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才能を伸ばすコツも、人生のコツもここにある。持っている力を出さず、何もしないで怠惰に一日を空費したのでは、夜は決して快適な眠りを与えてはくれない。人間がよりよく睡眠をとるためには、ある程度の疲労が必要条件である。
ただ、その疲れは何でもよいというわけにはいかない。望ましい疲れは、例えばスポーツの後のさわやかな疲れを思い浮かべれば、誰でも思い当たるであろう。このさわやかな疲れは、昼間、それぞれの職分において、快適に働いた後に得られるものである。精いっぱい、自己を完全燃焼させて残る疲れであり、それによって自らを高め得た疲れである。
こういう価値ある疲れこそ、夜、眠りによって自己を充実させる源泉になるものだから、職業の選択もおろそかにしてはなるまい。
ビジネス界で精力的な活動家といわれた人物を観察してみると、決して無駄で余計な意識を使わず、明るく活発な「気」を集中させながら、自我意識を捨てて仕事に取り組んでいる。そして、全精力をその日一日の仕事に使い切る。これが大切なコツ、中途半端はいけない。手抜きやサボタージュは、肉体を一時的に楽にはしても、「気」の流れを妨げ、心にスキを与えることになる。
その日一日の仕事に全精力を使い切るという心掛けの人は、性格も素直で明るく、健康で賢明で、社会的に成功者が多い。もちろん、肉体は疲れる。へとへとに疲れ切るだろうが、そういう人の肉体は、一晩ぐっすり寝ると疲労そのものが明日のエネルギーに変換しており、前日楽をして疲労しなかった人よりも元気で、精力的に働けるものである。
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