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よく噛むことは、体の生理や神経にとって最も大切なことだし、歯槽膿漏(しそうのうろう)の予防、健全な歯並びによいだけではなく、あごの筋肉の伸縮で大脳を刺激する信号が送られ、情緒的にも安定して、無意識のうちにストレスを解消、中和させるという、人間形成上に大きな役割を果たすこともわかっているのである。
リズミカルなあごの運動によって、パッピネス・ホルモン(ベータ・エンドルフィン)という物質も分泌される。このホルモンが多量に分泌される状態の時、ストレス解消はもちろん、ウイルスやガン細胞の増殖を抑える力まで発揮する。
もちろん、食物の味がわかるためにも、咬筋という一群の筋肉を十分に動かして、十二分に咀嚼しなければならない。
現代人は高級な食生活をしながら、食べ方が早すぎし、量も多すぎる。食物の味を知る人間は、人間としての味が出る、知恵も出る。腹いっぱい食べる人間には、物事の真髄がわからない。
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