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というのは、脳細胞は百四十億から百五十億あり、その中の四億個がものを考える作業をする細胞であるが、これら脳細胞の成長は十八歳から二十歳までがピークで、その後は減りこそすれ決して増えることはない上に、一度壊れたら最後、いくら養生しても埋め合わせのきかない貴重なものだからである。
手足の皮膚の細胞などは、少々の切り傷、擦り傷ではびくともしないが、脳細胞はちょっとわけが違う。眠りによって脳細胞を休ませる必要は、誰もが拒めない義務のようなものであるわけだ。
この脳については、すでにギリシャ時代、医学の祖ヒポクラテスが、次のように書き残している。
「人間は脳によってのみ、歓びも、楽しみも、笑いも、冗談も、はたまた、嘆きも、苦しみも、悲しみも、涙の出ることも知らねばならない。特に我々は、脳あるがゆえに、思考し、見聞きし、美醜を知り、善悪を判断し、快不快を覚えるのである」。
現代の日本の脳生理学者は、「脳が人間のすべてであり、高度に分化発達した大脳皮質である新皮質のすべてが人間性の根源である」といい切っている。右脳と左脳の役割分析も、注目されているところだ。
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