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はじめから特異なものであり、普通の人間にはできないようなものだったら、このような問題を持ち出す必要はないだろう。
例えば、「家康になれ」というのは無理な話であっても、彼が持っていた忍耐とか寛容とかいうような徳目は、誰でも努力すればできるであろう。いや、身につけることができるはずである。
そうした忍耐、寛容を通じてはじめて、人間としての成長があり、機会をものにすることができるのだ。統率者は、そのなすべきか、なさざるべきかの機会を知っている。
統率ということを考える際、大切な条件として思い浮かぶのは、与謝野鉄幹の有名な詩句「友を選ばば書を読みて、六分の侠気(きょうき)、四分の熱」である。
指導者がその統率力を発揮しようとする時、六分の侠気、すなわち男気がなくて、誰が奮起してついてゆこうか。そして、それが四分の熱気なくして、行われるであろうか。
加えて、よく書を読むということは、平素から常に仁義の道を志しているということで、それが周囲の共感を誘うのである。
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