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羊水過多症



妊婦の羊膜中の羊水の量が極端に多くなる疾患

羊水過多症とは、胎児を包んで保護する羊膜の中の羊水の量が極端に多くなる疾患。羊水の量が800ミリリットルを超えることが、目安となります。

羊水は妊娠中、胎児がその中で自由に運動し、伸び伸びと発育することを助ける働きがあります。また一方、胎児が活発に動き回っても、直接母体に強く響くのを防ぎ、外からの刺激から胎児を守る役目も果たしています。

出産の際には、子宮筋の収縮による強い圧迫が直接、胎児に加わることを防ぐとともに、破水した後は胎児が通る道、つまり子宮頸管(けいかん)から膣(ちつ)などの軟産道を潤して滑らかにし、胎児を通りやすくします。

このように胎児にとっても母体にとっても重要な働きをしている羊水の量が極端に多くなるのは、妊婦に腎臓(じんぞう)病、糖尿病、梅毒、ウイルス感染、胎盤腫瘍(しゅよう)などがある場合に、羊水を分泌している羊膜の分泌機能が異常に高まって、羊水がどんどん分泌されるために起こりやすいといわれています。また、胎児に中枢神経系や消化器系などの先天異常があったり、巨大児、双生児などの多胎妊娠である場合にも、羊水の量が増える傾向があります。しかし、羊水過多の半数以上は、原因が不明です。

この羊水過多症には、妊娠5カ月ごろから徐々に増える慢性型と、8~9カ月ごろになって急に増える急性型とがあります。急性型の場合は、妊婦の腹部が急に大きくなって、腹痛、腰背部痛、吐き気、足のむくみ、時には呼吸困難、動悸(どうき)、嘔吐(おうと)などが起こります。自然に陣痛が始まるか、早期破水を起こして流産することもあります。

慢性型の場合は、急性型と同様の自覚症状が25週ごろから現れますが、症状は軽いのが普通です。前期破水を来し、早産に至ることもあります。

羊水過多症になると、胎児の位置もわかりにくく、心音も聞き取りにくくなります。他の妊娠トラブルと同様、産科、産婦人科の医師を受診し、慎重に経過を診てもらう必要があります。

羊水過多症の検査と診断と治療

産科、産婦人科の医師による診断では、軽度、中度の羊水過多症の場合は、巨大児や糖尿病の合併を推測して、胎児計測や血糖検査を行います。重度の羊水過多症については、胎児の消化器系の奇形などの可能性を探るため、超音波検査、染色体検査を行います。

羊水過多症の多くは、特別な治療を要しません。ただし、母体に持続的な腹痛が現れる時には、腹部の圧迫症状を軽くするため、水分を制限したり、利尿剤を処方したりします。母体に持続的な呼吸障害も現れる時には、入院して腹部に針を刺して羊水を抜くこともあります。1~2時間をかけて1~2リットルの羊水を除去するのが一般的ですが、この際に子宮の収縮を伴って腹部が張る場合には、子宮収縮抑制剤を投与する場合もあります。

このほか、羊水過多症の合併症に注意します。合併症としては、早産や前期破水、常位胎盤剥離(はくり)、産後の弛緩(しかん)出血などが挙げられます。胎児が骨盤位(逆子)になっているケースも多いので、なるべく破水などの起こらないように、慎重に過ごすごすように妊婦に注意を促します。

羊水過多症の妊婦の分娩(ぶんべん)に際しては、子宮が大きく伸びている状態のため微弱陣痛になりやすい傾向もあり、通常の経腟分娩では合併症も起こしやすいため、帝王切開が行われることが多くなります。

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