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もちろん、食べ物はうまいにこしたことはない。しかし、そのうまみは自然の持ち味を生かしたものでなくてはならない。人工的に濃厚な味をつけた料理は、ちょっとの口舌の楽しみはあっても、それを食べ続けていれば、やがて体に障害をおよぼしてくることを忘れてはならない。
人間の体には精妙な選択力があるから、そうした現代流の濃厚な味を一週間も食べ続けていれば、必ず飽きがくるはずである。この本能的な選択力に忠実に従うならば、淡泊な自然の味の中にこそ、生命の糧があることを、体で知ることができるだろう。
現代では、食べ物や食べ方に注意しても、素人にはわかりにくい有害添加物を含んだ食品も少なくないからこそ、食べ方について心であれこれ思い煩わず、食べた後の体の調子、頭脳の働きなどで、つまり体そのもので判断して、正食を正しく食べる習慣をつけることが大切である。
栄養となるかならぬかは、体そのものによるのであって、食べ物だけにあるのではない。いかに栄養学的に認められた食品でも、食べる本人の体が完全でなければ、それはまずく感じるし、生命の糧として身につくこともないだろう。
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