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例えば、胃の消化作用にしてそうである。空腹になるという現象にしても、人間の意識が空腹になろうと考えて空腹になるのではなく、肉体がそう命ずるから、そうだと気がつくのである。
これは満腹になる場合でも同じで、満腹になるのは肉体のほうで、もうこれ以上は入らないという信号を出すので、腹いっぱいになった感じがわかるのである。
また、仮に、よくない食事を意識は知らないで食べた場合などでも、肉体はちゃんとそれを知っていて受けつけない。下痢になって出すか、上に吐くかして悪い物を体外に出してしまうのだが、これは意識でやっているのではなくて、肉体がそれを知って活動しているのである。
人間の肉体は、食べ物を口に含めば、ただちに唾液が流れ出し、それが胃袋に入ると、胃は間髪を入れず収縮作用を起こし、胃液を分泌して食物を消化してゆくという、消化器系統一つを取り出してみても、そこには、神秘としかいいようのない微妙な生理作用が働いているのだ。
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