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昭和六十年、アメリカ環境問題諮問委員会の報告には、「二〇二〇年までには、発展途上国における物理的に接近可能な森林は、事実上すべて伐採されている」という恐るべき予想がある。
人類の人口の急激な増加が、一つには耕作地を求めて、一つには建材や燃料を求めて森林を無残に伐採してゆく。今や世界の森は、毎分二十から四十ヘクタールの猛スピードで消滅している。二十世紀末までに、地球上の耕作適地の三分の一が砂漠化すると、国連環境計画では警告しているが、それは地球が肥沃な表土を失い、死にかかっているということでもある。
世界の食糧のカギを握っているアメリカの農業でさえ、土地は疲れ、二、三十年もすれば全土の砂漠化が進み、土は死滅するとも警告されている。化学肥料が土中の微生物を殺し、水かけ農法が土中の塩分を地表に昇らせて、土地を砂漠化する。そのために、農業も次々と新しい土地を求めて移動するのである。食糧も飼料もアメリカに依存する日本農業は、それなりに長期的展望に立った自立化を、ぜひとも確立しておかなければならない。
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