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現在一般の単なる嗜好(しこう)的の食生活から、実質的な食生活へ、イライラの飲み込む食事から、落ち着いた咀嚼による食生活になることで、日常の食事の量は必要なカロリーを失うことなく、従来の三分の二、ないしは今までの半量で足りることになる。もちろん、食費も三分の二か五割で足りるだろう。
このことは、現下の世界的な食糧問題を考える上からも、見逃すことのできない大問題といってよいと思う。現在各地に飢餓状態の国もあり、多くの餓死者のある時、恵まれた先進国の人類がただ嗜好による飽食、過食、食荒らしの食生活をしていることは、国家的に、また国際的道義から考えても、大いに反省されなければならない問題であろう。
飲みすぎ、食いすぎ、遊びすぎ、これを人権か特権のように思う常識を是正せねばならぬ。宇宙間の万物中、ぜいたくをしているのは人間だけである。恵まれた金持ち国の幸せ者は、もっと質素に、まじめに生活して、世界の弱者や不幸な人にささぐべきである。
飽食、美食に浮かれている日本自体にしても、昭和五十八年頃で、食糧の自給率三十パーセントという数字は、あまりにも不安である。
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