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老人性円背



加齢が原因となって、脊椎のうちの胸椎部の後方への湾曲が極端に大きくなる状態

老人性円背(えんぱい)とは、加齢が原因となって、背骨、すなわち脊椎(せきつい)のうちの胸椎部の後方への湾曲が極端に大きくなっている状態。老化性円背、老人性後湾症、老人性亀背(きはい)、老人性猫背(ねこぜ)とも呼ばれます。

人間の脊椎は、7個の頸椎(けいつい)、12個の胸椎、5個の腰椎、仙骨、尾骨で成り立っています。正常な脊椎は体の前から見ると真っすぐですが、横から見ると、緩やかなS字の形をしています。すなわち頸椎部は前湾(前に向かって湾曲している)、胸椎部は後湾(後ろに向かって湾曲している)、腰椎部は前湾を示しています。

このように脊椎は本来、後湾している部分があるのですが、老人性円背では、胸椎部の後湾している角度が極端に大きくなったり、腰椎部の前湾が失われて後湾になったりしています。

加齢が原因で老人性円背は起こり、女性に多くみられます。脊椎の椎体と椎体の間にある円板状の軟骨組織で、骨に対するクッションの役割を果たしている椎間板の多くが変性したり、骨粗鬆(こつそしょう)症で骨のカルシウム分が少なくなり骨が弱くもろくなるために多くの椎体、とりわけ胸椎部と腰椎部の椎体が押しつぶされるように圧迫骨折したり、背中の筋肉が衰えることなどによって、背中が丸く曲がります。

1回の圧迫骨折などで背中が丸く曲がるのではなく、数回の圧迫骨折を繰り返して次第に丸く曲がるケースがほとんどです。

重い物を持つ、立ち上がる、しりもちをつくといった切っ掛けで圧迫骨折が起こったケースでは、本人も気付くことが多く、痛みやしびれを感じたりしますが、骨が弱くもろくなっている人では、衝撃が加わらなくてもいつの間にか圧迫骨折を起こしているケースもあり、痛みやしびれもあまり感じません。

老人性円背になると、胸椎部の後湾が本来の生理的な後湾の範囲を超えるため、頭の荷重が適切に胸椎部に負担されず、頭の重心は胸椎部の軸よりも前方に位置し、前かがみの姿勢になります。この状態で頭を安定させるために、後頭部から背中全体を覆う僧帽筋や、背中の中心部あたりを縦に細長く走っている脊柱起立筋に過剰な負荷がかかることとなり、持続的な背中の痛みや肩凝りとして自覚されます。 

重度になると、腰が慢性的に強く傷んだり、神経の障害を生じて手足のしびれ、震えに悩まされることもあります。

また、体に不自然な前かがみの姿勢で、起立を保ったり歩いたりすることで、負担がかかった筋肉が痛んだり、疲れやすくなります。前かがみの姿勢で、視野が狭くなって転倒につながることもあります。

また、前かがみの姿勢になっているために、肺や胃が圧迫されて、肺活量の低下や胃腸の障害が起こりやすくなります。血流の悪化も起こりやすくなります。

老人性円背の検査と診断と治療

整形外科の医師による診断では、脊椎の変形から老人性円背を疑い、次にX線(レントゲン)検査を行って、画像で椎体の変形が見付かれば、比較的簡単に判断できます。

原因を知るために、さらに詳しい検査が必要な際は、MRI(磁気共鳴画像撮影)検査が有用です。また、加齢が原因で骨粗鬆症が疑われる際は、踵(かかと)の骨に超音波を当てて骨量を測定する超音波法、X線検査、血液検査、尿検査などを合わせて、総合的に検査します。

整形外科の医師による治療では、腰椎の湾曲が胸椎や頸椎の湾曲を強めていることも多いため、全身の骨格の矯正を行います。ただし、加齢とともに矯正も難しくなってきます。

それ以外では、軽く背筋を伸ばす体操や軽めのマッサージなどを行います。ただし、急激に後ろに反らすなどの動作や強いマッサージなどは禁物。

なお、老人性円背によって発症している腰痛や背部痛などの改善はできますが、円背そのものが改善されることはまれです。

骨粗鬆症が基礎にあって老人性円背が重度となった場合は、安静を守り、鎮痛剤を内服します。骨の吸収を防ぎ骨量を増やす薬剤や、骨の形成を促進し骨量を増やす薬剤、あるいは骨の代謝を助ける薬剤も内服し、栄養価の高い食品を摂取するようにします。

転倒したり、しりもちをついたりすると、脊椎の椎体がつぶされて痛みやしびれを招くので注意を要します。

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