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何千年かかってはぐくまれてきた日本人の肉体が、食環境の変化に対応し得ているかは、大いに疑問が残るところである。民族の体質というものは、そんなに簡単に変われるものだろうか。
飽食の時代といわれる今日の食生活は、昭和二十年代とは比べることはできない。当時は、食べ物を選ぶなどということはとんでもないことで、食べられる物を探すだけで精いっぱいだったのである。
近年は食べ物に恵まれた結果、我が日本人、ことに若い人の身長は著しく伸び、欧米人に比較して見劣りしないほど、成長したことはまことに喜ばしいことである。
逆上って原因を探れば、終戦直後、まさに成長しようとしている学童に対し、アメリカから全国的に学校給食として送られた牛乳や脱脂粉乳などを毎日飲ませたので、骨格を作るカルシウム、身長を伸ばすビタミンB2 、および血や肉を作る良質の蛋白(たんぱく)質などを豊富に摂取できたのが一番大きい、と解すこともできる。
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