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離人症性障害



外の世界や自分自身に対する現実感が薄れる症状が強く出てくる神経症性障害

離人症性障害とは、自分の外の世界や自分自身に対する現実感が薄れる離人症の症状が前面に、強く出てくる神経症性障害。離人神経症とも呼ばれます。

離人症性障害の症状としては、離人症と現実感消失が中心となります。離人症は、自分が自分から離れて外部の観察者となったように感じることです。自分の行動を離れた所から自分が観察するという感覚がしばしば起こり、これは自分の体から自分が抜け出す体外離脱体験として感じられることもあります。

現実感消失は、自分を取り巻く外の世界や自分自身に対する現実感が薄れ、大きく分けて3つの意識が変化することです。1つは自分の外の世界に対する意識の変化で、「自分の周囲の世界が生き生きと感じられない」、「自分と外の世界との間にベールがあるようで実感がない」などと感じます。

2つめは、自分の内界の意識の変化で、「喜怒哀楽の感情がなくなって、何を見ても感動しない」、「自分が自分でないような感じがする」、「自分が存在する実感がない」、「自分が見知らぬ人間であるように感じる」、「自分が生きている感じがしない」などと感じます。

3つめは、自分の身体意識の変化で、「自分の手足が自分のものではないような感じがする」、「鏡で自分の顔を見ても、自分のものという実感がない」、「自分の体が死体やロボットのように感じる」、「自分の体が大きく、あるいは小さく感じる」 などと感じます。

離人症状しかない示さない離人症性障害の場合もありますが、軽い生理的な離人症の症状というものは、疲労の極限状態、見知らぬ土地への旅行、宗教的瞑想(めいそう)などによって、正常な状態でも出現することがあります。そして、精神発達過程の青年期では70パーセント以上の人に離人症が出現するといわれ、必ずしも病的な現象ではありません。

一方、離人症も現実感消失も、いくつかの精神的な疾患や脳の疾患に関連して出現することもあります。例えば、パニック障害、統合失調症、境界性人格障害、強迫神経症、薬物乱用、てんかんなどに認められます。

従って、離人症性障害は、発症者の著しい苦痛を引き起こしている場合や、日常生活や社会生活に障害を引き起こしている場合に適用されます。

生理的な離人症の出現には、男女差はないといわれています。病的な離人症の出現は、少なくとも男性より女性に2倍以上多いといわれています。離人症性障害の発症の平均年齢は16歳で、40歳以上に出現することはほとんどありません。

離人症性障害についてはあまり研究が行われていないため、その原因や発症率は今のところ不明です。

事故、暴行、重大な疾患、けがなど、生命を脅かす危険な事態を経験した後にしばしば起こり、強烈な精神的葛藤(かっとう)、強度の不安、欲求不満、急激な感情変動、持続的な感情緊張などが、発症の誘因として挙げられます。

症状の始まりは通常突然であり、睡眠からの覚醒途中で起こることもあります。症状は一過性のこともあれば、何年間にもわたって継続したり、あるいは休止期を挟んで繰り返し生じる場合もあります。症状が消える時は、数日かかって徐々に消える傾向があります。

中には自分の障害に適応し、その影響を押しとどめることができる人もいます。一方、自分の精神状態についての不安に絶えず苦しめられ、正気を失うのではないかと心配し、自分の体についてのゆがんだ認識や、自分自身と周囲からの現実感の消失について思い悩む人もいます。精神的苦悩が高じたために、何もできなくなる場合もあります。症状の持続や再発に悩む発症者には、自傷行為、自殺行為がしばしば随伴します。

一過性のものは軽微で、心配ありません。症状が気になる時は、続いている期間などにかかわりなく、精神科、神経科、心療内科を受診しましょう。他の障害が原因となっていることもあります。

離人症性障害の検査と診断と治療

精神科、神経科、心療内科の医師による診断は、主に症状に基づいて行われます。まず各種の検査を行って、体の異常、薬物の乱用、ほかの精神的な疾患がないかどうかを確認します。心理検査や特殊な面接法を行うこともあります。

精神科、神経科、心療内科の医師による治療は、本人の苦痛を伴っている場合や、症状が持続したり再発して日常生活や社会生活に支障を来している場合に行います。

支持的精神療法や認知行動療法などの精神療法、催眠療法が、効果を示すこともあります。抗うつ剤や抗不安剤も、有効な場合があります。

離人症性障害は、ほかの精神的な疾患に伴って生じたり、ほかの精神的な疾患が引き金となって起こる場合も多く、このような場合も治療が必要です。何らかのストレスが発症にかかわっている場合には、その対処も必要となります。

治療により、通常はある程度の効果が得られます。多くの人が完全に回復し、特に発症に関連するストレスの要因が治療中に突き止められた場合には、ほぼ確実に回復します。

治療を行ってもあまり効果がみられない人もいますが、やがて自然に快方へ向かう場合もあります。どんな治療でも効果がみられず、症状が慢性化し、その程度もあまり変化しない人も存在します。

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