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若い頃の深い眠りが懐かしく、眠りに対する飢餓感が強い老人がいる。実際はよく寝ているにもかかわらず、「全然寝ていない」といい張ったりする。
こういう不眠が重大な問題を内包しているのは、人生の三分の一を費やす睡眠をうまく管理できなくなってしまうばかりか、人生の三分の二を占める日常生活にも、支障をきたす性格のものだからだ。
睡眠不足で、日常生活の判断力が鈍るなどというのは枝葉末節にすぎない。本当は、睡眠不足によって生命力が衰えるのである。生命の根源が枯れてしまうのである。判断力が鈍るなどというのは、その結果としての現象にしかすぎない。実相はそんな生やさしいことではないのだ。
肉体の栄養を食物からとっているように、生命の栄養は眠りの中にこそあるというこの真理を、ぜひ認識していただきたいものである。
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