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『ホトトギス』を主宰した俳人の高浜虚子は、「五十ばかりあくびをすると一句浮かぶ」という特技を持っていたそうである。
頭の働きに活を入れようと思ったら、体の筋肉を引き伸ばすことが一番なのであり、人間が無意識に実行している典型的な例が、あくびや伸びなのである。
筋肉が引き伸ばされた時、その中にある感覚器の筋紡錘からは、しきりに信号が出て大脳へ伝えられる。大脳は感覚器から網様体経由でくる信号が多いほどよく働き、意識は高まって、頭ははっきり、すっきりするようになる。
あくびも、上あごと下あごの間に張っていて、物を噛(か)むのに必要な咬筋(こうきん)という筋肉を強く引き伸ばすものであることを勘案すれば、俳人の特技もよく納得できる。
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