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●心で食べず、体で食べる
化学的合成品の恐怖は、我々の身近なところに潜んでいることをさらに指摘したい。例えばビタミン剤である。
ビタミンというと健康の根源のようなイメージがあるから、多くの人々はあたかも護符のようなつもりで愛用している。だが、ビタミン剤といえども、やたらに飲んでは副作用の害のあることは当然で、そういう意味では、おまじないが物質化された護符より始末が悪い。科学の仮面をかぶった悪魔になる場合も、少なくないからである。
ビタミンAの過剰症にかかったらどうなるか。まず、食欲がなくなる。毛髪が抜け落ちたり、手足の節々の骨が痛み出す。時によっては、肝臓をやられてしまうことも珍しくない。
ビタミンAといえば、おなじみのニンジンやカボチャなど、赤い色をした野菜に含まれていて、これが不足すると俗にいう鳥目になったりする。野菜などに自然に含まれている物なら、少々食べすぎても害はないところに、巧妙な大自然の摂理があるが、人工の肝油などで補おうとして量をすごすと、往々にして中毒症状を起こすことになる。
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