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臓の作用のことを「気」と称し、例えば、心の作用を心気、腎の作用を腎気などというが、五臓という言葉自体、五気を蔵(しま)っておくという意味から名付けられたものである。
五臓は五気を蔵するところ。それは、肉体の生きていく素である宇宙天地大自然の「気」が鼻、口など九穴を通じて体内に入り、体の内部にとどまるところであるからだ。
九穴が天の「気」と交わる表の口であるのに対して、五臓は内の口なのである。言い換えれば、五臓こそ天の「気」と人の「気」の交流をはかる調節機能だということになる。
「気」と肉体の関係に続いて、「気」と精神の関係を見ても、「五味を備えて、五気調和すれば、精神おのずから生ずる」とされ、これまた五臓と関連してくる。
しかも、私たち人間の精神が盛んで「気」が散じなければ、その「気」は天の「気」と等しくなり、天地の精に通じて「目、耳、鼻、口、衰えることなく明を保つ」ので、健康に百歳、百二十歳の天寿も全うできるのである。
人間の健康にも、精神活動にも、「気」が支配的に作用するものだということを、知っておいてもらいたい。
一方、五臓のどれかが具合が悪いということは、すでに五気の調和を崩していることと見なす。「天の邪気を感ずれば、すなわち人は五臓を損なう。食べ物が冷たすぎたり、熱すぎたりすると六腑を害する」といわれ、さらに「気血は五臓の使い」といって、五口(九穴)と五臓および気血の三者は、緊密に結び付けられている。
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