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また、医学の面では「養生訓」を書いた儒学者であり、本草学者の貝原益軒、仏教の面では内観法を提唱して、現代禅の生みの親となった白隠禅師という、「気」と深くかかわった人物が登場し、武士の世を反映して「気」の武術論も展開されている。
本家の中国においては、漢初の孫子が、「気」を知って兵法に用いた人物として知られる。「朝気は鋭く、昼気は惰、暮気は帰。ゆえに善く兵を用いるものは、その鋭気を避けて、その惰気を撃つ。これ気を治むるものなり」と、その兵法書に説いている。
朝は兵隊の気力は鋭くなっており、昼の気はだらけ、日暮れになると兵舎に帰ることばかり考えている。だから、用兵家というのは、朝の「気」を避けて、昼時や夕方の帰り道を狙って攻撃する。これこそ、「気」を体得した者というべきだ、と述べているのだ。
我が日本では、徳川二百六十年の軍事上の指導は柳生家が任じていたが、柳生宗矩の著した秘伝書「兵法家伝書」では、「内に志ありて、外に発するを気という」と説いている。
妄心を除いて、冷静に判断でき、かつ己の気力が充実している時にのみ、兵法家としての目的を遂げることができる、という意味であろう。
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