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●発汗は老廃物の排泄機能も持つ
再び、人間の体温を調節するための汗の話に移る。汗が蒸発する時に体から奪う気化熱によって、体重七十キロの人が百CCの汗を出すと、体温は摂氏一度下がる計算になる。
そうすると、単純にいえば、外気温が四十度のところにいる同体重の人が、体温を三十七度にまで下げるには、三百CCの水を汗で失うことが必要になる。
このような発汗による体温調節は体表面のエクリン腺が行うが、手足の裏からの発汗は外界の温度と関係ない。例えば、三十五度の部屋に入っていると、自然に胸部や額に汗が出てくるが、手のひらには全く汗が出ない。一方、適度な室温で暗算をさせると、数分で手のひらから汗が出るが、額からは汗が出ない。
皮膚を熱すると起こる発汗は温熱性発汗、精神的努力によって起こる発汗は精神性発汗といわれている。文字通り手に汗を握る精神性発汗を利用しているものに、うそ発見器がある。
以上に説明したように、人間の汗腺はその種類によっても、存在する場所によっても、役目が異なるのである。
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