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ルコニキア
ルコニキアとは、爪(つめ)の甲が白くなる状態。爪甲白斑(そうこうはくはん)とも呼ばれます。
白くなる様子は、点状のもの、横帯状のもの、爪の甲の全体が白くなるものなどさまざまです。点状になるものが最も多く、次いで多いのは横帯状になるもので、爪全体が白くなるものは極めてまれです。
点状になるルコニキアでは、爪の根元の爪半月の近くに小さな点状の白い斑点が現れ、その後、爪の成長に従って先端に移動し、遊離縁に向かう途中で消えていきます。爪母で作られる爪は皮膚の表面のケラチンからなる角層が変化したものですが、爪の甲の不全角化という爪の成長異常によって、主に生じます。
また、爪の甲の透き間に空気が入ることでも生じ、外傷を受けた時、指先や爪を使いすぎた時に、白い斑点が浮き出てきます。健康な若い人や子供に多くみられ、俗に「幸運の星」などと呼ばれています。
爪をかむ癖のある咬爪(こうそう)症の人では、常に爪根を覆う皮膚の部分の後爪郭(こうそうかく)までかんでいるため、点状の白斑がいくつもできることがあります。
横帯状になるルコニキアでは、爪の甲に幅1〜2ミリの白い帯状の変化が1本から数本現れ、その白い帯状が波打つように重なり合ってみられます。遺伝によって起きる先天性のものもありますが、多くは後天性で、1本の爪から数本の爪に出ます。
爪床の表面の不全角化のため生じるといわれていますが、原因不明のものも少なくなく、低蛋白(たんぱく)血症(低アルブミン血症)や砒素(ひそ)中毒、腎(じん)臓障害などが生じた際に、それらの症状の一つとして現れることもあります。
急性の砒素中毒が生じた際には、爪の成長が一時的に委縮するため、発症後の後遺症として数カ月後に、爪の甲を横に走るミー線状と呼ばれるぼんやりとした白線が現れることが知られています。
また、マニキュアなどが原因となることもあり、やめることで回復するということもあります。
爪の甲の全体が白くなるルコニキアでは、爪の甲全体が不透明な白、ないし乳白色になります。多くは遺伝によって起きる先天性のものであり、生まれた時または乳児期から始まります。発症する根本的なメカニズムは、いまだ判明していません。
皮膚科、あるいは皮膚泌尿器科の医師による診断では、爪の甲に現れた白い斑点の形状からルコニキアと確定することになります。ルコニキアの原因となり得る疾患などを確認することもあります。
皮膚科、あるいは皮膚泌尿器科の医師による治療では、点状になるルコニキアの場合、特に手当は施さず、爪が伸びるのに従って先端に移動し自然に完治するのを待ちます。
横帯状になるルコニキアの場合は、原因となり得る疾患などを確認し、それを除去ないし治療します。例えば、低蛋白血症、砒素や鉛などの中毒、麻疹(ましん)、肺炎などの感染症、乾癬(かんせん)、円形脱毛症などの皮膚疾患、そのほかの心筋梗塞(こうそく)、腎不全などの腎臓疾患、あるいは月経、手術、マニキュア使用などが、原因となり得ます。
爪の甲の全体が白くなるルコニキアの場合も、特に手当の必要はありません。自然に完治するのを待ちます。ただし、爪の水虫や爪半月の拡大、あるいは肝硬変、慢性腎不全、糖尿病などの全身疾患でも爪は白くなり、よく似た外観をみせますので、注意して鑑別しなければいけません。
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