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日本語から考察すると、古事記や日本書紀、万葉集などの古典に、「気」という言葉がたどられる。
ただし、中国語で意味する「気」そのものではない。「神」、「霊」、「怪」、「顕」、「異」、「疫」、「鬼」などの意味に、使われていたのである。「けはい」、「もののけ」、「いとおもしろし」、「げにおそろしき」、「いとあはれ」などの言葉にも、「気」の日本的な意味が認められる。
「けはい(気配)」のけ、この「け(気)」に対する鋭い感受性が、いつも日本文化の中心ないし周辺にはあった。「気」は、生物や物や場から発散する見えざる手といってもよいだろう。「もののけ」の「け(怪)」なども、そうした意味の「気」に通じてくる。
このように、古代の日本では「気」は「け」と読むのが伝統的で、「け」は自然現象をつかさどる超自然力を持つ神的存在という認識だったのである。
「け」が次第に「き」と読まれるようになったのは、源平時代以後のことであった。
大ざっぱにいえば、十四世紀あたりまで、「気」は宇宙天地大自然の様子や、人間の動作、顔色などを表現することが多い。それは主として、自分が見たり、感じたりした周囲の状況を即物的に示しているのである。
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