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それぞれの人間の顔というものは、その人の氏や育ち、生きざま、性格、教養、職業を始め、すべてを表す。その人間を集約する個所だから、顔は体の中でも、その人を代表する大事なところ。「人の顔に泥を塗る」とか、「世間に顔が広い」とかいう。顔は、社会に向けられた、その人間の存在なのである。
顔形、骨相そのものは両親から受け継いだものだから、本人に責任はないかもしれないが、「年頃すぎたら顔は自分が作るもの」といわれるように、やはり顔に現れる品格や教養は本人の責任だろう。
よく「人品卑しからぬ」とか、「一癖ある顔」などという両極端の表現をする。どちらも顔に現れたその人間の生きざまだ。骨相が遺伝的なものなら、人相の場合、半分は後天的なものだろう。美人や美男は親譲りのものかもしれないが、これも顔の美しさ、すなわち美貌で決まる。
「妻をめとらば才たけて、みめ麗しく、情けある」と与謝野鉄幹が歌った「みめ」も、見た目、つまり容貌、器量のこと。それが麗しいということが、広義の器量よし、美人である。
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