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リベドー



下肢の皮膚に赤紫色の網目状や樹枝状の模様がみられる状態

リベドーとは、赤紫色の網目状もしくは樹枝状の模様の皮疹(ひしん)が主に下肢の皮膚にみられる状態。
 温風ヒーターや赤外線電気こたつなど比較的低温の温熱刺激が長時間、あるいは繰り返し皮膚表面に作用することで、紫紅色の網目状あるいは斑(まだら)状の色素沈着が下肢に生じる温熱性紅斑(火だこ)とは、一応区別されるものとされています。
 皮膚の末梢(まっしょう)循環障害による症状の一つで、冬季の寒冷刺激やさまざまな基礎疾患によって血液の流れが悪くなり、酸素含有量の少ない血液がたまることで、毛細血管の拡張や皮膚の赤紫色の網目状もしくは樹枝状の変化が起こります。
 リベドーは、大理石様皮膚、網状皮斑(もうじょうひはん)、樹枝状皮斑の3つのタイプに分類されます。
 大理石様皮膚は、冬季の寒冷刺激によって一過性に小児や若い女性に生じ、輪が閉じた網目模様をつくります。寒冷刺激によって血液の流れが悪くなり、酸素含有量の少ない血液がうっ滞することで、網状構造が保たれます。
 網状皮斑と樹枝状皮斑は持続性で、原因になる基礎疾患がある症候性のものが多く認められます。
 網状皮斑は、大理石様皮膚と樹枝状皮斑の中間と考えられるタイプで、冬季の寒冷刺激とは関係なく網状構造は完全に閉鎖され、大理石様皮膚より皮疹が持続的です。とはいえ、夏になって気温が上昇すると、網目状の皮疹が消失することもあります。
 樹枝状皮斑は、網状構造が完全に閉鎖しておらず、所々で途切れて樹枝状の構造をしています。
 網状皮斑と樹枝状皮斑は、毛細血管や小静脈などの拡張、血液のうっ滞だけでなく、いろいろな基礎疾患が原因となって、小動脈に炎症が生じた状態です。症状が進行すれば、血管の器質的変化にも至り、上部皮膚の炎症や潰瘍(かいよう)になることもあります。
 網状皮斑と樹枝状皮斑を引き起こす基礎疾患としては、血管炎や慢性関節リウマチなどの膠原(こうげん)病、クリオグロブリン血症、抗リン脂質抗体症候群、多発性骨髄腫(しゅ)、プロテインC欠損症、アンチトロンビンⅢ欠損症、播種(はしゅ)性血管内凝固症候群(DIC)などが挙げられます。
 そのほかにも、膠原病の一つの全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎、多発性硬化症やパーキンソン病などの神経疾患、結核やC型肝炎などの感染症、薬剤も原因となり得ます。
 冷気や冷水などの寒冷刺激によって悪化する傾向があり、逆に温めることで症状が緩和することもあります。見た目の変化に加えて、しびれや感覚まひといった感覚障害が現れるケースもあります。
リベドーのいずれのタイプにしても、症状を生じる人は、元来血管系が不安定と考えられ、ちょっとした打撲や擦過で内出血を起こす可能性があります。原因を正確に判断し、適切な治療につなげるためにも、単なる皮膚症状と自己判断するのではなく、皮膚科専門医の診察を受けることが勧められます。

リベドーの検査と診断と治療

皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による診断では、皮膚の見た目を詳細に調べます。また、網状皮斑と樹枝状皮斑を引き起こす原因となっている基礎疾患の有無を調べることも、重要です。
 状況をより詳細に評価するために、皮膚の一部を採取して顕微鏡で確認する病理検査を行うこともあります。
 原因となっている基礎疾患を特定し、皮膚以外にも症状が現れていないかどうかを確認するため、血液検査、尿検査、X線(レントゲン)検査など、必要に応じて検査を追加することもあります。
 皮膚科、皮膚泌尿器科の医師による治療では、原因になる基礎疾患がないリベドーだけの場合は、下肢の保温、マッサージ、弾性包帯や弾性ストッキングの着用しなど、うっ血の防止を主体に改善を図ります。
 リベドーでは寒冷刺激を避けることが重要で、外に出る際だけではなく、冷房の使用や冷蔵庫を開けるなどちょっとした日常動作に関連して皮膚症状が悪化する可能性があるため、注意を払うことが大切です。
 症候性のものは、原因となっている基礎疾患の根本的な治療を第一にして改善を図ります。例えば、膠原病が原因となっている場合には、膠原病の治療が検討されます。

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