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さて、日本では、明治から大正にかけて、「気」の健康法が流行したこともあった。岡田式静坐法、藤田式息心調和法などであり、当時の海外移民が盛んな時代背景もあって、ハワイや南米にも広められた。これは、急激な近代化、工業化に対する、一種の反省であり反動であると見ることもできる。
そして、二十世紀も終わりに近い平成時代になって、再び「気」や気功のブームになり、今や完全に定着した感がある。背景には、日本の内外の要因があるだろう。
直接的には、針麻酔の成功や馬王堆の発掘といった、中国での医学界や考古学界におけるニュースが及ぼした影響であろうが、そうした外的な理由とは別に、日本の内的な要因も見逃すことはできない。
経済大国といわれて久しい日本であるが、人々の心のどこかに、現状には満足することのできない何かを求める、ひそかなる衝動があるためではなかろうか。
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