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二、見当識障害
見当識とは、時、所、人などについて見当が付いていることを意味します。だから、見当識障害は、今日は何日で、今どこにいる、目の前の相手は誰か、などがわからなくなるもの。
この障害は、認知症の初期の診断において、最も重要なチェックポイントとなっています。認知症のごく初期においては、記銘力、記憶力の軽度の低下を生理的、あるいは病的と明確に区別することは難しいのですが、生理的な老化の範囲では見当識障害はみられません。つまり、見当識障害の有無が、生理的な脳の老化と、病的な認知症を区別する、信頼できる症状なのです。
また、入院や寝たきり状態の場合はともかくとして、その他の場合、日時を知らないこと、自分のいる場所を知らないことは、社会生活に重大な支障を来すことからも、認知症の症状として特に重要視されます。
見当識障害が高度になれば、朝昼夕夜の区別もわからなくなります。場所についての見当識が障害されるために、入院患者では自分の部屋を忘れることがしばしば。徘徊(はいかい)癖のある例では、想像もできないほど遠方に出掛けて、帰ることができなくなり、交番などから問い合わせのあるケースもみられます。
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