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耳から入ってきたものは、縁に触れれば自然に片言となって表現されるなど、子供のうち、人間の五官作用は実によくできていて、知能や情操の発達を大いに助け、成長にとって欠かせないものである。
ところが、乳幼児期に、親が母乳の代わりに、ミルクに砂糖を入れて飲ませたり、人工的に甘く味つけされたジュースやアイスクリームのような、口当たりのいい物をやたらに与えていると、五官がマヒし、最も大事な鼻がきかなくなってしまう。
新生児は唾液がありあまっているから、ヨダレを流しっぱなしにしているが、すでに述べた通り、唾液の中には食物を消化するための酵素のほかに、パロチンというホルモンが含まれ、これがカルシウムを骨に定着させる作用があることが、科学的なデータからも証明されている。
親の好みでやたらに甘い物、偏った人工物を与えれば、砂糖が発育に必要なカルシウムを奪う上に、人間の精神の安定や肉体の健康にきわめて大切な働きをする唾液の分泌力を弱め、機能を低下させる。結果的に、ホルモンバランスが変化を起こして、骨や歯がもろく、細胞組織や身体機能の弱い人間をつくってしまう。
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