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●各種の「気」を観望できる古代中国思想
人間の精神作用としての「気」に最初に触れ、「志は気の帥(すい)である」と最初に主張したのは、前四世紀に生きた孟子である。孟子の言行録「孟子」では、「志は気の帥、気は体の充なり」という。
人間は志を先に立てて統率し、「気」を乱すことをしなければ、その「気」が体に充満するというほどの意味であり、意志と「気」の関係を論じ、気力や勇気という精神作用の一面をはっきりと示したのであった。
「我は善く浩然(こうぜん)の気を養う」ともいっている。浩然とは、水が大規模に流れている様である。中国医学では、志は心の作用であるとするが、浩然の「気」という表現で精神作用と「気」の関係を捕らえた「孟子」には、十数回に及んで「気」が登場している。
このように個人が自覚したり、他人がそれを感じたりする「気」のほかに、大衆の中に漂う雰囲気、数多くの民衆の中に満ちている気分などを表す民気というものがある。
それを最初に記録したのは、前二三九年頃、秦の宰相・呂不韋(りょふい)の編集と伝えられる「呂氏春秋(りょししゅんじゅう)」。そこには同時代の儒家、道家など諸子百家の思想が反映されており、思想史上の不可欠の文献となっている。
「民気を益すことと民気を奪うこと」などは、一種の民衆的な心理状態を表現したもので、極めて政治的、社会的な「気」の認識であるといえる。
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