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人間は地球上に発生したが、創造者は宇宙である。人間は宇宙の意思によって創られた、ということができる。人間は宇宙の有為転変の所産である、ということもできる。
この宇宙の結晶体である人間の体は、約六十兆個の細胞から形成されている。地球上の生命の核は、細胞の化学反応を制御している蛋白質と、遺伝的な指令を与える核酸である。DNA(デオキシリボ核酸)の指令いかんによって、生物は人間にもなり、牛にもチョウにもアメーバにもなる。
すべてのものが分子的には同一、すなわち、万物の基礎はすべて平等であり、ほんの少しの違いで差別が生まれるのである。
小さな細胞もまた、一つの宇宙である。銀河や星の世界と同じように、複雑至妙な世界である。細胞の核の中にいる核酸が指令を発し、細胞の中の分子を変化させ、エネルギーを蓄えて細胞分裂が行われる。
一つの宇宙である細胞をさらに分析していくと、原子の世界からできている。というより、原子、分子が次第に発達して細胞が生まれたという順序であることは、当然である。
原子は、原子核を中心として、その周りを極めて正確に、定められた軌道を一ないし九十余個の電子が回っている。原子核は原子の大きさ、つまり電子の軌道の大きさに対して十万分の一という微小なものである。言い換えれば、原子の中は空っぽ同然の空間の世界なのである。
原子の直径を小学校の運動場くらいの大きさとすれば、原子核はグラウンドの真ん中に置かれた米粒ほどの大きさである。このような、がらんどうの世界が基礎となって、鉄やニッケルがあり、人間ができているという不思議さは、いいようもないものである。
しかしながら、空っぽ同然で、がらんどうの世界こそ、宇宙の本質なのだ。太陽系がそうであるように、銀河系宇宙がそうであるように、宇宙の物体と空間の割合は、そうした比率をなしているのである。
ここでもまた、一つの真理が遍満している相を、見逃すわけにはいかない。
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