによりますと、今回の手術はこの治療が安全に行えるかどうかを確認することが第一の目的の臨床研究で、患者は視力の維持に必要な細胞の多くが死んでしまっているため、期待できるのは視力の低下を食い止めたり、わずかに回復させたりすることだということです。

 ただし、今後、安全性と効果が確認されれば、視力を大幅に回復させる病気の根本的な治療法になる可能性があるということで、研究チームは今後、さらに5人の患者に治療を行い、手術後4年間にわたって患者を定期的に診察し、移植した組織の状態を確認することにしています。

 京都大学の山中伸弥教授が開発したiPS細胞が、実際の患者の治療に使われたのはこれが初めてで、再生医療の実現に向けた大きな一歩になると期待されます。

 2014年9月13日(土)

 

■デング熱感染、15都道府県の104人に 新たに7人、代々木公園で感染

 厚生労働省は11日、国内でデング熱に感染した患者が横浜市や東京都などで新たに7人確認され、国内感染は15都道府県の計104人になったと発表しました。

 新たな感染者はいずれも、東京都渋谷区の代々木公園や周辺で蚊に刺されて感染したとみられ、容体は落ち着いているということです。

 このほか、代々木公園周辺を今月訪れた秋田市の10歳代女性の感染が確認されましたが、中国に最近滞在しており、市保健所が国内感染か慎重に調べています。

 デング熱の国内感染は、約70年ぶりに患者が明らかになった8月27日からわずか半月で100人を超えました。

 また、東京都は代々木公園の大半を閉鎖し蚊の駆除を行いましたが、今週、公園内の蚊を採集して調べたところ、依然としてデング熱のウイルスを持つ蚊が生息していることがわかりました。

 東京都は8月28日に代々木公園の1カ所で蚊の駆除を行いましたが、その後、公園内でウイルスを持つ蚊が見付かったことから、9月4日に公園の大半を閉鎖し、専門家の助言を受けながら蚊の駆除を行いました。

 駆除の効果を確認するため、今週、これまでの2倍の20カ所で蚊を採集し、都の研究施設で調べたところ、このうち4カ所の蚊からウイルスが検出されたということです。ウイルスを持つ蚊が見付かったのは、前回、駆除が行われなかった公園の東側のエリアが中心だということです。

 東京都は依然としてウイルスを持つ蚊が生息していたことから、薬剤をまく方法や範囲などについて改めて専門家に助言を求め、12日、改めて駆除を行うことにしています。

 一方、日本産科婦人科学会は11日、デング熱感染者が出た地域に住む妊娠中の女性に向け、感染防止のために長袖を着用するほか、発熱や発疹などの症状が出た場合に早めに医療機関に行くよう呼び掛ける声明を学会ホームページに掲載しました。

 学会によると、デング熱が流行しているブラジルでは、妊娠中の女性は妊娠していない女性と比べて重症化しやすい傾向があるとの報告があります。

 しかし、重症化する人は200人のうち1~2人程度と頻度が低い上、日本国内の過去の感染例1500件に死亡例はないことから、「過度に不安を抱く必要はない」としています。

 2014年9月11日(木)

 

■二酸化炭素の平均濃度、過去最高 海洋の酸性化の懸念も

 世界気象機関(WMO)は、2013年に世界各地で観測された地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の平均濃度は観測史上最も高く、前年からの増加量も観測を始めてから最も大きかったと公表しました。

 WMOは、地球温暖化の進行を監視するため、世界の気象当局や研究機関が観測している二酸化炭素などのデータを基に世界の温室効果ガスの現状をまとめており、9日、2013年の報告書を公表しました。

 それによりますと、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の2013年の世界の平均濃度は396ppmと、観測を始めた1984年以来増加を続けており、最も高くなりました。

 また、2012年からの濃度の増加量も2・9ppmと、1998年を上回って、観測を始めてから最も大きくなりました。このペースで濃度が上がり続けると、2015年か2016年には400ppmの大台を超える計算。

 ほかの温室効果ガスの世界の平均濃度も、一酸化二窒素が325・9ppbと過去最も高い値となったほか、メタンも1824ppbと7年連続で最も高い値を更新しました。一酸化二窒素の気候変動への影響は、二酸化炭素の298倍に上ります。

 発表では、2100年までの気温の上昇を今後、1度程度に抑えるには、現在の二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を80パーセント削減する必要があるとしています。

 同時に、報告書では、大気中に放出された二酸化炭素が海に溶け続けているため、海洋の酸性化が世界的に進行しており、この傾向が続けば海洋の生態系に影響が出る懸念があると指摘しました。

 人間の活動で出た二酸化炭素の4分の1は海に吸収されるとされ、海水の酸性化が進みます。現在の海水の酸性度は過去3億年において最悪とみられ、この傾向は今後も続く見込み。サンゴや藻類、プランクトンなどを始めとした生物にさまざまな悪影響を及ぼすと考えられます。

 気象庁の小出寛全球大気監視調整官は、「温暖化対策が叫ばれているにもかかわらず二酸化炭素の増加が顕著だった。気温が1度上がれば極端な気象現象が起きる可能性が高まるといわれているので、現状を知ってもらい、対策を取ってほしい」と話しています。

 2014年9月10日(水)

 

■東京都外でもデング熱感染 東京を訪れていない千葉市の60歳代男性

 東京の代々木公園周辺でデング熱の感染が相次ぐ中、新たに、東京都と千葉県などの合わせて7人の感染が確認され、今回、感染が確認されたのは15都道府県で合わせて88人となりました。

 このうち、千葉県千葉市で感染が確認された60歳代の男性は最近、東京を訪れたことがないということで、厚生労働省などが感染の経路を調べています。東京都外で感染したとみられるのは初めて。

 デング熱は蚊が媒介する感染症で、8月に70年ぶりに国内での感染が確認されて以降、東京都渋谷区の代々木公園やその周辺などを訪れた人の感染が全国で相次いでいます。

 厚労省によりますと、9日新たに感染が確認された7人はいずれも重症ではなく、容体は落ち着いているということです。

 千葉市で感染が確認された60歳代の男性は、社会福祉施設で暮らしていて、最近、代々木公園を含む東京都を訪れたことはなく、海外への渡航歴もないということです。8月31日に発熱などの症状が出て、9月2日に千葉市内の医療機関に入院、8日にデング熱と確認されました。

 厚労省はふだんの行動範囲などから、男性は千葉市稲毛区で感染したとみられるとして、男性のウイルス遺伝子配列を解析するなどして、感染の経路を調べています。今のところ、社会福祉施設のほかの入所者で症状が出ている人はいないといいます。

 主要な感染源である代々木公園を訪れたことがない患者の確認は、これで3例目です。1例目、2例目の2人のウイルスの遺伝子配列は代々木公園で感染した患者と一致しているため、厚労省は今回新たに確認された男性のウイルスの遺伝子配列がこれまでと異なる場合は、代々木公園周辺などで確認されている一連の感染とは別の経路で感染した可能性があるとしています。

 また、厚労省と東京都などは都内の公園で蚊を採集して検査を行っていますが、これまでに渋谷区の宮下公園など3つの公園の蚊からはデング熱のウイルスは検出されなかったということです。

 厚労省は、「蚊を媒介して感染が広がっている。重症化している患者はいないが、発熱などの症状が出た場合には速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2014年9月9日(火)

 

世界の自殺者、年間80万人を超える インドが最多、日本は平均を上回る

 世界保健機関(WHO)は6日までに、2012年の世界の年間の自殺者が合計で80万4000人に上ったとの報告書を発表しました。40秒に1人の割合で、自らの命を絶っている計算となります。

 WHOが自殺に関する報告書をまとめたのは、初めて。世界の人口30万人以上の172カ国が寄せた関連データを分析し、報告書作成には10年を要していました。80万人以上との数字は、推計値。

 WHOによると、紛争や自然災害の犠牲者は世界で毎年約150万人となっており、自殺者はこのうちの半数以上を占めます。

 WHOは2020年までに、各国の自殺率を10パーセント引き下げる目標を設定しており、さまざまな対策を通じて自殺は予防できるとして、各国に対して関係者が協力して対策を強化するように求めています。

 報告書によると、2012年に自殺者が1万人を超えている国は、25万8075人のインドを筆頭に、中国(12万730人)、米国(4万3361人)、ロシア(3万1997人)、日本(2万9442人)、韓国(1万7908人)、パキスタン(1万3377人)など11カ国ありました。

 世界規模で10万人当たりの比率は、平均で推定11・4人。男性が女性のほぼ2倍となっており、一部の富裕国では最大で3倍の水準を記録しました。

 低中所得国の国民の自殺者が全体の約75・5パーセントを占めましたが、高所得国の国民の自殺率は12・7人で、低中所得国の11・2人より高くなりました。

 人口10万人当たりで比較すると、最多は南米ガイアナの44・2人、北朝鮮38・5人、韓国28・9人、スリランカ28・8人、リトアニア28・2人などと続き、実数で最多のインドは21・1人でした。

 日本は18・5人で、世界の平均の1・6倍に相当し、172カ国のうち18番目、高所得国の中では韓国、リトアニア、ロシアに次いで4番目に高い割合となっています。

 世界規模で年齢別に見ると、70歳以上の自殺率が最も高くなり、一部諸国では若年層が最多でした。また、世界規模で見た場合、15~29歳では自殺が2番目に多い死因となりました。

 報告書は、自殺防止の努力を妨げる要因の1つは有名人が自殺し、メディアが大々的に取り上げることだとも指摘。最近では米の喜劇俳優ロビン・ウィリアムズさんが亡くなる事例がありましたが、メディアの集中報道で自殺の行為が美化され、伝染病のように広がる恐れがあると述べました。

 同時に、社会から排除されたようなグループで自殺者が目立ち、思いとどまらせる努力が及ばない問題点にも言及しました。

 報告書によると、世界的に見て最も多い自殺の手段は農村部に顕著な農薬のほか、首つり、拳銃。農薬などの入手を規制した場合、自殺の発生件数が減少する事例もあったといいます。

 自殺の発生率を下げるのに不可欠な手段は、各国政府による国家的な行動計画だと強調。この種の計画を持っているのは現在、28カ国のみと紹介しています。

 2014年9月8日(月)

 

■代々木公園以外で、2人目の感染を確認 近隣の新宿御苑は調査で閉鎖へ

 東京都の代々木公園周辺でデング熱の感染が相次いでいる問題で、代々木公園を訪れたことがなく海外への渡航歴もない東京都の60歳代の男性の感染が新たに確認されました。

 代々木公園以外で国内感染が確認された患者は2人目で、厚生労働省は蚊を媒介してデング熱の感染が広がっているとして、発熱などの症状が出た場合は医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 デング熱はヒトスジシマカ、ネッタイシマカなどのなどの蚊が媒介する感染症で、東京都渋谷区の代々木公園やその周辺を訪れた人の感染が全国で相次いでいます。

 5日、新宿区の新宿中央公園を訪れていた埼玉県の30歳代の男性の感染が確認されたのに続き、6日は代々木公園や新宿中央公園を訪れたことがなく、海外への渡航歴もない東京都の60歳代の男性の感染が新たに確認されました。

 厚労省によりますと、男性は9月1日に発熱や頭痛などを発症、5日に感染が確認されました。8月22~29日に、代々木公園から2キロほど離れた新宿区と港区にまたがる明治神宮外苑北側のフットサル千駄ケ谷コートや、4キロほど離れた千代田区の外濠公園を訪れ、蚊に刺されたということです。現在、容体は安定しています。

 男性と代々木公園で感染した患者のウイルスの遺伝子配列が一致していることから、厚労省は、海外から入ってきたウイルスを持った蚊に代々木公園で刺された人が移動し、別の蚊に刺され、その蚊がほかの人を刺すことで感染が広がった可能性があるとしています。

 感染が広がる中、環境省は、これらの公園から近い新宿御苑を、蚊の捕獲調査を行うなどの目的で、7日から当分の間閉鎖することを決めました。港区などは、公園の利用者に蚊に刺されないよう注意を呼び掛けました。

 厚労省の井上肇結核感染症課長は、「蚊が媒介して感染が一定の範囲で広がっている。発熱などの症状が出た場合は、医療機関を受診してほしい」と話しています。

 2014年9月7日(日)

 

■体外受精児27人に1人、3万8000人誕生 過去最多に

 日本産科婦人科学会は5日までに、2012年に国内の医療機関で約32万6426回の体外受精が行われ、3万7953人の子供が生まれたとする報告をまとめました。

 2012年の総出生数は約103万7000人で、体外受精による子供の割合は約27人に1人となりました。

 体外受精が30万回を超えたのは、1983年に東北大で国内初の体外受精児が生まれて以来初めてで、出生数も過去最多。晩婚化に伴って、加齢による不妊に悩む女性が増えていることが、原因とみられます。

 体外受精は、精子と卵子を体外で受精させる不妊治療。学会によると、実施回数は2011年に比べて約5万7000回増え、出生数も約5500人増えました。累計出生者数は、約34万人となりました。

 体外受精の治療を受けている女性の年齢は、30歳代後半から40歳代前半が最も多く、出産に至る割合は、40歳で8・1パーセント、45歳で0・7パーセントと年齢とともに下がっています。

 不妊治療に詳しい吉村泰典慶応大名誉教授(生殖医学)は、「晩婚化と晩産化が非常に大きな影響を与えており、今後も増加するだろう。女性が出産と仕事を両立できる社会をつくらないといけない」と話しました。

 2014年9月6日(土)

 

■デング熱、代々木公園以外で初めて感染 新宿中央公園を訪れた埼玉県の男性

 東京都の代々木公園を訪れたことがなく、海外への渡航歴もない埼玉県の男性がデング熱に感染していることが、確認されました。

 男性は東京都の新宿中央公園で感染した可能性があるということで、今回、代々木公園周辺を訪れたことがない人の感染が確認されたのは、初めてです。

 デング熱はアジアや中南米など熱帯や亜熱帯の地域で流行している蚊が媒介する感染症で、人から人には感染しません。

 先週、東京都渋谷区の代々木公園を訪れていた東京都と埼玉県の男女3人がおよそ70年ぶりに国内でデング熱に感染したことが確認されて以降、全国で感染の確認が相次いでいます。

 これまで感染が確認された人はすべて代々木公園やその周辺を訪れていましたが、代々木公園を訪れたことがなく海外への渡航歴もない埼玉県の30歳代の男性が感染していることが、新たに確認されました。

 厚生労働省などによりますと、男性の容体は落ち着いているということです。男性は先月、新宿区の新宿中央公園を訪れていた際に蚊に刺されたと話しているということです。

 新宿区は新宿中央公園の一部の立ち入りを制限し、蚊の駆除を行いました。

 今回のデング熱で感染が確認された人は、14の都道府県で合わせて70人となりました。

 厚労省は、「蚊を媒介して感染が広がっている。代々木公園周辺を訪れたことがない人でも発熱などの症状が出た場合は速やかに医療機関を受診してほしい」と話しています。

 代々木公園や周辺を訪れたことのない人の感染が確認されたことについて、ウイルスの解析を行った国立感染症研究所の高崎智彦室長は、「ウイルスの解析の結果、代々木公園で蚊に刺された患者と今回の患者のウイルスの遺伝子配列は一致していたので、代々木公園から広がったケースだ」とした上で、「考えられるのは、代々木公園で蚊に刺されて感染した人が新宿中央公園を訪れて再び蚊に刺され、新宿中央公園の蚊もウイルスを持つようになり、その蚊が今回の患者を刺したという状況だ。ただ2つの公園の距離は1キロ程度で、蚊が風に乗って運ばれた可能性もなくはない」と話しています。

 2014年9月6日(土)

 

■デング熱、計59人の感染確認 代々木公園では複数の蚊からウイルス検出

 厚生労働省と自治体の4日の発表によると、デング熱の国内感染者は12都道府県の計59人になりました。3日の集計から11人増えました。

 11人いずれも東京都の代々木公園や周辺への訪問歴があり、同公園の蚊による感染とみられます。重症化した患者はいません。

 厚労省によると、新たに横浜市の20歳代女性や、東京都の10~70歳代の男女6人の感染が判明。群馬県では初めて、みどり市の10歳代男性の感染が確認されました。埼玉県、千葉県、新潟県では、感染者が1人ずつ増えました。

 また、東京都の3日の発表によると、代々木公園内で蚊を採集し、都の研究施設で調べたところ、複数の蚊からデング熱のウイルスが検出されました。

 ウイルスが検出された蚊は、調査を行った10か所のうち4カ所で見付かり、公園内の広い範囲に及んでいるということです。

 東京都は公園内に今もウイルスを持った蚊が生息しているとみて、4日午後2時から一部を除いて当分の間、立ち入り禁止にし、5日以降、蚊の駆除を行うなどの対策を急ぐことにしています

 蚊を駆除する作業は、生態系への影響も考慮する必要があるため、昆虫学の専門家が立ち会って公園内の蚊の生息状況などを調べ、具体的な方法を検討するということです。

 立ち入りが禁止されるのは、公園の北側の中央広場やサイクリングコースなどがあるエリアで、全体のおよそ8割を占める44万6000平方メートル。道路を隔てた南側の野外ステージや陸上競技場などがあるエリアは、対象に含まれていません。

 代々木公園で広い範囲で立ち入り禁止の措置が取られるのは、1967年の開園以来初めてだということで、再開時期は未定としました。

 東京都は今後、公園内で蚊を採集する場所を10カ所から20カ所に増やしてウイルスの調査を行い、監視を続けるとともに公園や周辺を訪れる際は長袖長ズボンを着用し、虫よけスプレーを使うなど蚊に刺されないための対策を取るよう呼び掛けています。

 代々木公園で採取された蚊からデング熱のウイルスが検出されたことについて、蚊の生態に詳しい国立感染症研究所昆虫医科学部の沢辺京子部長は、「戦後、国内にいる蚊からデングウイルスが検出されたという報告は初めてだ」とした上で、「東南アジアなどのデング熱の流行地でもウイルスを持つ蚊は1000匹捕まえて数匹いるかどうかで見付けるのがかなり難しい。今回は公園の10カ所で280匹近く捕まえただけだが、4カ所でウイルスを持つ蚊が見付かった。今もウイルスを持つ蚊が相当数、公園にはいるとみるべきだ」と話しています。

 また、「ウイルスを持つ蚊が卵を産み、次の世代にウイルスが引き継がれることは通常、ほとんどないが、ウイルスを持つ蚊が多くなればその危険性も高まる」としています。

 さらに、今回のデング熱で感染が確認された人が12都道府県で合わせて59人になっていることについて、「患者の自宅周辺などで二次的な流行が広がる恐れがあるため、蚊や幼虫を駆除したり蚊の発生するような場所をなくすなど、感染者が出た自治体での対策も必要だ。また、一般の人たちは蚊に刺されないよう気を付けてほしい」と指摘しています。

 2014年9月4日(木)

 

■デング熱、計48人の感染確認 北海道、山梨県など11都道府県に拡大

 厚生労働省は3日、デング熱の国内感染患者が11都道府県の計47人になったと発表しました。2日までに10都府県の36人の感染が確定していましたが、新たに北海道の1人を含む11人が確認されました。

 これとは別に、千葉市は市内に住む70歳代男性の感染を確認したと発表、約70年ぶりに確認されたデング熱の国内感染者は計48人になりました。

 全員が直近の海外渡航歴はなく、東京都の代々木公園や周辺を訪れ、ここで蚊に刺されたのが原因とみられ、8月14日から9月1日までに発症しました。いずれも重症ではなく、容体は落ち着いているということです。

 厚労省によると、札幌市の40歳代女性の感染が判明したほか、東京都や山梨県に居住する10人の感染を確認。岡山県倉敷市が2日に公表した東京在住の20歳代男性も、感染が確定しました。

 田村厚生労働大臣は閣議の後の記者会見で、「これまでも海外でデング熱に感染した人が日本に入国している可能性はあるが、国内で爆発的に感染が広がっているということはない。状況が劇的に変わったわけではない」と述べました。

 その上で、田村大臣は「高齢者や子供は、高熱が出た場合などは早く医療機関にかかってほしい。ただ、デング熱を媒介する蚊は冬を越すことはないので、パニックになることなく、冷静に対応してほしい」と述べました。

 代々木公園を管理する東京都によりますと、8月には16日間、合わせて14のイベントが開催されました。

 主に野外ステージやケヤキ並木を会場に開かれ、骨とう市や、よさこいのイベント、それに著名なミュージシャンのライブなどが開かれ、家族連れなど大勢の人が訪れていたということです。

 東京都によりますと、デング熱への感染が確認された人の中には代々木公園に散歩やジョギングに訪れていた人もいたということです。

 2014年9月3日(水)

 

■世界の糖尿病人口、3億8200万人に急増 国際糖尿病連合が試算

 糖尿病が世界で急増しています。各国の糖尿病関連団体でつくる国際糖尿病連合(IDF)によると、2013年の世界の糖尿病人口(20~79歳)は3億8200万人、有病率8・3パーセントで、1億9400万人だった2003年から倍増しました。

 有効な対策を施さないと、2035年には5億9200万人に達する見込みです。

 経済成長に伴って中国やインド、アフリカでも年々深刻化しており、欧米では糖尿病や肥満の対策として糖分を多く含んだ清涼飲料などに課税する動きも出始めています。

 IDFによると、日本の2013年の成人糖尿病人口は720万人で、2012年の710万人から微増。

 世界ランキングでは、第1位の中国(9840万人)、第2位のインド(6507万人)、第3位の米国(2440万人)を始めとして上位7カ国の順位は前年と同じですが、第8位にドイツ(755万人)が新たに加わり、日本は昨年の9位から10位へと後退しました。

 2035年までに中国では約1・5倍、インドで約1・7倍に、サハラ砂漠以南のアフリカでも倍増する見通し。

 2型糖尿病の有病者数は、世界のすべての国で増加しています。糖尿病有病者の約80パーセントは低・中所得の国に集中しており、糖尿病に対する「豊かな先進国に多い疾患」というイメージが誤解であることが浮き彫りになっています。

 糖尿病が原因で死亡した人は、2013年は世界で510万人に上りました。6秒に1人が糖尿病のために亡くなっている計算。低所得国では、資金不足で治療を受けられない患者も増えると懸念されます。

 2013年の糖尿病による経済的な損失は、総支出の11パーセントに相当する54兆8000億円(5480億ドル)に上ります。

 糖尿病有病者のうち1億7500万人は、糖尿病と診断されていません。糖尿病を早期発見するためのカギとなるのは血糖値検査で、治療の基礎となるのは食事や運動などの生活習慣の改善であり、糖尿病の発見と治療が遅れると、目、腎臓、神経に障害が起き、動脈硬化などの重大な合併症が起こりやすくなります。

 2013年に1型糖尿病を発症した子供の数は、7万9000人以上。1型糖尿病の患者数は、欧州(12万9400人)や北米(10万8600人)で多くなっています。

 耐糖能異常(IGT)は、先進国や経済成長が著しい途上国で増えています。耐糖能異常は、糖尿病と診断されるほどではないものの血糖値が高くなっている状態。この段階から生活習慣の改善などの介入をすることで、糖尿病の多くは予防可能になります。医療分野の政策を推し進め、予防に向けて社会整備をする必要があります。

 妊娠時に血糖値が高くなる妊娠糖尿病は、2140万人と推定されています。妊娠糖尿病は母親と胎児にとって危険なだけでなく、出生した子供が成人してから2型糖尿病を発症しやすくなるなど、深刻な影響をもたらします。

 2014年9月2日(火)

 

■デング熱、新たに19人の感染確認 厚労省が検査態勢強化へ

 先週、国内でおよそ70年ぶりに感染が確認されたデング熱に、新たに東京都などの19人が感染したことが、国立感染症研究所の検査で確認されました。

 全員が東京都の代々木公園やその周辺を訪れていたということで、厚生労働省は、発熱などの症状が出た場合は医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 デング熱は蚊が媒介する感染症で、アジアや中南米など熱帯や亜熱帯の地域で流行しています。人から人には感染しません。

 先週、東京都渋谷区の代々木公園を訪れていた東京都と埼玉県の男女3人がおよそ70年ぶりに、国内でデング熱に感染したことが確認され、その後も症状を訴える人が相次ぎました。

 国立感染症研究所が検査したところ、1日、新たに東京都や神奈川県など6つの都県に住む10歳代未満の子供から50歳代までの合わせて19人がデング熱に感染したことが、確認されたということです。19人の内訳は、東京都が13人、神奈川県が2人、埼玉県と千葉県、茨城県、新潟県がそれぞれ1人ずつとなっています。

 これで今回国内でデング熱への感染が確認されたのは、合わせて22人となりました。いずれも重症ではなく、容体は落ち着いているということです。

 厚労省によりますと、感染が確認された人は全員が先月代々木公園やその周辺を訪れていて、最近1カ月以内の海外への渡航歴はないということです。

 こうした状況を受けて厚労省は対策として、都道府県などが感染症の調査・研究などのために設置している全国79カ所の地方衛生研究所に、検査キットを配布して検査態勢を強化することを決めました。

 また、ポスターを新たに作って自治体などに掲示を依頼するとともに、厚労省のホームページに専用のサイトを開設し、感染を防ぐための注意点などを広く呼び掛けることになりました。

 さらに、医療機関に対してデング熱が疑われる患者を診療する際のマニュアルを配布し、デング熱への必要な医療を確保するとしています。

 厚労省で開かれた1日の記者会見で、国立感染症研究所の西條政幸ウイルス第一部長は、「デング熱のウイルスを持った蚊が代々木公園周辺以外の地域で発生する可能性は否定できない」と述べた上で、気温が下がる秋に向けて現在の流行は収まるとして、「日本全国に感染が広がり、多くの患者が出るようなことは想定しづらい」と説明しました。

 加えて、2010年までの5年間で、海外で感染して日本に帰国した581人のうち、出血などを伴う重い症状と診断されたのはおよそ4パーセントに当たる24人で、亡くなった人はいないことを明らかにし、「重症化する人は少なく、日本では適切な治療を受けられる」として、蚊に刺されて3~7日程度で高熱などの症状が出た場合には早めに医療機関を受診するよう呼び掛けました。

 2014年9月1日(月)

 

■新たに3人がデング熱に感染か 新潟県、神奈川県の男女

 新潟県の10歳代男性と横浜市港北区の20歳代の男子大学生、神奈川県横須賀市の10歳代の女子高生が、国内でデング熱に感染した疑いがあることが31日、わかりました。

 3人はいずれも最近1カ月以内に海外への渡航歴はなく、8月に東京都渋谷区の代々木公園周辺を訪れていました。

 新潟県や横浜市の検査機関が血液検査した結果、感染を示す陽性反応が出ました。国立感染症研究所(東京都)が、最終的に検体を確定検査しています。

 デング熱を巡っては、海外渡航歴のない東京都内の同じ学校に通う埼玉県、東京都の男女3人がおよそ70年ぶりに国内で感染していたことが確認されており、デング熱の国内感染は合計6人となります。6人はいずれも代々木公園や周辺で、蚊に刺されて感染した疑いがあります。

 新潟県によりますと、8月24日、発熱や頭痛などの症状を訴えて新発田市の病院を訪れた10歳代の男性に対し、新潟市内の検査機関でスクリーニング検査を行ったところ、国内で相次いで感染が確認されたデング熱の陽性反応が出ました。この男性は学校の行事で8月20日に、代々木公園を訪れていたということです。

 男性の症状は現在、快方に向かっているということで、新潟県は31日夕方、県庁で対策会議を開き、県民からの相談窓口を設置することを決めました。

 新潟県の泉田知事は、「デング熱はエボラ出血熱とは違って人から人への感染はないし、致死率は低い。過度に恐怖心を持つ必要はない」と述べ、県民に対し冷静な対応を求めています。

 一方、横浜市によりますと、横浜市の20歳代の男子大学生と横須賀市の10歳代の女子高生の2人はそれぞれ、8月中旬、代々木公園周辺を訪れた後、およそ1週間後に発熱などの症状を訴え、横浜市内の医療機関で検査を受けたところ、デング熱の疑いがあることがわかったということです。

 2人のうち、女子高校生は現在も入院して手当てを受けていますが、いずれも症状は快方に向かっているということです。

 厚生労働省によりますと、新潟県、神奈川県以外に複数の疑い例があり、結果確定後に9月1日午後にもまとめて発表するとしています。

 デング熱は、人から人には感染せず、ほとんどの場合、1週間程度で回復するということですが、症状が重くなると、まれに死亡することもあります。

 厚労省は冷静な対応を求めるとともに、発熱などの症状が出た場合は医療機関を受診するよう呼び掛けています。

 2014年8月31日(日)

 

■ピーナツアレルギー、原因物質を酵素で分解 アメリカの大学が成功

 重いアレルギー症状を引き起こすこともあるピーナツ(落花生)について、アメリカの大学が特定の酵素を加えることでアレルギーの原因物質を分解する方法を発見し、小麦などほかの食品アレルギーにも応用できないか、期待が高まっています。

 アメリカ農務省によりますと、ノースカロライナ州の農業工科州立大学の研究チームは、ピーナツに含まれるアレルギーの原因となるタンパク質が特定の酵素によって分解されることを発見し、この酵素をピーナツに加えることによって、アレルギーの原因物質の98パーセント以上を減らすことに成功したということです。

 この処置は、殻がついたままでも、殻をむいた状態でも行うことができ、品質や味に変わりはないことから、現在、アレルギーの出ないピーナツの商品化に向けて研究が進められているということです。

 アメリカでは、ピーナツの摂取によってアナフィラキシーなどの重篤な症状を引き起こして死に至ることが、社会問題となっています。一般には焙煎(ばいせん)されたものをそのまま食べるとともに、ピーナツバター、オイルなどにも利用されています。アレルギー患者の中には、微量の摂取で症状を発現する場合や、経口摂取だけでなく接触、吸入によっても症状が誘発されることもあります。

 ピーナツに含まれるアレルギーの原因物質としては、現在11種類が゙認定されていますが、そのうちの主要なものは種子貯蔵タンパク質であるAra h 1(7Sグロブリン)、Ara h 2(2Sアルブミン)、Ara h 3(11Sグロブリン)。

 アメリカ農務省は、「近いうちにピーナツアレルギーの人でも、栄養価の高いピーナツを食べることができるようになるだろう」としています。

 また、農業工科州立大学の研究チームは同様の方法で、小麦に含まれるアレルギーの原因物質を減らすことにも成功しており、アレルギーを引き起こすほかの食品への応用にも期待が高まっています。

 2014年8月30日(土)

 

■子宮頸がんワクチンの追跡調査強化へ 厚労省、医療機関に要請

 子宮頸(けい)がんワクチンを接種した後に原因不明の体の痛みなどの症状を訴える患者が相次いだ問題で、厚生労働省は、症状が出たすべての人を対象に追跡調査を行い、接種と症状との因果関係を本格的に調べることを決めました。

 子宮頸がんワクチンは昨年4月、小学6年生から高校1年生までの女子を対象に、法律に基づく定期接種に追加されました。

 しかし、接種を受けた後に原因不明の体の痛みや運動障害などの症状を訴える患者が相次いだため、厚労省は昨年6月、「接種との因果関係が否定できない」として積極的な接種の呼び掛けを中止しました。

 今年1月には、専門家会議が「ワクチンそのものが原因ではなく、接種の際の不安や緊張などの心理的な要因によって症状が出た可能性がある」とする見解をまとめましたが、詳しい原因は解明されておらず、全国で接種を見合わせる動きが広がるなど混乱が続いています。

 こうした事態を受け、厚労省は医療機関などを通じて、これまでにワクチンを接種して症状が出たすべての人を対象に追跡調査を行い、症状の実態や接種との因果関係を本格的に調べることを決めました。

 また、医療態勢も強化。現在は専門治療を行う医療機関は18都道府県の23カ所に限られていますが、今後は全県に窓口となる協力医療機関を拡大します。

 田村厚生労働大臣は閣議後の会見で、「実態を正確に把握することで正確な情報を提供するとともに、調査結果を踏まえて接種の呼び掛けを再開するか判断したい」と述べました。

 厚労省によりますと、今年3月末までにワクチンを接種した人は全国で338万人と推定され、このうち歩行が難しくなるなど重い症状を訴えた人は176人報告されています。

 2014年8月29日(金)

 

■デング熱、国内感染3人に 全員級友、代々木公園で蚊媒介の疑い

 熱帯や亜熱帯の地域で流行している「デング熱」に、海外への渡航歴のない埼玉県の20歳代の女性と東京都の20歳代の男性が、新たに感染していたことがわかりました。

 2人は、27日にデング熱への感染が確認された埼玉県の10歳代の女性と同じ学校の学生で、いずれも東京都渋谷区の都立代々木公園で蚊に刺されて感染した疑いがあることから、東京都は念のため、公園内で蚊の駆除を進めています。

 新たにデング熱への感染が確認された埼玉県の20歳代の女性は、18日に発症して25日に入院しましたが、現在は症状が落ち着いているということです。東京都の20歳代の男性は、24日に発熱、27日に38度の熱があり都内の病院に入院しましたが、重い症状はみられないということです。

 デング熱については、27日に国内でおよそ70年ぶりに、埼玉県の10歳代の女性が感染していたことがわかりましたが、埼玉県や東京都によりますと、2人はこの女性と同じ都内の学校に通う学生で、全員海外への渡航歴はありません。

 3人は8月の初旬から20日ごろにかけて週3回ほど、東京都渋谷区の都立代々木公園で、学園祭のためのダンスの練習を午後から夜間にかけて行っていた際、蚊に刺されて感染した疑いがあるということです。

 当時、同じ学校の学生が30人ほど一緒に活動していましたが、これまでにほかに発熱などの症状を訴えている人は確認されていないということで、学校と保健所で連絡を取り合い、健康状態の確認を続けることにしています。

 また、東京都によりますと、公園内で緊急に蚊を採取して調査したところ、デングウイルスは検出されなかったものの、念のため、3人が蚊に刺されたとみられる場所の周囲を29日朝まで立ち入り禁止にして、薬剤を散布して蚊の駆除を進めています。

 都心の代々木公園で、デング熱に感染した疑いのある患者が見付かったことについて、長崎大学熱帯医学研究所の森田公一所長は、「海外でデング熱に感染した人がたまたま公園に来て、蚊がその人の血を吸ったため、体内にウイルスを持つようになり、別の人に広げたのではないか」と話しています。

 森田所長は、「ここ数年、海外でデング熱に感染して帰ってくる人は、200人を超えていて、昨年はこれまでで最も多い249人だった。日本にも、デング熱のウイルスを媒介するヒトスジシマカがいるので、こうした小さな流行が起きることは以前から想定はされていた。これまでも起きていたが気付いていなかっただけかもしれない」と話しています。

 その上で、「デング熱はインフルエンザのように人から人に感染するものではなく、蚊が媒介するものなので、今後、無制限に患者が増え続ける恐れはない。蚊に刺されない対策を行えばよく、ウイルスを持った蚊も10月ごろになれば死ぬ。卵を産むが、ウイルスが受け継がれることはほとんどない」と話しています。

 蚊に刺されるのを防ぐには、長袖のシャツを着たり、靴下を履いたりするなど、なるべく皮膚の露出を減らすことが有効なほか、虫よけスプレーなどを使うことも効果的だということです。

 2014年8月28日(木)

 

■デング熱、約70年ぶりに国内で感染確認 埼玉県在住の10歳代女性

 熱帯や亜熱帯の地域で流行している「デング熱」に、海外への渡航歴のない埼玉県在住の10歳代の女性が感染していたことがわかりました。

 国内での感染の確認は1945年以来およそ70年ぶりで、厚生労働省は感染経路を調べるとともに、全国の自治体に対して、デング熱の感染が疑われる患者が確認された場合は、速やかに保健所に報告するなど注意を呼び掛けています。

 感染した女性は今月20日、40度の高熱や関節の痛みなどの症状を訴えて、さいたま市内の病院に入院しましたが、現在、容体は安定しているということです。

 デング熱はネッタイシマカ、ヒトスジシマカなどの蚊が媒介するウイルスによる熱病で、人から人には感染しません。アジアや中南米、アフリカなどの熱帯や亜熱帯の地域で広く流行していて、毎年、世界中でおよそ1億人が発症しているとみられています。発症すると発熱や激しい頭痛などを引き起こし、症状が重くなるとまれに死亡することもあります。

 日本では海外で感染し、帰国後に発症する人が年間200人ほど報告され、昨年はこれまでで最も多い249人の患者が確認されています。

 感染した女性は海外への渡航歴はないということで、厚労省は、海外で感染して帰国した人から蚊を媒介して感染した可能性があるとしています。

 世界保健機関(WHO)によりますと、今年はマレーシアやフィリピン、シンガポールなどの東南アジアを中心に患者が報告されています。

 厚労省によりますと、国内にはデング熱のウイルスは常在しておらず、海外で感染して帰国後、発症するケースがほとんどで、統計を取り始めた1999年の患者数は9人でしたが、昨年は249人の患者が報告され、今年は今月17日までに98人が確認されています。

 今年1月には、日本を旅行したドイツ人の女性が帰国後、デング熱を発症していたことがわかり、厚労省は、日本で感染した可能性が否定できないとしています。

 デング熱の治療薬はなく、熱を下げたり、脱水症状を防いだりする対症療法が中心となります。予防のためのワクチンもありません。

 厚労省は、流行地域を旅行する際は蚊に刺されないため長袖や長ズボンを着用したり、虫よけを使ったりするよう呼び掛けています。また、流行地域から帰国した後に発熱や頭痛などの症状が出た場合は、すぐに空港や港の検疫所や医療機関を受診してほしいとしています。

 海外への渡航歴のない人がデング熱に感染していたことについて、感染症に詳しい川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「デング熱は人から人に感染しないので、今回の患者から広がることはない。ただ患者が出た地域などでは、ウイルスを持った蚊がほかにもいる可能性がゼロではなく、刺された場合、感染することは考えられる。また今回、国内での感染が確認されたことで、医療機関では今後、高熱の患者を診察する際、海外への渡航歴というキーワードがなくてもデング熱の可能性を考える必要が出てくるかもしれない。まずは今回、患者が出た地域で、ほかにもウイルスを持つ蚊がいるのかどうか調査することが重要だ。また一般の人たちは、なるべく蚊に刺されないように気を付けてほしい」と話しています。

 2014年8月27日(水)

 

■熱中症で5人死亡、搬送者5186人 搬送者は前週の2・3倍に増加

 総務省消防庁は26日、18日から24日までの1週間に、全国で熱中症の症状で病院に救急搬送されたのは5186人(速報値)だったと発表しました。

 1週間ごとの熱中症の搬送者の数は、このところ3週連続で減少していましたが、猛暑日が少なかった11日から17日までの前週の2269人と比べて、前半に各地で猛暑日を記録した先週は約2・3倍に増え、再び増加に転じました。特に、気温が高かった関東地方で搬送者が多くなりました。

 搬送時に亡くなったのは5人で、栃木県、滋賀県、大阪府、兵庫県、島根県でそれぞれ1人が死亡しました。

 消防庁によると、搬送時の症状は、3週間以上の入院が必要な重症が66人、入院が必要な中等症が1652人。年齢別では、65歳以上の高齢者が38パーセントを占めて1962人、18歳から65歳は2732人でした。

 都道府県別では、東京都が617人と最も多く、次いで埼玉県が537人、神奈川県が341人、千葉県が332人、愛知県が314人などとなっていて、関東地方の1都6県だけで、全体の46パーセントに当たる2408人が搬送されました。

 この夏に熱中症の症状で病院に運ばれた人は、全国で3万8712人、死者は53人に上っていて、消防庁は今後も残暑が続くため、こまめな水分補給と室温調整を行うなど熱中症の予防に努めてほしいと呼び掛けています。

 2014年8月26日(火)

 

■全国61万人のがん患者情報を公表 国立がん研究センター

 がん患者一人ひとりの治療内容の情報を登録し、がん医療の改善に役立てようという「がん登録」について、国立がん研究センターは、全国のがんの拠点病院を受診した61万人の患者情報をまとめた報告書を25日、公表しました。

 この報告書は、2012年に、全国397のがん診療連携拠点病院を受診したがん患者およそ61万3377人について、がんの部位や進行度、それに、どのような治療が行われたのかなどの情報をまとめたもので、国立がん研究センターが25日、公表しました。

 国立がん研究センターでは、2007年から、より効果的な治療法の普及などがん医療の改善に役立てようと、がん登録のデータの集計を始めていますが、拠点病院の患者のデータがすべてそろったのは今回が初めてで、2016年1月から法律に基づいて全国の病院が行う「全国がん登録」の基盤が整ったとしています。

 また、今回は初めて、胃がんや大腸がんなど5種類のがんについて、年齢と進行度に応じてどのような治療が行われたかのデータもまとめられていて、内容は、センターのホームページで見ることができます。

 国立がん研究センターの西本寛がん統計研究部長は、「がんの種類によっては、年齢やライフステージによって治療を変える必要があったりする。今後、分析を進める際に使ってほしい」と話しています。

 また、この国立がん研究センターの報告書により、80歳代のがん患者のうち手術や投薬などの治療を受けた人が、乳がんで9割5分、大腸がんで9割、胃がんで8割5分、肝臓がんで8割、肺がんで7割に上ったことがわかりました。

 高齢者は手術や抗がん剤の負担に耐えられない場合があり、かつては治療しないケースが多くありました。西本部長は、「手術や薬の負担を抑えられるようになってきたことと、体力のある高齢者が増えたことで、治療できる例が増えている可能性がある」と述べました。

 90歳以上の患者の場合、治療を受けた割合は胃がん、肝臓がん、肺がんでは4~5割にとどまりました。負担の少ないホルモン療法ができる乳がんは9割、大腸がんは8割でした。

 2014年8月25日(月)

 

■子供の甲状腺検査、がんやがん疑い103人 福島県実施の30万人調査

 東京電力福島第一原発の事故を受けて、福島県が行っている子供の甲状腺検査で、これまでに検査を受けたおよそ30万人のうち、103人ががんやがんの疑いと診断されました。

 福島県などは、原発事故による被曝の影響とは考えにくいとしていますが、今後も検査を続けることにしています。

 原発事故で拡散した放射性ヨウ素は、甲状腺にたまるとがんを引き起こす恐れがあるとされ、福島県は、事故当時18歳以下だったすべての子供を対象に甲状腺の検査を進めています。

 24日に福島市で開かれた専門家の委員会で、事故後3年間に県内全域で実施した検査結果が公表され、これまでに検査を受けたおよそ30万人のうち、がんと診断されたのは57人、がんの疑いがあるとされたのは46人だったということです。

 がんやがんの疑いのある子供は合わせて103人で、10万人当たりおよそ30人の割合になります。

 地域別では、原発周辺の13の市町村と、福島市やいわき市などの中通りや浜通りの別の自治体では、がんやがんの疑いがあるとされた割合はほぼ同じでした。

 検査を担当する福島県立医科大学の鈴木眞一医師は、「がんが見付かった理由は、症状のない人も含めて精度の高い検査を行っているためで、これまでのところ、原発事故による被曝の影響とは考えにくい。年齢が上がれば通常でも甲状腺にしこりが見付かる確率が高くなるので、慎重に見続ける必要がある」としています。

 福島県では今後も検査を継続し、長期にわたって子供への健康影響を調べることにしています。

 2014年8月24日(日)

 

■危険ドラッグで死者41人、2012以降で 警察庁まとめ

 全国で2012年以降、少なくとも41人が危険ドラッグ(いわゆる脱法ドラッグ)を乱用して死亡した疑いがあることがわかりました。危険ドラッグの販売などで摘発したものの起訴できたのは2割足らずで、ほかの薬物事件と比べて起訴率が著しく低いことも判明しました。

 危険ドラッグ対策に関する衆院厚生労働委員会の8月4日の閉会中審査で、警察庁が初めて明らかにしました。

 乱用による死亡の疑いがあると判断した事案は、2012年は8人、2013年は9人でしたが、今年に入ってから24人と急増。使用後に暴れて様子が急変したり、ビルから飛び降りたりしました。

 都道府県別では、大阪府の14人に、神奈川の13人、東京都の4人が続きました。北海道や宮城県、埼玉県、千葉県、京都府、兵庫県、福岡県、熊本県など27道府県は統計を取っていませんでした。

 危険ドラッグの販売や販売目的輸入などの薬事法事件で昨年逮捕、書類送検したのは、37人。これまでに起訴したのは全体の18・9パーセントの7人で、覚醒剤事件の起訴率80・8パーセント、大麻事件の52・4パーセント、麻薬・向精神薬事件の48・1パーセントを大きく下回りました。

 警察庁の担当者によると、危険ドラッグの場合、規制薬物の化学構造の一部を変えて法規制を逃れた新しい薬物が次々、開発されたり販売されているために、違法な薬物であることを容疑者自身が認識していたことが立証できる事例でないと立件が難しいといいます。

 国の規制が現実に追い付いていない実態は、交通事故にも反映しました。

 全国の警察が今年上半期(1〜6月)に、危険運転致傷や自動車運転過失致傷の疑いで摘発した危険ドラッグ絡みの交通事故は、昨年1年間の38件に迫る33件。このうち、危険ドラッグが規制薬物を含んでいたのは、わずか7件(21パーセント)。東京都と香川県での死亡事故3件を含む26件は、規制薬物の化学構造の一部を変えるなどした規制外の薬物でした。

 警察庁では、危険ドラッグが原因とみられる死亡事案の把握に努める方針で、厚労省では、危険ドラッグ対策を進める麻薬取締部を強化するため、麻薬取締官の増員などを検討するとしています。

 2014年8月23日(土)

 

■週に2回以上インスタント麺を食べる女性、健康リスク上昇 米ハーバード大学が研究を発表

 ラーメンなどのインスタント麺を週に2回以上食べる女性は、高血圧、血糖値上昇、高コレステロールなどのリスクが高くなるとの研究論文が21日、米専門誌「栄養学ジャーナル」に掲載されました。

 米ハーバード大学の研究チームは、韓国全国健康・栄養調査の成人男女1万711人(半数余りが女性)のデータを分析。

 その結果、インスタント麺を1週間に2回以上食べる女性は、メタボリック症候群のリスクが68パーセント高くなることが判明しました。この傾向は、男性にはみられませんでした。

 メタボリック症候群は、心臓病や糖尿病のリスクを上昇させる一群の症状で、腰回りに脂肪が過剰に蓄積した状態もこの1つ。研究論文は、「インスタント麺の消費は、女性のメタボリック症候群の有病率増加に関連している。この傾向は、主な食習慣とは無関係だ」と指摘しています。

 つまり、女性が取っている食事が米、魚、野菜を中心とした伝統的な食事か、肉や揚げ物ばかりの食事かは問題にならないということです。とにかくインスタント麺を週に2回食べれば、健康問題のリスクが高まるわけです。

 この影響が女性にのみみられ、男性にはみられない理由はわかっていません。ハーバード大のフランク・フー教授(栄養学・疫学)は、「女性のほうが男性より正確に食事内容を報告したためかもしれないし、もしくは女性のほうが炭水化物、脂肪分、塩分などの影響を受けやすいからかもしれない」とした上で、「月に1、2回なら問題にならない。だが、週に数回は、間違いなく食べ過ぎだ」と語っています。

 2014年8月22日(金)

 

■ギャンブル依存疑い、536万人に上る 世界より高い割合と厚労省が警告

 ギャンブルに対する気持ちが抑えられない「ギャンブル依存症」(病的賭博)の疑いがある人が、国内に536万人いるとする推計を厚生労働省研究班(代表、樋口進・国立病院機構久里浜医療センター院長)がまとめ、20日発表しました。

 成人の約5パーセントに上り、世界のほとんどの国が1パーセント前後にとどまるのに比べて、日本は非常に高い割合と警告しています。

 依存の推計値が公表されるのは、初めて。研究班は、海外ではカジノがあるのは特定の地域にとどまるのに対し、日本はパチンコやパチスロが身近な所に普及しており、ギャンブルに接しやすいのが高い割合の要因とみています。

 樋口代表は、「ギャンブルには必ず負の側面がある」と述べ、政府のカジノを中心とする統合型リゾート施設の導入に慎重な議論を求めました。

 調査は昨年7月、全国から無作為に抽出した成人のうち、同意が得られた4153人に面接。「意図していた以上にギャンブルをしたことがある」など、いくつかの質問に一定以上当てはまる人を、ギャンブルしたい気持ちを抑えられない「ギャンブル依存症」(病的賭博)の疑いがあるとしました。

 成人男性で438万人(8・7パーセント)、女性で98万人(1・8パーセント)に上りました。

 2014年8月21日(木)

 

■介護ベッドでの死亡事故、7年余で35件 消費者庁が注意呼び掛け

 高齢者や体の不自由な人が使う介護ベッドで、手すりの透き間に首を挟まれるなどしたことによる死亡事故が、この7年余りで35件に上っているとして、消費者庁が十分な注意を呼び掛けています。

 介護ベッドによる事故は、国への報告が義務付けられた2007年以降、7年余りで67件が明らかになっていて、このうち半数を超える35件が死亡事故です。

 消費者庁によりますと、7月6日には、神奈川県で80歳代の男性が手すりの透き間に頭を挟まれた状態で死亡しているのが見付かったということです。

 相次ぐ事故を受けて、国は5年前に介護ベッドの規格を改め、危険性が低い構造にするなどの対策を行っていますが、まだ古い製品を利用している人が少なくないとみられるということです。

 このため、消費者庁は古い製品を使っている場合は、新しい規格を満たしたものに取り替えることや、それができない場合は頭や首を挟まないよう、専用のカバーやクッション、毛布を手すりの透き間に入れる、危険な状態になっていないか定期的にベッド利用者の目視確認を行うなどの対策を取るよう、十分な注意を呼び掛けています。

 記者会見した消費者庁の板東久美子長官は、「二度と事故が起きないよう、介護ベッドのレンタル事業者に対しても、安全面の周知徹底を図っていきたい」と話していました。

 2014年8月20日(水)

 

■ローソン、コンビニで介護支援 ケアマネが常駐

 ローソンが、介護が必要な高齢者や居宅介護者を支援するコンビニの展開を始めます。介護事業者と提携し、昼間はケアマネジャーが常駐して生活支援の助言をしたり、介護に必要なサービスや施設の紹介をしたりします。

 超高齢化が進むのに対応し、新たなサービスで客を増やす狙い。

 首都圏で老人ホームなど介護福祉サービスを手掛ける「ウイズネット」(本社・さいたま市)と提携し、同社がローソンの加盟店となり、店を運営します。1号店は来年2月に、埼玉県川口市に開く予定。

 ローソンは、他の介護事業者にも加盟店になってもらう計画で、提携先が見付かれば、大阪や名古屋など大都市部を中心に3年で約30店を出す計画です。

 普通のコンビニと同じ品ぞろえのほか、店内に常駐するケアマネジャーが、入浴などの通所介護(デイサービス)や、有料老人ホームなどの施設を紹介します。高齢者の介護生活についての相談にも乗ります。相談には無料で応じる予定です。

 また、店内にはサロンのようなスペースを設け、高齢者が集まりやすくします。介護に関する講習会などを開くことも検討しています。

 広めの敷地が確保できる店では、提携先のフィットネスクラブ大手のルネサンスと協力し、ストレッチなど軽い運動をできるスペースを設けることも計画しています。

 2014年8月19日(火)

 

■1回の採血で13種のがんを発見 負担少ない検査法開発へ

 がん細胞が血液中に出す特殊な物質を目印に乳がんや大腸がんなど、日本人に多い13種類のがんを血液を調べるだけで早期発見できるようにする新たな検査法の開発を始めると、国立がん研究センターなどのグループが発表しました。

 身体的な負担の少ない血液検査でがんの疑いがある人を見付け、詳細検査を受けてもらう想定。がんを治す上で極めて重要な早期発見、治療開始によって、がん克服につなげたいとしています。

 これは、国立がん研究センターやNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、それに東レなどの企業4社が共同で行うと18日、記者会見し、明らかにしたものです。

 会見によりますと、これまで以上にがんを早期に発見できるという新たな検査法の開発のカギとなるのは、血液や唾液などの体液に含まれ、人間では2500種類以上が確認されているマイクロRNAという特殊な物質です。

 細胞ががん化すると、マイクロRNAが血液中に分泌される種類や量が変わることが、最新の研究でわかってきたということです。

 グループでは、国立がん研究センターに保存されている大量のがん患者の血液を詳しく分析し、日本人に多い胃、食道、肺、肝臓、胆道、膵臓、大腸、卵巣、前立腺、ぼうこう、乳房のがんと、肉腫、神経膠腫の13種類のがんについて、初期のがんの目印となるマイクロRNAを見付け出し、新たな検査法の開発につなげたいとしています。

 研究は、今後5年間行い、最終的には、健康診断などの血液検査でがんの早期発見が行えるようなシステムの開発を目指すことにしています。

 国立がん研究センターの落谷孝広分子細胞治療研究分野長は、「将来的には、血液1滴で、どんながんがあるのか、早期に発見できるようにしたい」と話しています。

 2014年8月18日(月) 

 

■慶応大など子宮移植のガイドライン公表 今後議論へ

 がんで子宮を摘出するなどした女性に親族などから提供された子宮を移植する「子宮移植」の手術を研究している慶応大学などのグループは、将来国内で手術を実施する場合のガイドラインをまとめ公表しました。

 海外ではすでに10例以上の子宮移植が行われているということで、今後関連する学会で議論される見込みです。

 子宮の移植手術は、生まれ付き子宮がない先天性膣欠損症の女性や、がんの治療のために子宮を摘出したりした女性が対象で、対象者は国内に推計6万人から7万人いるとされています。

 ガイドラインは、将来子宮移植の実施を検討している慶応大学と京都大学などのグループが作成し、17日に都内で開かれた研究会で公表されました。

 それによりますと、子宮の提供者は母親などの親族などを想定した上で、自発的な意思により提供することや、営利目的のあっせんは行わないこと、生まれた子の福祉に配慮することなど10項目が定められています。

 グループによりますと、子宮移植は海外ではすでに10例以上が行われ、今年中にも移植手術を受けた女性の初めての出産が見込まれているということです。

 ガイドラインは、今後日本産科婦人科学会など関連する学会で検討されるということです。

 ガイドラインを作成した京都大学の菅沼信彦教授は、「子宮は生命の維持に必要な臓器ではない一方で、女性にとっては非常に重要なものだという考え方もある。幅広い議論を続け社会的な合意を得ていきたい」と話していました。

 2014年8月17日(日)

 

■危険ドラッグ、21物質を指定薬物に 厚労省

 厚生労働省は15日、危険ドラッグに使われている21種類の物質を、薬事法で販売や所持を禁止する指定薬物に指定する省令を公布しました。25日に施行され、医療目的以外の製造、輸入・販売、所持、使用などが禁じられます。

 21物質のうち1物質は、国内流通が確認されていないものの海外流通があるため、国内流通を防ぐために予防的に指定されました。

 通常、指定薬物の指定に先立ってパブリックコメントの手続きが行われますが、21物質については、すでに国内、または国外において流通が確認されており、また、薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会における審議の結果、中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生する恐れがあるとの結論を得ていることから、使用による健康被害等を防止するため、パブリックコメントの手続きを省略し、早急な指定が行われました。

 指定薬物は、計1400物質となります。

 田村憲久厚労相は閣議後の記者会見で、「社会の中で(危険ドラッグが)目に留まらないような環境をつくっていく」と話し、指定薬物として指定されていない危険ドラッグについても、未承認薬としての規制も視野に対応していく方針を明らかにしました。

 厚労省は7月15日に、8人が死傷した東京・池袋の暴走事故を巡り、未規制だった2種類の物質を初めて緊急指定で指定薬物にするなど、危険ドラッグへの対応を急いでいます。

 2014年8月16日(土)

 

■マクドナルド、国内全3135店で禁煙 健康に配慮 

 日本マクドナルドは15日、国内3135店のすべてを全席禁煙にしたと発表しました。同社は業績不振が続く中で、健康志向を打ち出し、子連れ客らの取り込みを図ります。

 4年ほど前から禁煙化を進めてきたといい、今年3月末に約9割の店を禁煙にし、8月1日からは全店の全席を禁煙にしました。

 同社は、「お子様からお年寄りまで、よりきれいな空気と健康に配慮した環境の中で食事を楽しんでほしい」と理由を説明。また、マクドナルドで働く従業員の労働環境の向上にもつながるとしています。

 店の屋内で喫煙できる席はなくなりましたが、一部の店では屋外の席の一部に吸い殻入れを置いたり、店外の駐車場などに吸い殻入れを置き、喫煙客にも配慮しています。

 マクドナルドは、コンビニエンスストアなどとの競争が激しく、販売が低迷。月間売上高は7月分まで、6カ月連続で前年割れとなっています。

 同業他社では、ケンタッキーフライドチキンは、喫煙客にも配慮し、基本的に分煙にしたり喫煙所を設けたりしています。モスバーガーも、分煙と禁煙の店が半々ぐらいだといいます。

 外食業界では、ファミリーレストランのロイヤルホストが昨年11月、約9割の店に独立した「喫煙ルーム」を設けた上で、全店を全席禁煙としました。スターバックスも、店の屋内で全席禁煙としています。

 2014年8月15日(金)

 

■筋肉再生にかかわる遺伝物質、京大が発見 iPSに応用し、筋ジス治療に期待

 京都大再生医科学研究所の瀬原淳子教授(発生生物学)らのグループは、筋肉の再生にマイクロRNAと呼ばれる遺伝物質の一種が大きくかかわっていることをマウスの実験で明らかにしました。

 徐々に筋肉が衰える難病「筋ジストロフィー」をiPS細胞(人工多能性幹細胞)によって治療する再生医療に、活用できる可能性があるといいます。研究成果は、英科学誌ネイチャーコミュニケーションズのオンライン版に14日掲載されました。

 瀬原教授らは、筋肉細胞のもとになる「骨格筋幹細胞」を詳しく観察。この細胞内で「miR-195」や「miR-497」と呼ばれるマイクロRNAが働くと、細胞が筋肉細胞になる能力を維持できることを発見しました。

 通常の骨格筋幹細胞は試験管内で培養すると筋肉細胞になる能力を失ってしまいますが、このマイクロRNAを加えてから筋ジストロフィーを発症したマウスに移植すると、腕や足を動かす筋肉が再生することも確認したといいます。

 マイクロRNAは、細胞内の遺伝物質であるリボ核酸(RNA)の小さな断片で、通常のRNAと異なりタンパク質を合成する機能はありません。遺伝子の働きを調節することで、さまざまな生命現象に影響を与えると考えられています。

 瀬原教授は、「さらに詳しく筋肉再生のメカニズムを解明し、人でも同じ仕組みがあるかどうか調べたい。iPS細胞から骨格筋幹細胞を作れば、筋ジスの治療や予防に役立つ可能性がある」と話しました。

 2014年8月14日(木)

 

■介護現場の56・5パーセントが人手不足 2013年度介護労働実態調査

 介護事業所の56・5パーセントで従業員が足りていないことが、厚生労働省所管の財団法人「介護労働安定センター」が8月11日に公表した2013年度の介護労働実態調査で、判明しました。

 前年度より0・9ポイント改善したものの、依然として介護現場での人手不足は深刻のようです。

 調査は昨年10月、1万7500事業所と介護現場で働く5万2500人を対象に実施し、それぞれ45パーセント、36パーセントから回答を得ました。

 従業員について「不足」と答えた介護事業所は、「大いに」「やや」を含めて56・5パーセントに上りました。理由は、「採用が困難である」が68・3パーセントで最も多く、「事業拡大をしたいが人材確保ができない」が19・3パーセントで続きました。

 採用が困難な理由としては、「賃金が低い」が55・4パーセント、「仕事がきつい(身体的・精神的)」が48・6パーセント。職員の賃金の月額平均は、前年度比1072円増の21万2972円でした。

 また、1年間で辞めた人の割合を示す離職率は、16・6パーセント(前年度17・0パーセント)でした。

 従業員側に働く上での不満(複数回答)を聞くと、「人手が足りない」が45・0パーセントで最も多く、「仕事内容のわりに賃金が低い」が43・6パーセント、「有給休暇が取りにくい」が34・5パーセント、「身体的負担が大きい(腰痛や体力に不安がある)」31・3パーセントと続きました。

 2014年8月13日(水)

 

■エボラ死者、1000人超える 過去最悪の流行、歯止めなし

 世界保健機関(WHO)は12日までに、猛威を振るうエボラ出血熱による死者(疑い例を含む)が西アフリカ4カ国で計1013人に達したと発表しました。9日時点の集計。

 各国は感染地域に治安部隊を派遣するなど封じ込めに努めていますが、過去最悪の感染に歯止めがかかる兆しは見えていません。

 感染地域諸国の医療制度が非常に脆弱なことが、拡大に拍車をかけました。封じ込めに向け、国際社会の支援強化が急務になっています。

 WHOによると、これまでに感染が確認されたか疑われる患者は計1848人。うち死者はギニア373人、リベリア323人、シエラレオネ315人、ナイジェリア2人の計1013人。

 感染は昨年12月にギニアで始まり、死者はしばらくギニアに集中していましたが、徐々に感染地域が拡大。6月中旬からリベリア、シエラレオネの死者が急激に増え、2カ月間で約800人が亡くなりました。

 専門家によると、今回の感染を起こしているウイルスは「ザイール株」とされ、過去の致死率は約80パーセント。死者はさらに増える恐れがあります。

 こうした事態を受けて、WHOは、安全性などが最終的に確認されていない未承認の薬の使用を一定の条件の下で認める方針を明らかにしました。

 具体的には、患者に薬のリスクなどを事前に説明した上で本人の同意を得ることや、地元政府などの理解を得ることなどが必要だとしています。また、実際に薬を使う場合は、患者の容体の経過や薬の効果などについてのすべてのデータを収集して公表するよう求めています。

 ただ、未承認の薬の量は非常に限られていることから、どの患者が優先的に薬の投与を受けられるかについて基準を設ける必要があり、WHOは今月末に改めて専門家の委員会を招集して議論するとしています。

 2014年8月12日(火)

 

■日本人男性の平均寿命、初めて80歳を超える 女性は86・61歳で世界一

 厚生労働省は7月31日、2013年の日本人の平均寿命は女性86・61歳、男性80・21歳で、いずれも過去最高を更新したと発表しました。

 前年より女性は0・20歳、男性は0・27歳延びて、男性は調査が始まった1891年以来初めて80歳を超えました。女性は2年連続で長寿世界一となりました。

 厚労省によると、がんや心疾患、脳血管疾患、肺炎で亡くなる割合が下がったことが、平均寿命の延びにつながっています。日本人は男女ともに「人生80年時代」に入ったことになりますが、厚労省の担当者は「医療技術が進歩すれば、さらに平均寿命が延びる余地がある」と分析しています。

 主要50カ国・地域の最新統計との比較では、女性が香港の86・57歳を僅差で抑え、長寿世界一の座を守りました。

 男性も、前年の5位から4位に順位を上げました。男性のトップは、香港の80・87歳でした。

 将来、どの死因で死亡するかを計算した「死因別死亡確率」では、がん、心疾患、脳血管疾患の「3大死因」で亡くなる確率は、男性で52・42パーセント、女性は48・46パーセントで、4年前(2009年)と比べ、男性は2・23ポイント、女性は3・38ポイント下がっています。

 日本人の平均寿命は、男女とも終戦直後の1947年(昭和22年)は50歳代でしたが、1950年には女性が、1951年には男性がそれぞれ60歳を超えました。その後、女性は1960年には70歳代、1984年には80歳代に到達し、2002年には85歳を超えました。

 男性が70歳代になったのは1971年で、その後、約40年かけて10歳分延びたことになります。

 平均寿命は、0歳の子供が何年生きられるかを示す数値。2013年生まれの人のうち、65歳まで生きるのは男性88パーセント、女性93・9パーセント。90歳まで生きるのも男性23・1パーセント、女性47・2パーセントと試算されました。

 2014年8月11日(月)

 

■喫煙者率、初めて20パーセントを下回る 消費税率引き上げも影響

 日本たばこ産業(JT)は30日、国内の喫煙者率が19年連続で減少し、19・7パーセントと1965年の調査開始以来、初めて20パーセントを下回ったと発表しました。

 高齢化の進展や健康志向の高まりに加え、4月の消費税率引き上げに伴う値上げで、たばこ離れが加速したとみられます。

 JTが毎年5月に実施している「全国たばこ喫煙者率調査」で、今年は全国の成人男女約3万2000人を対象に調査し、60・5パーセントから回答がありました。

 喫煙者率は前年から1・2ポイント下がり、男女別では男性が1・9ポイント減の30・3パーセント、女性が0・7ポイント減の9・8パーセントで、初めて10パーセントを切りました。年代別では男女とも40歳代が最も多く、次いで30歳代と50歳代が多くなりました。

 喫煙人口は男女合わせて、2059万人(前年比136万人減)と推計されるといいます。

 「毎日吸う人」の1日当たりの平均喫煙本数は男性19・0本、女性15・1本で、年代別でみると、男性は50歳代が最多の21・1本、女性は50歳代と60歳以上で16・5本が最も多くなりました。

 喫煙者率が最も高かったのは1966年の49・4パーセントで、男女別でも男性83・7パーセント、女性18・0パーセントと、ともに最多でした。同年をピークに、その後は徐々に下がり続けており、2004年には30パーセントを割り込んでいました。

 JTは、「喫煙に対する規制の強化なども影響して、ほとんどの年代でたばこを吸う人の割合は減っており、この傾向は今後も続くのではないか」としています。

 2014年8月1日(金)

 

■猛暑1週間、熱中症の搬送8580人で15人が死亡

 総務省消防庁は29日、21~27日の1週間に、全国で熱中症の症状で救急搬送されたのは8580人(速報値)だったと発表しました。

 近畿地方や東海地方、関東甲信地方が梅雨明けし、各地で猛暑日(最高気温35度以上)や真夏日(30度以上)となったことで急増、14〜20日の前週の3309人と比べ、約2・6倍となりました。搬送時に亡くなったのは15人。

 特に26日の搬送者は2489人で、7月の1日の搬送者数としては集計を始めた2008年以降で最多となりました。亡くなった人も6人に上りました。26日は全国の観測地点の4分の1に当たる231地点で猛暑日、702地点で真夏日を記録しました。25日の搬送者も1794人。

 21~27日の搬送時の症状は、3週間以上の入院が必要な重症が193人、入院が必要な中等症が2656人でした。年齢別では、65歳以上の高齢者が3813人で4割を占めました。

 都道府県別では、東京都の620人が最も多く、埼玉県が612人、愛知県が574人、千葉県481人、大阪府473人と続きました。福岡県は296人でした。

 香川県で3人が死亡したほか、山形県と愛媛県で各2人、埼玉県、千葉県、富山県、滋賀県、兵庫県、岡山県、広島県、佐賀県でそれぞれ1人が亡くなりました。 

 今年に入って統計を取り始めた5月19日以降の搬送者は2万1322人、死者は31人に上っています。

 今後も暑い日が続くとして、消防庁はこまめな水分補給を呼び掛けています。

 2014年7月30日(水)

 

■てんかん発作、心拍異常から事前検知 京大などが機器を開発

 全身がけいれんしたり意識を失ったりする症状が出る「てんかん」患者の心拍データを日常的に測定し、発作を事前に検知する機器を京都大などのチームが開発し、臨床研究を始めたことが29日、わかりました。

 これまで脳波などから発作の兆候を読み取る研究はありましたが、患者がこうした機器を装着して行う臨床研究は、世界でも例がないといいます。

 てんかんの患者は人口10万人当たり200人から300人いるとされ、突然の発作で転んでけがをしたり、深刻な事故につながったりするケースもあります。患者の生活の質を大きく改善できる可能性があると期待されます。

 機器を開発したのは、京都大と東京医科歯科大、熊本大の共同研究チーム。東京医科歯科大の宮島美穂医師らが、てんかん患者のデータを収集し、京都大大学院情報学研究科の藤原幸一助教らが、心拍の変動から発作の兆候を読み取るプログラムを構築しました。また、熊本大大学院自然科学研究科の山川俊貴助教らが、心拍センサーなどの製作を担当しました。

 研究チームによると、てんかん発作が起きる際、自律神経の異常が心拍にも影響することがわかっており、心拍の異変を検知できれば、理論上は発作の数分から30秒ほど前に兆候をとらえることが可能といいます。

 臨床研究では、患者の体に3つのセンサーを装着して心拍データを計測。これを無線通信で分析プログラムを組み込んだ市販のタブレット端末に転送し、発作の兆候である心拍の変動を検知してアラーム音などで警告します。

 縦7センチ、横5・5センチの箱形の機器を装着したまま日常生活を送ることが可能で、機能すれば警告から発作までの間に、患者本人や周囲の人が危険回避などの対応を取ることが可能になります。タブレット端末を除くコストは、1セット数千円程度といいます。

 チームは、東京医科歯科大など2つの医療機関で倫理委員会から承認を得ており、臨床研究への協力を了承したてんかん患者に機器を装着し、検知の精度などを検証します。

 実用化までには、精度の向上といった技術的な課題のほか、薬事法による医療機器としての承認が必要となるなどの課題もあります。

 藤原助教は、「実用化には社会的な議論が不可欠だが、臨床研究では、技術的にはここまで可能になっているということを示したい」と話しています。

 2014年7月29日(火)

 

■難病助成、筋委縮性側索硬化症など100余の病気を先行指定へ

 難病の医療費の助成制度が見直され、来年から対象が大幅に増えますが、厚生労働省の専門家会議は筋委縮性側索硬化症(ALS)など100余りの病気について、先行して審査を行い、助成の対象として指定する方針を決めました。

 難病患者への医療費の助成について、厚生労働省は42年ぶりに制度を抜本的に見直し、来年からは対象となる病気を現在の56種類(約78万人)からおよそ300種類(約150万人)に増やす一方で、対象者を症状の重い患者に限り所得に応じて負担を求めるとしています。

 28日は新たに助成の対象となる病気を選定する専門家会議の初めての会合が東京都千代田区で開かれました。

 この会合では、助成の対象となる病気について、患者の数の割合が人口のおよそ0・1パーセント以下で、長期にわたって生活に支障が出ていること、さらには診断基準が確立していることなどを要件にする方針を確認しました。

 その上で、すでに要件を満たしている筋委縮性側索硬化症(ALS)やパーキンソン病など100余りの病気について先行して審査を行い、助成の対象として指定する方針を決めました。指定された病気については、来年1月から助成が始まります。

 一方で、診断基準が確立していないなど、一部の要件を満たしていない病気については今後、個別に検討を進めるとしています。

 2014年7月28日(月)

 

■熱中症の疑い、全国で847人搬送1人死亡 水の事故、11人死亡19人負傷

 厳しい暑さが続いた27日、列島各地では熱中症の被害や、海・川・山の事故が相次ぎました。

 マスコミが各地の消防や警察に取材して午後8時現在でまとめたところ、27日に熱中症とみられる症状で病院に搬送された人は、全国で少なくとも847人に上り、1人が死亡、3人が意識不明の重体となっています。

 搬送者は秋田県を除く45の都道府県で出ており、埼玉県が87人、千葉県が75人、東京都と神奈川県が48人などでした。

 このうち、埼玉県さいたま市桜区では、27日昼前、水道の工事をしていた43歳の男性が倒れ病院に搬送されましたが、まもなく死亡しました。

 また、埼玉県川口市では、正午ごろ、86歳の男性が、自宅の部屋で倒れているのが見付かり、意識不明の重体となっています。栃木県真岡市では、83歳の女性が屋外で意識を失って倒れているのが見付かり、病院で手当を受けています。名古屋市では、70歳代の女性が自宅で倒れているのが見付かり、意識不明の重体となっています。

 海や川の事故も相次ぎ、マスコミが午後8時現在でまとめたところでは、全国で11人が死亡、19人が負傷し、2人が行方不明となりました。山の事故でも、1人が死亡、6人がけがをしました。

 このうち27日夕方、鳥取市の鳥取砂丘にある海岸では、男女3人が沖に流され、このうち男性2人が病院に搬送されましたが、死亡しました。また、熊本県多良木町の球磨川では、水遊びをしていて流された5歳の女児を助けようとした両親が溺れて死亡しました。女児は近くに居た人に救助されて無事でした。

 東京都あきる野市の秋川では、7歳の男児2人が溺れ、いずれも間もなく助け出されましたが、このうち1人が死亡し、もう1人は意識がはっきりしない状態といいます。また、神奈川県真鶴町の海岸で、60歳代とみられる男性が海に転落して死亡し、警察は釣りに来ていた男性が岩場を移動中に誤って海に落ち溺れたとみて調べています。

 神戸市の海水浴場では遊びに来ていた46歳の男性が溺れ、死亡しました。警察によりますと、男性は沖合まで泳いだ後、砂浜に戻る途中で溺れたということです。

 このほか京都府や愛媛県、それに鹿児島県と沖縄県で合わせて4人が死亡し、新潟県と静岡県で合わせて男性2人が行方不明になっています。

 2014年7月27日(日)

 

■熱中症の疑い、全国で11人死亡1889人を搬送 猛暑日、今年最多231地点

 気象庁によると、全国927の観測地点のうち、猛暑日は今年最も多い231地点で観測し、真夏日も全体の7割を超える702地点に達しました。

 滋賀県東近江市で38・8度、福井県小浜市で38・7度と、いずれも統計を取り始めてから最も高い気温を観測したほか、京都市で38・3度、富山市と鳥取県米子市で38度、東京都練馬区では36度となりました。 

 熱中症の被害は、47都道府県のすべてで出ました。

 マスコミが各地の消防や消防に取材してまとめたところ、熱中症とみられる症状で病院に搬送された人は、すべての都道府県で合わせて1889人に上り、11人が死亡、15人が意識不明の重体となっています。

 香川県丸亀市では26日午前、82歳の男性が自宅で意識を失っているのが見付かり、病院に搬送された後に死亡しました。また、兵庫県豊岡市で81歳の男性が水田で死亡しているのが見付かるなど、滋賀県で2人、新潟、兵庫、岡山、広島、山口、香川、愛媛、佐賀、熊本の各県で1人の計11人が熱中症とみられる症状で死亡しました。

 25日に続いて本州付近に高気圧がとどまり、暖かい空気が流れ込んだのが原因。気象庁は41都府県で高温注意情報を出し、熱中症への警戒を呼び掛けました。

 27日も猛暑が続く一方、日本海から近付く低気圧が北海道付近を通過し、前線が本州付近を南下するため、北日本と東日本を中心に大気の状態が不安定になる見込みで、気象庁は、熱中症に加えて急な天気の変化にも十分注意するよう呼び掛けています。

 2014年7月26日(土)

 

■熱中症の疑い、全国で3人死亡1224人搬送 すべての都道府県に波及

 日本列島は25日、太平洋高気圧に覆われて全国的に気温が上昇し、927カ所ある気象庁の観測地点の7割以上に当たる683地点で、最高気温が30度以上の真夏日となる今年一番の厳しい暑さになりました。

 このうち岐阜県多治見市の39・3度を始め、35度以上の猛暑日も187地点に上り、東京都でも今年初めて猛暑日を記録しました。

 マスコミが各地の消防や消防に取材して午後8時現在でまとめたところ、25日に熱中症とみられる症状で病院に搬送された人はすべての都道府県で合わせて、少なくとも1224人に上り、香川県と山形県の男性3人が死亡し、西日本を中心に12都道府県の17人が意識不明の重体となっています。

 搬送者を都道府県別でみると、愛知県の108人が最も多く、次いで東京都の106人、大阪府93人、兵庫県72人などでした。

 消防などによると、香川県琴平町では25日午後、屋外で祭りの準備作業に当たっていた40歳代の男性が死亡するなど、熱中症の疑いで病院に搬送された2人が死亡しました。山形県大江町では、25日夕方、畑で農作業をしていた83歳の男性が体調不調を訴え、病院に搬送されましたが、間もなく死亡しました。

 また北海道と宮城県、東京都、静岡県、大阪府、兵庫県、香川県、大分県などの12の都道府県で合わせて17人が意識不明の重体となっています。

 日中の暑さは、台風10号から変わった温帯低気圧の影響で、天候が崩れる北海道などを除き28~29日ごろまで続く見通し。

 2014年7月25日(金)

 

■熱中症の疑い、全国で1人死亡561人搬送 43の都道府県に波及

 24日は全国的に厳しい暑さとなり、午後0時時点で、全国9地点で35度以上を記録。気象庁は28都府県に高温注意情報を出し、熱中症への注意を呼び掛けました。

 マスコミが各地の消防や警察に取材して、午後5時現在でまとめたところ、熱中症とみられる症状で、全国で少なくとも561人が病院に搬送され、1人が死亡、2人が意識不明の重体となりました。

 熱中症とみられる症状で病院に搬送された人は、千葉県が54人、埼玉県が52人、東京都が45人、神奈川県が29人、福岡県が28人など、合わせて43の都道府県に及びました。

 このうち、愛媛県四国中央市では、90歳の女性が自宅の前で倒れているのが見付かり、病院に搬送された後、死亡が確認されました。消防によりますと、症状などから熱中症の疑いがあると診断されました。

 このほか、徳島県と長崎県では、合わせて2人が意識不明の重体となっています。

 東京都心でも午後0時時点で33・5度と厳しい暑さになり、東京消防庁の総合指令室には、昼すぎから「熱くてふらふらする」とか「家族が汗をかいて部屋の中でぐったりしている」など、熱中症の症状を訴える119番通報が相次いで寄せられました。

  通報を受けた職員は、具体的な症状などを聞き取った上で、熱中症の疑いがあることを確認して、救急車を手配するなど対応に追われていました。

 東京消防庁によりますと、管内では午後5時までに熱中症とみられる症状で病院に運ばれた人は、45人に上ったということです。

 梅雨が明けて気温が上がるこの時期は、暑さに体が慣れていないため、熱中症にかかりやすく、梅雨明け翌日となった23日は、熱中症とみられる症状で病院に運ばれた人は99人と、今年に入って最も多くなったということです。

 東京消防庁防災安全課の木下有紀消防士長は、「これからが本格的な暑さになるので、気を付けなければならない。管内の昨年のケースでは、熱中症を訴える人のうち、全体の半数近くが65歳以上のお年寄りだった。お年寄りは冷房を使わない傾向があるが、適切に使用した上で、水分をこまめに補給して欲しい」と呼び掛けています。

 今週末までは、多くの地域で最高気温が30度を超える予報で、宇都宮や長野では34度、大阪や名古屋では36度に達する日もありそうです。

 2014年7月24日(木)

 

■脱法ドラッグを改め危険ドラッグに 警察庁と厚労省が新呼称を発表 

 幻覚作用をもたらすことのある「脱法ドラッグ」の危険性の認識を高めようと、警察庁などが新しい呼び名について意見を募集した結果、脱法ドラッグに代わる実態を表す新しい呼び名として「危険ドラッグ」という名称に決めたと発表しました。

 脱法ハーブを含む脱法ドラッグが関係する事件や事故が相次いでいることを受けて、警察庁と厚生労働省は脱法ドラッグという呼び名は、覚醒剤や大麻に似た作用があるにもかかわらず、危険な薬物ではないような誤解を与えているとして、呼び名を変更しようとホームページなどで意見を募集しました。

 その結果、新たな呼び名の案が延べ8000人から約2万件寄せられ、その中から脱法ドラッグに代わる実態を表す新しい呼び名として危険ドラッグという名称に決めたと発表しました。 

 呼称案として最も多かったのは、麻薬に準じるものと書く「準麻薬」で183件、次いで「廃人ドラッグ」が140件、「危険薬物」が123件、「破滅ドラッグ」が110件、新しい呼び名として選ばれた「危険ドラッグ」が102件でした。そして、「有害ドラッグ」が95件、「違法ドラッグ」が87件、「殺人ドラッグ」と「幻覚ドラッグ」が85件、「錯乱ドラッグ」が81件などでした。

 警察庁は「危険」という言葉が頭に付く呼称案が260件あり、「ドラッグ」が後ろに付く呼称案が5900件あったことから、双方を合わせて危険性を認識してもらうために最も適しているとして危険ドラッグという名称を選んだということです。「麻薬」や「薬物」といった言葉は、麻薬取締法や薬事法の中で使われていて、そぐわないと判断したということです。

 これについて、古屋圭司・国家公安委員長は22日の閣議後の会見で、「危険ドラッグという新たな呼称がしっかり浸透することで、非常に危険なものであることを認識していただくように期待している」と述べました。

 警察は今後、統計を取る際や乱用防止のキャンペーンなどで新たな呼び名を使って危険性を訴えていくことにしています。報道機関などにも使用を呼び掛けます。

 脱法ドラッグは麻薬や覚醒剤と似た作用を持つものの、麻薬取締法や覚せい剤取締法の対象外となっている薬物。脱法ドラッグに関連した摘発者数は近年増加しており、警察庁によると、2013年に全国で摘発された人は176人で、前年より64人増。うち交通事故を起こすなどした摘発者は40人で、同2倍以上となりました。

 2014年7月23日(水)

 

■訪問診療、医療機関が155施設で撤退・交代 報酬下げが影響

 医療機関に支払われる診療報酬が4月に改定され、有料老人ホームなど高齢者施設への訪問診療の報酬が大幅に減額された影響で、全国の少なくとも155施設で医療機関が撤退したり交代したりしたことが、20日までに全国特定施設事業者協議会など業界団体の調査でわかりました。調査対象の8・8パーセントに当たります。

 厚生労働省は4月に実施した診療報酬改定で、高齢者向けの施設・集合住宅への訪問診療の報酬を従来に比べ、約7割引き下げました。

 施設・住宅で一度に大勢の患者を診察する医師の「荒稼ぎ」を防ぐ狙いでしたが、5割近い867施設・住宅では、例外措置を使って従来並みの報酬を確保しています。入居者の利便性低下で、現場からの反発が強まっており、厚生労働省も来月以降、影響を調べる予定です。

 調査は5月下旬から6月10日にかけ、全国特定施設事業者協議会やサービス付き高齢者向け住宅協会など4団体が共同実施。入居者の必要に応じて介護サービスが使える有料老人ホームなどの高齢者向けの施設・集合住宅、計1764施設を対象に調べました。

 患者1人当たりで月に最大5万円程度だった訪問診療料を、同じ日に同じ建物で複数の患者を診察した場合は7割減額すると改定されたため、報酬減で人件費がまかなえなくなった医師の撤退が続出。入居者にも不便がかかるとの不満が、施設側から出ていました。

 月2回の訪問診療のうち、同じ日に患者をまとめて診るのを1回に抑え、残りは患者ごとに診察の日をずらせば、報酬を従来並みにできるとの例外措置もあります。

 しかし、「医師の訪問が不規則で連携が難しい」「緊急時の往診が減った」などの使い勝手の悪さを訴える施設・住宅が3~6割に上ります。厚労省の対応は在宅医療・介護を進める国の政策に逆行するとの声も出ています。

 2014年7月21日(月)

 

■「老老介護」、初めて半数を超す 急速な高齢化を反映

 介護が必要な65歳以上の高齢者がいる世帯のうち、介護する人も65歳以上である「老老介護」の世帯の割合が51・2パーセントに達し、初めて5割を超えたことが15日、厚生労働省がまとめた2013年の国民生活基礎調査でわかりました。急速な高齢化の進展が、改めて浮き彫りになりました。

 調査結果によると、介護保険法で要介護認定された人と、介護する同居人がともに65歳以上の高齢者である老老介護の世帯は、2010年の前回調査から5・3ポイント増の51・2パーセントとなり、2001年の調査開始以来、最高となりました。ともに75歳以上という老老介護の世帯も、前回調査から3・5ポイント増の29・0パーセントに達し、過去最高となりました。

 介護が必要となった主な要因は、1位が脳卒中(18・5パーセント)、2位が認知症(15・8パーセント)、3位が高齢による衰弱(13・4パーセント)でした。

 団塊世代の約半数が65歳以上になっていることから、老老介護の世帯は今後も増加が見込まれるとともに、同世帯の高齢化もより進むとみられます。

 介護を担う人については、同居する家族が61・6パーセント(前回調査比2・5ポイント減)、事業者が14・8パーセント(同1・5ポイント増)、別居の家族らが9・6パーセント。

 同居する家族のうち、女性が介護者となる割合は68・7パーセント、男性は31・3パーセントで、介護の負担が女性に偏っている傾向もみられました。同居する家族の内訳は、配偶者が42・5パーセント、子供が35・4パーセント、子供の配偶者が18・2パーセントでした。

 介護している人の悩みやストレスの原因を聞いたところ、「家族の病気や介護」を上げる人が最多で、「収入・家計・借金など」や「自由にできる時間がない」を回答する人も目立ちました。

 厚労省は、「少子化対策とともに高齢者世帯への対策も重要になってくる」と指摘。介護を担っている配偶者や子供など家族へのサポートも含めた体制整備が課題となりそうです。

 一方、全国の世帯総数は2013年6月現在で5011万2000世帯。このうち65歳以上の高齢者だけか、高齢者と18歳未満の子供だけの「高齢者世帯」は、過去最多の1161万4000世帯で、世帯総数の約4分の1を占めました。65歳以上の高齢者が1人でもいる世帯は、2242万世帯で、世帯総数の半数近くに達しました。

 調査は2013年6月~7月に、全国の世帯から約30万世帯を無作為抽出して実施。介護の状況は、原則自宅で介護されている約6300人の家族からの回答から推計し、世帯の人員構成については、約23万4300世帯からの回答から推計しました。

 2014年7月19日(土) 

 

■脂肪燃焼系サプリに根拠なし 消費者庁が表示やめるよう命令

 東京都にある健康食品の販売会社が「脂肪燃焼専用サプリ」などと表示して販売していた健康食品について、消費者庁は表示された効果が出る根拠がないとして、こうした表示をやめるよう措置命令を出しました。

 措置命令を受けたのは、東京都板橋区にある健康食品販売の有限会社「プライム・ワン」。

 消費者庁によりますと、この会社は「トリプルバーナー」という健康食品を、雑誌の広告に「飲むだけ簡単!脂肪燃焼専用サプリ」、「脂肪を燃焼させ、1000人に1人しかダイエットに失敗しない」、「飲むだけで3大脂肪酸と言われる中性脂肪・皮下脂肪・内臓脂肪を燃やしてくれる」などと表示して販売していました。

 こうした表示について、消費者庁は、裏付けとなる根拠を示すようプライム・ワン側に求めましたが、十分な根拠は示されなかったということです。このため、景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして、消費者庁は17日、表示をやめるよう措置命令を出しました。

 約1000人が成功したとうたいながら、サプリを実際に飲んだモニターは164人しかいませんでした。広告でやせたと体験談を語り、写真を掲載した女性たちも、実際はサプリを飲んでいないモデルでした。効能を証言した専門家は実在しませんでした。

 プライム・ワンは2010年2月から今年5月までの4年余りの間に、トリプルバーナーを1カ月分約1万円で販売し、これまでに約1億6千万円を売り上げたということです。

 プライム・ワンは、「商品の信頼性が高まると思ってモニターの人数を増やし、存在しない専門家の話を載せてしまった。厳粛に受け止め、再発防止と適切な表示に努めます」とコメントしています。

 2014年7月17日(木) 

 

■脱法ドラッグ乱用者、4割超に幻覚や妄想 乱用者の9割が男性 

 全国の病院で入院・受診した脱法ドラッグの乱用者について、厚生労働省の研究班が調べたところ、幻覚や妄想の症状が覚醒剤を上回る4割超の人で出ていたことがわかりました。依存症状も覚醒剤と同程度でみられました。

 脱法ドラッグは覚醒剤や麻薬ほど危険ではないと思い込み、好奇心から手を出す人が多いものの、実際には強い有害性がある実態が浮かび上がりました。

 興奮や幻覚など麻薬と似た作用がある脱法ドラッグは、毒性や依存性が確認されると、指定薬物や麻薬に指定されて法で規制されます。規制を逃れるために、化学構造の一部を変える新種が次々と生まれ、いたちごっこが続いています。罰則も麻薬や覚醒剤より緩くなっており、違反者には3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科されます。

 研究班は、精神科病床がある全国1609施設で、2012年9~10月に治療を受けた患者を調べました。1136施設が回答し、1年以内の薬物使用者(脱法ドラッグ126人、覚醒剤138人、睡眠薬・抗不安薬86人)を分析しました。

 幻覚や妄想などの症状があった人の割合は、脱法ドラッグが57人(45・2パーセント)で、覚醒剤の47人(34・1パーセント)、睡眠薬・抗不安薬の3人(3・5パーセント)を上回りました。

 薬への渇望を抑制できない依存症状は、睡眠薬・抗不安薬が71・1パーセント(62人)で最も高く、脱法ドラッグは58・7パーセント(74人)で、覚醒剤の61・6パーセント(85人)と同程度でした。

 脱法ドラッグ乱用者の9割が男性で、覚醒剤や睡眠薬より多くなりました。覚醒剤乱用者の半数が暴力団などとかかわっていましたが、脱法ドラッグは7・1パーセント。

 調査をした国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の松本俊彦・診断治療開発研究室長は、「法的規制と薬物の毒性には必ずしも相関性はない。脱法ドラッグは覚醒剤に勝るとも劣らない危険性がある」と注意を呼び掛けています。

 2014年7月16日(水) 

 

■薬剤事故の割合、新人看護師は職歴1年以上の2倍 日本医療機能評価機構が調査 

 新人看護師が起こした医療事故のうち薬剤に関連する事故の割合が、職歴1年以上の看護師に比べて倍近く高いことがわかりました。調査した日本医療機能評価機構がさらに分析を進め、知識や経験の不足による医療現場での事故の防止に役立ててもらいます。

 2010年1月~2014年3月に報告された看護師、准看護師による事故7043件のうち、職歴1年未満が起こしたのは499件。うち、おむつ替えの際のベッドから患者が転落するなどの「療養上の世話」で起きた事故が最も多く289件(57・9パーセント)に上りました。

 ほかに、投与ミスなどの「薬剤」に関する事故が77件(15・4パーセント)、チューブの接続ミスなど「ドレーンチューブ」に関する事故が58件(11・6パーセント)と続きました。同じ時期に職歴1年以上の看護師による事故6544件では、「薬剤」に関する事故は8・1パーセントで、新人が起こす割合のほぼ半分でした。

 新人看護師が起こした事故では、職歴8カ月の看護師が誤って希釈しないまま薬剤を投与した例などがありました。今年1月〜3月の危うく事故になりかけた「ヒヤリ・ハット」事例の約6割が「薬剤」関連でした。

 新人看護師の事故が多くなるのは、指導役の看護師が付き添わず、1人で担当する分野が多くなる職歴6カ月以降でした。

 日本医療機能評価機構では、「患者の急変に慣れていない場合、新人看護師がすることをあらかじめ限定しておくことが事故を防ぐのに効果的だ」などとしています。 

 日本医療機能評価機構は、医療の質の向上を目指して医療機関を評価し、改善を支援する第三者機関。1995年7月に設立され、認定を希望する病院の経営実態、設備や医療内容などを書面と、専門調査者の実地調査で総合評価しています。

 2014年7月15日(火)

 

■原則禁止の鎮静薬、2割の病院が使用 女子医大事故受け学会が調査

 東京女子医科大学病院で、人工呼吸器を付けた子供への使用が原則禁止されている鎮静薬を投与された男児が死亡した医療事故を受け、日本集中治療医学会が、集中治療室を持つ全国の病院を対象に調べたところ、全体のおよそ20パーセントの病院が同じ薬を使用していることがわかりました。

 同学会は、研究班を立ち上げ、薬を使用する際の安全性などについて検討を進めることにしています。

 東京都新宿区の東京女子医科大学病院では、今年2月、当時2歳の男児が首のリンパ管の手術後、人工呼吸器を付け集中治療が行われている子供への使用が原則禁止されている鎮静薬「プロポフォール」を4日間投与され、死亡しました。

 これを受け、日本集中治療医学会では、集中治療室を持つ全国307の病院を対象に、同じプロポフォールの使用状況などについてアンケート調査を行い、106の病院から回答を得ました。

 その結果、全体の19パーセントに当たる20の病院が、プロポフォールを使用していると回答しました。子供の集中治療を専門に行っている病院に限ってみると、37パーセントの病院が使用していました。

 使用していると回答した20の病院のうち、両親などに使用の同意を得ていたのは3病院。年齢や体重で使用基準を設けているのは4病院で、使用量の上限を決めているのは5病院でした。また、3病院では、子供への使用で、循環不全などが起きるプロポフォール注入症候群と呼ばれる重い副作用(疑い例を含む)を経験していました。

 プロポフォールは海外で小児の死亡例が報告され、厚労省は2001年9月、集中治療室で人工呼吸中の小児(およそ15歳未満)への使用を禁じる通達を製薬会社に出しました。製薬各社は薬剤の添付文書で、この条件での使用は「禁忌(きんき)」と明示しています。しかし、法的な拘束力はありません。

 日本集中治療医学会の理事長である氏家良人・岡山大教授は、「薬の使用実態が初めて明らかになった。研究班を立ち上げて、薬を使用する際の安全性などについて検討したい」と話しています

 また、同学会は14日、禁忌にかかわらずプロポフォールを使用している病院が少なくないとの調査結果を踏まえ、「(禁忌使用の)医学的妥当性や安全性を検討することが極めて重要で喫緊の課題だ」とする声明を出しました。調査結果も、ホームページで公表しました。

 2014年7月14日(月)

 

■熱中症で12日に1人死亡、437人搬送

 12日は全国的に厳しい暑さとなり、群馬県と埼玉県の4カ所で猛暑日になりました。熱中症とみられる症状で搬送された人は午後10時現在、43都道府県で少なくとも437人に上り、このうち1人が死亡し、1人が意識不明の重体となっています。

 マスコミが各地の消防や警察に取材してまとめたところ、埼玉県で48人、千葉県で41人、神奈川県と栃木県で38人、東京都で58人、沖縄県で19人など関東地方を中心に43の都道府県で、熱中症とみられる症状で病院に運ばれた人が続発しました。

 このうち、千葉県鴨川市では、自宅の庭で草取りをしていた92歳の女性が倒れて病院に運ばれましたが、その後、死亡が確認されました。また、兵庫県宝塚市で屋外で清掃活動をしていた54歳の男性が病院に運ばれ、意識不明の重体となっています。

 このほか、栃木県真岡市の女子高校では文化祭に参加していた26人の生徒が病院に運ばれ、このうち2人は意識がもうろうとして症状が重いということです。

 気象庁は、「こまめに水分をとったり、適切に冷房を使ったりして、熱中症に十分注意してほしい」と呼び掛けています。

 なお、ヤフーは7月7日から、インターネットの無料地図サービス「Yahoo!地図」で、熱中症になる危険度を地図上に示すサービスを始めており、9月30日まで続ける予定です。

 日本気象協会が観測した国内142カ所について、「危険」「厳重警戒」「警戒」「注意」「ほぼ安全」の5段階で危険度を表示しています。気温や湿度を基に判断し、情報は朝、昼、夕方の1日3回、更新し、2日後までの予測も示します。

 スマートフォンやタブレット型端末で「Yahoo!地図」のアプリをダウンロードして特定の地域を設定すると、「危険」「厳重警戒」になった場合に通知される機能も設けました。

 アドレスは(http://map.yahoo.co.jp/)。

 2014年7月13日(日) 

 

■ウイルス性肝炎、感染がわかっても53万人が治療継続せず 厚労省推計

 肝炎ウイルス検査で感染がわかっても、継続して治療をしていない人が全国に少なくとも53万人いることが、厚生労働省の研究班が推計でわかりました。自覚症状がほとんどないためとみられますが、ほうっておくと肝硬変や肝がんに進行する恐れがあります。

 同省の肝炎対策推進協議会で9日、報告されました。専門家が継続して治療するよう呼び掛けています。

 研究班は、献血で感染が判明した人の割合から、知らないまま感染している人が2011年時点で全国に約78万人いると試算。2000年時点では240万人以上いたとされ、その後治癒した人や死者、通院者数などをもとに推計。その結果、感染を知りながら治療を続けていない人は、全国で53万人以上となりました。

 肝炎ウイルス検査で陽性と判定された2177人の追跡調査では、医療機関を受診したのは1442人。そのうち、継続して治療を受けたのはB型肝炎で70パーセント、C型肝炎で85パーセントでした。

 調査した田中純子・広島大教授(疫学・疾病制御学)は、「自覚症状がなく治療の必要性を感じないため、検査が治療に結び付いていない。効果の高い治療薬や医療費助成もある。陽性ならば医療機関を受診してほしい」と話しています。

 B型肝炎は血液や体液、C型肝炎は血液を介して感染します。感染状態が続くと、慢性肝炎から肝硬変や肝がんに至ることがあります。2012年時点での国内の肝がん死亡者約3万人の8割はC型、1割はB型の持続感染に起因するとされます。

 2014年7月12日(土)

 

■今年のがん診断は88万人、死亡は37万人 国立がん研究センターが初予測を公表

 国立がん研究センターは10日、2014年に新たにがんと診断される人の数(罹患数)は88万2200人、がんで死亡する人は36万7100人で、いずれも過去最多数になるとの予測を公表しました。

 1975年以降のデータを基に当年を予測する初の試みで、担当者は「最新の状況を、今後のがん対策を考える際の参考にしてほしい」と話しています。来年からは、毎年春に公表します。

 今ある最新の統計は、2010年の罹患数の推計80万5236人、2012年に死亡した実数36万963人で、当年の集計まで3年から5年かかります。罹患、死亡のいずれも2014年の予測数が上回り、増加の最も大きな要因は人口の高齢化といいます。

 2014年の罹患数で最も多いのは胃がんの13万700人で、高齢化の影響を除くと長期的な減少傾向にあります。2位の肺がんの12万9500人、3位の大腸がんの12万8500人は近い将来、胃がんを上回ると予想されます。

 罹患数の男女別では、男性で胃がん、肺がん、前立腺がんの順、女性で乳がん、大腸がん、胃がんの順で多くなりました。

 死亡数では、肺がんが最も多く7万6500人で、2位の胃がんの5万300人、3位の大腸がん4万9500人を大きく引き離しました。喫煙率が高かった世代が高齢化する影響などで、肺がんの罹患数と死亡数が高まるということです。

 治療の難しい膵臓がんは、2012年の死亡数は4位の肝臓がんに次ぐ5位でしが、2014年の予測では順位が入れ替わり4位になりました。高齢化の影響を除いても増加傾向にある特異ながんであり、喫煙と糖尿病が危険因子とされます。

 国立がん研究センターは、予測した数と数年後に出る実数を比較して、がん対策の効率化に生かす方針です。

 2014年7月10日(木) 

 

■出産育児一時金、42万円を継続 厚労省が家計負担に配慮

 厚生労働相の諮問機関である社会保障審議会の医療保険部会は7日、出産した人が公的な医療保険から受け取る出産育児一時金を、現在の42万円のまま据え置くとする厚労省の提案を了承しました。出産にかかる家計負担を軽減するのが狙い。

 出産育児一時金は現在、新生児1人当たり39万円に加え、出産時の事故に備える産科医療補償制度に払う掛け金の3万円と同額を上乗せし、計42万円を支給しています。

 来年から補償制度の掛け金が1万6000円に下がるため、一時金の総額も減額するよう求める大企業の健康保険組合などからの意見がありましたが、出産にかかる実際の費用は年々増える傾向にあることや、公立病院でも出産費用が平均40万円を超えているなどとして、支給額を維持して子育て家庭の負担が重くならないよう配慮しました。

 ただし、出産費用が地域や医療機関によって大きく異なることを疑問視する声が上がり、医療保険部会は厚労省に対し、医療保険財政の悪化を防ぐため、一時金が安易に高くならないよう支給額見直しのルールを明確にするよう求めました。

 出産にかかる平均費用は年々増え、2012年度は約48万6000円となりました。

 2014年7月8日(火) 

 

■メタボ健診、受診率46パーセントと低調 2012年度も目標70パーセントに届かず

 厚生労働省は4日、40~74歳を対象とした特定健康診査、いわゆるメタボ健診の2012年度の受診率が前年度から1・5ポイント増え、46・2パーセントだったと発表しました。

 政府は生活習慣病の予防のため、受診率70パーセントの目標を掲げていますが、程遠い結果となりました。

 2012年度の健診対象者数は約5281万人で、受診者数は約2440万人。受診率は男性51・4パーセント、女性41・1パーセント。

 健診の結果、心筋梗塞や脳卒中の危険性が高まるとされるメタボリック症候群やメタボ予備軍と指摘され、保健師などによる保健指導が必要とされた人は約432万人。このうち、実際に指導を受けたのは約71万人にとどまりました。

 保険者ごとにみると、大企業の健保組合が70・1パーセントに達しているのに対して、市町村の国民健康保険は33・7パーセント、中小企業の協会けんぽは39・9パーセントにとどまりました。

 メタボ健診は2008年度から始まり、受診率は年々、わずかながら増えています。

 2014年7月7日(月) 

 

■入院中の食費代、自己負担引き上げへ 1食当たり260円から460円に

 厚生労働省は、入院中の食事代にかかる自己負担額を引き上げる方針を固めました。今の1食当たり260円から460円へと、200円上げる案を軸に検討します。

 医療保険財政を改善させるのが狙い。来年の通常国会で法改正し、早ければ来年度中の実施を目指します。

 一般的な入院時の食事代は、健康保険法などの告示で全国一律に朝昼晩とも1食640円と決まっています。食事も治療の一環であるとして、食費の一部は医療保険で賄われていて、給付額は年間約5000億円に上ります。

 1食のうち自己負担額がいくらになるかは、年齢や症状で異なります。けがや急な病気で入院した場合は、医療保険から380円が給付され、自己負担は260円。一方、高齢者が慢性疾患で療養入院する場合の自己負担額は、460円になっています。

 訪問診療などで自宅で医療を受けている場合には、医療保険から食事代の給付はありません。入院患者にだけ食事代の一部が保険から給付されるのは公平ではないのではないか、という意見も出ていました。

 厚労省は、一気に全額負担にするのは国民の反発が強いとみて、1食260円から、高齢者の療養入院と同じ460円に引き上げる案を軸に検討します。

 低所得者については、市町村民税が非課税の患者の自己負担額は1食210円、高齢で世帯全員の所得が低い場合は1食100円という軽減措置は据え置く見込みです。

 厚労省によると、2012年度に35兆円かかっている医療の給付費は、団塊の世代が75歳になる2025年度には54兆円に膨らむ見通し。

 政府の社会保障国民会議は昨夏にまとめた報告書で、「徹底した給付の重点化、効率化が求められる」と指摘し、「年齢に応じた負担」から「支払い能力に応じた負担」への転換を打ち出しました。

 2014年7月6日(日)

 

■電子たばこの安全性検証へ 規制も検討、厚労省

 味や香りのする溶液を蒸発させて吸う「電子たばこ」について、厚生労働省が健康影響の調査を始めます。有害物質が含まれているという指摘があり、厚労省などは今後、調査結果を踏まえて規制も含め対応を検討する。

 現在、ニコチンが入っていても「たばこ」とは必ずしもいえず、未成年の利用も明確に禁じられていません。

 厚労省は今後、国内外の研究成果などを調べ、秋から有識者による委員会で安全性を検証します。

 厚労省は、「未成年者への影響などを明らかにし、関係省庁と規制の在り方を検討していきたい」としています。

 電子たばこは、吸入器にニコチンや香料などの溶液を入れて電気で加熱し、気化した蒸気を吸う仕組みで、欧米で急速に利用が広がっています。日本では2010年の増税によるたばこの値上げを切っ掛けに、禁煙グッズとして注目されました。国内では10業者以上が製造、販売していますが、利用実態ははっきりしません。

 国立保健医療科学院の欅田(くぬぎた)尚樹部長らが、市販されているニコチンなしの電子たばこの蒸気を調べたところ、がんのリスクを高める有害物質が含まれる銘柄があり、「調査した約4年前よりも製品が多様化しており、さらに調べる必要がある」と指摘しています。

 この電子たばこを巡っては、利用者の急増に伴って欧米では喫煙制限の動きが活発化し、世界保健機関(WHO)は「科学的に安全性が証明されていない上、試験ではニコチン以外の有毒化学物質の存在が示されいる」として、電子たばこを普通のたばこ製品に分類、規制する準備を進めています。

 こうした動きに反発して、公衆衛生やニコチン研究専門の世界の科学者53人が2日までに、WHOに対し「電子たばこの規制は、たばこの喫煙が原因の病気や死亡を大幅に減らす機会を危うくする」との内容の書簡を送付しました。科学者たちは「電子たばこは数億人の命を救う」と主張し、電子たばこの有効性を初めて訴えました。

 健康への長期的影響などが不透明な電子たばこだけに、今後、大きな論議を呼びそうです。

 2014年7月5日(土)

 

■脱法ドラッグ、全国で約40万人が使用 厚労省研究班が推計

 幻覚や興奮など麻薬と似た作用がある「脱法ドラッグ」を使ったことがある人が全国で約40万人に上ると、厚生労働省研究班が初の全国調査で推計しました。

 使ったことがあると答えた人の平均年齢は33・8歳で、ほかの違法薬物と比べて最も若くなりました。脱法ドラッグの乱用が若者に広がっている状況がうかがえます。

 調査は、昨年10月に全国の15~64歳の男女5000人を無作為に選び、59パーセントから有効回答を得ました。

 脱法ドラッグを使ったことがあると答えた人は全体の0・4パーセント(250人に1人に相当)で、全国で約39万9800人に上ると推計しました。シンナーの1・9パーセント、大麻の1・1パーセント、覚醒剤の0・5%)に次ぐ4位でした。これらの違法薬物を使ったことがあると答えたのは、2・5パーセント(40人に1人に相当)を占めました。

 脱法ドラッグを使ったことがある人の平均年齢は33・8歳。シンナーの43・8歳、大麻の40・7歳、覚醒剤の40・1歳などに比べて最も若くなりました。

 研究班の代表者を務める国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の和田清・薬物依存研究部長は、「脱法ドラッグの成分を分析して依存症や毒性を調べる体制を整えるとともに、早期発見や治療などの対策も急ぐべきだ」と指摘しています。

 脱法ドラッグは、大麻や覚醒剤の化学構造の一部を変えて、法規制を逃れる薬物。これを乾燥食物などに添加し、「ハーブ」や「お香」などと称して売られています。

 厚労省は、こうした合成カンナビノイド系やカチノン系の化学物質を「指定薬物」に定め、薬事法の規制対象にしてきました。

 昨年には、化学構造の似た物質を一括して規制できる「包括指定」を導入しました。しかし、規制を逃れる脱法ドラッグはその後も次々と生まれ、鑑定にも時間がかかっています。

 2014年7月4日(金) 

 

■精神科病棟の居住施設化、条件付きで容認へ 厚労省検討会

 精神科病院の病棟を減らして居住施設に転換する政策案について、厚生労働省の有識者検討会は1日、条件付きで認めることを決めました。

 統合失調症やうつ病などで精神科の病棟に入院している患者は全国でおよそ32万人で、このうち1年以上入院している患者は全体の7割近くの20万人を占め、入院期間が10年以上の患者も6万5000人に達しています。

 有識者検討会では、こうした入院患者のうち比較的症状が軽い人については、精神保健福祉士などでつくる支援チームが退院計画を立て、社会生活に慣れるための訓練を行った上で退院を促し、必要がなくなった病棟を削減することで合意しました。

 病棟の削減によって空いたスペースについては、退院した患者が暮らすグループホームに転換することも認めるとしています。

 しかし、グループホームへの転換については、精神障害者の支援団体などから「単なる看板の掛け替え」「病院が患者を囲い込み、精神障害者の隔離を続けるだけ」「患者が病院の敷地内で暮らすことになり、地域での自立にはつながらない」といった批判が出ています。

 この日の有識者検討会でも、反対意見が相次ぎました。これを受け、今回の措置は対象を原則、現在の入院患者に限る例外的なものと確認。

 さらに、居住施設に住むかどうか本人の選択の自由を保障、外出の自由を確保、病院と明確に区別、地域移行に向けたステップとして利用期限を決める、プライバシーの尊重といった条件付きで、転換を容認することを決めました。

 厚労省は、来年度の障害福祉サービスの報酬改定や、省令改正などで制度的な対応を図ります。

 福祉政策に詳しい東京家政大学の上野容子教授は、「長期の入院は人権上も問題で、病棟の削減は一歩前進だ。しかし、退院した人を地域で支える体制は十分でなく、国や自治体が支援を行うべきだ」と話しています。

 2014年7月3日(木)

 

■診察室での電源オフは不要 医療機関での携帯使用に新指針

 病院など医療機関での携帯電話の使い方について、携帯電話業界などでつくる「電波環境協議会」は、新しい指針案をまとめました。

 現在の指針では「電源を切ること」としている診察室は電源を切らなくてもいいなど、一部の制限を緩めました。それぞれの医療機関でルールをつくる際に、役立ててもらいます。

 現在の指針は1997年につくられました。当時は、医療機器などに影響する電磁波の強い携帯電話が多かったため、医療機関では原則として使用を禁じ、手術室や集中治療室では携帯電話を持ち込まない、診察室や病室などでは電源を切ることになっています。

 新しい指針案は、携帯電話やスマートフォンの電磁波が弱まっていることや、医療機器の性能が向上していることもあり、患者や医療機関を訪れた人向けに使える場所と使えない場所を分けました。

 電磁波の影響が心配な機器から携帯を離す目安は、「1メートル程度」としました。

 診察室では、携帯電話の使用を控えるよう求めましたが、電源を切る必要はありません。患者が入院している病室では、機器への影響が少ないとして、携帯を使用できます。ただし、多人数の病室では、通話の制限などのマナー上の配慮が必要としました。

 食堂、待合室、廊下、エレベーターホールでは、携帯を使用できますが、使用制限エリアに隣接の場合は必要に応じて制限し、歩きながらの使用は控えるよう求めました。

 総務省や厚生労働省、日本医師会、携帯大手3社などでつくる電波環境協議会の作業部会が、1月30日から新しい指針案を検討してきました。8月中にも正式に決めます。

 2014年7月2日(水) 

 

■ほ乳類のピリオドタンパク質、体内時計を24時間に調整 山口大など解明

 ほ乳類の細胞内にある「ピリオドタンパク質」が、体内時計の周期を約24時間に調整する働きを持つことを、山口大と佐賀大の研究チームが明らかにしました。

 成果は5月、米科学誌セル・リポーツ電子版に掲載されました。

 体内時計は約1日周期で睡眠や覚醒などのリズムを生み出す機構。日の出や日没に合わせ、効率よく健康な生活を送るのに欠かせません。

 これまでに、細胞内の遺伝子の働きを活発にする活性化タンパク質と、その働きを抑える抑制タンパク質が交互に化学反応を起こし、体内のリズムが生ま れることがわかっていました。

 山口大時間学研究所の明石真教授によると、化学反応の時間だけでは24時間より短いため、別の要因が周期を延ばしていると考えられていました。

 研究チームは、マウスの細胞を使った実験で、ピリオドタンパク質が抑制タンパク質の化学反応を遅らせ、周期を延ばすことで24時間周期を保っていることを突き止めました。

 研究チームによると、ピリオドタンパク質が体内時計に影響を与えることはわかっていましたが、詳細な働きは不明でした。

 2014年7月1日(火) 

 

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