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何となく大器晩成の代表といった雰囲気の西郷隆盛でも、二十代から頭角を現し、三十代はじめで明治維新の大業を実現した敏腕家であった。百キロを超える体の持ち主だったから、そのようなイメージができてしまったにすぎない。
大器、器量人にふさわしい吉田松陰にしても、坂本竜馬にしても、二十代から三十代ちょっとで、歴史に名を残す大事業を行った。
そこで、「老子」の著者である老子はどんなつもりで、大器晩成という言葉を書いたのか、第四十一章の前後の文脈を引用してみよう。
「大方は隅無し、大器は晩成す、大音は希声なり、大象は形無し」。
老子という人は二千数百年前の中国の哲学者で、儒教と並ぶ東洋精神史上の二大潮流をなす老荘思想の祖と伝えられるが、実在した人物であるかどうかは疑問が持たれている。
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