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●真なる感覚力の養成が大切である
その私たち人間の肉体は、厚さ約二ミリの皮膚に覆われている。皮膚の役割は、肉体的生命を内と外に隔離すると同時に、内と外を交流させることにある。つまり、皮膚は自己と非自己を分けて、排除したり、受け入れたりする器官なのである。
皮膚には、頭部に七つ、下半身に二つないし三つの穴がある。この穴も皮膚の一部として、外界との交流を行う大切な役割を果たしている。一般に五感といわれる皮膚感覚、視覚、聴覚、味覚、嗅(きゅう)覚は、皮膚が有する特殊な能力である。私は、この五感を外部の感覚を感じる器官という意味で、五官と表現することにしている。
皮膚はもともと、脳と同じ外胚葉と呼ばれる部分から分化したもので、さまざまな能力を持ち合わせている。特に皮膚表面に開かれた穴の周辺は、外部と内部との交流をつかさどる感覚受容器官がびっしり集まっている。人間が感じることのできる外部からのすべての刺激は、この五官を通じて伝わるのである。
私たちは、感覚というものは自己の内部から発生するものだ、と考えがちである。だが、感覚というのは、皮膚を越え、伝わってくる外部からの刺激であり、皮膚を通して感じる外の世界なのである。外界とは自己を映す鏡であり、言い換えれば自分自身ということになる。人間は内と外をつなぐ感覚器官によって、自己を認識するのである。
感覚は磨けば磨くほど光るものである。それは、自分を鍛え、知ることにもつながる。現代に働く人は、もっと感覚を重視しなければならない。
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