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ところが、眠いのを我慢して夜中まで仕事をしたり、テレビを見たりなどしていると、いざ寝床に入っても、なかなか寝つけないものである。何しろ、嫌がる脳細胞を叱咤(しった)激励して、無理やり働かせていたわけだから、その余勢というか、余じんのようなほてりが続いていて、とてもすんなりと眠れるものではない。
体はクタクタに疲れていて、本当は眠くてたまらないのに、神経だけがピリピリいら立っている状態というのはつらいものであろう。
「さあ、早く眠らないと明日がきついぞ」などと思うと、意識が余計にさえ返って、ますます眠れなくなってしまう。展転反側を繰り返した揚げ句、ヒルティの「眠れぬ夜のために」の教訓に従い、そんな時は少しも頭に入りはしないのに、あたりが明るくなる頃まで本を読んでしまうことも多い、という人もいよう。これでは、自分の生命を自分で縮めているようなものである。
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