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●価値ある疲れが快眠を誘う
さて、人間がよりよく睡眠をとるためには、ある程度の疲労も必要条件である。何もしないで怠惰に一日を空費していたのでは、夜は決して快適な眠りを与えてはくれない。現代人は疲れが翌日のエネルギーへと変わることを知らず、なるべく楽をして体を疲れさせないように心掛け、そのために不眠症で悩んでいる人がたくさんいるのである。
ただ、その疲れは何でもよいというわけにはいかない。望ましい疲れは、スポーツの後のさわやかな疲れを思い浮かべれば、誰でも思い当たるであろう。
このさわやかな疲れは、昼間、それぞれの職分において、快適に働いた後に得られるものである。精いっぱい、自己を完全燃焼させて残る疲れであり、それによって自らを高め得た疲れである。こういう価値ある疲労こそ、夜、眠りによって自己を充実させる源泉になるものだから、職業の選択もおろそかにしてはなるまい。
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