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腹を立てると胃に悪いといわれるのも、唾液の有機成分がアチドージスに傾き、食べ物の消化が悪くなるからである。自己意識や心の状態によって唾液を変化させることは、好ましくない。五官の自然作用によって、自然のうちに変化に対応させれば、その機能を十分に生かすことができる。
そして、日本人の成人は牛乳不耐症、乳糖不耐症といって、ヨーロッパ人などに比べると、腸内の乳糖を分解するラクターゼという酵素が非常に少ないといわれるが、牛乳を飲む時には、あわてて飲み込んだりせず、じっくり噛むようなつもりで唾液の分泌を促せば、下痢をしないですむものである。でんぷん質を消化するのも、唾液の働きなのだ。
夜の眠りの中では、口の中の唾液も乾きがちのものだが、それは分泌作用を止めているからではなく、内分泌腺ホルモンとして肉体組織に働きかけているからである。
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