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●読書で頭脳を明晰に保つ
そして、決して枯れることがない知識欲を満たす読書、それによる感銘などは、確実に若さをよみがえらせてくれる原動力になる。
本に夢中になりすぎて、悪い姿勢を続け、体調を崩すのは感心しないが、誰もが余裕があるなら、せめて一日に一、二時間ぐらい心の糧となるような書をひもとく時間を持ちたいものである。
人間は年を取るにつれ、つまらない雑用がやたらと多くなる。読むものは新聞、せいぜい週刊誌程度である。よほど向上心の強い努力家でない限り、研究書や新刊書の読破、あるいは古典の世界を散策するなどのことは不可能に近い。
だいたい、年を取るにつれて知識欲も薄れ、求知心に乏しいのであるから、吸収される知識はきわめて微量でしかない。
これでは大脳を刺激する適量にも達しないのであり、脳の血流の貧困から脳軟化症をわざわざこしらえているようなもので、忘却現象が加速度を駆って起きるのは当たり前である。
現実はかくのごとくであるから、特に老人は努めて客観の世界を風化させないよう努力する必要がある。それには若い人に交わったり、読書などで新知識を求めることを怠らぬことである。それこそ頭脳を明晰に保つ方法なのである。
定年退職した人の場合などは、余裕のできた時間を活用して、読書の趣味を持つことで、今までの仕事だけが生きがいだという、狭い価値観を作り替えることもできるはずである。
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