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認知症で特徴的なのは、最近の事柄に対する記憶の障害が顕著なことです。対照的に、比較的昔の事柄、つまり遠い昔に記憶したことは覚えています。
言葉も忘れますが、固有名詞、抽象名詞が特に忘れやすくなります。これは生理的な老化でも普通にみられるもので、健常人でも加齢とともに記銘力、記憶力は低下し、人の名前などの固有名詞が最初に忘れやすくなります。認知症の人の場合は、症状の進行とともに、自分の名前、年齢さえも忘れてしまいます。とりわけ、年齢のほうは忘れやすくなります。
意外によく覚えているのは、彼や彼女本人が生まれた場所。年齢のように毎年変わるものではなく、幼児から頭にたたき込まれており、先の遠い昔の記憶に相当するためと考えられます。
結局、正常な人と認知症の人の違いは、前者は経験した事柄を断片的に忘れることがあるだけなのに対して、後者は病状の進行につれて、経験したことのすべてを忘れてしまうのです。
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