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●よく噛むこともボケ予防に役立つ
さて、誰もが毎日の食事に際して、何気なくやっている噛(か)んで食べるという行為も、実は、高齢者のボケ予防と、青壮年の脳力向上に役立つものである。時間をかけて、ゆっくり、よく噛んで食べさえすればよい。
このよく噛むということの大切さを、現代人はどれほど知っているか。三千年ほど前にできた中国の「黄帝内経」という東洋医学の古典にも、「呼吸と咀嚼(そしゃく)が完全になされるなら、人は百年生きることができる」と書いてある。
近年では、噛むという行為に関して、歯は感覚情報器官であり、物を噛んで食べるという咀嚼は口だけの運動ではなく、システムとして捕らえるべきだという研究が発表されている。
これは、歯の根からの神経が、頭を支える首の筋肉群につながっていることを突き止め、脳全体への情報伝達という意味から、幼児期からよく噛むことがボケの予防にも役立つし、唇や舌などの情報は各神経系を通じて脳幹に伝えられ、適切なリズムで噛み続けられるように、咬(こう)筋などの咀嚼筋を調節するというものである。
生理的にいえば、毎日の噛んで食べるという当たり前の行いも、実は複雑な神経系のお陰ということである。
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